(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879897
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/10 20210101AFI20210524BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20210524BHJP
H01M 50/572 20210101ALI20210524BHJP
【FI】
H01M2/02 A
H01M10/04 W
H01M2/34 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-244839(P2017-244839)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2019-114343(P2019-114343A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】梶田 薫
【審査官】
福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−091787(JP,A)
【文献】
特開2013−093119(JP,A)
【文献】
特開2010−097770(JP,A)
【文献】
特許第6085058(JP,B1)
【文献】
特開2014−078331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10−50/198
H01M 50/40−50/497
H01M 50/50−50/598
H01M 10/00−10/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電体が収納されるケースと、前記ケースの上部に溶接により接合される蓋とを有する二次電池であって、
前記ケースは、
前記発電体が納められる発電体収納部と、
前記ケースを短辺側側面から断面視した場合に、前記発電体収納部よりも幅が広く、前記蓋が接合される開口部と、
前記発電体収納部の壁と連続するように形成される壁面であって、一端が前記発電体収納部に接続され、他端が前記開口部と同じ幅に開くように形成されるスロープ部と、を有し、
前記発電体は、前記発電体と前記ケースとを絶縁する袋状の絶縁フィルムに納められた状態で前記発電体収納部に納められ、
前記スロープ部の一端は、前記発電体収納部の壁面、前記絶縁フィルム及び前記発電体が密着状態から離れた状態になる乖離点よりも前記開口部に近い位置に設けられ、
前記絶縁フィルムの開口端は、前記スロープ部の一端よりも前記開口部に近く、かつ、前記蓋に接しない位置に設けられる二次電池。
【請求項2】
前記乖離点は、前記発電体収納部が前記ケースの長辺方向に存在する面が両側から押圧された後の状態で、前記発電体収納部の壁面、前記絶縁フィルム及び前記発電体が密着状態から離れた状態になる請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記開口部と前記スロープ部の他端との間には、前記ケースを短辺側側面から断面視した場合に前記蓋と略直交する壁面が形成される請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記絶縁フィルムは、前記発電体を構成するセパレータよりも厚い請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関し、例えば、発電体が収納されるケースに蓋が溶接により接合される二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池への需要が高まっており、二次電池の生産性向上への要求が高まっている。そこで、二次電池の構造が特許文献1に開示されている。特許文献1に示されるように、二次電池では、袋状の絶縁フィルムに発電体が納められた状態で、発電体がケースに収納される。そして、発電体がケースに収められた状態でケースの開口部に蓋が被せられる、ケースと蓋とがレーザー溶接により接合される。しかしながら、このレーザー溶接工程において、エネルギービーが本体部材内へ侵入すると発電体がダメージを受けることがある。そこで、特許文献2では、エネルギービームのケース内への侵入を防止する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2に記載の電池では、電池ケースは、一対の開口長辺部及び一対の開口短辺部を含む矩形状の開口部を有する有底角筒状の本体部材と、上記開口部内に挿入されて上記開口部を封口してなり、上記一対の開口長辺部にそれぞれ対向する一対の蓋長辺部、及び、上記一対の開口短辺部にそれぞれ対向する一対の蓋短辺部を有する矩形板状の蓋部材と、を有する。そして、上記開口長辺部と上記蓋長辺部、及び、上記開口短辺部と上記蓋短辺部とがエネルギービームによりそれぞれ溶接される。また、上記本体部材の上記開口部のうち、上記一対の開口短辺部は、上記開口短辺部全体にわたり、内側に向けて突出し、上記蓋部材の上記蓋短辺部をそれぞれ支持する短辺内側突出部を有し、上記一対の開口長辺部は、上記開口長辺部全体にわたり、内側に向けて突出すると共に、上記短辺内側突出部よりも上記本体部材の深さ方向に低位とされ、上記蓋部材の上記蓋長辺部と離間してなる長辺内側突出部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−91787号公報
【特許文献2】特開2014−78331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケースと蓋とをレーザー溶接により接合する場合、エネルギービームにより熱せられた蓋或いはケースの部材の一部がスパッタとして飛散することがある。このスパッタが発電体を収納する絶縁フィルム内に入り込むことがある。つまり、特許文献1、2に記載の技術では、スパッタが絶縁フィルム内に入り込むことを十分に防止でき内問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スパッタ等の異物が絶縁フィルム内に侵入を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の二次電池の一態様は、発電体が収納されるケースと、前記ケースの上部に溶接により接合される蓋とを有する二次電池であって、前記ケースは、前記発電体が納められる発電体収納部と、前記ケースを短辺側側面から断面視した場合に、前記発電体収納部よりも幅が広く、前記蓋が接合される開口部と、前記発電体収納部の壁と連続するように形成される壁面であって、一端が前記発電体収納部に接続され、他端が前記開口部と同じ幅に開くように形成されるスロープ部と、を有し、前記発電体は、前記発電体と前記ケースとを絶縁する袋状の絶縁フィルムに納められた状態で前記発電体収納部に納められ、前記スロープ部の一端は、前記発電体収納部の壁面、前記絶縁フィルム及び前記発電体が密着状態から離れた状態になる乖離点よりも前記開口部に近い位置に設けられ、前記絶縁フィルムの開口端は、前記スロープ部の一端よりも前記開口部に近く、かつ、前記蓋に接しない位置に設けられる。
【0008】
本発明にかかる二次電池は、上記構成を有することで、ケースの開口部の外周の直下にケースの壁面と絶縁フィルムとで構成されるトラップ空間が形成されるため、開口部と蓋との間に出来る隙間からケース内に侵入するスパッタ等の異物をトラップ空間でトラップすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の二次電池は、組み立て工程において発生する異物が絶縁フィルム内部に侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる二次電池の外観を説明する図である。
【
図2】実施の形態1にかかる二次電池の短辺側側面から見た断面図である。
【
図3】比較例にかかる二次電池の短辺側側面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
図1に実施の形態1にかかる二次電池1の外観図を示す。
図1に示すように、実施の形態1にかかる二次電池1は、ケース10、蓋20を有する。蓋20は、ケース10の上部に設けられる。また、蓋20には、ケース10内に納められる発電体からの電力の取り出し端子となる正極極柱21P及び負極極柱21Nが設けられる。
【0013】
ケース10は、上面視において短辺部分と長辺部分とを組み合わせた矩形形状を有する。また、ケース10は、短辺側側面から見て蓋20が嵌め込まれる開口部の幅が、底部の幅よりも広くなるように形成される。ケース10の張り出し部(開口部の幅となる部分)と、それ以外の部分(底部の幅)とはスロープ部11により接続される。詳しくは後述する、このスロープ部は、ケース10の半分よりも上側(蓋に近い側)に設けられる。
【0014】
ここで、実施の形態1にかかる二次電池1では、ケース10に蓋20をレーザー溶接により接合する。この蓋20の接合工程の前にはケース10と蓋20との間に隙間ができる。この隙間は、ケース10を上面視(蓋側から見た状態)した場合、ケース10の長辺側の辺と蓋との間にできる。このような隙間がある場合、繰り返し行われるレーザー溶接工程で工程の設備に堆積したスパッタ等の異物がこの隙間からケース10内に入り込むことがある。実施の形態1にかかる二次電池1では、ケース10内に設けられるトラップ空間によりこの異物をトラップすることで、異物による不具合を防止する。以下の説明では、異物の一例としてスパッタが入り込むことについて説明するが、異物はスパッタに限られるものではない。
【0015】
そこで、実施の形態1にかかる二次電池1を短辺側側面から見た断面図を参照して、実施の形態1にかかる二次電池1のスロープ部11の位置及びケース10の構造についてより詳細に説明する。そこで、
図2に実施の形態1にかかる二次電池の短辺側側面から見た断面図を示す。
【0016】
図2に示すように、実施の形態1にかかる二次電池1は、ケース10内に発電体30が納められる。また、発電体30は、袋状の絶縁フィルム31に納められた状態でケース10内に収納される。
図2では、ケース10において発電体30が納められる部分を発電体収納部13とした。発電体30は、正極泊、セパレータ、負極泊のシートを重ねて巻いた捲回体の一部である。この捲回体の最外周はセパレータとなる。また、絶縁フィルム31は、発電体30を構成するセパレータよりも厚い。絶縁フィルム31は、例えば、ポリプロピレン等の樹脂のフィルムである。絶縁フィルムの厚さは、50〜200μm程度である。
【0017】
ここで、捲回体と発電体との関係について説明する。二次電池1では、正極泊、セパレータ、負極泊のシートを重ねて巻いて捲回体を構成する。そして、この正極箔のうち活物質が塗布された領域と、負極箔のうち活物質が塗布された領域と、セパレータとが重ね合わせられる部分が発電体30となる。また、捲回体は、正極箔のうち活物質が塗布されていない領域が発電体30から突出するように形成され、この突出部分に集電板が取り付けられ、集電板二次電池の電極端子となる極柱に接続される。また、捲回体は、負極箔のうち活物質が塗布されていない領域が発電体30から突出するように形成され、この突出部分に集電板が取り付けられ、集電板二次電池の電極端子となる極柱に接続される。
【0018】
ケース10は、蓋20が被せられる開口部の幅をW1、底部の幅をW2とした場合W1>W2の関係を有する。そして、ケース10では、幅の異なる部分の壁面をスロープ部11によって繋ぎ合わせる。また、実施の形態1にかかる二次電池1では、絶縁フィルム31の開口端の位置をスロープ部11の発電体収納部13側の端部Aよりも蓋20側、かつ、蓋20に接しない位置に設定する。
図2では、絶縁フィルム31がスロープ部11の発電体収納部13側の端部Aよりも突出する長さをH1とした。この長さH1は、例えば2〜7mm程度であり、出来るだけ垂直方向(蓋20と直交する方向)に立っていることができる長さであることが好ましい。これは絶縁フィルム31が立っていられない長さであると、スロープ部11側のケース10にくっついてしまい、或いは、発電体30にフィルムがくっついてしまい、後述するトラップ空間12が形成されないためである。
【0019】
ここで、スロープ部11の発電体収納部13側の端部Aの位置について詳細に説明する。実施の形態1にかかる二次電池1は、ケース10に絶縁フィルム31及び発電体30が納められた状態で、発電体収納部13がケース10の長辺方向に存在する面に対して所定の圧力をかけて、ケース10の壁面、絶縁フィルム31、及び発電体30が密着した状態とする。この押圧工程では、発電体30が蓋20側にせり上がる。
図2ではこの押圧工程の後において、発電体収納部13の壁面、記絶縁フィルム31及び発電体30が密着した状態から離れた状態になる乖離点をBとした。スロープ部11の発電体収納部13側の端部Aは、この乖離点Bよりも蓋20側に位置するように設定される。
【0020】
ここで、スロープ部11の端部Aと乖離点Bとの関係について更に詳細に説明する。発電体30の平坦部(例えば乖離点Bより下側の発電体収納部13)は、電池性能を出す等の関係上押圧する必要がある。しかし、乖離点Bが端部Aより上だった場合、発電体30の平坦部の横にトラップ空間が存在し、ひいては異物が存在することになり、異物ごと押圧されてしまう可能性が高くなる。このように異物が挟み込まれた状態で、平坦部に押圧力をかけると、発電体での短絡の可能性も高くなる。また、端部Aが乖離点Bよりも下である場合、平坦部に押圧力をかけにくいという工程上の困難もある。また、端部Aが乖離点Aよりも上である場合、トラップ空間12より下の領域は、ケース10と絶縁フィルム31とが密着しているため、押圧力が加わる部分に異物が混入しにくくなる。
【0021】
スロープ部11の発電体収納部13側の端部A、絶縁フィルム31の突出量H1、及び、ケースの開口部側の幅W1を、上記のように設定することで、ケース10にはトラップ空間12が形成される。
【0022】
図2に示す例では、スロープ部11は、発電体収納部13の壁と連続するように形成される壁面であって、一端が発電体収納部13に接続され、他端が開口部と同じ幅に開くように形成される。そして、ケース10の開口部とスロープ部11の他端との間には、ケースを短辺側側面から断面視した場合に蓋20と略直交する壁面14が形成される。ケース10の開口部とスロープ部11の他端との間の壁面14を設けることでトラップ空間12を広くしてスパッタDSTのトラップ能力を向上させることができる。しかしながら、ケース10の開口部とスロープ部11の他端との間の壁面はなくすことも可能である。
【0023】
上記説明より、実施の形態1にかかる二次電池1では、ケース10に蓋20をレーザー溶接する前の状態では、ケース10と蓋20との間に隙間が出来ている状態となり、この隙間から異物がケース10内に侵入する可能性がある。しかしながら、実施の形態1にかかる二次電池1は、ケース10と蓋20との間に出来る隙間の直下にトラップ空間12が設けられ、仮にケース10と蓋20との間の隙間から異物がケース10内に入り込んでもこの異物をトラップ空間12にトラップして、ケース10の壁面の押圧力が加えられる部分に異物が入り込むことを防止することができる。また、実施の形態1にかかる二次電池1では、絶縁フィルム31がトラップ空間12を形成する壁面の1つを構成するため、スパタDST等の異物が絶縁フィルム31と発電体30との間に入り込むことを防止することができる。なお、仮に絶縁フィルム31とケース10とのうち押圧力がかかる発電体収納部13の領域に異物が入り込んだとしても、絶縁フィルム31は、セパレータよりも厚いため、絶縁フィルム31とセパレータとの間に異物が混入した場合よりも短絡は発生しにくいという効果も実施の形態1にかかる二次電池1は有する。
【0024】
ここで、比較例として、実施の形態1にかかる二次電池1のトラップ空間12を有していない二次電池におけるスパッタDSTの混入について説明する。
図3に比較例にかかる二次電池の短辺側側面から見た断面図を示す。
図3に示すように、トラップ空間12がない場合、ケース10に蓋20を溶接する工程でスパッタDSTが発生すると、ケース10と絶縁フィルム31との間に隙間がなくなるため、スパッタDSTは絶縁フィルム31と発電体30との間に入り込む。そして、その状態で、押圧工程でケース10の壁面に圧力をかけると発電体30がせり上がり、発電体30と絶縁フィルム31或いは発電体収納部13の壁面との間にスパッタDSTが入り込んだ状態でケース10に圧力がかけられることがある。
【0025】
しかしながら、実施の形態1にかかる二次電池1では、トラップ空間12にスパッタDSTをトラップすることで、押圧工程において、発電体30のセパレータにスパッタDSTが接することを防止することができる。また、実施の形態1にかかる二次電池1では、スパッタDSTがトラップ空間12よりも下に入り込んだ場合であっても、スパッタDSTは絶縁フィルム31と発電体収納部13の壁面の間に入り込む。絶縁フィルム31は、発電体30のセパレータよりも厚い部材であるため、スパッタDSTが発電体30のセパレータに触れることを防止することができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 二次電池
10 ケース
11 スロープ部
12 トラップ空間
13 発電体収納部
14 壁面
20 蓋
21P 正極極柱
21N 負極極柱
30 発電体
31 絶縁フィルム