【実施例】
【0103】
実施例
特に表示しない限り、用いた方法は、標準的な生化学及び分子生物学の技術である。好適な方法論の教科書の例としては、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995),John Wiley and Sons,Inc.が挙げられる。
【0104】
実施例1−ポリペプチドの設計、製造及び精製
成熟したIdeS分子を解析し、突然変異に好適な領域を同定した。いくつかの場合においては、インシリコ評価を用いて、突然変異で起こり得る結果を評価した。各ポリペプチドの配列を決定し、各ポリペプチドをコードするcDNAを、導入された突然変異の数に応じて、出発配列の部位特異的突然変異又は合成のいずれかによって、GeneCust,Luxembourgで生成した。cDNAを配列決定し、短いグリシンリンカー(3×Gly)によってC末端に連結したC末端6×Hisタグとインフレームで、pET9a発現ベクター(Novagene)に移した。細菌の発現を向上させるために、N末端メチオニンを付加した。E.コリBL21(DE3)(Stratagene)を、プラスミドで形質転換(熱ショック)して、30μg/mlのカナマイシンを含有するLBアガロースプレート上に播種した。単一のコロニーを拾い、一晩の培養(3mlのLB培地)を37℃、250rpmで開始した。翌日、グリセロールストックを調製し、30μg/mlのカナマイシン及び消泡剤を添加した10mlのTB培地に終夜培養液を植菌し、OD0.6〜0.8(37℃、300rpm)まで増殖させた。この時点で、IPTG(1mM)を加え、1時間培養を継続した後、遠心分離により細菌を回収した。ペレットをPBS中で洗浄し、−20℃で凍結させた。細菌溶解のための凍結融解プロトコルを用い(各1ml PBSにおいて3回の凍結/融解サイクル)、タンパク質を、Ni−NTAを予め充填したスピンカラム(Pierce)を用いて精製した。精製後、溶出したタンパク質を、緩衝液交換(MWCO 9K Millipore cfg装置中に3倍容量のPBS)前に、10mM DTTで活性化した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)無染色12%Mini−PROTEAN(登録商標)TGX(商標)プレキャストゲル(Biorad)SDS−PAGEを用いて、各タンパク質の純度及び安定性を評価した。
【0105】
以下の表には、試験した各ポリペプチドについて行った変更を、N末端メチオニン及びhisタグを含まない、成熟IdeZ又はIdeS/Zと比較してまとめている。従って、本明細書に記載される実験において用いられる各ポリペプチドの配列は、典型的には、該表に示される通りの配列番号の配列と、追加のN末端メチオニン及び短いグリシンリンカーによってC末端に連結したhisタグを含む。
【0106】
【表8】
【0107】
【表9】
【0108】
コントロールとして、改造型IdeS、IdeZ及びIdeS/Zを、上記と同じ方法論を用いて製造した。これら改造型を、本明細書において、それぞれpCART124、pCART144及びpCART145と言う。
【0109】
pCART124は、配列番号2の配列と、追加のN末端メチオニン及び短いグリシンリンカーによってC末端に連結したhisタグを含む。
pCART124の配列を以下に示す:
【0110】
【化2】
【0111】
pCART144は、配列番号4の配列と、追加のN末端メチオニン及び短いグリシンリンカーによってC末端に連結したhisタグを含む。
pCART144の配列を以下に示す:
【0112】
【化3】
【0113】
pCART145は、配列番号5の配列と、追加のN末端メチオニン及び短いグリシンリンカーによってC末端に連結したhisタグを含む。
pCART145の配列を以下に示す:
【0114】
【化4】
【0115】
更なるコントロールとして用いるために、タグを欠いているIdeSも、自動化された多段階クロマトグラフィー精製を用いて、製造管理及び品質管理に関する基準(GMP standard)と無関係に製造した。このポリペプチドを、本明細書においてBX1001865と言う。
【0116】
試験したポリペプチド並びにpCART124、pCART144及びpCART145のそれぞれを製造するために用いたcDNA配列を以下に示す。各cDNA配列は、3’末端にN末端メチオニン(ATG)のコドン、及び5’末端の停止コドン(TAA)の前の、グリシンリンカー及びヒスチジンタグのコドンを含む。
【0117】
【化5-1】
【0118】
【化5-2】
【0119】
【化5-3】
【0120】
【化5-4】
【0121】
【化5-5】
【0122】
【化5-6】
【0123】
【化5-7】
【0124】
実施例2−効力の評価(IgG切断の有効性)
ELISA
ELISAベースの効力アッセイを用いて、酵素活性を測定した。ELISAの原理は、マルチタイタープレートのウェルを抗体標的(BSA)でコーティングし、次いで種々の濃度の(試験又はコントロールの)IgGシステインプロテアーゼポリペプチドを、ウェル中の抗BSA抗体とインキュベーションした後、検出抗体を用いて、ウェルに結合した抗BSA抗体の量を検出することである。ある特定の、ウェル中のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドの濃度が高いほど、ウェルに結合する無傷の抗BSAポリペプチドはより少なく、もたらされるシグナルはより弱い。同様に、同じ濃度で存在する場合、より強力なIgGシステインプロテアーゼポリペプチドは、より効力が弱いIgGシステインプロテアーゼポリペプチドよりも、弱いシグナルをもたらす。
【0125】
基準IdeS、BX1001865を、1:2の段階希釈で、320nMから0.16nMまでの滴定シリーズとして調製し、アッセイ用の標準較正曲線を描くことを可能にした。複数の既知濃度についてのアッセイで得られた、試験した各ポリペプチドの結果を較正曲線の直線部分と比較して、同じ効力を達成する基準IdeSの濃度を決定した。各ポリペプチドの既知の濃度を、曲線から決定した、基準IdeSの等価濃度で割ることにより、基準IdeS BX1001865と比較した効力の倍数変化であるスコアがもたらされる。例えば、5nM試験ポリペプチドが較正曲線上の10nM基準IdeSに等しい結果を出す場合、試験ポリペプチドは、基準IdeS BX1001865の2倍超の効力を有する。基準IdeS BX1001865に対する効力の倍数変化の平均スコアを、試験した各ポリペプチドについて、種々の濃度で得られた全スコア(それらが較正曲線の直線部分内にあることを条件とする)から算出した。次いで、プレート間の比較を可能にするために、この平均スコアを、各プレートに含めたpCART124の基準IdeSについて得た平均スコアと比較した。pCART124についての平均スコアを、試験ポリペプチドについての平均スコアで割って「pCART124比」を編み出した。これは事実上、各ポリペプチドについての効力の、IdeSに対する倍数変化である。このpCART124比は、次いで、棒グラフに視覚化し得る。
【0126】
実験プロトコルの簡単な要旨:マルチタイタープレートのウェルを、BSA(10μg/ml)で一晩コーティングし、次いでPBS−Tで洗浄し、PBS中2%魚皮ゼラチンで1時間ブロッキングした。IdeS BX1001865ポリペプチドは、0.1%ゼラチンを含むPBS中、1:2の段階希釈で、320nMから0.16nMまでの滴定シリーズとして調製した。次いで、試験ポリペプチド及びpCART124コントロールを、0.1%ゼラチンを含むPBS中、それぞれ15、7.5、3.75及び1.9nMで調製した。50μlのポリペプチド試料を、50μlのウサギ抗BSA(ACRIS、#R1048P、10nM)を基質として含む各ウェルに加えた。プレートを室温で1時間インキュベーションし、次いでPBS−Tで洗浄した。特異的なビオチン化抗ウサギFcヤギ抗体(30,000×希釈)を検出抗体として加え、30分間インキュベーションした。プレートを洗浄し、40000倍に希釈したストレプトアビジン(SA)−セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP;Pierce)を加え、30分間インキュベーションした。プレートを洗浄し、HRP用の発色基質としてTMB One Componentを用いて、7分間発色させ、0.5M H
2SO
4で停止させた。λ=450nmで吸光度(OD)を測定した。各試験ポリペプチドについて、及びpCART124について、BX1001865と比較した効力の倍数変化についての平均スコアを決定した。次いで、各試験ポリペプチドについての「pCART124比」を、上記の通り算出した。
【0127】
pCART191、192、193、194、197、198、200及び201についての「pCART124比」の結果を、pCART124についての結果と共に、
図1に示す。本明細書に示される本発明の例示的なポリペプチドは全て、IdeSコントロール(pCART124)と比べて、少なくとも同等の効力を達成する。pCART194、197、200及び201は全て、はるかに高い効力、pCART197及びpCART201についての、コントロールよりも8.0倍も高い向上でさえ、達成する。
【0128】
興味深いことに、pCART200及び201は、両方、N末端に対する改変を含む。また、pCART194及び197は、それぞれN138R/K改変を有する。配列番号3の139位に対応する位置での、正電荷アミノ酸への変化は、N138R/K置換と同様の結果を生じると予想される。138位及び139位は、配列番号3の134位から144位にわたるベータヘアピン構造のループ中に位置する。本明細書で得られた結果に基づくと、138位及び139位のいずれか又は両方における、正電荷アミノ酸への変化が、IgGシステインプロテアーゼ活性を増加させると予想される。
【0129】
pCART202、203及び204についての結果を
図2に示す。特にpCART203は、IdeSより約3.5倍強力である。pCART202は、IdeSより1〜1.5倍強力である。pCART204は、pCART144に匹敵する効力を有する。
【0130】
IgG切断パターンの可視化
種々の基質中の、各ポリペプチドの滴定シリーズによって生成された切断産物を、SDS−PAGEで可視化することにより、種々のpCARTポリペプチドの有効性を更に評価した。純粋IgG基質中での有効性を試験するために、アダリムマブ(Humira)をIgG1用に用い、デノスマブ(XGEVA)をIgG2用に用いた。より複雑な生理学的環境中での有効性を試験するために、ポリペプチドをIVIg(Octagam)中(in in)でもいくつか滴定した。これにより、中和作用を有する抗IdeS抗体がポリペプチド活性に与える影響を評価できる。各ポリペプチドの切断パターンを、同一基質中のIdeS(BX1001865及びpCART124)の切断パターンと比較する。プロトコルは以下の通りである:
【0131】
純粋IgGの試験のために、各試験ポリペプチド又はコントロールを、支持タンパク質として0.05%BSAを含むPBS中、1:3の段階滴定シリーズで、6.7μg/mlから0.04ng/mlまで希釈した。各濃度の25μlをマルチタイタープレートに移し、切断反応を、Humira又はXGEVA(2mg/ml)のいずれか25μlを加えることによって開始した。従って、各出発濃度のポリペプチドは、ウェル中で1:2に希釈され、3.3μg/ml〜0.02ng/mlの滴定シリーズがもたらされる。
【0132】
IVIg試験のために、各試験ポリペプチド又はコントロールを、支持タンパク質として0.05%BSAを含むPBS中、1:2の段階滴定シリーズで、30μg/mlから0.015ng/mlまで希釈した。各濃度の25μlをマルチタイタープレートに移し、25μlの10mg/ml IVIgを加えることによって切断反応を開始させた。従って、各出発濃度のポリペプチドは、ウェル中で1:2に希釈され、15μg/ml〜0.0075ng/mlの滴定シリーズがもたらされる。
【0133】
プレートを、37℃で1.5時間インキュベーションした。試料を、2×SDSローディング緩衝液で1:4に混合し、92℃で5分間加熱した。10μlをポリアクリルアミドゲル(15ウェル4−20%Mini−PROTEAN(登録商標)TGX(商標)プレキャストゲル(Biorad))にロードし、これを、標準的なプロトコルに従って読み取った。
【0134】
図3は、pCART202、203及び204について、IgG1基質を用いて生成された切断パターンを、IdeSコントロール(pCART124及びBX1001865)及びIdeZ(pCART144)の両方と比較して示す。酵素濃度は、1:3の段階希釈系列で3.33μg/ml(レーン1)から0.02ng/ml(レーン12)まで低下させる(down to)。無傷のアダリムマブ(酵素なし)を、レーン13に示す。右側の矢印は、IgG由来の種々の切断産物を示す。矢印1:無傷IgG;矢印2:scIgG(1回切断IgG−第1のIgG重鎖の切断の結果);矢印3:F(ab’)
2断片(第2のIgG重鎖の切断の結果)。縦線を付記し、無傷IgGがscIgGになる第1のIgG重鎖切断(レーン6と7との間)、及びscIgGがF(ab’)
2断片になる第2のIgG重鎖切断(レーン2と3との間)での比較を容易にした。
【0135】
酵素IdeZ(pCART144)は、第1及び第2のIgG重鎖の両方の切断の有効性がより低い。IdeS(BX1001865及びpCART124)は、両方の重鎖の切断において、pCART144よりも約3倍有効(即ち、1滴定段階)である。IdeS(BX1001865及びpCART124)についての、1.5ng/ml(レーン8)での切断は、4.6ng/ml(レーン7)でのpCART144(IdeZ)切断と同等である。BX1001865及びpCART124は、4.6ng/ml(レーン7)で濃いscIGgバンド(矢印2)を示すが、pCART144は、この濃度(レーン7)でのscIgGバンド(矢印2)が極めて薄い。
【0136】
重要なことに、pCART202及びpCART203は、両方、IdeZ(pCART144)と比較して、IgGの切断における効力の増大を示し(レーン7及びレーン3)、より濃いscIgGバンド(矢印2)及びより濃いF(ab’)
2バンド(矢印3)を生じる。酵素pCART204に関して、有効性の増大は見られない。第2の重鎖の切断におけるpCART202の有効性は、IdeS(BX1001865及びpCART124)とほぼ同じであることが示される(レーン3を比較)。pCART202はIdeSより有効性が低いが、第1のIgG重鎖の切断に関しては、pCART144より有効である(レーン7を比較)。酵素pCART203は、主に第2の重鎖の切断において、IdeSよりも更に高い有効性を有し、0.37μg/ml(レーン3)において、BX1001865及びpCART124と比較して(矢印3及び2)、より濃いF(ab’)2バンド(矢印3)及びより薄いscIgGバンド(矢印2)をもたらす。
【0137】
従って、
図3は、全体で、pCART202及びpCART203の両方に見られる、以下の改変、R70T、Y71del、N72Q、N73Gを伴うIdeZ配列の改変が、pCART144(IdeZ)と比較して、第2のIgG重鎖の切断の有効性を増大させることを示す。更に、L64_T65del改変を導入することにより、第1の重鎖の切断の有効性も増大する(pCART203について見られる)。
【0138】
図4は、pCART202、203及び204について、IVIg基質を用いて生成された切断パターンを、IdeSコントロール(pCART124及びBX1001865)並びにIdeZ(pCART144)の両方と比較して示す。酵素濃度は、1:2の段階希釈系列で30μg/ml(レーン1)から0.015ng/ml(レーン12)まで低下させる。無傷のIVIg(酵素なし)を、レーン13に示す(このレーンが存在しないpCART203についての画像を除く)。右側の矢印は、IgG由来の種々の切断産物を示す。矢印1:無傷IgG;矢印2:scIgG(1回切断IgG−第1のIgG重鎖切断の結果);矢印3:F(ab’)2断片(第2のIgG重鎖切断の結果)。縦線を付記し、無傷IgGがscIgGになる第1のIgG重鎖切断(レーン6と7との間)、及びscIgGがF(ab’)
2断片になる第2のIgG重鎖切断(レーン2と3との間)での比較を容易にした。
【0139】
酵素pCART144(IdeZ)は、IdeS(BX1001865及びpCART124)と比較して、第1のIgG重鎖(レーン6)でより有効な切断を示し、より濃いscIgGバンド(矢印2)及びより薄い無傷IgGバンド(矢印1)を生じる。これは、おそらく中和作用を有する抗IdeS抗体による、pCART144(IdeZ)への結合のレベルが、それらの、IdeSの認識と比較して、より低いためである。pCART202、pCART203及びpCART204に見られる通り、第1の重鎖切断における有効性の増大は、すべてのIdeZ由来酵素に当てはまる(レーン6)。pCART202、pCART203及びpCART204に関して、0.94ng/ml(レーン6)の濃度では、scIgGの濃いバンドを生じ(矢印2)、ほとんどのIgGが1回切断されたが、同濃度のIdeSで生じるのは、50%未満のscIgGである(レーン6)。
【0140】
しかしながら、pCART144(IdeZ)は、IdeS(BX1001865及びpCART124)と比較して第2の重鎖の切断がより不十分である。このことは、レーン5(1.9ng/mlの酵素)、またレーン4及び3において、切断が継続して、隣の滴定段階(レーン4、3.75μg/ml)で既にF(ab’)2バンド(矢印3)へ、IdeSと比較して、より濃いscIgGバンド(矢印2)をもたらす。注目すべきことに、pCART203は、第2の切断部位において、IdeS(BX1001865及びpCART124)に匹敵する能力(レーン2、3及び4)を、及び第1の切断部位において、IdeS及びIdeZ(pCART144)の両方よりも高い切断の有効性(レーン7)を示す。
【0141】
酵素pCART203は、0.5ng/ml(レーン7)でIgG切断を実証し、約0.9ng/ml(レーン6)で大部分のscIgG(矢印2)を生成した。これは、0.9ng/ml(レーン6)で切断を開始し、1.9ng/mlで支配的なscIgGバンドを有する(レーン5)IdeSと比較して、2倍の有効性増大に相当する。
図4は、全体で、改変L64_T65del、R70T、Y71del、N72Q及びN73GでIdeZを改変すると、中和作用を有するADAの存在下でさえ、ヒトIgG切断の有効性が増大することを示す。このことは、IdeSと比較してpCART203に明確に見られる。
【0142】
図5は、pCART205、206、207、208及び210についての、IgG1基質を用いて生成された切断パターンを、IdeSコントロール(pCART124及びBX1001865)及びIdeZ(pCART144)の両方と比較して示す。酵素濃度は、1:3の段階希釈系列で3.33μg/ml(レーン1)から0.02ng/ml(レーン12)まで低下させる。右側の矢印は、IgG由来の種々の切断産物を示す。矢印1:無傷IgG;矢印2:scIgG(1回切断IgG−第1のIgG重鎖切断の結果);矢印3:F(ab’)
2断片(第2のIgG重鎖切断の結果)。縦線を付記し、無傷IgGがscIgGになる第1のIgG重鎖切断(レーン6と7との間)、及びscIgGがF(ab’)
2断片になる第2のIgG重鎖切断(レーン2と3との間)での比較を容易にした。
【0143】
酵素pCART205は、pCART144(IdeZ)と比較して、両方のIgG重鎖の切断(レーン6及び3)において能力の増大を示し、pCART144(IdeZ)(レーン6及び3)と比較して、より濃いscIgGバンド(矢印2、レーン6)及び無傷IgGの、非常に薄いバンド(矢印1、レーン6)並びにより濃いF(ab’)2バンド(矢印3、レーン3)をもたらす。しかしながら、この実験において、中和作用を有するADA非存在下では(
図4に示すものとは対照的に)、IdeS(pCART124)の、純粋IgG1に対する切断活性は、pCART205よりも高い。
【0144】
ポリペプチドpCART207及びpCART210は、両方、IdeS(pCART124)及びIdeZ(pCART144)の両方と比較して、IgG切断の有効性の増大を示す(第1の切断についてレーン7及び第2の切断についてレーン3)。最も強力な酵素であるpCART207は、IdeS(pCART124)と比較して、両方のIgG重鎖の切断において、おおよそ3倍の有効性増大を示す。pCART124については、14ng/ml(レーン6)において、scIgG(矢印2)への完全な変換が達成されるが、pCART207については、単一のscIgGバンド(矢印2)が、4.6ng/ml(レーン7)で既にみられる。第2の重鎖の切断においては、pCART124と比較して、pCART207についての有効性において、より大幅な増大が見られる。pCART207については、41ng/ml(レーン4)において、pCART124が0.37μg/ml(レーン3)で示すより濃いF(ab’)2のバンド(矢印3)が見られる。
【0145】
pCART207及びpCART210は、IdeZ配列に対して、以下:L64_T65del、R70T、Y71del、N72Q、N73G、N138Rの改変を共有する。従って、
図5は、全体で、これらの変化がヒトIgG1の切断の有効性を増大させることを示す。
【0146】
図6は、pCART203、205、206、207、208及び210について、IgG2基質を用いて生成した切断パターンを、IdeSコントロール(pCART124及びBX1001865)及びIdeZ(pCART144)の両方と比較して示す。酵素濃度は、1:3の段階希釈系列で3.33μg/ml(レーン1)から0.02ng/ml(レーン12)まで低下させる。右側の矢印は、IgG由来の種々の切断産物を示す。矢印1:無傷IgG;矢印2:scIgG(1回切断IgG−第1のIgG重鎖切断の結果);矢印3:F(ab’)
2断片(第2のIgG重鎖切断の結果)。縦線を付記し、無傷IgGがscIgGになる、第1のIgG重鎖の切断(レーン6と7との間)、及びscIgGがF(ab’)
2断片になる、第2のIgG重鎖の切断(レーン2と3との間)での比較を容易にした。
【0147】
酵素pCART203及びpCART207の両方が、pCART144(IdeZ)と比較して、切断の有効性においておおよそ3倍の増大を示す。pCART144は、0.12μg/ml(レーン4)の濃度で、より低い、41ng/ml(レーン5)の濃度におけるpCART203及びpCART207の支配的なscIgGバンド(矢印2)と比較して、濃い、単一のscIgGバンド(矢印2)を示す。pCART203及びpCART207は、第1及び第2のIgG重鎖の両方の切断の有効性において、IdeS(BX1001865及びpCART124)に匹敵する(レーン6及びレーン2)。しかしながら、この実験において、中和作用を有するADAの非存在下では(
図4に示したものとは対照的に)、純粋IgG2の両方の重鎖に対する、IdeS(pCART124)の切断活性は、pCART206、pCART208及びpCART210のそれぞれよりも高い。これは、pCART206及びpCART208について、酵素の、3.3μg/mlの最高濃度(レーン1)においてさえ存在する単一の濃いscIgGバンド(矢印2)から理解できる。IdeS/Zハイブリッド(pCART145)に由来するpCART205は、純粋ヒトIgG2の切断(第1の切断部位についてはレーン5、第2の切断部位についてはレーン2)において、IdeZ(pCART144)とほぼ同じ有効性を有し、その結果、両方とも、0.12μg/ml(レーン4)で単一のscIgGバンド(矢印2)及び最高濃度3.3μg/ml(レーン1)で支配的なF(ab’)2バンドを生じる。
【0148】
図6は、全体で、IdeZの最良の改変、即ち、IgG2の切断において最も大幅な有効性の増大をもたらす改変が、pCART203及びpCART207に見られるものであったことを示す。これらの酵素は、L64_T65del、R70T、Y71del、N72Q、N73Gの改変を共有し、pCART207は、更にN138R改変を有する。
【0149】
図7は、pCART207、208及び210について、IVIg基質を用いて生成した切断パターンを、IdeSコントロール(BX1001865)と比較して示す。酵素濃度は、1:2の段階希釈系列で30μg/ml(レーン1)から0.015ng/ml(レーン12)まで低下させる。無傷のIVIg(酵素なし)をレーン13に示す。右側の矢印は、IgG由来の種々の切断産物を示す。矢印1:無傷IgG;矢印2:scIgG(1回切断IgG−第1のIgG重鎖切断の結果);矢印3:F(ab’)
2断片(第2のIgG重鎖切断の結果)。縦線を付記し、無傷IgGがscIgG(レーン6と7との間)になる、第1のIgG重鎖の切断、及びscIgGがF(ab’)
2断片になる、第2のIgG重鎖の切断(レーン2と3との間)での比較を容易にした。
【0150】
pCART207、pCART208及びpCART210はすべて、IdeS(BX1001865)と比較して、第1のIgG重鎖の切断において、有効性の増大を示す(レーン6)。IdeS(BX1001865)は、1.9ng/ml(レーン5)の濃度で、大部分のscIgG(矢印2)を生成した。同様の結果が、pCART207及びpCART210の両方について、0.9ng/ml(レーン6)で得られ、pCART208については、ほんの0.5ng/ml(レーン7)で得られる。pCART208の場合、これは、第1の重鎖の切断有効性における、おおよそ4倍の増大である。pCART208は、第2の重鎖の切断において、1.9ng/ml(レーン5)で、支配的なF(ab’)2バンドを生じ、切断有効性の向上を示すのに対し、IdeS(BX1001865)は、同濃度で、scIgG(矢印2)を生成するのみであった。
【0151】
図7は、全体で、pCART207、pCART208及びpCART210が、IdeSと比較して、抗IdeS中和抗体(ADA)の存在下で、ヒトIgGの切断の有効性を増大させることを示す。pCART206について同様の結果が得られた(データ示さず)。pCART206、207、208及び210はすべて、IdeZ配列に対して、以下の、L64_T65del、R70T、Y71del、N72Q及びN73Gの改変を共有する。更に、pCART207、208及び210は、N138Rの改変も共有する。従って、
図7により、これらの種々の改変が、中和作用を有するADAの存在下で、ヒトIgG切断の有効性を増大させることも確認される。
【0152】
実施例3−免疫原性の評価
競合的抗IdeS抗体アッセイ
このアッセイは、抗IdeS抗体への結合についての、試験ポリペプチドとIdeSとの間の競合に基づいている。試験酵素とIVIgとのプレインキュベーションにより、試験したpCART酵素に対する抗IdeS抗体の結合が可能になる。その後、IdeSでコーティングしたプレートに、IVIg−酵素混合物を加え、試験ポリペプチドに結合していないすべての抗IdeS抗体を、プレート上のIdeSに、代わりに結合させる。結合のためのインキュベーションは、すべて、IgG切断を阻害するために、2mMヨード酢酸(IHAc)の存在下で、及び高塩濃度で行い、高親和性結合のみが生じるようにした。洗浄後、検出剤として、特異的なビオチン化抗ヒトF(ab’)
2ヤギF(ab’)
2断片を使用する。IVIg中の抗IdeS抗体による試験ポリペプチドの認識が乏しいと、IVIg中の抗IdeS抗体のプレートへの高結合をもたらし、強いシグナルをもたらす。IVIg中の抗IdeS抗体による試験ポリペプチドの良好な認識は、反対の結果をもたらす。詳細なプロトコルは以下の通りである。
【0153】
マルチタイタープレート上に、基準IdeS(BX1001865)を一晩コーティングし(5μg/ml)、次いでPBS−Tで洗浄し、2mM IHAc及び1M NaClを添加したPBS中2%BSAで1時間ブロッキングした。0.1%BSA、2mM IHAc及び1M NaClを添加したPBS中の試験ポリペプチド及び20μg/ml IVIgを段階的に希釈して、混合用プレートを調製した。混合用プレートを、シェーカー上で、室温で1時間インキュベーションした。インキュベーション後、ブロッキング溶液を、IdeSでコーティングしたプレートから捨て、混合用プレートからの各混合物50μlを、コーティングしたプレートのウェルに移した。シェーカー上で、室温で1時間インキュベーションした後、プレートをPBS−Tで洗浄し、検出剤の、特異的なビオチン化抗ヒトF(ab’)
2ヤギF(ab’)
2断片(20000倍希釈)を加えた。30分間インキュベーションした後、プレートを洗浄し、40000倍に希釈したSA−HRP(Pierce)を加え、30分間インキュベーションした。プレートを洗浄し、HRPの発色基質としてTMB One Componentを用いて、7分間発色させ、0.5M H
2SO
4で停止させた。吸光度(OD)を、λ=450nmで測定した。棒グラフにおいて視覚化するために、結果を逆数にし(1/OD値)、pCART124と比較した比(1/(試験ポリペプチド/pCART124))として提示した。
【0154】
pCART191、192、193、194、197、198、200及び201についての結果を
図8に示す。pCART202、203及び204についての結果を
図9に示す。試験したポリペプチドは全て、IdeSと比較して、抗IdeS抗体の相当な認識低下を示す。最も小幅な低下を示すポリペプチド(pCART193)は、IdeSよりおおよそ60%低いレベルで認識された。試験した残りのポリペプチドは、IdeSよりも、70%、又は80%も低かった。
【0155】
抗IdeS力価アッセイ
このアッセイは、IVIgの希釈力価を比較することに基づいている。マイクロタイタープレート上に、種々の試験ポリペプチド並びにコントロールIdeS(BX10018865及びpCART124)をコーティングした。試験ポリペプチド又はコントロールへの、抗IdeS抗体の結合を、滴定量のIVIgを(40〜0.625μg/mlの1:2段階希釈系列、即ち1:250〜1:16000の希釈血清に相当する力価で)プレートに加えることにより評価した。希釈緩衝液は、高親和性結合のみが生じるように、高塩濃度であって、高親和性結合のみが生じるように、高塩中に、IgG切断を阻害するための2mM IHAcを含む。カットオフOD値は、各実験におけるブランクのおおよそ3倍に設定した。試験した各ポリペプチドについて、カットオフを超え、最低OD値(抗IdeS抗体の最低結合)をもたらした、IVIgの希釈力価の結果を確認した。即ち;抗IdeS抗体(ADA)による認識が弱いポリペプチドには、より希釈されていないIVIgが必要であり、ADAにより強く認識される酵素には、より希釈されたIVIgが必要である。簡潔に述べると、プロトコルは以下の通りであった:
【0156】
マルチタイタープレート上に、基準IdeS及び各試験酵素を一晩コーティングし(2μg/ml)、PBS−Tで洗浄し、2mMのIHAcを添加したPBS中2%BSAで1時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を捨て、50μlのIVIg(希釈緩衝液:PBS 1M NaCl+0.1%BSA+2mM IHAc)の段階的希釈物を加え、シェーカー上で、室温で1時間インキュベーションした。プレートを、PBS−Tで洗浄し、検出剤の、特異的なビオチン化抗ヒトF(ab’)
2ヤギF(ab’)
2断片(20000倍希釈)を加え、30分間インキュベーションした。プレートを洗浄し、40000倍に希釈したSA−HRP(Pierce)を加え、30分間インキュベーションした。プレートを洗浄し、HRPの発色基質としてTMB One Componentを用いて、7分間発色させ、0.5M H
2SO
4で停止させた。吸光度(OD)を、λ=450nmで測定した。
【0157】
pCART202、203及び204についての結果を
図10に示す。試験した3つのポリペプチドは、すべて、抗IdeS抗体による認識に関して、IdeSよりも3倍低い希釈度を記録した。
【0158】
pCART205、206、207、208及び210についての結果を
図11に示す。pCART206以外の全ては、抗IdeS抗体による認識に関して、IdeSよりも3倍低い希釈度を記録した。pCART206は、2倍低い希釈度を記録した。試験したポリペプチドは、全体としては、IdeSよりも、明らかに免疫原性が低い。
【0159】
まとめ
試験したポリペプチドは、一般に、ヒトIgGを切断するのに、IdeZよりも有効であり、及び/又は、ヒトIgGを切断するのに、IdeSと少なくとも同等に有効であり、典型的には、免疫原性も、IdeSより低い。
【0160】
実施例4−効力の評価
効力ELISA
ヒトIgG1及びIgG2の切断能力を扱うために、2つのELISAベースの効力アッセイを用意した。一方のアッセイはIgG1の切断を、そして他方はIgG2の切断を測定する。試験した種々のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドについて、EC50(半最大有効濃度)値を算出した。アッセイの原理は、Fab領域に対し特異性を有する、ヒトIgG抗体に対するF(ab)
2断片で、マルチタイタープレートのウェルをコーティングすることであった。次いで、ウェル中で、ヒトIgG1抗体(Humira)又はヒトIgG2抗体(XGEVA)と共に、滴定濃度のIgGシステインプロテアーゼポリペプチド(試験又はコントロール)をインキュベーションした。ウェルに結合した無傷又は一回切断のヒトIgG(Humira又はXGEVA)の量を、抗体のFc部分に対する特異性を有する、ヒトIgGに対する検出抗体を用いて測定した。ある特定の、ウェル中のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドの濃度が高いほど、ウェルに結合する無傷ヒトIgG抗体が少なく、より弱いシグナルがもたらされる。同様に、より強力なIgGシステインプロテアーゼポリペプチドは、同じ濃度で存在する場合、より効力が弱いIgGシステインプロテアーゼポリペプチドよりも弱いシグナルをもたらす。IgG1(humira)及びIgG2(XGEVA)アッセイの両方において、IdeSコントロール(pCART124)及び全ての試験したIgGシステインプロテアーゼポリペプチドについて、滴定用量応答曲線を作成した。IgG分子の第2の重鎖切断において、その最大効果の50%が観察されるポリペプチドの濃度、即ちIgG分子の半数が一回切断され、半数が完全に切断されている濃度を表すEC50値も、試験した各変異体について算出した。EC50値がより低いと、より有効なIgGシステインプロテアーゼを表す。IgGのFc部分が依然として存在し、Fc特異的検出抗体によって検出し得るので、IgGからscIgGへの、第1のIgG重鎖の切断は、このアッセイにおいては明確でない(
図18)。
【0161】
実験プロトコルの簡単な要約:特異的な抗ヒトFabヤギF(ab)
2断片(0.5μg/ml)(Jackson#109−006−097)を用いて、マルチタイタープレートのウェルを、一晩(+2〜8℃)コーティングし、次いで、0.05%Tween20添加PBS(PBS−T)で洗浄し、PBS−T中0.45%フィッシュゼラチン(ブロック緩衝液)中で、室温で45〜120分間ブロッキングした。コントロールのIdeS(pCART124)及び試験するIgGシステインプロテアーゼポリペプチドを、開始濃度80μg/mlで、ブロック緩衝液中、1:4段階希釈で滴定シリーズとして調製した。等量(25μl)の、0.5μg/mlの濃度のヒトIgG1(Humira)及び滴定量IgGシステインプロテアーゼポリペプチドをウェルに加え、37℃の、制御された温度環境下で震盪しながら2時間インキュベーションし、次いでPBS−Tで洗浄した。特異的なビオチン化抗ヒトIgG Fcマウス抗体(m−a−hIgG Bio II、Lot:C0013−ZC43C、Southern Biotech)(600ng/ml)をStrep−sulfo(200ng/ml)と混合し、マルチタイタープレートに加えた。プレートをアルミニウムテープで密封し、振盪しながら、+25℃で1時間インキュベーションした。次いで、プレートをPBS−T中で洗浄し、150μlの2倍希釈Read buffer T(MSD read buffer T Cat.no.R92TC−2)を各ウェルに加えた。プレートを直ちにプレートリーダー、MSD(Meso Scale Discovery)QuickPlex SQ 120 Model 1300で読み取った。
【0162】
ゲルで可視化された有効性アッセイ:IgG1(Humira)、IgG2(XGEVA)の切断並びにヒトIgGのプールのIVIg(Octagam)の切断について、実施例2に記載の通りに行ったアッセイ。
【0163】
結果
効力ELISA
効力アッセイにおいて、試験したIgGシステインプロテアーゼについて得られた用量−応答曲線を
図12(IgG1切断)及び
図13(IgG2切断)に示す。本明細書で試験した、本発明の例示的なポリペプチドのpCART207、217、219は、IdeSコントロールのpCART124(表1)と比較して、両方のIgG1の重鎖(
図12)を切断する効力を向上(EC50値を減少)させ、pCART219については1.4、pCART217については3.2、pCART207については4.0の、倍数的な効力向上であった。pCART226は、IdeS(pCART124)より幾分弱い効力を示し、EC50において倍数差が0.6(表1)である。IgG2の切断(
図13)に関しては、試験したポリペプチドはすべて、第2のIgG重鎖の切断において、原型IdeS(pCART124)と比較して、より弱い効力を示し、EC50値はより高く(表1)、倍数差は1未満である。しかしながら、試験したポリペプチドは全て、本発明のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドが由来する配列であるpCART144(配列番号27)よりも強力である(データ示さず)。
【0164】
ゲルで可視化した有効性アッセイ
ゲルで可視化した、IgG1(
図14A)及びIgG2(
図14B)の切断は、第1及び第2の重鎖切断を明確に示す(図中の縦線は、BX1001865及びpCART124の切断による第1及び第2のIgG重鎖切断を示す)。図中の
*は、おおよそのEC50値、即ち、IgGの50%が1回切断(scIgG)され、50%が完全に切断(F(ab’)
2)される濃度を示す。ゲルからのデータを表2(IgG1切断)及び表3(IgG2切断)にまとめる。IgG1(Humira)の第1の重鎖の切断は、IdeS(pCART124及びBX1001865)、pCART207及び217についてはほぼ同じ1.5ng/mlであるが、pCART219及び226については、支配的なscIgGバンドを得るために、幾分高い濃度、約4.6、が必要である(表2)。しかしながら、IgG1の第2の重鎖切断に関しては、pCART207、217及び219はすべて、IdeS(pCART124及びBX1001864)より高い有効性(表2)(IdeSについては約370ng/ml、そしてpCART207、217及び219については約120ng/mlであり、切断において約3倍(1滴定段階)より有効である)を示す。IgG2(XGEVA)の切断(
図14B)においては、IdeSと比較して、pCART207、217、219はいずれも、第1及び第2の重鎖の両方の切断において、1滴定段階(1:3)低い有効性を示し、pCART226は、有効性が約2滴定段階(1:6)低い(表3)。pCART229は、IgG1(Humira)の第1(4.6ng/ml)及び第2(370ng/ml)の、IgG両重鎖の切断において、IdeS(BX1001865及びpCART124)とほぼ同様の有効性を示す(
図15A及び表4)が、pCART229によるIgG2(XGEVA)の切断は、第1及び第2の、IgG両重鎖の切断におけるIdeSよりも、約1滴定段階(1:3)有効性が低い(
図15B及び表4)。
【0165】
IgGシステインプロテアーゼポリペプチドpCART207、217、219及び226も、IdeS(BX1001865)をコントロールとして用いて、ヒトIgGプール、IVIg(Octagam)中で滴定した(
図16)。それらの全てが、IVIgの第1IgG重鎖の切断において、IdeSと比較してより高い有効性を示した。pCART207、217、219及び226は、第1の切断を成し遂げるために、すべて0.75μg/mlを必要としたが、IdeS(BX1001865)がscIgGを生成するために必要としたのは1.5μg/mlだった(
図16及び表5)。第2の切断においては、pCART207及び217は、両方、IdeS(BX1001865)よりも効率的であり、3μg/mlの濃度で支配的なF(ab’)
2断片を生成するが、IdeSは約6μg/mlを必要とする(
図16及び表5)。pCART219及び226は、両方、IgGプールIVIgの第2の切断においては、IdeSと比較して、有効性がより低い。
図16における、30μg/mlからの1:2希釈物(
図17)を用いたより広い滴定スペクトルにおいて、試験したポリペプチドと比較して、pCART229によるIVIgの切断を解析した。IdeS(BX1001865及びpCART124)並びにpCART229については(
図17)、scIgG生成のための濃度が1.9μg/mlで、F(ab’)
2断片を得るためには7.5μg/mlであり、同等の有効性が見られる(表6)。
【0166】
実施例4の図の要旨
図12。種々のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドによるIgG1(Humira)切断についての滴定曲線。
【0167】
図13。種々のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドによるIgG2(XGEVA)切断についての滴定曲線。
【0168】
図14。BX1001865及びpCART124(原型IdeS)を、同じ切断実験におけるコントロールとして伴う、pCART207、217、219及び226の滴定量(3300ng/mlから1:3希釈)を用いたSDS−PAGEにより解析したIgG切断。A:humira(IgG1)の切断及びB:XGEVA(IgG2)の切断。縦線は、第1及び第2のIgG重鎖切断(切断産物の量が未切断産物よりも支配的である)をもたらすのに必要なIdeS(BX1001865及びpCART124)濃度を示す。図中の
*は、この実験におけるおおよそのEC50値を示す。
【0169】
図15。BX1001865及びpCART124(原型IdeS)を、同じ切断実験におけるコントロールとして伴う、pCART229の滴定量(3300ng/mlから1:3希釈)を用いたSDS−PAGEにより解析したIgG切断。A:humira(IgG1)の切断及びB:XGEVA(IgG2)の切断。縦線は、第1及び第2のIgG重鎖切断(切断産物の量が未切断産物よりも支配的である)をもたらすのに必要なIdeS(BX1001865及びpCART124)濃度を示す。
【0170】
図16。試験したIgGシステインプロテアーゼポリペプチドの滴定(6μg/mlから1:2希釈)量及び同じ切断実験におけるコントロールとしてIdeS(BX1001865)を用いたSDS−PAGEにより解析したIVIg切断。
【0171】
図17。BX1001865及びpCART124(原型IdeS)を、同じ切断実験のコントロールとして伴う、pCART229の滴定量(30μg/mlからの1:2希釈)を用いたSDS−PAGEにより解析したIVIg切断。
【0172】
図18。本発明のポリペプチドによる免疫グロブリン切断の模式図。IgGの酵素的切断は2段階で行われる。第1に、無傷IgGの1つの重鎖が切断され、1回切断されたIgG(scIgG)が生成される。第2に、次の重鎖が切断され、Fc部分が遊離する。scIgG分子においては、Fc部分は依然としてFab部分に結合しており、効力ELISAにおける検出抗体は、IgG分子のFc部分を認識しているので、該アッセイでは、完全なIgGとscIgGは区別されない。
【0173】
考察及び結論
Humira効力ELISAにおけるpCART207、217、219のより低いEC50値は、pCART124(原型IdeS)と比較して、IgG1の第2の切断(scIgGからF(ab’)
2へ)の効力向上を示す。Humira効力ELISA及びSDS−PAGEによって解析されたHumira有効性アッセイの両方で、pCART226の、IgG1の切断における、幾分低い活性が示される。
【0174】
XGEVA効力ELISAにおいては、試験したポリペプチドpCART207、217、219及び226のすべてが、IdeS(pCART124)と比較して、IgG2の両方のIgG重鎖の切断において効力が低いことが実証される。しかしながら、代わりに、切断をゲルで視覚化すると、pCART207は、第1のIgG重鎖切断において、IdeS(BX1001865及びpCART124)とほぼ同じ活性を有するのに対し、第2の切断では、IdeSと比較して、約3倍効果(1滴定段階)が弱いことが明らかである。同様のパターンが、pCART229について見られ、IgG1の切断においては、有効性はIdeSの活性に匹敵する高さであるが、IgG2の切断、主として第2のIgG重鎖の切断については有効性がより低い。IgG切断をゲルで解析することにより、(IgGからscIgGへの)第1の重鎖の切断が顕在化する。この切断は、Fc特異的検出抗体を用いた効力ELISAにおいては可視化できない。病原性IgG分子を不能化することが主な焦点である臨床状況において重要な、Fcにより媒介されるIgGの作用は、大抵、1回切断分子において、既に無くなっている(データ示さず)。
【0175】
IVIgは、おおよそ65〜70%のIgG1、35〜30%のIgG2及び約1%を占めるIgG3/IgG4を含有するヒトIgGのプールである。ヒトIVIgはまた、IgGドナーの、以前のS.ピオゲネスへの暴露に由来する抗IdeS抗体を自然に含有し、これらの抗体のいくつかは中和作用がある(即ち、これらIdeS特異的抗体の、IdeSに対する結合は、IdeSのIgGプロテアーゼ活性を低下させるか、完全に無くする)。従って、種々のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドによるIVIg切断の結果は、4つのヒトIgGサブクラス全ての、それらのヒト血清中のおよその正常な比率における、また、中和作用を有する抗IdeS抗体の存在下における、総体的な切断を示す。
【0176】
概して、IgG2切断においては、試験したIgGシステインプロテアーゼポリペプチドは全て、IgG1と比較して有効性がより低い。pCART207、217及び219は、IgG1を切断することにおいてはIdeSよりも効率的であるが、専らIgG2の第2の重鎖を切断することにおいては、効率はより低い。
図16における、pCART207、217、219及び226の最高用量(6μg/ml)で、及び
図17において、pCART229についてみられる、scIgGバンドは、IgGプールであるIVIg中のIgG2分子を表す可能性が極めて高い(
図14Aを14Bと、15Aを15Bと比較)。
【0177】
【表10】
【0178】
【表11】
【0179】
【表12】
【0180】
【表13】
【0181】
【表14】
【0182】
【表15】
【0183】
実施例5−ADA ELISA(ADA−IdeS結合部位に対する競合ELISA)。
ELISA,Meso Scale Discovery(MSD)ベースのアッセイを用いて、IdeSに対する抗薬物抗体(ADA)結合部位を、本発明の「ADA」改変ポリペプチド(pCART207、217、219及び226)について評価した。ELISAの原理は、原型のhisタグ付きIdeS(pCART124)で、マルチタイタープレートのウェルをコーティングすることであった。ほとんどのヒトは、以前のS.ピオゲネスの感染に起因して、血清中に、IdeSに対する抗体を有する。本明細書では、2つの異なるヒト臨床血清プールを、ADA検出についての基準として用いた。第1のプールは、ヒト血清プール1191807と呼ばれる、100個体の血清プールからの正常なヒト血清であり、第2のプールは、第II相プール−2と呼ばれる、第II相研究13−HMedIdeS−02における患者由来の血清プールである。これらの患者には、IdeSが、0.24〜0.5mg/kg体重の用量範囲で、1回投与され、それにより血清中の抗IdeS ADAレベルをおおよそ50倍に誘導した。
【0184】
この競合的ADA ELISAの要点は、IdeS(pCART124)が、マイクロタイタープレートの底部にコーティングされていることである。ヒト血清プールを、ADA認識部位に関して試験するポリペプチド(polypetide)か、又はポジティブコントロールIdeS(pCART124)と、試験したポリペプチドが100倍過剰の、1:100のモル比で、共にプレインキュベーションする。原型IdeSへの、おおよそ80%の結合をもたらすための、プレインキュベーション用に用いた2つの異なる血清プールの濃度を、標準曲線から推定する。試験したポリペプチドにおいて、ADA結合部位が無効化した場合、これらのポリペプチドは、ウェルの底部において、ADAの結合で、原型IdeSに対して競合することができない、即ち、弱いシグナルにより、原型IdeS(pCART124)に対する、高いADA類似性が実証され、強いシグナルにより、原型IdeSに対する、低いADA類似性が実証される。
【0185】
標準曲線の直線部分において、おおよそ80%の結合を達成する両基準の濃度は、約200ngADA(IdeS)/mlであった。競合的プレインキュベーションにおいては、両基準は別々にこの濃度で用い、IgGシステインプロテアーゼポリペプチドの濃度は、ADA濃度の100倍の比率(150kDaの抗体とおおよそ35kDaのIdeZとの間のモル重量差、4.2倍を加味し、200ng/mlの100倍を4.2で割り、試験したポリペプチドおおよそ5μg/mlを得る)で用いた。200ng/mlのADAを含有する基準血清及びIdeS(pCART124)又は試験したポリペプチドを、室温(RT)で1時間、共にプレインキュベーションする。最大ADA結合についてのコントロールとして、同濃度の基準を、IdeS(pCART124)や他のすべてのIgGシステインプロテアーゼなしでプレインキュベーションし、最大結合の80%の値として用いた。標準曲線の最低値を、競合の算出範囲に関しての下限値として用いた。IdeS(pCART124)又は試験したポリペプチドとプレインキュベーションした基準についての平均スコアを、80%基準結合値で引き、下限値で引いた80%基準結合値で割り、競合値%を得た。%競合が最低のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドは、原型IdeS(pCART124)と比較して、ほとんどのADA結合エピトープが無効化したことを意味する。
【0186】
実験プロトコルの簡単な要約:マルチタイタープレートのウェルを、一晩、pCART124(1μg/ml)でコーティングし、PBS−Tで3回洗浄し、PBS中0.45%の魚皮ゼラチン及び2mMのシステインプロテアーゼ阻害剤、ヨード酢酸(IHAc)で1時間ブロッキングした。
【0187】
両基準を、PBS中0.45%魚皮ゼラチン、2mM IHAcで、1:3の段階希釈で、5000ngADA(IdeS)/ml〜2.5ngADA(IdeS)/mlの滴定シリーズとして調製し、標準曲線の直線部分並びに最大部分及び最小部分の、両方での測定により、アッセイの標準較正曲線の作成を可能にした。プレートのブロッキングと同時に、該基準及びIdeS(pCART124)又は試験したポリペプチド、即ち、200ng/ml ADA(基準)及び5μg/ml IdeSコントロール(pCART124)又は試験するIgGシステインプロテアーゼポリペプチドを用いた、競合工程における試料を、室温で1時間、共にプレインキュベーションした。
pCART124でコーティングしたプレートを3回洗浄し、次いで、50μlのプレインキュベーションした試料又は50μlの基準を、マルチタイタープレートの各ウェルに加えた。
【0188】
プレートを室温で2時間インキュベーションし、次いでPBS−Tで洗浄した。ブロッキング緩衝液中に、検出抗体として、特異的な抗ヒトF(ab)ヤギF(ab)
2断片−bio(Jackson#109−066−097,0.65mg/ml)(1000倍希釈)、及びStreptavidin−Sulfo(MSD Cat.No:R32AD−1又はR32AD−5)(2000倍希釈)を加え、暗中、室温で1時間インキュベーションした。プレートを3回洗浄し、4倍希釈のRead buffer T(MSD Read buffer T(4×))を加え、プレートを、プレートリーダー、MSD(Meso Scale Discovery)QuickPlex SQ120 Model 1300で直接解析した。
【0189】
結果及び考察
pCART207、217、219及び226についての、IdeS−ADA結合部位の遮断パーセンテージ(%)を
図19及び
図20に示す。原型IdeSのpCART124を100%類似のポジティブコントロールとして使用する。
試験したすべてのIgGシステインプロテアーゼポリペプチド、pCART207、217、219及び226は、原型IdeS(pCART124)と比較して、ヒト血清中のADA結合部位をほとんど塞閉しない。IdeSにより1回治療された患者(2相プール−2)は、より多くのIdeS特異的ADAを有するようになり、健康なボランティア由来の血清プール(ヒト血清プール1191807)(
図19)と比較して、pCART207、217及び219の認識が極めて低かった(
図20)。
【0190】
実施例6−オクタガム(ヒトIVIg)マウスモデルにおけるインビボ有効性の評価
本研究においては、BALB/cマウスに、ヒトIVIg(Octagam)を腹腔内(i.p.)注射した。ヒトIVIgの濃度は、ヒトIgG血漿濃度(10mg/ml)と関連性を持たせるように、900mg/kgの用量で投与した。
【0191】
0日目に、ヒトIVIgをi.p.注射した。ヒトIVIgの注射の24時間後(1日目)、PBS、IdeSコントロール(BX1001865及びpCART124)又は試験するIgGプロテアーゼのpCART207、pCART217、pCART219及びpCART226を、1mg/kgの用量で静脈内(i.v.)投与した。2時間後、血清試料を採取し、マウスを屠殺した。
【0192】
有効性ELISA
アッセイの原理は、Fab領域に対する特異性を有する、ヒトIgG抗体に対するF(ab’)
2断片で、マルチタイタープレートのウェルをコーティングすることであった。次いで、IVIg並びにIdeSコントロール(BX1001865及びpCART124)又は試験したIgGシステインプロテアーゼポリペプチドで処置したマウス由来の血清を加えた。抗体のFc部分に対する特異性を有する、ヒトIgG(IVIg)に対する検出抗体を用いて、ウェルに結合した無傷又は1回切断のヒトIgG(IVIg)の量を測定した。無傷ヒトIgG抗体(IVIg)の検出濃度が低いほど、IgGシステインプロテアーゼポリペプチドがより有効であると予想される。
【0193】
実験室プロトコルの簡単な要約:特異的な抗ヒトFabヤギF(ab)
2断片(0.5μg/ml)(Jackson#109−006−097)を用いて、マルチタイタープレートのウェルを一晩コーティングし(+2〜8℃)、次いで0.05%Tween20添加PBS(PBS−T)で洗浄し、PBS−T(ブロック緩衝液)中2%BSAで、室温で45〜120分間ブロッキングした。ヒト血清タンパク質検量物質(DAKO#X0908)を基準として用い、0.5〜300ng/mlの範囲で加えた。IVIg及び種々のIgGシステインプロテアーゼポリペプチドで処置したマウスから採取した血清試料を解凍し、ブロック緩衝液で100000倍に希釈した後、アッセイマルチタイタープレートに加えた。プレートを、震盪しながら、室温で2時間インキュベーションし、次いでPBS−Tで洗浄した。特異的なビオチン化抗ヒトIgG Fcマウス(600ng/ml)(Jackson#109−066−098)抗体を、Strep−sulfo(200ng/ml)(MSD#R32AD−1)と混合し、マルチタイタープレートに加えた。プレートをアルミニウムテープで密封し、震盪しながら、室温で1時間インキュベーションした。次いで、プレートをPBS−Tで洗浄し、150μlの2倍希釈Read buffer T(MSD#R92TC−2)を各ウェルに加えた。該プレートを、直ちにプレートリーダー、MSD(Meso Scale Discovery)QuickPlex SQ 120 Model 1300で直接解析した。
【0194】
ゲルで可視化された有効性
マウスにおけるインビボでのヒトIgG切断を可視化するために、10μlの血清を90μlのPBSで1:10希釈した。その後、10μlの希釈血清を30μlの4×SDS−PAGEローディング緩衝液と混合した。5μlの自製(in−house)IgGマーカーを用いて、種々のIgG断片(IgG、scIgG及びF(ab’)2)を示した。試料を、92℃で3分間加熱し(Thermo mixer compact,eppendorf)、短時間遠心してから、10μlを4〜20%Mini−Protean(登録商標)TGX、Stain−free(商標)ゲル(Cat.#456−8096、Biorad)にロードした。ゲルを、200Vで40分間泳動(run)した。
【0195】
結果と結論
有効性ELISAにより、血清中のヒトIgGレベルを研究し、SDS−PAGEによるIgG分解を解析することにより、IdeS(BX1001865及びpCART124)及びpCART207、217、219及び226によるヒトIVIg(Octagam)のインビボ切断を比較した。
【0196】
IVIgマウスにおける、IdeS(BX1001865及びpCART124)及び種々のIgGシステインプロテアーゼpCART207、pCART217、pCART219及びpCART226による治療は、このマウスモデルにおいて、明らかに、インビボでのヒトIgGの切断を実証した(表7及び
図21)。
【0197】
IdeSコントロール(BX1001865)、pCART207及びpCART217について、完全な切断が示され、ゲルに、目に見えるscIgGバンド及び顕著なF(ab’)
2バンドはなかった(
図22)。pCART219及びpCART226は、scIgG分子が、マウス血清中に、2時間後にまだ存在し、このマウスモデルにおいて、示された有効性がより低かった(
図22C)。しかしながら、ゲルには、無傷IVIgは検出できなかった。このことは、
図21において、pCART219及びpCART226に対する検出抗体(より高いバー)による、より高濃度のIgG−Fcは、無傷IgGではなく、scIgGに由来することを示す。pCART207群におけるマウス番号2とpCART219群におけるマウス番号4は、IVIg注射を受けなかった(
図22B及びC)。従って、これらの動物からは、ゲルでIgG切断断片が見られなかった。タンパク質のバンドパターンは、BALB/cマウス血清中のバックグラウンドタンパク質を表す。これは、本発明のポリペプチドが、インビボモデルにおいて、IgGを切断することを示す。
【0198】
【表16】