【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、内燃機関及び内燃機関の制御方法は以下の手段を採用する。
即ち、本発明の一態様に係る内燃機関は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備え、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備えることを特徴とする。
【0010】
本態様にかかる内燃機関は、内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備える。これによれば、排ガス中のNOxの排出量を、運転状況の情報(例えば、内燃機関本体への吸気温度など)から推定して、この推定排出量と、実験などに基づくデータから得られる排ガス中のNOxの標準排出量とを制御部によって比較することで、EGRクーラの劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測することができる。なお、標準排出量とは、EGRクーラが劣化していない場合の排ガス中のNOxの排出量である。これによって、予測されたEGRクーラの劣化具合から、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。例えば、排ガス流路に煤が堆積してEGRクーラが劣化(冷却性能が低下)している場合、推定排出量が標準排出量よりも高くなると予想される。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラのクリーニングを行えば良い。クリーニングの要否の判断基準のひとつである標準排出量は、内燃機関本体の運転状態から決定されるので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。
【0011】
本発明の
参考例に係る内燃機関は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備え、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
本態様にかかる内燃機関は、EGRクーラ出口側で得られた出口水温(実際の出口水温)と、予め得られたEGRクーラ出口側の標準出口水温とを比較してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備える。これによれば、EGRクーラ出口側で得られた冷却水の出口水温と、実験などに基づくデータから得られるEGRクーラ出口側の冷却水の標準出口水温とを制御部によって比較することで、EGRクーラの劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測することができる。なお、標準出口水温とは、EGRクーラが劣化していない場合のEGRクーラ出口側の冷却水の水温である。これによって、予測されたEGRクーラの劣化具合から、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。例えば、排ガス流路に煤が堆積してEGRクーラが劣化している場合、出口水温が標準出口水温よりも高くなると予想される。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラのクリーニングを行えば良い。クリーニングの要否の判断基準のひとつである出口水温は、実際の冷却水の出口水温なので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。
【0013】
本発明の一態様に係る内燃機関は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備え、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求め、前記温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備えることを特徴とする。
【0014】
本態様にかかる内燃機関は、EGRクーラ出口側で得られた出口水温(実際の出口水温)と、予め得られたEGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求め、温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備える。これによれば、EGRクーラ出口側で得られた冷却水の出口水温と、実験などに基づくデータから得られるEGRクーラ出口側の冷却水の標準出口水温とを制御部によって比較することができる。この比較によって、EGRクーラのクリーニングが不要と判断されなかった場合、排ガス中のNOxの推定排出量と、実験などに基づくデータから得られる排ガス中のNOxの標準排出量とを制御部によって比較することで、EGRクーラの劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラのクリーニングを行えば良い。この2段階のクリーニングの要否判断によって、クリーニング周期の最大化を図ることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記制御部は、前記EGRクーラの運転時間が所定時間経過した後に、前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことを特徴とする。
【0016】
本態様にかかる内燃機関において、制御部は、前記EGRクーラの運転時間が所定時間経過した後に、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う。これによれば、EGRクーラの使用を開始した時から所定時間が経過するまでは、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行わないこととなる。EGRクーラの使用開始初期は、冷却が安定せず、適切にクリーニングの要否判断を行うことができない可能性がある。この冷却が安定しない使用開始初期の時期においてEGRクーラのクリーニングの要否判断を行わないこととすれば、使用開始初期のクリーニングの要否の誤判断を防止できる。
【0017】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記推定排出量は、前記内燃機関本体への燃焼用ガスの給気温度及び予め得られた燃焼用ガスの標準給気温度の比較によって決定される排出補正係数と、前記標準排出量とによって得られ
、前記標準給気温度は、前記EGRクーラが劣化していない場合における燃焼用ガスの給気温度であることを特徴とする。
【0018】
本態様にかかる内燃機関において、推定排出量は、内燃機関本体への燃焼用ガスの給気温度(実際の給気温度)及び予め得られた燃焼用ガスの標準給気温度の比較によって決定される排出補正係数と、標準排出量とによって得られる。これによれば、推定排出量は、燃焼用ガスの実際の給気温度を用いて決定されているので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減に対応したNOxの排出量の推定を行うことができる。なお、標準給気温度とは、EGRクーラが劣化していない場合の燃焼用ガスの給気温度である。
【0019】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記標準排出量は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする。
【0020】
本態様にかかる内燃機関において、標準排出量は、予め得られた実験データに基づいて、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定される。これによれば、標準排出量は、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されているので、内燃機関本体の運転状況に対応した適切な標準排出量を即時的に得られる。なお、標準排出量とは、同条件の回転数と噴射量におけるEGRクーラが劣化していない場合の排ガス中のNOxの排出量である。標準排出量は、例えば、予め得られた実験データから作成されたマップ上に、運転時の回転数と運転時の燃料噴射量とを当てはめることで一義的に得られる。
【0021】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記標準出口水温は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする。
【0022】
本態様にかかる内燃機関において、標準出口水温は、予め得られた実験データに基づいて、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定される。これによれば、標準出口水温は、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されているので、内燃機関本体の運転状況に対応した適切な標準出口水温を即時的に得られる。なお、標準出口水温とは、同条件の回転数と噴射量におけるEGRクーラが劣化していない場合のEGRクーラ出口側の冷却水の水温である。標準出口水温は、例えば、予め得られた実験データから作成されたマップ上に、運転時の回転数と運転時の燃料噴射量とを当てはめることで一義的に得られる。
【0023】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記標準給気温度は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする。
【0024】
本態様にかかる内燃機関において、標準給気温度は、予め得られた実験データに基づいて、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定される。これによれば、標準給気温度は、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されているので、内燃機関本体の運転状況に対応した適切な標準給気温度を即時的に得られる。なお、標準給気温度とは、同条件の回転数と噴射量におけるEGRクーラが劣化していない場合のEGRクーラ出口側の冷却水の水温である。標準給気温度は、例えば、予め得られた実験データから作成されたマップ上に、運転時の回転数と運転時の燃料噴射量とを当てはめることで一義的に得られる。
【0025】
本発明の一態様に係る内燃機関の制御方法は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備える内燃機関の制御方法であって、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップを含むことを特徴とする。
【0026】
これによれば、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関の制御方法を提供できる。
【0027】
本発明の
参考例に係る内燃機関の制御方法は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備える内燃機関の制御方法であって、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップを含むことを特徴とする。
【0028】
これによれば、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関の制御方法を提供できる。
【0029】
本発明の一態様に係る内燃機関の制御方法は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備える内燃機関の制御方法であって、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求めるステップと、前記温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0030】
これによれば、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関の制御方法を提供できる。