(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移送デバイスが、環境汚染物質の前記治療系内への移送と前記治療系の外側への有害物質の漏出とを阻止するように構成されている、請求項1に記載の医療システム。
【発明の概要】
【0009】
全体的な概要として、本開示は、医療デバイス、システム及び方法を提供し、より詳細には、体内、特に人体内で1つ又は複数の埋込型の皮下留置カテーテルに結合されることができる、埋込型の皮下留置アクセスポートとともに、移送デバイスを含むことができる、留置アクセスデバイス、システム及び方法を提供する。
【0010】
アクセスポートは、少なくとも1つの露出可能/隠蔽可能(例えば、伸長可能/後退可能)内部針を収容するアクセスポート本体を含むことができ、内部針は、内部針を露出/隠蔽するようにアクセスポート本体に対して伸長/後退することができる。アクセスポートはまた、少なくとも1つの露出可能/隠蔽可能内部針を収容し、かつ内部針を露出させるように圧縮される(つぶれる)ように構成され、かつ、内部針を露出させるように減圧され(膨張する)ように構成されるアクセスポート本体を有する、アクセスポート本体も含むことができる。
【0011】
内部針は、内腔を含み、それは、針と、アクセスポート本体と、受容者(host)の体内に完全に埋め込まれる隣接したカテーテルと、を通って延在する流体通路の一部分を提供する。流体通路を用いて、特に流体注入治療により受容者に流体を送達し、及び/又は、特に流体抽出治療により受容者から流体を抽出することができる。
【0012】
内部針は、本明細書に開示するような機械的機構、磁気的機構、電気的機構及び電気機械的機構を含むことができる種々の機構によって、アクセスポート本体内に隠蔽可能でありかつアクセスポート本体から露出可能であり得る。
【0013】
いくつかの特定の医療応用として、本明細書におけるアクセスポートを用いて、腎臓病/腎不全のための治療の一部として腹膜透析及び/又は血液透析を提供し、腹水を治療するために腹膜腔から流体を取り除き、摂食障害及び消化障害を治療するために完全非経口栄養の一部として受容者に栄養を提供し、がんを治療するために受容者に細胞を送達し、ヘモクロマトーシスを治療するために受容者から血液を取り出し、鎌状赤血球症及びベータサラセミアを治療するために受容者に血液を送達することができる。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、対象の体内に埋め込まれるように構成された埋込型アクセスポートであって、埋込型アクセスポート本体と、少なくとも1つの埋込型アクセスポート針と、を含み、少なくとも1つの針が、隠蔽位置ではアクセスポート本体の内部において隠蔽可能であり、露出位置ではアクセスポート本体の外部において露出可能であり、少なくとも1つの針が、アクセスポート本体内に、アクセスポートが対象の体内に埋め込まれるときに対象の体内から対象の皮膚を通って外向きに貫通するように配置される、埋込型アクセスポートと、アクセスポートの少なくとも1つの針に結合された移送デバイスであって、アクセスポートに及び/又はアクセスポートから流体を移送するように構成され、アクセスポートと閉鎖治療系を形成するように構成され、アクセスポートに及び/又はアクセスポートから流体を移送するように構成された流体流路を含む移送デバイスとを含む医療システムを提供することができる。
【0015】
少なくとも1つの実施形態では、移送デバイスは、環境汚染物質の治療系内への移送と治療系の外側への有害物質の漏出とを阻止するように構成されることができる。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの針は、取外し可能な針チップを含むことができ、移送デバイスは、針チップを保持するように構成された針チップホルダを含むことができる。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、針チップホルダは、針チップと締まり嵌めを形成するように構成され、及び/又は、針チップと押込み式(positive)機械的係合を形成するように構成されることができる。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの針は、針軸と、針軸から取外し可能な針チップと、を含むことができ、移送デバイスは、針軸から針チップを、特に針チップを回転させるか又は針チップに引張力を加えることによって取り外すように構成されることができる。
【0019】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの針は、針軸と、針軸の上に設置可能な針チップと、を含むことができ、移送デバイスは、針軸の上に針チップを、特に針チップを回転させるか又は針チップに押圧力を加えることによって設置するように構成されることができる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの針は、針軸と、針軸から取外し可能な第1針チップと、を含むことができ、移送デバイスは、針軸から第1針チップを取り外すように構成されることができ、移送デバイスは、針軸の上に第2針チップを設置するように構成されることができる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、移送デバイスは、針に対する流体密封シールを形成するように構成されることができる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態では、流体流路は、流体注入通路及び/又は流体抽出通路を含むことができる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、流体流路は、その内部に針を受け入れるように構成されることができる。さらに、少なくとも1つの針は、取外し可能な針チップを含むことができ、移送デバイスは、針チップを保持するように構成された針チップホルダを含むことができ、流体流路は、内部に針チップホルダを受け入れるように構成されることができる。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、移送デバイスは、流体注入ポート及び/又は流体抽出ポートと、針チップ取外しポート及び/又は針チップ設置ポートと、針受入れポートと、を含む。さらに、流体流路は、流体注入ポート及び/又は流体抽出ポート、針チップ取外しポート及び/又は針先端設置ポート、並びに、針保持ポートと流体連通することができる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、対象を治療する方法を提供することができ、その方法は、対象の皮膚の下に埋め込まれたアクセスポートから対象の皮膚を通して針を伸長させて、針が、対象の体内から外向きに皮膚を貫通して、対象の外側に露出した針部分を提供するようにすることと、露出した針部分に移送デバイスを結合することであって、移送デバイスが、アクセスポートとともに閉鎖治療系を形成し、閉鎖治療系が、治療系内への環境汚染物の移送と治療系の外側への有害物質の漏出とを阻止する、結合することと、を含む。
【0026】
少なくとも1つの実施形態では、身体を医学的に治療する方法を提供することができ、方法は、身体の皮膚の下に埋め込まれた医療デバイスから身体の皮膚を通して針を突き刺すことであって、医療デバイスがアクセスポートとアクセスポートに結合されたカテーテルと、を含み、アクセスポートが針を収容し、カテーテルが身体の体腔内に位置する、突き刺すことと、医療デバイスの流体通路によって体腔内に流体を導入することと、医療デバイスの流体通路により体腔から流体を取り出すこととのうちの少なくとも一方とを含む。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、針が体内で隠蔽されるように、身体の皮膚の下に針を戻すことをさらに含むことができる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、流体通路は、針、アクセスポート及びカテーテルを通って延在することができる。
【0029】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、身体の皮膚の下に埋め込まれた医療デバイスから身体の皮膚を通して針を突き刺すステップの後に、針の上の取外し可能なチップを取り外して流体通路へのアクセスを開放することをさらに含むことができる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、針の上の取外し可能なチップを取り外して流体通路へのアクセスを開放するステップの後に、医療デバイスの流体通路によって体腔内に流体を導入するステップと、医療デバイスの流体通路によって体腔から流体を取り出すステップとのうちの少なくとも一方を行うことをさらに含むことができる。
【0031】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、医療デバイスの流体通路によって体腔内に流体を導入するステップと、医療デバイスの流体通路によって体腔から流体を取り出すステップとのうちの少なくとも一方を行なった後に、取外し可能なチップを針の上に戻して流体通路へのアクセスを閉鎖することをさらに含むことができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、医療デバイスの流体通路によって体腔内に流体を導入することと、医療デバイスの流体通路により体腔から流体を取り出すこととをさらに含むことができる。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、医療デバイスの流体通路により体腔から流体を取り出すステップと、医療デバイスの流体通路によって体腔内に流体を導入するステップとは、透析処置の間に行うことができる。さらに、体腔は腹膜腔とすることができ、透析処置は腹膜透析処置とすることができる。
【0034】
少なくとも1つの実施形態では、医療デバイスの流体通路により体腔から流体を取り出すステップは、医療デバイスの流体通路によって体腔内に流体を導入するステップの前に行うことができる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、医療デバイスの流体通路により体腔から流体を取り出すステップは、医療デバイスの流体通路によって体腔から使用済み透析液を取り除くことをさらに含むことができ、医療デバイスの流体通路によって体腔内に流体を導入するステップは、医療デバイスの流体通路によって体腔内に新鮮な透析液を導入することをさらに含むことができる。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポートはアクセスポート本体を含むことができ、アクセスポート本体から針を伸長させる間に、身体の皮膚の下に埋め込まれた医療デバイスから身体の皮膚を通して針を突き刺すステップを行うことができる。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体から針を伸長させるステップは、アクセスポート本体に対して針を移動させることによって行うことができる。
【0038】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体に対して針を移動させるステップは、磁気的作動、機械的作動及び電気機械的作動のうちの少なくとも1つによって行うことができる。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体から針を伸長させるステップは、針に対してアクセスポート本体を移動させることによって行うことができる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、針に対してアクセスポート本体を移動させるステップは、アクセスポート本体を圧縮することによって行うことができる。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体は、アクセスポート本体第1部材とアクセスポート本体第2部材とを含むことができ、アクセスポート本体を圧縮するステップは、アクセスポート本体第1部材及びアクセスポート第2部材のうちの少なくとも一方を他方のアクセスポート本体部材に対して移動させることによって行うことができる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体を圧縮するステップは、アクセスポート本体を変形させることによって行うことができる。
【0043】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポートはアクセスポート本体を含むことができ、針が体内で隠蔽されるように身体の皮膚の下に針を戻すステップは、針をアクセスポート本体内に後退させる間に行うことができる。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体内に針を後退させるステップは、アクセスポート本体に対して針を移動させることによって行うことができる。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体に対して針を移動させるステップは、磁気的作動、機械的作動及び電気機械的作動のうちの少なくとも1つによって行われる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体内に針を後退させるステップは、針に対してアクセスポート本体を移動させることによって行うことができる。
【0047】
少なくとも1つの実施形態では、針に対してアクセスポート本体を移動させるステップは、アクセスポート本体を減圧することによって行うことができる。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体は、アクセスポート本体第1部材及びアクセスポート本体第2部材を含むことができ、アクセスポート本体を減圧するステップは、アクセスポート本体第1部材及びアクセスポート本体第2部材のうちの少なくとも一方を他方のアクセスポート本体部材に対して移動させることによって行うことができる。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、アクセスポート本体を減圧するステップは、アクセスポート本体を変形させることによって行うことができる。
【0050】
図面
本開示の上述した特徴及び他の特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付図面に関連して本明細書に記載する実施形態の以下の説明を参照することによって、より明らかとなりかつより理解され得る。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示は、その応用において、以下の説明に示すか又は図面に例示する構成要素の構造及び配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本明細書における本発明は、他の実施形態が可能であり、さまざまな方法で実施されるか又は実行されることが可能である。また、本明細書で用いる表現及び用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとしてみなされるべきではないことが理解されるべきである。本明細書における「含む」、「備える」又は「有する」及びそれらの変形は、その前に列挙する項目及びその均等物とともに追加の項目を包含することが意図されている。別段限定しない限り、本明細書における「接続され」、「結合され」及び「取り付けられ」という用語並びにそれらの変形は、広義で使用され、直接的及び間接的な接続、結合及び取付を包含する。さらに、「接続され」及び「結合され」という用語並びにそれらの変形は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されない。
【0053】
全体的な概要として、本開示は、医療デバイス、システム及び方法を提供し、より詳細には、体内、特に人体内で1つ又は複数の埋込型、皮下、留置カテーテルに結合することができる、埋込型、皮下、留置アクセスポートとともに、移送デバイスを含むことができる、留置アクセスデバイス、システム及び方法を提供する。
【0054】
アクセスポートは、少なくとも1つの露出可能/隠蔽可能(例えば、伸長可能/後退可能)内部針を収容するアクセスポート本体を含むことができ、内部針は、内部針を露出/隠蔽するようにアクセスポート本体に対して伸長/後退することができる。アクセスポートはまた、少なくとも1つの露出可能/隠蔽可能内部針を収容し、かつ、内部針を露出させるように圧縮される(つぶれる)ように構成され、かつ内部針を露出させるように減圧され(膨張する)ように構成されるアクセスポート本体を有する、アクセスポート本体も含むことができる。
【0055】
人体内にアクセスポートを埋め込む際、内部針は、特に、身体の皮膚を通して皮膚の下から穿刺して、ポートへのアクセスを提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル又は他のデバイスは、針が皮膚を通して露出したとき針と結合して、受容者(例えば、患者又は他の対象)の身体に流体(液体)を注入し及び/又は受容者の体内から流体を抽出することができる。例えば、針は、バイアルのストッパ、又は別の流体源の他のシールを穿刺することができ、バイアル又は他の流体源に貯蔵された流体は、流体源から針を通って体内に流れ込むことができる。
【0056】
本明細書では、医療デバイス、システム及び方法の複数の実施形態について開示する場合があるが、特定の例示的な実施形態の任意の特定の特徴を、好適である場合は本明細書の他の任意の例示的な実施形態に等しく適用することができることが理解されるべきである。言い換えれば、本明細書に記載するさまざまな例示的な実施形態の間の特徴は、好適である場合は交換可能であり、排他的ではない。
【0057】
ここで、図、特に
図1a及び
図1bを参照すると、医学的治療又は診断を受けている可能性がある、患者又は他の対象等の受容者58の体内に埋め込まれた、本開示による医療デバイス10の第1実施形態が示されている。医療デバイス10は、埋込型(皮下)、留置アクセスポート20aと、アクセスポート20aに結合された埋込型(皮下)、留置カテーテル30aとを含むことができる。
【0058】
図示するように、医療デバイス10は、皮膚組織等の組織60の表面62の下に埋め込まれ、留置カテーテル30aは、アクセスポート20aから血管壁64を通って受容者58の組織60の血管68の管腔66内に延在することができる。このように、カテーテル本体144の内腔145及び血管68の管腔66は流体連通する。こうした応用では、アクセスポート20aは、血管アクセスポートを含むように理解することができる。
【0059】
図1aに示すように、アクセスポート20aは、アクセスポート本体100内に収容されかつ収納された針110、特に尖った、先端が閉鎖した、中空の針を含む。
図1aに示すように、針110は、アクセスポート本体100に対して隠蔽/後退位置にあり、針軸112の先端部分114に取外し可能に結合された、尖った、取外し可能な針(拡張器)チップ111を含み、それは、軸内腔113の先端部を閉鎖する。
図1bに示すように、針110は、アクセスポート本体100に対して露出/伸長位置にあり、内腔113を露出させて内腔113へのアクセスを可能にするように、取外し可能な尖ったチップ111は取り外されている。
【0060】
本明細書で企図する針110は、任意の中空円柱又は軸112を含むことができる。さらに、針110は、0.1mm〜4.6mmの範囲(その範囲のすべての値及び増分を含む)の外径を示すことができる。さらに、針110は、0.08mm〜4.0mmの範囲(その範囲のすべての値及び増分を含む)の内径を示すことができる。さらに、針110は、0.002mm〜0.4mmの範囲(その範囲のすべての値及び増分を含む)の公称壁厚さを示すことができる。針110は、ステンレス鋼、セラミック複合材、又は他の材料から形成されることができる。さらに、針110又は針チップ111は、鈍くなると交換可能であり得る。針110は、7ゲージ〜34ゲージの範囲(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34ゲージ)(その範囲のすべての値及び増分を含む)のゲージサイズを有することができ、ゲージサイズは、Stubs(別名Birmingham)ゲージから導出される。より詳細には、針110は、11ゲージ〜23ゲージの範囲、特に、14ゲージ〜17ゲージの範囲のゲージサイズを有することができる。針軸112は、取外し可能なチップ111を受け入れることができる鈍い(正方形)先端部であるか、又は、いくつかの例では、取外し可能なチップ111を受け入れない、標準的な斜角(スタンダードベベル)、短い斜角(ショートベベル)、非常に短い斜角(トゥルーショートベベル)等を含むことができる。
【0061】
取外し可能チップ111は、各構成要素の対応するねじ山のねじ式係合により、又は締まり(プレス)嵌めによる等、軸112に取外し可能に固定されることができる。針軸112の基端部分116は、アクセスポート本体100内でアクセスポート20aからの不注意の取外しに抗して固定されることができる。針110は、強磁性材料から作製されることができ、又は先端部分114に強磁性材料を含むことができる。強磁性材料の例としては、鉄、ニッケル及び/又はコバルトが挙げられる。
【0062】
アクセスポート本体100は、外面104及び内部流体流路101を含むことができ、内部流体流路101は、本明細書に記載するように、流体がいずれかの方向においてアクセスポート20aを通って流れるのを可能にすることができる。アクセスポート本体100は、流体格納チャンバ102を含むことができ、それは、任意選択的に、流体がアクセスポート20a内に貯蔵されるためのリザーバを提供することができる。
【0063】
アクセスポート20aはまた、チャンバ102の異なる面に第1ボア106及び第2ボア107も含むことができ、それらは、それぞれ、チャンバ102とアクセスポート20aの外面104との間を接続するか又はそれらの間に流体連通を提供する、管状通路108、109を提供する。針110は、ボア107/通路109内に配置されることができ、後述する「自己修復」シリコーンセプタム等、外部自己閉鎖シール132に対して、アクセスポート本体100から伸長し及び/又はアクセスポート本体100内に後退することができる。従って、アクセスポート本体100内では、流体がアクセスポート20aを通過するのを可能にする内部流体流路101は、チャンバ102、管状通路108及び針110の内腔113によって形成されるように理解することができる。
【0064】
図1bに示すように、針110を伸長させるために、針110の上方に近接して(約10mm以内で、より詳細には約5mm以内で隣接して)若しくは針110の上に、電磁石等の磁石41を含むアクチュエータ40を配置することができ、又は、針110を取り付けることができるデバイスの上方に近接して若しくはデバイスの上に配置されることができる。磁石41に第1極性の電流が提供されると、磁石41は、針110を吸引する第1極性で配置された電磁場を放出することができる。電磁場の電磁力によって磁石41に向かって吸引されている(引き寄せられている)針110は、組織60内から皮膚表面62を貫通することにより、アクセスポート20aのアクセスポート本体100から外側に磁石41に向かって受容者58の体内から出るように伸長することによって、露出することができる。
【0065】
針110のチップ111は、(ペンシルチップと呼ぶことができる)チップ111の先端(末端)尖端部が組織60を貫通する間かつ貫通した後、拡張器として動作するように設計されている。図示するような構成により、針のチップ111は、大径の尖った皮下注射針で起こる可能性があるように組織60を切り開くのではなく組織60を拡張させ、損傷を低減させる。
【0066】
別法として、針110をアクセスポート20aのアクセスポート本体100内に戻るように後退させることが望ましくなると、チップ111が針軸112の上に配置された後、第1極性とは反対の第2極性(すなわち、逆極性)の電流が磁石41に提供される。そして、磁石41は、磁石41から針110を反発する第2極性で配置された電磁場を放出することができ、その場合、針110は、電磁場の力によって磁石41から押し離され、アクセスポート本体100及び受容者58に対して内向きに後退して隠蔽される。針110がアクセスポート本体100内で内向きに移動する際、それに応じて、針110が後退し、皮膚組織60内に引っ込む。
【0067】
永久磁石41を用いて、磁石41の使用中に針110の伸長及び後退に対応するように極性を再配向することにより、針110を伸長させかつ後退させることも可能であり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、針110が伸長した後、針110の回転により、針110を後退に抗して適所に係止することができる。例えば、針110の基端部分116は、突起120を含むことができ、突起120は、チャンバ102内の所定位置に設けられた針ロック機構122と、留め具の上で又はチャネル内に回転すること等により、係合するか又は他の方法で協働することができる。
【0069】
さらに、いくつかの実施形態では、所与の流体(液体)組成を投与するために針110を取り付けることができるデバイスの上又は中に、磁石41を配置することができる。例えば、磁石41は、バイアルの口縁に近接して、バイアルストッパの近くに、又は針110の先端部分114をアサートすることができるカテーテルのチップ内に配置されることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、針110を後退位置で保持するために、針110の基端部分116とチャンバ壁126との間に、ばね等、針伸長付勢機構124を配置することができる。理解することができるように、針伸長付勢機構124によって針110に対して後退位置に向かってかけられる力F(s)は、磁石41によってかけられる力F(m)より小さくすることができ、又は言い換えれば、力F(m)は力F(s)より大きい。
【0071】
いくつかの実施形態では、針110は、ばね124が圧縮され針110が伸長位置にあるときにばね124が抗して付勢する基端部分116に、フレア128を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、針110の後退の衝撃を吸収するために、後退位置にある針110の基端部分116を受け入れるように、バンパシール130を設けることができる。バンパシール130はまた、特に、針110が閉鎖チップ111を含まない場合、針110が後退したときに流体の針110を通る逆流を防止するように、針内腔113の基端部分116を閉鎖するようにも機能することができる。バンパシール130は、チャンバ126内に形成することができ、又はチャンバ壁に付着させることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、管状通路109の外端部140に、「自己修復」シリコーンセプタム又はダックビル弁等の自己閉鎖シール132を設けることができる。この自己閉鎖シール132は、単独で設けるか、又はバンパシール130に加えて、チャンバ102内に設けることができる。自己閉鎖シール132は、細長い穿孔134を含むことができ、それは、自己閉鎖シール132の厚さを通して延在して、アクチュエータ40、又は本明細書に開示する他のアクチュエータの磁石41による磁力の印加時に、針110がより容易に通過することができるようにする。
【0073】
さらに、いくつかの実施形態では、チャンバ102内の流体の管状通路109内への逆流を防止するために、管状通路109の内端部138に、追加のシール136(例えば、Oリングシール)を設けることができる。管状通路109の内端部138と管状通路109の外端部140との間に、さらなるシールを設けることができることを理解することができる。他の実施形態では、針伸長付勢機構124及び/又は針110の上方に伸張可能及び/又は折畳み可能スリーブ142を設けて、ポート内の流体のばね面又は針110の外面との接触を防止することができる。スリーブ142は、アコーディオン状であるか又はベローズの形状であり得る。
【0074】
留置カテーテル30a、より詳細にはカテーテル本体144は、アクセスポート20aのカテーテルコネクタ146(例えば、かえし付きステムコネクタ(barbed stem connector))によってアクセスポート20aに取外し可能に取り付けるか、又は、接着剤、超音波溶接、プレス嵌め等を含む化学的又は機械的手段によって、アクセスポート20aに永久的に取り付けることができる。カテーテル本体144は、相対的に可撓性があり、シリコーン、ポリウレタン又は他の熱可塑性エラストマー等の組成物から形成することができる。
【0075】
さらに、いくつかの実施形態では、アクセスポート20aのチャンバ102とカテーテル30aとの間に流量調節装置150を設けることができる。流量調節装置150は、弁を含み、アクセスポート20aを通る流体の流量の制御を可能にすることができる。
【0076】
ここで
図1cを参照すると、カテーテル30aは、血管68内に挿入されているのではなく、体腔70内に挿入されるように示されている。アクセスポートの針110は、チップ111が取り外されて、その伸長位置にあるように示され、流体源43及び流体容器44と流体連通している。従って、流体は、針の内腔113を通り、流体チャンバ102内に、管状通路108及びカテーテル30aの内腔145を通り、体腔70内に、かつ、その逆に流れることができる。
図1dを参照すると、カテーテル30aは、直線状カテーテルではなく、ピッグテールカテーテルとされることができ、それは、遠位端開口部に加えて側壁に複数の流体流開口部31を含むことができる。
【0077】
体腔70は、より詳細には、腹(腹膜)腔とすることができ、医療デバイス10は、腹膜透析を行うために、受容者58内に植え込むことができる。腹膜透析は、慢性腎臓病及び腎不全を患う患者に利用可能な治療であり得る。
【0078】
人体の漿膜腔の1つである腹膜腔は、漿膜(serous membrane)(又は漿膜(serosa))である腹膜によって内側が覆われている。腹膜腔は、壁側腹膜と臓側腹膜との間の潜在空隙として理解することができ、2つの膜は、腹壁から腹腔内の器官を分離する。
【0079】
腹膜腔は腹膜液を収容し、腹膜液は、腹膜によって分泌される漿液(又は、漿膜液)であるとより広く理解することができる。腹膜液は、腹腔内で潤滑剤として作用する液体であり、それは、壁側腹膜と臓側腹膜との間で少量見られる。
【0080】
腹膜透析中、透析物としても知られる透析液は、流体源43からアクセスポート20a及びカテーテル30aを通して腹膜腔内に導入される。この処置の間、老廃物は腹膜を通過することによって血液から取り除かれるという点で、腹膜はフィルタとして使用される。しかしながら、血液自体は、腹膜を通過しない。注入中、透析装置45を含むことができる流体注入及び/又は抽出装置42の一部であるポンプ46を用いて、腹膜腔内に透析液を圧送することができる。
【0081】
腹膜腔内である期間の後、腹膜腔から、特に腹膜腔から排出されることによって、新たな汚染された透析液を取り除くことができる。透析液は、カテーテル30a及びアクセスポート20aを通って流れ、流体容器44に収容され得る。抽出中、透析液は、ポンプ46を用いて腹膜腔から圧送することができる。
【0082】
さらに、アクセスポート20aを付随して使用して、腹膜腔内にカテーテル30aを挿入して、腹膜腔からその中に蓄積した流体を取り除くことも可能である。こうした医学的状態は、腹水(ascites、peritoneal cavity fluid、peritoneal fluid excess、hydroperitoneum、abdominal dropsy)と呼ぶことができる。最も一般的には肝硬変(肝硬変腹水)、重度の肝疾患又は転位性がんによるが、その存在は、バッド・キアリ症候群等、他の重大な医学的問題の前兆になる可能性がある。流体の取出しは、一般的には、2リットル〜4リットルの範囲であり得るが、1回の処置の間、5リットルを超えて取り出す必要のある場合がある。
【0083】
本開示のアクセスポート20aを使用する前に、腹膜透析を行うか又は他の方法で腹膜腔から流体を取り除くために、腹壁を通して、およそ12インチの長さを有する腹膜透析カテーテルが挿入される腹膜腔に、切開部が形成されている。カテーテルの長さのおよそ半分が、腹膜腔内部に配置され、残りの6インチは、腹壁を通過してへその一方の側の下で腹膜腔から出る。カテーテルには、典型的には、腹壁内に形成された切開部/皮下通路内に位置するカテーテルの部分を包囲する少なくとも1つのダクロン(dacron)又はフェルトカフが備えられている。切開部の治癒の間、患者の体内組織は、カフと、特にその隙間内で接触し、カフは、カテーテルのためのアンカを生成することができるとともに、感染バリアを提供することができる。それにも関わらず、ダクロン又はフェルトカフの使用は、出口部位において感染を防止する完全な証明ではなかった。本開示は、前述の部分的に埋め込まれたカテーテルの使用の代替物を提供し、感染率を低減させることができる。
【0084】
さらに、アクセスポート20aを付随して使用してカテーテル30aを他の腔内に挿入して、他の腔からその中に蓄積した流体を取り出すことも可能である。例えば、アクセスポート20aを付随して使用してカテーテル30aを胸膜腔内に挿入して、胸膜腔からその中に蓄積した流体を取り出すことも可能である(すなわち、胸膜穿刺術)。
【0085】
人体の漿膜腔である、2つの胸膜腔は、漿膜である胸膜によって内側が覆われている。胸膜腔は、外側胸膜(壁側胸膜)と内側胸膜(臓側胸膜)との間の潜在空隙として理解することができる。
【0086】
各胸膜腔は胸膜液を収容し、胸膜液は、正常な胸膜を覆う漿膜によって分泌される漿液(又は、漿膜液)であるとより広く理解することができる。胸膜液は、連続的に生成されて再吸収されるが、過剰な液体は胸膜腔内に蓄積する可能性がある(すなわち、胸膜滲出)。この過剰な液体は、肺の拡張を制限することにより呼吸に障害を生じさせる可能性がある。液体の性質と、それが胸膜空間に入る原因とに応じて、さまざまな種類の胸膜滲出は、水胸(漿液)、血胸(血液)、尿胸(尿)、乳び胸(乳び)又は膿胸(膿)である。気胸は、胸膜空間内の空気の蓄積である。
【0087】
例えば、アクセスポート20aを付随して使用してカテーテル30aを頭蓋(cranial)(頭蓋(skull))腔内に挿入して、特に外水頭症を治療するために頭蓋腔から、又は、特に内水頭症を治療するために脳室から、その中に蓄積した髄液を取り除くことも可能である。
【0088】
ここで
図2を参照すると、
図1aの実施形態と同様に動作する医療デバイス10の実施形態が示されており、アクセスポート20bの針110はアクセスポート本体100に対して隠蔽(後退)位置にあり、カテーテル30bは血管68内にある。本実施形態は、上部(円筒状ディスク)本体部分100aと下部(円筒状ディスク)本体部分110bとを含むアクセスポート本体100を有する。図示するように、上部(円筒状ディスク)本体部分100aは、下部(円筒状ディスク)本体部分110bより小さい断面高さを有し、上部(円筒状ディスク)本体部分100aの直径は、下部(円筒状ディスク)本体部分110bより大きい。図示するように、上部(円筒状ディスク)本体部分100aは、特に、組織60の皮下領域60aにあるように構成され、下部(円筒状ディスク)本体部分110bは、筋組織60b内にあるように構成されている。挿入されている時、下部(円筒状ディスク)本体部分110bは、本体100に対して、本体100を所望の位置及び向きで保持する取付キールを提供することができる。
【0089】
ここで
図3a及び
図3bを参照すると、本開示による医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、埋込型(皮下)留置アクセスポート20cと、アクセスポート20cに結合された埋込型(皮下)留置カテーテル30cと、を含む。
図3aは、アクセスポート本体100に対して隠蔽(後退)位置にあるアクセスポート20cの針110を示し、
図2bは、アクセスポート本体100に対して露出(伸長)位置にあるアクセスポート20cの針110を示す。第1実施形態とは対照的に、針110は、磁気アクチュエータではなく機械式アクチュエータ180を含むアクチュエータ40によって後退し伸長する。さらに、機械式アクチュエータ180は、アクセスポート20cに完全に組み込まれている。
【0090】
アクセスポート本体100は、この場合もまた概して、一部規定されているチャンバ102と外面104とを含むことができる。アクセスポートは、チャンバ102とアクセスポート20cの外面104とを接続するか又はそれらの間に流体連通を提供する管状通路108を提供するボア106を含むことができる。チャンバとポートの外面との間に、針110の移動に対応する管状通路109を設けることができる。先の実施形態と同様に、針110は、軸112と、内腔113と、先端部分114と、基端部分116と、先の実施形態と同じである取外し可能な尖ったチップ111と、を含むことができる。第1実施形態に示したものと同様のいくつかの構成要素については、ここでは又は本明細書における他の実施形態ではこれ以上考察しない。
【0091】
機械式アクチュエータ180は、機械式連結機構を含むことができる。一実施形態では、押しボタン182を、針に取り付けられているレバー184に、第1連結機構186によって機械式に取り付けることができる。ボタン182を内向きに押すと、レバー184は、ピボット点を中心に回転し、受容者の皮膚を通して針110を上昇させることができる。他の連結機構を構想することができ、それは、本明細書における連結機構に限定されない。さらに、ボタン182の下等にばね188を設けることができ、それは、ボタン182を上昇させ(ボタン182の内向きの移動を付勢し)、それにより、針110を後退させ引っ込める。ばね188は、コイル(らせん)ばね、ねじりばね、円錐ばね、線形ばね又は他の任意の好適なばねであり得る。
【0092】
他の実施形態では、第1実施形態と同様に、針110は、針110を後退位置に付勢するばね式であり得る。ボタン182は、アクセスポート20c内に流体組成物を提供するか又はアクセスポート20cから流体組成物を取り除く臨床医又は他の人が、直接押すことができる。しかしながら、受容者に提供される組成物を含むバイアル又は他の容器で押し付けることによってボタンを押すか、又は外部アクチュエータによって押すことができることも構想することができる。
【0093】
ここで
図4a及び
図4bを参照すると、本開示による医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、埋込型(皮下)留置アクセスポート20dと、アクセスポート20dに結合された埋込型(皮下)留置カテーテル30dと、を含む。
図4aは、アクセスポート本体100に対して隠蔽(後退)位置にあるアクセスポート20dの針110を示し、
図4bは、アクセスポート本体100に対して露出(伸長)位置にあるアクセスポート20dの針110を示す。第2実施形態とは対照的に、針110は、単なる機械式アクチュエータではなく電気機械式アクチュエータによって後退し伸長する。
【0094】
図4a及び
図4bに示すように、アクセスポート20dは、電気/機械装置を含むアクチュエータによって伸長させるか又は後退させることができる針110を含むことができる。アクセスポート本体100は、内部に規定されたチャンバ102とともに、チャンバ102からアクセスポート20dの外面104まで延在して、アクセスポート20dの内部(チャンバ)と外部環境との間の連通を提供する管状通路108を提供するボア106を含むことができる。さらに、アクセスポート20dは、アクセスポート20dの本体100の上の表面104に対して伸長するか又は後退する際の針110を収容することができる通路109を含むことができる。
【0095】
アクセスポート20dはまた、針110を伸長させるか又は後退させることができるモータ又は他の電気装置200も含むことができる。モータ200は、リニア圧電モータ又は電磁モータを含むことができる。いくつかの実施形態では、モータ200は、圧電マイクロモータであり得る。モータ200は、シャフト又はトランスレータ等、リニアトラベラ(linear traveler)を含むことができる。いくつかの実施形態では、シャフト又はトランスレータは針110と相互作用して、針110をポート本体100に対して上下に並進させることができる。他の実施形態では、シャフト又はリニアトランスレータは、内部に規定された中空シリンダを有する針110であり得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、モータ200に電力を供給しかつ針移動の方向を制御するコンピュータプロセッサ202を設けることができる。プロセッサ202及びモータ200に対して、電源204によって電力を供給することができる。電源204は、プロセッサ202及び/又はモータ200と直接又は間接的に電気的に通信することができる。例えば、いくつかの場合では、プロセッサ202は、モータ200に電力を提供することができ、他の場合では、電源204とプロセッサ202との間に及び/又は電源202とモータ200との間に、変圧器を設けることができる。
【0097】
プロセッサ202は、アクチュエータによって作動させることができる。いくつかの実施形態では、ボタン182又は他の作動装置を設けることができ、それは、押されるか又は他の方法で起動されると、針110を作動させるようにプロセッサ202に信号を送信することができる。いくつかの実施形態では、アクセスポート20dは、受信器を含むことができる、受信器又は送受信器等の通信デバイス206を含むことができる。通信デバイス206は、無線アクチュエータから受信される、電波又は光波等の電磁波又は信号等、電磁インジケータを受信又は送信するように構成することができる。
【0098】
例えば、通信デバイス206は、RFID(無線周波数識別)デバイスから電波を受信することができる。RFIDデバイスはタグ又はカードに組み込むことができ、それは、アクセスポート20dに近接すると、アクチュエータ(すなわち、プロセッサ)を起動し針110をアクセスポート本体100から伸長させることができる。他の実施形態では、通信デバイス206は、光信号を検出するか又は受信することができる。こうした信号は、200nm〜400nm(紫外線)、380nm〜750nm(可視光)、750nm〜1400nm(赤外線)等、200nm〜900nmの範囲(その範囲のすべての値及び増分を含む)であり得る。いくつかの実施形態では、光波は、フラウンホーファー波長、すなわち、日光によって放出されない波長を示し、日光に暴露したときにデバイスの偶発的な起動を防止することができる。無線信号又は光信号は、単一波長で、又は1波長〜20波長並びにその範囲のすべての値及び増分を含む複数の波長で、受信するか又は検出することができることを理解することができる。プロセッサ202にモータ200を作動させるために使用することができる他のデバイスは、wi−fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は他の送信器若しくは送信器を含む送受信器、光を含むことができる。さらに、ライトペン又は他の光源が、プロセッサ202に対してモータ200を作動させるアクチュエータであり得る。
【0099】
電磁インジケータは、アクチュエータにおける送信器又は送信器を含むことができる送受信器によって提供することができる。電磁インジケータは、方向又は命令を提供するようにパルス状にするか又は他の方法で操作することができる。例えば、インジケータは、プロセッサ202が針110を伸長させるか又は針110を後退させる信号であり得る。他の実施形態では、インジケータは、デバイス間のクロストークを防止するか、又は、針110の偶発的な伸長又は後退を防止するように識別子を提供することができる。アクチュエータはまた、プロセッサ202と電気通信することができる、送信器からの信号を調節するプロセッサも含むことができる。
【0100】
従って、アクセスポート20及びアクチュエータ40を含むシステムを提供することができることを理解することができる。
図5に、こうしたシステムの実施形態を示し、そこでは、アクチュエータ40が、さまざまな電磁信号又は電磁波を放出することができる。電磁波を受信すると、通信デバイス206は、電磁波を、プロセッサ202に通信することができる電気パルスに変換することができる。受信する信号に応じて、プロセッサ202は、複数の機能を実行することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ202は、針110を伸長させるか又は後退させるようにモータ200を作動させることができる。他の実施形態では、プロセッサ202は、アクチュエータ40をアクセスポート20と相関させる識別情報であるものとして受信信号を識別することができる。プロセッサ202は、識別情報を、メモリデバイス210に格納されたルックアップテーブル又は識別情報と比較することができる。識別情報が正しい場合、プロセッサ202は、そのデバイスから受け取ることができる任意のコマンドを使用して針110を伸長させるか又は後退させることができる。識別情報は、1回、又は各コマンドとともに等、複数回、送信することができることを理解することができる。モータ200を作動させる、すなわち針110を伸長させるか又は後退させる信号を受信すると、プロセッサ202は、モータ200に電気信号を送信するか、又は、電源204からモータ200に電力を提供して、モータ200がリニアトラベラを変位させて、針110を伸長させるか又は後退させるようにすることができる。
【0101】
ここでまた
図4a及び
図4bに戻ると、本体100は、チャンバと針110の内部とを隔離することができる複数のシールを含むことができる。例えば、第1シール又はシールのセット136を設けることができ、そこで、針110はチャンバ102内に延在する。シール136は、アクセスポート20d内に注入されている流体組成物が通路109内に逆流するのを防止することができる。いくつかの実施形態では、本体100の表面104に自己閉鎖シール132を設けることができる。針110は、伸長するとき自己閉鎖シール132を貫通することができ、自己閉鎖シール132は、流体又は他の汚染物質がアクセスポート20dに入るのを防止することができる。さらに、シリコーン又は天然ゴムなどの自己修復組成物から自己閉鎖シール132を形成することができる。いくつかの実施形態では、本体100の表面104の近くに別のシール133(例えば、Oリング)を設けることができ、そこでは、セプタムのようなシール133は、流体又は他の汚染物質がアクセスポート20dに入るのを防止することができる。
【0102】
ポート20dはまた、ボア106に接続することができるコネクタ146も含むことができ、ボア106は、カテーテル30dのカテーテル本体144とともにチャンバ102内に通じる管状通路108を提供する。コネクタ146は、ポート20dにカテーテル本体144を保持するようにかえし146a又は他の機械式インターロックを含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、コネクタ146からカテーテル20dを取り除くことができることを理解することができる。他の実施形態では、カテーテル20dをポートに溶接して、カテーテルをポートに永久的に取り付けることができる。
【0103】
さらに、上記実施形態に示すように、チャンバ102は、異なる形状を呈するように規定することができる。従って、幾分か矩形のリザーバの形状を呈するのではなく、チャンバ102は、楕円形、卵形、円形、シャフト又は他の幾何学的形態の形状を呈することができる。さらに、針110は、後退位置でストッパ130の上に配置されているように示されているが、別の物体に抗して戻る必要はなく、又はチャンバ102の壁に抗して戻ることができることを理解することができる。
【0104】
さらに、
図4a及び
図4bを参照すると、ボア106/流体通路108はシール137を含むことができることを理解することができる。シール137は、流体が、チャンバ102からボア106/通路108を出てコネクタ146及び/又はカテーテル30d内に流れ込むのを可能にすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、シール137は、コネクタ146及び/又はカテーテル30dからの逆流を防止することができる。例えば、一実施形態では、シール137は、ダックビル弁を含むことができる。
【0105】
ここで
図6a及び
図6bを参照すると、本開示の医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、アクセスポート20e及びカテーテル30eを含む。
図6aは、アクセスポート本体100に対して隠蔽(後退)位置にあるアクセスポート20eの針110を示し、
図6bは、アクセスポート本体100に対して露出(伸長)位置にあるアクセスポート20eの針110を示す。
【0106】
図示するように、アクセスポート本体100の少なくとも一部は、針110に対して移動することができ、それにより、チャンバ102に対して針110を固定することができるが、自己閉鎖シール132は針110に対して移動することができる。従って、本体100は、圧縮されて(つぶれて)針110を露出させるか、又は減圧されて(膨張して)針110を覆って隠蔽することができる。
図6a及び
図6bに示す一実施形態では、本体100は、第1部分250及び第2部分252を含むことができる。より詳細には、第1部分250は第1本体部材によって提供され、第2部分252は第2本体部材によって提供される。
【0107】
本体100の第2部分252に対して本体100の第1部分250を位置決めするために、本体100の第1部分250は、本体100の第1部分250の上部主セグメント256から延在する第1壁254を含むことができる。さらに、本体100の第2部分252は、第2壁260及び支持部材262を含むことができる。第2壁260と支持部材262との間に、第1壁254を摺動式に受け入れることができる。
【0108】
第1部分250はまた、第1部分250の上部主セグメント256から本体100の周囲にも延在する1つ又は複数のタブ付きラッチ264も含むことができ、それは、
図6aに示すように本体100を第1減圧(膨張)状態に保持することができる。タブ付きラッチ264は、本体100の第2部分252に見られる支持部材262によって提供される凹部266内に受け入れることができる。アクセスポート本体100が第1減圧(膨張)位置で保持されるとき、アクセスポート本体100内に針110を完全に又は実質的に収容することができる。
【0109】
本体100に対して力を加えることにより、圧縮される(つぶされる)と、
図6bに示すように、本体100の第2部分252に対して固定位置に保持することができる針110は、自己閉鎖シール132を穿孔しそこを通って延在することができる。さらに、第1部分250の第1壁254は、第2壁260と支持部材262との間で第2部分252の下部主セグメント268に向かって摺動することができる。本体100は、圧力を連続的に加えることによってつぶれ位置で維持することができる。
図6aに示すように、本体100の第1部分250を第1減圧(膨張)位置に戻るように上昇させることができるばね124もまた設けることができる。
【0110】
アクセスポート本体100内にチャンバ102を設け、例えば、本体252の第2部分に取り付けるか又はその中に設けることができる。いくつかの実施形態では、チャンバ102に針110を固定して取り付けることができる。
図6a及び
図6bでは、針110はチャンバ102内に延在することができるように示されているが、針110はまた、チャンバ102と同一平面に設けることも可能である。いくつかの実施形態では、針110はチャンバ102又はアクセスポート本体100内に組み込むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、針110は、針110を交換のためにチャンバ102又はアクセスポート本体100から取り外すのを可能にするねじ又は別の機械式インターロックを含むことができる。
【0111】
ここで
図7a及び
図7bを参照すると、本開示の医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、アクセスポート20f及びカテーテル30fを含む。
図7aは、アクセスポート本体100に対して隠蔽(後退)位置にあるアクセスポート20fの針110を示し、
図7bは、アクセスポート本体100に対して露出(伸長)位置にあるアクセスポート20fの針110を示す。
【0112】
図示するように、アクセスポート本体100の第1部分250及び第2部分252は、電気/機械装置を含むアクチュエータによって伸長させるか又は後退させることができる。アクセスポート20fは、本体100を減圧する(膨張させる)か又は圧縮する(つぶす)ことができるモータ又は他の電気装置200を含むことができる。いくつかの例では、モータ200は、圧電マイクロモータを含むことができる。モータ200は、本体100に設けられたシリンダ272と相互作用することができるシャフト又はトランスレータ等、本体半体250、252を互いに対して移動させることができるリニアトラベラ270を含むことができる。シリンダ272は、完全な壁を有するチューブである必要はなく、例えば、壁にスロットを設けることができることを理解することができる。リニアトラベラ270は、例えば、シリンダ272に設けられた一組の雌ねじと相互作用することができる一組の雄ねじを含むことができる。
【0113】
リニアトラベラが回転すると、シリンダ272とシリンダ272が取り付けられている部分のうちの一方が、他方の部分に対して移動することができる。リニアトラベラが一方向に回転すると、本体100は圧縮される(つぶれる)ことができ、針110は、自己閉鎖シール132を通過することができ、露出することができる。トラベラが他方向に回転すると、本体100は減圧される(膨張する)ことができ、針110は、自己閉鎖シール132を通って引き戻して覆うことができる。図示するように、モータ200は第2部分252に取り付けられ、シリンダ272は第1部分250に取り付けられているが、モータ200が第1部分250に取付られ、シリンダ272が第2部分252に取り付けられる反対の状況を同様に提供することができることを理解することができる。モータ200は、「ボタン」等のアクチュエータにより、又は上述したような無線デバイス等の別のデバイスにより、作動させることができる。この場合もまた、一実施形態では、本体100の第2部分252に対して本体100の第1部分250を位置決めするために、本体100の第1部分250は、本体100の第1部分250の上部主セグメント256から延在する第1壁254を含むことができる。さらに、本体100の第2部分252は、第2壁260及び支持部材262を含むことができる。第2壁260と支持部材262との間に、第1壁254を摺動式に受け入れることができる。
【0114】
上述したように、針110は、チャンバ102に対して移動関係で、又は、チャンバ102に対して固定関係で、アクセスポート本体100内に配置することができる。例えば、
図8a及び
図8bに示す実施形態では、針110は、チャンバ102に対して移動関係で設けることができる。針110は、針110をチャンバ102に対して移動しないようにするラッチ機構を含むことができ、アクチュエータによって、針110を起動することができる。作動時、針110を、アクセスポート本体100から出るように(磁石の作用等により)持ち上げて、ばね式カム125によって開放位置に保持することができる。針110は、ばね124によって閉鎖又は後退位置で保持して、針110をアクセスポートから滑り出ないようにすることができる。
図4a及び
図4bに示すような他の実施形態では、モータ200内に設けられるリニアトラベラは、針110を適所に保持することができる歯又はねじ山を含むことができる。
【0115】
ここで
図9a〜
図9iを参照すると、本開示による医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、埋込型(皮下)留置アクセスポート20hと、アクセスポート20hに結合された少なくとも1つの埋込型(皮下)留置カテーテル30hとを含む。より詳細には、アクセスポート20hは、2つのカテーテル30hに結合されるように示されている。
【0116】
図示するように、アクセスポート20hは、少なくとも1つの尖った、先端が閉鎖した、中空針110、より詳細には、アクセスポート本体100内のチャンバ(空洞)102内に収容されかつ収納される2つの針110を含み、針110の各々はカテーテル30hと流体連通しており、針110は体外回路の一部であり得る。
図9aに示すように、針110は、アクセスポート本体100に対して隠蔽(後退)隠蔽位置にあり、各々、針軸112の先端部114に取外し可能に結合された、軸内腔113の先端部を閉鎖する、尖った取外し可能なチップ111を含む。
図9bに示すように、各針110は、アクセスポート本体100に対して露出(伸長)位置にあり、取外し可能なチップは、内腔113を露出させるように取り外されている。
【0117】
アクセスポート20eと同様に、アクセスポート20hの各針110は不動/固定とすることができるが、自己閉鎖シール(例えば、自己修復セプタム)132を含むアクセスポート本体100の少なくとも一部は、各針110に対して移動することができる。各針110を露出させるために、この場合もまたアクセスポート20eと同様に、アクセスポート本体100は、受容者の身体の外側から(皮膚の上方で)アクセスポート本体100に加えられる力に応じて、圧縮され得る。別法として、アクセスポート本体100は、力が取り除かれることに応じて、減圧されて各針110を隠蔽することができる。
【0118】
またアクセスポート20eと同様に、アクセスポート本体100は、第1本体部材250及び第2本体部材252を含むことができる。しかしながら、アクセスポート20eと同様に第1本体部材250及び第2本体部材252が互いに対して摺動して針110の各々を露出させ隠蔽するのではなく、アクセスポート本体100の圧縮及び減圧は、各針110の長さに沿って第2本体部材252に向かって第1本体部材250の上部壁部分251を弾性変形させることによって達成される。従って、第1本体部材250は、可撓性プラスチックエラストマーから形成されることができる。
【0119】
本明細書で用いるエラストマーは、23℃で少なくとも100%の伸びを有する材料であって、その元の長さの2倍まで引き伸ばされかつその状態で1分間保持された後、応力から解放された後の1分間以内に50%〜100%の範囲で回復することができる材料として、特徴付けることができる。より詳細には、エラストマーは、応力から解放された後の1分間以内に75%〜100%の範囲で回復し、さらにより詳細には、応力から解放された後の1分間以内に90%〜100%の範囲で回復することができる。
【0120】
エラストマーは、天然ポリマー又は合成ポリマー、及び熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーを含む、任意のポリマーから構成することができる。従って、エラストマーは、天然エラストマー又は合成エラストマーのいずれでもあり得る。エラストマーは、アクリルゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンゴムジエンモノマーゴム、フルオロカーボンゴム、イソプレンゴム、水素化ニトリルゴムを含むニトリルゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム及びスチレングロックコポリマー(例えば、スチレンブタジエンゴム、スチレンエチレン/ブチレンスチレンゴム)を含むことができる、天然ゴム又は合成ゴムを含み、それから本質的に構成され、又は構成され得る。
【0121】
さらに、アクセスポート本体100は、針110の間に位置することができるばね124を含むことができる。ばね124の付勢力に打ち勝つのに十分大きい力で、受容者の体外から(皮膚の上方で)第1本体部材250に力を加えることにより、アクセスポート本体100が圧縮されると、第1本体部材250の部分251は、各針110の長さに沿って第2本体部材252に向かって内向きに変形する。こうした圧縮時、各針110は、アクセスポート本体100内から露出するように各自己閉鎖シール132を通って延在することができ、ばね124は圧縮される。受容者の体外からの第1本体部材250に対する力が取り除かれることにより、アクセスポート本体100が減圧されると、ばね124の付勢(減圧)力により、第1本体部材250の部分251は、強制的に、第2本体部材252から離れるように各針110の長さに沿って外向きに変形する。こうした減圧時、各針110は、アクセスポート本体100内で隠蔽されるように、各自己閉鎖シール132を通って後退することができ、ばね124は復元する。
【0122】
アクセスポート20hの2重針・カテーテル配置により、アクセスポート20hは、血液透析に使用することができ、一方の針110/カテーテル30は受容者の動脈と透析装置との間に(流体連通して)結合され、他方の針110/カテーテル30hは、受容者の静脈と透析装置との間に(流体連通して)結合される。
【0123】
流体注入治療及び/又は流体抽出治療の後、本明細書に開示するアクセスポート及びカテーテルのうちの任意のもの、まとめてアクセスポート20及びカテーテル30は、生理食塩水でフラッシングして、抗菌性及び/又は抗凝血性ロック液でロックして(カテーテルロックと呼ぶことができる)、ポート20又はカテーテル30内での血塊及び微生物の発生を阻止することができる。
【0124】
本開示の目的で、「ロックする」プロセスは、アクセスポート20及び/又はカテーテル30を、抗凝血薬及び/又は抗菌薬であるロック液で充填した後、アクセスポート20及び/カテーテル30が流体注入治療及び/又は流体抽出治療に再度使用されるまでアクセスポート20及び/又はカテーテル30内にロック液を保持し、再度使用される時点で、シリンジ等により、アクセスポート20及び/又はカテーテル30からロック液を引き出すことができることとして理解されるべきである。アクセスポート20及び/又はカテーテル30は、アクセスポート通路及びカテーテル内腔の内部容積に近似する体積のロック液でロックするべきである。ロック液は、カテーテル30hの遠位端に位置する弁290(例えば、一方弁又は二方弁)(
図9gを参照)によってカテーテル30hの内腔145内に閉じ込めることができる。弁290はまた、患者の血流内への空気の導入及びそれに続く空気塞栓症も防止することができる。弁290は、カテーテル30h内に位置しているように示され得るが、アクセスポート20h内、特に、針110のうちの一方又は両方の中、又は流路の他の任意の部分に位置することができる。
【0125】
抗菌性組成物の例としては、タウロリジン並びに/又はタウリンアミド及びタウリンアミド誘導体が挙げられる。
【0126】
抗凝血性組成物の例としては、ヘパリン、クエン酸塩、クエン酸、エチレンジアミン四酢(EDTA)酸、エノキサパリンナトリウム、クマリン、インダンジオン誘導体、アニシンジオン、ワルファリン、プロタミン硫酸塩、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼが挙げられる。
【0127】
ロック液は、ニュートン流体である場合もあれば非ニューロン流体である場合もあり、さらに、チクソトロピーゲル、より詳細にはヒドロゲル等のゲルであり得る。
【0128】
従って、本明細書に記載するアクセスポートを用いて、受容者の体内に流体(液体)組成物を注入する方法を提供することができる。上述したように、組成物としては、医薬品、治療薬、体液、栄養分、造影剤、透析液及び他の流体を挙げることができる。さらに、受容者(例えば、患者又は他の対象)は、ヒト、他の哺乳動物、鳥類、爬虫類等を含む、任意の脊椎動物又は無脊椎動物を含むことができる。受容者の体内にアクセスポートを埋め込むことができ、静脈内にカテーテルを挿入することができる。針は、作動時にポートから露出(伸長)することができ、皮膚を穿刺することができる。針内に組成物を注入するか、又はバイアルストッパ等を通して他の方法で容器内に針を導入することにより、受容者の体内に組成物を導入することができる。組成物の投与が終了すると、皮膚を通してポート内に針を隠蔽する(後退させる)か又は他の方法で戻るように配置することができる。
【0129】
本明細書で企図される血管アクセスポートを利用して組成物を送達する方法の別の例では、受信器が、アクチュエータ等の送信器からの第1電磁インジケータを受信するか又は他の方法で検出することができる。インジケータは、受信器により、受信器と電気通信するプロセッサに電気信号を提供するように処理することができる。プロセッサがモータを起動する信号を受け取ると、プロセッサによりモータを起動することができ、モータは、血管アクセスポートの本体に対して針を伸長させるか又は後退させることができ、又は、モータは、針に対して血管アクセスポートをつぶすか又は膨張させることができる。
【0130】
さらに、本明細書において理解することができるように、アクチュエータは、針と直接連通するか又は間接的に連通するように設けることができ、アクセスポート本体に対して針を移動させるか、又は針に対してアクセスポート本体を移動させるように構成される。連通は、磁場、電気信号、機械式連結機構、又はレバー、ばね等によって提供される力によって提供されるもの等、電気的及び/又は機械的であり得る。さらに、本体が針に対して移動することができる場合では、連通は間接的とみなすことができる。アクチュエータをハウジング本体の外側に配置するか、少なくとも部分的にハウジング本体内に配置するか、又は完全にハウジング本体内に配置することができることも理解することができる。
【0131】
本開示の他の実施形態では、本明細書に開示する、留置アクセスポート20h等の留置アクセスポート20はまた、血液透析及び/又は血液ろ過処置中に使用することも可能である。
図9cに示すように、針110の各々は、円筒状管セグメント等、中空管状流体注入及び/又は抽出部材47により、透析装置45等の流体注入及び/又は抽出装置42(医療デバイス10の一部であると理解することができる)に結合することができる。図示するように、各針110の軸112は、管状流体注入及び/又は抽出部材47と嵌合するように構成することができ、特に、軸112の外径は、管状流体注入及び/又は抽出部材47の内腔48の内径に近似する。図示するような体外回路により、血液が、受容者58から留置カテーテル30h、針110及び管状流体注入及び/又は抽出部材47を通り、流体注入及び/又は抽出装置42内に流れ込み、そこで、特に、血液からクレアチニン、尿及び自由水等の老廃物を除去することにより処置されることによって、血液の体外分離を行うことができる。その後、洗浄された血液は、他方の管状流体注入及び/又は抽出部材47、他方の針110及び留置カテーテル30hを通って流れることにより、受容者58の体内に戻される。いずれの方向における血流も、流体注入及び/又は抽出装置45のポンプ46によって補助することができる。
【0132】
留置アクセスポート20を含む医療デバイス10は、閉鎖系(薬物)移送デバイスを含むことができる。閉鎖系(薬物)移送デバイスは、環境汚染物質の系内への移送と系の外部の有害薬物又は蒸気濃縮物の漏出を阻止する(薬物)移送デバイスとして理解することができる。
【0133】
ここで、
図9d〜
図9fを参照すると、留置アクセスポート20h等の留置アクセスポート20のいくつかの実施形態では、各針110の各内腔113の先端部分114は、針チップ114を取り外すとアクセスすることができる、「自己修復」シリコーンセプタム等の自己閉鎖シール280を含むことができる。先の実施形態と同様に、針110の各々は、管状流体注入及び/又は抽出部材47により、透析装置45等の流体注入及び/又は抽出装置42(医療デバイス10の一部であると理解することができる)に結合することができる。図示するように、各針110の軸112は、管状流体注入及び/又は抽出部材47と嵌合するように構成されることができ、特に、軸112の外径は中空管47の内腔48の内径に近似する。
【0134】
図示するように、各管状流体注入及び/又は抽出部材47の各内腔48の先端部分は、「自己修復」シリコーンセプタム等の自己閉鎖シール49を含むことができる。さらに、各内腔48は、流体源43から受容者58に流体を送達し、及び/又は受容者58から流体を流体容器44まで抽出する、先端の尖った(皮下注射)針50を含むことができる。
【0135】
動作中、針軸112の先端部分114は、管状流体注入及び/又は抽出部材47の内腔48の先端部分内に受け入れられ、それにより、自己閉鎖シール280及び49の間にシールが形成される。上述したように、アクセスポート20hと流体注入及び/又は抽出装置42との間に、閉鎖系移送デバイスが形成される。
【0136】
図9fに示すように、2つの自己閉鎖シール280及び49が互いに接触して体外回路を形成した後、自己閉鎖シール280及び49を通して、尖った先端の開放した中空針50を伸長させることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、留置カテーテル30h等の留置カテーテル30を洗浄して、(例えば、凝塊、フィブリン又は他の生物学的物質の)蓄積物を除去することが望ましくなる場合がある。ここで
図9g〜
図9iを参照すると、洗浄装置74をさらに含むことができる流体注入及び/又は抽出装置42が示されている。洗浄装置74は、多腔カテーテル75を含むことができ、それは、流体注入内腔77aと、流体抽出内腔77bと、洗浄ヘッド79を回転させる円筒状可撓性回転式駆動軸78を収容する中心に配置された駆動内腔77cとを有する、カテーテル本体76を含む。
【0138】
動作中、洗浄装置74の回転駆動機構80は、可撓性駆動軸78を回転させることができ、それにより、可撓性駆動軸78は、ブラシを含むことができる洗浄ヘッド79を回転させる。そして、洗浄ヘッド79は、内腔145を規定するカテーテル本体144の内面147に対して回転することにより、カテーテル本体144の内腔145の内側から生物学的物質を除去することができる。洗浄ヘッドを用いて、アクセスポート20hの針110の内腔113とともに、流体流路の他の任意の部分を洗浄することも可能である。
【0139】
洗浄ヘッド79の使用の前、使用中又は使用の後、流体源43からの流体は、流体注入内腔77aを通ってカテーテル30hの内腔145内に流れ、洗浄部位をフラッシングすることができる。流体は、蠕動ポンプを含むことができるポンプ46を用いて送達することができる。
【0140】
一方弁(例えば、ダックビル弁)又は二方弁等、カテーテル30hの遠位端に位置する弁148によって、カテーテル30hの内腔145内に流体を閉じ込めることができる。弁148はまた、患者の血流内への空気の導入及びそれに続く空気塞栓症も防止することができる。
【0141】
カテーテル30hの内腔145から流体抽出内腔77bを通って流体容器44まで流体を抽出することができる。流体抽出は、流体送達と同時に、又は流体送達が停止した後に、又は繰り返される流体送達と繰り返される流体抽出との間で断続的に交互に行うことができる。流体抽出は、ポンプ46及び/又は真空部52及び/又は重力によって補助することができる。
【0142】
アクセスポート20h及びカテーテル30hを洗浄するために使用される流体は、通常の(生理)食塩水であり得る。また、カテーテル75を介してアクセスポート20h及びカテーテル30hの流体通路に流体を注入するとともに、カテーテル75によりアクセスポート20h及びカテーテル30hの流体通路から流体を抽出する方法は、同様に、アクセスポート20h及びカテーテル30hにロック液を注入しかつそこから抽出するために使用することができる。
【0143】
ここで
図10a〜
図10fを参照すると、本開示による医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、埋込型(皮下)留置アクセスポート20iと、アクセスポート20iに結合された少なくとも1つの埋込型(皮下)留置カテーテル30iとを含む。より詳細には、アクセスポート20iは、2つのカテーテル30iに結合されるように示されている。
【0144】
先の実施形態と同様に、留置アクセスポート20iを含む医療デバイス10は、閉鎖系(薬物)移送デバイスを含むことができる。しかしながら、先の実施形態とは対照的に、本実施形態の閉鎖系は、異なる方法で生成される。
【0145】
図9d〜
図9fの先の実施形態では、流体注入及び/又は抽出装置42は、針110が組織60を突き刺した後に針110に結合される。さらに、取外し可能な針チップ111はまた、流体注入及び/又は抽出装置42が針110と結合される前に、取り外される。こうしたことは、少なくとも一部には、針110内に自己閉鎖シール280が存在することによって達成することができる。しかしながら、本実施形態では、自己閉鎖シール280は排除されている。
【0146】
ここで
図10aを参照すると、閉鎖系を提供するために、流体注入及び/又は抽出装置42は、細長い管状(円筒状)ハウジング部材51を含む。管状ハウジングの端部に、丸い円盤状の自己閉鎖シール(例えば、自己修復セプタム)53が位置している。
【0147】
管状ハウジング部材51内に、針チップホルダ54が位置しており、それらは、針軸112における針チップ111の設置、又は針軸112からの針チップ111の取外しの間、特に、針軸112のねじ山と針チップ111のねじ山とが針チップ111の設置又は取外し中に係合解除するとき、針チップ111を取外し可能に保持するように構成されている。少なくとも1つの実施形態では、針チップホルダ54は、針チップ(管状)支持部材56の先端部に位置することができる。
【0148】
針チップホルダ54は、針チップ受け54aを含むことができ、それは、その嵌合部分54b内に針チップ111を種々の方法で保持するように構成されている。少なくとも1つの実施形態では、針チップホルダ54の少なくとも一部、より詳細には、針チップ受け54aの嵌合部分54bは、針チップ111との摩擦嵌め(締まり嵌め又は圧力握り嵌め(pressure grip fit)としても知られ得る)接続を形成することができる。本明細書では、摩擦嵌め接続は、2つの構成要素に形成された、構成要素の分離を阻止するために摩擦にのみ頼る接続であって、例えば、それらの構成要素のうちの少なくとも一方が他方の構成要素に圧入され、それにより、構成要素の少なくとも一方が互いに対して圧縮される(変形する)ことによる接続として理解することができる。
【0149】
摩擦嵌め接続を提供するために、針チップ受け54aの一部、より詳細には嵌合部分54bは、針チップ111の嵌合部分より小さい寸法で形成されて、摩擦嵌め接続を形成することができる。こうした場合、針チップホルダ54、より詳細には針チップ受け54aの嵌合部分54bは、ゴム等、弾性的に圧縮可能/変形可能な材料から形成することができ、それは、針チップ111がその中に配置されると変形して(拡大するため等)針チップ111を保持することができる。
【0150】
別法として、又は摩擦嵌め接続と組み合わせて、針チップホルダ54は、押込み式機械的接続によって針チップ111を保持することができる。本明細書では、押込み式機械的係合接続は、構成要素の間に形成された接続であって、構成要素の分離を阻止するために摩擦のみに頼るのではなく、構成要素の分離を阻止するために機械的インターロック(例えば、オーバーラップする面)を含む接続として理解することができる。
【0151】
こうした場合、針チップホルダ54は、この場合もまた、ゴム等の弾性的に圧縮可能/変形可能な材料から形成することができる。さらに、針チップホルダ54の先端部に、弾性的に圧縮可能/変形可能な環状リング54cを設けることができ、それは、針チップ111が針チップ受け54a内に挿入されているとき及びそこから取り除かれているときに外向きに変形する。押込み式機械的接続は、針チップ111が針チップ受け54a内に完全に嵌ったときに形成することができ、弾性的に圧縮可能/変形可能な環状リング54cは、それらの最初の(変形前の)向きに戻ることができ、それにより、針チップ受け54a内で針チップ111を機械的に保持する。
【0152】
別法として、又は上記のうちの少なくとも一方又は両方と組み合わせて、針チップホルダ54は、真空部52から針チップホルダ(管状)支持部材56の内腔を通して引かれる真空に対して多孔質であり、それにより、針チップホルダ54内で針チップ111を真空力によって取外し可能に保持することができる材料から形成することができる。
【0153】
別法として、又は上記のうちの少なくとも1つ又はすべてと組み合わせて、針チップホルダ54は、磁性を有する材料から形成することができ、それにより、強磁性材料から作製することができる針チップ111を磁力によって針チップホルダ54内に取外し可能に保持することができる。
【0154】
本明細書に示すように、針チップ111及び針軸112は、螺合によって接合することができる。ねじ山の係合及び係合解除を容易にするのに役立つために、針チップホルダ(管状)支持部材56は、回転駆動機構の一部を形成し、それは、針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54を右回り方向又は左回り方向に回転させることができ、針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54は、針チップ111に結合されると、対応して針チップ111を回転させて針チップ111をそれぞれ設置するか又は取り外すことができる。
【0155】
さらに、
図10a及び
図10cにもっともよく示すように、針チップ受け54aの嵌合部分54bの内部側壁と、針チップ911の嵌合部分111bの外部側壁とは、各々、複数の平面嵌合セクション54d及び111dをそれぞれ含むことができる。針チップ911の嵌合部分111bの複数の平面セクション111dは、嵌合部分111bの周縁部の周囲に配置されて多角形状を形成することができる。図示するように、針チップ111の嵌合部分111bの複数の平面セクション111dは、より詳細には、6つの辺を有する(雄)多角形、すなわち六角形を形成することができる。同様に、針チップ受け54aの嵌合部分54bの複数の平面セクション54dは、より詳細には、6つの辺を有する(雌)多角形、すなわち六角形を形成することができ、それは、ソケットと呼ぶことも可能である。
【0156】
針チップホルダ54が針チップ111と結合すると、各針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54に対する回転駆動機構を左回りに回転させて、軸112から針チップ111を取り外すことができる。
図10dに示すように、針チップ111が軸112から分離すると、軸112から針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54を後退させることができる。
【0157】
この時点で、
図10bによって示すように、2つの針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54並びに2つの管状流体注入及び/又は抽出部材47をおよそ90度(例えば、右回りに)回転させることができ、それにより、
図10e及び
図10fに示すように、2つの管状流体注入及び/又は抽出部材47は、針軸112と位置合わせされる。
図10gによって示すように、2つの管状流体注入及び/又は抽出部材47は、その後、伸長することができ、それにより、2つの針110は、自己閉鎖シール49を通って管状流体注入及び/又は抽出部材47の内腔48内に進むか又は伸長して、体外回路を形成する。
【0158】
流体注入及び/又は抽出が完了すると、その後、2つの管状流体注入及び/又は抽出部材47を後退させることができる。
図10fによって示すように、2つの針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54並びに2つの管状流体注入及び/又は抽出部材47をおよそ90度(例えば、左回りに)回転させることができ、それにより、
図10cに示すように2つの針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54は針軸912と再度位置合わせされる。そして、
図10cに示すように、2つの針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54を伸長させることができる。各針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54に対する回転駆動機構を右回りに回転させて、ねじ山を係合させ針チップ111を軸112に設置することができる。その後、2つの針チップホルダ(管状)支持部材56/チップホルダ54を後退させることができ、その後、流体注入及び/又は抽出装置42を取り除くことができる。
【0159】
ここで
図11a〜
図11dを参照すると、本開示による医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、埋込型(皮下)留置アクセスポート20jと、アクセスポート20jに結合された少なくとも1つの埋込型(皮下)留置カテーテル30jとを含む。より詳細には、アクセスポート20jは、2つのカテーテル30jに結合されるように示されている。
【0160】
先の実施形態と同様に、留置アクセスポート20jを含む医療デバイス10は、閉鎖系(薬物)移送デバイスを含むことができる。しかしながら、先の実施形態とは対照的に、本実施形態の閉鎖系は異なる方法で生成され、特に、針110は、尖った閉鎖チップではなく、尖った開放チップ111を有する。さらに、尖った開放チップは、針軸112と一体的に(一部品として)形成されているため。従って、針チップ111は永久的であって取外し可能ではない。
【0161】
ここで
図11c及び
図11dを参照すると、流体注入及び/又は抽出装置42は、中空管47を収容する外側管状ハウジング部材51を含む。図示するように、先の実施形態と同様に、各中空管47の各内腔48の先端部分は、「自己修復」シリコーンセプタム等の自己閉鎖シール49を含むことができる。さらに、管状ハウジング部材51の先端部は、環状封止要素53を含む。
【0162】
図11cに示すように、組織(皮膚)表面62を通って針110が伸長する前に、管状封止要素53は、皮膚表面に対して封止して、閉鎖系、すなわち、環境汚染物質が入ることが阻止され、有害な薬物又は蒸気の濃縮物が漏出することが阻止される系を提供する。
【0163】
図11dに示すように、流体注入及び/又は抽出装置42が組織の上60に押し下げられると、組織60の表面62は内向きに変形し、第1本体部材250の弾性変形部分251が圧縮され、それにより、針110が組織(皮膚)表面62を通って伸長し、自己閉鎖シール49を貫通し、各中空管47の内腔48に入って体外回路を形成する。
【0164】
ここで
図12a及び
図12bを参照すると、本開示による医療デバイス10の別の実施形態が示されており、それは、埋込型(皮下)留置アクセスポート20kを含む。先の実施形態と同様に留置アクセスポート20kに留置カテーテルを結合することができるが、カテーテルは図示されていない。
【0165】
先の実施形態と同様に、留置アクセスポート20kを含む医療デバイス10は、閉鎖系(薬物)移送デバイスを含むことができる。しかしながら、先の実施形態とは対照的に、本実施形態の閉鎖系は、異なる方法で生成され、特に、留置アクセスポート20kは単一の針110のみを有する。
【0166】
流体注入及び/又は抽出装置42は、第1ポート83、第2ポート84及び第3ポート85を有する多ポートハウジング82を含む。第1ポート83は、流体注入及び/又は流体抽出ポートと呼ぶことができ、第2ポート84は、針チップ取外し及び/又は設置ポートと呼ぶことができ、第3ポート85は、針保持ポートと呼ぶことができる。3つのポート83、84、85はすべて、ハウジング82内でY字形(管状)通路85のセグメントを介して流体連通している。
【0167】
動作中、針110は、針保持ポート85によってかつ通路86内に受け入れられる。多ポートハウジング82は、針110の軸112に対して封止する自己閉鎖シール49を含むことができる。多ポートハウジング82は、特に環状リングの形態である安定化リング87をさらに含むことができ、それは、針保持ポート85を包囲し、組織60の表面62の上に重なりかつその上に載るように構成されている。回転式カラー88によって安定化リング87を包囲することができ、回転式カラー88は、安定化リング87と協働して、既知の方法で、特に針軸112を把握するように右回りに回転しかつ針軸112を解放するように左回りに回転することにより、針軸112を締め付ける。
【0168】
第1針チップホルダ支持部材56を通路86内で針チップ取外し及び/又は設置ポート84から針チップ111に向かって伸長させて、針チップホルダ54が針チップ111と結合するようにすることによって、針軸112から針チップ111を取り外すことができる。針チップホルダ54が針チップ111と結合すると、上述したように(例えば、左回り回転、引張力等)、針軸112から針チップ111を取り外すことができる。針チップ111が軸112から離れると、
図12bに示すように、針チップホルダ支持部材56/チップホルダ54を軸112から離れて、針チップ取外し及び/又は設置ポート84の入口に戻るように後退させることができる。
【0169】
その後、針内腔113が露出すると、治療流体を、流体注入及び/又は流体抽出ポート83に結合された流体源43から送達し(例えば、化学療法処置の場合は薬物送達)、及び/又は、受容者58から流体注入及び/又は流体抽出ポート83に結合された流体容器44に抽出する(例えば、静脈切開術処置)ことができる。図示するように、流体源43は、注射器、又は静脈内注射(IV)バッグであり得る。
【0170】
流体注入治療及び/又は流体抽出治療の後、アクセスポート20k及びカテーテル30を、生理食塩水でフラッシングし、抗菌性及び/又は抗凝血性ロック液でロックして(カテーテルロックと呼ぶことができる)、ポート20k又はカテーテル30内の血塊及び微生物の発生を阻止することができる。
【0171】
その後、第1針チップホルダ支持部材56を通路86内で針チップ取外し及び/又は設置ポート84から針チップ111に向かって再度伸長させることにより、第1(元の)チップ111を元の場所に戻すことができる。そして、針チップ111は、上述したように(例えば、右回り回転、押圧力等)針軸112と係合することができる。針チップ111が軸112と係合すると、
図12bに示すように、軸112から離れて、針チップ取外し及び/又は設置ポート84の入口に戻るように、針チップホルダ支持部材56/チップホルダ54を後退させることができる。
【0172】
別法として、元の針チップ111を再度設置するのではなく、針軸112に新たな滅菌済み針チップ111を設置することができる。図示するように、多ポートハウジング82は、新たな滅菌済み針チップ111を保持する第2針チップホルダ54をさらに含むことができる。新たな滅菌済み針チップ111を針チップ取外し及び/又は設置ポート84と位置合わせするために、元の及び新たな針チップ111両方のための針チップホルダ54は、針チップ取外し及び/又は設置ポート84の上に重なるプラットフォーム部材92の円形凹部91内に配置される円形回転式位置決め部材90の上に保持することができる。そして、新たな針チップ111を収容する針チップホルダ54を、およそ180度、プラットフォーム部材92の円形凹部91内に配置された円形回転式位置決め部材90の上で回転させて、元の(使用済み)針チップ111が新たな滅菌済み針チップ111と位置を切り替え、この時、新たな滅菌済み針チップ111が針チップ取外し及び/又は設置ポート84と位置合わせされるようにすることができる。そして、第2針チップホルダ54を第1針チップホルダ54と同様に操作して、針チップ111を針軸112と係合させることができる。
【0173】
本開示の他の実施形態では、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、化学療法処置中に使用することも可能である。化学療法処置中、流体源32は、1種又は複数の化学療法剤を含むことができ、それは、ポンプ46を用いて、留置アクセスポート20aを通して受容者58に投与される。
【0174】
本開示の他の実施形態では、本明細書に開示する留置アクセスポート20及び留置カテーテル30はまた、アフェレーシス処置中に使用することも可能である。アフェレーシスは、概して、受容者(例えば、患者、ドナー)の血液が受容者から取り出され、アフェレーシス装置を通過して血液から少なくとも1種の成分が分離され、その後、血液の残りを受容者の循環に戻す処置として理解することができる。アフェレーシス処置のタイプに応じて、1つの針又は2つの針を備えたアクセスポートを利用することができる。例えば、2つの針(例えば、20h)を備えたアクセスポートは、通常、2つの別個の針によって提供される2つの静脈穿刺を必要とする、連続的遠心分離法(CFC)を利用するアフェレーシス処置に好適であり得る。従って、2つの針が各々静脈血管内に直接挿入されるのではなく、
図9a及び
図9bに示すように、留置アクセスポート、より詳細には針に結合された、2つの留置カテーテルの遠位端を、各々、静脈血管内に直接挿入することができる。
【0175】
連続的遠心分離法(CFC)は、同時に、受容者から血液を収集し、遠心分離機内で血液を回転させ/処理して血液の成分を分離しかつ血液から1種又は複数種の成分を取り除き、血液の未使用成分を、取り除かれた成分なしに受容者に戻すことを含むように理解することができる。
【0176】
別法として、1つの針を備えたアクセスポートは、通常1回の静脈穿刺を必要とする、間欠的遠心分離法(IFC)を利用するアフェレーシス処置に好適であり得る。連続的遠心分離法(CFC)とは対照的に、間欠的遠心分離法(IFC)は、サイクルで作動し、すなわち、受容者から血液を収集し、遠心分離機内で血液を回転させ/処理して血液の成分を分離しかつ血液から1種又は複数種の成分を取り除き、その後、ボーラスで取り除かれた成分なしに、血液の未使用成分を受容者に戻す。
【0177】
アフェレーシスは、より詳細には、血漿交換(血液からの血漿の分離及び除去)、赤血球アフェレーシス(血液からの赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell))の分離及び除去のため)、血小板フェレーシス(赤血球(RBC)、白血球(WBC)及び血漿を戻す一方で、血小板の分離及び除去のため)、白血球アフェレーシス(好中性顆粒球、好酸性顆粒球、好塩基性顆粒球、リンパ球(ナチュラルキラー細胞、T細胞及びB細胞)及び単球等、血液からの白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))の分離及び除去のため)を含むことができる。
【0178】
本開示の他の実施形態では、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、非経口栄養処置、より詳細には、完全非経口栄養処置中に、カテーテル30aとともに用いることも可能である。非経口栄養は、受容者に対して静脈内に栄養を与え、そうする際、通常の食事及び消化のプロセスをバイパスするものとして理解することができる。非経口栄養は、中心非経口栄養(CPN)及び末梢非経口栄養(PPN)に分割することができる。こうしたことはまた、中心静脈栄養(CVN)及び末梢静脈栄養(PVN)と呼ぶ場合もある。中心非経口栄養(CPN)又は中心静脈栄養(CVN)は、鎖骨下静脈、頸静脈及び大腿静脈等の一次静脈を通して投与される。末梢非経口栄養(PPN)又は末梢静脈栄養(PVN)は、腕の二次(末梢)静脈を通して投与される。こうしたことは、他の経路を通して受容者58によって著しい栄養が得られない場合、完全非経口栄養とさらに呼ぶことができる。非経口栄養処置中、流体源32は、ポンプ46を用いて、受容者58に留置アクセスポート20aを通して受容者58に投与されるブドウ糖、アミノ酸、脂質並びに追加のビタミン及び栄養素のミネラル等の栄養分を含む、栄養処方を含むことができる。
【0179】
非経口栄養は、機能している消化管を有していないか、又は、腸閉塞症、短腸症候群、腹膜破裂、持続する下痢、ろう、クローン病及び潰瘍性結腸炎を含む、完全な腸管安静を必要とする疾患、並びに先天性GI異常及び新生児壊死性腸炎を含むいくつかの小児科GI疾患を有する受容者58に対して、必要とされる場合がある。非経口栄養はまた、昏睡状態にある可能性がある受容者等、自身で栄養を摂ることができない可能性がある受容者に対しても必要であり得る。
【0180】
本開示の他の実施形態では、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、腹膜腔以外の体腔70内に挿入されるカテーテル30aとも使用することも可能である。例えば、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、長期経腸栄養のために胃の中に挿入されているカテーテル30aとともに使用することも可能である、カテーテル30aは、経胃栄養チューブ(G−チューブ)として動作する。カテーテル30aはまた、空腸内に挿入され、従って、経空腸チューブ(J−チューブ)として動作し、又は、胃及び空腸の両方に挿入され、従って経胃空腸チューブ(GJ−チューブ)として動作することも可能である。
【0181】
本開示の他の実施形態では、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、他のがん治療(すなわち、化学療法以外)の注入中に使用することも可能である。例えば、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、CAR−T処置中にカテーテル30aとともに使用することも可能である。この免疫療法は、受容者自身のT細胞を用いてがんを特異的に攻撃する。T細胞は、アフェレーシスを用いて受容者の血液から収集され、その後、それらの表面において、キメラ抗原受容体すなわち「CAR」として知られる特別な受容体を生成するように遺伝子操作される。CARタンパク質により、T細胞は、がん細胞における特異抗原を認識することができる。
【0182】
操作されたCAR−T細胞は、何十億に達するまで研究所で成長し、その後、患者の体内に注入される。T細胞は、患者の体内で増加し、それらの操作された受容体からの案内により、表面に抗原を持つがん細胞を認識して死滅させる。
【0183】
しかしながら、CAR−T細胞の再導入は、小ゲージ針(例えば、20ゲージ〜21ゲージ)を用いると問題がある。小ゲージ針を用いる再注入により、再注入されたCAR−T細胞の最大50%に対して損傷を与えるか又は死滅させる(溶解させる)可能性がある。この細胞破壊は、特に標的腫瘍又は脳の応用において、単に、小ゲージ針を通して多すぎる細胞を押し込むことによってもたらされる。その結果、留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20は、より大きいゲージの針(例えば、14ゲージ〜17ゲージ)を利用して、大きいボアを通して細胞を再注入して、細胞破壊(加えられる外圧によってもたらされる細胞膜の機械的圧力崩壊のために発生する溶解として理解することができる)を緩和することができる。言い換えれば、小ゲージ針の使用により、導入中のCAR−T細胞に与えられるせん断率/圧力を低減させ、従って、細胞破壊のレベルを低下させることができる。
【0184】
本開示の他の実施形態では、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、ヘモクロマトーシスを治療するために血管68内に挿入されるカテーテル30aとともに使用することも可能である。ヘモクロマトーシス、すなわち鉄過剰は、何らかの原因からの体内の鉄の蓄積を示す。ヘモクロマトーシスを治療するために、静脈切開術を介して受容者から血液を取り出すことができる。
【0185】
本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20は、体内に血液を送達するために血管68に挿入されるカテーテル30aとともに使用することも可能である。例えば、本明細書に開示する留置アクセスポート20aはまた、鎌状赤血球(貧血)症を治療するために血管68に挿入されるカテーテル30aとともに使用することも可能である。鎌状赤血球症は、正常な丸い赤血球を三日月のような形状、すなわち、鎌の三日月状の刃に関連する形状になる可能性がある細胞に変化させる。鎌状赤血球症を治療するために、輸血を介して受容者に血液を送達することができる。輸血により、体内のヘモグロビンS赤血球の量が低下する。血流における鎌状ヘモグロビンSの数が少なくなると、それらは、蓄積して血管を閉塞させる可能性が低くなる。受容者から血液及び鎌状赤血球を取り出す静脈切開術の直後に、輸血をまた行うことができる。
【0186】
本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、輸血を介してベータサラセミアを治療するためにも体内に血液を送達するように血管68に挿入されるカテーテル30aと使用することも可能である。ベータサラセミアは、ヘモグロビンの生成を低下させる血液疾患である。
【0187】
上述したことを鑑みて、本明細書に開示する留置アクセスポート20a等の留置アクセスポート20はまた、輸血用のカテーテル30aとともに用いて、それによって治療可能な任意の疾患を治療することも可能である。
【0188】
いくつかの方法及び実施形態の上述した説明は、例示の目的で提示されている。網羅的であるように、又は、特許請求の範囲を開示する正確なステップ及び/又は形態に限定するようには意図されておらず、上記教示に鑑みて、明らかに多くの変更及び変形が可能である。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義されるように意図されている。