特許第6879988号(P6879988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6879988CNSターゲティングAAVベクターおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879988
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】CNSターゲティングAAVベクターおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20210524BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20210524BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20210524BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C12N15/864 100Z
   C12N15/113 130Z
   C12N15/12ZNA
   A61K35/76
   A61K48/00
   A61P25/00
   A61P21/00
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2018-195573(P2018-195573)
(22)【出願日】2018年10月17日
(62)【分割の表示】特願2016-309(P2016-309)の分割
【原出願日】2011年4月22日
(65)【公開番号】特開2019-52150(P2019-52150A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】61/327,627
(32)【優先日】2010年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507088266
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,グアンピン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ホンウエイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ホンイエン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ツオシャン
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−531471(JP,A)
【文献】 特許第5963743(JP,B2)
【文献】 Nat. Med., 2005, Vol. 11, No. 4, pp. 429-433
【文献】 Gene Ther., 2009, Vol. 16, pp. 461-469
【文献】 Eur. J. Pain, 2009, Vol. 13, Suppl. 1, pp. S74, Abstract No. 229
【文献】 Mol. Ther., 2007, Vol. 15, No. 3, pp. 481-491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を、対象の脊髄組織中への注射により投与することによって、導入遺伝子を対象における中枢神経系(CNS)組織へ送達するためのrAAVであって、(i)配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質、および、(ii)SOD1 mRNAに特異的に結合し、および、対象におけるSOD1の発現を抑制する抑制性RNAをコードする導入遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含ここで前記プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、またはニワトリβアクチンプロモーターである、前記rAAV。
【請求項2】
注射が、対象の頚部脊髄組織中へのものである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項3】
注射が、対象の胸部脊髄組織中へのものである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項4】
注射が、対象の腰部脊髄組織中へのものである、請求項1に記載のrAAV。
【請求項5】
脳内投与のためのrAAVの用量が、10ゲノムコピー〜1016ゲノムコピーの範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のrAAV。
【請求項6】
抑制性RNAが、アンチセンスRNA、shRNAまたはmiRNAである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のrAAV。
【請求項7】
抑制性RNAが、配列番号26で示される配列を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のrAAV。
【請求項8】
対象が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置を必要としている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のrAAV。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のrAAVを含む、医薬組成物。
【請求項10】
組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を、対象の脊髄組織中への注射により投与することによって、それを必要とする対象において筋萎縮性側索硬化症(ALS)を処置するための医薬組成物であって、前記rAAVが、(i)配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質、および、(ii)SOD1 mRNAに特異的に結合し、および、対象におけるSOD1の発現を抑制する抑制性RNAをコードする導入遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含ここで前記プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、またはニワトリβアクチンプロモーターである、前記医薬組成物。
【請求項11】
注射が、対象の頚部脊髄組織中へのものである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
注射が、対象の胸部脊髄組織中へのものである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
注射が、対象の腰部脊髄組織中へのものである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
抑制性RNAが、アンチセンスRNA、shRNAまたはmiRNAである、請求項10〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
抑制性RNAが、配列番号26で示される配列を含む、請求項10〜14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2010年4月23日出願の、「CNS Targeting AAV Vectors and Methods of Use Thereof」と題する、米国仮特許出願第61/327,627号明細書の利益を主張し、その全内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、いくつかの態様で、導入遺伝子をCNS組織にターゲットするのに有用な組み換えアデノ随伴ウイルス、および同物を含む組成物、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々なCNS疾患、たとえば、カナバン病、ALS、パーキンソン病(PD)等々を治療するために、治療遺伝子をCNS細胞に送達するための遺伝子療法が調査研究されてきた。いくつかの限られた症例で、ある種のウイルス類、たとえば、組み換えアデノウイルス(rAd)、レンチウイルス(LV)およびアデノ随伴ウイルス(AAV)を種々の治療遺伝子の発現に使用して、治療効果が確認されている。AAV2は、PDおよびレーバー先天性黒内障(眼疾患)を治療するための臨床試験で使用されており、予備的所見から、顕著な毒性を伴わずに症状の改善が示唆される[2−4]。
【0004】
しかし、CNS疾患を治療するためのAAVに基づいた遺伝子療法は今なお重大な障害に直面している。たとえば、ALSを含む多くのCNS疾患は、CNSの非常に広い区域に分布している皮質運動ニューロンと脊髄運動ニューロンの両者を冒す。CNS組織に注射されたウイルスベクターは、注射部位付近に限って細胞を形質導入し、極めて限られた広がりを有し、概してCNS疾患動物モデルの寿命に影響を及ぼさないことはしばしば事実である[たとえば、参考文献5参照]。今なお、種々の他のウイルス投与方法が試験されている。一例は、ウイルス粒子を骨格筋に注射して神経終末にウイルスゲノムを取り込ませ、それが次には脊髄運動ニューロンに逆行的に輸送されることを含む。この手法は、あるマウスモデルでいくつかの肯定的な結果を示した[68]。しかし、この方法を成人のようなより大きい哺乳動物に適用することは非現実的である。総体的に、筋肉注射で認められる形質導入効率は比較的低い。破傷風毒素またはボツリヌス毒素の神経結合領域を含むウイルスのカプシドタンパク質を改変することにより、この効率を改善しようとした研究者もいる。こうした努力は、様々な技術的問題のために結実していない。より大きい哺乳動物における筋肉注射に関するもう一つの問題は大量を必要とすることであり、これは高度の技術を必要とし、高価であり、かつ免疫反応から意図せぬ細胞(たとえば、胚細胞)の形質導入までの有害作用のハイリスクを伴う。
【0005】
運動ニューロンへの導入遺伝子送達について評価されてきたもう一つの方法は、ウイルスを大きな神経に注射することであって、この方法はウイルスの運動軸索への暴露を最大化し、運動ニューロンがウイルスゲノムを取り込んでそれらを細胞体へ逆行的に輸送することを可能にする。この方法は、運動ニューロンを形質導入する上で、筋肉注射より効率がよいことが証明されている[9]。今なお、このような方法を、より大きい哺乳動物で実行することは困難を伴う。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、対象のCNS組織全体にわたって広範な分布を達成する組み換えAAVの発見に基づく。いくつかの実施態様で、rAAVは、たとえば、髄腔内注射および/または脳内注射によって、脳脊髄液(CSF)中に直接投与後、CNS組織全体にわって広がる。他の実施態様では、rAAVは、静脈内投与後、血管脳関門を越えて対象のCNS組織全体にわたって広範な分布を達成する。いくつかの態様で、本発明は、安定した無毒の遺伝子移入を効率よく達成する、明確な中枢神経系組織ターゲティング能力(たとえば、CNS組織トロピズム)を有するrAAVに関する。いくつかの態様では、rAAVの髄腔内注射および脳内(たとえば、脳室内)注射による同時投与を含む方法が提供される。たとえば、配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質を有するrAAVは、髄腔内注射後、CNS全体にわたって広範な分布を達成し、したがって、CNS関連障害、たとえば、ALS等の治療に特に有用であることが分かっている。本発明のまたさらなる態様で、カナバン病を治療する方法が提供される。
【0007】
本発明のいくつかの態様によれば、導入遺伝子を対象のCNS組織に送達する方法が提供される。いくつかの実施態様で、本方法は髄腔内投与によりrAAVの有効量を投与することを含み、ここでrAAVは、(i)配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質および(ii)導入遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。いくつかの実施態様で、本方法は、脳内投与によりrAAVの有効量を投与することをさらに含む。いくつかの実施態様で、本方法は髄腔内投与および脳内投与によりrAAVの有効量を投与することを含み、ここでrAAVは、対象のCNS組織の細胞を感染させ、また導入遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。ある実施態様で、脳内投与は脳室内投与である。一実施態様で、脳室内投与は、対象の前脳の脳室領域内への投与である。ある実施態様で、髄腔内投与は対象の腰部内である。いくつかの実施態様で、髄腔内投与のためのrAAVの用量は1010ゲノムコピー/対象〜1011ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、髄腔内投与のためのrAAVの用量は1011ゲノムコピー/対象〜1012ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、髄腔内投与のためのrAAVの用量は、1012ゲノムコピー/対象〜1013ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、髄腔内投与のためのrAAVの用量は1013ゲノムコピー/対象〜1014ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、脳内投与のためのrAAVの用量は1010ゲノムコピー/対象〜1011ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、脳内投与のためのrAAVの用量は1011ゲノムコピー/対象〜1012ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、脳内投与のためのrAAVの用量は1012ゲノムコピー/対象〜1013ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、脳内投与のためのrAAVの用量は1013ゲノムコピー/対象〜1014ゲノムコピー/対象の範囲である。いくつかの実施態様で、脳内投与または髄腔内投与のためのrAAVの用量は、1μl〜10μlの範囲内の量の注射用に処方される。いくつかの実施態様で、脳内投与または髄腔内投与のためのrAAVの用量は、10μl〜100μlの範囲内の量の注射用に処方される。いくつかの実施態様で、脳内投与または髄腔内投与のためのrAAVの用量は、100μl〜1mlの範囲内の量の注射用に処方される。いくつかの実施態様で、脳内投与または髄腔内投与のためのrAAVは、1ml以上の量の注射用に処方される。いくつかの実施態様で、導入遺伝子はレポータータンパク質をコードする。ある実施態様で、レポータータンパク質は蛍光タンパク質、検出可能な生成物を産する反応を触媒する酵素、または細胞表面抗原である。ある実施態様で、その酵素はルシフェラーゼ、β−グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、アミノシクリトールホスホトランスフェラーゼ、またはピューロマイシンN−アセチル−トランスフェラーゼである。いくつかの実施態様で、導入遺伝子はCNS関連遺伝子である。いくつかの実施態様で、CNS関連遺伝子は、神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)、神経成長因子(NGF)、グリア由来成長因子(GDNF)、脳由来成長因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、GTP−シクロヒドロラーゼ(GTPCH)、アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)またはアスパルトアシラーゼ(ASPA)である。いくつかの実施態様で、導入遺伝子は、対象において、SOD1 mRNAに特異的に結合してSOD1の発現を抑制する抑制性RNAをコードする。いくつかの実施態様で、抑制性RNAはアンチセンスRNA、shRNAまたはmiRNAである。いくつかの実施態様で、抑制性RNAは配列番号26で示される配列を有する。したがって、本発明のいくつかの態様によれば、配列番号26で示される配列を含む核酸が提供される。いくつかの実施態様で、配列番号26で示される配列を有する領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸が提供される。
【0008】
本発明のさらなる態様で、配列番号26で示される配列を含む核酸を含む組み換えAAVが提供される。本発明のいくつかの態様で、配列番号26で示される配列を有する領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む組み換えAAVが提供される。いくつかの実施態様で、組み換えAAVは、配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質をさらに含む。
【0009】
本発明のいくつかの態様によれば、治療を必要としている対象における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療方法が提供される。いくつかの実施態様で、本方法はrAAVの有効量を対象のCNS組織に投与することを含み、ここで、rAAVは(i)配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質および(ii)対象において、SOD1 mRNAに特異的に結合してSOD1の発現を抑制する抑制性RNAをコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。いくつかの実施態様で、抑制性RNAは、アンチセンスRNA、shRNAまたはmiRNAである。いくつかの実施態様で、抑制性RNAは配列番号26で示される配列を有する。いくつかの実施態様で、本方法はrAAVの有効量を対象に投与することを含み、ここでrAAVは配列番号26で示される配列をコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含み、またここでrAAVは、対象のCNS組織の細胞を感染させる。
【0010】
本発明のいくつかの態様によれば、静脈内投与によってrAAVの有効量を投与することを含む、導入遺伝子を対象のCNS組織に送達する方法が提供され、ここでrAAVは対象におけるCNS組織の細胞を感染させ、また導入遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1010ゲノムコピー/対象〜1011ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1011ゲノムコピー/対象〜1012ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1012ゲノムコピー/対象〜1013ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1013ゲノムコピー/対象〜1014ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1014ゲノムコピー/対象〜1015ゲノムコピー/対象の範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1010ゲノムコピー/kg〜1011ゲノムコピー/kgの範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1011ゲノムコピー/kg〜1012ゲノムコピー/kgの範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1012ゲノムコピー/kg〜1013ゲノムコピー/kgの範囲内である。いくつかの実施態様で、静脈内投与のためのrAAVの用量は1013ゲノムコピー/kg〜1014ゲノムコピー/kgの範囲内である。
【0011】
本発明のいくつかの態様によれば、(i)配列番号10〜12のいずれか1つで示される配列を有するカプシドタンパク質および(ii)導入遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含むrAAVの有効量を対象に投与することを含む、対象のCNS組織に導入遺伝子を送達する方法が提供される。いくつかの実施態様で、本方法は、導入遺伝子を含むrAAVの有効量を対象に投与することを含み、ここでrAAVは、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、rh.10、rh.39、rh.43およびCSp3からなる群から選択される、AAV血清型、または血清型変異形のカプシドタンパク質を含み、またここで(a)AAV血清型がAAV1である場合、投与経路は、脳内、筋肉内、神経内、または脳室内ではなく、かつ/または対象はマウス、ラットまたはネコではない;(b)AAV血清型がAAV2である場合、投与経路は脳内投与または脳室内投与ではなく、かつ/または対象はラット、マウス、ネコ、マーモセット、またはマカクではない;(c)AAV血清型がAAV5である場合、投与経路は脳内投与または脳室内投与ではなく、かつ/または対象はラット、マウス、またはマーモセットではない;(d)AAV血清型がAAV6である場合、対象はマウスではない;(e)AAV血清型がAAV7である場合、投与経路は脳内投与ではなく、かつ/または対象はマウスまたはマカクではない;(f)AAV血清型がAAV8である場合、投与経路は脳内投与、腹腔内投与、または血管内投与ではなく、かつ/または対象はマウスまたはマカクではない;(g)AAV血清型がAAV9である場合、投与経路は脳内投与または血管内投与ではなく、かつ/または対象はラットまたはマウスではない;そして(h)AAV血清型がAAVrh.10である場合、投与経路は脳内投与または血管内投与ではなく、かつ/または対象はラットまたはマウスではない。いくつかの実施態様で、AAV血清型、または血清型変異形は、AAV1、AAV6、AAV7、rh.39、rh.43、およびCSp3から選択され、投与経路は血管内投与である。いくつかの実施態様で、AAV血清型はAAV7であり、投与経路は血管内投与である。いくつかの実施態様で、CNS組織は、皮質、海馬、視床、視床下部、小脳、脳幹、頚髄、胸髄、および腰髄から選択される。いくつかの実施態様で、導入遺伝子はレポータータンパク質をコードする。ある実施態様で、レポータータンパク質は、蛍光タンパク質、検出可能な生成物を産する反応を触媒する酵素、または細胞表面抗原である。ある実施態様で、酵素はルシフェラーゼ、β−グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、アミノシクリトールホスホトランスフェラーゼ、またはピューロマイシンN−アセチル−トランスフェラーゼである。いくつかの実施態様で、導入遺伝子はCNS関連遺伝子である。ある実施態様で、CNS関連遺伝子は神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)、神経成長因子(NGF)、グリア由来成長因子(GDNF)、脳由来成長因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、GTP−シクロヒドロラーゼ(GTPCH)、アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)またはアスパルトアシラーゼ(ASPA)である。いくつかの実施態様で、rAAVは静脈内注射によって投与される。
【0012】
本発明のいくつかの態様によれば、(i)配列番号10〜12のいずれか1つで示される配列を有するカプシドタンパク質および(ii)CNS関連遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含むrAAVが提供される。ある実施態様で、CNS関連遺伝子は神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)、神経成長因子(NGF)、グリア由来成長因子(GDNF)、脳由来成長因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、GTP−シクロヒドロラーゼ(GTPCH)、アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)またはアスパルトアシラーゼ(ASPA)である。いくつかの実施態様で、CNS関連遺伝子から発現されるmRNAは、非CNS組織で優先的に発現されるmiRNAのmiRNA結合部位を含む。ある実施態様で、miRNA結合部位は、miR−122用の結合部位である。ある実施態様で、miRNA結合部位は、miR−1用の結合部位である。いくつかの実施態様で、CNS関連遺伝子から発現されるmRNAは、CNS組織で優先的に発現されるmiRNAのmiRNA結合部位を含まない。いくつかの実施態様で、プロモーターはCNS組織特異的プロモーターである。ある実施態様で、プロモーターは、ニューロン核(NeuN)、グリア線性酸性タンパク質(GFAP)、大腸腺腫症(APC)、およびイオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba−1)から選択される遺伝子のプロモーターである。
【0013】
本発明のいくつかの態様によれば、(i)配列番号10〜12で示される配列を有するカプシドタンパク質および(ii)CNS関連遺伝子と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含むrAAVを含む組成物が提供される。ある実施態様で、本組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。本発明のいくつかの態様によれば、本組成物を収納する容器を含むキットが提供される。いくつかの実施態様で、容器は密封された小瓶またはアンプルである。いくつかの実施態様で、本容器は注射器である。
【0014】
本発明のいくつかの態様によれば、配列番号10〜12のいずれか1つで示される配列を有するカプシドタンパク質をコードしている核酸、およびCNS疾患関連遺伝子をコードしている核酸を含むrAAVベクターを含む、単離された哺乳類細胞が提供される。いくつかの実施態様で、単離された哺乳類細胞は、AAVヘルパー機能ベクターをさらに含む。いくつかの実施態様で、単離された哺乳類細胞は、補助機能ベクターをさらに含む。ある実施態様で、CNS関連遺伝子は神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)、神経成長因子(NGF)、グリア由来成長因子(GDNF)、脳由来成長因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、GTP−シクロヒドロラーゼ(GTPCH)、アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)またはアスパルトアシラーゼ(ASPA)である。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、治療を必要としている対象におけるカナバン病を治療する方法が提供される。いくつかの実施態様で、本方法はrAAVの有効量を対象のCNS組織に投与することを含み、ここでrAAVは、(i)AAV血清型2のカプシドタンパク質以外のカプシドタンパク質および(ii)アスパルトアシラーゼ(ASPA)をコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。本明細書で開示されているrAAV血清型のいずれも、カナバン病を治療する方法で使用することが可能である。いくつかの実施態様で、rAAVは、配列番号8または9で示されるようなアミノ酸配列あるいはその変異形を有するカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施態様で、投与は髄腔内的または脳内的に実施される。いくつかの実施態様で、投与は血管内的に実施される。
【0016】
いくつかの実施態様で、本方法は、脳内投与以外の経路でrAAVの有効量を対象のCNS組織に投与することを含み、ここでrAAVは、アスパルトアシラーゼ(ASPA)をコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。いくつかの実施態様で、本方法はrAAVの有効量を対象のCNS組織に投与すること(ここでrAAVは、アスパルトアシラーゼ(ASPA)をコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む);および投与後少なくとも一度は対象の腎機能を評価することを含む。当該技術分野で知られている任意の好適な方法を使用して対象の腎機能を評価することが可能である。評価は、たとえば、血中または尿中尿素窒素レベルの検査、血中または尿中のクレアチニンレベルの検査、クレアチニンクリアランス率検査、糸球体濾過率検査、濾過率分画検査、腎血漿流量検査、超音波検査、腎臓組織生検の顕微鏡検査または他の好適な腎機能試験を含んでもよい。当然のことながら、いくつかの実施態様で、rAAV−介在遺伝子療法での治療後、対象の腎機能の改善は、カナバン病を治療するための遺伝子療法の有効性を示す。
【0017】
いくつかの実施態様で、本方法はrAAVの有効量を対象のCNS組織に投与すること(ここでrAAVは、アスパルトアシラーゼ(ASPA)をコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む);および投与後少なくとも一度は対象の視力を評価することを含む。当該技術分野で知られている任意の好適な方法を使用して対象の視力をすることが可能である。評価は、たとえば、眼の外診、視力検査、瞳孔関数の検査、網膜検査、眼球運動性検査、眼圧テスト、または検眼鏡検査を含んでもよい。評価は、色、物体または形状を識別する対象の能力あるいは特定の距離から色、物体または形状を認識する対象の能力に関する測定を含んでもよい。当然のことながら、いくつかの実施態様で、rAAV−介在遺伝子療法での治療後、対象の視力の改善は、カナバン病を治療するための遺伝子療法の有効性を示す。
【0018】
いくつかの実施態様で、本核酸は、CNS組織と比較して1つ以上の非CNS組織中の方が豊富である1つ以上のmiRNA用の1つ以上のmiRNA結合部位を含む、アスパルトアシラーゼ(ASPA)mRNAを発現する。したがって、いくつかの実施態様で、mRNAは、1つ以上の非CNS組織中でmiRNAで分解するために、標的とされる。いくつかの実施態様で、1つ以上の非CNS組織は腎臓組織または網膜組織ではない。いくつかの実施態様で、CNS組織と比較して非CNS組織中の方が豊富である1つ以上のmiRNAは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍豊富である。CNS組織と比較して非CNS組織中の方が豊富であるMiRNAは、当該技術分野で知られている。たとえば、一研究で、CNS組織、腎組織を含む様々な40組織における、300超の様々なヒトmiRNAの発現レベルが開示されている。(Liang Y,et al.,Characterization of microRNA expression profiles in normal human tissues.BMC Genomics.2007 Jun 12;8:166参照、miRNAに関する内容を、参照により本明細書に援用する)。したがって、いくつかの実施態様で、熟練した技術者であれば、非CNS組織中の方が豊富である好適なmiRNAを、(たとえば、Liangらに開示されているようなデータに基づいて)容易に選択し、miRNA用の結合部位を、コードされたmRNAに組み込むことができるであろう。
【0019】
本発明の各制限は、本発明の様々な実施態様を包含することができる。したがって、何れか1つの要素または要素の組合せを含む本発明の各制限は、本発明の各態様に含めることができると予期される。本発明は、その適用の点で、以下の説明に記述されているかあるいは図面に例示されている構造の詳細および構成要素の配置に限定されない。本発明は他の実施態様ができ、また様々な方法で実施または実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】EGFP発現ベクターを持つ様々なrAAVに感染した新生仔マウス由来のCNS組織切片のパネルの蛍光顕微鏡画像のEGFP強度の定量的結果を表す。新生仔マウスに、静脈内投与(浅側頭静脈注射)でrAAVを投与した。
図2】EGFP発現ベクターを持つ様々なrAAVに感染した成体マウス由来のCNS組織切片のパネルの蛍光顕微鏡画像のEGFP強度の定量的結果を表す。成体マウスに、静脈内投与(尾静脈注射)でrAAVを投与した。
図3】IV注射後21日の、新生仔マウス脊髄(頚部、胸部および腰部)におけるEGFP発現の定量を表す(グループ当たりマウス5匹)。新生仔マウスに、静脈内投与(浅側頭静脈注射)でrAAVを投与した。
図4A】EGFP遺伝子を持つAAVrh.10の直接CSF注射は、CNSの広域でEGFP発現につながることを示す結果を表す。ウイルス注射後60日に作製された、脳幹、頚髄、胸髄および腰髄由来の組織切片を表す。灰色/黒色画素はEGFP発現と一致する。
図4B】EGFP遺伝子を持つAAVrh.10の直接CSF注射は、星状細胞でEGFP発現につながることを示す結果を表す。灰色/黒色画素はEGFP発現と一致する。
図5A】SOD1をターゲットするマイクロRNAを発現するrAAVrh.10ベクターを表す。本構築物は、EGFPおよび3’−UTR内のイントロンに位置するmiR−SOD1の発現を推進するために、CAG(CMVエンハンサーを含むニワトリβ−アクチンプロモーター)を使用する。pAはポリA信号を表す。ITRは、AAVの逆方向反復を示す。
図5B】異なる9つのmiRNA構築物のサイレンシング効力を試験する実験の結果を表し、miR−SOD1#5がSOD1発現を最も強力に停止させた。
図5C】miR−SOD1#5がAAVrh.10にパッケージされて、HEK293細胞の感染に使用された実験の結果を表す。感染の43時間後に細胞内総タンパク質を抽出し、SOD1を検出するためにブロットした。Scrは、スクランブルmiRNAを表し;SodはmiR−SOD1#5を表し;CはEGFPのみを発現する対照を表す。
図5D】pAAVscCB6 EGFPmir SOD5(5243bp)(配列番号21)のプラスミドマップを表す。
図6A】rAAV rh.10−SOD1 miRNAが星状細胞における変異SOD1のレベルを下げることを示す、SOD1(G93A)突然変異マウスにおける遺伝子移入試験の結果を表す。運動ニューロンにおける染色も認められた。
図6B】rAAV rh.10−スクランブルmiRNAと比較して、rAAV rh.10−SOD1 shRNAが寿命を増加することを示す、SOD1(G93A)突然変異マウスにおける遺伝子移入試験の結果を表す。
図7A】rAAV rh.10−SOD1 miRNAに感染した個々のマウスの寿命と比較した、頚部、胸部、および腰部脊髄組織におけるEGFP発現の定量を表す;rAAV rh.10−SOD1は、CSFに直接投与した。
図7B】rAAV rh.10−スクランブルmiRNAに感染した個々のマウスの寿命と比較した、頚部、胸部、および腰部脊髄組織におけるEGFP発現の定量を表す;rAAV rh.10−スクランブルmiRNAは、CSFに直接投与した。
図8】様々なAAVの髄腔内注射を投与されていたマウスの蛍光顕微鏡分析を表す。この実験で、AAV9およびAAVrh10はともに、腰部くも膜下腔でCSF中に単回注射後、脊髄の全長に沿った細胞を形質導入する。
図9】AAV10−miR−SOD1処置の効果を表す。AAV10−miR−SOD1処置は、対照G93Aマウスと比較して処置マウスで体重減少が遅いことによって示される通り、疾病進行を遅らせる。
図10】様々なAAVの髄腔内注射を投与しておいたマウスの蛍光顕微鏡分析を表す。この実験で、第三脳室でCSF中に単回注射した後、AAV9およびAAVrh10は広い前脳区域の細胞を形質導入できる。
図11】AAV9注射マウス由来の組織切片の蛍光顕微鏡分析を表す。第三脳室へのAAV9およびAAVrh10の単回注射は、皮質、海馬、線条体、視床、小脳および脊髄のいくつかの散在性細胞を含む、広い前脳区域の細胞を形質導入できる。同じ一般的パターンがAAV10注射マウスでも認められた。
図12】レポーターサイレンシング用の人為的miRNA−結合部位のインビトロ検証を表す。miR−1結合部位またはmiR−122−結合部位を含むまたは含まないrAAVCBnLacZゲノムを持つプラスミドを、miR−122を発現するヒトヘパトーマ(HuH7)細胞に形質移入した(a)か、あるいはpri−miR−122(b)またはpri−miR−1(c)のいずれかを発現するプラスミドと一緒に、1:3(低)または1:10(高)のモル比で、293細胞に共形質移入した。0X:miRNA−結合部位なし;1X:miRNA−結合部位1つ;3X:miRNA−結合部位3つ。形質移入の48時間後、細胞を固定し、X−galで組織化学的lに染色して、青色細胞を計数した。各形質移入におけるnLacZ−陽性細胞のパーセンテージを、対照プラスミド(prAAVCBnLacZ)の形質移入と比較した。CB,ニワトリβ−アクチン;miR,マイクロRNA;nLacZ,β−ガラクトシダーゼレポーター導入遺伝子;rAAV,組み換えアデノ随伴ウイルス。
図13】rAAV9形質導入における内因性miRNA−制御性導入遺伝子サイレンシングのインビボ評価を表す。(a〜c)成体オスC588L/6マウスに、各1kg当たり5×1013ゲノムコピー(GC/kg)のrAAV9CBnLacZ(結合部位なし)、(a)rAAVCB9nLacZmiR−122BS(miR−122−結合部位1つ)およびrAAV9C8nlacZ−(miR−122BS)(miR−122−結合部位3つ)、(b)rAAV9CBnLacZ−miR−1BS(miR−1結合部位1つ)およびrAAV9CBnLacZ−(miR−1BS)(miR−1−結合部位3つ)、(c)rAAV9CBnLacZ−miR−1BS−miR−122BS(各1× 結合部位)およびrAAV9CBnLacZ−(miR−1BS)−(miR−122BS)(miR−1−結合部位3つおよびmiR−122−結合部位3つ)を静脈内注射した。ベクター投与の4週間後に動物を剖検し、低温切片およびX−gal組織化学的染色のために適切な組織を採取した。miR,マイクロRNA;nLacZ,β−ガラクトシダーゼレポーター導入遺伝子;rAAV,組み換えアデノ随伴ウイルス、および(d)miRNA−結合部位を含むまたは含まないrAAVnLacZベクターを受けた動物由来の肝臓組織におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の定量化。
図14】miRNA−結合部位を含むまたは含まないrAAV9CBnLacZを形質導入されたマウスにおける、同族miRNA、mRNA、および内因性miRNA標的遺伝子のタンパク質の発現レベルの分析を表す。総細胞内RNAまたはタンパク質は、(a〜c)肝臓または(d)心臓から調製した。(a)miRNAのノーザンブロット検出。U6核内低分子RNAは、ローディングコントロールを提供した。(b)サイクリンGl mRNAを測定する定量的逆転写PCR。データは、β−アクチンに正規化した相対的サイクリンGl mRNAレベルとして表す。(c,d)miR−122およびmiR−1の内因性標的のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析。サイクリンG1およびカルモジュリンについて、(c)肝臓または(d)心臓から調製した細胞内総タンパク質を分析した。(e)血清コレステロールレベル。4週間後に、miRNA−結合部位を含むまたは含まないrAAV9を受けたマウス由来の血清試料を採取して、総コレステロール、高比重リポタンパク質(HDL)および低比重リポタンパク質(LDL)について測定した。miR,マイクロRNA;nLacZ,β−ガラクトシダーゼレポーター導入遺伝子;rAAV,組み換えアデノ随伴ウイルス。
図15】miRNA結合部位を含むまたは含まない導入遺伝子mRNAの分子特性決定を表す。(a)プローブおよびプライマーの位置、成熟miR−122の配列および導入遺伝子mRNAにおけるその完全に相補的な結合部位を示す。(b)nLacZの3’末端とポリ(A)信号の5’末端との間に架かるプライマーを使用することにより、従来の逆転写PCR(RT−PCR)によるか(c)または定量的RT−PCRによるかのいずれかによって、肝臓由来の総細胞内RNAを分析した;データは、β−アクチンに正規化した相対的nLacZ mRNAレベルとして示す。(d)nLacZ mRNAのノーザンブロット分析については、18S RNAがローディングコントロールの役割をし、ブロットを、導入遺伝子DNA(e)またはRNAプローブのいずれかとハイブリダイズさせた。(f)加えて、miR−1−結合部位3つおよびmiR−122−結合部位3つを含むrAAVを受けた動物の肝臓由来のmRNAを担持するポリ(A)を5’RACEで分析した;PCR産物を、臭化エチジウム染色したアガロースゲルで分析した。miR,マイクロRNA;nLacZ,β−ガラクトシダーゼレポーター導入遺伝子;rAAV,組み換えアデノ随伴ウイルス。
図16】5 RACEにより回収されたmiRNA−結合部位とポリ(A)信号領域に跨る配列のアラインメントを表す。ポリ(A)−含有mRNAは、rAAV9CBnLacZ−(miR−1BS)−(miR−122BS)を注射した動物の(a)肝臓および(b)心臓から単離した。21の肝臓由来のクローンおよび22の心臓由来のクローンをシーケンシングした。各クローンの想定される切断部位は、矢印によって同定される;各miRNA−結合部位について、miRNA−制御性の、部位特異的切断の頻度を報告する;三角形は、予想されるmiRNA−制御性の切断部位(a,b)の位置を指し示す。miRNA,マイクロRNA、nLacZ,β−ガラクトシダーゼレポーター導入遺伝子;rAAV,組み換えアデノ随伴ウイルス。
図17】全身的に送達されたrAAV9による、内因性miRNA−抑制性の、CNS−指向性EGFP遺伝子移入を表す。10週令のオスC57BL/6マウスに、scAAV9CBEGFPまたはscAAV9CBnLacZ(miR−1BS)−(miR−122BS)を、体重1kg当たり2×1014ゲノムコピー(GC/kg)の用量で、静脈内注射した。経心臓的灌流による全身固定のために、動物を3週間後に剖検した。(a)低温薄切、EGFP(脳および頚髄)の免疫蛍光染色、EGFPを検出するための蛍光顕微鏡法のために、脳、脊髄、肝臓、心臓、および筋肉を採取した。総細胞内DNAおよび総細胞内RNAを脳、肝臓、心臓および筋肉から抽出して、持続性のベクターゲノムの量をqPCRで、またEGF PmRNAの量をqRT−PCRで測定した。(b)各組織について、miRNA−結合部位を含むEGFP mRNAの相対的な存在量を、miRNA−結合部位が欠如しているEGFP mRNAのそれと比較した。各試料について、mRNA存在量を、組織内で検出されたベクターゲノムの量に正規化した。EGFP,高感度緑色蛍光タンパク質;miRNA,マイクロRNA;nLacZ,β−ガラクトシダーゼレポーター導入遺伝子;qRT−PCR,定量的逆転写PCR;rAAV,組み換えアデノ随伴ウイルス。
図18】内因性miRNA−制御性rAAV発現用の分子モデルを表す。miRNA,マイクロRNA;rAAV,組み換えアデノ随伴ウイルス。
図19】様々なAAVベクターを形質導入した新生仔マウスの脳および脊髄内のGFP強度レベルの定量化を表す。10の異なるAAVベクターの4×1011ゲノムコピー(GC)を、浅静脈により新生仔P1仔に注射した。注射の21日後にマウスを屠殺した。脳組織を摘出して厚さ40μmの低温切片を作製した。この切片を抗−EGFP抗体に対して染色した。画像を分析し、Nikon NIS elements ARソフトウェア バージョン3.2を使用することにより、脳および脊髄(A)における様々な領域内の全てのAAV血清型の強度/ピクセル値を算出した。様々なrAAVについて、脳領域および脊髄領域の平均強度も示した(B)。並列比較を確実にするために、全ベクターについて各解剖学的構造の対象領域(ROI)を固定した。
図20】rAAVを静脈内注射した後の、新生仔マウス脳における強くかつ広範なEGFP発現を表す。rAAV7、rAAV9、rAAVrh.10、rAAVrh.39およびrAAVrh.43の4×1011ゲノムコピー(GC)を、浅静脈により新生仔P1仔に注射した。注射の21日後にマウスを屠殺した。脳組織を摘出して厚さ40μmの低温切片を作製した。この切片を抗−EGFP抗体に対して染色した。バーは、100μmを表す。示した領域は、嗅球、線条体、海馬、皮質、視床下部、小脳および延髄である。
図21】rAAVを静脈内注射した後の、新生仔マウス脊髄におけるEGFP発現を表す。rAAV7、rAAV9、rAAVrh.10、rAAVrh.39およびrAAVrh.43の4×1011GCを、浅静脈により新生仔P1仔に注射した。注射の21日後にマウスを屠殺した。脊髄組織を摘出して厚さ40μmの低温切片を作製した。頚部、胸部および腰部由来の切片を、抗−EGFP抗体に対して染色した。バーは、100μmを表す。
図22】血管内的に送達されたrAAV1、rAAV2、rAAV6、rAAV6.2、rAAV7、rAAV9、rAAVrh.10およびrAAVrh.39により形質導入された後根神経節におけるEGFP発現を表す。新生仔はP1に4×1011GCのrAAVを受け、注射後21日に剖検した。EGFP(緑色)および神経細胞(NeuN,赤色)の二重免疫組織化学的染色用に、厚さ40μmの低温切片を処理した。バーは、75μmを示す。
図23】rAAVをP1新生仔に全身送達した後のマウスCNSにおける形質導入細胞型の共焦点顕微鏡分析を表す。様々なrAAVで処置した動物の、厚さ40μmの脳切片および脊髄切片を、抗−EGFP抗体および細胞型特異的マーカーに対して共染色した。抗−NeuNを使用して、神経細胞を染色した;抗−GFAPを使用して、星状細胞を染色した;抗−カルビンジンを使用して、プルキンエ細胞を染色した;抗−ChATを使用して、運動ニューロンを染色した;抗−DARPPを使用して、黒質におけるドーパミン作動性ニューロンを染色した。全てのrAAVを検査したが、各細胞型について、代表的な写真を1枚だけ本明細書に示した。
図24】血管内的に送達されたrAAVによる、脳室構造の形質導入を表す。新生仔はP1に4×1011GCのrAAVを受け、注射後21日に剖検した。異なる脳室の脈絡叢は、組織処理中、首尾よく保存された。厚さ40μmの低温切片を抗−EGFP抗体に対して染色した。バーは、100μmを表す。
図25】rAAVベクターの純度および形態学的完全性の分析を表す。A.この試験で使用したCsCl勾配精製rAAVCBEGFPベクターの、銀染色SDS−Page分析。rAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV6.2、rAAV7、rAAV9、rAAVrh10、rAAVrh39およびrAAVrh43のそれぞれ約1.5×1010ウイルス粒子を、対応するレーンに負荷した。B.負染色組み換えAAVビリオンの透過電子顕微鏡法。rAAVビリオンを、用時調製した炭素被覆−Formvar支持膜上に塗り、透過顕微鏡法用に1%酢酸ウラニルで染色した。代表的なベクターロット由来のウイルス粒子の画像を、92,000×で撮って示した。
図26】全身的に送達されたrAAV1、rAAV6、rAAV6.2およびrAAVrh43による新生仔マウス後根神経節の形質導入を表す。新生仔はP1に4×1011GCのrAAVを受け、注射後21日に剖検した。厚さ40μmの低温切片を抗−EGFP抗体に対して染色した。バーは、75μmを示す。
図27】血管内的に送達されたrAAVによる脳毛細血管の形質導入を表す。新生仔はP1に4×1011GCのrAAVを受け、注射後21日に剖検した。厚さ40μmの脳の低温切片を、(a)抗−EGFP抗体(AAV1、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV9、AAVrh.10、AAVrh.39およびAAVrh.43);(b)抗−EGFPおよび抗−CD34抗体(rh.10のみ)に対して染色した。バーは、100μmを表す。
図28】P1新生仔にrAAVを全身送達した後の、マウス脳における小膠細胞症の評価を表す。様々なrAAVで処置した動物の、厚さ40μmの脳切片を、抗−EGFP抗体および抗−IBa−1に対して共染色した。rAAVrh.10の染色結果のみを示した。
図29】P1新生仔にrAAVを全身送達した後の、マウスCNSにおける自然のEGFP発現を表す。新生仔はP1に4×1011GCのrAAVを受け、注射後21日に剖検した。厚さ40μmの低温切片を、免疫染色せずに、載せて顕微鏡下で観察した。各画像の露光時間を示した。
図30】カナバン病における、rAAVに基づいた遺伝子療法の効果を示す結果を表す。図30Aは、治療が、CDマウスの足取りおよび運動機能を直したことを示す。図30Bは、治療が、CDマウスの網膜症を緩和し、視力を回復したことを示す。図30Cは、処置CDマウスにおけるNAAレベルが、正常マウスおけるものに近づくことを示す。図30Dは、CDマウスの脳でAPSA活性が検出されることを示す。図30Eは、CDマウスの脳でAPSA発現が検出されることを示す。
図31図31Aは、処置マウスの脳および脊髄の両者における空胞形成は、より斑状でかつ多様であり、概してより小さいサイズの空胞であること、および大脳皮質の一部領域は、空胞形成をほとんど何も示さないことを表す。図31Bは、大脳皮質原位置におけるASPA発現を表す。
図32】様々な脳領域における空胞形成の定量的分析の結果を表す。図32Aは、遺伝子療法後に、白質変性の点で嗅球が劇的に緩和していたこと、および他の組織で大きい空胞が本質的に除去されていたことを表す。図32Bは、脊髄切片に対する同様の分析結果を示す。
図33】CDマウスの腎臓の組織病理学的評価の結果を表す。図33Aは、腎臓の腎尿細管上皮は、びまん的に減弱することおよび未処置CDマウスの尿細管内腔の拡大を示す。図33Bは、処置CDマウスが正常な糸球体を有していたことを表す。図33Cおよび図33Dは、IV送達後の腎臓形質導入の効率に関する、2つの有力候補ベクター(それぞれrAAV9およびrAArh.10)の分析結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のある特定の実施態様の詳細な説明
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、細胞中で増殖するために、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス等の、第2のウイルスの存在に依存する、小さい(26nm)複製欠損、非エンベロープウイルスである。AAV疾病を引き起こさないことが知られており、非常に穏やかな免疫応答を誘発する。AAVは、分裂細胞も非分裂細胞も感染させることができ、そのゲノムを宿主細胞のゲノムに組み込むことが可能である。本発明の態様は、組み換えAAVに基づいた遺伝子移入を使用して、導入遺伝子を対象のCNS組織に送達する方法を提供する。したがって、CNS関連の障害を治療するための方法および組成物が本明細書で提供される。本発明のさらなる態様は、対象のCNS組織全体にわたって広範な分布を達成するAAVの発見に基づく。いくつかの実施態様で、rAAVは、たとえば、髄腔内注射および/または脳内注射によって脳脊髄液(CSF)中に直接投与した後、CNS組織全体にわたって広がる。他の実施態様で、rAAVは、静脈内投与後、血管脳関門を越えて対象のCNS組織全体にわたって広範な分布を達成する。このようなrAAVは、たとえば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびカナバン病(CD)を含む、CNS関連の障害の治療に有用である。
【0022】
CNS組織をターゲットするための方法および組成物
導入遺伝子を対象の中枢神経系(CNS)組織に送達する方法が本明細書で提供される。本方法は一般に、対象で導入遺伝子を発現するための核酸ベクターを含むrAAVの有効量を対象に投与することを含む。rAAVの「有効量」は、対象の標的組織の十分な数の細胞を感染させるのに十分な量である。rAAVの有効量は、対象で治療効果を有するのに十分な量、たとえば、対象の寿命を延ばす、対象において疾病の1つ以上の症状、たとえば、ALSの症状、カナバン病の症状等を改善するのに十分な量であってもよい。場合によっては、rAAVの有効量は、安定した体細胞トランスジェニック動物モデルを作るのに十分な量であってもよい。有効量は、たとえば、対象の種、年令、体重、健康状態、ターゲットされるCNS組織等の、種々の要因に左右され、したがって対象および組織によって異なるであろう。有効量は投与方法によっても左右されるであろう。たとえば、血管内注射によるCNS組織のターゲティングは、場合によっては、髄腔内注射または脳内注射によるCNS組織のターゲティングとは異なる(たとえば、より高い)用量を必要とする可能性がある。場合によっては、rAAVの多回投与が行われる。有効量は使用されるrAAVによっても左右されるであろう。たとえば、CNS組織をターゲットするための投与量は、rAAVの血清型(たとえば、カプシドタンパク質)によって左右されるであろう。たとえば、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、rh.10、rh.39、rh.43およびCSp3からなる群から選択されるAAV血清型のカプシドタンパク質を有していてもよい。ある実施態様で、rAAVの有効量は、kg当たり1010、1011、1012、1013、または1014ゲノムコピーである。ある実施態様で、rAAVの有効量は、対象当たり1010、1011、1012、1013、1014、または1015ゲノムコピーである。
【0023】
導入遺伝子を対象のCNS組織に送達する方法は、単一経路で、または複数の経路で、rAAVを投与することを含むであろう。たとえば、対象のCNS組織への導入遺伝子送達は、血管脳関門を越えるrAAVの有効量を、静脈内投与によって対象に投与することを含んでもよい。対象のCNS組織への導入遺伝子の送達は、髄腔内投与または脳内投与によって、たとえば脳室内注射によって、rAAVの有効量を対象に投与することを含んでもよい。導入遺伝子を対象のCNS組織に送達する方法は、2つの異なる投与経路で、たとえば、髄腔内投与と脳内投与で、rAAVの有効量を同時投与することを含んでもよい。同時投与は、ほぼ同時に実施してもよく、異なる時間に実施してもよい。
【0024】
ターゲットすべきCNS組織は、たとえば、皮質、海馬、視床、視床下部、小脳、脳幹、頚髄、胸髄、および腰髄から選択されてもよい。CNS組織をターゲットする投与経路は、一般にAAV血清型により左右される。たとえば、AAV血清型がAAV1、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、rh.10、rh.39、rh.43およびCSp3から選択されるある特定の場合には、投与経路は血管内注射であってもよい。場合によっては、たとえばAAV血清型がAAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、rh.10、rh.39、rh.43およびCSp3から選択される場合には、投与経路は髄腔内注射および/または脳内であってもよい。
【0025】
血管内投与
本明細書で使用されるとき、用語「血管内投与」は、対象の静脈循環系および動脈循環系を含む、対象の血管系への、作用剤、たとえば、rAAVを含む組成物の、投与を指す。一般に、CNS組織をターゲットするために、血管脳関門を越えるrAAVを、血管内投与により送達することが可能である。場合によっては、血管内(たとえば、静脈内)投与は、他の投与形態(たとえば、髄腔内、脳内)より大量の使用を容易にすることもある。したがって、血管内(たとえば、静脈内)投与によって、一度に大量のrAAV(たとえば、最高1015GC/対象)を送達できる。血管内投与の方法は、当該技術分野で周知であり、たとえば、皮下注射針、末梢カテーテル、中心静脈ライン等の使用を含む。
【0026】
髄腔内および/または脳内投与
本明細書で使用されるとき、用語「髄腔内投与」は、作用剤、たとえば、rAAVを含む組成物の、脊柱管への投与を指す。たとえば、髄腔内投与は、脊柱管の頚部、脊柱管の胸部、または脊柱管の腰部における注射を含むであろう。一般に、髄腔内投与は、作用剤、たとえば、rAAVを含む組成物を、脊柱管のくも膜と軟膜との間の領域である、脊柱管のくも膜下腔(subarachnoid cavity,subarachnoid space)に注射することにより実施される。くも膜下腔は、小柱(くも膜から伸びて軟膜に融合する繊細な結合組織フィラメント)からなる海綿状組織、および脳脊髄液が入っている相互通信チャネルで占められている。いくつかの実施態様で、髄腔内投与は、脊髄血管系への投与ではない。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「脳内投与」は、脳内および/または脳周辺への、作用剤の投与を指す。脳内投与は、大脳、延髄、脳橋、小脳、頭蓋腔、および脳を取り囲んでいる髄膜への、作用剤の投与を含むが、その限りではない。脳内投与は、脳の硬膜、くも膜、および軟膜への投与を含んでもよい。脳内投与は、いくつかの実施態様で、脳を取り囲んでいるくも膜下腔の脳脊髄液(CSF)中への、作用剤の投与を含んでもよい。脳内投与は、いくつかの実施態様で、脳室、たとえば、右側脳室、左側脳室、第三脳室、第四脳室への、作用剤の投与を含んでもよい。いくつかの実施態様で、脳内投与は、脳血管系への投与ではない。
【0028】
脳内投与は、脳内および/または脳周辺への直接注射を含んでもよい。いくつかの実施態様で、脳内投与は、定位手技を使用する注射を含む。定位手技は、当該技術分野で周知であり、一般に、注射をある特定の脳内領域、たとえば、脳室領域へと導くために一緒に使用されるコンピューターと三次元スキャニング装置の使用を含む。微量注射ポンプ(たとえば、World Precision Instruments)も使用することが可能である。いくつかの実施態様で、微量注射ポンプを使用して、rAAVを含む組成物が送達される。いくつかの実施態様で、本組成物の注入速度は1μl/分〜100μl/分の範囲内である。熟練技術者には十分に理解されるであろうが、注入速度は、たとえば、対象の種、対象の年齢、対象の体重/サイズ、AAVの血清型、必要な用量、ターゲットされる脳内領域等を含む、種々の要因に左右されるであろう。したがって、ある特定の状況で、他の注入速度が適切であると、熟練技術者が考えることもある。
【0029】
CNS関連の障害を治療するための方法および組成物
CNS関連の障害を治療するための方法および組成物が本明細書で提供される。本明細書で使用されるとき、「CNS関連の障害」は、中枢神経系の疾患や病態である。CNS関連の障害は、脊髄(たとえば、脊髄症)、脳(たとえば、脳症)または脳および脊髄を取り囲んでいる組織を冒す可能性がある。CNS関連の障害は、遺伝性であれ、体細胞の突然変異を介して獲得されたのであれ、遺伝的原因による可能性がある。CNS関連の障害は、心理状態または心理的障害、たとえば、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、気分障害、統合失調症、抑鬱、レット症候群等であってもよい。CNS関連の障害は自己免疫障害であってもよい。CNS関連の障害はまた、CNSの癌、たとえば、脳腫瘍であってもよい。癌であるCNS関連の障害は、CNSの原発癌、たとえば、星状細胞腫、膠芽腫等であってもよく、またCNS組織に転移した癌、たとえば、脳に転移した肺癌であってもよい。CNS関連障害の、さらなる非限定的な例としては、パーキンソン病、リソソーム蓄積症、虚血、神経因性疼痛、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、およびカナバン病(CD)等がある。
【0030】
治療を必要としている対象における筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療する方法が、本明細書で提供される。ALSの治療を必要としている対象は、ALSに罹患しているかまたはALSに罹患していると疑われる対象である。場合によって、ALSは、スーパーオキシドジスムターゼをコードしている遺伝子(SOD1)の突然変異と関連づけられてきた。高レベルのSOD1は、場合によってALSと関連があるようである。SOD1に対するshRNAのトランスジェニック発現は、変異SOD1発現をノックダウンし、疾患発症を遅らせ、生存期間を延ばせることが証明されている(Xia et al.2006,Neurobiol Dis 23:578)。疾患発症時にSOD1に対してsiRNAを髄腔内注入することにより、変異体SOD1発現をノックダウンし、生存期間を延ばすことも分かっている(Wang et al.2008,JBC 283:15845)。さらに、疾患発症時に、SOD1に対して、shRNAを発現するアデノウイルスの神経注射をすることにより、変異SOD1発現をノックダウンして生存期間を延ばすことができる(Wu et al.2009,Antiox Redox Sig 11:1523)。
【0031】
本発明の態様は、対象のCNS組織全体にわたって広範であるSOD1発現を、低毒性で、長期抑制するAAVに基づいた治療法の発見に基づく。本明細書で提供されるALSを治療する方法は一般に、SOD1 mRNAに特異的に結合して(たとえば、配列番号17または19で示される配列を有する核酸に特異的にハイブリダイズして)対象のSOD1の発現を抑制する抑制性RNAをコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を持つrAAVの有効量を対象のCNS組織に投与することを含む。配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質を有するrAAVは、髄腔内注射および/または脳内注射後、CNS全体にわたって広範な分布を達成し、したがってALSの治療に特に有用であることが分かっている。注射部位のごく近傍内のみの細胞を感染させる、すなわち髄腔内注射後、限られた分布のみを達成する、ある種のrAAVに照らして、この結果は意外である。したがって、CNS全体にわたって広範な分布を達成するrAAVは、ALSを治療するための遺伝子移入ベクターとして特に有用である。
【0032】
いくつかの実施態様で、配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質およびSOD1 mRNAに特異的に結合してSOD1の発現を抑制する抑制性RNAをコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を有するrAAVの髄腔内注射および脳内注射、たとえば、脳室内注射による同時投与は、ALSの動物モデルで、SOD1の長期抑制を達成し、転帰(たとえば、寿命)を改善することが分かっている(たとえば、図6A参照)。いくつかの実施態様で、抑制性RNAは、アンチセンスRNA、shRNAまたはmiRNAである。抑制性RNAは配列番号26で示される配列を有してもよい。抑制性RNAは、配列番号22〜30のいずれか1つで示される配列を有してもよい。したがって、いくつかの実施態様で、配列番号22〜30のいずれか1つで示される配列を有する核酸と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸が提供される。いくつかの実施態様で、配列番号22〜30のいずれか1つで示される配列を含む核酸を持つ組み換えAAVが提供される。組み換えAAVは、配列番号9で示される配列を含むカプシドタンパク質を有していてもよい。組み換えAAVは、配列番号1〜12のいずれか1つで示される配列を含むカプシドタンパク質を有していてもよい。
【0033】
治療を必要としている対象におけるカナバン病(CD)を治療する方法が、本明細書で提供される。CDの治療を必要としている対象は、CDに罹患しているかCDに罹患していると疑われる対象である。カナバン病は、酵素アスパルトアシラーゼの産生に関与する欠陥ASPA遺伝子に起因する。この酵素は通常、濃縮された脳分子N−アセチルアスパラギン酸を分解する。CDに罹患した対象のアスパルトアシラーゼ活性低下は、N−アセチルアスパラギン酸の正常な分解を妨げ、また分解の欠如は脳内の神経線維のミエリン鞘の成長を妨害するようである。カナバン病の症状は、乳児期早期に現れて急速に進行する可能性があり、精神遅滞、以前に獲得した運動技能の喪失、摂食困難、筋緊張異常(すなわち、弛緩または硬直)、首のすわりが悪いこと、および巨大頭蓋症(異常に拡張した頭)などが含まれるであろう。麻痺、失明、または発作も起こることがある。本発明の態様は、アスパルトアシラーゼ(ASPA)を発現する核酸を持つ組み換えAAVを対象に投与することによって、対象のCDの1つ以上の症状を改善する。たとえば、治療を必要としている対象におけるカナバン病を治療する方法は、血管内投与により、対象のCNS組織にrAAVの有効量を投与することを含んでもよく、ここでrAAVは、ASPAをコードしている領域(たとえば、配列番号14または16で示される配列を有する領域)と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。治療を必要としている対象におけるカナバン病を治療する方法は、髄腔内投与により、対象のCNS組織にrAAVの有効量を投与することを含んでもよく、ここでrAAVは、ASPAをコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。場合によっては、CDを治療する方法は、対象のCNS組織に、AAV血清型2のカプシドタンパク質以外(たとえば、配列番号2で示されるようなアミノ酸配列を有するタンパク質以外)のカプシドタンパク質およびASPAをコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含むrAAVの有効量を投与することを含む。別の例で、治療を必要としている対象におけるカナバン病を治療する方法は、脳内投与以外の経路により、rAAVの有効量を対象のCNS組織に投与することを含み、ここでrAAVは、ASPAをコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を含む。いくつかの実施態様で、rAAVの投与後、CNS組織で発現されるASPAは、CNS組織中のアスパルトアシラーゼ活性の低下およびN−アセチルアスパラギン酸の分解をもたらす。したがって、いくつかの実施態様で、配列番号14または16で示される配列をコードしている核酸を含む組み換えAAVベクターが提供される。いくつかの実施態様で、配列番号14または16で示される配列を有する領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を持つ組み換えAAVが提供される。いくつかの実施態様で、配列番号13または15で示される配列を有するタンパク質をコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含む核酸を持つ組み換えAAVが提供される。組み換えAAVは、配列番号1〜12のいずれか1つで示されるようなアミノ酸配列を含むカプシドタンパク質を有していてもよい。組み換えAAVは、配列番号1および3〜12のいずれか1つで示される配列を含むカプシドタンパク質を有していてもよい。
【0034】
組み換えAAV
いくつかの態様で、本発明は単離されたAAVを提供する。AAVに関して本明細書で使用されるとき、用語「単離された」は、その自然環境から(たとえば、宿主細胞、組織、または対象から)単離されているかまたは人為的に作り出されたAAVを指す。単離されたAAVは、組み換え方法を使用して作り出すことが可能である。このようなAAVを、本明細書では「組み換えAAV」と呼ぶ。組み換えAAV(rAAV)は好ましくは、rAAVの導入遺伝子が1つ以上の所定の組織に特異的に送達されるように、組織特異的ターゲティング能を有する。AAVカプシドは、これらの組織特異的ターゲティング能を決定する上で重要な要素である。したがって、ターゲットしようとしている組織に適したカプシドを有するrAAVを選択できる。いくつかの実施態様で、rAAVは、配列番号1〜12のいずれか1つで示されるようなアミノ酸配列を有するカプシドタンパク質か、またはそれと実質的な相同性を有するタンパク質を含む。
【0035】
所望のカプシドタンパク質を有する組み換えAAVを得る方法は当該技術分野で周知である(たとえば、米国特許出願公開第2003/0138772号明細書(その内容全体を参照により本明細書に援用する)参照)。本発明のrAAVで使用することが可能なAAVカプシドタンパク質としては、たとえば、G.Gao,et al., J.Virol, 78(12):6381-6388(June 2004);G.Gao,et al,Proc Natl Acad Sci USA, 100(10):6081-6086(May 13,2003);米国特許出願公開第2003−0138772号明細書、米国特許出願公開第2007/0036760号明細書、米国特許出願公開第2009/0197338号明細書、2009年5月28日出願の米国仮特許出願第61/182,084号明細書(AAVカプシドタンパク質および関連のヌクレオチドおよびアミノ酸配列と関係したその内容を、参照により本明細書に援用する)に開示されているものなどがある。一般に、本方法は、AAVカプシドタンパク質をコードしている核酸配列(たとえば、配列番号1〜12のいずれか1つで示される配列を有するタンパク質をコードしている核酸)またはそのフラグメント;機能性rep遺伝子;AAV逆方向末端反復(ITR)および導入遺伝子からなる組み換えAAVベクター;および組み換えAAVベクターをAAVカプシドタンパク質にパッケージすることを可能にするために十分なヘルパー機能;を含む宿主細胞を培養することを含む。
【0036】
rAAVベクターをAAVカプシドにパッケージするために、宿主細胞中の培養されるべき構成要素を、トランスに宿主細胞に提供することが可能である。あるいは、所要の構成要素(たとえば、組み換えAAVベクター、rep配列、cap配列、および/またはヘルパー機能)のいずれか1つ以上を、当業者に周知の方法を使用して所要の構成要素の1つ以上を含むように操作された安定した宿主細胞により提供してもよい。最適なことは、このような安定した宿主細胞が、誘導性プロモーターの制御下にある所要の構成要素を含む。しかし、所要の構成要素は、構成的プロモーターの制御下にあってもよい。好適な誘導性プロモーターおよび構成的プロモーターの例を、本明細書の、導入遺伝子と共に使用するのに適した制御要素に関する論考に提供する。また別の代替例で、選択される安定した宿主細胞は、構成的プロモーターの制御下にある選択された構成要素および、1つ以上の誘導性プロモーターの制御下にある他の選択された構成要素を含んでもよい。たとえば、293細胞(構成的プロモーターの制御下にあるE1ヘルパー機能を含む)に由来するが、誘導性プロモーターの制御下にあるrepタンパク質および/またはcapタンパク質を含む、安定した宿主細胞を生成することが可能である。当業者は、さらに他の安定した宿主細胞を生成することが可能である。
【0037】
本発明のrAAVを生じさせるために必要な組み換えAAVベクター、rep配列、cap配列、およびルパー機能を、適切な遺伝要素(ベクター)を使用してパッケージング宿主細胞に送達することが可能である。選択された遺伝要素を、本明細書に記載の方法を含む、好適な方法で送達することが可能である。本発明の実施態様を構築するために使用される方法は、核酸操作技術を持つ者に知られており、また遺伝子工学、組み換え工学、および合成的技法を含む。たとえば、Sambrook et al,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照されたい。同様に、rAAVビリオンを生成する方法は周知であり、また好適な方法の選択は、本発明に対する制限ではない。たとえば、K.Fisher et al,J.Virol.,70:520-532(1993)および米国特許第5,478,745号明細書を参照されたい。
【0038】
いくつかの実施態様で、(たとえば、米国特許第6,001,650号明細書(三重形質移入方法に関するその内容を、参照により本明細書に援用する)に詳細に記述されているような)三重形質移入方法を使用して組み換えAAVを生じさせることが可能である。一般に、AAV粒子にパッケージされる(導入遺伝子を含む)組み換えAAVベクター、AAVヘルパー機能ベクター、および補助機能ベクターを含む組み換えAAVは、宿主細胞を形質移入することによって生じさせる。AAVヘルパー機能ベクターは、増殖的AAV複製およびカプシド形成に関してトランスに機能する、「AAVヘルパー機能」配列(すなわち、repおよびcap)をコードする。好ましくは、AAVヘルパー機能ベクターは、検出可能な野生型AAVビリオン(すなわち、機能性rep遺伝子および機能性cap遺伝子を含むAAVビリオン)を生成せずに、効率的なAAVベクター産生を支援する。本発明と共に使用するのに好適なベクターの非限定的な例としては、米国特許第6,001,650号明細書に記載のpHLP19、および米国特許第6,156,303号明細書に記載のpRep6cap6ベクターなどがあり、両者の全内容を参照により本明細書に援用する。補助機能ベクターは、AAVが、複製を依存している非AAV由来のウイルス機能および/または細胞機能(すなわち、「補助機能」)のためのヌクレオチド配列をコードする。補助機能は、AAV遺伝子転写の活性化に関与する部分、段階特異的AAVmRNAスプライシングに関与する部分、AAVDNA複製に関与する部分、cap発現生成物の合成に関与する部分、およびAAVカプシド組み立てに関与する部分を含むがこれに限定されない、AAV複製に必要な機能を含む。ウイルスに基づいた補助機能は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型以外)、およびワクシニアウイルス等の、既知のヘルパーウイルスのいずれからも誘導することができる。
【0039】
いくつかの態様で、本発明は形質移入された宿主細胞を提供する。用語「形質移入」は、細胞による外来DNAの取り込みに言及するために使用され、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されている時、細胞は「形質移入されている」。多くの形質移入技法が、当該技術分野で一般に知られている。たとえば、Graham et al.(1973)Virology,52:456、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratories, New York、Davis et al.(1986)Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier、およびChu et al.(1981)Gene 13:197を参照されたい。このような技法を使用して、1つ以上の外因性核酸、たとえばヌクレオチド組み込みベクターや他の核酸分子等を、好適な宿主細胞に導入することができる。
【0040】
「宿主細胞」は、対象の物質を持つか、または持つことができる、細胞を指す。多くの場合、宿主細胞は哺乳類細胞である。宿主細胞を、AAVヘルパー構築物、AAVミニ遺伝子プラスミド、補助機能ベクター、または組み換えAAVの産生と関連した他のトランスファーDNAのレシピエントとして使用することが可能である。この用語は、形質移入されている原細胞の子孫を含む。したがって、本明細書で使用されるとき、「宿主細胞」は外因性DNA配列で形質移入されている細胞を指すこともある。単一親細胞の子孫が、自然突然変異、偶発的突然変異または計画的突然変異のために、形態の点で、あるいはゲノムDNA補体または全DNA補体の点で、元の親と必ずしも完全に同一であるとは限らないと理解される。
【0041】
いくつかの態様で、本発明は単離された細胞を提供する。細胞に関して本明細書で使用されるとき、用語「単離された」は、その自然環境から(たとえば、組織または対象から)単離されている細胞を指す。本明細書で使用されるとき、用語「細胞株」は、インビトロで連続的なまたは長期に及ぶ増殖および分裂ができる細胞の個体群を指す。多くの場合、細胞株は1つの前駆細胞に由来するクローン集団である。さらに、このようなクローン集団の保管中またはトランスファー中に、核型の自然変化または誘起変化が起こり得ることは、当該技術分野で知られている。したがって、言及の細胞株に由来する細胞は、祖先細胞または祖先培養と精確に同一でないこともあり、また言及の細胞株はこのような変異形を含む。本明細書で使用されるとき、用語「組み換え細胞」は、生物学的に活性なポリペプチドの転写またはRNA等の生物学的に活性な核酸の産生を招くDNAセグメント等の、外因性DNAセグメントが中に導入されている細胞を指す。
【0042】
本明細書で使用されるとき、用語「ベクター」は、適当な調節要素と関連しているとき複製することができ、細胞間で遺伝子配列をトランスファーできる、たとえばプラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、人工染色体、ウイルス、ビリオン等々の遺伝要素を含む。したがって、本用語はクローニング媒体、発現媒体、ならびにウイルスベクターを含む。いくつかの実施態様で、有用なベクターは、転写される核酸セグメントが、プロモーターの転写調節下に置かれているベクターであると考えられる。「プロモーター」は、遺伝子の特異的転写の開始に必要な、細胞の合成装置によって認識されるDNA配列、または合成装置に導入されるDNA配列を指す。句「効果を生むように置かれた」、「調節下」または「転写調節下」は、プロモーターが、RNAポリメラーゼ開始および遺伝子の発現を調節するための核酸に関して正しい位置および方向にあることを意味する。用語「発現ベクターまたは発現構築物」は、配列をコードしている核酸の一部または全部が転写され得る核酸を含むあらゆるタイプの遺伝子構築物を意味する。いくつかの実施態様で、発現は、たとえば、生物学的に活性なポリペプチド産物または抑制性RNA(たとえば、shRNA、miRNA)を、転写された遺伝子から生成するための核酸の転写を含む。
【0043】
本発明のrAAVを作りだすために、組み換えベクターを所望のAAVカプシドにパッケージするための前述の方法は、限定を意味するものではなく、他の好適な方法は熟練技術者に明らかになるであろう。
【0044】
組み換えAAVベクター
本発明の「組み換えAAV(rAAV)ベクター」は一般に、最低限で、導入遺伝子およびその制御配列、ならびに5’および3’AAV逆方向末端反復(ITR)からなる。カプシドタンパク質にパッケージされ、選択された標的細胞に送達されるのは、この組み換えAAVベクターである。いくつかの実施態様で、導入遺伝子は、対象の、ポリペプチド、タンパク質、機能性RNA分子(たとえば、miRNA、miRNAインヒビター)または他の遺伝子産物をコードする、ベクター配列に非相同な核酸配列である。核酸コード配列は、標的組織の細胞で導入遺伝子転写、翻訳、および/または発現を可能にする方法で、効果を生むように制御構成要素に連結される。
【0045】
ベクターのAAV配列は一般に、シス作用性の5’逆方向末端反復配列および3’逆方向末端反復配列を含む(たとえば、B.J.Carter,in“Handbook of Parvoviruses”, ed., P.Tijsser, CRC Press,pp.155 168(1990)参照)。ITR配列は、長さ約145bpである。好ましくは、ITRをコードしている実質的に全配列が分子に使用されるが、こうした配列のある程度の軽微な改変は許容される。こうしたITR配列を改変する能力は、当該技術分野の技術の範囲内である。(たとえば、Sambrook et al,「Molecular Cloning.A Laboratory Manual」,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989);およびK.Fisher et al.,J Virol.,70:520 532(1996)等のテキスト参照)。本発明で使用されるこのような分子の一例は、選択される導入遺伝子配列および関連制御要素に、5’AAV ITR配列および3’AAV ITR配列が隣接している、導入遺伝子を含む「シス作用性」プラスミドである。AAV ITR配列は、現在同定されている哺乳類AAV型を含む、既知のAAVから得ることが可能である。
【0046】
組み換えAAVベクターのために上で同定された主要な要素に加えて、ベクターは、プラスミドベクターで形質移入されるかまたは本発明によって作り出されたウイルスに感染した細胞において、転写、翻訳および/または発現を可能にする方法で導入遺伝子に操作可能に連結された、従来の調節要素も含む。本明細書で使用されるとき、「操作可能に連結された」配列は、対象の遺伝子と連続している発現調節配列および、トランスに作用するかまたは対象の遺伝子を調節する距離で作用する発現調節配列の両者を含む。発現調節配列は、適切な転写開始配列、転写終結配列、プロモーター配列およびエンハンサー配列;たとえばスプライシング信号やポリアデニル化(polyA)信号等の、効率的RNAプロセシング信号;細胞質mRNAを安定させる配列;翻訳効率を高める配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質安定性を高める配列;および必要に応じて、コードされた産物の分泌を高める配列を、含む。天然プロモーター、構成的プロモーター、誘導性プロモーターおよび/または組織特異的プロモーターを含む、多くの発現調節配列が当該技術分野で知られており、また利用することが可能である。
【0047】
本明細書で使用されるとき、核酸配列(たとえば、コード配列)および制御配列は、核酸配列の発現または転写を制御配列の影響下または調節下に置くという方法で共有結合しているとき、操作可能に連結されていると言われる。核酸配列が機能性タンパク質に翻訳されることが望ましい場合、5’制御配列におけるプロモーターの誘導が、コード配列の転写をもたらすのであれば、また2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)結果的にフレームシフト突然変異の導入を招かない、(2)プロモーター領域の、コード配列の転写を指令する能力を妨げない、または(3)対応するRNA転写物の、タンパク質に翻訳される能力を妨げないのであれば、2つのDNA配列は操作可能に連結されていると言われる。したがって、プロモーター領域が、結果として生じる転写物を所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳できるというように、DNA配列の転写を遂行できたのであれば、プロモーター領域は、核酸配列に操作可能に連結されたのであろう。同様に、2つ以上のコード領域は、共通プロモーターからのそれらの転写が、フレームで翻訳された2つ以上のタンパク質の発現をもたらすという方法で連結されるとき、操作可能に連結される。いくつかの実施態様で、操作可能に連結されたコード配列は、融合タンパク質を産する。いくつかの実施態様で、操作可能に連結されたコード配列は、機能性RNA(たとえば、shRNA、miRNA)を産する。
【0048】
タンパク質をコードしている核酸では、概してポリアデニル化配列は、導入遺伝子配列の後でかつ3’AAV ITR配列の前に挿入される。本発明で有用なrAAV構築物は、望ましくはプロモーター/エンハンサー配列と導入遺伝子との間に位置する、イントロンも含んでもよい。1つの可能なイントロン配列はSV−40に由来し、SV−40 Tイントロン配列と呼ばれる。使用することが可能な別のベクター要素は、内部リボソーム進入部位(IRES)である。IRES配列を使用して、単一遺伝子転写物から2つ以上のポリペプチドが産生される。IRES配列を使用すれば、2つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質が産生されるであろう。これらおよび他の共通ベクター要素の選択は定型的であり、多くのそのような配列は入手できる[たとえば、Sambrook et al,およびその中で、たとえば3.18 3.26ページおよび16.17 16.27ページに引用の参考文献、ならびにAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,1989参照]。いくつかの実施態様で、口蹄疫ウイルス2A配列がポリプロテインに含まれる;これは、ポリプロテインの切断を仲介することが証明されている小ペプチド(長さ約18アミノ酸)である(Ryan,M D et al.,EMBO,1994;4:928-933;Mattion,N M et al.,J Virology,November 1996;p.8124-8127;Furler,S et al.,Gene Therapy, 2001; 8:864-873;およびHalpin,C et al.,The Plant Journal,1999;4:453-459)。2A配列の切断活性は、プラスミド類および遺伝子療法ベクター類(AAVおよびレトロウイルス)を含む人工システムで以前に証明されている(Ryan,M D et al.,EMBO,1994;4:928-933;Mattion,N M et al.,J Virology,November 1996;p.8124-8127;Furler,S et al.,Gene Therapy,2001;8:864-873;およびHalpin,C et al.,The Plant Journal,1999;4:453-459;de Felipe,P et al.,Gene Therapy,1999;6:198-208;de Felipe,P et al.,Human Gene Therapy,2000;11:1921-1931.;およびKlump,H et al.,Gene Therapy,2001;8:811-817)。
【0049】
宿主細胞における遺伝子発現に必要な制御配列の精確な性質は、種、組織または細胞型の間で異なる可能性があるが、一般に、必要に応じて、それぞれ転写の開始と翻訳の開始と関係がある5’非転写配列および5’非翻訳配列、たとえばTATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列、エンハンサー要素等々を含むものとする。特に、そのような5’非転写制御配列は、操作可能に結合された遺伝子の転写調節のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含むであろう。制御配列は、必要に応じて、エンハンサー配列または上流活性化配列も含んでもよい。本発明のベクターは、任意選択的に5’リーダー配列または信号配列を含んでもよい。適切なベクターの選択および設計は、当業者の能力および裁量の範囲内である。
【0050】
構成的プロモーターの例としては、レトロウイルスのラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意選択的にRSVエンハンサーを含む)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(任意選択的にCMVエンハンサーを含む)[たとえば、Boshart et al,Cell,41:521-530(1985)参照]、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、β−アクチンプロモーター、ホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーター、およびEF1αプロモーター[Invitrogen]などがあるが、これに限定されない。
【0051】
誘導性プロモーターは、遺伝子発現の制御を可能にし、また外的に供給される化合物、温度等の環境因子、または特定の生理学的状態の存在、たとえば、急性期、細胞のある特定の分化状態、または複製中の細胞のみ、によって制御され得る。誘導性プロモーターおよび誘導系は、Invitrogen、ClontechおよびAriad等を含むが、これに限定されない、種々の商業的供給源から入手できる。多くの他の系は、記述されており、また当業者により容易に選択され得る。外的に供給されるプロモーターによって制御される誘導性プロモーターの例としては、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)−誘導性マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系(国際公開第98/10088号パンフレット);エクジソン昆虫プロモーター(No et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:3346-3351(1996))、テトラサイクリン抑制系(Gossen et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992))、テトラサイクリン誘導系(Gossen et al,Science,268:1766-1769(1995)、Harvey et al,Curr.Opin.Chem.Biol.,2:512-518(1998)も参照)、RU486−誘導系(Wang et al,Nat.Biotech.,15:239-243(1997)およびWang et al,Gene Ther.,4:432-441(1997))およびラパマイシン誘導系(Magari et al,J.Clin.Invest.,100:2865-2872(1997))などがある。この関連で有用な可能性がある、さらに他の誘導性プロモーターは、特定の生理学的状態、たとえば、温度、急性期、細胞のある特定の分化状態、または複製中の細胞のみ、によって制御されるものである。
【0052】
別の実施態様で、天然プロモーター、またはそのフラグメントが、導入遺伝子用に使用されるであろう。導入遺伝子の発現が天然の発現によく似ていることが望ましい時、天然プロモーターが好ましいこともある。導入遺伝子の発現を、時間的にまたは発生的に、あるいは組織特異的方法で、または特異的転写刺激に応答して、制御しなければならないとき、天然プロモーターを使用することが可能である。さらなる実施態様で、他の天然発現調節要素、たとえばエンハンサー要素、ポリアデニル化部位またはKozakコンセンサス配列を使用して天然の発現を模倣することも可能である。
【0053】
いくつかの実施態様で、制御配列は、組織特異的遺伝子発現能を与える。場合によって、組織特異的制御配列は、組織特異的方法で転写を誘導する組織特異的転写因子を結合する。このような組織特異的制御配列(たとえば、プロモーター、エンハンサー等)は、当該技術分野で周知である。例示的な組織特異的制御配列としては、以下の組織特異的プロモーターなどがあるが、これに限定されない:ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(Andersen et al.,Cell.Mol.Neurobiol.,13:503-15(1993))、ニューロフィラメント軽鎖遺伝子プロモーター(Piccioli et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:5611-5(1991))、およびニューロン特異的vgf遺伝子プロモーター(Piccioli et al.,15:373-84(1995))等のニューロン性。いくつかの実施態様で、組織特異的プロモーターは、ニューロン核(NeuN)、グリア線性酸性タンパク質(GFAP)、大腸腺腫症(APC)、およびイオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba−1)から選択される遺伝子のプロモーターである。他の適切な組織特異的プロモーターは熟練技術者に明らかになるであろう。いくつかの実施態様で、プロモーターはニワトリβ−アクチンプロモーターである。
【0054】
いくつかの実施態様で、導入遺伝子を持つ対象の1つ以上の組織、たとえば、非CNS組織における導入遺伝子の発現を抑制するために、miRNA用の1つ以上の1つ以上の結合部位が、rAAVベクターの導入遺伝子に組み込まれる。熟練技術者は、結合部位を選択して組織特異的方法で導入遺伝子の発現を調節することが可能なことを、十分に理解するであろう。たとえば、肝臓で、導入遺伝子から発現されるmRNAがmiR−122に結合してmiR−122により抑制されるようにmiR−122用の結合部位を組み込むことによって、肝臓における導入遺伝子の発現を抑制することが可能である。心臓で、導入遺伝子から発現されるmRNAがmiR−133aまたはmiR−1に結合してmiR−133aまたはmiR−1によって抑制されるようにmiR−133aまたはmiR−1用の結合部位を組み込むことによって、心臓における導入遺伝子の発現を抑制することが可能である。mRNAのmiRNA標的部位は、5’UTR内、3’UTRまたはコード領域内であってもよい。一般に、標的部位はmRNAの3’UTR内である。さらに、多様なmiRNAが、同一部位または多様な部位を認識することによってmRNAを制御するように、導入遺伝子を設計することが可能である。多様なmiRNA結合部位が存在することは、多様なRISCの共同作用をもたらし、極めて効率的に発現を抑制する。標的部位配列は、総計5〜100、10〜60、またはそれより多いヌクレオチドを含んでもよい。標的部位配列は、標的遺伝子結合部位の配列の少なくとも5ヌクレオチドを含んでもよい。
【0055】
導入遺伝子コード配列:CNS関連遺伝子
rAAVベクターの導入遺伝子配列の組成は、結果として生じるベクターの用途によって異なるであろう。たとえば、ある種の導入遺伝子配列は、発現に際して検出可能な信号を生じるレポーター配列を含む。別の例で、導入遺伝子は治療用タンパク質または治療用機能性RNAをコードしている。別の例で、導入遺伝子は、調査研究目的に、たとえば、導入遺伝子を持つ体細胞トランスジェニック動物モデルを作るために、たとえば、導入遺伝子産物の機能を研究するために、使用されることを目的とするタンパク質または機能性RNAをコードする。別の例で、導入遺伝子は、疾病の動物モデルを作るために使用されることを目的とするタンパク質または機能性RNAをコードする。適切な導入遺伝子コード配列は熟練技術者に明らかになるであろう。
【0056】
いくつかの態様で、本発明は、哺乳動物における1つ以上の遺伝子欠損(たとえば、遺伝性遺伝子欠損、体細胞遺伝子変化)、たとえば、対象でポリペプチド欠乏やポリペプチド過剰を招く結果となる遺伝子欠損等を、予防または治療する方法で使用するためのrAAVベクター、特に、細胞および組織で、このようなポリペプチドの欠乏と関係したCNS関連障害を表している対象における欠乏を治療したり、その重症度または程度を低下させるための、rAAVベクターを提供する。いくつかの実施態様で、方法は、薬学的に許容できる担体中の、1つ以上の治療用のペプチド、ポリペプチド、shRNA、マイクロRNA、アンチセンスヌクレオチド等々をコードするrAAVベクターを、CNS関連障害を有するかまたは有すると疑われる対象におけるそのような障害を治療するのに十分な量および期間、対象に投与することを含む。
【0057】
rAAVベクターは、CNS関連障害を調整または治療するタンパク質または機能性RNAをコードしている核酸を、導入遺伝子として含んでもよい。以下は、CNS関連障害と関連した遺伝子の非限定的リストである:神経細胞アポトーシス抑制タンパク質(NAIP)、神経成長因子(NGF)、グリア由来成長因子(GDNF)、脳由来成長因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、GTP−シクロヒドロラーゼ(GTPCH)、アスパルトアシラーゼ(ASPA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)およびアミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)。たとえば、パーキンソン病の治療で有用な導入遺伝子は、ドーパミンの合成における律速酵素である、THをコードする。TH補因子テトラヒドロビオプテリンを生成する、GTPCHをコードしている導入遺伝子も、パーキンソン病の治療で使用することが可能である。GDNFまたはBDNF、あるいはL−DopaのDAへの変換を促進する、AADCをコードしている導入遺伝子も、パーキンソン病の治療で使用することが可能である。ALSの治療のために、有用な導入遺伝子はGDNF、BDNFまたはCNTFをコードしてもよい。やはりALSの治療のために、有用な導入遺伝子は、SOD1の発現を抑制する、機能性RNA、たとえば、shRNA、miRNAをコードしてもよい。虚血の治療のために、有用な導入遺伝子はNAIPまたはNGFをコードしていてもよい。β−グルクロニダーゼ(GUS)をコードしている導入遺伝子は、ある種のリソソーム蓄積症(たとえば、ムコ多糖症VII型(MPS VII))の治療に有用な可能性がある。プロドラッグ活性化遺伝子、たとえば、ガンシクロビルを(DNA合成を中断させて細胞死に導く)有毒なヌクレオチドに変換するHSV−チミジンキナーゼをコードしている導入遺伝子は、たとえば、プロドラッグと併用されるとき、ある種の癌の治療に有用な可能性がある。β−エンドルフィン等の、内因性オピオイドをコードしている導入遺伝子は、疼痛の治療に有用な可能性がある。本発明のrAAVベクターで使用することが可能な導入遺伝子の他の例は、熟練技術者に明らかになるであろう(たとえば、Costantini LC,et al.,Gene Therapy(2000)7,93-109参照)。
【0058】
いくつかの実施態様で、組み換えRNAベクターのクローニング能力は限られている可能性があり、所望のコード配列はウイルスの4.8キロベースゲノムの完全置換を含むことがある。ラージ遺伝子は、したがって、標準的組み換えAAVベクターでの使用に適さない場合もある。熟練技術者は、限られたコーディング能力を克服するための選択肢を当該技術分野で利用できることを十分に理解するであろう。たとえば、2つのゲノムのAAV ITRをアニーリングして頭尾コンカテマーを形成し、ベクターの能力をほぼ倍加する。スプライス部位を挿入することにより、転写物からITRを除去することが可能になる。限られたクローニング能力を克服するための他の選択肢は、熟練技術者に明らかになるであろう。
【0059】
組み換えAAV投与
rAAVSは、所望の組織の細胞を形質移入し、過度の有害作用なしに、十分なレベルの遺伝子移入および発現を提供するのに十分な量で投与される。従来の、薬学的に許容される投与経路は選択された組織への直接送達(たとえば、脳内投与、髄腔内投与)、静脈内、経口、吸入(鼻腔内送達および気管内送達を含む)、眼内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腫瘍内、および他の親投与経路を含むが、これに限定されない。投与経路は、必要に応じて組み合わせてもよい。
【0060】
ある種のrAAVの対象への送達は、たとえば、対象の血流中への投与によってもよい。血流中への投与は、静脈、動脈、または任意の他の人工血管への注射によってもよい。さらに、場合によっては、rAAVを脳組織、髄膜、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、乏突起膠細胞、脳脊髄液(CSF)、間質腔等々に送達することが望ましいこともある。いくつかの実施態様で、組み換えAAVを、脳室領域への注射によって脊髄または脳に直接送達することも可能であり、また線条体(たとえば、尾状核または線条体の被殻)、および神経筋接合部、または小脳小葉に、当該技術分野で知られている神経外科的技法を使用して、たとえば定位的注射によるなど、針、カテーテルまたは関連装置で直接送達することも可能である(たとえば、Stein et al.,J Virol 73:3424-3429,1999;Davidson et al.,PNAS 97:3428-3432,2000;Davidson et al.,Nat.Genet.3:219-223,1993;およびAlisky and Davidson,Hum.Gene Ther.11:2315-2329,2000参照)。ある特定の環境では、本明細書に開示されている適切に処方された医薬組成物の状態で、rAAVに基づいた治療用構築物を、皮下的、膵内的、鼻腔内的、非経口的、静脈内的、筋肉内的、脳内的、髄腔内的、脳内的、経口的、腹腔内的のいずれかで、または吸入により、送達することが望ましいであろう。いくつかの実施態様で、米国特許第5,543,158号明細書;米国特許第5,641,515号明細書および米国特許第5,399,363号明細書(それぞれ、その全体を参照により本明細書に明確に援用する)に記述されているような投与方式を使用してrAAVを送達することも可能である。
【0061】
組み換えAAV組成物
rAAVは、当該技術分野で知られている適切な方法に従って、組成物の状態で対象に送達することが可能である。好ましくは生理学的に適合する担体中に懸濁された(たとえば、組成物の状態で)rAAVを、対象、たとえば、ヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、モルモット、ハムスター、ニワトリ、七面鳥、または非ヒト霊長類(たとえば、マカク)に投与することが可能である。本発明の組成物は、rAAVを単独で含んでもよく、また1つ以上の他のウイルス(たとえば、1つ以上の異なる導入遺伝子をコードしている第2のrAAV)と組み合わせて含んでもよい。いくつかの実施態様で、組成物は、それぞれ1つ以上の異なる導入遺伝子を有する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多い異なるrAAVを含む。
【0062】
好適な担体は、rAAVが向けられた指示を考慮して、当該技術分野における熟練者により容易に選択され得る。たとえば、1つの好適な担体は、種々のバッファ液(たとえば、リン酸緩衝生理食塩水)と共に処方することが可能な、生理食塩水を含む。他の例示的な担体としては、滅菌食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、寒天、ペクチン、落花生油、ゴマ油、および水などがある。担体の選択は、本発明を限定するものではない。
【0063】
任意選択的に、本発明の組成物は、rAAVおよび担体に加えて、他の従来の医薬品成分、たとえば保存料や化学安定剤等を含んでもよい。好適な例示的な保存料としては、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン類、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、およびパラクロロフェノールなどがある。好適な化学安定剤としては、ゼラチンやアルブミンなどがある。
【0064】
所望の効果すなわち「治療効果」を達成するために必要なrAAVビリオンの用量、たとえば、ベクターゲノム/体重kg(vg/kg)で表した用量の単位は、rAAV投与経路、治療効果を達成するために必要な遺伝子またはRNA発現のレベル、治療しようとしている具体的な疾病または障害、および遺伝子またはRNA産物の安定性を含むが、これに限定されない幾つかの要因によって異なるであろう。当該技術分野における熟練者は、ある特定の疾病または障害を有する対象を治療するためのrAAVビリオン用量範囲を、前述の要因ならびに当該技術分野で周知の他の因子に基づいて、容易に決定することができる。rAAVの有効量は概して、対象当たり約10〜1016ゲノムコピーを含んでいる溶液約10μl〜約100mlの範囲である。他の容量の溶液を使用することも可能である。使用される容量は一般に、とりわけ、対象のサイズ、rAAVの用量、および投与経路によって異なるであろう。たとえば、髄腔内投与または脳内投与では、1μl〜10μlまたは10μl〜100μlの容量を使用することが可能である。静脈内投与では、10μl〜100μl、100μl〜1ml、1ml〜10mlの範囲、またはそれより多い容量を使用することが可能である。場合によっては、対象当たり約1010〜1012 rAAVゲノムコピーの用量が適する。ある実施態様で、CNS組織をターゲットするために、対象当たり1012 rAAVゲノムコピーが有効である。いくつかの実施態様で、rAAVは、対象当たり1010、1011、1012、1013、1014、または1015ゲノムコピーの用量で投与される。いくつかの実施態様で、rAAVは、1kg当たり1010、1011、1012、1013、または1014ゲノムコピーの用量で投与される。
【0065】
いくつかの実施態様で、特に高濃度rAAVが存在する場合(たとえば、約1013GC/ml以上)、rAAV組成物は、組成物中でAAV粒子の凝集が減少するように処方される。rAAVの凝集を減少させる方法は当該技術分野で周知であり、たとえば、界面活性剤の添加、pH調整、塩濃度調整等がある(たとえば、Wright FR,et al.,Molecular Therapy(2005)12,171-178(その内容を参照により本明細書に援用する)参照)。
【0066】
本明細書に記載の独特の組成物を種々の治療方式で使用するのに好適な投与方式および治療方式の開発通り、薬学的に許容される賦形剤および担体溶液の調剤は、当業者に周知である。一般に、こうした製剤は少なくとも約0.1%以上の有効成分を含むであろうが、有効成分のパーセンテージは、もちろん、変化してもよく、また便宜上、全製剤の重量または容量の約1%または2%〜約70%または80%以上の間であろう。当然のことながら、調製されることが可能な各治療上有用な組成物中の有効成分の量は、化合物の所与の単位用量で好適な投薬量が得られるという方法である。溶解性、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製剤の有効期限等の要因、ならびに他の薬理学的検討事項は、このような医薬製剤を調製する技術分野の熟練者により熟考されることが可能であり、したがって種々の投薬量および治療方式も望ましいであろう。
【0067】
注射用途に好適な剤形としては、滅菌水剤または滅菌分散剤、および滅菌注射液または滅菌分散の即時調製用滅菌散剤などがある。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール類、およびその混合物中でも、また油中でも、調製することが可能である。通常の保管条件および使用条件で、こうした調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存料を含む。多くの場合、その形態は無菌であり、また容易に注射可能な程度まで流動性が存在する。調製物は、製造条件下および保管条件下で安定していなければならず、また細菌類や真菌類等の、微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等々)、その好適な混合物、および/または植物油を含む溶媒または分散媒であってもよい。適当な流動性は、たとえば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散剤の場合には必要な粒径の維持によって、また界面活性剤の使用によって、維持することが可能である。微生物の活動の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等々によりもたらすことができる。多くの場合、たとえば、糖類または塩化ナトリウム等の、等張剤を含むことが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる物質、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによってもたらすことができる。
【0068】
注射用液の投与では、たとえば、溶液を、必要に応じて、適当に緩衝化してもよく、また液体希釈剤を先ず、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にしてもよい。こうした特定の水溶液は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与および腹腔内投与に特に適する。これに関連して、使用することが可能な無菌の水性媒体は、当該技術分野における熟練者に分かるであろう。たとえば、1回量を等張のNaCl溶液1mlに溶解し、皮下注入流体1000mlに加えるかまたは提案された注入部位に注射する(たとえば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” 15th Edition,pages 1035-1038 and 1570-1580参照)。宿主の状態に応じて、投与量のいくつかの変化が必然的に生じるであろう。いずれにしても、投与に責任がある者が、個々の宿主に適切な用量を決定するであろう。
【0069】
滅菌注射液は、活性なrAAVを必要な量で、必要に応じて、本明細書に列挙されている様々な他の成分と一緒に溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することにより調製される。概して、分散剤は、様々な滅菌した有効成分を、基本的な分散媒体および上に列挙したものの中から所望の他の成分を含む滅菌媒体に組み込むことによって調製される。滅菌注射液を調製するための滅菌散剤の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過した溶液から有効成分に追加的な所望の成分を加えた散剤を生じる、真空乾燥技法およびフリーズドライ技法である。
【0070】
本明細書に開示されているrAAV組成物は、中性で、または塩形で、調剤することが可能である。薬学的に許容される塩類は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とで形成される)を含み、また、たとえば、塩酸またはリン酸等の無機酸とで、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等々の有機酸とで形成される。遊離カルボキシル基とで形成される塩類は、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄等の無機塩基類、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等々の有機塩基類から誘導することもできる。製剤に際して、液剤は好ましくは、投与量製剤と適合する方法で、かつ治療に有効な量で投与される。製剤は、たとえば注射液および薬物放出カプセル等々の種々の剤形で、容易に投与することができる。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、媒体、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、バッファ、担体溶液、懸濁液、コロイド等々を含む。このような媒体および薬剤の、薬学的に活性な物質への使用は、当該技術分野で周知である。補助的な有効成分も組成物に組み込むことができる。句「薬学的に許容される」は、宿主に投与したとき、アレルギー反応または類似した有害反応を生じさせない分子実体および組成物を指す。
【0072】
リポソーム、ナノカプセル、微粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、小胞、等々の送達媒体を、本発明の組成物を好適な宿主細胞に導入するために使用することが可能である。特に、rAAVベクター送達導入遺伝子を、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェアまたはナノ粒子等々のいずれかでカプセル化して、送達用に製剤することが可能である。
【0073】
このような製剤は、本明細書に開示されている核酸またはrAAV構築物の薬学的に許容される製剤を導入するのに好ましいであろう。リポソームの形成および使用は概して、当業者に周知である。最近、改良された血清安定性および循環半減期を有するリポソームが開発された(米国特許第5,741,516号明細書)。さらに、潜在的薬物担体としてのリポソームおよびリポソーム様調製物の様々な方法が記述されている(米国特許第5,567,434号明細書;米国特許第5,552,157号明細書;米国特許第5,565,213号明細書;米国特許第5,738,868号明細書および米国特許第5,795,587号明細書)。
【0074】
リポソームは、他の手順による形質移入に対して通常は抵抗性を示す多くの細胞型と共に首尾よく使用されてきた。加えて、リポソームは、ウイルスに基づいた送達系に特有のDNA長さに制限がない。リポソームは、遺伝子、薬物、放射線治療薬、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターを種々の培養細胞株や動物に導入するために、効果的に使用されてきた。加えて、リポソーム介在薬物送達の有効性を試験する幾つかの成功した臨床治験が完了している。
【0075】
リポソームは、水性媒体中に分散して多重膜同心二層小胞(多重膜小胞(MLV)とも呼ばれる)を自然形成するリン脂質から形成される。MLVは概して、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理により、中心部に水溶液を含む、直径200〜500Åの範囲内の小型単層小胞(SUV)が結果的に生じる。
【0076】
あるいは、rAAVのナノカプセル製剤を使用してもよい。ナノカプセルは概して、安定かつ再現性のある方法で物質を封入する。細胞内ポリマー過負荷に起因する副作用を回避するために、そのような超微細粒子(粒径約0.1μm)は、インビボで分解できるポリマーを使用して設計すべきである。こうした要件を満たす生分解性ポリアルキル−シアノアクリレートナノ粒子の使用が考慮される。
【0077】
上述の送達方法に加えて、rAAV組成物を宿主に送達する代替法として下記の技法も考えられる。ソノフォレシス(すなわち、超音波)は、循環系中への薬物浸透および循環系を介した薬物浸透の速度および有効性を高める装置として使用されており、また米国特許第5,656,016号明細書に記述されている。考えられる他の薬物送達代替法は、骨内注射(米国特許第5,779,708号明細書)、マイクロチップ装置(米国特許第5,797,898号明細書)、眼科用製剤(Bourlais et al.,1998)、経皮マトリックス(米国特許第5,770,219号明細書および米国特許第5,783,208号明細書)およびフィードバック制御送達(米国特許第5,697,899号明細書)である。
【0078】
キットおよび関連組成物
本明細書に記載の薬剤は、いくつかの実施態様で、治療用途、診断用途調査研究用途での使用を容易にするために調剤キットまたは診断キットまたは調査研究キットに組み立てることが可能である。キットは、本発明の構成要素および使用説明書を収納する1つ以上の容器を含む。具体的には、このようなキットは、本明細書に記載の1つ以上の薬剤を、こうした薬剤の所期の用途および適切な使用を説明する説明書と一緒に含む。ある実施態様で、キット内の薬剤は、医薬製剤の状態でありかつ薬剤のある特定の用途および投与方法に好適な投与量であってもよい。調査研究目的のキットは、構成要素を、様々な実験の実行に適切な濃度または量で含むことが可能である。
【0079】
キットは、研究者が本明細書に記載の方法を使用しやすくするように設計することが可能であり、また多くの形態をとることができる。キットの各組成物は、該当する場合、液体で(たとえば、溶液で)、または固体(たとえば、乾燥粉末)で提供することが可能である。場合によって、組成物の一部は、たとえば、キットと一緒に提供されてもされなくてもよい好適な溶媒または他の種(たとえば、水または細胞培地)を加えることによって、構成可能であってもよくあるいは(たとえば、活性型に)加工可能であってもよい。本明細書で使用されるとき、「使用説明書」は、指示および/または販売促進の構成要素を明示することができ、また一般に、本発明のパッケージングの、または本発明のパッケージングと関連した、書面による使用説明を含む。使用説明書がキットと関係があることをユーザーが明らかに認識するという方法で、たとえば、視聴覚的(たとえば、ビデオテープ、DVD等)、インターネット、および/またはウェブベースのコミュニケーション等で提供される、あらゆる口伝または電子指示も、使用説明書は含む。書面による使用説明書は、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を管理する政府機関によって規定された様式であってもよく、その使用説明書は、動物投与用の製造、使用または販売の機関による認可も示すことができる。
【0080】
キットは、1つ以上の容器の中に、本明細書に記載の構成要素のいずれか1つ以上を含む。一例として、一実施態様で、キットは、キットの1つ以上の構成要素を混合するためおよび/またはサンプルを取り出して混合し、対象に適用するための使用説明書を含んでもよい。キットは、本明細書に記載の薬剤を収納する容器を含んでもよい。薬剤は、液体、ゲルまたは固体(散剤)の形態であってもよい。薬剤は、無菌的に調製し、注射器に充填して冷凍輸送することが可能である。あるいは、薬剤は、小瓶または他の保存容器に収納されていてもよい。無菌的に調製された他の薬剤が第2の容器に入っていてもよい。あるいは、キットは、注射器、小瓶、チューブ、または他の容器の中に前もって混合された作用剤が入っていて輸送することが可能である。キットは、薬剤を対象に投与するために必要な構成要素、たとえば注射器、局所適用装置、または、IV針チューブおよびバッグ等の、1つ以上または全てを具有してもよい。
【実施例】
【0081】
例1:miRNA制御により、CNSをターゲットしかつ非CNS組織をターゲット解除するための血管内送達のための、12のAAVベクターの特性決定
異なる血清型の、12のscAAVEGFPベクター、または自然変異体の、CNS遺伝子移入特性を評価した。血管脳関門(BBB)を越えて乏突起膠細胞をターゲットするRAAVが発見された。実験は、新生仔マウス(1日令)および成体マウス(10週令)(C57BL/6)で実施した。以下のAAV血清型を試験した:AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、rh.10(本明細書ではAAVrh.10とも呼ばれる)、rh.39、rh.43、CSp3。
【0082】
組み換えAAVベクターは、CMV強化ニワトリβ−アクチンハイブリッドプロモーターのもとで、強化されたGFPレポーター遺伝子を発現し、293細胞における一時的形質移入によって産生された。生後1日の新生仔マウスをイソフルランで麻酔した。次いで、解剖顕微鏡下で浅側頭静脈を介して100μLのrAAVベクター(マウス1匹当たり4×1011GC)を新生仔マウスに注射した。成体マウスでは、rAAVを尾静脈注射によって投与した(異なる2つの用量を評価した)。マウス1匹当たり4×1011GCまたはマウス1匹当たり4×1012GC)。注射後21日に、処置した動物を麻酔し、冷PBSおよび4%(v/v)パラホルムアルデヒドを経心臓的に灌流した。脳を摘出し、20%スクロースに浸漬し、Tissue−Tek OCTに包埋した。厚さ40μmの切片を切断し、12ウェルプレート内で、一次抗体で、たとえば、抗NeuN、抗EGFPおよび抗GFAPで、4℃で一晩染色し、次いで二次抗体で、室温で2時間染色した。対照のマウスはPBS注射を受けた。
【0083】
新生仔の試験で、注入後3週間に脳全体にわたってEGFP(+)細胞の分布が認められた。多様な強度を有する多数のEGFP(+)細胞が、12のうち10のベクターで処置した動物の脳の様々な領域で見られた。多くの場合、脈絡叢は非常に強いEGFP発現を示し、形質導入された脳実質細胞は、主に脳室周囲領域に現れた。このことは、IV送達ベクターのほんの一部が脈絡叢血液インターフェースを介してCNSに入る可能性があることを示す。成体では、脳血管系のかなりの染色が認められた。脳の様々な領域への、AAVによる総体的なターゲティング効率は、視床下部>延髄>皮質>海馬>小脳>視床とランク付けされた。マウス1匹当たり4×1011GCを浅側頭静脈に注射することによってEGFPレポーター遺伝子を持つrAAV2またはrAAV5を投与された新生仔マウスでは、EGFP発現は高レベルで検出されなかった。(要約データについては、表1ならびに図1および図2を参照されたい)。
【0084】
CNSにおけるEGFP(+)細胞型を分類するために、組織切片を、抗EGFPおよび抗細胞型特異的マーカー抗体で免疫蛍光的にも染色した。EGFP(+)細胞、特に神経細胞および乏突起膠細胞の、検出感度は劇的に向上した。異なるベクターが多様な効率で神経細胞を形質導入したが、全10のベクター(AAV9を含む)が、非神経細胞、特に星状細胞に、より強いトロピズムを示した。1つのベクター(AAV7)が、他の9ベクターより効率よく乏突起膠細胞をターゲットした。幾つかのrAAVは、rAAV9と比べて効率よく、神経細胞および/または星状細胞の両者を形質導入した(AAVrh.10、rh.34、およびrh.43)。視床下部および延髄で、広範におよぶ星状細胞形質導入が認められた。ある特定のベクターの注射は、新皮質、海馬、および視床下部を含む、脳の様々な領域で、かなりの神経細胞形質導入を招いた。小脳皮質内のプルキンエ細胞を形質導入すると思われるベクターもあった(たとえば、CSp3)が、新皮質、視床および視床下部の血管を効果的に形質導入するベクターもあった。加えて、第三脳室、側脳室および第第四脳室の脈絡叢は強いEGFP発現を示した。新生仔マウスおよび成体マウスの様々な脊髄領域でも、EGFP発現を評価した(新生仔試験の結果を図3に示す)。
【0085】
心臓や骨格筋等の非CNS組織の形質導入が認められた(たとえば、AAV9、AAV8、およびCSp3)。場合によって、これは望ましくない副作用につながることがある。この問題点に対処するために、miRNA結合部位を導入遺伝子カセットの3’UTRに組み込んで、非CNS組織からのAAV形質導入を極めて特異的かつ効果的にターゲティング解除した。肝臓における発現を抑制するために、mR−122に対するmiRNA結合を使用した。骨格筋および心臓での発現を抑制するために、mR−1に対するmiRNA結合を使用した。
【0086】
【表1】
【0087】
例2:CDを治療するための組み換えAAVrh.10ベクターの構築および評価
カナバン病(CD)は、アスパルトアシラーゼ遺伝子(ASPA)における突然変異に起因する遺伝性の神経変性障害であって、乏突起膠細胞におけるN−アセチル−アスパラギン酸(NAA)の蓄積につながり、結果として脳内の白質の海綿状変性を生じる。CDのためのrAAV2に基づいたASPA遺伝子療法に関する最初の臨床試験は、非常に限られた成功をおさめた。理論に束縛されることを望むことなく、有効なCD遺伝子療法は、CNS全体にわたって乏突起膠細胞を形質導入するであろうと確信される。
【0088】
CDのための遺伝子療法ベクターとしてASPAタンパク質(配列番号13または配列番号15)をコードしている領域と操作可能に連結されたプロモーターを含むrAAVベクターを構築する。本構築物は配列番号14または配列番号16で示されるようなコード配列を有するASPAの発現を推進するために、CAG(CMVエンハンサーを含むニワトリβ−アクチンプロモーター)を使用する。rAAVベクターは、三重形質移入法を使用してrAAV粒子にパッケージされる。その有効性を評価するために、ホモ接合ASPAノックアウトマウスのCD様表現型を除去したり減じたりする能力について、CDのASAPノックアウトマウスモデルで、rAAV−ASPAを試験する(Matalon R et al.The Journal of Gene Medicine,Volume 2 Issue 3,Pages 165-175)。ホモ接合ASPAノックアウトマウスは神経学的障害、大頭、全身性白質疾患、ASPA活性欠損および高濃度の尿中NAAを示す。ホモ接合マウスの脳の磁気共鳴画像法(MRI)および分光法(MRS)は、カナバン病に特有の白質変化およびNAA濃度上昇を示す。出生時に明白な表現型を持たない、ヘテロ接合ASPAノックアウトマウスが、対照の役割をする。
【0089】
例3:CD治療用AAVベクターの治療効果および安全性評価
CDのマウスモデルはC57BL/6由来のASPA遺伝子KO株である。ホモ接合KO動物は、CD患者で認められるものと類似した生化学的欠陥および神経学的欠陥を呈する。CDマウスは、CDを治療するための遺伝子療法および他の治療法を評価するための動物モデルを提供する。CDマウスは、CDを治療するための新規な遺伝子療法戦略の有効性および安全性を試験するために使用される。
【0090】
実験計画
治療効果および安全性を試験するために、最適化ASPA発現カセットを担持するscAAVベクター(たとえば、AAV7、AAV8、CSp3およびAAV9)を、CDの前臨床遺伝子療法治験で調査する。ベクターは、非CNS組織におけるASPA発現を抑制するために、miRNA結合部位を含む。出生後1日令と3カ月令の成体との両動物を、2つの用量(1×1014GC/kgおよび3×1014GC/kg)の各ベクターで、静脈内投与により処置する。新生仔CDマウスについては、1か月および3カ月の時点でそれぞれ同腹子1匹を剖検するため、同腹子2匹が側頭の静脈注射により、各用量の各ベクターを受ける。3か月令の成体CDマウスについては、12匹のオス動物を、尾静脈注射により、各用量の各ベクターで処置する。1カ月後および3カ月後に、各6匹の処置動物を剖検する。さらなる実験で、出生後1日と3カ月令の成体との両動物を、直接脳室内投与によって、1011〜1012GC/対象の範囲の用量のベクターで処置する。
【0091】
試験の生存相中の、機能的測定および神経学的測定
1).NAA代謝。14日、30日、45日、60日、75日、および90日に、処置動物、未処置対照動物、および野生型動物から尿試料を採取する。試料をHPLCで分析してNAAを決定する。
【0092】
2).脳内のNAA蓄積およびNAA誘導性水分貯留。クレアチン/クレアチンリン酸およびNAAのスペクトルピーク積分ならびに脳内の異常な高信号区域を測定するために、ベクター処理後1カ月、2カ月、および3カ月に、全試験群の生存動物に対してMRI/MRSに基づいた神経画像試験を実施する。
【0093】
3).肝機能テスト。ベクター関連の肝毒性の指標として、アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度を測定するために、14日、30日、60日、および90日に、全試験群の動物から血清試料を採取する。
【0094】
4).神経学的テスト。振顫、脚を広げてスローペースまたは不安定なペースでの歩行、および運動失調は、CDマウスの突出した神経学的特徴の中でも最たるものである。遺伝子療法治療の1カ月後、2カ月後および3カ月後に、足をカラーインクで着色し、次いで歩行パターンを足跡として白紙上に記録することにより、全試験群の動物を歩行パターン分析にかける。平衡を保つ能力についても、動物をローターロッドテストでテストして採点する。
【0095】
試験の終点における酵素分析および組織病理学的分析
1).脳組織および非CNS組織におけるASPA活性。脳組織、肝組織、心組織および膵組織を剖検時に採取してそれぞれの組織ホモジネート中のASAP活性を測定することにより、ASPAの的確な発現および的外れな発現を分析する。
2).脳白質病理および肝臓病理。遺伝子療法に起因する脳白質病理およびベクター関連の肝毒性の潜在的改善を検査するために、脳組織および肝組織を採取して固定し、パラフィン包埋して薄切し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。病理学者により組織病理学的検査を実施する。
【0096】
例4:AAVrh.10によるCNS細胞への治療遺伝子の送達
CNSに治療遺伝子移入する候補を同定するために、様々なAAV血清型のスクリーンを開発した。EGFPを発現する組み換えAAVベクターを構築した。rAAVベクターを、4つの異なるAAV(AAV1、AAV8、AAV9およびAAV10)にパッケージした。成体マウスには、腰位のCSF中にAAVを注射した。AAV1、AAV8およびAAV9は、〜4.8×1010粒子の投与後、脊髄の腰部の注射部位付近の細胞のみを形質導入した。意外なことに、AAVrh.10は、AAV1、AAV8およびAAV9と同じ注射プロトコールおよび投与量の後、脊髄全体に沿った灰白質および脳幹の細胞を形質導入した(図4A)。近年、AAV9は、静脈内注射後、血管脳関門(BBB)を越えて脊髄細胞を形質導入することが証明された。弱い信号が小脳で観測され、また強い信号が脳幹および脊髄で観測された。(小脳と同様の)弱い信号が、前脳でも観測された。理論に束縛されることを望むことなく、CSFの流れおよび拡散は、脊髄全体に沿ったウイルスの広がりを可能にするが、ウイルスの流れて拡散する能力はウイルスのカプシドの構造に依存すると考えられる。形質導入される細胞型には、神経細胞および乏突起膠細胞が含まれる。しかし、EGFPとGFAP陽性細胞のオーバーラップから分かるように、大部分は星状細胞のようである(図4B)。小膠細胞マーカー、Iba−1との実質的なオーバーラップは認められなかった。EGFP発現とNeuN染色とのオーバーラップから分かるように、多くの運動ニューロンが形質導入された。星状細胞の中で、灰白質内に位置しているもののみが形質導入され、白質内および軟膜下に位置しているものは形質導入されなかったことは意外であった。ウイルスは、くも膜下腔に投与されたので、こうした区域内の星状細胞に暴露された可能性があるため、このことは印象的であった。
【0097】
例5:ALSを治療するための組み換えAAVrh.10ベクターの構築
ALSの治療法として、組み換えAAV系を開発した。SOD1をターゲットするマイクロRNAを発現するrAAVrh.10ベクターを構築した(図5A)。このマイクロRNAは、miR−SOD1と同定された。本構築物は、EGFPおよび3’−UTRのイントロンに位置するmiR−SOD1の発現を推進するために、CAG(CMVエンハンサーを含むニワトリβ−アクチンプロモーター)を使用した。
【0098】
9つのmiRNA構築物のサイレンシング効力を評価した。この構築物をHEK293細胞に形質移入した。48時間後、SOD1 mRNAを検出するために、RNAを単離してノーザンブロットを実施した(図5B)。MiR−SOD1#5(配列番号26)が、最も強力にSOD1発現を停止させた。次に、miR−SOD1#5をAAVrh.10にパッケージし(図5D)、これを使用してHEK293細胞を感染させた。SOD1を検出するために、感染の43時間後に細胞内総タンパク質を抽出してブロットした(図5C)。タンパク質レベルでのSOD1の発現抑制が認められた。
【0099】
例6:ALSを治療するための治療遺伝子のCNS細胞への送達
標準技法を使用して、大量のAAVrh.10−miR−SOD1およびAAVrh.10−miR−Scr(スクランブルmiRNA)を産生した。自己相補的AAV(scAAV)は、従来の一本鎖AAVより高い効率で形質導入を仲介する[14]ため、これを作った。scAAVrh.10をテストし、一本鎖AAVより急速に(1週間以内)かつ強くEGFPを発現することが分かった。
【0100】
AAVrh.10−miR−SOD1をG93Aマウスの1グループ(SOD1高発現マウス)に投与し、AAVrh.10−miR−ScrをG93Aマウスの別のグループ(n=15)に投与した。60日令のマウスに、AAVrh.10を、髄腔内的に腰部区域のCSF中に注射し、また脳室内的に前脳に注射した(8μl中に約4.8×1010粒子)。
【0101】
ALSで死ぬまで、動物に天寿を全うさせた。2つのグループ間で寿命を比較した。AAVrh.10−miR−SOD1ウイルス(SOD1miR5(配列番号26)を発現する)を受けたマウスは、平均して135日(±14日)生き続けたが、AAVrh.10−miR−Scr(スクランブルmiRNA(配列番号31)を発現する)を受けたマウスは、平均して122日(±6日)生き続けた(図6B)ことを見出した。さらに、頚髄組織、胸髄組織、および腰髄組織におけるEGFP発現の程度を検査することによって、こうした組織における発現レベルと、特に頚部組織と、寿命との相関関係が、AAVrh.10−miR−SOD1処置マウスでは認められた(図7A)が、AAVrh.10−miR−Scr処置マウスでは認められなかった(図7B)。これらの結果から、頚髄における変異体SOD1発現を停止させることは、生存期間を延ばす上で特に有益なことが示唆される。各グループの動物のサブセットに固定剤を灌流し、薄切し、脊髄におけるSOD1を染色した。SOD1は、標準技法を使用して検出した[9]。EGFP発現細胞におけるSOD1染色強度は、AAVrh.10−miR−SOD1を形質導入された非EGFP細胞と比較して低下していた(星状細胞におけるSOD1発現のノックダウンを示す、図6A)。SOD1の発現の減少は、AAVrh.10−miR−Scrを形質導入された細胞では認められなかった。
【0102】
両グループの動物の別のサブセットに由来する組織を詳細に分析して形質導入レベルを推定した。形質導入レベルは、様々なCNS領域および非CNS領域から得たDNA試料に対してPCRを使用し、ウイルスゲノム含量を測定することによって推定した。非CNS組織(たとえば肝臓)における測定値は、ウイルスが末梢に漏出したかどうかを示した。ノーザンブロット解析およびウェスタンブロット解析を実施して、脊髄におけるSOD1レベルを測定した。SOD1検出に使用した抗体は、Biodesign Internationalによるカタログ番号K90077Cの、ポリクローナル、ヒツジ抗ヒトSOD1であった。
【0103】
例7:髄腔内/脳室内併用投与プロトコール
AAVウイルスを、腰部髄腔内注射および/または脳第三脳室注射により、マウスCSF中に注射した。マウス腰部くも膜下腔への注射は、Wu et al.[22]から改変した方法を使用して実施した。細いカテーテル(約5cm)は、PE10チューブを内径0.12mmまで伸ばすことによって作った。伸長した部分を1.7〜1.9mmに切り、チューブを加熱して加圧することにより、細い部分と太い部分の間にビーズ2個を(1mm離して)作った。カテーテルを埋め込むために、0.23ml/10g体重の腹腔内アベルチン(2% tert−アミルアルコール中1.2%2,2,2−トリブロモエタノールおよびPBS)注射でマウスを麻酔した[23]。次いで、カテーテルをL5椎骨とL6椎骨の間に埋め込んだ。ビーズが付いた区域で、カテーテルを表面筋肉に縫合した。4.80E+10ゲノムコピー(ウイルススクリーニング用、6μl中)から2.40E+10ゲノムコピー(治療用、8μl中)までの用量のウイルスを、2μl/分の速度で、Hamilton注射器により、カテーテルを介して注入した。カテーテルは、熱でその終端を密封し、適所に1日置いておいた。創傷は、クリップで閉じた。第三脳室への注射は、Stoelting Stereotaxic InstrumentおよびWorld PrecisionInstrumentsの微量注入ポンプを使用して、標準定位手技に従って実施した。同用量のウイルスを、速度1μl/分で第三脳室に注射した。
【0104】
推定されるヒトおよびサルの用量およびIV注射との比較を下表に示す。2種類のサルは大きさが似ている。
【0105】
【表2】
【0106】
背景および例1〜7の参考文献
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【0107】
例8.マイクロRNAで制御された、全身的に送達されたrAAV9
本例の序文
本例は、完全に相補的なmiRNA−結合部位をrAAV9ゲノムの中に工作することによる、CNS外でのrAAV発現を抑制するための、組織特異的な、内因性マイクロRNA(miRNA)の使用を含む。本例は、血管脳関門を越えて、中枢神経系(CNS)に効率的でかつ安定した経血管遺伝子移入を達成できるが、ある特定の他の組織(たとえば、肝臓、心臓、骨格筋および他の組織)はターゲティング解除する、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)について説明する。本例に記載の手法は、内因性miRNA経路を検出可能なほど混乱させずに、同時多組織制御およびCNS−指向性の安定した導入遺伝子発現を可能にする。miRNAによるrAAV発現の制御は、主として導入遺伝子mRNAの部位特異的切断によるものであって、特異的5’フラグメントおよび特異的3’mRNAフラグメントを生成した。
【0108】
本明細書に開示されているような、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)が介在する遺伝子移入は、多くの神経学的障害の治療に有用である。本明細書に開示されているrAAVベクターは、血管脳関門を越えて、CNSで特異的に発現されることが分かっている。したがって、本ベクターは、脳および脊髄の広範囲を冒すものを含む、CNS疾患の遺伝子療法のための、rAAVの血管内送達に使用することが可能である。
【0109】
この例は、CNS外での導入遺伝子発現を抑制するための、内因性マイクロRNA(miRNA)の使用について説明する。miRNAは、転写後サイレンシングによって遺伝子発現を制御する、低分子非コードRNAである。概して、miRNAは、2通りの機序によって遺伝子を発現停止させることが可能である。mRNA配列に部分的に相補的なとき、miRNAは一般に、mRNA発現を調整すると考えられる制御の一法である、標的mRNA安定性およびタンパク質発現を減少させる(たとえば、2〜4倍以下)。対照的に、miRNAが、そのmRNA標的にほぼ完全に相補的なとき、miRNAは一般にmRNAの切断をもたらし、mRNAの大量破壊を誘発する。
【0110】
特に、この例は、肝臓、心臓および骨格筋(静脈内送達されたrAAV9によって最も効率よくターゲットされる3組織)で、別々にも同時にも、rAAV9発現をターゲット解除するためのmiRNAの使用について説明する。肝臓、心臓、および筋肉における導入遺伝子発現のサイレンシングは、豊富な(≧60,000コピー/細胞)miRNA類、miR−122(肝細胞で発現される)、およびmiR−1(実質的に全ての動物の心臓および骨格筋で見られるmiRNA)の自然発現を利用した。miR−122−結合部位は、アデノウイルスベクター由来の導入遺伝子の肝毒性を防止するために首尾よく使用されてきた。miR−1、miR−122、または両者のための、完全に相補的な部位を、サイトメガロウイルス−エンハンサー、ニワトリβ−アクチン(CB)プロモーターによって発現が推進される、核を標的とした、β−ガラクトシダーゼ(nLacZ)レポーター導入遺伝子の3’非翻訳領域(UTR)の中に工作した。この例は、真核細胞における全てのアルゴノート結合した低分子RNAによるものと正確に同じ部位で導入遺伝子mRNAを切断することによって、miRNAがnLacZ発現を抑制することを示す、多数の独立した結果を提示する。インビボで全身的に送達されるとき、miRNAターゲット解除したrAAV9ベクターは、レポーター導入遺伝子をCNSで首尾よく発現したが、肝臓または心臓または骨格筋では発現しなかった。
【0111】
結果
miRNAは、培養細胞でレポーター遺伝子発現を効率よく抑制する。
rAAV−介在形質導入のための戦略を評価するために、miR−1またはmiR−122のための、完全に相補的な結合部位の1つまたは3つのタンデムコピーを、rAAVプラスミドベクターにおけるnLacZの3’UTRに導入した。この構築物をHuH7細胞(細胞当たり16,000コピーのmiR−122を発現するヒト ヘパトーマ細胞株)に形質移入し、nLacZ−陽性細胞の数を測定した。nLacZ発現HuH7細胞数は、1部位プラスミドでは、無部位対照の約半数であり;3部位は、nLacZ−発現細胞を7倍以上減少させた(図12a)。
【0112】
次に、nLacZ構築物の発現を、ヒト胚性腎臓293細胞(miR−1またはmiR122がpri−miRNAとして第2プラスミドから導入されたとき、低レベルのmiR−122とmiR−1の両者を自然に発現する)で、分析した。pri−miR−122(図l2b)またはpri−miR−1(図l2c)のいずれかを発現するプラスミドと一緒に、0、1、または3つのmiR−122結合部位またはmiR−1結合部位を担持するnLacZレポータープラスミドを用いて、293細胞を形質移入した。miRNAの濃度を変えるために、低い(1:3)または高い(1:10)、nLacZ−結合部位プラスミドとmiRNA発現プラスミドのモル比を使用した。miR−122またはmiR−1を細胞に導入したとき、nLacZレポーターmRNAが対応するmiRNA−結合部位を含むときだけnLacZ発現が抑制された;miR−1がmiR−122−結合部位を含むnLacZと共発現されたとき、またはmiR−122がmiR−1−結合部位を含むnLacZと共発現されたとき、nLacZ−陽性細胞は減少しなかった(図l2b、図l2c)。
【0113】
組織特異的内因性miRNAは、成体マウスで全身的に送達されたrAAV9の発現を制御する。
インビボで、全身的に送達されたAAV9CBnLacZベクターのmiRNA制御を評価するために、miR−122またはmiR−1のいずれかに完全に相補的な、0、1、または3つのmiRNA−結合部位を担持するAAV9CBnLacZベクターを製造した。このベクターを、体重1kg当たり5×1013ゲノムコピー(GC/kg)の用量で、尾静脈注射により、C56BL/6オス成体マウスに投与した。4週間後、形質導入動物の肝臓および心臓を検査した。nLacZ導入遺伝子は、miRNAが優勢に発現される細胞型および臓器で、内因性miRNAにより発現停止されることが、LacZ染色で明らかになった:この導入遺伝子は、肝臓ではmiR−122により、また心臓ではmiR−1により、特異的に発現停止された(図13a、図13b)。nLacZ陽性細胞は、1つまたは3つのmiR−122−結合部位を担持するrAAV9CBnLacZで処置した動物の肝臓で減少していたが、同じ動物の心臓におけるnLacZ発現レベルは、部位を担持しないAAV9CBnLacZで処置した動物におけるものと似ていた(図13a)。同様に、nLacZ発現は、1つまたは3つのmiR−1−結合部位を含むAAV9CBnLacZを受けた動物の心臓で検出されなかったが、同じ動物の肝臓におけるnLacZ発現は、対照動物におけるものと比較して影響を受けていなかった(図13b)。こうしたデータから、arAAVにおけるmiRNAに対する部位が多いほど、対応するmiRNAが発現される組織におけるnLacZ発現は低いことが示唆される(図13a、図13b)。
【0114】
次に、導入遺伝子サイレンシングが、多数の組織で同時に達成できるかどうかを評価するために、様々な数のmiR−122−結合部位とmiR−1−結合部位の両者を、rAAV9CBnLacZゲノムの3’UTRに挿入し、rAAV9形質導入マウスにおけるそれらの発現について試験した。miR−1−結合部位およびmiR−122−結合部位のそれぞれを1コピーまたは3コピー含むrAAV9CBnLacでは、nLacZ発現は、心臓でも肝臓でも抑制されたが、miR−122の発現もmiR−1の発現も低かった膵臓では、nLacZが容易に検出できることが、組織切片の組織化学的染色から分かった(図13c)。ホモジナイズした肝臓組織の、定量的な、β−ガラクトシダーゼ検定は、導入遺伝子がmiRNA−結合部位を含む時、nLacZ発現が有意に低いことを同様に示した(miR−122−結合部位1つ:7.8±7.4%,P値=0.005;miR−122−結合部位3つ:1.6±1.0%,P値=0.005;miR−1−結合部位1つに加えてmiR−122−結合部位1つ:8.6±5.7%,P値=0.005;miR−1−3つに加えてmiR−122−結合部位3つ:3.1±1.2%,P値=0.005;miR−1−結合部位3つ:105.7±11.6%)(図13d)。
【0115】
rAAV発現のmiRNA抑制は内因性miRNA経路を混乱させない
miRNA−相補的部位を担持する高度に発現された導入遺伝子は、対応するmiRNAの分解を促進すると報告されている。miR−122、miR−22、miR−26a、およびlet−7のレベルは、rAAV形質導入肝で測定した。3つの試験群の中で、4つのmiRNAの存在量に差は認められなかった(図14a)。さらに、3つの試験群から各1匹の肝臓に由来する低分子量RNAのハイスループットシーケンシング分析によるデータから、miRNAレベルに変化はないことが分かる。
【0116】
導入遺伝子転写物におけるmiRNA−結合部位が、miR−122またはmiR−1の既知の内因性標的mRNAの発現を制御解除するかどうかを決定するために、環状G1(肝臓におけるmiR−122標的)(図14b、図14c)およびカルモジュリン(心臓におけるmiR−1標的)(図14d)の発現を分析した。環状G1発現またはカルモジュリン発現に有意な変化は認められなかった。miR−122は、肝臓でのコレステロール生合成を制御し、またmiR−122機能を妨げる薬剤は、血清コレステロールレベルの容易に検出可能な変化を生じさせる。対照rAAV9またはmiR−122−結合部位を担持する導入遺伝子を発現するrAAV9のいずれかで形質導入した4週間後に、マウスで、総コレステロールレベル、高比重リポタンパク質レベル、または低比重リポタンパク質レベルの変化は認められなかった(図14e)。この例で、rAAV発現のmiRNA−介在性のターゲティング解除は、内因性miRNA発現または機能に対して検出可能な影響はなかったと結論づけられた。
【0117】
内因性miRNAは、導入遺伝子mRNAの部位特異的切断によりrAAV形質導入を停止させる。
インビボで、rAAVにより送達された導入遺伝子の発現を、miRNAがいかにして抑制するかを決定するために、従来のPCR(図15b)、定量的逆転写PCR(qRT−PCR)(図15c)、ノーザンハイブリダイゼーション(図15d、図15e)、および5’相補的DNA(cDNA)末端の迅速増幅(5’RACE;図15f)によって、肝臓における導入遺伝子mRNAを特性決定した。nLacZ(AFプライマー)の3’末端とポリ(A)信号(ARプライマー)の5’末端との間の領域を増幅するプライマーを使用したとき、対照rAAVを受けた試料では、26サイクルの増幅後に、miRNA−結合部位に架かるアンプリコン(145塩基対(bp)の産物)が検出された。3つのmiR−122−結合部位を含んでいるrAAVにより形質導入された試料では、弱い220bpのバンドを検出するために、さらに6サイクルの増幅が必要であった。こうしたデータは、低レベルの無傷nLacZmRNA(図15a、図15b)と一致している。
【0118】
miRNA指向性の導入遺伝子転写物の抑制の程度を定量的に評価するために、逆転写用のオリゴ(dT)またはランダムヘキサマープライマーおよびnLacZコード配列の5’(nLacZ5’F/5’R)領域、または3’(nLacZ 3’F13’R)領域(図15a)のいずれかに架かるPCRプライマー対を使用して、qRT−PCRを実施した。対照rAAV9CBnLacZを受けた動物4匹および3’UTRに3つのmiR−122−結合部位を含むrAAV9CBnLacZを受けた4匹から抽出された総肝臓RNA中の、無傷5’末端および3’末端を有するnLacZ mRNAのレベルを試験した。miR−122−結合部位を含むrAAV9を受けた動物では、対照と比較して、3±1倍(ランダムヘキサマー)から7±1倍(オリゴ[dT])までの範囲の、無傷3’末端を有するnLacZ mRNAの減少が認められた。対照的に、5’F/5’Rプライマー対を使用した同試料については、無傷5’末端を有するnLacZ mRNAの減少は、ほとんどまたは全く検出されなかった(図15c)。これらの結果から、miRNAで切断されていたmRNAの主なターンオーバー方法は、3’→5’エキソヌクレアーゼ分解であったことが分かる。
【0119】
miR−1またはmiR−122によってターゲットされた導入遺伝子mRNAの運命をさらに特性決定するために、ノーザンブロット分析を実施した。nLacZ mRNAの5’末端に結合している導入遺伝子プローブは、対照rAAV9CbnLacZを注射した動物で、全長nLacZ転写物の予想されるサイズである、〜3.4kbのRNAを検出し;3つのmiR1−結合部位を担持するrAAV9CBnLacZで処置したマウス由来の肝試料で、僅かに大きいバンドが検出された(図15a、図15d)。3つのmiR−1−結合部位を担持するnLacZを発現するrAAV9では、単一の転写物が検出されたのと対照的に、3つのmiR−122部位を担持するnLacZを発現するrAAVでは、サイズが異なる2つのRNAが検出された(図15d)。
【0120】
こうした転写物の長さは、より長い転写物は全長mRNAを表す可能性があるが、より短い、より豊富な転写物は、3’UTRにおける対応するmiR−122−結合部位でmiR−122によって切断されたnLacZ RNAの5’フラグメントに相当することを示す(図15d)。
【0121】
観察結果を確認するために、導入遺伝子mRNAの3’UTRの一部に架かるRNAプローブを使用して、ノーザンブロット分析を繰り返した。miRNA−結合部位が欠如しているrAAV9によって形質導入された試料中で全長nLacZ転写物が検出されたほかに、281ヌクレオチドRNAマーカーより小さい2つの接近して移動している種が検出された。こうしたフラグメントのサイズは、miRNA指向性のnLacZmRNAの3’切断生成物と一致していた(図15e)。これらの2つの3’切断生成物は、下記の5’RACE実験による生成物のゲル電気泳動法でも検出された(図15f)。
【0122】
nLacZ転写物がmiR−1結合部位またはmiR−122−結合部位を含むとき、このようなターゲット切断がインビボで起こるかどうかを決定するために、5’cDNA末端の迅速増幅(5’RACE)を実施した。図16は、nLacZ 3’UTRが3つのmiR−1結合部位および3つのmiR−122−結合部位を中に含んだrAAV9を注射された動物の、肝臓RNAから5’RACEを使用して回収された21クローン(図16a)、および心臓RNAから単離された22クローン(図16b)の配列を示す。肝臓では、miR−122指向性の導入遺伝子mRNAの切断の配列特徴が各miR−122−結合部位で検出された:第1結合部位では5%、第2結合部位では48%、第3結合部位では43%。全ての5’末端は、miR−122に完全に相補的な配列の10位および11位とペアを組む標的ヌクレオチドの間にあるリン酸(全ての真核細胞でアルゴノートタンパク質に結合した低分子量RNAによって切断される正確な部位)に位置していた(図17a)。rniR−1部位について、類似した結果が心臓で得られた(図17b)。
【0123】
表3は、さらなるベクター群の5’RACE拡張分析を示す。配列決定された5’RACE産物のどれも、肝臓におけるmiR−1指向性の部位特異的切断または心臓におけるmiR−122指向性の部位特異的切断に相当しないことに注目された(表3)。肝臓におけるmiR−1−結合部位内で切断は何も検出されなかったが、心臓由来の幾つかのクローンはmiR−122−結合部位内で切断されていたものの、miRNA指向性の切断の特徴位置ではなかった。
【0124】
血管内送達されたrAAV9は、内因性miRNAによって効率的に制御できる
MiRNA−1結合部位およびmiRNA−122−結合部位をscAAV9CB強化GFP(EGFP)ベクターゲノムに付加し、2×1014GC/kgを10週令のC57BL/6オスマウスに注射した。3週間後、脳および脊髄の40μm切片ならびに肝臓、心臓および骨格筋の8μm切片を作製して、EGFPタンパク質発現について検査した。静脈内送達されたscAAV9CBEGFPは、CNSを効率的に形質導入;EGFPは、脳の視床領域および脊髄の頚部のみならず肝臓、心臓および筋肉等の非CNS組織でも容易に検出可能であった(図17a)。対照的に、miR−1−結合部位およびmiR122−結合部位が導入遺伝子に含まれていたとき、そのような非CNS組織における導入遺伝子発現は減少していた;miR−1およびmiR−122が存在しなかった、CNSでは、EGFP発現は不変であった(図17a)ことが分かった。脳(41.2±7.7%)、肝臓(3.0±0.5%)、心臓(0.4±0.1%)、および筋肉(1.3±0.4%)における、miRNA−結合部位が欠如しているEGFP導入遺伝子と比較して、rniRNAで抑制されたEGFP導入遺伝子の差次的発現を測定するために、定量的RT−PCRを使用した(図17b)。実験間の形質導入効率と関連した変化を除去するために、データを、実験試料および対照試料で検出されたベクターゲノム数に正規化した。自然のEGFP発現の顕微鏡分析と同様に、miR−122−結合部位またはmiR−1−結合部位の存在は、肝臓(20倍)、心臓(100倍)、および筋肉(50倍)における導入遺伝子発現を減少させたが、脳における導入遺伝子発現を検出できるほど変えなかったことが、qRT−PCRデータから分かる。
【0125】
結果の考察
本例は、内因性miRNAがCNS外での導入遺伝子発現を抑制できるように、rAAV9を操作できることを表す。結果から、神経栄養成長因子、たとえばインスリン様成長因子、脳由来神経栄養因子またはグリア由来神経栄養因子等を、形質導入された星状細胞で発現することにより、パーキンソン病、アルツハイマー病および筋萎縮性側索硬化症と関連した変性ニューロンのための治療で、このような操作されたrAAV9を使用することが可能なことが分かる。この手法は、全身的に送達されたrAAV9によって形質導入された末梢組織から誘導される非CNS発現を除去または減少させる。
【0126】
主として標的組織のみで導入遺伝子発現を達成することは、安全なCNS遺伝子送達を臨床開発するための検討事項である。レンチウイルスベクターについて最初に示したように、内因性miRNAを使用して、rAAV発現の組織型特異性および細胞型特異性を制限できることが、本例の結果から分かる。データは、内因性miRNAがrAAVによる導入遺伝子発現を効果的に抑制できることを示す。心臓でも肝臓でも、miRNAは、導入遺伝子mRNAのヌクレオチド鎖的切断を指令することによって、導入遺伝子発現を抑制した(図18)。rAAV発現のmiRNA制御は、対応する内因性miRNAの発現または機能を混乱させず、マウスでは導入遺伝子発現をCNSに限定させた。本例は、末梢で発現したがCNSでは発現しなかったmiRNAのための複数の結合部位を結合する戦略は、より安全な、CNS特異的遺伝子療法ベクターの開発に有用なことを示す。
【0127】
材料と方法
ベクター設計、構築および製造。完全に相補的なmiRNA−結合部位は、miRBaseにおける注釈付きmiR−1配列およびmiR−122配列に基づいて設計され、合成オリゴヌクレオチドを使用して、遍在的に発現されるpAAVCB核を標的とするβ−ガラクトシダーゼ(nLacZ)プラスミドのnLacZ発現カセットの3’UTRにおけるBstBI制限部位に挿入された(図15aおよび表3)。このベクターは、殆どの細胞および組織で活性な、ハイブリッドサイトメガロウイルスエンハンサー/CBプロモーターカセットを使用する。miR−122およびmiR−1を発現するために、pri−miR−122フラグメントおよびpri−miR−1フラグメントをPCRでC57/B6マウスゲノムDNAから増幅し(表4)、pAAVCBELucプラスミドにおけるホタルルシフェラーゼcDNAのXbaI制限部位3’に挿入した。各pri−miRNAの同一性は、シーケンシングによって検証した。本試験で使用したAAV9ベクターを、生成し、精製して力価測定した。
【0128】
細胞培養および形質移入。HEK−293細胞およびHuH7細胞を、10%ウシ胎仔血清および100mg/lのペニシリン−ストレプトマイシンを加えたダルベッコ変法イーグル培地(Hyclone,South Logan,UT)中で培養した。細胞を、加湿したインキュベーター内、37℃および5%COで維持した。Lipofectamine 2000(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用し、製造業者の使用説明書に従って、プラスミドを一時的に形質移入した。
【0129】
マウス試験。オスC57BL/6マウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)を入手して維持した。試験動物の脂質プロフィールを監視するために、rAAV9注射の4週間後に血清試料を採取し、総コレステロール、高比重リポタンパク質および低比重リポタンパク質をCOBAS C 111アナライザー(Roche Diagnostics,Lewes,UK)で分析した。内因性miRNA介在性の、CNS限定のEGFP遺伝子移入を評価するために、10週令のオスC57BL/6マウスにAAV9CBnLacZ−[miR−122−結合部位(BS)].AAV9CBnLacZ−(miR−122BS).AAV9CBnLacZ−(miR−1BS).AAV9CBnLacZ−(miR−1BS).AAV9CBnLacZ−(miR−1BS)−(miR−122BS),およびAAV9CBnLacZ−(miR−1BS)−(miR−122BS),を、それぞれ5×1013GC/kg体重)で、またはscAAV9CBEGFP(2×1014GC/kg体重)を、静脈内(尾静脈)注射した。nLacZベクターを受けた動物を4週間後に剖検した;X−gal−組織化学的染色用に、肝臓組織、心臓組織、および膵臓組織の8μm低温切片を作製した。EGFPベクターを受けた動物を3週間後に剖検し、4%(wt/vol)パラホルムアルデヒドの経心臓的灌流によって固定した。低温薄切用に、脳、脊髄、肝臓、心臓、および筋肉を採取した。脳組織および頚髄組織は、1:500希釈したウサギ抗−EGFP抗体(Invitrogen)、続いて1:400希釈したヤギ抗−ウサギ二次抗体(Invitrogen)を使用して、12ウェルプレート内で、浮遊切片として染色した。CNS外で、EGFP発現は蛍光により直接検出された。倍率×10のNikon TE−2000S倒立顕微鏡、ならびに肝臓、心臓、および筋肉には3秒、視床(脳)および頚髄には5秒の露光時間を使用して、EGFPおよび抗体蛍光を記録した。
【0130】
qPCRによるベクターゲノム定量化。QIAamp DNA Mini Kit(Qiagen,West Sussex,UK)を使用し、製造業者の使用説明書に従って、選択された組織からゲノムDNAを抽出した。定量的PCRは、StepOne Plus real−time PCR instrument(Applied Biosystems,Foster City,CA)内で、GoTaq qPCRマスターミックス(Promega,Madison,WI)を使用し、Ring DNAおよび0.3μmol/1のEGFP−特異的プライマー(EGFP−FおよびEGFP−R)を使用して、三重に実施した。
【0131】
qRT−PCR分析。RNAは、Trizol(Invitrogen)を使用し、製造業者の使用説明書に従って抽出した。総RNA(0.5〜1.0μg)は、ランダムヘキサマーまたはoligo(dT)でプライミングし、MultiScribe Reverse Transcriptase(Applied Biosystems)で逆転写した。定量的PCRは、StepOne Plus Real−time PCR device内で、GoTaq qPCRマスターミックスを使用して、0.3μmol/1の遺伝子−特異的プライマー対(nLacZ5’F/5’R、nLacZ3’F/3’R、サイクリンG1F/RおよびEGFP−F/EGFP−R)で三重に実施した。nlacZ mRNAの5’末端および3’末端に由来するqRT−PCR産物の特異性は、ゲル電気泳動法で確認した。
【0132】
ノーザンブロット分析。総RNAは、マウス肝臓から抽出し、ノーザンハイブリダイゼーションで分析した。nLacZmRNAを検出するために、nLacZ cDNAの618bpフラグメントを、pAAVCBnLacZのNcoIおよびPciI消化によって分離し、ランダムプライミングによってα−32P dCTPで標識した(Takara,滋賀,日本)。切断されたnLacZ mRNAの3’フラグメントを検出するために、Riboprobe System T7キット(Promega)を使用したインビトロ転写中に、α−32P CTPで標識されたアンチセンスRNAプローブを調製するために、ベクターゲノム中のポリ(A)配列の111bpフラグメントをpCR4−TOPO(Invitrogen)にクローニングした。総肝臓RNA中のmiR−122、miR−26a、miR−22、およびlet−7またはU6を検出するために、低分子量RNAを変性15%ポリアクリルアミドゲルで溶解し、Hybond N+膜(Amersham BioSciences,Pittsburgh,PA)にトランスファーし、254nm光(Stratagene,La Jolla,CA)で架橋させた。T4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を使用してγ−32P ATPで5’末端を標識した、合成オリゴヌクレオチドを、DNAプローブとして使用し(表4)、37℃のChurchバッファ(0.5mol/l NaHPO,pH7.2,1mmol/l EDTA,7%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム)中でハイブリダイズした。1×SSC(150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムバッファを使用して膜を洗浄し、次いでFLA−5100 Imager(富士フィルム,東京,日本)を使用して可視化した。
【0133】
ウェスタンブロット分析。プロテアーゼインヒビター混合物(Boston BP,Boston,MA)を含む放射性免疫沈降分析バッファ[25mmol/1 Tris−HC1,pH 7.6,150mmo1/1 NaCl,1%(vol/vol)NP−40、1%(wt/vol)デオキシコール酸ナトリウム、0.1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム]で、タンパク質を抽出した。Bradford法(Bio−Rad,Melville,NY)を使用して、タンパク質濃度を測定した。タンパク質試料(各50μg)を12%ポリアクリルアミドゲル上に負荷し、電気泳動し、ニトロセルロース膜(Amersham BioSciences)にトランスファーした。簡単に記載すると、膜をブロッキングバッファ(LI−COR Biosciences,Lincoln,NE)を、室温で2時間ブロックし、続いて抗−GAPDH(Millipore,Billerica,MA)、抗−サイクリンGI(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)または抗−カルモジュリン(Millipore)のいずれかと共に、室温で2時間インキュベートした。0.1%(vol/vol)Tween−20を含むPBSで3回洗浄した後、膜を、LI−COR IRDyeに接合された二次抗体と共に、室温で1時間インキュベートし、次いでOdyssey Imager(LI−COR)を使用して抗体を検出した。
【0134】
β−ガラクトシダーゼアッセイ。タンパク質を放射性免疫沈降分析バッファで抽出し、上記の通りに定量化した。Galacto−Star System(Applied Biosystems)を使用し、製造業者の使用説明書に従って、50μgのタンパク質を各β−ガラクトシダーゼ検定に使用した。
【0135】
5’RACE。5’RACEを記述通りに実施した。5’RACE OuterPrimerおよびnLacZ遺伝子特異的プライマーbGHpolyAR(表4)を、第1回ネステッドPCRに使用した。5’RACEInnerPrimerおよびnLacZ遺伝子特異的プライマーnLacZpolyR(nLacZ cDNAの終止コドン付近に位置する)を第2回ネステッドPCRに使用した(表4)。PCR産物をpCR−4.0(Invitrogen)にTOPO−クローニングして配列決定した。
【0136】
統計解析。全ての結果を平均値±SDとして報告し、両側Student’s t検定法を使用してグループ間で比較する。
【0137】
【表3】
【0138】
【表4-1】
【0139】
【表4-2】
【0140】
例9:rAAVの静脈内注射は、新生仔マウスCNSで広範な形質導入を仲介した。
本例の序文
この例は、9つのscAAVベクターを全身投与した後のCNS遺伝子移入特性に関する分析について記述する。この試験は、CNS遺伝子移入により効果的なベクターを同定することを含んでいた。幾つかの態様で、本試験は、BBBの浸透強化について、rAAVの血清型または天然の変異体を試験した。場合によって、本試験は、出生後1日(P1)に顔面静脈注射をした後、CNSへの高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)の送達が改善されたrAAVベクターを同定しようとした。AAV9は本試験に含まれていた。本試験では、rAAV2およびrAAV5を除き、他の全ての7ベクターが様々な形質導入効率でBBBを越え(中でもrAAVrh.10、rAAVrh.39、rAAVrh.43、rAAV9およびrhAAV7が上位5位を占めた)、CNS全体にわたり神経細胞およびグリア細胞の両細胞で強力なEGFP発現を仲介した。rAAVrh.10の性能はrAAV9の性能と類似しており、場合によっては優れていた。幾つかのrAAVは、神経細胞、運動ニューロン、星状細胞およびプルキンエ細胞を効率的に形質導入し;その中で、rAAVrh.10は、試験した領域の多くで、少なくともrAAV9と同じくらい効率的である。静脈内送達されたrAAVは、CNSで異常な小膠細胞症を引き起こさなかった。CNSで安定した広範な遺伝子移入を達成したrAAVは、CNSの広い領域を冒す神経学的障害のための治療用ベクターとして、ならびに神経科学調査研究のための便利な生物学的ツールとして、有用である。
【0141】
結果
P1マウスにベクターを投与した21日後、以下の、EGFPをコードしている組み換えAAVベクターのCNS形質導入プロフィールを比較した:rAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV6.2、rAAV7、rAAV9、rAAVrh.10、rAAVrh.39およびrhAAVrh.43。この試験で使用したベクターは、純度および形態学的完全性の点で類似していた(図19)。本法に記載の採点システムによって評価するとき、rAAV9は成績優秀者の中でも最たるものであった;テストした他の殆どのrAAV(rAAV1、rAAV6、rAAV6.2、rAAV7、rAAVrh.10、rAAVrh.39およびrAAVrh.43)も、CNS全体にわたってEGFP発現を生じさせた(表2)。亜解剖学的構造の中で、見掛け上EGFP陽性の細胞数(表5)は使用した特定のベクターに影響を受けた。i.v.送達後、BBBを透過してCNS形質導入を成し遂げた、これら7つのrAAV、およびrAAV9(合計8つのrAAV)については、視床下部に続いて延髄、線条体、海馬、皮質および小脳で、EGFP陽性細胞が見られた。対照的に、嗅球および視床における形質導入効率は比較的低かった(表5)。各rAAVのEGFP遺伝子移入効率の定量的評価がなされた。Nikon NIS elements AR ソフトウェアV.32を使用して、各rAAVについて、各領域における平均EGFP強度/ピクセルを定量的に分析するために、脳内の亜解剖学的および機能的に重要な12の領域を選択した(図19a)(方法参照)。i.v.注射後にCNS形質導入を達成した8ベクターについては、平均EGFP強度/ピクセルは、皮質、手綱核、アンモン角、歯状回、視床、小脳および嗅球で比較的低く、脈絡叢および尾状核被殻では中等度であったが、視床下部、延髄および扁桃では高かった(図19a)。様々なrAAVについて、全12領域の平均EGFP強度を図19bで比較した。AAVrh.10、AAVrh.39およびAAVrh.43は、脳における遺伝子形質導入効率で際立っており、その後にAAV7、AAV9、およびAAV1が続いた(図19aおよび図19b)。これらの効果的な8血清型は脊髄全体にわたって、様々な程度に、EGFP発現も仲介した。脊髄の頚部切片、胸部切片および腰部切片における各rAAVについて、同じ定量分析を実施した(図19a);様々なrAAVについて、3切片の平均EGFP強度も比較した(図19b)。AAV1、AAV9、AAVrh10、AAV.rh39およびAAV.rh43は、脊髄で強力な形質導入を示し、高いEGFP強度が脊髄の頚部で確認され、その後に脊髄の胸部切片および腰部切片が続いた(図19aおよび19b)。rAAV2については、海馬、皮質および視床下部にEGFP−陽性細胞はほとんどなかった。AAV5注射したマウスでは、視床下部にEGFP−陽性細胞が認められた。様々なCNS構造で行われた観察結果を以下に記述する。亜解剖学的CNS構造は、CNS遺伝子療法の標的の役割を果たす可能性がある。場合によっては、亜解剖学的CNS構造は、1つ以上の神経学的障害の病理学的変化と関連している。場合によっては、亜解剖学的CNS構造は、1つ以上のrAAVに対して、異なる形質導入プロフィールを有する。
【0142】
線条体。線条体の病理は、ハンチントン病、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、およびジスキネジアと関連している。耽溺は、線条体シナプスの可塑性を含むことがある。新生仔マウスにおけるrAAV9の全身性注射は、線条体組織を形質導入する。この試験で、この領域における神経細胞の形態を有する多数の細胞も、rAAVrh.10により形質導入され(図20)、これは下記の通り神経細胞のマーカーを用いた共染色によって確認された。rAAVrh.39およびrAAV7を含む、他のベクターも、線条体で中等度の形質導入を仲介した(図20)。対照的に、rAAV6、rAAV6.2、およびrAAV1は、この構造で相対的に低いEGFPを発現する結果となった(図20)。
【0143】
海馬。海馬は、長期記憶および空間ナビゲーションと関連した領域であり、通常、ストレスおよび癲癇や統合失調症等の疾病の原因によって損傷を受ける。静脈内rAAVrh.10、rAAV9、rAAV7、rAAVrh.39、およびrAAVrh.43を受けたマウスでは、多くのEGFP−陽性神経細胞が、海馬の全領域で、すなわち歯状回、門、CA1、CA2およびCA3で、両側に見られた(この構造における形質導入効率によってランク付けした、表5ならびに図19および図20)。神経細胞形質導入パターンに加えて、EGFP−陽性細胞は星状細胞の形態学的外観を有していた(図20)。このことは、下記の通りEGFPに対する抗体および星状膠細胞マーカーを用いた二重染色法でさらに確認された。静脈内送達されたrAAV1、rAAV6およびrAAV6.2ベクターについては、少数のEGFP−陽性細胞が海馬にあった(図20)。
【0144】
皮質。皮質における病理学的変化は、アルツハイマー病およびパーキンソン病に関係があるとされてきた。AAV7、AAV9、AAVrh.10、AAVrh.39およびAAVrh.43ベクターは、皮質で中等度のEGFP形質導入を達成した(表5ならびに図19および図20)。細胞マーカー染色法および共焦点顕微鏡分析法でさらに確認するとき、形質導入細胞の形態学は、神経細胞および星状細胞の両者と一致していた。顕著なEGFP−陽性細胞は一般に、後部無顆粒島皮質、梨状皮質、外側嗅内皮質、後外側皮質扁桃核および後内側皮質扁桃核を含む、皮質の腹側外側領域で認められた(図20)。強いEGFP信号は、ブレグマ(0.0mm)に関して、+1.5mmから−3.3mmに及んだ。rAAVrh.10、rAAV9、rAAVrh.39およびrAAVrh.43の皮質形質導入効率は類似していた(表5ならびに図19および図20)。AAV1、AAV6およびAAV6.2ベクターも、皮質内の細胞を形質導入した(図20)。
【0145】
視床下部。視床下部が果たす役割は、神経ホルモンを分泌して、ある特定の代謝過程を制御することである。視床下部はまた、糖尿病の病因でも指摘される。8ベクターについて、EGFP信号が視床下部で観測された。rAAVrh.10の静脈内投与は、視床下部全体で、最高のEGFP発現をもたらし、その後にrAAVrh.39、rAAV7、rAAV6.2、rAAVrh.43、rAAV9、rAAV1およびrAAV6が続いた(図19および図20ならびに表5)。興味深いことに、この構造内の殆どのEGFP−陽性細胞は、下記の通り、星状細胞の細胞型特異的マーカーの免疫染色によって確認された、星状細胞の形態学を有していた。星状細胞のEGFP信号は、他の形質導入細胞の形態学的詳細の直接検査を不明瞭にする傾向があった。しかし、下記の通り、これはEGFPに対する抗体および神経細胞マーカーを用いた、組織切片の二重免疫蛍光染色によって明確にされた。
【0146】
小脳。小脳の病変は、小脳認知情動症候群、発達性協調運動障害、後頭窩症候群、言語欠陥、加齢、注意欠陥多動障害、自閉症、痴呆および統合失調症等の疾病でしばしば見られる。殆どのrAAVベクターについて、EGFP−陽性細胞およびEGFP−陽性繊維が、小脳で検出された(表5ならびに図19および図20)。rAAV7、rAAV9、rAAVrh.10、rAAVrh.39およびrAAVrh.43については、多数のEGFP発現細胞がプルキンエ細胞層および果粒細胞層で見られた(図20)。rAAV1ベクターの形質導入プロフィールは、果粒細胞層内の細胞における発現を示したが、rAAV6およびrAAV6.2は、プルキンエ細胞層内の細胞に局在していた(図20)。
【0147】
延髄。延髄は、慢性疼痛を治療するための潜在的な遺伝子療法標的である。殆どのrAAVは、延髄における中等度から強力なEGFP発現を仲介し、殆どの緑色細胞は外縁に存在していた(図20)。この領域におけるこれらのrAAVの形質導入効率は、次の順序でランク付けされた:rAAVrh.39=rAAVrh.43>rAAV.rh10>rAAV1>rAAV9>rAAV7>rAAV6.2>rAAV6(表5および図19a)。殆どのEGFP−形質導入細胞の形態は、星状細胞である細胞と一致していた。
【0148】
脊髄。脊髄は、運動ニューロン病に関与している。rAAVrh.10、rAAV9、rAAVrh.39およびrAAVrh.43は、頚部灰白質および白質で、非常に強いEGFP発現を生じさせたが、rAAV1、rAAV6.2およびrAAV7は中等度のEGFP強度を示した(表5ならびに図19および図21)。rAAV1については、EGFP信号が白質で認められた。全ての効果的なrAAVの形質導入能力は、頚部から腰髄まで低下した。EGFP−陽性細胞は、後者領域で目に見えた。星状細胞の形態を有するEGFP−陽性細胞の大集団が、脊髄全体にわたって認められた(図21)。加えて、rAAVrh.10、rAAV9、rAAVrh.39、rAAVrh.43およびrAAV7はまた、脊髄の腹側領域内の、運動ニューロン形態を有する細胞も形質導入した(図21)。上行後索線維は明らかなEGFP信号を示した。加えて、後根神経節(DRG)は、DRG神経細胞で強いEGFP発現を伴う顕著な形質導入を示した(図22および図26)。脊髄におけるrAAV形質導入細胞型の同一性は、下記の通り、EGFPに対する抗体および細胞型特異的マーカーを用いた共蛍光免疫染色によって特性決定した。
【0149】
AAVベクターのIV投与は、CNSにおける様々な細胞型の形質導入につながる
CNSの様々な領域における形質導入細胞の同一性を確認するために、EGFPに対する抗体およびNeuN(一般的な神経細胞マーカー)、グリア線維酸性タンパク質(GFAP;星状細胞マーカー)、カルビンジン−D28K(プルキンエ細胞マーカー)、およびコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT;運動ニューロンマーカー)を用いて二重免疫蛍光染色を実施した(図23)。免疫染色の結果から、多数のNeuN陽性細胞がマウス脳の全体にわたってEGFPを発現することが分かり、これは広範な神経細胞の形質導入を示す。高密度の形質導入神経細胞を有する領域としては、線条体、海馬、皮質および視床下部などがあった。rAAVrh.10、rAAV9、rAAV7およびrAAVrh.39ベクターは、神経細胞の形質導入を仲介する上で効率的であり、その後にAAV6.2、AAV1およびAAV6が続いた(図19および図23)。加えて、黒質におけるドーパミン作動性ニューロンは、AAV.rh10によって形質導入された(図23)。CNSにおける形質導入細胞は、小細胞体および高度に分枝した突起を有するGFAP−陽性星状細を含んでいた(図23)。細胞体およびそれらの樹状突起の両者でEGFP発現を示し、カルビンジン−D28K免疫染色法で、プルキンエ細胞として、小脳における多数の形質導入細胞の同一性が確認された(図23)。プルキンエ細胞を形質導入する上で能力の高いrAAVは、以下を含む:rAAVrh.10、rAAV9、rAAVrh.39、rAAV7、rAAV6.2およびrAAVrh.43。rAAV1およびrAAV6は、プルキンエ細胞の一部を比較的低いEGFP強度で形質導入した(図19)。幾つかのrAAVベクターについては、脊髄腹側部に大きいEGFP+/ChAT+細胞が存在することによって、運動ニューロンの形質導入が確認された(図23)。rAAVrh.10、rAAV9、rAAV7、rAAVrh.39は、類似した効率の運動ニューロンの形質導入を示した(図21)。
【0150】
AAVベクターのIV投与は、脳室および脳血管で強い形質導入を仲介した。
rAAVrh.39、rAAVrh.10、rAAVrh.43、rAAV7およびrAAV9を注入した動物の側脳室、第三脳質および第四脳室における脈絡叢細胞で、EGFP発現が認められた(形質導入効率によってランク付けした、表5ならびに図19および図24)。同じマウス脳の様々な脳室におけるEGFP発現は類似していた(図24)。脳室の内側を覆う脳室上皮細胞も形質導入された。EGFP−陽性細胞の分布に関する観察結果は、明らかな勾配を示し、形質導入細胞数は脳室周囲領域で最多数であり、また脳室までの距離が増加するにつれて次第に減少した。このことは、側脳室よりも、第三脳室および第四脳室の周囲の領域で明白であった(図24)。マウスの脳および脊髄の全体にわたる血管でも、広範なEGFP信号が見られた。これは、EGFPに対する抗体および血管内皮特異的マーカー、CD34を用いた二重の免疫蛍光染色法によって検証された(図27aおよび図27b)。脳実質の様々な領域におけるrAAV形質導入プロフィールと違って、CNS全体にわたる血管のEGFP形質導入は、所与のあらゆるベクターで、比較的一様である。しかし、血管の形質導入は、使用した特定のrAAVによる影響を受けた。大半のrAAVは、CNSで、中等度(たとえば、rAAV6)ないし極めて効率的な(たとえばrAAVrh.10)血管形質導入を仲介した。
【0151】
AAVベクターのIV注射は、小膠細胞症を引き起こさなかった。
脳切片を、Iba−1に対する抗体でも染色して、小膠細胞を標識した。rAAVrh.10を受けたマウス由来の切片におけるIba−1−陽性細胞は、未処理マウスまたはPBS注射マウスにおけるもの同然であった(図28)。この結果は、血管内送達されたrAAVが、P1新生仔に注射した3週間後に、マウスのCNSで持続性の炎症を引き起こさないことを示した。
【0152】
結果の考察
この試験では、新生仔マウスで、血管内注入により送達された異なる10のrAAVベクターについて、CNS形質導入プロフィールを評価した。殆どのrAAVは、BBBを越えることができ、様々な程度の効率で新生仔マウスCNSへの遺伝子移入を仲介する(図19〜21および表5)。CNSにおける総体的なEGFP発現によって評価するとき、rAAVrh.10、rAAVrh.39、rAAVrh.43、およびrAAV9は、全身投与後、類似した形質導入能力および細胞トロピズムを有する効果的なrAAVである。具体的には、線条体、海馬、皮質、視床下部、小脳、延髄、および頚髄、を含む、マウスCNSにおける多くの領域が、かなりのEGFP発現を示した。加えて、rAAV6.2およびrAAV7も効果的であった。AAV1およびAAV6は、CNS形質導入を達成した(表5)。殆どのrAAVについては、免疫染色せずに、脳切片および脊髄切片で自然のEGFP発現が検出できた(図29)。
【0153】
この例には、若い患者のためを含む、CNS関連の障害の遺伝子療法のための臨床的意義があった。種々の神経性疾患には、不可逆的CNS損傷を予防するために幼年期の間の早期治療が必要なことがある。rAAVが様々な領域で多くの神経細胞を形質導入する能力は、脊髄性筋萎縮症、神経セロイドリポフスチン症、および脊髄小脳変性症等の神経性疾患を治療するのに適切である。プルキンエ細胞および顆粒層細胞を形質導入する上でのいくつかのrAAVベクターの効率は、脊髄小脳運動失調の治療にベクターを使用することが可能なことを示す。分泌される神経栄養因子を発現するrAAVによる星状細胞の形質導入もまた、カナバン病や筋萎縮性側索硬化症等の多くの神経変性疾患に有益な可能性がある。CNSにおける血管的形質導入は、脳虚血および卒中の治療に適切な可能性がある。血管内rAAV−介在性遺伝子送達の臨床応用は、末梢神経系(PNS)にも及ぶ可能性がある。DRGの効率的な形質導入は、慢性疼痛に罹患している患者に新たな治療戦略を提供する。
【0154】
CNSへの全身的遺伝子送達は、調査研究で遺伝子発現を操作する方法としても有用である。rAAVの静脈内投与による、CNSにおける有効でかつ安定した導入遺伝子発現は、体細胞トランスジェニック動物モデルの確立に応用できる可能性があり、これは従来の遺伝子導入より安価で、速くかつ簡単な可能性がある方法である。体細胞CNS遺伝子ノックダウン動物モデルを、本明細書に記載の方法を使用して作り出すことも可能である。
【0155】
一部のrAAVは実際に、CNSで独特の形質導入プロフィールを証明した。たとえば、rAAV1は、形質導入された果粒細胞を小脳で示したが、rAAV6およびrAAV6.2はプルキンエ細胞を形質導入し、また両タイプの細胞を形質導入したものもあった(図9)。このことは、いったんBBBを越えると、rAAVは明確なトロピズムを示すが、全てのベクターで使用されたベクターゲノムは同じであったため、これはカプシドに原因があると考えられる。
【0156】
本明細書に開示されているAAV血清型は、脳毛細血管内皮細胞、神経細胞および星状細胞を効率的に形質導入できる。このことは、これらのベクターが、たぶんBBBを越えることによって、循環から浸出してCNS実質に到達することが可能なことを示す。AAVは、トランスサイトーシス経路によって内皮バリアーを越えることが可能である。この試験で、脈絡叢およびそれらの周囲の実質組織は、効率的に形質導入された。加えて、脳室周囲組織(高い)から深部実質組織(低い)まで、EGFP強度の明白な勾配があった。これらの観察結果は、AAVが脈絡叢を通り抜けて新生仔マウスCNSに入り、続いてCSFおよび/または間質液流を介して広範に分布し、神経細胞およびグリア細胞を形質導入することが可能なことを示す。
【0157】
神経細胞特異的プロモーターまたはグリア特異的プロモーター(たとえばシナプシン−1等)、およびGFAPプロモーターを使用して、遺伝子発現を特異的細胞型に制限することが可能である。ターゲッテドCNS遺伝子送達を達成するためのさらなる方法は、転写後制御機序によって末梢組織をターゲット解除するために、RNA干渉を使用する。マイクロRNA結合部位を導入遺伝子カセットの3’末端に付加することによって、AAVベクター全身投与後の導入遺伝子発現を、CNS形質導入は維持しつつ、肝臓、心臓および骨格筋等の組織では減少または除去することが可能である。
【0158】
材料と方法
AAV製造
既述の通りに、293細胞の一時的形質移入方法およびCsCl勾配沈降法を使用した、異なるAAVのカプシドを有するAAV2由来の逆方向末端反復(ITR)が隣接しているrAAVベクターゲノムのトランス−カプシド形成によって、ScAAVベクターを製造した。ベクター調製物は、定量的PCRで力価測定した。ベクターの純度は、4〜12% SDS−アクリルアミドゲル電気泳動法および銀染色法(Invitrogen,Carlsbad,CA)で評価した。本試験で使用した各ベクターの形態学的完全性は、負染色した組み換えAAVビリオンの透過電子顕微鏡検査によって試験した。cAAVベクターゲノムにおけるEGFPの発現は、ハイブリッドCMVエンハンサー/ニワトリβ−アクチンプロモーターによって指令される。
【0159】
新生仔マウス注射
野生型C57BL/6マウス同腹子を使用した。マウス繁殖は、計画的タイミング法を使用して実施した。P1に、新生仔に確実にベクターを投与できるように、妊娠マウスを、胎生17日から21日まで毎日監視した。注射される各同腹子の母親(単独収容)をケージから取り出した。ベクターを、PBSで4×1012GC/mLの濃度に希釈し、続いて溶液100μlを31Gインスリン注射器(BD Ultra−Fine II U−100 Insulin Syringes)に吸い込んだ。C57BL/6マウスのP1仔を、イソフルランを使用して麻酔し、氷上に置いた。静脈内注射のために、解剖顕微鏡を使用して、側頭静脈(耳の直前に位置する)を可視化した。針を静脈に挿入して、プランジャーを手で押し下げた。正しい注射は、静脈のブランチングに注目することによって検証した。各仔は、浅側頭静脈を介して、4×1011GCの様々なscrAAVCBEGFPベクター(rAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV6.2、rAAV7、rAAV9、rAAVrh.10、rAAVrh.39、rAAVrh.43;群当たりn=6〜8マウス)を受けた。注射後、仔を注意深くきれいにし、本来の床敷で擦り、次いで本来のケージに戻した。次いで、エタノールパッドを使用して、鼻を短時間無感覚にした後、母親をケージに再導入した。
【0160】
組織学的処理
本試験動物は、注射後21日に麻酔し、次いで冷PBS 15mLを、続いてPBS中に0.2%のグルタルアルデヒド(v/v)と共に4%パラホルムアルデヒド(v/v)を含む固定液15mLを、経心臓的に灌流した。次いで、全死体を固定液中で5日間、後固定した。脊髄および脳を明視野解剖顕微鏡下で摘出し、PBSですすぎ、次いで4℃の、PBS中30%のスクロース(w/v)で凍結保護した。いったん組織をスクロース溶液の底まで沈め、組織をTissue−Tek OCT化合物(Sakura Finetek,Torrance,CA)中に包埋し、ドライアイス/エタノール浴中で凍結した。組織塊を、−80℃で薄切まで保管した。脳全体の連続した40μm浮遊切片をCryostat(Thermo Microm HM550)で切断した。脊髄については、長さ3mmの切片を頚部、胸部および腰部から取り、次いで、連続した40μmの横断切片を上記の通りに作製した。
【0161】
免疫染色法および顕微鏡画像分析法
脳切片および脊髄切片を、12ウェルプレート内で、浮遊切片として染色した。切片をPBS中で、各回5分間ずつ3回洗浄し、次いで、1% Triton−X100(v/v)(Fisher,Pittsburg,PA)、5%ドライミルク(w/v)および10%ヤギ血清(v/v)(Invitrogen)を含むブロッキング液中、室温で2時間、インキュベートした。次いで、この切片を、ブロッキング液で希釈した一次抗体と共に、4℃で一晩インキュベートした。翌日、組織切片を、PBS中0.05%のTween−20(v/v)(PBST)で2回と、PBSで1回洗浄した(各洗浄段階は10分続いた)。その後、切片を、適切な二次抗体と共に、ブロッキング液中、室温で2時間、インキュベートした。切片を上記の通りに再度洗浄してからスライドガラスに載せた。DAPIを含むVectashield(Vector Laboratories,Burlingame,CA)を使用して、全てのスライドをカバースリップし、次いで蛍光倒立顕微鏡(Nikon Eclipse Ti)か、または63×油浸レンズおよびDM−IRE2倒立顕微鏡を具備するLeica TSC−SP2 AOBS共焦点顕微鏡を使用して、それらを分析した。本試験で使用した一次抗体は、以下の通りであった:ウサギ抗−GFP(Invitrogen)、ヤギ抗−ChATおよびマウス抗−NeuN(両者ともMillipore,Billerica,MA)、マウス抗−GFAP(Cell signaling,Danvers,MA)、ラット抗−CD34(Abcam,Cambridge,MA)、マウス抗−カルビンジンD−28k(Sigma,St Louis,MO)およびウサギ抗−DARPP(Abcam,Cambridge,MA)。本試験で使用した二次抗体は、以下を含んでいた:DyLight 488 AffiniPure ロバ抗−ウサギIgG(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA);DyLight 549 AffiniPure ロバ抗−ヤギIgG(Jackson ImmunoResearch);DyLight 549 Affinipure ヤギ抗−ラットIgG(Jackson ImmunoResearch);DyLight 594 AffiniPure ヤギ抗−マウスIgG(Jackson ImmunoResearch);ヤギ抗−ウサギIgG−Alexa フルロ 488(Invitrogen)およびヤギ抗−マウスIgG−Alexaフルロ568(Invitrogen)。
【0162】
様々なベクターによるEGFP形質導入の半定量的比較および定量的比較
定量化可能でかつ比較可能なデータ形式を作成するために、半定量的採点システムを開発して、マウスCNSの様々な領域における、様々なrAAVベクターの形質導入効率を推定した。簡単に記載すると、EGFP陽性細胞が皆無であった領域を(−)と表示した。EGFP陽性細胞が非常に少ない領域を(+)と採点し、EGFP陽性細胞が若干であった領域を(++)と位置づけ、EGFP陽性細胞が多かった領域を(+++)と表示した。最終的に、EGFP陽性細胞で満たされた領域を(++++)と表示した。
【0163】
次に、脳切片、ならびに脊髄の頚部切片、胸部切片および腰部切片で、亜解剖学的および機能的に重要な12領域を、Retiga 2000−RV CCD 冷却カメラを具備するNikon Eclipse Ti倒立顕微鏡で撮った画像の定量的分析用に選択した。Nikon NIS elements ARソフトウェアv.3.2を強度定量化に使用した。定量化の前に、蛍光リファレンススライド(Ted Pella,prod.2273)を使用して、強度/露光時間曲線をプロットすることにより、最適な光源強度および露光時間を得た。強度と露光時間には線形相関があった。加えて、露光過多および極端な露光不足は、線形相関をゆがめる。露光過多を避けるために、全ての切片に最大強度(ND1)および20ms露光を使用した。定量化については、固定された対象領域(ROI)を使用して、所与のあらゆる脳領域の中で最も明るい区域を定量化した。全ての血清型の各領域ごとに平均強度(総強度/ROIのサイズ)を得た。
【0164】
【表5】
【0165】
例10:カナバン病モデルにおける、rAAVに基づいた治療の評価
本例の序文
CDは、アスパルトアシラーゼ遺伝子(ASPA)における常染色体の劣性突然変異に起因する希少でかつ致命的な幼児期白質ジストロフィーである[G.G.の大学院の研究で立証された(12)]。CD患者におけるASPA欠乏は、尿中N−アセチル−アスパラギン酸(NAA)上昇(CDの特徴)およびCNS全体にわたる白質の海綿状変性につながり、重度の精神運動遅滞および早期死亡を招来する。ASPA−/−マウスモデルは、CD患者でみられる神経病理学および臨床症状、すなわち、白質の海綿状変性、運動障害、発達遅延、および早期死亡(生後3週間以内)に似た症状を呈する。
【0166】
この試験で、CDマウスにおけるびまん性白質変性を治療するために、静脈内送達可能なrAAVを使用してCNSを全体的にターゲットした。新生仔CDマウスにASPAベクターを単回静脈内注射することにより、代謝障害、精神運動機能不全および他の疾病表現型を直し、生存期間を延長した。未処置CDマウスは、生後第2週に成長遅滞、精神運動機能不全を示し始め、離乳後間もなく一様に死亡したが、処置マウスは、ベクター注射の2週間後に体重が増加し始め、7〜8週以内にそれらのヘテロ接合同腹子にほぼ追い付いた。CDマウスと違って、処置動物の可動性は野生型同腹子と類似していた。処置マウスに対するローターロッドテストのデータは、処置CDマウスとそれらの同年令野生型同腹子との間で待機時間に有意差はないことを表し、遺伝子療法は、CDの例示的な神経筋症状である、運動失調を直すことを示した。生化学的特性決定は、尿試料中のNAAレベルの低下ならびに脳組織および腎臓組織におけるASPA活性の回復を示した。生化学的表現型および臨床表現型の緩和は、脳、脊髄のみならず、腎臓等の末梢組織でも、全体的に寛解した組織病理とよく相関し、CDはCNS障害に限らないことを示した。
【0167】
結果
P1のCDマウスにAAV9ASPAを投与した(顔面静脈、4×1011GC)。成長、足取り、ローターロッドを用いた運動機能、尿中NAAレベルおよび脳内ASPA活性についてマウスを監視した。結果から以下のことが分かった。i)未処置CDマウスは、生後第2週に体重減少を始め、第3週に死亡した;ii)処置動物は、第5週の間に成長する能力を回復して第10週までにASPA+/−動物に追いついた;iii).ローターロッドテストで測定するとき、遺伝子療法は、P1に処置した、CDマウスの足取りならびにCDマウスの運動機能を完全に直した(図30A);iv).遺伝子療法はCDマウスの視力を回復した。CDマウスの眼に対する網膜電図写真(ERG)テストは、光への記録不可能な応答を示したが、処置したCDマウスでは、明確に定義されたERG応答が容易に検出できた(図30B)。これらのデータから、CDマウスにおける、より重症の網膜症および視力喪失ならびに遺伝子療法はCDマウスの網膜症を緩和して視力を回復することが分かる;v).遺伝子療法は、処置CDマウスにおけるNAAレベルが対照マウスにおけるものに近づいたため、NAAの代謝障害を明らかに改善した(図30C);およびvi)NAA代謝の是正は、処置CDマウスの脳におけるASPA発現の回復(図30E)および活性(図30D)の回復とよく相関していた。
【0168】
表現型の是正が、処置CDマウスの脳切片における神経病理緩和ならびにASPAの原位置発現と相関しているかどうかを決定するために、遺伝子療法の3カ月後に、神経病理学およびASPA免疫組織化学について脳切片を分析した。未処置マウス脳は、脳および脊髄の全領域を散在的に含む著明な空胞形成を示すが、処置動物の脳および脊髄の両者における空胞形成は、より斑状でかつ多様であり、概してより小さいサイズの空胞を示すようである。大脳皮質の一部の区域は、空胞形成を殆ど何も示さない(図31A)。加えて、大脳皮質原位置におけるASPA発現を検出するために、アビジン−ビオチン複合体(ABC)系を使用して、脳切片を染色した(図31B)。処置CDマウスにおける神経病理学の改善に関する定量的測定値を生成するために、遺伝子療法処置の前後に、CDマウスにおける白質変性に起因する、脳切片および脊髄切片の「空胞」を定量化した。この定量的分析のために、Nikon Eclipse Ti倒立顕微鏡およびNikon NIS elements ARソフトウェアV.3.2を使用した。>3,000ピクセル、1,000〜3,000ピクセルおよび100〜1,000ピクセルであった空胞を、それぞれ大型空胞、中型空胞および小型空胞と定義した。この実験で評価した5脳領域の中で、嗅球は、遺伝子療法後、白質変性における最も劇的な緩和を示した(図32A)。他の3領域については、大型空胞は完全に除去され、また中型空胞数は著明減少したが、小型空胞(<100um)数の減少は、この実験では有意ではなかった(図32A)。脊髄切片に対する同じ分析は、同様の傾向を示した(図32B)。
【0169】
CDマウスにおける腎臓の組織病理学を評価した。糸球体は正常な構造を示したが、ボーマン隙の拡張を随伴していた。腎尿細管上皮は、尿細管内腔の拡大と関連して、びまん的に減弱(または委縮)していた(図33A)。対照的に、処置CDマウスは正常な糸球体を有していた。腎尿細管上皮細胞は首尾よく染色され、その量は正常であった(図33B)。こうした結果は、CDの病態生理学における腎臓の関与およびCD遺伝子療法の末梢標的としての腎臓を示す。この結果は、CD遺伝子治療用のベクトル選択の検討事項としての、AAVベクターの腎トロピズムも示す。10週令のC57BL/6マウスに静脈内送達した後の、腎臓形質導入の効率について、2ベクター、rAAV9およびrh.10を評価した。結果は、rAAVrh.10は効率的なCNS形質導入(図33C)に加えて、腎臓を効率的に形質導入するため、CD遺伝子療法のための有用なベクターとしてrAAVrh.10が使用される(図33D)ことを示した。
【0170】
核酸配列およびアミノ酸配列
>gi|9632548|ref|NP_049542.1|カプシドタンパク質[アデノ随伴ウイルス−1]
(配列番号1)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSSGIGKTGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPATPAAVGPTTMASGGGAPMADNNEGADGVGNASGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSASTGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTTNDGVTTIANNLTSTVQVFSDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEEVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLNRTQNQSGSAQNKDLLFSRGSPAGMSVQPKNWLPGPCYRQQRVSKTKTDNNNSNFTWTGASKYNLNGRESIINPGTAMASHKDDEDKFFPMSGVMIFGKESAGASNTALDNVMITDEEEIKATNPVATERFGTVAVNFQSSSTDPATGDVHAMGALPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKNPPPQILIKNTPVPANPPAEFSATKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEVQYTSNYAKSANVDFTVDNNGLYTEPRPIGTRYLTRPL
【0171】
>gi|110645923|ref|YP_680426.1|主要コートタンパク質VP1[アデノ随伴ウイルス−2]
(配列番号2)
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGNRQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0172】
>gi|51593838|ref|YP_068409.1|カプシドタンパク質[アデノ随伴ウイルス−5]
(配列番号3)
MSFVDHPPDWLEEVGEGLREFLGLEAGPPKPKPNQQHQDQARGLVLPGYNYLGPGNGLDRGEPVNRADEVAREHDISYNEQLEAGDNPYLKYNHADAEFQEKLADDTSFGGNLGKAVFQAKKRVLEPFGLVEEGAKTAPTGKRIDDHFPKRKKARTEEDSKPSTSSDAEAGPSGSQQLQIPAQPASSLGADTMSAGGGGPLGDNNQGADGVGNASGDWHCDSTWMGDRVVTKSTRTWVLPSYNNHQYREIKSGSVDGSNANAYFGYSTPWGYFDFNRFHSHWSPRDWQRLINNYWGFRPRSLRVKIFNIQVKEVTVQDSTTTIANNLTSTVQVFTDDDYQLPYVVGNGTEGCLPAFPPQVFTLPQYGYATLNRDNTENPTERSSFFCLEYFPSKMLRTGNNFEFTYNFEEVPFHSSFAPSQNLFKLANPLVDQYLYRFVSTNNTGGVQFNKNLAGRYANTYKNWFPGPMGRTQGWNLGSGVNRASVSAFATTNRMELEGASYQVPPQPNGMTNNLQGSNTYALENTMIFNSQPANPGTTATYLEGNMLITSESETQPVNRVAYNVGGQMATNNQSSTTAPATGTYNLQEIVPGSVWMERDVYLQGPIWAKIPETGAHFHPSPAMGGFGLKHPPPMMLIKNTPVPGNITSFSDVPVSSFITQYSTGQVTVEMEWELKKENSKRWNPEIQYTNNYNDPQFVDFAPDSTGEYRTTRPIGTRYLTRPL
【0173】
>gi|2766607|gb|AAB95450.1|カプシドタンパク質VP1[アデノ随伴ウイルス−6]
(配列番号4)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPFGLVEEGAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSSGIGKTGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPATPAAVGPTTMASGGGAPMADNNEGADGVGNASGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSASTGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTTNDGVTTIANNLTSTVQVFSDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLNRTQNQSGSAQNKDLLFSRGSPAGMSVQPKNWLPGPCYRQQRVSKTKTDNNNSNFTWTGASKYNLNGRESIINPGTAMASHKDDKDKFFPMSGVMIFGKESAGASNTALDNVMITDEEEIKATNPVATERFGTVAVNLQSSSTDPATGDVHVMGALPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPPAEFSATKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEVQYTSNYAKSANVDFTVDNNGLYTEPRPIGTRYLTRPL
【0174】
>gi|171850125|gb|ACB55302.1|カプシドタンパク質VP1[アデノ随伴ウイルス−6.2](配列番号5)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSSGIGKTGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPATPAAVGPTTMASGGGAPMADNNEGADGVGNASGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSASTGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTTNDGVTTIANNLTSTVQVFSDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLNRTQNQSGSAQNKDLLFSRGSPAGMSVQPKNWLPGPCYRQQRVSKTKTDNNNSNFTWTGASKYNLNGRESIINPGTAMASHKDDKDKFFPMSGVMIFGKESAGASNTALDNVMITDEEEIKATNPVATERFGTVAVNLQSSSTDPATGDVHVMGALPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPPAEFSATKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEVQYTSNYAKSANVDFTVDNNGLYTEPRPIGTRYLTRPL
【0175】
>gi|22652861|gb|AAN03855.1|AF513851_2カプシドタンパク質[アデノ随伴ウイルス−7]
(配列番号6)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDNGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPAKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPARKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPAAPSSVGSGTVAAGGGAPMADNNEGADGVGNASGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSETAGSTNDNTYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKKLRFKLFNIQVKEVTTNDGVTTIANNLTSTIQVFSDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQSVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFEFSYSFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLARTQSNPGGTAGNRELQFYQGGPSTMAEQAKNWLPGPCFRQQRVSKTLDQNNNSNFAWTGATKYHLNGRNSLVNPGVAMATHKDDEDRFFPSSGVLIFGKTGATNKTTLENVLMTNEEEIRPTNPVATEEYGIVSSNLQAANTAAQTQVVNNQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPPEVFTPAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNFEKQTGVDFAVDSQGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0176】
>gi|22652864|gb|AAN03857.1|AF513852_2カプシドタンパク質[アデノ随伴ウイルス−8]
(配列番号7)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLQAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPARKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPAAPSGVGPNTMAAGGGAPMADNNEGADGVGSSSGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNGTSGGATNDNTYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLSFKLFNIQVKEVTQNEGTKTIANNLTSTIQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFTYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTQTTGGTANTQTLGFSQGGPNTMANQAKNWLPGPCYRQQRVSTTTGQNNNSNFAWTAGTKYHLNGRNSLANPGIAMATHKDDEERFFPSNGILIFGKQNAARDNADYSDVMLTSEEEIKTTNPVATEEYGIVADNLQQQNTAPQIGTVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPADPPTTFNQSKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSTSVDFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0177】
>gi|46487805|gb|AAS99264.1|カプシドタンパク質VP1[アデノ随伴ウイルス9]
(配列番号8)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTMASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTDNNGVKTIANNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSKTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTQNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGMKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0178】
>gi|29650526|gb|AAO88201.1|カプシドタンパク質[非−ヒト霊長類アデノ随伴ウイルス]
(配列番号9)rh−10
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPIGEPPAGPSGLGSGTMAAGGGAPMADNNEGADGVGSSSGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNGTSGGSTNDNTYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNEGTKTIANNLTSTIQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFEFSYQFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTQSTGGTAGTQQLLFSQAGPNNMSAQAKNWLPGPCYRQQRVSTTLSQNNNSNFAWTGATKYHLNGRDSLVNPGVAMATHKDDEERFFPSSGVLMFGKQGAGKDNVDYSSV
MLTSEEEIKTTNPVATEQYGVVADNLQQQNAAPIVGAVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPADPPTTFSQAKLASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSTNVDFAVNTDGTYSEPRPIGTRYLTRNL
【0179】
>gi|171850147|gb|ACB55313.1|カプシドタンパク質VP1[アデノ随伴ウイルス−rh.39]
(配列番号10)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPIGEPPAGPSGLGSGTMAAGGGAPMADNNEGADGVGSSSGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNGTSGGSTNDNTYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLSFKLFNIQVKEVTQNEGTKTIANNLTSTIQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFEFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTQSTGGTQGTQQLLFSQAGPANMSAQAKNWLPGPCYRQQRVSTTLSQNNNSNFAWTGATKYHLNGRDSLVNPGVAMATHKDDEERFFPSSGVLMFGKQGAGRDNVDYSSVMLTSEEEIKTTNPVATEQYGVVADNLQQTNTGPIVGNVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPADPPTTFSQAKLASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSTNVDFAVNTEGTYSEPRPIGTRYLTRNL
【0180】
>gi|46487767|gb|AAS99245.1|カプシドタンパク質VP1[アデノ随伴ウイルスrh.43]
(配列番号11)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLEAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSSGIGKKGQQPARKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPAAPSGVGPNTMAAGGGAPMADNNEGADGVGSSSGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNGTSGGATNDNTYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLSFKLFNIQVKEVTQNEGTKTIANNLTSTIQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFTYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTQTTGGTANTQTLGFSQGGPNTMANQAKNWLPGPCYRQQRVSTTTGQNNNSNFAWTAGTKYHLNGRNSLANPGIAMATHKDDEERFFPVTGSCFWQQNAARDNADYSDVMLTSEEEIKTTNPVATEEYGIVADNLQQQNTAPQIGTVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPADPPTTFNQSKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSTSVDFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0181】
>カプシドタンパク質VP1[アデノ随伴ウイルス]CSp3(配列番号12)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTIASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKRISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIRVKEVTDNNGVKTITNNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSKTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTRNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGVKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0182】
>gi|189339202|ref|NP_001121557.1|アスパルトアシラーゼ[ヒト]
(配列番号13)
MTSCHIAEEHIQKVAIFGGTHGNELTGVFLVKHWLENGAEIQRTGLEVKPFITNPRAVKKCTRYIDCDLNRIFDLENLGKKMSEDLPYEVRRAQEINHLFGPKDSEDSYDIIFDLHNTTSNMGCTLILEDSRNNFLIQMFHYIKTSLAPLPCYVYLIEHPSLKYATTRSIAKYPVGIEVGPQPQGVLRADILDQMRKMIKHALDFIHHFNEGKEFPPCAIEVYKIIEKVDYPRDENGEIAAIIHPNLQDQDWKPLHPGDPMFLTLDGKTIPLGGDCTVYPVFVNEAAYYEKKEAFAKTTKLTLNAKSIRCCLH
【0183】
>gi|189339201:92−1033ヒト アスパルトアシラーゼ(カナバン病)(ASPA),転写物変異形2,mRNA
(配列番号14)
ATGACTTCTTGTCACATTGCTGAAGAACATATACAAAAGGTTGCTATCTTTGGAGGAACCCATGGGAATGAGCTAACCGGAGTATTTCTGGTTAAGCATTGGCTAGAGAATGGCGCTGAGATTCAGAGAACAGGGCTGGAGGTAAAACCATTTATTACTAACCCCAGAGCAGTGAAGAAGTGTACCAGATATATTGACTGTGACCTGAATCGCATTTTTGACCTTGAAAATCTTGGCAAAAAAATGTCAGAAGATTTGCCATATGAAGTGAGAAGGGCTCAAGAAATAAATCATTTATTTGGTCCAAAAGACAGTGAAGATTCCTATGACATTATTTTTGACCTTCACAACACCACCTCTAACATGGGGTGCACTCTTATTCTTGAGGATTCCAGGAATAACTTTTTAATTCAGATGTTTCATTACATTAAGACTTCTCTGGCTCCACTACCCTGCTACGTTTATCTGATTGAGCATCCTTCCCTCAAATATGCGACCACTCGTTCCATAGCCAAGTATCCTGTGGGTATAGAAGTTGGTCCTCAGCCTCAAGGGGTTCTGAGAGCTGATATCTTGGATCAAATGAGAAAAATGATTAAACATGCTCTTGATTTTATACATCATTTCAATGAAGGAAAAGAATTTCCTCCCTGCGCCATTGAGGTCTATAAAATTATAGAGAAAGTTGATTACCCCCGGGATGAAAATGGAGAAATTGCTGCTATCATCCATCCTAATCTGCAGGATCAAGACTGGAAACCACTGCATCCTGGGGATCCCATGTTTTTAACTCTTGATGGGAAGACGATCCCACTGGGCGGAGACTGTACCGTGTACCCCGTGTTTGTGAATGAGGCCGCATATTACGAAAAGAAAGAAGCTTTTGCAAAGACAACTAAACTAACGCTCAATGCAAAAAGTATTCGCTGCTGTTTACATTAG
【0184】
>gi|31560279|ref|NP_075602.2|アスパルトアシラーゼ[ハツカネズミ]
(配列番号15)
MTSCVAKEPIKKIAIFGGTHGNELTGVFLVTHWLRNGTEVHRAGLDVKPFITNPRAVEKCTRYIDCDLNRVFDLENLSKEMSEDLPYEVRRAQEINHLFGPKNSDDAYDLVFDLHNTTSNMGCTLILEDSRNDFLIQMFHYIKTCMAPLPCSVYLIEHPSLKYATTRSIAKYPVGIEVGPQPHGVLRADILDQMRKMIKHALDFIQHFNEGKEFPPCSIDVYKIMEKVDYPRNESGDMAAVIHPNLQDQDWKPLHPGDPVFVSLDGKVIPLGGDCTVYPVFVNEAAYYEKKEAFAKTTKLTLSAKSIRSTLH
【0185】
>gi|142354273:148−1086 ハツカネズミ アスパルトアシラーゼ(Aspa),mRNA
(配列番号16)
ATGACCTCTTGTGTTGCTAAAGAACCTATTAAGAAGATTGCCATCTTTGGAGGGACTCATGGAAATGAACTGACCGGAGTGTTTCTAGTTACTCACTGGCTAAGGAATGGCACTGAAGTTCACAGAGCAGGGCTGGACGTGAAGCCATTCATTACCAATCCAAGGGCGGTGGAGAAGTGCACCAGATACATTGACTGTGACCTGAATCGTGTTTTTGACCTTGAAAATCTTAGCAAAGAGATGTCTGAAGACTTGCCATATGAAGTGAGAAGGGCTCAAGAAATAAATCATTTATTTGGTCCAAAAAATAGTGATGATGCCTATGACCTTGTTTTTGACCTTCACAACACCACTTCTAACATGGGTTGCACTCTTATTCTTGAGGATTCCAGGAATGACTTTTTAATTCAGATGTTTCACTATATTAAGACTTGCATGGCTCCATTACCCTGCTCTGTTTATCTCATTGAGCATCCTTCACTCAAATATGCAACCACTCGTTCCATTGCCAAGTATCCTGTTGGTATAGAAGTTGGTCCTCAGCCTCACGGTGTCCTTAGAGCTGATATTTTAGACCAAATGAGAAAAATGATAAAACATGCTCTTGATTTTATACAGCATTTCAATGAAGGAAAAGAATTTCCTCCCTGTTCTATTGACGTCTATAAAATAATGGAGAAAGTTGATTATCCAAGGAATGAAAGTGGAGACATGGCTGCTGTTATTCATCCTAATCTGCAGGATCAAGACTGGAAACCATTGCACCCTGGAGATCCTGTGTTTGTGTCTCTTGATGGAAAAGTTATTCCACTGGGTGGAGACTGTACCGTGTACCCAGTGTTTGTGAATGAAGCTGCATATTATGAAAAAAAAGAAGCATTTGCAAAGACAACAAAACTAACACTCAGCGCAAAAAGCATCCGCTCCACTTTGCACTAA
【0186】
>gi|48762945:149−613ヒト スーパーオキシドジスムターゼ1,可溶性(SOD1),mRNA
(配列番号17)
ATGGCGACGAAGGCCGTGTGCGTGCTGAAGGGCGACGGCCCAGTGCAGGGCATCATCAATTTCGAGCAGAAGGAAAGTAATGGACCAGTGAAGGTGTGGGGAAGCATTAAAGGACTGACTGAAGGCCTGCATGGATTCCATGTTCATGAGTTTGGAGATAATACAGCAGGCTGTACCAGTGCAGGTCCTCACTTTAATCCTCTATCCAGAAAACACGGTGGGCCAAAGGATGAAGAGAGGCATGTTGGAGACTTGGGCAATGTGACTGCTGACAAAGATGGTGTGGCCGATGTGTCTATTGAAGATTCTGTGATCTCACTCTCAGGAGACCATTGCATCATTGGCCGCACACTGGTGGTCCATGAAAAAGCAGATGACTTGGGCAAAGGTGGAAATGAAGAAAGTACAAAGACAGGAAACGCTGGAAGTCGTTTGGCTTGTGGTGTAATTGGGATCGCCCAATAA
【0187】
>gi|4507149|ref|NP_000445.1|スーパーオキシドジスムターゼ[ヒト]
(配列番号18)
MATKAVCVLKGDGPVQGIINFEQKESNGPVKVWGSIKGLTEGLHGFHVHEFGDNTAGCTSAGPHFNPLSRKHGGPKDEERHVGDLGNVTADKDGVADVSIEDSVISLSGDHCIIGRTLVVHEKADDLGKGGNEESTKTGNAGSRLACGVIGIAQ
【0188】
>gi|45597446:117−581ハツカネズミスーパーオキシドジスムターゼ1,可溶性(Sod1),mRNA
(配列番号19)
ATGGCGATGAAAGCGGTGTGCGTGCTGAAGGGCGACGGTCCGGTGCAGGGAACCATCCACTTCGAGCAGAAGGCAAGCGGTGAACCAGTTGTGTTGTCAGGACAAATTACAGGATTAACTGAAGGCCAGCATGGGTTCCACGTCCATCAGTATGGGGACAATACACAAGGCTGTACCAGTGCAGGACCTCATTTTAATCCTCACTCTAAGAAACATGGTGGCCCGGCGGATGAAGAGAGGCATGTTGGAGACCTGGGCAATGTGACTGCTGGAAAGGACGGTGTGGCCAATGTGTCCATTGAAGATCGTGTGATCTCACTCTCAGGAGAGCATTCCATCATTGGCCGTACAATGGTGGTCCATGAGAAACAAGATGACTTGGGCAAAGGTGGAAATGAAGAAAGTACAAAGACTGGAAATGCTGGGAGCCGCTTGGCCTGTGGAGTGATTGGGATTGCGCAGTAA
【0189】
>gi|45597447|ref|NP_035564.1|スーパーオキシドジスムターゼ[ハツカネズミ]
(配列番号20)
MAMKAVCVLKGDGPVQGTIHFEQKASGEPVVLSGQITGLTEGQHGFHVHQYGDNTQGCTSAGPHFNPHSKKHGGPADEERHVGDLGNVTAGKDGVANVSIEDRVISLSGEHSIIGRTMVVHEKQDDLGKGGNEESTKTGNAGSRLACGVIGIAQ
【0190】
>pAAVscCB6 EGFPmir SOD5(ダイレクト)5243bp(配列番号21)
CTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGTAGCCATGCTCTAGGAAGATCAATTCAATTCACGCGTCGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGATATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGTCGAGGCCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGCGGGAGCAAGCTCTAGCCTCGAGAATTCACGCGTGGTACCTCTAGAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGTTCGAAATCGCCACCATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAAGTAACAGGTAAGTGCGATCGCTAATGCGGGAAAGCTCTTATTCGGGTGAGATGGGCTGGGGCACCATCTGGGGACCCTGACGTGAAGTTTGTCACTGACTGGAGAACTCGGTTTGTCGTCTGTTGCGGGGGCGGCAGTTATGGCGGTGCCGTTGGGCAGTGCACCCGTACCTTTGGGAGCGCGCGCCCTCGTCGTGTCGTGACGTCACCCGTTCTGTTGGTACCTGCTGTTGACAGTGAGCGACGCAATGTGACTTCGCTGACAAAGCTGTGAAGCCACAGATGGGCTTTGTCAGCAGTCACATTGCGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGGCTCGAGAATTCAGGGTGGGGCCACCTGCCGGTAGGTGTGCGGTAGGCTTTTCTCCGTCGCAGGACGCAGGGTTCGGGCCTAGGGTAGGCTCTCCTGAATCGACAGGCGCCGGACCTCTGGCGGCCGCAACAACGCGTTCCTGACCATTCATCCTCTTTCTTTTTCCTGCAGGCTTGTGGAAGAAATGGGATCCGATCTTTTTCCCTCTGCCAAAAATTATGGGGACATCATGAAGCCCCTTGAGCATCTGACTTCTGGCTAATAAAGGAAATTTATTTTCATTGCAATAGTGTGTTGGAATTTTTTGTGTCTCTCACTCGGCCTAGGTAGATAAGTAGCATGGCGGGTTAATCATTAACTACAAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCCTTAATTAACCTAATTCACTGGCCGTCGTTTTACAACGTCGTGACTGGGAAAACCCTGGCGTTACCCAACTTAATCGCCTTGCAGCACATCCCCCTTTCGCCAGCTGGCGTAATAGCGAAGAGGCCCGCACCGATCGCCCTTCCCAACAGTTGCGCAGCCTGAATGGCGAATGGGACGCGCCCTGTAGCGGCGCATTAAGCGCGGCGGGTGTGGTGGTTACGCGCAGCGTGACCGCTACACTTGCCAGCGCCCTAGCGCCCGCTCCTTTCGCTTTCTTCCCTTCCTTTCTCGCCACGTTCGCCGGCTTTCCCCGTCAAGCTCTAAATCGGGGGCTCCCTTTAGGGTTCCGATTTAGTGCTTTACGGCACCTCGACCCCAAAAAACTTGATTAGGGTGATGGTTCACGTAGTGGGCCATCGCCCTGATAGACGGTTTTTCGCCCTTTGACGTTGGAGTCCACGTTCTTTAATAGTGGACTCTTGTTCCAAACTGGAACAACACTCAACCCTATCTCGGTCTATTCTTTTGATTTATAAGGGATTTTGCCGATTTCGGCCTATTGGTTAAAAAATGAGCTGATTTAACAAAAATTTAACGCGAATTTTAACAAAATATTAACGCTTACAATTTAGGTGGCACTTTTCGGGGAAATGTGCGCGGAACCCCTATTTGTTTATTTTTCTAAATACATTCAAATATGTATCCGCTCATGAGACAATAACCCTGATAAATGCTTCAATAATATTGAAAAAGGAAGAGTATGAGTATTCAACATTTCCGTGTCGCCCTTATTCCCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCGGTAAGATCCTTGAGAGTTTTCGCCCCGAAGAACGTTTTCCAATGATGAGCACTTTTAAAGTTCTGCTATGTGGCGCGGTATTATCCCGTATTGACGCCGGGCAAGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTCAGAATGACTTGGTTGAGTACTCACCAGTCACAGAAAAGCATCTTACGGATGGCATGACAGTAAGAGAATTATGCAGTGCTGCCATAACCATGAGTGATAACACTGCGGCCAACTTACTTCTGACAACGATCGGAGGACCGAAGGAGCTAACCGCTTTTTTGCACAACATGGGGGATCATGTAACTCGCCTTGATCGTTGGGAACCGGAGCTGAATGAAGCCATACCAAACGACGAGCGTGACACCACGATGCCTGTAGCAATGGCAACAACGTTGCGCAAACTATTAACTGGCGAACTACTTACTCTAGCTTCCCGGCAACAATTAATAGACTGGATGGAGGCGGATAAAGTTGCAGGACCACTTCTGCGCTCGGCCCTTCCGGCTGGCTGGTTTATTGCTGATAAATCTGGAGCCGGTGAGCGTGGGTCTCGCGGTATCATTGCAGCACTGGGGCCAGATGGTAAGCCCTCCCGTATCGTAGTTATCTACACGACGGGGAGTCAGGCAACTATGGATGAACGAAATAGACAGATCGCTGAGATAGGTGCCTCACTGATTAAGCATTGGTAACTGTCAGACCAAGTTTACTCATATATACTTTAGATTGATTTAAAACTTCATTTTTAATTTAAAAGGATCTAGGTGAAGATCCTTTTTGATAATCTCATGACCAAAATCCCTTAACGTGAGTTTTCGTTCCACTGAGCGTCAGACCCCGTAGAAAAGATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTTCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGGCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCGTCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCGGCCTTTTTACGGTTCCTGGCCTTTTGCTGGCCTTTTGCTCACATGTTCTTTCCTGCGTTATCCCCTGATTCTGTGGATAACCGTATTACCGCCTTTGAGTGAGCTGATACCGCTCGCCGCAGCCGAACGACCGAGCGCAGCGAGTCAGTGAGCGAGGAAGCGGAAGAGCGCCCAATACGCAAACCGCCTCTCCCCGCGCGTTGGCCGATTCATTAATGCAGCTGGCACGACAGGTTTCCCGACTGGAAAGCGGGCAGTGAGCGCAACGCAATTAATGTGAGTTAGCTCACTCATTAGGCACCCCAGGCTTTACACTTTATGCTTCCGGCTCGTATGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGCTATGACCATGATTACGCCAGATTTAATTAAGGCCTTAATTAGG
【0191】
>sod1mir1(ダイレクト)108bp(配列番号22)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACATCATCAATTTTCCGAGCAGAACTGTGAAGCCACAGATGGGTTCTGCTCGAAATTGATGATGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0192】
>sod1mir2(ダイレクト)106bp(配列番号23)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACGCATTAAAGGATCCTGACTGACTGTGAAGCCACAGATGGGTCAGTCAGTCCTTTAATGCGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0193】
>sod1mir3(ダイレクト)108bp(配列番号24)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACTGCATGGATTCTCCATGTTCATCTGTGAAGCCACAGATGGGATGAACATGGAATCCATGCAGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0194】
>sod1mir4(ダイレクト)106bp(配列番号25)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACAAGGATGAAGATCGAGGCATGCTGTGAAGCCACAGATGGGCATGCCTCTCTTCATCCTTGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0195】
>sod1mir5(ダイレクト)110bp(配列番号26)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACGCAATGTGACTTCGCTGACAAAGCTGTGAAGCCACAGATGGGCTTTGTCAGCAGTCACATTGCGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0196】
>sod1mir6(ダイレクト)108bp(配列番号27)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACCGATGTGTCTATCTTGAAGATTCTGTGAAGCCACAGATGGGAATCTTCAATAGACACATCGGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0197】
>sod1mir7(ダイレクト)106bp
(配列番号28)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACGGTGGAAATGATCAGAAAGTACTGTGAAGCCACAGATGGGTACTTTCTTCATTTCCACCGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0198】
>sod1mir8(ダイレクト)110bp(配列番号29)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACGCTGTAGAAATTCGTATCCTGATCTGTGAAGCCACAGATGGGATCAGGATACATTTCTACAGCGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0199】
>sod1mir9(ダイレクト)106bp(配列番号30)
TGCTGTTGACAGTGAGCGAGGTATTAAACTTGTCAGAATTTAGTGAAGCCACAGATGTAAATTCTGACAAGTTTAATACCCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0200】
>pAAVscCB6 EGFPmir scr(1820bp−1925bp,ダイレクト)106bp(配列番号31)
TGCTGTTGACAGTGAGCGACGATGCTCTAATCGGTTCTATCAAGTGAAGCCACAGATGTTGATAGAACCTTAGAGCATCGCTGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGG
【0201】
本発明は、本説明に記述されているかまたは図面に例示されている、構築の詳細および構成要素の配置への適用に限定されない。本発明は他の実施態様ができ、また実行したり様々な方法で実施したりすることができる。また、本明細書で使用される表現法および専門用語は説明のためであって、限定的であると考えてはならない。「含む(including)」「含む(comprising)」、または「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、およびその変形の使用は、本明細書では、その後に列挙された事項およびその等価物、ならびに追加事項を包含することを意味する。
【0202】
このように本発明の少なくとも1つの実施態様の幾つかの態様を記述してきたが、当業者には、様々な変更、改変、および改良が容易に浮かぶことは十分に理解されるであろう。そのような変更、改変、および改良は本開示内容の一部であることは意図され、また本発明の精神および範囲の中であると解釈される。したがって、前述の説明および図面は一例に過ぎない。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5A-C】
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A-C】
図13D
図14A
図14BC
図14DE
図15A-C】
図15DE
図15F
図16A
図16B
図17
図18
図19A-1】
図19A-2】
図19A-3】
図19B
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30AB
図30C-E】
図31
図32A
図32B
図33AB
図33CD
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]