特許第6879917号(P6879917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6879917様々な光沢度を持つ耐磨耗層を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879917
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】様々な光沢度を持つ耐磨耗層を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/02 20060101AFI20210524BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20210524BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B29C59/02 A
   E04F15/02 A
   E04F15/02 C
   E04F13/08 E
【請求項の数】33
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-536318(P2017-536318)
(86)(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公表番号】特表2018-508382(P2018-508382A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】SE2016050012
(87)【国際公開番号】WO2016114710
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2018年11月2日
(31)【優先権主張番号】1550023-4
(32)【優先日】2015年1月14日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】ゲーラン、ツィーグラー
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス、ホーカンソン
(72)【発明者】
【氏名】クリステル、ルンドブラード
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−113664(JP,A)
【文献】 特開昭58−110250(JP,A)
【文献】 特開昭62−087284(JP,A)
【文献】 実開昭61−031824(JP,U)
【文献】 特表2004−515384(JP,A)
【文献】 特表2014−504965(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/082491(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02123476(EP,A2)
【文献】 国際公開第2013/079950(WO,A1)
【文献】 特開昭57−036607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な光沢度を持つ耐磨耗層(1)を製造する方法において、
熱可塑性材料を含み、かつ実質的に透明で、更に、前記熱可塑性材料中に混入された耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含む、耐磨耗層(1)を提供する工程と、プレス後に前記耐磨耗層が光沢度の異なる部分(5、6)を得るように、光沢度が異なる部分を持つプレス装置(11)に対して前記耐磨耗層(1)を押し付ける工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、前記耐磨耗層(1)に実質的に封入されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性材料は、熱可塑性ポリウレタン(PU)を含む、請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含む、請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記プレス装置(11)は金属面を含み、前記光沢度が異なる部分は前記金属面に形成されている、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記プレス装置(11)は、プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートのいずれかを含み、前記プレス装置が含む前記プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートのいずれかのうちの前記耐磨耗層と直接、接する部分は、前記光沢度が異なる部分を有する、請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プレス装置(11)は構造体ホイルを含み、前記構造体ホイルは、前記光沢度が異なる部分を有する、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記異なる前記光沢度は、最大深さが30μmの部分(5、6)を含む前記耐磨耗層(1)の微小構造によって形成される、請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
エンボス部分を前記耐磨耗層(1)に形成する工程を更に含む、請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
プレス前に前記耐磨耗層(1)を基材(2)に設ける工程を更に含む、請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記基材(2)は熱可塑性材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
建材パネル(10、10’、10’’)を製造する方法において、
基材(2)を提供する工程と、
熱可塑性材料を含み、かつ実質的に透明で、更に、前記熱可塑性材料中に混入された耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含む、耐磨耗層(1)を前記基材(2)に設ける工程と、 前記基材(2)及び前記耐磨耗層(1)を互いにプレスし、これによって前記建材パネル(10、10’、10’’)を形成する工程とを含み、
プレス後に前記耐磨耗層(1)が光沢度が異なる部分(5、6)を得るように、光沢度が異なる部分を持つプレス装置(11)に前記耐磨耗層(1)を押し付ける、方法。
【請求項14】
前記耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、前記耐磨耗層(1)に実質的に封入されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さい、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記光沢度が異なる部分(5、6)は、装飾パターン又は印刷デザイン(7)と位置合わせされている、請求項13乃至15のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記熱可塑性材料は、熱可塑性ポリウレタン(PU)を含む、請求項13乃至16のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含む、請求項13乃至16のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記プレス装置(11)は金属面を含み、前記光沢度が異なる部分は前記金属面に形成されている、請求項13乃至18のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記プレス装置(11)は、プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートのいずれかを含み、前記プレス装置が含む前記プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートのいずれかのうちの前記耐磨耗層と直接、接する部分は、前記光沢度が異なる部分を有する、請求項13乃至19のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記プレス装置(11)は構造体ホイルを含み、前記構造体ホイルは、前記光沢度が異なる部分を有する、請求項13乃至18のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記異なる前記光沢度は、最大深さが30μmの部分(5、6)を含む前記耐磨耗層(1)の微小構造によって形成される、請求項13乃至21のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
エンボス部分を前記耐磨耗層(1)に形成する工程を更に含む、請求項13乃至22のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記基材(2)は熱可塑性材料を含む、請求項13乃至23のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記基材(2)は、装飾パターン又は印刷デザイン(7)を持つ装飾層(3)を含む、請求項13乃至24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
建材パネル(10、10’、10’’)において、
基材(2)と、
前記基材(2)に設けられた、熱可塑性材料と、前記熱可塑性材料中に混入された耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子とを含み、かつ実質的に透明な耐磨耗層(1)とを備え、
前記耐磨耗層(1)には、光沢度が異なる部分(5、6)が設けられている、建材パネル。
【請求項27】
前記光沢度が異なる部分(5、6)は、前記基材(2)又は前記耐磨耗層(1)の装飾パターン又は印刷デザイン(7)と位置合わせされている、請求項26に記載の建材パネル。
【請求項28】
前記耐磨耗層(1)には、前記基材(2)又は前記耐磨耗層(1)の装飾パターン又は印刷デザイン(7)と位置合わせされたエンボスが設けられている、請求項26又は27に記載の建材パネル。
【請求項29】
前記耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、前記耐磨耗層(1)に実質的に封入されている、請求項26に記載の建材パネル。
【請求項30】
前記耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さい、請求項26又は29に記載の建材パネル。
【請求項31】
前記熱可塑性材料は、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含む、請求項26乃至30のうちのいずれか一項に記載の建材パネル。
【請求項32】
前記基材(2)は、熱可塑性材料を含む、請求項26乃至31のうちのいずれか一項に記載の建材パネル。
【請求項33】
前記基材(2)は、装飾パターン又は印刷デザイン(7)を持つ装飾層(3)を含む、請求項26乃至32のうちのいずれか一項に記載の建材パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な光沢度を持つ耐磨耗層を製造する方法、様々な光沢度の耐磨耗層を含む建材パネルを製造する方法、及びこのような建材パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるラグジャリービニルタイル及びプランク(LVT)が大きな成功を収めている。こうした種類のフロアパネルは、通常は、熱可塑性コア、コアに配置された熱可塑性装飾層、装飾層上の透明な耐磨耗層、及び耐磨耗層に付けたコーティングを含む。熱可塑性材料は、多くの場合、PVCである。耐磨耗層は、従来は、例えば厚さが0.2−0.7mmのPVCホイルである。コア、装飾層、及び透明な耐磨耗層は、従来は互いにプレスされてフロアパネルを形成する。プレス後に耐磨耗層に付けられるコーティングは、従来は紫外線硬化型ポリウレタンコーティングである。耐磨耗層は、コーティングとともに、フロアパネルの耐磨耗性を提供し、装飾層を保護する。
【0003】
しかしながら、フロアパネルに磨耗が加わると、コーティング及び耐磨耗層が比較的容易にすり減ってしまうか或いは、少なくとも耐磨耗層の外観が損なわれるように磨耗してしまい、引っ掻き傷ができ及び/又はもはや透明性でなくなってしまう。樹脂の積層フロアパネルと比較すると、LVTフロアパネルの耐擦傷性は劣っている。しかしながら、LVTフロアには、エンボスが深く、水分に対する寸法安定性がよく、耐湿性及び吸音性に優れているといった、例えば積層フロアを上回る幾つかの利点がある。
【0004】
紫外線硬化型ポリウレタンコーティングをフロアパネルに最上層として付けることによって、フロアパネルの表面は均等な光沢度を得る。即ちフロアパネルはコーティングの光沢度を得る。
【0005】
紫外線硬化型コーティングの光沢度を異ならせてもよいということが公知である。これは、例えば、US7,276,265に開示されているように、表面コーティングの第1領域を第1条件組下で重合し、表面コーティングの第2領域を第2条件組下で重合することによって行われ、光沢度が異なる領域が得られる。
【0006】
GB2 262 940には、PVC樹脂100重量%当たり最大約15部の比率でポリウレタンを含むことによって滑り止め性及び耐擦傷性を改善した可撓性ビニルフロアカバーが開示されている。
【0007】
DE102012005312としても公開されたWO2013/139460には、 一層のエラストマー材料が加硫装置に供給され、離間紙層が転写構造を有し、エラストマー材料層に異なる光沢度を与える、フロアカバーを製造するための方法が開示されている。
【0008】
US5,787,655には、軟化したポリマーフィルムに複数のビーズをぶつける工程を含み、各ビーズの一区分が軟化したポリマーフィルムから突出するようにする、装飾性滑り止めカバーシステムを製造するための方法が開示されている。ビーズの平均直径は約10ミル乃至40ミルである。この直径のビーズが1平方インチ当たり約200個乃至1100個の密度であり、カバーシステムに十分な摩擦係数が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US7,276,265
【特許文献2】GB2 262 940
【特許文献3】WO2013/139460
【特許文献4】US5,787,655
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
少なくとも本発明の実施例の目的は、当該技術分野で周知の上述の技術の改良を提供することである。
【0011】
少なくとも本発明の実施例の別の目的は、熱可塑性材料上に様々な光沢度を得る方法を提供することである。
【0012】
少なくとも本発明実施例の更に別の目的は、保護コーティングの必要をなくし、熱可塑性材料でできた耐磨耗層に異なる光沢度を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの及び他の目的及び以下の説明から明らかになる利点のうちの少なくとも幾つかは、様々な光沢度を持つ耐磨耗層を本発明の第1の態様に従って製造する方法によって達成される。この方法は、熱可塑性材料を含む耐磨耗層を提供する工程と、プレス後に光沢度が異なる部分を得るように、光沢度が異なる部分を持つプレス装置に耐磨耗層を押し付ける工程とを含む、方法によって達成された。
【0014】
光沢度は、表面が光を整反射方向にどれほど良好に反射するのかを示す光学的特性である。光沢度が高い表面では、大量の光が整反射方向反射される。即ち入射角が反射角とほぼ等しい。艶消しの表面では、光は全ての方向に拡散式に散乱される。光沢度は、公知量の光を表面で輝かせ、反射を測ることによって計測される。光沢度標準に対する比と比較した入射光に対する反射の比を光沢度単位(GU:gross unit)で記録する。光沢度は様々な角度で記録される。60°の角度では、光沢度は、70GUを越える高い光沢度、10−70GUの中程度の光沢度、及び10GUよりも低い低光沢度と定義される。光沢度が異なるということは、GUで様々な光沢度値が計測されるということを意味する。
【0015】
異なる光沢度というのは、好ましくは、第1部分又は第1部分の組の光沢度が、第2部分又は第2部分の組の光沢度と異なるということを意味する。耐磨耗層の第1部分又は第1部分の組の光沢度は、耐磨耗層の第2部分又は第2部分の組よりも高くてもよい。第1部分又は第1部分の組は第1光沢度を有し、第2部分又は第2部分の組は第2光沢度を有し、第2光沢度は第1光沢度よりも高くてもよいし、低くてもよい。プレス装置及び耐磨耗層は、光沢度が高い部分、例えば70GUよりも高い部分と、艶消しの部分、例えば10GUよりも低い部分とを含んでいてもよい。プレス装置及び従って耐磨耗層は、任意の数の異なる光沢度が現れるように二つ以上の光沢度を備えていてもよい。
【0016】
一実施例では、耐磨耗層は実質的に透明である。実質的に透明であるというのは、耐磨耗層の光線透過率が、可視光で、例えば波長が約390−700nmの光で、80%を越え、好ましくは90%を越えるということを意味する。これによって、装飾層や装飾印刷が耐磨耗層を通して見える。好ましくは、耐磨耗層は、耐磨耗層の下に配置された任意の装飾層又は装飾印刷の印象に影響を及ぼさない。耐磨耗層は、顔料着色されていなくてもよい。
【0017】
少なくとも本発明の実施例の利点は、熱可塑性材料でできた異なる光沢度を持つ耐磨耗層が得られるということである。従来、十分な耐擦傷性を確保するため、耐磨耗層にコーティングが付けられていた。これによって、均等な光沢度、即ちコーティングの光沢度が得られた。耐磨耗性を改善した耐磨耗層を提供することによって、例えば耐磨耗層に耐磨耗性粒子を含ませることによって、耐磨耗性を維持しつつ又は改善しつつ、コーティングを除外できる。これによって、耐磨耗層に様々な光沢度を提供できる。
【0018】
耐磨耗層は、追加の層又はコーティングを付ける必要がない。耐磨耗層は、例えば建材パネルの最上層を形成するようになっている。耐磨耗層は、例えば建材パネルの上層を形成するようになっている。耐磨耗層に追加の層又はコーティングを付ける必要がない。
【0019】
耐磨耗層の上面に異なる光沢度を持つ部分が設けられるように、耐磨耗層の上面をプレス装置に押し付けてもよい。
【0020】
耐磨耗層の様々な光沢度は、印刷デザイン等の装飾パターンと位置合わせされるようになっていてもよい。
【0021】
耐磨耗層を、後の作業で、装飾層又はコア等の基材に接着することができる。別の態様では、プレス前に耐磨耗層を基材に接着してもよい。耐磨耗層は、例えば、基材に接着又はプレス(接着剤を用いて又は接着剤なしで)できる。
【0022】
一実施例では、耐磨耗層は、更に、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含む。耐磨耗性粒子は、鋼玉石等のアルミニウム酸化物を含んでいてもよい。耐擦傷性粒子及び耐磨耗性粒子は、シリカを含んでいてもよい。熱可塑性材料でできた耐磨耗層に耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子を含ませることによって、層の耐磨耗性及び/又は耐擦傷性を従来の耐磨耗性ホイルと比較して向上する。耐磨耗層に耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含ませることによる利点は、耐磨耗層の材料厚を大きくすることなく、耐磨耗性及び/又は耐擦傷性が得られるということである。耐磨耗層を厚くすることによって耐磨耗性及び/又は耐擦傷性を得ることは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含ませることと比較して費用が掛かり、材料を消費する。
【0023】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層に実質的に封入されていてもよい。実質的に封入されるというのは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の表面積の90%よりも多くが耐磨耗層に封入されているということを意味する。好ましくは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層の表面の外側に突出していない。例えば、好ましくは粒子の少なくとも95%が実質的に封入されており、随意であるがこれらの粒子の少なくとも99%が実質的に封入されている。突出した粒子は、靴下や靴等に磨耗を生じ、滑り止め表面によって提供されるような、耐磨耗ホイルの粗くざらざらとした表面を提供する。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の目的は、耐磨耗性を提供することであって、滑り止め性を提供することではない。
【0024】
粒子は、耐磨耗層に封入されることにより、耐磨耗層の表面から突出した滑り止め粒子の場合におけるように粗い表面を形成することなく、耐磨耗性及び耐擦傷性を高める。更に、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子が耐磨耗層に封入されているため、プレスプレート等の磨耗が減少する。
【0025】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さくてもよい。耐磨耗層の透明性を確保するため、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、好ましくは、200μmよりも小さい。
【0026】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、耐磨耗層の厚さよりも小さくてもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、耐磨耗層の厚さよりも大きくてもよい。しかしながら、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は耐磨耗層の厚さを越える平均粒径を持つけれども、プレス中、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子がプレス後に耐磨耗層の上面を越えて突出しないように、第1ホイルに押し込まれる。
【0027】
熱可塑性材料は、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタン等の熱可塑性ポリウレタン(PU)、又はその混合物で形成されていてもよい。耐磨耗層は、熱可塑性ポリウレタン(PU)ホイルで形成されていてもよい。ポリウレタンは、高い耐薬品性を提供する。耐擦傷性及び耐微小擦傷性もまた向上する。更に、ポリウレタンを含む耐磨耗層によって、ブラックヒールマーク性もまた改善される。好ましくは、少なくとも耐磨耗層の上部分が熱可塑性ポリウレタンでできている。
【0028】
熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)を含んでいてもよい。
【0029】
熱可塑性材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。
【0030】
一実施例では、耐磨耗層は顔料を含む。
【0031】
一実施例では、耐磨耗層は印刷されている。
【0032】
プレス装置は金属面を含んでいてもよく、光沢度が異なる前記部分は、金属面に形成されている。異なる光沢度の部分は、エングレービング、砥粒ブラスティング、エッチング、電解研磨等の研磨加工によって形成されてもよい。金属面の基材にデジタル印刷することによって様々な光沢度が形成されてもよい。デジタル印刷は、装飾パターンと位置合わせできる。金属面は、プレス中、耐磨耗層と直接接触してもよい。
【0033】
一実施例では、プレス装置は熱硬化性樹脂プレスプレートを含み、光沢度が異なる前記部分は、プレスプレートの熱硬化性樹脂表面に形成される。
【0034】
プレス装置は、プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートを含んでいてもよく、プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートは、光沢度が異なる部分を有する。プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートの表面は、プレス中、耐磨耗層と直接接触してもよい。
【0035】
プレス装置は構造体ホイル(構造体を構成するホイル、以下同様)を含んでいてもよく、構造体ホイルには、光沢度が異なる部分が設けられている。光沢度が異なる部分は、構造体ホイルの基材に物質をデジタル印刷することによって得ることができる。光沢度が異なる部分は、ホイルに付けたコーティングをエングレーブドローラーに押し付け、コーティングを硬化することによって得てもよい。別の態様では、様々な光沢度を持つアルミニウムホイルを使用してもよい。デジタル印刷を装飾パターンと位置合わせできる。
【0036】
構造体ホイルは紙ホイル、プラスチックホイル、又はアルミニウムホイル等の金属ホイルであってもよい。
【0037】
耐磨耗層の様々な光沢度は、最大深さが30μmの部分を含む耐磨耗層の微小構造によって形成されてもよい。
【0038】
方法は、更に、好ましくは深さが100μmを越えるエンボス部分を耐磨耗層に形成する工程を含んでいてもよい。エンボスは、建材パネルの装飾パターンと位置合わせされていてもよい。エンボス部分は、異なる光沢度及び装飾パターンを持つ部分と位置合わせできる。光沢度が異なる部分の形成前又はその後に、エンボス部分の形成を異なる光沢度の部分の形成と一緒に行ってもよい。
【0039】
方法は、プレス前に耐磨耗層を基材に付ける工程を更に含んでいてもよい。
【0040】
基材は、装飾層を含んでいてもよい。装飾層はコアに配置されていてもよい。装飾パターン例えば印刷デザインによって装飾層の装飾性を提供してもよい。装飾層は、熱可塑性材料を含んでいてもよい。
【0041】
耐磨耗層は、表面上に、好ましくは異なる光沢度が設けられた表面とは反対側の表面上に印刷デザインを備えていてもよい。
【0042】
基材はコアであってもよい。コアの表面には、装飾パターン、例えば印刷デザインが設けられていてもよい。
【0043】
基材は、熱可塑性材料を含んでいてもよい。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、様々な光沢度を持つ建材パネルの製造方法が提供される。この方法は、基材を提供する工程と、熱可塑性材料を含む耐磨耗層を基材に付ける工程と、基材及び耐磨耗層を互いにプレスし、これによって建材パネルを形成する工程とを含み、プレス後に耐磨耗層が光沢度が異なる部分を得るように、光沢度が異なる部分を持つプレス装置に耐磨耗層を押し付ける。
【0045】
建材パネルを形成するために基材及び耐磨耗層を互いにプレスするとき、光沢度が異なる部分を持つプレス装置に耐磨耗層を押し付けてもよく、又は建材パネルを形成するために基材及び耐磨耗層を互いにプレスする工程の前又は後に分離してもよい。
【0046】
光沢度は、表面が光を整反射方向にどれほど良好に反射するのかを示す光学的特性である。光沢度が高い表面では、大量の光が整反射方向反射される。即ち入射角が反射角とほぼ等しい。艶消しの表面では、光は全ての方向に拡散式に散乱される。光沢度は、公知量の光を表面で輝かせ、反射を測ることによって計測される。光沢度標準に対する比と比較した入射光に対する反射の比を光沢度単位(GU)で記録する。光沢度は様々な角度で記録される。60°の角度では、光沢度は、70GUを越える高い光沢度、10−70GUの中程度の光沢度、及び10GUよりも低い低光沢度と定義される。光沢度が異なるということは、GUで様々な光沢度値が計測されるということを意味する。
【0047】
異なる光沢度というのは、好ましくは、第1部分又は第1部分の組の光沢度が、第2部分又は第2部分の組の光沢度と異なるということを意味する。耐磨耗層の第1部分又は第1部分の組の光沢度は、耐磨耗層の第2部分又は第2部分の組よりも高くてもよい。第1部分又は第1部分の組は第1光沢度を有し、第2部分又は第2部分の組は第2光沢度を有し、第2光沢度は第1光沢度よりも高くてもよいし、低くてもよい。プレス装置及び耐磨耗層は、光沢度が高い部分、例えば70GUよりも高い部分と、艶消しの部分、例えば10GUよりも低い部分とを含んでいてもよい。プレス装置及び従って耐磨耗層は、任意の数の異なる光沢度が現れるように二つ以上の光沢度を備えていてもよい。
【0048】
一実施例では、耐磨耗層は実質的に透明である。実質的に透明であるというのは、耐磨耗層の光線透過率が、可視光で、例えば波長が約390−700nmの光で、80%を越え、好ましくは90%を越えるということを意味する。これによって、任意の装飾層又は装飾印刷が耐磨耗層を通して見える。好ましくは、耐磨耗層は、耐磨耗層の下に配置された任意の装飾層又は装飾印刷の印象に影響を及ぼさない。耐磨耗層は、顔料着色されていなくてもよい。
【0049】
少なくとも本発明の実施例の利点は、熱可塑性材料でできた異なる光沢度を持つ耐磨耗層が得られるということである。従来、耐磨耗層にコーティングが付けられ、均等な光沢度が得られた。耐磨耗性を改善した耐磨耗層を提供することによって、例えば耐磨耗層に耐磨耗性粒子を含ませることによって、耐磨耗性を維持しつつ又は改善しつつ、コーティングを除外できる。これによって、耐磨耗層に異なる光沢度を提供できる。
【0050】
従って、これによって、様々な光沢度を持つ建材パネルを得ることができる。建材パネルは、追加の層又はコーティングを付ける必要がない。耐磨耗層は、建材パネルの最上層を形成する。耐磨耗層は、建材パネルの上層を形成する。耐磨耗層には追加の層又はコーティングが付けられない。
【0051】
耐磨耗層の様々な光沢度は、印刷デザイン等の装飾パターンと位置合わせされるようになっている。
【0052】
耐磨耗層の上面に光沢度が異なる部分が設けられるように、耐磨耗層の上面をプレス装置に押し付けてもよい。
【0053】
耐磨耗層は、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含んでいてもよい。耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子は、鋼玉石等のアルミニウム酸化物を含んでいてもよい。耐擦傷性粒子及び耐磨耗性粒子は、シリカを含んでいてもよい。熱可塑性材料でできた耐磨耗層に耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子を含ませることによって、層の耐磨耗性及び/又は耐擦傷性が従来の耐磨耗性ホイルと比較して向上する。耐磨耗層に耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含ませることによる利点は、耐磨耗層の材料厚を大きくすることなく、耐磨耗性及び/又は耐擦傷性が得られるということである。耐磨耗層を厚くすることによって耐磨耗性及び/又は耐擦傷性を得ることは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含ませることと比較して費用が掛かり、材料を消費する。
【0054】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層に実質的に封入されていてもよい。実質的に封入されるというのは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の表面積の90%よりも多くが耐磨耗層に封入されているということを意味する。好ましくは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層の表面の外側に突出していない。例えば、好ましくは粒子の少なくとも95%が実質的に封入されており、随意であるがこれらの粒子の少なくとも99%が実質的に封入されている。突出した粒子は、靴下や靴等に磨耗を生じ、滑り止め表面によって提供されるような、耐磨耗ホイルの粗くざらざらとした表面を提供する。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の目的は、耐磨耗性を提供することであって、滑り止め性を提供することではない。
【0055】
粒子は、耐磨耗層に封入されることにより、耐磨耗層の表面から突出した滑り止め粒子の場合におけるように粗い表面を形成することなく、耐磨耗性及び耐擦傷性を高める。更に、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子が耐磨耗層に封入されているため、プレスプレート等の磨耗が減少する。
【0056】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さくてもよい。耐磨耗層の透明性を確保するため、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、好ましくは、100μmよりも小さい。
【0057】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、耐磨耗層の厚さよりも小さくてもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、耐磨耗層の厚さよりも大きくてもよい。しかしながら、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は耐磨耗層の厚さを越える平均粒径を持つけれども、プレス中、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子がプレス後に耐磨耗層の上面を越えて突出しないように、第1ホイルに押し込まれる。
【0058】
熱可塑性材料は、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタン等の熱可塑性ポリウレタン(PU)、又はその混合物で形成されていてもよい。耐磨耗層は、熱可塑性ポリウレタン(PU)ホイルで形成されていてもよい。ポリウレタンは、高い耐薬品性を提供する。耐擦傷性及び耐微小擦傷性もまた向上する。更に、ポリウレタンを含む耐磨耗層によって、ブラックヒールマーク性もまた改善される。好ましくは、少なくとも耐磨耗層の上部分が熱可塑性ポリウレタンでできている。
【0059】
耐磨耗層の熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)を含んでいてもよい。
【0060】
熱可塑性材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。
【0061】
一実施例では、耐磨耗層は顔料を含む。
【0062】
一実施例では、耐磨耗層は印刷されている。
【0063】
プレス装置は金属面を含んでいてもよく、光沢度が異なる前記部分は、金属面に形成されている。異なる光沢度の部分は、エングレービング、砥粒ブラスティング、エッチング、電解研磨等の研磨加工によって形成されてもよい。金属面の基材にデジタル印刷することによって様々な光沢度を形成してもよい。デジタル印刷は、装飾パターンと位置合わせできる。金属面は、プレス中、耐磨耗層と直接接触してもよい。
【0064】
一実施例では、プレス装置は熱硬化性樹脂プレスプレートを含み、光沢度が異なる前記部分は、プレスプレートの熱硬化性樹脂表面に形成される。
【0065】
プレス装置は、プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートを含んでいてもよく、プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートは、光沢度が異なる部分を有する。プレスシリンダ、プレスベルト、又はプレスプレートの表面は、プレス中、耐磨耗層と直接接触してもよい。
【0066】
プレス装置は構造体ホイルを含んでいてもよく、構造体ホイルには、光沢度が異なる部分が設けられている。光沢度が異なる部分は、構造体ホイルの基材に物質をデジタル印刷することによって得ることができる。光沢度が異なる部分は、ホイルに付けたコーティングをエングレーブドローラーに押し付け、コーティングを硬化することによって得てもよい。別の態様では、様々な光沢度を持つアルミニウムホイルを使用してもよい。デジタル印刷を装飾パターンと位置合わせできる。
【0067】
構造体ホイルは紙ホイル、プラスチックホイル、又はアルミニウムホイル等の金属ホイルであってもよい。
【0068】
耐磨耗層を付ける工程は、粉体形態の熱可塑性材料を基材に付ける工程を含んでいてもよい。
【0069】
耐磨耗層を設ける工程は、粉体形態の熱可塑性材料及び耐磨耗性粒子を含む混合物を付ける工程を含んでいてもよい。
【0070】
耐磨耗層を設ける工程は、熱可塑性材料を含む第1層を付ける工程、耐磨耗性粒子を第1層に付ける工程、及び熱可塑性材料を含む第2層を耐磨耗性粒子に付ける工程を含んでいてもよい。
【0071】
第1層は、ポリ塩化ビニル(PVC)を含んでいてもよく、第2層はポリウレタン(PU)を含んでいてもよい。
【0072】
耐磨耗層は、熱可塑性ホイルであってもよい。
【0073】
耐磨耗層は、基材にコーティングを付けることによって形成されてもよい。コーティングは、放射線硬化コーティング、好ましくは紫外線硬化コーティングであってもよい。コーティングは、アクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマーであってもよい。コーティングは、プレス前又はプレス後に硬化してもよい。
【0074】
耐磨耗層の様々な光沢度は、最大深さが30μmの部分を含む微小構造によって形成されてもよい。
【0075】
方法は、更に、好ましくは深さが100μmを越えるエンボス部分を耐磨耗層に形成する工程を含んでいてもよい。エンボスは、装飾パターンと位置合わせされていてもよい。エンボス部分は、異なる光沢度及び装飾パターンを持つ部分と位置合わせできる。光沢度が異なる部分の形成前又はその後に、エンボス部分の形成を異なる光沢度の部分の形成と一緒に行ってもよい。
【0076】
基材は、熱可塑性材料を含んでいてもよい。
【0077】
基材の熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。
【0078】
基材は装飾層を含んでいてもよい。装飾層はコア上に配置されていてもよい。装飾層の装飾性は、装飾パターン、例えば印刷デザインによって提供されてもよい。装飾層は、熱可塑性材料でできていてもよい。
【0079】
基材はコアであってもよい。コアの表面には、装飾パターン、例えば印刷デザインが設けられていてもよい。
【0080】
別の態様では、耐磨耗層は、表面上に、好ましくは様々な光沢度が設けられた表面とは反対側の表面上に印刷デザインを備えていてもよい。
【0081】
本発明の第3の態様によれば、建材パネルが提供される。建材パネルは、基材と、基材に配置された様々な光沢度を持つ熱可塑性材料製の耐磨耗層とを含む。
【0082】
光沢度は、表面が光を整反射方向にどれほど良好に反射するのかを示す光学的特性である。光沢度が高い表面では、大量の光が整反射方向反射される。即ち入射角が反射角とほぼ等しい。艶消しの表面では、光は全ての方向に拡散式に散乱される。光沢度は、公知量の光を表面で輝かせ、反射を測ることによって計測される。光沢度標準に対する比と比較した入射光に対する反射の比を光沢度単位(GU)で記録する。光沢度は様々な角度で記録される。60°の角度では、光沢度は、70GUを越える高い光沢度、10−70GUの中程度の光沢度、及び10GUよりも低い低光沢度と定義される。光沢度が異なるということは、GUで様々な光沢度値が計測されるということを意味する。
【0083】
異なる光沢度というのは、好ましくは、第1部分又は第1部分の組の光沢度が、第2部分又は第2部分の組の光沢度と異なるということを意味する。耐磨耗層の第1部分又は第1部分の組の光沢度は、耐磨耗層の第2部分又は第2部分の組よりも高くてもよい。第1部分又は第1部分の組は第1光沢度を有し、第2部分又は第2部分の組は第2光沢度を有し、第2光沢度は第1光沢度よりも高くてもよいし、低くてもよい。耐磨耗層は、光沢度が高い部分と、艶消しの部分とを含んでいてもよい。耐磨耗層は、任意の数の異なる光沢度が現れるように二つ以上の光沢度を備えていてもよい。
【0084】
一実施例では、耐磨耗層は実質的に透明である。実質的に透明であるというのは、耐磨耗層の光線透過率が、可視光で、例えば波長が約390−700nmの光で、80%を越え、好ましくは90%を越えるということを意味する。これによって、任意の装飾層又は装飾印刷が耐磨耗層を通して見える。好ましくは、耐磨耗層は、耐磨耗層の下に配置された任意の装飾層又は装飾印刷の印象に影響を及ぼさない。耐磨耗層は、顔料着色されていなくてもよい。
【0085】
本発明の第3の態様の実施例の利点は、異なる光沢度を持つ部分を備えた耐磨耗層を含む建材パネルが提供されるということである。耐磨耗層にコーティングが施されていないため、異なる光沢度の部分を持つ耐磨耗層を提供できる。耐磨耗層は、建材パネルの最上層を形成する。耐磨耗層は、建材パネルの上層を形成する。耐磨耗層には追加の層又はコーティングが付けられていない。
【0086】
耐磨耗層の上面には、異なる光沢度の部分が設けられている。
【0087】
光沢度が異なる部分を建材パネルに形成でき、光沢度が異なるこれらの部分は、建材パネルの装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせされる。更に、建材パネルにエンボス部分を形成でき、これらのエンボス部分は建材パネルの装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせできる。
【0088】
基材は、装飾層を含んでいてもよい。装飾層はコアに配置されていてもよい。装飾パターン例えば印刷デザインによって装飾層の装飾性を提供してもよい。装飾層は、熱可塑性材料を含んでいてもよい。装飾層は、木材ベニヤ層、コルク層、又は装飾紙であってもよい。
【0089】
基材はコアであってもよい。コアの表面には、装飾パターン、例えば印刷デザインが設けられていてもよい。
【0090】
別の態様では、耐磨耗層は、表面上に、好ましくは様々な光沢度が設けられた表面とは反対側の表面上に印刷デザインを備えていてもよい。
【0091】
耐磨耗層の光沢度が異なる部分は、装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせして形成されていてもよい。
【0092】
耐磨耗層は、装飾パターンと位置合わせしてエンボスが設けられていてもよい。
【0093】
異なる光沢度の部分が、装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせして、及び耐磨耗層のエンボスと位置合わせして形成されていてもよい。光沢度が高い部分を耐磨耗層の低いエンボス部分とコーディネートしてもよい。光沢度が低い部分を耐磨耗層の比較的高くに配置された部分とコーディネートしてもよい。建材パネルの設計及び所望の外観に応じてこの逆にしてもよい。
【0094】
最大深さが30μmの部分を含む微小構造によって異なる光沢度を形成してもよい。
【0095】
耐磨耗層は、好ましくは100μmを越える深さの耐磨耗層のエンボス部分を更に含んでいてもよい。
【0096】
一実施例では、耐磨耗層は顔料を含む。
【0097】
一実施例では、耐磨耗層は印刷されている。
【0098】
耐磨耗層の熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。
【0099】
耐磨耗層は、更に、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子、例えば鋼玉石等のアルミニウム酸化物を含んでいてもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は鋼玉石等のアルミニウム酸化物を含んでいてもよい。耐擦傷性粒子及び耐磨耗性粒子は、シリカを含んでいてもよい。耐磨耗層に耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子を含ませることによって、耐磨耗層の材料厚を大きくすることなく、耐磨耗性及び/又は耐擦傷性が向上する。耐磨耗層を厚くすることによって耐磨耗性及び/又は耐擦傷性を得ることは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含ませることと比較して費用が掛かり、材料を消費する。
【0100】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層に実質的に封入されていてもよい。実質的に封入されるというのは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の表面積の90%よりも多くが耐磨耗層に封入されているということを意味する。好ましくは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層の表面の外側に突出していない。例えば、好ましくは粒子の少なくとも95%が実質的に封入されており、随意であるがこれらの粒子の少なくとも99%が実質的に封入されている。突出した粒子は、靴下や靴等に磨耗を生じ、滑り止め表面によって提供されるような、耐磨耗ホイルの粗くざらざらとした表面を提供する。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の目的は、耐磨耗性を提供することであって、滑り止め性を提供することではない。
【0101】
粒子は、耐磨耗層に封入されることにより、耐磨耗層の表面から突出した滑り止め粒子の場合におけるように粗い表面を形成することなく、耐磨耗性及び耐擦傷性を高める。更に、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子が耐磨耗層に封入されているため、プレスプレート等の磨耗が減少する。
【0102】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さくてもよい。耐磨耗層の透明性を確保するため、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、好ましくは、100μmよりも小さい。
【0103】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、耐磨耗層の厚さよりも小さくてもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、耐磨耗層の厚さよりも大きくてもよい。しかしながら、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は耐磨耗層の厚さを越える平均粒径を持つけれども、プレス中、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子がプレス後に耐磨耗層の上面を越えて突出しないように、第1ホイルに押し込まれる。
【0104】
本発明の第4の態様によれば、様々な光沢度を持つ耐磨耗層が提供される。耐磨耗層は熱可塑性材料でできており、耐磨耗層には光沢度が異なる部分が設けられている。
【0105】
光沢度は、表面が光を整反射方向にどれほど良好に反射するのかを示す光学的特性である。光沢度が高い表面では、大量の光が整反射方向反射される。即ち入射角が反射角とほぼ等しい。艶消しの表面では、光は全ての方向に拡散式に散乱される。光沢度は、公知量の光を表面で輝かせ、反射を測ることによって計測される。光沢度標準に対する比と比較した入射光に対する反射の比を光沢度単位(GU)で記録する。光沢度は様々な角度で記録される。60°の角度では、光沢度は、70GUを越える高い光沢度、10−70GUの中程度の光沢度、及び10GUよりも低い低光沢度と定義される。光沢度が異なるということは、GUで様々な光沢度値が計測されるということを意味する。
【0106】
異なる光沢度というのは、好ましくは、第1部分又は第1部分の組の光沢度が、第2部分又は第2部分の組の光沢度と異なるということを意味する。耐磨耗層の第1部分又は第1部分の組の光沢度は、耐磨耗層の第2部分又は第2部分の組よりも高くてもよい。第1部分又は第1部分の組は第1光沢度を有し、第2部分又は第2部分の組は第2光沢度を有し、第2光沢度は第1光沢度よりも高くてもよいし、低くてもよい。耐磨耗層は、光沢度が高い部分及び艶消し部分を含んでいてもよい。耐磨耗層は、任意の数の異なる光沢度が現れるように二つ以上の光沢度を備えていてもよい。
【0107】
耐磨耗層の上面には、光沢度が異なる部分が設けられている。
【0108】
一実施例では、耐磨耗層は実質的に透明である。実質的に透明であるというのは、耐磨耗層の光線透過率が、可視光で、例えば波長が約390−700nmの光で、80%を越え、好ましくは90%を越えるということを意味する。これによって、任意の装飾層又は装飾印刷が耐磨耗層を通して見える。好ましくは、耐磨耗層は、耐磨耗層の下に配置された任意の装飾層又は装飾印刷の印象に影響を及ぼさない。耐磨耗層は、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子、例えば鋼玉石等のアルミニウム酸化物を含んでいてもよい。
【0109】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層に実質的に封入されていてもよい。実質的に封入されるというのは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の表面積の90%よりも多くが耐磨耗層に封入されているということを意味する。好ましくは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層の表面の外側に突出していない。好ましくは、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層の表面の外側に突出していない。例えば、好ましくは粒子の少なくとも95%が実質的に封入されており、随意であるがこれらの粒子の少なくとも99%が実質的に封入されている。突出した粒子は、靴下や靴等に磨耗を生じ、滑り止め表面によって提供されるような、耐磨耗ホイルの粗くざらざらとした表面を提供する。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の目的は、耐磨耗性を提供することであって、滑り止め性を提供することではない。
【0110】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さくてもよい。耐磨耗層の透明性を確保するため、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、好ましくは、200μmよりも小さい。
【0111】
耐磨耗層の熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、熱可塑性ポリウレタン(PU)、好ましくは、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタン又はその混合物で形成されていてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。
【0112】
本発明の第4の態様の実施例は、上文中に論じた本発明の第1の態様の全ての利点を備えており、これにより以上の議論は耐磨耗層にも適用できる。
【0113】
第5の態様によれば、様々な光沢度を持つ上面を持つ耐磨耗層を製造する方法が提供される。この方法は、熱可塑性材料でできた、研磨された部分及び研磨されていない部分を含む上面を持つ耐磨耗層を提供する。研磨された部分及び研磨されていない部分は、光沢度が異なる。
【0114】
第6の態様によれば、様々な光沢度を持つ建材パネルを製造する方法が提供される。この方法は、基材を提供する工程と、熱可塑性材料でできた耐磨耗層を基材に付ける工程と、基材及び耐磨耗層を互いにプレスし、これによって建材パネルを形成する工程と、研磨された部分の光沢度が研磨されていない耐磨耗層の上面の部分と比較して異なるように耐磨耗層の上面の部分を研磨する工程とを含む。
【0115】
第5及び第6の態様の実施例は、上文中に論じた本発明の第1及び第2の態様の全ての利点を備えており、従って、上文中の議論は、第5及び第6の態様にも適用できる。
【0116】
第5及び第6の態様では、
【0117】
一実施例では、方法は、耐磨耗層の上面にエンボス構造が得られるように、耐磨耗層の上面をエンボスを持つプレス装置に押し付け、突出部分の光沢度が、耐磨耗層の上面のエンボス部分の光沢度と比較して異なるように、エンボス構造の突出部分を研磨する。
【0118】
一実施例では、好ましくはプレス後、耐磨耗層の上面の部分をマスクし、耐磨耗層の上面のマスクされていない部分の光沢度が、マスクされた部分の光沢度と比較して異なるように、マスクされていない部分を研磨する。
【0119】
耐磨耗層は、上文中に説明したように実質的に透明であってもよい。これは上文中に説明した意味を有する。耐磨耗層は、顔料着色されていなくてもよい。
【0120】
耐磨耗層の異なる光沢度は、印刷デザイン等の装飾パターンと位置合わせされるようになっていてもよい。
【0121】
耐磨耗層は、更に、耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子を含む。
【0122】
耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子は、耐磨耗層に実質的に封入されていてもよい。
【0123】
耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さくてもよい。耐磨耗層の透明性を確保するため、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子の平均粒径は、好ましくは、200μmよりも小さい。
【0124】
熱可塑性材料は、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタン等の熱可塑性ポリウレタン(PU)又はこれらの混合物を含んでいてもよい。耐磨耗層は、熱可塑性ポリウレタン(PU)ホイルでできていてもよい。
【0125】
熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。
【0126】
耐磨耗層は、顔料を含んでいてもよい。
【0127】
耐磨耗層は、印刷されてもよい。
【0128】
エンボス構造は、建材パネルの装飾パターンと位置合わせされていてもよい。
【0129】
基材は装飾層を含んでいてもよい。装飾層は、コアに配置されていてもよい。装飾層の装飾製は、装飾パターン、例えば印刷デザイン等によって提供されてもよい。装飾層は、熱可塑性材料でできていてもよい。
【0130】
耐磨耗層は、表面上、好ましくは様々な光沢度が形成された表面の反対側の表面上に印刷デザインを備えていてもよい。
【0131】
基材はコアであってもよい。コアの表面には、装飾パターン例えば印刷デザインが設けられていてもよい。基材は、熱可塑性材料でできていてもよい。
【0132】
本発明を、例として、本発明の実施例を示す添付の概略図を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0133】
図1図1は、耐磨耗層を製造する方法を示す図である。
図2図2は、建材パネルを製造する方法を示す図である。
図3図3A−Cは、建材パネルの様々な実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
図1では、耐磨耗層1がコンベア12上に配置されている。耐磨耗層1は、ホイルであってもよい。一実施例では、耐磨耗層1は、基材2に、例えばコンベア12に塗布した粉体層によって形成される耐磨耗層1は、押し出し吹き込み成形等の押し出しプロセスで形成してもよい。
【0135】
耐磨耗層1は、熱可塑性材料で形成されている。熱可塑性材料には、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせが含まれる。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタン等又はこれらの混合物等の熱可塑性ポリウレタン(PU)を含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。
【0136】
好ましくは、耐磨耗層1は熱可塑性材料で形成されている。耐磨耗層1は、実質的に熱可塑性材料でできていてもよく、随意であるが、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子を含んでいてもよく、随意であるが添加剤がまれていてもよい。添加剤は、可塑剤、安定剤、潤滑剤、脱気剤、カップリング剤、相溶剤、架橋剤、等であってもよい。実施例では、添加剤は、耐磨耗層1の5重量%を越えず、好ましくは3重量%である。実施例では、熱可塑性材料は、耐磨耗層1の少なくとも95重量%である。耐磨耗層1には熱硬化性樹脂が含まれていなくてもよい。
【0137】
一実施例では、耐磨耗層1は、熱可塑性耐磨耗性ホイルである。ホイルは、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタンホイル等の熱可塑性PUホイル、PVCホイル、又は上文中に言及した任意の他の熱硬化性材料のホイルであってもよい。
【0138】
耐磨耗性ホイルには、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子、例えば鋼玉石等のアルミニウム酸化物又はシリカが、例えば押し出しプロセスで含まれてもよい。一実施例では、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、第1及び第2の熱硬化性ホイル間に配置される。第1及び第2の熱硬化性ホイルは、異なる熱硬化性材料でできていてもよい。第1ホイルは、PVCでできていてもよい。第2ホイルは、熱可塑性PUでできていてもよい。第2ホイルは、基材から遠ざかる方向で上方に面するようになっている。第2ホイルは、プレス工程でプレス装置と接触するようになっている。
【0139】
一実施例では、耐磨耗層1は、粉体層によって形成されている。粉体層は、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせ等の熱可塑性材料を含んでいてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。
【0140】
コンベア12等の基材上に粉体層を付ける。粉体層は、更に、耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子、例えば鋼玉石等のアルミニウム酸化物又はシリカ等を含んでいてもよい。
【0141】
耐磨耗層1は、SE2015/050782又はSE2015/050783に開示された方法のうちの任意の方法で形成されてもよい。出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0142】
耐擦傷性粒子というのは、耐擦傷性を改善する粒子を意味する。耐擦傷性粒子は、ナノサイズのシリカ粒子、好ましくは、溶融シリカ粒子でできていてもよい。耐擦傷性粒子は、アルミニウム酸化物であってもよい。耐擦傷性粒子は、好ましくは、幅/厚比が3:1と等しいか或いはそれ以上であり、更に好ましくは、5:1と等しいか或いはそれ以上のディスク状粒子であってもよい。このようなディスク状粒子を層の表面に沿って配向し、これによって耐磨耗層1の耐擦傷性を改善する。耐擦傷性粒子の平均粒径は、1−50μmであり、好ましくは10−20μmである。
【0143】
耐擦傷性粒子は、鋼玉石等のアルミニウム酸化物であってもよい。別の態様では、又は補足として、耐磨耗性粒子は、カーボランダム、石英、シリカ、ガラス、ガラスビーズ、球状ガラス、炭化珪素、ダイヤモンド粒子、硬質プラスチック、強化ポリマー、及び有機物であってもよい。耐磨耗性粒子の平均粒径は、好ましくは、10−200μmであり、好ましくは50−100μmであり、更に好ましくは25−100μmである。耐磨耗性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さく、更に好ましくは75μmよりも小さく、45μmよりも小さい。耐磨耗性粒子は、不規則な形状を備えていてもよい。耐磨耗性粒子4は、表面処理が施されていてもよい。耐磨耗性粒子4は、シラン処理が施された粒子であってもよい。
【0144】
耐磨耗性粒子4の屈折率は、1.4−1.7であってもよい。一実施例では、耐磨耗性粒子4の屈折率は、1.4−1.9であり、好ましくは1.5−1.8であり、例えば1.7−1.8である。好ましくは、耐磨耗性粒子4の屈折率は、耐磨耗層1の屈折率の±20%内である。
【0145】
好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子の両方とも、耐磨耗層1の表面の外側に突出していない。好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層1に実質的に封入されている。好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子の表面積の90%より多くが耐磨耗層1に封入されている。好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子は耐磨耗層1の表面の外側に突出していない。例えば、好ましくは粒子の少なくとも95%が実質的に封入されており、随意であるが粒子の少なくとも99%が実質的に封入されている。
【0146】
耐磨耗性粒子4は、20−100g/m2の量で、好ましくは40−60g/m2の量で塗布されてもよい。
【0147】
耐磨耗層1の上面は、様々な光沢度を持つプレス装置11に押し付けられる。プレス装置11のプレス面は、光沢度が高い部分、又は場合によっては超光沢度の部分、及び艶消し部分を備えていてもよい。最大深さが30μmの微小構造又は微小エンボスによって様々な光沢度が提供される。微小構造が深ければ深い程、艶消しテキスチャーを持つ部分が多くなる。微小構造が浅ければ浅い程、光沢部分が増える。微小エンボスの深さは、様々な光沢度が得られるようにプレス装置11の表面に亘って変化してもよい。耐磨耗層1の上面を微小構造又は微小エンボスに押し付けると、プレス装置のプレス面の光沢度と対応する光沢度が異なる部分が耐磨耗層1の上面に得られる。光沢度は、耐磨耗層1の上面に亘って変化してもよい。様々な光沢度というのは、好ましくは、第1部分又は第1の部分の組の光沢度が第2部分又は第2の部分の組の光沢度と異なるということを意味する。第1部分又は第1の部分の組の光沢度が第2部分又は第2の部分の組よりも高くてもよい。第1部分又は第1の部分の組が第1光沢度を有し、第2部分又は第2の部分の組が第1光沢度よりも高い又は低い第2光沢度を有してもよい。
【0148】
プレス装置11には、耐磨耗層1の上面にマクロエンボス又はマクロ構造を形成するための突出部分を持つマクロ構造が設けられていてもよい。
【0149】
プレス装置11は、様々な光沢度を持つ金属面を含んでいてもよい。プレス装置11の金属面は、耐磨耗層1と直接接触するようになっている。プレス装置11は、様々な光沢度を持つプレスシリンダ又はプレスプレートであってもよく、プレスシリンダ又はプレスプレートが耐磨耗層1と直接接触する。
【0150】
プレス装置11は、様々な光沢度を持つ構造体ホイルを含んでいてもよい。構造体ホイルは、耐磨耗層1と直接接触するようになっている。構造体ホイルは、プレス中、耐磨耗層1と、プレスプレート、プレスベルト、又はプレスシリンダとの間に配置されてもよい。
【0151】
耐磨耗層1は、プレス装置11に押し付けられる。好ましくは、熱が更に加えられる。プレス装置11は、静的プレスであってもよいし、連続プレスであってもよい。
【0152】
耐磨耗層1がプレス装置にくっつかないようにするため、耐磨耗層1の上面に剥離剤が付けられてもよい。耐磨耗層1に追加の層が加えられないため、剥離剤を耐磨耗層1に付けることができ、これによってプレス作業を容易にする。
【0153】
光沢度が異なる部分を持つ耐磨耗層1は、プレス後に実質的に透明であってもよい。好ましくは、最大深さが30μmのマクロ構造によって表面に様々な光沢度が形成される。これらの様々な光沢度は、装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせして形成されてもよい。装飾パターン又は印刷デザインは、耐磨耗層1の表面に、好ましくは光沢度が異なる部分を持つ表面の反対側に形成されてもよい。別の態様では、耐磨耗層1は、装飾パターンが設けられた基材に配置されてもよい。装飾パターンに対し、耐磨耗層1が後に接着される。
【0154】
更に、プレス中、耐磨耗層1の上面にエンボス部分が形成されてもよい。プレスプレート、プレスシリンダ、プレスベルト、又は構造体ホイル等のプレス装置11には、耐磨耗層1にエンボス構造又はマクロ構造を形成する突出部分が設けられていてもよい。別の態様では、光沢度が異なる部分を形成する工程とは別の工程でエンボス部分が形成されてもよい。エンボスは、好ましくは、装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせされる。装飾パターン又は印刷デザインは、耐磨耗層1の表面に、好ましくは、光沢度が異なる部分を持つ表面の反対側に形成されてもよい。別の態様では、耐磨耗層1は、装飾パターン又は印刷デザインが設けられた基材2に配置されてもよい。装飾パターン又は印刷デザインには、耐磨耗層1が後に接着される。
【0155】
プレス後の耐磨耗層1の厚さは、0.01−1mmであってもよく、例えば0.01−0.1mmであってもよい。好ましくは、耐磨耗層1のプレス後の厚さは、0.5mmよりも小さい。
【0156】
続いて行われる加工工程で、耐磨耗層1を基材2に接着してもよい。耐磨耗層1は、プレスによって、又は接着剤によって基材2に接着されてもよい。
【0157】
基材2は、PVC又はPU等の熱可塑性材料でできていてもよい。基材2はコア4であってもよく、又は装飾層3であってもよい。基材2は、図3Aに示すように、コア4、及びこのコア4に配置された装飾層3を含んでいてもよい。耐磨耗層1が顔料着色されており及び/又は印刷が施されている場合には、装飾層3を除外してもよい。
【0158】
別の態様では、耐磨耗層1はプレス中に基材2に接着される。図2を参照してこれを以下に詳細に説明する。
【0159】
図2は、建材パネル10の製造方法を示す。建材パネル10は、フロアパネル、壁パネル、天井パネル、家具の部品等であってもよい。基材2はコンベアベルト12上に配置されている。図2に示す実施例では、基材2は、コア4と、このコア4上に配置された装飾層3を含む。コア4は、好ましくは、熱可塑性材料、例えばPVCでできている。コア4はWPC(木材プラスチック複合材)であってもよく、又は充填体及び熱可塑性材料を含むポリマーコアであってもよい。コア4は、押し出し成形されてもよく、カレンダー加工されてもよい。別の態様では、コア4は、MDF又はHDF等の木材をベースとしたボードであってもよく、又は無機質ボードであってもよい。装飾層3は、熱可塑性ホイル、例えばPVCホイル等の熱可塑性材料でできていてもよい。装飾層3は、着色されていてもよく、又は印刷デザイン等の装飾パターン7が付けられていてもよい。装飾層3は木材ベニヤ層、コルク層、又は装飾紙であってもよい。
【0160】
変形例では、上文中に説明した種類のコア4には、コア4に印刷された印刷デザインが設けられていてもよい。この実施例では、コア4に装飾層が配置されていない。一実施例では、図1を参照して上文中に説明した種類の耐磨耗層1は顔料着色されており、及び/又は印刷された耐磨耗層が形成されるように印刷されている。装飾層がない一実施例では、コア4を印刷デザインなしで使用してもよく、随意であるが耐磨耗層が実質的に透明であってもよい。別の装飾層が設けられていない場合には、耐磨耗層1はコア4に直接配置されていてもよい。
【0161】
図2に示す実施例では、図1を参照して上文中に説明した種類の耐磨耗層1を装飾層3に付ける。耐磨耗層1は熱可塑性材料で形成されている。耐磨耗層1は、更に、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子、例えば鋼玉石等のアルミニウム酸化物又はシリカを含んでいてもよい。
【0162】
耐擦傷性粒子は、耐擦傷性を改善する粒子を意味する。耐擦傷性粒子は、ナノサイズのシリカ粒子、好ましくは溶融シリカ粒子であってもよく、これを含んでいてもよい。耐擦傷性粒子は、アルミニウム酸化物であってもよく、これを含んでいてもよい。耐擦傷性粒子は、好ましくは、幅/厚比が3:1と等しいか或いはそれ以上であり、更に好ましくは、5:1と等しいか或いはそれ以上のディスク状粒子であってもよい。このようなディスク状粒子を層の表面に沿って配向し、これによって耐磨耗層1の耐擦傷性を改善する。耐擦傷性粒子の平均粒径は、1−50μmであり、好ましくは10−20μmである。
【0163】
耐擦傷性粒子は、鋼玉石等のアルミニウム酸化物であってもよい。別の態様では、又は補足として、耐磨耗性粒子は、カーボランダム、石英、シリカ、ガラス、ガラスビーズ、球状ガラス、炭化珪素、ダイヤモンド粒子、硬質プラスチック、強化ポリマー、及び有機物であってもよい。耐磨耗性粒子の平均粒径は、好ましくは、10−200μmであり、好ましくは50−100μmであり、更に好ましくは25−100μmである。耐磨耗性粒子の平均粒径は、200μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さく、更に好ましくは75μmよりも小さく、45μmよりも小さいのがよい。耐磨耗性粒子は、不規則な形状を備えていてもよい。耐磨耗性粒子4は、表面処理が施されていてもよい。耐磨耗性粒子4は、シラン処理が施された粒子であってもよい。
【0164】
耐磨耗性粒子4の屈折率は、1.4−1.7であってもよい。一実施例では、耐磨耗性粒子4の屈折率は、1.4−1.9であり、好ましくは1.5−1.8であり、例えば1.7−1.8である。好ましくは、耐磨耗性粒子4の屈折率は、耐磨耗層1の屈折率の±20%内である。
【0165】
好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子の両方とも、耐磨耗層1の表面の外側に突出していない。好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層1に実質的に封入されている。好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子の表面積の90%より多くが耐磨耗層1に封入されている。好ましくは、耐磨耗性粒子4及び/又は耐擦傷性粒子は耐磨耗層1の表面の外側に突出していない。例えば、好ましくは粒子の少なくとも95%が実質的に封入されており、随意であるが粒子の少なくとも99%が実質的に封入されている。
【0166】
耐磨耗層1は実質的に透明であってもよく、又はプレス後に実質的に透明であってもよい。
【0167】
耐磨耗層1の熱可塑性材料には、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアクリレート、メタクリレート、及び/又はこれらの組み合わせが含まれる。熱可塑性材料は、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタン等又はこれらの混合物等の熱可塑性ポリウレタン(PU)を含んでいてもよい。熱可塑性材料は、イオノマー、例えばポリエチレンのイオノマーを含んでいてもよい。熱可塑性材料は、注型用樹脂又はホットメルトであってもよい。更に、コア及び/又は装飾層が、上掲の熱可塑性材料でできていてもよい。
【0168】
好ましくは、耐磨耗層1は熱可塑性材料で形成されている。耐磨耗層1は、実質的に熱可塑性材料でできており、随意であるが耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子及び随意の添加剤が含まれる。添加剤には、可塑剤、安定剤、潤滑剤、脱気剤、カップリング剤、相溶剤、架橋剤、等が含まれる。
【0169】
一実施例では、耐磨耗層1は、熱可塑性耐磨耗性ホイルである。このホイルは、熱可塑性芳香族又は脂肪族ポリウレタンホイル等の熱可塑性PUホイル、PVCホイル、又は上述の任意の他の熱可塑性材料製のホイルであってもよい。
【0170】
上述の耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子、例えば鋼玉石等のアルミニウム酸化物又はシリカが、耐磨耗性ホイルに含まれていてもよく、例えば押し出しプロセスで含まれていてもよい。一実施例では、耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、第1及び第2の熱可塑性ホイル間に配置される。第1及び第2の熱可塑性ホイルは、異なる熱可塑性材料で形成されていてもよい。第1ホイルはPVCで形成されていてもよい。第2ホイルは熱可塑性PUで形成されていてもよい。第2ホイルは基材から遠ざかる方向で上方に面するようになっている。第2ホイルは、プレス工程でプレス装置と接触するようになっている。
【0171】
別の実施例では、耐磨耗層1は粉体層として付けられる。例えばPVCを含む熱可塑性粉体を装飾層3に付ける。上文中に説明した耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子を熱可塑性粉体と混合してもよく、又は熱可塑性粉体に付けてもよい。別の態様では、耐磨耗層1は、紫外線硬化粉体、例えばアクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマーを含む粉体層として付けられる。例えば熱可塑性PU骨格等の紫外線硬化粉体の熱可塑性部は、プレス中、熱可塑性を発揮し、紫外線硬化部はプレス後に紫外線によって硬化する。
【0172】
別の実施例では、耐磨耗層1は、コーティングとして装飾層3に付けられる。コーティングは、乾燥型コーティング、硬化性コーティング、又はホットメルトコーティングであってもよい。コーティングは、放射線硬化コーティング、好ましくは紫外線硬化コーティングであってもよい。コーティングは、アクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマーであってもよい。上文中に説明した耐磨耗性粒子及び耐擦傷性粒子をコーティングに付けてもよい。プレス前に硬化性コーティングを使用する場合には、耐磨耗層1を形成するようにコーティングを硬化してもよい。使用されるコーティングの種類が異なる場合には、プレス前にコーティングを乾燥し又は冷却してもよい。
【0173】
耐磨耗層1は、SE20125/050782又はSE2015/050783に開示された方法のうちの任意の方法で形成されてもよい。出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0174】
装飾層3を有し、耐磨耗層1が表面上に配置されたコア4がプレス装置11内に搬送される。プレス装置11は静的装置であってもよいし連続的装置であってもよい。
【0175】
耐磨耗層1の上面を様々な光沢度を持つプレス装置11に押し付ける。プレス装置のプレス面は、光沢度が高い部分、又は場合によっては超光沢度の部分、及び艶消し部分を備えていてもよい。最大深さが30μmの微小構造又は微小エンボスによって様々な光沢度が提供される。微小構造が深ければ深い程、艶消しテキスチャーを持つ部分が多くなる。微小構造が浅ければ浅い程、光沢部分が増える。耐磨耗層1の上面を微小構造に押し付けると、耐磨耗層1の上面に光沢度が異なる部分が得られる。微小エンボスの深さは、様々な光沢度が得られるようにプレス装置11の表面に亘って変化してもよい。耐磨耗層1の上面を微小構造に押し付けると、耐磨耗層1の上面に、プレス装置のプレス面の光沢度と対応する光沢度が異なる部分が得られる。光沢度は、耐磨耗層1の上面に亘って変化してもよい。様々な光沢度というのは、好ましくは、第1部分又は第1の部分の組の光沢度が第2部分又は第2の部分の組の光沢度と異なるということを意味する。第1部分又は第1の部分の組の光沢度が第2部分又は第2の部分の組よりも高くてもよい。第1部分又は第1の部分の組が第1光沢度を有し、第2部分又は第2の部分の組が第1光沢度よりも高い又は低い第2光沢度を有してもよい。
【0176】
プレス装置11には、耐磨耗層1の上面にマクロエンボス又はマクロ構造を形成するための突出部分が設けられていてもよい。更に、マクロ構造が、装飾層3の装飾印刷即ち印刷デザイン7と位置合わせされてもよい。
【0177】
プレス装置11は、光沢度が異なる金属面を含んでいてもよい。プレス装置11の金属面は耐磨耗層1と直接接触するようになっている。プレス装置11は、様々な光沢度が設けられたプレスシリンダ又はプレスプレートであってもよく、プレスシリンダ又はプレスプレートは耐磨耗層1と直接接触する。
【0178】
一実施例では、プレス装置11は、様々な光沢度が設けられた構造体ホイルを含んでいてもよい。構造体ホイルは、耐磨耗層1と直接接触するようになっている。構造体ホイルは、プレス中、耐磨耗層1と、プレスプレート、プレスベルト、又はプレスシリンダとの間に配置されてもよい。
【0179】
耐磨耗層1は、プレス装置11に押し付けられる。好ましくは、熱が更に加えられる。プレス装置11は、静的プレスであってもよく、又は連続プレスであってもよい。耐磨耗層1がプレス装置11にくっつかないようにするため、耐磨耗層1の上面には剥離剤が付けられてもよい。耐磨耗層1に追加の層が加えられないため、剥離剤を耐磨耗層1に付けることができ、これによってプレス作業を容易にする。
【0180】
光沢度が異なる部分を持つ耐磨耗層1は、プレス後に実質的に透明であってもよい。好ましくは最大深さが30μmの表面のマクロ構造によって様々な光沢度が形成される。様々な光沢度は、装飾層3の装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせして形成されてもよい。
【0181】
プレス後の耐磨耗層1の厚さは、0.01−1mmであってもよく、例えば0.01−0.1mmであってもよい。好ましくは、耐磨耗層1のプレス後の厚さは、0.5mmよりも小さい。
【0182】
更に、プレス中、耐磨耗層1の上面にエンボス部分が形成されてもよい。プレスプレート、プレスシリンダ、プレスベルト、又は構造体ホイル等のプレス装置11には、耐磨耗層1にエンボス又はマクロ構造を形成する突出部分が設けられていてもよい。別の態様では、エンボス部分は、光沢度が異なる部分を形成する工程とは別の工程で形成されてもよい。エンボスは、好ましくは、装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせされる。エンボスは、好ましくは、耐磨耗層1の光沢度が異なる部分とコーディネートされる。耐磨耗層1のエンボス部分の深さは、好ましくは100μmを越える。
【0183】
耐磨耗層1をホイルとして付ける場合、光沢度が異なる部分はホイルに形成される。
【0184】
耐磨耗層1を粉体層として付ける場合、粉体層は、プレス中、圧力及び好ましくは熱も加えられたときに粉体が層になることによって形成される。
【0185】
耐磨耗層1をコーティングとして付ける場合、プレス前に加工前工程を行ってもよい。加工前工程は、乾燥、冷却、及び/又はゲル化であってもよい。放射線硬化コーティングを使用する場合、プレス前にコーティングをゲル化する。プレス中、ゲル化したコーティングに光沢度が異なる部分が形成される。
【0186】
一実施例では、コーティングは、熱硬化性及び熱可塑性バインダーの組み合わせであってもよい。バインダーの熱可塑性部は、予熱時及び/又は耐磨耗層1を形成するためのプレス作業時に活性化されてもよい。耐磨耗層1を光沢度が異なる部分を持つプレス装置11に押し付けるプレス工程では、バインダーの熱硬化性部が活性化され、バインダーが硬化し、その最終状態に達する。これによって、光沢度が異なる部分を持つ耐磨耗層1が形成される。
【0187】
プレス装置11によってプレスすることによって、耐磨耗層1、コア4、及び随意の装飾層3が互いに接着し、建材パネル10が形成される。
【0188】
図3Aには、建材パネル10が更に詳細に示してある。建材パネル10は、上文中に説明した種類のコア4と、このコア4に配置した上文中に説明した種類の装飾層3と、この装飾層3に配置した上文中に説明した種類の耐磨耗層1とを含む。耐磨耗層1は、図1を参照して説明した方法に従って製造されてもよく、続いて行われる工程で、コア4に配置された装飾層3に接着される。別の態様では、プレス中に耐磨耗層1、装飾層3、及びコア4を互いに接着する図2を参照して説明した方法に従って耐磨耗層1を製造してもよい。
【0189】
耐磨耗層1は、図1及び図2を参照して上文中に説明したように、耐擦傷性粒子及び/又は耐磨耗性粒子を含んでいてもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層1に実質的に封入されている。
【0190】
建材パネル10には、光沢度が異なる部分5、6が設けられている。光沢度が異なるこれらの部分5、6は、好ましくは、装飾層3の装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせして配置される。耐磨耗層1には、更に、エンボスが設けられていてもよい。エンボス即ちマクロ構造は、装飾層3の装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせされており、耐磨耗層1の光沢度が異なる部分5、6とコーディネートする。耐磨耗層1は、少なくとも実質的に透明であってもよい。
【0191】
光沢度は、耐磨耗層1の上面に亘って変化してもよい。様々な光沢度というのは、好ましくは、第1部分5又は第1の部分5の組の光沢度が第2部分6又は第2の部分6の組の光沢度と異なるということを意味する。第1部分5又は第1の部分5の組の光沢度は、第2部分6又は第2の部分6の組よりも高くてもよい。第1部分5又は第1の部分5の組が第1光沢度を有し、第2部分6又は第2の部分6の組が第1光沢度よりも高い又は低い第2光沢度を有してもよい。
【0192】
図3Aに示す実施例では、光沢度が第2の部分6の組よりも高い第1の部分5の組は、建材パネル10の突出部分と位置合わせされている。光沢度が第1の部分5の組よりも低い第2の部分6の組は、建材パネル10のエンボス部分と位置合わせされている。デザインに応じて、光沢度とエンボスの組み合わせを逆にすることもできる。
【0193】
図3Aに示す建材パネル10は、フロアパネル、天井パネル、壁パネル、家具の部品等であってもよい。建材パネル10の縁部には、隣接した建材パネル10に係止するための機械式係止システム(図示せず)が設けられていてもよい。機械式係止システムは、隣接した建材パネル10のタングを受け入れるようになった、建材パネル10の第1縁部のタング溝、及び隣接した建材パネル10の係止溝と協働し、建材パネル10を隣接した建材パネル10に対して水平方向で係止するようになった係止エレメントが設けられた係止ストリップを含む。機械式係止システムは、更に、隣接した建材パネル10の係止エレメントを受け入れるようになった、第2縁部の係止溝、及び隣接した建材パネル10のタング溝と協働し、建材パネル10を垂直方向で係止するようになったタングを含む。機械式係止システムは建材パネル10のコアに形成される。建材パネル10の長側縁部及び短側縁部の両方に機械式係止システムが設けられていてもよい。別の態様では、建材パネル10の長側縁部に水平方向及び垂直方向で係止するための機械式係止システムが設けられ、短側縁部に水平方向係止のみを行う機械式係止システムが設けられていてもよい。機械式係止システムは、WO2007/015669、WO2008/004960、WO2009/116926、又はWO2010/087752に記載された種類の機械式係止システムであってもよい。出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0194】
建材パネル10’の第2実施例を図3Bに示す。建材パネル10’は、上文中に説明した種類のコア4、及びこのコア4に配置された上文中に説明した種類の耐磨耗層1を含む。耐磨耗層1は、図1を参照して説明した方法に従って製造されてもよく、続いて行われる工程でコア4に接着される。別の態様では、耐磨耗層1は図2を参照して説明した方法に従って製造されてもよく、プレス中に耐磨耗層1及びコア4を互いに接着してもよく、又は続いて行われる工程で接着剤によって互いに接着されてもよい。
【0195】
コア4の上面又は耐磨耗層1の下面、即ち光沢度が異なる部分5、6を持つ耐磨耗層1の表面とは反対側の表面に、装飾パターン又は印刷デザイン7が設けられていてもよい。
【0196】
耐磨耗層1は、図1及び図2を参照して上文中に説明したように、耐擦傷性粒子及び/又は耐磨耗性粒子を含んでいてもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層1に実質的に封入される。
【0197】
建材パネル10’には、光沢度が異なる部分5、6が設けられている。これらの光沢度が異なる部分5、6は、好ましくは、耐磨耗層1又はコア4に設けられた装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせして配置されている。耐磨耗層1には、更に、エンボスが設けられていてもよい。エンボスは、装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせされ、耐磨耗層1の光沢度が異なる部分5、6とコーディネートされる。耐磨耗層1は、少なくとも実質的に透明であってもよい。
【0198】
光沢度は、耐磨耗層1の上面に亘って変化していてもよい。様々な光沢度というのは、好ましくは、第1部分5又は第1の部分5の組の光沢度が第2部分6又は第2の部分6の組の光沢度と異なるということを意味する。第1部分5又は第1の部分5の組の光沢度は第2部分6又は第2の部分6の組よりも高くてもよい。第1部分5又は第1の部分5の組が第1光沢度を有し、第2部分6又は第2の部分6の組が第1光沢度よりも高い又は低い第2光沢度を有してもよい。
【0199】
図3Bに示す実施例では、光沢度が第2部分6の組よりも高い第1の部分5の組が建材パネル10’の突出部分と位置合わせされている。光沢度が第1の部分5の組よりも低い第2部分6の組が建材パネル10’のエンボス部分と位置合わせされている。デザインに応じて、光沢度とエンボスの逆の組み合わせも可能である。
【0200】
図3Bに示す建材パネル10’は、フロアパネル、天井パネル、壁パネル、家具の部品等であってもよい。建材パネル10’の縁部には、隣接した建材パネル10に係止するための図3Aを参照して上文中に説明した種類の機械式係止システムが設けられていてもよい。
【0201】
建材パネル10’’の第3実施例を図3Cに示す。建材パネル10’’は、基材2を含む。図3の実施例では、基材2は、装飾層3、及びこの装飾層3に配置した耐磨耗層1を含む。装飾層3は、図2を参照して上文中に説明した種類のものである。耐磨耗層1は、図1及び図2を参照して上文中に説明した種類のものである。耐磨耗層1は、図1を参照して説明した方法に従って製造されてもよく、続いて行われる工程で装飾層3に接着されてもよい。別の態様では、耐磨耗層1は、図2を参照して説明した方法に従って製造されてもよく、その後、プレス中に耐磨耗層1及び装飾層3を互いに接着する。
【0202】
耐磨耗層1は、図1及び図2を参照して上文中に説明したように、耐擦傷性粒子及び/又は耐磨耗性粒子を含んでいてもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐擦傷性粒子は、耐磨耗層1に実質的に封入されている。
【0203】
耐磨耗層1には、光沢度が異なる部分5、6が設けられている。光沢度が異なるこれらの部分5、6は、好ましくは、装飾層3の装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせして配置されている。耐磨耗層1には、更に、エンボスが設けられていてもよく、エンボスは、装飾層3の装飾パターン又は印刷デザイン7と位置合わせされ、耐磨耗層1の光沢度が異なる部分5、6とコーディネートされる。耐磨耗層1は、少なくとも実質的に透明であってもよい。
【0204】
光沢度は、耐磨耗層1の上面に亘って変化してもよい。異なる光沢度というのは、好ましくは、第1部分5又は第1の部分5の組の光沢度が第2部分6又は第2の部分6の組の光沢度と異なるということを意味する。第1部分5又は第1の部分5の組の光沢度は、第2部分6又は第2の部分6の組よりも高くてもよい。第1部分5又は第1の部分5の組が第1光沢度を有し、第2部分6又は第2の部分6の組が第1光沢度よりも高い又は低い第2光沢度を有してもよい。
【0205】
図3Cに示す実施例では、光沢度が第2部分6の組よりも高い第1の部分5の組が、建材パネル10’’の突出部分と位置合わせされている。光沢度が第1部分5の組よりも低い第2の部分6の組が、建材パネル10’’のエンボス部分と位置合わせされている。設計によっては、光沢度とエンボスの組み合わせを逆にしてもよい。
【0206】
図3Cに示す建材パネル10’’は、フロアパネル、天井パネル、壁パネル、家具の部品等の部分を形成してもよい。続いて行われる工程で、装飾層3及び耐磨耗層1を上文中に説明した種類のコア4に接着してもよい。建材パネルの縁部には、隣接した建材パネルに係止するため、図3Aを参照して上文中に説明した種類の機械式係止システムが設けられていてもよい。
【0207】
従来の耐磨耗ホイルは、基材に、例えば装飾層に配置され、例えばコーティングの形態の本発明の実施例による耐磨耗層は、従来の耐磨耗ホイルに付けられ、プレス中、耐磨耗層に光沢度が異なる部分が形成されると考えられる。更に、従来の耐磨耗ホイルに、装飾層の装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせされたエンボスを設け、本発明の実施例による耐磨耗層に、光沢度が異なる部分を、好ましくは、装飾パターン又は印刷デザインと位置合わせして従来の耐磨耗ホイルのエンボスとコーディネートして設けることが考えられる。本発明の実施例による耐磨耗層を、例えばコーティングの形態で付ける前に、従来の耐磨耗ホイルを、エンボス部分を形成するための突出部分を含むプレス装置に押し付けてもよい。
【0208】
本発明の実施例による耐磨耗層に従って付けられたコーティングは除外されない。コーティングは、紫外線硬化コーティング等の放射線硬化コーティングであってもよい。例えば、異なる光沢度が形成されるように磨耗層の突出部をコーティングしてもよい。
【0209】
上文中に説明した様々な光沢度を持つプレス装置の部分は、幾つかの方法で形成されていてもよい。例えば、プレスプレート、プレスベルト、又はプレスシリンダ等のプレス装置の光沢度が異なる部分は、エングレービング、砥粒ブラスティング、エッチング、電解研磨等の研磨加工によって形成されてもよい。異なる光沢度は、プレス装置の表面にデジタル印刷することによって形成してもよい。デジタル印刷は、建材パネルの装飾パターンと位置合わせされてもよい。
【0210】
更に高い光沢度が得られるように、本発明の全ての態様による耐磨耗層をプレス後に研磨してもよいと考えられる。
【0211】
更に、本発明の全ての態様による上文中に説明した耐磨耗層は、彩色耐磨耗層が提供されるように、顔料を含んでいると考えられる。更に、上文中に説明した種類の耐磨耗層は印刷耐磨耗層が提供されるように印刷されてもよい。
【0212】
更に、様々な光沢度を持つプレス装置に押し付ける態様に対する変形態様として、研磨及び/又はブラスティングによって異なる光沢度が得られてもよいと考えられる。以上説明した全ての実施例において、耐磨耗層の上面をプレス装置に押し付けてもよいと考えられる。プレス装置のプレス面は光沢度が実質的に均等であってもよい。一実施例では、プレス装置は、エンボスを備えたプレス面を有する。上文中に説明した種類の耐磨耗層が提供され、耐磨耗層の上面にエンボス構造が形成されるように、エンボスを備えたプレスプレート、プレスシリンダ、又はプレスベルト等のエンボスを備えたプレス装置に耐磨耗層の上面を押し付ける。その後、耐磨耗層の上面の突出部分の光沢度が、研磨していない部分と比較して異なるように、耐磨耗層の上面を研磨する。一実施例では、耐磨耗層の上面の突出部分の光沢度が耐磨耗層の上面のエンボス部分の光沢度と比較して高いように、耐磨耗層の上面を研磨する。別の態様では、又は組み合わせでは、耐磨耗層の上面の突出部分の光沢度が、耐磨耗層の上面のエンボス部分の光沢度と比較して低いように耐磨耗層の上面を研磨する。これによって、様々な光沢度を持つ耐磨耗層の上面が形成される。図1及び図2を参照して上文中に説明したように、耐磨耗層は、図1を参照して説明したように別の層として形成されてもよく、又は建材パネルを形成する場合、図2を参照して説明したように形成されてもよい。研磨を行う場合には、研磨剤、例えば砥粒を含む研磨剤を使用してもよい。様々な種類の研磨剤を使用することによって、低い又は高い光沢度を得てもよい。
【0213】
エンボスを備えたプレス面を持つプレス装置を使用する代りに、上文中に説明した種類の耐磨耗層の上面を平らなプレス面を持つプレス装置に押し付けてもよい。プレス装置のプレス面の光沢度は実質的に均等であってもよい。プレス後、耐磨耗層の上面の部分をマスクし、マスクしなかった部分の光沢度がマスクした部分の光沢度と異なるようにマスクしなかった部分を研磨してもよい。別の態様では、又は補完として、耐磨耗層の上面の部分の光沢度が耐磨耗層の上面の残りの部分の光沢度と異なるように、これらの部分にブラスティングを施してもよい。
【0214】
本明細書中に説明した実施例には、添付の特許請求の範囲に記載した本発明の範囲に含まれる多くの変形例があると考えられる。例えば、建材パネルを形成するため、コアに一つ以上の耐磨耗層を配置してもよいと考えられる。
【0215】
更に、上文中に耐磨耗層として説明した層は、装飾層であってもよく、又は任意の種類の層であってもよいと考えられる。
【例1】
【0216】
耐磨耗層を形成する0.05mm厚の熱可塑性脂肪族ポリウレタン(PU)ホイルをPVCでできた装飾層に付けた。装飾層を、PVCでできた熱可塑性コアに取り付けた。耐磨耗層、装飾層、及びコアを互いにプレスして建材パネルを形成した。これらの層は互いに接着した。耐磨耗層を紙製の構造体ホイルに押し付けた。構造体ホイルは、二つの異なる光沢度を備えている。二つの異なる光沢度を持つ構造体ホイルを耐磨耗層に押し付けることによって、熱可塑性耐磨耗層は二つの異なる光沢度を得る。耐磨耗層の上面の一つの部分を光沢計で計測すると光沢度が39.2GUであり、別の部分の光沢度が12.7GUであった。
[例2]
【例2】
【0217】
耐磨耗層を形成する0.05mm厚の熱可塑性脂肪族ポリウレタン(PU)ホイルをPVCでできた装飾層に付けた。装飾層を、PVCでできた熱可塑性コアに取り付けた。耐磨耗層、装飾層、及びコアを互いにプレスして建材パネルを形成した。これらの層は互いに接着した。耐磨耗層をプレスプレートに押し付けた。プレスプレートは金属プレス面を含む。プレスプレートは、二つの異なる光沢度を備えている。二つの異なる光沢度を持つプレスプレートを耐磨耗層に押し付けることによって、熱可塑性耐磨耗層が二つの異なる光沢度を得る。耐磨耗層の上面の一つの部分を光沢計で計測すると光沢度が19.1GUであり、別の部分の光沢度が1.8GUであった。
【例3】
【0218】
アルミニウム酸化物粒子の形態の耐磨耗性粒子を間に挟んだPVCホイル及び熱可塑性脂肪族ポリウレタン(PU)ホイルでできた多層ホイルの形態の耐磨耗層を、PVCホイルが装飾層に面するようにPVCでできた装飾層に付けた。装飾層は、PVCでできた熱可塑性コアに取り付けられる。耐磨耗層、装飾層、及びコアを互いにプレスして建材パネルを形成した。これらの層は互いに接着した。耐磨耗層を紙製の構造体ホイルに押し付けた。構造体ホイルは、二つの異なる光沢度を備えている。二つの異なる光沢度を持つ構造ホイルを耐磨耗層に押し付けることによって、熱可塑性耐磨耗層は二つの異なる光沢度を得る。耐磨耗層の上面の一つの部分を光沢計で計測すると光沢度が25.2GUであり、別の部分の光沢度が12.6GUであった。
[例4]
【例4】
【0219】
アルミニウム酸化物粒子の形態の耐磨耗性粒子を間に挟んだPVCホイル及び熱可塑性脂肪族ポリウレタン(PU)ホイルでできた多層ホイルの形態の耐磨耗層を、PVCホイルが装飾層に面するようにPVCでできた装飾層に付けた。装飾層を、PVCでできた熱可塑性コアに取り付けた。耐磨耗層、装飾層、及びコアを互いにプレスして建材パネルを形成した。これらの層は互いに接着した。耐磨耗層を紙製のプレスプレートに押し付けた。プレスプレートは金属プレス面を含む。プレスプレートは、二つの異なる光沢度を備えている。二つの異なる光沢度を持つプレスプレートを耐磨耗層に押し付けることによって、熱可塑性耐磨耗層が二つの異なる光沢度を得る。耐磨耗層の上面の一つの部分を光沢計で計測すると光沢度が20.0GUであり、別の部分の光沢度が3.8GUであった。
【例5】
【0220】
表面にラッカーを塗布した商業的に入手可能なLVT製品を研磨物で研磨すると、ラッカー層の保護機能を失ったすり減った製品が形成された。
【例6】
【0221】
アルミニウム酸化物粒子の形態の耐磨耗性粒子を間に挟んだPVCホイル及び熱可塑性脂肪族ポリウレタン(PU)ホイルでできた多層ホイルの形態の耐磨耗層を、PVCホイルが装飾層に面するようにPVCでできた装飾層に付けた。装飾層を、PVCでできた熱可塑性コアに取り付けた。耐磨耗層、装飾層、及びコアを互いにプレスして建材パネルを形成した。これらの層は互いに接着した。耐磨耗層を紙製のプレスプレートに押し付けた。プレスプレートは金属プレス面を含む。熱可塑性耐磨耗層の部分を研磨物で研磨することによって、耐磨耗層の保護機能を損なうことなく、製品が二つの異なる光沢度を得る。耐磨耗層の上面の一つの部分を光沢計で計測すると光沢度が21.1GUであり、別の部分の光沢度が3.8GUであった。
【符号の説明】
【0222】
1 磨耗層
2 基材
3 装飾層
4 コア
11 プレス装置
12 コンベア
図1
図2
図3A
図3B
図3C