特許第6879829号(P6879829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6879829接合装置のための装填用ピン、接合装置、及び接合要素給送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879829
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】接合装置のための装填用ピン、接合装置、及び接合要素給送方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/04 20060101AFI20210524BHJP
   B23K 9/20 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B23P19/04 B
   B23K9/20 F
   B23P19/04 Z
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-113274(P2017-113274)
(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-226068(P2017-226068A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2020年1月10日
(31)【優先権主張番号】10 2016 111 283.6
(32)【優先日】2016年6月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504075577
【氏名又は名称】ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シューク
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ハイン
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−327770(JP,A)
【文献】 特開2000−190077(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0032837(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/04
B23K 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向駆動部(62)に接続可能な第1の軸線方向端部分(60)と、接合要素(20)を保持装置(40)に押し込むため、及び/又は、接合プロセス中に前記接合要素(20)を軸線方向に支持するために、前記接合要素(20)に対して軸線方向力(56)を作用させるように構成された第2の軸線方向端部分(64)とを有し、軸線方向中空チャネル部分(38)を備え、これを通して接合要素(20)を軸線給送方向(39)に案内することが可能な接合装置(16)のための装填用ピン(36)において、
前記装填用ピン(36)が、横方向接合要素給送開口部(76)を備え、これを介して、接合要素(20)を前記中空チャネル部分(38)の中に給送することができるように構成されており、
接合要素(20)のための一方向通路(66)が、前記第2の軸線方向端部分(64)上に設けられ、この一方向通路を通って接合要素(20)の少なくとも一部分が前記軸線給送方向(39)に沿って出ることができるが、この一方向通路を通って前記接合要素(20)の前記一部分が反対の軸線方向で前記中空チャネル部分(38)の中に戻ることはできないことを特徴とする、装填用ピン。
【請求項2】
前記一方向通路(66)が、受動的な一方向通路として構成されることを特徴とする、請求項に記載の装填用ピン。
【請求項3】
前記一方向通路(66)が、複数の半径方向弾性ラグ(68)によって形成され、前記ラグは、接合要素(20)の少なくとも一部分が前記一方向通路(66)を通過するとき、半径方向に撓み、前記接合要素(20)の前記少なくとも一部分が通過した後、半径方向に弾性的に阻止位置に復元されることを特徴とする、請求項1又は請求項に記載の装填用ピン。
【請求項4】
前記ラグ(68)が、前記阻止位置において軸線方向力(56)を伝達することができるように構成されることを特徴とする、請求項に記載の装填用ピン。
【請求項5】
前記軸線方向中空チャネル部分(38)が、前記横方向給送開口部(76)の領域内の案内輪郭によって定められることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の装填用ピン。
【請求項6】
給送された接合要素(20)が受入れチャネル(32)の中へ移送されるように接合要素給送装置(18)に接続可能な接合要素受入れ手段(28)を有し、前記接合要素受入れ手段(28)は、装填用ピン案内部分(34)を備え、そこに装填用ピン(36)が給送位置(SP)と接合位置(FP)との間で軸線方向に変位可能になるように装着された接合装置において、
前記装填用ピン(36)が、請求項1〜請求項のいずれかに記載の装填用ピンであることを特徴とする、接合装置。
【請求項7】
前記装填用ピン(36)の最大移動距離(86)が、軸線方向の接合要素の最大長さ(88)より小さいことを特徴とする、請求項に記載の接合装置。
【請求項8】
複数の半径方向弾性保持舌部(46)を備えた接合要素保持装置(40)が、前記接合要素受入れ部(28)に装着されていることを特徴とする、請求項6又は請求項に記載の接合装置。
【請求項9】
前記装填用ピン(36)の一方向通路(66)及び前記接合要素保持装置(40)は、接合要素(20)が、前記中空チャネル部分(38)を完全に通過し且つ前記一方向通路(66)を通過するように搬送可能であるとともに、前記保持舌部(46)によって中間位置(20Z)において停止可能であるように、互いに対して配置されることを特徴とする、請求項8に記載の接合装置。
【請求項10】
前記接合要素保持装置(40)は、接合要素(20)を、前記保持舌部(46)が前記接合要素(20)に対して半径方向に直接当接した結果として接合位置(20F)で保持するように構成されることを特徴とする、請求項8又は請求項に記載の接合装置。
【請求項11】
前記装填用ピン(36’)の一方向通路(66’)及び前記接合要素保持装置(40’)は、前記接合要素(20’)のフランジ部分(50’)が前記中空チャネル部分を通過し且つ前記一方向通路(66’)を通過するように搬送可能であるとともに、前記保持舌部(46’)によって中間位置(20Z’)において停止可能であるように、互いに対して配置されることを特徴とする、請求項に記載の接合装置。
【請求項12】
前記接合要素保持装置(40’)は、前記保持舌部(46’)を前記装填用ピン(36’)の一方向通路(66’)のラグ(68’)に半径方向外側から押し付けることによって接合要素(20’)を前記接合位置(20F’)で保持するように構成されることを特徴とする請求項又は請求項11に記載の接合装置。
【請求項13】
前記装填用ピン(36)が、複数の半径方向弾性ラグ(68)を有する一方向通路(66)を備えることを特徴とする、請求項〜請求項12のいずれかに記載の接合装置。
【請求項14】
前記装填用ピン案内部分(34)は、少なくとも部分的に案内断面を有し、前記装填用ピン(36)は、前記案内断面に適合した装填用ピン断面(92)を少なくとも部分的に有することを特徴とする、請求項〜請求項13のいずれかに記載の接合装置。
【請求項15】
接合要素(20)を請求項〜請求項14のいずれかに記載の接合装置(10)の中に給送するための方法であって、前記方法は、接合要素(20)を前記受入れチャネル(32)の中に給送し、そこから半径方向に前記横方向接合要素給送開口部(76)を介して前記装填用ピン(36)の中に給送し、前記接合要素が、前記中空チャネル部分(38)中へ入り、前記接合要素(20)の少なくとも一部分が、前記装填用ピン(36)の前記第2の端部分上の一方向通路(66)を通過するようにするステップを有することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合装置のための装填用ピンであって、軸線方向駆動部に接続可能な第1の軸線方向端部分と、接合要素を保持装置に押し込むため、及び/又は、接合プロセス中に接合要素を軸線方向に支持するために、接合要素に対して軸線方向力を作用させる目的で設けられた第2の軸線方向端部分とを有し、軸線方向中空チャネル部分を備え、これを通して接合要素を軸線給送方向に案内することが可能な、装填用ピンに関する。
【0002】
このタイプの装填用ピンは、特許文献1に開示されている。
【0003】
さらに、本発明は、給送された接合要素が受入れチャネルの中へ送られるように接合要素給送装置に接続可能な接合要素受入れ部を有する接合装置であって、接合要素受入れ部が、装填用ピン案内部分を備え、そこに装填用ピンが給送位置と接合位置との間で軸線方向に変位可能になるように装着される、接合装置に関する。
【0004】
最後に、本発明は、接合要素を接合装置の中に給送するための方法に関する。
【背景技術】
【0005】
接合技術の分野、特に、例えばスタッド溶接の場合又はスタッド結合の場合のように加工物に要素を接合する分野において、接合要素を自動化方式で接合ヘッドに給送することが知られている。この場合、スタッドのような個々に分離した接合要素は、圧縮空気によって、給送管を通して接合ヘッドに向かって吹き込まれる。そこで、これらは受入れチャネルの中に入る。
【0006】
受入れチャネルは、接合ヘッドの給送チャネルに至り、装填用ピンは、この給送チャネルの内側で軸線方向に変位可能になるように装着される。接合要素を受入れチャネルから出して給送チャネルの中へ給送するために、装填用ピンは、装填用ピンの前端部が受入れチャネルと給送チャネルとの間の移行部を露出させるまで、軸線方向に引き戻される。接合要素は、次いで、保持舌部を備えた保持装置内で制動される。保持舌部は、確かに半径方向に弾性ではあるが、比較的高レベルの剛性を有する。したがって、接合要素を、例えばスタッドのフランジ部分が前面で保持装置から外に出てくるまで、装填用ピンによって保持装置を通して押すことが必要である。保持装置の保持舌部の高レベルの剛性は、スタッド溶接中に溶接電流が押圧によって保持舌部とスタッドとの間で伝達されるので、好ましい。
【0007】
これらの型式の接合装置は、公知である。この場合、装填用ピンは、特にアクセスが困難な場所でも接合を行うことができるように保持装置が軸線方向に長い様式で具体化されている場合、比較的長距離の移動を完遂しなければならない。移動量が大きいので、接合装置の、保持装置の軸線方向反対側に比較的大きい抵触輪郭(interference contour)が作り出されることになり、なぜなら、受入れチャネルと給送チャネル又は保持装置との間の移行部を露出させるためには、給送動作中に装填用ピンを比較的遠くまで押し戻さなければならないからである。
【0008】
スタッドを溶接するためのさらなる方法が特許文献2に開示されている。この場合、保持装置が、ハウジングに対して軸線方向に変位可能となるように装着される。保持装置は、横方向給送チャネルを備え、これを介して、接合要素を保持装置に向かう方向に給送することができる。保持装置は、次いで、固定ピンに抗して後方に移動し、給送されたスタッドが保持装置内の所定位置に押し込まれるようになっている。この場合も、軸線方向の移動距離は比較的大きい。
【0009】
特許文献3は、比較的大きいフランジ部分(シャンク部分と比較して)を有するスタッドでも給送チャネルを通して自動化方式で給送することが可能な接合装置の保持装置を開示する。接合要素は、半径方向に可動なクランプ要素に対して変位される軸線方向に可動なクランプ用マウスピースによって接合位置でクランプされ、接合要素のシャンクを保持するための半径方向クランプ力がクランプ要素に対して作用するようになっている。
【0010】
最後に、特許文献1は、固定給送パイプを備え、そこを通して圧縮空気によって接合要素を軸線給送方向に給送することができる、接合ガンを開示する。固定パイプの端部に一方向通路が設けられており、接合要素は、これを通過することはできるが、給送パイプの中に再び戻ることはできない。接合要素の給送は、この事例では、スタッドクランプ用スリーブによって保持された、以前に給送された接合要素が、加工物に接合された時点で行われる。一方向通路から出ようとするスタッドは、この事例では、以前に給送された接合要素によって制動され、停止される。スタッドクランプ用スリーブは、次いで、一方向通路に向かう方向に軸線方向に案内され、次いで、最後に給送された接合要素をクランプする。
【0011】
上述の従来技術の接合装置の事例では、それぞれの接合装置の軸線方向の設置長さもまた比較的大きく、これは、それぞれの軸線方向給送チャネル又は給送パイプ、並びに給送パイプとクランプ装置との間の比較的複雑な軸線方向の相対的変位方式によるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国実用新案第80 10 343号明細書
【特許文献2】米国特許第4,019,013号明細書
【特許文献3】独国特許第102 29 609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
こうした背景に照らして、本発明の目的は、接合装置のための改良された装填用ピン、改良された接合装置、及び接合要素を接合装置に給送するための改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上の目的は、導入部で明示した装填用ピンの例において、該装填用ピンが、横方向接合要素給送開口部を備え、これを介して、接合要素を中空チャネル部分の中に給送することができる構成にすることによって達成される。
【0015】
さらに、上記目的は、上記で明示した型式の接合装置によって、装填用ピンが本発明による装填用ピンである場合に達成される。
【0016】
最後に、上記目的は、接合要素を本発明による型式の接合装置の中に給送するための方法によって達成され、この方法は、接合要素を、接合要素受入れ部の受入れチャネルの中に給送し、そこから半径方向に横方向接合要素給送開口部を介して装填用ピンの中に給送して、接合要素が装填用ピンの中空チャネル部分の中に入るようにするステップを有する。
【0017】
本発明による方策、すなわち、それ自体が中空チャネルを有する装填用ピンを具体化し、接合要素受入れ手段上で軸線方向に変位可能な該装填用ピンに横方向給送開口部を設けたことの結果として、装填用ピンの最大必要移動距離を実質的な手法で削減することが可能である。装填用ピンは、従来技術の場合のように、接合要素受入れ手段の受入れチャネルの出口開口部を完全に露出させて、装填用ピンの前端部が出口開口部を軸線方向後方に通り越すようにする必要がないので、装填用ピンを、保持装置に面したその前端部が依然として保持装置に近接した状態のままで配置することができる。
横方向給送開口部のため、本発明による装填用ピンは、結果として、受入れチャネルの出口開口部まで及びそれを超えた全軸線方向距離にわたって移動させる必要がない。このことにより、保持装置の軸線方向反対側に位置する領域において接合装置上に具体化し得る抵触輪郭を著しく小さくすることが可能になるので、この接合装置は、アクセスが困難な場所で接合プロセスを行う必要がある用途にも適したものになる。
【0018】
さらに、保持装置は、アクセスが困難な場所、例えばビーディング(beading)の底部での接合ができるように、軸線方向に比較的長く且つ細くなるように具体化することが可能である。
【0019】
軸線方向駆動部は、例えば、空気圧シリンダとすることができるが、電気リニアモータとすることもできる。装填用ピンの第2の軸線方向端部分は、接合要素を保持装置に押し込むため、又は、接合プロセス中にこれを軸線方向に支持するために、接合要素のシャンク部分のシャンク端部に対して軸線方向力を作用させる目的で具体化することができる。これの代案として、特にいわゆる大型フランジスタッドの事例において、装填用ピンが、スタッドを保持装置内のある位置に押し込むため、及び/又は、接合プロセス中にこれを軸線方向に支持するために、スタッドのフランジ部分の上面に軸線方向力を作用させる目的で、その第2の軸線方向端部分を有するように設計することが可能である。
【0020】
接合要素給送開口部は、半径方向開口部であり、これは、案内輪郭を介して、軸線方向に位置合わせされた中空チャネル部分に続くことが好ましい。このことは、接合要素が受入れチャネルから装填用ピンの中に閉チャネル方式で給送されることを可能にするので、接合要素がねじれること、及び、例えば、意図せずに正しくない軸線方向位置合わせで接合されることを防止することができる。
【0021】
したがって、目的は完全に達成される。
【0022】
請求項1の前提部分と共にそれ自体で発明を示す好ましい実施形態によれば、接合要素のための一方向通路が、第2の軸線方向端部分上に具体化され、この一方向通路を通って接合要素の少なくとも一部分が軸線給送方向に出てくることができるが、この一方向通路を通って接合要素の該部分が反対の軸線方向で中空チャネル部分の中に戻ることはできない。
【0023】
一方向通路は、多様な方法で、例えば、アクチュエータによって一方向の通過を可能にするが、他方向の通過を防止する、能動的な一方向通路として形成することができる。
【0024】
一方向通路は、機械的な一方向通路、特に受動的な一方向通路として具体化されることが特に好ましい。
【0025】
本明細書において、一方向通路を構造的に簡単な様式で具体化することが達成される。
【0026】
さらに、一方向通路自体は、軸線方向力を接合要素又は接合要素の一部分に対して伝達することを可能にすることを目的として具体化されることが好ましい。
【0027】
一方向通路は、一般に、接合要素全体が一方向で通過することを許すが、他方向で通過することを許さないようにする目的で具体化することができる。代案において、これは、接合要素の一部分、例えば拡大されたフランジ部分が一方向通路を通過することを許すが、反対方向で通過することを許さないようにする目的で具体化することができる。
【0028】
特に好ましい実施形態によれば、一方向通路は、複数の半径方向弾性ラグによって形成され、該ラグは、接合要素の少なくとも一部分が一方向通路を通過するとき、半径方向に撓み、及び/又は、接合要素の少なくとも一部分が通過した後、半径方向に弾性的に阻止位置に復元される。
【0029】
このような一方向通路のラグは、装填用ピンの長軸に対して同心に、周縁部のまわりに分散配置されることが好ましい。装填用ピンのベース部分から始まり、ラグは、互いに向かって円錐形に先細になるように軸線方向に延びることができ、装填用ピンの軸線方向端部を形成し、これを介して軸線方向力がさらに伝達される。この目的で、ラグの軸線方向自由端に、接合要素のシャンク端部又はフランジ部分のいずれかに対して拡大した支持領域を提供する厚くなった部分又は半径方向突出部を具体化することができる。
【0030】
さらに、ラグは、ラグを介して軸線方向力を伝達できるようにするために、軸線方向に特定の剛性が得られるような湾曲した断面で形成することができる。
【0031】
したがって、ラグは、阻止位置において軸線方向力を伝達することができるように具体化されることが好ましい。
【0032】
さらに、軸線方向中空チャネル部分は、横方向給送開口部の領域内の案内輪郭によって定められる/区切られることが、全般的に好ましい。
【0033】
案内輪郭は、装填用ピンのベース部分によって形成することができ、特に、給送された接合要素を、横方向給送開口部を介した概ね半径方向の給送方向から、軸線方向、すなわち軸線給送方向の方向に案内する目的で具体化される。案内輪郭は、第1の軸線方向端部分に面した中空チャネル部分の端部に具体化されることが好ましい。装填用ピンが接合装置の給送位置に位置しているとき、案内輪郭は、接合要素受入れ手段の受入れチャネルの案内輪郭と位置合わせされることが好ましく、又は接合要素受入れ手段と面一に配置され、そこにこのような装填用ピンを軸線方向に変位可能になるように装着することができる。
【0034】
案内輪郭は、給送された接合要素が給送方向に対してその相対位置を維持すること、すなわち、接合要素受入れ手段から装填用ピンの中空チャネル部分への移行部において、別様にねじれること又は傾くことがないことを保証する。このようにして、給送中の故障の発生を防止することができる。さらに、接合要素が正しくない状態で加工物に接合されることを防止することができる。さらなる利点は、より短いスタッドを扱うことが可能であること、及び/又は、給送プロセス中の空気消費が削減されることである。
【0035】
本発明による接合装置の場合、装填用ピンの最大移動距離は、軸線方向接合要素の最大長さの1.5倍より小さいことが好ましい。
【0036】
軸線方向接合要素最大長さは、接合装置によって接合することができる接合要素の集合の最長軸線方向長さである。例えば、種々の軸線方向長さの接合要素を、このような接合装置によって接合することができる。接合要素最大長さは、このような接合要素の集合のうちの最長の接合要素の長さである。装填用ピンの移動の最大移動距離は、保持装置の軸線方向長さより小さいことが好ましい。
【0037】
導入部で言及したように、横方向給送開口部のため、装填用ピンの第2の端部分を接合要素保持装置に軸線方向で近接した状態で配置することができるので、最大移動距離は、結果として非常に小さくすることができる。
【0038】
最大移動距離はまた、第1の軸線方向端部分に面した接合装置の端部における接合装置の抵触輪郭を定め、結果としてこれを非常に小さく具体化することができる。
【0039】
さらに、複数の半径方向弾性保持舌部を備えた接合要素保持装置を接合要素受入れ手段に装着することが、全般的に有利である。
【0040】
保持装置の保持舌部は、装填用ピンの一方向通路を通って案内された接合要素の部分が原則として該保持装置によって停止されるような様式で、実質的に円錐形に先細になるように一般に具体化することができる。
【0041】
保持舌部の半径方向弾性は、一方向通路のラグの半径方向弾性より明らかに小さいことが好ましい。弾性のレベルは、この事例では、ある特定の運動エネルギーで給送された接合要素の少なくとも一部分が一方向通路を通過し、一方向通路のラグが半径方向弾性様式で拡げられ、その後で再びばねで阻止位置に戻るように適合されることが好ましい。さらに、弾性のレベルは、接合要素の所定の運動エネルギーにおいて接合要素の前記部分は保持装置を全く通過することができないが、好ましくは該保持装置によって停止されるように、互いに適合される。
【0042】
スタッド溶接時、溶接電流は、好ましくは、半径方向弾性保持舌部によって伝達される。
【0043】
さらに、複数の半径方向弾性保持舌部は、それぞれ、3つの軸線方向部分を含むことができる。第1の軸線方向部分は、この事例では、接合要素受入れ手段に隣接することが好ましく、接合要素の最大外径より大きい内径を備える。第2の軸線方向部分は、保持舌部の自由端に配置され、この第2の軸線方向領域内で保持舌部がそれらの間に配置されたシャンク又は組立体に対して大きい距離及び大きい表面にわたって当接するように、実質的に軸線方向様式で位置合わせされ、このようにして電気接触抵抗を低減させるようになっている。第3の軸線方向部分は、第1の軸線方向部分と第2の軸線方向部分との間に位置することができ、実質的に円錐状で具体化され、例えば、スタッドのフランジ部分が、保持舌部に対する相対軸線方向運動の場合に保持舌部を半径方向に拡げることを可能にして、その結果、該フランジ部分は、第2の軸線方向部分がスタッドのシャンクに当接するまで通過することができるようになるような、円錐勾配を有することが好ましい。
【0044】
これに対する代案として、複数の半径方向弾性保持舌部は、その開示内容が引用により本事例に含められる特許文献3に記載されているようなクランプ舌部と同様の様式で具体化することもできる。
【0045】
装填用ピンの一方向通路及び接合要素保持装置は、接合要素が、中空チャネル部分を完全に通過し且つ一方向通路を通過するように搬送可能であるとともに、保持舌部によって中間位置において停止可能であるように、互いに対して配置されることが特に有利である。
【0046】
この展開の場合、一方向通路のラグは、好ましくはすばやく阻止位置に戻り、次いでその位置で接合要素のシャンクの端部に軸線方向力を作用させることができる。
【0047】
この場合、接合要素保持装置は、接合要素を、保持舌部が接合要素に対して半径方向に直接当接した結果として接合位置で保持する目的で具体化されることが、さらに有利である。
【0048】
この実施形態は、既に上で説明した。このとき、直接の半径方向の当接は、上述の保持舌部の第2の軸線方向部分によって好ましい様式で具体化される。
【0049】
代替的な展開において、装填用ピンの一方向通路及び接合要素保持装置は、接合要素のフランジ部分が中空チャネル部分を通過し且つ一方向通路を通過するように搬送可能であるとともに、保持舌部によって中間位置において停止可能であるように、互いに対して配置される。
【0050】
この展開の場合、中間位置において、接合要素のシャンクは、依然として半径方向で一方向通路のラグ同士の間に位置していることが好ましい。
【0051】
阻止位置は、この場合、一方向通路のラグが再び阻止位置にすばやく戻った結果として設定され、次にその位置で、ラグはフランジ部分の上面に対して軸線方向力を作用させることができる。
【0052】
この展開の場合、接合要素保持装置は、接合要素を、保持舌部を装填用ピンの一方向通路のラグに半径方向外側から押し付けることによって接合位置で保持する目的で具体化されることが、さらに有利である。
【0053】
この展開の場合、装填用ピンを該装填用ピンの給送位置から接合位置に前進させることで、一方向通路のラグが、接合要素のフランジ部分を軸線方向に押し、該フランジ部分を保持装置の保持舌部を通して押し出す結果をもたらすことができることが好ましい。さらに、保持装置の保持舌部は、次いで一方向通路のラグに対して半径方向外方に当接する。
【0054】
例えば、溶接電流は、この場合、保持舌部及びラグを介して接合要素に伝達することができる。
【0055】
関節スリーブは、相対運動が存在する場合に、十分な半径方向クランプ力が一方向通路のラグに対して作用することができるようにするためのものであり、これをラグと保持舌部との間の半径方向領域に付加的に配置することができる。
【0056】
さらに、装填用ピンは、既に上述したように、複数の半径方向弾性ラグを有する一方向ラグを備えることが、全般的に有利である。
【0057】
装填用ピン案内部分は、少なくとも部分的に案内断面を有し、装填用ピンは、前記案内断面に適合した装填用ピン断面を少なくとも部分的に有することもまた、全般的に有利である。
【0058】
案内断面及び装填用ピン断面は、円形形態とすることができる。しかしながら、多くの場合、この断面は、円形形態から逸脱すること、例えば、多角形断面形態であることが好ましい。この場合、横方向給送開口部を周縁方向で受入れチャネルの出口開口部と位置合わせすることを、簡単な方法で実現することができる。
【0059】
さらに、この場合、接合要素受入れ手段から装填用ピンにトルクを伝達することが可能であり、逆もまた同様である。
【0060】
装填用ピンの最大移動距離は、接合要素受入れ手段のサイズに依存しないことが好ましく、接合要素保持装置の長さ、特に半径方向弾性保持舌部の長さに依存しないことが好ましい。
【0061】
装填用ピンの最大移動距離は、上述の、接合要素保持装置の保持舌部の第2の部分の長さ及び第3の部分の長さの関数である。好ましくは、装填用ピンの最大移動距離は、接合要素の長さにも依存しないが、軸線方向の接合要素の最大長さより小さいことが好ましい。
【0062】
シャンク直径に対するフランジ直径の比が比較的小さい接合要素の場合、好ましい実施形態は、接合要素全体が一方向通路を通過し、次いで一方向通路の軸線方向端部と保持舌部との間を通って中間位置に到達するものである。シャンク直径に対するフランジ直径の比が比較的大きい、いわゆる大型フランジスタッドの場合、好ましい変形形態は、好ましくは、一方向通路のラグが閉じて阻止位置になり、その後、その位置でラグがフランジ部分の上面に軸線方向力を伝達できるものである。
【0063】
全般的に見て、上記実施形態の事例において、適用可能な場合、以下の利点の少なくとも1つが生じる。駆動ユニット、特に軸線方向駆動部のサイズは、接合要素受入れ手段のサイズに依存しない。このような駆動ユニットのサイズは、好ましくは、接合要素保持装置の長さに依存しない。具体的には、例えば、ビーディング、インデンテーション、アンダーカット等における溶接位置用に、特別に長い接合要素保持装置が実現可能である。
【0064】
上向き接合(overhead joining)の場合、例えば接合要素の給送用の動力の障害の後、例えば噴射空気の障害の場合には、接合要素を発射チャネル若しくは給送チャネルの中に戻すこと又は受入れチャネルの中に戻すことはもはや不可能になる。
【0065】
上で明記した特徴及びこれから後述する特徴は、それぞれの場合に与えられた組合せのみならず、本発明の枠組から逸脱することなく、他の組合せで又はそれ自体で有用であることは明らかである。
【0066】
本発明の例示的な実施形態は、以下の説明においてより詳細に説明されかつ図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】接合位置における、本発明による装填用ピンを有する接合装置の第1の実施形態の長手方向略断面図を示す。
図2】接合要素が中間位置に位置する、給送位置における図1の接合装置を示す。
図3】aは接合要素が中間位置に位置する、給送位置における接合装置の、さらなる実施形態の、図2に相当する略図を示す。bは接合要素が接合位置に位置する、接合位置におけるaの接合装置を示す。
図4図3の接合装置の装填用ピンの側面図を示す。
図5図4の装填用ピンを90°回転させた側面図を示す。
図5a図5の線VIa−VIaに沿った略断面図を示す。
図5b図5の線VIb−VIbに沿った略断面図を示す。
図6図3の接合装置の関節スリーブの側面図を示す。
図7図6の関節スリーブのさらに別の側面図を示す。
図8図6及び図7の関節スリーブの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、一般に符号10で示される接合システムの略図を示す。例として、接合システム10は、ロボット12を含み、これは、三次元的に自在に可動なアーム14上に、接合装置を形成する接合装置接合ヘッド16を支持する。
【0069】
接合システム10は、給送装置18をさらに含み、これは、本事例の場合はシャンク部分とフランジ部分とを有するスタッドとして具体化することができる個々に分離された接合要素20を、自動化方式で給送管22によって接合ヘッド16に給送する目的で具体化される。給送は、例えば、噴射空気によって行うことができる。
【0070】
接合ヘッド16は、接合要素受入れ部28を含む。受入れ開口部30は、給送管22を接続することができ、これを介して、接合要素を好ましくはフランジ部分を前方にして給送することができるものであり、これは、接合要素受入れ部28上に具体化され、この接合要素受入れ部は、接合ヘッド16に対してハウジングに固定されるように具体化されることが好ましい。
【0071】
受入れ開口部30は、接合要素受入れ部の湾曲した受入れチャネル32に続く。受入れチャネル32は、装填用ピン案内部分34へ開く出口開口部33で終端する。装填用ピン36は、接合要素受入れ部28に対して軸線方向に変位可能になるように、装填用ピン案内部分34に装着される。
【0072】
装填用ピンは、軸線方向中空チャネル部分38を含み、その中に接合要素が軸線給送方向39で給送される。
【0073】
接合ヘッド16は、接合要素保持装置40をさらに含み、これは、例えば締結ナット44の形態の締結装置42によって、接合要素受入れ部28に固定される。
【0074】
本事例の場合、保持装置40は、周縁部のまわりに分散配置された複数の保持舌部46を含み、該保持舌部は、接合要素受入れ部28に面した、給送される接合要素20の最大外径より大きい内径を備えた第1の部分を含む。
【0075】
一方の自由端において、保持舌部46は、それぞれ第2の軸線方向部分を含み、そこでは保持舌部が実質的に直線状に位置合わせされ、これは、弛緩位置、すなわち半径方向に撓んでいない位置において、接合要素20のシャンク部分の外径より小さい内径を定める。保持舌部の第3の軸線方向部分が中間に配置され、これは実質的に円錐状に具体化され、後で再び説明するように停止部分として具体化される。
【0076】
説明したように、接合要素20は、シャンク部分48と、より大きい直径のフランジ部分50とを備える。
【0077】
図1に示す接合位置において、このような接合要素20は、接合要素接合位置20Fにおいて示されており、そこでは、シャンク部分48は、シャンク部分48を半径方向に押し付ける保持舌部46の第2の軸線方向部分によって取り囲まれる。フランジ部分50及びシャンク部分の一部は、保持装置40の半径方向端部に対して突出することができる。
【0078】
溶接電流52は、保持装置40によって伝達することができ、次いで保持舌部を介してシャンク部分48上に伝達可能である。結果として、それ自体が公知の方式で、このような接合要素をいわゆるスタッド溶接中に加工物54(例えば、金属板)の上面に接合することができ、該加工物は、好ましくは、反対極、例えば溶接電流のための接地を形成し、接合要素20と加工物54との間のスタッド溶接のための電気アークが発生されるようになっている。
【0079】
図1ではさらに、軸線給送方向39と同じ方向に向けられた軸線方向力56を装填用ピン36に対して作用させることができることがわかる。
【0080】
この目的で、例えば、装填用ピン36の第1の軸線方向端部分60を軸線方向駆動部62に接続することができ、これによって、装填用ピン36は、図1に示される接合位置FPと、図2に示される給送位置SPとの間で、接合要素受入れ部28に対して軸線方向に可動である。
【0081】
機械的一方向通路66が設けられた第2の軸線方向端部分64は、装填用ピン36の、第1の軸線方向端部分60の反対側に位置する軸線方向端部上に具体化される。一方向通路66は、複数のラグ68によって形成され、これは、周縁部のまわりに分散配置され、中空チャネル部分38に接続し、そこから始まって給送方向に円錐状に先細になる。その自由端に、ラグ68は、それぞれ半径方向突起70又は厚くなった部分を備えることができ、その結果、図1に示されるように、ラグ68は、シャンク部分48のシャンク端部に当接可能であり、装填用ピン36にかけられた軸線方向力が接合要素20上に伝達されることができるようになっている。
【0082】
装填用ピン36は、横方向接合要素給送開口部76を備える。横方向接合要素給送開口部76は、第1の軸線方向端部分60と第2の軸線方向端部分64との間で軸線方向に具体化され、図2に示された給送位置SPにおいて、受入れチャネル32の出口開口部33と位置合わせされる。
【0083】
この領域において、装填用ピン36は、案内輪郭78を備え、これは、装填用ピン36が給送位置SPに位置しているときに受入れチャネル32の案内輪郭と位置合わせされる。
【0084】
案内輪郭78は、結果として受入れチャネル32の続きを形成し、接合要素が受入れ手段28と装填用ピン36との間の移行部において回転すること又は傾くことができないように、受入れチャネル32と中空チャネル部分38との間に一種の閉チャネルをもたらす。
【0085】
受入れチャネル32及び案内輪郭78は、接合要素を位置合わせするために一緒になって湾曲した輪郭を形成し、接合要素は、横方向接合要素給送開口部76によって実質的に半径方向で装填用ピンの中へ給送され、最終的には軸線方向状態になり、中空チャネル部分38内で軸線方向給送方向39に案内されるようになっている。
【0086】
給送プロセス中、接合要素は、例えば噴射空気によって、ある特定の運動エネルギーで給送される。給送プロセス中、接合要素は、その運動エネルギーのため、図2において符号80で示されるようにラグ68を半径方向外向きに押すので、接合要素は、一方向通路66を完全に通過し、保持装置40の保持舌部46によって中間位置20Zにおいて制動されるようになっており、この中間位置において、接合要素は、一方向通路66と保持舌部46の自由端との間の軸線方向に位置する。
【0087】
中間位置領域は、図2において、符号82によって示される。
【0088】
装填用ピン36は、次いで、給送位置SPから接合位置FPに案内され、ここで、装填用ピンは、接合要素を図1に示す位置に達するまで保持舌部46を通して押し出すために、一方向通路66を用いて軸線方向力56を接合要素20に対して作用させる。この場合、保持装置40の保持舌部46は、図2において符号84で示される半径方向運動もまた行う。
【0089】
図1及び図2はまた、装填用ピン36の最大移動距離86も示す。この移動距離86は、接合要素の最大長さ88の1.5倍より小さくすることができることがわかる。
【0090】
移動距離86が小さいため、第1の軸線方向端部分60の領域において非常に小さい抵触輪郭しか生じないので、接合が困難な状況においても接合ヘッド16を用いることが可能である。
【0091】
さらに、保持装置40は、また図2に示されるように、軸線方向に長くなるように具体化することができるので、接合ヘッド16は、アクセスしにくい場所、例えばビーディングの底部での接合のために用いることもできる。
【0092】
図2は、符号90で示される絶縁スリーブの略図を示し、これは、溶接電流52がさらに一方向通路66を介して接合要素上に伝達されることを避けるために、装填用ピン36を保持装置40に対して電気的に絶縁することができる。
【0093】
図3は、装填用ピン36’を含む接合ヘッド16’を有する接合システム10’のさらなる実施形態を示す。図3の実施形態は、設計及び動作の方法に関して、概ね図1及び図2の実施形態に対応する。したがって、同一の要素は、同一の符号で示される。実質的に、違いを以下で説明する。
【0094】
本事例における違いは、実質的に保持装置40’の領域にある。保持装置40’は、シャンク部分48’に対するフランジ部分50’の比率が非常に大きい、特にいわゆる大型フランジスタッドの形態の接合要素もこのような方法で接合できるようにするために、保持舌部46’を比較的遠くに拡げることができるようにする目的で具体化される。
【0095】
この場合、一方向通路66’は、まず、給送される接合要素が該一方向通路66’を完全に通過するように給送されるのではなく、そのフランジ部分50’だけが通過し、その後でこのフランジ部分が、図3のaに示される中間位置20Z’において、保持舌部46’によって停止されるように、構成される。
【0096】
一方向通路66のラグ68’は、適用される場合、フランジ部分50’の上面に当たる。軸線方向運動(軸線方向力56)が実行されると、このラグは、結果としてフランジ部分を押し付け、これをフランジ部分50’が保持装置40から突出するまで保持舌部46’を通して押す。
【0097】
保持舌部46’は、この事例では、ラグ68’に対して半径方向外方に当接する。
【0098】
関節スリーブ96は、装填用ピン36’と保持装置40’との間の相対運動中であっても、クランプ力98が半径方向に作用して、溶接電流が少量の接触抵抗しか受けないことを保証することができるようにするものであり、十分な半径方向クランプ力を得るために保持装置40’の領域内に配置される。
【0099】
図4及び図5は、図3の接合装置16’の装填用ピン36’を示す。横方向接合要素給送開口部76’、並びに図4及び図5において符号68a’及び68b’が付されたラグを見ることができる。
【0100】
装填用ピン36’のラグ68’は、この場合には、図1及び図2の実施形態の場合のように一定の円錐状に構成されるのではなく、シャンク部分48’に対する大きい表面当接を可能にするために、円錐状に構成された第1の軸線方向部分l1と、直線状に構成された第2の軸線方向部分l2とを含む。
【0101】
図5aは、本事例の場合には多角形状で具体化された装填用ピン断面100の形態の、装填用ピン36’の断面を示す。したがって、装填用ピン案内部分34の対応した多角形断面が、接合要素受入れ手段28と装填用ピン36との間の回転防止の仕組みを提供することが可能であり、それらの間のトルクを吸収することも可能であることを保証することができる。
【0102】
図5bは、ラグ68a’、68b’、68c’を、軸線方向力を良好に伝達することができるようにするため且つシャンク部分48’に対する大きい表面当接を可能にするために、それぞれ湾曲した断面で具体化することができることをさらに示す。
【0103】
図6から図8までは、図3の保持装置40’の関節スリーブ96を示す。関節スリーブは、複数の、半径方向に可動の実質的に細長い部材を含み、これらは周縁部のまわりに分散配置され、弾性手段によって、例えばOリングシールによって一緒に保持されることがわかる。
【0104】
部材は、装填用ピン36’と保持舌部46’との間に相対運動が存在する場合に、該部材が半径方向のクランプ力98をラグ68に対して作用させて、ラグがシャンク部分48’に対してしっかりと且つ十分な力で当接することができるように、それぞれ構成される。
【符号の説明】
【0105】
10、10’:接合システム
12:ロボット
14:アーム
16、16’:接合ヘッド
18:給送装置
20:接合要素
22:給送管
28:接合要素受入れ部
30:受入れ開口部
32:受入れチャネル
33、33’:出口開口部
34:装填用ピン案内部分
36、36’:装填用ピン
38:軸線方向中空チャネル部分
39:軸線給送方向
40、40’:接合要素保持装置
44、44’:締結ナット
46、46’:保持舌部
48、48’:シャンク部分
50、50’:フランジ部分
52:溶接電流
56:軸線方向力
60:第1の軸線方向端部分
62:軸線方向駆動部
64:第2の軸線方向端部分
66:一方向通路
68、68’、68a’、68b’、68c’:ラグ
70:突起
76、76’:横方向接合要素給送開口部
78:案内輪郭
82:中間位置領域
84:半径方向運動
86:最大移動距離
88:最大長さ
90:絶縁スリーブ
96:関節スリーブ
98:クランプ力
100:装填用ピン断面
SP、SP’:給送位置
FP、FP’:接合位置
20Z、20Z’:中間位置
20F、20F’:接合位置
l1:第1の軸線方向部分
l2:第2の軸線方向部分
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図5b
図6
図7
図8