特許第6879911号(P6879911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879911
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】丸編み機
(51)【国際特許分類】
   D04B 9/06 20060101AFI20210524BHJP
   D04B 15/16 20060101ALI20210524BHJP
   D04B 15/18 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   D04B9/06
   D04B15/16
   D04B15/18
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-527744(P2017-527744)
(86)(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公表番号】特表2018-503000(P2018-503000A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2015077100
(87)【国際公開番号】WO2016091552
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】102014118217.0
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591027710
【氏名又は名称】ジプラ パテントエントビクルングス−ウント ベタイリグングスゲゼルシャフト エムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SIPRA PATENTENTWICKLUNGS−UND BETEILIGUNGS−GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ボス・ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ライク・ツォーラン
【審査官】 住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−097403(JP,A)
【文献】 米国特許第07204103(US,B1)
【文献】 特開平07−034361(JP,A)
【文献】 特開2004−100139(JP,A)
【文献】 特開2004−332191(JP,A)
【文献】 特開2009−293180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 3/00−19/00
D04B 23/00−39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸編み機であって、この丸編み機がニードルシリンダ(11)とダイヤル(12)を有し、
前記ニードルシリンダ(11)の内において、シリンダニードル(13)が長手方向に位置移動可能支承されており、
前記ダイヤル(12)の内において、ダイヤルニードル(14)が半径方向に位置移動可能に支承されている様式の上記丸編み機において、
前記シリンダニードル(13)に所属して設けられた、シンカとして形成された補助エレメント(15)、および、
前記ダイヤルニードル(14)に所属して設けられた、シンカとして形成された補助エレメント(16)、並びに、
前記シリンダニードル(13)、および、前記ダイヤルニードル(14)への、別個の糸供給部、が設けられていること、および、
前記シリンダニードル(13)と、前記ダイヤルニードル(14)とでもって、同時に、別個の丸編み地−製品帯状体(19、20)が製造可能であり、
その際、前記ダイヤルニードル(14)によって形成された前記丸編み地−製品帯状体(20)が、前記シリンダニードル(13)によって形成されたこの丸編み地−製品帯状体(19)の内側に位置していること、および、
編み目形成における、前記ダイヤルニードル(14)の送出し移動の際に、所属する、シンカとして形成された前記補助エレメント(16)が、引戻し移動を行うこと、および、編み目形成における、前記ダイヤルニードル(14)の引戻し移動の際に、所属する前記補助エレメント(16)が、送出し移動を行うこと、
を特徴とする丸編み機。
【請求項2】
前記シリンダニードル(13)と、前記ダイヤルニードル(14)とでもって、
それぞれに、同一の、または、異なる、編み地(19、20)、または、異なる繊度の編み地が製造可能であることを特徴とする請求項1に記載の丸編み機。
【請求項3】
前記ダイヤル(12)は、前記ニードルシリンダ(11)よりも小さな直径を有しており、および、前記ダイヤルニードル(14)と前記シリンダニードル(13)とによって、異なる直径の編み地が製造可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の丸編み機。
【請求項4】
前記シリンダニードル(13)、および、前記ダイヤルニードル(14)によって形成された前記丸編み地−製品帯状体(19、20)は、共に1つの引出し装置から、または、別個の引出し装置から引き出し可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の丸編み機。
【請求項5】
1つの引出し装置が設けられており、この引出し装置が、1つのスプレッダ、および、両側で、1つずつの切断装置を備えていることを特徴とする請求項4に記載の丸編み機。
【請求項6】
1つの引出し装置が設けられており、この引出し装置が、一方の側で、1つの切断装置を有する1つの開反装置を有していることを特徴とする請求項5に記載の丸編み機。
【請求項7】
1つの開反装置を有する1つの引出し装置と、開反装置の無い1つの引出し装置とが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の丸編み機。
【請求項8】
形成された前記丸編み地−製品帯状体(19、20)のための、1つまたは2つのヤールたたみ機が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の丸編み機。
【請求項9】
編み目形成における、前記シリンダニードル(13)の送出し移動の際に、所属する、シンカとして形成された前記補助エレメント(15)が、引戻し移動を行うこと、および、
編み目形成における、前記シリンダニードル(13)の引戻し移動の際に、所属する前記補助エレメント(15)が、送出し移動を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の丸編み機。
【請求項10】
シリンダカム部材(30)が設けられており、このシリンダカム部材が、前記シリンダニードル(13)の送出し移動および引戻し移動の制御のためのニードルカム(32)と、シンカカム(36、37、38)とを有し、これらシンカカムでもって前記シリンダニードル(13)のための前記補助エレメント(15)が垂直方向に移動させ得る及び/または水平方向の軸線を中心として旋回運動させ得ることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の丸編み機。
【請求項11】
ダイヤルカム部材(40)が設けられており、このダイヤルカム部材が、前記ダイヤルニードル(14)の送出し移動および引戻し移動の制御のためのニードルカムと、シンカカム(41、42、43)とを有し、これらシンカカムでもって前記ダイヤルニードル(14)のための前記補助エレメント(16)が半径方向に移動させ得る及び/または水平方向の軸線を中心として旋回運動させ得ることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の丸編み機。
【請求項12】
前記補助エレメント(15、16)は、それぞれに、前記ニードルシリンダ(11)内において、および、前記ダイヤル(12)内において、または、別個の装置内において支承されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の丸編み機。
【請求項13】
前記ダイヤル(12)は、高さ調節可能であり、且つ、
前記補助エレメント(15、16)、および、前記ダイヤルニードル(14)への糸供給部、または、前記シリンダニードル(13)への糸供給部が、無機能にされ得、
従って、このシリンダニードル(13)と、このダイヤルニードル(14)とでもって、共に、ダブルフェイス丸編み地−製品帯状体(21)が製造可能であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の丸編み機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
最新式の丸編み機は、現今、SF=1500に至るまでの速度ファクター(=直径×回転数)に到達している。この速度ファクターの更なる増大に、しかしながら、高いニードル磨耗の理由で、制約を加えられている。既に、現今の速度ファクターは、比較的に可動的なシンカ(Platinen)の、および、ニードルバッドのための、可能な限り平坦な、丸味を帯びさせられたカム曲線の使用による、ただニードルの移動道程の制限だけで達成可能である。更に別の最適化は、適当なニードル幾何学的形状によって、および、新しいニードル材料の開発によって達成可能である。それにも拘らず、SF=2000以上の速度ファクターの達成は、極めてありそうにない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】英国特許出願公開第188449 A1号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第114144 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底をなす課題は、公知の丸編み機の生産性を、構造的に簡単な構成でもって、更に向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、丸編み機であって、この丸編み機がニードルシリンダとダイヤルを有し、前記ニードルシリンダの内において、シリンダニードルが長手方向に位置移動可能支承されており、
前記ダイヤルの内において、ダイヤルニードルが半径方向に位置移動可能に支承されている様式の上記丸編み機において、
前記シリンダニードルに所属して設けられた、シンカとして形成された補助エレメント、および、
前記ダイヤルニードルに所属して設けられた、シンカとして形成された補助エレメント、並びに、
前記シリンダニードル、および、前記ダイヤルニードルへの、別個の糸供給部、が設けられていること、および、
前記シリンダニードルと、前記ダイヤルニードルとでもって、同時に、別個の丸編み地−製品帯状体が製造可能であり、
その際、前記ダイヤルニードルによって形成された前記丸編み地−製品帯状体が、前記シリンダニードルによって形成されたこの丸編み地−製品帯状体の内側に位置していること、および、
編み目形成における、前記ダイヤルニードルの送出し移動の際に、所属する、シンカとして形成された前記補助エレメントが、引戻し移動を行うこと、および、
編み目形成における、前記ダイヤルニードルの引戻し移動の際に、所属する前記補助エレメントが、送出し移動を行うことを特徴とする丸編み機によって解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明に従う丸編み機でもって、同時に、シリンダの上で、および、ダイヤルの上で、丸編み地が製造され得、このことによって、生産性は、従来の編み機と比較して、2倍になる。本発明に従う編み機は、速度ファクター SF=3000を有する従来の機械に相応する。
両方の丸編み地は、その際、同一に、または、異なって、例えば、異なる色において、編まれ得る。糸供給部は、複数のアイレットを有する1つの共通の糸ガイドによって、または、複数の別個の糸ガイドによって形成され得る。
【0006】
本発明に従う丸編み機でもって、両方の丸編み地を、シリンダの上で、および、ダイヤルの上で、順々に製造することは、しかしながら、同様に可能である。
【0007】
このことは、特に、シリンダニードルと、ダイヤルニードルとでもって、異なる編み地、特に、異なる繊度の編み地が製造可能であるべきである場合に、有利である。
同様に、両方の丸編み地を順々に編む場合でも、従来の機械に対する生産性の利点が与えられる。何故ならば、丸編み地の両方の品質は、この機械のその間の装置変え無しに、順々に、且つ、適宜の交番において、編まれ得るからである。
【0008】
それに加えて、ニードルシリンダよりも小さな直径を有するダイヤルを使用することは可能であり、従って、機械の上で、異なる直径の2つの編み地が製造され得る。
【0009】
もちろん、本発明に従う丸編み機が、同様に、ただシリンダの上だけで1つの丸編み地を製造する、従来の機械としても、作動可能である。同様に、専らダイヤルの上での1つの編み地の製造も、可能である。
【0010】
生産(形成)された製品帯状体の引き出しは、種々の方法で実現可能である。
【0011】
従って、シリンダニードル、および、ダイヤルニードルによって形成(製造)された丸編み地は、共に1つの引出し装置から、または、別個の引出し装置から引き出し可能であり得る。
【0012】
同時に、ニードルシリンダ、および、ダイヤルで生産された編組物帯状体は、互いの中に位置している。このために、共通の1つの引出し装置が設けられており、この引出し装置が、1つのスプレッダ(Breithalter)、および、両側で、1つずつの切断装置を備えていることは可能である。
これら生産された編み地は、次いで、平らに置かれた状態の4つの帯状体として、共に、ダブルワインダーに巻き取られ得る。
【0013】
選択的に、1つの共通の引出し装置が設けられており、この引出し装置が、一方の側で、1つの切断装置、および、1つの開反装置(Entdoubliereinrichtung)を有していることは可能である。
両方の、互いの中に位置する丸編み地は、一方の側で、切り開かれ、且つ、広げられる。引き続いて、これら丸編み地は、幅広の、平らに置かれた状態の、2つの製品帯状体として、引出し巻取りローラによって巻き取られ得る。
【0014】
丸編み機は、しかしながら、同様に、1つの開反装置を有する1つの引出し装置と、開反装置の無い1つの引出し装置とを有していることも可能である。
従って、一方の丸編み地を、直接的に巻き取ること、および、他方の丸編み地を、切り開くこと、広げること、および、平らに置かれた状態の製品帯状体として巻き取ることは可能である。
【0015】
丸編み機の更に別の構成において、それに対して、生産された丸編み地のための、1つ、または、2つのヤールたたみ機(Legeeinrichtungen)が設けられている。
4つの織物帯状体が、丸編み地の両側の切り開きにより生産される場合、同様に、4つのヤールたたみ機も設けられ得る。
【0016】
ニードルシリンダ、および、ダイヤルにおける編み目形成プロセスのために、全ての、丸編み機において公知の技術は、使用され得る。
【0017】
本発明に従う丸編み機の有利な実施形態において、編み目形成における、シリンダニードルの送出し移動(Austriebsbewegung)の際に、所属する、シンカとして形成された補助エレメントが、引戻し移動(Rueckzugsbewegung)を行い、且つ、編み目形成における、シリンダニードルの引戻し移動(Abzugsbewegung)の際に、送出し移動を行う。
ニードルと補助エレメントとの間の、この相対的な移動によって、極めて高い編み速度が達成され得る、何故ならば、これらニードルは、機械と比較して、固定状態の、または、これらニードルと共に同じ方向において帯同するシンカでもって、ただ、ほぼ半分の往復移動だけを行わなければならないからである。
【0018】
この技術は、原則的に、同様にダイヤルにおいても使用可能である。
従って、編み目形成における、ダイヤルニードルの送出し移動の際に、所属する、シンカとして形成された補助エレメントが、引戻し移動を行い、且つ、編み目形成における、ダイヤルニードルの引戻し移動の際に、所属する前記補助エレメントが、送出し移動を行う。
【0019】
ニードルと補助エレメントとの間の、この相対的な移動を、ニードルシリンダ、および、ダイヤルに設けることは、言うまでも無く、特に有利である。この機械は、その場合に、最大の回転数でもって作動され得る。
【0020】
補助エレメントが、有利には、シンカとして形成されるのに対して、ニードルとして、ラッチニードル、コンパウンドニードル、または、ベアードニードルが使用され得る。
【0021】
更なる利点は、シリンダカムセグメントが設けられており、このシリンダカムセグメントが、シリンダニードルの送出し移動および引戻し移動の制御のためのニードルカムと、シンカカムとを有し、これらシンカカムでもってシリンダニードルのための補助エレメントが垂直方向に移動させ得る及び/または水平方向の軸線を中心として旋回運動させ得る場合に、達成され得る。
これら補助エレメントは、このことによって、ノックオーバ−およびホールドダウンシンカ(Einschliess− und Niederhalteplatinen)として作用し、且つ、しかもそのうえ、確実な編み目形成のために作用する。
【0022】
類似の方法において、ダイヤルカムセグメントが設けられており、このダイヤルカムセグメントが、ダイヤルニードルの送出し移動および引戻し移動の制御のためのニードルカムと、シンカカムとを有し、これらシンカカムでもってダイヤルニードルのための補助エレメントが半径方向に移動させ得る及び/または水平方向の軸線を中心として旋回運動させ得る。
このダイヤルカムセグメントの構成が、少なくとも、ダイヤルニードルの必要な半径方向の移動であるという理由で、明確に、シリンダカムセグメントの構成よりも、より要件を十分に満たす。このことは、ダイヤルの直径が小さくなればなるほど、それだけいっそう多く言えることである。
【0023】
有利には、同様に、補助エレメントは、それぞれに、ニードルシリンダ内において、および、ダイヤル内において支承されている。
これら補助エレメントは、従って、ニードルと共に、相応するシリンダカムセグメント、及び/または、ダイヤルカムセグメントによって制御され得る。これら補助エレメントは、しかしながら、同様に、シンカリングのような、別個の装置内において支承されていることは可能である。
このダイヤルカムセグメントによる、ダイヤル内における、補助エレメントの移動の制御は、
その際、特別の挑戦である。これら補助エレメントは、半径方向に移動、および、旋回されねばならない。
【0024】
この機械の選択的な構成において、前記補助エレメントは、同様に固定状態のノックオーバ部片(Abschlagsstege)である。この補助エレメントの移動のための、カム部材、または、他の駆動装置を、この構成の場合、設けなくて良い。
【0025】
更に、シリンダニードル、及び/または、ダイヤルニードルが、ベアードニードルとして、および、所属する補助エレメントが、ベアードクロージングエレメントとして形成されていることは可能である。
相応して形成されたシリンダニードルを有する丸編み機は、特許文献1および、特許文献2から公知である。
【0026】
丸編み機の更に有利な構成において、ダイヤルが、高さ調節可能であり、且つ、補助エレメント、および、ダイヤルニードルへの糸供給部、または、シリンダニードルへの糸供給部が、無機能にされ得ることは可能であり、従って、このシリンダニードルと、このダイヤルニードルとでもって、共に、ダブルフェイス丸編み地(ファインリブ丸編み地)(Rechts/Rechts−Schlauchgestrick)が製造可能である。
【0027】
この機械のこの様式の構成において、2重にされたシングルフェイス丸編み地(Einfach−Schlauchgestricke)、または、ダブルフェイス丸編み地のような、ダブルフェイス編み地(doppelflaechige Gestricke)でもって、製造され得る。異なる作動様式への、この機械の切換えは、その際、大きな手間暇無しに可能である。顧客は、従って、高い生産性を有するシングルフェイス製品の製造、または、ダブルフェイス製品の間の選択を有する。
【0028】
以下で、本発明に従う丸編み機の可能な1つの実施例を、図を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に従う丸編み機のニードルシリンダとダイヤルの、概略的な部分図である。
図2】降下されたダイヤルの状態の丸編み機10の、図1に相応する図である。
図3図1における、丸編み機のシリンダカム部材の詳細図である。
図4図1における、丸編み機のダイヤルカム部材の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1内における、丸編み機10の詳細図は、ニードルシリンダ11、および、ダイヤル12を示している。
このニードルシリンダ11内において、シリンダニードル13は、長手方向に位置移動可能に支承されている。それぞれのニードル13に、編み目形成のためシンカの様式の補助エレメント15が所属して設けられている。類似の方法で、このダイヤル12内において、ダイヤルニードル14、および、シンカの様式の、所属する補助エレメント16が支承されている。
【0031】
ニードル13、および、ダイヤルニードル14に、それぞれに、糸17、18が供給される。この糸17から、シリンダニードル13によって、第1の丸編み地19が製造される。ダイヤルニードル14は、糸18から、同時に、第2の丸編み地20を形成し、この第2の丸編み地が、前記第1の丸編み地19の内側に位置した状態で、この第2の丸編み地と共に、引き出される。
この図示された丸編み機10でもって、従って、同時に、従来の丸編み機の2倍の織物が生産され得る。もちろん、丸編み地19、および、20を順々に生産することは、同様に可能である。その際、これら丸編み地19、および、20は、しかもそのうえ、異なる繊度、模様、および、色で生産され得る。
【0032】
図1が、丸編み機10を、ニードルシリンダ11に対して上昇されたダイヤル12の状態で示しているのに対して、図2内における丸編み機10は、降下された位置におけるダイヤル12の状態で図示されている。シンカ15および16は、非動作位置にある。
ただ糸17だけが供給され、この糸から、シリンダニードル13、および、ダイヤルニードル14が、共に、ファインリブ丸編み地21を生産する。
【0033】
ニードルシリンダ11に対する、ダイヤル12の垂直方向の位置調節可能性によって、この丸編み機でもって、即ち、ニードルシリンダ11、および、ダイヤル12の上で、別個の丸編み地19、20か、それとも、共通のダブルフェイス編み地21が製造され得る。
【0034】
図3は、図1における、シリンダカムセグメント(シリンダカム部材)30の詳細図を示している。
このカムセグメント30でもって、シリンダニードル13、および、シンカ15の移動が制御される。二方向矢印31の方向における、このニードル13の垂直方向の移動の制御のために、ニードル制御カム32が設けられており、このニードル制御カム内へと、このニードル13が、バット33によって、嵌り込んでいる。
【0035】
シンカ15は、二方向矢印34の方向における、垂直方向の移動、並びに、バット35を中心としての旋回運動を行う。このバット35は、垂直方向の移動を制御する制御カム36内において支承されている。この旋回運動のために、上側および下側で、旋回カム37、38が設けられている。
カムセグメント30は、その際、ニードル13、および、シンカ15が、相対的に互いに移動可能であるように、即ち、このシンカ15が、このニードル13の送出し移動の際に引き戻され、且つ、このニードル13の引戻し移動の際に送出しおよび旋回されるように、形成されている。このことは、ニードル13、および、シンカ15の垂直方向運動が相対的に少ないことを誘起し、このことが極めて高い機械速度を許容する。
【0036】
図4は、図1における、シリンダカムセグメント30に類似して構成された、丸編み機10のダイヤルカムセグメント(ダイヤルカム部材)40を示している。ダイヤルニードル、および、これらダイヤルニードルの半径方向の移動のための、所属する制御カムは、この図示において、見通しの理由から図示を省略されている。
【0037】
これらカムセグメント40は、ダイヤル12の上側に設けられており、且つ、これらカムセグメントの下側に、シンカ16の半径方向の移動のための、第1の制御カム41を有している。同様にこれらシンカ16も、旋回運動を行い、この旋回運動が、前方および後方の旋回カム42、43によって制御される。これら旋回運動のための旋回点は、その際、第1の制御カム41内に存在している。
同様にこれらダイヤルカムセグメント40も、これらニードルの半径方向移動を短縮するために、ダイヤルニードル14およびシンカ16が相対的な運動を行うように、形成されている。
【0038】
図1から図4内において図示された丸編み機10は、本発明に従う丸編み機のただ1つの可能な実施例である。
図示されたラッチニードル13および14の代わりに、同様に、コンパウンドニードル、または、ベアードニードルも使用され得る。補助エレメント15および16は、シンカである必要はなく、むしろ、例えば、同様にベアードクロージングエレメント(Hakenschliesselemente)として形成されていることは可能である。
更に、補助エレメント15、16を、ニードルシリンダ11、および、ダイヤル12の外側に支承することは可能である。同様にそのようなバリエーションの場合も、ニードルシリンダ、および、ダイヤルの上での編み地の同時の形成は可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 丸編み機
11 ニードルシリンダ
12 ダイヤル
13 ラッチニードル、シリンダニードル、ニードル
14 ラッチニードル、ダイヤルニードル
15 補助エレメント、シンカ
16 補助エレメント、シンカ
17 糸
18 糸
19 第1の丸編み地、丸編み地−製品帯状体
20 第2の丸編み地、丸編み地−製品帯状体
21 ファインリブ丸編み地、ダブルフェイス編み地、ダブルフェイス丸編み地−製品帯状体
30 シリンダカムセグメント、シリンダカム部材
31 二方向矢印
32 ニードル制御カム、ニードルカム
33 バット
34 二方向矢印
35 バット
36 制御カム、シンカカム
37 旋回カム、シンカカム
28 旋回カム、シンカカム
40 ダイヤルカムセグメント、カムセグメント、ダイヤルカム部材
41 第1の制御カム、シンカカム
42 旋回カム、シンカカム
43 旋回カム、シンカカム
図1
図2
図3
図4