(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくともいくらかのLPGをいくつかの個々の流れに分離する工程であって、いくつかの個々の流れのそれぞれはエタン、プロパンおよびブタンをそれぞれ含む、工程;および
エタン、プロパン、およびブタンの個々の流れを水蒸気分解して、エチレン、プロピレンおよびブテンをそれぞれ生成する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
石油精製操作を下流の化学プラントと統合するための従来の手段および方法の主な欠点は、そのような統合プロセスによりかなりの量の燃料がまだ製造されることである。さらに、石油精製操作を下流の化学プラントと統合するための従来の手段および方法は、原油の石油化学製品への転化率で言うと、炭素利用率が比較的低い。例えば、特許文献1には、原油の石油化学製品への転化率で50質量%未満の炭素利用率を有するプロセスが開示されている。
【0006】
本発明の課題は、石油精製操作を下流の化学プラントと統合するための手段および方法であって、燃料および燃料ガスの生産を犠牲にして、石油化学製品の生産か増加した、手段および方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、石油精製操作を下流の化学プラントと統合するための手段および方法であって、原油の石油化学製品への転化率で言うと、炭素利用率が改善された手段および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下に記載され、特許請求の範囲に特徴付けられた実施の形態を提供することによって、解決される。
【0008】
1つの態様において、本発明は、原油を石油化学製品に転化する統合方法に関する。この方法は、以下にさらに説明する、
図1〜4にも提示されている。
【0009】
それにより、本発明は、原油蒸留、水素化分解、およびオレフィン合成を含む、原油を石油化学製品に転化する方法であって、水素化分解装置供給物に水素化分解を行って、LPGおよびBTXを生成する工程、およびこの方法において生成されたLPGにオレフィン合成を行う工程を有してなり、前記水素化分解装置供給物が、
この方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上;並びに
この方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物、
を含むものである方法を提供する。
【0010】
慣習的に、C2およびC3オレフィンなどの石油化学製品は、原油に原油蒸留を行い、そのように得られた特定の原油分画に精製プロセスを行うことによって、製造される。本発明の文脈において、原油を石油化学製品に転化する統合プロセスの炭素利用率は、ナフサ、灯油および軽油の1つ以上、すなわち、C5+炭化水素に水素化分解を行って、LPGを生成し、続いて、水素化分解により生成されたLPGをオレフィンに転化することにより、同じ原油分画に直接水蒸気分解を行う場合と比べて、改善できることが分かった。ここに用いたように、「原油の石油化学製品への転化率で言う炭素利用率」または「炭素利用率」という用語は、原油に含まれる全炭素に対する、石油化学製品に含まれる炭素の質量%に関し、ここで、石油化学製品は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ブチレン−1、イソブチレン、イソプレン、シクロペンタジエン(CPTD)、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンからなる群より選択される。さらに、本発明の方法に関連する利点としては、原油分画に液体水蒸気分解(liquid steam cracking)を行うことによって、石油化学製品を製造する方法と比べた場合、減少した資本支出、より高いプロピレン対エチレンのモル比、および改善されたBTXの生産が挙げられる。
【0011】
したがって、本発明の方法は、C5+炭化水素に水素化分解を行って、LPGを生成する工程、そのように得られたLPGにオレフィン合成を行う工程を有してなる。本発明の方法において、C5+炭化水素にオレフィン合成が行われないことが好ましい。
【0012】
「前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上」という用語は、ナフサ、灯油および軽油の1つ以上が、本発明の統合方法に含まれる原油蒸留プロセス工程により生成されることを意味する。さらに、「前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物」という用語は、その精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物が、本発明の統合方法に含まれる精製ユニットプロセス工程により生成されることを意味する。
【0013】
本発明において、前記水素化分解装置供給物は、
前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上、並びに
前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物、
を含む。
【0014】
本発明に使用される水素化分解装置供給物が、
前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の2つ以上、並びに
前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物、
を含むことが好ましい。
【0015】
本発明に使用される水素化分解装置供給物が、
前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油、並びに
前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物、
を含むことがより好ましい。
【0016】
本発明に使用される水素化分解装置供給物が、
前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上、並びに
前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および精製ユニット由来中間蒸留物、
を含むことが特別に好ましい。
【0017】
本発明に使用される水素化分解装置供給物が、
前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の2つ以上、並びに
前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および精製ユニット由来中間蒸留物、
を含むことがより特別に好ましい。
【0018】
本発明に使用される水素化分解装置供給物が、
前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油、並びに
前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および精製ユニット由来中間蒸留物、
を含むことが最も好ましい。
【0019】
従来技術に、特定の原油分画および/または精製ユニット由来蒸留物などの特定の炭化水素供給物から石油化学製品を製造するためのプロセスが記載されている。
【0020】
例えば、国際公開第2006/137615A1号には、炭化水素原料から軽質オレフィン炭化水素の炭素化合物を生成するプロセスを統合することによって、C2〜C4軽質オレフィン炭化水素の生産を増加させるプロセスであって、その炭化水素原料を熱分解炉に供給して、熱分解反応を行う工程、その熱分解反応において生成された、分離された分解ガソリン、炭化水素原料および水素を反応区域に供給して、触媒の存在下で、水素化分解反応により、炭化水素原料を、芳香族炭化水素化合物およびLPGの豊富な非芳香族炭化水素に転化する工程を有してなるプロセスが記載されている。水素化分解反応の反応生成物に気液分離が行われ、そこで、エタンおよびLPGを含む、結果として生じた気体が、熱分解反応において生成された生成物を分離するのに使用されたのと同じ圧縮および分別プロセスに再循環される。国際公開第2006/137615A1号には、さらに、熱分解反応において生成された生成物を分離するのに使用されたのと同じ圧縮および分別プロセスにおいて回収されたC2〜C4パラフィンが熱分解炉に再循環していることがあることも記載されている。国際公開第2006/137615A1号のプロセスは、特に、炭化水素原料が、30〜250℃の沸点を有しており、改質ガソリン、分解ガソリン、流動接触分解ガソリン、C9+芳香族含有混合物、ナフサ、およびそれらの混合物からなる群より選択されてもよい点で特徴付けられる。したがって、国際公開第2006/137615A1号には、原油を石油化学製品に転化する統合プロセスは開示されていない。さらに、国際公開第2006/137615A1号には、炭化水素原料に液体水蒸気分解を直接行うべきであることが教示されている。それゆえ、国際公開第2006/137615A1号には、炭化水素原料にオレフィン合成を直接行わずに、炭化水素原料に水素化分解を最初に行って、LPGを生成し、そのように得られたLPGにオレフィン合成を行うことが都合よいであろうことは教示されていない。
【0021】
米国特許出願公開第2007/0062848A1号明細書には、2つ以上の縮合芳香環を有する炭化水素化合物を処理して、少なくとも1つの環を飽和させ、次いで、結果として生じた飽和環を、その化合物の芳香族部分から開裂して、C2〜4アルカン流および芳香族流を生成するプロセスが記載されている。このプロセスにおいて生成されたC2〜4アルカン流は、炭化水素分解装置からの水素が、前記2つ以上の縮合芳香環を有する化合物を飽和させ、開裂するために使用されるように、その分解装置に供給される。国際公開第2006/137615A1号には、ナフサなどの原油分画、および接触分解装置ガソリンまたは芳香環開裂ユニット由来ガソリンなどの、そのプロセスにおいて生成されたディーゼル燃料または蒸留物に水素化分解を行って、LPGおよびBTXを生成できることは開示されていない。
【0022】
米国特許出願公開第2003/0221990A1号明細書には、多段階水素化分解プロセスであって、ガスおよびナフサなどのより軽質の生成物を生成するために、ナフサ、灯油およびディーゼル燃料などの第一段からの軽質生成物を、他の供給源からのナフサ、灯油およびディーゼル燃料に加え、分別から、第二段(またはその後の段)の水素化分解装置に循環させることが記載されている。米国特許出願公開第2003/02219990A1号明細書には、オレフィン合成は開示されていない。
【0023】
米国特許第3891539号明細書には、重質炭化水素油を燃料に転化させる水素化分解プロセスが記載されている。米国特許第3891539号明細書のプロセスは、特に、多孔質水素化分解触媒の存在下で、重質炭化水素油供給物を第1の水素化分解区域において主に軽油に水素化分解する工程、およびそのように得られた軽油を第2の水素化分解区域において水素化分解してガソリンを製造する工程を含む。米国特許第3891539号明細書には、BTXまたはオレフィンなどの石油化学製品の生産に適した工程段階は開示されていない。
【0024】
米国特許第3449460号明細書には、200℃までの沸点を有する芳香族炭化水素原料をアップグレードするプロセスであって、その原料を、80℃と120℃の間で沸騰する第1の分画および120℃と200℃の間で沸騰する第2の分画に分離する工程、および第1の分画に水素化アップグレード区域の第一段とその後の段に施す工程、第2の分画を水素化区域に施す工程、および水素化された分画を水素化アップグレード区域の第二段に施す工程を含むプロセスが記載されている。米国特許第3449460号明細書には、200℃以上の沸点を有する炭化水素を転化するプロセスは開示されていない。さらに、米国特許第3449460号明細書には、オレフィン合成が開示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここに用いた「原油」という用語は、地層から抽出された未精製形態の石油を称する。この原油という用語は、水油分離および/またはガス油分離および/または脱塩および/または安定化が施されたものも含むことも理解されるであろう。アラビアン・ヘビー原油、アラビアン・ライト原油、他の湾岸国の原油、ブレント原油、北海原油、北および西アフリカ産原油、インドネシア産原油、中国産原油、およびそれらの混合物だけでなく、シェール油、タールサンド、コンデンセートおよびバイオ油を含むどんな原油も、本発明の方法のための原料物質として適している。本発明の方法への供給物として使用される原油が、ASTM D287標準により測定して、20°APIを超えるAPI比重を有する従来の石油であることが好ましい。本発明の方法に使用される原油が、30°APIを超えるAPI比重を有する軽質原油であることがより好ましい。本発明の方法に使用される原油がアラビアン・ライト原油を含むことが最も好ましい。アラビアン・ライト原油は、典型的に、32〜36°APIの間のAPI比重および1.5〜4.5質量%の間の硫黄含有量を有する。
【0027】
ここに用いた石油化学製品("petrochemicals"および"petrochemical products")という用語は、燃料として使用されない、原油に由来する化学製品に関する。石油化学製品は、化学製品および高分子を製造するための基礎原料として使用されるオレフィン類および芳香族化合物を含む。高価値の石油化学製品としては、オレフィン類および芳香族化合物が挙げられる。典型的な高価値のオレフィンとしては、以下に限られないが、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ブチレン−1、イソブチレン、イソプレン、シクロペンタジエンおよびスチレンが挙げられる。典型的な高価値の芳香族化合物としては、以下に限られないが、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンが挙げられる。
【0028】
ここに用いた「燃料」という用語は、エネルギー担体として使用される原油に由来する生成物に関する。明確な化合物の一群である石油化学製品とは異なり、燃料は、典型的に、様々な炭化水素化合物の複合混合物である。石油精製所で通常製造される燃料としては、以下に限られないが、ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、重油燃料、および石油コークスが挙げられる。
【0029】
ここに用いた「原油蒸留ユニットにより生じた気体」または「気体分画」という用語は、周囲温度で気体である原油蒸留プロセスにおいて得られる分画を称する。したがって、原油蒸留に由来する「気体分画」は、主にC1〜C4炭化水素を含み、硫化水素および二酸化炭素などの不純物をさらに含むことがある。本明細書において、原油蒸留により得られる他の石油分画は、「ナフサ」、「灯油」、「軽油」および「残油」と称される。ナフサ、灯油、軽油および残油という用語は、ここでは、石油精製プロセスの分野において一般的な通義を有するものとして使用される;Alfke et al. (2007) Oil Refinin, Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry and Speight (2005) Petroleum Refinery Processes, Krik-Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyを参照のこと。この点に関して、原油に含まれる炭化水素化合物の複合混合物および原油蒸留プロセスに対する技術的な限界のために異なる原油蒸留分画の間には重複があるであろうことを留意のこと。ここに用いた「ナフサ」という用語は、好ましくは、約20〜200℃、より好ましくは30〜190℃の沸点範囲を有する、原油蒸留により得られる石油分画に関する。軽質ナフサは、好ましくは、約20〜100℃、より好ましくは約30〜90℃の沸点範囲を有する分画である。重質ナフサは、好ましくは、約80〜200℃、より好ましくは約90〜190℃の沸点範囲を有する。ここに用いた「灯油」という用語は、好ましくは、約180〜270℃、より好ましくは約190〜260℃の沸点範囲を有する、原油蒸留により得られる石油分画に関する。ここに用いた「軽油」という用語は、好ましくは、約250〜360℃、より好ましくは約260〜350℃の沸点範囲を有する、原油蒸留により得られる石油分画に関する。ここに用いた「残油」という用語は、好ましくは、約340℃超、より好ましくは約350℃超の沸点を有する、原油蒸留により得られる石油分画に関する。
【0030】
ここに用いたように、「精製ユニット」という用語は、原油の石油化学製品および燃料への化成のための石油化学プラントコンビナートの一部に関する。この点に関して、水蒸気分解装置などの、オレフィン合成のためのユニットも、「精製ユニット」を表すものと考えられることに留意のこと。本明細書において、精製ユニットにより生成されるまたは精製ユニット運転において生成される様々な炭化水素流は:精製ユニット由来気体、精製ユニット由来軽質蒸留物、精製ユニット由来中間蒸留物、および精製ユニット由来重質蒸留物と称される。したがって、精製ユニット由来蒸留物は、原油分画と対照的に、化成が行われ、続いて、分離、例えば、蒸留または抽出が行われる結果として得られる。「精製ユニット由来気体」という用語は、周囲温度で気体である、精製ユニットにおいて生成される生成物の分画に関する。したがって、精製ユニット由来気体流は、LPGおよびメタンなどの気体化合物を含むことがある。精製ユニット由来気体流に含まれる他の成分は、水素および硫化水素であることがある。軽質蒸留物、中間蒸留物および重質蒸留物という用語は、ここでは、石油精製プロセスの分野における一般的な通義を有するものとして使用される;Speight, J.G. (2005) loc. Cit.参照のこと。この点に関して、精製ユニットの運転により生成される生成物流中に含まれる炭化水素化合物の複合混合物および様々な蒸留分画を分離するために使用される蒸留プロセスに対する技術的な限界のために、それらの異なる分画の間には重複があるであろうことに留意のこと。精製ユニット由来軽質蒸留物は、好ましくは、約20〜200℃、より好ましくは約30〜190℃の沸点範囲を有する、精製ユニットプロセスにおいて得られる炭化水素蒸留物である。「軽質蒸留物」は、しばしば、芳香環を1つ有する芳香族炭化水素が比較的豊富である。精製ユニット由来中間蒸留物は、好ましくは、約180〜360℃、より好ましくは約190〜350℃の沸点範囲を有する、精製ユニットプロセスにおいて得られる炭化水素蒸留物である。「中間蒸留物」は、芳香環を2つ有する芳香族炭化水素が比較的豊富である。精製ユニット由来重質蒸留物は、好ましくは、約340℃超、より好ましくは約350℃超の沸点を有する、精製ユニットプロセスにおいて得られる炭化水素蒸留物である。「重質蒸留物」は、縮合芳香環を有する炭化水素が比較的豊富である。
【0031】
「アルカン」という用語は、ここでは、既定の意味を有するものとして使用され、したがって、一般式C
nH
2n+2を有し、それゆえ、水素原子および飽和炭素原子から完全になる非環式の分岐または未分岐炭化水素を表す;例えば、IUPAC. Compendium of Chemical Terminology, 2
nd ed. (1997)を参照のこと。したがって、「アルカン」という用語は、未分岐アルカン(「直鎖パラフィン」または「n−パラフィン」または「n−アルカン」)および分岐アルカン(「イソパラフィン」または「イソアルカン」)を表すが、ナフテン(シクロアルカン)は除外する。
【0032】
「芳香族炭化水素」または「芳香族化合物」という用語は、当該技術分野で非常によく知られている。したがって、「芳香族炭化水素」という用語は、仮想的局在構造(ケクレ構造)の安定性より著しく大きい安定性(非局在化のために)を有する環状共役炭化水素に関する。所定の炭化水素の芳香族性を決定するための最も一般的な方法は、1H NMRスペクトルにおけるジアトロピシティー(diatropicity)、例えば、ベンゼン環のプロトンについて7.2から7.3ppmの範囲にある化学シフトの存在の観察である。
【0033】
「ナフテン炭化水素」または「ナフテン」もしくは「シクロアルカン」という用語は、ここでは、既定の意味を有するものとして使用され、したがって、飽和環状炭化水素を表す。
【0034】
「オレフィン」という用語は、ここでは、既定の意味を有するものとして使用される。したがって、オレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素化合物に関する。「オレフィン」という用語が、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ブチレン−1、イソブチレン、イソプレンおよびシクロペンタジエンの2つ以上を含む混合物に関することが好ましい。
【0035】
ここに用いた「LPG」という用語は、「液化石油ガス」という用語の既定の頭字語を指す。LGPは、概して、C2〜C4炭化水素のブレンド、すなわち、C2、C3、およびC4炭化水素の混合物からなる。
【0036】
本発明の方法において生成される石油化学製品の1つはBTXである。ここに用いた「BTX」という用語は、ベンゼン、トルエンおよびキシレンの混合物に関する。本発明の方法において生成される製品が、エチルベンゼンなどの有用な芳香族炭化水素をさらに含むことが好ましい。したがって、本発明が、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンの混合物(「BTXE」)を生成する方法を提供することが好ましい。生成される製品は、異なる芳香族炭化水素の物理的混合物であっても、異なる精製生成物流を提供するために、例えば、蒸留による、分離がさらに直接施されてもよい。そのような精製生成物流は、ベンゼン生成物流、トルエン生成物流、キシレン生成物流および/またはエチルベンゼン生成物流を含んでよい。
【0037】
ここに用いたように、「#」が正の整数である、「C#炭化水素」という用語は、#個の炭素原子を有する全ての炭化水素を記述することを意味する。さらに、「C#+炭化水素」という用語は、#以上の炭素原子を有する全ての炭化水素分子を記述することを意味する。したがって、「C5+炭化水素」という用語は、5以上の炭素原子を有する炭化水素の混合物を記述することを意味する。したがって、「C5+アルカン」という用語は、5以上の炭素原子を有するアルカンに関する。
【0038】
本発明の方法は原油蒸留を含み、この原油蒸留は、沸点の差に基づいて異なる原油分画を分離することを含む。ここに用いたように、「原油蒸留ユニット(crude distillation unitまたはcrude oil distillation unit)」という用語は、原油を分別蒸留により分画に分離するために使用される分留塔に関する;Alfke et al. (2007) loc.cit.を参照のこと。原油が、沸点のより高い成分(常圧残油または「残油(resid)」から軽油およびより軽質な分画を分離するために常圧蒸留ユニットにおいて処理されることが好ましい。本発明において、残油のさらなる分別のために残油を真空蒸留ユニットに通過させる必要はなく、残油を単一分画として処理することが可能である。しかしながら、比較的重質の原油供給物の場合、残油を真空軽油分画および減圧残油分画にさらに分離するために、真空蒸留ユニットを使用して、残油をさらに分別することが都合良いであろう。真空蒸留が使用される場合、真空軽油分画および減圧残油分画は、続く精製ユニットにおいて別々に処理されてもよい。例えば、具体的に言うと、減圧残油分画は、さらに処理される前に、溶媒脱歴に施されてもよい。ここに用いた「真空軽油」という用語は、好ましくは約340〜560℃、より好ましくは約350〜550℃の沸点範囲を有する、原油蒸留により得られる石油分画に関する。ここに用いた「減圧残油」という用語は、好ましくは約540℃超、より好ましくは約550℃超の沸点を有する、原油蒸留により得られる石油分画に関する。
【0039】
ここに用いたように、「水素化分解ユニット」または「水素化分解装置」という用語は、水素化分解プロセス、すなわち、高い水素分圧の存在により支援される触媒分解プロセスがその中で行われる精製ユニットに関する;例えば、Alfke et al. (2007) loc.citを参照のこと。このプロセスの生成物は、飽和炭化水素、ナフテン(シクロアルカン)炭化水素および、温度、圧力、空間速度および触媒活性などの反応条件に応じて、BTXを含む芳香族炭化水素である。水素化分解に使用される工程条件は、一般に、200〜600℃の工程温度、0.2〜20MPaの高圧、0.1〜10h
-1の間の空間速度を含む。水素化分解反応は二機能性機構により進み、この機構は酸性機能と水素化機能を必要とし、酸機能は、分解と異性化を与え、供給物中に含まれる炭化水素化合物に含まれる炭素−炭素結合の破壊および/または再配置をもたらす。水素化分解プロセスに使用される多くの触媒は、様々な遷移金属、または金属硫化物をアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、マグネシアおよびゼオライトなどの固体担体と組み合わせることによって形成される。
【0040】
本発明の方法に使用される水素化分解装置供給物が、その方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油、並びにその方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物を含むことが好ましい。
【0041】
オレフィン合成が行われる、前記方法において生成されたLPGが、原油蒸留に由来する気体分画に含まれるLPG、および精製ユニット由来気体に含まれるLPGを含むことが好ましい。
【0042】
本発明の方法が、精製ユニット由来軽質蒸留物およびナフサに水素化分解を行う工程、および精製ユニット由来中間蒸留物と、灯油および軽油からなる群より選択される1つ以上とに芳香環開環を行う工程を含むことが好ましい。
【0043】
特別に、精製ユニット由来中間蒸留物と、灯油および軽油からなる群より選択される1つ以上とに芳香環開環を行うことによって、本発明の方法の炭素利用率をさらに改善することができる。芳香環開環により生成された軽質蒸留物がナフサと組み合わされ、水素化分解に施されることが好ましい。
【0044】
「芳香環開環ユニット」は、芳香環開環プロセスがその中で行われる精製ユニットを称する。芳香族の開環は、灯油における沸点およびLPGと、特定のプロセスおよび/または工程条件に応じて、軽質蒸留物(ARO由来ガソリン)とを生成するための軽油沸点範囲を有する芳香族炭化水素が比較的豊富な供給物を転化するのに特に適した特定の水素化分解プロセスである。そのような芳香環開環プロセス(AROプロセス)は、例えば、米国特許第3256176号および同第4789457号の各明細書に記載されている。そのようなプロセスは、ただ1つの固定床触媒反応装置、または未転化材料から所望の生成物を分離するための1つ以上の分別ユニットと一緒に直列になった2つのそのような反応装置のいずれからなってもよく、また反応装置の一方または両方に未転化材料を再循環させる能力も含んでよい。反応装置は、200〜600℃、好ましくは300〜400℃の温度、5〜20質量%の水素(炭化水素原料に対して)と共に、3〜35MPa、好ましくは5〜20MPaの圧力で運転されることがあり、その水素は、水素化−脱水素化および環開裂の両方に活性である二元機能触媒の存在下で、炭化水素原料と並流で流れても、または炭化水素原料の流動方向と向流に流れてもよく、その芳香環飽和および環開裂が行われることがある。そのようなプロセスに使用される触媒は、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカおよびゼオライトなどの酸性固体上に担持された金属形態または金属硫化物形態の、Pd、Rh、Ru、Ir、Os、Cu、Co、Ni、Pt、Fe、Zn、Ga、In、Mo、WおよびVからなる群より選択される元素を1つ以上含む。この点に関して、ここに用いた「上に担持された」という用語は、1つ以上の元素を触媒担体と併せ持つ触媒を提供するためのどの従来の様式も含む。触媒組成、作動温度、作動空間速度および/または水素分圧のいずれか1つまたは組合せを適用することによって、そのプロセスを、完全な飽和とそれに続く全環の開裂の方向に、または1つの芳香環を不飽和に維持し、その後、その1つを除いて全ての環の開裂の方向に導くことができる。後者の場合、そのAROプロセスにより、1つの芳香環および/またはナフテン環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物(「AROガソリン」)が生成される。本発明の文脈において、1つの芳香環またはナフテン環を完全なままにし、それゆえ、1つの芳香環またはナフテン環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物を生成するために最適化された芳香環開環プロセスを使用することが好ましい。さらなる芳香環開環プロセス(AROプロセス)が、米国特許第7513988号明細書に記載されている。したがって、そのAROプロセスは、芳香族水素化触媒の存在下での、100〜500℃、好ましくは200〜500℃、より好ましくは300〜500℃の温度、5〜30質量%、好ましくは10〜30質量%の水素(炭化水素原料に対して)と共に2〜10MPaの圧力での芳香環飽和、および環開裂触媒の存在下での、200〜600℃、好ましくは300〜400℃の温度、5〜20質量%の水素(炭化水素原料に対して)と共に1〜12MPaの圧力での環開裂を含むことがあり、その芳香環飽和および環開裂は、1つの反応装置または2つの連続した反応装置において行われてもよい。芳香族水素化触媒は、耐火性担体、典型的にアルミナ上のNi、WおよびMoの混合物を含む触媒などの従来の水素化/水素化処理触媒であってよい。環開裂触媒は、遷移金属または金属硫化物成分および担体を含む。その触媒が、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカおよびゼオライトなどの酸性固体上に担持された金属形態または金属硫化物形態の、Pd、Rh、Ru、Ir、Os、Cu、Co、Ni、Pt、Fe、Zn、Ga、In、Mo、WおよびVからなる群より選択される元素を1つ以上含むことが好ましい。触媒組成、作動温度、作動空間速度および/または水素分圧のいずれか1つまたは組合せを適用することによって、そのプロセスを、完全な飽和とそれに続く全環の開裂の方向に、または1つの芳香環を不飽和に維持し、その後、その1つを除いて全ての環の開裂の方向に導くことができる。後者の場合、そのAROプロセスにより、1つの芳香環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物(「AROガソリン」)が生成される。本発明の文脈において、1つの芳香環を完全なままにし、それゆえ、1つの芳香環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物を生成するために最適化された芳香環開環プロセスを使用することが好ましい。
【0045】
本発明の方法が:
(a) 原油に原油蒸留を行って、気体分画、ナフサ、灯油、軽油および残油を生成する工程、
(b) 残油に残油アップグレードを行って、LPG、軽質蒸留物および中間蒸留物を生成する工程、
(c) 残油アップグレードにより生成された中間蒸留物と、灯油および軽油からなる群より選択される1つ以上とに芳香環開環を行って、LPGおよび軽質蒸留物を生成する工程、
(d) 残油アップグレードにより生成された軽質蒸留物、芳香環開環により生成された軽質蒸留物、およびナフサに水素化分解を行って、LPGおよびBTXを生成する工程、および
(e) この統合方法において生成されたLPGにオレフィン合成を行う工程、
を含むことが好ましい。
【0046】
特別に、残油に残油アップグレードを行って、LPG、軽質蒸留物および中間蒸留物を生成し、軽質蒸留物および中間蒸留物に水素化分解を行って、最終的にLPGおよびBTXを生成することにより、本発明の方法の炭素利用率をさらに改善することができる。
【0047】
ここに用いたように、「残油アップグレード(upgrading)ユニット」という用語は、残油をアップグレードするプロセスであって、残油中に含まれる炭化水素および/または精製ユニット由来重質蒸留物を沸点のより低い炭化水素に分解するプロセスに適した精製ユニットを称する;Alfke et al. (2007) loc.cit.参照のこと。工業的に利用できる技術としては、重質油熱分解装置、Fluid Coker(商標)、残油FCC、Flexicoker、ビスブレーカ、または接触ハイドロビスブレーカが挙げられる。残油アップグレードユニットがコーキングユニットまたは残油水素化分解装置であることが好ましいであろう。「コーキングユニット」は、残油を、LPG、軽質蒸留物、中間蒸留物、重質蒸留物および石油コークスに転化させる石油精製処理ユニットである。このプロセスは、残留オイル供給物中の長鎖炭化水素を鎖長がより短い分子に熱分解する。
【0048】
残油アップグレードへの供給物が前記方法において生成された残油および重質蒸留物を含むことが好ましい。そのような重質蒸留物は、カーボンブラックオイルおよび/または分解蒸留物などの、水蒸気分解装置により生成された重質蒸留物を含んでもよいが、残油アップグレードにより生成された重質蒸留物(消失するまで再循環してもよい)も含んでよい。それでも、比較的少量のピッチ流をこのプロセスからパージしてもよい。
【0049】
本発明の方法に使用される残油アップグレードが残油水素化分解であることが好ましい。
【0050】
残油アップグレードに他の手段よりも残油水素化分解を選択することにより、本発明の方法の炭素利用率をさらに改善することができる。
【0051】
「残油水素化分解装置」は、残油水素化分解のプロセスであって、残油を、LPG、軽質蒸留物、中間蒸留物および重質蒸留物に転化するプロセスに適した石油精製処理ユニットである。残油水素化分解プロセスは当該技術分野で周知である;Alfke et al. (2007) loc.cit.参照のこと。したがって、固定床(トリクルベッド)反応装置型、沸騰床反応装置型およびスラリー(同伴流)反応装置型である、3つの基本的な反応装置タイプが工業的水素化分解に用いられる。固定床型残油水素化分解プロセスは、確立されており、常圧残油および減圧残油などの汚染流を処理して、軽質蒸留物および中間蒸留物を生成することができ、これらをさらに処理して、オレフィン類および芳香族化合物を生成することができる。固定床型残油水素化分解プロセスに使用される触媒は、通常、耐火性担体、典型的にアルミナ上のCo、MoおよびNiからなる群より選択される元素を1つ以上含む。高度に汚染された供給物の場合、固定床型残油水素化分解プロセスにおける触媒は、ある程度まで補充されてもよい(移動床)。その工程条件は、一般に、350〜450℃の温度および2〜20MPaのゲージ圧を含む。沸騰床型残油水素化分解プロセスも確立されており、特に、触媒が連続的に交換されて、高度に汚染された供給物の処理を可能にするという点で特徴付けられる。沸騰床型残油水素化分解プロセスに使用される触媒は、通常、耐火性担体、典型的にアルミナ上のCo、MoおよびNiからなる群より選択される元素を1つ以上含む。使用される触媒の小さい粒径により、その活性が効果的に増加する(固定床用途に適した形態にある類似の配合物を参照のこと)。これらの2つの要因により、沸騰床型水素化分解プロセスは、固定床型水素化分解ユニットと比べた場合、軽質生成物の著しく高い収率および高い水素添加レベルを達成する。その工程条件は、一般に、350〜450℃の温度および5〜25MPaのゲージ圧を含む。スラリー型残油水素化分解プロセスは、高度に汚染された残油供給物からの高収率の蒸留可能な生成物を達成するための熱分解および接触水素化の組合せを表す。第1の液体段階において、熱分解反応および水素化分解反応は、400〜500℃の温度および15〜25MPaのゲージ圧を含む工程条件で、流動床内で同時に生じる。残油、水素および触媒は、反応装置の底部で導入され、流動床が形成される。その高さは、流量および所望の転化率に依存する。これらのプロセスにおいて、触媒は連続的に交換されて、作動サイクルを通じて一貫した転化レベルを達成する。触媒は、反応装置内においてその場で生成される担持されていない金属硫化物であってもよい。実際には、沸騰床型反応装置およびスラリー相型反応装置に関連する追加の費用は、真空軽油などの高度に汚染された重質流の高い転化率が必要とされる場合しか、正当化されない。これらの状況において、非常に大きい分子の限られた転化率および触媒の失活に関連する難点のために、固定床プロセスが本発明の方法において比較的魅力に欠けたものとなる。したがって、沸騰床およびスラリーの反応装置のタイプが、固定床型水素化分解と比べた場合、軽質蒸留物および中間蒸留物の改善された収率のために好ましい。ここに用いたように、「残油アップグレード液体流出物」という用語は、メタンおよびLPGなどの気体生成物および残油アップグレードにより生成される重質蒸留物を除く、残油アップグレードにより生成される生成物に関する。残油アップグレードにより生成される重質蒸留物が、消滅するまで、残油アップグレードユニットに再循環されることが好ましい。しかしながら、比較的少量のピッチ流をパージすることが必要であるかもしれない。炭素利用率の観点から、残油水素化分解装置がコーキングユニットよりも好ましい。何故ならば、後者は、高価値の石油化学製品にアップグレードすることができない相当な量の石油コークスを生成するからである。統合プロセスの水素バランスの観点から、残油水素化分解装置よりもコーキングユニットを選択することが好ましいことがある。何故ならば、後者は、相当な量の水素を消費するからである。また、資本支出および/または操業コストに鑑みて、残油水素化分解装置よりもコーキングユニットを選択することが都合良いこともある。
【0052】
残油を真空軽油分画および減圧残油分画に分離するために、真空蒸留ユニットを使用して、残油をさらに分別する場合、真空軽油に真空軽油水素化分解を行い、減圧残油に減圧残油水素化分解を行うことが好ましく、ここで、減圧残油水素化分解により生成される重質蒸留物には、続いて真空軽油水素化分解が行われる。本発明が真空蒸留を含む場合、そのように得られた真空軽油を、芳香族化合物が比較的豊富であり、灯油の沸点および軽油の沸点範囲を有する1種類以上の他の炭化水素流と共に、芳香環開環ユニットに供給することが好ましい。芳香族化合物が比較的豊富であり、灯油の沸点および軽油の沸点範囲を有するそのような炭化水素流は、灯油、軽油および中間蒸留物からなる群より選択してもよい。減圧残油水素化分解が、先に定義されたスラリー残油水素化分解であることが好ましい。
【0053】
前記方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の合計の好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、さらにより好ましくは少なくとも70質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、より特別に好ましくは少なくとも90質量%、最も好ましくは少なくとも95質量%に水素化分解が行われる。したがって、本発明の方法において、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%未満、さらにより好ましくは30質量%未満、特に好ましくは20質量%未満、より特別に好ましくは10質量%未満、最も好ましくは5質量%未満の原油が燃料に転化される。
【0054】
ここに用いたように、「オレフィン合成ユニット」という用語は、アルカンのオレフィンへの転化プロセスが行われるユニットに関する。この用語は、以下に限られないが、熱分解または水蒸気分解などの非触媒プロセス、プロパン脱水素化またはブタン脱水素化などの触媒プロセス、および触媒水蒸気分解などの前者2つの組合せを含む、炭化水素のオレフィンへの転化のためのどのプロセスも含む。
【0055】
オレフィン合成のための非常に一般的なプロセスは、「水蒸気分解」を含む。ここに用いたように、「水蒸気分解」という用語は、飽和炭化水素が、エチレンおよびプロピレンなどのより小さい、しばしば不飽和の炭化水素に分解される石油化学プロセスに関する。水蒸気分解において、エタン、プロパンおよびブタンなどのガス状炭化水素供給物、またはそれらの混合物(気体熱分解)、もしくはナフサまたは軽油などの液体炭化水素供給物(液体熱分解)は、水蒸気で希釈され、酸素の不在下で炉内において手短に加熱される。典型的に、反応温度は750〜900℃であり、その反応は、非常に手短に、通常は50〜1000ミリ秒の滞留時間でしか行われない。好ましくは、比較的低い工程圧力は、大気圧から175kPaのゲージ圧であるように選択されるべきである。最適条件での分解を確実にするために、炭化水素化合物であるエタン、プロパンおよびブタンがそれぞれの専用の炉内で別々に分解されることが好ましい。分解温度に達した後、気体が急冷されて、移送ラインの熱交換器内で、または冷却油を使用した急冷ヘッダの内部で反応を停止させる。水蒸気分解により、反応装置の壁上に、炭素の一形態であるコークスがゆっくりと堆積する。デコーキングには、炉をプロセスから隔離する必要があり、次いで、水蒸気流または水蒸気/空気混合物を炉のコイルに通過させる。これにより、硬い固体の炭素層が一酸化炭素と二酸化炭素に転化される。この反応が一旦完了したら、炉をラインに戻す。水蒸気分解により生成される生成物は、供給物の組成、炭化水素対水蒸気の比率および分解温度と炉内の滞留時間に依存する。エタン、プロパン、ブタンまたは軽質ナフサなどの軽質炭化水素供給物により、エチレン、プロピレン、およびブタジエンを含む、より軽質の高分子等級のオレフィンが多い生成物流が生じる。より重質の炭化水素(全範囲および重質ナフサおよび軽油分画)も、芳香族炭化水素の多い生成物を生じる。
【0056】
水蒸気分解により生じた様々な炭化水素化合物を分離するために、その分解ガスは分別ユニットに施される。そのような分別ユニットは、当該技術分野で周知であり、重質蒸留物(「カーボンブラックオイル」)および中間蒸留物(「分解蒸留物」)が軽質蒸留物および気体から分離される、いわゆるガソリン分留装置を含むことがある。それに続く随意的な急冷塔において、水蒸気分解により生成される軽質蒸留物(「分解ガソリン」または「パイガス」)のほとんどは、軽質蒸留物を凝縮することによって、気体から分離されるであろう。それに続いて、気体に多数の圧縮段階が施されてもよく、ここで、軽質蒸留物の残りが、圧縮段階の間で気体から分離される。酸性気体(CO
2およびH
2S)も圧縮段階の間で除去されるであろう。続く工程において、熱分解により生成された気体は、カスケード冷凍システムの各段階で、気相中にほぼ水素しか残っていない状態に部分的に凝縮されるであろう。様々な炭化水素化合物は、続いて、単純な蒸留により分離してよく、ここで、エチレン、プロピレンおよびC4オレフィンが、水蒸気分解により生成される最も重要な高価値の化学物質である。水蒸気分解により生成されるメタンは、一般に、燃料ガスとして使用され、水素は、分離され、水素化分解プロセスなどの、水素を消費するプロセスに再循環されてもよい。水蒸気分解により生成されるアセチレンは、エチレンに選択的に水素化されることが好ましい。分解ガス中に含まれるアルカンを、オレフィン合成のためのプロセスに再循環してもよい。本発明の方法に利用されるオレフィン合成が、ガス改質(C2〜C4炭化水素の熱分解)およびC3〜C4炭化水素の脱水素化からなる群より選択されることが好ましい。したがって、本発明の方法が、液体分解(liquid cracking)(C5+炭化水素の熱分解)を含まないことが好ましい。本発明の文脈において、原油を石油化学製品に転化するための統合方法の炭素利用率が、同じ原油分画に液体分解が直接行われる方法と比べて、ナフサ、灯油および軽油の1つ以上をLPGに転化し、その後、そのLPGにオレフィン合成を行うことによって、改善できることが分かった。
【0057】
したがって、本発明は、原油蒸留、水素化分解、およびオレフィン合成を含む、原油を石油化学製品に転化する統合方法であって、水素化分解装置供給物に水素化分解を行って、LPGおよびBTXを生成する工程、およびこの方法において生成されたLPGにオレフィン合成を行う工程を有してなり、前記水素化分解装置供給物が、
この方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上;並びに
この方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物、
を含み、
オレフィン合成が、エタンの熱分解、プロパンの熱分解、ブタンの熱分解、プロパンの脱水素化およびブタンの脱水素化からなる群より選択されるものである統合方法を提供する。
【0058】
オレフィン合成が、エタンの熱分解およびプロパンの脱水素化を含むことが好ましい。前記方法における原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上;並びに前記方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物をLPGに転化することにより、LPGに含まれるプロパンにプロパン脱水素化を行って、プロピレンと水素を生成することができる。これは、熱分解と比べて、オレフィンを製造するための炭素利用率がずっと高い方法である。何故ならば、プロパン脱水素化プロセスにおいては、メタンが実質的に生じないからである。
【0059】
プロパン脱水素化を含むオレフィン合成を選択することにより、前記統合方法の全体の水素バランスを改善することができる。脱水素化プロセスを前記統合方法に統合することのさらに別の利点は、高純度の水素流が生じることである。その水素流は、費用のかかる精製を行わずに水素化分解装置/芳香環開環への供給物として使用することができる。
【0060】
ここに用いた「プロパン脱水素化ユニット」という用語は、プロパン供給流が、プロピレンおよび水素を含む生成物に転化される石油化学プロセスユニットに関する。したがって、「ブタン脱水素化ユニット」という用語は、ブタン供給流をC4オレフィンに転化するためのプロセスユニットに関する。プロパンおよびブタンなどの低級アルカンの脱水素化のためのプロセスは共に、低級アルカン脱水素化プロセスと記載される。低級アルカンの脱水素化のためのプロセスは、当該技術分野に周知であり、酸化的脱水素化プロセスおよび非酸化的脱水素化プロセスを含む。酸化的脱水素化プロセスにおいて、プロセス加熱は、供給物中の低級アルカンの部分酸化により与えられる。本発明の文脈において好ましい、非酸化的脱水素化プロセスにおいて、吸熱脱水素化反応のためのプロセス加熱は、燃料ガスの燃焼により得られる高温燃焼排ガスまたは水蒸気などの外部熱源により与えられる。非酸化的脱水素化プロセスにおいて、その工程条件は、一般に、540〜700℃の温度および25〜500kPaの絶対圧を含む。例えば、このUOP Oleflexプロセスは、移動床反応装置内においてアルミナ上に担持された白金含有触媒の存在下で、プロパンの脱水素化によりプロピレンを、(イソ)ブタンの脱水素化により(イソ)ブチレン(またはその混合物)を形成することを可能にする;例えば、米国特許第4827072号明細書を参照のこと。このUhde STARプロセスは、亜鉛−アルミナスピネル上に担持された促進白金触媒の存在下で、プロパンの脱水素化によりプロピレンを、またはブタンの脱水素化によりブチレンを形成することを可能にする;例えば、米国特許第4926005号明細書を参照のこと。このSTARプロセスは、オキシ脱水素化の原理を適用することによって、最近改良された。反応装置の補助断熱区域において、中間生成物からの水素の一部が、添加酸素により選択的に転化されて、水を形成する。これにより、熱力学的平衡がより高い転化率にシフトし、より高い収率が達成される。吸熱脱水素化反応に必要な外部熱も、発熱水素転化によりある程度供給される。Lummus Catofinプロセスは、循環基準で作動する数多くの固定床反応装置を利用する。その触媒は、18〜20質量%のクロムが含浸された活性化アルミナである;例えば、欧州特許出願公開第0192059A1号および英国特許出願公開第2162082A号の各明細書を参照のこと。このCatofinプロセスには、このプロセスがロバスト性であり、白金触媒を汚染するであろう不純物を取り扱うことができるという利点がある。ブタンの脱水素化プロセスにより生成される生成物は、ブタン供給物の性質および使用されるブタン脱水素化プロセスに依存する。Catofinプロセスは、ブタンの脱水素化により、ブチレンを形成することも可能にする;例えば、米国特許第7622623号明細書を参照のこと。
【0061】
前記オレフィン合成がブタンの脱水素化をさらに含むことが好ましい。LPGに含まれるイソブタンまたはブタン−1などのブタン種の1つ以上にブタン脱水素化を行って、ブチレンおよび水素を生成することができる。これは、熱分解と比べて、オレフィンを製造するための炭素利用率がずっと高い方法である。何故ならば、ブタン脱水素化プロセスにおいては、メタンが実質的に生じないからである。
【0062】
本発明の方法がプロパンの脱水素化とブタンの脱水素化の両方を含む場合、プロパンとブタンの混合物を、複合プロパン/ブタン脱水素化プロセスの供給物として使用してもよい。
【0063】
したがって、本発明の方法において、LPGを調製するための水素化分解の、プロパンおよび/またはブタンの脱水素化との組合せが特に好ましい。何故ならば、水素化分解するだけで、原油のかなりの部分がプロパンおよびブタンに転化され、次いで、これらは、高価値の化学物質であるプロピレンおよびブチレンに非常に効率的に転化できるからである。
【0064】
したがって、本発明は、原油蒸留、水素化分解、およびオレフィン合成を含む、原油を石油化学製品に転化する統合方法であって、水素化分解装置供給物に水素化分解を行って、LPGおよびBTXを生成する工程、およびこの方法において生成されたLPGにオレフィン合成を行う工程を有してなり、前記水素化分解装置供給物が、
この方法において原油蒸留により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上;並びに
この方法において生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物、
を含み、
オレフィン合成が、エタンの熱分解およびプロパンの脱水素化を含むものである統合方法を提供する。
【0065】
原油蒸留ユニットにより生成される気体分画および精製ユニット由来気体に気体分離を行って、異なる成分を分離する、例えば、LPGからメタンを分離することが好ましい。
【0066】
ここに用いたように、「気体分離ユニット」という用語は、原油蒸留ユニットにより生成される気体および/または精製ユニット由来の気体中に含まれる様々な化合物を分離する精製ユニットに関する。気体分離ユニットにおいて別個の流れに分離されるであろう化合物は、エタン、プロパン、ブタン、水素および主にメタンを含む燃料ガスを含む。本発明の文脈において、その気体の分離に適したどの従来の方法を使用してもよい。したがって、その気体は、多数の圧縮段階に施されることがあり、ここで、CO
2およびH
2Sなどの酸性気体が圧縮段階の間で除去されるであろう。それに続く工程において、生成された気体は、カスケード冷凍システムの各段階に亘り、気相中にほぼ水素しか残っていない状態まで部分的に凝縮されるであろう。その後、様々な炭化水素化合物が蒸留により分離されるであろう。
【0067】
本発明の方法が、ナフサに第1の水素化分解プロセスを行って、LPGおよびBTXを生成する工程、および精製ユニット由来軽質蒸留物の少なくとも一部に異なる第2の水素化分解プロセスを行って、LPGおよびBTXを生成する工程をさらに含むことが好ましい。
【0068】
ナフサの組成は、一般に、特に芳香族化合物の含有量に関して、精製ユニット由来軽質蒸留物の組成とは非常に異なる。ナフサを第1の水素化分解装置(「供給物水素化分解装置」)に供給し、精製ユニット由来軽質蒸留物の少なくとも一部、好ましくは芳香族化合物の豊富な精製ユニット由来軽質蒸留物を第2の水素化分解装置(「ガソリン水素化分解装置」)に供給することにより、工程条件および触媒を具体的に供給物に適合させて、これらの水素化分解装置により生成されたLPGおよび/またはBTXの収率と純度を改善することができる。それに加え、前記方法は、オレフィンに転化されるLPGをより多く生成するか、またはBTXをより多く生成するために、例えば、一方または両方の水素化分解装置に使用される工程温度を調節することによって、より容易に適合し、それによって、本発明の統合方法の全体の水素バランスを微調整することができる。生成されるオレフィンと生成される芳香族化合物の比率を釣り合わせることにより、供給物の水素バランスに応じて、本発明の統合方法において、中立の水素バランスを得ることができる。シェール油などの水素の豊富な供給物について、水素バランスのとれた全体のプロセスを得るために、(ほとんど)全く芳香族化合物を生成すべきではない。
【0069】
ここに用いたように、「ガソリン水素化分解ユニット」または「GHC」という用語は、以下に限られないが、改質ガソリン、FCCガソリンおよび分解ガソリン(パイガス)を含む精製ユニット由来軽質蒸留物などの芳香族炭化水素化合物が比較的豊富な複合炭化水素供給物をLPGおよびBTXに転化させるのに適した水素化分解プロセスであって、GHC原料中に含まれる芳香族化合物の1つの芳香環を完全なままに維持するが、その芳香環から側鎖のほとんどを除去するように最適化されたプロセスを実施するための精製ユニットを称する。したがって、ガソリン水素化分解により生じる主要な生成物はBTXであり、そのプロセスは、化学用BTXを提供するために最適化することができる。ガソリン水素化分解が行われる炭化水素供給物が精製ユニット由来軽質蒸留物を含むことが好ましい。ガソリン水素化分解が行われる炭化水素供給物が、複数の芳香環を有する炭化水素を1質量%以下しか含まないことがより好ましい。ガソリン水素化分解条件が、好ましくは、300〜580℃、より好ましくは450〜580℃、さらにより好ましくは470〜550℃の温度を含む。芳香環の水素化が有力になるので、それより低い温度は避けなければならない。しかしながら、触媒が、スズ、鉛またはビスマスなどの、触媒の水素化活性を低減させるさらに別の元素を含む場合、ガソリン水素化分解のためにより低い温度を選択してもよい;例えば、国際公開第02/44306A1号および同第2007/055488号を参照のこと。反応温度が高すぎる場合、LPG(特に、プロパンおよびブタン)の収率が低下し、メタンの収率が上昇してしまう。触媒活性は、触媒の寿命に亘り低下するであろうから、水素化分解の転化率を維持するために、触媒の寿命に亘り反応装置の温度を徐々に上昇させることが都合良い。このことは、作動サイクルの開始時の最適温度が、水素化分解温度範囲の下端であることを意味する。その最適反応装置温度は、好ましくは、サイクルの終わり(触媒が交換されるまたは再生される直前)に、その温度が水素化分解温度範囲の上端であるように選択されるように、触媒が失活するにつれて、上昇する。
【0070】
炭化水素供給流のガソリン水素化分解は、好ましくは、0.3〜5MPaのゲージ圧、より好ましくは0.6〜3MPaのゲージ圧、特に好ましくは1〜2MPaのゲージ圧、最も好ましくは1.2〜1.6MPaのゲージ圧で行われる。反応装置の圧力を上昇させることにより、C5+非芳香族化合物の転化率を増加させることができるが、これにより、メタンの収率および芳香環のシクロヘキサン種(LPG種に分解することができる)への水素化も増加する。これにより、圧力が上昇するにつれて芳香族類の収率が減少し、いくつかのシクロヘキサンおよびその異性体のメチルシクロペンタンは、完全には水素化分解されないので、1.2〜1.6MPaの圧力で結果として生じたベンゼンの純度が最適である。
【0071】
炭化水素供給流のガソリン水素化分解は、好ましくは、0.1〜10h
-1の重量空間速度(WHSV)、より好ましくは0.2〜6h
-1の重量空間速度、最も好ましくは0.4〜2h
-1の重量空間速度で行われる。空間速度が速すぎると、BTX共沸パラフィン成分の全てが水素化分解されるわけでなく、それゆえ、反応装置生成物の単純な蒸留によって、BTX仕様を達成することはできなくなる。低すぎる空間速度では、プロパンとブタンを犠牲にして、メタンの収率が上昇してしまう。意外なことに、最適な重量空間速度を選択することによって、ベンゼン共沸物の十分に完全な反応が達成されて、液体を再循環する必要なく、仕様を満たすBTXが生じることが分かった。
【0072】
したがって、好ましいガソリン水素化分解条件は、450〜580℃の温度、0.3〜5MPaのゲージ圧、および0.1〜10h
-1の重量空間速度を含む。より好ましいガソリン水素化分解条件は、470〜550℃の温度、0.6〜3MPaのゲージ圧、および0.2〜6h
-1の重量空間速度を含む。特に好ましいガソリン水素化分解条件は、470〜550℃の温度、1〜2MPaのゲージ圧、および0.4〜2h
-1の重量空間速度を含む。
【0073】
ここに用いたように、「供給物水素化分解ユニット」または「FHC」という用語は、以下に限られないが、ナフサを含む、直留留分などの、ナフテンおよびパラフィン炭化水素化合物が比較的豊富な複合炭化水素供給物をLPGおよびアルカンに転化させるのに適した水素化分解プロセスを実施するための精製ユニットに関する。供給物水素化分解が行われる炭化水素供給物が、ナフサおよび/または芳香環開環により生成された軽質蒸留物を含むことが好ましい。したがって、供給物水素化分解により生成される主要生成物は、オレフィンに転化すべき(すなわち、アルカンのオレフィンへの転化のために供給物として使用すべき)LPGである。このFHCプロセスを、FHC供給流に含まれる芳香族化合物の1つの芳香環を完全なままに維持するが、その芳香環から側鎖のほとんどを除去するように最適化してもよい。そのような場合、FHCに使用すべき工程条件は、先に記載したようなGHCプロセスに使用すべき工程条件に匹敵する。FHC工程条件が、メタン製造を減少させるために、GHCプロセスよりも低い工程温度を含むことが好ましい。したがって、FHC工程条件は、300〜450℃の温度、300〜5000kPaのゲージ圧、および0.1〜10h
-1の重量空間速度を含む。芳香族炭化水素の開環に最適化されたさらにより好ましいFHC条件は、300〜400℃の温度、600〜3000kPaのゲージ圧、および0.2〜2h
-1の重量空間速度を含む。あるいは、FHCプロセスは、FHC供給流中に含まれる芳香族炭化水素の芳香環を開環するために最適化しても差し支えない。このことは、必要に応じてより低い工程温度と組み合わせて、必要に応じて減少した空間速度と組み合わせて、触媒の水素化活性を増加させることによって、ここに記載されたようなGHCプロセスを改良することによって行うことができる。そのような場合、それゆえ、好ましい供給物水素化分解条件は、300〜550℃の温度、300〜5000kPaのゲージ圧、および0.1〜10h
-1の重量空間速度を含む。より好ましい供給流水素化分解条件は、300〜450℃の温度、300〜5000kPaのゲージ圧、および0.1〜10h
-1の重量空間速度を含む。芳香族炭化水素の開環のために最適化されたさらにより好ましいFHC条件は、300〜400℃の温度、600〜3000kPaのゲージ圧、および0.2〜2h
-1の重量空間速度を含む。芳香族炭化水素が比較的豊富な、FHCにより生成された軽質蒸留物に続いてGHCを行って、BTXの共沸物の全てが、抽出を必要とせずに、単純な蒸留によって、仕様を満たすBTXを生成できるように転化されることを確実にすることが好ましい。
【0074】
本発明の方法は、接触改質または流動接触分解などの、下流の精製プロセスにおける触媒の失活を防ぐために、特定の原油分画から硫黄を除去する必要があることがある。そのような水素化脱硫プロセスは、「HDSユニット」または「水素化処理機(hydrotreater)」内で行われる;Alfke (2007) loc. citを参照のこと。一般に、水素化脱硫反応は、促進剤の有無にかかわらず、アルミナ上に担持された、Ni、Mo、Co、WおよびPtからなる群より選択される元素を含む触媒の存在下で、200〜425℃、好ましくは300〜400℃の高温およびゲージ圧で1〜20MPa、好ましくは1〜13MPaの高圧で、固定床反応装置内で行われ、ここで、触媒は硫化物形態にある。
【0075】
本発明の方法は、ベンゼンを生成するためにBTXの水素化脱アルキル化をさらに含んでもよい。そのような水素化脱アルキル化プロセスにおいて、ベンゼンを含む水素化脱アルキル化生成物流および主にメタンからなる燃料ガスを生成するのに適した条件下で、BTX(または生成されたそのBTXのトルエン分画およびキシレン分画のみ)が水素と接触させられる。
【0076】
BTXからベンゼンを生成する工程は、水素化分解生成物流に含まれるベンゼンを、水素化脱アルキル化の前に、トルエンおよびキシレンから分離する工程を含んでもよい。この分離工程の利点は、水素化脱アルキル化反応装置の容量が増すことである。ベンゼンは、従来の蒸留によって、BTXから分離することができる。
【0077】
C6〜C9芳香族炭化水素を含む炭化水素混合物の水素化脱アルキル化のプロセスは、当該技術分野で周知であり、熱水素化脱アルキル化および接触水素化脱アルキル化を含む;例えば、国際公開第2010/102712A2号を参照のこと。本発明の文脈において、接触水素化脱アルキル化が好ましい。何故ならば、この水素化脱アルキル化プロセスは、一般に、熱水素化脱アルキル化よりも、ベンゼンに対する選択率が高いからである。水素化脱アルキル化触媒が、担持型酸化クロム触媒、担持型酸化モリブデン触媒、シリカまたはアルミナ上白金、およびシリカまたはアルミナ上酸化白金からなる群より選択される、接触水素化脱アルキル化を使用することが好ましい。
【0078】
「水素化脱アルキル化条件」ともここで記載される、水素化脱アルキル化に有用な工程条件は、当業者により容易に決定できる。熱水素化脱アルキル化に使用される工程条件は、例えば、独国特許出願公開第1668719A1号明細書に記載されており、600〜800℃の温度、3〜10MPaのゲージ圧、および15〜45秒の反応時間を含む。好ましい接触水素化脱アルキル化に使用される工程条件は、国際公開第2010/102712A2号に記載されており、500〜650℃の温度、3.5〜8MPaのゲージ圧、好ましくは3.5〜7MPaのゲージ圧、および0.5〜2h
-1の重量空間速度を含むことが好ましい。水素化脱アルキル化生成物流は、典型的に、冷却と蒸留の組合せによって、液体流(ベンゼンおよび他の芳香族化合物種を含有する)および気体流(水素、H
2S、メタンおよび他の低沸点炭化水素を含有する)に分離される。その液体流を、蒸留によって、ベンゼン流、C7からC9芳香族化合物流、および必要に応じて、芳香族化合物が比較的豊富な中間蒸留物流にさらに分離してもよい。全体の転化率およびベンゼンの収率を増加させるために、このC7からC9芳香族化合物流を再循環物として反応装置区域に戻してもよい。ビフェニルなどの多環芳香族種を含有する芳香族化合物流が反応装置に再循環されないことが好ましいが、別の生成物流として搬出し、中間蒸留物(「水素化脱アルキル化により生成された中間蒸留物」)として統合方法に再循環されてもよい。多量の水素を含有する気体流を再循環ガス圧縮機により水素化脱アルキル化ユニットに戻しても、または供給物として水素を使用する、本発明の方法に含まれる任意の他の精製ユニットに戻してもよい。反応装置供給物中のメタンおよびH
2Sの濃度を制御するために、再循環ガスパージを使用してもよい。
【0079】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の方法を実施するのに適したプロセス装置にも関する。このプロセス装置およびそのプロセス装置において実施されるプロセスが、
図1〜4に示されている(
図1〜4)。
【0080】
したがって、本発明はさらに、原油を石油化学製品に転化するためのプロセス装置であって、
原油(100)の入口と、ナフサ、灯油および軽油の1つ以上(310)の少なくとも1つの出口とを有する原油蒸留ユニット(10);
水素化分解装置供給物(301)の入口と、LPG(210)の出口と、BTX(600)の出口とを有する水素化分解装置(20);および
統合石油化学プロセス装置により生成されたLPG(200)の入口と、オレフィン(500)の出口とを有するオレフィン合成ユニット(30);
を備えたプロセス装置であり、
水素化分解装置供給物が、
原油蒸留ユニット(10)により生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上;並びに
前記統合石油化学プロセス装置により生成された精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物、
を含む、プロセス装置に関する。
【0081】
本発明のこの態様が
図1に示されている(
図1)。
【0082】
ここに用いたように、「X」が所定の炭化水素分画などである、「Xの入口」または「Xの出口」という用語は、その炭化水素分画などを含む流れの入口または出口に関する。Xの出口が、Xの入口を有する下流の精製ユニットに直接接続されている場合、その直接接続は、熱交換器、その流れに含まれる不要化合物などを除去するための分離および/または浄化ユニットなどのさらに別のユニットを含んでもよい。
【0083】
本発明の文脈において、精製ユニットに複数の供給流が供給される場合、その供給流は、組み合わされて精製ユニットへのただ1つの入口を形成しても、精製ユニットへの別個の入口を形成してもよい。
【0084】
原油蒸留ユニット(10)が、気体分画(230)の出口をさらに有することが好ましい。水素化分解により生成されたLPG(210)および原油蒸留により得られた気体分画に含まれるLPG並びに統合方法において生成された精製ユニット由来LPG(220)を組み合わせて、統合石油化学プロセス装置により生成されたLPG(200)の入口を形成してもよい。さらに、原油蒸留ユニットにより生成されたナフサ、灯油および軽油の1つ以上(310)を、統合石油化学プロセス装置により生成された、精製ユニット由来軽質蒸留物および/または精製ユニット由来中間蒸留物(320)と組み合わせて、水素化分解装置供給物(301)の入口を形成してもよい。
【0085】
本発明のプロセス装置が、
灯油および軽油からなる群より選択される1つ以上(330)並びに精製ユニット由来中間蒸留物(331)の入口と、芳香環開環により生成されたLPG(222)の出口と、芳香環開環により生成された軽質蒸留物(322)の出口とを有する芳香環開環ユニット(22)を備えることが好ましい。本発明のこの態様が
図2に示されている(
図2)。
【0086】
この実施の形態において、水素化分解装置(20)が、原油蒸留ユニットにより生成されたナフサ(311)を含む水素化分解装置供給物の入口を有することが好ましい。この供給物が、統合石油化学プロセス装置により生成された精製ユニット由来軽質蒸留物(321)と組み合わされることが好ましい。
【0087】
さらに、原油蒸留ユニット(10)は、気体分画(230)、ナフサ(311)、灯油および軽油の1つ以上(330)、および残油(400)の1つ以上の出口を有してもよい;
図4参照のこと。
【0088】
本発明のプロセス装置は、残油(400)および精製ユニット由来重質蒸留物(401)の入口、残油アップグレードにより生成されたLPG(223)の出口、残油アップグレードにより生成された軽質蒸留物(323)の出口および残油アップグレードにより生成された中間蒸留物(333)の出口を有する残油アップグレードユニット(40)をさらに備えてもよい。残油アップグレードユニット(40)は、残油アップグレードにより生成された重質蒸留物(420)の出口をさらに有してもよく、この重質蒸留物は、その重質蒸留物をさらにアップグレードするために、残油アップグレードユニット(40)に再循環されてもよい。
【0089】
本発明のプロセス装置が、ナフサ(311)の入口と、供給物水素化分解により生成されたLPG(212)の出口と、BTX(600)の出口とを有する第1の水素化分解装置(23)(「供給物水素化分解装置」);および精製ユニット由来軽質蒸留物の少なくとも一部(325)の入口と、ガソリン水素化分解により生成されたLPG(213)の出口と、BTX(600)の出口とを有する第2の水素化分解装置(24)(「ガソリン水素化分解装置」)の、少なくとも2つの別個の水素化分解装置を備えることが好ましい。本発明のこの態様が、
図3に示されている(
図3)。
【0090】
供給物水素化分解装置(23)が、原油蒸留ユニットにより生成されたナフサ(311)を含む水素化分解装置供給物の入口を有することが好ましくは、この供給物は、統合石油化学プロセス装置により生成された精製ユニット由来軽質蒸留物(321)、好ましくは芳香族化合物の含有量が比較的少ない精製ユニット由来軽質蒸留物と組み合わされてもよい。
【0091】
本発明のプロセス装置が、
前記統合方法において生成された気体(200)の入口、エタン(240)の出口、およびプロパン(250)の出口を有する気体分離ユニット(50);
エタン(240)の入口およびエチレン(510)の出口を有するエタン分解装置(31);および
プロパン(250)の入口およびプロピレン(520)の出口を有するプロパン脱水素化ユニット(32)をさらに備えることが好ましい。本発明のこの態様が
図4に示されている(
図4)。
【0092】
気体分離ユニット(50)は、メタン(701)の出口をさらに有してもよい。エタン分解装置(31)は、エタン分解装置により生成された水素(810)の出口およびエタン分解装置により生成されたメタン(710)の出口をさらに有してもよい。プロパン脱水素化ユニット(32)は、プロパンの脱水素化により生成された水素(820)の出口をさらに有してもよい。
【0093】
気体分離ユニット(50)は、ブタン(260)の出口をさらに有してもよく、この場合、前記プロセス装置は、ブタン(260)の入口およびブチレン(530)の出口を有するブタン脱水素化ユニット(33)をさらに備えてもよい。ブタン脱水素化ユニット(33)は、ブタンの脱水素化により生成された水素(830)の出口をさらに有してもよい。
【0094】
本発明はさらに、原油を、オレフィンおよびBTXを含む石油化学製品に転化するための、本発明によるプロセス装置の使用を提供する。
【0095】
本発明のさらに好ましい特徴は、高価値ではない化学物質などの不要生成物の全てを適切なユニットに再循環して、そのような不要生成物を所望の生成物(例えば、高価値の石油化学製品)に、または異なるユニットへの供給物として適している生成物に転化してもよいことにある。本発明のこの態様が
図4に示されている(
図4)。したがって、芳香族化合物の含有量が比較的少ない、残油アップグレードにより生成された軽質蒸留物(323)を、水素化分解、好ましくは供給物水素化分解に再循環してもよい。さらに、残油アップグレードにより生成された中間蒸留物(333)を、水素化分解、好ましくは芳香環開環に再循環してもよい。
【0096】
本発明の方法およびプロセス装置において、生成される全てのメタンが収集され、好ましくは、燃料ガスを提供するために分離プロセスが行われる。その燃料ガスが、燃料ガスの燃焼または蒸気の形成により生成される高温燃焼排ガスの形態にあるプロセス加熱を提供するために使用されることが好ましい。あるいは、そのメタンに水蒸気改質を行って、水素を生成しても差し支えない。例えば、水蒸気分解により生成される不要な副生物も再循環してもよい。例えば、水蒸気分解により生成されるカーボンブラックオイルおよび分解蒸留物を芳香環開環に再循環してもよい。
【0097】
本発明の方法またはプロセス装置において作動される様々なユニットは、水素化分解などの、供給物として水素を必要とするプロセスへの供給流として、オレフィン合成などの特定のプロセスにおいて生成される水素を供給することによって、さらに統合される。前記方法およびプロセス装置が水素の純消費者である場合(すなわち、その方法またはそのプロセス装置の始動中、または水素消費プロセスの全てが、水素生成プロセスの全てにより生成されるよりも多くの水素を消費するので)、本発明の方法またはプロセス装置により生成される燃料ガスよりも、追加のメタンまたは燃料ガスの改質が要求されるであろう。
【0098】
本発明を説明の目的で詳細に記載してきたが、そのような詳細は、その目的のためだけであり、特許請求の範囲に定義された本発明の精神および範囲から逸脱せずに、当業者によりそれに変更を行えることを理解すべきである。
【0099】
本発明は、ここに記載された特徴の可能な組合せの全てに関し、特許請求の範囲に提示されている特徴の組合せが特に好ましいことをさらに留意すべきである。
【0100】
「含む(comprising)」という用語は、他の要素の存在を排除するものではないことに留意されたい。しかしながら、特定の成分を含む生成物についての説明は、これらの成分からなる生成物も開示していることも理解すべきである。同様に、特定の工程を含む方法についての記載は、これらの工程からなる方法も開示していることも理解すべきである。
【0101】
ここで、以下の非限定的実施例によって、本発明をより詳しく説明する。
【実施例】
【0102】
比較例1
ここに与えられた実験データは、Aspen Plusにおける工程図モデル化により得た。水蒸気分解反応速度論を厳格に考慮した(水蒸気分解生成物分量の計算のためのソフトウェア)。以下の水蒸気分解炉の条件を適用した:エタンおよびプロパン炉:コイル出口温度(COT)=845℃、水蒸気対油比=0.37、C4炉および液体炉:コイル出口温度=820℃、水蒸気対油比=0.37。供給物水素化分解について、実験データに基づく反応スキームを使用した。ガソリン水素化分解がその後に続く芳香環開環について、多数の芳香族化合物の全てがBTXおよびLPGに転化され、ナフテン化合物およびパラフィン化合物の全てがLPGに転化された反応スキームを使用した。プロパン脱水素化およびブタン脱水素化からの生成物分量は文献のデータに基づくものであった。残油水素化分解装置は、文献からのデータに基づいてモデル化した。
【0103】
比較例1において、アラビアン・ライト原油が常圧蒸留ユニット内で蒸留される。残油を除く全ての分画が水蒸気分解されている。水蒸気分解装置に送られた分画は、LPG、ナフサ、灯油および軽油の分画を含む。残油のカットポイントは350℃である。水蒸気分解装置に送られている原油の全分画は、原油の50質量%になる。水蒸気分解装置において、上述した原油分画は炉内で分解されている。それらの結果が、下記に提示される表1に与えられている。
【0104】
原油に由来する生成物は、石油化学製品(オレフィンおよびBTXE、これは、BTX+エチルベンゼンの頭字語である)および他の生成物(水素、メタンおよびC9樹脂供給物と、分解蒸留物と、カーボンブラックオイルと、残油とを含む重質分画)に分割される。残油も考慮に入れるので、合計量は原油の100%になる。原油の生成物分量から、炭素利用率は:
(石油化学製品中の総炭素質量)/(原油中の総炭素質量)
として決定される。
【0105】
この比較例について、炭素利用率は38.0質量%である。
【0106】
実施例1
実施例1は、以下を除いて、前記比較例と同一である:
最初に、蒸留のナフサ分画がFHCユニット内で転化されて、BTX(生成物)およびLPG(中間体)を生じる。このLPGは、エタン分画、プロパン分画およびブタン分画に分離され、これらの分画は水蒸気分解される。
【0107】
さらに、灯油および軽油の分画(カットポイント350℃)に芳香環開環が行われる。この芳香環開環は、1つの芳香環を維持する工程条件下で作動される。芳香環開環ユニットからの流出物は、GHCユニット内でさらに処理されて、BTX(生成物)およびLPG(中間体)を生じる。このLPGは、エタン分画、プロパン分画、およびブタン分画に分離され、これらの分画は水蒸気分解される。
【0108】
下記に提示される表1は、全原油の質量%で表された、水蒸気分解装置から(分解された軽質物、ナフサおよびLPG)と、FHCおよびGHCユニットから(BTX生成物)の、全生成物分量を示している。この表は、残りの常圧残油分画も含んでいる。
【0109】
実施例1について、炭素利用率は42.3質量%である。
【0110】
実施例2
実施例2は、以下を除いて、実施例1と同一である:
最初に、残油を残油水素化分解装置においてアップグレードして、気体、軽質蒸留物および中間蒸留物を生成する。残油水素化分解により生成された気体は水蒸気分解されている。残油水素化分解により生成された軽質蒸留物は、FHCユニットに供給されており、BTX(生成物)およびLPG(中間体)を生じる。このLPGは、エタン分画、プロパン分画、およびブタン分画に分離され、これらの分画は水蒸気分解される。残油水素化分解により生成された中間蒸留物に芳香環開環が行われる。この芳香環開環は、1つの芳香環を維持する工程条件下で作動される。芳香環開環ユニットからの流出物は、GHCユニット内でさらに処理されて、BTXおよびLPGを生じる。このLPGは、エタン分画、プロパン分画、およびブタン分画に分離され、これらの分画は水蒸気分解される。
【0111】
さらに、分解流出物の重質分(C9樹脂供給物、分解蒸留物およびカーボンブラックオイル)は残油水素化分解装置に再循環されている。この残油水素化分解装置における最終的な転化は完全に近い(残油水素化分解装置のピッチは原油の2質量%である)。
【0112】
下記に提示される表1は、全原油の質量%で表された、水蒸気分解装置から(軽質物、ナフサおよびLPGの分解生成物)と、FHCおよびGHCユニットから(BTX生成物)の、原油の全生成物分量を示している。
【0113】
この生成物分量は、水素化分解装置のピッチも含んでいる(原油の2質量%)。
【0114】
実施例2について、炭素利用率は80.9質量%である。
【0115】
実施例3
実施例3は、以下を除いて、実施例2と同一である:
ARO−GHCユニットからのプロパンおよびブタンは、水蒸気分解されていないが、プロピレンおよびブテンに脱水素化される(プロパンのプロピレンへの最終的な選択率は90%であり、n−ブタンからn−ブテンは90%であり、i−ブタンからi−ブテンは90%である)。
【0116】
下記に提示される表1は、全原油の質量%で表された、水蒸気分解装置から(軽質物、ナフサおよびLPGの分解生成物)と、FHCおよびGHCユニットから(BTX生成物)の、全生成物分量を示している。この生成物分量は、水素化分解装置のピッチも含んでいる(原油の2質量%)。
【0117】
実施例3について、炭素利用率は93.5質量%である。
【0118】
【表1】
【0119】
以下の参照番号が、
図1〜4に使用されている。