(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879825
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】プロテクタ構造体、ショットクリーニング装置及びボイラ
(51)【国際特許分類】
F23J 3/00 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
F23J3/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-100913(P2017-100913)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-194279(P2018-194279A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】龍田 英三
(72)【発明者】
【氏名】板倉 毅
【審査官】
古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−221644(JP,A)
【文献】
特開2000−258096(JP,A)
【文献】
実開昭60−154794(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00
F28G 1/12
F22B 37/10,37/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの伝熱管群に付着したダストを除去するために当該伝熱管群の上方からショット球を水平方向の速度成分を有して所定の初速度で噴出するショット球噴出ノズルと前記伝熱管群との間に設置するプロテクタ構造体であって、
複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第1プロテクタ群と、
前記第1プロテクタ群の下方に配置され、複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第2プロテクタ群と、
鉛直方向に伸びる複数の隔壁とを備え、
前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第2プロテクタ群のプロテクタとは千鳥状に配置され、
前記隔壁は、前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第2プロテクタ群のプロテクタとの間に位置し、
かつ、前記第1プロテクタ群のプロテクタ、前記第2プロテクタ群のプロテクタ及び前記隔壁は、ショット球の進行方向を直線と仮定したときに、いかなる進行方向であってもショット球がいずれかに衝突するように配置されている、プロテクタ構造体。
【請求項2】
ボイラの伝熱管群に付着したダストを除去するために当該伝熱管群の上方からショット球を水平方向の速度成分を有して所定の初速度で噴出するショット球噴出ノズルと前記伝熱管群との間に設置するプロテクタ構造体であって、
複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第1プロテクタ群と、
前記第1プロテクタ群の下方に配置され、複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第2プロテクタ群と、
前記第2プロテクタ群の下方に配置され、複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第3プロテクタ群と、
鉛直方向に伸びる複数の隔壁とを備え、
前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第2プロテクタ群のプロテクタとは千鳥状に配置され、
前記第3プロテクタ群のプロテクタは、前記第1プロテクタ群のプロテクタと水平方向の位置が整合するように配置され、
前記隔壁は、前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第3プロテクタ群のプロテクタとの間に位置し、
かつ、前記第1プロテクタ群のプロテクタ、前記第2プロテクタ群のプロテクタ、前記第3プロテクタ群のプロテクタ及び前記隔壁は、ショット球の進行方向を直線と仮定したときに、いかなる進行方向であってもショット球がいずれかに衝突するように配置されている、プロテクタ構造体。
【請求項3】
前記第1プロテクタ群のプロテクタ間の水平方向の間隔をa、前記第2プロテクタ群のプロテクタの水平方向の幅をbとしたとき、0.7≦a/b≦1.0である、請求項1又は2に記載のプロテクタ構造体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のプロテクタ構造体と、前記ショット球噴出ノズルとを備えるショットクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4に記載のショットクリーニング装置を備えるボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの伝熱管群に付着したダストを除去するために当該伝熱管群の上方からショット球を所定の初速度をもって噴出するショットクリーニング装置用のプロテクタ構造体に関し、さらにはこのプロテクタ構造体を備えたショットクリーニング装置及びボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ、特に廃棄物処理設備で使用されるボイラには、高温の排ガスとともに多量の飛灰などのダストが到来し、ボイラの伝熱管群にダストが付着するので、ボイラの運転を効率的かつ安全に行うためには、伝熱管群に付着したダストを定期的又は必要に応じて除去する必要がある。このようなボイラの伝熱管群に付着したダストを除去する一手段として、ショットクリーニング装置が使用される。
【0003】
例えば特許文献1には、ショット球を噴出するショット球噴出ノズルと、噴出したショット球が衝突して、衝突後のショット球を分散させる衝突板とを備えたショット球散布装置(ショットクリーニング装置)が開示されている。ところが、特許文献1のショット球噴出ノズルからは、直径10mm、質量4g、初速度50m/sでショット球が噴出し、衝突板で分散された後も大きな運動エネルギーを持つため、最初に衝突する伝熱管に変形や急激な減肉を引き起すという問題が生じることがあった。
【0004】
従来、このようなショット球による伝熱管の変形や減肉を抑制するための技術として、特許文献2や特許文献3にみられるように、伝熱管群の上方にダミー管や衝突防止板等のプロテクタ群を設ける技術が知られている。しかし、前述の特許文献1のように水平方向の速度成分を有して高速(所定の初速度)でショット球が噴出される場合、その軌道は直線状となり、少しの隙間があれば、プロテクタにあたらず通過し、伝熱管に直接衝突してしまう。そのため、従来の構造のプロテクタでは、ショット球が水平方向の速度成分をもち斜め方向から侵入する際は、伝熱管への直接衝突を回避できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5079465号公報
【特許文献2】実願昭62−158639号(実開平1−67446号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開2008−170093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、水平方向の速度成分を有して高速(所定の初速度)で噴出するショット球の直接衝突による伝熱管の変形や減肉を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、次の
1又は2のプロテクタ構造体が提供される。
1.
ボイラの伝熱管群に付着したダストを除去するために当該伝熱管群の上方からショット球を水平方向の速度成分を有して所定の初速度で噴出するショット球噴出ノズルと前記伝熱管群との間に設置するプロテクタ構造体であって、
複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第1プロテクタ群と、
前記第1プロテクタ群の下方に配置され、複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第2プロテクタ群と、
鉛直方向に伸びる複数の隔壁とを備え、
前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第2プロテクタ群のプロテクタとは千鳥状に配置され、
前記隔壁は、前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第2プロテクタ群のプロテクタとの間に位置し、
かつ、前記第1プロテクタ群のプロテクタ、前記第2プロテクタ群のプロテクタ及び前記隔壁は、ショット球の進行方向を直線と仮定したときに、いかなる進行方向であってもショット球がいずれかに衝突するように配置されている、プロテクタ構造体。
2.
ボイラの伝熱管群に付着したダストを除去するために当該伝熱管群の上方からショット球を水平方向の速度成分を有して所定の初速度で噴出するショット球噴出ノズルと前記伝熱管群との間に設置するプロテクタ構造体であって、
複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第1プロテクタ群と、
前記第1プロテクタ群の下方に配置され、複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第2プロテクタ群と、
前記第2プロテクタ群の下方に配置され、複数のプロテクタを水平方向に所定間隔をもって配列してなる第3プロテクタ群と、
鉛直方向に伸びる複数の隔壁とを備え、
前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第2プロテクタ群のプロテクタとは千鳥状に配置され、
前記第3プロテクタ群のプロテクタは、前記第1プロテクタ群のプロテクタと水平方向の位置が整合するように配置され、
前記隔壁は、前記第1プロテクタ群のプロテクタと前記第3プロテクタ群のプロテクタとの間に位置し、
かつ、前記第1プロテクタ群のプロテクタ、前記第2プロテクタ群のプロテクタ、前記第3プロテクタ群のプロテクタ及び前記隔壁は、ショット球の進行方向を直線と仮定したときに、いかなる進行方向であってもショット球がいずれかに衝突するように配置されている、プロテクタ構造体。
【0008】
また、本発明の他の観点によれば、前記プロテクタ構造体と前記ショット球噴出ノズルとを備えるショットクリーニング装置、及び前記ショットクリーニング装置を備えるボイラが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1プロテクタ群のプロテクタ、第2プロテクタ群のプロテクタ及び隔壁が、ショット球の進行方向を直線と仮定したときに、いかなる進行方向であってもショット球がいずれかに衝突するように配置されているので、水平方向の速度成分を有して所定の初速度で噴出するショット球の直接衝突による伝熱管の変形や減肉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態のボイラの全体構成図である。
【
図2】本発明のプロテクタ構造体の構成例を示す概念図である。
【
図3】本発明のプロテクタ構造体の変形例を示す概念図である。
【
図4】本発明のプロテクタ構造体の変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態のボイラの全体構成図である。同図に示すボイラ10は、底部側から高温のボイラガス(例えば、燃焼室からの燃焼ガス)を導入して頂部側から排出するケーシング11を有しており、このケーシング11内に過熱器12、蒸発器13及び節炭器(エコノマイザ)14が配置されている。過熱器12、蒸発器13及び節炭器14は、伝熱管式の熱交換器構造となっており、伝熱管内に通水される水をボイラガスの熱で加熱して蒸気にする。
【0012】
ボイラガスは、ダスト(例えば飛灰など)を同伴しており、そのダストが過熱器12、蒸発器13及び節炭器14の伝熱管群に付着するとこれらの熱交換効率が低下する。そこで、
図1のボイラ10には、過熱器12、蒸発器13及び節炭器14の伝熱管群に付着したダストを除去するためにショットクリーニング装置20が設置されている。
【0013】
まず、ショットクリーニング装置20の基本構成を説明すると、ショット球である鋼球21は、鋼球タンク22内に貯留されており、ロータリーフィーダ23等の切出装置によって定量的に切り出される。ロータリーフィーダ23で切り出した鋼球21は、鋼球搬送管24内に供給され、ブロワ25から鋼球搬送管24内に吹き込まれる搬送用流体(例えば高圧空気)によって加速されて鋼球搬送管24内を流れ、その先端の鋼球噴出ノズル26から水平方向の速度成分を有して所定の初速度(例えば50m/s)でボイラ10内に噴出される。なお、本実施形態において鋼球搬送管24は途中で分岐しており、分岐点に流路切替弁27が設けられ、分岐した鋼球搬送管24の先端にそれぞれ鋼球噴出ノズル26が設けられている。そして、鋼球噴出ノズル26から噴出した鋼球21は、衝突板28に当たって分散されながらボイラ10内に噴出される。なお、衝突板28の鉛直方向との角度は可変である。
【0014】
以上の基本構成において、鋼球噴出ノズル26から噴出され、さらに衝突板28に当たって分散されながらボイラ10内に噴出される鋼球21が、ボイラ10(節炭器14)の伝熱管群15に直接衝突することがないように、鋼球噴出ノズル26と伝熱管群15との間にプロテクタ構造体40が設置されている。
【0015】
図2に、プロテクタ構造体40の構成例を示している。
図2のプロテクタ構造体40は、第1プロテクタ群41、第2プロテクタ群42及び第3プロテクタ群43と複数の隔壁44とを備えてなる。
【0016】
第1プロテクタ群41は、複数のプロテクタ41aを水平方向に所定間隔(
図2の例では一定間隔a)をもって配列してなる。第2プロテクタ群42は、第1プロテクタ群41の下方に配置され、複数のプロテクタ42aを水平方向に所定間隔(
図2の例では一定間隔a)をもって配列してなる。第3プロテクタ群43は、第1プロテクタ群41の下方に配置され、複数のプロテクタ43aを水平方向に所定間隔(
図2の例では一定間隔a)をもって配列してなる。より具体的に説明すると、第1プロテクタ群41のプロテクタ41aと第2プロテクタ群42のプロテクタ42aとは千鳥状に配置され、第3プロテクタ群43のプロテクタ43aは、第1プロテクタ群41のプロテクタ41aと水平方向の位置が整合する(鉛直方向からみると重なる)ように配置されている。
【0017】
また、
図2の例において、プロテクタ41a,42a,43aは全て同一形状であって、SS400などの一般構造用圧延鋼材(SS材)からなる山形鋼41b,42b,43bの両斜辺表面に耐摩耗鋼41c,42c,43cを貼り付けた構成を有する。なお、プロテクタ41a,42a,43aの形状及び構成はこれに限定されるものではなく、平板、角管、半割管あるいは半割管をひっくり返したような形状であってもよく、異なる大きさや形状の組合せであってよい。ただし、製造のしやすさ、表面への耐摩耗鋼の貼り付けのしやすさ等の点から、プロテクタ41a,42a,43aは
図2の例のように全て同一形状の山形鋼の両斜辺表面に耐摩耗鋼を貼り付けた構成とすることが好ましい。
【0018】
隔壁44は、第1プロテクタ群41のプロテクタ41aと第3プロテクタ群43のプロテクタ43aとの間で鉛直方向に伸びるように複数配置されている。そして、これらの隔壁44、第1プロテクタ群41のプロテクタ41a、第2プロテクタ群42のプロテクタ42a及び第3プロテクタ群43のプロテクタ43aは、鋼球噴出ノズル26から噴出され、さらに衝突板28に当たって分散されながらボイラ10内に噴出される鋼球21の進行方向を直線と仮定したときに、いかなる進行方向であっても鋼球21がいずれかに衝突するように配置されている。すなわち、プロテクタ構造体40は、
図2に例示しているように、鋼球21がいかなる進行方向であっても、第1プロテクタ群41のプロテクタ41a、第2プロテクタ群42のプロテクタ42a、第3プロテクタ群43のプロテクタ43a、隔壁44のいずれかに衝突するように構成されている。これにより、鋼球噴出ノズル26から噴出され、さらに衝突板28に当たって分散されながらボイラ10内に噴出される鋼球21が、ボイラ10(節炭器14)の伝熱管群15に直接衝突することがなくなり、鋼球21による伝熱管群15の変形や減肉を抑制することができる。
【0019】
なお、このプロテクタ構造体40の構成を言い換えると、プロテクタ構造体40を上方からあらゆる方向で投影したときに、鋼球21の初期サイズより大きい隙間が見られないということである。前記の隙間がちょうど鋼球21の初期サイズと同じサイズであった場合、鋼球21が摩耗により小さくなると、その鋼球21が前記の隙間を通過することが有り得るが、摩耗により小さくなった鋼球21は質量が小さく運動エネルギーも小さいことから、これが伝熱管群15に直接衝突したとしても、伝熱管群15に及ぼす影響は限定的である。したがって、プロテクタ構造体40は、上方からあらゆる方向より投影したときに鋼球21の初期サイズより大きい隙間が見られないという条件を満たしていれば、本発明の課題は解決可能である。また、本発明では鋼球21の進行方向を直線と仮定したが、本発明において鋼球21は所定の初速度をもって噴出するから、その進行方向を直線と仮定することは妥当である。
【0020】
図2のプロテクタ構造体40の構成について説明を続けると、
図2のプロテクタ構造体40は、第1プロテクタ群41の隣接するプロテクタ41a,41a間の水平方向の間隔(間隙の長さ)をa、第2プロテクタ群42のプロテクタ42aの水平方向の幅をbとしたとき、0.7≦a/b≦1.0の関係を満たすように構成することが好ましい。また、
図2のプロテクタ構造体40では、第3プロテクタ群43の隣接するプロテクタ43a,43a間の水平方向の間隔(間隙の長さ)もaであり、同様に0.7≦a/b≦1.0の関係を満たすように構成することが好ましい。このように0.7≦a/b≦1.0の関係を満たすように構成することで、プロテクタ構造体40におけるボイラガスの流路を十分に確保しつつ、鋼球21が伝熱管群15に直接衝突することを防止できる。
【0021】
また、
図2のプロテクタ構造体40において各隔壁44は、第1プロテクタ群41のプロテクタ41aと第3プロテクタ群43のプロテクタ43aとの間を鉛直方向に完全に仕切るのではなく、鋼球21が当該隔壁44を越えて隣接する隔壁44側に向けて進行できるように鉛直方向に隙間をもって配置している。これにより、鋼球21がプロテクタ構造体40全体にわたって均一に分散しやすくなるとともに、ボイラガスの流路も十分に確保される。また、鋼球21を均一に分散させるとともにボイラガスの流路を均一に確保する点から、第2プロテクタ群42の鉛直方向の位置は、第1プロテクタ群41と第3プロテクタ群43との中間位置とすることが好ましく、さらに、各プロテクタ41a,42a,43a及び各隔壁44は、プロテクタ構造体40の鉛直方向中心線に対して線対称となるように配置することが好ましい。
【0022】
以上の構成において、鋼球噴出ノズル26から噴出され、さらに衝突板28に当たって分散されながらボイラ10内に噴出される鋼球21は、伝熱管群15に衝突する前に必ずプロテクタ構造体40に衝突する。したがって鋼球21の直接衝突による伝熱管群15の変形や減肉を抑制することができる。さらに、
図2のプロテクタ構造体40によれば前述のとおりボイラガスの流路を十分に確保できるとともに、鋼球21を均一に分散させる作用効果も得られる。なお、
図2のプロテクタ構造体40による鋼球21の分散効果について、実機で調査を行った結果、プロテクタ構造体40の設置による分散性向上がみられた。
【0023】
このようにプロテクタ構造体40に衝突して分散された鋼球21は、プロテクタ構造体40を通過後自由落下していき、伝熱管群15に衝突してダストを除去する。ケーシング11の底部まで落下した鋼球21とダストは、
図1に示すように案内シュート29を介して鋼球回収装置30に回収される。そして、鋼球21とダストは、鋼球回収装置30において、粉状のダスト、鋼球21、塊状になっているダストに分離され、鋼球21は鋼球タンク22に戻される。粉状のダストは、ダスト粉切出用ロータリバルブ31を介してダスト輸送管32内に供給されて回収される。一方、塊状のダストは、塊状物切出用二重弁33を介してダスト輸送管32内に供給されて回収される。
【0024】
なお、
図2の例においては、鋼球噴出ノズル26を節炭器14の上方にのみ設置し、この鋼球噴出ノズル26と節炭器14の伝熱管群15との間にプロテクタ構造体40を設置したが、蒸発器13の上方にも鋼球噴出ノズルを設置することができ、この場合、蒸発器13の上方にもプロテクタ構造体40を設置するとよい。
【0025】
以下、プロテクタ構造体40の変形例について説明する。
図3(a)から(f)は、第1プロテクタ群41、第2プロテクタ群42、第3プロテクタ群43及び複数の隔壁44の配置の変形例である。いずれの変形例においても、鋼球21の進行方向を直線と仮定したときに、いかなる進行方向であっても鋼球21が第1プロテクタ群41、第2プロテクタ群42、第3プロテクタ群43及び隔壁44いずれかに衝突するように配置されている。なお、
図3(f)の例では、隔壁44は、第1プロテクタ群41のプロテクタ41aと第3プロテクタ群43のプロテクタ43aとの間を完全に仕切るように配置している。この
図3(f)の例は、鋼球21が伝熱管群に直接衝突しないようにする点からは好ましいが、鋼球を均一に分散させるとともに、ボイラガスの流路を十分に確保する点からは、隔壁44は、他の例のように第1プロテクタ群41のプロテクタ41aと第3プロテクタ群43のプロテクタ43aとの間を完全に仕切るのではなく、鋼球が当該隔壁を越えて隣接する隔壁に向けて進行できるように配置することが好ましい。
【0026】
図4は、第3プロテクタ群を省略して第1プロテクタ群41、第2プロテクタ群42及び複数の隔壁44のみでプロテクタ構造体を構成した例である。このように第3プロテクタ群を省略したとしても、隔壁44の鉛直方向の長さを大きくすることで、鋼球21の進行方向がいかなる方向であっても、その鋼球21が第1プロテクタ群41、第2プロテクタ群42及び隔壁44いずれかに衝突して、伝熱管群には直接衝突しないようにすることができる。ただし、鋼球が伝熱管群に直接衝突しない構成を容易に実現するには、
図2及び
図3(a)から(f)の例のように第3プロテクタ群43を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0027】
10 ボイラ
11 ケーシング
12 過熱器
13 蒸発器
14 節炭器
15 伝熱管群
20 ショットクリーニング装置
21 鋼球(ショット球)
22 鋼球タンク
23 ロータリーフィーダ
24 鋼球搬送管
25 ブロワ
26 鋼球噴出ノズル(ショット球噴出ノズル)
27 流路切替弁
28 衝突板
29 案内シュート
30 鋼球回収装置
31 ダスト粉切出用ロータリバルブ
32 ダスト輸送管
33 塊状物切出用二重弁
40 プロテクタ構造体
41 第1プロテクタ群
42 第2プロテクタ群
43 第3プロテクタ群
44 隔壁
41a,42a,43a プロテクタ
41b,42b,43b 山形鋼
41c,42c,43c 耐摩耗鋼