特許第6879984号(P6879984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6879984シューズ用ソール構造及びそれを備えたシューズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879984
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】シューズ用ソール構造及びそれを備えたシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20210524BHJP
   A43B 13/12 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A43B13/14 A
   A43B13/12 A
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-185064(P2018-185064)
(22)【出願日】2018年9月28日
(65)【公開番号】特開2020-54447(P2020-54447A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】岸本 諭
(72)【発明者】
【氏名】松井 彰吾
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/058419(WO,A1)
【文献】 特開2000−083705(JP,A)
【文献】 特表2015−529136(JP,A)
【文献】 特開2018−000423(JP,A)
【文献】 特開2000−201703(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0010863(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0093920(US,A1)
【文献】 特表2018−534028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/14
A43B 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質弾性材によって形成され、上面がシューズ着用者の足裏を支持する足裏支持面となるミッドソールと、
上記ミッドソールよりも硬度の高い弾性材によって形成され、下面が接地面となるアウトソールとを備えたシューズ用ソール構造であって、
上記ミッドソールよりも弾性率の高い弾性材によって形成され、上記アウトソールの上方において上記ミッドソールの下側に積層される薄板状のプレートと、
軟質弾性材によって形成され、少なくとも上記シューズの後足部領域において上記プレートの下面に当接するように上記アウトソールの上側に積層された緩衝体とを備え、
上記プレートは、
前後方向において、上記シューズ着用者の足の踵骨に対応する位置から少なくとも第1趾節間関節に対応する位置まで延び、
上記シューズの後足部領域において、上記ミッドソールと上記緩衝体とに挟まれ、
上記シューズの前足部領域において、上記ミッドソールと上記アウトソールとに挟まれ、
上記シューズの中足部領域において、少なくとも一部分が上記接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分となるように構成され
上記プレートの上記露出部分は、上記シューズの足幅方向の中央部分において上記シューズの中足部領域から上記シューズの後足部領域に亘るように形成されている
ことを特徴とするシューズ用ソール構造。
【請求項2】
請求項1において、
上記プレートには、少なくとも上記シューズの中足部領域において、上面から上方へ又は下面から下方へ突出又は隆起する少なくとも1つの凸部が形成されている
ことを特徴とするシューズ用ソール構造。
【請求項3】
請求項2において、
上記プレートの上記露出部分には、上記凸部が少なくとも1つ形成されている
ことを特徴とするシューズ用ソール構造。
【請求項4】
請求項2又は3において、
上記凸部は、前後方向に延びる線状凸部である
ことを特徴とするシューズ用ソール構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
上記緩衝体は、上記シューズの後足部領域から中足部領域に亘るように形成され、
上記緩衝体には、上下方向に貫通する開口部が形成され、該開口部によって上記プレートの上記露出部分が形成されている
ことを特徴とするシューズ用ソール構造。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
上記緩衝体は、上記後足部領域にのみ設けられている
ことを特徴とするシューズ用ソール構造。
【請求項7】
請求項6において、
上記緩衝体の足幅方向の中央部分に上下方向に貫通する開口部が形成されている
ことを特徴とするシューズ用ソール構造。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載のシューズ用ソール構造を備えるシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズ用ソール構造及びそれを備えたシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、運動中のシューズ着用者の足に対する負担が軽減されるように考慮されたシューズ用ソール構造として、例えば、下記の特許文献1のようなソール構造が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のソール構造は、樹脂の非発泡体からなるベースプレートの下方に、樹脂の発泡体からなる緩衝要素とこの緩衝要素の下面に接合されたアウターソールとで構成される複数の緩衝モジュールを設けている。上記ソール構造では、ベースプレートを所定の剛性が確保されるように構成することで足裏を安定した状態で保持できるようにすると共に、ベースプレートの下方に複数の緩衝モジュールを設けることで着地時にシューズ着用者の足にかかる衝撃を緩和できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特第4886260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、シューズ用ソール構造には、スポーツ競技者が走行時に高い走速度と加速力を得るために、路面を蹴り出す蹴り出し動作を補助する機能を兼ね備えることが求められる傾向にある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のソール構造では、シューズ着用者の足の足裏の安定性と着地時の衝撃緩衝性を確保するための工夫は施されているものの、シューズ着用者の蹴り出し動作を補助する機能を付加することについては何ら考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、足裏の安定性及び着地時の衝撃緩衝性を有すると共に、蹴り出し動作を補助する機能を兼ね備えたシューズ用ソール構造及びそれを備えたシューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の形態は、軟質弾性材によって形成され、上面がシューズ着用者の足裏を支持する足裏支持面となるミッドソールと、上記ミッドソールよりも硬度の高い弾性材によって形成され、下面が接地面となるアウトソールとを備えたシューズ用ソール構造であって、上記ミッドソールよりも弾性率の高い弾性材によって形成され、上記アウトソールの上方において上記ミッドソールの下側に積層される薄板状のプレートと、軟質弾性材によって形成され、少なくとも上記シューズの後足部領域において上記プレートの下面に当接するように上記アウトソールの上側に積層された緩衝体とを備え、上記プレートは、前後方向において、上記シューズ着用者の足の踵骨に対応する位置から少なくとも第1趾節間関節に対応する位置まで延び、上記シューズの後足部領域において、上記ミッドソールと上記緩衝体とに挟まれ、上記シューズの前足部領域において、上記ミッドソールと上記アウトソールとに挟まれ、上記シューズの中足部領域において、少なくとも一部分が上記接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分となるように構成され、上記プレートの上記露出部分は、上記シューズの足幅方向の中央部分において上記シューズの中足部領域から上記シューズの後足部領域に亘るように形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
第1の形態のソール構造では、ミッドソールとアウトソールの間に、ミッドソールよりも弾性率の高い弾性材によって形成され、シューズ着用者の足裏に対応するように前後方向に長く延びる薄板状のプレートが設けられている。このようなプレートを設けることにより、シューズ着用者の足裏を安定して支持することが可能になる。
【0010】
また、第1の形態のソール構造では、ミッドソールとアウトソールの間に、少なくとも後足部領域においてプレートの下面に当接するように、軟質弾性材によって形成された緩衝体が設けられている。そのため、着地時に軟質弾性材からなる緩衝体が歪むことによって路面に作用する荷重が低減され、その反作用として路面からソール構造を介してシューズ着用者の足裏に作用する荷重も低減される。また、このような緩衝体を前後方向に長く延びるプレートの下面に当接するように設けることにより、着地時に路面からの反作用でソール構造を介してシューズ着用者の足裏に作用する荷重がプレートによって分散されるため、特定の部分に荷重が集中しない。つまり、上記構成により、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和することができる。
【0011】
さらに、第1の形態のソール構造では、ミッドソールよりも弾性率の高い弾性材からなる薄板状のプレートを、シューズ着用者の足の踵骨に対応する位置から少なくとも第1趾節間関節に対応する位置まで前方へ長く延ばすこととした。また、上記ソール構造では、このように前方に長く延ばしたプレートを、後足部領域では路面から離れた緩衝体の上に設ける一方、前足部領域では路面に近いアウトソールの直上に設け、中足部領域では少なくとも一部分が、下面が接地面よりも上方の位置で露出した露出部分となるように構成することとした。つまり、上記ソール構造では、プレートを前方に長く延ばした上で、中足部領域では、プレートの少なくとも一部分を下面が露出した露出部分に構成することで、下方へのある程度の撓みを許容する構成とする一方、前足部領域では、ソール構造が下方へ撓む際に曲率中心から遠く大きな張力が作用するアウトソールの直上にプレートを配置することにより、下方に撓み難くなるように構成している。このような構成により、プレートは、シューズ着用者が路面を蹴り出す蹴り出し動作の際に、中足趾節関節(MP関節)の屈曲に伴って該中足趾節関節に対応する位置で局所的に屈曲するのではなく、着地後、蹴り出し動作までの間のシューズ着用者の体重移動に伴って全体が大きく撓ることとなる。このようにプレートが大きく撓ることにより、その弾性変形による復元力が大きくなり、その大きな復元力によってシューズ着用者が路面を蹴り出す力が増大する。つまり、シューズ着用者は、走行中に路面を力強く蹴り出すことができるため、高い走速度と加速力を得ることができる。
【0012】
以上のように、第1の形態によれば、足裏の安定性及び接地時の衝撃緩衝性を有すると共に、蹴り出し動作を補助する機能を兼ね備えたソール構造を提供することができる。
【0013】
第2の形態は、第1の形態において、上記プレートには、少なくとも上記シューズの中足部領域において、上面から上方へ又は下面から下方へ突出又は隆起する少なくとも1つの凸部が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
ところで、通常、ソール構造の中足部領域は、人の足の形状に対応して前足部領域や後足部領域に比べて幅が狭く、屈曲剛性が低い。
【0015】
そこで、第2の形態のソール構造では、プレートの少なくとも中足部領域に、少なくとも1つの凸部を形成することにより、プレートの中足部領域の屈曲剛性を高めることとした。このような構成により、プレートの中足部領域での局所的な折れ曲がりを抑制することができる。
【0016】
第3の形態は、第2の形態において、上記プレートの上記露出部分には、上記凸部が少なくとも1つ形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の形態のソール構造では、下方に撓み易くなるように構成したプレートの露出部分に、少なくとも1つの凸部を形成することにより、露出部分の屈曲剛性を高めることとした。このような構成により、プレートの露出部分における過度な変形を抑制することができる。
【0018】
第4の形態は、第2又は第3の形態において、上記凸部は、前後方向に延びる線状凸部であることを特徴とするものである。
【0019】
第4の形態のソール構造では、プレートの屈曲剛性を高めるための凸部を、前後方向に延びる線状凸部で構成することとした。このような構成により、プレートの屈曲剛性をより高めることができる。
【0020】
第5の形態は、第1乃至第4のいずれか1つの形態において、上記緩衝体は、上記シューズの後足部領域から中足部領域に亘るように形成され、上記緩衝体には、上下方向に貫通する開口部が形成され、該開口部によって上記プレートの上記露出部分が形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
ところで、後足部(踵部)から着地するヒールストライク走法が一般的であるが、高速ランナーの中には、中足部の外甲側部分から着地するミッドフット走法で走行するランナーもいる。
【0022】
第5の形態のソール構造では、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和する緩衝体が、後足部領域から中足部領域に亘るように形成されている。このような構成によれば、後足部から着地する場合であっても中足部から着地する場合であっても、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和することができる。
【0023】
また、第5の形態のソール構造では、後足部領域だけでなく中足部領域まで緩衝体を設けると、ソール構造の重量が増加し、走行性を阻害しかねないところ、緩衝体に開口部を形成することでソール構造の軽量化を図っている。また、このような開口部を形成することにより、着地時に緩衝体が歪み易くなる。つまり、緩衝体のクッション性が向上する。従って、上記ソール構造によれば、重量増加を抑制しつつ、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃をより緩和することができる。
【0024】
第6の形態は、第1乃至第4のいずれか1つの形態において、上記緩衝体は、上記後足部領域にのみ設けられていることを特徴とするものである。
【0025】
第6の形態のソール構造では、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和する緩衝体が、後足部領域にのみ設けられている。つまり、上記ソール構造では、中足部領域には、下方への撓みを阻害する緩衝体が設けられていない。よって、上記ソール構造によれば、プレートが中足部領域においてより撓み易くなり、走行時にシューズ着用者が路面を蹴り出す力をより増大させることができる。
【0026】
第7の形態は、第6の形態において、上記緩衝体の足幅方向の中央部分に上下方向に貫通する開口部が形成されていることを特徴とするものである。
【0027】
第7の形態のソール構造では、シューズの後足部領域に設けられた緩衝体の足幅方向の中央部分に開口部が形成されている。このような開口部を緩衝体に形成することにより、ソール構造の軽量化を図ることができる。また、このような開口部を緩衝体に形成することにより、着地時に緩衝体が歪み易くなる。つまり、緩衝体のクッション性が向上する。従って、上記ソール構造によれば、軽量化を図りつつ、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃をより緩和することができる。
【0028】
第8の形態は、第1乃至第7のいずれか1つの形態のシューズ用ソール構造を備えるシューズである。
【0029】
第8の形態によれば、上記第1乃至第7の形態と同様の作用効果を奏するシューズを得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明によると、足裏の安定性及び着地時の衝撃緩衝性を有すると共に、蹴り出し動作を補助する機能を兼ね備えたシューズ用ソール構造及びそれを備えたシューズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施形態1に係るシューズ用ソール構造を備えたシューズを外甲側から視た側面図である。
図2図2は、図1のソール構造の底面図である。
図3図3は、図2のIII−III線断面図である。
図4図4は、図2のIV−IV線断面図である。
図5図5は、図2のV−V線断面図である。
図6図6は、図2のVI−VI線断面図である。
図7図7は、図2のVII−VII線断面図である。
図8図8は、ミッドソールの底面図である。
図9図9は、ミッドソールとプレートとを積層した状態の底面図である。
図10図10は、ミッドソールとプレートと緩衝体とを積層した状態の底面図である。
図11図11は、プレートの平面図であり、シューズ着用者の足の骨格構造とソール構造の外形とを仮想的に示すものである。
図12図12は、実施形態1の変形例に係るシューズ用ソール構造の底面図である。
図13図13は、実施形態2に係るシューズ用ソール構造を備えたシューズを外甲側から視た側面図である。
図14図14は、図13のソール構造を上方から視た斜視図である。
図15図15は、図13のソール構造を下方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0033】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るソール構造1を備えたシューズSの左足側部分を示している。なお、本発明は、ランナーや各種スポーツ競技者に着用されるスポーツシューズに適用可能であるが、ここでは、ランニング用のシューズSについて説明する。
【0034】
シューズSは、図1に示す左足側部分と、この左足側部分と左右対称形状の右足側部分(図示省略)とで構成されている。以下の説明では、シューズSの左足側部分とそのソール構造1のみについて説明し、シューズSの右脚側部分とそのソール構造1についての説明を省略する。
【0035】
また、以下の説明では、上方(上側)及び下方(下側)とは、シューズS及びソール構造1の上下方向の位置関係を表すものとする。前方(前側)及び後方(後側)とは、シューズS及びソール構造1の足長方向の位置関係を表すものとする。内甲側及び外甲側とは、シューズS及びソール構造1の足幅方向の位置関係を表すものとする。
【0036】
さらに、図2図3及び図11では、シューズ着用者の足の前足部(基節骨、中節骨及び末節骨を含む部分)に対応するシューズSの前足部領域を符号Fにより示し、シューズ着用者の足の中足部(立方骨、舟状骨、楔状骨及び中足骨を含む部分)に対応するシューズSの中足部領域を符号Mにより示し、シューズ着用者の足の後足部(踵骨及び距骨を含む部分)に対応するシューズSの後足部領域を符号Hにより示すものとする。
【0037】
シューズSは、ソール構造1と、その上に配置されるアッパー(甲被部)2とを備えている。なお、図1では、アッパー2の概略形状のみを示している。アッパー2は、シューズ着用者の足の甲を被覆できるものであればいかなる形態であってもよい。
【0038】
〈ソール構造〉
図1図11に示すように、ソール構造1は、ミッドソール10と、プレート20と、緩衝体30と、アウトソール40とを備えている。ミッドソール10とプレート20と緩衝体30とアウトソール40とは、上方から下方へこの順で積層されている。なお、図2図9及び図10では、プレート20を強調して示すためにドットによるハッチングを付している。
【0039】
[ミッドソール]
ミッドソール10は、図1及び図3に示すように、ソール構造1の前端部から後端部に亘るように形成されている。ミッドソール10の上面には、アッパー2が固定されている。
【0040】
ミッドソール10は、後述するアウトソール40よりも硬度が低い軟質の弾性材によって形成されている。具体的には、ミッドソール10の材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体等が適している。ミッドソール10の硬度は、アスカーCスケールで、例えば、40C〜60C(具体的には、55C)に設定されているのが好ましい。
【0041】
ミッドソール10の上面は、シューズ着用者の足の足裏面に沿うように湾曲形状に形成され、インソール(図示省略)を介してシューズ着用者の足の足裏面を支持する足裏支持面11となる。
【0042】
図8は、ミッドソール10を下方から視た図である。図8に示すように、ミッドソール10の下面には、後述するプレート20を収容するための収容凹部12が形成されている。収容凹部12は、ミッドソール10の下面においてプレート20に対応する位置及び大きさに形成されている。収容凹部12は、ミッドソール10の下面の一部分を上方へ凹ませることによって形成されている。
【0043】
本実施形態1では、収容凹部12は、前後方向において前側の前側凹部12aと後側の後側凹部12bとによって形成されている。前側凹部12aは、シューズSの前足部領域Fから中足部領域Mに亘って形成され、後側凹部12bは、シューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘って形成されている。後側凹部12bは、前側凹部12aよりも深さが深く、前側凹部12aと後側凹部12bとの間には、段差部12cが形成されている。段差部12cは、ミッドソール10の下面において足幅方向に延び、内甲側から外甲側に向かうほど、前後方向の後側に位置するように形成されている。
【0044】
ミッドソール10の下面において、収容凹部12を取り囲む外縁部13は、前後方向において前側の前側外縁部13aと後側の後側外縁部13bとによって形成されている。前側外縁部13aは、前側凹部12aを取り囲み、後側外縁部13bは、後側凹部12bを取り囲んでいる。後側外縁部13bの下面は、前側外縁部13aの下面よりも上方に位置し、前側外縁部13aと後側外縁部13bとの間には、前側凹部12aと後側凹部12bとの間の段差部12cに対応して延びる段差部13cが形成されている。内甲側の段差部13cは、前後方向において収容凹部12の段差部12cの内甲側の端部よりも僅かに後側に形成されている。外甲側の段差部13cは、前後方向において収容凹部12の段差部12cの外甲側の端部よりも僅かに後側に形成されている。
【0045】
[プレート]
プレート20は、図1図3及び図11に示すように、前後方向においてシューズSの前足部領域Fから後足部領域Hに亘るように形成されている。また、図4図7及び図9に示すように、プレート20は、足幅方向においてミッドソール10の内甲側端部から外甲側端部に亘るように形成されている。図9に示すように、プレート20は、ミッドソール10の外形に応じた外形に形成され、シューズSの前足部領域Fで最も幅が広くなり、中足部領域Mで最も幅が狭くなるように形成されている。
【0046】
プレート20は、ミッドソール10よりも弾性率の高い硬質の弾性材によって薄板状に形成されている。具体的には、プレート20の材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアミドエラストマー(PAE)、ポリアミド等の熱可塑性合成樹脂や、これらの樹脂にグラスファイバー、カーボンファイバー等の繊維材料を添加したものが適している。また、プレート20は、上述の熱可塑性樹脂材料(繊維材料が添加されたものを含む)を射出成形することによって得られる射出成形物である。プレート20の曲げ弾性率は、例えば、100MPa〜300MPa(具体的には、390MPa)に設定されているのが好ましい。
【0047】
なお、プレート20は、熱硬化性の繊維強化プラスチック材を熱プレス成形することによって得られる熱プレス成形物であってもよく、熱可塑性の繊維強化プラスチック材又は樹脂シート材を熱プレス成形することによって得られる熱プレス成形物であってもよい。
【0048】
図9に示すように、プレート20は、前後方向において前側の前側プレート21と後側の後側プレート22とによって形成されている。前側プレート21は、シューズSの前足部領域Fから中足部領域Mに亘って形成され、後側プレート22は、シューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘って形成されている。前側プレート21は、ミッドソール10の収容凹部12の前側凹部12aに収容され、後側プレート22は、ミッドソール10の収容凹部12の後側凹部12bに収容されている。
【0049】
前側プレート21と後側プレート22とは、前側プレート21の後端部の上に後側プレート22の前端部が重なるように一体に成形されている。このような構成により、前側プレート21と後側プレート22との間には、段差部23が形成されている。段差部23は、プレート20において足幅方向の内甲側端から外甲側端まで延び、内甲側から外甲側に向かうほど、前後方向の後側に位置するように形成されている。
【0050】
前側プレート21は、後述するアウトソール40よりも薄い孔のない薄板状に形成され、前端部が後端部よりも上方に位置する下側に凸の湾曲形状に形成されている。一方、後側プレート22は、前側プレート21と同様に、孔のない薄板状に形成され、後端部が前端部よりも上方に位置する上側に凸の湾曲形状に形成されている。このように湾曲した前側プレート21と後側プレート22とにより、プレート20は、図3に示すように、略S字状に形成されている。
【0051】
また、図9に示すように、後側プレート22の一部分は、剛性を高めた補強部24に構成されている。補強部24は、シューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘って前後方向に長く形成されている。本実施形態では、補強部24は、複数の突起25a(凸部25)と、複数の隆起部25b(凸部25)とを有している。
【0052】
各突起25aは、後側プレート22の下面から下方に突出するように形成されている。複数の突起25aは、環状に形成された環状突起25aと、前後方向に線状に延びる複数の線状突起25a(線状凸部)とで構成されている。
【0053】
環状突起25aは、後側プレート22の足幅方向の中央部分において、シューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘るように形成されている。環状突起25aは、前後方向の前側から後側へ向かって外甲側へ膨らむ三日月形状に形成されている。
【0054】
複数の線状突起25aは、環状の突起25aの内側に形成されている。複数の線状突起25aは、前後方向の前側から後側へ向かって外甲側へ膨らむように湾曲して延びる複数の湾曲突起25aと、前後方向の前側から後側へ向かうほど、足幅方向の内甲側に位置するように直線状に延びる複数の直線突起25aとで構成されている。複数の湾曲突起25aと複数の直線突起25aとは、互いに交差し、格子状に形成されている。
【0055】
各隆起部25bは、複数の線状突起25aで囲まれた部分が、後側プレート22の上面から上方に隆起することによって形成されている。
【0056】
このように後側プレート22の下面から下方に突出する複数の突起25a(凸部25)と、後側プレート22の上面から上方に突出する複数の隆起部25b(凸部25)とにより、プレート20は、補強部24において剛性が高まるように構成されている。
【0057】
[緩衝体]
緩衝体30は、図3に示すように、前後方向においてシューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘るように形成されている。具体的には、緩衝体30は、前後方向において、ミッドソール10の外縁部13の段差部13c及びプレート20の段差部23の位置からミッドソール10の後端よりも前後方向の後側まで延びている。また、図5図7及び図10に示すように、緩衝体30は、足幅方向においてミッドソール10の内甲側端部から外甲側端部に亘るように形成されている。
【0058】
緩衝体30は、軟質弾性材によって形成され、鉛直方向の衝撃を弾性歪みによって吸収可能に構成されている。具体的には、緩衝体30の材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂の発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体等が適している。そして、緩衝体30の硬度は、アスカーCスケールで、例えば、50Cに設定されているのが好ましい。このような軟質弾性材で形成することにより、緩衝体30は、着地時において、特にシューズ着用者の足の踵部(図3に示した踵骨HL)に対する鉛直方向の衝撃を緩和することが可能となる。
【0059】
図5図7に示すように、緩衝体30は、前後方向の前側から後側へ向かって外縁部の厚み(上下方向の厚さ)が増すように形成されている。また、図3及び図10に示すように、緩衝体30は、前端がミッドソール10の外縁部13の段差部13cとプレート20の段差部23とに当接し、後端部の厚みのある外縁部がミッドソール10の後端部を包み込むように設けられている。緩衝体30は、上面をミッドソール10の下面の後側外縁部13bと後側凹部12bに収容されたプレート20の後側プレート22の下面とに当接させた状態で接着剤等によってミッドソール10及びプレート20と接合されている。
【0060】
図10に示すように、緩衝体30には、開口部31が形成されている。開口部31は、緩衝体30の足幅方向の中央部分において、シューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘って延びている。本実施形態1では、開口部31は、前後方向の前側から後側へ向かって外甲側へ膨らむ三日月形状に形成されている。この開口部31により、シューズSの中足部領域Mにおいて、プレート20は、少なくとも一部分が後述するアウトソール40の接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分に構成されることとなる。なお、本実施形態1では、シューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘って延びる開口部31により、プレート20の露出部分もシューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘って延びることとなる。
【0061】
また、本実施形態1では、開口部31は、プレート20の補強部24に対応する位置に形成されている。つまり、本実施形態1では、プレート20の補強部24が、後述するアウトソール40の接地面よりも上方の位置で下面が露出したプレート20の露出部分に構成されている。
【0062】
また、緩衝体30の下面には、アウトソール40を収容する収容凹部32が形成されている。収容凹部32は、緩衝体30の下面において、シューズSの中足部領域Mに1つ、後足部領域Hに2つ形成されている。
【0063】
[アウトソール]
図2に示すように、アウトソール40は、3つの部分41〜43で構成されている。第1部分41は、シューズSの前足部領域Fから中足部領域Mに亘って設けられている。第2部分42及び第3部分43は、シューズSの後足部領域Hに設けられている。第1部分41は、上面がミッドソール10の下面とプレート20の前側プレート21の下面と緩衝体30の収容凹部32の底面とに当接するように設けられている。第2部分42及び第3部分43は、上面が緩衝体30の収容凹部32の底面に当接するように設けられている。
【0064】
アウトソール40は、ミッドソール10よりも硬度の高い硬質の弾性材によって構成されている。具体的には、アウトソール40の材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂、又はブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材が適している。アウトソール40の硬度は、ショアAスケールで、例えば、40A〜90A(より好ましくは、60A〜70A)に設定されているのが好ましい。
【0065】
このようにミッドソール10よりも硬度の高い硬質の弾性材によって構成されたアウトソール40の下面が、歩行時又は走行時に路面に接地する接地面となる。
【0066】
−詳細な配置構成−
以上のように、ソール構造1は、ミッドソール10と、プレート20と、緩衝体30と、アウトソール40とが、上方から下方へこの順で積層されて構成されている。
【0067】
また、ソール構造1では、図3及び図11に示すように、略S字状に形成されたプレート20が、前後方向においてシューズ着用者の足の踵骨HLに対応する位置から少なくとも第1趾節間関節J1に対応する位置まで延びるように形成されている。
【0068】
ここで、「第1趾節間関節J1に対応する位置」には、第1趾節間関節J1よりも後方の近傍位置も含まれることとする。
【0069】
なお、本実施形態1では、プレート20は、前端がシューズ着用者の足の第1趾の先端部に対応する位置付近に配置されるように設けられている。
【0070】
そして、このように前後方向に長く、略S字状に形成されたプレート20は、図3及び図4に示すように、シューズSの前足部領域Fでは、ミッドソール10の下面とアウトソール40(第1部分41)の上面との間に挟まれている。
【0071】
一方、図3図6及び図7に示すように、プレート20は、シューズSの後足部領域Hでは、ミッドソール10の下面と緩衝体30の上面との間に挟まれている。
【0072】
さらに、図2及び図5に示すように、プレート20は、シューズSの中足部領域Mでは、少なくとも一部分が接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分に構成されている。プレート20の露出部分は、下側に緩衝体30が積層されず、路面から浮いており、下側に緩衝体30が積層された部分に比べて下側に撓み易い構成となる。また、本実施形態1では、上述のように、緩衝体30に形成された三日月形状の開口部31により、プレート20に、三日月形状の接地面より上方において下面が露出した露出部分が形成されることとなる。
【0073】
また、本実施形態1のソール構造1では、プレート20は、複数の突起25a(凸部25)と、複数の隆起部25b(凸部25)とを有する補強部24が、シューズSの中足部領域Mから後足部領域Hに亘って形成されている。このような補強部24により、上記ソール構造1では、プレート20には、シューズSの中足部領域Mにおいて、上面から上方へ又は下面から下方へ突出又は隆起する少なくとも1つの凸部25が形成されることとなる。
【0074】
さらに、本実施形態1のソール構造1では、図2図5図7及び図10に示すように、緩衝体30において、開口部31が、プレート20の補強部24に対応する位置に形成されている。そのため、上記ソール構造1では、プレート20において剛性が高められた補強部24は、接地面より上方において下面が露出したプレート20の露出部分となる。上述のように、補強部24は、複数の凸部25を有するため、上記ソール構造1は、プレート20の露出部分に少なくとも1つの凸部25が形成された構成となる。
【0075】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1のソール構造1によれば、ミッドソール10とアウトソール40の間に、ミッドソール10よりも弾性率の高い弾性材によって形成され、シューズ着用者の足裏に対応するように前後方向に長く延びる薄板状のプレート20が設けられている。このようなプレート20を設けることにより、シューズ着用者の足裏を安定して支持することが可能になる。
【0076】
また、本実施形態1のソール構造1では、ミッドソール10とアウトソール40の間に、少なくとも後足部領域Hにおいてプレート20の下面に当接するように、軟質弾性材によって形成された緩衝体30が設けられている。そのため、着地時に軟質弾性材からなる緩衝体30が歪むことによって路面に作用する荷重が低減され、その反作用として路面からソール構造1を介してシューズ着用者の足裏に作用する荷重も低減される。また、このような緩衝体30を前後方向に長く延びるプレート20の下面に当接するように設けることにより、着地時に路面からの反作用でソール構造1を介してシューズ着用者の足裏に作用する荷重がプレート20によって分散されるため、特定の部分に荷重が集中しない。つまり、上記構成により、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和することができる。
【0077】
さらに、本実施形態1のソール構造1では、ミッドソール10よりも弾性率の高い弾性材からなる薄板状のプレート20を、シューズ着用者の足の踵骨HLに対応する位置から少なくとも第1趾節間関節J1に対応する位置まで前方へ長く延ばすこととした。また、上記ソール構造1では、このように前方に長く延ばしたプレート20を、後足部領域Hでは路面から離れた緩衝体30の上に設ける一方、前足部領域Fでは路面に近いアウトソール40の直上に設け、中足部領域Mでは少なくとも一部分が、下面が接地面よりも上方の位置で露出した露出部分となるように構成することとした。つまり、上記ソール構造1では、プレート20を前方に長く延ばした上で、中足部領域Mでは、プレート20の少なくとも一部分を下面が露出した露出部分に構成することで、下方へのある程度の撓みを許容する構成とする一方、前足部領域Fでは、ソール構造1が下方へ撓む際に曲率中心から遠く大きな張力が作用するアウトソール40の直上にプレート20を配置することにより、下方に撓み難くなるように構成している。このような構成により、プレート20は、シューズ着用者が路面を蹴り出す蹴り出し動作の際に、中足趾節関節MPの屈曲に伴って該中足趾節関節MPに対応する位置で局所的に屈曲するのではなく、着地後、蹴り出し動作までの間のシューズ着用者の体重移動に伴って全体が大きく撓ることとなる。このようにプレート20が大きく撓ることにより、その弾性変形による復元力が大きくなり、その大きな復元力によってシューズ着用者が路面を蹴り出す力が増大する。つまり、シューズ着用者は、走行中に路面を力強く蹴り出すことができるため、高い走速度と加速力を得ることができる。
【0078】
以上のように、本実施形態1のソール構造1によれば、足裏の安定性及び接地時の衝撃緩衝性を有すると共に、蹴り出し動作を補助する機能を兼ね備えたソール構造1を提供することができる。
【0079】
ところで、通常、ソール構造1の中足部領域Mは、人の足の形状に対応して前足部領域Fや後足部領域Hに比べて幅が狭く、屈曲剛性が低い。
【0080】
そこで、本実施形態1のソール構造1では、プレート20の少なくとも中足部領域Mに、上面から上方へ又は下面から下方へ突出又は隆起する少なくとも1つの凸部25を形成することにより、プレート20の中足部領域Mの屈曲剛性を高めることとした。このような構成により、プレート20の中足部領域Mでの局所的な折れ曲がりを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態1のソール構造1では、下方に撓み易くなるように構成したプレート20の露出部分に、少なくとも1つの凸部25を形成することにより、露出部分の屈曲剛性を高めることとした。このような構成により、プレート20の露出部分における過度な変形を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態1のソール構造1では、プレート20の屈曲剛性を高めるための凸部25を、前後方向に延びる線状凸部で構成することとした。このような構成により、プレート20の屈曲剛性をより高めることができる。
【0083】
ところで、走法として、後足部(踵部)から着地するヒールストライク走法が一般的であるが、高速ランナーの中には、中足部の外甲側部分から着地するミッドフット走法で走行するランナーもいる。
【0084】
そこで、本実施形態1のソール構造1では、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和する緩衝体30が、後足部領域Hから中足部領域Mに亘るように形成されている。このような構成によれば、後足部から着地する場合であっても中足部から着地する場合であっても、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和することができる。
【0085】
また、本実施形態1のソール構造1では、後足部領域Hだけでなく中足部領域Mまで緩衝体30を設けると、ソール構造1の重量が増加し、走行性を阻害しかねないところ、緩衝体30に開口部31を形成することでソール構造1の軽量化を図っている。また、このような開口部31を形成することにより、着地時に緩衝体30が歪み易くなる。つまり、緩衝体30のクッション性が向上する。従って、上記ソール構造1によれば、重量増加を抑制しつつ、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃をより緩和することができる。
【0086】
また、本実施形態1のソール構造1を備えたシューズSにおいても、上述の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0087】
−実施形態1の変形例−
図12は、本発明の実施形態1の変形例に係るソール構造1の底面を示している。変形例に係るソール構造1は、実施形態1のソール構造1の緩衝体30の開口部31とプレート20の補強部24の形状を変更したものである。
【0088】
具体的には、実施形態1の変形例では、緩衝体30の開口部31は、後足部領域Hの足幅方向の中央部分、中足部領域Mの足幅方向の中央部分から内甲側に亘って形成されている。このような開口部31により、実施形態1において略O字形状に形成されていた緩衝体30は、変形例では、略J字形状に形成されている。
【0089】
また、プレート20には、開口部31により、後足部領域Hの足幅方向の中央部分、中足部領域Mの足幅方向の中央部分から内甲側に亘って、接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分が形成されることとなる。そして、実施形態1の変形例では、このプレート20の露出部分が剛性を高めた補強部24に構成されている。
【0090】
実施形態1の変形例のソール構造1によっても、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。また、実施形態1の変形例のソール構造1によれば、シューズSの中足部領域Mにおいてプレート20がより撓み易い構成となる。従って、上記ソール構造1によれば、走行時にシューズ着用者が路面を蹴り出す力をより増大させることができる。また、緩衝体30の開口部31が実施形態1よりも大きく形成されているため、上記ソール構造1によれば、軽量化をより図りつつ、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃をより緩和することができる。
【0091】
《発明の実施形態2》
図13図15は、本発明の実施形態2に係るソール構造1を備えたシューズSの左足側部分を示している。これらの図において、実施形態1と同一の符号は、同一又は対応する部分を示している。
【0092】
〈ソール構造〉
図13図15に示すように、実施形態2においても、ソール構造1は、ミッドソール10と、プレート20と、緩衝体30と、アウトソール40とを備えている。ミッドソール10とプレート20と緩衝体30とアウトソール40とは、上方から下方へこの順で積層されている。なお、図13図15では、プレート20を強調して示すためにドットによるハッチングを付している。
【0093】
[ミッドソール]
ミッドソール10は、図13及び図14に示すように、ソール構造1の前端部から後端部に亘るように形成されている。ミッドソール10の上面には、アッパー2が固定されている。なお、ミッドソール10の材料は、実施形態1と同様である。
【0094】
実施形態2においても、ミッドソール10の上面は、シューズ着用者の足の足裏面に沿うように湾曲形状に形成され、インソール(図示省略)を介してシューズ着用者の足の足裏面を支持する足裏支持面11となる。一方、実施形態2では、ミッドソール10の下面には、プレート20を収容するための収容凹部は形成されていない。
【0095】
[プレート]
実施形態2においても、プレート20は、図13図15に示すように、前後方向においてシューズSの前足部領域Fから後足部領域Hに亘るように形成されている。また、プレート20は、足幅方向においてミッドソール10の内甲側端部から外甲側端部に亘るように形成されている。具体的には、実施形態2では、プレート20は、外形がミッドソール10の下面の外形と略等しくなるように形成されている。プレート20の材料は、実施形態1と同様である。
【0096】
実施形態2では、プレート20は、前端から後端に向かって段差のない略S字状に湾曲したプレート本体26と、プレート本体26と一体に形成された2つの立ち上がり部28とを有している。プレート本体26は、アウトソール40よりも薄い孔のない薄板状に形成されている。
【0097】
2つの巻き上がり部28は、プレート本体26の足幅方向の両縁部からそれぞれ上方へ向かって折り曲げられるように立ち上げられた薄板片によって形成されている。2つの巻き上がり部28は、中足部領域Mから後足部領域Hに亘って形成されている。
【0098】
また、プレート本体26には、中足部領域Mの足幅方向の両端部(内甲側端部と外甲側端部)に、下方に向かって隆起する隆起部25c(凸部25)が形成されている。2つの隆起部25cは、前後方向に延びる線状凸部に構成されている。
【0099】
[緩衝体]
実施形態2では、緩衝体30は、図15に示すように、後足部領域Hにのみ設けられている。また、緩衝体30は、足幅方向の中央部分に上下方向に貫通する開口部33により、馬蹄形状(U字形状)に形成されている。緩衝体30は、後足部領域Hにおいてプレート20の下面に当接するように設けられ、厚みのある外縁部がミッドソール10の後端部を包み込むように設けられている。なお、緩衝体30の材料は、実施形態1と同様である。
【0100】
[アウトソール]
図15に示すように、アウトソール40は、2つの部分44,45で構成されている。第1部分44は、シューズSの前足部領域Fから中足部領域Mに亘って設けられている。第2部分45は、シューズSの後足部領域Hに設けられている。なお、アウトソールの材料は、実施形態1と同様である。
【0101】
第1部分44は、上面がプレート20のプレート本体26の下面に当接するように設けられている。第1部分44は、前後方向の後端から中央付近にかけて足幅方向の中央部分に切り欠き部46が形成されている。この切り欠き部46により、第1部分44は、略U字形状に形成されている。
【0102】
一方、第2部分45は、上面が緩衝体30の下面に当接するように設けられている。第2部分45は、緩衝体30に対応した馬蹄形状(U字形状)に形成されている。
【0103】
−詳細な配置構成−
以上のように、実施形態2においても、ソール構造1は、ミッドソール10と、プレート20と、緩衝体30と、アウトソール40とが、上方から下方へこの順で積層され、略S字状に形成されたプレート20(プレート本体26)が、前後方向においてシューズ着用者の足の踵骨HLに対応する位置から少なくとも第1趾節間関節J1に対応する位置まで延びるように形成されている。本実施形態2では、プレート20(プレート本体26)は、前方へミッドソール10の前端に対応する位置まで延びるように設けられている。
【0104】
そして、実施形態2においても、このように前後方向に長く、略S字状に形成されたプレート20(プレート本体26)は、シューズSの前足部領域Fでは、ミッドソール10の下面とアウトソール40(第1部分44)の上面との間に挟まれ、後足部領域Hでは、ミッドソール10の下面と緩衝体30の上面との間に挟まれている。また、シューズSの中足部領域Mでは、プレート20(プレート本体26)は、少なくとも一部分が接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分に構成されている。実施形態2では、上述のように、緩衝体30が後足部領域Hのみに形成されている。そのため、実施形態2では、プレート20(プレート本体26)は、シューズSの中足部領域Mにおいて、下側にアウトソール40の第1部分44が積層されない部分が全て、接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分となる。
【0105】
また、実施形態2では、上述のように、緩衝体30が後足部領域Hのみに形成されているため、プレート20(プレート本体26)は、シューズの中足部領域において、足幅方向の一端から他端までが接地面よりも上方の位置で下面が露出した露出部分に構成された帯状露出部分27(図15において2本の二点鎖線で挟まれた部分)を有している。このように、実施形態2では、シューズの中足部領域において、プレート20が、足幅方向の一端から他端まで路面から浮き上がった帯状露出部分27を有することにより、実施形態1のプレート20よりも中足部領域Mにおいて撓み易く構成される。
【0106】
また、本実施形態2のソール構造1では、プレート20のプレート本体26には、中足部領域Mの足幅方向の両端部(内甲側端部と外甲側端部)に、下方に向かって隆起する線状凸部からなる隆起部25c(凸部25)が形成されている。この2つの隆起部25cにより、プレート20には、シューズSの中足部領域Mにおいて、上面から上方へ又は下面から下方へ突出又は隆起する少なくとも1つの凸部25が形成されることとなる。
【0107】
−実施形態2の効果−
以上のように、本実施形態2のソール構造1においても、実施形態1と同様に、ミッドソール10とアウトソール40の間に、ミッドソール10よりも弾性率の高い弾性材によって形成され、シューズ着用者の足の踵骨HLに対応する位置から少なくとも第1趾節間関節J1に対応する位置まで前方へ長く延びる薄板状のプレート20を設けることとした。また、このプレート20を、後足部領域Hでは路面から離れた緩衝体30の上に設ける一方、前足部領域Fでは路面に近いアウトソール40の直上に設け、中足部領域Mでは少なくとも一部分が、下面が接地面よりも上方の位置で露出した露出部分となるように構成することとした。このような構成により、本実施形態2のソール構造1によっても、実施形態1と同様に、足裏の安定性及び接地時の衝撃緩衝性を有すると共に、蹴り出し動作を補助する機能を兼ね備えたソール構造1を提供することができる。
【0108】
また、実施形態2のソール構造1においても、プレート20の少なくとも中足部領域Mに、上面から上方へ又は下面から下方へ突出又は隆起する少なくとも1つの凸部25(隆起部25c)を形成することとした。そのため、実施形態2においても、プレート20の中足部領域Mの屈曲剛性が高まり、中足部領域Mでの局所的な折れ曲がりを抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態2のソール構造1においても、下方に撓み易くなるように構成したプレート20の露出部分に、少なくとも1つの凸部25(隆起部25c)を形成することにより、露出部分の屈曲剛性を高めることとした。このような構成により、プレート20の露出部分における過度な変形を抑制することができる。
【0110】
また、本実施形態2のソール構造1においても、プレート20の屈曲剛性を高めるための凸部25(隆起部25c)を、前後方向に延びる線状凸部で構成することとした。このような構成により、プレート20の屈曲剛性をより高めることができる。
【0111】
また、本実施形態2のソール構造1では、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃を緩和する緩衝体30が、後足部領域Hにのみ設けられている。つまり、上記ソール構造1では、中足部領域Mには、下方への撓みを阻害する緩衝体30が設けられていない。よって、上記ソール構造1によれば、プレート20が中足部領域Mにおいてより撓み易くなり、走行時にシューズ着用者が路面を蹴り出す力をより増大させることができる。
【0112】
また、本実施形態2のソール構造1では、プレート20を、シューズSの中足部領域Mにおいて足幅方向の一端から他端まで上記露出部分に構成された帯状露出部分27を有するように構成することとした。そのため、上記ソール構造1では、プレート20は、この帯状露出部分27により、中足部領域Mにおいてより撓み易い構成となる。従って、上記ソール構造1によれば、走行時にシューズ着用者が路面を蹴り出す力をより増大させることができる。
【0113】
また、実施形態2のソール構造1では、シューズの後足部領域Hに設けられた緩衝体30の足幅方向の中央部分に開口部33が形成されている。このような開口部33を緩衝体30に形成することにより、ソール構造1の軽量化を図ることができる。また、このような開口部33を緩衝体30に形成することにより、着地時に緩衝体30が歪み易くなる。つまり、緩衝体30のクッション性が向上する。従って、上記ソール構造1によれば、軽量化を図りつつ、着地時にシューズ着用者の足に加わる衝撃をより緩和することができる。
【0114】
また、本実施形態2のソール構造1を備えたシューズSにおいても、上述の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0115】
《その他の実施形態》
上記実施形態及び変形例では、プレート20が、前後方向においてシューズ着用者の足の踵骨HLに対応する位置から第1趾節間関節J1に対応する位置より前方まで延びるように形成されていた。しかしながら、プレート20は、これに限られず、前後方向においてシューズ着用者の足の踵骨HLに対応する位置から第1趾節間関節J1に対応する位置付近まで延びていればよく、第1趾節間関節J1よりも後方(中足趾節関節MPと第1趾節間関節J1との中央よりも前方)にあってもよい。
【0116】
上記実施形態及び変形例では、緩衝体30は、略O字、J字、U字形状に形成されていたが、緩衝体30の形状は、これらに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上説明したように、本発明は、シューズ用ソール構造及びそれを備えたシューズについて有用である。
【符号の説明】
【0118】
1 ソール構造
10 ミッドソール
11 足裏支持面
20 プレート
25 凸部
27 帯状露出部分
30 緩衝体
31 開口部
33 開口部
40 アウトソール
S シューズ
F 前足部領域
M 中足部領域
H 後足部領域
J1 第1趾節間関節
HL 踵骨
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15