(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879997
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】支持面上に走査ヘッドを配置するための位置決めアーム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01Q 10/02 20100101AFI20210524BHJP
【FI】
G01Q10/02
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-502140(P2018-502140)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公表番号】特表2018-520359(P2018-520359A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】NL2016050519
(87)【国際公開番号】WO2017010881
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2019年6月19日
(31)【優先権主張番号】15176889.2
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511095850
【氏名又は名称】ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト−ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ハメド、サーデギアン、マーナニ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスパー、ウィンターズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、エドワード、クローコーム
【審査官】
野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−181030(JP,A)
【文献】
特開平11−264833(JP,A)
【文献】
特開平11−232806(JP,A)
【文献】
特開2002−162219(JP,A)
【文献】
特開昭63−236991(JP,A)
【文献】
米国特許第05903085(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01Q 10/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面走査測定装置の走査ヘッドの面に対する位置決めのための位置決めアームであって、前記位置決めアームは、その第1の端部における基部であって、前記アームを前記基部によって静的基準構造に対して取り付けるための基部を備え、前記位置決めアームは、前記基部から延びる第1のアーム部材及び第2のアーム部材を更に備え、前記第2のアーム部材は前記第1のアーム部材と平行に延び、前記位置決めアームはその第2の端部においてブリッジ部材を備え、前記ブリッジ部材は、前記位置決めアームの前記第2の端部において前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材を接続し、前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材の各々はそれぞれ、ヒンジ可能結合によって、前記基部及び前記ブリッジ部材の各々に対して接続され、前記位置決めアームはアクチュエータを更に備え、横変位に対して横切る方向へ前記位置決めアームの前記第2の端部を揺動するために、前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材の長手方向への前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の相対変位を誘起するために前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材にそれぞれ接続される構造部材に前記アクチュエータは作用し、前記ブリッジ部材は前記走査ヘッドを支持するための支持部を備える、位置決めアーム。
【請求項2】
前記アクチュエータと協働して、その動作を制御して、前記第1のアームと前記第2のアームとの間の前記相対変位を制御するためのコントローラを更に備える請求項1に記載の位置決めアーム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位の量を取得するように構成され、前記コントローラは、前記相対変位の量に基づいて前記位置決めアームを横切る方向への前記ブリッジの横方向変位を計算するように構成される請求項2に記載の位置決めアーム。
【請求項4】
前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位を測定し、前記相対変位を示すセンサ信号を前記コントローラに与えるためのセンサユニットを更に備える請求項2又は3に記載の位置決めアーム。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間に配置され、前記アクチュエータは、前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材のいずれか一方に対して固定して取り付けられる第1のアクチュエータ部を備え、前記アクチュエータは、使用において前記アクチュエータの動作によって前記第1のアクチュエータ部に対して移動可能な少なくとも1つの第2のアクチュエータ部を備え、前記第2のアクチュエータ部は、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位を誘起するために前記第2のアーム部材に作用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の位置決めアーム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、
前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間における大きなストロークの長手方向変位を可能にするスピンドル型アクチュエータなどの大ストロークアクチュエータ要素と、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間における小さなストロークの長手方向変位を可能にするピエゾ型アクチュエータなどの小ストロークアクチュエータ要素と、
のうちの1以上を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の位置決めアーム。
【請求項7】
前記大ストロークアクチュエータ要素はスピンドルを備え、前記スピンドルは、前記第2のアクチュエータ部に含まれるとともに、前記第1のアクチュエータ部と協働してそれに対して移動可能であり、前記第2のアクチュエータ部は、前記スピンドルの先端に取り付けられるとともに前記小ストロークアクチュエータを形成するピエゾ型アクチュエータを更に備える請求項5又は6に記載の位置決めアーム。
【請求項8】
前記第1のアーム部材に対する前記第2のアーム部材のオフセット位置に向けて方向づけられる前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間における戻り力を与えるために、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間にばね部材が取り付けられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の位置決めアーム。
【請求項9】
前記アクチュエータの少なくとも一部を囲むカバーを更に備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の位置決めアーム。
【請求項10】
前記カバーは、ベローズ、柔軟なカバー要素、スリーブ、布及び容器要素を含むグループのうちの少なくとも1つの要素を含む請求項9に記載の位置決めアーム。
【請求項11】
前記センサユニットは、干渉計などの光学距離センサ、及び誘導センサや容量センサなどの電気的近接センサを含むグループのうちの少なくとも1つの要素を含む少なくとも請求項4に従属する請求項1〜10のいずれか一項に記載の位置決めアーム。
【請求項12】
面走査測定装置の走査ヘッドを支持面に対して位置決めする方法であって、
前記走査ヘッドの前記設置を行うためにその第1の端部において基部を備える位置決めアームが使用され、前記基部は静的基準構造に取り付けられ、前記位置決めアームは前記基部から延びる第1のアーム部材及び第2のアーム部材を更に備え、前記第2のアーム部材は前記第1のアーム部材に対して平行に延び、前記位置決めアームはその第2の端部においてブリッジ部材を備え、前記ブリッジ部材は、位置決めアームの前記第2の端部において前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材を接続し、前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材の各々はそれぞれ、ヒンジ可能結合によって、前記基部及び前記ブリッジ部材の各々に接続され、
前記方法は、
前記位置決めアームの前記ブリッジに接続された支持構造から走査ヘッドを支持するステップと、
前記位置決めアームが有するアクチュエータであって前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材にそれぞれが接続される構造部材に作用するアクチュエータにより、前記第1のアーム部材及び前記第2のアーム部材の長手方向への前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の相対変位を誘起することによって、前記支持構造を移動させて、前記相対変位を横切る方向へ前記位置決めアームの前記第2の端部を揺動させるステップと、
を更に含む方法。
【請求項13】
前記アクチュエータと協働するコントローラによって、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位を制御するための前記アクチュエータの動作を制御するステップを更に備え、
前記制御するステップは、
前記コントローラによって、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位の量を取得することと、前記コントローラによって、前記相対変位の量に基づいて前記位置決めアームを横切る方向への前記ブリッジの横方向変位を計算することとを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
センサユニットを用いて、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位を測定することと、
前記相対変位を示すセンサ信号を、前記センサユニットによって前記コントローラに与えることと、を更に含む請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間に、前記第1のアーム部材に対する前記第2のアーム部材のオフセット位置に向けて方向づけられる戻り力を与えることを更に含み、前記戻り力は、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間に取り付けられたバネ部材によって与えられる請求項12〜14のうちのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面走査測定装置の走査ヘッドを面に対して位置決めするための位置決めアームに関し、位置決めアームは、その第1の端部において基部を備え、静止した基準構造体に対して基部によりアームが取り付けられる。本発明はさらに、走査プローブ顕微鏡装置の走査ヘッドの面に対する位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の原子間力顕微鏡(AFM)装置のような走査型プローブ顕微鏡(SPM)装置は、例えば、面上の半導体トポロジーの走査のために半導体産業に適用されている。この技術の他の用途は、生物医学産業、ナノテクノロジー、及び科学的用途に見られる。特に、AFMは、重大な欠陥計測(CD計測)、粒子走査、応力及び粗さ測定に使用することができる。AFM顕微鏡法は、非常に高い精度で面の可視化を可能にし、サブナノメートルの分解能で面要素の可視化を可能にする。他の面走査測定装置は、例えば光学式近接場走査装置を含む。
【0003】
多くのSPM装置は、基準面や基準フレームなどの面に対する走査ヘッドの正確な位置決めのために位置決めアームを適用する。理解されるように、SPMの測定の精度は、走査ヘッドが位置決めされる精度によって直接的に影響される。例えば、位置決めアームは、面上(又は面下)の或る距離にわたって走査ヘッドまで延在し、そして走査ヘッドを所望の位置に揺動させる。
【0004】
正確な位置決めは、SPMシステムのセンサ、フィードバック及び制御ユニットによって確実にされる。このようにして多くの用途のために許容可能なレベルの精度を達成することができるが、走査型プローブ顕微鏡法がしばしば実施される寸法の典型的なスケールに対して、更なる精度が多くの場合歓迎される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、走査プローブ顕微鏡検査システムにおける走査ヘッドの位置決めの精度を向上させることである。
【0006】
このために、面走査測定装置の走査ヘッドを面に対して位置決めするための位置決めアームがここに設けられ、位置決めアームは、静的な基準構造に対して基部によりアームを取り付けるために、その第1の端部において基部を有し、位置決めアームは、基部から延在する第1及び第2のアーム部材を更に有し、第2のアーム部材は第1のアーム部材と平行に延在し、位置決めアームは、その第2の端部においてブリッジ部材を有し、ブリッジ部材は位置決めアームの前記第2の端部において第1のアーム部材及び第2のアーム部材を接続し、第1の及び第2のアーム部材の各々は、ヒンジ可能結合によって、それぞれ前記基部及び前記ブリッジ部材の各々に接続され、位置決めアームは、横方向変位に対して横断する方向に位置決めアームの第2の端部を揺動させるために、前記第1及び第2のアーム部材の長手方向における第1及び第2のアーム部材間の相対的な変位を引き起こすためのアクチュエータを更に備え、ブリッジ部材は、走査ヘッドを支持するための支持部を備える。
【0007】
本開示全体を通して、面走査測定装置という用語は、特に走査プローブ顕微鏡装置(scanning probe microscopy devices)を含むものとして解釈されるべきである。さらに、本発明は、本開示において意味する面走査測定装置でもある光学式近接場走査装置(optical near field scanning devices)にも適用することができる。光近接場走査装置は、とりわけ、顕微鏡検査を実施するために適用され得る。本文書は多くの場合走査プローブ顕微鏡装置、システム及び方法に言及するが、本文書の教示は光学式近接場走査装置にも同様に適用できることが理解される。したがって、テキストが「走査プローブ顕微鏡装置」(またはシステム)を具体的に言及する多くの場合において、この用語は、本発明から逸脱することなく、用語「光学式近接場走査装置」(またはシステム)としばしば入れ替えることができる。
【0008】
上記の「ヒンジ可能結合」という用語は、面に対して横断する回転軸周りにおいて少なくともヒンジで動作可能である結合を指す。好ましくは、任意の他の方向の回転が望ましくない場合、ヒンジ可能結合のうちの少なくとも1つは、面に対して横断する回転軸の周りでのみヒンジで動作可能である。さらに好ましくは、位置決めアームを、面を横切る軸の周りでの回転以外の任意の回転方向へ十分に静止させるために、基部、第1のアーム部材、ブリッジ、及び第2のアーム部材の間のすべてのヒンジ可能結合は、面を横断する回転軸のまわりにのみ回転について制限される。
【0009】
本発明において、アクチュエータは、第1のアーム部材と第2のアーム部材との間の相対変位を引き起こすことを可能にする。この相対変位は、第1及び第2のアーム部材の長手方向に向けられ、したがって第1のアーム部材及び第2のアーム部材を互いに平行に移動させる。例えば基部が第1のアーム部材とのヒンジ可能結合を有すること、及び第2のアーム部材との更なるヒンジ可能結合を有することを考慮する。第1のアーム部材を第2のアーム部材に対してその長手方向に変位させることにより、第1及び第2のアーム部材に対する基部の角度のある姿勢が変化する。基部を静的基準構造に固定することにより、長手方向への第1のアーム部材と第2のアーム部材との間の相対的な変位を誘発することにより、基部が静的基準構造に固定されるので、第1の及び第2のアーム部材は、両方のアーム部材に対する基部の傾斜した姿勢の変化のために、同じ方向に移動する。さらに、第1のアーム部材とのヒンジ可能結合及び第2のアーム部材とのさらなるヒンジ可能結合を有するブリッジ部材は、常に第1及び第2のアーム部材に対して基部の傾斜した向きと同じ角度の向きにとどまる。この原理は長方形を描くことによって容易に理解することができ、その長方形の長辺が第1のアーム部材及び第2のアーム部材を概略的に表し、その長方形の短辺がそれぞれ基部及びブリッジ部材を表す(例えば以下に説明する
図2A及び2B参照)。ヒンジ可能結合がその長方形の四隅に位置することを考慮すると、その長方形の長辺の一方を他方の長辺に対して長手方向に変位させることにより、その長方形は平行四辺形に変化する。短辺の一方(基部)を例えば壁に対して固定することにより、長方形の長辺間の同じ変位は、アーム部材を同じ方向に揺動させる。しかし、ブリッジ部材、すなわち長方形/平行四辺形の他の短辺は、第1及び第2のアーム部材に対して常に基部と同じ角度の向きを維持する。言い換えれば、ブリッジ部材は常に基部と平行である(ただし、これらは最初から平行であるという条件である)。
【0010】
このように、位置決めアームのアクチュエータが長手方向への第1のアーム部材と第2のアーム部材との間の相対的な変位を誘発することにより、ブリッジ部材が常に同じ姿勢を維持しつつ、本発明の位置決めアームは、面に垂直な回転軸の回りを揺動する。この原理は、面に対する走査プローブ顕微鏡装置の走査ヘッドの高精度な位置決めを可能にするために、本発明の位置決めアームにおいて用いられている。走査ヘッドがブリッジ部材によって支持されるか、またはブリッジ部材に取り付けられる場合、このような位置決めアームの揺動を正確に制御することができ、揺動中の走査ヘッドの向きを変化させない。例えば、基準面、例えば原子間力顕微鏡法を行うための非常に正確な基準グリッドを提供する面、に対して走査ヘッドが位置決めされる場合、位置決めアームの揺動は、基準フレーム上の基準に対する走査ヘッドの向きを変えることなく、走査ヘッドをアームに垂直な方向へ移動させることを可能にする。位置決めの間に固定された走査ヘッドの向きを維持することにより、従来の位置決めアームにおけるように、揺動中の走査ヘッドと基準フレームとの間の向きの変化に起因する誤差源が排除される。したがって、本発明の位置決めアームを用いて、より正確に、走査ヘッドの位置決めが行われ、検査されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、位置決めアームは、アクチュエータと協働するコントローラであって、その動作を制御して第1のアームと第2のアームとの間の相対変位を制御するためのコントローラを更に備える。このコントローラは、位置決めアーム自体に配置されてもよく、またはアクチュエータを正確に制御するためにアームに通信可能(無線接続または有線接続のいずれか)に接続された外部コントローラまたは制御手段であってもよい。
【0012】
それの一実施形態によれば、コントローラは、第1及び第2のアーム部材間の相対変位量を取得するように構成されてもよく、そのコントローラは、その相対変位、すなわち第1及び第2のアーム部材間の相対変位、の量に基づいて、位置決めアームを横切る方向へのブリッジの横方向変位を計算するように構成される。理解されるように、本発明の位置決めアームでは、第1及び第2のアーム部材に対する基部の傾斜姿勢の変化(及び同様にブリッジ部材のそれ)は、第1及び第2のアーム部材間の相対変位に直接的に依存する。第1及び第2のアーム部材間の相対変位と基部またはブリッジ部材の傾斜した向きとの間の関係に関する利用可能なデータをコントローラに対して格納またはそうでなければ作成することにより、コントローラは、第1及び第2のアーム部材間の相対変位を直接的に制御する(及び知る)ことによって、位置決めアームの横断方向へのブリッジの横方向変位を正確に制御することができる。当業者にとっては、第1及び第2のアーム部材間の相対変位の量を利用可能または知るようにするための様々な可能性が利用可能である。例えば、この情報は、アクチュエータの一部であり得るステッピングモータによって行われる回転ステップをカウントすることによって、コントローラに対して既に利用可能であり得る。いずれの方向のステップ数を追跡しても、第1のアーム部材と第2のアーム部材との間の相対変位は、原則としてコントローラに知られる。理解されるように、これは、いくつかのケースでは、ステップをカウントしないか、またはカウントの追跡を失うリスクのため、十分に正確ではない可能性がある。
【0013】
したがって、本発明のさらなる実施形態によれば、位置決めアームは、第1及び第2のアーム部材間の相対変位を測定するための、及び前記相対変位を示すセンサ信号をコントローラに対して提供するためのセンサユニットを更に備える。センサにより相対変位を単純に検知することによって、相対変位が直接的に測定され、コントローラにとって利用可能となる。或いは、コントローラが(例えばステッピングモータのステップをカウントすることによって)相対変位自体を追跡しつつ、同時にこの情報が、相対変位を直接的に測定するセンサユニットを介して提示されてもよい。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、位置決めアームのアクチュエータは、第1のアーム部材と第2のアーム部材との間に配置され、アクチュエータは、第1または第2のアーム部材のいずれか一方に固定的に取り付けられる第1のアクチュエータ部を備え、前記アクチュエータは、使用の際にアクチュエータの動作によって第1のアクチュエータ部に対して移動可能な少なくとも1つの第2のアクチュエータ部を備え、前記第2のアクチュエータ部は、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位を誘発するために、前記第2のアーム部材に対して作用する。これらの実施形態による位置決めアームは、アクチュエータが第2のアーム部材に作用しつつ第1のアーム部材に固定されるコンパクトな設計を含む。アクチュエータは、例えば、スピンドル型アクチュエータのような第1及び第2のアーム部材間の大きなストロークの長手方向の変位を可能にするための大ストロークアクチュエータ要素、またはピエゾ型アクチュエータのような第1及び第2のアーム部材間の小さなストロークの長手方向の変位を可能にするための小ストロークアクチュエータ要素のうちの1以上を備えていてもよい。特に、大ストロークアクチュエータ要素及び小ストロークアクチュエータ要素の両方を含むことにより、アームに対して横切る方向の位置決めアームの揺動を正確に制御することができる。走査ヘッドの厳密な位置決めは、それらが通過する基準面上の基準を監視するフィードバックシステムを使用して、監視されてもよい。
【0015】
更に別の実施形態によれば、大ストロークアクチュエータ要素はスピンドルを備え、スピンドルは、第2のアクチュエータ部に含まれ、第1のアクチュエータ部と協働してそれに対して移動可能であり、第2のアクチュエータ部は、前記スピンドルの先端に取り付けられるピエゾタイプのアクチュエータであって、小ストロークアクチュエータを形成するピエゾタイプのアクチュエータを更に備える。この実施形態では、スピンドル型アクチュエータとピエゾ型アクチュエータとが重ね合わされ(すなわち互いに延在し)、それにより、(例えばステッピングモータを使う)スピンドルを作動させることによって大きなストロークが達成可能である一方で、ピエゾタイプのアクチュエータを作動させることにより小さなストロークが達成可能であるように、協働する。例えば上述したようなものである、センサユニットを使って、相対変位を正確に検出することができる。理解されるように、いくつかの実施形態では、アクチュエータの第1の端部が第1のアーム部材に固定されつつ、第2の端部が第2のアーム部材に固定され、アクチュエータの動作が第2のアーム部材を第1のアーム部材に対して変位させてもよい。しかしながら、代替的に、例えば第2のアクチュエータ部の、端部が第2のアーム部材上の構造要素に単に当接する(すなわち固定がない)一方で、第1のアーム部材と第2のアーム部材との間の戻りばねは、第2のアーム部材上の構造要素が第2のアクチュエータ部の端部に隣接してとどまることを確保してもよい。
【0016】
基部と第1のアーム部材との間、第1のアーム部材とブリッジとの間、ブリッジと第2のアーム部材との間、及び第2のアーム部材と基部との間のヒンジ可能結合は、当業者に知られている任意の適切なタイプのものでよい。本発明の位置決めアームに適用することができるヒンジ可能結合の有利なタイプは、ハーバーランドタイプ(Haberland type)のヒンジであってもよい。ハーバーランドヒンジは、相対角度変位のために2つの部材を接続する柔軟な接合部である。したがって、このタイプのヒンジはいかなるベアリングも必要としない。更に、ハーバーランドヒンジは、必要な力に対するたわみに関して高度な再現性を有する。ベアリングの不在は、ヒンジの動作中にそこから生じる汚染を排除する。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、位置決めアームは、アクチュエータの少なくとも一部を取り囲むカバーを更に備える。アーム上のアクチュエータの一部または全部を囲むカバーは、使用中のアクチュエータによって気づかないうちに生じた汚染を捕捉する。理解されるように、位置決めアームのいずれかの部分からの汚染は、測定システムの精度を破壊しうる。これらの実施形態のいくつかによれば、カバーは、ベローズ(bellows)、柔軟なカバー要素、スリーブ、布又は容器要素を含むグループの少なくとも1つの要素を含むことができる。
【0018】
第1のアーム部材と第2のアーム部材との間の相対変位を測定するセンサユニットは、干渉計などの光学距離センサ、誘導センサ又は静電容量センサなどの電気近接センサを含むグループのうちのいずれかを含むことができる。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、走査プローブ顕微鏡装置又は光学式近接場走査装置のような面走査測定装置が提供され、この装置は、走査プローブ顕微鏡装置の走査ヘッドの面に対する位置決めのための上記の実施形態のいずれかによる位置決めアームを備える。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、面走査測定装置の走査ヘッドを支持面に対して位置決めする方法が提供され、前記配置を行うために走査ヘッドにおいて、その第1の端部において基部を備える位置決めアームの使用がなされ、基部は静的な基準構造に対して取り付けられ、位置決めアームは基部から延びる第1の及び第2のアーム部材を更に備え、第2のアーム部材は第1のアーム部材と平行に延び、位置決めアームは、その第2の端部においてブリッジ部材を備え、ブリッジ部材は位置決めアームの前記第2の端部において第1の及び第2のアーム部材を接続し、第1の及び第2のアーム部材の各々はそれぞれヒンジ可能結合によって前記基部及び前記ブリッジ部材の各々に接続され、その方法は、位置決めアームのブリッジに接続される支持構造から走査ヘッドを支持するステップと、位置決めアームが有するアクチュエータによって前記第1及び第2のアーム部材の長手方向への第1及び第2のアーム部材間の相対変位を誘発することにより支持構造を動かして、その相対変位を横切る方向に位置決めアームの第2の端部を揺動させるためのステップと、を更に含む。
【0021】
その方法は、アクチュエータと協働するコントローラによって、第1及び第2のアーム部材間の相対変位を制御するためのアクチュエータの動作を制御するステップを備え、その制御するステップは、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間の前記相対変位の量をコントローラによって取得し、相対変位の量に基づいて位置決めアームを横断する方向のブリッジの横方向変位を前記コントローラによって計算することを含む。
【0022】
更に別の実施形態によれば、その方法は、センサユニットを用いて、第1及び第2のアーム部材間の相対変位を測定すること、及び前記相対変位を示すセンサ信号をセンサユニットによってコントローラに提供することを含んでいてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、その方法は、第1のアーム部材に対する第2のアーム部材のオフセット位置に向けて方向づけられた第1及び第2のアーム部材間の戻り力を提供することを含み、前記戻り力は、第1及び第2のアーム部材間に取り付けられるばね部材によって与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、添付の図面を参照して、そのいくつかの具体的な実施形態の説明によって更に明らかにされる。詳細な説明は、本発明の可能な実施形態の例を提供するが、その範囲内にある唯一の実施形態を説明するものと見なすべきではない。本発明の範囲は特許請求の範囲に規定されており、その説明は本発明を限定するものではなく例示的なものとみなされるべきである。図面は以下の通りである。
【
図1】
図1は、走査型プローブ顕微鏡の走査ヘッドを位置決めするための従来の位置決めアームを概略的に示す。
【
図2A】本発明による位置決めアームを概略的に示す図である。
【
図2B】本発明による位置決めアームを概略的に示す図である。
【
図2C】本発明による位置決めアームを概略的に示す図である。
【
図2D】本発明による位置決めアームを概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明による走査プローブ顕微鏡装置における位置決めアームの側面図である。
【
図4A】
図4A及び
図4Bはそれぞれ、本発明の位置決めアームの上面図及びそのアクチュエータの拡大図である。
【
図4B】
図4A及び
図4Bはそれぞれ、本発明の位置決めアームの上面図及びそのアクチュエータの拡大図である。
【
図6】
図6は、本発明による位置決めアームの動作を概略的に示す。
【
図7】
図7は、本発明による位置決めアームのアクチュエータのCAD図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
走査プローブ顕微鏡装置の従来の位置決めアーム1が
図1に概略的に示されている。位置決めアーム1の関連部分のみが
図1に示されている。アーム1は通常、アームの端部でX及びY方向への走査ヘッド4の移動を可能にし、X方向をアーム3の長手方向として定め、Y方向を、面を横切ってアームの長手方向と直交する方向(横方向)として定めてもよい。また
図1は基準グリッド6を概略的に示し、基準グリッド6は、基準グリッド6を含む面に対する走査ヘッド4の正確な位置を追跡するために光学フィードバックシステムにおいて使用され得る。
【0026】
従来のアーム1は、アーム部材3を含むことができ、アーム部材3の端部において走査ヘッド4が存在することができる。走査ヘッド4は、任意の種類の支持構造体又はキャリアによって支持されてもよい。アーム部材3は、その他端がヒンジ5を介して固定基部2に接続されていてもよい。基部2は、フォースフレーム(force frame)又はメトロロジーフレーム(metrology frame)(図示せず)などの走査プローブ顕微鏡装置の静止基準構造に対して固定されていてもよい。ヒンジ5は、基準グリッド6が存在する面を横断する回転軸の周りにおけるアーム部材3の回転を可能にする。走査ヘッド4をアーム部材3に対して横方向であるY方向に移動させるために、アーム部材3をヒンジ5によって回転軸周りに回転させる。例えば、アーム部材3は、
図1に点線で示した位置3’に来ることができる。この位置では、走査ヘッド4は、
図1に示す位置4’にある。
図1から以下のように、走査ヘッド4はオフセット位置に対して横方向に変位されるだけではなく、その配向角度が、走査ヘッドの位置4に対して位置4’において異なる。静的基準グリッド6に対する異なる配向角度のために、位置4’における走査ヘッド4の検出可能な位置に不正確さが取り入れられる。理解されるように、走査プローブ顕微鏡システムは高度な精度で顕微鏡検査を行うことができるので、走査ヘッド4のY方向への変位によって引き起こされる不正確さは望ましくない。
【0027】
本発明による位置決めアームの原理が
図2A〜
図2Dに概略的に示されている。
図2Aは、本発明による位置決めアーム8を概略的に示す。この非常に概略的な図は、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11を含む長方形を示し、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11はその長方形の長辺を形成する。アーム8は更に、その最終端において基部12及びブリッジ部材13を含む。基部12、第1のアーム部材10、ブリッジ13及び第2のアーム部材11は、ヒンジ17、18、19及び20によって形成されたヒンジ可能結合によって相互に接続されている。ヒンジ17〜20の回転軸は、
図2Aの図の紙に垂直である。位置決めアーム8の用途に応じて、ヒンジ17、18、19及び20はそれらの用途に応じた追加の回転軸又は追加の自由度を任意に具備しうることを当業者は理解することができる。本発明に関し、少なくとも
図2Aの紙に対して垂直な回転軸は、ヒンジ17〜20によって可能である。多くの用途において、位置決めアーム8は一方向への回転を可能にすることが要求されるが、他の方向の回転はしばしば望ましくない。その場合、
図2Aのヒンジ17、18、19及び20及び位置決めアーム8は、紙に垂直な回転軸の周りでのみ回転を可能にすることができる。
【0028】
図2Aはスタート位置を示し、そのスタート位置では、基部12と第1のアーム部材10との間、第1のアーム部材10とブリッジ部材13との間、ブリッジ部材13と第2のアーム部材11との間、及び第2のアーム部材11と基部12との間の角度の各々は、180度である。
図2Bに示すように、第2のアーム部材11が第1のアーム部材10に対して長手方向に変位すると、その矩形は図示のように平行四辺形に変換される。この状況において、基部12と第1のアーム部材10との間の角度及びブリッジ部材13と第2のアーム部材11との間の角度は90度より小さくなり、第1のアーム部材10とブリッジ部材13との間の角度及び第2のアーム部材11と基部12との間の角度は90度よりも大きくなる。
図2Bの例では、第2のアーム部材11は、第1のアーム部材10に対して長手方向に距離dにわたって相対的に変位される。
【0029】
図2Cは、基部12が静的基準構造22に対して固定された状況を示す。壁の形態の静的基準構造22は、第1のアーム部材10、第2のアーム部材11、基部12及びブリッジ部材13の間の角度にかかわらず、基部12を所定位置に維持する。第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間に同じ相対変位dが適用された場合、基部12の静的基準構造22に対する固定のために、位置決めアーム8は、
図2Cに示すおおよそ角度α回転される。おおよそ角度αのその回転は、ブリッジ部材13を距離又はストロークSにわたって変位させる。ストローク又は偏位Sの大きさは、ピタゴラス定理を使用して検出することができる。
図2Cから以下のように、回転角αがどのようになるかにかかわらず、基部12とブリッジ部材13とは常に互いに平行である。したがって、走査ヘッドがブリッジ部材13によって取り付け又は支持される場合には、本発明の位置決めアーム8は、Y方向(すなわち、位置決めアーム8に対して横方向)への走査ヘッドの変位を許容しつつ、すべての状況下で配向角を同じに維持する。これは、従来の位置決めアームの使用に起因する角度の変化した向きによって引き起こされる不正確さを排除する。アーム8の回転を可能にするために必要なのは、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間で長手方向の相対変位を引き起こすことができる機構である。
【0030】
そのような相対変位を適用して制御するための可能な機構を含む本発明の位置決めアーム8の概略図が、
図2Dに概略的に示されている。この図では、アクチュエータ要素25が、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11にそれぞれ接続された構造部材29及び30に作用する。好ましい実施形態では、アクチュエータ25は、例えば第1のアーム部材10に対し、固定される一方で、その最終端部は第2のアーム部材11の構造要素30に当接することができる。第2のアーム部材11及び第1のアーム部材10のそれぞれに接続される更なる構造要素38及び37の間における戻りばね40は、構造要素30がアクチュエータ25の最終端部に当接したままであることを確実にすることができる。
図2Dによって二つの矢印によって示されるようにアクチュエータ25を拡大又は引っ込ませることによって、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の相対変位を制御することができる。これにより、本発明のアーム8の回転が可能になる。
【0031】
理解され得るように、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の相対変位を制御及び監視して、走査ヘッド42のY方向の変位を制御できるようにすることが好ましい。したがって、位置決めアーム8はコントローラ33を備えることができ、そのコントローラ33は、その作動をコントロールするためにアクチュエータ25に通信可能に接続されている。位置決めアーム8は、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の正確な相対変位を検出することを可能にするセンサユニット26を更に備えることができる。センサユニット26は、レーザビーム27を要素30上に存在する鏡面反射面(specular reflective surface)に送る光学センサユニットとしうる。戻りビームは、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の相対変位を正確に測定する干渉計によって捕捉されてもよい。或いは、センサユニット26は、電気式センサユニット(例えば容量センサ又は誘導センサ)などの異なるタイプであってもよい。センサユニット26は、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の検出された相対変位を入力として使用してアーム8の回転角度を計算するコントローラ33にセンサ信号を与える。例えば、メモリ34は、検出された相対変位とアーム8の回転角との間の関係に関するデータを提供してもよい。
【0032】
位置決めアーム8の側面図は、
図3に概略的に示されている。位置決めアーム8は、その基部12によって更なるアクチュエータ52に対して取り付けられてもよく、その更なるアクチュエータ52は、静的基準構造50上のレール51と協働することによって、X方向(矢印53によって示される方向)へのアーム8の延長を可能にする。ブリッジ部材13から延長するキャリア44は、走査ヘッド42を支持する。走査ヘッド42が基準面55に対して正確に位置決めされている場合(これは、面55上の基準グリッドを監視することによって検出されうる)、走査ヘッド42を、そのフィード46とともに基準45上に注意深く位置決めすることができる。そして、走査ヘッド42は位置決めアーム8から機械的に自由である。次に、走査されるべきウェハは、上方(図示せず)から、プローブ55が走査顕微鏡検査を実施することによってウェハ面の検知を可能にするまで、下方へ移動されることができる。
【0033】
図4Aは、本発明の位置決めアーム8の概略上面図を示す。
図4Aは、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11と、基部12及びブリッジ部材13とを示す。基部12は静止した基準構造22に取り付けられている。ヒンジ17、18、19及び20は、ハーバーランドヒンジとしても知られている固定可能ヒンジである。ハーバーランドヒンジは、加えられた力に対する偏向角の高度な再現性を提供する。そのような力は、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11のそれぞれの構造要素29、30間に変位を引き起こすアクチュエータ25によって、加えられてもよい。
図4Aの円で囲まれた部分の拡大図が
図4Bに示されており、アクチュエータ25をより詳細に示す。
図4Bは、
図5において更に拡大されている。
【0034】
図5に示すように、アクチュエータ25は、大きなストローク及び小さなストロークを誘起するためのいくつかのアクチュエータ部を含む。第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の大きなストロークの相対変位を誘発するために、要素61において回転するスピンドル60によって大ストロークアクチュエータ部が与えられる。スピンドル60の端部において、ピエゾタイプのアクチュエータ65が、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の小さなストローク変位を誘発すること可能にする。理解されるように、第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の小さなストローク又は大きなストロークの変位を使用するために、異なるタイプのアクチュエータを適用することができる。スピンドル60の作動は、それを構造要素30の方向に伸長させることによって、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11のそれぞれにおいて力67及び68を誘起する。この結果、第1及び第2のアーム部材10,11間の相対変位、ひいては本発明の位置決めアーム8の回転が生じる。
図5は、相対変位の正確な検出を可能にするように鏡面反射面にレーザビーム27を提供する光学センサユニット26を更に示す。
【0035】
要素61を含むピエゾアクチュエータ65及びスピンドル60は、アクチュエータ25の動作に起因するどんな汚染も位置決めアームの下方の面上に落ちることを防ぐカバー58(ここではベローズ)の内側に配置される。理解されるように、走査プローブ顕微鏡装置が操作される状況下では、わずかな汚染さえも面の不正確な測定を引き起こすことがある。これは、カバー58によって可動部分のいずれをも覆うことによって防止される。
図5は、構造要素30が常にアクチュエータ25の端部に当接することを確実にするように、第2のアーム部材11を第1のアーム部材10に対して付勢する戻りばね40を更に示す。
【0036】
図6は、本発明の位置決めアーム8の動作を概略的に示す。
図6において、構造要素29及び30に作用するアクチュエータ25によって誘起される第1のアーム部材10と第2のアーム部材11との間の相対変位は、走査ヘッド42を横方向に変位させるために位置決めアーム8において回転をもたらす。
図6から以下のように、ブリッジ部材13は、アーム8の回転角度に関係なく、基部12に対して平行のままである。これは、走査ヘッド42の配置と、走査ヘッド42が配置される面55上に位置する基準グリッド上のその位置の正確な検証と、を可能にする。また
図6は、バーランドヒンジ17、18、19及び20の動作を示す。
【0037】
図7は、本発明の位置決めアームにおいて適用されたアクチュエータの拡大されたCAD画像を提供する。アーム8は、2つの戻りばね40−1及び40−2を備えている。アクチュエータは、ベローズの形態のカバー58によって囲まれたピエゾ型アクチュエータ65と、スピンドル60と、を含む。要素26’は、電気式のセンサユニットである。本ケースにおいて、センサユニット26’は、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11のそれぞれの間の相対変位を正確に検出することができるインダクタ型(inductor type)のセンサユニットである。
【0038】
図8は、走査プローブ顕微鏡装置における面に対する走査ヘッドの位置決めを制御するための本発明の方法を概略的に示す。80においてスタートし、コントローラは、ステップ82における面に対する新たな望ましいXY位置を受信することができる。新たな位置を受け取ったら、コントローラ33はステップ84においてセンサユニット26を作動させて走査ヘッドの現在のY位置を検出することができる。理解されるように、ステップ84の前、途中又は後、或いは
図8の方法の終わりに向かってさえも、コントローラ33は、X位置を調整することもできる。
図3を参照すると、X位置の調整は、必要な変位に応じて、位置決めアーム8を延長することによって又はそれを後退させることによって、従来的に達成されてもよい。走査ヘッド42の現在のX位置の調整は、本発明に関して関連性がないと考えられるので、
図8の方法には示されていない。
【0039】
Y位置を調整するために、ステップ84において、センサユニット26はコントローラ33によって作動させられ、現在のY位置を検出する。ステップ86において、コントローラ83は、センサユニット26から現在のY位置を受信する。次のステップ88では、コントローラは、現在のY位置が正しいY位置かを、それを受信した新しいXY位置と比較することによって検出する。面に対する走査ヘッド82の現在のY位置が正しくない場合、その方法は、コントローラ33によってアクチュエータ90を動作させることによって継続する。アクチュエータ90を動作させるために、コントローラ33は、小さなストロークのアクチュエータ部及び大きなストロークのアクチュエータ部のどちらかを操作してもよく、第1のアーム部材10及び第2のアーム部材11の間の相対変位と、位置決めアームの回転角度αとの間の関係を定めるメモリ34からのデータを読み出すことによってそうしてもよい。所望の量の変位を誘発するためのアクチュエータを操作した後、オペレータはステップ84に戻り、センサユニット26が現在のY位置を検出するために操作されることができる。ステップ86において現在のY位置を受信した後、コントローラ33は受信したY位置が正しいかどうか再度チェックする。
【0040】
ステップ88において、ステップ86で検出されたY位置が実際にステップ82の受信された新しいXY位置の所望のY位置であると検出された場合、その方法はステップ92に進み、現在のY位置をメモリ34に記憶することができる(このステップは随意的である)。そして、94において示されるように、例えば新たなXY位置がコントローラによって受信されることになって、その方法は終了する。
【0041】
本発明は、そのいくつかの特定の実施形態に関して記載されてきた。図面に示され、本明細書に記載された実施形態は、例示目的でのみ意図されており、いかなるやり方又は手段によっても本発明を限定することが意図されていないことが理解される。本明細書で論じられる本発明の文脈は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。