特許第6879889号(P6879889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879889
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】水素供給装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20210524BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20210524BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20210524BHJP
【FI】
   F17C13/02 301Z
   H01M8/04 J
   H01M8/0606
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-225656(P2017-225656)
(22)【出願日】2017年11月24日
(65)【公開番号】特開2019-94990(P2019-94990A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】松浦 章雄
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−111844(JP,A)
【文献】 特開2005−340099(JP,A)
【文献】 特開2015−222025(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0182561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C1/00−13/12
H01M8/04
H01M8/0606
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを圧送する水素圧送手段と、
前記水素圧送手段の下流に設けられる第1のバルブと、
前記第1のバルブの下流に設けられる第2のバルブと、
前記第2のバルブの下流に接続されると共に外気に連通する排気経路と、
前記第1のバルブの下流かつ前記第2のバルブの上流に設けられるフィルタと、
前記第1のバルブの下流から前記フィルタの上流までの間の水素ガスの状態変化を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段によって検出される前記水素ガスの状態変化に基いて、前記水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する判定手段と
前記水素圧送手段の下流に設けられる吐出部と、
前記吐出部と接続可能な受入部と、
前記吐出部が前記受入部に接続されたことを検知する接続検知手段と
を備え、
前記判定手段は、前記吐出部が前記受入部に接続されたことが検知されると、前記状態検出手段によって検出される前記水素ガスの状態変化に基いて、前記水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する、水素供給装置。
【請求項2】
前記状態検出手段は、前記第1のバルブの下流かつ前記第2のバルブの上流に設けられる流量センサであり、
前記判定手段は、前記流量センサによって検出される前記水素ガスの流量に基いて、前記水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する、請求項に記載の水素供給装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記水素供給装置による水素ガスの供給が終了した後に、前記接続検知手段によって前記吐出部が前記受入部に接続されたことが検知されない場合には、ユーザに対して前記吐出部が前記受入部に接続されていないことを報知する、請求項1または2に記載の水素供給装置。
【請求項4】
水素ガスを圧送する水素圧送手段と、
前記水素圧送手段の下流に設けられる第1のバルブと、
前記第1のバルブの下流に設けられる第2のバルブと、
前記第2のバルブの下流に接続されると共に外気に連通する排気経路と、
前記第1のバルブの下流かつ前記第2のバルブの上流に設けられるフィルタと、
前記第1のバルブの下流から前記フィルタの上流までの間の水素ガスの状態変化を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段によって検出される前記水素ガスの状態変化に基いて、前記水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する判定手段と
を備え
前記状態検出手段は、前記第1のバルブの下流かつ前記フィルタの上流に設けられる圧力センサであり、
前記判定手段は、前記圧力センサによって検出される前記水素ガスの所定時間あたりの圧力減少量に基いて、前記水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する、水素供給装置。
【請求項5】
前記水素圧送手段の下流に設けられる吐出部と、
前記吐出部と接続可能な受入部と、
前記吐出部が前記受入部に接続されたことを検知する接続検知手段と
をさらに備え、
前記判定手段は、前記水素供給装置による水素ガスの供給が終了した後に、前記接続検知手段によって前記吐出部が前記受入部に接続されたことが検知されない場合には、ユーザに対して前記吐出部が前記受入部に接続されていないことを報知する、請求項に記載の水素供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水素供給装置に係り、特に燃料電池システムを搭載した車両に水素ガスを供給する水素供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池システムの実用化が進められている。一般的な燃料電池システムでは、燃料電池スタック(FCスタック)に水素と酸素が供給され、これら水素と酸素がFCスタック内で化学反応を起こすことによって、電気エネルギーが生成される。また、燃料電池システムを普通自動車に搭載した燃料電池自動車(FCV)や、燃料電池システムをフォークリフト等の産業車両に搭載したものも既に実用化されている。
【0003】
現在、水素供給装置から車両に水素ガスを供給する際には、水素供給装置に備えられているノズルと車両のレセプタクルとを接続し、水素供給装置から車両に向けて水素ガスを供給する方式が一般的である。特許文献1には、そのような水素供給装置の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−69330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池システムに供給される水素ガスに異物が混入していると、燃料電池システムの発電効率が悪化するため、水素ガスに異物が混入しないように注意する必要がある。また、車両内に蓄えられている水素ガスに異物が混入していることが発見された場合には、その異物が水素供給装置から供給された水素ガスに既に混入していたのか、あるいは車両内に水素ガスが蓄えられてから混入したのか等、異物の混入経路を特定する必要がある。
【0006】
現在、未使用時の水素供給装置のノズルにキャップを被せることにより、外部から水素供給装置の内部に異物が入り込み、それが水素ガスに混入するのを防止することが行われている。しかしながら、この方法では水素供給装置を構成する部品のさび等、水素供給装置それ自体に由来する異物が水素ガスに混入するのを防止することはできない。そのため、異物の混入経路を特定するという観点からは、水素供給装置が自機から供給される水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断できることが望ましい。
【0007】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、自機が供給する水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断することができる、水素供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係る水素供給装置は、水素ガスを圧送する水素圧送手段と、水素圧送手段の下流に設けられる第1のバルブと、第1のバルブの下流に設けられる第2のバルブと、第2のバルブの下流に接続されると共に外気に連通する排気経路と、第1のバルブの下流かつ第2のバルブの上流に設けられるフィルタと、第1のバルブの下流からフィルタの上流までの間の水素ガスの状態変化を検出する状態検出手段と、状態検出手段によって検出される水素ガスの状態変化に基いて、水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する判定手段と、水素圧送手段の下流に設けられる吐出部と、吐出部と接続可能な受入部と、吐出部が受入部に接続されたことを検知する接続検知手段とを備え、判定手段は、吐出部が受入部に接続されたことが検知されると、状態検出手段によって検出される水素ガスの状態変化に基いて、水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する
【0011】
状態検出手段は、第1のバルブの下流かつ第2のバルブの上流に設けられる流量センサであり、判定手段は、流量センサによって検出される水素ガスの流量に基いて、水素ガスに異物が混入しているか否かを判定してもよい。
【0012】
判定手段は、水素供給装置による水素ガスの供給が終了した後に、接続検知手段によって吐出部が受入部に接続されたことが検知されない場合には、ユーザに対して吐出部が受入部に接続されていないことを報知するようにしてもよい。
また、この発明に係る別の水素供給装置は、水素ガスを圧送する水素圧送手段と、水素圧送手段の下流に設けられる第1のバルブと、第1のバルブの下流に設けられる第2のバルブと、第2のバルブの下流に接続されると共に外気に連通する排気経路と、第1のバルブの下流かつ第2のバルブの上流に設けられるフィルタと、第1のバルブの下流からフィルタの上流までの間の水素ガスの状態変化を検出する状態検出手段と、状態検出手段によって検出される水素ガスの状態変化に基いて、水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する判定手段と、水素圧送手段の下流に設けられる吐出部と、吐出部と接続可能な受入部と、吐出部が受入部に接続されたことを検知する接続検知手段とを備え、判定手段は、吐出部が受入部に接続されたことが検知されると、状態検出手段によって検出される水素ガスの状態変化に基いて、水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する。
水素圧送手段の下流に設けられる吐出部と、吐出部と接続可能な受入部と、吐出部が受入部に接続されたことを検知する接続検知手段とをさらに備え、判定手段は、水素供給装置による水素ガスの供給が終了した後に、接続検知手段によって吐出部が受入部に接続されたことが検知されない場合には、ユーザに対して吐出部が受入部に接続されていないことを報知するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る水素供給装置によれば、自機が供給する水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る水素供給装置とフォークリフトの構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る水素供給装置の内部構成を示す模式図である。
図3】実施の形態1に係る水素供給装置の動作を説明するフローチャートである。
図4】実施の形態1の変形例に係る水素供給装置の内部構成を示す模式図である。
図5】実施の形態2に係る水素供給装置の内部構成を示す模式図である。
図6】実施の形態2に係る水素供給装置の動作を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態2の変形例に係る水素供給装置の内部構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
【0016】
この発明の実施の形態1に係る水素供給装置10について説明する。図1には、車両に水素ガスを供給する水素供給装置10と、当該水素供給装置10によって水素ガスを供給される車両の一例として、燃料電池システム31を搭載したフォークリフト30とが示されている。なお、以降の説明では、車両としてフォークリフトを例にとって説明するが、本願発明の適用可能な範囲はこれに限定されるものではなく、燃料電池自動車(FCV)等の他の種類の車両であってもよい。
【0017】
水素供給装置10からフォークリフト30に水素ガスを供給する際には、水素供給装置10のホース14を経由して延びるノズル15がフォークリフト30のレセプタクル32に接続され、水素供給装置10からフォークリフト30の燃料電池システム31に水素ガスが供給される。また、この水素供給装置10では、車両への水素ガスの供給を行わない未使用時には、ユーザはノズル15をホルダ22に設けられたレセプタクル16に接続するように義務付けられている。
【0018】
図2には、水素供給装置10の内部構成が模式的に示されている。水素供給装置10は、水素ガスを圧縮して昇圧する圧縮機11と、昇圧された水素ガスを貯留する蓄圧器12と、蓄圧器12の下流に設けられる減圧弁13とを備えている。減圧弁13の下流には、電磁式の開閉バルブAが設けられており、バルブAの下流にはホース14が接続されている。ホース14の先端にはノズル15が取り付けられており、このノズル15は、先述したフォークリフト30のレセプタクル32に着脱可能に接続することができる(図1も併せて参照)。
【0019】
また、水素供給装置10は、ノズル15に着脱可能に接続することができるレセプタクル16を備えている。このレセプタクル16は、フォークリフト30のレセプタクル32と同型のものであるが、当該レセプタクル16にノズル15が接続されたことを検知可能なリミットスイッチ17が取り付けられている。レセプタクル16の下流には、ろ過粒度5μmの焼結フィルタ18および電磁式の開閉バルブBが設けられている。バルブBの下流は排気経路19に接続されており、排気経路19は外気に連通している。
【0020】
また、バルブAの直下流には、圧力センサ20が設けられている。ノズル15がフォークリフト30のレセプタクル32に接続されて水素ガスの供給が行われる際には、この圧力センサ20によって検出される圧力は、ノズル15から吐出される水素ガスの圧力である。
【0021】
さらに、水素供給装置10は、マイクロコンピュータ等によって構成される制御ユニット21を備えている。制御ユニット21は、リミットスイッチ17の検知信号および圧力センサ20の検出信号を受信可能であると共に、バルブA、Bの開閉状態を制御することができる。
【0022】
次に、実施の形態1に係る水素供給装置10において行われる、当該水素供給装置10から供給される水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断する処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、この自己診断処理は、ユーザによってノズル15がレセプタクル16に接続されると開始される。
【0023】
まず、水素供給装置10の制御ユニット21は、自機のノズル15がレセプタクル16に接続されたことを示すリミットスイッチ17からの検知信号を受信すると(S301)、バルブAを開状態にすると共にバルブBを閉状態にする(S302)。この際、圧力センサ20によって検出される圧力は、バルブAの下流から焼結フィルタ18の上流までの間の水素ガスの圧力である。
【0024】
次に、制御ユニット21は、圧力センサ20によって検出される圧力が所定値に達するまで待機し(S303)、圧力が所定値に達すると(S303=YES)、バルブAを閉状態にし(S304)、続いてバルブBを開状態にする(S305)。これにより、バルブAの下流から焼結フィルタ18の上流までの間に存在する水素ガスは、焼結フィルタ18を通って排気経路19に向けて流れていき、外気に放出される。
【0025】
この際、水素ガスに異物が混入していない場合には、異物が焼結フィルタ18に付着することがないため、水素ガスはスムーズに排気経路19へと流れ、圧力センサ20によって検出される圧力は短時間で大気圧と等しくなる。一方、例えば圧縮機11や蓄圧器12の内部に発生するさび等、水素ガスに異物が混入している場合には、その異物が焼結フィルタ18に付着するため、排気経路19へと向かう水素ガスの流れが妨げられ、圧力センサ20によって検出される圧力が大気圧と等しくなるまでには、比較的長時間を要する。
【0026】
制御ユニット21は、圧力センサ20によって検出される圧力Pから、所定時間(例えば1秒)あたりの圧力減少量ΔPを算出し(S306)、これを所定値ΔPtと比較する(S307)。ここで、所定値ΔPtは、水素ガスに異物が混入していない場合における所定時間あたりの圧力減少量であり、予め実験的に決定される。
【0027】
水素ガスに異物が混入している場合における所定時間あたりの圧力減少量は、水素ガスに異物が混入していない場合における所定時間あたりの圧力減少量ΔPtよりも小さくなる。そのため、制御ユニット21は、ΔP<ΔPtである場合(S307=YES)には、水素ガスに異物が混入していると判定し(S308)、ΔP<ΔPtでない場合(S307=NO)には、水素ガスに異物が混入していないと判定する(S309)。
【0028】
以上説明したように、実施の形態1に係る水素供給装置10は、バルブAの下流から焼結フィルタ18の上流までの間の水素ガスの圧力を検出可能な圧力センサ20を備えている。制御ユニット21は、ノズル15がレセプタクル16に接続されたことが検知されると、バルブAを開状態にすると共にバルブBを閉状態にすることによって、バルブAの下流から焼結フィルタ18の上流までの間の水素ガスの圧力を所定値まで高めた後、バルブAを閉状態にし、続いてバルブBを開状態にした際に、圧力センサ20によって検出される水素ガスの所定時間あたりの圧力減少量ΔPに基いて、水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する。これにより、水素供給装置10は、自機が供給する水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断することができる。
【0029】
なお、実施の形態1において焼結フィルタ18を設ける位置は、レセプタクル16の下流に限定されるものではなく、バルブAの下流かつバルブBの上流であればよい。同様に、圧力センサ20を設ける位置は、バルブAの直下流に限定されるものではなく、バルブAの下流かつ焼結フィルタ18の上流であればよい。
【0030】
また、図4に示されるように、バルブAの下流と焼結フィルタ18の上流とを連通する経路123を予め形成しておき、レセプタクル16の下流は行き止まりにしておいてもよい。このように構成しても、水素供給装置110の制御ユニット121は、図3のフローチャートに示される処理を行うことにより、自機が供給する水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断することができる。なお、水素供給装置110からフォークリフト30に水素ガスを供給する際には、バルブBは閉状態にされる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る水素供給装置210について説明する。なお、以降の説明において、実施の形態1と同一の部分については、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図5に示されるように、実施の形態2に係る水素供給装置210は、焼結フィルタ18とバルブBとの間に設けられる流量センサ224を備えている。
【0032】
図6に示されるように、水素供給装置210の制御ユニット221は、自機のノズル15がレセプタクル16に接続されたことを示すリミットスイッチ17からの検知信号を受信すると(S601)、バルブAを開状態にすると共にバルブBを閉状態にし(S602)、圧力センサ20によって検出される圧力が所定値に達するまで待機する(S603)。
【0033】
圧力センサ20によって検出される圧力が所定値に達すると(S603=YES)、制御ユニット221は、バルブAを閉状態にし(S604)、続いてバルブBを開状態にする(S605)。これにより、実施の形態1と同様に、バルブAの下流から焼結フィルタ18の上流までの間に存在する水素ガスは、焼結フィルタ18を通って排気経路19に向けて流れていき、外気に放出される。
【0034】
この際、水素ガスに異物が混入していない場合には、異物が焼結フィルタ18に付着することがないため、水素ガスはスムーズに排気経路19へと流れる。一方、水素ガスに異物が混入している場合には、その異物が焼結フィルタ18に付着するため、排気経路19へと向かう水素ガスの流れが妨げられる。
【0035】
制御ユニット221は、流量センサ224によって検出される水素ガスの流量Fを取得し(S606)、これを所定値Ftと比較する(S607)。ここで、所定値Ftは、異物が混入していない場合の水素ガスの流量であり、予め実験的に決定される。
【0036】
異物が混入している場合の水素ガスの流量は、異物が混入していない場合の流量Ftよりも小さくなる。そのため、制御ユニット221は、F<Ftである場合(S607=YES)には、水素ガスに異物が混入していると判定し(S608)、F<Ftでない場合(S607=NO)には、水素ガスに異物が混入していないと判定する(S609)。
【0037】
以上説明したように、実施の形態2に係る水素供給装置210は、バルブAの下流から焼結フィルタ18の上流までの間の水素ガスの流量を検出可能な流量センサ224を備えている。制御ユニット221は、ノズル15がレセプタクル16に接続されたことが検知されると、バルブAを開状態にすると共にバルブBを閉状態にすることによって、バルブAの下流から焼結フィルタ18の上流までの間の水素ガスの圧力を所定値まで高めた後、バルブAを閉状態にし、続いてバルブBを開状態にした際に、流量センサ224によって検出される水素ガスの流量Fに基いて、水素ガスに異物が混入しているか否かを判定する。これにより、水素供給装置210は、自機が供給する水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断することができる。
【0038】
なお、実施の形態2において流量センサ224を設ける位置は、焼結フィルタ18とバルブBとの間に限定されるものではなく、バルブAの下流かつバルブBの上流であればよい。
【0039】
また、図7に示されるように、バルブAの下流と焼結フィルタ18の上流とを連通する経路323を予め形成しておき、レセプタクル16の下流は行き止まりにしておいてもよい。このように構成しても、水素供給装置310の制御ユニット321は、図6のフローチャートに示される処理を行うことにより、自機が供給する水素ガスに異物が混入しているか否かを自己診断することができる。なお、水素供給装置310からフォークリフト30に水素ガスを供給する際には、バルブBは閉状態にされる。
【0040】
その他の実施の形態.
実施の形態1,2において、制御ユニットは、水素供給装置からフォークリフト30への水素ガスの供給が終了した後に、ユーザによってノズル15が自機のレセプタクル16に接続されない場合には、ユーザに対してエラーを報知するようにしてもよい。これにより、未使用時にノズル15から水素供給装置の内部に異物が混入するのを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
10,110,210,310 水素供給装置、11 圧縮機(水素圧送手段)、12 蓄圧器(水素圧送手段)、13 減圧弁(水素圧送手段)、15 ノズル(吐出部)、16 レセプタクル(受入部)、17 リミットスイッチ(接続検知手段)、18 焼結フィルタ(フィルタ)、19 排気経路、20 圧力センサ(状態検出手段、圧力センサ)、21,121,221,321 制御ユニット(判定手段)、224 流量センサ(状態検出手段、流量センサ)、A 開閉バルブ(第1のバルブ)、B 開閉バルブ(第2のバルブ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7