特許第6879851号(P6879851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879851
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20210524BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20210524BHJP
   B65G 25/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B23P19/00 301B
   B65G47/14 A
   B65G25/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-140210(P2017-140210)
(22)【出願日】2017年7月19日
(65)【公開番号】特開2019-18299(P2019-18299A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 崇文
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−068968(JP,U)
【文献】 実開平03−073514(JP,U)
【文献】 米国特許第05857587(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00−21/00
B65G 47/00−47/20
B65G 25/00
B65G 65/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部を有する部品を整列して供給する部品供給装置であって、
前記部品を収容する収容部と、
前記部品を整列する整列部と、
前記部品を保持すると共に前記整列部に向かって傾斜する保持面を上部に有し、前記保持面が前記収容部から前記部品を受け入れる下降位置と前記保持面が前記部品を持ち上げて前記整列部へ移す上昇位置との間で昇降が可能な昇降部と、
前記整列部を挟んで前記昇降部とは反対側に配置されるガイド部と、
を備え、
前記部品は、ボルトであり、
前記保持面は、傾斜方向と直交する方向に沿って凹曲面が連続するように波状に形成されると共に、前記ボルトの頭部直径に対する波のピッチの比が130%〜240%となるように形成されている、
部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品供給装置について開示する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボルトを整列して供給する部品供給装置が知られている。例えば、特許文献1には、軸部を有するボルトを収容する収容室と、昇降可能に設けられ複数個の部品を持ち上げる昇降部と、昇降部が持ち上げた部品を1個だけ搬出する搬出部と、搬出された部品を整列させる整列部(レール)と、を備える部品供給装置が開示されている。昇降部は、複数個の部品をそれぞれの軸部が同じ方向を向くように揃えて保持する保持面を上部に備え、保持面が収容室の底面に沿って流下する部品を受け入れる下降位置と、複数個の部品を持ち上げる上昇位置との間で昇降可能とされる。搬出部は、昇降部の昇降動作と連動して、昇降部が持ち上げた部品を1個だけ、保持面から軸部の延在方向に直交する方向に移動させて整列部に搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−44255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の部品供給装置では、部品を1個ずつしか整列部に搬出することができないため、多数の部品を供給するのに効率が悪い。また、上記部品供給装置では、収容室に収容されるボルトの姿勢は様々であり、保持面でボルトを受け入れて持ち上げる際、ボルトが立ち姿勢となる場合がある。この場合、ボルトが搬出部や整列部への乗り移る際にスタックすることが考えられる。
【0005】
本開示の部品供給装置は、昇降部の保持面で軸部を有する部品を持ち上げて整列部へ移し、部品を整列して供給するものにおいて、部品を効率良く搬送すると共に、整列部への乗り移りの際に部品がスタックするのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の部品供給装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の部品供給装置は、軸部を有する部品を整列して供給する部品供給装置であって、前記部品を収容する収容部と、前記部品を整列する整列部と、前記部品を保持すると共に前記整列部に向かって傾斜する保持面を上部に有し、前記保持面が前記収容部から前記部品を受け入れる下降位置と前記保持面が前記部品を持ち上げて前記整列部へ移す上昇位置との間で昇降が可能な昇降部と、前記整列部を挟んで前記昇降部とは反対側に配置されるガイド部と、を備え、前記保持面は、傾斜方向と直交する方向に沿って波状に形成されていることを要旨とする。
【0008】
この本開示の部品供給装置では、軸部を有する部品を収容する収容部と、部品を整列する整列部と、部品を保持すると共に整列部に向かって傾斜する保持面を上部に有する昇降部と、整列部を挟んで昇降部とは反対側に配置されるガイド部と、を備える。昇降部は、保持面が収容部から部品を受け入れる下降位置と保持面が部品を持ち上げて整列部へ移す上昇位置との間で昇降可能である。そして、保持面は、傾斜方向と直交する方向に沿って波状に形成される。これにより、部品供給装置は、収容部から部品を保持面で受け入れて持ち上げる際、部品の姿勢を不安定として、部品を整列部に乗り移り易くすることができる。この結果、複数の部品を昇降部から整列部へ乗り移らせて部品を効率良く搬送すると共に、整列部への乗り移りの際に部品がスタックするのを抑制することができる。
【0009】
こうした本開示の部品供給装置において、前記保持面は、傾斜方向と直交する方向に沿って凹曲面が連続するように形成されているものとしてもよい。こうすれば、保持面に対する波の成形をより容易にすることができる。
【0010】
また、本開示の部品供給装置において、前記部品は、ボルトであり、前記保持面は、前記ボルトの頭部の径に対応するピッチにより波状に形成されているものとしてもよい。こうすれば、保持面のどの部分でボルトを受け入れるものとしても、ボルトが持ち上げられる際にボルトの姿勢を不安定として、ボルトが整列部に乗り移りやすくすることができる。この場合、前記保持面は、前記ボルトの頭部直径に対する波のピッチの比が130%〜240%となるように形成されているものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の部品供給装置10の外観斜視図である。
図2図1の部品供給装置10のA−A断面図である。
図3】実施形態の昇降体16の保持面を示す説明図である。
図4】昇降体16で持ち上げられたボルトBがガイドレール15に乗り移る様子を示す説明図である。
図5】比較例の昇降体16Bの保持面を示す説明図である。
図6】昇降体16Bで持ち上げられたボルトBがガイドレール15に乗り移る様子を示す説明図である。
図7】ピッチ比とストローク回数(昇降回数)との関係を示す説明図である。
図8】ピッチ比とスタック回数との関係を示す説明図である。
図9】変形例の昇降体116の保持面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示を実施するための形態について説明する。
【0013】
図1は、実施形態の部品供給装置10の外観斜視図である。図2は、図1の部品供給装置10のA−A断面図である。図3は、実施形態の昇降体16の保持面を示す説明図である。なお、図1においては、搬送シュート14や昇降体16を視認し易くするため、ガイド18の図示を省略した。実施形態の部品供給装置10は、ボルトBを整列して供給するものであり、図1に示すように、収容容器12と、搬送シュート14と、昇降体16と、ガイド18(図2参照)と、を備える。
【0014】
収容容器12は、多数のボルトBを収容するものである。収容容器12の底面12bは、搬送シュート14に向かって傾斜する傾斜面となっており、収容するボルトBを搬送シュート14側に寄せる。
【0015】
搬送シュート14は、ボルトBをねじ部が下向きになるように整列して搬送するものである。この搬送シュート14は、ねじ部の直径よりも広くかつ頭部の直径よりも狭い間隔で平行に延びる一対のガイドレール15を有する。一対のガイドレール15は、レール上面が搬送方向下流に向けて所定の傾斜角度(15〜20度)をもって斜め下方に傾斜している。一対のガイドレール15は、レール間にねじ部が入り込んで頭部を上向きにした状態で頭部座面を支持しながら傾斜に沿ってボルトBを順次搬送する。
【0016】
昇降体16は、収容容器12に収容されたボルトBを持ち上げて搬送シュート14に乗り移らせるものである。昇降体16は、実施形態では樹脂材料により形成され、搬送シュート14と隣接して配置され、ボルトBを保持する保持面16sを上部に備えている。昇降体16は、図2に示すように、昇降アクチュエータ17によって、保持面16sが収容容器12の底面12bと繋がって収容容器12に収容されたボルトBを受け入れる下降位置と、ボルトBを持ち上げて搬送シュート14に乗り移らせる上昇位置との間で昇降が可能となっている。なお、昇降アクチュエータ17としては、リニアモータや、回転モータおよびラック・ピニオン機構の組み合わせ、昇降シリンダなどを用いることができる。
【0017】
昇降体16の保持面16sは、図3に示すように、搬送シュート14に向かって傾斜すると共に、傾斜方向と直交する方向に沿って波形状に形成されている。実施形態では、保持面16sの波形状は、切削加工によりピッチPで円弧状の凹曲面が連続するように形成されている。
【0018】
ガイド18は、図2に示すように、搬送シュート14を挟んで昇降体16とは反対側に配置され、搬送シュート14に対する側壁をなす。ガイド18は、昇降体16の保持面16sに保持されたボルトBが持ち上げられる際に、当該ボルトBの搬送シュート14への乗り移りをガイドする。
【0019】
次に、こうして構成された部品供給装置10の動作について説明する。図4は、昇降体16で持ち上げられたボルトBがガイドレール15に乗り移る様子を示す説明図である。部品供給装置10は、昇降アクチュエータ17を駆動して昇降体16を下降位置まで下降させる。これにより、収容容器12内のボルトBは、底面12bの傾斜によって昇降体16の保持面16sに乗り移る。次に、部品供給装置10は、昇降アクチュエータ17を駆動して昇降体16を上昇位置まで上昇させる。これにより、昇降体16の保持面16sに乗ったボルトBは、昇降体16の上昇に伴って持ち上げられていく(図4(a)参照)。そして、昇降体16が上昇位置まで上昇すると、昇降体16の保持面16sに乗ったボルトBは、保持面16sの傾斜によって一対のガイドレール15に乗り移る。上述したように、保持面16sは、傾斜方向と直交する方向に沿って波形状に形成されている。このため、保持面16sに乗ったボルトBは、昇降体16の上昇に伴って不安定な姿勢で持ち上げられ、ガイドレール15に乗り移り易くなっている。ボルトBは、搬送シュート14に乗り移ると、ねじ部がガイドレール15のレール間の隙間に入り込み、ガイドレール15の傾斜に沿って整列して搬送される。部品供給装置10は、昇降体16の昇降動作を繰り返すことにより、数本ずつボルトBを搬送シュート14に乗り移らせ、搬送シュート14にてボルトBを整列しながら効率良く搬送していく。
【0020】
図5は、比較例の昇降体16Bの保持面を示す説明図である。図6は、昇降体16Bで持ち上げられたボルトBがガイドレール15に乗り移る様子を示す説明図である。比較例の昇降体16Bは、図5に示すように、保持面16Bsが凹凸のない平面状に形成されている。この昇降体16Bを備える変形例の部品供給装置10Bでは、実施形態の部品供給装置10と同様に、昇降体16Bを昇降させ、下降位置で収容容器12から保持面16BsへボルトBを受け入れ、上昇位置で保持面16Bsに乗ったボルトBを搬送シュート14へ乗り移す。この場合、保持面16Bsは平面状に形成されているため、保持面16Bsに乗ったボルトBは、頭部頂面を下向きにして立ち姿勢で安定し易い(図6(a)参照)。このため、ボルトBは、立ち姿勢のまま搬送シュート14に乗り移り、搬送シュート14のガイドレール15間にねじ部が入り込まなかったり、搬送シュート14上に留まったり(スタックしたり)する場合が多くなる(図6(b)参照)。
【0021】
本願の発明者らは、保持面16sの波のピッチPを変更した複数の昇降体16を順次取り替えて、部品供給装置10を動作させる実験を行なった。複数の昇降体16の保持面16sの傾斜角度はいずれも17度とした。また、搬送するボルトBのサイズは、M3〜M8とした。図7は、ピッチ比とストローク回数との関係を示す説明図である。図8は、ピッチ比とスタック回数との関係を示す説明図である。ピッチ比とは、ボルトBの頭部直径に対する保持面16sの波のピッチPの比率を意味する。また、図7のストローク回数は、ボルトBを100個、搬送シュート14に乗り移らせるのに必要であった昇降体16の昇降回数(ストローク回数)を示す。また、図8のスタック回数は、ボルトBを100個、搬送シュート14に乗り移らせる際にボルトBがスタックした回数を示す。図7図8に示すように、ボルトBの頭部直径に対する保持面16sの波のピッチPの比が130%〜240%となるように当該ピッチPを形成することにより、ストローク回数とスタック回数を低減できることが明らかとなった。
【0022】
ここで、実施形態の主要な要素と特許請求の範囲に記載した本開示の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、実施形態の収容容器12が本開示の収容部に相当し、搬送シュート14(一対のガイドレール15)が整列部に相当し、昇降体16が昇降部に相当し、ガイド18がガイド部に相当する。
【0023】
以上説明した実施形態の部品供給装置10は、ボルトBを収容する収容容器12と、ボルトBを整列して搬送する搬送シュート14と、ボルトBを保持すると共に搬送シュート14に向かって傾斜する保持面16sを上部に有する昇降体16と、搬送シュート14を挟んで昇降体16とは反対側に配置されるガイド18と、を備える。昇降体16は、保持面16sが収容容器12からボルトBを受け入れる下降位置と保持面16sがボルトBを持ち上げて搬送シュート14へ移す上昇位置との間で昇降可能である。そして、保持面16sは、傾斜方向と直交する方向に沿って波状に形成される。これにより、収容容器12からボルトBを保持面16sで受け入れて持ち上げる際、ボルトBの姿勢を不安定として、搬送シュート14に乗り移り易くすることができる。この結果、複数のボルトBを昇降体16から搬送シュート14へ乗り移らせてボルトBを効率良く搬送すると共に、搬送シュート14への乗り移りの際にボルトBがスタックするのを抑制することができる。
【0024】
また、保持面16sは、傾斜方向と直交する方向に沿って円弧状の凹曲面が連続するように形成されている。これにより、切削加工を用いて保持面16sに対する波の成形をより容易にすることができる。
【0025】
また、保持面16sは、ボルトBの頭部の径に対応するピッチにより(ボルトBの頭部直径に対するピッチPの比が130%〜240%の範囲内で)波状に形成されている。これにより、保持面16sのどの部分でボルトBを受け入れるものとしても、ボルトBが持ち上げられる際にボルトBの姿勢を不安定として、ボルトBが搬送シュート14に乗り移り易くすることができる。したがって、部品供給装置10は、ボルトBを更に効率良く供給することができる。
【0026】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0027】
例えば、上述した実施形態では、保持面16sは、傾斜方向と直交する方向に沿って凹曲面が連続するように形成されるものとした。しかし、保持面は、凸曲面が連続するように形成されてもよいし、正弦波状に形成されてもよい。また、図9の変形例の昇降体160に示すように、保持面は、三角波状に形成されてもよい。但し、保持面は、曲面を用いて波状に形成された方が、ボルトBの姿勢をより不安定として、搬送シュート(整列部)に乗り移り易くすることができる。
【0028】
上述した実施形態では、昇降体16の波形状は、切削加工により形成されるものとした。しかし、昇降体16の波形状は、射出成形により形成されてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、部品供給装置は、ボルトBを整列して搬送するものに適用するものとしたが、軸部を有する部品であれば、如何なる部品の整列搬送にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本開示は、部品供給装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
10,10B 部品供給装置、12 収容容器、12b 底面、14 搬送シュート、15 ガイドレール、16,16B,116 昇降体、16s,16Bs,116s 保持面、17 昇降アクチュエータ、18 ガイド、B ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9