【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、人間の角膜のレーザ切除治療のために切除プロファイルの切除プロファイルデータを評価するように、かつこの評価に基づいてフラップ形状を画定するようにプログラムされる、制御ユニットを備える、人間の眼のレーザ治療のためにフラップのフラップ形状を画定するための装置である。
【0006】
制御ユニットは、例えば、プロセッサ、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを備え得る、プログラム制御方式の制御ユニットであってもよい。制御ユニットのプログラミングは、例えば、対応するプログラムを制御ユニットのメモリに書き込むことにより行われてもよい。制御ユニット内のメモリにおけるプログラムは、制御ユニットのプロセッサにより実行することができる。プログラムの実行中に、前述のステップを実施することができる。切除プロファイルの切除プロファイルデータは、デジタルデータの形で、例えば、データファイルの形で存在してもよい。切除プロファイルデータは、治療すべき患者の眼の切除治療のために所望の切除プロファイルを記述してもよい。切除プロファイルデータは、例えば、画素毎に、2次元マトリクス状の画素の深さ値を示すデータファイルに含まれてもよい。深さ値は、この値に基づいて、レーザ切除治療中に切除用レーザにより人間の角膜を切除すべきである、(例えば、μmまたはnm単位の)値であってもよい。切除プロファイルデータは、ベクトルの形であってもよい。切除プロファイルデータは、切除プロファイルと治療すべき眼との間の空間関係を確立することができる。例えば、治療すべき眼の瞳孔の中心点と一致する、基準点が、切除プロファイルデータにおいて定められてもよい。更に、治療すべき眼の水平軸線および/または垂直軸線と一致する、基準軸線もまた、切除プロファイルデータにおいて定めることができる。切除プロファイルデータの評価は、ソフトウェア支援評価を含み得る。この評価に関して、例えば、画像処理および/または画像評価に既知の方法を使用してもよい。フラップ形状は、評価に基づいて最適に画定することができ、その結果、フラップ形状を画定するために分析工程のある特定の結果値および/または分析データを使用することができる。フラップ形状は、フラップ形状を表す対応するデータが制御ユニットのメモリに書き込まれるような仕方で画定されてもよい。制御ユニットのメモリに書き込まれる、フラップ形状データは、画定されたフラップ形状に基づいて決定されてもよい。
【0007】
制御ユニットは、切除プロファイルデータを評価することが切除プロファイルの直径を決定することを含むように、かつフラップ形状を画定することが切除プロファイルの直径に基づいてフラップの厚さを画定することを含むようにプログラムされてもよい。
【0008】
切除プロファイルの直径は、例えば、画像処理の既知の方法を利用して決定することができる。切除プロファイルの直径は、上面図において決定される、直径であってもよい。以下に使用される「上面図において」とは、切除プロファイルおよび/またはフラップ形状のx−y平面が考慮されることを意味する。x−y平面は、フラップを切開する工程で接触要素により水平にされる、人間の角膜の表面と実質的に一致してもよい。x−y平面は、z軸線に直交する平面と一致してもよい。z軸線は、切開用レーザおよび/または切除用レーザの入射方向と実質的に一致してもよい。z軸線は、瞳孔の中心点を通って延在する、眼球の径方向と一致してもよい。直径は、例えば、切除プロファイルの最大直径であってもよい。直径は更に、例えば、所定の軸線に沿った直径、例えば、切除プロファイルの水平軸線または垂直軸線に沿った直径であってもよい。切除プロファイルの水平軸線および/または垂直軸線は、治療すべき眼の水平軸線および/または垂直軸線と一致してもよい。フラップの直径の画定は、フラップが上方から見て実質的に円形でありかつ円の直径が切除プロファイルの特定の直径の関数として画定されるようなものであってもよい。フラップの円の直径は、切除プロファイルの決定された直径よりも所定値だけ大きくてもよい。
【0009】
制御ユニットは、フラップ形状を画定することが、画定された安全マージンを考慮して行われるようにプログラムされてもよく、結果として、上面図では、各位置における切除プロファイルの外縁とフラップの外縁との間の最短距離が少なくとも安全マージンになる。
【0010】
安全マージンは、装置の使用者(例えば、医師)により画定され得る、長さ値(例えば、μm)であってもよい。安全マージンは、切除プロファイルデータと一緒にデータファイルに記憶され、かつこのデータファイルから読み出されてもよい。
【0011】
制御ユニットは、切除プロファイルデータを評価することが治療すべき眼に対する切除プロファイルの位置を決定することを含むように、かつフラップ形状を画定することが治療すべき眼に対するフラップの位置を画定することを含むようにプログラムされてもよい。
【0012】
切除プロファイルデータは、治療すべき眼に対する切除プロファイルの位置に関する情報を含み得る。例えば、切除プロファイルデータは、治療すべき眼の瞳孔の中心点に対する切除プロファイルの位置に関する情報を含み得る。切除プロファイルデータが、例えば、画素に基づくデータファイルの形で利用可能である場合に、データファイルの所定の画素が、治療すべき眼の瞳孔の中心点の位置と一致してもよい。フラップは、例えば、上面図では実質的に円形または実質的に楕円形であってもよい。フラップは、片側にヒンジを有し得る。治療すべき眼に対するフラップの位置を画定することは、例えば、治療すべき眼に対する実質的に円形フラップの中心点の位置を画定することを含み得る。
【0013】
制御ユニットは、切除プロファイルデータを評価することが治療すべき眼に対する切除プロファイルの向きを決定することを含むように、かつフラップ形状を画定することが治療すべき眼に対するフラップの向きを画定することを含むようにプログラムされてもよい。
【0014】
切除プロファイルデータは、治療すべき眼に対する切除プロファイルの向きに関する情報を含み得る。例えば、切除プロファイルデータはまた、治療すべき眼の水平軸線または垂直軸線に対する切除プロファイルの向きに関する情報を含み得る。この情報は、例えば、角度情報または角度値を含み得る。切除プロファイルの向きを決定するために、切除プロファイルデータは、例えば、治療すべき眼の水平軸線または垂直軸線と一致する基準軸線を含み得る。フラップの向きを画定することは、治療すべき眼の水平軸線または垂直軸線に対するフラップの回転の向きの画定することを含み得る。フラップは、例えば、上方から見て実質的に円形または実質的に楕円形であってもよい。フラップは、片側にヒンジを有し得る。
【0015】
制御ユニットは、フラップの向きを画定することが治療すべき眼に対するフラップのヒンジの位置を画定することを含むようにプログラムされてもよい。
【0016】
ヒンジの位置は、例えば、ヒンジから切除プロファイルの外縁までの最短距離が上面図において最大となるように画定されてもよい。
【0017】
制御ユニットは、切除プロファイルデータを評価することが、切除プロファイルの直径を決定することと、軸線に沿って切除プロファイルが最大直径を有する、その軸線を決定することとを含むようにプログラムされてもよく、かつフラップ形状を画定することが、軸線に平行なフラップのヒンジの向きを画定することを含む。
【0018】
制御ユニットは、切除プロファイルデータを評価することが、切除プロファイルの鏡面対称軸線を決定することを含むようにプログラムされてもよく、かつフラップ形状を画定することが、鏡面対称軸線に直交するフラップのヒンジの向きを画定することを含む。
【0019】
鏡面対称軸線は、この軸線に対して切除プロファイルが実質的に鏡面対称である軸線であってもよい。切除プロファイルは、例えば、1つまたは2つの鏡面対称軸線を有し得る。鏡面対称軸線は、軸線自体が切除プロファイルの鏡面対称軸線と最も近く一致する、軸線と一致するように決定されてもよい。換言すれば、鏡面対称軸線は、切除プロファイルの最大限可能な鏡面対称性を有する軸線であってもよい。鏡面対称軸線に直交するフラップのヒンジの向き決めは、フラップの鏡面対称性が切除プロファイルの鏡面対称性と実質的に一致するような仕方で実施されてもよい。フラップのヒンジの向きは、フラップの鏡面対称軸線が切除プロファイルの鏡面対称軸線と一致するような仕方で画定されてもよい。
【0020】
制御ユニットは、切除プロファイルデータを評価することが切除プロファイルの深さを決定することを含みかつフラップ形状を画定することが切除プロファイルの深さに基づいてフラップの厚さを画定することを含むようにプログラムされてもよい。
【0021】
深さは、z軸線に沿って(切開用レーザおよび/または切除用レーザの入射方向に沿って)決定されてもよい。切除プロファイルの深さは、切除用レーザにより切除すべき角膜組織の厚さと一致してもよい。切除プロファイルの特定の深さは、例えば、切除プロファイルの最大深さであってもよい。換言すれば、その深さは、切除プロファイルの最深点における深さであってもよい。フラップの厚さは、z方向に沿った厚さであってもよい。フラップの厚さは、例えば、切除プロファイルの特定の深さが大きくなるほど、フラップの画定された厚さが小さくなり、その逆も同様となるような仕方で画定されてもよい。
【0022】
制御ユニットは、フラップ形状を画定することが治療すべき眼の角膜の角膜厚さおよび/または少なくとも1つの曲率半径を考慮して行われるようにプログラムされてもよい。
【0023】
フラップ形状は、例えば、角膜の厚さの値が高いほど、フラップの画定された厚さの値が高くなり、その逆も同様となるように画定されてもよい。逆に、フラップの厚さは、フラップの厚さと切除プロファイルの最大深さと所定の安全距離との合計が角膜の厚さと一致するように画定されてもよい。
【0024】
装置はまた、切除プロファイルデータを読み取るための入力インターフェースを備え得る。
【0025】
入力インターフェースは、例えば、ネットワークインターフェースおよび/または記憶媒体の読み取りのためのインターフェースを含み得る。記憶媒体は、例えば、磁気記憶媒体、光学的記憶媒体または半導体記憶媒体であってもよい。ネットワークインターフェースは、例えばインターネットにおよび/または内部ネットワーク(イントラネット)に接続されてもよい。切除用レーザのネットワークインターフェースは、例えば、ネットワークに接続されてもよい。例えば、データファイルの形の切除プロファイルデータは、入力インターフェースを介して入力されてもよい。入力インターフェースは、ネットワークに接続される、ネットワークインターフェースを備え得、かつ切除プロファイルデータは、サーバのメモリ内、または、例えば、ネットワークインターフェースを介してネットワークに接続された他の何らかの装置のメモリ内にある、データベースから読み出すことができる。
【0026】
制御ユニットはまた、画定されたフラップ形状に基づいてフラップ形状データを決定するようにプログラムされてもよい。
【0027】
フラップ形状データは、例えば、データファイルおよび/または個々のパラメータの形で存在してもよい。パラメータは、例えば、データベースに書き込まれてもよい。フラップ形状データのパラメータは、少なくとも以下のパラメータ、例えば、フラップ直径、フラップ厚さ、治療すべき眼の瞳孔の中心点に対するフラップの中心点の位置、および治療すべき眼の基準軸線に対する(例えば、角度の形の)フラップの向きのうちの少なくとも1つを含み得る。パラメータに加えてまたはパラメータの代替として、フラップの全体形状(例えば、フラップの輪郭および/または切開縁)は、データファイルとして保存されてもよい。フラップ形状データは、例えば、画素に基づくデータファイルまたはベクトルに基づくデータファイルに記憶されてもよい。フラッププロファイルデータは、フラップと治療すべき眼との間の空間関係を確立することができる。例えば、治療すべき眼の瞳孔の中心点と一致する、基準点が、フラップ形状データにおいて定められてもよい。更に、治療すべき眼の水平軸線および/または垂直軸線と一致する、基準軸線が、フラップ形状データにおいて定められてもよい。更に、治療すべき眼の切除プロファイルデータと共に、フラップ形状データをデータファイルに書き込むことができる。
【0028】
装置は、フラップ形状データを出力するための出力インターフェースを更に備え得る。
【0029】
治療すべき眼にフラップ形状データと一致するフラップを切開する、切開用レーザに、出力インターフェースを介してフラップ形状データを出力することができる。出力インターフェースは、例えば、ネットワークインターフェースおよび/または記憶媒体の読み取りのためのインターフェースを備え得る。記憶媒体は、例えば、磁気記憶媒体、光学的記憶媒体および/または半導体記憶媒体であってもよい。ネットワークインターフェースは、例えば、内部ネットワーク(イントラネット)におよび/またはインターネットに接続されてもよい。
【0030】
本発明の別の態様は、本明細書で説明する装置を備える、人間の眼のレーザ治療のためにフラップを切開するための切開用レーザである。
【0031】
装置の制御ユニットは、例えば、適切にプログラムされる切開用レーザの制御ユニットであってもよい。フラップ形状は、例えば、フラップ形状データの形で切開用レーザに直接送られてもよい。
【0032】
本発明の更なる特徴、利点および構成要素は、添付図面の以下の説明に見出すことができる。