特許第6879901号(P6879901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6879901-内燃機関及び内燃機関の制御方法 図000002
  • 特許6879901-内燃機関及び内燃機関の制御方法 図000003
  • 特許6879901-内燃機関及び内燃機関の制御方法 図000004
  • 特許6879901-内燃機関及び内燃機関の制御方法 図000005
  • 特許6879901-内燃機関及び内燃機関の制御方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879901
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】内燃機関及び内燃機関の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/50 20160101AFI20210524BHJP
   F02M 26/28 20160101ALI20210524BHJP
   F02M 26/46 20160101ALI20210524BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20210524BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   F02M26/50 301
   F02M26/28
   F02M26/46 C
   F02D21/08 301Z
   F02D45/00 368Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-254121(P2017-254121)
(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公開番号】特開2019-120159(P2019-120159A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】上田 裕之
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−103089(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/135377(WO,A1)
【文献】 特開2007−040186(JP,A)
【文献】 特開2014−080925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00〜26/74
F02D 21/08
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、
前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、
を備え、
前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備え
前記推定排出量は、前記内燃機関本体への燃焼用ガスの給気温度及び予め得られた燃焼用ガスの標準給気温度の比較によって決定される排出補正係数と、前記標準排出量と、によって得られ、
前記標準給気温度は、前記EGRクーラが劣化していない場合における燃焼用ガスの給気温度であることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、
前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、
を備え、
前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求め、前記温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項3】
前記制御部は、前記EGRクーラの運転時間が所定時間経過した後に、前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記標準排出量は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項5】
前記標準出口水温は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記標準給気温度は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする請求項に記載の内燃機関。
【請求項7】
内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、
前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、
を備える内燃機関の制御方法であって、
前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップを含み、
前記推定排出量は、前記内燃機関本体への燃焼用ガスの給気温度及び予め得られた燃焼用ガスの標準給気温度の比較によって決定される排出補正係数と、前記標準排出量と、によって得られ、
前記標準給気温度は、前記EGRクーラが劣化していない場合における燃焼用ガスの給気温度であることを特徴とする内燃機関の制御方法。
【請求項8】
内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、
前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、
を備え内燃機関の制御方法であって、
前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求めるステップと、
前記温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップと、
を含むことを特徴とする内燃機関の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関及び内燃機関の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出される排ガスに含まれるNOxを低減させる手段として、EGR(排ガス再循環)が採用されることがある。このEGRは、ディーゼルエンジンの燃焼室から排出された排ガスの一部を燃焼室に供給される燃焼用ガスと混合することで、再びディーゼルエンジンの燃焼室に供給させるものである。排ガスは、燃焼用ガスと比較して酸素濃度が低いことから、排ガスが混合された燃焼用ガスは、酸素濃度が低下する。したがって、燃料と酸素との反応である燃焼の最高到達温度を低下させることができ、NOxの発生量を低減することができる。
【0003】
燃焼室から排出された排ガスは高温であるため、そのまま燃焼室に再供給した場合、燃焼室内部の温度が高温になり、NOxの発生量が増加する虞がある。このため、EGRクーラによって燃焼室に再供給する排ガスを冷却する手段が採用される。また、排ガスを冷却して排ガスの密度を高めることで、燃焼室への吸気充填効率の向上を実現することもできる。
【0004】
ところが、燃焼室から排出された排ガスには、煤などの粒子状物質が含まれており、EGRクーラの排ガス流路に付着してしまう。付着した煤は徐々に堆積してしまい、冷却性能を低下させてしまう虞がある。
【0005】
特許文献1においては、EGRクーラにおける排ガスの冷却を一旦止め、敢えて高温の排ガス流路に流通させ排ガス流路の温度を上昇させることで、堆積した煤の水分を蒸発させて煤を取り除くこととしている。また、そのクリーニングのタイミングは、エンジンの運転時間によって管理され、運転時間についての所定の条件を満たした場合にクリーニング(冷却を止める制御)が開始されることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−79898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1におけるエンジンが備えるEGRクーラにおいては、堆積した煤の除去を運転時間によって管理しているため、予期せぬNOxの増大が発生した場合に適切に対応することができずに、冷却性能が低下した状態が継続する虞がある。また、冷却性能が低下した場合、冷却されるはずの排ガスが高温の状態で燃焼室に供給されるので、燃焼室内部が高温となり燃焼によるNOxの発生量が増加してしまう。結果として、大気中へ排出される排ガスのNOx含有量が増加して、排ガス規制を超過する虞がある。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、予期せぬNOxの増減の影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関及び内燃機関の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、内燃機関及び内燃機関の制御方法は以下の手段を採用する。
即ち、本発明の一態様に係る内燃機関は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備え、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備えることを特徴とする。
【0010】
本態様にかかる内燃機関は、内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備える。これによれば、排ガス中のNOxの排出量を、運転状況の情報(例えば、内燃機関本体への吸気温度など)から推定して、この推定排出量と、実験などに基づくデータから得られる排ガス中のNOxの標準排出量とを制御部によって比較することで、EGRクーラの劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測することができる。なお、標準排出量とは、EGRクーラが劣化していない場合の排ガス中のNOxの排出量である。これによって、予測されたEGRクーラの劣化具合から、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。例えば、排ガス流路に煤が堆積してEGRクーラが劣化(冷却性能が低下)している場合、推定排出量が標準排出量よりも高くなると予想される。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラのクリーニングを行えば良い。クリーニングの要否の判断基準のひとつである標準排出量は、内燃機関本体の運転状態から決定されるので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。
【0011】
本発明の参考例に係る内燃機関は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備え、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
本態様にかかる内燃機関は、EGRクーラ出口側で得られた出口水温(実際の出口水温)と、予め得られたEGRクーラ出口側の標準出口水温とを比較してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備える。これによれば、EGRクーラ出口側で得られた冷却水の出口水温と、実験などに基づくデータから得られるEGRクーラ出口側の冷却水の標準出口水温とを制御部によって比較することで、EGRクーラの劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測することができる。なお、標準出口水温とは、EGRクーラが劣化していない場合のEGRクーラ出口側の冷却水の水温である。これによって、予測されたEGRクーラの劣化具合から、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。例えば、排ガス流路に煤が堆積してEGRクーラが劣化している場合、出口水温が標準出口水温よりも高くなると予想される。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラのクリーニングを行えば良い。クリーニングの要否の判断基準のひとつである出口水温は、実際の冷却水の出口水温なので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる。
【0013】
本発明の一態様に係る内燃機関は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備え、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求め、前記温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備えることを特徴とする。
【0014】
本態様にかかる内燃機関は、EGRクーラ出口側で得られた出口水温(実際の出口水温)と、予め得られたEGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求め、温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う制御部を備える。これによれば、EGRクーラ出口側で得られた冷却水の出口水温と、実験などに基づくデータから得られるEGRクーラ出口側の冷却水の標準出口水温とを制御部によって比較することができる。この比較によって、EGRクーラのクリーニングが不要と判断されなかった場合、排ガス中のNOxの推定排出量と、実験などに基づくデータから得られる排ガス中のNOxの標準排出量とを制御部によって比較することで、EGRクーラの劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測してEGRクーラのクリーニングの要否判断を行う。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラのクリーニングを行えば良い。この2段階のクリーニングの要否判断によって、クリーニング周期の最大化を図ることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記制御部は、前記EGRクーラの運転時間が所定時間経過した後に、前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことを特徴とする。
【0016】
本態様にかかる内燃機関において、制御部は、前記EGRクーラの運転時間が所定時間経過した後に、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行う。これによれば、EGRクーラの使用を開始した時から所定時間が経過するまでは、EGRクーラのクリーニングの要否判断を行わないこととなる。EGRクーラの使用開始初期は、冷却が安定せず、適切にクリーニングの要否判断を行うことができない可能性がある。この冷却が安定しない使用開始初期の時期においてEGRクーラのクリーニングの要否判断を行わないこととすれば、使用開始初期のクリーニングの要否の誤判断を防止できる。
【0017】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記推定排出量は、前記内燃機関本体への燃焼用ガスの給気温度及び予め得られた燃焼用ガスの標準給気温度の比較によって決定される排出補正係数と、前記標準排出量とによって得られ、前記標準給気温度は、前記EGRクーラが劣化していない場合における燃焼用ガスの給気温度であることを特徴とする。
【0018】
本態様にかかる内燃機関において、推定排出量は、内燃機関本体への燃焼用ガスの給気温度(実際の給気温度)及び予め得られた燃焼用ガスの標準給気温度の比較によって決定される排出補正係数と、標準排出量とによって得られる。これによれば、推定排出量は、燃焼用ガスの実際の給気温度を用いて決定されているので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減に対応したNOxの排出量の推定を行うことができる。なお、標準給気温度とは、EGRクーラが劣化していない場合の燃焼用ガスの給気温度である。
【0019】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記標準排出量は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする。
【0020】
本態様にかかる内燃機関において、標準排出量は、予め得られた実験データに基づいて、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定される。これによれば、標準排出量は、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されているので、内燃機関本体の運転状況に対応した適切な標準排出量を即時的に得られる。なお、標準排出量とは、同条件の回転数と噴射量におけるEGRクーラが劣化していない場合の排ガス中のNOxの排出量である。標準排出量は、例えば、予め得られた実験データから作成されたマップ上に、運転時の回転数と運転時の燃料噴射量とを当てはめることで一義的に得られる。
【0021】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記標準出口水温は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする。
【0022】
本態様にかかる内燃機関において、標準出口水温は、予め得られた実験データに基づいて、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定される。これによれば、標準出口水温は、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されているので、内燃機関本体の運転状況に対応した適切な標準出口水温を即時的に得られる。なお、標準出口水温とは、同条件の回転数と噴射量におけるEGRクーラが劣化していない場合のEGRクーラ出口側の冷却水の水温である。標準出口水温は、例えば、予め得られた実験データから作成されたマップ上に、運転時の回転数と運転時の燃料噴射量とを当てはめることで一義的に得られる。
【0023】
本発明の一態様に係る内燃機関において、前記標準給気温度は、予め得られた実験データに基づいて、前記内燃機関本体の運転時の回転数と前記内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されることを特徴とする。
【0024】
本態様にかかる内燃機関において、標準給気温度は、予め得られた実験データに基づいて、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定される。これによれば、標準給気温度は、内燃機関本体の運転時の回転数と内燃機関本体への運転時の燃料噴射量とによって決定されているので、内燃機関本体の運転状況に対応した適切な標準給気温度を即時的に得られる。なお、標準給気温度とは、同条件の回転数と噴射量におけるEGRクーラが劣化していない場合のEGRクーラ出口側の冷却水の水温である。標準給気温度は、例えば、予め得られた実験データから作成されたマップ上に、運転時の回転数と運転時の燃料噴射量とを当てはめることで一義的に得られる。
【0025】
本発明の一態様に係る内燃機関の制御方法は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備える内燃機関の制御方法であって、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップを含むことを特徴とする。
【0026】
これによれば、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関の制御方法を提供できる。
【0027】
本発明の参考例に係る内燃機関の制御方法は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備える内燃機関の制御方法であって、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップを含むことを特徴とする。
【0028】
これによれば、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関の制御方法を提供できる。
【0029】
本発明の一態様に係る内燃機関の制御方法は、内燃機関本体から排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記内燃機関本体に再循環させるEGRラインと、前記EGRラインに設けられて冷却水によって排ガスを冷却するEGRクーラと、を備える内燃機関の制御方法であって、前記EGRクーラ出口側で得られた出口水温と、予め得られた前記EGRクーラ出口側の標準出口水温との温度差分を求めるステップと、前記温度差分が予め設定された所定温度差分以上となった場合、前記内燃機関本体の運転状態から決定されるNOxの推定排出量と、予め得られたNOxの標準排出量とを比較して前記EGRクーラのクリーニングの要否判断を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0030】
これによれば、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関の制御方法を提供できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る内燃機関及び内燃機関の制御方法によれば、予期せぬNOxの増減の影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラのクリーニングの要否判断を行うことができる内燃機関及び内燃機関の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るディーゼルエンジンのクリーニング要否判断の方法を示すブロック図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るディーゼルエンジンのクリーニング要否判断の方法を示すブロック図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るディーゼルエンジンのクリーニング要否判断の方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る内燃機関及び内燃機関の制御方法の一実施形態について図1乃至5を用いて説明する。
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至2を用いて説明する。
【0035】
まず、本実施形態に係るディーゼルエンジン(内燃機関)10の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態のディーゼルエンジン10は、エンジン本体(内燃機関本体)12、給気マニホルド14、排気マニホルド16、ラジエータ18、ラジエータファン19、EGRクーラ20を備えている。
【0036】
エンジン本体12は、紙面に垂直な方向に延在するシリンダ12aが複数(図1においては4つ)設けられたシリンダブロック12bを備えている。各シリンダ12a内には、ピストン(図示せず)がシリンダ12aの延在方向に往復運動可能に保持されている。各ピストンはコネクティングロッド(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)に連結されている。クランクシャフトは、ピストンの往復運動を回転運動に変換する。また、エンジン本体12には、各シリンダ12a内の燃焼室(図示せず)に燃料を噴射する燃料噴射弁(図示せず)が設けられている。燃料噴射弁によって燃焼室に噴射される燃料の噴射量は、制御部(図示せず)によって制御されている。
【0037】
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0038】
給気マニホルド14は、エンジン本体12に隣接する形態で配置されている。給気マニホルド14は、エンジン本体12が備える各シリンダ12aの燃焼室に給気される燃焼用ガスを一括して取り込んだ後、各燃焼室に分配する。給気マニホルド14には、気体が流通可能な給気ラインG1が接続されており、給気マニホルド14は、給気ラインG1から主として空気を含む燃焼用ガスを取り込む。給気マニホルド14には、燃焼用ガスの温度を計測可能な温度センサ32が設けられている。温度センサ32の出力は、図示しない制御部に接続されている。
【0039】
排気マニホルド16は、エンジン本体12に隣接するとともに給気マニホルド14に対向する形態で配置されている。排気マニホルド16は、エンジン本体12が備える各シリンダ12aの燃焼室から排出される排ガスを、それぞれ取り込んだ後、一括して排気マニホルド16の外部に排気する。排気マニホルド16には、気体が流通可能なEGRラインG2が接続されており、排気マニホルド16は、EGRラインG2から排ガスの一部を排出して、後述するEGRクーラ20に排ガスを導く。
【0040】
ラジエータ18は、エンジン本体12の外部に設けられている。ラジエータ18は、外気を送風するラジエータファン19を備える。ラジエータ18は、エンジン本体12の冷却時の熱交換によって加熱された冷却水を、ラジエータファン19によって送風される外気との熱交換により冷却する。
【0041】
エンジン本体12とラジエータ18とは、冷却水往ラインW1,冷却水復ラインW2によって接続されている。
冷却水往ラインW1は、ラジエータ18によって冷却された冷却水を、エンジン用ポンプ(ポンプ)22によってエンジン本体12内に導く。冷却水往ラインW1のエンジン本体12の冷却水入口側には、温度センサ30が設けられており、流通する冷却水の温度を計測できる。温度センサ30の出力は、図示しない制御部に接続されている。
冷却水復ラインW2は、エンジン本体12内を流通した冷却水を再びラジエータ18に導く。冷却水復ラインW2のエンジン本体12の冷却水出口側には、温度センサ31が設けられており、流通する冷却水の温度を計測できる。温度センサ31の出力は、図示しない制御部に接続されている。
【0042】
冷却水往ラインW1と冷却水復ラインW2とは、三方弁26及び冷却水バイパスラインW3によって接続されている。三方弁26は、冷却水の温度に応じて流通方向を変更することができ、図示しない制御部よって制御される。
例えば、温度センサ30によって計測される冷却水往ラインW1を流通する冷却水の温度が、エンジン本体12の冷却に必要な水温に対して十分低温であると制御部によって判断された場合、三方弁26は冷却水を冷却水バイパスラインW3に流通させる。即ち、冷却水は、冷却水復ラインW2、三方弁26、冷却水バイパスラインW3、冷却水往ラインW1の順に流通する。これに対して、冷却水往ラインW1を流通する冷却水の温度が、エンジン本体12の冷却に必要な水温に対して十分低温でないと制御部によって判断された場合、三方弁26は冷却水をラジエータ18に流通させる。即ち、冷却水は、冷却水復ラインW2、三方弁26、ラジエータ18、冷却水往ラインW1の順に流通する。このとき、冷却水はラジエータ18によって冷却される。
【0043】
EGRクーラ20は、エンジン本体12の外部に設けられている。EGRクーラ20には、冷却水復ラインW2の一部が分岐したEGR冷却水ラインW4が接続されており、冷却水復ラインW2を流通する冷却水の一部を、EGRクーラ用ポンプ(ポンプ)24によってEGRクーラ20に導く。また、EGRクーラ20には、EGRラインG2が接続されており、排ガスの一部がEGRクーラ20に導かれる。EGRクーラ20内にて、冷却水と排ガスとが熱交換を行うことで排ガスが冷却される。
熱交換によって加熱された冷却水は、EGR冷却水ラインW4を流通して、冷却水復ラインW2を流通する冷却水に混合される。熱交換によって冷却された排ガスは、EGRラインG2を流通して、給気ラインG1を流通する燃焼用ガスに混合される。
【0044】
次に、本実施形態に係るディーゼルエンジン10のクリーニング要否判断について説明する。
図2に示すような本実施形態に係るディーゼルエンジン10のクリーニング要否は、図示しない制御部によって行われ、NOxの推定排出量とNOxの標準排出量との差分を排出量差分算出部64で算出して、その差分と予め設定してある所定値とを排出量所定値比較部65で比較することで判断される。本実施形態の場合、差分が所定値よりも大きい場合、次にディーゼルエンジン10を起動させるタイミングでクリーニング(後述)を行う。
【0045】
NOxの標準排出量とは、EGRクーラ20が劣化していない場合の排ガス中のNOxの排出量である。ここで劣化とは、EGRクーラ20の排ガス流通経路が排ガス内の煤などによって汚れて冷却性能が低下することを言う。NOxの標準排出量は、予め得られた実験データを参考に作成されたマップ(標準排出量マップ)M2を基に、図示しない回転検知センサによって検知されるエンジン本体12の回転数と制御部によって制御される燃料噴射量とから標準排出量決定部61で一義的に決定される。即ち、運転時のエンジン本体12の回転数と燃料噴射量に対応した、EGRクーラ20が劣化していない場合のNOxの排出量が即時的に決定される。
【0046】
NOxの推定排出量とは、運転時のEGRクーラ20の劣化を考慮した場合のNOxの排出量の推定値であり、NOxの標準排出量と補正係数とから推定排出量算出部63で算出される。詳細には、NOxの標準排出量と補正係数とを乗算することで算出される。補正係数は、温度センサ32によって計測される燃焼用ガス給気温度と燃焼用ガスの標準給気温度との差分から補正係数算出部62で算出される。
【0047】
燃焼用ガスの標準給気温度とは、EGRクーラ20が劣化していない場合の燃焼用ガスの給気温度である。燃焼用ガスの標準給気温度は、予め得られた実験データを参考に作成されたマップ(標準給気温度マップ)M1を基に、図示しない回転検知センサによって検知されるエンジン本体12の回転数と制御部によって制御される燃料噴射量とから標準給気温度決定部60で一義的に決定される。即ち、運転時のエンジン本体12の回転数と燃料噴射量に対応した、EGRクーラ20が劣化していない場合の燃焼用ガスの給気温度が即時的に決定される。
【0048】
次に、本実施形態に係るディーゼルエンジン10のクリーニングについて説明する。
クリーニングとは、排ガス内の煤が堆積して汚れたEGRクーラ20の排ガス流通経路を清掃することである。
【0049】
クリーニングは、EGRクーラ20の冷却性能を一時的に上げることで実現する。排ガスは、水蒸気を含んでいることから、排ガスの流通経路に堆積する煤内に水蒸気が閉じ込められている。そのため、EGRクーラ20の冷却性能を一時的に上げると、排ガスの流通経路に堆積している煤が冷却され、煤内の水蒸気は凝縮して水となる。煤内で凝縮水が生成されると、体積が膨張することから、堆積した煤は、煤内で生成された凝縮水によって持ち上げられて、排ガスの流通経路から剥離しやすくなる。この状態で、排ガスを流通させると、排ガスの接触圧力によって堆積した煤が剥離して除去される。EGRクーラ20の冷却性能を上げる方法としては、例えば、冷却水往ラインW1及び冷却水復ラインW2に設けられる流量加減弁(図示せず)の開度や、ポンプ22,24の出力を調整して、EGRクーラ20を循環する冷却水を通常運転時以上に流通させる方法などがある。
【0050】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
排ガス中のNOxの排出量を、運転状況の情報から推定して、この推定排出量と、実験などに基づくデータから得られる排ガス中のNOxの標準排出量とを制御部によって比較することで、EGRクーラ20の劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測することができる。これによって、予測されたEGRクーラ20の劣化具合から、EGRクーラ20のクリーニングの要否判断を行うことができる。例えば、排ガス流路に煤が堆積してEGRクーラ20が劣化(冷却性能が低下)している場合、推定排出量が標準排出量よりも高くなると予想される。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラ20のクリーニングを行えば良い。推定排出量は、エンジン本体12への燃焼用ガスの給気温度(実際の給気温度)及び予め得られた燃焼用ガスの標準給気温度の比較によって決定される排出補正係数と、標準排出量とによって得られる。標準給気温度及び標準排出量は、エンジン本体12の運転時の回転数とエンジン本体12への運転時の燃料噴射量とによって決定されているので、エンジン本体12の運転状況に対応した適切な標準値を即時的に得られる。したがって、推定排出量、標準給気温度、標準排出量は、エンジン本体12の運転状態から即時的に決定されるので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラ20のクリーニングの要否判断を行うことができる。
また、排出補正係数を算出する際に用いられる燃焼用ガスの給気温度を計測する温度センサ32は、もともと設置されている温度センサであるため、温度センサを追設せずともクリーニングの要否判断を行うことができる。
【0051】
参考実施形態〕
次に、本発明の参考実施形態について図3乃至4を用いて説明する。
本実施形態は、上述した第1実施形態に対して、温度センサ33が追加された点とクリーニングの要否判断の方法が異なり、その他の点については同様である。したがって、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0052】
まず、本実施形態に係るディーゼルエンジン10’の構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態に係るディーゼルエンジン10’は、EGRクーラ20の出口側のEGR冷却水ラインW4に温度センサ33を備える。温度センサ33は、EGR冷却水ラインW4のEGRクーラ20の出口側に流通する冷却水の温度(出口水温)を計測できる。温度センサ33の出力は、図示しない制御部に接続されている。
【0053】
次に、本実施形態に係るディーゼルエンジン10’のクリーニング要否判断について説明する。
図4に示すような本実施形態に係るディーゼルエンジン10’のクリーニング要否は、図示しない制御部によって行われ、温度センサ33によって計測されるEGRクーラ20の出口水温と、EGRクーラ20の標準出口水温との差分を出口水温差分算出部71で算出して、その差分と予め設定してある所定値とを水温所定値比較部72で比較することで判断される。本実施形態の場合、差分が所定値よりも大きい場合、次にディーゼルエンジン10’を起動させるタイミングでクリーニングを行う。
【0054】
EGRクーラ20の標準出口水温とは、EGRクーラ20が劣化していない場合のEGRクーラ20の出口側の冷却水の水温である。EGRクーラ20の標準出口水温は、予め得られた実験データを参考に作成されたマップM3を基に、図示しない回転検知センサによって検知されるエンジン本体12の回転数と制御部によって制御される燃料噴射量とから標準出口水温決定部70で一義的に決定される。即ち、運転時のエンジン本体12の回転数と燃料噴射量に対応した、EGRクーラ20が劣化していない場合のEGRクーラ20の出口側の冷却水の水温が即時的に決定される。
【0055】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
EGRクーラ出口側で得られた冷却水の出口水温と、実験などに基づくデータから得られるEGRクーラ20出口側の冷却水の標準出口水温とを制御部によって比較することで、EGRクーラ20の劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測することができる。これによって、予測されたEGRクーラ20の劣化具合から、EGRクーラ20のクリーニングの要否判断を行うことができる。例えば、排ガス流路に煤が堆積してEGRクーラ20が劣化している場合、出口水温が標準出口水温よりも高くなると予想される。そして、クリーニングの要否判断にてクリーニングが必要と判断された場合にのみ、EGRクーラ20のクリーニングを行えば良い。出口水温は、実際の冷却水の出口水温である。標準出口水温は、エンジン本体12の運転時の回転数とエンジン本体12への運転時の燃料噴射量とによって決定されている。したがって、出口水温、標準出口水温は、エンジン本体12の運転状態から即時的に決定されるので、運転時間などの経時的な要素では予測できない、予期せぬNOxの増減による影響を受けずに、然るべきタイミングでEGRクーラ20のクリーニングの要否判断を行うことができる。
なお、本実施形態においては、標準出口水温の換わりに温度センサ31によって計測されるエンジン本体12の出口側の冷却水の水温を用いても良い。エンジン本体12の出口側の冷却水の水温は、EGRクーラ20入口側の冷却水の水温にほぼ等しいため、実質的に、EGRクーラ20出入口の冷却水の水温を比較することになる。これによっても、EGRクーラ20の劣化具合(冷却性能の低下具合)を予測することができる。
【0056】
〔第実施形態〕
以下、本発明の第実施形態について図5を用いて説明する。
本実施形態は、上述した第1及び参考実施形態に対して、クリーニングの要否判断の方法が異なり、その他の点については同様である。したがって、第1及び参考実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0057】
本実施形態に係るディーゼルエンジン10,10’のクリーニング要否は、参考実施形態と第1実施形態との組合せに相当し、図示しない制御部によって行われる。
まず、第1ステップとして参考実施形態と同様の方法によってクリーニング要否判断を制御部で行う。詳細には、温度センサ33によって計測されるEGRクーラ20の出口水温と、EGRクーラ20の標準出口水温との差分を出口水温差分算出部71で算出して、その差分と予め設定してある所定値とを水温所定値比較部72で比較する。第1ステップにてクリーニングは不要(差分が所定値より小さい)と判断されなかった場合にのみ、第2ステップに移行する。第2ステップとして第1実施形態と同様の方法によってクリーニング要否判断を行う。詳細には、NOxの推定排出量とNOxの標準排出量との差分を排出量差分算出部64で算出して、その差分と予め設定してある所定値とを排出量所定値比較部65で比較する。本実施形態の場合、差分が所定値よりも大きい場合、次にディーゼルエンジン10を起動させるタイミングでクリーニングを行う。NOxの推定排出量、NOxの標準排出量、EGRクーラの標準出口水温については、第1及び参考実施形態で述べた通りである。
【0058】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
2段階のクリーニングの要否判断によって、クリーニング周期の最大化を図ることができる。即ち、過剰なクリーニングを避けることで、省エネルギ化を図ることができる。
【0059】
なお、実施形態において、制御部は、EGRクーラ20の運転時間が所定時間(例えば、30時間)経過した後に、EGRクーラ20のクリーニングの要否判断を開始することとしても良い。EGRクーラ20の使用開始初期においては、冷却が安定しないため、適切にクリーニングの要否判断を行うことができない可能性がある。この冷却が安定しない使用開始初期においてEGRクーラ20のクリーニングの要否判断を行わないこととすれば、使用開始初期のクリーニングの要否の誤判断を防止できる。
【符号の説明】
【0060】
10,10’ ディーゼルエンジン(内燃機関)
12 エンジン本体(内燃機関本体)
14 給気マニホルド
16 排気マニホルド
18 ラジエータ
20 EGRクーラ
22 エンジン用ポンプ(ポンプ)
24 EGRクーラ用ポンプ(ポンプ)
26 三方弁
30,31,32,33 温度センサ
W1 冷却水往ライン
W2 冷却水復ライン
W3 冷却水バイパスライン
W4 EGR冷却水ライン
G1 給気ライン
G2 EGRライン
図1
図2
図3
図4
図5