(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
官能性コモノマーが、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリル酸又はメタクリル酸、これらの酸から誘導されるアミド、例えばジメチルアクリルアミドなど、アクリル酸又はメタクリル酸2−メトキシエチル、任意選択的に四級化されたアクリル酸又はメタクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールから選択されることを特徴とする、請求項2に記載のポリマー組成物。
ポリマー(A1)、(B1)又は(C1)のアクリル又はメタクリルモノマーの少なくとも80重量%が、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のポリマー組成物。
【背景技術】
【0004】
[技術的問題]
使用中の高応力を吸収しなければならない機械的又は構造的な部品又は物品は、複合材料から広く製造されている。複合材料は、2つ又はそれ以上の非混和性材料の巨視的な組合せである。複合材料は、少なくとも、構造の結束のための連続相を形成するマトリックス材料、及び機械的性質のための様々な構造を備えた強化材料から構成される。
【0005】
複合材料を用いる目的は、単独で用いた場合その個別の構成要素からは得られない性能を複合材料から達成することである。その結果複合材料は、均一な材料と比較して、とりわけそのより優れた機械的性能(より高い引張強度、より高い引張弾性率、より高い破壊靭性)及びその低密度に起因して、例えば建設、自動車、航空宇宙、輸送、レジャー、電子機器及びスポーツのようないくつかの産業分野で広く用いられている。
【0006】
商業的産業規模での量の見地から最も重要な種類は、マトリックス材料が通常はポリマーである有機マトリックスを備えた複合材である。ポリマー複合材料の主なマトリックス又は連続相は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーである。
【0007】
熱硬化性ポリマーは、架橋した三次元構造からなる。架橋は、いわゆるプレポリマー内の反応性基を硬化することにより得られる。硬化は、例えば、架橋して材料を永久に固化させるためにポリマー鎖を加熱することにより得ることができる。
【0008】
ポリマー複合材料を調製するために、プレポリマーを、ガラスビーズ若しくは繊維などの他の成分と、又は濡れた若しくは含侵された他の成分と混合し、その後硬化する。熱硬化性ポリマーのためのプレポリマー又はマトリックス材料の例は、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ又はフェノール性のものである。
【0009】
熱硬化性樹脂は、一旦硬化されると、寸法安定性、機械的強度、電気絶縁性、耐熱性、耐水性及び耐薬品性の見地から優れた性質を有する。このような熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂又はフェノール樹脂である。しかしながら、このような硬化した樹脂は、小さな破壊靭性を有し、脆い。
【0010】
熱可塑性ポリマーは、架橋していない直鎖又は分枝ポリマーからなる。熱可塑性ポリマーは、複合材料を製造するために必要な構成要素(例えば繊維状基材及びマトリックス用熱可塑性ポリマー)を混合し、冷却して固定するために、加熱することができる。繊維を熱可塑性ポリマーによって濡らす又は適切に含侵することは、熱可塑性樹脂が十分流動性である場合にだけ達成することができる。
【0011】
繊維状基材を含侵させる別の方法は、熱可塑性ポリマーを有機溶媒に溶解させる、又はモノマー若しくはモノマーとポリマーの混合物をベースにしたシロップを用いることである。
【0012】
広い温度範囲にわたって満足な機械的性能を保証し、得るためには、熱可塑性ポリマーマトリックスの衝撃性能を向上させなければならない。
【0013】
通常、コアシェル粒子の形態である耐衝撃性改良剤は、少なくともゴム様ポリマーを含む段を備えて、多段プロセスにより作られる。その後、その耐衝撃性を向上ずるために、脆いポリマーに粒子が組み込まれる。
【0014】
しかしながら、この種の多段ポリマーは、全ての種類の樹脂又はポリマー、特にエポキシ樹脂中に分散させることは容易ではない。
【0015】
満足な衝撃性能を有するためには、十分均一な分散が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[発明の詳細な記述] 第1の態様によれば、本発明は、
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの段(A)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む1つの段(B)、及び
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む1つの段(C)
を含み、少なくとも3つの段を含む多段プロセスにより得られる、ポリマー粒子の形態であるポリマー組成物において、ポリマー(C1)が100000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することを特徴とする、ポリマー組成物に関する。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、
a)モノマー又はモノマー混合物(A
m)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)にある1つの層を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B
m)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)にある層を得る工程、
c)モノマー又はモノマー混合物(Cm)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)にある層を得る工程
を含む、ポリマー組成物を製造する方法において、ポリマー(C1)が100000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することを特徴とする、方法に関する。
【0035】
第3の態様によれば、本発明は、
a)モノマー又はモノマー混合物(A
m)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)にある1つの層を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B
m)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)にある層を得る工程、
c)モノマー又はモノマー混合物(Cm)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)にある層を得る工程
d)ポリマー組成物を回収する工程
を含む、ポリマー組成物を製造する方法において、ポリマー(C1)が100000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することを特徴とする、方法に関する。
【0036】
第4の態様では、本発明は、
i)ポリマー(P1)並びに
ii)
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの段(A)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む1つの段(B)、及び
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む1つの段(C)
を備える多段プロセスにより得られるポリマー
を含み、ポリマー(C1)が100000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することを特徴とし、満足な耐衝撃性を持つポリマー組成物に関する。
【0037】
用いられる用語「ポリマー粉末」は、ナノメートル範囲にある粒子を含む一次ポリマーの凝集により得た少なくとも1μmの範囲にある粉末顆粒を含むポリマーを意味する。
【0038】
用いられる用語「一次粒子」は、ナノメートル領域にある粒子を含む球形ポリマーを意味する。好ましくは、一次粒子は50nm
から500nm
の間の重量平均粒径を有する。
【0039】
用いられる用語「粒径」は、球形とみなされる粒子の体積平均直径を意味する。
【0040】
用いられる用語「熱可塑性ポリマー」は、加熱すると液体に変わり、又はより液状若しくはより低粘度になり、熱及び圧力を加えることにより新しい形状を呈することができるポリマーを意味する。
【0041】
用いられる用語「熱硬化性ポリマー」は、硬化により不融不溶のポリマー網目構造に不可逆的に変わる、柔らかい、固体の又は粘性の状態にあるプレポリマーを意味する。
【0042】
用いられる用語「ポリマー複合材」は、その中の少なくとも1種類の相領域が連続相であり、少なくとも1つの成分がポリマーである、複数の異なる相領域を含む多成分材料を意味する。
【0043】
用いられる用語「コポリマー」は、少なくとも2種の異なるモノマーからなるポリマーを意味する。
【0044】
用いられる用語「多段ポリマー」は、多段重合プロセスによる順次的様式で形成されたポリマーを意味する。好ましいものは、第1のポリマーは第1段ポリマーであり、第2のポリマーは第2段ポリマーである、即ち、第1の乳化ポリマーの存在下で第2のポリマーが乳化重合により形成され、組成が異なる少なくとも2つの段を含む、多段乳化重合プロセスである。
【0045】
用いられる用語「(メタ)アクリル」は、あらゆる種類のアクリル及びメタクリルモノマーを意味する。
【0046】
用いられる用語「(メタ)アクリルポリマー」は、(メタ)アクリルポリマーの50重量%以上を構成する(メタ)アクリルモノマーを含んだポリマーを、(メタ)アクリルポリマーが本質的に含んでいることを意味する。
【0047】
用いられる用語「乾燥」は、残留水の割合が1.5重量%未満、好ましくは1重量%未満であることを意味する。
【0048】
一次粒子である、本発明によるポリマー粒子に関しては、15nm
から900nm
の間の重量平均粒径を有する。好ましくはポリマーの重量平均粒径は、20nm
から800nm
の間、より好ましくは25nm
から600nm
の間、さらにより好ましくは30nm
から550nm
の間、またさらにより好ましくは35nm
から500nm
の間、有利には40nm
から400nm
の間、さらにより有利には75nm
から350nm
の間、有利には80nm
から300nm
の間である。一次ポリマー粒子は凝集して本発明のポリマー粉末を与えることができる。
【0049】
本発明による多段ポリマーは、そのポリマー組成が異なる少なくとも3つの段を有する。
【0050】
多段ポリマーは、好ましくは、球形粒子と考えられるポリマー粒子の形態である。これらの粒子は、コアシェル粒子とも呼ばれる。第1の段はコアを形成し、第2又は続く全ての段はそれぞれのシェルを形成する。
【0051】
本発明による一次ポリマー粒子は、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む少なくとも1つの段(A)、60℃を超えるガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む少なくとも1つの段(B)、及び30℃を超えるガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む少なくとも1つの段(C)を含む、多層構造を有する。
【0052】
好ましくは、段(A)は少なくとも3つの段の第1の段であり、ポリマー(B1)を含む段(B)は、ポリマー(A1)を含む段(A)又は別の中間層の上にグラフトしている。
【0053】
段(A)の前に別の段も存在することができ、その結果、段(A)がシェルでもあり得る。
【0054】
第1の実施態様では、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、少なくとも50重量%のアクリル酸アルキル由来のポリマー単位を含み、段(A)は多層構造を有するポリマー粒子の最内層である。換言すれば、ポリマー(A1)を含む段(A)は、
図1において模式的に示すように、ポリマー粒子のコアである。
【0055】
第1の実施態様のポリマー(A1)に関しては、少なくとも50重量%のアクリルモノマー由来のポリマー単位を含む(メタ)アクリルポリマーである。ポリマー(A1)の好ましくは60重量%、より好ましくは70重量%はアクリルモノマーである。
【0056】
ポリマー(A1)におけるアクリルモノマーは、アクリル酸C1−C12アルキル又はそれらの混合物から選択されるモノマーを含む。さらにより好ましくは、ポリマー(A1)におけるアクリルモノマーは、アクリル酸C2−C8アルキルモノマー又はそれらの混合物のモノマーを含む。
【0057】
ポリマー(A1)は、ポリマー(A1)が10℃未満のガラス転移温度を有する限り、アクリルモノマーと共重合することができるコモノマー(一又は複数)を含むことができる。
【0058】
ポリマー(A1)中のコモノマー(一又は複数)は、好ましくは(メタ)アクリルモノマー及び/又はビニルモノマーから選択される。
【0059】
最も好ましくは、ポリマー(A1)のアクリル又はメタクリルコモノマーは、ポリマー(A1)が10℃未満のガラス転移温度を有する限り、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル及びこれらの混合物から選択される。
【0060】
特定の実施態様では、ポリマー(A1)はアクリル酸ブチルのホモポリマーである。
【0061】
より好ましくは、少なくとも70重量%のアクリル酸C2−C8アルキル由来のポリマー単位を含むポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、−100℃
から10℃
の間、さらにより好ましくは−80℃
から0℃
の間、有利には−80℃
から−20℃
の間、より有利には−70℃
から−20℃
の間である。
【0062】
第2の実施態様では、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、イソプレン又はブタジエン由来のポリマー単位を少なくとも50重量%含み、段(A)は、多層構造を有するポリマー粒子の最内層である。換言すれば、ポリマー(A1)を含む段(A)は、ポリマー粒子のコアである。
【0063】
例として、第2の実施態様のコアであるポリマー(A1)としては、イソプレンホモポリマー又はブタジエンホモポリマー、イソブレン−ブタジエンコポリマー、最大で98重量%のビニルモノマーとのイソプレンのコポリマー、及び最大で98重量%のビニルモノマーとのブタジエンのコポリマーを挙げることができる。ビニルモノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキル、又はブタジエン若しくはイソプレンであってもよい。好ましい実施態様では、コアはブタジエンホモポリマーである。
【0064】
より好ましくは、少なくとも50重量%のイソプレン又はブタジエン由来のポリマー単位を含むポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、−100℃
から10℃
の間、さらにより好ましくは−90℃
から0℃
の間、有利には−80℃
から0℃
の間、最も有利には−70℃
から−20℃
の間である。
【0065】
第3の実施態様では、ポリマー(A1)はシリコーンゴム系ポリマーである。シリコーンゴムは、例えばポリジメチルシロキサンである。より好ましくは、第2の実施態様のポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、−150℃
から0℃
の間、さらにより好ましくは−145℃
から−5℃
の間、有利には−140℃
から−15℃
の間、より有利には−135℃
から−25℃
の間である。
【0066】
ポリマー(B1)に関しては、二重結合を持つモノマー及び/又はビニルモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーを挙げることができる。好ましくは、ポリマー(B1)は(メタ)アクリルポリマーである。
【0067】
好ましくは、ポリマー(B1)は、(メタ)アクリル酸C1−C12アルキルから選択されるモノマーを、少なくとも70重量%含む。さらにより好ましくは、ポリマー(B1)は、メタアクリル酸C1−C4アルキルモノマー及び/又はアクリル酸C1−C8アルキルモノマーを、少なくとも80重量%含む。
【0068】
最も好ましくは、ポリマー(B1)が少なくとも60℃のガラス転移温度を有する限り、ポリマー(B1)のアクリル又はメタクリルモノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル及びこれらの混合物から選択される。
【0069】
有利には、ポリマー(B1)は、メタクリル酸メチルに由来するモノマー単位を、少なくとも70重量%含む。
【0070】
好ましくは、ポリマー(B1)のガラス転移温度Tgは、60℃
から150℃
の間である。ポリマー(B1)のガラス転移温度は、より好ましくは80℃
から150℃
の間、有利には90℃
から150℃
の間、より有利には100℃
から150℃
の間である。
【0071】
好ましくは、ポリマー(B1)は、前の段で作られたポリマーの上にグラフトしている。
【0072】
ある実施態様では、ポリマー(B1)は架橋している。一実施態様では、ポリマー(B1)は官能性コモノマーを含む。官能性コポリマーは、アクリル若しくはメタクリル酸、これらの酸から誘導されるアミド、例えばジメチルアクリルアミドなど、アクリル酸若しくはメタクリル酸2−メトキシエチル、任意選択的に四級化されたアクリル酸若しくはメタクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニルピロリドンなどの水溶性ビニルモノマー又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールのポリエチレングリコール基は、400g/mol−10000g/molの範囲の分子量を有する。
【0073】
ポリマー(C1)に関しては、100000g/mol未満、好ましくは90000g/mol未満、より好ましくは80000g/mol未満、さらにより好ましくは70000g/mol未満、有利には60000g/mol未満、より有利には50000g/mol未満、さらにより有利には40000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有する。
【0074】
ポリマー(C1)は、2000g/molを超える、好ましくは3000g/molを超える、より好ましくは4000g/molを超える、さらにより好ましくは5000g/molを超える、有利には6000g/molを超える、より有利には6500g/molを超える、さらにより有利には7000g/molを超える、最も有利には10000g/molを超える質量平均分子量Mwを有する。
【0075】
ポリマー(C1)の質量平均分子量Mwは、2000g/mol
から100000g/mol
の間、好ましくは3000g/mol
から90000g/mol
の間、より好ましくは4000g/mol
から80000g/mol
の間、有利には5000g/mol
から70000g/mol
の間、より有利には6000g/mol
から50000g/mol
の間、最も有利には10000g/mol
から40000g/mol
の間である。
【0076】
好ましくは、ポリマー(C1)は、(メタ)アクリルモノマーを含むコポリマーである。より好ましくは、ポリマー(C1)は(メタ)アクリルポリマーである。さらにより好ましくは、ポリマー(C1)は、少なくとも70重量%の(メタ)アクリル酸C1−C12アルキルから選択されるモノマーを含む。有利に好ましくは、ポリマー(B1)は、少なくとも80重量%の、メタクリル酸C1−C4アルキルモノマー及び/又はアクリル酸C1−C8アルキルモノマーを含む。
【0077】
好ましくは、ポリマー(C1)のガラス転移温度Tgは、30℃
から150℃
の間である。ポリマー(C1)のガラス転移温度は、より好ましくは40℃
から150℃
の間、有利には45℃
から150℃
の間、より有利には50℃
から150℃
の間である。
【0078】
好ましくは、ポリマー(C1)は架橋していない。
【0079】
好ましくは、ポリマー(C1)は、ポリマー(A1)又は(B1)の何れの上にもグラフトしていない。
【0080】
一実施態様では、ポリマー(C1)は、官能性コモノマーも含む。
【0081】
官能性コモノマーは、式(1)を有する
【0082】
[式中、R
1はH又はCH
3から選択され、R
2はH、又はC若しくはHを除く少なくとも1種の原子を有する脂肪族基若しくは芳香族基である]。
【0083】
好ましくは、官能性モノマーは、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリル酸又はメタクリル酸、これらの酸から誘導されるアミド、例えばジメチルアクリルアミドなど、アクリル酸又はメタクリル酸2−メトキシエチル、任意選択的に四級化されたアクリル酸又はメタクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールから選択される。好ましくは、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールのポリエチレングリコール基は、400g/mol−10000g/molの範囲の分子量を有する。
【0084】
第1の好ましい実施態様では、ポリマー(C1)は80重量%−100重量%のメタクリル酸メチル、好ましくは80重量%−99.8重量%のメタクリル酸メチル、及び0.2重量%−20重量%のアクリル酸C1−C8アルキルモノマーを含む。有利には、アクリル酸C1−C8アルキルモノマーは、アクリル酸メチル又はアクリル酸ブチルから選択される。
【0085】
第2の好ましい実施態様では、ポリマー(C1)は、0重量%
から50重量%
の間の官能性モノマーを含む。好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P1)は0重量%
から30重量%
の間の官能性モノマー、より好ましくは1重量%
から30重量%
の間、さらにより好ましくは2重量%
から30重量%
の間、有利には3重量%
から30重量%
の間、より有利には5重量%
から30重量%
の間、最も有利には5重量%
から30重量%
の間を含む。
【0086】
好ましくは、第2の好ましい実施態様の官能性モノマーは、(メタ)アクリルモノマーである。官能性モノマーは式(2)又は(3)を有する。
【0087】
[式中、式(2)及び(3)の何れにおいてもR
1はH又はCH
3から選択され;式(2)において、YはOであり、R
5はH、又はC若しくはHを除く少なくとも1種の原子を有する脂肪族若しくは芳香族基であり;式(3)において、YはNであり、R
4及び/又はR
3はH又は脂肪族若しくは芳香族基である]。
【0088】
好ましくは、官能性モノマー(2)又は(3)は、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリル又はメタクリル酸、これらの酸から誘導されるアミド、例えばジメチルアクリルアミドなど、アクリル酸又はメタクリル酸2−メトキシエチル、任意選択的に四級化されたアクリル酸又はメタクリル酸2−アミノエチル、ホスホネート又はホスフェート基を含むアクリレート又はメタクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸アルキルイミダゾリジノン、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールから選択される。好ましくは、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールのポリエチレングリコール基は、400g/mol−10000g/molの範囲の分子量を有する。
【0089】
本発明による一次ポリマー粒子は、少なくとも3つの段を含む多段プロセスにより得られる。
【0090】
好ましくは、10℃未満のガラス転移温度を有し、段(A)の途中に作られるポリマー(A1)は、段(B)の前に作られる又は多段プロセスの第1の段である。
【0091】
好ましくは、60℃を超えるガラス転移温度を有し、段(B)の途中に作られるポリマー(B1)は、多段プロセスの段(A)の後に作られる。
【0092】
好ましくは、30℃を超えるガラス転移温度を有し、段(C)の途中に作られるポリマー(C1)は、多段プロセスの段(B)の後に作られる。
【0093】
より好ましくは、30℃を超えるガラス転移温度を有し、段(C)の途中に作られるポリマー(C1)は、多層構造を有するポリマー粒子の外層である。
【0094】
段(A)と段(B)の間、及び/又は段(B)と段(C)の間に、追加的な中間の段は存在し得る。
【0095】
完全なポリマー粒子に対する、段(C)に含まれる外層のポリマー(C1)の重量割合rは、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも7重量%、さらにより好ましくは少なくとも10重量%である。
【0096】
本発明によれば、完全なポリマー粒子に対する、ポリマー(C1)を含む外の段(C)の割合rは、最大で30重量%である。
【0097】
好ましくは、一次ポリマー粒子の視点からポリマー(C1)の割合は、5重量%
から30重量%
の間、好ましくは5重量%
から20重量%
の間である。
【0098】
それぞれのポリマーのガラス転移温度Tgは、例えば熱機械分析のような動的方法により評価することができる。
【0099】
それぞれの段のそれぞれのポリマーのガラス転移温度Tgを個別に、より容易に評価及び測定する目的で、それぞれのポリマー(A1)及び(B1)の試料を得るために、それらを単独に、多段プロセスによらずに調製することができる。ガラス転移温度Tgを評価及び測定する目的で、ポリマー(C1)を抽出することができる。
【0100】
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、溶媒を含まない。溶媒が無いとは、最終的に存在する溶媒が組成物の1重量%未満を構成することを意味する。それぞれのポリマーの合成のモノマーは、溶媒とはみなさない。組成物中の残留モノマーは、組成物の2重量%未満存在する。
【0101】
好ましくは、本発明によるポリマー組成物は乾燥状態である。乾燥状態とは、本発明によるポリマー組成物は、3重量%未満の湿気、好ましくは1.5重量%未満の湿気、より好ましくは1.2重量%未満の湿気を含むことを意味する。
【0102】
湿気は、ポリマー組成物を加熱し重量損失を測定する、熱てんびんにより測定することができる。
【0103】
本発明による組成物は、いかなる随意的に添加された溶媒も含まない。それぞれのモノマーの重合からの最終的な残留モノマー及び水は、溶媒とはみなさない。
【0104】
本発明によるポリマー組成物を製造する方法に関しては、
a)モノマー又はモノマー混合物(A
m)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)にある1つの層を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B
m)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)にある層を得る工程、
c)モノマー又はモノマー混合物(Cm)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)にある層を得る工程、
を含み、ポリマー(C1)が100000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することを特徴とする。
【0105】
好ましくは、工程a)は工程b)の前に行われる。
【0106】
より好ましくは、工程b)は、工程a)で得られたポリマー(A1)の存在下で実施される。
【0107】
有利には、本発明によるポリマー組成物を製造する方法は、
a)モノマー又はモノマー混合物(A
m)の乳化重合により重合して、10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)にある1つの層を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B
m)の乳化重合により重合して、少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)にある層を得る工程、
c)モノマー又はモノマー混合物(Cm)の乳化重合により重合して、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む段(C)にある層を得る工程、
の順次工程を含み、ポリマー(C1)が100000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することを特徴とする、多段プロセスである。
【0108】
ポリマー(A1)、(B1)及び(C1)をそれぞれ含む層(A)、(B)及び(C)をそれぞれ形成するための、それぞれのモノマー又はモノマー混合物(A
m)、(B
m)及び(C
m)は、前に規定したものと同じである。ポリマー(A1)、(B1)及び(C1)の特性はそれぞれ、前に規定したものと同じである。
【0109】
好ましくは、本発明によるポリマー組成物を製造する方法は、ポリマー組成物を回収する追加の工程d)を含む。
【0110】
回収とは、水性相と固相の間の部分的又は分離を意味し、後者はポリマー組成物を含む。
【0111】
より好ましくは、本発明によればポリマー組成物の回収は、凝固又は噴霧乾燥により行われる。
【0112】
10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)が、少なくとも50重量%のアクリル酸アルキル由来のポリマー単位を含み、段(A)が多層構造を有するポリマー粒子の最内層である場合、噴霧乾燥は本発明によるポリマー粉末組成物の製造方法にとって、回収及び/又は乾燥するための好ましい方法である。
【0113】
10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)が、少なくとも50重量%のイソプレン又はブタジエン由来のポリマー単位を含み、段(A)が多層構造を有するポリマー粒子の最内層である場合、凝固は本発明によるポリマー粉末組成物の製造方法にとって、回収及び/又は乾燥するための好ましい方法である。
【0114】
本発明によるポリマー組成物を製造する方法は、ポリマー組成物を乾燥する追加の工程e)を任意選択的に含むことができる。
【0115】
好ましくは、ポリマー組成物を回収する工程d)が凝固により行われる場合、乾燥工程e)が行われる。
【0116】
好ましくは、乾燥工程e)の後、ポリマー組成物は3重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満、有利には1%未満の湿気又は水を含む。
【0117】
ポリマー組成物の湿気は、熱てんびんにより測定することができる。
【0118】
ポリマーの乾燥は、乾燥機又は真空乾燥機中で組成物を50℃で48時間加熱することにより行うことができる。
【0119】
本発明による組成物は、より大きなポリマー粒子:ポリマー粉末の形態でもあり得る。ポリマー粉末粒子は、多段プロセスにより作られた凝集した一次ポリマー粒子を含む。
【0120】
本発明のポリマー粉末に関しては、1μm
から500μm
の間の体積メジアン粒径D50を有する。好ましくは、ポリマー粉末の体積メジアン粒径は、10μm
から400μm
の間、より好ましくは15μm
から350μm
の間、有利には20μm
から300μm
の間である。
【0121】
体積での粒径分布のD10は、少なくとも7μm、好ましくは10μmである。
【0122】
体積での粒径分布のD90は、最大で500μm、好ましくは400μm、より好ましくは最大で250μmである。
【0123】
本発明は、耐衝撃性改良ポリマー組成物を得るための、本発明によるポリマー粉末の形態であるポリマー組成物の、ポリマー中における耐衝撃性改良剤としての使用にも関する。好ましくは、ポリマーは、熱硬化性ポリマー又はその前駆体である。
【0124】
本発明による耐衝撃性改良ポリマー組成物に関しては、
i)ポリマー(P1)並びに
ii)
a)10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの段(A)、
b)少なくとも60℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む1つの段(B)、及び
c)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(C1)を含む1つの段(C)
を備える多段プロセスにより得られるポリマー
を含み、ポリマー(C1)が100000g/mol未満の質量平均分子量Mwを有することを特徴とし、満足な耐衝撃性を持つ。
【0125】
多段プロセスにより得られるポリマー組成物を製造する方法の、好ましく有利な変形は、前に規定したものと同じである。
【0126】
ポリマー(A1)、(B1)及び(C1)をそれぞれ含むそれぞれの段(A)、(B)及び(C)は、前に規定したものと同じである。
【0127】
本発明による耐衝撃性改良ポリマー組成物は、1重量%
から50重量%
の間の多段プロセスにより得られるポリマーを含む。
【0128】
ポリマー(P1)は、熱硬化性ポリマー若しくはその前駆体、又は熱可塑性ポリマーであり得る。
【0129】
熱硬化性ポリマーに関しては、例として、固化剤により架橋した、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアクリル(polyacrylic)、ポリウレタン、シアノアクリレート、ビスマレイミド及びエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0130】
耐衝撃性改良ポリマー組成物の特定の第1の実施態様では、ポリマー(P1)は120℃を超えるガラス転移温度を有するエポキシ樹脂であり、ポリマー(B1)は前に規定した官能性コモノマーを含む。
【0131】
熱可塑性ポリマーに関しては、例として、(メタ)アクリルポリマー又はポリカーボネート又はポリエステルを挙げることができる。
【0132】
エポキシ樹脂ポリマーに関しては、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリグリシジル−p−アミノ−フェノール、ブロモビスフェノールFジグリシジルエーテル、m−アミノ−フェノールのトリグリシジルエーテル、テトラグリシジルメチレンジアニリン、(トリヒドロキシ−フェニル)メタンのトリグリシジルエーテル、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル、オルト−クレゾールノボラックのポリ−グリシジルエーテル及びテトラフェニル−エタンのテトラグリシジルエーテルを挙げることができる。これらの樹脂の少なくとも2つの混合物も用いることができる。
【0133】
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、1重量%
から50重量%
の間、好ましくは2重量%
から30重量%
の間、より好ましくは5重量%
から20重量%
の間の多段プロセスにより得られるポリマーを含む。
【0134】
[評価方法]
ガラス転移温度
ポリマーのガラス転移(Tg)は、熱機械分析を実現することができる装置により測定する。Rheometrics Companyが提唱するRDAII「RHEOMETRICS DYNAMIC ANALYSER」を用いた。熱機械分析は、加えた温度、歪又は変形に応じて、試料の粘弾性変化を正確に測定する。染料を固定したまま、温度変化が制御されたプログラム中の試料の変形を、装置により連続的に記録する。結果は、温度に応じて、弾性係数(G’)、損失係数及びtanδを示すことにより得られる。導き出されたtanδがゼロに等しい時、Tgはtanδ曲線で読み取られる温度よりも高くなる。
【0135】
分子量:
ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定する。
【0136】
粒径分析:
多段重合後の一次粒子の粒径は、Zetasizerにより測定する。
回収後のポリマー粉末の粒径を、MALVERN製Malvern Mastersizer3000により測定する。
重量平均粉末粒径、粒径分布及び微細粒子の割合の評価に対しては、0.5−880μmの範囲を測定する300mmレンズを備えたMalvern Mastersizer3000装置を用いる。
【実施例】
【0137】
実施例1:多段ポリマー粒子の合成
第1の段A−ポリマータイプA1の重合:20リットル高圧反応器に、脱イオン水116.5部、乳化剤である牛脂脂肪酸のカリウム塩0.1部、1,3−ブタジエン21.9部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、及びp−メンタンヒドロペルオキシド0.1部を、初回ケトルチャージとして充填した。溶液を撹拌しながら43℃まで加熱し、その時点でレドックス系触媒溶液(水4.5部、テトラピロリン酸ナトリウム0.3部、硫酸鉄0.004部及びブドウ糖0.3部)を充填し、有効に重合を開始した。次に溶液を56℃までさらに過熱し、この温度に3時間の間保持した。重合開始から3時間後、第2のモノマー(77.8部のBD、t−ドデシルメルカプタン0.2部)充填、追加の乳化剤及び還元剤(脱イオン水30.4部、乳化剤である牛脂脂肪酸のカリウム塩2.8部、ブドウ糖0.5部)の半分の充填、並びに追加の開始剤(p−メンタンヒドロペルオキシド0.8部)を8時間にわたって連続的に添加した。第2のモノマー添加の完了に続いて、残りの乳化剤及び還元剤充填に加えて開始剤を、さらに5時間にわたって連続的に添加した。重合開始から13時間後、溶液を68℃まで加熱し、重合開始から少なくとも20時間経過するまで反応させ、ポリブタジエンゴムラテックスR1を生成した。得られたポリブタジエンゴムラテックス(A1)は38%の固形物を含有し、約160nmの重量平均粒径を有した。
【0138】
第2の段B−ポリマータイプB1の重合:3.9リットル反応器に、固形物ベースで75.0部のポリブタジエンゴムラテックスR1、37.6部の脱イオン水、及び0.1部のホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムを充填した。溶液を撹拌し、窒素をパージし、77℃まで加熱した。溶液が77℃に到達したら、22.6部のメタクリル酸メチル、1.4部のジビニルベンゼン及び0.1部のt−ブチルヒドロペルオキシド開始剤の混合物を、70分にわたって連続的に添加し、続いて80分間保持した。保持時間開始から30分後、0.1部のホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム及び0.1部のt−ブチルヒドロペルオキシドを、反応器に一度に添加した。80分の保持時間に続いて、グラフトコポリマーラテックスに安定化乳濁液を添加した。3.2部の脱イオン水(グラフトコポリマー質量に対して)、0.1部のオレイン酸、0.1部の水酸化カリウム、及び0.9部の3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシルを混合することにより、安定化乳濁液を調製した。得られたコアシェルポリマー(A+B)は、約180nmの重量平均粒径を有した。
【0139】
第3の段C−ポリマータイプC1の重合
ポリマーC1の合成:半連続プロセス:脱イオン水中にあるコアシェルポリマー(A+B)10000g、0.01gのFeSO4及び0.032gのエチレンジアミン四酢酸、ナトリウム塩(10gの脱イオン水に溶解)、110gの脱イオン水に溶解した3.15gのホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、並びに21.33gの乳化剤である牛脂脂肪酸のカリウム塩(139.44gの水に溶解)を、撹拌しながら反応器に充填し、コアシェルポリマーを除いて、添加した原材料が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。真空−窒素パージを3回連続して実施し、反応器をわずかに真空下に置いた。次に反応器を加熱した。同時に、960.03gのメタクリル酸メチル、106.67gのジメチルアクリルアミド及び10.67gのn−オクチルメルカプタンを含む混合物を30分間窒素−脱ガス処理した。反応器を63℃で加熱し、この温度を維持した。次に、ポンプを用いて180分で、モノマー混合物を反応器に導入した。並行して、5.33gのtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(100gの脱イオン水に溶解)を導入する(同じ添加時間)。管路を50g及び20gの水ですすいだ。次に反応混合物を80℃の温度で加熱し、次いでモノマー添加終了後60分で重合を完了させた。反応器を30℃まで冷却した。コポリマーC1の質量平均分子量はM
w=28000g/molである。
【0140】
次に最終ポリマー組成物を回収し、ポリマー組成物を噴霧乾燥により乾燥した。