(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
自動車等の各種の車両にはモーターや各種の電装部品に電力を供給するための車載用バッテリーが搭載されている。
【0004】
近年、特に、EV(Electric Vehicle:電気自動車)やHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)等の車両が普及されつつあり、これらの電気を動力とした車両においては高い蓄電機能を有する車載用バッテリーが搭載される。
【0005】
車載用バッテリーには収納ケースに収納された電池モジュールと高電圧機器が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。電池モジュールは、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の複数の電池セル(2次電池)が配列されて構成されている。高電圧機器としては、例えば、インバータやDC/DCコンバータ等が設けられている。
【0006】
このような車載用バッテリーには、高い蓄電機能を保持するために、複数の電池モジュールが収納ケースに配置され、これらの複数の電池モジュールの各電池セルが直列又は並列に接続されているものもある。
【0007】
また、車載用バッテリーには、車両の後部に形成された荷室に配置され、収納ケースの内部に配置される電池モジュールと高電圧機器が、例えば、上下の各段に配置されたものもある。
【0008】
特許文献1に記載された車載用バッテリーは、一部がフロアーパネルに上方に開口して形成された配置凹部に挿入され、左右に離隔して設けられた車体のリアサイドフレーム間に位置されている。
【0009】
上記のような車載用バッテリーにあっては、高電圧機器や電池モジュールにおいて熱が発生し温度が上昇すると、これらの高電圧機器や電池モジュールの適正な駆動状態が妨げられるおそれがあるため、高電圧機器や電池モジュールを冷却して温度上昇を抑制する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、車載用バッテリーにおいては、電池モジュールと高電圧機器が収納された収納ケースにカバー体が取り付けられて電池モジュールと高電圧機器がカバー体によって覆われるため、車載用バッテリーの内部の温度が上昇し易く、車載用バッテリーの外部である車室から空気を冷却空気としてダクトによって取り込んで電池モジュールと高電圧機器を冷却することが行われている場合がある。
【0011】
ところが、電池モジュールと高電圧機器の双方を冷却するためには車室から多くの冷却空気を取り込む必要があり、車室から冷却空気を取り込むためのダクトの開口面積が大きくなり、その分、ダクトが大型になり、その配置や必要断面積の確保が困難になると共に車載用バッテリーの大型化を来たすおそれがある。
【0012】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、電池モジュールと高電圧機器に対する良好な冷却性能を確保した上で冷却用ダクト及び車載用バッテリーの小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1に、本発明に係る車載用バッテリーは、内部の空間が収納空間として形成された収納ケースを有し前記収納空間に少なくとも電池モジュールと高電圧機器が収納された車載用バッテリーであって、前記収納ケースの外部の空気を冷却空気として取り込んで前記電池モジュールへ向けて送る第1の冷却用ダクトと、少なくとも前記収納ケースの内部の空気を冷却空気として取り込んで前記高電圧機器へ向けて送る第2の冷却用ダクトとを備え
、前記収納ケースの内部に前記収納空間を上下に仕切る仕切板が配置され、前記高電圧機器は前記仕切板の上面に取り付けられ、前記電池モジュールが前記仕切板の下方に配置され、前記仕切板の下方に前記第1の冷却用ダクトに連結され前記第1の冷却用ダクトから取り込まれた冷却空気を前記電池モジュールへ向けて流動させる電池用吸気ダクトが配置され、前記電池用吸気ダクトが少なくとも上方に開口された形状に形成され、前記電池用吸気ダクトが前記仕切板の下面に取り付けられたものである。
【0014】
これにより、収納ケースの外部の空気が冷却空気として取り込まれて電池モジュールが冷却されると共に少なくとも収納ケースの内部の空気が冷却空気として取り込まれて高電圧機器が冷却される。
また、電池用吸気ダクトの内部の空間が仕切板によって上方から閉塞される。
【0015】
第2に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記第2の冷却用ダクトによって前記収納ケースの内部の空気と前記収納ケースの外部の空気とが冷却空気として取り込まれることが望ましい。
【0016】
これにより、収納ケースの内部の空気と収納ケースの外部の空気の双方の空気によって高電圧機器が冷却される。
【0017】
第3に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記
仕切板は配置孔を有
し、前記高電圧機器は一部が前記配置孔から下方に突出された状態で前記仕切
板に取り付けられ
、前記第2の冷却用ダクトが前記仕切板の下面に前記配置孔を下方から覆う状態で取り付けられることが望ましい。
【0018】
これにより、高電圧機器が仕切板の上面に取り付けられ第2の冷却用ダクトが仕切板の下面に取り付けられる。
【0019】
第4に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記第2の冷却用ダクトが少なくとも上方に開口された形状に形成され、前記第2の冷却用ダクトが前記仕切板の下面に取り付けられることが望ましい。
【0020】
これにより、第2の冷却用ダクトの内部の空間が仕切板によって上方から閉塞される。
【0023】
第5に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記電池モジュールが複数設けられ、前記電池用吸気ダクトに前記複数の電池モジュールの内部の空間にそれぞれ連通される複数の吸気孔が形成されることが望ましい。
【0024】
これにより、電池用吸気ダクトを流動する冷却空気が複数の電池モジュールの内部の空間に連通される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、収納ケースの外部の空気が冷却空気として取り込まれて電池モジュールが冷却されると共に少なくとも収納ケースの内部の空気が冷却空気として取り込まれて高電圧機器が冷却されるため、電池モジュールと高電圧機器に対する良好な冷却性能を確保した上で冷却用ダクト及び車載用バッテリーの小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明車載用バッテリーを実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0028】
車載用バッテリー1は保持フレーム2と収納ケース3とカバー体4と電池モジュール5、5を有している(
図1乃至
図4参照)。
【0029】
車載用バッテリー1は、例えば、車両の後部座席の後方に位置された荷室のフロアーパネル100に形成された配置凹部100aに一部が挿入された状態で配置されている(
図1参照)。
【0030】
保持フレーム2は左右に延び前後に離隔して位置された第1の部分2a、2aと前後に延び左右に離隔して位置された第2の部分2b、2bとが井桁状に結合されて成る(
図1乃至
図4参照)。第1の部分2a、2aは左右両端部がそれぞれ第2の部分2b、2bから側方(外方)に突出された状態にされている。
【0031】
車載用バッテリー1は保持フレーム2における第1の部分2a、2aの左右両端部がフロアーパネル100にボルト等によって固定されている。
【0032】
収納ケース3の内部には平板状の仕切板6が配置されている。収納ケース3の内部の空間は仕切板6によって上側収納空間3aと下側収納空間3bに仕切られている。
【0033】
仕切板6には第1の配置孔6aと第2の配置孔6bが左右に離隔して形成されている。仕切板6には第1の配置孔6aの前方に連通孔6cが形成されている。仕切板6には第2の配置孔6bの右方に排出孔6dが形成されている。
【0034】
仕切板6には端子台7が取り付けられている。端子台7には電線8、8、・・・の一端部が接続され、電線8、8、・・・は車載用バッテリー1から導出されて他端部が図示しない制御回路や電源回路等に接続されている。
【0035】
収納ケース3は上下方向を向く底面部9と下縁が底面部9の外周縁に連続された周面部10とを有している。収納ケース3は周面部10の上端部が保持フレーム2に固定されている。周面部10の後面部における右端部には連結用孔10aが形成されている。周面部10には内方に突出された環状の板取付突部10bが設けられている。
【0036】
仕切板6は外周部が板取付突部10b上に載置されて収納ケース3に取り付けられている。
【0037】
カバー体4は下方に開口された浅い箱状に形成され、上面部11と上縁が上面部11の外周縁に連続された周状部12とを有している。周状部12の前面部13には左側面部14側に寄った位置に電線挿通孔13aが形成され、周状部12の左側面部14にはダクト挿通孔14aが形成されている。
【0038】
カバー体4は収納ケース3の上面に載置されて収納ケース3に取り付けられる。カバー体4が収納ケース3に取り付けられた状態において、電線8、8、・・・が電線挿通孔13aに挿通される(
図5参照)。電線挿通孔13aには電線8、8、・・・の周囲に隙間200が形成されており、隙間200から収納ケース3の内部に外部の空気が取り込まれる。
【0039】
収納ケース3の下側収納空間3bには、例えば、二つの電池モジュール5、5が左右に離隔して収納されている(
図1乃至
図4参照)。電池モジュール5、5は底面部9に固定されている。
【0040】
電池モジュール5は前後方向が長手方向になる箱状のセルカバー15とセルカバー15の内部において前後に並んで配列された複数の電池セル16、16、・・・とを有している(
図2参照)。セルカバー15には流入部15aと流出部15bが前後に離隔して設けられている。
【0041】
収納ケース3の下側収納空間3bには、電池モジュール5、5を挟んで左右方向における反対側に図示しないバッテリーコントロールユニットやジャンクションボックスが収納されている。バッテリーコントロールユニットは車載用バッテリー1の全体の制御を司る機能を有している。ジャンクションボックスはリレーやヒューズやコネクター端子等を有している。
【0042】
収納ケース3の上側収納空間3aには、前半部における端子台7の右方に第1の高電圧機器17が配置され、後半部に第2の高電圧機器18、19が左右に離隔して配置されている(
図1乃至
図4参照)。第1の高電圧機器17は、例えば、電動オイルポンプのポンプ用インバータであり、第2の高電圧機器18は、例えば、DC/DCコンバータであり、第2の高電圧機器19は、例えば、走行モーター用インバータである。
【0043】
第1の高電圧機器17は仕切板6の上面に取り付けられている。第1の高電圧機器17には上面側に上方に突出された放熱フィン17a、17a、・・・が設けられている。第1の高電圧機器17はカバー体4が収納ケース3に取り付けられた状態において、カバー体4に形成された電線挿通孔13aと仕切板6に形成された排出孔6dとの間に配置されている。
【0044】
第2の高電圧機器18と第2の高電圧機器19にはそれぞれ下方に突出された放熱フィン18a、18a、・・・と放熱フィン19a、19a、・・・が設けられている。第2の高電圧機器18は、
図1に示すように、放熱フィン18a、18a、・・・が第1の配置孔6aに上方から挿入された状態で仕切板6の上面に取り付けられ、第2の高電圧機器19は放熱フィン19a、19a、・・・が第2の配置孔6bに上方から挿入された状態で仕切板6の上面に取り付けられている。
【0045】
収納ケース3の内部には電池モジュール5、5、バッテリーコントロールユニット、ジャンクションボックス、端子台7、第1の高電圧機器17、第2の高電圧機器18及び第2の高電圧機器19が配置され、車載用バッテリー1の駆動に必要とされる全ての電装部品がカバー体4に覆われた状態で収納ケース3の内部に配置されている。
【0046】
従って、車載用バッテリー1の駆動に必要とされる電装部品に対して外部からの電磁ノイズが遮蔽可能とされ、電磁シールドの強化により車載用バッテリー1の良好な駆動状態を確保することができる。
【0047】
車載用バッテリー1には第1の冷却用ダクト20が設けられている(
図1乃至
図4参照)。第1の冷却用ダクト20はカバー体4のダクト挿通孔14aを挿通された状態で収納ケース3に取り付けられている。第1の冷却用ダクト20は一端部が入口部20aとして設けられ他端部が出口部20bとして設けられている。
【0048】
第1の冷却用ダクト20は入口部20aがカバー体4のダクト挿通孔14aに挿通され出口部20bが仕切板6の連通孔6cに挿通されている。
【0049】
収納ケース3の下側収納空間3bには第2の冷却用ダクト21が配置されている。第2の冷却用ダクト21は上下の厚みが薄く横長の扁平な形状に形成された流動部22と流動部22の右端部における下面部から下方に突出された結合突部23とを有している。流動部22は上方及び左方に開口された浅い箱状に形成され、上側の開口が流入用開口22aとして形成され、左側の開口が吸気用開口22bとして形成されている。第2の冷却用ダクト21の内部空間は第2の高電圧機器18、19の熱を排出する排熱空間21aとして形成されている。
【0050】
第2の冷却用ダクト21は流動部22が仕切板6の下面に接した状態で取り付けられ、第1の配置孔6aと第2の配置孔6bと排出孔6dが流動部22に下方から覆われる。第2の冷却用ダクト21は全体が収納ケース3の下側収納空間3bに位置されている。
【0051】
上記のように、第2の冷却用ダクト21は少なくとも上方に開口された形状に形成され、仕切板6の下面に取り付けられているため、第2の冷却用ダクト21の内部の空間が仕切板6によって上方から閉塞され、第2の冷却用ダクト21の上面部が不要であり第2の冷却用ダクト21の厚みが薄くなり、その分、車載用バッテリー1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0052】
第2の冷却用ダクト21の排熱空間21aには仕切板6の第1の配置孔6aと第2の配置孔6bと排出孔6dとが連通されている(
図1及び
図6参照)。第2の冷却用ダクト21には第1の配置孔6aと第2の配置孔6bにそれぞれ挿入された第2の高電圧機器18の放熱フィン18a、18a、・・・と第2の高電圧機器19の放熱フィン19a、19a、・・・がそれぞれ上側から挿入され、放熱フィン18a、18a、・・・と放熱フィン19a、19a、・・・が第2の冷却用ダクト21の排熱空間21aに位置される。
【0053】
第2の冷却用ダクト21の結合突部23には電池用排気ダクト24が結合されている(
図2及び
図6参照)。電池用排気ダクト24は横長の形状に形成され、右端部における後面部に排気孔24aを有している。電池用排気ダクト24の前面部には連結孔24b、24bが左右に離隔して形成されている。電池用排気ダクト24の右端部には上方に開口された結合部24cが設けられている。
【0054】
電池用排気ダクト24は結合部24cが第2の冷却用ダクト21の結合突部23に下側から結合されている。電池用排気ダクト24は連結孔24b、24bにそれぞれセルカバー15、15の流出部15b、15bが挿入されて電池モジュール5、5に連結されている。
【0055】
仕切板6の下面には第2の冷却用ダクト21の前側に電池用吸気ダクト25が取り付けられている。電池用吸気ダクト25は上下の厚みが薄い横長の形状にされ、上方に開口された浅い箱状に形成されている。電池用吸気ダクト25の下面部には吸気孔25a、25aが左右に離隔して形成されている。
【0056】
電池用吸気ダクト25は仕切板6の下面に接した状態で取り付けられ、連通孔6cが電池用吸気ダクト25に下方から覆われる(
図6乃至
図8参照)。電池用吸気ダクト25は吸気孔25a、25aにそれぞれセルカバー15、15に設けられた流入部15a、15aが挿入されて電池モジュール5、5に連結されている。
【0057】
上記のように、電池用吸気ダクト25は少なくとも上方に開口された形状に形成され、仕切板6の下面に取り付けられているため、電池用吸気ダクト25の内部の空間が仕切板6によって上方から閉塞され、電池用吸気ダクト25の上面部が不要であり電池用吸気ダクト25の厚みが薄くなり、その分、車載用バッテリー1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0058】
電池用排気ダクト24には冷却ファン26が連結されている(
図2及び
図6参照)。冷却ファン26は、例えば、取り込んだ空気を外部に排出する排出用のファンである。冷却ファン26は前方に突出された連結用突部26aを有し、連結用突部26aが収納ケース3の周面部10に形成された連結用孔10aに挿通され連結孔24bに挿入された状態で電池用排気ダクト24に連結されている。
【0059】
上記のように、収納ケース3の内部には電池モジュール5、5と第2の高電圧機器18、19が配置されているが、電池モジュール5、5は充放電等の駆動時に、例えば、50度程度の温度に上昇され、第2の高電圧機器18、19は駆動時に、例えば、100度程度の温度に上昇される。また、収納ケース2の内部の温度は、例えば、50度程度まで上昇され、収納ケース2の外部である車室の温度は、一般に、50度より低い温度にされている。
【0060】
上記のように構成された車載用バッテリー1において、冷却ファン26が回転されると、収納ケース3の外部の空気である車室の空気が冷却空気として第1の冷却用ダクト20の入口部20aから取り込まれ、出口部20bから電池用吸気ダクト25へ向けて冷却空気が送られる。
【0061】
電池用吸気ダクト25へ向けて送られた冷却空気は電池用吸気ダクト25の吸気孔25a、25aからそれぞれ電池モジュール5、5におけるセルカバー15、15の内部を流動され、電池セル16、16、・・・に吹き付けられて電池セル16、16、・・・が冷却され電池モジュール5、5の温度上昇が抑制される。従って、電池モジュール5、5は冷却ファン26の回転によって発生する冷却空気による強制冷却によって温度上昇が抑制される。
【0062】
このとき、上記のように、電池モジュール5、5は充放電等の駆動時に50度程度の温度に上昇されるが、収納ケース2の外部である車室の温度は50度より低い温度にされているため、車室の空気によって電池モジュール5、5に対する良好な冷却性能が確保される。
【0063】
セルカバー15、15の内部を流動された冷却空気は、連結孔24b、24bから電池用排気ダクト24の内部へ向けて流動され、電池用排気ダクト24の排気孔24aを介して冷却ファン26によって車載用バッテリー1の外部に排出される。
【0064】
一方、冷却ファン26が回転されると、収納ケース3の内部の空気が冷却空気として第2の冷却用ダクト21の吸気用開口22bから取り込まれ仕切板6の第1の配置孔6aと第2の配置孔6bからそれぞれ流動部22に挿入された第2の高電圧機器18、19の放熱フィン18a、18a、・・・、19a、19a、・・・へ向けて送られ排熱空間21aを流動される。
【0065】
排熱空間21aを流動される冷却空気は第2の高電圧機器18、19の放熱フィン18a、18a、・・・、19a、19a、・・・に吹き付けられて第2の高電圧機器18、19が冷却され第2の高電圧機器18、19の温度上昇が抑制される。従って、第2の高電圧機器18、19も電池モジュール5、5と同様に冷却ファン26の回転によって発生する冷却空気による強制冷却によって温度上昇が抑制される。
【0066】
このとき、上記のように、第2の高電圧機器18、19は駆動時に100度程度の温度に上昇されるが、収納ケース2の内部の空気は50度程度までの温度にされているため、収納ケース2の内部の空気によって第2の高電圧機器18、19に対する良好な冷却性能が確保される。
【0067】
第2の冷却用ダクト21の排熱空間21aを流動された冷却空気は、電池用排気ダクト24の排気孔24aを介して冷却ファン26によって車載用バッテリー1の外部に排出される。
【0068】
また、カバー体4に形成された電線挿通孔13aの隙間200から収納ケース3の上側収納空間3aに外部の空気が取り込まれる。このとき第1の流動用ダクト21の排熱空間21aに連通された仕切板6の排出孔6dには、冷却ファン26によって上側収納空間3aから排熱空間21a側への空気の流れが生じている。
【0069】
従って、電線挿通孔13aの隙間200から取り込まれた空気は第1の高電圧機器17の周囲を通って排出孔6dに引き込まれ、排出孔6dから第2の冷却用ダクト21の排熱空間21a及び電池用排気ダクト24の排気孔24aを介して冷却ファン26によって車載用バッテリー1の外部に排出される。
【0070】
上記のように、電線挿通孔13aの隙間200から取り込まれた空気が第1の高電圧機器17の周囲を通って排出孔6dに引き込まれるため、この空気によって第1の高電圧機器17が冷却され第1の高電圧機器17の温度上昇が抑制される。
【0071】
以上に記載した通り、車載用バッテリー1にあっては、収納ケース3の外部の空気を冷却空気として取り込んで電池モジュール5、5へ向けて送る第1の冷却用ダクト20と、収納ケース3の内部の空気を冷却空気として取り込んで第2の高電圧機器18、19へ向けて送る第2の冷却用ダクト21とが設けられている。
【0072】
従って、収納ケース3の外部の空気が冷却空気として取り込まれて電池モジュール5、5が冷却されると共に収納ケース3の内部の空気が冷却空気として取り込まれて第2の高電圧機器18、19が冷却されるため、電池モジュール5、5と第2の高電圧機器18、19に対する良好な冷却性能を確保した上で第1の冷却用ダクト20及び車載用バッテリー1の小型化を図ることができる。
【0073】
尚、車載用バッテリー1には第1の冷却用ダクト20や第2の冷却用ダクト等以外にも、例えば、車外や車内から取り込んだ冷却風を第1の冷却用ダクト20等へ向けて送る他の冷却用ダクトが設けられており、第1の冷却用ダクト20の小型化により、これらの他の冷却用ダクトに関しても小型化を図ることができる。
【0074】
また、第1の冷却用ダクト20が電池モジュール5、5を冷却空気する専用のダクトとして機能するため、電池モジュール5、5の冷却に必要な量の冷却空気を第1の冷却用ダクト20によって取り込めばよく、第2の高電圧機器18、19の冷却をも考慮した冷却空気を第1の冷却用ダクト20によって取り込む必要がなく、その分、第1の冷却用ダクト20が小型化され第1の冷却用ダクト20の車載用バッテリー1における配置スペースが小さくなり、車載用バッテリー1の小型化を図ることができる。
【0075】
さらに、第1の冷却用ダクト20による車室の空気の取込量が少ないため、車室の冷暖房の効果が低減され難くなると共に第1の冷却用ダクト20の冷却空気の取込に際して発生する吸引音が小さくなり車室の良好な静音性を確保することができる。
【0076】
さらにまた、第1の冷却用ダクト20が小型化されて第1の冷却用ダクト20の断面積が小さくなるため、車載用バッテリー1の内部において発生するインバータのスイッチ音やラジオノイズが第1の冷却用ダクト20を通して車室に伝達され難く、車室の高い静音性を確保することができる。
【0077】
尚、上記には、第2の高電圧機器18、19の冷却が第2の冷却用ダクト21によって取り込まれる収納ケース3の内部の空気のみによって行われる例を示したが、第2の高電圧機器18、19の冷却が収納ケース3の内部の空気と収納ケース3の外部の空気との双方の空気によって行われてもよい。
【0078】
第2の高電圧機器18、19の冷却が収納ケース3の内部の空気と収納ケース3の外部の空気との双方の空気によって行われる構成としては、例えば、第2の冷却用ダクト21の一部が第1の冷却用ダクト20に連通され第1の冷却用ダクト20によって取り込まれた収納ケース3の外部の空気の一部が第2の冷却用ダクト21に流動される構成や第2の冷却用ダクト21の一部に収納ケース3の外部の空気を取り込む取込部が設けられる構成がある。
【0079】
このように第2の冷却用ダクト21によって収納ケース3の内部の空気と収納ケース3の外部の空気とが冷却空気として取り込まれることにより、収納ケース3の内部の空気と収納ケース3の外部の空気の双方の空気によって第2の高電圧機器18、19が冷却されるため、冷却空気の温度が低くなり易く、第2の高電圧機器18、19に対する冷却効率の向上を図ることができる。
【0080】
また、車載用バッテリー1にあっては、収納ケース3の内部の空間を上下に仕切る仕切板6が配置され、第2の高電圧機器18、19は一部が仕切板6の第1の配置孔6aと第2の配置孔6bからそれぞれ下方に突出された状態で仕切板6に取り付けられ、電池モジュール5、5が仕切板6の下方に配置され、第2の冷却用ダクト21が仕切板6の下面に第1の配置孔6aと第2の配置孔6bを下方から覆う状態で取り付けられている。
【0081】
従って、第2の高電圧機器18、19が仕切板6の上面に取り付けられ第2の冷却用ダクト21が仕切板6の下面に取り付けられているため、配置スペースの有効活用を図った上で簡易な構成によって第2の高電圧機器18、19を冷却することができる。
【0082】
さらに、電池用吸気ダクト25に複数の電池モジュール5、5の内部の空間にそれぞれ連通される複数の吸気孔25a、25aが形成されているため、電池用吸気ダクト25を流動する冷却空気が複数の電池モジュール5、5の内部の空間に連通され、複数の電池モジュール5、5のそれぞれに冷却空気を送る複数のダクトを必要とせず、部品点数及び構造の簡素化を図ることができる。
【0083】
さらにまた、収納ケース3には少なくとも第1の高電圧機器17と第2の高電圧機器18、19と電池モジュール5、5を覆うカバー体4が取り付けられ、カバー体4に電線8、8、・・・が挿通される電線挿通孔13aが形成され、電線挿通孔13aから外部の空気が第1の高電圧機器17を冷却する冷却空気として取り込まれる。
【0084】
従って、電線挿通孔13aから取り込まれる空気によって第1の高電圧機器17が冷却されるため、第1の高電圧機器17を冷却するための冷却空気の専用の流路を必要とせず、構造の簡素化を図った上で第1の高電圧機器17の温度上昇を抑制することができる。
【0085】
加えて、カバー体4の電線挿通孔13aと仕切板6の排出孔6dとの間に第1の高電圧機器17が配置されているため、電線挿通孔13aから取り込まれ排出孔6dから排出される冷却空気の経路に第1の高電圧機器17が存在し、第1の高電圧機器17に対する冷却効率の向上を図ることができる。
【0086】
尚、上記には、冷却ファン26の回転によって第1の冷却用ダクト20と第2の冷却用ダクト21から取り込まれた冷却空気が冷却ファン26へ向けて流動される例を示したが、冷却ファンを第1の冷却用ダクト20と第2の冷却用ダクト21へ向けて冷却空気を送るファンにしたり、第1の冷却用ダクト20側や第2の冷却用ダクト21側に冷却ファンを設けることにより、上記とは逆に第1の冷却用ダクト20と第2の冷却用ダクト21から冷却空気が排出される構成にすることも可能である。
【0087】
この場合には、仕切板6の排出孔6dから収納ケース3の上側収納空間3aを介してカバー体4の電線挿通孔13aの隙間200に向けて冷却空気が流動され、第1の高電圧機器17が冷却されて第1の高電圧機器17の温度上昇が抑制される。
【0088】
また、上記には、第2の冷却用ダクト21によって取り込まれた冷却空気により第2の高電圧機器18、19が冷却される例を示したが、第2の冷却用ダクト21によって取り込まれた冷却空気により第1の高電圧機器17と第2の高電圧機器18、19の双方が冷却されてもよく、また、第2の冷却用ダクト21によって取り込まれた冷却空気により第1の高電圧機器17が冷却される構成にされてもよい。