(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による超硬合金中のWCは、好適には、0.4から10μmの間、好ましくは1.2から4.0μmの間の平均結晶粒径を有する。
【0013】
WC及び結合材相に加えて、超硬合金はまた、超硬合金の作製の技術分野において一般的な他の構成成分、例えばNb、Ta、Ti及びCrを含んでもよい。これらの元素の量は、全超硬合金の20重量ppmから5wt%の間で変動し得る。
【0014】
本発明の一実施態様において、追加的な、すなわちWCに追加した構成成分の量は、全超硬合金の20重量ppmから1wt%の間、好ましくは20から250重量ppmの間である。
【0015】
本発明の別の実施態様において、WCは、存在する唯一の硬質構成成分である。
【0016】
超硬合金はまた、当技術分野において一般的な少量の他の元素、例えば希土類、酸化物、アルミナイド及びホウ化物を含んでもよい。
【0017】
超硬合金の基材を含む切削工具中の結合材相含量は、好適には、2から25wt%、好ましくは4から10wt%、より好ましくは5から7wt%である。
【0018】
結合材相は、Co、Ni及びFeの一又は複数を含んでもよい。
【0019】
本発明の一実施態様において、結合材相は、主にCoを含む。これは、本明細書において、結合材相の原材料としてCoのみが添加されることを意味する。しかしながら、製造中、Coに他の元素が部分的に溶解し得る。
【0020】
本発明によれば、勾配表面ゾーンは、結合材相が欠乏しており、すなわち、勾配表面ゾーンにおける結合材相含量は、超硬合金のバルク中の結合材相含量よりも低い。結合材相含量を測定するための1つの手法は、EDS/WDS検出器を有するMicroprobe Jeol JXA8530Fによるものである。
【0021】
勾配表面ゾーンの厚さは、好適には、50から400μmの間、好ましくは120から250μmの間である。表面勾配ゾーンは、工具の表面と、結合材相含量がそれ以上変化しない点、すなわちバルクが開始する点との間の領域として定義される。
【0022】
本発明の一実施態様において、勾配表面ゾーン中の結合材相含量は、バルク中の結合材相含量の0.2から0.9倍である。表面から開始してバルクに向かう勾配表面ゾーン中の結合材相含量の増加は、勾配表面ゾーンの終わりまで段階的である。
【0023】
超硬合金の基材を含む切削工具中のグラファイト含量は、グラファイト析出物が光学顕微鏡(LOM)を使用した際に明確に観察され得るような含量である。グラファイトは、勾配表面ゾーンにおいて、及びいくつかの場合では超硬合金体全体にも、すなわち勾配表面ゾーン及びバルクの両方で観察され得る。
【0024】
遊離グラファイトの量を説明するための1つの手法は、DIN ISO4505に従って測定されるC−空隙率によるものである。本明細書において、これは、100倍(倍)の倍率の画像(画像は、ツールのノーズ、好ましくは切断刃、及びツールの少なくとも600×600μmの領域を含む)において、最大量の遊離グラファイトを有する領域のC−空隙率が、好適にはC02からC08の間、好ましくはC04からC08の間、より好ましくはC06からC08の間であることを意味する。
【0025】
本発明の一実施態様において、グラファイトは、勾配表面ゾーンに存在する。
【0026】
本発明の一実施態様において、グラファイトは、勾配表面ゾーンにのみ存在する。
【0027】
本発明の一実施態様において、超硬合金は、WC及びCo、並びに不可避の不純物からなる。WC含量は全炭素含量に寄与するため、生成物中の全炭素含量は、WC含量により変動する。
【0028】
例えば、94wt%のWC及び6wt%のCoを含む超硬合金の場合、材料中の全炭素含量は、好適には、5.80から5.95wt%の間、好ましくは5.89から5.93wt%の間である。炭素含量は、例えば、例において説明されるように、LECO機器により測定され得る。
【0029】
本発明の一実施態様において、超硬合金は、WC及び5−7wt%のCo、並びに不可避の不純物からなる。
【0030】
当技術分野において、工具寿命を増加させるために超硬合金工具にコーティングを施すことが一般的である。本発明による超硬合金は、コーティングされていなくてもよく、又は、コーティング、好ましくは当技術分野において知られているCVD若しくはPVDコーティングが施されてもよい。
【0031】
本発明の一実施態様において、本発明による切削工具は、好適にはコーティングされていない。
【0032】
本発明の一実施態様において、超硬合金体は、0.2−3μmの厚さを有する磨耗検出に有用なコーティング、例えばTiNが施されている。
【0033】
本発明の別の実施態様において、超硬合金体は、余分な炭素源を提供するために、例えばCVDにより堆積された0.2−3μmの厚さを有する炭素を含むコーティング、例えばDLCコーティングが施されている。
【0034】
本発明の別の実施態様において、超硬合金体は、CVD堆積による0.2−3μmの厚さを有するZrC単層を含むコーティングが施されている。
【0035】
切削工具とは、本明細書において、インサート、ドリル又はエンドミルを意味する。
【0036】
本発明の一実施態様において、切削工具は、旋削用インサートである。
【0037】
本発明による超硬合金の基材を含む切削工具は、非鉄合金、最も好適にはTi若しくはTi合金及び/又はNi系合金、最も好適にはTi又はTi合金の機械加工に好適である。Ti及びTi合金の例は、好適には、α、β及びγ合金、例えばα−Ti及びα合金、例えばTi
5Al
2.5Sn、準α合金、例えばTi
6Al
2Sn
4Zr
2Mo、α+β合金、例えばTi
6Al
2Sn
4Zr
6Mo及びTi
6Al
4Vである。Ni系合金の例は、Inconel 718、Waspaloy及びHaynes 282合金である。
【0038】
本発明はまた、Ti又はTi合金における機械加工のための、本明細書に記載のような切削工具の使用に関する。
【0039】
本発明はまた、上記に従う超硬合金の基材を含む切削工具を作製する方法に関する。
【0040】
本発明による超硬合金の基材を含む切削工具を作製する方法は、ある特定の炭素含量を有する第1の超硬合金体を用意する工程と、次いで前記第1の超硬合金体を浸炭環境内で焼結工程に供する工程とを含む。
【0041】
第1の超硬合金体は、その特定の超硬合金組成の相図における、1000℃での二相領域、すなわちWC+固体結合材相のゾーンの幅により決定される範囲内の炭素含量を有する、任意の超硬合金体であってもよい。
【0042】
当技術分野において、組成、例えばCr又は他の結合材相金属、例えばFe若しくはNiの存在に依存して、この領域の炭素限界が変動することは周知である。二相領域の炭素限界はまた、WC含量によっても変動する。これは、
図1(94wt%のWC+6wt%のCoの場合)及び
図2(90wt%のWC+10wt%のCoの場合)に示されている。確認され得るように、94wt%のWC+6wt%のCoを含有する第1の超硬合金体中の炭素含量は、相図において画定されるように、1000℃の温度において、点線の間の距離X、すなわち5.70から5.77wt%Cの間となるはずであり、一方、90wt%のWC+10wt%のCoの場合、対応する範囲は、相図において画定されるように、1000℃の温度において、5.40から5.53wt%Cの間となる。
【0043】
本発明の一実施態様において、第1の超硬合金体中の炭素含量は、上述されたような二相領域の幅により決定される範囲の下半分内にある。
【0044】
本発明の一実施態様において、6wt%のCoを含むWC−Co系の場合、これは、第1の超硬合金体中の炭素含量が、好適には、5.70から5.77wt%Cの間、好ましくは5.70から5.72wt%Cの間であることを意味する。
【0045】
本発明の一実施態様において、10wt%のCoを含むWC−Co系の場合、これは、第1の超硬合金体中の炭素含量が、好適には、5.40から5.53wt%Cの間、好ましくは5.40から5.46wt%Cの間であることを意味する。
【0046】
本発明の一実施態様において、WC+7wt%Coの組成を有する第1の超硬合金体中の炭素含量は、5.62から5.71wt%Cの間である。
【0047】
本発明の一実施態様において、WC+8wt%Coの組成を有する第1の超硬合金体中の炭素含量は、5.55から5.65wt%Cの間である。
【0048】
本発明の一実施態様において、WC+9wt%Coの組成を有する第1の超硬合金体中の炭素含量は、5.47から5.59wt%Cの間である。
【0049】
第1の超硬体はまた、硬質構成成分を形成する粉末及び結合材相を形成する粉末から、従来の技術に従って製造され得る。
【0050】
硬質構成成分を形成する粉末は、超硬合金を作製する技術分野において一般的な材料、例えばWC、並びにTa、Ti、Nb、Cr、Hf、V、Mo及びZrの一又は複数の炭化物又は炭窒化物から選択される。
【0051】
WCは、高温浸炭WC、又は、国際公開第2014/191505号若しくは国際公開第2014/191511号に記載のような、Mo、Cr、Zr、Ta、Nb、Ti、Hf、Vの元素の1つ若しくは組合せによるドープWCであってもよい。
【0052】
本発明の一実施態様において、第1の超硬合金体は、結合材相勾配を有さない。これは、本明細書において、超硬合金体が、結合材相の本質的に均一な分布を有すること、すなわち、第1の焼結体を作製する際に勾配が意図されなかったことを意味する。
【0053】
また、硬質構成成分の少なくとも一部が、リサイクルされた超硬合金材料として添加されてもよい。そのような材料は、通常、冶金学的又は化学的手段により、例えば亜鉛回収プロセス(PRZ)、電解回収、抽出又は酸化によりリサイクルされる。そのような原材料は、W、C、Co、並びに、Ta、Ti、Nb、Cr、Zr、Hf、V及びMoの少なくとも一又は複数等の多くの元素を含み得る。
【0054】
結合材相を形成する粉末は、単一の結合材金属の粉末、又は2つ以上の金属の粉末ブレンド、又は2つ以上の金属の合金の粉末であってもよい。結合材金属は、Cr、Mo、Fe、Co又はNiから、好ましくはCo、Fe又はNiから選択され、最も好ましくはCoである。
【0055】
結合材相を形成する添加された粉末の結晶粒径は、好適には、0.5から3μmの間、好ましくは0.5から1.5μmの間である。結合材相を形成する粉末の量は、好適には、2から25wt%の間、好ましくは4から10wt%の間、より好ましくは5から7wt%の間である。
【0056】
第1の超硬合金体を作製する方法は、通常、硬質構成成分を形成する粉末、すなわちWC及びおそらくは上記に従う任意の他の添加剤、結合材相を形成する粉末、有機結合材、例えばPEG又はパラフィン、並びにミリング液、例えば水/エタノールを含むスラリーを形成することにより開始される。スラリーは、好適には、ボールミル又はアトライタミル内で磨砕される。
【0057】
上述されたような第1の超硬合金体中の所望の炭素含量を達成するために、磨砕前の粉末混合物へのカーボンブラックの添加による炭素含量の調節が行われる。
【0058】
次いで、スラリーは、知られている技術、特に噴霧乾燥により、顆粒となるまで好適に乾燥される。
【0059】
その後、例えば一軸圧縮、多軸圧縮等の圧縮操作により、乾燥した顆粒から素地が形成される。その後、第1の超硬合金体を形成するために、素地は、任意の従来の焼結法、例えば真空焼結、Sinter HIP、放電プラズマ焼結等により焼結される。
【0060】
次いで、第1の超硬合金体は、浸炭環境内で焼結される。
【0061】
本発明の一実施態様において、浸炭環境内での焼結は、その間で超硬合金体を移動させることなく、第1の超硬体を形成する焼結と同じ炉内で行われる。
【0062】
本発明の別の実施態様において、浸炭環境内での焼結は、例えば異なる炉を使用することにより、第1の超硬体を形成する焼結とは別個に行われる。
【0063】
浸炭環境内での焼結のための焼結温度は、第1の超硬合金体の組成に依存して変動する。浸炭環境内での焼結は、第1の液体の形成のための温度、すなわち、WC+Co
液体+Co
固体相領域の下限より少なくとも高い温度で、焼結炉内で行われる。WC+Co
液体+Co
固体相領域は、
図1及び
図2の両方において確認され得る。
【0064】
浸炭環境内での焼結の焼結温度は、好適には、1500℃未満である。
【0065】
例えば、6wt%のCoを有するWC−Coの場合、温度は、好適には、1300から1370℃の間、好ましくは1340から1350℃の間である。
【0066】
本発明の一実施態様において、浸炭環境は、一又は複数の炭素含有ガス、例えばCH
4、COにより提供される。また、焼結の間H
2ガスが存在してもよい。
【0067】
本発明の一実施態様において、浸炭環境は、炭素コーティング又は炭素粉末又は炭素溶液等の炭素源により提供され得る。
【0068】
浸炭環境内での焼結の持続時間は、好適には、15分から4時間の間、好ましくは40分から2時間の間である。持続時間とは、本明細書において最大温度での時間を意味する。
【実施例】
【0069】
例1(本発明)
WC、6wt%のCo及び追加の炭素で作製された混合物を、18時間混合及びブレンドし、真空条件下で1410℃で1時間圧縮及び焼結した。焼結後、超硬合金は、Co金属結合材相に埋没したWCからなる。焼結後の全炭素は、5.70wt%Cであった。炭素含量は、試料を燃焼させ、次いで生成物を固体IR検出により分析することによって測定される。分析は、LECO WC−600機器において行われる。値の精度は、±0.01wt%である。
【0070】
第1の焼結工程の後、CH
4/H
2の混合物を含有する焼結雰囲気中で超硬合金体を1350℃の温度で1時間熱処理することにより、超硬合金体を第2の焼結工程に供し、超硬合金にCo欠乏勾配表面ゾーンを生成した。熱処理後、超硬合金は、WC、Co及び遊離グラファイト析出物を含んでおり、ISO DIN4505によるC06のC−空隙率を有していた。さらに、超硬合金と比較してより高い炭素活性を有する雰囲気中での焼結処理に起因して、超硬合金に130μmのCo欠乏勾配表面ゾーンが形成する。超硬合金体のLOM画像は、
図3において確認され得る。
【0071】
勾配は、15kW 50nAのビームエネルギー、1μmのプローブ直径、及び1000ミリ秒の滞留時間のEDS/WDS検出器を有するMicroprobe Jeol JXA8530Fを使用して、ノーズ、レーキ及びフェイス側の3つの異なる位置でのインサートの断面で測定される。
【0072】
熱処理後のLECOにより測定される全炭素含量は、5.89wt%Cであった。この超硬合金体を、試料1と呼ぶ。
【0073】
例2(本発明)
WC、6wt%のCo及び追加の炭素で作製された混合物を、18時間混合及びブレンドし、真空条件下で1410℃で1時間圧縮及び焼結した。焼結後、超硬合金は、Co金属結合材相に埋没したWCを含んでいた。焼結後の全炭素含量は、5.76wt%Cであった。
【0074】
第1の焼結工程の後、CH
4/H
2の混合物を含有する焼結雰囲気中で超硬合金体を1350℃の温度で1時間熱処理することにより、超硬合金体を第2の焼結工程に供し、超硬合金にCo欠乏勾配表面ゾーンを生成した。熱処理後、超硬合金は、WC、Co及び遊離グラファイト析出物を含んでおり、ISO DIN4505によるC06のC−空隙率を有していた。さらに、超硬合金と比較してより高い炭素活性を有する雰囲気中での焼結処理に起因して、超硬合金に100μmのCo欠乏勾配表面ゾーン−が形成する。熱処理後のLECOにより測定される全炭素含量は、5.91wt%Cであった。超硬合金体のLOM画像は、
図4において確認され得る。C−空隙率、勾配及び炭素含量は、例1に記載のように測定されている。この超硬合金体を、試料2と呼ぶ。
【0075】
例3(本発明+コーティング)
本発明に従って生成された超硬合金(例1)を、従来の化学気相堆積により、0.3μmのTiNの接着層及び1.6μmZrC層からなる複数層でコーティングした。この超硬合金体を、試料3と呼ぶ。
【0076】
例4(比較例)
WC、6wt%のCo及び追加の余分な炭素で作製された混合物を、18時間混合及びブレンドし、真空条件下で1410℃で1時間圧縮及び焼結した。焼結後、超硬合金は、Co金属結合材相に埋没したWCを含んでいた。焼結後にLECOにより測定された全炭素は、5.76wt%Cであった。炭素含量は、例1に記載のように測定されている。遊離グラファイトの勾配は存在しなかった。この超硬合金体を、試料4と呼ぶ。
【0077】
例5(比較例)
WC、6wt%のCo及び追加のW金属で作製された混合物を、18時間混合及びブレンドし、真空条件下で1410℃で1時間圧縮及び焼結した。焼結後、超硬合金は、Co金属結合材相に埋没したWC及び亜炭化物(W,Co)
xC(M
6C,M
12C)析出物、すなわちイータ相を含んでいた。焼結後にLECOにより測定された全炭素は、5.36wt%Cであった。
【0078】
第1の焼結工程の後、CH
4/H
2の混合物を含有する焼結雰囲気中で超硬合金体を1350℃の温度で1時間熱処理することにより、超硬合金体を第2の焼結工程に供した。熱処理後、超硬合金は、WC、Co及び亜炭化物(W,Co)xC(M
6C,M
12C)析出物、すなわちイータ相を含んでいた。さらに、300μmの厚さを有する亜炭化物(W,Co)xC(M
6C,M
12C)析出物を有さないCo欠乏勾配表面ゾーンが、超硬合金に形成された。LECOにより測定された全炭素含量は、5.55wt%Cであった。遊離グラファイトは観察されなかった。勾配及び炭素含量は、例1に記載のように測定されている。この超硬合金体を、試料5と呼ぶ。
【0079】
例6(比較例)
WC、6wt%のCo及び追加の余分な炭素で作製された混合物を、18時間混合及びブレンドし、真空条件下で1410℃で1時間圧縮及び焼結した。焼結後、超硬合金は、Co金属結合材相に埋没したWC、及び遊離グラファイト析出物を含んでおり、ISO DIN4505によるC06のC−空隙率を有していた。焼結後にLECOにより測定された全炭素は、5.80wt%Cであった。勾配は存在しなかった。C−空隙率及び炭素含量は、例1に記載のように測定されている。この超硬合金体を、試料6と呼ぶ。
【0080】
例7(比較例)
WC、6wt%のCo及び追加の炭素で作製された混合物を、18時間混合及びブレンドし、真空条件下で1410℃で1時間圧縮及び焼結した。焼結後、超硬合金は、Co金属結合材相に埋没したWC、及び遊離グラファイト析出物を含んでいた。焼結後にLECOにより測定された全炭素は、5.80wt%Cであった。
【0081】
第1の焼結工程の後、CH
4/H
2の混合物を含有する焼結雰囲気中で超硬合金体を1350℃の温度で1時間熱処理することにより、超硬合金体を第2の焼結工程に供し、超硬合金の表面上にCo欠乏勾配表面ゾーンを生成した。熱処理後、超硬合金は、WC、Co及び遊離グラファイト析出物からなっており、ISO DIN4505によるC06のC−空隙率を有していた。さらに、超硬合金と比較してより高い炭素活性を有する雰囲気中での焼結処理に起因して、超硬合金に30μmのコバルト結合材勾配を有する勾配表面ゾーンが形成される。熱処理後のLECOにより測定される全炭素含量は、5.90wt%Cであった。C−空隙率、勾配及び炭素含量は、例1に記載のように測定されている。この超硬合金体を、試料7と呼ぶ。
【0082】
例8(実施例)
全てのインサートを、以下の条件を使用して、Ti
6Al
4V合金での旋削操作において試験した。
ap=0.2
Fn=0.2
Vc=75m/分。
【0083】
工具寿命の基準は、0.4mmを超える拡大したフランク磨耗であった。
【0084】
結果は、表1において確認され得る。
【0085】
結果は、本発明に従って生成された超硬合金が、全ての他の超硬合金と比較して、大幅に改善された寿命を示したことを示している。結果はまた、浸炭雰囲気中での焼結前の第1の超硬合金体中の炭素含量が、超硬合金体の性能に重要であることを示している。