(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成熟重鎖可変領域が配列番号8に示されるアミノ酸配列を含み、前記成熟軽鎖可変領域が配列番号18に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
前記成熟重鎖可変領域が、配列番号8と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記成熟軽鎖可変領域が、配列番号18と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
前記成熟重鎖可変領域が、配列番号8と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記成熟軽鎖可変領域が、配列番号18と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、
前記成熟重鎖可変領域と配列番号8とのアミノ酸の相違、及び前記成熟軽鎖可変領域と配列番号18とのアミノ酸の相違がすべて保存的置換である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
前記成熟重鎖可変領域が、配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、前記成熟軽鎖可変領域が、配列番号18と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
前記成熟重鎖可変領域が、配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、前記成熟軽鎖可変領域が、配列番号18と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、
前記成熟重鎖可変領域と配列番号8とのアミノ酸の相違、及び前記成熟軽鎖可変領域と配列番号18とのアミノ酸の相違がすべて保存的置換である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
H2がIまたはVによって占有され、H38がRまたはKによって占有され、H44がDまたはGによって占有され、H46がKまたはEによって占有され、H68がVまたはAによって占有され、H73がKまたはTによって占有され、H76がNまたはSによって占有され、H91がYまたはFによって占有され、L1がQまたはEによって占有され、L5がSまたはTによって占有され、L21がMまたはLによって占有され、L46がPまたはLによって占有され、L47がWまたはLによって占有され、L58がVまたはIによって占有され、L71がYまたはFによって占有され;付番がKabat付番方式による、請求項3〜8のいずれか一項に記載の抗体。
以下の可変領域フレームワーク位置が、規定のように占有される:Iによって占有されるH2、Rによって占有されるH38、Dによって占有されるH44、Kによって占有されるH46、Vによって占有されるH68、Kによって占有されるH73、Nによって占有されるH76、Yによって占有されるH91、Qによって占有されるL1、Sによって占有されるL5、Mによって占有されるL21、Pによって占有されるL46、Wによって占有されるL47、Vによって占有されるL58、Yによって占有されるL71;付番がKabat付番方式による、請求項3〜8のいずれか一項に記載の抗体。
以下の可変領域フレームワーク位置が、規定のように占有される:Iによって占有されるH2、Dによって占有されるH44、Kによって占有されるH46、Kによって占有されるH73、Nによって占有されるH76、Qによって占有されるL1、Sによって占有されるL5、Mによって占有されるL21、Pによって占有されるL46、Wによって占有されるL47、Vによって占有されるL58、Yによって占有されるL71;付番がKabat付番方式による、請求項3〜8のいずれか一項に記載の抗体。
前記重鎖定常領域が、天然のヒト定常領域の突然変異形態であり、前記重鎖定常領域のFcガンマ受容体への結合が、前記天然のヒト定常領域と比較して減少している、請求項13に記載の抗体。
前記重鎖定常領域が、配列番号28または配列番号29を含むアミノ酸配列を有し、前記軽鎖定常領域が、配列番号27を含むアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の抗体。
前記細胞傷害性薬が、マイタンシノイド、アウリスタチン、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、またはオキサゾリジノベンゾジアゼピンである、請求項18に記載の抗体。
前記細胞傷害性薬が、マイタンシノイド、アウリスタチン、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、またはオキサゾリジノベンゾジアゼピンである、請求項32に記載の抗体−薬物複合体。
前記癌が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、原発性アミロイドーシス、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)である、請求項56〜59のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
配列番号3の3つの重鎖CDRを含む重鎖可変領域及び/または配列番号13の3つの軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域をコードする配列を含む単離された核酸であって、前記CDRが、KabatまたはIMGTによって定義される通りである、核酸。
前記細胞傷害性薬が、マイタンシノイド、アウリスタチン、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、またはオキサゾリジノベンゾジアゼピンである、請求項73に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】マウス20F3重鎖可変領域の配列アラインメント、ヒトアクセプター中のマウスCDR(囲み)に復帰突然変異がないヒト化配列、及びヒト化変異型であるHA−HEを示す。CDRは、Kabatによって定義される通りである。
【
図2】マウス20F3軽鎖可変領域の配列アラインメント、ヒトアクセプター中のマウスCDR(囲み)に復帰突然変異がないヒト化配列、及びヒト化変異型であるLA−LDを示す。CDRは、Kabatによって定義される通りである。
【
図3】NSGマウスのMM.1R細胞系における多発性骨髄腫播種性異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは、ヒト化20F3 PBD抗体薬物複合体である。
【
図4】NSGマウスのU−266細胞系における多発性骨髄腫播種性異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは、ヒト化20F3 PBD抗体薬物複合体である。
【
図5】NSGマウスのEJM細胞系における多発性骨髄腫播種性異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは、ヒト化20F3 PBD抗体薬物複合体である。
【
図6】SKIDマウスのHNT−34細胞系におけるAML皮下異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは、ヒト化20F3 PBD抗体薬物複合体である。
【
図7】NSGマウスのMM.1R細胞系における多発性骨髄腫播種性異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは、ヒト化20F3アウリスタチン抗体薬物複合体である。
【
図8】NSGマウスのU−266細胞系における多発性骨髄腫播種性異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは共に、ヒト化20F3アウリスタチン抗体薬物複合体である。
【
図9】NSGマウスのEJM細胞系における多発性骨髄腫播種性異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは共に、ヒト化20F3アウリスタチン抗体薬物複合体である。
【
図10】SKIDマウスのHNT−34細胞系におけるAML皮下異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは共に、ヒト化20F3アウリスタチン抗体薬物複合体である。
【
図11】SCIDマウスのRaji細胞系における非ホジキンリンパ腫皮下異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは共に、ヒト化20F3アウリスタチン抗体薬物複合体である。
【
図12】SCIDマウスのWSU−DLCL2細胞系における非ホジキンリンパ腫皮下異種移植片研究の結果を示す。用量は図に示される。ADCは共に、ヒト化20F3アウリスタチン抗体薬物複合体である。
【0005】
定義
「抗体−薬物複合体」は、細胞傷害性薬または細胞増殖抑制薬に複合体化された抗体を指す。典型的には、抗体−薬物複合体は、細胞表面上の標的抗原(例えば、NTB−A)に結合した後、抗体−薬物複合体を細胞の中に内在化させ、薬物を放出する。
【0006】
「ポリペプチド」または「ポリペプチド鎖」は、天然産生か合成産生かにかかわらず、ペプチド結合によって接合されるアミノ酸残基の重合体である。アミノ酸残基約10個未満のポリペプチドは、一般に「ペプチド」と称される。
【0007】
「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質はまた、炭水化物群等の非ペプチド性成分を含んでもよい。炭水化物及び非ペプチド性置換基は、タンパク質が中で産生される細胞によってタンパク質に添加され得、細胞の種類によって異なることになる。タンパク質は、そのアミノ酸骨格構造の観点から本明細書では定義され、炭水化物群等の置換基は、概して指定はされないが、それでも存在し得る。
【0008】
「アミノ末端」及び「カルボキシル末端」という用語は、ポリペプチド内の位置を表す。文脈が許す場合、これらの用語は、近接性または相対的位置を表すためにポリペプチドの特定の配列または部分に関して使用される。例えば、ポリペプチド内で参照配列に対してカルボキシル末端に位置するある特定の配列は、参照配列のカルボキシル末端に近接して位置着けられるが、必ずしも完全ポリペプチドのカルボキシル末端にある必要はない。
【0009】
「抗体」という用語は、抗原の存在に応答して体内で産生され、抗原に結合する免疫グロブリンタンパク質、ならびにその抗原結合部分及び操作された変異型を表す。したがって、「抗体」という用語は、例えば、無傷モノクローナル抗体(例えば、ハイブリドーマ技術を使用して産生される抗体)、ならびに抗原結合抗体断片、例えば、F(ab’)
2及びFab断片を含む。概して、操作された無傷抗体及び断片、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖Fv断片、単鎖抗体、ダイアボディ、ミニボディ、線形抗体、多価または多特異性(例えば、二重特異性)ハイブリッド抗体なども含まれる。よって、「抗体」は、抗体の抗原結合部位を含み、その抗原に特異的に結合することができるいずれのタンパク質も含むように広義に使用される。「抗体」という用語は、単独の抗体(「裸抗体」)または細胞増殖抑制薬または細胞傷害性薬と複合体化された抗体を含む。
【0010】
「遺伝子操作された抗体」という用語は、アミノ酸配列を天然抗体のものとは異ならせた抗体を意味する。抗体の生成における組換えDNA技法の適用可能性により、天然抗体中で見い出されるアミノ酸の配列に限定される必要はなく、抗体は、所望の特徴が得られるように再設計することができる。可能性のある変形は多数あり、1つまたは少数のアミノ酸だけを変化させることから、例えば可変または定常領域の完全な再設計まで多岐にわたる。概して、定常領域を変化させることで、例えば、補体結合、細胞との相互作用、及び他のエフェクター機能といった特徴を改善または改変する。典型的には、可変領域を変化させることで、抗原結合特徴を改善し、可変領域の安定性を改善し、あるいは免疫原性の危険を低減する。
【0011】
「抗体の抗原結合部位」は、その抗原に結合するのに足りる抗体の位置である。最低限のかかる領域は、典型的には、可変ドメインまたはその遺伝子操作された変異型である。単一ドメイン結合部位は、ラクダ化抗体(Muyldermans and Lauwereys,J.Mol.Recog.12:131−140,1999、Nguyen et al.,EMBO J.19:921−930,2000参照)、または単一ドメイン抗体を産生させるための他の種のVHドメイン(「dAb」、Ward et al.,Nature 341:544−546,1989、Winterらの米国特許第6,248,516号参照)から生成され得る。一般に、抗体の抗原結合部位は、共通エピトープに結合する、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインの両方を含む。本発明の背景の中で、抗体は、抗原結合部位に加えて、例えば、抗体の第2の抗原結合部位(同じエピトープもしくは異なるエピトープ、または同じ抗原もしくは異なる抗原に結合し得る)、ペプチドリンカー、免疫グロブリン定常領域、免疫グロブリンヒンジ、両親媒性ヘリックス(Pack and Pluckthun,Biochem.31:1579−1584,1992参照)、非ペプチドリンカー、オリゴヌクレオチド(Chaudri et al.,FEBS Letters 450:23−26,1999参照)、細胞増殖抑制薬または細胞傷害性薬といった1つ以上の構成要素を含んでもよく、単量体または多量体タンパク質であってもよい。抗体の抗原結合部位を含む分子の例は当該技術分野で既知であり、例えば、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)
2、F(ab)c、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、Fab−scFv融合物、二重特性(scFv)
4−IgG、及二重特異性(scFv)
2−Fabが含まれる。(例えば、Hu et al.,Cancer Res.56:3055−3061,1996、Atwell et al.,Molecular Immunology 33:1301−1312,1996、Carter and Merchant,Curr.Opin.Biotechnol.8:449−454,1997、Zuo et al.,Protein Engineering 13:361−367,2000、及びLu et al.,J.Immunol.Methods 267:213−226,2002を参照されたい。)
【0012】
「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリン遺伝子(複数可)によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を指す。免疫グロブリンの一形態は、脊椎動物における天然(即ち、自然)の抗体の基本構造単位を構成する。この形態は、四量体であり、免疫グロブリン鎖の2つの同一の対からなり、各対は、1本の軽鎖と1本の重鎖とを有する。各対において、軽鎖及び重鎖可変領域(VL及びVH)は、一緒になって、抗原への結合の中心的役割を果たし、定常領域は、抗体エフェクター機能の中心的役割を果たす。免疫グロブリンタンパク質の5つのクラス(IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgE)が高等脊椎動物において特定されている。IgGが主要なクラスを構成し、通常、血漿中に見い出される2番目に豊富なタンパク質として存在する。ヒトでは、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4と表される4つのサブクラスからなる。各免疫グロブリン重鎖は、種における所与のサブクラスに関して本質的に不変である定常領域タンパク質ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3;IgG3はCH4ドメインも含む)からなる定常領域を保有する。ヒト及び非ヒト免疫グロブリン鎖をコードするDNAは当該技術分野で既知である。(例えば、Ellison et al.,DNA 1:11−18,1981、Ellison et al.,Nucleic Acids Res.10:4071−4079,1982、Kenten et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6661−6665,1982、Seno et al.,Nuc.Acids Res.11:719−726,1983、Riechmann et al.,Nature 332:323−327,1988、Amster et al.,Nuc.Acids Res.8:2055−2065,1980、Rusconi and Kohler,Nature 314:330−334,1985、Boss et al.,Nuc.Acids Res.12:3791−3806,1984、Bothwell et al.,Nature 298:380−382,1982、van der Loo et al.,Immunogenetics 42:333−341,1995、Karlin et al.,J.Mol.Evol.22:195−208,1985、Kindsvogel et al.,DNA 1:335−343,1982、Breiner et al.,Gene 18:165−174,1982、Kondo et al.,Eur.J.Immunol.23:245−249,1993、及びGenBank受入番号J00228を参照されたい。)免疫グロブリン構造及び機能の概説については、Putnam,The Plasma Proteins,Vol V,Academic Press,Inc.,49−140,1987、及びPadlan,Mol.Immunol.31:169−217,1994を参照されたい。「免疫グロブリン」という用語は、その一般的な意味で本明細書で使用され、文脈に応じて、無傷抗体、その成分鎖、または鎖の断片を表す。
【0013】
完全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDaまたは214個のアミノ酸)は、アミノ末端で可変領域遺伝子によって(約110個のアミノ酸をコードする)、及びカルボキシル末端でカッパまたはラムダ定常領域遺伝子によってコードされる。完全長免疫グロブリン「重鎖」(約50kDaまたは446個のアミノ酸)は、可変領域遺伝子(約116個のアミノ酸をコードする)、及びガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン定常領域遺伝子(約330個のアミノ酸をコードする)によってコードされ、後者は、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEとして定義する。軽鎖及び重鎖内で、可変及び定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域により結合され、重鎖も約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。(概して、Fundamental Immunology(Paul,ed.,Raven Press,N.Y.,2nd ed.1989),Ch.7を参照されたい)。
【0014】
免疫グロブリン軽鎖可変領域または重鎖可変領域(本明細書では、それぞれ、「軽鎖可変ドメイン」(「VLドメイン」)または「重鎖可変ドメイン」(「VHドメイン」)とも称される)は、3つの「相補性決定領域」または「CDR」によって遮られる「フレームワーク」領域からなる。フレームワーク領域は、抗原のエピトープへの特異的結合のためにCDRを整合させる働きをする。よって、「CDR」という用語は、抗原結合に中心的役割を果たす抗体のアミノ酸残基を指す。アミノ末端からカルボキシル末端まで、VLドメインとVHドメインとの両方は、以下のフレームワーク(FR)及びCDR領域を含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。各可変領域ドメインへのアミノ酸の割当は、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,MD,1987 and 1991)の定義に従う。Kabatは、異なる重鎖間または異なる軽鎖間の対応する残基が同じ番号を割り当てられる、広く使用されている番付規則(Kabat番付)も提供する。VLドメインのCDR1、2、及び3は、本明細書では、それぞれ、CDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と称され、VHドメインのCDR1、2、及び3は、同様に、本明細書では、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3と称される。そのように記述されている場合には、CDRの割当は、Kabatの代わりにIMGT(登録商標)(Lefranc et al.,Developmental & Comparative Immunology 27:55−77;2003)に従う。
【0015】
文脈により別途示されない限り、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生された抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」という用語は、真核生物クローン、原核生物クローン、またはファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体を指し、それが産生される方法ではない。本明細書に記載される抗体は、モノクローナル抗体である。
【0016】
「ヒト化VHドメイン」または「ヒト化VLドメイン」は、非ヒトドナー免疫グロブリン(例えば、マウスまたはラット)に完全にまたは実質的に由来する一部または全てのCDRと、ヒト免疫グロブリン配列に完全にまたは実質的に由来する可変ドメインフレームワーク配列とを含む、免疫グロブリンVHまたはVLドメインを指す。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。場合によっては、ヒト化抗体は、適当な特徴を強化するために、ヒト可変ドメインフレームワーク領域内にいくつかの非ヒト残基を保持することになる(例えば、フレームワーク中の突然変異は、抗体がヒト化されるときに結合親和性を保存する必要があり得る)。
【0017】
「ヒト化抗体」は、ヒト化VHドメイン及びヒト化VLドメインの一方または両方を含む抗体である。免疫グロブリン定常領域(複数可)は、存在する必要はないが、存在する場合には、ヒト免疫グロブリン定常領域に完全にまたは実質的に由来する。
【0018】
ヒト化抗体におけるCDRは、対応する残基(Kabat(またはIMGT)により定義される通り)の少なくとも60%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%がそれぞれのCDR間で同一であるとき、非ヒト抗体において対応するCDRに「実質的に由来」する。CDRが非ヒト免疫グロブリンに実質的に由来するヒト化VHまたはVLドメインの特定の変形において、ヒト化VHまたはVLドメインのCDRは、対応する非ヒトVHまたはVL CDRに対して、3つ全てのCDRにわたって、6個未満(例えば、5個未満、4個未満、3個未満、2個未満、または1個未満)のアミノ酸置換(好ましくは保存的置換)を有する。抗体VHもしくはVLドメインの可変領域フレームワーク配列、または存在する場合には免疫グロブリン定常領域の配列は、Kabatにより定義される対応する残基の少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が同一であるとき、それぞれ、ヒトVHもしくはVLフレームワーク配列またはヒト定常領域に「実質的に由来」する。したがって、ヒト化抗体のCDRを除いた全ての部分は、自然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分に完全にまたは実質的に由来する。
【0019】
抗体は、典型的には、単離された形態で提供される。これは、抗体が典型的には、その産生または精製から生じる妨害タンパク質及び他の汚染物の少なくとも50%w/w純粋であることを意味するが、その抗体がその使用を容易にすることを意図した過剰の薬学的に許容される担体(複数可)または他のビヒクルと組み合わされる可能性を除外しない。抗体は、産生または精製からの妨害タンパク質及び汚染物から少なくとも60%、70%、80%、90%、95、または99%w/w純粋である場合がある。単離された抗体を含む抗体は、細胞傷害性薬と複合体化され、抗体薬物複合体として提供され得る。
【0020】
抗体の、その標的抗原への特異的結合は、少なくとも10
6、10
7、10
8、10
9、または10
10M
−1の親和性を意味する。特異的結合は、検出可能に規模が高く、少なくとも1つの無関係の標的に生じる非特異的結合から区別可能である。特異的結合は、特定の官能基間の結合の形成または特定の空間的適合(例えば、ロック・アンド・キータイプ)の結果であり得るが、非特異的結合は通常、ファンデルワース力の結果である。
【0021】
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、隣接するアミノ酸、または1つ以上のタンパク質の3次折り畳みが並置される隣接しないアミノ酸に由来し得る。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露で保持され、一方で3次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも3個、更に通常は少なくとも5個または8〜10個のアミノ酸を、固有の空間的構造で含む。エピトープの空間的構造を決定するための方法としては、例えば、X線結晶学及び2次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols,in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed.(1996)を参照されたい。
【0022】
同じであるかまたは重複しているエピトープを認識する抗体は、一方の抗体が標的抗原への他方の抗体の結合と競合する能力を示す単純な免疫アッセイにおいて特定することができる。抗体のエピトープも、接触残基を特定するためのその抗原に結合した抗体のX線結晶学によって定義することができる。あるいは、2つの抗体は、一方の抗体の結合を低下させるかまたは排除する抗原におけるアミノ酸突然変異が、他方の結合を低下させるかまたは排除する場合に(かかる突然変異が抗原構造の全体的な改変をもたらさないことを条件とする)、同じエピトープを有する。2つの抗体は、一方の抗体の結合を低下させるかまたは排除するいくつかのアミノ酸突然変異が他方の結合を低下させるかまたは排除する場合に、重複しているエピトープを有する。
【0023】
抗体間の競合は、試験されている抗体が参照抗体の共通抗原への特異的結合を阻害するアッセイによって決定される(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50:1495,1990)。試験抗体は、過剰な試験抗体が参照抗体の結合を阻害する場合に、参照抗体と競合する。競合は、実施例で提供される形式に従って評定される。競合アッセイによって特定された抗体(競合抗体)は、参照抗体として同じエピトープに結合する抗体、及び立体障害が生じるように参照抗体に結合するエピトープの十分近位にある隣接するエピトープに結合する抗体を含む。競合アッセイによって特定される抗体は、標的タンパク質における構造変化を引き起こすことで、参照抗体が試験抗体と結合するエピトープとは異なるエピトープに結合することを防止することによって参照抗体と直接競合する抗体も含む。
【0024】
「発現単位」及び「発現カセット」は、本明細書では、置き換え可能に使用され、目的のポリペプチドをコードし、宿主細胞中で核酸セグメントの発現をもたらすことができる核酸セグメントを表す。発現単位は、典型的には、転写プロモーター、目的のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、及び転写終結因子を、全て動作可能な構成で含む。転写プロモーター及び終結因子に加えて、発現単位は、例えば、エンハンサーまたはポリアデニル化シグナルなど、他の核酸セグメントを更に含んでもよい。
【0025】
「発現ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の発現単位を含む線形または環形の核酸分子を指す。1つ以上の発現単位に加えて、発現ベクターはまた、例えば、1つ以上の複製起点または1つ以上の選択可能なマーカーなど、更なる核酸セグメントを含んでもよい。発現ベクターは、概して、プラスミドもしくはウイルスDNAに由来するか、または両方の要素を含んでもよい。
【0026】
本明細書に記載される抗体または他のタンパク質において、配列番号によって特定されるものに対応するアミノ酸残基は、かかる残基の翻訳後修飾を含む。
【0027】
「患者」という用語は、予防的または治療的処置のいずれかを受けるヒト及び他の哺乳類対象を含む。
【0028】
本明細書に記載の抗NTB−A抗体の投与によるNTB−A発現障害の治療の背景における「有効量」は、NTB−A発現障害の1つ以上の症状の発現を阻害するかまたはそれを緩和するのに十分なかかる抗体の量を指す。有効量の抗体は、「有効なレジメン」で投与される。「有効なレジメン」という用語は、その障害の予防的または治療的処置を達成するのに十分な抗体の投与量及び投薬頻度の組み合わせを指す。
【0029】
アミノ酸置換を保存的または非保存的として分類する目的で、以下のアミノ酸置換が保存的置換とみなされる:トレオニン、アラニン、またはアスパラギンによって置換されるセリン;プロリンまたはセリンによって置換されるトレオニン;アスパラギン酸、ヒスチジン、またはセリンによって置換されるアスパラギン;グルタミン酸またはアスパラギンによって置換されるアスパラギン酸;グルタミン、リジン、またはアスパラギン酸によって置換されるグルタミン酸;アルギニン、リジン、またはグルタミン酸によって置換されるグルタミン;チロシンまたはアスパラギンによって置換されるヒスチジン;リジンまたはグルタミンによって置換されるアルギニン;イソロイシン、ロイシン、またはバリンによって置換されるメチオニン;ロイシン、バリン、またはメチオニンによって置換されるイソロイシン;バリン、イソロイシン、またはメチオニンによって置換されるロイシン;チロシンまたはトリプトファンによって置換されるフェニルアラニン;トリプトファン、ヒスチジン、またはフェニルアラニンによって置換されるチロシン;トレオニンによって置換されるプロリン;セリンによって置換されるアラニン;グルタミン酸、グルタミン、またはアルギニンによって置換されるリジン;メチオニン、イソロイシン、またはロイシンによって置換されるバリン;及びフェニルアラニンまたはチロシンによって置換されるトリプトファン。保存的置換は、同じクラスのアミノ酸間の置換も意味し得る。クラスは以下の通りである:グループI(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg;グループV(鎖配向に影響を及ぼす残基):gly、pro;及びグループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。
【0030】
2つのアミノ酸配列は、2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基が、最大限の対応を求めて整合させたときに同じである場合に、「100%のアミノ酸配列同一性」を有する。配列比較は、DNASTAR(Madison,Wisconsin)によって生産されるLASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイートに含まれるものなどの標準的なソフトウェアプログラムを使用して行われ得る。最適な整合の決定によって2つの核酸またはアミノ酸配列を比較するための他の方法は、当該技術分野で周知である。(例えば、Peruski and Peruski,The Internet and the New Biology:Tools for Genomic and Molecular Research(ASM Press,Inc.1997)、Wu et al.(eds.),“Information Superhighway and Computer Databases of Nucleic Acids and Proteins,”in Methods in Gene Biotechnology 123−151(CRC Press,Inc.1997)、Bishop(ed.),Guide to Human Genome Computing(2nd ed.,Academic Press,Inc.1998)を参照されたい。)2つのアミノ酸配列は、2つの配列が、互いに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する場合に「実質的な配列同一性」を有するとみなされる。
【0031】
配列同一性パーセントは、Kabat番付規則により最大限に整合された抗体配列により決定される。整合後、対象抗体領域(例えば、重鎖または軽鎖の可変ドメイン全体)が参照抗体の同じ領域と比較される場合、対象と参照抗体領域との間のパーセント配列同一性は、対象及び参照抗体領域の両方において同じアミノ酸により占められる位置の数を、2つの領域の整合された位置の総数で除し(ギャップは数えられない)、100を乗じてパーセントに変換する。
【0032】
1つ以上の列挙される要素を「含む」組成物または方法は、具体的に列挙されない他の要素を含み得る。例えば、抗体を含む組成物は、抗体のみを含むか、または他の成分との組み合わせであり得る。
【0033】
値の範囲の表示は、範囲内または範囲を定義する全ての整数を含む。
【0034】
抗体エフェクター機能は、IgのFc領域が寄与する機能を指す。かかる機能は、例えば、抗体依存性細胞傷害性、抗体依存性細胞食作用、または補体依存性細胞傷害性であり得る。かかる機能は、例えば、食作用もしくは溶解作用を有する免疫細胞上のFc領域のFc受容体への結合によって、またはFc領域の補体系の構成要素への結合によって引き起こされ得る。典型的には、Fc結合細胞または補体成分が媒介する作用(複数可)により、NTB−A標的化細胞の阻害及び/または欠乏がもたらされる。抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)発現細胞を補充し、それらを抗体でコーティングされた標的細胞と並置し得る。FcγRIII(CD16)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD64)を含む、IgGに対する表面FcRを発現している細胞は、IgGでコーティングされた細胞を破壊するためのエフェクター細胞として作用し得る。かかるエフェクター細胞としては、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及び好酸球が挙げられる。IgGによってFcγRが従事することで、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)または抗体依存性細胞食作用(ADCP)が活性化される。ADCCは、膜孔形成タンパク質及びプロテアーゼの分泌を通してCD16
+エフェクター細胞によって媒介され、一方で食作用は、CD32
+及びCD64
+エフェクター細胞によって媒介される(Fundamental Immunology,4
th ed.,Paul ed.,Lippincott−Raven,N.Y.,1997,Chapters 3,17 and 30、Uchida et al., J.Exp. Med.199:1659−69,2004、Akewanlop et al.,Cancer Res.61:4061−65,2001、Watanabe et al.,Breast Cancer Res.Treat.53:199−207,1999を参照されたい)。ADCC及びADCPに加えて、細胞に結合した抗体のFc領域も、補体古典的経路を活性化して、補体依存性細胞傷害性(CDC)を励起することができる。補体系のC1qは抗体のFc領域に結合し、この結合は、それらが抗原と複合体化されるときに生じる。C1qが細胞に結合した抗体に結合することで、C4及びC2のタンパク質分解活性化に関与する事象の連鎖が始動し、C3転換酵素を生成し得る。C3転換酵素によってC3がC3bに切断されることにより、C5b、C6、C7、C8、及びC9を含む末端補体成分の活性化が可能となる。まとめて、これらのタンパク質は、抗体でコーティングされた細胞上に膜攻撃複合体孔を形成する。これらの孔が、細胞膜の統合性を分断して、標的細胞を殺滅する(Immunobiology,6
th ed.,Janeway et al.,Garland Science,N.Y.,2005,Chapter 2)。
【0035】
「抗体依存性細胞傷害性」または「ADCC」は、抗体でコーティングされた標的細胞と溶解活性を保有する免疫細胞(エフェクター細胞とも称される)との相互作用に依存する細胞死を誘導するための機序である。かかるエフェクター細胞としては、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、及び好中球が挙げられる。エフェクター細胞は、標的細胞に結合したIgのFc領域に、それらの抗原結合部位を介して結合する。抗体でコーティングされた標的細胞の死滅は、エフェクター細胞活性の結果として生じる。
【0036】
「抗体依存性細胞食作用」または「ADCP」という用語は、抗体でコーティングされた細胞が、IgのFc領域に結合する食作用免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球、及び樹状細胞)によって全てまたは部分的に内在化されるプロセスを指す。
【0037】
「補体依存性細胞傷害性」または「CDC」という用語は、標的に結合した抗体のFc領域が一連の酵素反応を活性化して標的細胞膜における孔の形成をもたらす、細胞死を誘導するための機序を指す。典型的には、抗原−抗体複合体、例えば、抗体でコーティングされた標的細胞上にあるものが、補体成分C1qに結合してそれを活性化し、今度はこのC1qが標的細胞死につながる補体カスケードの活性化する。補体の活性化により、白血球上の補体受容体(例えば、CR3)の結合によってADCCを促進する、標的細胞表面上の補体成分の堆積も生じ得る。
【0038】
「細胞傷害性効果」は、標的細胞の枯渇、排除、及び/または殺滅を指す。「細胞傷害性薬」は、細胞に対して細胞傷害作用を有する薬剤を指す。細胞傷害性薬は、抗体に複合体化されるか、または抗体と組み合わせて投与され得る。
【0039】
「細胞増殖抑制作用」は、細胞増殖の阻害を指す。「細胞増殖抑制薬」は、細胞に対して細胞増殖抑制作用を有することで、細胞の特定のサブセットの増殖及び/または拡大を阻害する薬剤を指す。細胞増殖抑制薬は、抗体に複合体化されるか、または抗体と組み合わせて投与され得る。
【0040】
「薬学的に許容される」という用語は、米国の連邦もしくは州政府の規制機関により承認されたもしくは承認可能である、または動物、より具体的にはヒトにおいて使用するための米国薬局方もしくは他の一般的に認識されている薬局方に列記されていることを意味する。「薬学的に相溶性の成分」という用語は、抗NTB−A抗体と共に製剤化される薬学的に許容される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
【0041】
「薬学的に許容される塩」という句は、薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩(saccharate)、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、pトルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(即ち、1,1’メチレンビス−(2ヒドロキシ3ナフトエート))が含まれる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなどの別の分子の包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる任意の有機または無機の部分であり得る。更に、薬学的に許容される塩は、その構造内に2つ以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0042】
文脈から別途明らかでない限り、値が「約」Xまたは「およそ」Xと表されるとき、Xの表示値は、±10%の精度を持つと理解される。
【0043】
グリコシル化は、抗体を発現させるために使用する宿主細胞に依存する。可能性のある治療薬としての組換え抗体の発現に使用される細胞型が天然の細胞であることは稀であり、抗体のグリコシル化パターンの顕著な変動が、非天然細胞において組換えによって発現された抗体と、同じ一次重鎖及び軽鎖配列の抗体との間で生じ得る。齧歯動物起源の哺乳動物細胞系(SP2/0、CHO、またはBHKなど)は、ヒトグリコシル化といくらかの類似性を有するグリコシル化を付与することができる。しかしながら、一部のヒト構成要素が不足している場合があり(2,6連結シアリル化など)、通常ヒトにおいては見られないいくつかの他の構成要素、例えば、通常ヒト細胞中に存在しない末端シアル酸(例えば、NeuGc)、または通常ヒト細胞中に存在しない方法で別のガラクトースに連結する末端ガラクトース(Gal−Gal構造)が存在する場合がある。CHO細胞中で発現される組換えIgGは、概して、マウス骨髄腫細胞中で発現される組換え免疫グロブリンと比較してグリコシル化が低い。したがって、CHO細胞中で産生される組換えIgGは、マウス骨髄腫細胞系中で産生されるrIgGと比較して高いレベルのG0グリカンを含んでもよい。
【0044】
抗体のグリコシル化構造は、炭水化物分析の従来的な技法によって分析することができ、これらの技法としては、レクチンクロマトグラフィー、NMR、質量分析、HPLC、ゲル透過クロマトグラフィー、単糖組成分析、連続酵素消化、及び高pHアニオン交換クロマトグラフィーを使用して、荷電に基づいてオリゴ糖を分離するパルスアンペロメトリック検出を伴う、高速アニオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。分析を目的としたオリゴ糖の放出方法には、酵素処理(一般にペプチド−N−グリコシダーゼF/エンド−ベータ−ガラクトシダーゼを使用して行われる)、厳しいアルカリ性環境を使用して、主にO連結構造を放出する排除、及び無水ヒドラジンを使用して、N連結オリゴ糖とO連結オリゴ糖との両方を放出する化学的方法が含まれる。
【0045】
よって、組換えによって発現された抗体のグリコシル化パターンは、発現が行われる細胞型(例えば、CHO)の特徴的あり得、上記の技法のいずれかによって、他の細胞型、特に、マウス及びヒトなどの他の種とは区別可能に異なり得る。
【0046】
本発明の文脈における溶媒和物は、溶媒分子との調整を通して固体または液体状態において複合体を形成する本発明の化合物のそれらの形態である。水和物は、溶媒和物の1つの特定の形態であり、調整は水と行われる。本発明の文脈における好ましい溶媒和物は、水和物である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
I.概要
本発明は、とりわけ、NTB−Aに特異的に結合する20F3抗体、ならびにそのキメラ、ベニヤ、及びヒト化形態を提供する。20F3抗体との結合に関して競合するか、または20F3抗体と同じエピトープに結合する抗体も提供される。本抗体は、例えば、様々なNTB−A発現癌の治療及び診断、ならびにNTB−Aの検出(例えば、細胞上のNTB−A発現の検出)に有用である。裸抗体及び複合体化抗体を含む本発明の抗体を使用する、かかる治療、診断、及びNTB−A検出方法も提供される。
【0048】
II.標的分子
別途記載のない限り、NTB−AはヒトNTB−Aを意味する。例示的なヒト配列は、配列番号1(Swiss−ProtQ96DU3)を割り当てられている。4つのスプライス変異体アイソフォームが既知である。成熟細胞外領域は、Q96DU3の残基22〜226によって結合される。アイソフォーム4中のより短い細胞外ドメインは、C2ドメインと2つのITSMモチーフを有し、免疫グロブリンドメインを含む残基18〜121を欠く。
【0049】
文脈から別途明らかでない限り、NTB−Aへの言及は、少なくとも、切断性シグナルペプチド以外の完全タンパク質に従うタンパク質の細胞外ドメイン(Q96DU3のアミノ酸1〜21)を意味する。
【0050】
カニクイザルNTB−A(配列番号2)(cyno−NTB−A)は、アミノ酸同一性が84.6%であり、ヒトNTB−A(配列番号1)とのアミノ酸類似性が93.3%である。
【0051】
III.抗体
A. 結合特異性及び機能特性
本開示は、とりわけ、名称20F3のマウス抗体、及び20F3抗体のキメラ、ベニヤ、及びヒト化形態、ならびにNTB−Aとの結合に関して20F3抗体と競合する抗体、及び20F3抗体と同じエピトープに結合する抗体に言及する。20F3抗体は、通常型のヒトNTB−A(配列番号1)、ヒトアイソフォーム4、及びカニクイザルNTB−Aに結合する。これらの結合特性により、そのエピトープは、アイソフォーム4に不在であるNTB−Aのセグメントの外側であり(残基128〜226内)、NTB−Aのヒト型とカニクイザル型との間で完全にまたは実質的に保存されるエピトープに存在することが示唆される。
【0052】
ヒト化HDLD 20F3抗体は、Ramos細胞上のヒトNTB−Aアイソフォーム−1についてのKdが2nMであり、20F3抗体の他のヒト化形態は、好ましくは、KdがHDLD 20F3抗体のKdと実質的に同じか、その2、3、または5倍以内である。ヒト化HDLD抗体は、抗原結合競合アッセイにおいて、Ramos細胞上のヒトNTB−AについてのEC50が約12nMである。一部のヒト化抗体は、EC50が、HDLDヒト化20F3抗体のEC50の2、3、5、または6倍以内である。好ましいヒト化20F3抗体は、同じエピトープに結合し、かつ/またはヒトNTB−Aとの結合についてマウス20F3と競合する。本出願中の多箇所と同様に、EC50及びKdは、実施例の方法に従って測定することができる。
【0053】
B. ヒト化抗体
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体からのCDRがヒト「アクセプター」抗体配列にグラフトされる遺伝子組換えされた抗体である(例えば、Queen,US5,530,101及び5,585,089、Winter,US5,225,539、Carter,US6,407,213、Adair,US5,859,205、ならびにFoote,US6,881,557を参照されたい)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、かかる配列の複合体、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、または生殖系列領域配列であり得る。ヒトアクセプター配列は、アクセプターCDRとドナーCDRとの間で通常型が一致するように、可変領域フレームワークにおけるドナー配列との高い配列同一性を求めて選択され得る。20F3の重鎖に好適なアクセプター配列には、IGHV7−4−1−IGHJ6が含まれる。よって、ヒト化抗体は、完全にまたは実質的にドナー抗体ならびに可変領域フレームワーク配列及び定常領域に由来し、存在する場合、完全にまたは実質的にヒト抗体配列に由来するCDRを有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、完全にまたは実質的にドナー抗体重鎖ならびに重鎖可変領域フレームワーク配列及び重鎖定常領域に由来し、存在する場合、実質的にヒト重鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列に由来する通常3つ全てのCDRを有する。同様に、ヒト化軽鎖は、完全にまたは実質的にドナー抗体軽鎖ならびに軽鎖可変領域フレームワーク配列及び軽鎖定常領域に由来し、存在する場合、実質的にヒト軽鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列に由来する通常3つ全てのCDRを有する。ヒト化抗体におけるCDRは、対応する残基(Kabatにより定義される通り)の少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%がそれぞれのCDR間で同一であるとき、非ヒト抗体において対応するCDRに実質的に由来する。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、Kabatにより定義される対応する残基の少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%が同一であるとき、それぞれ、実質的にヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域に由来する。
【0054】
ヒト化抗体は、マウス抗体由来の6つ全てのCDR(好ましくはKabator IMGT(登録商標)により定義されるように)を組み込むことが多いが、それらは、マウス抗体からの全てより少ないCDR(例えば、少なくとも3つ、4つ、または5つ)とでも作製され得る(例えば、Pascalis et al.,J.Immunol.169:3076,2002、Vajdos et al.,Journal of Molecular Biology,320:415−428,2002、Iwahashi et al.,Mol.Immunol.36:1079−1091,1999、Tamura et al,Journal of Immunology,164:1432−1441,2000)。
【0055】
ヒト可変領域フレームワーク残基由来のある特定のアミノ酸は、CDR構造及び/または抗原への結合に対するそれらの可能な影響に基づく置換に関して選択され得る。かかる可能な影響の研究は、モデル化、特定の位置でのアミノ酸の特性の検査、または特定のアミノ酸の置換もしくは突然変異誘発の作用の経験的観察によるものである。
【0056】
例えば、アミノ酸がマウス可変領域フレームワーク残基と選択されたヒト可変領域フレームワーク残基との間で異なるとき、ヒトフレームワークアミノ酸は、マウス抗体由来の同等のフレームワークアミノ酸によって置換され得るが、これは、アミノ酸が、
(1)直接的に抗原に非共有結合する、
(2)CDR領域に隣接する、
(3)さもなければCDR領域と相互作用する(例えば、CDR領域の約6Å以内である)、
(4)重鎖と軽鎖との間の相互作用を媒介する、または
(5)マウス鎖における体細胞変異の結果である、
(6)グリコシル化の部位であることが、妥当に予期される場合である。
【0057】
クラス(1)〜(3)からのフレームワーク残基は、代替的に、通常型及びベニヤ型残基と称される場合がある。CDRループの配座を決定するドナーCDRループの通常型を定義するフレームワーク残基は、通常型残基と称される場合がある(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196,901−917(1987),Thornton & Martin J.Mol.Biol.,263,800−815,1996)。抗原結合ループ配座を支持するフレームワーク残基の層は、抗体の抗原に対する適合を微調整することにおいて役割を果たし、ベニヤ残基と称されることがある(Foote & Winter,1992,J Mol Bio.224,487−499)。
【0058】
本発明は、20F3抗体、ならびにそのヒト化、キメラ、及びベニヤ形態を提供する。本発明は、十分な結合によって異なる順列で組み合わされ得る、5つの例示されるヒト化重鎖成熟可変領域(HA、HB、HC、HD、及びHE)(配列番号5〜9)と、4つの例示されるヒト化軽鎖(LA、LB、LC、及びLD)(配列番号15〜18)とを含む、20F3抗体のヒト化形態を提供する。これらの順列のうち、HDLDが好ましく、これは、結合特性と許容可能な数の復帰突然変異との組み合わせが最も良好であることに起因する。HDLDは、cyno−NTB−Aへの結合も保持した。HDLDはまた、細胞培養における収率が良好であり、凝集がわずかであった。EC50がマウス20F3のEC50倍以内であり、復帰突然変異がHDLDより少ない他の組み合わせとしては、HCLB、HCLD、HDLB、及びHELBが挙げられる。
【0059】
本発明は、抗体が、配列番号3の3つの重鎖CDRと配列番号13の3つの軽鎖CDRとを含み、CDRがKabatによって定義される通りである、マウス20F3抗体のヒト化形態を提供する。本発明はまた、抗体が、配列番号3の3つの重鎖CDRと配列番号13の3つの軽鎖CDRとを含み、CDRがIMGTによって定義される通りである、マウス20F3抗体のヒト化形態を提供する。Kabat重鎖CDRは配列番号10〜12に示される通りであり、Kabat軽鎖CDRは配列番号19〜21に示される通りである。IMGT(登録商標)重鎖CDRは配列番号22〜24に示される通りであり、IMGT(登録商標)軽鎖CDRは配列番号25〜27に示される通りである。
【0060】
本発明は、軽鎖フレームワーク領域が、ヒト生殖系列ドナー配列vhIGKV3〜11及びエクソンhIGKJ4に由来し、重鎖が、ヒト生殖系列ドナー配列hIGHV7−4−1及びエクソンhIGHJ6に由来する、マウス20F3抗体のヒト化形態を提供する。したがって、本明細書に開示のヒト化抗体は、軽鎖可変領域にはヒト生殖系列ドナー配列hIGKV3−11及びエクソンhIGKJ4を使用し、重鎖可変領域にはヒト生殖系列ドナー配列IGHV7−4−1及びエクソンhIGHJ6を使用して、ヒト化され得る。CDRは、KabatまたはIMGTによって定義される通りであり得る。
【0061】
本発明は、ヒト化重鎖成熟可変領域が、配列番号8との少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を示し、ヒト化軽鎖成熟可変領域が、配列番号18との少なくとも80%、85%、90%、95%,96%、97%、98%、または99%の同一性を示す、HDLDヒト化抗体の変異型を提供する。好ましくは、かかる抗体において、HDLDにおける復帰突然変異の一部または全てが保持される。一部の抗体においては、以下の可変領域フレームワーク位置のうちの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個全てが、規定のように占有され:Iによって占有されるH2、Dによって占有されるH44、Kによって占有されるH46、Kによって占有されるH73、Nによって占有されるH76、Qによって占有されるL1、Sによって占有されるL5、Mによって占有されるL21、Pによって占有されるL46、Wによって占有されるL47、Vによって占有されるL58、Yによって占有されるL71;付番はKabat付番方式による。かかるヒト化抗体のCDR領域は、好ましくは、Kabatによって定義されるHDLDのCDR領域と実質的に同一であることが好ましく、これは、マウスドナー抗体のものと同じである。一実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号8の3つのCDRと、配列番号8の可変領域フレームワークと少なくとも95%同一である可変領域フレームワークとを含む重鎖を含む。別の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号18の3つのCDRと、配列番号18の可変領域フレームワークと少なくとも95%同一である可変領域フレームワークとを含む軽鎖を含む。
【0062】
本発明は、ヒト化重鎖成熟可変領域が、配列番号8との少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を示し、ヒト化軽鎖成熟可変領域が、配列番号18との少なくとも80%、85%、90%、95%,96%、97%、98%、または99%の同一性を示す、HDLDヒト化抗体の変異型を提供する。一部の抗体においては、以下の可変領域フレームワーク位置が規定のように占有され:H2がIによって占有され、H38がRまたはKによって占有され、H44がDまたはGによって占有され、H46がKまたはEによって占有され、H68がVまたはAによって占有され、H73がKによって占有され、H76がNまたはSによって占有され、H91がYまたはFによって占有され、L1がQまたはEによって占有され、L5がSまたはTによって占有され、L21がMまたはLによって占有され、L46がPによって占有され、L47がWによって占有され、L58がVまたはIによって占有され、L71がYによって占有され;付番はKabat付番方式による。かかるヒト化抗体のCDR領域は、好ましくは、Kabatによって定義されるHDLDのCDR領域と実質的に同一であることが好ましく、これは、マウスドナー抗体のものと同じである。一実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号8の3つのCDRと、配列番号8の可変領域フレームワークと少なくとも95%同一である可変領域フレームワークとを含む重鎖を含む。別の実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号18の3つのCDRと、配列番号18の可変領域フレームワークと少なくとも95%同一である可変領域フレームワークとを含む軽鎖を含む。
【0063】
ヒト化20F3抗体が例示されるHDLDヒト化抗体からの任意の変形を示す限りにおいて、かかる追加の変形に関する1つの可能性は、可変領域フレームワークにおける追加の復帰突然変異である。他の例示されるヒト化重鎖または軽鎖成熟可変領域における復帰突然変異した位置のいずれかまたは全てが作製され得る(即ち、Kによって占有されるH38、Aによって占有されるH68、Fによって占有されるH91のうちの1つ、2つ、または3つ全て)。しかしながら、かかる追加の復帰突然変異は、これらが概して親和性を改善せず、より多くのマウス残基を導入することによって免疫原性のリスクが増大し得ることから、好ましくない。変異型としては、HALA、HALB、HALC、HALD、HBLA、HBLB、HBLC、HBLD、HCLA、HCLB、HCLC、HCLD、HDLA、HDLB、HDLC、HELA、HELB、HELC、及びHELDが挙げられる。
【0064】
可能性のある別の変形は、マウス抗体のCDRにおけるある特定の残基を、ヒトCDR配列由来、典型的には、例示されるヒト化抗体の設計に使用されるヒトアクセプター配列のCDR由来の対応する残基で置換することである。一部の抗体においては、CDRの一部のみ、つまり、SDRと呼ばれる、結合に必要なCDR残基のサブセットが、ヒト化抗体における結合を保持するために必要とされる。抗原と接触しておらず、SDR中にないCDR残基は、これまでの研究に基づき、分子モデリングにより、及び/または実験的に特定することができる。1つ以上のドナーCDR残基が存在しない位置にあるかかるヒト化抗体では、その位置を占有しているアミノ酸は、アクセプター抗体配列中の対応する位置を占有しているアミノ酸であり得る。CDRにおけるドナーアミノ酸に対するアクセプターのかかる置換をいくつ含めるかは、競合する検討事項のバランスを反映する。かかる置換は、ヒト化抗体中のマウスアミノ酸の数を減少させること、ひいては可能性のある免疫原性を減少させることに有利である可能性がある。しかしながら、置換により親和性の変化も生じ得、著しい親和性の低下は回避することが好ましい。
【0065】
好ましくはないが、他のアミノ酸置換を、例えば、CDRと接触していないフレームワーク残基、または更には一部の可能性のあるCDRに接触しているCDR内の残基アミノ酸中で行うことができる。変異型ヒト化配列中で行われた代置は、代置されたHDLDアミノ酸に関して保存的であることが多い。好ましくは、HDLDに対する代置(保存的であるか否かにかかわらない)は、ヒト化mAbの結合親和性または効力、つまり、ヒトNTB−Aに結合し、癌細胞の増殖を阻害する能力に大きな影響を及ぼさない。
【0066】
変異型は、典型的には、HLDの重鎖及び軽鎖成熟可変領域とは、少数(例えば、典型的には、軽鎖成熟可変領域か重鎖成熟可変領域かのいずれか、またはこれらの両方において、1、2、3、5、または10未満)の代置、欠失、または挿入で異なる。
【0067】
抗体の特異的結合は、従来的な方法によってアッセイすることができ、これらの方法としては、ウエスタンブロット、放射免疫測定、ELISA、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素アッセイ、ゲル内拡散沈降アッセイ、免疫放射定量アッセイ、蛍光免疫アッセイ、タンパク質A免疫アッセイ、及び補体結合アッセイなどの技法を使用するアッセイ系を含む、免疫アッセイが挙げられる。かかるアッセイは、当該技術分野において日常的かつ周知である(例えば、Ausubel et al.,eds,1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & sons,Inc.,New Yorkを参照されたい)。実施例中の飽和結合プロトコルを使用して、特異的結合を決定することができる。
【0068】
抗体のうちのいずれも、競合的結合アッセイまたは他のものによって、マウス20F3抗体などの見本抗体と同じであるかまたは重複しているエピトープ特異性を有するように選択され得る。抗体間の競合は、試験抗体が、ヒトNTB−Aへの特異的結合について、参照抗体、ここではマウス20F3と競合する能力から評価される。マウス20F3参照抗体は、配列番号3及び13の重鎖及び軽鎖成熟可変領域を有し、IgG1カッパアイソタイプのものである。好ましい抗体は、20F3抗体と同じエピトープ特異性を有する。当業者は、様々な方法を使用して、抗体が結合するエピトープを特定することができる。例えば、アレイ系オリゴペプチドスキャニングまたはペプスキャン分析は、標的抗原の重複セグメント及び非重複セグメントに由来するオリゴ−ペプチド配列のライブラリを使用し、それらが目的の抗体と結合する能力を試験する。例えば、Geysen et al.,PNAS 81:3998−4002(1984)を参照されたい。非線形エピトープは、例えば、アレイ系オリゴペプチドスキャニングの変形であるCLIPS(商標)技術を使用して特定され得る。例えば、Timmerman et al.,Open Vaccine J.2:56−67(2009)を参照されたい。抗原タンパク質も、突然変異生成を行った後で使用して、目的の抗体による結合を評定することができる。タンパク質の系統的部位特異的突然変異生成を使用して、または突然変異のライブラリを作製し使用して、抗体結合をスクリーニングし得る。突然変異ライブラリは、例えば、Integral Molecularから購入可能である。アミド水素/重水素交換MSを使用して、エピトープを特定することができる。目的の抗原を重水の中に置き、重陽子で標識する。次に、タンパク質をプロテアーゼで分解し、結果として得られたペプチド断片を質量分析に供する。抗原は、抗体の存在下で評定することもでき、ペプチド断片の標識の差異により、抗体結合の面積が示される。
【0069】
IV.定常領域の選択
VH及び/またはVLドメインを含む抗NTBA抗体は、免疫グロブリン定常領域(例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域)の少なくとも一部に連結され得る。例えば、一部の抗NTB−A抗体は、第1及び第2のポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、免疫グロブリン重鎖定常領域の少なくとも一部に連結した本明細書に記載のVHドメインを含み、第2のポリペプチド鎖は、免疫グロブリン軽鎖定常領域の少なくとも一部に連結した本明細書に記載のVLドメインを含む。典型的には、VHドメインまたはVLドメインは、アミノ末端で免疫グロブリン定常領域またはその一部に連結する。第1及び第2のポリペプチド鎖を含む抗体の特定の変形においては、第1及び第2のポリペプチド鎖は、無傷の天然抗体の重鎖及び軽鎖に対応するドメイン構造、例えば、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3というアミノ末端からカルボキシル末端のドメイン構造を有する第1のポリペプチド(重)鎖、及びVL−CLというアミノ末端からカルボキシル末端ドメイン構造を有する第2のポリペプチド(軽)鎖を有する。
【0070】
一部の抗NTB−A抗体は、一本のポリペプチド鎖内で連結したVHドメイン、VLドメイン、及び免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部(例えば、CH1ドメインを欠く重鎖定常領域)を含む単鎖抗体である。例えば、VH及びVLドメインは、VH/VL配向またはVL/VH配向(アミノ末端/カルボキシル末端)のいずれかにある単鎖Fv(scFv)として構築されてもよく、このscFvは、重鎖定常領域、例えば、CH2及びCH3ドメインを含むがCH1ドメインを欠く定常領域などの重鎖定常領域に(典型的には、アミノ末端で)連結する。scFvは、典型的には、例えば免疫グロブリンヒンジ領域に由来するリンカーなどのリンカーを介して定常領域に連結する。
【0071】
定常領域の選択は、一部、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性、抗体依存性細胞食作用、及び/または補体依存性細胞傷害性が所望されるかどうかに依存し得る。例えば、ヒトアイソタイプIgG1及びIgG3は強い補体依存性細胞傷害性を有し、ヒトアイソタイプIgG2は弱い補体依存性細胞傷害性を有し、ヒトIgG4は補体依存性細胞傷害性を欠く。ヒトIgG1及びIgG3は、ヒトIgG2及びIgG4よりも強い細胞媒介エフェクター機能も誘導する。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパであり得る。例示的な重鎖及び軽鎖定常領域は、配列番号27、28、及び29によって提供される。抗体は、例えば、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含む四量体として、別個の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvとして、または重鎖及び軽鎖可変ドメインがスペーサーを通して連結される単鎖抗体として発現され得る。加えて、所望の場合、定常領域を突然変異させることができる。いくつかの態様では、天然のヒト定常領域の突然変異形態は、Fcγ受容体への結合が、天然のヒト定常領域と比較して低下することになる。
【0072】
ヒト定常領域は、異なる個体間でアロタイプ多様性及びイソアロタイプ多様性を示す、つまり、定常領域は1つ以上の多型位置で異なる個体において異なり得る。イソアロタイプは、イソアロタイプを認識する血清が1つ以上の他のアイソタイプの非多型領域に結合するという点でアロタイプとは異なる。
【0073】
重鎖のC末端リジンなどの軽鎖及び/もしくは重鎖のアミノまたはカルボキシ末端の1個またはいくつかのアミノ酸は、ある比率で、もしくは分子の全てを欠損するか、または誘導体化され得る。置換は、補体媒介細胞傷害性もしくはADCCなどのエフェクター機能を低減または増加させるために(例えば、Winterら、米国特許第5,624,821号;Tsoら、米国特許第5,834,597号;及びLazar et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:4005,2006を参照されたい)、あるいはヒトにおける半減期を延長するために(例えば、Hinton et al.,J.Biol.Chem.279:6213,2004を参照されたい)定常領域において行われ得る。
【0074】
例示的な置換としては、アミノ酸位置234、235、237、239、267、298、299、326、330、または332で導入される天然のアミノ酸のシステイン残基へのアミノ酸置換、好ましくは、ヒトIgG1アイソタイプにおけるS239C突然変異が挙げられる(US 20100158909;Fc領域の付番はEUインデックスに従う)。いくつかの態様では、追加のシステイン残基の存在により、鎖間ジスルフィド結合形成が可能となる。かかる鎖間ジスルフィド結合形成により立体障害が生じることで、Fc領域−FcγR結合相互作用の親和性が低下し得る。IgG定常領域のFc領域で導入されるかまたはそれに近接するシステイン残基(複数可)も、治療薬との複合体化(即ち、薬物のマレイミド誘導体などのチオール特異的試薬を使用した細胞傷害性薬物の結合)のための部位として機能し得る。治療薬の存在により立体障害が生じることで、Fc領域−FcγR結合相互作用の親和性が更に低下し得る。位置234、235、236、及び/または237のうちのいずれかにおける他の置換により、Fcγ受容体、特にFcγRI受容体に対する親和性が低下する(例えば、US 6,624,821、US 5,624,821を参照されたい)。
【0075】
抗体のインビボ半減期も、そのエフェクター機能に影響し得る。抗体の半減期を増大または減少させて、その治療活性を修飾することができる。FcRnは、β2−ミクログロブリンと非共有的に会合するMHC Class I抗原と構造的に類似している受容体である。FcRnは、IgGの異化及び組織を横断するそれらのトランスサイトーシスを調節する(Ghetie and Ward,Annu.Rev.Immunol.18:739−766,2000、Ghetie and Ward,Immunol.Res.25:97−113,2002)。IgG−FcRn相互作用は、pH6.0(細胞内ベシクルのpH)で起きるがpH7.4(血液のpH)では起きない。この相互作用により、IgGを循環に戻して再利用することが可能となる(上記Ghetie and Ward,2000;上記Ghetie and Ward,2002)。FcRn結合に関与するヒトIgG1上の領域はマッピングされている(Shields et al.,J.Biol.Chem.276:6591−604,2001)。ヒトIgG1の位置Pro238、Thr256、Thr307、Gln311、Asp312、Glu380、Glu382、またはAsn434におけるアラニン置換により、FcRn結合が強化される(上記Shields et al.)。これらの置換を含むIgG1分子はより長い血清半減期を有する。これらの修飾されたIgG1分子は、それらのエフェクター機能を実行することができるため、未修飾のIgG1と比較してより長期間にわたってそれらの治療効果を発揮し得る。FcRnへの結合を増大させるための他の例示的な置換には、位置250のGln及び/または位置428のLeuが挙げられる。EU付番を定常領域中の全ての位置に使用する。
【0076】
保存されたAsn297に共有結合したオリゴ糖は、IgGのFc領域がFcγRに結合する能力に関与する(Lund et al.,J.Immunol.157:4963−69,1996、Wright and Morrison,Trends Biotechnol.15:26−31,1997)。IgG上のこの糖型を操作することで、IgG媒介性ADCCを顕著に改善することができる。この糖型にN−アセチルグルコサミンの二分修飾を加えること(Umana et al.,Nat.Biotechnol.17:176−180,1999、Davies et al.,Biotech.Bioeng.74:288−94,2001)、またはこの糖型からフコースを除去すること(Shields et al.,J.Biol.Chem.277:26733−40,2002、Shinkawa et al.,J.Biol.Chem.278:6591−604,2003、Niwa et al.,Cancer Res.64:2127−33,2004)が、IgG FcとFcγRとの間の結合を改善することでIg媒介性ADCC活性を強化する、IgG Fc操作の2つの例である。
【0077】
ヒトIgG1 Fc領域の溶媒曝露アミノ酸の全身置換により、FcγR結合親和性が改変されたIgG変異型が生成された(Shields et al.,J.Biol.Chem.276:6591−604,2001)。親IgG1を比較すると、Thr256/Ser298、Ser298/Glu333、Ser298/Lys334、またはSer298/Glu333/Lys334におけるAlaへの置換に関与するこれらの変異型のサブセットは、FcγRへの結合親和性とADCC活性との両方の増大を示す(上記Shields et al.,2001、Okazaki et al.,J.Mol.Biol.336:1239−49,2004)。
【0078】
抗体の補体結合活性(C1q結合とCDC活性との両方)は、Lys326及びGlu333における置換によって改善させることができる(Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571−2575,2001)。ヒトIgG2骨格における同じ置換は、C1qに不良に結合し補体活性化活性が大幅に不足している抗体アイソタイプを、C1qへの結合とCDCの媒介との両方を行うことができるものへと変換し得る(上記Idusogie et al.)。いくつかの他の方法も、抗体の補体結合活性を改善するために適用されている。例えば、IgMの18アミノ酸カルボキシル末端尾片をIgGのカルボキシル末端へのグラフトすることで、それらのCDC活性が強化される。これは、通常はCDC活性が検出可能でないIgG4であっても観察される(Smith et al.,J.Immunol.154:2226−36,1995)。また、IgG1重鎖のカルボキシ末端の近くに位置するSer444をCysで置換することで、CDC活性が単量体IgG1の200倍の増加したIgG1の尾−尾二量体化が誘導された(Shopes et al.,J.Immunol.148:2918−22,1992)。加えて、C1qへの特異性を有する二重特異性ダイアボディの構築によってもCDC活性が付与される(Kontermann et al.,Nat.Biotech.15:629−31,1997)。
【0079】
補体活性は、重鎖のアミノ酸残基318、320、及び322のうちの少なくとも1つをAlaなどの異なる側鎖を有する残基に突然変異させることによって低下させることができる。3つの残基のうちのいずれかの代わりに、Gly、Ile、Leu、もしくはValなどの他のアルキル置換非イオン性残基、またはPhe、Tyr、Trp、及びProなどの芳香族非極性残基も、C1q結合を低減または無効にする。Ser、Thr、Cys、及びMetを残基318ではなく残基320及び322で使用して、C1q結合活性を低減または無効にし得る。318(Glu)残基を極性残基によって代置することで、C1q結合活性を無効にせずに修飾し得る。残基297(Asn)をAlaで代置することにより、溶解活性が除去されるが、C1qに対する親和性はわずかに低下する(約3倍弱化する)するだけである。この改変により、グリコシル化部位が破壊され、補体活性化に必要とされる炭水化物の存在が破壊される。この部位における任意の他の置換でも、グリコシル化は破壊される。D270A、K322A、P329A、及びP311Sの突然変異及びそれらの任意の組み合わせによっても、C1q結合は低減する(WO 06/036291を参照されたい)。
【0080】
ヒト定常領域への言及は、天然アロタイプにおける多型位置を占有している残基の任意の天然アロタイプまたは任意の順列を有する定常領域を含む。また、上記のものなどの突然変異が天然ヒト定常領域に対して最大1、2、5、または10個存在して、Fcガンマ受容体結合を低下させるか、またはFcRnへの結合を増大させてもよい。
【0081】
V.核酸及び産生方法
本発明は、上記のVH及び/またはVLドメインのうちのいずれかをコードする核酸を更に提供し、本核酸は、例えば、免疫グロブリン定常領域に対応するポリペプチドセグメント等の追加のポリペプチドセグメントに結合したVH及び/またはVLドメインを含むポリペプチドを含む。典型的には、核酸は、VH及び/またはVLドメインを含む成熟ポリペプチドへのシグナルペプチド融合アミノ末端もコードする。核酸上のコード配列は、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、転写終結シグナルなど、コード配列の発現を確実にするために、調節配列と動作可能な連結にあり得る。核酸は単離された形態で生じるか、または1つ以上のベクターにクローニングされ得る。核酸は、例えば、固体状態の合成または重複オリゴヌクレオチドのPCRにより合成され得る。VHドメイン及びVLドメインの両方をコードする核酸(例えば、別個の重鎖及び軽鎖を含む抗体との関連において)は、例えば発現ベクター内で1つの隣接核酸として結合され得るか、または各々がそれ自体の発現ベクター内にクローニングされるなど、別個であり得る。
【0082】
抗NTB−A抗体は、典型的には、1つ以上の抗体鎖をコードする1つ以上の核酸の組換え発現によって産生される。組換えポリヌクレオチド構築物は典型的には、自然に会合したプロモーター領域または異種プロモーター領域を含む、VH及び/またはVLドメインを含む1つ以上のポリペプチド鎖のコード配列に動作可能に連結された発現制御配列を含む。好ましくは、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることが可能なベクターにおける真核プロモーター系である。ベクターが適切な宿主内に組み込まれたら、宿主は高レベルのヌクレオチド配列の発現、ならびに交差反応抗体の回収及び精製に適した条件下で維持される。
【0083】
第1及び第2のポリペプチド鎖(例えば、重鎖及び軽鎖)を含む抗体の発現について、2つのポリペプチド鎖を、抗体分子全体の発現のために宿主細胞中で別個のベクターから共発現させることができる。あるいは、2つのポリペプチド鎖は、抗体分子全体の発現のために宿主細胞中で同じベクターにおける別個の発現単位から共発現させることができる。
【0084】
哺乳類細胞は、免疫グロブリンまたはその断片をコードするヌクレオチドセグメントを発現するための好ましい宿主である。Winnacker,From Genes to Clones,(VCH Publishers,NY,1987)を参照されたい。無傷異種タンパク質をスクリーニングすることが可能ないくつかの好適な宿主細胞系が当該技術分野において開発されており、CHO細胞系(例えば、DG44)、様々なCOS細胞系、HeLa細胞、HEK293細胞、L細胞、及び非抗体産生骨髄腫(Sp2/0及びNS0を含む)を含む。好ましくは、細胞は非ヒトである。これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター、エンハンサー(Queen et al.,Immunol.Rev.89:49,1986)などの発現制御配列、及びリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位などの必要なプロセシング情報部位、ならびに転写終結配列を含み得る。好ましい発現制御配列は、内因性遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである。Co et al.,J.Immunol.148:1149,1992を参照されたい。
【0085】
発現されたら、抗体は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む、当該技術分野の標準的な手順に従い精製され得る(一般的に、Scopes,Protein Purification(Springer−Verlag,NY,1982)を参照されたい)。
【0086】
VI.抗体−薬物複合体
抗NTB−A抗体は、細胞傷害部分または細胞増殖抑制部分と複合体化されて、抗体薬物複合体(ADC)を形成し得る。抗体との複合体化に特定好適な部分は、細胞傷害性薬(例えば、化学療法薬)、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体もしくは化合物、または毒素(治療薬と総称されるこれらの部分)である。例えば、抗NTB−A抗体は、化学療法薬などの細胞傷害性薬、または毒素(例えば、細胞増殖抑制もしくは殺細胞薬、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、またはジフテリア毒素)と複合体化され得る。細胞傷害性薬の有用なクラスの例は、例えば、DNA小溝結合、DNAアルキル化剤、及びチューブリン阻害剤を含む。例示的な細胞傷害性薬としては、例えば、アウリスタチン、カンプトテシン、カリチアマイシン、デュオカルマイシン、エトポシド、マイタンシノイド(例えば、DM1、DM2、DM3、DM4)、タキサン、ベンゾジアゼピン(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体を含む、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン)、及びビンカアルカロイドが挙げられる。
【0087】
抗NTB−A抗体は、プロドラッグ変換酵素に複合体化され得る。プロドラッグ変換酵素は、既知の方法を使用して、抗体に組換えによって融合されるか、または抗体に化学的に複合体化され得る。例示的なプロドラッグ変換酵素は、カルボキシペプチダーゼG2、ベータ−グルクロニダーゼ、ペニシリン−V−アミダーゼ、ペニシリン−G−アミダーゼ、β−ラクタマーゼ、β−グルコシダーゼ、ニトロレダクターゼ、及びカルボキシペプチダーゼAである。
【0088】
治療薬をタンパク質、特に抗体と複合体化するための技法は周知である。(例えば、Alley et al.,Current Opinion in Chemical Biology 2010 14:1−9;Senter,Cancer J.,2008,14(3):154−169を参照されたい。)治療薬は、抗体から切断されない限り(例えば、加水分解、タンパク質分解、または切断剤によって)、その活性を低減する様式で複合体化され得る。いくつかの態様では、例えば、治療薬は、複合体が、NTB−A発現癌細胞によって内在化されるときに抗体から切断されるように(例えば、エンドソーム環境において、または例えば、pH感受性もしくはプロテアーゼ感受性により、リソソーム環境において、またはカベオラ(caveolear)環境において)、NTB−A発現癌細胞の細胞内環境における切断に感受性であるが、細胞外環境に実質的に感受性ではない切断可能なリンカーによって抗体に結合される。いくつかの態様では、治療薬はまた、切断可能なリンカーによって抗体に結合され得る。
【0089】
典型的には、ADCは、細胞傷害性薬または細胞増殖抑制薬と抗NTB−A抗体との間のリンカー領域を含む。上記のように、典型的には、リンカーは、リンカーの切断が細胞内環境(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ(caveolea)内)において抗体から治療薬を放出するように、細胞内条件下で切断可能であり得る。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含む、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素により切断されるペプチジルリンカーであり得る。切断剤は、カテプシンB及びD、ならびにプラスミンを含み得る(例えば、Dubowchik and Walker,Pharm.Therapeutics 83:67−123,1999を参照されたい)。最も典型的なのは、NTB−A発現細胞に存在する酵素により切断可能であるペプチジルリンカーである。例えば、癌性組織において高度に発現されるチオール依存性プロテアーゼカテプシンBにより切断可能であるペプチジルリンカー(例えば、Phe−LeuまたはVal−Citペプチドを含むリンカー)を使用することができる。
【0090】
切断可能なリンカーは、pH感受性、即ち、ある特定のpH値での加水分解に感受性である。典型的には、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解性である。例えば、リソソーム中で加水分解性である酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、アコニックアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を使用することができる。(例えば、米国特許第5,122,368号、第5,824,805号、第5,622,929号、Dubowchik and Walker,Pharm.Therapeutics 83:67−123,1999、Neville et al.,Biol.Chem.264:14653−14661,1989を参照されたい。)かかるリンカーは、血液中などの中性pH条件下で比較的安定しているが、リソソームのおよそのpHであるpH5.5または5.0未満で不安定である。
【0091】
他のリンカーは還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。ジスルフィドリンカーには、SATA(N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)及びSMPT(N−スクシンイミジル−オキシカルボニル−アルファ−メチル−アルファ−(2−ピリジル−ジチオ)トルエン)、SPDB、及びSMPTを使用して形成され得るものが挙げられる。(例えば、Thorpe et al.,Cancer Res.47:5924−5931,1987、Wawrzynczak et al.,In Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer(C.W.Vogel ed.,Oxford U.Press,1987、また米国特許第4,880,935号を参照されたい。)
【0092】
リンカーは、マロン酸塩リンカー(Johnson et al.,Anticancer Res.15:1387−93,1995)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau et al.,Bioorg−Med−Chem.3:1299−1304,1995)、または3’−N−アミド類似体(Lau et al.,Bioorg−Med−Chem.3:1305−12,1995)であり得る。
【0093】
リンカーは、治療薬に直接結合され、抗体のタンパク質分解により解放されるマレイミド−アルキレンまたはマレイミド−アリールリンカーなどの切断不可能なリンカーでもあり得る。
【0094】
典型的には、リンカーは、細胞外環境に実質的に感受性ではなく、これは、ADCが細胞外環境(例えば、血漿中)に存在するときに、ADCの試料中のリンカーの約20%以下、典型的には約15%以下、より典型的には約10%以下、更により典型的には約5%以下、約3%以下、または約1%以下が切断されることを意味する。リンカーが細胞外環境に実質的に感受性でないかは、例えば、(a)ADC(「ADC試料」)及び(b)等モル量の複合体化されていない抗体または治療薬(「対照試料」)の両方を、所定の期間(例えば、2、4、8、16、または24時間)、個別に血漿と共にインキュベートした後、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定して、ADC試料中に存在する複合体化されていない抗体または治療薬を、対照試料中に存在するものと比較することによって決定され得る。
【0095】
リンカーはまた、細胞内在化を促進し得る。リンカーは、治療薬と複合体化されたときに(即ち、本明細書に記載のADCまたはADC誘導体のリンカー−治療薬部分の環境において)、細胞内在化を促進することができる。あるいは、リンカーは、治療薬及び抗NTB−A抗体の両方と複合体化されたときに(即ち、本明細書に記載のADCの環境において)、細胞内在化を促進することができる。
【0096】
抗NTB−A抗体は、抗体のヘテロ原子を介してリンカーと複合体化され得る。これらのヘテロ原子は、その天然の状態で抗体上に存在し得るか、または抗体に導入され得る。いくつかの態様では、NTB−A抗体は、リジン残基の窒素原子を介してリンカーと複合体化される。他の態様では、NTB−A抗体は、システイン残基の硫黄原子を介してリンカーと複合体化される。抗体とリンカー及び薬物リンカーを複合体化する方法は、当該技術分野において既知である。
【0097】
例示的な抗体−薬物複合体は、アウリスタチン系抗体−薬物複合体を含む(つまり、薬物構成成分がアウリスタチン薬物である)。アウリスタチンは、チューブリンに結合し、微小管の動態ならびに核及び細胞分裂に干渉することが示されており、抗癌活性を有する。典型的に、アウリスタチン系抗体−薬物複合体は、アウリスタチン薬物と抗NTB−A抗体との間のリンカーを含む。リンカーは、例えば、切断可能なリンカー(例えば、ペプチジルリンカー)または切断不可能なリンカー(例えば、抗体の分解により解放されるリンカー)であり得る。アウリスタチンは、MMAF及びMMAEを含む。例示的なアウリスタチンの合成及び構造は、米国公開第7,659,241号、第7,498,298号、第2009−0111756号、第2009−0018086号、及び第7,968,687号に記載されており、それらの各々は、その全体が参照により、及び全ての目的に関して、本明細書に組み込まれる。
【0098】
他の例示的な抗体−薬物複合体は、メイタンシノイド抗体−薬物複合体(つまり、薬物構成成分がメイタンシノイド薬物である)、及びベンゾジアゼピン抗体薬物複合体(つまり、薬物構成成分がベンゾジアゼピン(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体)である)を含む。
【0099】
発明者らは、PBD薬物−リンカーを含むヒト化NTB−A標的ADCが特に効果的であることを発見した。
【0100】
本発明で使用するのに好ましいPBDは、式Iによって表され、PBD薬物成分の好ましい立体化学は、Iaに示される通りである:
【化1】
【化2】
または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物であり、式中、添字nは、1または3である。
【0101】
式I(またはその薬学的な塩、溶媒和物、塩の溶媒和物)のPBD二量体は、典型的には、リンカー単位LUを介して抗体に連結される。リンカー単位は、式I(またはその薬学的な塩、溶媒和物、塩の溶媒和物)のPBD二量体を標的部位(例えば、癌細胞内部)で放出するように作用する。本発明において使用するためのPBD薬物−リンカー化合物は、式IIにより以下に表され(好ましい立体化学はIIaに示される)、式中、LUは、リンカー単位である。リンカー単位は、例えば、切断可能なペプチドリンカー単位(例えば、バリン−アラニンペプチドを含むリンカー)または切断可能なジスルフィドリンカー単位:
【化3】
【化4】
または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物であり、式中、添字nは、1または3である。
【0102】
本発明における使用に好ましいPBD薬物−リンカー化合物は、下式III:
【化5】
または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物であり得、式中、添字nは、1または3であり、添字mは、2〜5の整数である。
【0103】
薬物−リンカーのPBD薬物構成成分の好ましい立体化学は、下式IIIaに示される通りである。
【化6】
【0104】
SGD−1910PBD薬物−リンカーのPBD薬物及びリンカーの構成成分の好ましい立体化学は、下式IIIbに示される通りである。
【化7】
【0105】
PBD薬物−リンカーは、キメラ形態及びヒト化形態を含む20F3抗体と複合体化されて、NTB−A標的抗体−薬物複合体を産生する。例えば、本抗体は、式IIまたは式IIIの薬物−リンカーと複合体化され得る。例示的なNTB−A標的抗体−薬物複合体は、以下に、式IV、IVa、及びIVb:
【化8】
【化9】
【化10】
または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは塩の溶媒和物を産生し、式中、添字nは、1または3であり、添字mは、2〜5の整数であり、添字pは、1〜4である。
【0106】
本発明は、本明細書で具体的に例示されるものを含む、抗NTBA抗体薬物複合体を含む薬学的組成物を含む組成物を提供する。本組成物は、典型的には、抗体薬物複合体分子の集団を含む。
【0107】
薬物負荷−「p」
式IV、IVa、及びIVbのNTB−A標的−薬物複合体を参照すると、添字pは、抗体分子に対する薬物負荷(抗体分子に結合された薬物の分子数)を表し、整数値である。抗体−薬物複合体分子の集団を含む組成物において、平均薬物負荷(例えば、集団における抗体当たりの薬物−リンカー分子の平均数)は、標的細胞に送達され得る薬物の量を決定するため、重要な品質特性である。平均薬物負荷は、整数値または非整数値であってもよいが、典型的には非整数値である。
【0108】
抗体−薬物複合体組成物の不均質は、いくつかの態様では、薬物−リンカー分子を抗体分子と複合体化するために使用される複合体化技術に依存する。例えば、いくつかの態様では、薬物−リンカー分子を抗体分子と複合体化するために使用される複合体化技術は、抗体上での薬物−リンカー分子の分布に関して、及び/または抗体分子上での薬物−リンカーの数に関して不均一である抗体−薬物複合体組成物をもたらす(例えば、非部位特異的技術を使用して鎖間ジスルフィドを介して複合体化するとき)。他の態様では、薬物−リンカー分子を複合体化するために使用される複合体化技術は、リガンド分子上での薬物−リンカー分子の分布に関して、及び/または抗体分子上での薬物−リンカー分子の数に関して実質的に均一である抗体−薬物複合体組成物をもたらす(例えば、部位特異的複合体化技術を使用するとき)。部位特異的及び非部位特異的方法の両方で、非複合体化抗体分子のパーセントが低いこともある。非複合体化抗体分子のパーセントは、平均薬物負荷値に含まれる。
【0109】
本発明の好ましい態様では、抗体−薬物複合体化合物の集団を含む組成物を指すとき、平均薬物負荷は、約2〜約14、好ましくは約2〜約10である。本明細書に例示されるものなど、PBD抗体薬物複合体に関して、特に好ましい平均薬物負荷は、約2である。いくつかの態様では、抗体−薬物複合体化合物の集団における個々の抗体分子の実際の薬物負荷は、1〜4、1〜3、または1〜2であり、主要薬物負荷は2である。好ましい態様では、2の平均薬物負荷は、部位特異的複合体化技法(例えば、EUインデックス番付システムに従う位置239を含む抗体に導入された改変システミン)を介して得られる。
【0110】
本発明の他の態様では、PBD抗体−薬物複合体化合物の集団を含む組成物を指すとき、平均薬物負荷は、約3〜約4であり、抗体−薬物複合体化合物の集団における個々の抗体分子の実際の薬物負荷は、1〜6、1〜5、1〜4、または1〜3である。
【0111】
複合体化反応からの製剤におけるリガンド単位当たりの薬物−リンカー単位の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ、HIC、及びHPLCなどの常法によって特性評価され得る。pに関するリガンド−リンカー−薬物複合体の量的分布も決定され得る。場合によっては,pが他の薬物負荷を有するリガンド−薬物複合体からの一定値である、均質のリガンド−薬物複合体の分離、精製、及び特性評価は、逆相HPLCまたは電気泳動等の手段によって達成され得る。
【0112】
VII.用途
本明細書に記載の抗NTBA−抗体は、裸抗体または抗体薬物複合体として、NTB−A発現細胞と関連する疾患または障害を治療するための方法において使用され得る。
【0113】
例えば、本明細書に記載の抗NTBA抗体は、裸抗体または抗体薬物複合体として、NTB−A発現癌の治療に使用され得る。いくつかのかかる癌は、タンパク質レベル(例えば、例示される抗体のうちの1つを使用する免疫アッセイによって)またはmRNAレベルのいずれかで測定された検出可能なレベルのNTB−Aを示す。いくつかのかかる癌は、同じ種類、好ましくは同じ患者由来の非癌性組織と比較して上昇したレベルのNTB−Aを示す。治療に適した癌細胞上のNTB−Aの例示的なレベルは、細胞当たり5000〜150000個のNTB−A分子であるが、より高いレベルまたはより低いレベルも治療され得る。任意選択で、癌におけるNTB−Aのレベルは、治療を行う前に測定される。
【0114】
NTB−A発現に関連し、本明細書に開示の裸抗体または抗体薬物複合体による治療に適した癌の例としては、B細胞、T細胞、及びNK細胞悪性腫瘍を含む血液学的悪性腫瘍が挙げられる。ある実施形態では、本明細書に開示の裸抗体または抗体薬物複合体は、NK細胞上で受容体に結合することで、細胞溶解活性及び増殖を誘発し、これが、患者の免疫系の抗腫瘍活性を刺激する。一部の治療方法では、患者は、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、T細胞白血病、例えば非ホジキンリンパ腫(NHL)などのT細胞もしくはB細胞リンパ腫、または原発性アミロイドーシス、ワルデンストレームマクログロブリン血症、もしくは高リスクMGUS(意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)などの骨髄腫関連性悪性腫瘍である、癌を有する。本治療は、これらの種類の原発性または転移性腫瘍を有する患者に適用され得る。本治療は、従来の治療が無効である患者、またはかかる治療への応答後に再発した患者にも適用され得る。
【0115】
本明細書に開示の抗NTBA抗体は、裸抗体または抗体薬物複合体として、自己免疫疾患及び炎症性疾患を治療するために使用され得る。本方法によって治療可能な疾患及び障害としては、B細胞に関連するもの、例えば、過剰な数のB細胞、過活性B細胞、またはB細胞機能不全を特徴とする疾患が挙げられる。これらの疾患としては、炎症性疾患及び自己免疫疾患が挙げられる。本方法によって治療可能な例示的な疾患としては、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、炎症性腸疾患、喘息、アレルギー、セリアック病、移植片対宿主病、及び移植片拒絶が挙げられる。
【0116】
NTB−Aに対する本抗体は、裸抗体または抗体薬物複合体として、単剤療法、または例えば、かかる疾患及び/もしくは障害の治療標準療法との併用療法において使用され得る。したがって、癌の治療方法は、有効量の本明細書に記載の裸抗体または抗体薬物複合体を、単剤療法として、または追加の抗癌剤または他の薬剤と組み合わせて、それを必要とする患者に投与し、癌の症状を緩和することを含む。自己免疫疾患の治療方法は、有効量の本明細書に記載の裸抗体または抗体薬物複合体を、単剤療法として、または自己免疫疾患を治療するための追加の治療薬と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む。炎症性疾患の治療方法は、有効量の本明細書に記載の裸抗体または抗体薬物複合体を、単剤療法として、または炎症性疾患を治療するための追加の治療薬と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0117】
併用療法の例示的な薬剤は、多発性骨髄腫を治療するために使用されるプロテアーゼ阻害剤であるカルフィルゾミブ(例えば、KYPROLIS(登録商標))である(Siegel DS et al.A phase 2 study of single−agent carfilzomib (PX−171−003−A1)in patients with relapsed and refractory multiple myeloma.Blood 2012;120:2817−2825を参照されたい)。カルフィルゾミブは、静脈内/IV注入として投与され得る。ある実施形態では、カルフィルゾミブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0118】
カルフィルゾミブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。カルフィルゾミブは、多発性骨髄腫を治療するための様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。例えば、カルフィルゾミブは、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わされてきた(Stewart KA et al.Carfilzomib,lenalidomide,and dexamethasone for relapsed multiple myeloma.N Engl J Med.2015;372:142−152を参照されたい)。ある実施形態では、カルフィルゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0119】
カルフィルゾミブは、デキサメタゾンとも組み合わされてきた(Dimopoulos MD et al.Carfilzomib and dexamethasone versus bortezomib and dexamethasone for patients with relapsed or refractory multiple myeloma(ENDEAVOR):a randomised,phase 3,open−label,multicentre study.Lancet Oncology 2016;17:27−38を参照されたい)。ある実施形態では、カルフィルゾミブは、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0120】
カルフィルゾミブは、パノビノスタットとも組み合わされてきた(Berdeja JG et al.Phase I/II study of the combination of panobinostat and carfilzomib in patients with relapsed/refractory multiple myeloma.Haematologica 2015;100:670−676を参照されたい)。ある実施形態では、カルフィルゾミブは、パノビノスタット、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、パノビノスタット、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、パノビノスタット、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0121】
カルフィルゾミブは、ポマリドミド及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Shah J et al.Carfilzomib,pomalidomide,and dexamethasone(CPD)in patients with relapsed and/or refractory multiple myeloma.Blood 2015;126:2284−2290を参照されたい)。ある実施形態では、カルフィルゾミブは、ポマリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、ポマリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、カルフィルゾミブは、ポマリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0122】
併用療法の別の例示的な薬剤は、CD38(多発性骨髄腫細胞上に高度に発現される糖タンパク質)に結合するヒトモノクローナル抗体であるダラツムマブ(例えば、DARZALEX(商標))である。ダラツムマブは、多発性骨髄腫を治療するために静脈内注入により患者に投与される(Lokhorst HM et al.Targeting CD38 with daratumumab monotherapy in multiple myeloma.N Engl J Med 2015;373:1207−1219を参照されたい)。ある実施形態では、ダラツムマブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ダラツムマブは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ダラツムマブは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0123】
ダラツムマブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。ダラツムマブは、多発性骨髄腫を治療するための様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。例えば、ダラツムマブは、ボルテゾミブ及びレナリドミドと組み合わされてきた(Phipps C et al.Daratumumab and its potential in the treatment of multiple myeloma:overview of the preclinical and clinical development.Ther Adv Hematol 2015;6:120−127を参照されたい)。ある実施形態では、ダラツムマブは、ボルテゾミブ、レナリドミド、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ダラツムマブは、ボルテゾミブ、レナリドミド、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ダラツムマブは、ボルテゾミブ、レナリドミド、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0124】
ダラツムマブは、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Phipps Cらを参照されたい)。ある実施形態では、ダラツムマブは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ダラツムマブは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ダラツムマブは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0125】
併用療法の別の例示的な薬剤は、悪性多発性骨髄腫細胞のマーカーであるCD319またはシグナル伝達リンパ球活性化分子F7(SLAMF7)に結合するモノクローナル抗体である、エロツズマブ(例えば、EMPLICITI(商標))である。エロツズマブは、多発性骨髄腫を治療するために静脈内注入により患者に投与され得る(Zonder JA et al.A phase 1,multicenter,open−label,dose escalation study of elotuzumab in patients with advanced multiple myeloma. Blood 2012;120:552−559)を参照されたい)。ある実施形態では、エロツズマブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、エロツズマブは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、エロツズマブは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0126】
エロツズマブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。エロツズマブは、多発性骨髄腫を治療するための様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。例えば、エロツズマブは、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わされてきた(Lonial S et al.Elotuzumab therapy for relapsed or refractory multiple myeloma.N Engl J Med 2015;373:621−631;を参照されたい)。ある実施形態では、エロツズマブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、エロツズマブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、エロツズマブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0127】
併用療法の別の例示的な薬剤は、多発性骨髄腫を治療するために患者に与えられる免疫調節薬であるレナリドミド(例えば、REVLIMID(登録商標))である(Richardson PG,A randomized phase 2 study of lenalidomide therapy for patients with relapsed or relapsed and refractory multiple myeloma.Blood 2006,108:3458−3464を参照されたい)。レナリドミドは、経口投与用にカプセル、ピル、または錠剤としてパッケージ化され得る。ある実施形態では、レナリドミドは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0128】
レナリドミドは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。レナリドミドは、多発性骨髄腫を治療する様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。例えば、レナリドミドは、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンと組み合わされてきた(Richardson PG et al.Lenalidomide,bortezomib,and dexamethasone combination therapy in patients with newly diagnosed multiple myeloma.Blood 2010;116:679−686を参照されたい)。ある実施形態では、レナリドミドは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0129】
レナリドミドは、カルフィルゾミブ及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Stewart KAらを参照されたい)。ある実施形態では、レナリドミドは、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0130】
レナリドミドは、ダラツムマブ及びボルテゾミブとも組み合わされてきた(Phipps Cらを参照されたい)。ある実施形態では、レナリドミドは、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0131】
レナリドミドは、エロツズマブ及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Lonial S et al.Elotuzumab therapy for relapsed or refractory multiple myeloma.N Engl J Med 2015;373:621−631を参照されたい)。ある実施形態では、レナリドミドは、エロツズマブ、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、エロツズマブ、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、レナリドミドは、エロツズマブ、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0132】
併用療法の別の例示的な薬剤は、多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫を治療するために患者に与えられるプロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(例えば、VELCADE(登録商標))である(Richardson PG et al.A phase 2 study of bortezomib in relapsed,refractory myeloma.N Engl J Med 2003;348:2609−2617を参照されたい)。ボルテゾミブは、静脈内注射により患者に投与され得る。ある実施形態では、ボルテゾミブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0133】
ボルテゾミブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。ボルテゾミブは、多発性骨髄腫を治療するための様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。例えば、ボルテゾミブは、サリドマイド及びデキサメタゾンと組み合わされてきた(Kapoor P et al.Bortezomib combination therapy in multiple myeloma.Semin Hematol 2012;3:228−242を参照されたい)。ある実施形態では、ボルテゾミブは、サリドマイド、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、サリドマイド、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、サリドマイド、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0134】
ボルテゾミブは、デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、及びエトポシドとも組み合わされてきた(Kapoor Pらを参照されたい)。ある実施形態では、ボルテゾミブは、デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0135】
ボルテゾミブは、ダラツムマブ及びレナリドミドとも組み合わされてきた(Phipps Cらを参照されたい)。ある実施形態では、ボルテゾミブは、ダラツムマブ、レナリドミド、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、ダラツムマブ、レナリドミド、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、ダラツムマブ、レナリドミド、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0136】
ボルテゾミブは、レナリドミド及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Richardson PG et al.2010を参照されたい)。ある実施形態では、ボルテゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0137】
ボルテゾミブは、パノビノスタット及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Richardson P et al.PANORAMA 2:panobinostat in combination with bortezomib and dexamethasone in patients with relapsed and bortezomib−refractory myeloma.Blood 2013;122:2331−2337を参照されたい)。ある実施形態では、ボルテゾミブは、パノビノスタット、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、パノビノスタット、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ボルテゾミブは、パノビノスタット、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0138】
併用療法の別の例示的な薬剤は、癌(多発性骨髄腫、白血病、及びリンパ腫を含む)、炎症、アレルギー、及び悪心を治療するために使用されるグルココルチコステロイドであるデキサメタゾン(例えば、DECADRON(登録商標))である。デキサメタゾンは、経口投与用の錠剤、ピル、もしくはカプセルとして、または静脈内注入により投与され得る。ある実施形態では、デキサメタゾンは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、デキサメタゾンは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、デキサメタゾンは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。デキサメタゾンは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。
【0139】
併用療法の別の例示的な薬剤は、癌(特に、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、乳癌、ならびに肺癌を含む)を治療するために使用されるアルキル化剤であるシクロホスファミド(例えば、CYTOXAN(登録商標))である。シクロホスファミドは、注射、注入により、経口投与用の錠剤、ピル、もしくはカプセルとして、または筋肉内、腹膜内、もしくは肺膜内への注射により投与され得る。ある実施形態では、シクロホスファミドは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、シクロホスファミドは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、シクロホスファミドは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。シクロホスファミドは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。
【0140】
併用療法の別の例示的な薬剤は、癌(多発性骨髄腫及び卵巣癌を含む)を治療するために使用されるアルキル化剤であるメルファランである。メルファランは、経口で、注射剤または点滴として投与され得る。ある実施形態では、メルファランは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、メルファランは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、メルファランは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。メルファランは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。
【0141】
併用療法の別の例示的な薬剤は、多発性骨髄腫を治療するために使用される免疫調節薬であるポマリドミド(例えば、POMALYST(登録商標))である。ポマリドミドは、経口投与用にカプセル、ピル、または錠剤として投与され得る。ある実施形態では、ポマリドミドは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ポマリドミドは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ポマリドミドは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0142】
ポマリドミドは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。ポマリドミドは、多発性骨髄腫を治療するための様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。ポマリドミドは、デキサメタゾンと組み合わされてきた(Richardson P et al.Pomalidomide alone or in combination with low−dose dexamethasone in relapsed and refractory multiple myeloma:a randomized phase 2 study.Blood 2014;123:1826−1832を参照されたい)。ある実施形態では、ポマリドミドは、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ポマリドミドは、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ポマリドミド は、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0143】
ポマリドミドは、カルフィルゾミブ及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Shah J et al.Carfilzomib,pomalidomide,and dexamethasone(CPD)in patients with relapsed and/or refractory multiple myeloma.Blood 2015;126:2284−2290を参照されたい)。ある実施形態では、ポマリドミドは、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ポマリドミドは、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、ポマリドミドは、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0144】
併用療法の別の例示的な薬剤は、癌(多発性骨髄腫を含む)を治療するために使用されるヒストン脱アセチル化(HDAC)阻害剤であるパノビノスタット(例えば、FARYDAK(登録商標))である(Wolf JL et al.A phase II study of oral panobinostat(LBH589)in adult patients with advanced refractory multiple myeloma.ASH Annual Meeting Abstracts,2008を参照されたい)。パノビノスタットは、経口投与用に、ピル、カプセル、または錠剤として投与され得る。ある実施形態では、パノビノスタットは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、パノビノスタットは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、パノビノスタットは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0145】
パノビノスタットは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。パノビノスタットは、多発性骨髄腫を治療するための様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。例えば、パノビノスタットは、カルフィルゾミブと組み合わされてきた(Berdeja JGらを参照されたい)。ある実施形態では、パノビノスタットは、カルフィルゾミブ及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、パノビノスタットは、カルフィルゾミブ及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、パノビノスタットは、カルフィルゾミブ、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0146】
パノビノスタットは、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとも組み合わされてきた(Richardson P et al.2013を参照されたい)。ある実施形態では、パノビノスタットは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、パノビノスタットは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、パノビノスタットは、ボルテゾミブ、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0147】
併用療法の別の例示的な薬剤は、癌(多発性骨髄腫を含む)を治療するために使用されるプロテアソーム阻害剤であるイキサゾミブ(NINLARO(登録商標))である。イキサゾミブは、経口投与され得る。ある実施形態では、イキサゾミブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、イキサゾミブは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、イキサゾミブは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0148】
イキサゾミブは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体、及び追加の薬剤との併用療法で投与することもできる。イキサゾミブは、多発性骨髄腫を治療するための様々な追加の薬剤と組み合わされてきた。例えば、イキサゾミブは、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わされてきた(Moreau P et al.Ixazomib,an investigational oral proteasome inhibitor,in combination with lenalidomide and dexamethasone,significantly extends progression−free survival for patients with relapsed and/or refractory multiple myeloma:the phase 3 tourmaline−MM1 study.ASH Annual Meeting Abstracts,2015を参照されたい)。ある実施形態では、イキサゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、イキサゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、イキサゾミブは、レナリドミド、デキサメタゾン、及び本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0149】
併用療法(特に非ホジキンリンパ腫の治療におけるもの)のための他の例示的な薬剤としては、抗CD20抗体(リツキシマブ、イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、及びオビヌツズマブを含む)、抗CD52抗体(アレムツズマブを含む)、抗PD1抗体(ニボルマブピディリズマブ及びペンブロリズマブを含む)、抗PDL1抗体(デュルバルマブ及びアテゾリズマブを含む)、ブレンツキシマブベドチン、ベンダムスチン、及びボルテゾミブを含む。ある実施形態では、抗CD20抗体、抗CD52抗体、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、ブレンツキシマブベドチン、ベンダムスチン、及びボルテゾミブのうちの1つは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、抗CD20抗体、抗CD52抗体、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、ブレンツキシマブベドチン、ベンダムスチン、及びボルテゾミブのうちの1つは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、抗CD20抗体、抗CD52抗体、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、ブレンツキシマブベドチン、ベンダムスチン、及びボルテゾミブのうちの1つは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0150】
加えて、併用療法用の他の薬剤としては、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン);CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン);RCVP(リツキシマブ+CVP);RCHOP(リツキシマブ+CHOP);RCHP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、及びプレドニゾン);RICE(リツキシマブ+イフォサミド(ifosamide)、カルボプラチン、エトポシド);RDHAP(リツキシマブ+デキサメタゾン、シタラビン、シスプラチン);RESHAP(リツキシマブ+エトポシド、メチルプレドニゾロン、シタラビン、シスプラチン);R−BENDA(リツキシマブ及びベンダムスチン)、RGDP(リツキシマブ、ゲムシタビン、デキサメタゾン、シスプラチン)などの化学療法レジメンが挙げられる。ある実施形態では、CHOP、CVP、RCVP、RCHOP、RCHP、RICE、RDHAP、RESHAP、R−BENDA、及びRGDPのうちの1つは、本発明のNTB−A指向抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、CHOP、CVP、RCVP、RCHOP、RCHP、RICE、RDHAP、RESHAP、R−BENDA、及びRGDPのうちの1つは、本発明のヒト化20F3抗体−薬物複合体との併用療法で投与される。更なる実施形態では、CHOP、CVP、RCVP、RCHOP、RCHP、RICE、RDHAP、RESHAP、R−BENDA、及びRGDPのうちの1つは、本発明のh20F3ec−1910(2)との併用療法で投与される。
【0151】
裸抗体または抗体薬物複合体としての抗NTB−A抗体は、有効なレジメン、つまり、癌の少なくとも1つの徴候または症状の発症を遅延する、その重症度を低減する、その更なる悪化を阻害する、及び/またはそれを寛解する投薬量、投与経路、及び投与頻度で投与される。場合によっては、治療効果は、個々の患者において、同じ患者の歴史的対照または過去の経験と比較して観察され得る。他の場合では、治療効果は、治療を受けた患者集団の前臨床または臨床試験において、治療を受けていない患者の対照集団と比較して示され得る。
【0152】
抗NTB−A裸抗体の例示的な投薬量は、患者の体重の0.1mg/kg〜50mg/kg、より典型的には、1mg/kg〜30mg/kg、1mg/kg〜20mg/kg、1mg/kg〜15mg/kg、1mg/kg〜12mg/kg、もしくは1mg/kg〜10mg/kg1、または2mg/kg〜30mg/kg、2mg/kg〜20mg/kg、2mg/kg〜15mg/kg、2mg/kg〜12mg/kg、もしくは2mg/kg〜10mg/kg、または3mg/kg〜30mg/kg、3mg/kg〜20mg/kg、3mg/kg〜15mg/kg、3mg/kg〜12mg/kg、もしくは3mg/kg〜10mg/kgである。
【0153】
抗NTBA抗体薬物複合体の例示的な投薬量は、1.0μg/kg〜約10mg/kg、1.0μg/kg〜約5mg/kg、1.0μg/kg〜約5mg/kg、約1.0μg/kg〜約1.0mg/kg、約10μg/kg〜約3mg/kg、約10μg/kg〜約2mg/kg、約1.0μg/kg〜1.0mg/kg、もしくは約1.0μg/kg〜500.0μg/kg、または約.0μg/kg〜80.0、100.0、もしくは200.0μg/kgである。
【0154】
NTB−A指向PBD複合体の例示的な投薬量は、一般的に、約1.0μg/kg〜1.0mg/kg、もしくは約1.0μg/kg〜500.0μg/kg、または約.0μg/kg〜80.0、100.0、もしくは200.0μg/kgであるが、代替の投薬量が想定される。
【0155】
投与は、典型的には非経口である。投与は、腫瘍に直接局所化させることもできる。静脈内投与または皮下投与による体循環への投与が好ましい。静脈内投与は、例えば、30〜90分などの期間にわたる注入により、または単一ボーラス注射によるものであり得る。
【0156】
投与頻度は、因子の中でも、循環中の抗体または複合体の半減期、患者の状態、及び投与経路による。頻度は、患者の状態または治療される癌の進行の変化に応じて、毎日、毎週、毎月、3ヶ月ごと、または不規則な間隔であり得る。静脈内投与の例示的な頻度は、継続的な治療過程にわたって週に2回〜3ヶ月ごとであるが、より頻繁な、またはより少ない頻度の投薬も可能である。静脈内投与の他の例示的な頻度は、継続的な治療過程にわたって毎週、または4週間ごとのうち3週間であるが、より頻繁な、またはより少ない頻度の投薬も可能である。皮下投与に関して、例示的な投薬頻度は、毎日〜毎月であるが、より頻繁な、またはより少ない頻度の投薬も可能である。
【0157】
投薬回数は、一部には、障害の性質(例えば、急性症状を示しているか慢性症状を示しているか)及び障害の治療に対する応答による。急性障害、または慢性障害の増悪には、1〜10回の投与が十分である場合が多い。任意に分割形態での単回ボーラス投薬が、急性障害、または慢性障害の増悪に十分である場合もある。治療は、急性障害または急性増悪の再発に対して繰り返され得る。慢性障害に対して、抗体は、少なくとも1、5、もしくは10年間、または患者の生涯にわたって、一定間隔で、例えば、毎週、隔週、毎月、3カ月ごと、6カ月ごとに投与され得る。
【0158】
非経口投与用の薬学的組成物は、好ましくは、無菌かつ実質的に等張性であり、GMP状態下で製造される。薬学的組成物は、単位剤形で(即ち、単一投与用の投薬量)提供され得る。薬学的組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または助剤を使用して製剤化され得る。製剤は、選択される投与経路による。注射に関して、抗体は、水性溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液、もしくは生理食塩水などの生理学的に適合性の緩衝液、または酢酸緩衝液(注射部位の不快感を低減するため)に製剤化され得る。溶液は、懸濁剤、安定剤、及び/または分散剤などの製剤用作用物質を含有し得る。あるいは、抗体薬物複合体は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、減菌発熱物質不含水で構築するために、凍結乾燥形態であり得る。液体製剤中の抗体の濃度は、例えば、10mg/mlなど1〜100mg/mlであり得る。
【0159】
本明細書に開示の裸抗体または抗体薬物複合体を用いた治療は、化学療法、放射線、幹細胞治療、外科手術、及び治療される障害に対して有効な他の治療と組み合わせることができる。抗NTB−A抗体または抗体薬物複合体と共に投与することができる他の薬剤の有用なクラスとしては、例えば、癌細胞上で発現される他の受容体に対する抗体、抗チューブリン薬(例えば、アウリスタチン)、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、モノ(白金)、ビス(白金)、ならびに三核白金錯体及びカルボプラチンなどの白金錯体)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗薬、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソウレア、プラチノール、予備形成化合物、プリン代謝拮抗薬、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが挙げられる。
【0160】
上記の他の薬剤もしくはレジメンのうちのいずれかを単独でまたは抗体薬物複合体として任意に組み合わせた、裸抗体または抗NTB−A抗体薬物複合体を用いた治療により、NTB−A発現癌(例えば、多発性骨髄腫、AML、NHL)に罹患する患者の無増悪生存期間中央値または全生存期間は、特に再発性または難治性である場合に、同じ治療(例えば、化学療法)であるが抗NTB−A抗体を単独でまたは複合体として含まないものと比較して、少なくとも30%または40%、好ましくは50%、60%〜70%、または更には100%以上増加し得る。加えてまたはあるいは、抗NTB−A複合体を含む治療(例えば、標準的な化学療法)により、NTB−A発現癌に罹患する患者の完全奏功率、部分奏功率、または客観的奏効率(完全+部分)は、同じ治療(例えば、化学療法)であるが抗NTB−A抗体を含まないものと比較して、少なくとも30%または40%、好ましくは50%、60%〜70%、または更には100%増加し得る。
【0161】
典型的には、臨床試験(例えば、第II相、第II/III相、または第III相試験)では、標準的療法に加えて抗NTB−A抗体を用いて治療した患者の平均無増悪生存率及び/または奏功率中央値を、標準的な療法(またはそれにプラセボを加えたもの)を受けた患者の対照群と比較した場合の前述した増加は、統計的に有意であり、例えば、p=0.05もしくは0.01、または更には0.001レベルであった。完全奏功率及び部分奏功率は、癌臨床試験で一般に使用される客観的基準、例えば、国立がん研究所及び/または食品医薬品局が記載しているかまたは認めているものによって決定される。
【0162】
他の用途では、本明細書に開示の抗NTB−A抗体は、臨床診断もしくは治療または研究との関連において、NTB−Aの検出に使用され得る。癌におけるNTB−Aの発現は、その癌が本発明の抗体による治療に適していることを示す。本抗体は、NTB−Aを保有する細胞及び様々な刺激に対するそれらの応答の検出に関する研究のための研究用試薬としても販売され得る。かかる使用においては、抗NTB−A抗体は、蛍光分子、スピン標識分子、酵素、またはラジオアイソタイプ(radioisotype)によって標識され得、NTB−Aのアッセイを行うために必要な試薬全てを含むキットの形態で提供され得る。本抗体を使用して、NTB−Aを、例えば親和性クロマトグラフィーによって精製することもできる。
【0163】
以上または以下に列挙される全ての特許申請、他の刊行物、受入番号などは、個々の事項の各々が、参照により同様に組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同じ程度に、全ての目的においてそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。異なるバージョンの配列が、異なる時期の受入番号と関連する場合、本出願の有効出願日での受入番号と関連するバージョンが意味される。有効出願日は、出願日、または該当する場合にはその受入番号に言及する優先出願の出願日のいずれか早い方を意味する。同様に、異なるバージョンの刊行物が異なる時期に刊行される場合、別途記載のない限り、本出願の有効出願日の時点で直近に刊行されたバージョンが意味される。本発明の任意の特徴、工程、要素、実施形態、または態様は、具体的に別途記載のない限り、任意のそのその他と組み合わせて使用され得る。本発明は、明確性及び理解の目的のため、図示及び例によりある程度詳細に記載されてきたが、ある特定の変更及び修正が付属の特許請求の範囲の範囲内で実践され得ることは明らかであろう。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]ヒトNTB−Aタンパク質に特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、配列番号3の3つの重鎖相補性決定領域と、配列番号13の3つの軽鎖CDRとを含み、前記CDRが、KabatまたはIMGTによって定義される通りである、抗体。
[実施形態2]前記CDRがIMGTによって定義される通りである、実施形態1に記載の抗体。
[実施形態3]前記CDRがKabat CDRである、実施形態1に記載の抗体。
[実施形態4]ヒト化抗体、キメラ抗体、またはベニヤ抗体である、実施形態1〜3のいずれかに記載の抗体。
[実施形態5]配列番号8と少なくとも80%同一である配列を有する成熟重鎖領域と、配列番号18と少なくとも80%同一である配列を有する成熟軽鎖可変領域と、を含む、実施形態1〜3のいずれかに記載の抗体。
[実施形態6]配列番号8と少なくとも90%同一である配列を有する成熟重鎖可変領域と、配列番号18と少なくとも90%同一である配列を有する成熟軽鎖可変領域と、を含む、ヒト化抗体である、実施形態5に記載の抗体。
[実施形態7]前記成熟重鎖可変領域が、配列番号8と少なくとも95%同一である配列を有し、成熟軽鎖可変領域が、配列番号18と少なくとも95%同一である配列を有する、実施形態6に記載の抗体。
[実施形態8]H2がIによって占有され、H38がRまたはKによって占有され、H44がDまたはGによって占有され、H46がKまたはEによって占有され、H68がVまたはAによって占有され、H73がKによって占有され、H76がNまたはSによって占有され、H91がYまたはFによって占有され、L1がQまたはEによって占有され、L5がSまたはTによって占有され、L21がMまたはLによって占有され、L46がPによって占有され、L47がWによって占有され、L58がVまたはIによって占有され、L71がYによって占有され;付番がKabat付番方式による、実施形態5〜7のいずれかに記載の抗体。
[実施形態9]以下の可変領域フレームワーク位置が、規定のように占有される:Iによって占有されるH2、Rによって占有されるH38、Dによって占有されるH44、Kによって占有されるH46、Vによって占有されるH68、Kによって占有されるH73、Nによって占有されるH76、Yによって占有されるH91、Qによって占有されるL1、Sによって占有されるL5、Mによって占有されるL21、Pによって占有されるL46、Wによって占有されるL47、Vによって占有されるL58、Yによって占有されるL71;付番がKabat付番方式による、実施形態5〜7のいずれかに記載の抗体。
[実施形態10]以下の可変領域フレームワーク位置が、規定のように占有される:Iによって占有されるH2、Dによって占有されるH44、Kによって占有されるH46、Kによって占有されるH73、Nによって占有されるH76、Qによって占有されるL1、Sによって占有されるL5、Mによって占有されるL21、Pによって占有されるL46、Wによって占有されるL47、Vによって占有されるL58、Yによって占有されるL71;付番がKabat付番方式による、実施形態5〜7のいずれかに記載の抗体。
[実施形態11]HALA、HALB、HALC、HALD、HBLA、HBLB、HBLC、HBLD、HCLA、HCLB、HCLC、HCLD、HDLA、HDLB、HDLC、HELA、HELB、HELC、及びHELDである、実施形態1に記載の抗体。
[実施形態12]前記成熟重鎖可変領域が重鎖定常領域に融合し、前記成熟軽鎖可変領域が軽鎖定常領域に融合する、実施形態1〜11のいずれかに記載の抗体。
[実施形態13]前記重鎖定常領域が、天然のヒト定常領域の突然変異形態であり、前記突然変異形態のFcガンマ受容体への結合が、前記天然のヒト定常領域と比較して減少している、実施形態12に記載の抗体。
[実施形態14]前記重鎖定常領域が、IgG1アイソタイプの重鎖定常領域である、実施形態12に記載の抗体。
[実施形態15]前記重鎖定常領域が、配列番号29または配列番号30を含むアミノ酸配列を有し、前記軽鎖定常領域が、配列番号28を含むアミノ酸配列を有する、実施形態12に記載の抗体。
[実施形態16]ヒトまたはカニクイザルNTB−Aについての解離定数が、20F3の解離定数の5倍以内である、実施形態1〜15のいずれかに記載の抗体。
[実施形態17]実施形態1〜16のいずれかによって定義される成熟重鎖可変領域及び/または成熟軽鎖可変領域をコードする核酸。
[実施形態18]前記抗体が、細胞傷害性薬または細胞増殖抑制薬に複合体化される、実施形態1〜16のいずれかに記載の抗体。
[実施形態19]前記細胞傷害性薬が、マイタンシノイド、アウリスタチン、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、またはオキサゾリジノベンゾジアゼピンである、実施形態18に記載の抗体。
[実施形態20]前記細胞傷害性薬が、
【化11】
[式中、添字nが1または3である。]
、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物である、実施形態19に記載の抗体。
[実施形態21]下記式:
【化12】
[式中、
添字nが1または3であり、
LUが切断可能なリンカー単位であり、
Abが実施形態1〜16のいずれかに記載の抗体であり、
添字pが1〜4の整数である。]
を有する、抗NTBA抗体−薬物複合体化合物、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物。
[実施形態22]下記式:
【化13】
[式中、
添字nが1または3であり、
添字mが2〜5であり、
Abが実施形態1〜16のいずれかに記載の抗体であり、
添字pが1〜4の整数である。]
を有する、実施形態21に記載の抗NTBA抗体−薬物複合体化合物、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物。
[実施形態23]下記式:
【化14】
を有する、実施形態22に記載の抗体−薬物複合体化合物、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物。
[実施形態24]下記式:
【化15】
を有する、実施形態22に記載の抗体−薬物複合体化合物、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物。
[実施形態25]nが1である、実施形態22〜24のいずれかに記載の抗体−薬物複合体化合物。
[実施形態26]nが3である、実施形態22〜24のいずれかに記載の抗体−薬物複合体化合物。
[実施形態27]mが5である、実施形態22〜26のいずれかに記載の抗体−薬物複合体化合物。
[実施形態28]Abへの結合が、Abの改変システイン残基の硫黄原子を介する、実施形態22〜27のいずれかに記載の抗体−薬物複合体化合物。
[実施形態29]Abへの結合が、硫黄原子、またはEUインデックス付番方式に従う前記重鎖定常領域の位置239の改変システイン残基を介する、実施形態22〜28のいずれかに記載の抗体−薬物複合体化合物。
[実施形態30]pが2である、実施形態21〜29のいずれかに記載の抗体−薬物複合体化合物。
[実施形態31]下記式:
【化16】
[式中、
添字nが1〜3であり、
LUが切断可能なリンカー単位であり、
Abが実施形態1〜16のいずれかに記載の抗体であり、
添字pが1〜4の整数である。]
を有する抗NTB−A抗体−薬物複合体分子、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物の集団を含む、抗体−薬物複合体組成物であって、前記組成物の平均薬物負荷が約2である、抗体−薬物複合体組成物。
[実施形態32]下記式:
【化17】
[式中、
添字nが1〜3であり、
添字mが2〜5であり、
Abが実施形態1〜16のいずれかに記載の抗体であり、
添字pが1〜4の整数である。]
を有する抗NTB−A抗体−薬物複合体分子、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物の集団を含み、前記組成物の平均薬物負荷が約2である、実施形態31に記載の抗体−薬物複合体組成物。
[実施形態33]前記抗体−薬物複合体分子が、式:
【化18】
、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物を有する、実施形態32に記載の組成物。
[実施形態34]前記抗体−薬物複合体分子が、式:
【化19】
、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物を有する、実施形態32に記載の組成物。
[実施形態35]nが1である、実施形態32〜34のいずれかに記載の組成物。
[実施形態36]nが3である、実施形態32〜34のいずれかに記載の組成物。
[実施形態37]mが5である、実施形態32〜36のいずれかに記載の組成物。
[実施形態38]Abへの結合が、Abの改変システイン残基の硫黄原子を介する、実施形態32〜37のいずれかに記載の組成物。
[実施形態39]Abへの結合が、硫黄原子、またはEUインデックス付番方式に従う前記重鎖定常領域の位置239の改変システイン残基を介する、実施形態32〜37のいずれかに記載の組成物。
[実施形態40]下記式:
【化20】
[式中、
添字nが1〜3であり、
添字mが2〜5であり、
Abが実施形態1〜16のいずれかに記載の抗体であり、
添字pが1〜4の整数である。]
を有する、抗NTB−A抗体−薬物複合体分子、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物の集団と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物であって、前記組成物の平均薬物負荷が約2である、薬学的組成物。
[実施形態41]前記抗体−薬物複合体分子が、式:
【化21】
、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物を有する、実施形態40に記載の薬学的組成物。
[実施形態42]前記抗体−薬物複合体分子が、式:
【化22】
、または薬学的な塩、溶媒和物、もしくは前記塩の溶媒和物を有する、実施形態40に記載の薬学的組成物。
[実施形態43]nが1である、実施形態40〜42のいずれかに記載の薬学的組成物。
[実施形態44]nが3である、実施形態40〜42のいずれかに記載の薬学的組成物。
[実施形態45]mが5である、実施形態40〜44のいずれかに記載の薬学的組成物。
[実施形態46]Abへの結合が、Abの改変システイン残基の硫黄原子を介する、実施形態40〜45のいずれかに記載の薬学的組成物。
[実施形態47]Abへの結合が、硫黄原子、またはEUインデックス付番方式に従う前記重鎖定常領域の位置239の改変システイン残基を介する、実施形態40〜46のいずれかに記載の薬学的組成物。
[実施形態48]NTB−Aを発現する癌を有する患者の治療方法であって、実施形態31〜47のいずれかに記載の組成物の有効なレジメンを前記患者に投与することを含む、方法。
[実施形態49]前記癌が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、原発性アミロイドーシス、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)である、実施形態48に記載の方法。
[実施形態50]前記癌がT細胞リンパ腫である、実施形態48に記載の方法。
[実施形態51]自己免疫疾患を有する患者の治療方法であって、実施形態31〜47のいずれかに記載の組成物の有効なレジメンを前記患者に投与することを含む、方法。
[実施形態52]実施形態1〜16のいずれかに記載の抗体、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【実施例】
【0164】
以下の実施例に記載の細胞系を、American Type Culture Collection(ATCC)またはDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Braunschweig,Germany(DMSZ)によって規定される条件に従って、または既知の通りに、培養中に維持した。
【0165】
実施例1:抗体の選択
NTB−A抗体産生マウスの脾臓及びリンパ節から採取したリンパ球を骨髄腫細胞に融合させた。融合させた細胞をハイブリドーマ増殖培地中で一晩回復させた。回復したら細胞を遠沈させ、続いて半固体培地にプレーティングした。ハイブリドーマをインキュベートし、IgG産生ハイブリドーマクローンを選抜した。20F3抗体は、ADCとして強力な細胞傷害を示し、カニクイザルNTB−Aに結合した少数の抗体のうちの1つであった。
【0166】
実施例2:ヒト化抗体の設計
ヒト化抗体はマウス20F3抗体に由来した。5つのヒト化重鎖(HA−HE)及び4つのヒト化軽鎖(LA−LD)を、復帰突然変異を異なる位置に組み込んで作製した。場合によっては、復帰突然変異はマウス生殖系列と一致することになるが、他の場合には一致しない(体細胞変異がある場合など)。ヒト化重鎖とヒト化軽鎖とを対にした。配列アラインメントに関する
図1及び2、ならびに表1〜4を参照されたい。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0167】
実施例3:EC50及びKdの測定
EC50を決定するために、3点用量漸増を行った未標識のヒト化抗ヒトNTB−A抗体を、Alexa Fluor 647と複合体化した定濃度(最終5nM)のマウス20F3抗体と混合した。抗原陽性Ramos細胞を、ウェル当たり1×10
5細胞で、96ウェルV底プレート(Thermo Scientific,Rochester,NY)にプレーティングした。50倍連続希釈の抗体を、FAC緩衝液(PBS+2%ウシ胎仔血清)中で調製し、2回繰り返して細胞に添加した。抗体を、遮光しながら1時間氷上で細胞と共にインキュベートした。細胞を、FAC緩衝液で2回洗浄し、LSRIIフローサイトメーター(BD BioSciences,San Jose,CA)で分析した。EC50値をGraphPad Prismソフトウェア(La Jolla,CA)によって決定した。結果を表5に示す。
【表5】
【0168】
Alexa Fluor 647と複合体化した用量漸増を行った抗ヒトNTB−A抗体(h20F3_HDLD−AF647)を使用して、飽和結合曲線を生成した。抗原陽性Ramos細胞を、ウェル当たり1×10
5細胞で、96ウェルV底プレート(Thermo Scientific,Rochester,NY)にプレーティングした。3倍連続希釈の2倍濃縮抗体を、FAC緩衝液(PBS+2%ウシ胎仔血清)中で調製し、2回繰り返して細胞に添加した。抗体を、遮光しながら1時間氷上で細胞と共にインキュベートした。細胞を、FAC緩衝液で2回洗浄し、LSRIIフローサイトメーター(BD BioSciences,San Jose,CA)で分析した。KD値をGraphPad Prismソフトウェア(La Jolla,CA)によって決定した。抗ヒトNTB−A抗体h20F3_HDLD及びキメラ20F3を、カニクイザル−NTB−Aを過剰発現している293−F17細胞への結合について試験した。293−F17/カニクイザル−NTB−A細胞を、FACS緩衝液(PBS+2%ウシ胎仔血清+0.02%アジド)中で、5×10
5細胞/ウェルでプレーティングし、30分間氷上で20μg/mLの抗体と共にインキュベートした。細胞を2回洗浄し、遮光しながら氷上で30分間、30μg/mLのヤギ抗ヒトIgG−PE(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)によって染色した。細胞を再度FAC緩衝液で2回洗浄した。染色した細胞を、FACs Caliburフローサイトメーター(BD BioSciences,San Jose,CA)で分析した。結果を表6に示す。
【表6】
【0169】
実施例4:エフェクター機能
補体依存性細胞傷害性(CDC):正常なヒトT細胞(All Cells,Alameda,CA)または癌細胞系(ATCC,Manassas,VA)を5μMのSytox Green(Life Technologies,Grand Island,NY)によって標識標識した後、RPMI1640培地+1020%ヒト血清(Complement Technology,Tyler,TX、またはSolomon Park Research Laboratories,Kirkland,WA)中で、連続用量漸増を行った抗ヒトNTB−A h20F3抗体またはPBD二量体ADC(0.02〜50μg/mL)と結合させた。細胞を、37℃、5%CO2で2時間インキュベートし、溶解した細胞からの蛍光を、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA)によって測定した。データは、1%TritonX−100で処理した細胞(Sigma,ST.Louis,MO)の陽性対照を用いて決定した最大細胞溶解率として表す。
【0170】
正常なヒトT細胞、WIL2−S細胞、及びRaji細胞という3つの細胞型を分析に使用した。各細胞型における関連受容体の発現は表7に示し、細胞1個当たりの受容体の数として示す。
【表7】
【0171】
以下の表8から分かるように、ヒト化20F3−HDLDwt IgG1抗体及びec変異型(位置239にシステインを有する抗体はecの表示を伴う)は、正常な休止Tリンパ球、WIL2−S、及びRaji細胞系に対してCDC活性を有しない。同様の結果がh20F3ec−1910(2)ADCについて観察された。
【表8】
【0172】
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)活性アッセイ:ADCC細胞傷害活性を、エフェクターナチュラルキラー(NK)細胞が標的細胞上の抗体またはADCへの結合を介して標的細胞を殺滅する(溶解させる)クロム−51放出によって測定した。WIL2−S細胞を、クロム−51で標識し、抗体(0.1ng/mL〜10μg/mL)と結合させた後、NK細胞と共に、エフェクター対標的比10:1で、37℃、5%CO
2で4時間インキュベートした。上清をフィルタプレートに取り、クロム−51の数をTopCount(Perkin Elmer,Waltham,MA)を用いて測定した。データは、1%TritonX−100で処理した細胞(Sigma,ST.MO)の陽性対照を用いて決定した最大特異的細胞溶解率として表す。
【0173】
フローサイトメトリーに基づくアッセイを使用して、正常なヒトT細胞上のADCC活性を測定した。PKH2で標識した正常なヒトT細胞標的を、漸増する抗体(0.1ng/mL〜10μg/mL)と結合させた後、エフェクターNK細胞と共に、エフェクター対標的比10:1で、37℃、5%CO
2で4時間インキュベートした。生存率を、FACsCaliburフローサイトメーター(BD BioSciences,San Jose,CA)で測定した7−AADの組み込みによって決定した。
【0174】
以下の表9から分かるように、ヒト化20F3−HDLDwt抗体及びec変異型は、低度〜中程度のADCC活性を有する。h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCは、複合体化されていないh20F3ec抗体と比較して低下したADCC活性を呈した。受容体の数を表7に開示する。
【表9】
【0175】
NTB−A媒介性ADCP活性を評定するために、正常なTリンパ球または腫瘍細胞を赤色蛍光膜色素PKH26によって標識した後、2μg/mLから開始する5点の10倍連続希釈で抗体またはADCによって標識した。次に細胞を30分間氷上でインキュベートし、PBSで2回洗浄した。細胞を、37℃で1時間、単球由来マクロファージと混合した。次に、細胞混合物を、Alexa Fluor 488複合体化マウス抗CD11bによって染色してマクロファージを標識し、フローサイトメトリーによって分析して、PKH26+CD11b+二重標識蛍光細胞を検出した。食作用活性を(PKH26+CD11b+パーセント)/(CD11b+細胞パーセント)×100として計算した。
【0176】
以下の表10から分かるように、ヒト化20F3−HDLDwt抗体及びec変異型は、癌細胞系上のリツキシマブ及びキャンパス抗体対照よりも中程度に低いADCP活性を有する。同様の結果がh20F3ec−1910(2)ADCについて観察された。
【表10】
【0177】
実施例5:ADC内在化
多発性骨髄腫細胞系(MM.1RまたはU−266)を飽和濃度のADC(10μg/mL)と結合させ、培地で洗浄し、37℃または4℃でインキュベートした。試料をPE標識ヤギ抗ヒト抗体(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)によって染色した時点を収集し、1%PFA/PBS中で固定した。全ての時点を収集したら、平均蛍光強度を、FACs Caliburフローサイトメーター(BD BioSciences,San Jose,CA)で測定した。抗NTB−A h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCはMM.1R細胞中に急速に内在化し、ADCの80%が37℃のインキュベーションで4時間以内に内在化した。h20F3ec−1910(2)ADCの20%のみが、細胞を4℃の対照条件下に保った4時間目に内在化した。
【0178】
MM.1R中のADCの細胞表面及び細胞内局在性も、h20F3ec抗体に特異的なマウス抗イディオタイプ抗体で検出された。ADCを30分間4℃でMM.1R細胞に結合させると、ADCが、リソソームに急速に内在化したことが認められた。
【0179】
実施例6:MM癌細胞系に対するADCの細胞傷害性
ヒト化抗体(HDLD)をPBD及びアウリスタチン抗体薬物複合体として試験した。抗有糸分裂剤モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を、カテプシン切断性バリン−シトルリン(vc)リンカーを介して抗NTB−A mAbに複合体化した。第2のアウリスタチンであるアウリスタチン−2を、ペプチドリンカーを介して抗NTB−A mAbに複合体化した。PBD複合体について、薬物−リンカーSGD−1910を、抗体のIgG1鎖の位置239(付番はEUインデックスに従う)に導入されたシステイン残基のチオール基を介して抗NTBA抗体と複合体化すると、平均薬物負荷は抗体当たり約2薬物となった。位置239にシステインを有する抗体は、ECの表示を伴う。調製は、本明細書に記載の抗NTBA抗体を使用して、WO2011/130613に記載されている通りに行った。ADCを培地に3倍に連続希釈して、10点用量曲線(1,000ng/mL〜0.05081ng/mL)を得て、96ウェルアッセイプレート中で培養された多発性骨髄腫細胞に適用した。細胞系を、4回繰り返して抗NTB−A ADCで処理し、37℃、5%CO2で96時間インキュベートした。細胞の生存性を、Cell Titer Glo発光細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用してアッセイし、EnVisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用してデータ収集した。用量効果曲線及びIC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算した。結果を表11及び12に示す。
【0180】
MM.1R細胞に対する作用機序も分析した。MM.1R細胞をADCで処理し、ATR及びATMキナーゼの活性化を、ホスホ−エピトープ特異的抗体を用いるウエスタンブロッティングによって定量化した。ADCは、ATM/ATRレベルを遊離PBD二量体薬物とほぼ同等に活性化したため、MM細胞におけるDNA損傷応答を活性化する。
【表11】
【表12】
【0181】
実施例7:ヒトリンパ球に対するADCの細胞傷害性
休止ヒトT及びBリンパ球に対する抗NTB−A ADCの細胞傷害作用を評定するため、精製した細胞を黒色の96ウェルアッセイプレートに播種した。次に細胞を、10ug/mLから開始して合計8の希釈点で5倍に漸減させた抗NTB−A ADCで処理した。遊離薬物処理のため、細胞に、それぞれ1,000nM及び100nMから開始して合計8の希釈点で5倍に漸減させたMMAE及び遊離PBD二量体を投与した。プレートを、37℃、5%CO
2で96時間インキュベートした後、室温に平衡化させた。等体積のCell−Titer Glo試薬を各ウェルに添加し、プレートを室温で更に30分間インキュベートした。次に、プレートをPerkin Elmer Envisionプレートリーダーで読み取った。用量効果曲線及びIC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算した。結果を表13に示す。
【表13】
【0182】
休止ヒトTリンパ球は、96時間の細胞傷害性アッセイにおいて、PBD二量体またはアウリスタチンキメラ20F3 ADCの影響を受けない。遊離PBD二量体は、休止Tリンパ球に対して細胞傷害性であり、このDNA損傷薬に感受性であることが示された。したがって、NTB−Aの細胞表面レベルは、c20F3−1910(2)ADCが休止Tリンパ球を殺滅するのに十分なPBDを内在化させるには低すぎる。対照的に、MMAE遊離薬物もc20F3−vcMMAE(4)ADCも、休止Tリンパ球に対して強力ではなかった。休止ヒトBリンパ球は、遊離薬物MMAE及びPBD二量体の両方に感受性である。しかしながら、c20F3−1910(2)ADCが高いADC濃度(1,000ng/mL超)でのみ休止Bリンパ球に細胞傷害作用を有した一方、c20F3−vcMMAE(4)ADCは細胞傷害作用を有しなかった。したがって、NTB−Aの細胞表面レベルは、Bリンパ球が、PBD二量体またはアウリスタチンc20F3 ADCのいずれかによる強力な細胞傷害作用を媒介するには低すぎる。
【0183】
実施例8:インビボMM異種移植片研究
NSG(NOD scidガンマ;NOD.Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ)マウスに、動物当たり100万個のMM.1R細胞を静脈内移植し、多発性骨髄腫の播種性モデルを生成した。腫瘍細胞移植5日後に、治療群当たりn=10マウスに、h20F3ec−1910(2)PBD ADCまたは非結合対照hIgGec−1910(2)PBD ADCの単一腹腔内注射を行った。検査したPBD ADC用量レベルは、333μg/kg、111μg/kg、及び37μg/kgであった。進行した腫瘍負荷のマウスは、後肢麻痺、頭蓋腫大、及び/または瀕死の症状を示したときに屠殺した。
図3に示されるように、HDLD h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCは、全ての用量レベル(単一用量)で10頭中10頭のマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらし、一方、非結合対照PBD ADC投薬マウスは、研究の80日目までに、疾患により全て屠殺した。h20F3ec−1910(2)ADC群(37μg/kg)と対照hIgGec−1910群(2)ADC(333μg/kg)群との間の統計的に有意な差(P<0.0001、Mantel−Cox試験)を得た。
【0184】
NSG(NOD scidガンマ;NOD.Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ)マウスに、動物当たり500万個のU−266細胞を静脈内移植し、多発性骨髄腫の播種性モデルを生成した。腫瘍細胞移植5日後に、治療群当たりn=10マウスに、h20F3ec−1910(2)PBD ADCまたは非結合対照hIgGec−1910(2)PBD ADCの単一腹腔内注射を行った。検査したPBD ADC用量レベルは、111μg/kg、56μg/kg、及び28μg/kgであった。進行した腫瘍負荷のマウスは、後肢麻痺、頭蓋腫大、及び/または瀕死の症状を示したときに屠殺した。
図4に示されるように、HDLD h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCは、111μg/kg(単一用量)で10頭中9頭のマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらした。より低い用量レベル(28及び56μg/kg)では、h20F3ec−1910(2)は、hIgGec−1910(2)(111μg/kg)対照PBD ADCと比較して、疾患発症の顕著な(P<0.0001、Mantel−Cox試験)遅延をもたらした。
【0185】
NSG(NOD scidガンマ;NOD.Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ)マウスに、動物当たり1000万個のEJM細胞を静脈内移植し、多発性骨髄腫の播種性モデルを生成した。腫瘍細胞移植5日後に、治療群当たりn=10マウスに、h20F3ec−1910(2)PBD ADCまたは非結合対照hIgGec−1910(2)PBD ADCの単一腹腔内注射を行った。検査したPBD ADC用量レベルは、333μg/kg、111μg/kg、及び37μg/kgであった。進行した腫瘍負荷のマウスは、後肢麻痺、頭蓋腫大、及び/または瀕死の症状を示したときに屠殺した。
図5に示されるように、HDLD h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCは、333μg/kg(単一用量)で10頭中8頭のマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらした。より低い用量レベル(37及び111μg/kg)では、h20F3ec−1910(2)は、hIgGec−1910(2)(333μg/kg)対照PBD ADCと比較して、疾患発症の顕著な(P<0.0001、Mantel−Cox試験)遅延をもたらした。
【0186】
SCID(C.B−17/Sz−Prkdc
scid)マウスに、動物当たり500万個のHNT−34急性骨髄性白血病細胞を皮下移植した。平均腫瘍体積が100mm
3に達したとき、治療群当たりn=10のマウスに、h20F3ec−1910(2)PBD ADCまたは非結合対照hIgGec−1910(2)PBD ADCの単一腹腔内注射を行った。検査したPBD ADC用量レベルは、333μg/kg、111μg/kg、及び37μg/kgであった。個々のマウスを、皮下HNT−34腫瘍体積が1,000mm3に達したときに屠殺した。
図6に示されるように、HDLD h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCは、333μg/kg及び111μg/kgの用量レベル(単一用量)で全てのマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらした。37μg/kgのより低い用量レベルで、h20F3ec−1910(2)は、強い腫瘍遅延、及び2/10頭中2頭の持続的な完全奏功をもたらした。hIgGec−1910(2)対照PBD ADCは、333μg/kgで10頭中0頭の完全奏功をもたらした。
【0187】
NSG(NOD scidガンマ;NOD.Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ)マウスに、動物当たり100万個のMM.1R細胞を静脈内移植し、多発性骨髄腫の播種性モデルを生成した。腫瘍細胞移植5日後に、治療群当たりn=10マウスに、h20F3−アウリスタチン2(8)ADCまたは非結合対照hIgG−アウリスタチン2(8)ADCの単一腹腔内注射を行った。検査したアウリスタチンADC用量レベルは、3.0mg/kg及び1.0mg/kgであった。進行した腫瘍負荷のマウスは、後肢麻痺、頭蓋腫大、及び/または瀕死の症状を示したときに屠殺した。
図7に示すように、HDLD h20F3−アウリスタチン2(8)ADCは、播種性MM.1Rモデルにおいて、対照hIgG−アウリスタチン2(8)ADC(3.0mg/kg)と比較して、3.0mg/kg及び1.0mg/kgの用量レベルで顕著な(P<0.0001、Mantel−Cox試験)腫瘍遅延をもたらした。
【0188】
NSG(NOD scidガンマ;NOD.Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ)マウスに、動物当たり500万個のU−266細胞を静脈内移植し、多発性骨髄腫の播種性モデルを生成した。腫瘍細胞移植5日後に、治療群当たりn=10のマウスに、抗NTB−A ADCのh20F3−vcMMAE(4)、h20F3−アウリスタチン2(8)、または非結合対照ADCのhIgG−vcMMAE(4)及びhIgG−アウリスタチン2(8)のいずれかの単一腹腔内注射を行った。検査したADC用量レベルは、3.0mg/kg及び1.0mg/kgであった。進行した腫瘍負荷のマウスは、後肢麻痺、頭蓋腫大、及び/または瀕死の症状を示したときに屠殺した。
図8に示されるように、h20F3−vcMMAE(4)ADCは、3.0mg/kg用量レベルの10頭中8頭のマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらした。h20F3−アウリスタチン2(8)ADCは、1.0mg/kg及び3.0mg/kg両方の用量レベルで10頭中10頭の持続的な完全奏功をもたらした。抗NTB−Aアウリスタチン2 ADCは、特に1.0mg/kgの用量レベルで、vcMMAE(4)ADCよりも優れた抗腫瘍活性を有した。
【0189】
NSG(NOD scidガンマ;NOD.Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ)マウスに、動物当たり1000万個のEJM細胞を静脈内移植し、多発性骨髄腫の播種性モデルを生成した。腫瘍細胞移植5日後に、治療群当たりn=10のマウスに、抗NTB−A ADCのh20F3−vcMMAE(4)、h20F3−アウリスタチン2(8)、または非結合対照ADCのhIgG−vcMMAE(4)及びhIgG−アウリスタチン2(8)のいずれかの単一腹腔内注射を行った。検査したADC用量レベルは、3.0mg/kg及び1.0mg/kgであった。進行した腫瘍負荷のマウスは、後肢麻痺、頭蓋腫大、及び/または瀕死の症状を示したときに屠殺した。
図9に示されるように、HDLD h20F3−vcMMAE(4)ADCは、hIgG−vcMMAE(4)対照ADCと比較して、3.0mg/kgの用量レベルで顕著な(P=0.0002、Mantel−Cox試験)腫瘍遅延をもたらした。h20F3−アウリスタチン2(8)ADCは、1.0mg/kg及び3.0mg/kgの用量レベルで10頭中2頭または10頭中9頭の持続的な完全奏功をもたらした。抗NTB−Aアウリスタチン2 ADCは、1.0mg/kg(P=0.0002、Mantel−Cox試験)及び3.0mg/kg(P<0.0001、Mantel−Cox試験)の用量レベルで、vcMMAE(4)ADCよりも著しく優れた抗腫瘍活性を有した。
【0190】
SCID(C.B−17/Sz−Prkdc
scid)マウスに、動物当たり500万個のHNT−34急性骨髄性白血病細胞を皮下移植した。平均腫瘍体積が100mm3に達したとき、治療群当たりn=10のマウスに、抗NTB−A ADCのh20F3−vcMMAE(4)、h20F3−アウリスタチン2(8)、または非結合対照ADCのhIgG−vcMMAE(4)及びhIgG−アウリスタチン2(8)のいずれかの単一腹腔内注射を行った。検査したADC用量レベルは、3.0mg/kg及び1.0mg/kgであった。個々のマウスを、皮下HNT−34腫瘍体積が1,000mm3に達したときに屠殺した。
図10に示すように、vcMMAE(4)及びアウリスタチン2(8)HDLD h20F3 ADCの両方は、HNT−34皮下AMLモデルにおいて極めて活性であった。h20F3−vcMMAE(4)ADCは、それぞれ、1.0mg/kgまたは3.0mg/kgの用量レベルで、10頭中4頭または10頭中9頭のマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらした。h20F3−アウリスタチン2(8)ADCは、1.0mg/kgまたは3.0mg/kgの用量レベルで10頭中3頭または10頭中9頭の持続的な完全奏功をもたらした。
【0191】
実施例9:インビボ非ホジキンリンパ腫異種移植片研究
SCID(C.B−17/Sz−Prkdc
scid)マウスに、動物当たり500万個のRaji非ホジキンリンパ腫細胞を皮下移植した。平均腫瘍体積が100mm
3に達したとき、治療群当たりn=10のマウスに、h20F3ec−1910(2)PBD ADCまたは対照hIgGec−1910(2)PBD ADCの単一腹腔内注射を行った。検査したPBD ADC用量レベルは、100μg/kg、50μg/kg、及び25μg/kgであった。個々のマウスを、皮下Raji腫瘍体積が1,000mm
3に達したときに屠殺した。
図11に示されるように、HDLD h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCは、100μg/kgの用量レベルで全てのマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらした。加えて、h20F3ec−1910(2)PBD ADCは、50ug/kgの用量レベルで6頭中4頭のマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらし、一方、腫瘍成長の遅延は、25ug/kgの用量レベルで観察された。hIgGec−1910(2)対照PBD ADCは、100ug/kgで抗腫瘍活性を有さず、6頭中0頭で完全奏功をもたらした。
【0192】
SCID(C.B−17/Sz−Prkdc
scid)マウスに、動物当たり500万個のWSU−DLCL2非ホジキンリンパ腫細胞を皮下移植した。平均腫瘍体積が100mm
3に達したとき、治療群当たりn=8のマウスに、h20F3ec−1910(2)PBD ADCまたは対照hIgGec−1910(2)PBD ADCの単一腹腔内注射を行った。検査したPBD ADC用量レベルは、100μg/kg、50μg/kg、及び25μg/kgであった。個々のマウスを、皮下WSU−DLCL2腫瘍体積が1,000mm
3に達したときに屠殺した。
図12に示されるように、HDLD h20F3ec−1910(2)PBD二量体ADCは、100μg/kgの用量レベルで8頭中2頭のマウスにおいて持続的な完全奏功をもたらした。25ug/kg及び50ug/kgのより低い用量レベルで、h20F3ec−1910(2)PBD ADCは、未処理マウスと比較して測定可能な腫瘍成長の遅延をもたらした。hIgGec−1910(2)対照PBD ADCは、100ug/kgで抗腫瘍活性を有さず、8頭中0頭で完全奏功をもたらした。
【0193】
配列表
SEQ ID NO:1 is the amino acid sequence of human NTB-A.
MLWLFQSLLFVFCFGPGNVVSQSSLTPLMVNGILGESVTLPLEFPAGEKVNFITWLFNETSLAFIVPHETKSPEIHVTNPKQGKRLNFTQSYSLQLSNLKMEDTGSYRAQISTKTSAKLSSYTLRILRQLRNIQVTNHSQLFQNMTCELHLTCSVEDADDNVSFRWEALGNTLSSQPNLTVSWDPRISSEQDYTCIAENAVSNLSFSVSAQKLCEDVKIQYTDTKMILFMVSGICIVFGFIILLLLVLRKRRDSLSLSTQRTQGPAESARNLEYVSVSPTNNTVYASVTHSNRETEIWTPRENDTITIYSTINHSKESKPTFSRATALDNVV
SEQ ID NO:2 is the amino acid sequence of cynomolgus NTB-A.
MLWLFQSLLFVFCFGPGNLVSQSSSTPLMVNGVLGESVILPLELSAGEMIASITWLCNGTSLAFIEPSETKSPNIRVTHPKQRKRLNFTQSYSLKLSNLEMEDTGSYSAQITTETSVKLSSYTLRIFRQLRSIQVNNYSQLFQNRTCEIHLTCSVEDADDNVSFRWEALGSTLSSEPNITTSWDPRISGEQDYTCIAENAVSNLSFSVSAQKLCGDVKIQYTDTKMILFVVFGICIVTGFIIMLLLVLRKRRDSLPLSTQRTQGPAEPAGNIEYVSVSPVNNTVYASVTHSNRETEISTPIKNATVTIYSTVNHSKESKPTFSRATALDNVV
SEQ ID NO:3 is the amino acid sequence of the mature heavy chain variable region of murine 20F3.
QIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKDLKWMGWINTYSGEPRYADDFKGRFAFSLEKSANTAYLQINNLKNEDMATYFCARDYGRWYFDVWGTGTTVTVSS
SEQ ID NO:4 is the amino acid sequence of the mature heavy chain variable region of humanized 20F3 with no back mutations and with murine CDRs, as defined by Kabat.
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYSGEPRYADDFKGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDYGRWYFDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO:5 is the amino acid sequence of the mature heavy chain variable region of humanized 20F3 HA.
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYSGEPRYADDFKGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDYGRWYFDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO:6 is the amino acid sequence of the mature heavy chain variable region of humanized 20F3 HB.
QIQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYSGEPRYADDFKGRFVFSLDKSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDYGRWYFDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO:7 is the amino acid sequence of the mature heavy chain variable region of humanized 20F3 HC.
QIQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQDLEWMGWINTYSGEPRYADDFKGRFVFSLDKSVNTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDYGRWYFDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO:8 is the amino acid sequence of the mature heavy chain variable region of humanized 20F3 HD.
QIQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQDLKWMGWINTYSGEPRYADDFKGRFVFSLDKSVNTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDYGRWYFDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO:9 is the amino acid sequence of the mature heavy chain variable region of humanized 20F3 HE.
QIQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQDLKWMGWINTYSGEPRYADDFKGRFAFSLDKSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCARDYGRWYFDVWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO:10 is the amino acid sequence of CDR-H1 of murine and humanized 20F3, as defined by Kabat.
NYGMN
SEQ ID NO:11 is the amino acid sequence of CDR-H2 of murine and humanized 20F3, as defined by Kabat.
WINTYSGEPRYADDFKG
SEQ ID NO:12 is the amino acid sequence of CDR-H3 of murine and humanized 20F3, as defined by Kabat.
DYGRWYFDV
SEQ ID NO:13 is the amino acid sequence of the mature light chain variable region of murine 20F3.
QIVLSQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVSHMHWYQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISRVEAEDAATYYCQQWSSTPRTFGGGTKLEIKR
SEQ ID NO:14 is the amino acid sequence of the mature light chain variable region of humanized 20F3 with no back mutations and with murine CDRs, as defined by Kabat.
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASSSVSHMHWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSTPRTFGGGTKVEIKR
SEQ ID NO:15 is the amino acid sequence of the mature light chain variable region of humanized 20F3 LA.
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASSSVSHMHWYQQKPGQAPRLLIYATSNLASGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSTPRTFGGGTKVEIKR
SEQ ID NO:16 is the amino acid sequence of the mature light chain variable region of humanized 20F3 LB.
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASSSVSHMHWYQQKPGQAPRPWIYATSNLASGIPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSTPRTFGGGTKVEIKR
SEQ ID NO:17 is the amino acid sequence of the mature light chain variable region of humanized 20F3 LC.
QIVLSQSPATLSLSPGERATLSCRASSSVSHMHWYQQKPGQAPRPWIYATSNLASGIPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSTPRTFGGGTKVEIKR
SEQ ID NO:18 is the amino acid sequence of the mature light chain variable region of humanized 20F3 LD.
QIVLSQSPATLSLSPGERATMSCRASSSVSHMHWYQQKPGQAPRPWIYATSNLASGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSTPRTFGGGTKVEIKR
SEQ ID NO:19 is the amino acid sequence of CDR-L1 of murine and humanized 20F3, as defined by Kabat.
RASSSVSHMH
SEQ ID NO:20 is the amino acid sequence of CDR-L2 of murine and humanized 20F3, as defined by Kabat.
ATSNLAS
SEQ ID NO:21 is the amino acid sequence of CDR-L3 of murine and humanized 20F3, as defined by Kabat.
QQWSSTPRT
SEQ ID NO:22 is the amino acid sequence of CDR-H1 of murine 20F3, as defined by IMGT.
GYTFTNYG
SEQ ID NO:23 is the amino acid sequence of CDR-H2 of murine 20F3, as defined by IMGT.
INTYSGEP
SEQ ID NO:24 is the amino acid sequence of CDR-H3 of murine 20F3, as defined by IMGT.
ARDYGRWYFDV
SEQ ID NO:25 is the amino acid sequence of CDR-L1 of murine 20F3, as defined by IMGT.
SSVSH
The amino acid sequence of CDR-L2 of murine 20F3, as defined by IMGT is:
ATS
SEQ ID NO:26 is the amino acid sequence of CDR-L3 of murine 20F3, as defined by IMGT.
QQWSSTPRT
SEQ ID NO:27 is the amino acid sequence of a human light chain constant region.
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
SEQ ID NO:28 is the amino acid sequence of a naturally occcuring human heavy chain constant region.
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
SEQ ID NO:29 is the amino acid sequence of a variant human heavy chain constant region (S239C).
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPCVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG