【課題を解決するための手段】
【0014】
上の目的は、導入部で明示した装填用ピンの例において、該装填用ピンが、横方向接合要素給送開口部を備え、これを介して、接合要素を中空チャネル部分の中に給送することができる構成にすることによって達成される。
【0015】
さらに、上記目的は、上記で明示した型式の接合装置によって、装填用ピンが本発明による装填用ピンである場合に達成される。
【0016】
最後に、上記目的は、接合要素を本発明による型式の接合装置の中に給送するための方法によって達成され、この方法は、接合要素を、接合要素受入れ部の受入れチャネルの中に給送し、そこから半径方向に横方向接合要素給送開口部を介して装填用ピンの中に給送して、接合要素が装填用ピンの中空チャネル部分の中に入るようにするステップを有する。
【0017】
本発明による方策、すなわち、それ自体が中空チャネルを有する装填用ピンを具体化し、接合要素受入れ手段上で軸線方向に変位可能な該装填用ピンに横方向給送開口部を設けたことの結果として、装填用ピンの最大必要移動距離を実質的な手法で削減することが可能である。装填用ピンは、従来技術の場合のように、接合要素受入れ手段の受入れチャネルの出口開口部を完全に露出させて、装填用ピンの前端部が出口開口部を軸線方向後方に通り越すようにする必要がないので、装填用ピンを、保持装置に面したその前端部が依然として保持装置に近接した状態のままで配置することができる。
横方向給送開口部のため、本発明による装填用ピンは、結果として、受入れチャネルの出口開口部まで及びそれを超えた全軸線方向距離にわたって移動させる必要がない。このことにより、保持装置の軸線方向反対側に位置する領域において接合装置上に具体化し得る抵触輪郭を著しく小さくすることが可能になるので、この接合装置は、アクセスが困難な場所で接合プロセスを行う必要がある用途にも適したものになる。
【0018】
さらに、保持装置は、アクセスが困難な場所、例えばビーディング(beading)の底部での接合ができるように、軸線方向に比較的長く且つ細くなるように具体化することが可能である。
【0019】
軸線方向駆動部は、例えば、空気圧シリンダとすることができるが、電気リニアモータとすることもできる。装填用ピンの第2の軸線方向端部分は、接合要素を保持装置に押し込むため、又は、接合プロセス中にこれを軸線方向に支持するために、接合要素のシャンク部分のシャンク端部に対して軸線方向力を作用させる目的で具体化することができる。これの代案として、特にいわゆる大型フランジスタッドの事例において、装填用ピンが、スタッドを保持装置内のある位置に押し込むため、及び/又は、接合プロセス中にこれを軸線方向に支持するために、スタッドのフランジ部分の上面に軸線方向力を作用させる目的で、その第2の軸線方向端部分を有するように設計することが可能である。
【0020】
接合要素給送開口部は、半径方向開口部であり、これは、案内輪郭を介して、軸線方向に位置合わせされた中空チャネル部分に続くことが好ましい。このことは、接合要素が受入れチャネルから装填用ピンの中に閉チャネル方式で給送されることを可能にするので、接合要素がねじれること、及び、例えば、意図せずに正しくない軸線方向位置合わせで接合されることを防止することができる。
【0021】
したがって、目的は完全に達成される。
【0022】
請求項1の前提部分と共にそれ自体で発明を示す好ましい実施形態によれば、接合要素のための一方向通路が、第2の軸線方向端部分上に具体化され、この一方向通路を通って接合要素の少なくとも一部分が軸線給送方向に出てくることができるが、この一方向通路を通って接合要素の該部分が反対の軸線方向で中空チャネル部分の中に戻ることはできない。
【0023】
一方向通路は、多様な方法で、例えば、アクチュエータによって一方向の通過を可能にするが、他方向の通過を防止する、能動的な一方向通路として形成することができる。
【0024】
一方向通路は、機械的な一方向通路、特に受動的な一方向通路として具体化されることが特に好ましい。
【0025】
本明細書において、一方向通路を構造的に簡単な様式で具体化することが達成される。
【0026】
さらに、一方向通路自体は、軸線方向力を接合要素又は接合要素の一部分に対して伝達することを可能にすることを目的として具体化されることが好ましい。
【0027】
一方向通路は、一般に、接合要素全体が一方向で通過することを許すが、他方向で通過することを許さないようにする目的で具体化することができる。代案において、これは、接合要素の一部分、例えば拡大されたフランジ部分が一方向通路を通過することを許すが、反対方向で通過することを許さないようにする目的で具体化することができる。
【0028】
特に好ましい実施形態によれば、一方向通路は、複数の半径方向弾性ラグによって形成され、該ラグは、接合要素の少なくとも一部分が一方向通路を通過するとき、半径方向に撓み、及び/又は、接合要素の少なくとも一部分が通過した後、半径方向に弾性的に阻止位置に復元される。
【0029】
このような一方向通路のラグは、装填用ピンの長軸に対して同心に、周縁部のまわりに分散配置されることが好ましい。装填用ピンのベース部分から始まり、ラグは、互いに向かって円錐形に先細になるように軸線方向に延びることができ、装填用ピンの軸線方向端部を形成し、これを介して軸線方向力がさらに伝達される。この目的で、ラグの軸線方向自由端に、接合要素のシャンク端部又はフランジ部分のいずれかに対して拡大した支持領域を提供する厚くなった部分又は半径方向突出部を具体化することができる。
【0030】
さらに、ラグは、ラグを介して軸線方向力を伝達できるようにするために、軸線方向に特定の剛性が得られるような湾曲した断面で形成することができる。
【0031】
したがって、ラグは、阻止位置において軸線方向力を伝達することができるように具体化されることが好ましい。
【0032】
さらに、軸線方向中空チャネル部分は、横方向給送開口部の領域内の案内輪郭によって定められる/区切られることが、全般的に好ましい。
【0033】
案内輪郭は、装填用ピンのベース部分によって形成することができ、特に、給送された接合要素を、横方向給送開口部を介した概ね半径方向の給送方向から、軸線方向、すなわち軸線給送方向の方向に案内する目的で具体化される。案内輪郭は、第1の軸線方向端部分に面した中空チャネル部分の端部に具体化されることが好ましい。装填用ピンが接合装置の給送位置に位置しているとき、案内輪郭は、接合要素受入れ手段の受入れチャネルの案内輪郭と位置合わせされることが好ましく、又は接合要素受入れ手段と面一に配置され、そこにこのような装填用ピンを軸線方向に変位可能になるように装着することができる。
【0034】
案内輪郭は、給送された接合要素が給送方向に対してその相対位置を維持すること、すなわち、接合要素受入れ手段から装填用ピンの中空チャネル部分への移行部において、別様にねじれること又は傾くことがないことを保証する。このようにして、給送中の故障の発生を防止することができる。さらに、接合要素が正しくない状態で加工物に接合されることを防止することができる。さらなる利点は、より短いスタッドを扱うことが可能であること、及び/又は、給送プロセス中の空気消費が削減されることである。
【0035】
本発明による接合装置の場合、装填用ピンの最大移動距離は、軸線方向接合要素の最大長さの1.5倍より小さいことが好ましい。
【0036】
軸線方向接合要素最大長さは、接合装置によって接合することができる接合要素の集合の最長軸線方向長さである。例えば、種々の軸線方向長さの接合要素を、このような接合装置によって接合することができる。接合要素最大長さは、このような接合要素の集合のうちの最長の接合要素の長さである。装填用ピンの移動の最大移動距離は、保持装置の軸線方向長さより小さいことが好ましい。
【0037】
導入部で言及したように、横方向給送開口部のため、装填用ピンの第2の端部分を接合要素保持装置に軸線方向で近接した状態で配置することができるので、最大移動距離は、結果として非常に小さくすることができる。
【0038】
最大移動距離はまた、第1の軸線方向端部分に面した接合装置の端部における接合装置の抵触輪郭を定め、結果としてこれを非常に小さく具体化することができる。
【0039】
さらに、複数の半径方向弾性保持舌部を備えた接合要素保持装置を接合要素受入れ手段に装着することが、全般的に有利である。
【0040】
保持装置の保持舌部は、装填用ピンの一方向通路を通って案内された接合要素の部分が原則として該保持装置によって停止されるような様式で、実質的に円錐形に先細になるように一般に具体化することができる。
【0041】
保持舌部の半径方向弾性は、一方向通路のラグの半径方向弾性より明らかに小さいことが好ましい。弾性のレベルは、この事例では、ある特定の運動エネルギーで給送された接合要素の少なくとも一部分が一方向通路を通過し、一方向通路のラグが半径方向弾性様式で拡げられ、その後で再びばねで阻止位置に戻るように適合されることが好ましい。さらに、弾性のレベルは、接合要素の所定の運動エネルギーにおいて接合要素の前記部分は保持装置を全く通過することができないが、好ましくは該保持装置によって停止されるように、互いに適合される。
【0042】
スタッド溶接時、溶接電流は、好ましくは、半径方向弾性保持舌部によって伝達される。
【0043】
さらに、複数の半径方向弾性保持舌部は、それぞれ、3つの軸線方向部分を含むことができる。第1の軸線方向部分は、この事例では、接合要素受入れ手段に隣接することが好ましく、接合要素の最大外径より大きい内径を備える。第2の軸線方向部分は、保持舌部の自由端に配置され、この第2の軸線方向領域内で保持舌部がそれらの間に配置されたシャンク又は組立体に対して大きい距離及び大きい表面にわたって当接するように、実質的に軸線方向様式で位置合わせされ、このようにして電気接触抵抗を低減させるようになっている。第3の軸線方向部分は、第1の軸線方向部分と第2の軸線方向部分との間に位置することができ、実質的に円錐状で具体化され、例えば、スタッドのフランジ部分が、保持舌部に対する相対軸線方向運動の場合に保持舌部を半径方向に拡げることを可能にして、その結果、該フランジ部分は、第2の軸線方向部分がスタッドのシャンクに当接するまで通過することができるようになるような、円錐勾配を有することが好ましい。
【0044】
これに対する代案として、複数の半径方向弾性保持舌部は、その開示内容が引用により本事例に含められる特許文献3に記載されているようなクランプ舌部と同様の様式で具体化することもできる。
【0045】
装填用ピンの一方向通路及び接合要素保持装置は、接合要素が、中空チャネル部分を完全に通過し且つ一方向通路を通過するように搬送可能であるとともに、保持舌部によって中間位置において停止可能であるように、互いに対して配置されることが特に有利である。
【0046】
この展開の場合、一方向通路のラグは、好ましくはすばやく阻止位置に戻り、次いでその位置で接合要素のシャンクの端部に軸線方向力を作用させることができる。
【0047】
この場合、接合要素保持装置は、接合要素を、保持舌部が接合要素に対して半径方向に直接当接した結果として接合位置で保持する目的で具体化されることが、さらに有利である。
【0048】
この実施形態は、既に上で説明した。このとき、直接の半径方向の当接は、上述の保持舌部の第2の軸線方向部分によって好ましい様式で具体化される。
【0049】
代替的な展開において、装填用ピンの一方向通路及び接合要素保持装置は、接合要素のフランジ部分が中空チャネル部分を通過し且つ一方向通路を通過するように搬送可能であるとともに、保持舌部によって中間位置において停止可能であるように、互いに対して配置される。
【0050】
この展開の場合、中間位置において、接合要素のシャンクは、依然として半径方向で一方向通路のラグ同士の間に位置していることが好ましい。
【0051】
阻止位置は、この場合、一方向通路のラグが再び阻止位置にすばやく戻った結果として設定され、次にその位置で、ラグはフランジ部分の上面に対して軸線方向力を作用させることができる。
【0052】
この展開の場合、接合要素保持装置は、接合要素を、保持舌部を装填用ピンの一方向通路のラグに半径方向外側から押し付けることによって接合位置で保持する目的で具体化されることが、さらに有利である。
【0053】
この展開の場合、装填用ピンを該装填用ピンの給送位置から接合位置に前進させることで、一方向通路のラグが、接合要素のフランジ部分を軸線方向に押し、該フランジ部分を保持装置の保持舌部を通して押し出す結果をもたらすことができることが好ましい。さらに、保持装置の保持舌部は、次いで一方向通路のラグに対して半径方向外方に当接する。
【0054】
例えば、溶接電流は、この場合、保持舌部及びラグを介して接合要素に伝達することができる。
【0055】
関節スリーブは、相対運動が存在する場合に、十分な半径方向クランプ力が一方向通路のラグに対して作用することができるようにするためのものであり、これをラグと保持舌部との間の半径方向領域に付加的に配置することができる。
【0056】
さらに、装填用ピンは、既に上述したように、複数の半径方向弾性ラグを有する一方向ラグを備えることが、全般的に有利である。
【0057】
装填用ピン案内部分は、少なくとも部分的に案内断面を有し、装填用ピンは、前記案内断面に適合した装填用ピン断面を少なくとも部分的に有することもまた、全般的に有利である。
【0058】
案内断面及び装填用ピン断面は、円形形態とすることができる。しかしながら、多くの場合、この断面は、円形形態から逸脱すること、例えば、多角形断面形態であることが好ましい。この場合、横方向給送開口部を周縁方向で受入れチャネルの出口開口部と位置合わせすることを、簡単な方法で実現することができる。
【0059】
さらに、この場合、接合要素受入れ手段から装填用ピンにトルクを伝達することが可能であり、逆もまた同様である。
【0060】
装填用ピンの最大移動距離は、接合要素受入れ手段のサイズに依存しないことが好ましく、接合要素保持装置の長さ、特に半径方向弾性保持舌部の長さに依存しないことが好ましい。
【0061】
装填用ピンの最大移動距離は、上述の、接合要素保持装置の保持舌部の第2の部分の長さ及び第3の部分の長さの関数である。好ましくは、装填用ピンの最大移動距離は、接合要素の長さにも依存しないが、軸線方向の接合要素の最大長さより小さいことが好ましい。
【0062】
シャンク直径に対するフランジ直径の比が比較的小さい接合要素の場合、好ましい実施形態は、接合要素全体が一方向通路を通過し、次いで一方向通路の軸線方向端部と保持舌部との間を通って中間位置に到達するものである。シャンク直径に対するフランジ直径の比が比較的大きい、いわゆる大型フランジスタッドの場合、好ましい変形形態は、好ましくは、一方向通路のラグが閉じて阻止位置になり、その後、その位置でラグがフランジ部分の上面に軸線方向力を伝達できるものである。
【0063】
全般的に見て、上記実施形態の事例において、適用可能な場合、以下の利点の少なくとも1つが生じる。駆動ユニット、特に軸線方向駆動部のサイズは、接合要素受入れ手段のサイズに依存しない。このような駆動ユニットのサイズは、好ましくは、接合要素保持装置の長さに依存しない。具体的には、例えば、ビーディング、インデンテーション、アンダーカット等における溶接位置用に、特別に長い接合要素保持装置が実現可能である。
【0064】
上向き接合(overhead joining)の場合、例えば接合要素の給送用の動力の障害の後、例えば噴射空気の障害の場合には、接合要素を発射チャネル若しくは給送チャネルの中に戻すこと又は受入れチャネルの中に戻すことはもはや不可能になる。
【0065】
上で明記した特徴及びこれから後述する特徴は、それぞれの場合に与えられた組合せのみならず、本発明の枠組から逸脱することなく、他の組合せで又はそれ自体で有用であることは明らかである。
【0066】
本発明の例示的な実施形態は、以下の説明においてより詳細に説明されかつ図面に示される。