(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書を通して、本開示の側面による各種の材料、混合物、化学配合物、及び1種以上の材料、最終生成物又は組成物の各種の組合せに使用できる他の側面を参照する。当業者並びに米国特許庁及び世界中の特許庁の審査部門の両方は、材料、例及びその他の態様のリストの各々は、これらの個々の特徴の特別の請求項の置換なしで、それらを組合せて様々な代替態様にすることができることを当業者に教示するために含まれていることが理解されるべきである。現在の請求項並びにそれらの請求項の将来の補正の可能性のあるいずれかの特徴は、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、材料、範囲及びその他の代替物の1以上の組合せを含んでもよい。特に、当業者は単一の例又は態様、あるいは明細書の異なる部分に記載されているかに係らず、本明細書に開示された特徴の如何なる組合せについても明細書の記載に適切なサポートを認識し見出すであろう。これらの各種の例及び選択肢の記載は、米国特許法(35 U.S.C.)第112条及び欧州特許法第123(2)条並びに明細書の記載要件に関する類似する各国内国法に適合するように特別に起案されている。
【0045】
本明細書の以下の部分において特定の組成物及び製造方法を記載するが、出願人は特許請求の範囲をこれらの特定の組成のいずれにも限定する意図はないことが理解されるべきである。反対に、本明細書に記載のすべての官能基、相変化材料、及び物品の全ての組合せを本開示の新規な側面を達成するために利用できることが予想されている。特許請求の範囲は本開示に記載され又は開示に含められるどの開示に記載されている特定の化合物のどれにも限定することを意図していない。
【0046】
本開示は、様々な物体の熱管理のためのフィルムに関する材料、装置、デバイス、システム、方法及びその製造方法の様々な説明を提供する。本開示を通じて、文脈に応じて「テープ」、「シート」又は「層」と呼ばれることもある「フィルム」に言及するであろう。これらの用語は、当該技術分野における通常の意味が与えられ、本開示の任意の態様の厚さ、薄さ、サイズ、形状又は可撓性に限定するものと解釈されるべきではない。さらに、「テープ」などの表記は、例えば、態様が接着性を有することを意味することがあるが、上記のいずれの用語の使用も、態様を特定の材料の特定の組成又は特定の適用方法に限定するものと解釈されるべきではない。例えば、「テープ」は接着剤を含んでいてもいなくてもよく、又は、フィルムは予め作製されたフィルムをラップすることによって、又は、物体に直接的にコーティングすることによって適用されてよい。
【0047】
温度管理材料(TMM)を含むフィルムによりラップされ又はコーティングされることにより、熱管理から利益を得ることができる多くの物体、デバイス及び材料が存在する。様々なタイプのTMMは本開示全体を通じて説明される。特に有用なクラスのTMMは相変化材料(PCM)としても知られている潜熱貯蔵材料である。本開示の目的のために、TMMは温度管理特性を有する材料又は材料の混合物を指すことができる。PCMはTMMのサブセットであるため、PCMでないTMMはPCMを「含む」と記述することができる。あるいは、TMM組成物は純粋に複数のPCMの混合物であることができ、すなわち、1つのPCMは別のPCMを含むことができ、その組成物は依然としてTMMと呼ばれることができる。本開示の1つの側面は、PCMを含むフィルムが、基材をキャスト又はコーティングすることによって製造されうることである。基材は、エネルギー伝導性などの温度管理特性をそれ自体が有することができる。あるいは、基材は反射性であることができ、寒さに対する反射性断熱層として機能することができる。基材はまた、接着特性を有することができる。多くの態様において、フィルムは、最初にキャスト又はコーティングされるときに液体状態にあり、基材への塗布時に、PCMを含む固体TMMを形成するように硬化することができる。分散したPCMを含む固体TMMの既知の特性としては、それらが非腐食性、非毒性及び化学不活性であり、取扱いが容易であることが挙げられる。本開示の別の側面は、フィルムが基材上にキャストされ、硬化されると、熱管理から利益を得ることができる任意の数の物体に適用されるか、又は、その周りにラップされるのに十分に薄くかつ可撓性であることができることである。物体は、小さくても又は大きくても、ユニークな形状でも又は単純でもよい。本開示の別の側面は、硬化フィルムが様々なサイズのシートに製造されることができ、又は、特定の用途に適合するように容易に切断されることができることである。本開示全体を通して、本開示の態様によるフィルムは、(液体又は固体のいずれかの形態の)PCM−TMM、PCM−TMM組成物、又は(液体又は固体のいずれかの形態の)PCM−TMMフィルムと呼ぶことができる。さらに、多くの態様は製造プロセス中のある時点で液体状態にあるPCM−TMM組成物を含むが、そのような液体組成物は、適用前又は適用中であって、硬化前に粉末形態へと乾燥されうる。したがって、様々な液体TMM組成物に言及するが、これらの組成物は、特定の態様において、固体になることができ、粉末形態に転化されることができることは理解されるべきである。
【0048】
一般に、液体又は粉末ポリマー組成物を噴霧又は他の方法でコーティングすることによって、物体をポリマーでコーティングすることは公知であり、広く開示されている。例えば、ポリマーは「溶射」として知られているプロセスによって基材上にコーティングすることができる。このプロセスでは、ポリマー粉末(又は他の噴霧可能なポリマー形態)を火炎又はプラズマなどの熱源に注入し、加熱した基材上にスプレーガンで火を通す。ポリマーをコーティングする別の既知の方法は「スピンコーティング」として知られている。このプロセスでは、ポリマーは液体形態で存在するように揮発性溶媒中に溶解される。ある量のポリマー溶液を基材の上に配置し、遠心力によって流体を広げるために基材を高速の角速度で回転させる。この回転はコーティングを薄くする。回転はポリマーの所望の厚さを達成するように調整することができる。揮発性溶媒はこのプロセスの間に蒸発し、それにより、残りのポリマーフィルムは固体となる。スピンコーティングに関するさらなる開示はW. Flack, D. Soong, A. Bell.及びD. Hessの“A Mathematical Model for Spin Coating Polymer Resists,” J. Appl. Phys., 56, 1199 (1984)に見ることができる。
【0049】
さらに、ポリマーフィルムを含む、フィルムを硬化するための様々な方法は知られている。UV及び放射線硬化は様々な用途において使用されており、“UV Coatings: Basics, Recent Developments, and New Applications,” Reinhold Schwalm, Elsevier, 2007に開示されており、それを参照により本明細書に取り込む。このようなプロセス及び技術はまた、米国環境保護局(the United States Environmental Protection Agency)により2001年7月に出版された技術誌“Ultraviolet and Electron (UV/EB) Cured Coatings, Inks, and Adhesives,”に開示されており、それを参照により本明細書に取り込む。
【0050】
さらに、様々な産業において、PCMなどの潜熱貯蔵材料の使用は知られており、広く開示されている。PCMは材料相の変化の際に熱を吸収して貯蔵する潜熱貯蔵材料である。PCMの様々な形態及び組成物(例えば、マイクロカプセル化又は未加工)の使用、その製造方法及びその適用は、テキスタイル及び布帛、建築断熱材及びエレクトロニクスなどの分野で広く開示されている。例えば、米国特許第8,587,945号明細書“Systems Structures and Materials for Electronic Device Cooling”を参照されたく、その全体を参照により本明細書中に取り込む。
【0051】
しかしながら、上述のコーティング及び硬化の公知の方法を用いて、高粒子装填量のPCM又は他の添加剤を含むTMMのコーティング又はフィルムを形成することは困難であった。TMMにおける高粒子装填量のPCM及び他の添加剤は物体自体の熱管理要件のためにしばしば望ましい。例えば、望ましい熱管理特性を有するTMMは80%以上のPCM及び/又は熱伝導性添加剤を含むことができる。そのような高粒子装填量配合物は、しばしば、液体の形態で非常に濃く、粘稠であり、そのため、溶射又はスピンコーティングなどの既知の方法及び本開示全体にリストされる他の方法での塗布に溶媒を必要とする。高粒子装填量のPCMを有するフィルムはその配合物自体の特性のために、他の単純なポリマーコーティングよりも厚いことができる。さらに、熱管理の目的のためのフィルムの望ましい厚さは、他のタイプの保護のために使用されるポリマーコーティングの望ましい厚さより大きいことができる。例えば、幾つかのポリマーコーティングは、物体を引っ掻き、衝撃、水又は腐食から保護するために使用される。熱管理のためのポリマーコーティングはより厚くする必要がある可能性がある。
【0052】
厚いポリマーフィルムをコートし又はキャストし、次いで、フィルムから溶媒を追い出すことにより、それを乾燥させそして硬化させることは困難である。一般に、フィルムは厚すぎて溶媒を解放することができず、溶媒は溶液中に閉じ込められる。この閉じ込めは発泡、バブリング、乾燥した又は硬化したフィルムの不均一な厚さなどの問題を生じさせる。本開示の1つの側面は、溶液中で使用される溶媒が硬化プロセスを通して重合(又は反応)可能な分子又はモノマーであるときに、高粒子装填量のPCMを含む濃いポリマー溶液を基材上にコーティングすることができることである。分子又はモノマーはポリマーPCM自体に重合可能であることさえできる。この方法の様々な態様は本開示全体を通してより詳細に説明されるであろう。
【0053】
多くの用途において、単一の層で有意な熱管理性を提供するのに十分に厚いが、所望ならば、TMMの全体の厚さ(及び熱管理特性)を調整するために、複数回、物体の周りをラップするのに十分に可撓性であるフィルム又はテープが存在することが望ましい。本開示の様々な態様に従って製造されるフィルム、テープ又はシートには多数の用途がある。以下のパラグラフは幾つかの例を挙げているが、それらは単なる例示であり、本開示の態様を限定するものと解釈されるべきでない。
【0054】
産業界において、熱い材料を輸送するパイプを熱管理する必要がある。現在、工業用パイプを断熱するために、様々な材料及び方法が使用されている。フォーム及びガラス繊維パッドは時に使用されるが、嵩張り、カスタム適合を必要とするという欠点がある。断熱性ポリマーのスプレーコーティングも使用されるが、コーティングはしばしば専門家によって適用されなければならない。本開示の態様によるフィルム又はテープは、水又は他の化学薬品などの高温材料を輸送するパイプの周りにラップされることができ、薄く、容易にカスタマイズ可能であり、機器の最終使用者によって容易に適用されるという利点を提供しうる。例えば、複数層のTMMがパイプから発生される熱を緩和するために必要とされるならば、フィルムは複数回ラップされうる。工業用装置の単一のピースは様々なサイズのパイプを有することができ、又は、様々な熱量を生成することができる。さらに、幾つかのパイプは他のパイプよりも周囲にクリアランスルームを多く有することがある。特定の企業は、それぞれが複数のパイプを有し、サイズ及びその他の特性がさらに多様であるこのような複数の機械を有することがある。これらの理由から、シートとして構成されたフィルムを提供することが有利である場合がある。フィルムは室温で実質的に固体でありかつ無毒であることができ、輸送及び取り扱いが容易になる。フィルムは、例えば、平らなシートの層で又はロールで輸送することができる。このフィルムはナイフ又はブレードを用いてかなり容易に小片に切断することを可能にする特性を有することができる。あるいは、シートは、手で引き裂くことができるように穿孔されていてもよい。フィルムは接着性バッキングを有することができ、あるいは、フィルムは「粘着性」又は「タック性」の特性を有し、そのため、特定の基材及びそれ自体に付くことができる。本明細書にリストした特性は、発熱パイプを有する1つ以上の産業機械の使用者がPCM−TMMフィルムのシートを受け取り、次いでカスタマイズ可能な方法で個々のパイプを切断してそしてラップすることを可能にする。潜在的な利点は広範囲にわたる。使用者は、大きなパイプのためにファン又はウォーターポンプを含む機械的冷却システムを交換することができるであろう。このような大きなパイプは大量の熱放散量−そのため、機械冷却システムを要求する可能性がある。機械式冷却システムは実質的な量の空間及び電気を消費する可能性がある。
【0055】
フィルムの別の産業用途は熱管理を必要とする材料を保持するタンク又は他の容器の周りにフィルムをラップすることである。保持タンクは、それに接続するパイプとは非常に異なる寸法を有する傾向があり、異なる熱管理要件を有する傾向がある。TMMシートを提供することの利点はシートが特定のタンクのサイズ又は形状に関係なく、タンクの周りに複数回ラップされ又は層状化されることができることである。
【0056】
過熱が非常に懸念される産業機器の1つのタイプは液圧システムである。液圧システムは、典型的に、多量の熱を発生し、作動液はしきい温度(例えば、180°F)未満に維持されなければならず、又は、さもなければ、液体はシールを損傷させ、漏れを引き起こし、作動液自体が急速に劣化することがある。しばしば、液圧システムの過熱を管理するために、複雑で高価な能動冷却機構は使用されている。液圧システムは多種多様な形状、サイズ、用途に対応しているため、冷却システムも多種多様である。PCM−TMMフィルム又はテープのシートは液圧機器の様々なサイズ及び形状に容易にカスタマイズでき、機械的冷却システムの部品を潜在的に排除することができる。
【0057】
フィルムのさらに別の用途は発熱性ワイヤをラップするためのものであろう。プラスチック、ゴム及びポリマー材料はワイヤを損傷から保護するために、又は、電気エネルギーを伝導することから保護するために広く使用されているが、必ずしも熱管理を達成するものではない。ワイヤの熱管理は、ワイヤ自体の導電特性を管理することを可能にするPCM−TMMフィルムでワイヤをラップすることによって達成することができる。
【0058】
さらに、他の発熱電子部品は、個々の回路基板などの小型物品からサーバなどの大型物品まで、PCM−TMMテープ又はフィルムによって熱管理することができる。電子機器の熱管理のためのTMMは知られているが、多くのタイプの電子機器は、かなり新しいものであっても、一体化されたTMMを内蔵していない。PCM−TMMシートにデバイスを配置するだけで、多くのデバイスの性能及び寿命を改善することができる。例えば、机の上に置かれているラップトップはラップトップと机との間に配置されたPCM−TMMのシートによって熱が放散されると、より優れた性能を発揮することができる。あるいは、ラップトップの底面に接着性PCM−TMMテープを貼り付け、熱からの保護障壁を作り、実際のひざの上でラップトップを使用する使用者の快適さを高めることができる。サーバは熱管理要件に関してよく知られており、ファン及びヒートシンクを含む機械式冷却システムは長年使用されている。しかしながら、サーバでは、容量及び性能を向上させ、物理的空間及びエネルギー消費量を削減する必要性がますます高まっている。独自の大規模なサーバラックを持つ企業、又は、他社のサーバ及びデータストレージをホストするサービスプロバイダによって大きな効率を達成することができる。受動的で有効な熱管理は、PCM−TMMフィルムを使用してサーバ自体の内部部品又は外面をラップすることによって実現することができる。
【0059】
自動車用途もPCM−TMMフィルムを利用することができる。任意の数のホース、ワイヤ、タンク、エンジン、バッテリー、パイプ又はその他の自動車部品をラップすることができる。これらの用途に使用されるPCM−TMMフィルムは、耐腐食性、難燃性及び耐衝撃性などの他の特性を達成するための添加剤を含むことができる。
【0060】
バッテリー及び他の電気化学セルも、過熱による課題がよく知られている。各セルは、充電及び放電サイクルによってそれ自体の熱を生成し、性能及び寿命の両方は長期間の高温によって悪影響を受ける。個々のセルが多種多様なサイズになり、しばしば周囲領域の温度管理のために多くの空間を取ることができないために、バッテリーの周りにラップされたPCM−TMMフィルムは特に有用であることができる。特に、電気化学セルの熱管理のためにフィルムをどのように構築することができるかについてのさらなる開示に関しては、“Systems, Structures, and Materials for Electrochemical Device Thermal Management”という発明の名称の本出願人の同時係属中の出願である、2015年2月4日に出願された米国特許出願第14614223号(代理人整理番号OUTT.048.00US)明細書(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)を参照されたい。
【0061】
商業用及び居住用の建造物も、PCM−TMMフィルム適用の恩恵を受けることができる。例えば、既存のハウジングラップ断熱、アティック断熱、屋根材及び床の下敷はPCM−TMMフィルムを含むことによって改善することができる。ソーラーパネル、炉及び温水器などの商業用及び居住用部品は熱伝達又は放散を制御するために、層状化又はラップされうる。住宅所有者がエネルギーを節約できる1つの方法は、温水パイプ、特に、家屋の下、ガレージの中又は外壁の近くなどの低又は非断熱の領域を通した温水パイプを断熱することによる。断熱パイプは住宅所有者にとって十分に高い温度に温水を保つために温水器によって消費されるエネルギーを低減することができる。しかし、断熱パイプは、断熱なしの場合よりもパイプ内の温水の温度を数度上げることができるだけの可能性がある。住宅所有者にとって、パイプを断熱することが困難であるならば、又は、材料のコストが高いならば、この差は無視できるように見える可能性がある。PCM−TMMフィルムはパイプを簡単かつ安価に断熱することができるという利点を住宅所有者に提供することができる。
【0062】
ソーラーパネル及びソーラーセルの温度管理は太陽エネルギー生産の産業にとって大きな利益をもたらすだろう。ソーラーパネルは設計上、1日に何時間も太陽にさらされ、しばしば130°Fをはるかに超える温度で動作する。このような熱のレベルは発電における効率のレベルを低下させ、ソーラーセル自体の寿命を低下させる可能性がある。能動的な冷却プロセスは、特に、電気のために太陽エネルギーを使用することの主目的が資源を節約することであることを考慮すると、典型的に、ソーラーセルを冷却するために使用するには高価すぎるか又は非効率すぎ、ソーラーパネルの普及に対する障壁はコストである。PCM−TMMフィルムは、温度範囲が予測可能でかつ周期的であるために、ソーラーセル用途に特に有利である。PCMの既知の特性は、冷却されたときに蓄えられた熱を放散させることによって有効に「リチャージ」することができることである。PCM−TMMフィルムは、日中にソーラーセルによって生成された過剰の熱を吸収しそして貯蔵し、夜に冷えてきたときに解放することができる。PCMはこのプロセスによってリチャージされ、それを繰り返し経験することができる。
【0063】
熱管理以外の目的でフィルム又はテープを使用する産業は数多く存在する。例えば、様々なタイプのテープは、関節(すなわち、足首、手首、指など)のテーピングなどの運動目的に使用される。運動用テープの主な目的は、典型的には、傷害を受けやすい関節の安定化であるが、これらのテープに熱管理材料を含めることによって、さらなる利益が達成されうる。関節が損傷し、炎症応答の一部として過剰な熱を生成し、TMMはその過剰な熱を管理することができる。さらに、靴の内側で足首をテーピングした、又は、ボクシンググローブの内側で手首をテーピングした運動選手は、身体活動によって過剰の熱及び湿気を発生する可能性があり、これもまたTMMを通じて放散することができる。体操では、運動選手の手は、しばしば皮膚を保護し、グリップを改善するためにテーピングされる。PCM−TMMテープは、運動選手の手によって発生する熱ならびに把持バーによって生じる摩擦から発生する熱を管理することができる。
【0064】
運動競技の他の分野における温度管理材料の魅力は、温度管理テキスタイル及び布帛の大規模な産業を考えると容易に明らかである。温度管理用のテープは、運動競技で用途を拡張することができる。例えば、野球のバット又はゴルフクラブの周りにラップされた把持テープは、寒い天候で接触するのに寒いことを防ぐことができる。金属の観覧席及びベンチの表面をPCM−TMMのシートで覆い、座席表面が極端に冷たくなり又は極端に熱くなるのを防ぐことができる。
【0065】
医療用途において、すでにラップ及びテープに様々な用途があるが、その多くは熱管理能力を追加することで改善されうる。例えば、骨折用キャストは硬化する石膏又はガラス繊維層によって形成される。多くの品種の包帯及びブレースはラップによって形成されている。傷害は、しばしば炎症反応により過剰な熱を生じさせ、PCM−TMMのフィルム又はテープからキャスト、包帯又はラップが形成されるならば、傷害が軽減されることがある。さらに、多くの医薬品は接着性経皮パッチを介してデリバリーされる。幾つかのそのような医薬品は副作用として炎症及び熱の蓄積を引き起こすことがあり、PCM−TMMフィルムを含む接着性経皮パッチはこのような副作用を緩和することができる。幾つかの医薬品及びさらに化粧品は、皮膚を冷却する目的で接着フィルムを使用し、PCM−TMMフィルムは、そのような目的に使用される特定の化学物質と組み合わせて、又は、その代わりに使用することができる。
【0066】
本開示の態様によるPCM−TMMフィルムを製造することに起因する特定の1組の利点はPCM−TMMフィルムを様々な基材に適用することができ、TMMを今までにないような用途で使用できるようにすることである。例えば、先行技術では、TMMがテキスタイルに一体化されるときに、テキスタイル自体の製造プロセスはTMMを取り込まなければならない。本開示の態様では、PCM−TMMフィルムは、製造後のテキスタイルに適用することができ、それにより、通常のテキスタイルを、温度管理を必要とする目的に適合させることができる。
【0067】
本開示の別の側面は、PCM−TMMフィルムの幾つかの態様が硬化プロセスを通して収縮ラップされうることである。収縮ラップの1つの利点は、異形の物体がPCM−TMMフィルムによって完全に閉じ込められることである。異形の物体は物体を直接溶射し、次いでそれを硬化させるなどの他の方法によってTMMフィルムにコーティングされることができると考えられる。しかしながら、収縮ラップは、スプレー及び硬化が実行可能な選択肢ではない最終使用者にとって利点を提供する。最終使用者は、特定の形状ではない本開示の態様によるPCM−TMMフィルムのシート又はロールを受け取り、それをほぼ必要なサイズに切断し、成形し、次いで、物体の周りの材料を収縮ラップさせるのに十分な熱を適用することができる。収縮ラップ特性を形成する組成物は本開示の後の方でさらに詳細に説明する。
【0068】
本開示の他の側面は、フィルムはエラストマー性(弾性)を有することができる。すなわち、TMM自身及び/又はPCM自身は、ラップされた対象物と密に接触するために伸長することができる。さらに、これらのエラストマー性(弾性)は熱弾性及び回復又は記憶を含む。すなわち、ラップされた対象物自体の熱が変化し、対象物の物理的膨張及び収縮を引き起こすとき、ラップされた対象物は密な接触を維持するためにそれと一緒に膨張及び収縮することが可能である。この種のエラストマー性は、特にラップが対象物を全ての側面で包囲する用途の場合に、利点がいくつかある。1つの利点は、エラストマー性(弾性)により非常に密な接触を維持して達成できる、ラップされたフィルムと対象物の表面との間の空気ギャップの減少である。空気は熱源から放出される熱の伝導性が低いので、空気ギャップの減少は利点である。対象物と周囲の材料のどれかとの間に空気が捉えられると、空気ギャップは絶縁体として作用し、実際に対象物を周囲材料がない場合と比べてより熱くする。現在、プラスチック、PVC、発泡体及びガラス繊維などのタイトにフィットする材料が本開示において記載されている各種の対象物を保護し絶縁するために使用されている。これらの材料は、熱放散性に関してPCMより劣るのみならず、さらに、空気ギャップの作用を最小化するエラストマー性(弾性)も有していない。これらの材料が膨張及び収縮し、対象物の表面との接触を失うと、実際に空気ギャップが増加し、対象物を包囲する熱も増加する。熱により劣化することがある対象物では、これらの空気ギャップはさらに対象物が時間とともに劣化することに寄与することがある。
【0069】
さらにもう1つの開示の側面では、ゲル又はグリースを含むTMM及び/又はPCMを、フィルムの適用を促進しフィルムとPCM-TMMでラップされた対象物の間の接触を増加するために、固体フィルムと関係して使用できる。ゲル及びグリースは液体状態であるので、膨張及び収縮し、微小なギャップを持ちえる対象物とテープの間の領域に流動することができる。エラストマーのフィルム及びゲル又はグリースの組合せは空気ギャップの存在を最小限化する。エラストマー性(弾性)及び/又はゲル及びグリースによって達成されるタイトなフィットのもう1つの利点は、ラップされた対象物の外側とTMMの間の接触はラップされた対象物の全体としての温度の均一性を提供する。すなわち、ある対象物は通常ホットスポットを生成するので、対象物の一部が他の部分より高温になる。密に接触するPCM−TMMフィルムは、ホットスポットで生成した熱をホットスポットからホットスポットに直接に接触しているPCM-TMMフィルムに放散させ、ホットスポットに直接に接触していないPCM-TMMに輸送することが可能である。その結果、対象物全体の周りの温度が実質的に均質に維持される。PCMを含まない多くの種類の絶縁材料はこの性質を有していない。
【0070】
開示のもう1つの側面では、PCM-TMMフィルムは極寒天候環境において対象物を温暖に保つことが可能であることである。1つの有用な用途はバッテリーを寒冷から保護することである。極寒ではセルの内部化学が崩壊するのでバッテリーセルの放電がより迅速になり、容量を失うことが知られている。PCMは潜熱貯蔵材料であるので、物品を熱損失から絶縁し、有害な作用をもたらすのに必要であろう温度低下を増加することが可能である。PCMはより暖かい温度で熱を貯蓄し、温度が冷えるとその熱をラップされた対象物に放出して、それらを温めることもできる。PCMは食品、飲料またはその他の有機物などの冷たいアイテムを冷たく保持するために用いることができる。対象物を極寒から絶縁するまたは冷たく保持するために必要な様々の範囲のPCM特性は本開示をとおして記載される。あるいは、PCT-TMMフィルムは主として過剰の熱を吸収するためのPCMを含むことができるが、たとえばその基材の一部としての反射層又は反射絶縁などの一方向絶縁を含むこともできる。熱管理から利益を得る可能性のあると先に示した産業及び用途は冷却を管理する対応する用途を有することがある。
【0071】
本開示のさらにもう1つの側面では、PCT-TMMフィルムは耐腐食性、防水性、難燃性又は耐衝撃性 を有することができる。これらの側面ではPCM、PCMを含まない全てのTMM、又はその両方に添加剤を含むことができる。各種の用途におけるそのような特性の利点は、本開示においてさらに説明される。
【0072】
本開示の多くの側面は熱伝導に関する。材料における熱伝導率又は熱移動速度はワット毎メートルケルビン(W/(mK))又はWm
-1K
-1で表され、自由電子又は結晶格子振動(フォノン)の流れによって制御される。金属では伝導は主に自由電子によるが、非金属では主にフォノン輸送による。熱伝導(率)は材料、温度、物質の相、不純物などの様々なタイプに依存する。たとえば、熱伝導(率)の変化は、氷(熱伝導率2.18W/(mK)於0℃)が溶融して液体水(熱伝導0.58W/(mK)於0℃)になるときに起きる。純粋な結晶物質は、所与の結晶軸に沿うフォノン結合のために異なる結晶軸に沿って異なる熱伝導性が示される。プラスチックの熱伝導(率)はポリマー(結晶性ポリマーの異方性)の結晶度に大きく依存する。これは主にフォノン輸送(流動性格子振動エネルギー)により、フォノン輸送は結晶軸に沿って効率的であるが、非晶質領域では又は他の方向の散乱プロセスによって実質的に減少する。
【0073】
定義
以下の定義は、本開示の様々な側面と関連して記載する様々な要素に適用する。これらの定義は同様に本明細書において拡張できる。
【0074】
本明細書において、用語「単分散」はあるセット(組)の特性が実質的に均一であることを指称する。したがって、たとえば、単分散である1組のマイクロカプセルは、寸法分布の平均値など、寸法分布のモードの周りの狭い寸法分布を有するマイクロカプセルを指称することができる。別の例は、類似の分子量を有する1組のポリマー分子である。
【0075】
本明細書において、用語「潜熱(latent heat)」は、材料が2つの状態間で転移(transition)するときに吸収又は放出する熱の量を指称する。したがって、潜熱は、材料が、液体状態と結晶固体状態との間、液体状態と気体状態との間、結晶固体状態と気体状態との間、2つの結晶固体状態の間、又は結晶状態と非結晶状態との間、あるいはこれらの組合せの間を転移するときに吸収又は放出する熱の量を指称する。
【0076】
本明細書において、用語「転移温度(transition temperature)」は材料が2つの状態の間で転移が起きるときの大凡の温度を指称する。したがって、たとえば、転移温度は、材料が液体状態と結晶固体状態との間、液体状態と気体状態との間、結晶固体状態と気体状態との間、2つの結晶固体状態との間又は結晶状態と非結晶状態との間で転移する温度を指称することができる。非結晶材料がガラス状態とゴム状態の間で転移する温度も、材料又はその混合物の「ガラス転移温度」として指称することができる。
【0077】
本明細書において、用語「相変化材料(phase change maerial)」は温度安定化範囲内において熱移動を調整するために熱を吸収又は放出する能力を有する材料を指称することができる。温度安定化範囲は特定の転移温度又はある範囲の転移温度を指称することができる。これによりこの転移範囲内での熱移動又は熱伝導を調整することを可能になる。場合によっては、相変化材料は、相変化材料が熱を吸収又は放出している期間中(典型的には相変化材料が2つの状態の間で転移が起きているとき)、熱移動を禁止可能であることができる。この作用は典型的には過渡的であり、加熱又は冷却工程で相変化材料の潜熱が吸収又は放出されるまで起きる。熱は相変化材料に貯蔵し又はそれから除去することができ、相変化材料は典型的には熱を放出又は吸収する源から効果的に「再充填(recharge)」される。特定の実施においては、相変化材料は2種以上の材料の混合物であることができる。2種以上の異なる材料を選択し混合物を形成することで温度安定化領域をすべての所望の用途に適合させることが可能である。得られる混合物は本明細書に記載の物品に組み入れられると2以上の異なる転移温度又は単一の修正された転移温度を示すことが可能である。
【0078】
本明細書において、用語「ポリマー」は1組のマクロ分子を含む材料を指称する。ポリマーに含まれるマクロ分子は相互に同じ又はある形で異なることができる。マクロ分子は様々な骨格構造のどれを有してもよく、1種以上のモノマー単位を含むことが可能である。 特に、マクロ分子は線状又は非線状の骨格構造を有することが可能である。非線状骨格構造の例には、分岐した骨格構造(たとえば、星型分岐、くし型分岐、樹枝状分岐)及びネットワーク骨格構造を含む。ホモポリマーに含まれるマクロ分子は典型的には1種のモノマー単位を含むが、コポリマーに含まれるマクロ分子は典型的には2種以上のモノマー単位を含む 。コポリマーの例には統計コポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期的コポリマー、ブロックコポリマー、ラジアルコポリマー及びグラフトコポリマーを含む。場合により、ポリマーの反応性及び官能性は1組の官能基を追加することで変更することが可能である。追加する官能基としては、たとえば、酸無水基、アミノ基及びその塩、N置換アミノ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシ基及びその塩、シクロヘキシルエポキシ基、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、イソシアネート基、ウレア基、アルデヒド基、エステル基、エーテル基、アルケニル基、アルキニル基、チオール基、ジスルフィド基、シリル又はシラン基、グリオキサルに基づく基、アジリジンに基づく基、活性メチレン化合物又はその他のb−ジカルボニル化合物に基づく基(たとえば、2,4-ペンタンジエン、マロン酸、アセチルアセトン、エチルアセトンアセテート、マロンアミド、アセトアセトアミド及びそのメチル類似体、エチルアセトアセテート、及びイソプロピルアセトアセテート)、ハロゲン基、ヒドリド基、又はその他の極性もしくはH結合基並びにそれらの混合物がある。このような官能基はポリマーの沿ういろいろの場所に追加することが可能である。たとえば、ポリマーに沿ってランダム又は規則的に分布して、 ポリマーの端部に、結晶化可能側鎖の側部、端部又はいずれの部位に、ポリマーの分離されたダングリング 側基として 付加して、あるいはポリマーの骨格に直接に付加して、追加することが可能である。ポリマーは、周囲又は処理条件下でその機械的強度又はその劣化抵抗性を増加させるために、架橋、交絡(entanglement)、ネットワ−ク形成、イオン結合、共有結合又は水素結合をすることが可能である。理解されるように、ポリマーの分子量はポリマーを形成するために用いる処理条件に依存することができるので、ポリマーは異なる分子量を有する様々の形で提供されることが可能である。したがって、ポリマーは特定の分子量又はある範囲の分子量を有すると称することができる。本明細書においてポリマーを参照して用いるとき、用語「分子量」は ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量又はメルトインデックスを参照することが可能である。
【0079】
ポリマー(架橋及びバインダとして用いるポリマーを含む)の例には、ポリヒドロキシアルコネート、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミド、ポリアクリル酸(polyacrylics)(たとえば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、及びメタクリル酸及びアクリル酸のエステル)、ポリカーボネート(たとえば、ポリビスフェノールAカーボネート及びポリプロピレンカーボネート)、ポリジエン(たとえば、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びポリノルボルネン)、ポリエポキシド(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、アミン、酸、アルコール等で架橋しあるいは架橋しない多官能性のグリシジルに基づくエポキシ、ポリエステル(たとえば、ポリカプロラクトン、ポリアジピン酸エチレン、アジピン酸ポリブチレン、ポリスクシン酸プロピレン、テレフタル酸に基づくポリエステル及びフタル酸に基づくポリエステル)、ポリエーテル(たとえば、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキサイド、ポリブチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレン又はパラホルムアルデヒド、ポリテトラメチレンエーテル又はポリテトラヒドロフラン、及びポリエピクロロヒドリン)、ポリフルオロカーボン、ホルムアルデヒドポリマー(たとえば、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、及びフェノールホルムアルデヒド)、天然ポリマー (たとえば、セルロース、キタン(chitan)、キトサン及びでんぷんなどの多糖類;リグニン;タンパク質;及びワックス)、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン及び ポリオクテン)、ポリフェニレン、ケイ素含有ポリマー(たとえば、ポリジメチル シロキサン、ポリアルキルシロキサン及びポリカルボメチルシラン)、ポリウレタン、ポリビニル(たとえば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのエステル及びエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、及び ポリビニルメチルケトン)、ポリアセタール、ポリアリーレート、アルキド系ポリマー(たとえば、グリセリド油に基づくポリマー)、コポリマー(たとえば、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル及びポリエチレン-コ-アクリル酸、スチレン-ブタジエン、又は上記のすべての組合せ)、及びそれらの混合物を含む。用語ポリマーの意味は、本願出願後に入手可能になり、上述の一般的にポリマーの性質を示す物資を含むと解釈されるべきである。
【0080】
本明細書において、用語「化学結合」及びその文法的変形は、吸引力(attractive interactions)に基づく2個以上の原子の結合、たとえば、安定な構造を形成することが可能な原子の結合を指称する。化学結合の例には、共有結合及びイオン結合がある。化学結合の他の例は、水素接合及びカルボキシ基とアミン基の間の吸引力がある。
【0081】
本明細書において、用語「共有結合」は、原子間又は原子と他の共有結合との間で対電子を共有することを特徴とする形の化学結合を意味する。原子間で電子を共有するときに形成される吸引力対反発力の安定性は、共有結合として知られている。共有結合には、σ-結合、π-結合、金属-金属結合、アゴスチック相互作用(agostic interactions)、及び三中心二電子結合を含む多くの種類の相互作用(interactions)が含まれる。
【0082】
本明細書において、用語「イオン結合(ionic bond)」又は「電子価結合(electrovalent bond)」は反対電荷イオン間の静電気吸引力によって形成される結合を意味する。たとえば、正帯電カチオンと負帯電アニオンの間。イオン結合は、Na、Fe、Ag等の金属及び非金属の間、又は2つの金属間で、又はアンモニアと酸などの非金属間で、形成可能である。イオン化合物は液体又は固体で溶融したとき電気伝導性であることが可能である。
【0083】
本明細書において、用語「分子基(molecular group)」及びその明らかな変形は、分子の一部を形成する1組の原子を指称する。ある場合には、基は、お互いに化学結合して分子の一部を形成する2以上の原子を含む。基は、一方では中性であり、他方では帯電し、たとえば一価又は多価(たとえば、二価)に帯電して、分子の1組の追加の基への化学結合を可能にすることができる。たとえば、一価の基は分子の1組のヒドリド基が除去されて分子の他の基との化学結合を可能にすることを考えることができる。基は、中性、正帯電又は負帯電であることができる。たとえば、正帯電基は中性基に1個以上のプロトン(すなわち、H+)が追加されたものとして考えることができ、負帯電基は中性基から1個以上のプロトンが除去されたものとして考えることができる。特徴的な反応性又はその他の特性を示す基は官能基(functional group)、反応性官能性(reactive function)又は反応性官能基(reactive functional groups)として参照することができる。反応性官能基の例には、酸無水基、アミノ基、N置換アミノ基 及びそれらの塩、アミド基、カルボニル基、カルボキシ基及びそれらの塩、シクロヘキシルエポキシ基、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、イソシアネート基、ウレア基、アルデヒド基、エステル基、エーテル基、アルケニル基、アルキニル基、チオール基、ジスルフィド基、シリル又はシラン基、グリオキサルに基づく基、アジリジンに基づく基、活性メチレン化合物又はその他のb−ジカルボニル化合物に基づく基(たとえば、2、4-ペンタンジエン、マロン酸、アセチルアセトン、エチルアセトンアセテート、マロンアミド、アセトアセトアミド及びそのメチル類似体、エチルアセトアセテート、及びイソプロピルアセトアセテート)、ハロゲン基、ヒドリド基、又はその他の極性もしくはH結合基並びにそれらの混合物などの反応基がある。
【0084】
本明細書において用語「メルトフローインデックス」又はMFIはポリマーのメルトの流動性の容易性の指標である。学術的な用語としては、メルトフローは、所定の代替温度及び所定の代替重量により適用された圧力において、特定の直径と長さの細管(capillary)を通って10分間に流れるグラム単位のポリマーの質量として定義される。この方法は、類似の標準である ASTM D1238及びISO1133に記載されている。
【0085】
本明細書において、「分子量多分散性」(多分散度指数(PDI))は、所与のポリマー試料における分子量分布の指標である。PDI計算値は重量平均分子量を数平均分子量で割った値である。これはポリマーバッチにおける個々の分子量の分布を表す。PDIは1に等しいか、それ以上の値を有するが、ポリマー鎖が均一な鎖長に近づくにつれてPDIは単位(1)に近づく。或る天然ポリマーでは、PDIはほぼ一体(unity)とされる。重合からのPDIは下記のように記載される。
【数1】
【0086】
Mn は低分子量の分子により敏感であるが、Mwは高分子量の分子により敏感である。ポリマー材料は、その鎖長が広い範囲の分子量にわたり変化すると、用語多分散と記載される。
【0087】
本明細書において、「立体化学」は分子内の原子の相対的な空間配置の研究を意味する。立体化学の一分野はカイラル分子である。立体化学は3D化学としても知られている。各種の立体化学の命名及び名称の規則の例、説明、記述及び定義は“Modern Physical Organic Chemistry”(Anslyn and Dougherty,(C)2005,University Science Books)の第6章「立体化学」にある。
【0088】
ポリマー立体化学の記述であるアタクチック、シンジオタクチック、イソタクチック、cis-及びtrans-、R-及びS-、L-、D-及びMeso-を用いている。
【0089】
本明細書において、「重合」は化学反応においてモノマー分子が一緒に反応して三次元ネットワーク又はポリマー鎖を形成するプロセスである。重合の多くの形及び異なるシステムが存在し、分類されているが、従来技術において公知である。
【0090】
本明細書において、「レオロジー」は物質の流動特性であるが、「粘度(viscosity)」は流動又は変形に対する抵抗性の指標である。粘度は様々な手段で測定され、メルトフローインデックス(MFI)又は通常所定の温度又はせん断速度におけるセンチポイズ(cps)によって測定される。
【0091】
本明細書において、用語「熱伝導率」(「k」、λ又はκとしても記述される)は、材料が熱を伝導する能力についての性質であり、W/mKで測定される。熱伝導率は、定常状態における単位温度勾配(ΔT)によって、そして、熱移動が温度勾配だけに依存する場合に、単位面積(A)の表面に垂直な方向における単位厚さ(L)を輸送される熱量(Q)として定義され、このときの等式は下記である。
熱伝導率 = 熱 × 距離 / (面積 × 温度勾配)
λ = Q × L / (A × ΔT)
【0092】
概して、低伝導性材料ではk<0.1W/mK、良好な伝導性材料ではk=0.1-10W/m・K。高い伝導性の材料ではk>10W/mK。本開示の1つの側面では、熱管理及び熱放散材料はk値>0.5W/mKを有することが好ましい。もう1つの態様では、k>1.0W/mK であり、さらに他の態様ではk>10W/mKである。
【0093】
本明細書において、用語「熱放散」は高温環境から低温環境へ熱が移動又は拡散すること、たとえば、温かい対象から冷たい周囲空気への熱の移動を指称する。熱放散する方法は、高熱伝導材料、たとえば、金属又はセラミック放熱体、放熱板、ヒートシンク、ヒートパイプ、熱交換器、ループパイプ、液冷パイプ、放熱フィン、ファン、循環冷媒、又はこれらの組合せを用いて達成可能である。他の例にはThermo Cool Corp.及びThermacore Inc.などから供給される製品などがある。
【0094】
本明細書で使用されるときに、「相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)」という用語は、国際純粋及び応用化学者連合(IUPAC)による標準定義を指し、それは「分子スケールで少なくとも部分的にインターレースされているが、互いに共有結合しておらず、化学的結合が切断されない限り、分離できない2つ以上のネットワークを含むポリマーである。注:2つ以上の予め形成されたポリマーネットワークの混合物はIPNではない」。
【0095】
本明細書で使用されるときに、「半相互貫入ポリマーネットワーク(SIPN)」という用語は標準IUPAC定義を指し、「1つ以上のネットワーク及び1つ以上の線状又は分岐状ポリマーを含むポリマーであって、少なくとも幾つかの線状又は分岐状巨大分子による少なくとも1つのネットワークの分子スケールでの貫入を特徴とするポリマーである。注:半相互貫入ポリマーネットワークは構成成分の線状又は分岐ポリマーが原則的に、化学結合を破壊することなく構成ポリマーネットワークから分離できるため、相互貫入ポリマーネットワークとは区別され、ポリマーブレンドである」。
【0096】
本明細書で使用されるときに、「逐次相互貫入ポリマーネットワーク」という用語は標準IUPAC定義を指し、「第一の成分ネットワークの形成後に第二の成分ネットワークが形成されるプロセスによって調製される相互貫入ポリマーネットワークである」。
【0097】
本明細書で使用されるときに、「逐次半相互貫入ポリマーネットワーク」という用語は、標準IUPAC定義を指し、これは、「ネットワークの形成をもたらす反応の完了後に直鎖状又は分岐状成分が形成される、又は、その逆であるプロセスによって調製される半相互貫入ポリマーネットワークである。
【0098】
多成分官能性ポリマー相変化材料組成物
温度管理の適切な能力、コーティングしそしてフィルムへと硬化する能力及び他の望ましい特性を有するTMMを作製するために、本開示は多成分官能性ポリマー相変化材料組成物の幾つかの態様を提供する。一般に、本開示の態様によるPCM−TMMは、1つ以上の1)モノマー、ポリマー又はエラストマー、2)pPCM、fpPCM、含有PCM及びmPCM、ならびに3)添加剤を含むことができる組成物を含みうる。本開示の特定の側面を達成するために、モノマー、ポリマー又はエラストマーはPCM−TMM組成物が液体状態にあるときに溶媒として作用する低分子量液体モノマー又は反応性種(例えば、官能性ポリマー)を含むことができる。これらの溶媒は組成物全体を希釈し、又は、その粘度を低下させ、それにより、コーティング又はキャスト(例えば、スプレー又はスピンコーティングによる)することができる。これらのモノマー又は反応性官能性ポリマーは特にそれらの液体形態で反応性希釈剤とも呼ばれることがある。本開示の態様では、これらの反応性希釈剤は、硬化すると、それ自体がpPCM又はfpPCMのいずれかを形成することができる。これらの反応性希釈剤が硬化するときに、それらは「ポリマーマトリックス」と呼ばれることがある。pPCM又はfpPCMに転化する反応性希釈剤を使用することの利点は、硬化中に溶媒をポリマーマトリックスから追い出す必要がないことであり、このようにして、バブリング、発泡及び不均一な表面などの問題を回避する。さらなる利点は反応性希釈剤がそれ自体で温度管理特性を有するPCMになることである。
【0099】
図1Aは、本開示の態様によるPCM−TMMフィルムの高レベル図である。PCM−TMMフィルム100aのセクションは、基材102a上で硬化されたときに、固体PCM−TMM組成物101aを含んで描かれている。基材102aは、接着剤、エネルギー伝導性材料、テキスタイル又は熱管理される物体の表面を含む、本開示全体を通して列挙されている任意の基材であることができる。
【0100】
図1Bは
図1Aに描かれたPCM−TMMフィルム100aのセクションに類似しているが、可撓性で柔軟なものとして示されているPCM−TMMフィルム100bのセクションの高レベル図である。PCM−TMMフィルム100bのセクションは様々な長さ、幅及び厚さを含む様々なサイズの形状で製造することができる。固体PCM−TMM組成物101bは基材102b上に配置されている。
【0101】
図1Cは円筒状の物体103の周りにラップされたPCM−TMMフィルム100cのセクションの高レベル図である。固体PCM−TMM組成物101cは基材102c上に配置されている。図示の態様では、基材102cは接着剤を含むことができ、又は、PCM−TMMフィルム100cの一部分を円筒状物体103及びそれ自体に接着させることができる固有の粘着性又はタック特性を有することができる。取り付けギャップ104は存在することができ、それで、フィルムの始めが最初に円筒状物体103に貼り付けられる。多くの態様では、取り付けギャップ104をある種の熱管理材料で充填することが望ましい場合があり、それにより、円筒状物体103とPCM−TMMフィルム100cとの間に空気を存在させないようにすることが望ましいことがある。これらの態様では、取り付けギャップ104はPCM−TMMフィルム100cのテーパー付き端部、又は、本開示全体を通して説明される様々な熱管理ゲル又はグリースで充填されてもよい。
【0102】
図2は本開示の様々な態様の硬化プロセスの間に分子又はモノマーがどのように重合されうるかの高レベル概念図である。幾つかのPCM粒子211を含む液体温度管理材料(TMM)210は描かれている。PCM粒子211は、マイクロカプセル化PCM(mPCM)、ポリマーPCM(pPCM)又は官能性ポリマーPCM(fPCM)を含む、本開示全体を通して記載された任意のタイプのPCMを含むことができる。幾つかの反応性希釈剤PCM212を含有する液体TMM210も示されている。反応性希釈剤PCM212は、硬化時に反応してポリマー又はポリマーPCMを形成することができる、本開示全体を通じて列挙される任意の分子又はモノマーを含むことができる。反応性希釈剤PCM212がその液体形態であるときに、それはまだPCMではないが、硬化時にPCMになる分子又はモノマーであることが理解されるべきである。1つの態様において、反応性希釈剤PCM212は少なくとも1つのフリーラジカル重合可能基を有する放射線硬化性化合物を含むことができ、ここで、該化合物は放射線硬化時に反応してポリマーPCMを形成することができる。そのような放射線硬化性化合物の例は、本開示中の後に論じられ、「成分A」と呼ばれることができる。
【0103】
多くのタイプのPCMは本開示全体を通して説明される。明瞭にするために、PCM粒子211などのPCMは本開示の全体を通して「PCM粒子」又は「粒子状PCM」のいずれかで呼び、液体分子又はモノマー(製造プロセス中の少なくともある時点で)として開始し、硬化時にPCMへと重合される液体として存在する反応性希釈剤PCM(ポリマー又は官能性ポリマーのいずれか)とは区別される。すなわち、「PCM粒子」又は「粒子状PCM」は、多くの態様において、TMMフィルム組成物中に質量基準で最も豊富なPCMである。これらは、それらの転移温度又は潜熱貯蔵値のために特に選択されることができ、TMMフィルム組成物の80質量%を超えて含まれることができる。言い換えれば、組成物中へのその包含は、PCMの「高粒子装填量」として記載することができる。対照的に、反応性希釈剤から形成されるポリマー又は官能性ポリマーPCMは、多くの態様において、組成物の質量基準で比較的小さな百分率をなすことができる。先に述べたように、PCM粒子は、mPCM、pPCM、fpPCM又は生(raw)PCMであることができる。
【0104】
本明細書で言及される反応性希釈剤PCMは硬化前に液体又は粘性の形態であるとしばしば記載されるが、幾つかの態様において、反応性希釈剤PCMは液体になる前に特定の温度で固体又は固体化状態で存在することができ、このことは混合又は取り扱いの目的で有利であることができる。すなわち、組成物及び/又は方法の幾つかの態様において、反応性希釈剤は固体分子又はモノマーとして開始し、液体反応性希釈剤分子又はモノマーに溶融し、次いで、硬化して固体ポリマー又はPCMとすることができる。
【0105】
さらに、
図2を参照すると、幾つかの添加剤213を含む液体TMM210が示されている。添加剤213は、難燃性、エネルギー伝導性、防水性、耐食性又は耐衝撃性添加剤を含む、本開示の全体を通して記載される添加剤のいずれかを含むことができる。液体TMM210は、反応性希釈剤/マトリックス214を形成する追加の材料を含むことができる。この反応性希釈剤/マトリックス214は少なくとも1つのフリーラジカル重合可能基を有する1種以上の放射線硬化性化合物を含むことができる。幾つかの態様において、マトリックスは3種までのそのような放射線硬化性化合物を含むことができ、その例は本開示で後に論じられるであろう。このような化合物は、成分B、C及びDと呼ぶことができる。反応性希釈剤/マトリックス214は、その液体形態では反応性希釈剤としてより正確に特徴付けられるが、硬化時に、マトリックスとしてより正確に特徴付けられる固体形態、具体的には、ポリマーマトリックスへと変化するので、そのように呼ばれる。液体TMM210において、反応性希釈剤PCM212(あるいは、成分Aと呼ばれる)は液体であり、マトリックス214(成分B、C、及びDを含みうる)もまた液体である。液体として、成分A、B、C及びDは、実施において区別できない場合がある。しかしながら、反応性希釈剤PCM212はポリマー又は官能性ポリマーPCMへと重合可能であるという特定の特性を有することを示すためにユニークな成分としてこの図に描かれている。添加剤213及びPCM粒子211自体は液体又は固体のいずれかの形態であることができる。
【0106】
本開示の側面は液体TMM210などの液体TMMを硬化させる方法に関連し、これについては本開示の後の方で詳細に説明する。硬化プロセスは矢印215で表され、それによって液体TMM210は硬化して固体TMM220になる。
【0107】
反応性希釈剤がpPCM又はfpPCMへと重合するときに、周囲のポリマーとの相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を形成することができる。本開示の様々な態様において、反応性希釈剤は重合して、他のPCMを含むポリマーマトリックス中の1種以上の他のポリマーとの相互侵入ポリマーネットワークを形成することができる。反応性希釈剤(成分A、B、C及びD)は、重合時に有することができる特定の特性を得るために選択されうる。例えば、硬質又は軟質セグメントIPNは「硬質」又は高Tg又は高融点ポリマー(例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシドなど)を、「軟質」又は低g又は低融点ポリマーを形成する反応性希釈剤で希釈することによって形成することができる。このようなIPNを形成することによって達成されうる1つの特性は、例えば、ある程度の弾性である。
【0108】
液体TMMが固体TMM220へと硬化するときに、反応性希釈剤PCM212は硬化して固体PCM212'になる。この変化は、212の三角形から212'の円への形状の変化によって表され、パターンは同じままである。同様に、反応性希釈剤/マトリックス214は固体ポリマーマトリックス214'へと硬化し、非晶質形状から正方形への変化によって表され、パターンは同じままである。図示した態様では、PCM粒子211及び添加剤213は、それぞれ211'及び213'へと硬化するときに状態変化を起こさないであろう。
【0109】
本開示の様々の態様はエラストマー(弾性体)及びエラストマーと称することができる特性を有する材料を含む。
図3は「硬質」(又は堅固)セグメント301と「軟質」(又は可撓性)セグメント302とを有するブロックコポリマーを含むエラストマーの高次元図である。硬質セグメントは組み合わせて硬度(hardness)、剛性(rigidity)、堅固性(stiffness)、強靭性、安定性及び化学抵抗性を提供することができる。硬質セグメントは、高ガラス転移温度材料、セグメントが安定な結晶ドメインを形成する結晶化可能材料、形成された架橋がドメインを安定かつ堅固にする官能性架橋可能材料から構成されることができる。架橋は水素結合によることができる。軟質セグメントは一般的にアモルファス又はゴム相であり、他の軟質セグメントと配列又は相互作用しない。そのことにより、セグメントは可撓性であり、自由に動け、良好な伸び特性を有することが可能になる。軟質セグメントは低ガラス転移温度材料、アモルファス (非晶質)材料を含むことができ、一般的に架橋が少ないか含まない。硬質又は軟質セグメントは異なる又は同じ化学構成(chemical makeup)であることが可能である。たとえば、ポリプロピレンエラストマーは、ランダム又はアタクチックポリマーのポリプロピレンの軟質セグメントに比べて、硬質の結晶性セグメントを可能にするシンジオ又はイソタクチックポリプロピレンセグメントからなることが可能である。セグメントは異なる相又は結晶構造によって異なる融点を有することができる。軟質セグメント又は硬質セグメントの濃度、化学種、分子量等によって、ポリマーは分散した軟質相を持つ連続硬質相を有することができ、あるいは硬質セグメントが低濃度であれば分散した硬質相を持つ連続軟質相を有することができる。ポリマー又は部分の製造中に発達する形状(morphology)、相の混合性、分散した相の寸法及びそれらの特性は、ポリマーの最終特性に強く影響する。
【0110】
開示の特定の態様では、上記の組成物はラップされた対象物の外力による凹みや穿孔から保護するために望ましい硬度特性をもたらすことが可能である。たとえば、組成物は、対象物の周囲をラップしたときASTM D2240に基づき85より大きいShore A硬度及び25より大きいShore D硬度をもたらすことができる。ある態様では、これらの硬度特性を達成するためにフィルムを多数回ラップする必要があるかもしれない。さらに、上記の組成物は特定の対象物とともに膨張及び収縮するのに適した望ましいエラストマー性をもたらすことができる。たとえば、組成物は15ポンド毎平方インチより大きい弾性率(flex modulus)及び20%より大きい破断伸びをもたらすことができる。
【0111】
図4は本開示の態様によりIPNがどのように形成されるかを示す。PCM粒子411を含む液体TMM410は描かれている。この場合に、PCM粒子411はポリマーPCM粒子である。液体TMM410はまた、
図2のマトリックス214と同様に、1つ以上の成分A、B、C及びDを含むことができるマトリックス414を含む。液体TMM410が硬化されるときに、矢印415で表され、ポリマーPCM粒子411はポリマー414AとIPNを形成し、ポリマー414Aと実質的に整列したポリマーPCM粒子411によって表される。ポリマー414Aがマトリックス414から形成されるという考えを示すために、ポリマー414Aはマトリックス414と同様に陰影付けされている。
【0112】
図5Aは当該技術分野で知られており、本開示の「定義」セクションに記載されているIPN500を示す。第一のポリマーネットワーク501を実線で示す。第一のポリマーネットワーク501は点502で架橋されている。第二のポリマーネットワーク503は破線により表され、点504で架橋されている。本開示の態様において、IPNは第一のポリマーネットワーク501が粒子状pPCM(例えば、
図4における粒子状pPCM411)であり、そして第二のポリマーネットワークは反応性希釈剤/マトリックスのポリマー(例えば、
図4の反応性希釈剤/マトリックス414Aなど)である。第一及び第二のポリマーネットワーク501及び502は、それらが分子スケールで少なくとも部分的にインターレースされているが、互いに共有結合していないためにIPNである。
図5Aに示す態様では、第一及び第二のポリマー501及び502は架橋されているが、他の態様では一方又は両方が架橋されていなくてよい。本開示の態様では、追加のポリマーがIPNに含まれることができると考えられる。例えば、反応性希釈剤/マトリックスが成分A、B、C及びDを含むならば、得られるIPNは5つのポリマーネットワーク、すなわち、ポリマー粒子状PCM及び成分A、B、C及びDのポリマーネットワークを含むことができる。さらに、成分Aが含まれるならば、IPN中のポリマーネットワークの1つは、pPCM又はfpPCMであることができる。
【0113】
図5Bは当該技術分野で知られており、本開示の「定義」のセクションに記載されている半相互貫入ネットワーク(SIPN)505を示す。ポリマーネットワーク506は実線で表され、点507で架橋される。線状又は分岐ポリマー508は点線508によって表される。ポリマーネットワーク506及び線状又は分岐ポリマー508はポリマーネットワーク506が分子スケールで線状又は分岐ポリマーにより貫入されるのでSIPNを形成する。本開示の特定の態様において、追加の線状又は分岐ポリマーはSIPN505を含むことができる。例えば、反応性希釈剤/マトリックスが成分A、B、C及びDを含むならば、得られるSIPNは5つのポリマー、すなわち、ポリマー粒子状PCMならびに成分A、B、C及びDの線状又は分岐ポリマーを含む。さらに、成分Aが含まれるならば、SIPN中の線状又は分岐ポリマーの1つは、pPCM又はfpPCMであることができる。
【0114】
或る態様において、反応性希釈剤/マトリックスはその固体マトリックス形態においてエラストマー特性を有することができる。そのような態様において、マトリックスは、ポリオレンフィンコポリマー、たとえば、ポリエチレンと、C
3-C
30α-オレフィン、又は酢酸ビニル、その他のビニルモノマー、たとえばスチレン又はその類似物、アクリレート又はメタクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマー、ビニルエステルモノマーとのコポリマー、アクリロニトリル、ゴム及び イソプレン、ブチル等からなるコポリマー、又はそれらの組合せ、ブレンド、混合物を含むことができる。ポリマー又はコポリマー はランダム又はブロックコポリマーであることができる。
【0115】
エラストマーマトリックスはポリエステル、シリコンゴム又はポリウレタンからなるポリマーエラストマーを含むことができる。その非限定的な例は、DuPont(商標)のHytrel(商標)ポリエステル;Kuraray Co.のKraton(商標) SEBS、SEPS、SBS又はSISブロックコポリマー、SeptonTM及びその他のエラストマー;Spandex(商標) typeポリウレタン;及びRTV又はLTVタイプのシリコンゴムがある。ポリマーマトリックスのエラストマー性(弾性)をさらに改良するために、マトリックスを架橋して平均0.05-1.0架橋毎ポリマー鎖をもつ改良されたエラストマー性(弾性)にすることができる。
【0116】
フィルムとラップされた物体の外側表面とが密接に接触する必要があるので、エラストマーポリマーマトリックスは低い熱膨張係数(CTE)及び高い耐疲労性又は耐クリープ性を特徴とする良好な熱弾性特性を有することができる。幾つかの態様において、これらの値は、CTE(ASTM E228による)が200ppm未満であり、疲労破壊がない(ASTM D7791、方法Aによる、2Hz、2mPa、応力、正弦波)。ラップされた物体が温度変化とともに膨張又は収縮するときに、このような特性はフィルムとラップされた物体との間で形成し又は膨張する空気ギャップの可能性を最小限にすることができる。
【0117】
本開示の特定の態様において、フィルムとラップされた物体との間の空気ギャップを充填するためにゲル層を使用することができる。特定の態様では、ゲルはグリース又はワックスとして特徴付けることができる。ゲルは、フィルムの態様を含む低分子量形態の同一のポリマーマトリックス、TMM及び/又はPCMブレンドであることができる。フィルムの特性と比較して、ゲルは熱輸送を改善するために高百分率の伝導性添加剤(すなわち、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、金属など)を有することができる。
【0118】
本開示で論じられる産業用途、自動車用途及び医療用途を含む特定の用途では、耐衝撃性がフィルムにおいて望ましいことがある。幾つかの態様において、フィルムは衝撃からの保護を可能にする硬度及び剛性特性を有することができる。さらに、硬度及び剛性特性は輸送中の損傷を防止することができる。したがって、フィルムの特定の態様は、>85のショアA硬度及び>25のショアD硬度(ASTM D2240による)を有することができる。さらに、フィルムのラップされたセグメントは>15psiの曲げ弾性率(ASTM D790による)及び>20%の破断点伸び率(ASTM D638による)を有することができる。本明細書に記載されるとおりのフィルムの上述の特性は、耐衝撃添加剤を含む、本開示全体を通して記載される1つ以上の化学構造によって達成されうる。幾つかの態様において、本明細書に記載される硬度及び剛性特性は、フィルムを複数回積層することによって達成されうる。
【0119】
図6A〜6Cは本開示の態様をマトリックス形態及び層状形態で形成するために使用されうる、PCMを用いた様々な構成での温度管理材料の様々な態様を示す。
図6Aには、PCM602とポリマーマトリックスTMM604の均一混合物600が示されている。
図6Aの例では、PCM602はマイクロカプセル化PCM(mPCM)であるが、未処理又はさもなければ未カプセル化PCM、例えば、pPCM(ポリマーPCM)又はfpPCM(官能性ポリマーPCM)である。しかしながら、相変化材料は混合物600中に取り込まれ、
図6Aの例では、混合物600は材料に対してある程度の均一性を有する均一な物質である。幾つかの態様において、ポリマーマトリックスTMM604は、ポリマーTMM604自体の全体に分散されたpPCM又はfpPCM自体を含むことができる。他の態様において、ポリマーマトリックスTMM604は、pPCM又はfpPCM自体を含んでいなくてもよい。
図6Aの例には特定の層は存在しない。本開示に従って製造されたフィルムは、
図6Aに示されるように、実質的に均質であることができることが考えられる。
【0120】
図6Bを参照すると、幾つかの層を含む層状組成物620が示されている。層状組成物は、
図1に示すフィルム100などのフィルムの一部を形成することができる。例えば、
図6Bに示す層の1つは、フィルムの最上層又は最下層であることができる。あるいは、
図6Bに示される全ての層は完全にフィルム内に配置されることができ、ラップされた物体、基材又は周囲環境と接触しない。フィルムは、3層を超える層を含むことができると考えられる。
図6Bにおいて、層622は、液体組成物から形成され、液体組成物から粒子状相変化材料、添加剤及びポリマーマトリックスを含む固体へと硬化されることができる。ポリマーマトリックスは、本開示で後述されるように、成分B、C及びDの1つ以上から形成されることができる。
【0121】
層624は層622とは異なる液体組成物から形成することができる。層624は層622とは異なる粒子状相変化材料を含むことができる。層624は1種以上の添加剤及びポリマーマトリックスから形成することができる。ポリマーマトリックスは成分A及びBなどの異なる成分から形成することができる。成分Aは、硬化時に重合してpPCMになる反応性希釈剤であることができる。したがって、層624は、PCM、1種以上の添加剤及びそれ自体がpPCMを含むポリマーマトリックスを含むことができる。すなわち、pPCMポリマーマトリックスは別のPCMを取り囲むことができる。層626は層622及び624と実質的に同様に形成することができるが、異なる相変化材料、異なる添加剤及び成分A、C及びDなどの異なる成分を含むポリマーマトリックスを有することができる。
【0122】
層622、624及び626のそれぞれは、特定の温度制御シナリオに適合するために必要であることができる様々な組み合わせで本明細書にて論じたPCM材料のいずれかを利用することができると考えられる。例えば、特定の用途は、より高いレベルの熱を生成するか、又は、より急峻な加熱曲線プロファイルを有することができ、したがって、それらの用途で生じる温度変化を効果的に管理するために、他よりも高い潜熱値又はPCM装填要件を有するPCMの使用を是認することができる。他の用途は、より微妙な温度変化プロファイルを有することができ、さほど大きな潜熱値を有するPCMを必要とせず、従って、より低い装填量を利用することができる。他の用途は、低温からの保護又は低温管理にフィルムを使用するときなど、非常に低い転移温度が必要となることがある。
【0123】
図6Cを参照すると、ここでも幾つかの層を含む別の層状組成物640が示されている。層状組成物630と同様に、層642は粒子状相変化材料、1種以上の添加剤及びポリマーマトリックスから形成されうる。層644は、第二の粒子状相変化材料、1種以上の添加剤及びポリマーマトリックスから形成される。層644は層642と同一の又は異なる添加剤及び/又はポリマーマトリックスを有することができる。層646は層642及び646と実質的に同様に(すなわち、粒子状PCM、1種以上の添加剤及びポリマーマトリックスを用いて)形成されうる。図示の態様において、粒子状PCM、添加剤及びポリマーマトリックスの少なくとも1つは、層642及び644で使用されるものと異なっていてもよい。
図6Bの例と同様に、層642、644及び646は、それぞれ粒子状PCMとしてmPCM、pPCM又はfpPCMのいずれかを含むことができ、又は、層644及び646は、これらのタイプの相変化材料の1種以上の組み合わせ又はブレンドを含むことができる。さらに、層644及び646のそれぞれは、特定の温度制御シナリオに適合するために必要であることができる様々な組み合わせで本明細書にて論じたPCM材料のいずれかを利用することができる。
図6Cの態様及び例では、マイクロカプセル645を利用した層644が示されている。これらのマイクロカプセルはポリマーバインダー647(それ自体のPCM及び潜熱特性を有するか又は有しない)内にあることができる。
【0124】
図7〜
図15は本開示において後でさらに詳細に説明される。
【0125】
図16A〜
図16Cは温度管理及び熱放散のためのフィルムを構築する際に利用されうる他の層状化の選択肢を示す。
図16A〜
図16Cに例示されるように、これらの異なる層の任意の組み合わせも可能である。
図16A〜
図16Cにおいて、L1〜L8の各々は、フィルム内の異なる層又はフィルムの別個の部分内の異なる領域を表す。これらの層の多くの異なる組み合わせが可能であり、本開示を
図16A〜16Cにより示される物理構造のいずれかに限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。これらは単に幾つかの可能性を示すものにすぎない。
【0126】
図17〜
図29は本開示によるフィルムの様々な用途を幾つかの状況で示している。
【0127】
図17はフィルムの適用によって熱管理されうる工業用パイプ及び保持タンクを示す。大型保持タンク1701はPCM−TMMフィルム1702の大きな部分によってラップされているものとして示されている。図に見られるように、大型保持タンク1701は不均一な形に成形されているが、PCM−TMMフィルム1702の大きな部分の可撓性により、フィルムを大型保持タンク1701の形状に合致させることができる。大型保持タンク1701の近くにはパイプラッピングPCM−TMMフィルム1704でラップされた大きなパイプ1703がある。PCM−TMMフィルム1702及びパイプラッピングPCM−TMMフィルム1704の大きな部分は類似又は異なる組成を有してもよいと考えられる。例えば、大型保持タンク1701及び大きなパイプ1703によって放出される熱の範囲が非常に異なるならば、対応するフィルム(1702及び1704)で使用されるPCMは非常に異なる転移温度及び/又は潜熱貯蔵値を有することができる。あるいは、放出される熱の範囲が類似しているならば、フィルム1702及び1704は同一の組成を有することができる。フィルム1702及び1704が異なる組成を有するが、フィルム1702及び1704の使用者がタンク1701及びパイプ1703に対して僅かに異なる温度管理特性を望むならば、使用者はフィルム1702及び1704を互いに異なる厚さでラップすることができる。また、
図17には、小パイプ1705などの幾つかのより小さなパイプが示されている。このようなパイプは、その熱放散を管理するために、より少ないPCM−TMMフィルムを必要とすることがある。さらに、図に見られるように、小パイプ1705と空間の壁との間には非常に少ししか空間がない。使用者は特定の物体の1つ以上の面上にある空間内で制限されうると考えられる。したがって、PCM−TMMフィルムの利点は物体の一方の面が別の面よりも多くラップされ又は積層されうることである。
【0128】
図18はPCM−TMMフィルム1801がパイプ1802の長手方向軸上に進むにつれて、部分的に重なり合って、PCM−TMMフィルム1801によって(任意の種類の設定で)パイプ1800をラップすることができる1つの方法を示す。この方法は「プログレッシブ」ラッピングと呼ぶことができる。PCM−TMMフィルムのセクションがラップされるべきパイプの全長でありそしてラッピングが長手方向軸に対して同じ位置で複数回繰り返される
図1Cに示されるような方法の代わりに又はこれに加えて、プログレッシブラッピングを使用することができる。このタイプのラッピングは「固定」ラッピングと呼ぶことができる。本開示の態様によるPCM−TMMフィルムの多くの適用はいずれの種類のラッピングを使用してもよく、また、ラッピング又は層状化の任意の他の適切な方法を使用してもよいと考えられる。
【0129】
様々な商業用、居住用及び工業用の建造物構成部品をPCM−TMMフィルムでラップすることができる。
図19はPCM−TMMフィルム1901でラップすることができる正方形の空気ダクト1900を示す。
図20はPCM−TMMフィルム2001でラップすることができる電線2000を示す。
図20AはPCM−TMMフィルム2011にラップされた温水器2010を示す。温水器などの多くのラップされた物体は物体の本体から延長し、ラップされるのではなくむしろ露出させる必要がある様々な固定具を有する可能性があることが考えられる。多くの態様において、PCM−TMMフィルムは様々なサイズの固定具を収容するために、ナイフ又はブレードで容易に切断されうる。
【0130】
図21A及び21BはPCM−TMMフィルム2101にラップされた液圧ピストン2100の様々な形態を示す。
図22はPCM−TMMフィルム2201にラップされた液圧ポンプ2200を示す。幾つかの物体では、物体自体を基材として使用して液体PCM−TMM組成物で物体自体をコーティングし、次いで物体上で組成物を乾燥及び/又は硬化させることが有利であると考えられる。このようにして、液圧ポンプ2200などの変わった形状の物体を、物体の全ての部分と密接に接触を維持しているPCM−TMMフィルムでコーティングすることができる。硬化に必要な厳しい温度又は他の条件に耐えることができる材料で作られた物体は基材自体のための良好な候補でありうる。
【0131】
図23〜27はヒトの皮膚と接触して使用されるPCM−TMMフィルムの様々な用途を示す。本開示の側面はPCM−TMMフィルムが無毒性でありかつ取り扱いが容易であることができることである。
図23はアスレチックテープとして実装されたPCM−TMMフィルム2301にラップされた足首2300を示す。
図24は化粧パッチ2401として実装されたPCM−TMMフィルムを示す。化粧パッチ2401は皮膚2400に冷却を提供することができ、様々な利益のために化粧品又は皮膚科用組成物を注入することができる。
図25は包帯2501として実装されたPCM−TMMフィルムにラップされた脚部2500を示す。
図26は経皮パッチ2601として実装され、腕2600に適用されたPCM−TMMフィルム2601を示す。経皮パッチ2601は、医薬品又は救急処置剤が注入されてもよい。
図27は骨折した骨2700の周りにキャストを形成するラップ2701として実装されたPCM−TMMを示す。
【0132】
図28A〜
図28DはPCM−TMMフィルムを使用してソーラーパネルを熱管理する様々な方法を示す。ソーラーパネルは組成が様々であるが、大部分は複数の層を含み、その各々が伝導、電子輸送、コーティング、冷却又はソーラーエネルギー捕獲の1つ以上に関連する機能を有する。ソーラーパネルの特定の組成に応じて、PCM−TMMの層を使用して、様々な場所でソーラーパネルの温度を管理することができる。
図28Aの第一のソーラーパネル2800において、PCM−TMMフィルムはボトム層2801を含むことができる。
図28Bの第二のソーラーパネル2802において、PCM−TMMフィルムは下部層2803のうちの1つを含むことができる。
図28Cの第三のソーラーパネル2804において、PCM−TMMフィルムは上部層2805のうちの1つを含むことができる。セルが可撓性フィルム2806自体を含む
図28Dの第四のソーラーパネルにおいて、PCM−TMMフィルムは接着剤によってソーラーパネル可撓性フィルム2806に接着することができるバッキング2807を形成することができる。
【0133】
図29に示すように、本開示のさらに別の態様を達成することができる。
図29はバッテリーセル2915を示す。図示された態様におけるバッテリースリーブ2910はセル2915の周りに複数回ラップされたフィルム又はテープとしてセル2915に適用されうる。フィルム又はテープの層は2908で示されている。接着剤2907を使用して、フィルム又はテープの第一の層をセル2905の外側に最初に取り付けることができる。接着剤は、液体TMMがコーティングされ、硬化させて固体フィルムが形成された基材を含むことができる。接着剤2907はフィルム又はテープ自体のTMM又はPCMの低分子量形態を含むことができる。接着剤2907はセル2915の周りでのフィルム又はテープの各々のラッピングが接着剤の層及びポリマーマトリックスを生じさせるようにフィルム又はテープ自体のバッキングであることができる。接着剤はTMMフィルム自体と同様の熱管理特性を有することができる。TMMフィルム又はテープの特定の組成物は追加の接着材料がフィルム又はテープ上で積層するために要求されないように、生来的な「粘着性」又は「タック性」の特性を有しうると考えられる。フィルム又はテープはまた、フィルム又はテープが配向された(ポリマー鎖が整列されている)形態で供給され、加熱されたときにフィルム又はテープが収縮し(ポリマー鎖がランダム化されるために)、接着し、テープ/フィルム層内又はバッテリー表面のいずれかの空気ギャップを埋めるように、「収縮ラップ」特性も有しうる。フィルムからスリーブ2910を形成することの利点はスリーブ2910の厚さを特定の用途に合わせて調整できることである。すなわち、より高い熱発生用途は使用されるセルの熱特性を管理するためにより多量のフィルムを使用することができる。デバイス製造者又は最終使用者は必要に応じて温度管理をカスタマイズすることができる。
【0134】
図30はPCM−TMMフィルム3001が側面に取り付けられたコンピュータサーバ3000を示す。コンピュータサーバ及び他の電子機器は熱を発生することが知られており、安全な動作及び最適な性能のために冷却が必要である。様々なサイズ及び形状のサーバは熱を放散すせるために、1層以上のPCM−TMMフィルム3001の層を利用することができる。様々な態様におけるPCMの転移温度及び潜熱値はサーバ電子機器から熱を放散するために必要な範囲内にあることができる。
図30に示すようなPCM−TMMフィルム3001を利用することの利点は狭い空間で熱制御が達成できるということである。多くのコンピュータサーバは複数の他のサーバの隣に位置しており、小さい空間で高いレベルの温度管理がしばしば必要である。
【0135】
図17〜30及び本開示の他の箇所に記載され、示されているPCM−TMMフィルムの様々な用途は多くのタイプの物体を熱的に管理することができることを示している。 描かれた様々な物体は特定の範囲の熱を発生することが当業者に理解され、PCM−TMMフィルムは特定の温度範囲に特に適合した熱管理特性を有することができることが理解されうる。しかしながら、
図17〜
図30の描写は単なる例示であり、本開示によるPCM−TMMフィルムは描写された物体に関連する範囲からはるかに離れた温度のために製造され、利用されうる。
【0136】
PCM及び他の熱管理材料の使用
上記では本開示における温度制御及び熱管理フィルム、テープ、シート及びその他の側面を創出するために用いることができる様々な組成物及び他の材料について記載した。しかしながら、如何なる特定の構造的態様又は如何なる詳細な及び特定の化学組成(上記又はさらに本開示において)を参照するときも、特許請求の範囲の範囲をこれらのいずれにも限定する意図はない。反対に、当業者が特定の目的に働く形状を作り出すために個々の記載したフィルム、テープまたはシートの1以上をここに記載した1以上の化学組成と組み合わせることができるように、明細書は配置されている。
【0137】
温度制御に有用な相変化技術及び異なる種類の化学物質及び他の材料の上記の記載は、本開示の側面及び態様に一般的に適用でき関連性があるが、フィルム、テープ及びシートの態様の製造に特に関連性が見いだされるその他の側面及び固有の特徴もある。
【0138】
温度制御のための熱管理材料(TMM)
PCMは、その高い結晶性が、良好な熱伝導、高潜熱容量及びエネルギー吸収(どれも対象物及びラップされた材料の改良された熱管理、低い蓄熱、低い劣化速度に導く)の組合せを可能にする点で、広範囲の用途における熱管理材料として用いるのに非常に有利である。
【0139】
空気は非常に貧の熱伝導体であるから、TMM内のどこでも空気スペース又は空気ギャップは好ましくない。ラップされた対象物と熱管理材料の間などの空気ギャップ、TMM内のクラック又はボイド、粒子とTMM複合体又はマトリックス材料との間のボイド又はギャップなどは、いずれも良好な熱伝導にとって問題である。たとえば、パイプの周りにフィルムをラップするとき2つの固体表面を密な接触にもたらすことが必要である。残念ながら、如何に良好に準備しても、固体表面は決して密な接触を許容するように真に平坦又は平滑ではない。全ての表面は顕微鏡的な高低部位のために或る粗さを有している。表面粗さ以上に、凹部、凸部又は捩れの形状の巨視的非平坦性がある。そのような2つの表面を一緒にすると、表面の凸部だけが物理的に接触する。凹部は分離され、空気が充満したギャップを形成する。空気は貧な熱伝導体であるから、よりよい伝導体材料に置換して、接合部の伝導性を増加して熱的界面を通る熱流を改良すべきである。固体表面間の接触を作り出すことの困難に加えて、発熱性対象物はしばしばそれ自体が膨張及び収縮する。たとえば、熱水を輸送する金属製パイプは熱水がその中を流動するとき僅かに膨張し、冷却されると収縮することがある。この膨張及び収縮サイクルはしばしば繰り返される。さらに続けて、パイプと接触する全ての材料は多数の膨張及び収縮サイクルを経るので、良好な エラストマー性(弾性)を有していない材料の全ては時間とともに接触を失う。熱管理材料は、良好なレオロジー特性及び表面濡れ性 を有して、良好な「ギャップ充填性」特性、すなわち、ギャップ、クレビス、クラック等を流動し、乾燥し(wet out)、埋めて、空気ギャップを減少させ、熱移動を改良できる能力を有しているべきである。これらのTMM流動性は、添加剤を用いて材料中に仕込むこと、又はTMM分子中に設計することができる。TMMは固体TMMとラップされた対象物の間の接触を維持するためにゲル又はグリースのような液体形態でも使用できる。
【0140】
或る態様では、TMMフィルムも、良好な接着性、粘着性又は結着性の特性を有して、ラップされた対象物が、落下し(dropped)、損傷し、衝撃を受け、または高温又は低温に曝されるとき、TMMと対象物の間の接触が緩むことを防止すべきである。
【0141】
幾つかの態様において、TMMは良好な耐衝撃性及び耐穿刺性も有するべきである。例えば、物体の保護のために事前ラッピング、コーティング又は機械的構成要素が使用されている用途では、耐衝撃性及び耐穿刺性をTMMフィルムに組み込むことが望ましいことがある。
【0142】
上記の一般的用語及び定義のセクションに記載したように、用語「相変化材料」は熱を吸収又は放出して温度安定化範囲において熱移動を調整する能力を有する材料を指称する。温度安定化範囲は特定の転移温度又は転移温度の範囲を含む。場合によっては、相変化材料は相変化材料が熱を吸収しまたは放出するときに、典型的には相変化材料が2つの相の間を転移するときに、ある期間熱移動を禁止することが可能である。この作用は、典型的には遷移的であり、加熱又は冷却プロセスの間に相変化材料の潜熱が吸収又は放出されるまで起きるであろう。熱は貯蔵又は相変化材料から取り出すことができ、相変化材料は典型的には熱または冷却の源によって有効に再チャージされることが可能である。特定の実施においては、相変化材料は2以上の材料の混合物であることができる。2以上の異なる 材料を選択して混合物を形成することで、温度安定化範囲を全ての望ましい用途に調整することが可能である。得られる混合物は本明細書に記載の物品に組み入れたとき2以上の異なる転移温度又は単一の修正された転移温度を示すことが可能である。
【0143】
最適な熱管理特性を得るためのPCM
本開示の残りの部分全体にわたって、多くのタイプのPCMについて詳細に説明する。 このセクションで説明するPCMには特に熱管理能力のために使用できる広い範囲が含まれる。 このセクションに記載されたその他のものには、特に基材に結合する能力のために使用されうる官能性ポリマーPCM(fpPCM)が含まれる。本開示の後の別のセクションにおいて、特定のpPCM及びfpPCMは溶媒又は希釈剤を形成する反応性モノマーから硬化時にpPCM及びfpPCMに変換する能力に関して検討される。
【0144】
最適の熱管理特性のためのPCMには、各種の有機及び無機物質が含まれる。有機PCMは本明細書に開示の態様において好適であることができる。相変化材料の例には、炭化水素 (たとえば、直鎖アルカン又はパラフィン炭化水素、分岐鎖アルカン、不飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素及び脂環式 炭化水素)、アルカン、アルケン、アルキン、アーレン、水和塩(たとえば、塩化カルシウム六水和物、臭化カルシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、硝酸リチウム三水和物、塩化カリウム四水和物、アンモニウムミョウバン、塩化マグネシウム六水和物、炭酸ナトリウム十水和物、リン酸二ナトリウム十二水和物、硫酸ナトリウム十水和物、及び酢酸ナトリウム三水和物)、ワックス、油、水、脂肪酸(カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸など)、脂肪酸エステル (カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、アラキジン酸メチル、ベヘン酸メチル、リグノセリン酸メチル等)、脂肪族アルコール(カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、モンタニルアルコール、ミリシルアルコール及びゲジルアルコール(geddyl alcohol)等)、二塩基酸、二塩基エステル、1-ヒドリド、第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコール、芳香族化合物、包摂化合物(clathrate)、半包摂化合物(semi-clathrate)、気体包摂化合物(gas clathrate)、無水物 (たとえば、ステアリン酸無水物)、炭酸エチレン、メチル エステル、多価アルコール(たとえば、2、2-ジメチル-1、3-プロパンジオール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1、3-プロパンジオール、エチレングリコール、 ポリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ペンタグリセリン、テトラメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、テトラメチロールプロパン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、モノアミノペンタエリトリトール、ジアミノペンタエリトリトール、及びトリス(ヒドロキシメチル)酢酸)、糖アルコール(エリトリトール、D-マンニトール、ガラクチトール、キシリトール、D-ソルビトール)、 ポリマー(たとえば、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンマロネート、ポリネオペンチルグリコールセバケート、ポリペンタングルタレート、ポリミリスチン酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリラウリン酸ビニル、ポリヘキサデシルメタクリレート、ポリオクタデシルメタクリレート、グリコール(又はその誘導体)と二酸(又はその誘導体)との重縮合により生成されるポリエステル、及びコポリマー、たとえばポリアクリレート又はポリ(メタ)アクリレートとアルキル炭化水素側鎖と又はポリエチレングリコール側鎖とのコポリマー、及びコポリマー、たとえばポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールを含むコポリマー)、金属及びそれらの混合物が含まれる。天然アルコール、天然脂肪酸、糖類、セルロース及び天然グリコールのあらゆる組合せによりPCMを得ることができる。下記のような一般式(式中、m又はnは0-100であることができる。):
【化1】
【0145】
ポリマー化アルコール、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリグリセロール(分子量100-10,000)又は各種の脂肪酸でエステル化した多官能性 アルコール。
【0146】
パラフィン系PCMはパラフィン炭化水素、すなわち、式 C
nH
n+2(式中、nは約10から約44の炭素原子の範囲でよい)で表される炭化水素でよい。本開示に有用なPCMは13〜50個の炭素原子を有するパラフィン炭化水素を含む。たとえば、均質なシリーズのパラフィン炭化水素の融点は下記の表に示されるように炭素原子数に直接に関連する。
【表1】
【表2】
【0147】
さらにpPCMの他の結晶化可能部分が意図され、脂肪酸のラジカル、長鎖ジカルゴン酸のラジカル、脂肪族アルコールのラジカル、ジアルコールのラジカル、ポリエステル-ポリカルボキシリック又は以前に記載したものを含む。
【0148】
各pPCM分子少なくとも1つの反応性官能基を有するが、大きいfpPCM分子は多数の反応性官能基を有することができる。1つの態様によれば、fpPCMは1,000,000Daltonの分子量当たり少なくとも1つの反応性官能基を、或る態様では2つの反応性官能基を有する。
【0149】
様々な態様において官能基は、骨格に沿って示されるが、それは1つの選択肢にすぎない。上記のごとく、官能基は骨格の端部、側鎖に及びそれらの組合せに配置できる。各fpPCMは単一のまたは多数の反応性官能基を有することができる。fpPCMは類似の化学的性質の多数の反応性官能基又は異なる化学的性質の反応性官能基の組合せを有することが可能である。
【0150】
上記のように、fpPCMの反応性官能基は、伝導性または接着性バッキングを形成できる様々な基材と共有結合又はイオン結合を形成可能であるべきである。基材は、熱管理されるべき対象物の表面を含む材料を含むことができる。共有結合を形成可能な反応性官能基の例は、酸無水基、アミノ基、N置換アミノ基及びそれらの塩、アミド基、イミン基、イミド基、アジド基、アゾ基、アミン-ホルムアルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基及びそれらの塩、シクロヘキシルエポキシ基、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、イソシアネート基、シアネート基、ウレア基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、エーテル基、アルケニル基、アルキニル基、 チオール基、ジスルフィド基、シリル又はシラン基、ハロゲン化された脱離基、ペルオキシド基、塩基、グリオキサルに基づく基、アジリジンに基づく基、活性メチレン化合物又はその他のb−ジカルボニル化合物に基づく基 (たとえば、2,4-ペンタンジエン、マロン酸、アセチルアセトン、エチルアセトンアセテート、マロンアミド、アセトアセトアミド及びそのメチル類似体、エチルアセトアセテート、及びイソプロピルアセトアセテート)、ハロゲン基、ヒドリド基、又はその他の極性もしくはH結合基並びにそれらの組合せである。共有結合を形成可能なfpPCMは、共譲渡された米国特許No.8,404,341(その教示はすべて参照してここに含める)に開示されている。イオン結合を形成可能な反応性官能基の例は、酸官能基、塩基官能基、正帯電錯体及び負帯電錯体である。イオン結合を形成可能なfpPCMは共譲渡された米国特許No.8,221,910(その教示はすべて参照してここに含める)に開示されている。たとえば、下記は好適な反応性官能基の例である。
【0151】
1つの態様によれば、fpPCMは反応性官能基を1以上の末端基として有することができる。このようなfp-PCMの例は、α,ω-ジグリシジルポリエステル、α,ω-ジグリシジルエーテル、α,ω-ジイソシアネート、α,ω-ジウレア、α,ω-ジアルケン、α-グリシジルポリエステル、α-グリシジルエーテル、α-ウレア及びα-イソシアネート(たとえば
図7-10に示す構造参照)である。
【0152】
炭化水素−π結合の数と順序によって異なる官能基は、異なる化学及び極性を与える。以下のリストのそれぞれは、C--H結合を含むが、それぞれ反応性のタイプ(範囲)が異なる。
【表3】
【0153】
ハロゲン含有基--ハロアルカンは炭素-ハロゲン結合によって規定される種類の分子である。この結合は比較的に弱いか (ヨードアルカンの場合のように)又は極めて安定的 (フルオロアルカンの場合のように)であることができる。一般的に、フッ素化化合物の例外で、ハロアルカンは容易に親核置換反応又は脱離反応をする。炭素の置換、プロトン近傍の酸性度、溶媒条件などの全てがその反応性の結果に影響することが可能である。
【表4】
【0154】
酸素含有基--C−O結合を含む化合物は夫々、sp
2ハイブリッド化酸素の電子吸引作用及びsp
3ハイブリッド化酸素の電子供与作用のために、C−O結合の位置及びハイブリッド化に基づいて異なる反応性を有する。
【表5】
【0155】
窒素含有基--このカテゴリーの窒素を含む化合物はアミドなどのC−O結合を含むことができる。
【表6】
【表7】
【0156】
リン及び硫黄含有基--硫黄及びリンを含む化合物はその変化する極性、周期律表におけるより軽量の類似物である窒素及び酸素よりも結合をより形成する能力のために、固有の化学(反応性)を示す。
【表8】
【0157】
その他の化学種にはオルガノシラン、シロキシド、シリル ハライド、シリルヒドリド、ヒドロシリル化、シレン、シロール及び超原子価ケイ素(Hypercoordinated silicon)が含まれる。
【0158】
もう1つの態様によれば、官能性ポリマー相変化材料が基材に結合していてもよい。結合は、共有結合、電子価結合、直接結合又は結合化合物を介した結合のいずれかであってよい。もう1つの態様によれば、結合はfpPCMの反応性官能基と基材の反応性官能基の間の反応から得られるものであることができ、結合がこのような反応の結果であることは好ましい。基材は、プラスチックフィルム、プラスチックシート、ラミネート又はこれらの組合せなどのプラスチック又はポリマー層、金属、複合物、その他のポリマー、カーボン、セラミックス、ガラス、ガラス繊維、又は、この開示に記載されている対象物の外側表面の構成に用いられるその他の公知の材料から成る群から選択されることが可能である。
【0159】
fpPCMは、コーティング、ラミネート、注入物、処理として、又は基材の近くに、上に又は内部に適当なコーティング、ラミネート、注入等の技法を用いて形成されるコーティング、ラミネート、注入物、処理の成分として具備することが可能である。使用中、fpPCMはラップされた対象物の外側表面の近くに配置することで、内部コーティングとして作用させることが可能である。fpPCMは、同様に、外側環境に露出させて、外側コーティングとして作用するように位置させることも意図される。fpPCMは基材の少なくとも一部分を覆うことができる。基材や用いるコーティング手法の性質に依存して、fpPCMは基材の頂部表面下を貫通し、基材の少なくとも一部分を浸透することが可能である。2層を記載しているが、物品は他の実施ではそれより少ない又は多い相を含むことが可能であることを意図している。特に、第3の層を含むことで基材の底部表面の少なくとも一部分を覆うことを意図している。そのような第3の層は、fpPCMと類似の仕方で実施することが可能であり、又は異なる官能性(たとえば撥水性、耐染性、剛性、耐衝撃性等)を提供する他の仕方で実施することができる。
【0160】
1つの態様では、fpPCMはバインダーと混合でき、そのバインダーはまたバインダー中に分散された1組のマイクロカプセルを含むことができる。バインダーは、fpPCM及びまた可能性としてマイクロカプセルが分散されて、周囲又は処理条件に対してまたは使用中の摩耗(abrasion or wear)に対してfpPCM及びマイクロカプセルのある程度の保護を提供するマトリックスとして機能する適当な材料のいずれであることも可能である。たとえば、バインダーは、ポリマーまたは、特定のコーティング、ラミネート又は接着技術に用いられる他の適当な媒質であることが可能である。特定の実施では、バインダーは約-110℃〜約100℃、いくつかの態様では特に約-110℃〜約40℃の範囲のガラス転移温度を有するポリマーであることができる。水溶性又は水分散性のポリマーは有利であるが、水不溶性、または僅かに水溶性のポリマーも特定の実施にバインダーとして用いることが可能である。
【0161】
バインダーの選択は、様々な考慮に依存することが可能であり、たとえば、fpPCM、PCM及び/又はマイクロカプセル又は基材に対する親和性、熱移動を修正する能力、呼吸可能性、可撓性、弾性、柔軟性、吸水性、コーティング形成能力、周囲又は処理条件での劣化抵抗、及び機械的強度などである。たとえば、バインダーの選択は、フィルムの硬度、剛性、破断伸び及び弾性率に影響を与えることが可能である。特定の態様で以前に述べたように、ラップされたスリーブ構造はShore A硬度>85及びShore D硬度>25(ASTM D2240)を有することが望ましいことがある。また、ラップされたスリーブ構造が弾性率>15psi(ASTM D790)及び破断伸び>20%(ASTM D638)を有することが望ましいことがある。バインダーの選択はこれらの特性を実現する1つの方法である。特に、特定の実施では、バインダーは、1組の官能基、酸無水基、アミノ基、N置換アミノ基及びそれらの塩、アミド基、イミン基、イミド基、アジド基、アゾ基、アミン-ホルムアルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基及びそれらの塩、シクロヘキシルエポキシ基、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、イソシアネート基 シアネート基、ウレア基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、エーテル基、アルケニル基、アルキニル基、チオール基、ジスルフィド基、シリル又はシラン基、ハロゲン化された脱離基、ペルオキシド基、塩基、グリオキサルに基づく基、アジリジンに基づく基、活性メチレン化合物又はその他のb−ジカルボニル化合物に基づく基(たとえば、2,4-ペンタンジエン、マロン酸、アセチルアセトン、エチルアセトンアセテート、マロンアミド、アセトアセトアミド及びそのメチル類似体、エチルアセトアセテート、及びイソプロピルアセトアセテート)、ハロゲン基、ヒドリド基、又は、その他の極性もしくはH結合基並びにそれらの組合せを含むように選択することができる。
【0162】
これらの官能基は、fpPCM、PCM、熱伝導性粒子、マイクロカプセル及び基材のいずれか、またはどれでもに含まれる補完的な官能基と化学結合し、よって処理中又は使用中の物品の耐久性を向上させることが可能である。したがって、たとえば、バインダーは、fpPCM、PCM、熱伝導性粒子及び/又はマイクロカプセルに含まれる1組のカルボキシ基と化学結合できる1組のエポキシ基を含むポリマーであることが可能である。もう1つの例では、バインダーは、fpPCM、PCM、熱伝導性粒子及び/又はマイクロカプセル又は基材に含まれる1組のカルボキシ基と化学結合できる1組のイソシアネート基又は1組のアミノ基を含むポリマーであることが可能である。
【0163】
場合によって、コーティング組成物を形成するときに1組の触媒を添加することが可能である。このような触媒は、補完的官能基、たとえば、バインダーに含まれる基及びマイクロカプセルに含まれる基の間での化学結合を容易にすることが可能である。触媒として使用できる物質の例は、ホウ素 塩、次亜リン酸塩(たとえば、アンモニウム次亜リン酸塩及びナトリウム 次亜リン酸塩)、ホスフェート塩、スズ塩(たとえば、Sn
+2又はSn
+4の塩、たとえばジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセテート)、及び亜鉛塩(たとえばZn
+2の塩)を含む。コーティング組成物に添加するスズ塩又は亜鉛塩の望ましい量は乾燥重量で約0.001〜約1.0パーセント、たとえば約0.01〜約0.1パーセントであってよい。コーティング組成物に添加するホウ素塩又はホスフェート塩の望ましい量は乾燥重量で約0.1〜約5パーセント、たとえば約1〜約3パーセントであってよい。触媒として使用できる物質の他の例は、アルキル化金属、金属塩、金属ハライド、及び金属酸化物を含み、ここに適当な金属はLi, Be, Na, Mg, K, Ca, Rb, Sr, Ti, V, Mn, Fe, Co Ni, Cu Zn Ga, Ge As, Se, Al, Y, Zr, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, In, Sn, Sb, Te, Cs, Ba, La, Hf, Ta, W, Re, Os, Ir, Pt, Au, Hg, Tl, Pb, Bi, Po, A Ra, Ac, Ce, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Th, Pa, U, Puなどを含む。これらの金属及びそれらの化合物はそれ単独でもあるいは混合して用いることが可能である。有機酸及び有機塩基、たとえば硫黄 (たとえば、硫酸基)、窒素(たとえば、硝酸基)、リン (たとえば、リン酸基)又はハロゲン化物 (たとえば、F、Cl、Br及びI)に基づく有機酸及び有機塩基も触媒として用いることが可能である。触媒として用いることが可能であるその他の材料の例は、クエン酸、イタコン酸、乳酸、フマル酸、ギ酸などの酸を含む。
【0164】
基材、官能性相変化材料、バインダー、PCM、熱伝導性粒子及び/又はマイクロカプセルの間の結合は、様々な態様により、共有結合、電子価結合又はそれらの様々な組合せである。結合は、直接又は間接、たとえば、化合物を接続する結合であることができる。いくつかの態様では、接続する化合物は官能性ポリマー相変化材料及びマイクロカプセルから成る群から選択される。その他のまたは同じ態様によれば、官能性ポリマー相変化材料 は第2のPCMの少なくとも一部分のためのバインダーを成していてもよい。
【0165】
もう1つの態様によれば、fpPCMの反応性官能基は特定の基材と反応するのにより適当な別の反応性官能基に変換されることが可能である。
【0166】
もう1つの態様によれば、fpPCMの反応性官能基は様々の化学的性質のものであることができるであろう。たとえば、様々の基材の反応性官能基と反応し、共有結合又はイオン結合を形成できる反応性官能基があり、その基材としては、たとえば、金属、プラスチック、電気化学セルの外部壁の部品、電気化学的パックの外部部品及び熱緩衝材料がある。
【0167】
本開示のもう1つの態様によれば、反応性官能基は、1)グリシジル又はエポキシ、たとえばグリシジルメタクリレート又はグリシジルビニルエーテル;2)無水物、たとえばマレイン酸無水物又はイタコン酸無水物;3)イソシアネート、たとえばイソシアナートメタクリレート、TMI(商標)(Cytec Ind.)又はブロックト・イソシアネート、たとえば2-(0-[1’-メチルプロピリデン(proplyidene)アミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート;4)アミノ又はアミン-ホルムアルデヒド、たとえばN-メチロールアクリルアミド;並びに5)シラン、たとえばメタクリロキシプロピルトリエトキシシランのいずれであることも可能である。このような反応性官能基はセルロース基 材料のOH官能基、ポリエステル系材料の水酸基またはカルボキシ基及びナイロン官能性樹脂のアミド官能基と反応することができる。
【0168】
本開示のさらにもう1つの態様によれば、反応性官能基は他の二重結合に結合して架橋点、重合点などを提供する二重結合であってもよい。連結又は架橋する上記の反応は、あらゆるエネルギー、たとえば、光、UV、IR、熱、サーモ、プラズマ、音響、マイクロ波、ラジオ波、圧力、X線、ガンマ線、あるいはあらゆる形の放射線又はエネルギーによって開始されてもよい。それらは、たとえば、フリーラジカル、アニオン性又はカチオン性触媒または開始剤などを用いる化学反応によって開始されることもできる。
【0169】
fpPCMの反応性官能基は正電荷であり、基材の負電荷と電子的に結合することが可能である。もう1つの態様によれば、反応性官能基は負電荷であり、基材の正電荷と電子的に結合することが可能である。もう1つの態様によれば、基材及びfpPCM及び又はマイクロカプセルの両方の反応性官能基は負帯電であり、架橋剤として作用する多価カチオンによって結合してもよい。さらにもう1つの態様によれば、基材及びfpPCM及び又はマイクロカプセルの両方の反応性官能基は正帯電であり、架橋剤として作用する多価アニオンによって結合してもよい。架橋剤、架橋多価カチオン、アニオンまたはその両方は有機または無機であることができる。
【0170】
fpPCM構造の例
図7-10Dは本開示の各種の側面において用いるfpPCMの概略図である。両方とも骨格鎖及び側鎖を含む。
図7のfpPCMは長鎖アルキルポリアクリレート又はポリメタクリレートを表し、
図7A-7Cにおいて、
図7Aは長鎖アルキルビニルエステルであり、
図7B は長鎖 ビニルエーテルであり、
図7Cは長鎖 アルキルオレフィンである。
【0171】
図8A及び8Bは長鎖グリコールポリアクリレート又はポリメタクリレートを表し、
図8Aは長鎖グリコールビニルエステルであり、
図8Bは長鎖グリコールビニル エーテルである。
【0172】
図7及び8において、Rは上記の1以上反応性官能基を表す。これらの図において、官能基は骨格に沿って描かれているが、これは1つの選択肢にすぎない。前述の如く、官能基は骨格の端部、側鎖及びその組合せにあることもできる。各fpPCMは単一の又は多数の反応性官能基を有することができる。また、fpPCMは多数の類似の化学的性質の反応性官能基又は異なる化学的性質の反応性官能基の組合せを有することができる。側鎖の長さは可変の鎖長nによって示されるように異なる態様において変化できる。
【0173】
図9A-9Fを参照すると、
図9Aは塩基性又は高pHアミノ官能性基材とイオン的に相互作用する酸性又は低pHカルボキシル官能性fpPCMを示す。
図9Bは酸性又は低pHカルボキシル官能性基材とイオン的に相互作用する塩基性又は高pHアミノ官能性fpPCMを示す。
図9Cは中性化されアミンなどのアニオンとイオン結合又は「架橋」された塩基性又は高pHアミノ官能性fpPCM及び塩基性又は高pHアミノ官能性基材を示す。
図9Dは中性化され金属塩などのカチオンとイオン結合又は「架橋」された酸性又は低pHカルボキシル官能性fpPCM及び酸性又は低pHカルボキシル官能性基材を示す。
図9Eは中性化されジカルボキシ官能性ポリマー又はジカルボキシ官能性fpPCMなどの負帯電有機化合物とイオン結合又は「架橋」された塩基性又は高pHアミノ官能性fpPCM及び塩基性又は高pHアミノ官能性基材を示す。
図9Fは中性化されジアミン官能性ポリマー又はジアミン官能性fpPCMなどの正帯電有機化合物とイオン結合又は「架橋」された酸性又は低pHカルボキシル官能性fpPCM及び酸性又は低pHカルボキシル官能性基材を示す。
【0174】
図10A-10Dを参照すると、
図10AはfpPCMエポキシとセルロース基材の水酸基との反応からの共有結合のエーテル結合を示す。
図10BはfpPCMイソシアネートと他の材料のアミンとの反応からの共有結合の尿素結合を示す。
図10CはfpPCMの側鎖の端部のイソシアネートとセルロース基材からの水酸基との反応からの共有結合のウレタン結合を示す。
図10Dはアミン官能性、fpPCM、多官能性イソシアネート架橋剤/バインダーと、セルロース基材の水酸基との反応からの共有結合の尿素結合及びウレタン結合を示す。
【0175】
精密に分岐したfpPCMの使用
官能性ポリマー相変化材料用途及び各種の基材の使用と関連する上記の開示に加えて、以下の開示はより精密に分岐したポリマーがコポリマー添加のより精密で繰り返し可能な制御を提供できるかを示すことに焦点を当てる。
図7-10に示す各態様は以下に開示し説明する精密に分岐したポリマーを利用するために変形することができる。当業者は精密に分岐したポリマーをどのように上記の例及び上記の例の変形に取り入れるかについては容易に理解するであろう。
【0176】
標準の重合は、触媒を一般的にコ-モノマーに不規則に添加するのでコモノマー添加の精密で繰り返し可能な制御を提供しない。上記のごとく、現在商業的入手可能な多くのポリマーは不規則なモノマー配合を有する。現在の触媒及び重合技法は生成物中のポリマー鎖が広範囲のコモノマー組成を有する「漂流するコポリマー」構造を有するポリマーを製造する。コモノマー添加の不規則性のゆえに、溶融/結晶化温度及び結晶の量などのコポリマーの熱的特性についての制御が行われる程度が小さい。結晶化の量はパーセント結晶度、潜熱、 溶融熱又はジュール毎グラムとして表すことができる。
【0177】
以下に記載する精密分岐制御は、同じ融点を得るのにより多くのコモノマーを必要とする不規則コモノマー配合(より低いパーセント結晶度及びより低い潜熱を与える)と比べて、所与の融点でより大きい潜熱含分を可能にする。
【0178】
図11-13を参照すると、融点と潜熱の両方の相違を示す各種のグラフが示される。
図11-13において、精密分岐ポリマーはADMETと表記される。各種の態様、図及び例において、ADMETは非環状ジエンメタテーシス重合(Acyclic Diene Metathesis Polymerization)を表し、一般に精密に配置されたメチル分岐を有するポリマーを表す。
【0179】
ポリオレンフィンポリマーでは融点及び潜熱はポリオレフェン骨格の最長炭素グメントによって制御されることが業界において知られている。たとえば、ポリエチレンランダムコポリマーでは、エチレンの順序/列(sequences)の分布が変化する。ポリエチレンコポリマーの場合、厚いラメラ結晶がより長いエチレン列から形成され、それによりより高い溶融温度がもたらされる。短いエチレン列及び/又は分岐は、これらの結晶又はラメラには取り込まれず、低下した溶融熱又はジュール毎グラムをもたらす。
【0180】
1つの態様及び例によれば、等しいエチレン列を有する精確に分岐したポリエチレン材料は、以下の特性:より低い分岐含分での融点のより速い低下、融点のより良好な制御、及びより高い潜熱を与えるラメラ又は結晶に導入された全体としてより多量のエチレン列をもたらす。
【0181】
したがって、開示の側面及びこれらの精密に制御されたコポリマーの使用は、向上した温度制御、熱吸収及び放熱特性を示す相変化材料をもつ材料を与える。電気化学装置用途に適当で及び以下に記載する融点をもつPCMの態様を得るために、多くの態様ではPCMは溶融潜熱>10ジュール毎グラム及び 他の特別な態様では>60ジュール毎グラムをもつ。PCMの潜熱は、1態様では>25ジュール毎グラム、もう1つの態様では>5ジュール毎グラム、さらに別の態様では5ジュール毎グラムと150ジュール毎グラムの間であり、1つの例のPCM は以下の特徴の1以上を持つ構造を有する:
-全ポリマー分子量(n)は各種の態様で100-10,000,000の間、1000-1,000,000の間又は10,000-500,000の間である。
-多分散又はPd=Mn/Mwで表される分子量分布が各種の態様で1-100の間、1-10の間又は1-5の間である。
-分岐間のエチレン長さは各種の態様で5-500,000の間、10-400,000の間又は10-20の間である。
【0182】
上記の長さは、多くの仕方で表すことが可能である。たとえば、以下のダイヤグラム1におけるmユニットの数、1000個の炭素当たりの分岐数(分岐/1000 C)、モル%分岐又は重量%分岐。またPCM構造は1以上の態様において以下の特徴も有することが可能である:
-ユニットの数は異なる態様において0-500,000の間、0-200,000の間又は5-15,000の間である。
-異なる態様において200-0の間、100-5の間又は100-0の間の分岐/1000炭素(分岐/1000C)がある。
-分岐のモル%は異なる態様において0-50%の間又は10-30%の間である。
-分岐の重量%は異なる態様において0-50%の間又は10-30%の間である。
【0183】
ある態様では、分岐はコモノマーとしてのプロピレンからのメチルであることができ、プロピレンはポリマーの0-30 mole%であることができる。もう1つの態様では、プロピレンはポリマーの0-39重量%であることができる。
【化2】
【0184】
1つの態様を示すダイヤグラム1においてR
1はCH
3、C
2H
5、C
nH
2n+1、OCH
3、OC
2H
5のいずれか、又はいずれかの官能基、極性基、ハロゲン基、それらのノルマル、分岐及び混合の基であってよい。特定の態様ではR
1はCH
3又はOCH
3のいずれかから選択される。ダイヤグラム1においてR
2= H、CH
3であり、特定のある態様においてR
2はHに限定される。
【0185】
ダイヤグラム1において、R
3= H、CH
3又はある濃度の選択された官能基、極性基又はハロゲン基である。特定の態様では、R
3はCH
3に限定されるか又は1以上の濃度の官能基に限定される。
【0186】
ダイヤグラム1において、R
4及びR
5はポリマー末端基であり、H、CH
3又はいずれかの官能基、極性基又はハロゲン基、塩、金属、触媒端、架橋基、コポリマー(ブロック、グラフトなど)を形成するもう1つのポリマー鎖であることが可能である。ある態様ではR
4、R
5は同じ又は異なることができる。特定の態様では、R
4及びR
5はH、CH
3又は官能基に限定される。
【0187】
他の側面によればR
1,R
2,R
3,R
4,及びR
5は或る程度の立体制御又はそれに伴う立体化学を有することが可能である。たとえば:
-R
1,R
2,R
3はアタクチック、イソタクチック又はシンジオタクチックでよい。
-R
1,R
2,R
3はL-及びD-キラルのホモ及びコポリマー(又は他の規定はR-及びS-ポリマー)を与えるキラルに制御されてもよい。
【0188】
ポリマー鎖の立体化学に基づく異なるポリマーのアーキテクチャーは各種の結晶複合体を導くことが可能である。たとえば、シンジオタクチックホモ-及びコポリマーはイソタクチックホモ-及びコポリマーと複合することが可能である。反対のキラリティのポリマーを混合してラセミの立体複合体を形成可能である。ある態様では特定量のイソタクチックL-ポリマーをある量のイソタクチックD-ポリマーと混合して、L-又はD-キラルホモポリマーと異なる熱及び物理的特性を有するラセミ立体複合体を得ることが可能である(ポリマー立体複合体は、2つの相補の立体規則性ポリマーの間の、親ポリマーと異なる変化した物理的及び熱的特性を示す新しい複合体を相互ロック及び形成する立体選択的相互作用として定義される。)
【0189】
これらのシンジオタクチック、イソタクチック又はL-及びD-キラルセグメントは異なる ポリマー鎖(ホモポリマー セグメント)又は同じポリマー(立体ブロックコポリマーセグメント)にあることが可能である。シンジオタクチック、イソタクチック又はL-及びD-キラルセグメントは1-100% のポリマー又はコポリマーの間並びに各種の中間のパーセントの範囲のどこでも形成可能である。
【0190】
シンジオタクチック、イソタクチック又はL-及びD-キラルセグメントは9:1と1:9の間の比で混合して、完全な又は部分的な立体複合体及びそれに続く熱的及び物理的特性の調整を与えることが可能である。その他の結晶複合体も異なるポリマー、たとえば、ポリアミド及びポリエステル、カチオン性/アニオン性、ポリエーテル/ポリ酸及び三重螺旋の間の複合体のように利用可能である。
【0191】
R
3,R
4,R
5はあらゆる官能基、極性基又はハロゲン基、塩、金属、触媒末端、架橋基、又はあらゆる下記の官能基:酸無水基、アミノ基、N置換アミノ基及びそれらの塩、アミド基、イミン基、イミド基、アジド基、アゾ基、アミン-ホルムアルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基及びそれらの塩、シクロヘキシルエポキシ基、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、イソシアネート基、シアネート基、ウレア基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、エーテル基、アルケニル基、アルキニル基、チオール基、ジスルフィド基、シリル又はシラン基、ハロゲン化された脱離基、ペルオキシド基、塩基、グリオキサルに基づく基、アジリジンに基づく基、活性メチレン化合物又はその他のb−ジカルボニル化合物に基づく基 (たとえば、2、4-ペンタンジエン、マロン酸、アセチルアセトン、エチルアセトンアセテート、マロンアミド、アセトアセトアミド及びそのメチル類似体、エチルアセトアセテート、及びイソプロピルアセトアセテート)、ハロゲン基、ヒドリド基、又はその他の極性もしくはH結合基並びにそれらの混合物であることが可能である。
【0192】
上記で述べた架橋基も、熱、音、フォトン、圧力又は化学物質(水、溶媒、イオン等)のエネルギーによって、架橋を可逆的に又は非可逆的に変更する能力を含んでもよい。
【0193】
各種のその他の官能化については、以下の文献に記載されており、その内容は参照してこの明細書に含める: Synthesis of Functional Polyolefin using Methallocenes; A Comprehensive Review; Atiqullah M., et.al.; Polymer Reviews, 50:178-230, 2010; Comprehensive Organometallic Chemistry III: 11.20-Polymerization of Alkenes; Elsevier Ltd.; Fujita T., Makio H.; Vol. 11, 691-734, 2007; Functionalized Ethylene Copolymers and Materials via Olefin Metathesis Polymerization; Baughman, T., Univ. of Florida Dissertation, 2006。
【0194】
もう1つの側面によれば、ポリマーは特定の程度の不飽和を含むことができ、あるいはポリマー中に二重結合及び三重結合、たとえばアルケン又はアルキン結合を含むことができる。この不飽和(全てでない価電子が「飽和し」又は他の原子と反応している)は、重合(イソプレン、 ブタジエン、α-オレフィンなど)、ヒドリド脱離(β-ヒドリド脱離など)、各種の重合メカニズム(開環メタセシス重合(ROMP))、非環式ジエンメタセシス(本明細書に記載のADMETなど)又は制御された水素化/脱水素化に用いるモノマーの制御によって組み入れることが可能である。たとえば、ダイヤグラム2及び
図14に、ADMET重合とその後の水素化による開示の作成の例を示す。
図14は不飽和の熱的特性に対する効果を示す。
【化3】
【0195】
見られるように、不飽和は低い融点と僅かに低い融解潜熱をもたらすが、不飽和の程度を制御することで、熱的特性を制御することも可能である。ある態様では不飽和は0〜99 mole%である。他の態様では不飽和は0〜15mole%である。各種の他の態様では各種の中間の範囲のmole %が利用される。
【0196】
二重結合の異性体 配向も不飽和 ポリマーの特性に影響することができる。二重結合のcis/trans配向も水素化触媒又は水素化プロセス条件(時間、温度、圧力など)で制御することができる。
【0197】
異性体の比、不飽和及び二重結合の配向はコモノマー組成、コモノマー分布及び重合条件に依存して変わる。本開示の側面による組成物の1つの目的地は好ましい温度範囲において潜熱を最大化することである。
【0198】
本開示の側面により用いるコポリマーセグメントは、本明細書に記載の他のポリマー/コポリマーのいずれとのコポリマーでも又は混合物でもよい。さらに、本開示の側面により用いるコポリマーセグメントは高メルト又は低メルトであることができる。
【0199】
核剤の使用
PCM、pPCM及び/又はfpPCMの結晶性及びしたがってこれらの材料の潜熱及び熱伝導を改良するために、核剤を添加することも可能である。核剤は材料の改良された結晶成長、結晶化速度、結晶形状及び寸法、結晶化の量及び結晶子の数に影響することが可能である。
【0200】
さらに、核剤の粒子寸法及びそれらの混合は添加剤の最適の性能を実現するために重要な因子である。良好な溶融無反応核剤の特徴は以下の1以上から選択してよい:
・有機基及び極性基の両方を含む
・良好に分散される
・ポリマーに不溶解性であるか又は不溶解になり得る
・PCM結晶とエピタキシャル適合性を有する
・核剤の物理的又は化学的性質は広範囲であることが可能である。核剤は下記であることが可能である。
o不純物、即ち、触媒残渣
o安息香酸、炭化水素又は脂肪酸系材料などの有機化合物
o鉱物又は顔料などの無機化合物
o異物のポリマー結晶、即ち、オクタデカンについてのポリエチレンなど
o希釈剤、即ち、Tgを低下させるか又は鎖の移動性を改良して鎖の充填性を改良する材料.
【0201】
利用できる追加の核剤は、米国特許No.7569630("β-Crystalline Polypropylene";Chemtura Corp.)、米国特許No.7879933("Blending Necleating Agents Composition and Methods";Milliken & Company)及びHyperform(商標) products(Milliken & Company)に記載されている。その他の例は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、脂肪族アミド、脂肪族アミン、脂肪族アルコール、N-フェニル-N’-ステアリル尿素、亜鉛グリセロレート、安息香酸、安息香酸の塩及びエステル、安息香酸誘導体、Naベンゾエート、Liベンゾエート、Alヒドロキシ-4-tert.-ブチルベンゾエート、ホスフェートエステル、ホスフェートエステル塩、ナトリウム2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ジベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトールの誘導体、線状又は分岐ポリフェニル、水素フタレートの塩、1, 2-シクロヘキサンジカルボキシル酸及びモノ又はジ中性化塩(すなわちNa, K, Al, B, Ti, Zn, Ca, Li, Mg, 等)、セチルアルコール、ステアリル アルコール、エイコサノール、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベネン酸、ステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、メチロールベネン酸アミド、1-オクタコサノール、1-ヘプタコサノール、1-ヘキサコサノール、1-ペンタコサノール、1-テトラコサノール、1-トリコサノール、1-ドコサノール、1-ヘネイコサノール、1-エイコサノール、1-ノナデカノール、1-オクタデカノール、1-ヘプタデカノール、1-ヘキサデカノール、1-ペンタデカノール、1-テトラデカノール、1-トリデカノール、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、ペンタコシルアミン、ヘキサコシルアミン、ヘプタコシルアミン及びオクタコシルアミン、など。タルク、カオリン、炭酸カルシウム、TiO
2、塩、NaCl及びNa炭酸塩などの鉱物も核剤として利用できる。これらの化合物は単一でも2種以上の組合せでも使用できる。
【0202】
相変化材料のマイクロカプセル及び他の封じ込め及び/又は吸収構造
PCMはマイクロカプセル又は他の封じ込め構造又は粒子に含まれることが可能である。マイクロカプセル以外の封じ込め構造はその構造の元来の部分として又はその改変製造によるかのいずれかで、官能基を有することが可能である。たとえば、PCMは、如何なる数の粒子、たとえば、シリカ(フューム、沈降)、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子、炭素又は活性炭、ゼオライト、オルガノクレー、モンモリロナイト、ベントナイト、クレー、タルク、及びバーミキュライトに吸収され安定化されることが可能である。パラフィン又は疎水性PCMは、可塑剤がプラスチックに吸収されるのと同様に、如何なる数のポリマー、特に架橋ポリマーにも吸収されることが可能である。たとえば、PCMはどのポリオレンフィン及びポリオレンフィンコポリマー、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン及びそのコポリマーの塩、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートの塩、ポリビニル、脂肪族ポリエステル、ゴム、コポリマー(すなわち、Kraton(商標) copolymer, Elvaloy(商標))及び混合物に吸収されることが可能である。グリコールに基づくPCMは、ポリビニルアルコール、置換セルロース(CMC、HMCなど)などのどの親水性 ポリマーに吸収されることが可能である。
【0203】
PCM、pPCM、fpPCMは以下に記載する熱伝導性充填材、補強材料、難燃添加剤などを含むいかなる粒子又は繊維にも含有され、吸収され又は注入されることが可能である。これらの含有又は吸収粒子は、いかなる形状、たとえば、円形、球状、円筒状、繊維、シート、フレーク、粉末、ウィスカー、チューブ、平板状、発泡状、メッシュ、これらの集まり又はその他の不規則形状であることが可能である。用途に応じて、単一の形状又は形状の混合物が粒子の接触の最適な充填及び配置を有利に提供することができる。これらの含有又は吸収粒子はいかなる寸法でもよいが、本開示の特定の態様では0.1nm〜100mmでよい。
【0204】
架橋 ナトリウムポリアクリレートに基づく標準超吸収ポリマーなどのPCMを吸収又は含有できる他の材料も使用できる。いくつかを例示するとポリアクリルアミドコポリマー、エチレンマレイン酸無水物コポリマー、架橋カルボキシ-メチル-セルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキサイド及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフトコポリマーなどの他の材料も超吸収ポリマーを作成するために用いることができる。
【0205】
マイクロカプセルによって相変化材料を含有することで、熱を吸収又は放出して熱移動を減少又は無くすことができる。特に、マイクロカプセルは相変化材料が置かれる内部区画を規定するシェルとして形成される。シェルは相変化材料を含有するいずれかの適当な材料で形成することができ、それによって周囲条件又は処理条件に対してまたは使用中の損失又は漏れに対して相変化材料を或る程度保護する。たとえば、シェルはポリマー又はいずれかのその他の適当なカプセル化材料から形成することができる。
【0206】
マイクロカプセルのシェルを形成する材料の選択は各種の考慮、たとえば、TMMの他の材料についての親和性、バッテリーとの親和性又は接着性、相変化材料、TMM材料又はバッテリーとの反応性又は反応性の欠如、周囲又は処理条件下での劣化に対する抵抗性、機械的強度などに依存することが可能である。特に特定の実施においては、シェルを形成する材料は1組の官能基、酸無水基、アミノ基、N置換アミノ基及びそれらの塩、アミド基、イミン基、イミド基、アジド基、アゾ基、アミン-ホルムアルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基及びそれらの塩、シクロヘキシルエポキシ基、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、イソシアネート基、シアネート基、ウレア基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、エーテル基、アルケニル基、アルキニル基、チオール基、ジスルフィド基、シリル又はシラン基、ハロゲン化された脱離基、ペルオキシド基、塩基、グリオキサルに基づく基、アジリジンに基づく基、活性メチレン化合物又はその他のb−ジカルボニル化合物に基づく基 (たとえば、2,4-ペンタンジエン、マロン酸、アセチルアセトン、エチルアセトンアセテート、マロンアミド、アセトアセトアミド及びそのメチル類似体、 エチルアセトアセテート、及びイソプロピルアセトアセテート)、ハロゲン基、ヒドリド基、又はその他の極性もしくはH結合基並びにそれらの組合せを含むように選択することが可能である。これらの官能基の少なくともあるものは、シェルの外側表面に露出することが可能であり、基材又はその他のTMM材料のいずれか又は両方に含まれる相補の組の官能基と化学結合することが可能であり、それによって耐久性又は接着性を向上させることが可能である。このような仕方で、マイクロカプセルの少なくとも一部のものは他のPCM、pPCM、fpPCM又は充填剤に化学結合することが可能である。したがって、たとえば、シェルを形成する材料は1組のヒドロキシ基と化学結合することが可能な1組のカルボキシ基を含むことが可能である。もう1つの例として、シェルに含まれるこれらのカルボキシ基は1組のアミノ基と化学結合することが可能である。
【0207】
シェルを形成するために使用できるポリマーの例には、「ポリマー」の定義に列挙されているものを含み、それはアクリル酸又はメタクリル酸に基づくモノマーユニットを含むポリマーのように、カルボキシ基を持つものを含む。特定の実施では、シェルは約1〜約100モルパーセントのカルボキシ基を含むモノマーユニット、たとえば、約20〜約80モルパーセント、約25〜約60モルパーセント又は約40〜約50モルパーセントのモノマーユニットを含むポリマーから形成することが可能である。場合によっては、モノマーユニットのモルパーセントをマイクロカプセルの寸法によって調整することが望ましい。たとえば、個別の1つのマイクロカプセルの寸法が減少すると、そのマイクロカプセルの外側表面積も典型的には減少する。したがって、化学結合に露出される望ましい量の官能基を維持するために、マイクロカプセルの寸法が減少するときはモノマーユニットのモルパーセントを増加することが望ましいことがある。他の例として、個別の1つのマイクロカプセルの寸法が増大すると、マイクロカプセルの重量も典型的には増加する。したがって、重量の増加に対応するために、マイクロカプセルの寸法が増大するときモノマーユニットのモルパーセントを増加することが望ましいことがある。表1にマイクロカプセルの寸法の関数としてモルパーセントの範囲の例を示す。表1を参照すると、マイクロカプセルは簡単のために球状であることが仮定されている。同様の考慮及びモルパーセントは、他の種類の官能基をもつポリマーにも適用することが可能である。
【表16】
【0208】
シェルを形成するために用いることができるポリマーの他の例にはいずれかの適当な 重合技法を用いてモノマーから形成されるものがある。表2は異なる種類の官能基を含むそのようなモノマーの例を示す。
【表17】
【0209】
マイクロカプセルはまた多壁であること又は多数のシェル層を有することも可能である。外側層は適合性又は接着特性を提供しながら、内側層は必要な強度、耐久性及び区画(封じ込め)を提供すべきである。マイクロカプセルの外側壁は、所望の温度で溶融又は軟化して流動し、粘性液体のように挙動し、又はマイクロカプセルを基材、他のマイクロカプセル又は他のTMM材料に融着する熱可塑性ポリマーであることが可能である。熱可塑性外側壁は電気化学セルの壁を損傷する温度より低いが通常の使用温度より高い溶融又はガラス転移温度(Tg)を有すべきである。外側壁は溶融し、軟化し、又は流動するいずれのポリマー、たとえば、ポリオレフィン、ゴム、ポリビニル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンなど、又はコポリマーからなることが可能である。
【0210】
マイクロカプセルは同じ形状又は異なる形状を有することができ、同じ寸法又は異なる寸法を有することができる。場合により、マイクロカプセルは実質的に回転楕円体又は球状であることができ、約0.1nm〜約1,000マイクロメートル、たとえば、約0.1nm〜約500マイクロメートル、約0.1nm〜約100マイクロメートル、約1〜約15マイクロメートルの範囲の寸法を有することが可能である。特定の実施では、実質的の部分、たとえば、少なくとも50パーセント又は少なくとも80パーセントのマイクロカプセルが特定された範囲、たとえば約1〜約15マイクロメートルの範囲内の寸法を有する。マイクロカプセルはその形状及び寸法の一方又は両方が単分散であることが望ましい場合もある。
【0211】
マイクロカプセルは耐久性、破壊(崩壊)性又は制御された放出性であることが可能である。使用又は処理中にコア材料が漏れたり失われることを防止するために永久的に含有されたマイクロカプセルコア材料を有することが有利であることが可能である。高速(破壊性)又は低速(制御された放出)手段のいずれかで放出されるコア材料を有することも有利であることが可能である。マイクロカプセルを複合体に添加し、複合体を高温度で硬化するとき、複合体とマイクロカプセルのシェル壁との間で、マイクロカプセルと複合体の間の異なる膨張、マイクロカプセルと複合体の間の不適合性、又は形状の歪みなどのために、小さいボイドが形成されることが可能である。コア材料を放出し、それが流動してそのボイドを満たすと、大きく改良された熱伝導が可能にされる。これを
図15A-15Bに示す。
【0212】
PCM転移温度の選択
PCMの選択は典型的にはPCMを含めようとする特定の用途に望ましい転移温度に依存する。転移温度はPCMが固体から液体へ又は液体から固体へ相変化する温度又は温度範囲である。たとえば、多数の充放電サイクルの間にバッテリーが到達する通常の温度範囲に近い転移温度を有するPCMは、過熱、熱暴走及び火災を防止するために、バッテリー用途に望ましいことが可能である。本開示のある態様による相変化材料は約5℃〜約120℃の範囲の転移温度を有することが可能である。1つの態様では、転移温度は約10℃〜約80℃である。もう1つの態様では転移温度は約30℃〜約70℃である。もう1つの態様では、PCMは約40℃〜約60℃の転移温度を有する。
【0213】
冷たい材料を冷たい状態に保ち、又は、物体を極端な周囲の低温の影響から保護する用途では、転移温度は−60℃〜5℃の範囲であることができる。
【0214】
特定の工業的用途では、パイプ又は保持タンク内に輸送されそして貯蔵される材料の温度は、例えば、極端に高い温度に達することができる。そのような場合に、相変化材料は例えば、500℃を超える広い範囲を有することができる。
【0215】
ヒトの皮膚との接触のための用途では、転移温度は、体温の特定の範囲、例えば、90°〜100°F)内であることができる。
【0216】
商業又は居住用建造物目的の用途では、例えば、フィルムが居住領域の断熱のために使用されるならば、転移温度は室温の範囲内であることができる。その範囲は、極端な寒さ又は暑い気候に対応するために、室温よりも広い場合がある。あるいは、建造物目的のための幾つかの転移温度は、温水器、電線及び他の発熱性建造物構成部品に関連する一般的な温度に適することができる。
【0217】
ソーラーパワーを熱管理する用途では、転移温度はソーラーパネルの動作温度の範囲、例えば100〜150℃であることができる。
【0218】
転移温度は、PCMの純度、分子構造を変更し、PCMを混合し、mPCMを混合し、ポリマーPCMを混合し、それらのいずれかの混合物を混合するによって、拡張し又は狭くすることが可能である。
【0219】
さらに、温度 制御は相を変化させること、好ましくはエネルギーを吸収し、溶融し、又は固化又は結晶化により熱を放出/放散することによる、エネルギーの吸収及び放出に依存する。本開示の態様の単一のPCM材料の融点(Tm)及び結晶化(Tp)温度は大きく分散していない(「過冷却(supercooling)」)。この差はDSCで測定したピーク融点とピーク結晶化温度との差、即ち、ΔT(℃) = Tm-Tcと定義することが可能である。ある態様ではこのΔTは<15℃であり、他の態様では<10℃であり、さらに他の態様では<5℃である。
【0220】
PCM転移温度の混合及び層化
ある態様では、多数の又は広い転移温度を有することが有利であるかもしれない。単一の狭い転移温度を用いると、転移温度に到達する前に熱/エネルギー蓄積を起こすことが可能である。転移温度に到達すると、潜エネルギーが消費され、次いで温度が継続して増加するまでエネルギーが吸収されるであろう。広く又は多数の 転移温度は温度が増加し始めるとすぐに温度制御と熱吸収をして、あらゆる熱/エネルギー蓄積を低減することを可能にする。多数の又は広い転移温度は、熱吸収が重複し又は揺らぐことで対象物から熱をより有効に「抜き取る」又は逃がすことも可能である。たとえば、TMMは35〜40℃で吸収するPCM1を含み、38〜45℃で吸収するPCM2を含む。PCM1は吸収を開始して潜熱の大部分を使用するまで温度を制御し、そのときPCM2が吸収を開始してPCM1からエネルギーを伝導して、PCM1が再開始して機能を維持することを可能にする。各機能のために必要な転移温度は大きく異なる転移温度の拡開又は混合は、すべての材料を混合するか又は各種の図に示すようにそれらを層化することで行うことが可能である。
【0221】
潜熱値の選択
相変化材料の選択は相変化材料の潜熱に依存することが可能である。相変化材料の潜熱は典型的にはエネルギー/熱を吸収および放出し、又は物品の熱移動特性を変更する能力と関連している。相変化材料は少なくとも約10J/g、たとえば、少なくとも20J/g、少なくとも約40J/g、少なくとも約50J/g、少なくとも約70J/g、少なくとも約80J/g、少なくとも約90J/g、又は少なくとも約100J/gである潜熱を有することが可能である。したがって、たとえば、相変化材料は約10J/g〜約60J/g、約20J/g〜約400J/g、たとえば約60J/g〜約400J/g、約80J/g〜約400J/g、又は約100J/g〜約400J/gの範囲の潜熱を有することが可能である。
【0222】
TMMレオロジー、粘性、弾性、架橋及びPCMの物理的特性
TMMのレオロジー(即ち、粘性又は流動特性)は電気化学セル及びパックへの適用の多くの異なるプロセスに重要である。セルをスリーブ又はケーシングに挿入する、セルにテープ又はフィルムを巻く、またはその他のスプレー、流動、コーティング、感圧接着又は押出での適用などのいずれかによる、TMMをセル又はパックに一般的に適用する変数は、レオロジーによって制御される。この適用は、良好な熱伝導のために十分なギャップ充填及び空気スペースの減少を実現することと、セル又はパックにおけるTMMの構造及び安定性を維持することとの間で、レオロジーをバランスさせなければならない。すなわち、この材料はチューブ、スリーブ、ケーシング、フィルム、テープ又は他の周囲の材料がセルからスライドすることを許すべきではない。
【0223】
相変化及び/又はポリマー特性をもつTMMは、低温度で固体、相変化温度以上の温度で変形性又は流動性の仕様にできるので、上記の問題を解決するために有利である。相変化温度はバッテリーセル又はバッテリーパックの通常の操作温度より低く、等しく又は高いことが可能である。これらのTMM 態様のチューブ、スリーブ、ラップフィルム及びテープも、引張強度、伸び、弾性率、靱性などの物理的特性を改良することができるので、グリースまたはワックス単独よりも有利である。
【0224】
TMMのレオロジー、粘性、弾性及び流動性は、多くの異なる変数により制御することができる。その変数には、ポリマーの種類、ポリマーの構造、ポリマーの分子量、ポリマーの分岐(即ち、分岐の数、分岐の長さ、分岐の種類など)、ポリマーの官能基(即ち、種類と量)、コポリマー、他のポリマーとの適合性、ポリマーの架橋、架橋の種類、ポリマーの交絡、添加剤との適合性などのpPCM/fpPCMの特徴が含まれる。
【0225】
TMMの弾性を制御できる1つの方法は、エラストマー性(弾性)をもつポリマー材料の部分による。このようなエラストマー材料には、ポリオレンフィンコポリマー、たとえば、ポリエチレンとC3-C30α-オレフィン又は酢酸ビニル、その他のビニルモノマー(たとえば、スチレン又はその類似物、アクリレート又はメタクリレートモノマー、ビニル エーテルモノマー、ビニルエステルモノマー)とのコポリマー、アクリロニトリル、ゴム、及びイソプレン、ブチルなどによるコポリマー、またはこれらの組合せ、ブレンド、混合物がある。さらに、TMMはポリエステル、ケイ素ラバーまたはポリウレタンなどのポリマーエラストマーからなってもよい。これらの非限定的例はHytrel(商標)ポリエステル(DuPont), Spandexタイプのポリウレタン及びRTV又はLTVタイプのケイ素ラバー)などである。
【0226】
エラストマー性(弾性)に影響を与えられるもう1つの方法は架橋である。特定の態様ではTMM及びPCMはポリマー鎖当たり平均0.05-1個の架橋の量で架橋してよい。
【0227】
ポリマーガラス転移温度(Tg、ポリマーがガラス状態からゴム状態に変化する温度)を制御して操作温度以下の温度で流動させることが可能である。Tgは-20℃と150℃の間、好ましくは15℃と90℃の間であることができる。
【0228】
ポリマー分子量を制御して低又は高粘性を提供することが可能であり、高分子量のポリマーは低粘性又は非流動を提供する。ある態様のpPCM/fpPCMの分子量は少なくとも500Daltonであることが可能であり、他の態様では少なくとも2000Daltonであることが可能である。ある態様では分子量は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の使用に例示されるように、500Daltonから100万Daltonまでの範囲であることが可能である。
【0229】
ポリマーの分岐を制御して鎖の交絡及びレオロジー制御を抵抗することが可能である。ポリマー鎖の数と長さは任意である。ポリマーは0-1000個の分岐を有してい。分岐は少なくとも50Daltonである。分岐は不規則、櫛形など任意の形状であることが可能である。分岐は立体特異的形状であることが可能である。
【0230】
ポリマーは「硬質」セグメントと「軟質」セグメントを含むコポリマー又はブロックコポリマーあることが可能である。硬質セグメントは高Tg部分又は結晶化可能部分を有することが可能であるが、軟質セグメントは低Tg部分又はアモルファス セグメントを有することが可能である。硬質セグメントは反応し、或る程度の固定又は高粘性を創出する架橋、交絡又は相互作用を形成することが可能である。軟質セグメントは熱または圧力で流動又は再配置されることが可能である。
【0231】
ある態様では、結晶化可能部位の重量は pPCM/fpPCMの全重量を基準に少なくとも20%、他の態様では少なくとも50%、更に別の態様では少なくとも70%をなすことが可能である。
【0232】
官能基の種類及び量はTMMのレオロジー、流動特性及び固化(setting)にも影響することが可能である。たとえば、TMMは電気化学セル又はパックに適用してから、以前に記載した官能性、反応又は架橋のメカニズムにより、完全に硬化し架橋することが可能である。
【0233】
官能基は混合して異なる架橋反応及び異なる動力学(kinetics)の架橋反応を与えることが可能である。たとえば、エポキシ及びアミン は室温で急速に硬化して、急速の固化(set)、不粘着時間及び使用を可能にすることができる。この部分的硬化は、時間とともに、あるいは、TMMがバッテリーセル充放電サイクルから温められるとき-第2の架橋反応が起きてTMMを完全に架橋し完全に固化するときの、いずれかにおいて、僅かに流動又はギャップ充填することを可能にしてもよい。この架橋反応の第2の固化は、酸化、熱、UVなどによって開始されることが可能であり、たとえば、不飽和基、N-メチロールエーテル架橋基と水酸基又はカルボキシル基との酸素ラジカル架橋、あるいは不飽和部分との UV開始フリーラジカル反応がある。
【0234】
異なる架橋反応及び動力学は異なる温度で反応する異なる触媒または開始剤を用いて制御することが可能である。たとえば、異なる分解温度を有する2つの異なるフリーラジカル(FR)開始剤(ペルオキシド、アゾ等)は各種の不飽和基を含むポリマーと組合せることが可能である。第1のFR開始剤は適用温度で分解して部分的な硬化、架橋又は固化により、ある程度の流動及びギャップ充填をもたらすことが可能である。第2のFR開始剤が次に分解してより高温度でさらに反応することができる。
【0235】
これらの反応、適用及び使用の各種の温度は外部環境を制御することでもたらすことが可能である。室温の架橋反応は、室温より低温又は凍結温度でTMMを調製、輸送/貯蔵及び適用した後に、バッテリーをその装置に設置するときあるいはバッテリーパックを組み立てるときに反応が進行するようにして、制御することが可能である。同様に、架橋は熱、光又はその他の形のエネルギーを添加して制御することが可能である。
【0236】
レオロジー、粘性、流動及びギャップ充填も、可逆反応又は架橋の使用により制御することが可能である。これらは時々「自己回復(self-healing)」システムと呼ばれることがある。たとえば、TMMは容易に破壊し、流動を可能にし、再結合することが可能である、イオン性架橋に基づくZn
+2カルボキシル塩又はS-Sジスルフィド結合を含むことが可能である。
【0237】
可逆反応の例は、エステル結合の加水分解、ウレタン結合の水酸基とイソシアネートへの解離と再結合、ウレア結合のアミンとイソシアネートへの解離と再結合、架橋に基づくヂールスアドラー反応、金属に基づくイオン結合、金属配位又は有機塩、水素結合、金属配位、疎水性の力、ファンデルワース力、パイパイ相互作用及び静電気作用である。
【0238】
上記の相変化又は化学的相関性は可逆的架橋、即ち、ポリマー結晶セグメントの溶融及び再結晶化として使用することも可能である。コポリマー又はブロックコポリマーの疎水性/親水性セクションの相関性。異なるTgセグメント、硬質/軟質セグメント等を有するコポリマー又はブロックコポリマー。
【0239】
レオロジー、粘性、流動及びギャップ充填もレオロジー制御剤、増粘剤等の使用又は添加により制御することが可能である。これらの材料は、たとえば、シリカ、炭素粒子、タルク、ZnO、炭酸カルシウム、部分架橋又はゲルのポリマー、等である。下記の粒子及び充填剤もレオロジー制御剤又は粘性剤として使用できる。
【0240】
充填剤及び添加剤-熱伝導性充填材
本開示の本明細書に記載の各種の相変化材料と組み合わせて熱伝導性充填剤を使用することに関する。上記の如く、熱伝導率k(λ又はκとも表記される)はW/mKで測定される熱を伝導する能力である材料の特性である。
【0241】
熱伝導率は、定常状態で単位温度勾配(ΔT)によってかつ熱移動が温度勾配だけに依存するときに、単位面積(A)をその表面に垂直な方向に単位厚さ(L)だけ移動する熱量(Q)として定義される。
【0242】
本明細書に記載のTMMは各種の伝導性添加物及び充填剤を有して各種の特性を改良することが可能である。熱伝導を向上させる材料を添加でき、それには各種の炭素 (グラフェン、グラファイト(合成又は天然、 膨張又は薄片化など)、グラファイト酸化物、ダイヤモンド(合成又は天然)、ダイヤモンドエアロゲル、炭素繊維、カーボンナノチューブ (CNT又は単ウォール(SWCNT))、多ウォール(MWCNT))、フラーレン(buckyballs)、ローズデーライト(loonsdaleite)、カービン(carbine)、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン及びそれらの各種の形態の酸化物又はその他の官能化形態などがある。その他の熱伝導性粒子は、高結晶性又は高配向性の有機材料及びポリマー、たとえば、高密度ポリエチレン(低分子量又はUHMWPE、たとえばDyneema(商標) fibers or Spectra(商標) fibers)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBO又はZylon(商標))、ポリ(p-フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBT)、及びいずれかの他の液晶ポリマー(LCP)、金属、金属塩、金属カーバイド、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物誘導体、金属ホスフェート誘導体、ホウ素窒化物(立方晶及び六方晶)、炭化ホウ素、酸化ホウ素、アルミナ、Al、Al酸化物、Al
2O
3、Al窒化物、Ag、Au、金属化ガラス、Sn,Zn,ZnO,Cu,Mg,MgO,ウォラスストナイト、シリカ (フューズ、フューム、沈降、被覆、コロイド、凝集)、炭化ケイ素 (SiC)、シリコーン、 シリカ被覆粒子及び合金 (シリカ被覆Al窒化物 )、サフャイア、石英、ポリヘドラルオリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、Fe, Fe 酸化物, Pt, Pb, Ni, Ti, Ti酸化物, Cr, Bi, In, Ga, Ge, Ce, La, W, WC, Li, Be, Be酸化物, Ca, Rb, Sr, Cs, Ba, Fr, Ra, Sc, V, Mn, Co, As, Se, Y, Zr, Zr酸化物, Nb, Mo, Tc, Ru, Rh, Cd, In, Sb, Te, Hf, Ta, Re, Os, Ir, Hg, Tl, Po, Rf, Db, Sg, Bh, Hs, Mt, Ds, Rg, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Ac, Th, Pa, U, Np, Pu, Am, Cm, Bk, Cf, Es, Fm, Md, No, Lrなど、並びにこれらのブレンド、はんだ(solder)、共晶物及び合金がある。
【0243】
低い融点又は可融解性温度の材料及び充填剤もレオロジー、ギャップ充填及び伝導性(電気及び熱)を向上させるために含むことが可能である。これらはGa, In, Sn又はそれらの合金及び酸化物を含む。低融点金属は任意にさらにAg, Bi, Cd, Cu, Pb, Zn, 又はこれらの組合せを含むことができる。適当な低融点金属、合金及びその酸化物の例は、次のものを含む。たとえば、Ga, In-Ga 合金, In-Ag合金, In-Bi 合金, In-Sn 合金, Bi-Sn 合金, Pb-Sn 合金, In-Pb 合金, In-Pb-Ag 合金, In-Bi-Sn 合金, Sn-In-Zn 合金, Sn-Bi-Zn 合金, Sn-In-Ag 合金, Sn-Ag-Bi 合金, Sn-Bi-Cu-Ag 合金, Sn-Ag-Cu-Sb 合金, Sn-Ag-Cu 合金, Sn-Ag 合金, Sn-Ag-Cu-Zn 合金, 及びこれらの組合せを含む。低融点金属は250℃以下、あるいは225℃以下の融点を有することができる。低融点金属は少なくとも50℃、あるいは少なくとも150℃の融点を有することができる。低融点金属は共晶合金、非共晶合金、酸化物又は純金属であることが可能である。低融点金属は商業的に入手可能である。低融点金属はTMMの重量の少なくとも約0.1〜約20%を含むことができる。これらの合金、酸化物又は金属はTMMの異なる層または分離された部分であることも可能である。
【0244】
熱伝導性充填材は、直接の導電性経路を容易にするためには他の熱伝導性又は結晶性材料と密に接触し又は触れるていると、最も効率的に働く。したがって、充填剤及び他の熱的材料の濃度、不純物、結晶性、形状、寸法、適合性及び分布が重要である。
【0245】
充填剤はTMMの2-95%であることが可能である。充填剤の量は適合性、レオロジーに対する作用などの多くの因子に依存するであろう。粒子は円形、球形、円筒状、繊維、シート、フレーク、粉末、ウィスカー、チューブ、小平板、発泡体、メッシュ、これらの形状の集まりまたはその他の不規則な形状などのいずれの形状でもよい。用途に応じて、単一の形状又は混合形状が最適の充填及び粒子接触配置を提供するために有利であることができる。
【0246】
粒子はどのようなアスペクト比でも、完全な球状粒子の1から、ナノ材料の無限の比まで可能である。粒子寸法は、0.1ナノメートルから1mmまで可能である。粒子の寸法及び分布は用途に依存するであろう。たとえばナノメートル寸法の粒子は良好な分散、適合性と良好なギャップ充填を可能にするが、大きな粒子は低濃度で良好な熱伝導率のための粒子間のより多い接触の機会を提供することを可能にするであろう。用途に応じて、単一の 粒子寸法又は狭い粒子寸法分布はレオロジー最適化に有利であることができ、粒子の混合物は最も効率的な充填分布 曲線を可能にする。たとえば、より小さい平均粒子はより大きな平均粒子の間の間隙を充填して、効率的な熱輸送を提供する最適の充填理論分布曲線 を与えることが可能である。
【0247】
粒子は、単分子層厚さ、層状又は寸法、たとえばより大きい粒子を形成する個別の小平板又は層であることが可能である。たとえばグラフェンは、ハニカム状結晶格子に密に充填されたsp
2-結合炭素原子の1原子厚さの平坦シートである。グラフェンシートが積層するとグラファイトを形成する。
【0248】
熱伝導は、それ自身が配列又は配向して電気化学セル又はパックから冷たい表面まで接続し経路を形成する材料を用いて改良することが可能である。たとえば、繊維、ウィスカ、フレーク、発泡体、又はシートを用いて材料を適用すると材料が各円筒状セルに関して放射状に配列させることが可能である。さらなる例では、TMMの厚さと等しいかそれより大きい長さを有する繊維、フレーク、発泡体又はシートを用いるものであり、繊維、フレーク、発泡体又はシートの一端部がセルに接触し、そして他の端部が表面に到達するか、あるいは冷たい表面、熱シンク又は放熱体に接触して、一定な非破壊の単一の粒子経路を提供する。あるいは、繊維、フレーク、発泡体又はシートはパック内の多数の セルと長手方向に配列して多数のセルの間の領域から熱を逃がすことができるであろう。これらの種類の充填剤はTMMの強度及び補強を提供して引張、接着又は密着(cohesive)特性を改良することが可能である。
【0249】
最適の 熱伝導を提供するために、充填剤は減少した含有元素材料の最大純度、95%より高い、好ましく>99% 、最も好ましくは>99.99999%の純度を持つべきである。より高い純度はより高い材料結晶性>50% 結晶度、好ましくは>90%結晶度、最も好ましくは>99%結晶度をもたらす。減少した元素不純物は低い放射線放出0.001 counts/cm
2・hrより低い放射線粒子放出(すなわち、正帯電アルファ粒子(α)、正又は負帯電ベータ粒子(β)、フォトン又はガンマ粒子(γ)又はニュートロン及びニュートリノ)を意味する。
【0250】
充填剤又は粒子のTMM、電気化学セル又はマトリックス材料との適合性を改良するために、粒子を表面処理することが有利であることがある。表面処理はTMMのレオロジー、 粘性及び流動特性も改良することができる。表面処理粒子はTMMのバインダー、ポリマー又はマトリックス材料との適合性を改良することができ、それによって粒子の完全な被覆又は表面濡れ性、したがって、粒子の周りの少ない空気スペース又はボイドを可能にして、粒子の改良された熱伝導を提供することが可能である。粒子表面処理は、カップリング剤、酸化、酸、塩基、火炎、官能化等、プラズマ酸化、プラズマ硫化、紫外光の存在又は非存在でのオゾン処理、アルカリ表面加水分解、シラネーション(silanation)、シラン化(silanization)及びプラズマアンモニア処理による反応によることが可能である。
【0251】
カップリング剤又は表面処理剤は、いかなる官能性材料でもよく、たとえば、fpPCM、塩官能性をもつfpPCM、親水性又は疎水性部分(すなわち、脂肪族エトキシレート、アルキルエトキシレート、アルキルフェノキシエトキシレート及びそれらの分岐類似物)をもつ非イオン性分子、アニオン性又はカチオン性分子又はポリマー(たとえば、カルボキシル基を含むもの、アミン中性化カルボキシ基を含むもの、アミン基を含むもの、酸中性化アミン基等を含むもの)、無水物及び不飽和ポリマー酸又はそれらの塩及び類似物(すなわち、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化又は酸官能性ポリオレフィン、マレイン化又は酸官能性ポリ(メタ)アクリレート、マレイン化又は酸官能性ポリエステル;金属又はアミン塩を含む)、アルコキシシラン、アルコキシ-官能性オリゴシロキサン、アルキルチオール、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミン塩、脂肪族アミン、脂肪族アミン 塩、 チタン酸塩、チタン酸塩カップリング剤、ジルコン酸塩、ジルコン酸塩カップリング剤、アルミン酸塩、アルミン酸塩カップリング剤、又はそれらの混合物がある。Kenrich Petrochemicals, Inc.、Capaute Chemicalから供給されるカップリング剤、又はDupont Inc.から供給されるTyzorTM、Evonik Degussa GmbH Germanyから供給されるDynasylanシラン及びオルガノ官能性シラン、Dow Corning Corp. から供給されるDow Corning「Z」Silanes又はXiameter「OFS」Silanesなどのカップリング剤もある。
【0252】
処理剤及び処理方法は業界で知られており、たとえば米国特許No.6,169,142(4欄、42行〜5欄、2行)を参照できる。TMMは少なくとも約0.05%の処理剤を含むことができる。TMM約10%まで、あるいは約5%まで、あるいは約0.5%までの処理剤を含むことができる。処理剤は式:R
5xSi(OR
6)
(4-x)(式中、xは1、2、又は3であるか、あろいはxは3であり、R
5は少なくとも約1個の炭素原子、あるいは少なくとも約8個の炭素原子の置換又は非置換一価炭化水素基である。R
5は約50個までの炭素原子あるいは約30個までの炭素原子あるいは約18個までの炭素原子をもつ。)のアルコキシシランでよい。R
5の例はアルキル基(たとえば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル)及び芳香族基(たとえば、ベンジル、フェニルエチル)である。R
5は飽和又は不飽和、分岐又は非分岐、及び非置換であることが可能である。R
5は飽和、非分岐及び非置換であることが可能である。
【0253】
R
6は少なくとも約1個の炭素原子の非置換、飽和炭化水素基である。R
6は約4個までの炭素原子あるいは約2個までの炭素原子をもってもよい。この処理剤の例はヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、その組合せ、その他である。
【0254】
アルコキシ-官能性オリゴシロキサンも処理剤として用いることができる。アルコキシ-官能性オリゴシロキサン及びその調製方法は業界において知られており、たとえば EP1,101,167A2を参照できる。たとえば、適当なアルコキシ-官能性オリゴシロキサンには式(R
6O)
aSi(OSiR
72R
8)
4-aのものがある。この式中、aは1,2又は3であるか、あるいはaは3である。各R
6はアルキル基であることができる。各R
7は約1〜約10個の炭素原子の不飽和一価炭化水素から独立して選択される。各R
8は少なくとも約11個の炭素原子をもつ不飽和一価炭化水素であることができる。
【0255】
アルミナ又は不導態化アルミニウム窒化物のための処理剤にはアルコキシシリル官能性アルキルメチルポリシロキサン(たとえば、R
9bR
10cSi(O
11)
(4-b-c)の部分加水分解濃縮物又は共加水分解濃縮物又は混合物)、類似の材料(加水分解基はシラザン、アシロキシ又はオキシモがあるであろう)がある。これらの全てにおいて、式のR
9のように Siに結合される基は、長鎖不飽和一価炭化水素又は一価芳香族-官能性炭化水素である。R
10は一価炭化水素基であり、R
11は約1〜約4個の炭素原子の一価炭化水素基である。上記式中、bは1,2又は3であり、cは0,1又は2であるが、(b+c)は1,2又は3である。当業者は過度の実験をしなくても充填剤の分散に有用な特定の処理を最適化できるであろう。
【0256】
オルガノ-官能性シランなどのその他の処理剤の特定例は、次の典型的な分子構造:X-CH
2CH
2CH
2Si(OR)
3-nR’
n(式中、n = 0, 1, 2)を有する。多くの組合せが可能であるが、これらは2つの異なる反応器を含むことを特徴とする。OR基はメトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基などの加水分解基である。Xはエポキシ、アミノ、メタクリロキシ(以下に示す)又はスルフィドなどのオルガノ-官能基である。Si-アルキル基の存在は低い表面張力及び良好な濡れ特性を保証する。スルフィド-シランの典型例:(OR)
3Si-(CH
2)
3-Sx-(CH
2)
3Si(OR)
3(式中、x = 2〜8)
【化4】
【0257】
耐火性添加剤の使用
電気化学セルから電力供給する装置の部品への火災の拡大の可能性を減少するために、電気化学的パック内で火災が拡大することを防止するために、または外部火災が電気化学的パックに火をつけることを防止するために、難燃剤を添加して燃焼を防止することが可能である。この材料としては、水酸化マグネシウム、水酸化Al、膨張グラファイト、アンモニウム ポリホスフェート、ホスフェート塩、ポリホスフェート塩(ポリホスフェートの分子量または重合の程度は任意である)、ペンタエリトリトール、処理モンモリロナイト、ハロゲン化化合物、アンモニウム臭化物、塩素化又は臭素化分子、アルカン及びポリマー、アンチモン酸化物、アンチモン三酸化物、赤リン、マグネシアセメント、マグネシウムオキシスルフェート、マグネシウムホスフェート、マグネシウムスルフェート、ホウ素化合物、ホウ酸塩(borate)、ホウ酸、ケイ素及びシリカ化合物、メラミン及びメラミン化合物、ゾル-ゲル、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、ハロカーボン、たとえばクロレンド酸誘導体、ハロゲン化リン化合物、たとえばトリ-o-クレシルホスフェート、トリス(2、3-ジブロモプロピル)ホスフェート(TRIS)、ビス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(1-アジリジイル)-ホスフィンオキシド(TEPA)、蛍光体アミド、トリフェニルホスフェート(TPP)、レソルシノールジホスフェート(RDP)、ビスフェノール-a-ジスホスフェート(BPA-DP)、有機 ホスフィンオキシド、ハロゲン化エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェノールA)等、並びにこれらのブレンド又は混合物、がある。
【0258】
さらに、難燃添加剤は、以下の文献に開示されているように、シリカ、石英又はその他のセラミックに基づく、セラミックタイプの処理及びコーティングを含むことができる。米国特許No.6,921,431(Evans,“Thermal Protective Coating for Ceramic Surfaces,”)、米国特許No.7,105047(Simmons,“Thermal Protective Coating”)並びに非特許文献Rakotomalala et. al.,著 “Recent Developments in Halogen Free Flame Retardants for Epoxy Resins for Electrical and Electronic Applications”(Materials 2010, 3, 4300-4327),非特許文献Phosphorous, Inorganic and Nitrogen Flame Retardants Association刊“Innovative Flame Retardants in E&E Applications”(June 2009)及び非特許文献Feldman著“Polymer Nanocomposite: Flammability”(Journal of Macromolecular Science, Part A: Pure and Applied Chemistry, 2013)、これらは参照してここに含める。また、難燃添加剤は米国特許出願No.12/947,377及びNo.12/806,267(両方共、Xu, 発明の名称“Ionic Liquid Flame Retardants”)に開示されているイオン性材料も含むが、これらも参照してここに含める。
【0259】
もう1つの例は、マイクロカプセルのシェルの部分として難燃性材料を有することである。たとえばメラミン又はメラミン化合物は優れたマイクロカプセルのシェルを提供し、また良好な 難燃 特性を提供する。ソル-ゲルも追加の難燃保護を与えるためにmPCMシェル又は第2のシェルとして用いることが可能である。シェル材料、シェルポリマー又は第2のシェル層も改良された難燃特性をTMMに与えるために上記の難燃添加剤のどれでも含むことが可能である。
【0260】
導電性及び静電的充電/放電材料及びポリマーの使用
本開示の特定の態様では、電気エネルギー又は静電エネルギー(static energy)を制御するために設計された材料を含むことが有利である。この電気エネルギーはこのエネルギーを移動する伝導、放電、消散、貯蔵又はその他の手段のいずれかであることが可能である。本開示において以前に記載したように、電気的短絡は、バッテリーセルの各種の部品を損傷させることが可能であり、ある場合には、電気エネルギーをセルの壁から遠ざけることが望ましいかもしれない。以前に記載した金属材料は、金属、合金、酸化物等のいずれも含むことが可能である。また以前に述べた如何なる形状又は寸法であることも可能である。以前に記載した熱伝導体の多くも電気伝導体として使用することが可能である。有機材料又は有機ドープ材料もTMMパッケージに含むことが可能である。これらの材料は下記の一般的なポリマー構造を含むことが可能である。
【化5】
【0261】
伝導性ポリマーのこれら及び他の一般的クラスは以下の表に示すように分類できる。
【表18】
【0262】
より特定的には、各種の材料、ポリマー及びモノマーはより具体的な電荷又は放射線伝導性材料に分類できる。以下の例の材料を用いる各種の組合せ又は混合物は無限であり、以下の例は完全でも包括的でもない。無限の組合せが電気伝導性及び静電気消散性を有することができる各種のポリマー、コポリマー、混合物等を提供できる。これらのポリマーは伝導性を向上させるために塩又は金属塩の無限の組合せでドープすることができる。
【0263】
光感受性及び電荷輸送化合物、たとえば、1,1,4,4-テトラフェニル-1,3 ブタジエン、4-[2-[5-[4-(ジエチルアミノ)フェニル]-4,5-ジヒドロ-1-フェニル-1H-ピラゾール-3-yl]エテニル]-N,N-ジエチルアニリン、5,12-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、9,10-ビス(フェニルエチル)アントラセン、9,10-ジ-p-トリルアントラセン、9,10-フェナントレンキノン、ベンゾ[ghi]ペリレン、コロネン、ジュロリジン、ペンタフェン-78、ペリレン-66、フェナントレン、フェナントリジン、フェナジン、フェナチオジン、ピラゾール-72、キナクリドンキノン、キノリン-65、チオキサントン-64、トリフェニレン、ビオラントロン-79、[4-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル]-1,1,2-エチレントリカルボニトリル。
【0264】
発光体、ドーパント、電子及びホール輸送材料、たとえば、5,12-ジヒドロ-5,12-ジメチルキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン、8-ヒドロキシキノリン亜鉛、アントラセン、ベンズ[b]アントラセン、クマリン6、ジクロロトリス(1,10-フェナントロリン)ルテニウム(II)水和物、リチウムテトラ(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)ホウ素、ペリレン、白金オクタエチルポルフィリン、ルブレン、トリス(2,2′-ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)六水和物、トリス(2,2′-ビピリジル-d8)ルテニウム(II)ヘキサフルオロホスフェート、トリス(ベンゾイルアセトナト)モノ(フェナントロリン)ユーロピウム(III)、トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(1,10-フェナントロリン)ユーロピウム(lll)、トリス(ベンゾイルメタン) モノ(5-アミノ-1,10-フェナントロリン)ユーロピウム (lll)、トリス-(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム、トリス[1-フェニルイソキノリン-C2,N]イリジウム(III)、トリス[2-(4,6-ジフルオロフェニル)ピリジナト-C2,N]イリジウム(III)、トリス[2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-yl)ピリジナト-C3,N]イリジウム(III)、トリス[2-フェニルピリジナト-C2,N]イリジウム(III)、 金属及び塩ドーパント。
【0265】
発光ポリマー、たとえば、シアノ-ポリフェニレンビニレン(CN-PPV)ポリマー、たとえば、ポリ(2,5-ジ(ヘキシルオキシ)シアノテレフタリリデン)、ポリ(2,5-ジ(オクチルオキシ)シアノテレフタリリデン)、ポリ(2,5-ジ(3,7-ジメチルオクチルオキシ)シアノテレフタリリデン)、ポリ(5-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-メトキシ-シアノテレフタリリデン)、ポリ(5-(3,7-ジメチルオクチルオキシ)-2-メトキシ-シアノテレフタリリデン)。
【0266】
窒素含有ポリマー、たとえば、ポリ(2,5 ピリジン)及びポリ(3,5 ピリジン)。
【0267】
ポリ(フルオレニレンエチニレン)(PFE)ポリマー、たとえば、ポリ(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-イレンエチニレン)、ポリ[9,9-ジ(3′,7′-ジメチルオクチル)フルオレン-2,7-イレンエチニレン]、ポリ[9,9-ジ(2′-エチルヘキシル)フルオレン-2,7-イレンエチニレン]、ポリ[9,9-ジドデシルフルオレニル-2,7-イレンエチルニレン]。
【0268】
ポリ(フェニレンエチニレン)(PPE)ポリマー、たとえば、ポリ(2,5-ジ(3′,7′-ジメチルオクチル)フェニレン-1,4-エチニレン)、ポリ(2,5-ジシクロヘキシルフェニレン-1,4-エチニレン)、ポリ(2,5-ジ(2′-エチルヘキシル)-1,4-エチニレン)、ポリ(2,5-ジドデシルフェニレン-1,4-エチニレン)、及びポリ(2,5-ジオクチルフェニレン-1,4-エチニレン)。
【0269】
ポリフルオレン(PFO)ポリマー及びコポリマー、たとえば、ポリ(9,9-ジ-n-ドデシルフルオレニル-2,7-ジイル)、ポリ(9,9-ジ-n-ヘキシルフルオレニル-2,7-ジイル)、ポリ(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)、ポリ(9,9-n-ジヘキシル-2,7-フルオレン-alt-9-フェニル-3,6-カルバゾール)、ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル)]、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(2,5-ジメチル-1,4-フェニレン)]、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-コ-(9-エチルカルバゾール-2,7-ジイル)]、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-コ-(アントラセン-9,10-ジイル)]、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-コ-ビチオフェン] ポリ[9,9-ビス-(2-エチルヘキシル)-9H-フルオレン-2,7-ジイル]。
【0270】
ポリフルオレン-ビニレン(PFV)コポリマー、たとえば、ポリ((9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン-2,7-ビニレン)-コ-(1-メトキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2,5-フェニレンビニレン))、ポリ(9,9-ジ-(2-エチルヘキシル)-9H-フルオレン-2,7-ビニレン)、ポリ(9,9-ジ-n-ヘキシルフルオレニル-2,7-ビニレン)、ポリ[(9,9-ジ-(2-エチルヘキシル)-9H-フルオレン-2,7-ビニレン)-コ-(1-メトキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2,5-フェニレンビニレン)]、及びポリ[9-(2-エチルヘキシル)-3,6-カルバゾールビニレン-alt-2,6-ナフタレンビニレン]。
【0271】
ポリフェニレンビニレン(PPV)ポリマー及びコポリマー、たとえば、ポリ(1-メトキシ-4-(3-プロピルオキシ-ヘプタイソブチル-PSS)-2,5-フェニレンビニレン)-コ-(1-メトキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2,5-フェニレンビニレン)(60:40)、ポリ(1-メトキシ-4-(O-disperse Red 1))-2,5-フェニレンビニレン、ポリ(2,5-ビス(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2,5-ジヘキシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2,5-ジオクチル-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2,6-ナフタレンビニレン)、ポリ(p-キシレン テトラヒドロチオフェニウム クロリド)、ポリ[(m-フェニレンビニレン)-alt-(2,5-ジブトキシ-p-フェニレンビニレン)]、ポリ[(m-フェニレンビニレン)-alt-(2,5-ジヘキシルオキシ-p-フェニレンビニレン)]、ポリ[(m-フェニレンビニレン)-alt-(2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-p-フェニレンビニレン)]、ポリ[(m-フェニレンビニレン)-alt-(2-メトキシ-5-オクチルオキシ-p-フェニレンビニレン)]、ポリ[(m-フェニレンビニレン)-コ-(2,5-ジオクトキシ-p-フェニレンビニレン)]、ポリ[(o-フェニレンビニレン)-alt-(2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-p-フェニレンビニレン)]、ポリ[(p-フェニレンビニレン)-alt-(2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-p-フェニレンビニレン)]、ポリ[1-メトキシ-4-(3-プロピルオキシ-ヘプタイソブチル-PSS)-2,5-フェニレンビニレン]、ポリ[1-メトキシ-4-(3-プロピルオキシ-ヘプタイソブチル-PSS)-2,5-フェニレンビニレン]-コ-[1-メトキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2, 5-フェニレンビニレン](30:70)、ポリ[2,5-ビス(3′,7′-ジメチルオクチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[2,5-ビスオクチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[2-(2′,5′-ビス(2″-エチルヘキシルオキシ)フェニル)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[2-メトキシ-5-(3′,7′-ジメチルオクチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[5-メトキシ-2-(3-スルホプロポキシ)-1,4-フェニレンビニレン]カリウム塩、ポリ[トリス(2,5-ビス(ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)-alt-(1,3-フェニレンビニレン)]及びポリ{[2-[2′,5′-ビス(2″-エチルヘキシルオキシ)フェニル]-1,4-フェニレンビニレン]-コ-[2-メトキシ-5-(2′-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]}。
【0272】
ポリチオフェンポリマー及びコポリマー(レジオ規則的又はレジオ不規則的なステアリック形状)、たとえば、ポリ(3-(2-メトキシエトキシ)エトキシメチルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3-ブチルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-シクロヘキシル-4-メチルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-シクロヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-デシルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-ドデシルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-オクチルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-オクチルチオフェン-2,5-ジイル-コ-3-デシルオキシチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(チオフェン-2,5-ジイル)、臭素末端、ポリ[(2,5-ジデシルオキシ-1,4-フェニレン)-alt-(2,5-チエニレン)]。
【0273】
水溶性発光ポリマー、たとえば、ポリ(2,5-ビス(3-スロホナトプロポキシ)-1,4-フェニレン、ジナトリウム塩-alt-1,4-フェニレン)、ポリ[(2,5-ビス(2-(N,N-ジエチルアンモニウムブロミド)エトキシ)-1,4-フェニレン)-alt-1,4-フェニレン]、ポリ[5-メトキシ-2-(3-スルホプロポキシ)-1,4-フェニレンビニレン]カリウム 塩、ポリ{[2,5-ビス(2-(N,N-ジエチルアミノ)エトキシ)-1,4-フェニレン]-alt-1,4-フェニレン}。
【0274】
ポリマーホール輸送及びホスト材料、たとえばポリ(1-ビニルナフタレン)、ポリ(2-ビニルカルバゾール)、ポリ(2-ビニルナフタレン)、ポリ(9-ビニルカルバゾール)及びポリ(N-エチル-2-ビニルカルバゾール)などのポリビニルポリマー。
【0275】
伝導性ポリマー、コポリマー及びモノマー、たとえば、ポリ[1,2-ビス(エチルチオ)アセチレン]などのポリアセチレン、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリアニリン、コポリマー及びポリアニリンドーパント、たとえば、カンファー-10-スルホン酸(β)、ジノイルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン(エメラルジン塩基、メラルジン塩、ロイコエメラルジン塩基、ニグラニリン、又はペルニグラニリン)、o-エトキシアニリン、ortho及びmetaモノ-及びジ-置換アニリン、ortho又はmeta-アミノアセトフェノン、及びm-トルイジン。
【0276】
ポリピロール及びピロールモノマー、たとえば、1H-ピロール-1-プロパン酸、3,4-エチレンジオキシピロール-2,5-ジカルボン酸、3,4-エチレンジオキシピロール、3,4-プロピレンジオキシピロール、4-(3-ピロリル)酪酸、ジエチル 1-ベンジル-3,4-エチレンジオキシピロール-2,5-ジカルボキシレート、及びポリピロール(伝導性、ドープト又は非ドープト)。
【0277】
ポリチオフェン及びチオフェンモノマー、たとえば、3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ビス-ポリ(エチレングリコール)、ラウリル末端、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、テトラメタクリレート末端キャップト、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホナート)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(チオフェン-3-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]-2,5-ジイル)。
【0278】
ポリフルオレン、ポリ(o-アミノフェノール)(POAP)、ポリテトラチアフルバレン、ポリナフタレン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、天然又は生物学的メラミン顔料ポリマーのスルホン化物。
【0279】
有機光起電材料:伝導性材料、たとえば、5,5'''''-ジヘキシル-2,2':5',2'':5'',2''':5''',2'''':5'''',2'''''-セクシ(sexi)チオフェン、銅(II) 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25-ヘキサデカフルオロ-29H,31H-フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、フラーレン-C
60、フラーレン-C
84、ペンタセン、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン、ポリ(3-ドデシルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)レジオレギュラー、ポリ(3-オクチルチオフェン-2,5-ジイル)レジオレギュラー、ポリ[2-メトキシ-5-(3′,7′-ジメチルオクチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、トリス[4-(5-ジシアノメチリデンメチル-2-チエニル)フェニル]アミン、[5,6]-フラーレン-C
70、[6,6]-ペンタデューテロフェニルC
61酪酸メチルエステル、[6,6]-フェニルC
61酪酸メチルエステル、[6,6]-フェニルC
71酪酸メチル エステル、[6,6]-フェニルC
85酪酸メチル エステル、[6,6]-チエニルC
61酪酸メチルエステル、[6.6]ジフェニルC
62ビス(酪酸メチルエステル)、及びα-セクシ(sexi)チオフェン。
【0280】
染料、たとえば、1,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-2,4-ジヒドロキシシクロブテンジイリウム ジヒドロキシド、ビス(内塩)、7-メチルベンゾ[a]ピレン、9,10-ジヒドロベンゾ[a]ピレン-7(8H)-オン、ベンゾ[e]ピレン、クマリン102、クマリン153、クマリン30、クマリン480D、クマリン6、メロシアニン540及びピレン。
【0281】
粒子及びそのドープ、非ドープ、各種結晶形及び金属との混合物、チタン酸化物、チタン二酸化物、チタン+4酸化物及び二酸化物、 及び亜鉛酸化物を含む。
【0282】
n-型オリゴマー及びポリマーを含む有機半導体、たとえば、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン、5,10,15,20-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)-21H,23H-ポルフィンパラジウム(II)、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン、銅(II)1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25-ヘキサデカフルオロ-29H,31H-フタロシアニン、フラーレン-C
60、フラーレン-C
84、N,N′-ジオクチル-3,4,9,10-ペリレンジカルボキシイミド、N,N′-ジペンチル-3,4,9,10-ペリレンジカルボキシイミド、N,N′-ジフェニル-3,4,9,10-ペリレンジカルボキシイミド、N,N′-ビス(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンジカルボキシイミド、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、[5,6]-フラーレン-C
70、[6,6]-フェニルC
61酪酸メチルエステル、[6,6]-フェニルC
71酪酸メチルエステル、[6,6]-フェニルC
85酪酸メチル エステル、[6,6]-フェニル-C
61酪酸ブチルエステル、[6,6]-フェニル-C
61酪酸オクチルエステル、[6,6]-チエニルC
61酪酸メチルエステル、[6.6]ジフェニルC
62ビス(酪酸メチルエステル)、ポリ(2,5-ジ(ヘキシルオキシ)シアノテレフタリリデン)、ポリ(2,5-ジ(オクチルオキシ)シアノテレフタリリデン)、ポリ(2,5-ジ(3,7-ジメチルオクチルオキシ)シアノテレフタリリデン)、ポリ(5-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-メトキシ-シアノテレフタリリデン)、ポリ(5-(3,7-ジメチルオクチルオキシ)-2-メトキシ-シアノテレフタリリデン)、ポリ(ベンズイミダゾベンゾフェナントロリン)、ポリ[(1,4-ジビニレンフェニレン)(2,4,6-トリイソプロピルフェニルボラン)]、及びポリ[(2,5-ジデシルオキシ-1,4-フェニレン)(2,4,6-トリイソプロピルフェニルボラン)]、ジフェニル末端。
【0283】
p-型オリゴマー及びポリマー、たとえば、13,6-N-スルフィニルアセトアミドペンタセン、2,2':5',2'':5'',2'''-クオータチオフェン、3,3'''-ジドデシル-2,2':5',2'':5'',2'''-クオータチオフェン、3,3'''-ジヘキシル-2,2';5',2'':5'',2'''-クオータチオフェン、5,5'''''-ジヘキシル-2,2':5',2'':5'',2''':5''',2'''':5'''',2'''''-セクシ(sexi)チオフェン、5,5'-ジ(4-ビフェニリル)-2,2'-ビチオフェン、5,5'-ジヘキシル-2,2'-ビチオフェン、6,13-ジヒドロ-6,13-メタノペンタセン-15-オン、ベンズ[b]アントラセン、ベンズ[b]アントラセン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、銅(II)フタロシアニン、昇華で精製したコロネン、ジベンゾテトラチアフルバレン、ペンタセン、ペンタセン-N-スルフィニル-n-ブチルカルバメート付加体、ペンタセン-N-スルフィニル-tert-ブチルカルバメート、白金 オクタエチルポルフィリン、ルビレン、テトラチアフルバレン、トリス[4-(5-ジシアノメチリデンメチル-2-チエニル)フェニル]アミン、α-セクシチオフェン、ポリ(3-ドデシルチオフェン-2,5-ジイル)レジオランダム又はレジオレギュラー、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)レジオランダム又はレジオレギュラー、ポリ(3-オクチルチオフェン-2,5-ジイル)レジオランダム又はレギオレギュラー、ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル)]、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-コ-ビチオフェン]、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[2-メトキシ-5-(3′,7′-ジメチルオクチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]。
【0284】
その他の添加剤の使用
適当な 酸化防止剤は知られており、商業的に入手可能である。適当な 酸化防止剤はフェノール系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤と安定剤との組合せを含む。フェノール系酸化防止剤は完全な立体的ヒンダードフェノール及び部分的な立体的ヒンダードフェノールを含む。 安定剤は、オルガノリン誘導体、たとえば三価オルガノリン化合物、 ホソファイト、ホスホナート及びそれらの組合せ、チオ共力剤、たとえばオルガノ硫黄 化合物、たとえばスルフィド、ジアルキルジチオカルバメート、ジチオジプロピオナート及びそれらの組合せ、及び立体的ヒンダードアミン、たとえばテトラメチル-ピペリジン 誘導体を含む。適当な酸化防止剤及び安定剤はZweifel, Hans著, "Effect of Stabilization of Polypropylene During Processing and Its Influence on Long-Term Behavior under Thermal Stress"(Polymer Durability, Ciba-Geigy AG, Additives Division, CH-4002, Basel, Switzerland, American Chemical Society, vol. 25, pp. 375-396, 1996)に開示されている。適当な酸化防止剤は、BASF Corp.から商標Irgafos(商標)及びIrganox(商標)として、Chemtura Corp.から商標Naugalube(商標)及びNaugard(商標)の酸化防止剤として、Nanjing Union Rubber and Chemicals Co., Ltd.から安定剤及び酸化防止剤として供給される。
【0285】
適当なフェノール系酸化防止剤にはビタミンE、IRGANOX B225及びIRGANOX 1010(BASF Corp.)があり、IRGANOX 1010はペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。
【0286】
反応触媒禁止剤は業界に知られており、商業的に入手可能であり、たとえば、米国特許No.5,929,164(1欄,65行〜3欄、65行)が参照される。禁止剤は、ホスフィン、ジホスフィン、アミン、ジアミン、トリアミン、有機スルフィド、アルケニル-官能性化合物、アルキニル-官能性 化合物、ドロキシ-官能性化合物、それらの組合せ、又はその他の遷移金属触媒毒であることができる。
【0287】
適当なホスフィンは、トリアルキルホスフィン及びトリアリールホスフィン、たとえばトリフェニルホスフィンを含む。適当なジホスフィンはテトラフェニルエチレンジホスフィンを含む。適当なアミンはn-ブチルアミン及びトリエタノールアミンを含む。適当なジアミンはテトラメチレンジアミンを含む。適当な有機スルフィドはエチルフェニルスルフィドを含む。適当なアルケニル-官能性化合物は有機物、オルガノシリコーン又はオルガノシランであることができる。適当なアルケニル-官能性化合物はビニルシロキサン及びビニルシランを含む。適当なアルキニル官能性化合物は、アセチレン、プロピレン、1-ブチン、1-ペンチン、4,4-ジメチル-1-ペンチン、1-ヘキシン、5-メチル-1-ヘキシン及び1-デシンなどの有機物であることができる。
pPCM及びfpPCMに硬化可能である反応性希釈剤を生成するのに適したモノマー及びポリマー
【0288】
特定のモノマー及びポリマーは低い分子量で液体反応性希釈剤を形成することが可能であり、乾燥及び/又は硬化によりpPCM又はfpPCMを形成可能である。これらの例を下記の表に示す。
【表19】
【0289】
さらに、特定のpPCM及びfpPCMはそれ自身硬化性の希釈剤にすることが可能である。これらの例は下記の表に示すホモポリマー及びポリエステルモノマーを含む。
【表20-1】
【表20-2】
【表21-1】
【表21-2】
【0290】
反応混合物中における使用のための放射線硬化性モノマーはアクリル酸と、ポリオール、アルコキシル化ポリオール又はポリエステルオールとの(エステル化におけるヒドロキシ基:アクリル酸)のモル比での反応により得ることができる。例えば、本開示の態様による比は[1 : 0.75〜2.5]、[1 : 0.8〜2]、[1 : 0.9〜1.5]又は[1 : 1〜1.2]であることができる。
【0291】
ポリオールとしては、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、 2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-プロピル-1,3-ヘプタン-ジオール及び2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールを挙げることができる。
【0292】
アルコキシル化ポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンなどの上記のポリオールであって、1〜20個のエトキシル化、プロポキシル化又は混合エトキシル化及びプロポキシル化されたものが挙げられる。
【0293】
ポリエステルオールは、モル質量Mnが1000〜4000g/モルであってもよく、二価以上のカルボン酸とともに上記のポリオール又はアルコキシル化ポリオールから合成されうる。
【0294】
ポリエステルは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-プロピル-1,3-ヘプタンジオール及び2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオールなどの脂肪族ジオール、及び、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン-a,ω-ジカルボン酸、ドデカン-a,ω-ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸及び4-メチル-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸から合成される。
【0295】
反応混合物中での使用のための放射線硬化性モノマーはまた、グリシジルエーテルとアクリル酸などのカルボン酸との反応によって、又は、存在しうるヒドロキシ化合物との反応により得ることができる。グリシジルエーテルは、純粋な形態であっても、又は、場合により、グリシジルエーテル基を有するオリゴマーの混合物として存在してもよい。
【0296】
エポキシド化合物との反応は、幾つかの態様において、90〜130℃で起こることができ、幾つかの他の態様において、特に100〜110℃である。反応は、反応混合物が20mgKOH/g未満、好ましくは、5mgKOH/g未満(溶媒を除く)のDIN EN 3682の酸価を有するまで続けることができる。
【0297】
エポキシド化合物との反応のために使用されうる触媒としては、例えば、第四級アンモニウム化合物及びホスホニウム化合物、第三級アミン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン、及び、ルイス塩基が挙げられる。
【0298】
本開示の側面による組成物は、1〜4つの成分を含むことができる。参照を容易にするために、これらの4つの構成成分を構成成分A、B、C及びDと呼ぶ。本開示で後述するように、他の態様はまた、構成成分E、F、G及び追加成分を含むことができる。
【0299】
成分(A)は少なくとも1つのフリーラジカル重合可能基を有する少なくとも1種〜4種の放射線硬化性化合物であり、成分Aを反応させてポリマーPCM又は官能性ポリマーPCMを形成することができる。
【0300】
成分(B)は少なくとも1〜4種であり、幾つかの態様において、正確に1つのフリーラジカル重合可能基を有する正確に1種の放射性硬化性化合物である。
【0301】
成分(C)は少なくとも1〜4種であることができ、幾つかの態様において、正確に2つのフリーラジカル重合可能基を有する正確に1種の放射性硬化性化合物である。
【0302】
成分(D)は少なくとも1〜4種であることができ、幾つかの態様において、2つを超え、幾つかの態様において、3〜10個の、他の態様において、特に3つのフリーラジカル重合可能基を有する正確に1種の放射性硬化性化合物である。
【0303】
フリーラジカル重合可能基の例はビニルエーテル又はα,β-エチレン系不飽和カルボン酸であり、幾つかの態様において、(メタ)アクリレート基である。
【0304】
成分(B)を構成する単官能性フリーラジカル重合性化合物は、例えば、α,β-エチレン系不飽和カルボン酸のエステルであることができ、例えば、1〜40個の炭素原子を含むアルコールと (メタ)アクリル酸のエステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであることができる。
【0305】
モノエチレン系不飽和反応性種(B)を含む成分(B)は、化合物(B1)(その態様が少なくとも1つの脂環式基を含む)、又は、化合物(B2)(その態様が少なくとも1つの複素環式基を含む)に分類されうる。化合物(B1)は(メタ)アクリル酸とシクロアルカノール又はビシクロアルカノールとのエステルであり、該シクロアルカノール又はビシクロアルカノールは炭素原子3〜20個の炭素原子を含み、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい。
【0306】
シクロアルカノール及びビシクロアルカノールの例はシクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、4-メチルシクロヘキサノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール(好ましくはシス形態)、ジヒドロジシクロペンタジエニルアルコール及びノルボルニルアルコールである。
【0307】
本開示の態様において化合物(B2)が利用されるときに、環内に1又は2個の酸素原子を有する少なくとも1つの飽和5又は6員複素環を構造要素として有する単官能性アルカノールと、α,β-エチレン系不飽和カルボン酸の全単官能性エステルを使用することができる。成分(B)はアクリル酸又はメタクリル酸から誘導することができる。 成分(B)の好適な化合物(B2)の例は、一般式:
【化6】
(上式中、R
7はH及びCH
3から選ばれ、kは0〜4の数であり、Yは1又は2個の酸素原子を有する5-又は6-員飽和複素環であり、該複素環は場合により、C1-C4アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソブチル又はtert-ブチルにより置換されていてよい)の化合物を含む。
【0308】
5員又は6員飽和複素環は、好ましくはテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン又は1,3-もしくは1,4-ジオキサンから誘導される。
【0309】
多くの態様において、化合物(B2)はトリメチロールプロパンモノホルマールアクリレート、グリセロールモノホルマールアクリレート、4-テトラヒドロピラニルアクリレート、2-テトラヒドロピラニルメチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート及びこれらの混合物から選択される。
【0310】
また、特定の態様において、化合物(B2)については考えられるのは、ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、α,β-不飽和ニトリル、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α,β-不飽和アルデヒド、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ハロゲン化エチレン系不飽和化合物、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、共役不飽和化合物、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、モノ不飽和化合物、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、環式モノ不飽和化合物、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロドデセン、N-ビニルホルムアミド、アリル酢酸、ビニル酢酸、3〜8個の炭素原子を有するモノエチレン系不飽和カルボン酸及びその水溶性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアクリル酸、エチルアクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸及びイタコン酸、マレイン酸、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニルラクタム、N-ビニル-N-アルキルカルボキサミド又はN-ビニルカルボキサミド、例えばN-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド及びN-ビニル-N-メチルアセトアミド、又は、ビニルエーテルであり、その例は、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、sec-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル及びこれらの混合物である。
【0311】
成分(C)及び(D)は互いに独立に選択されうる。成分(C)は化合物(C1)、(C2)、(C3)、(C4)、(C5)、(C6)及び(C7)に分類されうる。成分(D)はまた、同様に、化合物(D1)、(D2)、(D3)、(D4)、(D5)、(D6)及び(D7)に分類されうる。化合物(C1)又は(D1)の態様は多官能(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。 化合物(C2)又は(D2)の態様はポリエステル(メタ)アクリレートを含むことができる。化合物(C3)又は(D3)の態様はポリエーテル(メタ)アクリレートを含むことができる。化合物(C4)又は(D4)の態様はウレタン(メタ)アクリレートを含むことができる。化合物(C5)又は(D5)の態様はエポキシ(メタ)アクリレートを含むことができる。化合物(C6)又は(D6)の態様は(メタ)アクリル化ポリアクリレートを含むことができる。化合物(C7)又は(D7)の態様はカーボネート(メタ)アクリレートを含むことができる。成分(C)及び成分(D)の両方が選択される態様では、それらは上記の化合物の任意の組み合わせを含むことができる。例えば、多官能(メタ)アクリル酸エステルを含む化合物(C1)はウレタン(メタ)アクリレートを含む化合物(D4)と組み合わせることができる。
【0312】
成分(C)及び/又は(D)を含む任意の化合物は、例えば、α,β-エチレン系不飽和カルボン酸のエステルであることができ、幾つかの態様では、(メタ)アクリル酸と、他の態様では、アクリル酸と、少なくとも2の対応する官能価を有するポリアルコールとのエステルであることができる。この種のポリアルコールの好適な例は少なくとも二価のポリオール、ポリエーテロール又はポリエステルオール又はポリアクリレートポリオールであり、少なくとも2、幾つかの態様において、特に3〜10の平均OH官能価を有する。
【0313】
多官能重合性化合物(C1)の例はエチレングリコールジアクリレート、1,2-プロパンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,8-オクタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、及び1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレートである。
【0314】
多官能重合性化合物(D1)の例は、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタアクリレート又はヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート又はトリアクリレート、ならびに、糖アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、スレイトール、エリスリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルトのジアレート及びポリアクリレートである。
【0315】
(C1)及び/又は(D1)のさらなる例は以下の(IIa)〜(IId)に示される式の化合物の(メタ)アクリレートである。
【化7】
【0316】
上記の例(IIa)及び(IIb)において、R
5 及びR
6 は互いに独立に、水素又はC1-C40 アルキルであり、場合により、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されていてよい。u, v, w及びxは互いに独立に、各々1〜40の整数であり、各X
iは、i = 1〜u、1〜v、1〜w及び1〜xで、他から独立して、基-CH
2-CH
2-O-, -CH
2-CH(CH
3)-O-, -CH(CH
3)-CH
2-O-, -CH
2-C(CH
3)
2-O-, -C(CH
3)
2-CH
2-O-, -CH
2-CHVin-O-, -CHVin-CH
2-O-, -CH
2-CHPh-O-及び-CHPh-CH
2-O-から選択されることができる。
【0317】
これらの定義において、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されてよいC1-C40アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチリルであることができる。
【0318】
化合物(C2)及び/又は(D2)に含まれるポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールとα,β-エチレン系不飽和カルボン酸、好ましくは(メタ)アクリル酸の対応するエステルである。
【0319】
ポリエステルポリオールは当該技術分野で知られており、例えば、Ullmanns Encyklopadie der technischen Chemie, 4th Edition, Volume 19, pp. 62〜65に開示されている。本開示の幾つかの態様において、ポリエステルポリオールは二価アルコールを二塩基性カルボン酸と反応させることにより得ることができる。遊離ポリカルボン酸の代わりに、ポリエステルポリオールを調製するために、対応するポリカルボン酸無水物又は対応する低級アルコールポリカルボン酸エステル又はその混合物を使用することもできる。ポリカルボン酸は脂肪族、環式脂肪族、芳香脂肪族、芳香族又は複素環式であることができ、所望ならば、例えば、ハロゲン原子により置換されていてよく、及び/又は、不飽和であってよい。挙げることができるその例として下記のもの: シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、それらの異性体及び水素化生成物、ならびに、エステル化可能な誘導体、例えば、無水物又はジアルキルエステル、例えば、記載の酸のC1-C4アルキルエステル、好ましくはメチル、エチル又はn-ブチルエステルは使用される。幾つかの態様は、具体的には、一般式HOOC-(CH
2)
y-COOHのジカルボン酸を含み、yは1〜40の数である。ポリエステルオールの調製のために考えられる多価アルコールには、1,2-プロパン-ジオール、エチレングリコール、2,2-ジメチル-1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、162〜2000のモル質量を有するポリTHF、134〜1178のモル質量を有するポリ-1,3-プロパンジオール、134〜898のモル質量を有するポリ-1,2-プロパンジオール、106〜458のモル質量を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-、1,3-又は1,4 - シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、スレイトール、エリスリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ダルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルトが挙げられ、所望ならば、上記のようにアルコキシル化されていてよい。
【0320】
特定の態様では、一般式HO-(CH
2)
x-OHのアルコールを使用し、ここで、xは1〜40の数である。さらに、例えば、ホスゲンと、ポリエステルポリオールのための合成成分として特定された低分子量アルコールの過剰量とを反応させることによって得ることができる種類のポリカーボネートジオールも考えられる。
【0321】
ラクトンのホモポリマー又はコポリマー、好ましくは好適な二官能性スターター分子とラクトンのヒドロキシル末端付加物であるラクトンベースのポリエステルジオールも適している。幾つかの態様で考えられるラクトンには、一般式HO-(CH
2)
z-COOHの化合物から誘導されるものが含まれ、zは1〜40の数であり、メチレン単位の1個のH原子がC1-C4アルキル基により置換されていてもよい。例は、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン及び/又はメチル-ε-カプロラクトン、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸又はピバロラクトン及びそれらの混合物である。適切なスターター成分は、例えば、ポリエステルポリオールの合成成分として上記で特定した低分子量二価アルコールである。 ε-カプロラクトンの対応するポリマーは特定の態様に特に適切であることができる。低級ポリエステルジオール又はポリエーテルジオールもラクトンポリマーを調製するためのスターターとして使用することができる。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに対応するヒドロキシル-カルボン酸の対応する化学的に等価な重縮合物を使用することも可能である。
【0322】
化合物(C3)及び/又は(D3)に含まれるポリエーテル(メタ)アクリレートは、α,β-エチレン系不飽和カルボン酸、多くの態様において、(メタ)アクリル酸とポリエーテルオールとの対応するエステルである。ポリエーテルオールとしては、106〜20000のモル質量を有するポリエチレングリコール、134〜12178のモル質量を有するポリ-1,2-プロパンジオール、134〜12178のモル質量を有するポリ-1,3-プロパンジオール、及び、約500〜40000の範囲の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランジオールを挙げることができる。
【0323】
例えば、化合物(C4)及び/又は(D4)に含まれるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートをヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又はヒドロキシアルキルビニルエーテルと反応させ、そして所望ならば、ジオール、ポリオール、ジアミン、ポリアミン又はジチオール又はポリチオールなどの鎖延長剤と反応させることにより得ることができる。乳化剤を添加することなく水に分散可能なウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ヒドロキシカルボン酸などの合成成分を介してウレタンに導入されるイオン性及び/又は非イオン性親水性基をさらに含む。
【0324】
このようなウレタン(メタ)アクリレートは(a)少なくとも1種の有機脂肪族、芳香族又は脂環式ジ-又はポリイソシアネート、(b)少なくとも1つのイソシアネート反応性基及び少なくとも1つのフリーラジカル重合可能不飽和基を有する少なくとも1種の化合物、(c)所望ならば、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1種の化合物を合成成分として実質的に含む。
【0325】
特定の態様におけるウレタン(メタ)アクリレートは500〜20000g/モルの数平均分子量Mn(テトラヒドロフラン及びポリスチレンを標準として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定)を有する。特定の態様におけるウレタン(メタ)アクリレートはウレタン(メタ)アクリレート1000g当たり1〜5の(メタ)アクリル基含有分を有する。
【0326】
化合物(C5)及び/又は(D5)に含まれるエポキシド(メタ)アクリレートは、エポキシドを(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。エポキシドの例としては、エポキシ化オレフィン、芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテルが挙げられる。
【0327】
エポキシ化オレフィンは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンであることができる。芳香族グリシジルエーテルは、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば2,5-ビス[(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]オクタ-ヒドロ-4,7-メタノ-5H-インデン)(CAS番号[13446-85-0])、トリス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-メタン異性体)(CAS No. [66072-39-7])、フェノール系エポキシノボラック(CAS No. [9003-35-4])及びクレゾール系エポキシノボラック(CAS No. [37382-79-9])である。
【0328】
脂肪族グリシジルエーテルは、例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2-テトラキス[4-(2,3 エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043-37-4])、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(a,ω-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)(CAS No.[16096-30- 3])及び水素化ビスフェノールA(2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、CAS番号[13410-58-7])である。
【0329】
エポキシド(メタ)アクリレート及びエポキシドビニルエーテルは、幾つかの態様において、200〜20000の数平均分子量Mnを有する。(メタ)アクリル基又はビニルエーテル基含有分は、1000g当たり1〜5個のエポキシド(メタ)アクリレート又はビニルエーテルエポキシド(標準としてポリスチレン及び溶離剤としてテトラヒドロフランを使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定)であることができる。
【0330】
化合物(C6)及び/又は(D6)に含まれる(メタ)アクリル化ポリアクリレートは、α,β-エチレン系不飽和カルボン酸とポリアクリレートポリオールとの対応するエステルである。この種のポリアクリレートポリオールは、幾つかの態様において、少なくとも1000〜80000の分子量Mnを有する。幾つかの態様はDIN53240-2に従って測定されたポリアクリレートポリオールのOH価15〜250mgKOH/gを有する。
【0331】
さらに、ポリアクリレートポリオールは、DIN EN ISO 3682による酸価200mgKOH/g以下を有することができる。ポリアクリレートポリオールは、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルと、少なくとも1つの、幾つかの態様では正確に1つのヒドロキシル基と、少なくとも1つの、幾つかの態様では、正確に1つの(メタ)アクリレート基とを有する少なくとも1種の化合物とのコポリマーである。後者は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸(参照を容易にするために本開示において「(メタ)アクリル酸」と呼ばれる)などのα,β-不飽和カルボン酸のジオール又はポリオールとのモノエステルであることができ、該ジオール又はポリオールは、幾つかの態様において、2〜40個の炭素原子及び少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,1-ジメチル-1,2-エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、スレイトール、エリスリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、162〜4500のモル質量を有するポリTHF、134〜2000のモル質量を有するポリ-1,3-プロパンジオール又はポリプロピレングリコール、又は、238〜2000のモル質量を有するポリエチレングリコールである。
【0332】
多くの態様において、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-もしくは3-ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4-ブタンジオールモノアクリレート又は3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルアクリレートは使用される。ヒドロキシル基を有するモノマーは、フリーラジカル重合性モノマーであることができる他の重合性モノマーとの混合物中での共重合に使用され、その一部は、50質量%を超える程度のC1-C40アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、40個以下の炭素原子を有するビニル芳香族化合物、40個以下の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステル、ハロゲン化ビニル、4〜8個の炭素原子及び1又は2個の二重結合を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル及びこれらの混合物から構成されうる。多くの態様は、具体的には、60質量%を超える程度のC1-C40アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルイミダゾール又はこれらの混合物から構成されるポリマーを含む。
【0333】
ポリマーは上記ヒドロキシル基含有分に対応するヒドロキシル官能性モノマー、及び、所望ならば、さらなるモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸のグリシジルエポキシエステル又はエチレン系不飽和酸、さらに特にカルボン酸、酸無水物又は酸アミドをさらに含むことができる。
【0334】
化合物(C7)及び/又は(D7)に含まれるカーボネート(メタ)アクリレートは、化合物(C5)/(D5)などのメタクリル化エポキシド及び(C4)/(D4)などのメタクリル化ウレタンが様々な官能価をもってどのように得られるかの方法と同様にして、様々な官能価をもって得ることができる。多くの態様におけるカーボネート(メタ)アクリレートの数平均分子量Mnは3000g/モル未満(ポリスチレンを標準として用い、溶媒:テトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって決定)である。
【0335】
炭酸エステルを、多価、好ましくは二価アルコール(ジオール、例えば、ヘキサンジオール)とエステル交換させ、次いで、遊離OH基を(メタ)アクリル酸でエステル化するか、又は、(メタ)アクリル酸エステルを用いてエステル交換することにより、カーボネート(メタ)アクリレートを単純に得ることができ、例えば、EP-A 92 269に記載されているとおりである。それらは、例えば、ホスゲン、尿素誘導体と多価アルコール、二価アルコールとの反応によっても得ることができる。
【0336】
ビニルエーテルカーボネートは、ヒドロキシアルキルビニルエーテルと炭酸エステル、及び、所望ならば、二価アルコールとの反応によって同様に得ることができる。また、記載されたジオール又はポリオールの1つ及び炭酸エステル及びさらにはヒドロキシル含有(メタ)アクリレート又はビニルエーテルの反応生成物などの、ポリカーボネートポリオールの(メタ)アクリレート又はビニルエーテルも考えられる。適切な炭酸エステルの例は、エチレンカーボネート、1,2-又は1,3-プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート又はジブチルカーボネートである。
【0337】
適切なヒドロキシル含有(メタ)アクリレートの例は2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-もしくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレートである。適切なヒドロキシル含有ビニルエーテルの例は2-ヒドロキシエチルビニルエーテル及び4-ヒドロキシブチルビニルエーテルである。
【0338】
多くの態様は下記式のカーボネート(メタ)アクリレートを含むことができる。
【化8】
(上式中、RはH又はCH
3であり、XはC
2-C
40 アルキレン基であり、nは1〜5の整数である)。Rは、好ましくは、Hであり、Xは好ましくはC
2 〜C
40 アルキレンであり、例えば、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン又は1,6-ヘキシレンである。
【0339】
多くの態様におけるカーボネート(メタ)アクリレートは脂肪族カーボネート(メタ)アクリレートであることができる。多官能重合性化合物の中でも、多くの態様は特にウレタン(メタ)アクリレート(C4)及び/又は(D4)を含むであろう。
【0340】
本開示の特定の態様において、成分(C)又は成分(D)の少なくとも1つは合成成分としてジオールを有し、ポリテトラヒドロフランジオール(H-[-O-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-]
k-OH)、ポリエチレングリコール(H-[-O-CH
2-CH
2-]k-OH)、ポリプロピレングリコール、H-[-O-CH
2-CH(CH
3)-]
k-OH、ポリカプロラクトンジオール(-[-O-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-(CO)-]
k-R
8-OH)及びポリエステルジオール(HO-[R
8-O-(CO)-R
9-(CO)-O-R
8-]
k -OH)からなる群より選ばれる。
【0341】
上記の式において、R
8及びR
9は互いに独立して、少なくとも1個の炭素原子を有する二価脂肪族又は脂環式基であり、kは問題のモル質量を得るのに十分な値を有する正の整数である。
【0342】
特定の態様において、基R
8及びR
9は互いに独立して、メチレン、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン、1,1-ジメチル-1,2-エチレン又は1,2-ジ- メチル-1,2-エチレン、1,5-ペンチレン、1,6-ヘキシレン、1,8-オクチレン、1,10-デシレン又は1,12-ドデシレンである。
【0343】
本開示において、成分はまた、以下に示すように、チオール-エン反応によって、閉じ込め、硬化し又は架橋することができる。チオール-エン反応はチオエーテルを形成するチオールとアルケンとの付加反応である。上記化合物のいずれも多官能性かつ重合性であることができる。チオールはまた、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、(メタ)アクリレート、ビニル及び/又は共役ジエンと反応することもできる。
【0344】
成分(A)、(B)、(C)及び(D)に加えて、種々の態様は光開始剤でありうる成分(E)をさらに含むことができる。成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計に基づいて、本開示の組成物は0〜10質量%の少なくとも1種の光開始剤(E)を含むことができる。光開始剤(E)は、例えば、当業者に知られた光開始剤であることができ、その例は"Advances in Polymer Science", Volume 14, Springer Berlin 1974又はK. K. Dietliker, Chemistry and Technology of UV- and EB-Formulation for Coatings, Inks and Paints, Volume 3; Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P. K. T. Oldring (ed.), SUA Technology Ltd, Londonに特定されているものである。
【0345】
適切な光開始剤はWO 2006/005491 A1、第21頁第18行〜第22頁第2行(US 2006/0009589 A1、段落[0150]に対応する)に記載される種類のものであり、それを本開示の一部として参照により本明細書中に取り込む。
【0346】
DE-A 198 26 712、DE-A 199 13 353又はWO 98/33761に記載されているようなフェニルグリオキサル酸エステル型の非黄変又は低黄変光開始剤も適している。本開示の態様のために選択される特定の光開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン及び2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンが挙げられる。
【0347】
成分(A)、(B)、(C)及び(D)に加えて、種々の態様は添加剤でありうる成分(F)をさらに含むことができる。本開示の態様は、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び1つ以上の成分(F)を含むことができると考えられる。成分(A)、(B)、(C)、(D)及び時に(E)の合計に基づいて、本開示の組成物は0〜10質量%の典型的な添加剤(F)をさらに含むことができる。
【0348】
使用することができるさらなる典型的な添加剤(F)の例としては、酸化防止剤、安定剤、活性剤(促進剤)、充填材、顔料、染料、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤又はキレート剤が挙げられる。
【0349】
1種以上の熱活性化開始剤を添加することがさらに可能であり、その例はペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化ジベンゾイル、過酸化シクロヘキサノン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカーボネート、tert-ブチルペルオクトエート又はベンズピナコールであり、また、例えば、80℃での半減期が100時間を超える熱活性化開始剤、例えば、ジ-tert-ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルペルベンゾエート、シリル化ピナコールであり、それらはWackerから商品名ADDID 600で市販されており、又は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシルなどのヒドロキシル含有アミンN-オキシドである。適切な開始剤のさらなる例は"Polymer Handbook", 2nd Ed., Wiley & Sons, New Yorkに記載されている。
【0350】
考慮される増粘剤としては、フリーラジカル(共)重合(コ)ポリマーだけでなく、ヒドロキシメチルセルロース又はベントナイトなどの典型的な有機及び無機増粘剤も挙げられる。
【0351】
使用できるキレート剤の例としては、エチレンジアミン酢酸及びその塩、ならびにβ-ジケトンが挙げられる。適切な充填材としてはケイ酸塩が挙げられ、例としては四塩化ケイ素加水分解によって得られる珪酸塩であり、例えば、デグサ(Degussa)のAerosil(登録商標)、珪質土、タルク、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどである。適切な安定剤としては、オキサニリド、トリアジン及びベンゾトリアゾール(後者はTinuvin(登録商標)製品として入手可能)及びベンゾフェノンなどの典型的なUV安定剤が挙げられる。それらは単独で使用され、又は、適切なフリーラジカルスカベンジャーと一緒に使用することができ、例としては、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,6-ジ-tert-ブチルピペリジン又はその誘導体、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートなどの立体障害アミンである。安定剤は、典型的には、調製物に含まれる固体成分を基準にして、0.1質量%〜5.0質量%の量で使用される。
【0352】
組成物はさらに、溶媒、例えば水、酢酸ブチル、酢酸エチル、メトキシプロピルアセテート、トルエン、キシレン、フッ素化芳香族化合物ならびに脂肪族及び芳香族炭化水素混合物を含むことができる。
【0353】
温度管理及び熱放散のためのPCM−TMMフィルムの製造方法
液体、粉末、粒状又は固体組成物を含む、基材上に適用するために調製されるTMM組成物は、より高い温度ですべての成分を一緒に混合するなどの任意の便利な手段によって調製することができる。多くの態様において、この温度は、PCM/pPCM/fpPCMの相変化温度よりも高い。TMMは充填材及び粒子のカップリング剤又はシランによる前処理など、特定の反応又は相互作用を促進するために、特定の順序で成分を添加することによって製造することができる。TMMは、低温、室温又はそれ以上の温度で混合することができる。TMMは混合容器、反応器、押出機などで調製することができる。
【0354】
キャスティング、コーティング及び他の適用形態の方法
PCM−TMMは任意の適切なコーティング、ラミネート化、層状化、注入などの技術を用いて、熱管理を要求する物体に隣接して、その物体上に又はその内部に形成されるテープ、フィルムケーシング、コーティング、ラミネート、注入物、トリートメント、ガム、ゲル、フィルム、シート、グリース、ワックスとして、又は、コーティング、ラミネート、注入物、トリートメント、コーキング(caulks)、ガム、ゲル、フィルム、シート、テープ、グリース、ワックス中の成分として実装されうる。適用技術及び形態には、フィルム又はテープを1回又は複数回手で又は機械的にラップすること、スプレーコーティング、空気噴霧スプレー、エアレス噴霧スプレー、静電スプレー、スロットダイコーティング、コンタクトスロットコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、ローラーコーティング、キスコーティング、トランスファーコーティング、フォームコーティング、ブラシ塗布、スクリーンプリンティング、パッディング、ディッピング又は浸漬、含浸(saturating)、プリンティング、圧力又は重力フィードノズル/ガン、ホットメルトアプリケータ、ポンプガン、手動式ガン、シリンジ、ニードルガン、様々な形状及び寸法のノズル、モールディング、オーバーモールディング、インジェクションモールディング、RIM、プレプレグ、樹脂トランスファー成形(RTM)、真空注入プロセス(VIP)及び真空支援RTM(VARTM)などの樹脂注入プロセス、プルトルージョン、押出成形、プラズマなどが挙げられる。TMMは、最終使用者への出荷及びその後の輸送のためにロール又は個別に切断されたシートとして製造することができる。このようなテープ又はフィルムのシートは、シートが特定の物体の周りにラップされうる回数を予想する標準サイズで製造することができ、標準サイズ及び形状は予想される用途に応じて変えることができる。
【0355】
本開示の組成物は、フィルム、テープ又はシートなどの成形コンパウンドとして適しており、場合により、繊維により強化されていてよく、又は、木材、紙、テキスタイル、革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物建築材料、例えば、成形セメントブリック及び繊維セメントスラブ、又は、被覆金属又は非被覆金属などの基材のコーティングのために適する。多くの態様において、基材は、プラスチック又は金属であることができ、それ自体がフィルム又はホイルの形態で存在してよい。多くの態様は金属基材を利用することができる。
【0356】
材料は1回より多く適用されることができ、一成分又は二成分噴霧ユニットを使用して、圧縮空気、エアレス又は静電噴霧法などの非常に広範囲の噴霧方法のいずれかにより行い、又は、注入、こて、ナイフコーティング、ブラシ塗布、ローリング、ローラーコーティング、ポアリング、ラミネート化、インジェクションバックモールディング又は複数の層の同時押出により行う。
【0357】
液体組成物の適用プロセスは、特定の組成物の最適な適用に必要とされる温度条件に応じて、低温、暖温、高温又は室温、すなわち、室温より高い又は低い温度、すなわち−100℃〜400℃で行うことができる。
【0358】
本開示の組成物は基材に適用することができる。本開示の組成物による基材の処理は、当業者に知られた典型的なプロセスに従って行われる。組成物を所望の厚さで標的基材に適用し、場合により乾燥させることができる。この操作は、1回以上繰り返してもよい。基材への適用は、一般的に以前に記載された適用方法と同様に、既知の方法で行うことができる。例えば、基材への適用は、スプレー塗布、こて、ナイフコーニング、ブラシ塗布、ローリング、ローラーコーディング、ポアリング、ラミネート化、インジェクションバックモールディング又は同時押出によって行うことができる。材料は粉末の形態で静電的に適用されてもよい(粉末コーティング材料)。多くの態様において、組成物は厚さが200μm以下であることができる。しかしながら、他の態様は、より薄くても厚くてもよいと考えられる。多くの態様におけるフィルムの厚さは、約3〜1000g/m
2の範囲であることができる。他の態様では、より具体的には10〜200g/m
2であることができる。
【0359】
硬化方法
いったん本開示の液体又は粉末組成物をコーティング又はキャストすると、それらは多くの異なる方法で硬化されうる。この方法の幾つかの態様では、液体組成物を単に乾燥させて硬化させることができ、他の態様では、最初に乾燥させて、次いで、別の硬化プロセスで硬化させることができる。
【0360】
液体又は粉末組成物を硬化させることができる1つの方法は、化学線による方法である。例えば、200nm〜700nmの波長範囲を有する化学線が有用である。例えば、30mJ/cm
2〜2000mJ/cm
2の範囲のエネルギーを有する化学線は有用である。化学線は、有利には、連続的に、又は、代わりに、点灯の形態で適用されうる。
【0361】
本開示の組成物を硬化させる別の方法は適切な電子フラッシュデバイスを通した電子線照射である。この電子線照射は、幾つかの態様では、50〜300keVの範囲のエネルギー、他の態様では、特定的に90〜200keVのエネルギーで行うことができる。
【0362】
硬化が電子線照射によって行われるときに、本開示の混合物は光開始剤(E)を含まなくてもよい。これは、照射によって形成されたコーティング中に移行可能な光開始剤成分が残らないという利点を有する。これは、光開始剤に関連する食物汚染の懸念から、コーティングが食物接触を意図しているときに特に有利である。
【0363】
本開示の硬化方法の特定の態様では、電子フラッシュデバイスの印刷表面までの距離は、1〜100cm、より具体的には2〜50cmであることができる。
【0364】
放射線硬化は、例えば、高エネルギー光、UV光又は電子ビームで行うことができる。放射線硬化は比較的高温で起こりうる。放射線硬化性バインダーが使用されるときに、放射線硬化は放射線硬化性バインダーのTgを超える温度で起こりうる。
【0365】
放射線硬化の他に、さらに硬化機構が関与してもよい。幾つかの例としては、熱硬化(例えば、イソシアネート-アルコール又は湿分、メラミン-アルコール、エポキシ-エポキシ、エポキシ-酸、エポキシ-アミン、カチオン硬化などの重付加/縮合反応)、湿分硬化(例えば、シロキサン縮合、イソシアネートなど)、化学的硬化(過酸化物などによるフリーラジカル硬化)及び/又は酸化硬化が挙げられる。幾つかの態様では、熱硬化及び放射線硬化の両方の組み合わせは使用されてよく、他の態様では、硬化は放射線硬化のみによって達成されてよい。
【0366】
コーティングの乾燥及び硬化は、一般に、標準的な温度条件下で行われ、すなわち、コーティングは加熱されることなく行われる。あるいは、本発明の混合物を使用してコーティングを製造し、適用後に、例えば40〜250℃の高温で乾燥されそして硬化されることができる。これは、基材の熱安定性によって制限される。
【0367】
組成物が熱硬化性配合物(樹脂としても知られている)と混合される態様において、組成物を基材に適用し、乾燥させ、その後に、酸素含有雰囲気下で電子線又はUV暴露で硬化させることができ、又は、好ましくは不活性ガス下で、場合により乾燥温度のレベルまでの温度で硬化させることができる。
【0368】
コーティング材料の複数の層が互いに重なり合って適用されるならば、乾燥及び/又は放射線硬化は各コーティング操作後に場合により行われてよい。
【0369】
放射線硬化のための適切な放射線源の例は、低圧、中圧及び高圧水銀ランプ、及び、蛍光管、パルスランプ、メタルハライドランプ、光開始剤なしに放射線硬化を行うことができる電子フラッシュデバイス、又は、エキシマーランプである。放射線硬化は、高エネルギー放射線、すなわち、紫外線又は昼光、好ましくはλ= 200〜700nmの波長範囲で放出される光への暴露、又は、高エネルギー電子(電子線; 150〜300keV)による照射により行われる。使用される放射線源の例としては、高圧水銀蒸気ランプ、レーザー、パルスランプ(フラッシュ光)、ハロゲンランプ又はエキシマーランプが挙げられる。UV硬化の場合に架橋のために典型的に十分な放射線量は80〜3000mJ/cm
2の範囲にある。
【0370】
2つ以上の硬化用放射線源を本方法の特定の態様で使用することができると考えられる。例えば、2〜4つの放射線源を使用することができる。これらの源はまた、それぞれ異なる波長範囲で発光することができる。
【0371】
熱処理に加えて又は熱処理の代わりに、ここで760nm〜2.5μmの波長範囲の電磁線を指すNIR線によって乾燥及び/又は熱処理を行うこともできる。
【0372】
放射線照射は、場合により、酸素の不存在下に、例えば不活性ガス雰囲気下に行うこともできる。適切な不活性ガスとしては、窒素、貴ガス、二酸化炭素又は燃焼ガスが挙げられる。幾つかの態様において、DE-A1 199 57 900に記載された方法で放射線照射を行うことができる。
【0373】
適用プロセスと同様に、硬化プロセスは、低温、暖温、高温又は室温で行うことができる。範囲は、例えば、−100℃〜400℃を含むことができる。TMM又は種々の層を硬化させ、架橋させ、乾燥させ又はさらに反応させて、層の間又は層内の結合を生じさせるか、又は,追加の層の適用を容易にする。これらの方法はいずれかのエネルギー源によって達成することができる。例は熱、加熱、光、UV、IR、放射線、太陽、誘導、圧力、音又は音波、X線、ラジオ波、ガンマ波、マイクロ波、レーザー、電子ビーム、プラズマなどである。
【0374】
幾つかの態様において、異なる組成を有するPCM−TMMの複数の層は利用される。チューブ、スリーブ又はラップされたテープなどの任意のPCM−TMM物品は、様々な実装法に要求される少数又は多数の層を含むことができると考えられる。
【0375】
図31は、本開示の態様によるPCM−TMMフィルムを形成するために通過することができる方法3100を示すフローチャートである。第一に、3101において、本方法は、少なくとも3種の化合物を混合することを含み、ここで、第一の化合物はポリマー相変化材料を含み、第二の化合物は添加剤を含み、第三の化合物は、液体形態において第一の化合物及び第二の化合物の溶媒として作用しそしてポリマーとして固体形態に硬化可能である分子を含む。次に、3102において、本方法は、液体形態で第一、第二及び第三の化合物の混合物を基材に適用することを含むことができる。次に、3103において、本方法は混合物を固体状態に硬化させることを含むことができる。
【0376】
特定の組成物の例を提供することによって、出願人は、請求の範囲をこれらの特定の組成物のいずれかに限定することを意図しないことは明らかに理解されるべきである。逆に、本明細書に記載の官能基、ポリマー相変化材料及び物品の任意の組み合わせを利用して、本開示の新規の側面を達成することができることが予測される。特許請求の範囲は、本開示に記載された特定の化合物、本明細書中に組み込まれた開示、又は、上記の例のいずれにも限定されることが意図されない。
【0377】
本開示はその特定の態様を参照して説明されているが、当業者により、添付の特許請求の範囲に規定されるとおりの本開示の真の主旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、同等物で置き換えることができることは理解されるべきである。さらに、特定の状況、材料、化合物、方法、プロセス工程(1つ又は複数)を本開示の目的、主旨及び範囲に適合させるために、多くの変更はなされうる。そのような変更はすべて、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。特に、特定の順序で実行される特定の工程を参照して本明細書に開示される方法を説明してきたが、これらの工程を組み合わせて、細分化し又は再順序付けして、本開示の教示から逸脱することなく等価の方法を形成することができることは理解されるであろう。したがって、本明細書に具体的に示されていない限り、工程の順序及びグループ分けは本開示の限定ではない。
以下に本発明の非限定的な態様の例を示す。
(態様1)
熱管理能力を有するポリマーフィルムを製造する方法であって、
少なくとも3種の化合物を混合し、
第1の化合物はポリマー相変化材料を含み、
第2の化合物は添加剤を含み、
第3の化合物は、その液体状態で第1及び第2の化合物の溶剤として作用しかつポリマーとして固体状態に硬化可能である化合物を含み、
液体状態の前記第1、第2及び第3の化合物の混合物を基材に適用し、そして
該混合物を固体状態に硬化することを含む、方法。
(態様2)
前記化合物がモノマーである、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記ポリマーがポリマー相変化材料である、態様1に記載の方法。
(態様4)
前記ポリマー相変化材料が官能性ポリマー相変化材料である、態様3に記載の方法。
(態様5)
前記第3の化合物が1種と4種の間の放射線硬化性化合物を含む、態様1に記載の方法。
(態様6)
前記放射線硬化性化合物のそれぞれが少なくとも1つのフリーラジカル重合基を含む、態様5に記載の方法。
(態様7)
前記放射線硬化性化合物の少なくとも1種が反応してポリマー相変化材料を生成可能である、態様6に記載の方法。
(態様8)
前記放射線硬化性化合物の少なくとも1種が反応して官能性ポリマー相変化材料を生成可能である、態様7に記載の方法。
(態様9)
前記硬化がUV硬化である、態様1に記載の方法。
(態様10)
前記基材が接着剤である、態様1に記載の方法。
(態様11)
前記基材が金属である、態様に記載の方法。
(態様12)
前記適用をキャスト又はコーティングの一方で行う、態様1に記載の方法。
(態様13)
少なくとも1種のポリマー相変化材料と、
少なくとも1種の添加剤と、
硬化した液体モノマー溶剤から生成された固体ポリマーマトリックッスと
を含む、熱管理能力を有するフィルム。
(態様14)
さらに基材バッキングを含む、態様13に記載のフィルム。
(態様15)
前記基材バッキングが接着剤である、態様13に記載のフィルム。
(態様16)
前記基材バッキングが金属である、態様14に記載のフィルム。
(態様17)
前記固体ポリマーマトリックスが少なくとも1種の他のポリマー相変化材料を含む、態様13に記載のフィルム。
(態様18)
前記少なくとも1種の添加剤が難燃剤、防水剤、防食剤、エネルギー伝導性添加剤、及び耐衝撃剤の1種である、態様13に記載のフィルム。
(態様19)
前記フィルムが熱の適用により収縮ラップされるように構成されている、態様13に記載のフィルム。
(態様20)
さらに経皮膚薬剤を含む、態様13に記載のフィルム。
(態様21)
熱管理のためのシステムであって、
熱を放出する対象物と、
熱を放出する対象物の周りにラップされた熱管理能力を有するフィルムとを含み、前記フィルムは
少なくとも1種のポリマー 相変化材料、
少なくとも1種の添加剤、及び
硬化した液体モノマー溶剤から生成した固体ポリマーマトリックスを含み、
前記相変化材料は転移温度と前記熱を放出する前記対象物から熱を放散する潜熱貯蔵範囲とを有する、システム。
(態様22)
さらに前記対象物を周囲冷温度から保護する材料を含む、態様21に記載のシステム。
(態様23)
前記材料が転移温度と前記対象物に熱を放出する潜熱貯蔵範囲とを有する第2の相変化材料を含む、態様22に記載のシステム。
(態様24)
前記材料が反射性絶縁層を含む、態様22に記載のシステム。
(態様25)
前記フィルムが前記対象物の周りに完全にラップされている、態様21に記載のシステム。
(態様26)
前記フィルムが前記対象物の周りに1回より多くラップされている、態様21に記載のシステム。
(態様27)
前記対象物がパイプである、態様21に記載のシステム。
(態様28)
前記対象物が電気化学セルである、態様21に記載のシステム。
(態様29)
前記対象物が液体又は気体物質を貯蔵するタンクである、態様21に記載のシステム。
(態様30)
前記対象物が液圧装置の部品である、態様21に記載のシステム。
(態様31)
前記対象物が乗物の部品である、態様21に記載のシステム。
(態様32)
前記対象物がコンピュータの部品である、態様21に記載のシステム。
(態様33)
前記対象物が電線である、態様21に記載のシステム。