(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記枠部材は、耐熱性を有し、かつ低硫黄若しくは硫黄フリーの材料で構成されている請求項2、請求項3、請求項2を引用する請求項4、又は請求項3を引用する請求項4のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  表示部には、フレームの開口部の下方に設けられた7セグメントディスプレイと、操作表示シートに設けられた拡散処理部とで構成されたものがある。7セグメントディスプレイのLED(Light Emitting Diode)から出射される光は拡散処理部で拡散され、使用者に視認される。従って、拡散処理部と7セグメントディスプレイの上面との間の距離が短いほど、表示部の視認性はより高くなる。しかしながら、フレームに反り等が発生し、操作表示シートと7セグメントディスプレイの上面と間の距離が長くなってしまう場合がある。その結果、7セグメントディスプレイの表示がぼやけ、表示部の視認性が低下するという問題があった。
【0005】
  本発明は、上述のような課題を背景としてなされたものであり、表示部の表示が良好な状態に維持される加熱調理器を提供することを目的としている。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本発明に係る加熱調理器は、本体と、前記本体の上面に配置され、被加熱物が載置される載置部が形成されているトッププレートとを有する加熱調理器であって、前記本体内に設けられている表示ユニットを備え、前記表示ユニットは、前記本体の内部に設けられた制御基板に搭載されている
複数のLEDと、前記
複数のLEDから出射される光を前記本体の上面側に導く導光筒と、前記導光筒に導かれる光を拡散させるための拡散シートとを有し、前記拡散シートは、前記導光筒において前記
複数のLEDから出射される光が入射する側の端部とは反対側の端面に当接して
おり、前記導光筒は、板状の基部と前記基部の一方の面に形成された筒状の導光部とを有し、前記基部には前記複数のLEDに対応する複数の長穴が形成され、前記導光部は、前記複数のLEDの各LEDから出射される光を個別に前記複数の長穴に導くものであって、内部が前記複数のLEDに対応して複数の領域に区画され、前記基部と反対側の端面には複数の開口部が形成され、前記複数のLEDの各LEDは、前記複数の開口部のうち対応する開口部内に位置しているものである。
 
【発明の効果】
【0007】
  本発明によれば、表示ユニットを本体内に設け、拡散シートを導光筒に当接させている。従って、例えばフレームに反り等が発生しても、拡散シートと導光筒との間の距離が長くなることはない。その結果、表示部の視認性の低下を招くことがなく、表示部の表示を良好な状態に維持することができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0009】
  以下、本発明の加熱調理器の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。尚、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面における各構成部材の大きさ及び形状は、説明のためにわかりやすく表しており、実際の大きさ及び形状と異なる場合がある。
 
【0010】
実施の形態.
  
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の分解斜視図である。加熱調理器1は、本体10と、トッププレート20と、フレーム30を有している。トッププレート20は矩形の形状を有している。トッププレート20は本体10の上方に配設され、フレーム30に保持されている。トッププレート20には前側載置部21と後側載置部22が形成されている。前側載置部21及び後側載置部22は、それぞれ被加熱物が載置される載置部である。前側載置部21は、トッププレート20の前方側であって左側に形成され、後側載置部22は、トッププレート20の後方側であって右側に形成されている。すなわち、前側載置部21と後側載置部22は、トッププレート20の対角線上に形成されている。
 
【0011】
  フレーム30の前方側の縁部には操作部31が配置されている。操作部31には、前側操作ボタン群32、後側操作ボタン群33、電源ボタン34、及びタイマー操作ボタン群37が設けられている。前側操作ボタン群32は、前側載置部21における加熱条件等を操作するための複数の操作ボタンからなり、後側操作ボタン群33は、後側載置部22における加熱条件等を操作するための複数の操作ボタンからなっている。電源ボタン34は、加熱調理器1の電源をON及びOFFするための操作部材である。フレーム30の後方側の縁部には排気口35が形成されている。
 
【0012】
  トッププレート20において、前方側の縁部と右側の縁部とが交差する角部に、表示部40が形成されている。すなわち、表示部40は、前側載置部21及び後側載置部22が形成されていない領域に形成されている。操作部31のタイマー操作ボタン群37の操作に応じた諸情報の表示が、表示部40を介して視認される。
 
【0013】
  本体10の内部には、操作部31と表示ユニットを制御するための制御基板である操作表示基板11が配設されている。表示ユニットについては後述する。また、本体10の内部には、前側載置部21の下方に加熱手段12が配設され、後側載置部22の下方に加熱手段13が配設されている。加熱手段12及び加熱手段13は、例えば、誘導加熱コイルやラジエントヒーター等である。本体10の内部において、前方側には、ボタン群36が配置されている。本体10の内部において、前方側の側面10Fと右側の側面10Rとが交差する角部に、表示部40の下方に表示ユニット41が設けられている。
 
【0014】
  図3及び
図4は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器のボタン群と表示ユニットを示す斜視図である。
図4において、
図3の表示ユニット41は分解して示されている。ボタン群36は、上述の操作部31の前側操作ボタン群32、後側操作ボタン群33、及び電源ボタン34に対応した複数のボタンを有している。ボタン群36の各ボタンは、操作表示基板11上に、操作部31の各ボタンの配置位置に対応して、横方向に一列に並んで配置されている。
 
【0015】
  表示ユニット41は、第1ユニット50と第2ユニット60を有している。第1ユニット50と第2ユニット60は、7セグメントディスプレイであり、それぞれ、図示省略のLEDを7つ備えている。また、表示ユニット41は、導光筒70と、拡散シート80と、枠部材90とを有している。第1ユニット50及び第2ユニット60のLEDは、操作表示基板11に搭載されている。導光筒70は操作表示基板11に載置され、第1ユニット50及び第2ユニット60のLEDの上に位置決めされている。このように、表示ユニット41は、それぞれ7つのLEDから構成される2組の第1ユニット50のLED群と第2ユニット60のLED群と、導光筒70と、拡散シート80と、枠部材90とで構成されている。尚、第1ユニット50のLED及び第2ユニット60のLEDに関しては、
図10を用いて後述する。
 
【0016】
  図5は、表示ユニットの導光筒を上面から示す斜視図である。
図6は、表示ユニットの導光筒を底面から示す斜視図である。
図7は、表示ユニットの導光筒の平面図である。
図8は、表示ユニットの導光筒の底面図である。
図9は、表示ユニットの導光筒の側面図である。
図9は、導光筒70を
図5中の矢印Rの方向から示す側面図であり、加熱調理器1の右側方から導光筒70を示している。導光筒70は、全体として矩形の薄板である基部71と、基部71の裏面に一体的に形成された筒状の導光部72と、基部71の側面に設けられた一対の取付爪73とを有している。
 
【0017】
  図5及び
図7に示すように、基部71には、第1ユニット50のLED群に対応する7つの長穴から成る第1長穴群71Aと、第2ユニット60のLED群に対応する7つの長穴から成る第2長穴群71Bが形成されている。
 
【0018】
  図6及び
図8に示すように、導光部72は第1導光部72Aと第2導光部72Bを有している。第1導光部72Aは、第1ユニット50のLED群の各LEDから出射される光を個別に第1長穴群71Aの各長穴に導くためのものである。第2導光部72Bは、第2ユニット60のLED群の各LEDから出射される光を個別に第2長穴群71Bの各長穴に導くためのものである。第1導光部72Aは、内部が長手方向に沿って7つの領域に区画されており、第1導光部72Aの基部71と反対側の端面には、7つの開口部が形成されている。第2導光部72Bは、内部が長手方向に沿って7つの領域に区画されており、第2導光部72Bの基部71と反対側の端面には、7つの開口部が形成されている。導光筒70は、以下の態様で操作表示基板11の表面に載置されている。すなわち、第1ユニット50のLED群の各LEDが、それぞれ第1導光部72Aの上述の端面の開口部のうち対応する開口部内に位置している。同時に、第2ユニット60のLED群の各LEDが、それぞれ第2導光部72Bの上述の端面の開口部のうち対応する開口部内に位置している。第1ユニット50のLED群の各LEDが、それぞれ第1導光部72Aの端面の開口部内に位置する態様、及び、第2ユニット60のLED群の各LEDが、それぞれ第2導光部72Bの端面の開口部内に位置する態様については、
図10を用いて後述する。
 
【0019】
  第1導光部72Aの7つの領域を形成している壁面により、第1ユニット50のLED群の各LEDから出射される光は、同LED群の他のLEDから出射される光に干渉されることがない。また、第1導光部72Aの7つの領域のそれぞれの横断面の面積は、第1ユニット50の各LEDに対して十分な大きさを有している。従って、導光筒70を操作表示基板11に配置するとき、第1導光部72Aの基部71と反対側の端面が、第1ユニット50のLED群の各LEDに接触して破壊することがない。
 
【0020】
  第2導光部72Bの7つの領域を形成している壁面により、第2ユニット60のLED群の各LEDから出射される光は、同LED群の他のLEDから出射される光に干渉されることがない。また、第2導光部72Bの7つの領域のそれぞれの横断面の面積は、第2ユニット60の各LEDに対して十分な大きさを有している。従って、従って、導光筒70を操作表示基板11に配置するとき、第2導光部72Bの基部71と反対側の端面が、第2ユニット60のLED群の各LEDに接触して破壊することがない。
 
【0021】
  導光筒70は、耐熱性の高い樹脂、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、耐熱ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等で構成されている。例えば、
図2に示す加熱手段12及び加熱手段13を最大加熱量で駆動しても変形することがない程度の耐熱性を有する樹脂で、導光筒70は構成されている。
 
【0022】
  図6及び
図9に示すように、一対の取付爪73は基部71の一対の短辺部から、導光筒70の底面側へ向かって延びるよう形成されている。導光筒70は、一対の取付爪73により操作表示基板11の表面に取り付けられる。
 
【0023】
  次に、再び
図3及び
図4を参照して、拡散シート80の構成、及び枠部材90の構成について説明する。
図3及び
図4に示すように、導光筒70の基部71の上側に、拡散シート80が配置されている。拡散シート80は矩形の形状を呈しており、接着剤により基部71の上面に接着されている。第1ユニット50のLED群の各LEDから出射され、導光筒70の第1導光部72Aを介して、第1長穴群71Aの各長穴へ導かれた光は、拡散シート80により拡散される。同様に、第2ユニット60のLED群の各LEDから出射され、導光筒70の第2導光部72Bを介して、第2長穴群71Bの各長穴へ導かれた光は、拡散シート80により拡散される。すなわち、拡散シート80は、導光筒70において、第1ユニット50のLED群の各LED及び第2ユニット60のLED群の各LEDから出射される光が入射される側の端部とは反対側の端面に当接している。
 
【0024】
  拡散シート80とトッププレート20との間には矩形の枠部材90が設けられている。枠部材90は、拡散シート80において導光筒70の上述の端面、すなわち基部71の上面に当接している面とは反対側の面に当接すると共に、トッププレート20の裏面に当接している。枠部材90は、互いに平行に延びる長辺部91及び長辺部92と、長辺部91及び長辺部92に直交し、かつ互いに平行に延びる短辺部93及び短辺部94とを有している。枠部材90は、耐熱性の高い弾性材料、例えばシリコンゴム等を主成分とした材料で構成されており、可撓性を有している。枠部材90の長辺部91、長辺部92、短辺部93及び短辺部94は、
図5及び
図7に示す導光筒70の基部71の第1長穴群71A及び第2長穴群71Bの外側に位置している。従って、第1ユニット50のLED群の各LED及び第2ユニット60のLED群の各LEDから出射され、拡散シート80により拡散される光が、枠部材90により遮られることはない。
 
【0025】
  図10は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の表示部周辺の内部構造を示す図である。
図10は、表示部40の略中央の位置で前後方向に沿って垂直に切断した加熱調理器1の内部を斜め上から示している。
図10において、操作表示基板11に搭載されているLED100、LED101、及びLED102は、上述の第1ユニット50のLED群に含まれるLEDである。上述のように、LED100、LED101、及びLED102が、それぞれ、導光筒70の第1導光部72Aの端面に形成されている複数の開口部のうち、対応する開口部内に位置している。尚、第1ユニット50のLED群の他のLEDも、同様の態様で第1導光部72Aの端面の複数の開口部内に位置している。また、第2ユニット60のLED群の各LEDも、同様の態様で第2導光部72Bの端面の複数の開口部内に位置している。このように、導光筒70は、第1ユニット50のLED群から出射された光、及び第2ユニット60のLED群から出射された光を、加熱調理器1の本体10の上面側に導くものである。上述のように、導光筒70の上面に拡散シート80が配置され、拡散シート80の上面に枠部材90が配置されている。そして、枠部材90の上面にトッププレート20が取り付けられている。
 
【0026】
  図11は、トッププレートの組立工程の前後の表示ユニットの断面を模式的に示す図である。
図11において、左側の図は、トッププレート20を組み立てる前の表示ユニット41の断面を示し、右側の図は、トッププレート20を組み立てた後の表示ユニット41の断面を示している。
図11を参照しながら、トッププレート20の取り付けの態様について説明する。本実施の形態において、導光筒70の高さH1及び枠部材90の高さH2は、操作表示基板11とトッププレート20との間の長さにより定められている。すなわち、導光筒70、拡散シート80、及び枠部材90の高さの合計が、トッププレート20をフレーム30に取り付けたときの、操作表示基板11とトッププレート20との間の上下方向に沿った長さより大きくなるよう、高さH1及びH2は設定されている。また、上述のように枠部材90は弾性材料で構成されており、可撓性を有している。従って、トッププレート20をその裏面を枠部材90の上面に当接させた状態でフレーム30に嵌め込むことにより、枠部材90に示すように上下方向に縮小する。
図11では、トッププレート20の組み立て前に比べ、トッププレート20の組み立て後には、枠部材90が上下方向に長さLだけ縮小していることが示されている。すなわち、表示ユニット41において、トッププレート20と拡散シート80とで枠部材90を押圧した状態で、トッププレート20はフレーム30に取り付けられている。尚、本実施の形態では長さLが約1mm程度となるよう、上述の高さH1及びH2、並びに枠部材90の弾性力は設定されている。
 
【0027】
  以上のように、本実施の形態によれば、本体10内において拡散シート80は導光筒70の上面に当接している。従って、フレーム30に反り等が生じたとしても、拡散シート80と導光筒70との間の距離が長くなることが防止される。その結果、拡散シート80と導光筒70との間の距離が長くなることに起因する、表示部40の視認性の低下を招くことがなく、表示部40の表示を良好な状態に維持することができる。
 
【0028】
  また、トッププレート20と拡散シート80とで枠部材90を押圧しているため、トッププレート20と枠部材90との間、及び枠部材90と拡散シート80との間に隙間が発生することがない。従って、トッププレート20と拡散シート80との間にゴミ及び虫等の異物が侵入することが防止される。その結果、表示部40の視認性を良好な状態に維持することができる。
 
【0029】
  また、トッププレート20と拡散シート80とで枠部材90を押圧する構成により、トッププレート20を枠部材90の上に単に載置する場合に比べ、トッププレート20と拡散シート80との間の距離をより短くすることができる。従って、拡散シート80を介して拡散され、トッププレート20を介して視認される、第1ユニット50のLED群及び第2ユニット60のLED群の各LEDから出射される光の視認性をより高くすることができる。その結果、表示部40の視認性を良好な状態に維持することができる。
 
【0030】
  本実施の形態では、導光筒70は耐熱性の高い樹脂で構成されているため、加熱調理器1の駆動中に、熱による導光筒70の変形を防止することができる。従って、トッププレート20と拡散シート80との距離の変動を抑制することができる。その結果、表示部40の視認性の低下を抑制することができる。
 
【0031】
  本実施の形態では、枠部材90は耐熱性の高い弾性材料、例えばシリコンゴム等を主成分とした材料で構成されているがこれに限るものではない。枠部材90を、例えば耐熱性の高いシリコンゴム等を主成分とし、かつ、硫黄の含有量が低い低硫黄の材料で構成してもよい。また、枠部材90を、例えば耐熱性の高いシリコンゴム等を主成分とし、かつ、硫黄を含まない硫黄フリーの材料で構成してもよい。硫黄成分はLEDのリードフレームのメッキを変質させたりして、不点灯、若しくは輝度低下などの不具合を発生させる虞がある。このような材料で枠部材90を構成することにより、熱による枠部材90の変形を防止すると共に、硫黄成分によるLED等へのアタックを抑制することができる。
 
【0032】
  尚、本実施の形態では、表示部40はトッププレート20に形成され、表示ユニット41はその下方に設けられているが、これに限るものではない。フレーム30に形成した開口部の下方に表示ユニット41を設けてもよい。この場合も、拡散シート80は導光筒70の上面に当接しているため、フレーム30に反り等が発生したとしても、表示ユニット41の視認性が低下することはない。