(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記平面基板は、貼り合わされた第1の基板と第2の基板とを少なくとも含み、前記第1の基板は前記第1の伝送線路−導波管変換部の一部を形成する第1のプローブ要素と、前記第2の伝送線路−導波管変換部の一部を形成する第2のプローブ要素とを含み、前記第1および第2のプローブ要素は前記第1の基板内に形成された導電性埋め込みビアを含む、請求項1に記載のパッケージ構造。
前記パッケージ基板に実装されたアンテナ・パッケージをさらに含み、前記パッケージ基板は前記アンテナ・パッケージと前記第1および第2の集積回路チップとを接続する集積電力結合器構造を含み、前記集積電力結合器構造は、前記パッケージ基板内に一体的に形成された集積導波管構造を含む、請求項1に記載のパッケージ構造。
前記パッケージ基板に実装されたアンテナ・パッケージをさらに含み、前記パッケージ基板は前記アンテナ・パッケージと前記第1および第2の集積回路チップとを接続する集積電力分配器構造を含み、前記集積電力分配器構造は前記パッケージ基板内に一体的に形成された集積導波管構造を含む、請求項1に記載のパッケージ構造。
前記パッケージ基板に接続された導波管インターフェースをさらに含み、前記導波管インターフェースは金属導波管または誘電体導波管に結合するように構成され、前記パッケージ基板は前記導波管インターフェースを前記第1の集積回路チップと前記第2の集積回路チップのうちの少なくとも一方に接続する第2の集積導波管を含む、請求項1に記載のパッケージ構造。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、例えばミリ波周波数ないしテラヘルツ周波数以上の範囲の動作周波数を有するシステムで使用するための、パッケージ・コンポーネント間の高速データ速度通信(例えば数Gbpsないし数百Gbpsの範囲のデータ速度)を可能にするように構成された集積導波管を有するパッケージ構造に関して、さらに詳細に説明する。添付図面に示す様々な層またはコンポーネントあるいはその両方は一定の縮尺では描画されていないことと、集積回路チップを備えた半導体パッケージ構造の製造に一般的に使用される種類の1つまたは複数の層およびコンポーネントあるいはその両方は、特定の図面では明示的に示されていないこととを了解されたい。これは、明示的に示されていない層またはコンポーネントあるいはその両方が実際のパッケージ構造から省かれていることを意味しない。また、図面を通して使用されている同じまたは類似の参照番号は、同じまたは類似の特徴、要素または構造を示すために使用されており、したがって、それらの同じまたは類似の特徴、要素または構造の詳細な説明は図面ごとに繰り返さない。
【0010】
図1に、本発明の一実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。具体的には、
図1は、第1のICチップ110と、第2のICチップ120と、導波管基板130と、アプリケーション・ボード140とを含む、パッケージ構造100を示す略断面側面図である。第1のICチップ110は、バルク基板層111と、絶縁層112と、活性層113と、BEOL(バック・エンド・オブ・ライン)構造114とを含む。同様に、第2のICチップ120は、バルク基板層121と、絶縁層122と、活性層123と、BEOL構造124とを含む。本発明の一実施形態では、第1および第2のICチップは、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)構造であり、絶縁層112および122は、バルク・シリコン基板上に形成された埋め込み酸化物層であり、活性層113および123は、埋め込み酸化物層上に形成されたシリコン薄層であり、活性シリコン層113および123には能動素子が形成されている。
【0011】
具体的には、第1および第2のICチップ110および120は、それぞれの活性シリコン層113および123内に形成された能動回路と電子コンポーネントとを含み、実装される回路および電子コンポーネントの種類は所定の用途に応じて決まる。例えば、RF(無線周波数)用途の場合、能動シリコン層113および123には、例えば受信器、送信器または送受信器回路、およびRFICチップの実装に一般的に使用されるその他の能動または受動回路要素を含む、RFIC回路および電子コンポーネントが形成される。
【0012】
それぞれのICチップ110および120のBEOL構造114および124は、それぞれの伝送線路116および126と、BEOL構造114および124の様々な交互に積層された導電層および絶縁/誘電層内に形成された一連の相互接続金属配線および導電性ビアを含むその他の相互接続構造118および128とを含む。それぞれの第1および第2のICチップのBEOL構造114および124は、それぞれの活性層113および123内に形成された接続能動回路およびその他のコンポーネントに対する相互接続網を提供する。さらに、BEOL構造114および124はそれぞれ、それぞれのICチップ110および120のBEOL配線構造の一部として形成された、例えば接地パッド、直流電源パッド、入出力パッド、制御信号パッド、付随する配線などの複数のボンディング/コンタクト・パッドを含む。
【0013】
図1に示すように、第1および第2のICチップ110および120は、例えばはんだボール・コントロールド・コラプス・チップ・コネクション(controlled collapse chip connection:C4)部150の配列またはその他の類似の技術を使用して、第1および第2のICチップ110および120の活性(前側)表面を導波管基板130の第1の表面130−1にフリップチップ実装することによって、導波管基板130に電気的および機械的に接続される。C4接続部150は、BEOL構造114および124の底面に形成されたボンディング/コンタクト・パッドおよび配線パターンと、導波管基板130の第1の表面130−1上に形成されたパターン形成メタライズ層の対応するボンディング/コンタクト・パッドおよび配線パターンとの間に形成される。
【0014】
また、導波管基板130は、例えばBGA接続部160の配列またはその他の類似の技術を使用してアプリケーション・ボード140に電気的および機械的に接続される。BGA接続部160は、導波管基板130の第2の表面130−2上に形成されたパターン形成メタライズ層のボンディング/コンタクト・パッドおよび配線パターンと、アプリケーション・ボード140の表面140−1上に形成されたパターン形成メタライズ層の対応するボンディング/コンタクト・パッドおよび配線パターンとの間に形成される。
【0015】
図1にさらに示すように、導波管基板130は集積導波管132を含む。集積導波管132は、第1の金属板132−1と、第2の金属板132−2と、側壁132−3とを含む。第1および第2の金属板132−1および132−2は、導波管基板130の互いに対して反対側の表面130−1および130−2上のメタライズ層からパターン形成され、側壁132−3は、第1の金属板132−1と第2の金属板132−2とを接続する金属ポスト(例えばメタライズ・ビア・ホール)の配列を含む。
【0016】
図2に、本発明の一実施形態による
図1の集積導波管132の側壁構造を概略的に示す。具体的には、
図2は、集積導波管132の長さL(長さLは集積導波管内の波動伝搬の方向に対応する)に沿った側壁構造を示し、側壁構造は、互いに間隔Sをあけて形成された一連の金属ポスト132−3を含む。本発明の一実施形態では、金属ポスト132−2は、導波管基板130を貫通するビア・ホールの配列を穿孔またはエッチングし、次にビア・ホールに銅などの金属材料をめっきまたはその他の方法で充填することによって形成される。
【0017】
図1を再度参照すると、パッケージ構造100は、第1の伝送線路−導波管変換部134と、第2の伝送線路−導波管変換部136とをさらに含む。第1の伝送線路−導波管変換部134は、第1のICチップ110のBEOL構造114内の伝送線路116に接続され、第2の伝送線路−導波管変換部136は、第2のICチップ120のBEOL構造214内の伝送線路126に接続される。伝送線路−導波管変換部134および136は、部分的に、集積導波管132の第1の金属板132−1内に形成/パターン形成された変換構造によって形成される。
【0018】
伝送線路116および126は、BEOL層114および124内に形成された一連の相互接続配線および導電性ビアから形成される。伝送線路116および126は、集積導波管132と、第1および第2のICチップ110および120の活性層113および123内の能動回路との間で高周波信号を伝送する役割を果たす。高周波用途の場合、伝送線路116および126と、電力面、低周波制御信号線およびその他の伝送線路などの周辺コンポーネントとの間の結合効果を低減するために、伝送線路116および126の側方伸長部はストリップラインまたはコプレーナ導波伝送線路などの接地面伝送線路によって形成してもよい。
【0019】
例えば、ストリップライン伝送線路は、隣接するメタライズ・レベルの接地面によって形成された2つの接地要素の間に配置された、1つのメタライズ・レベル上に形成された信号線を含む。また、伝送線路116および126の縦方向部分は、(例えば、BEOL構造114および124の複数の層を貫通する一連の接続された垂直ビアによって形成された)垂直信号線を含むことができ、垂直信号線は、垂直信号線を囲む一連の接地ビアによって遮蔽される。なお、伝送線路116および126の垂直部分の構造および機能は、同軸伝送線路に類似している。
【0020】
第1および第2の伝送線路−導波管変換部134および136は、伝送線路116および126と集積導波管132のI/Oポートとの間の変換部をなすのに十分な周知の様々な種類の伝送線路−導波管変換構造のうちの1つを使用して実装することができる。そのような伝送線路−導波管変換構造としては、例えば、マイクロストリップ、ストリップライン、コプレーナ導波管、スロット給電部、およびプローブ型変換構造、または対象用途に適したその他の種類のGSG(ground signal ground)変換構造がある。
【0021】
集積導波管132は、第1および第2のICチップ110および120が高速データ速度(例えば数Gbpsないし数百Gbpsの範囲のデータ速度)で通信することができるようにする通信路をなす。
図1では1つの集積導波管構造が示されているが、第1のICチップ110と第2のICチップ120との間で高速マルチチャネル通信を可能にするために、導波管基板130は2つ以上の集積導波管構造を備えて製作することができる。また、
図1では導波管基板130に接続された2つのICチップが示されているが、パッケージ構造100は、パッケージ構造100内のすべてのICチップ間で通信を可能にするために、導波管基板130に実装された複数の集積導波管構造を備えた導波管基板130にフリップチップ・ボンディングされた3つ以上のICチップを有することができる。
【0022】
図1にさらに示すように、導波管基板130は、導波管基板の第1の表面130−1と第2の表面130−2のコンタクト・パッドおよび配線パターンの間の電気接続を行う複数の導電性貫通ビア138を含む。導電性貫通ビア138は、アプリケーション・ボード140上の電源線からICチップ110および120に直流電力を供給/配電するためと、例えばアプリケーション・ボード140とICチップ110および120との間で低周波ベースバンド信号および制御信号をルーティングするためとに使用される電気配線および相互接続部の一部を形成する。また、第1のICチップ110と第2のICチップ120との間の低周波通信を可能にするために、導波管基板130の表面130−1上に配線パターンを形成し、BEOL構造114および124の底面上のコンタクト・パッドにボンディングすることができる。
【0023】
なお、当然ながら、導波管基板130は複数の目的にかなう。例えば、導波管基板130は、ICチップ110および120を実装し、支持するためのパッケージ基板の役割を果たす。さらに、導波管基板130は、アプリケーション・ボード140とICチップ110および120との間で低周波信号をルーティングするためと、ICチップ110とICチップ120との間で低周波信号をルーティングするためと、ICチップ110および120に電力を供給するための、パッケージ・インターポーザとしての役割も果たす。さらに、導波管基板130は、導波管基板130上に実装されたICチップ間およびその上の配線パターン間の低損失の高速データ通信を可能にする1つまたは複数の集積導波管構造を含む。
【0024】
集積導波管132の動作特性は様々な要因に依存する。例えば、高速通信信号の低損失伝送のためには、導波管基板130は低損失絶縁/誘電材料を使用して製作する必要がある。例えば、導波管基板130は、ガラス(例えば石英)または高抵抗シリコンなどの材料、または所定のパッケージ用途に適したその他の低損失材料で形成することができる。また、当業者にはわかるように、実装される伝送線路−導波管変換構造の種類は集積導波管の挿入損失および動作帯域幅にある程度の影響を及ぼす。
【0025】
また、導波管側壁を形成する金属ポスト132−3間の間隔Sと、集積導波管の断面寸法(高さHおよび幅W)などの様々な寸法パラメータは、集積導波管構造の所望の動作周波数および帯域幅に依存する。例えば、
図2に示すように、金属ポスト132−3間の間隔Sは、集積導波管132の側壁が、金属板132−1および132−2とともに実質的に「閉構造」をなすように十分に小さくなければならない。例えば、本発明の一実施形態では、金属ポスト132−3間の間隔Sは、集積導波管132の動作波長の約1/4以下(S≦0.25Å)である。
【0026】
図3は、
図2の線1C−1Cに沿った導波管構造の断面図である。
図3は、第1の金属板132−1と第2の金属板132−2との間の高さH(すなわち導波管基板130の厚さ)と、対向する導波管側壁132−3の間の導波管幅Wとを含む、集積導波管構造132の断面寸法を示す。集積導波管132の動作モードは、寸法HおよびWに基づく。一実施形態では、幅Wは、集積導波管の場合、2×Hよりもかなり大きいことが好ましい(これは、W=2×Hである標準の矩形導波管とは異なる点となる)。幅Wは、集積導波管132の動作波長の約半分(1/2)である。なお、幅Wは導波管の動作周波数に大きな影響を及ぼす重要な寸法である。導波管の高さHは動作周波数にある程度影響を与えるが、高さHは主として導波管構造の損失に影響を及ぼす。導波管の高さHが低すぎると、集積導波管の損失が増大する。
【0027】
図1には具体的に示していないが、第1および第2の金属板132−1および132−2と側壁132−3とは、集積導波管132とICチップ110、120またはアプリケーション・ボード140あるいはその両方のコンポーネント間の接地接続部を介して接地される。例えば、本発明の一実施形態では、第2の金属板132−2はパッケージ接地面としてもよい。なお、積層導波管132は、集積導波管132内の(導波管の長さLに沿って伝播する)伝播信号が外部電気信号から電気的に分離される電気的分離構造をなす。この電気的分離により、隣接する集積導波管内の伝播信号間の干渉なしに2つの集積導波管構造が近接して(例えば小間隔で)互いに平行に配置されることが可能になる。実際には、以下で詳述するように、2つの隣接する集積導波管は、2つの隣接する集積導波管の間で共用される共通側壁構造を備えて構成することができる一方、隣接する導波管内の伝播信号間に十分な分離が設けられる。
【0028】
図4に、本発明の別の実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。具体的には、
図4は、
図1のパッケージ構造100と類似しているが、第1および第2のICチップ110および112の裏面が複数のマイクロ・バンプ接続部210(例えばC4接続部)を使用してアプリケーション・ボード140に接続されている、パッケージ構造200の略断面側面図である。
図4にさらに示すように、複数の貫通シリコン・ビア220(TSV)がバルク基板111および121を貫通して形成され、第1および第2のICチップ110および120のBEOL構造114および124内のメタライズ層に電気的に接続される。
【0029】
本実施形態では、貫通シリコン・ビア220は、アプリケーション・ボード140上の電源線からICチップ110および120に直流電力を供給および配電するためと、例えばアプリケーション・ボード140とICチップ110および120との間で低周波ベースバンド信号および制御信号をルーティングするためとに使用することができる。また、本発明の一実施形態では、ICチップ110とICチップ120との間での低周波信号のルーティングを可能にするために、導波管基板130がその第1の表面130−1上に形成された配線パターンを有することができる。
【0030】
図5に、本発明のさらに別の実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。具体的には、
図5は、上述のパッケージ構造に類似しているが、第1および第2のICチップ310および320がバルク基板を備えずに示されているパッケージ構造300の略断面側面図である。本実施形態では、パッケージに実装される前に、第1および第2のICチップ310および320の裏面が研削されまたはその他の場合にはエッチングされてバルク・シリコンが絶縁層112および122(例えば埋め込み酸化物層)まで除去される。
【0031】
第1および第2のICチップ310および320の絶縁層112および122は、接着材料(例えばエポキシ接着剤)を使用して導波管基板130の第1の表面130−1に接着される。さらに、例えば、適切なマイクロ・ジョイント接続を使用して伝送線路116および126の端部を伝送線路に接続し、導波管変換部134および136に接続することによって、ICチップ310および320と導波管基板130との間に電気接続部が形成される。本実施形態では、複数のマイクロ・バンプ接続部330(例えばC4接続部)を使用して、アプリケーション・ボード140の表面140−1上に形成された電源線からICチップ310および320に直流電力を供給および配電するとともに、例えばアプリケーション・ボード140とICチップ310および320との間で低周波ベースバンド信号および制御信号をルーティングする。
【0032】
図6に、本発明の別の実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。具体的には、
図6は、
図1のパッケージ構造100に類似しているが、プローブ給電集積導波管432を有する導波管基板430が示されているパッケージ構造400の略断面側面図である。本実施形態では、導波管基板430は、互いに積層された第1の基板410と第2の基板420とを含む。プローブ給電集積導波管432は、第1の基板410の表面上に形成された第1の金属板432−1と、第2の基板420の表面上に形成された第2の金属板432−2と、第1の金属板432−1と第2の金属板432−2とを接続する第1および第2の基板410および420内に形成された側壁432−3とを含む。
【0033】
パッケージ構造400は、それぞれのプローブ要素434−1および436−1を有する第1の伝送線路−導波管変換構造434と第2の伝送線路−導波管変換構造436とをさらに含む。本発明の一実施形態では、プローブ要素434−1および436−1は、第1の基板410と第2の基板420とを貼り合わせる前に第1の基板410内に形成される埋め込み導電性ビアを含む。例えば、プローブ要素434−1および436−1は、第1の基板410を貫通するビア・ホールを穿孔し、次に標準の処理(例えば電気めっき)を使用してビア・ホールをメタライズすることによって形成することができる。
【0034】
プローブ要素434−1および436−1を形成した後、第1の基板410と第2の基板420とを貼り合わせ、第1および第2の基板410および420の表面410−1および420−1上のメタライゼーションをパターン形成して金属板432−1および432−2(例えば上部および下部導波管壁)と、その他の導電性構造(例えばボンディング・パッド、配線など)とを形成する。集積導波管432の側壁432−3は、第1の基板410と第2の基板420とを貼り合わせた後で、例えば、第1および第2の基板410および420を貫通するビア・ホールを(例えば穿孔、エッチング、レーザ・アブレーションなどで)形成し、次にビア・ホールをメタライズして導電性側壁432−3を形成することによって形成することができる。
【0035】
図7に、本発明の別の実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。具体的には、
図7は、バルク基板層511と、絶縁層512と、活性シリコン層513と、BEOL構造514とを含む半導体ウエハ510(またはウエハの一部)を含む、パッケージ構造500の略断面側面図である。本発明の一実施形態では、半導体ウェア510はSOI(シリコン・オン・インシュレータ)ウエハを含み、絶縁層512はバルク・シリコン基板511上に形成された埋め込み酸化物層であり、活性層513は、埋め込み酸化物層上に形成されたシリコン薄層を含み、能動素子が活性シリコン層513内に形成される。一実施形態では、低損失埋め込み導波管構造を実装するために、バルク・シリコン層511は高抵抗シリコンで形成される。
【0036】
より具体的には、
図7にさらに示すように、パッケージ構造500は、半導体ウエハ510の様々な層内に形成された集積導波管532を含む。例えば、第1の金属板532−1と、伝送線路−導波管変換構造534および536とが、BEOL層514内のメタライズ層から形成される。第2の金属板532−2が、バルク・シリコン基板511の裏面上のパターン形成メタライズ層から形成される。バルク基板511と絶縁層512と活性シリコン層513とを貫通する複数の導電性貫通シリコン・ビアが形成されて、導波管側壁532−3が形成される。
【0037】
図7の実施形態では、バルク基板511と絶縁層512と活性層513との一部が、集積導波管532内に含まれる。集積導波管532内の材料の大部分がバルク基板511の低損失材料(例えば高抵抗シリコン)を含むため、集積導波管532のパフォーマンスは、絶縁層512および活性シリコン層513を形成するために使用される高損失な可能性がある材料の存在の影響を過度に受けない。一実施形態では、第1の金属板532−1と、伝送線路−導波管変換構造534および536の一部とは、BEOL層514の第1のメタライズ層M1から形成される。
【0038】
集積導波管532は、半導体ウエハ510の異なる領域(例えば2つの異なるダイ)内の能動回路が高速データ速度(例えば数Gbpsないし数百Gbpsの範囲のデータ速度)で通信することができるようにする通信路をなす。
図7には1つの集積導波管構造532が示されているが、半導体ウエハ510の複数の領域(例えば3つ以上の異なるダイ)内の能動回路の間での高速マルチチャネル通信を可能にするため、または、例えば異なるダイ領域間の高速通信の複数のチャネルを実装するために、半導体ウエハ510は、2つ以上の集積導波管構造を有するように製作することができる。
【0039】
図7にさらに示すように、半導体ウエハ510は、例えばC4接続部540またはその他の類似のマイクロ・バンプ技術を使用して、アプリケーション・ボード140にフリップチップ実装される。C4接続部540は、BEOL層514の一部であるボンディング/コンタクト・パッドおよび配線パターンと、アプリケーション・ボード140の表面140−1上に形成されたパターン形成メタライズ層の対応するボンディング/コンタクト・パッドおよび配線パターンとの間に形成される。
【0040】
図8に、本発明の別の実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。具体的には、
図8は、
図7のパッケージ構造500に類似しているが、複数のマイクロ・バンプ接続部610(例えばC4接続部)を使用してアプリケーション・ボード140に半導体ウエハ510の裏面が接続されているパッケージ構造600の略断面側面図である。
図8にさらに示すように、BEOL構造514内のメタライズ層とアプリケーション・ボード140の表面140−1上のボンディング・パッドおよび配線との間に電気接続部を形成するために、半導体ウエハ510のバルク基板層511を貫通する複数の導電性貫通シリコン・ビア620が形成されている。例えば、一実施形態では、導電性貫通シリコン・ビア620は、アプリケーション・ボード140の表面140−1上の電源線から半導体ウエハ510の異なる領域(例えば異なるダイ)にある回路に直流電力を供給および配電するためと、例えばアプリケーション・ボード140と半導体ウエハ510の能動回路との間で低周波ベースバンド信号および制御信号をルーティングするためとに使用される。
【0041】
図9に、本発明のさらに別の実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。具体的には、
図9は、
図1のパッケージ構造100に類似しているが、
図1の導波管基板130が省かれ、集積導波管742を有するアプリケーション・ボード740が構成されているパッケージ構造700の略断面側面図である。
図9に示すように、第1および第2のICチップ110および120が、C4接続部150の配列またはその他の類似のマイクロ・バンプ技術を使用して、アプリケーション・ボード740の表面740−1に電気的および機械的にフリップチップ実装されている。
【0042】
集積導波管742は、第1の金属板742−1と、第2の金属板742−2と、側壁742−3とを含む。第1および第2の金属板742−1および742−2は、アプリケーション・ボード740の互いに対して反対側の表面740−1および740−2上のメタライズ層からパターン形成され、側壁742−3は、アプリケーション・ボード740を貫通して形成された金属ポスト(例えば導電性ビア)によって形成される。また、パッケージ構造700は、伝送線路−導波管変換構造744および746を含み、伝送線路−導波管変換構造744および746の少なくとも一部は、アプリケーション・ボードの第1の側740−1上のメタライズ層をパターン形成することで形成される構造を有する。一実施形態では、アプリケーション・ボード740は、集積導波管742の高動作周波数での動作特性を向上させるために、低損失材料で形成される。
【0043】
図9にさらに示すように、アプリケーション・ボード740は、アプリケーション・ボード740の第1の表面740−1上と第2の表面740−2上のコンタクト・パッドおよび配線パターンの間に電気接続部を設ける複数の導電性貫通ビア748を含む。導電性貫通ビア748は、アプリケーション・ボード740上の電源線からICチップ110および120に直流電力を供給/配電するためと、例えばアプリケーション・ボード740とICチップ110および120との間で低周波ベースバンド信号および制御信号をルーティングするためと、ICチップ110とICチップ120との間で低周波信号をルーティングするためとに使用される、電気配線および相互接続部の一部を形成する。
【0044】
図10に、ICチップ間のマルチチャネル通信を実現するために複数の集積導波管が使用される、本発明の別の実施形態によるパッケージ構造を概略的に示す。より具体的には、
図10は、複数のボンディング・パッド811および821をそれぞれ使用してパッケージ・キャリア830上にフリップチップ実装された、第1のICチップ810と第2のICチップ820とを含むパッケージ構造800を示す略上面図である。本発明の一実施形態では、パッケージ・キャリア830は、(例えば
図1、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6の例示の実施形態のような)専用導波管基板、または(
図9の例示の実施形態のような)アプリケーション・ボード、または他の何らかの種類のパッケージ・キャリアとすることができる。
【0045】
パッケージ・キャリア830は、それぞれが第1のICチップ810の伝送線路に接続するための伝送線路−導波管変換部834と、第2のICチップ820の伝送線路に接続するための伝送線路−導波管変換構造835とを含む、複数の集積導波管構造831、832および833を含む。
図10に示す例示の実施形態では、伝送線路−導波管変換構造834および835は、マイクロストリップ−導波管変換構造を含む。マイクロストリップ−導波管変換構造は、従来の技術および構造を使用して形成することができる。
【0046】
図10の例示の実施形態では、パッケージ構造800は、3つの別々の集積導波管831、832、および833を使用して、第1のICチップ810と第2のICチップ820との間に3本の高速データ速度通信路を設ける。また、これらの集積導波管構造は外部コンポーネントへの相互結合がほとんどなく電気的に分離されているため、
図10に示すように2つの隣接導波管832および833は、上述のように一連の金属ポストによって形成された共通側壁構造836を共有するように製造することができる。これにより、高集積パッケージ構造内の複数の埋め込み導波管構造の高密度集積化が可能になる。
【0047】
図11および
図12に、本発明の一実施形態による、スロット給電部−導波管変換構造920を有する集積導波管900を概略的に示す。具体的には、
図11は、集積導波管900およびスロット給電部−導波管変換構造920の略上面図であり、
図12は、
図11の線9B−9Bに沿った集積導波管900の略側面図である。
図11および
図12に示すように、集積導波管900は、第1の金属板910と、第2の金属板912と、第1の金属板910と第2の金属板912を接続する一連の金属ポスト914(例えばメタライズ・ビア・ホール)によって形成された側壁とを含む。
【0048】
第1および第2の金属板910よび912は、基板916の互いに対して反対側の表面上のメタライゼーションから形成される。一実施形態では、基板916は例えばガラスまたは高抵抗シリコンなどの低損失材料で形成される。本発明の一実施形態では、第2の金属板912は、パッケージ接地面を含むかまたはその一部をなし、集積導波管900の金属コンポーネントを電気的に接地する役割を果たす。
【0049】
スロット給電部−導波管変換部920は、集積導波管900の第1の金属板910の縁部領域に互いに隣接してパターン形成された第1のスロット922と第2のスロット924とを含む。
図11に示すように、第1のスロット922と第2のスロット924との第1の長さ部分(L1)は、第1の金属板910の縁部から平行に延び、第1のスロット922と第2のスロット924との第2の長さ部分(L2)は、それぞれの第1の長さ部分(L1)の端部から分岐角度で延びる。本発明の一実施形態では、
図11に示すように、第1のスロット922と第2のスロット924とは鏡像パターンであり、Y字形状のスロット構造を形成する。
【0050】
スロット給電部−導波管変換部920は、平面伝送線路に対するGSG(ground signal ground)接続を提供し、第1のスロット922と第2のスロット924との間の第1の金属板910の部分926はスロット給電部−導波管変換部920に対して信号線(S)接続を提供し、第1のスロット922と第2のスロット924との対向する各側の第1の金属板910の部分は、スロット給電部−導波管変換部920に対して接地(G)接続を提供する。
図11に示す例示の伝送線路−導波管変換部920は、広帯域動作を実現し、CPW型伝送線路とも、ストリップラインおよびマイクロストリップ型伝送線路ともインターフェース接続することができるという点できわめて柔軟性がある。伝送線路−導波管変換部920は、本明細書に記載のようにパッケージ構造で容易に実装することができる。
【0051】
図13に、無線用途のための埋め込み電力結合器/分配器回路を実装するために複数の集積導波管が使用された、本発明の別の実施形態によるパッケージ構造を概略的に示す。より具体的には、
図13は、第1のRFIC(無線周波数集積回路)チップ1010と、第2のRFICチップ1020と、アンテナ・パッケージ1030と、パッケージ・キャリア1050内に一体的に形成された集積導波管構造網で実装される受動電力結合器/分配器回路1040とを含むパッケージ構造1000の略上面図である。本発明の別の実施形態では、要素1010および1020は、1つまたは複数のRFICチップを含むRFICパッケージ構造とすることができる。
【0052】
本発明の一実施形態では、第1および第2のRFICチップ1010および1020とアンテナ・パッケージ1030とがパッケージ・キャリア1050に実装される。パッケージ・キャリア1050は、(例えば
図1、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6の例示の実施形態のような)専用導波管基板、または(
図9の例示の実施形態のような)アプリケーション・ボード、または他の何らかの種類のパッケージ・キャリアとすることができる。電力結合器または分配器あるいはその両方の回路1040は、第1および第2のRFICチップ1010および1020が、アンテナ・パッケージ1030の1つまたは複数のアンテナによる送信のためにアンテナ・パッケージ1030にRF信号を送ること、またはアンテナ・パッケージ1030の1つまたは複数のアンテナによって捕捉されてアンテナ・パッケージ1030から第1および第2のRFICチップ1010および1020に送信されるRF信号を受信すること、あるいはその両方を行うことを可能にする。
【0053】
図14に、本発明の別の実施形態による集積導波管を有するパッケージ構造を概略的に示す。より具体的には、
図14は、RFICチップ1110(またはRFICパッケージ)と、導波管インターフェース1120と、パッケージ・キャリア1040内に一体的に形成された集積導波管1130とを含むパッケージ構造1100の略上面図である。RFICチップ1110および導波管インターフェース1120は、パッケージ・キャリア1140上に実装され、またはその他の場合には形成されている。パッケージ・キャリア1140は、(例えば
図1、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6の例示の実施形態のような)専用導波管基板、または(
図9の例示の実施形態のような)アプリケーション・ボード、または他の何らかの種類のパッケージ・キャリアとすることができる。集積導波管1130は、RFICチップ1110と導波管インターフェース1120との間の通信路をなし、導波管インターフェース1120は、高利得アンテナ・システムとの間で、例えばパッケージ構造1100に対して通信信号をルーティングする外部導波管構造(例えば金属導波管または誘導体導波管)に接続可能に構成される。
【0054】
本明細書では実施形態について例示を目的として添付図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の厳密な実施形態には限定されないこと、本明細書において本発明の範囲から逸脱することなく当業者により他の様々な変形および変更を加えることができることを理解すべきである。