特許第6880002号(P6880002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880002
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】オストミーデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/445 20060101AFI20210524BHJP
   A61L 28/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61L 27/16 20060101ALI20210524BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20210524BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20210524BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A61F5/445
   A61L28/00
   A61L27/16
   A61L27/18
   A61L27/50 100
   A61L27/40
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-512174(P2018-512174)
(86)(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公表番号】特表2018-527999(P2018-527999A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】DK2016050297
(87)【国際公開番号】WO2017041807
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年8月27日
(31)【優先権主張番号】PA201570585
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】500085884
【氏名又は名称】コロプラスト アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ウルゴー
(72)【発明者】
【氏名】ニルス ピンホルト
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−500075(JP,A)
【文献】 特表2011−528253(JP,A)
【文献】 特開2006−296634(JP,A)
【文献】 特表2010−536438(JP,A)
【文献】 特開平11−332995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/00 − 6/24
A61L 15/00 − 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性トップフィルムを含む適応可能なオストミー面板であって、第1のセクション及び第2のセクションを有し、且つ少なくとも前記可撓性トップフィルムの近位表面上の第1の弾性粘着剤と、前記第1のセクションの内部境界を画定するストーマ受入用貫通穴であって、前記第1のセクションは、前記貫通穴に隣接し、且つ前記貫通穴から半径方向に延び、及び前記第2のセクションは、前記第1のセクションを取り囲み、前記第2のセクションの外部境界は、前記面板の外部境界を画定する、ストーマ受入用貫通穴と、1つ以上の剥離ライナーとを有し、ストーマ周囲皮膚表面との初期係合のための略凸形状を有し、且つ前記ストーマ周囲皮膚表面に永久係合するために略凸形状から略凹形状に移行するように構成されており、前記可撓性トップフィルムの遠位表面上において前記内部境界と前記外部境界との間に配置された補強リングを含み、前記第1のセクションは、前記面板の前記遠位表面の半径方向範囲内において、前記内部境界から前記補強リングの内縁部と外縁部との間の位置まで設けられた同心状の起伏の列を含む、適応可能なオストミー面板。
【請求項2】
前記起伏は、山及び谷の形態である、請求項1に記載のオストミー面板。
【請求項3】
前記起伏は、少なくとも2つの山を含む、請求項2に記載のオストミー面板。
【請求項4】
前記第1のセクションの皮膚に面する近位表面は、平坦な表面である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項5】
前記起伏は、半径方向において前記補強リングの幅より大きい幅を有する山を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項6】
半径方向において前記補強リングの幅より大きい幅を有する前記山は、前記第1の弾性粘着剤の粘着剤層の厚みの80〜95%の厚みを有する、請求項5に記載のオストミー面板。
【請求項7】
前記補強リングは、前記ストーマ受入用貫通穴からの半径方向距離の0〜60%に配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項8】
前記補強リングは、前記第1の弾性粘着剤の粘着剤層及び/又は前記トップフィルムより硬質の材料で作製されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項9】
前記補強リングは、熱可塑性材料で作製されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項10】
前記面板の前記第2のセクションは、半径方向において中心領域から離れる方に延びる複数の花弁部を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項11】
前記複数の花弁部は少なくとも3つの花弁部を含む、請求項10に記載のオストミー面板。
【請求項12】
前記複数の花弁部は、前記中心領域の周縁に等間隔で離間されている、請求項10又は11に記載のオストミー面板。
【請求項13】
前記少なくとも1つの剥離ライナーは、形態安定であり、且つ前記面板の凹状輪郭を固定することができる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項14】
前記第1の弾性粘着剤の粘着剤層と前記トップフィルムとを組み合わせた剛性より高い剛性を有する剥離ライナーが設けられている、請求項1〜13のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項15】
前記剥離ライナーは、0.15mmの厚みを有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項16】
前記面板の外側周縁部全体にエンボス線が設けられている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のオストミー面板。
【請求項17】
収集バッグ及び請求項1〜13のいずれか一項に記載の適応可能なオストミー面板を含むオストミー装具であって、前記収集バッグは、前記面板から着脱可能である、オストミー装具。
【請求項18】
収集バッグ及び請求項1〜14のいずれか一項に記載の適応可能なオストミー面板を含むオストミー装具であって、前記収集バッグは、前記面板と一体化されている、オストミー装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
使用者の皮膚表面に取り付けるための適応可能なオストミー面板、及び粘着性面板に接続される収集用バッグが開示される。適応可能な面板は、トップフィルムと、粘着剤組成物と、少なくとも1つの剥離ライナーとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】適応可能な面板の一実施形態を示す。
図2】適応可能な面板の一実施形態の断面図を示す。
図3a-3b】収集バッグのためのカップリングを備える適応可能な面板の一実施形態を示す。
図4】反転された適応可能な面板の一実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
実施形態は、添付の特許請求の範囲による適応可能なオストミー面板を提供する。
【0004】
添付の特許請求の範囲の主題に関するいくつかの定義を以下に記載する。
【0005】
デバイス又はデバイスの一部の近位側について述べる場合、オストミー装具が使用者に装着されたときに皮膚に面する側について述べる。同様に、デバイス又はデバイスの一部の遠位側について述べる場合、オストミー装具が使用者に装着されたときに皮膚と反対側に面する側について述べる。換言すると、近位側は、装具が使用者に取り付けられたときに使用者に最も近い側であり、遠位側は、反対側、即ち使用時に使用者から最も遠く離れた側である。
【0006】
軸方向又は軸方向には、装具が使用者に装着されたときのストーマの方向と定義される。したがって、軸方向は、使用者の腹部表面に実質的に垂直である。
【0007】
半径方向又は半径方向には、軸方向を横断する方向、即ちストーマの方向を横断する方向と定義される。
【0008】
「適応可能なオストミー面板」は、使用者又は保健医療従事者の所期の相互作用により、オストミー面板の少なくとも一部がその形態又は形状を変化させ得ることを定義するものである。
【0009】
「可撓性トップフィルム」は、製品を使用者の皮膚に付着させるための粘着材料をその上に担持又は配置させたフィルム材料を定義するものであり、トップフィルム材料は、非常に高い伸度又は伸び率でも破断又は弱化しない。可撓性トップフィルムについて以下で更に定義する。
【0010】
「皮膚に優しい弾性粘着剤」は、使用者の皮膚に刺激を与えるリスクが低い粘着材料を定義するものであり、粘着材料は、破断するか又は特性を略変えることなく可撓性トップフィルムの伸長及び緩和に追従することができる。皮膚に優しい弾性粘着剤について以下に更に定義する。
【0011】
「粘着性面板」は、皮膚に優しい粘着剤によって近位表面上にコーティングされたトップフィルムを定義するものである。
【0012】
「略凸形状」は、要素又はその対応する表面が全体的に凸面を付与する形状又は形態を有することを定義するものである。換言すると、全体的な要素又はその対応する表面の一部を構成する小さいセクション又はゾーンは、例えば、直線形状又は形態を有してもよいが、要素又は表面は全体として凸形状を有する。シート状又は板状要素において1つの主表面が凸形状を有する場合、裏側の主表面は、必然的に対応する凹形状を有し得ることが当然理解されるべきである。しかしながら、単に明確にするため及び本願に関して、両方とも上に定義したように、「凸」は近位側、及び「凹」は遠位側を意味することが好ましい場合がある。
【0013】
同様に、「略凹形状」は、要素又はその対応する表面が全体的に凹面を付与する形状又は形態を有することを定義するものである。
【0014】
「初期係合」は、製品の適用工程におけるオストミー面板と使用者の皮膚表面との間の最初の接触を定義するものである。しかしながら、オストミー面板が完全に及び機能的に正しく皮膚表面に取り付けられることを意味するものではない。
【0015】
「永久係合」は、適用工程が完了し、オストミー面板が完全に及び機能的に正しく皮膚表面に取り付けられたときのオストミー面板の係合又は取り付けを定義するものである。しかしながら、永久係合は、オストミー面板の通常寿命又は装着時間にわたることを単に意味するものであると理解すべきである。
【0016】
「剥離ライナー」は、皮膚に優しい粘着剤の近位(皮膚接触)側を覆うライナーを定義するものであり、少なくとも粘着剤の特性を保持し、粘着表面が使用直前まで露出されないようにする。
【0017】
「密に係合する」は、オストミー面板と皮膚表面との間の取り付けが場合により許容できるほど良好であり、少なくとも面板の近位表面上に折り目又はしわがないか、わずかな折り目又はしわのみがあることを定義するものである。
【0018】
「ストーマ周囲皮膚表面」は、ストーマに隣接し且つストーマを取り囲む皮膚表面の領域を定義するものである。この領域の範囲は、オストミー面板の少なくとも第1のセクションによって覆われる皮膚表面積に略一致すると考えてよい。したがって、第1のセクションは第2のセクションよりもストーマに近い。
【0019】
「反転可能な」は、少なくとも第1のセクション及び/又は第2のセクションが、セクションの急な切り換え又は「裏返し」を伴わない(即ち、特定の力閾値に達すると形状を変化し得る双安定構造で知られるような)動きにより、略凸形状から略凹形状に又はその逆に移行するのに抵抗が略ないか又は全くないことを定義するものである。
【0020】
「保管形態」は、適用が完了する前の面板の状態を表すものである。面板は、この形態において安定しており、この形態において保管することができる。適用の初期段階において、面板は保管形態であってもよい。
【0021】
「使用形態」は、適用が完了した後の面板の状態を表すものであり、保管形態を反転した形態である。
【0022】
実施形態は、可撓性トップフィルムを含む適応可能なオストミー面板であって、第1のセクション及び第2のセクションを有し、且つ少なくとも前記可撓性トップフィルムの近位表面上の第1の皮膚に優しい弾性粘着剤と、前記第1のセクションの内部境界を画定するストーマ受入用貫通穴であって、前記第1のセクションは、前記貫通穴に隣接し、且つ前記貫通穴から半径方向に延び、及び前記第2のセクションは、前記第1のセクションを取り囲み、第2のセクションの外部境界は、面板の外部境界を画定する、ストーマ受入用貫通穴と、1つ以上の剥離ライナーとを有し、ストーマ周囲皮膚表面との初期係合のための略凸形状を有し、且つストーマ周囲皮膚表面の形状に密に係合してストーマ周囲皮膚表面に永久係合するために略凹形状に反転可能であるように構成されており、可撓性トップフィルムの遠位表面上において内部境界と外部境界との間に配置された補強リングを含み、第1のセクションは、面板の遠位表面の半径方向範囲内において、内部境界から補強リングの下の位置まで設けられた同心状の起伏の列を含む、適応可能なオストミー面板を提供する。
【0023】
一実施形態では、面板の遠位表面は同心状の起伏の列を含む。一実施形態では、この起伏は谷及び山の列の形態である。一実施形態では、起伏は面板内の隆起として設けられており、可撓性トップフィルムが形成されており、粘着剤層は可撓性トップフィルムの起伏に追従するように形成されている。一実施形態では、面板の粘着剤層は、比較的薄い厚みの谷及び比較的厚い厚みの山へ形成されている。粘着剤層の厚みは、粘着剤層の皮膚に面する(近位)表面から可撓性トップフィルムの近位表面までの距離として、粘着剤層の皮膚に面する表面に垂直に測定される。粘着剤層の皮膚に面する(近位)表面は概ね平坦な表面である、即ち、粘着剤層の皮膚に面する表面は起伏していないと理解すべきである。実施形態では、起伏は、第1のセクションの全体に又は第1のセクションの一部分のみに連続的に設けられている。一実施形態では、起伏は同一パターンで形成されている。一実施形態では、起伏は第1のセクションの別々の領域に配置されている。実施形態では、起伏は、補強リングの下に少なくとも部分的に延びている可撓性トップフィルムの領域内、及びリングの隣の半径方向に内側に延びている領域内に設けられている。
【0024】
実施形態では、同心状の起伏は、ストーマ受入用貫通穴から半径方向外側へ補強リングに向かって進む同心状の山及び谷の列によって画定される。実施形態では、同心状の山及び谷は略円形であり、又は楕円形、星形、四角形、若しくは他の幾何学的構成など、面板の外周部の幾何学的形状又は補強リングの幾何学的形状に対応する。
【0025】
実施形態では、山間の距離は、1〜3mm、例えば1〜2mm、例えば1,5〜2mmであってもよく、この距離は、山の中心から隣接する山の中心まで半径方向に測定される。山における粘着剤層の厚みは、1〜6mm、例えば1〜4mm、例えば1〜2mm、又は更に1,2〜1,8mmであってもよい。谷における粘着剤層の厚みは、山における粘着剤層の厚みの5〜90%、例えば10〜85%、例えば15〜80%、例えば20〜80%、又は更に約70%であってもよい。
【0026】
開示される面板は、突出しているストーマの周りのストーマ周囲皮膚表面への適用中に反転可能であるように構成されている。このような反転により、可撓性トップフィルムは塑性変形する傾向にあり、粘着剤層は圧縮される傾向にある。
【0027】
本開示の実施形態によれば、第1のセクションの起伏は、ストーマ周囲皮膚表面への適用中に面板が反転されたとき、可撓性トップフィルムが十分に伸張できる(「伸びる」)ことを可能にする。更に、谷における粘着剤層の比較的薄い厚みにより、粘着剤が圧縮する傾向が低下する。これにより、最終的に皮膚表面から面板を脱離することにつながり得る内部境界の近傍における面板の望ましくない「浮き」を低減又は排除する。換言すると、起伏の効果の1つは、薄い層によるより可撓性のある粘着剤の構造とともに、山及び谷によってより多くのトップフィルムが付与されることから、面板が反転されたときに可撓性トップフィルムが皮膚から粘着剤を引き離さないことである。
【0028】
補強リングと貫通穴との間に位置する面板の部分である第1のセクションにある山及び谷は、トップフィルム及び粘着剤がより容易に伸張及び圧縮するのを可能にするとともに、面板を使用者の皮膚に取り付けるために反転した後、面板が皮膚の輪郭に追従することを可能にする。
【0029】
実施形態では、補強リングの下の領域に起伏が設けられている。この起伏は、1つ以上の山及び谷の形態であってもよく、又は領域全体に延びる1つの低い山であってもよい。実施形態では、補強リングの下の低い山は、補強リングの幅より大きい幅(半径方向に測定した)を有する。リングの下の低い山は、リングに実質的に一致するか、又はリングより広い幅を有してもよい。リングの下及びリングの外側周縁部に沿った、トップフィルムへのリングの固定点近傍の起伏は、補強リングが枢動するためのヒンジとして機能してもよく、それにより、面板の反転後、第1のセクションが上向きに裏返ることを防止する。
【0030】
実施形態では、低い山は、山の粘着剤層の厚みの80〜95%、例えば86〜92%の厚みを有してもよい。
【0031】
実施形態では、起伏は少なくとも2つの山及び2つの谷を含む。
【0032】
実施形態では、面板の外部境界は、第2の部分の外部境界によって画定される。
【0033】
実施形態では、面板の第2のセクションは、半径方向に延びている花弁部を含み、花弁部は、半径方向により少なく延びているブリッジによって相互連結されている。したがって、実施形態では、面板の外周部は星形又は花形である。実施形態では、面板は少なくとも3つの花弁部、例えば4つの花弁部、例えば5つの花弁部、又は更に例えば6つの花弁部を含む。
【0034】
実施形態では、花弁部は、中心部分の周縁に等間隔で離間されていてもよい。
【0035】
花弁部は、花弁部のない面板に比べて少ない折り目及びしわを有することにより、膨らんだストーマ周囲皮膚表面に面板を「調整してフィットさせること」を容易にする。
【0036】
実施形態では、外側周縁部に隣接する面板の周囲部分にエンボス線が設けられている。実施形態では、エンボス線はブリッジ又は花弁部などの外側周縁部のセクションに配置されている。実施形態では、エンボス線は面板の外側周縁部全体に沿って適用されている。エンボス線は面板の可撓性を増加させるのみならず、面板の周囲部分の折り目及びしわを低減する。実施形態では、エンボス線は、経験から折り目が通常又は自然に発生する場所に配置されており、それにより折り線の力を吸収する。
【0037】
実施形態では、面板に、適用前の近位粘着表面を保護するための少なくとも1つの剥離ライナーが設けられている。剥離ライナーは形態安定であってもよく、且つ面板の凹状輪郭を安定させ、固定することが可能であってもよい。実施形態では、面板が弾性であるため、適用まで面板をその凸形状に維持できるほど十分に剛性のある剥離ライナーを有すると有利である。
【0038】
実施形態では、剥離ライナーは熱形成できる材料から作製されている。剥離ライナーは、トップフィルムと粘着剤層とを組み合わせた剛性より高い剛性を有してもよい。剥離ライナーは、0.10〜0.20mm、より好ましくは0.15mmの厚みを有してもよい。剥離ライナーは0.15mmの厚みを有してもよい。
【0039】
オストミー面板とともに使用される少なくとも1つの剥離ライナーは、好適には、シリコン処理又はフッ素処理したライナー、例えば、シリコン処理又はフッ素処理したクラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレートフィルムであってもよい。
【0040】
実施形態では、適応可能な面板に収集バッグが設けられる。収集バッグは面板に永久的に取り付けられても、着脱式であってもよい。
【0041】
実施形態では、オストミー面板は、収集バッグの取り付け用のカップリング手段が設けられている。カップリング手段は機械的カップリングの形態であっても、粘着剤カップリングであってもよい。
【0042】
補強リングは、剥離ライナーが取り外されたとき、適応可能な面板が面板の凸形状を維持し、安定させることを容易にする。
【0043】
実施形態では、補強リングは、ストーマ受入用開口部からの半径方向距離の0〜60%、例えば内部境界から外部半径方向境界までの半径方向距離の0〜50%、又はより具体的には内部境界から外部半径方向境界までの半径方向距離の1〜40%、又は更により具体的には内部境界から外部半径方向境界までの半径方向距離の2〜30%、又は特に内部境界から外部半径方向境界までの半径方向距離の5〜20%に配置されている。本明細書中において外部半径方向境界は、面板に花弁部が設けられている場合にはブリッジにおいて測定された面板の外部境界の最小半径と定義される。補強用リングは、面板の第1のセクションと第2のセクションとの間の境界を画定する。
【0044】
実施形態では、補強リングは、粘着剤層及び/又はトップフィルムより硬質の材料で作製されている。実施形態では、補強リングは熱可塑性材料で作製されている。
【0045】
実施形態では、補強リングは、半径方向軸線に沿って、オストミー面板の粘着剤及び/又はトップフィルムより高い剛性を付与する材料で作製されている。実施形態では、補強リングは、軸方向に沿って、オストミー面板の粘着剤及び/又はトップフィルムより高い剛性を付与する材料で作製されている。
【0046】
実施形態では、補強リングは、剥離ライナーが取り外されたときに面板を凸形状に安定させることを容易にする。
【0047】
実施形態では、補強リングの幅は、約5〜7mm、例えば5〜7mm、例えば5.5mmである。2部品オストミー装具に関する実施形態では、補強リングは収集バッグの取り付け用のカップリングと組み合わせることができる。このような実施形態では、補強リングの幅は、11mmまででより広く作製されている。
【0048】
補強リングは、その外側周縁部に沿ってトップフィルムに取り付けられ、粘着剤ウェハがリングの下でより自由に伸張及び圧縮することを可能にしてもよい。
【0049】
面板の凹/凸形状は、球の一部分であってもよい。これは、突出したストーマへの簡単な装着を促す。面板の中心部の湾曲は、湾曲した身体部分にフィットしてもよく、外部境界に沿う花弁部はこの身体部分の周辺領域への調整されたフィット性を可能にしてもよい。実施形態では、面板の第1のセクションの少なくとも一部分は実質的に平坦であってもよい。
【0050】
第1の態様において、いくつかの有利な効果が得られる。第1に、隆起若しくはヘルニア又はそれ以外の「盛り上がった」形状の皮膚表面上にストーマが位置する使用者の製品適用手順の制御が向上する。
【0051】
この効果は、少なくとも部分的に以下の手法で達成される。少なくとも部分的に第1のセクションを覆う少なくとも1つの剥離ライナーを取り除いた後、使用者は、ストーマ受入用貫通穴に直接隣接する第1のセクションの一部分をストーマ周囲皮膚表面と係合させ、これにより、可撓性トップフィルムの近位表面上の粘着剤の小領域のみをストーマ周囲皮膚表面と係合させる。
【0052】
これにより、初期係合の位置合わせ不良があった場合、可撓性トップフィルムの近位粘着表面全体を皮膚表面と係合させることなくオストミー面板の位置をより適切な位置に修正する機会が使用者に与えられる。これは、使用者によるストーマの視認が限られているか又は全くできない場合に特に有利となり得る。
【0053】
更に、少なくとも第1のセクションは第1の略平坦又は凸形状を有することから、使用者が製品を適用するために隆起又はヘルニア上に位置するストーマに手を伸ばす際、ストーマ及び/又はストーマ周囲領域の触覚及び/又は視認が向上する。この理由は、最初にストーマ周囲皮膚表面に係合していない第1のセクションの部分が皮膚表面から離れる方に延びていることで面板と皮膚との間にいくらかのスペースが残り、使用者の1本以上の指のための余地が与えられ、これにより、第1のセクションはまた、面板をストーマに対して正しく位置決めするために行う可能性のある視認を遮断したり妨げたりしないからである。
【0054】
第1のセクションの初期係合が実施されると、使用者は面板を略凹形状に反転させ、第1及び第2のセクションを隆起又はヘルニア上のストーマ周囲皮膚表面と密に係合させる。
【0055】
本開示によれば、使用者が第1のセクションの遠位表面に弱い圧力をかけると、第1のセクションの粘着近位側はストーマ周囲皮膚表面の形状にスムーズに適応する。
【0056】
これは、使用者が指をストーマに直接隣接させて配置し、遠位側表面に圧力をかけ、第1のセクションの遠位表面に、ストーマから半径方向に離れる方に指を優しく滑らせることにより自らの指で1つ以上の半径方向の動きを描くことにより、有利にしかし非排他的に行ってもよい。或いは、この適応は、指をストーマに直接隣接させて配置し、遠位表面に圧力をかけ、第1のセクションの遠位表面全体をストーマから次第に離れる方に「螺旋状」パターンで指を優しく滑らせる動きによって行ってもよい。
【0057】
しかしながら、適応の手法を問わず、少なくとも可撓性トップフィルムの可撓性及び皮膚に優しい粘着剤の弾性は、第1のセクションの平坦又は凸形状とともに、第1のセクションの密な係合を可能にする。
【0058】
上記から理解され得るように、可撓性トップフィルム及び皮膚に優しい弾性粘着剤は、連続的で規則的な動きによる、ストーマ周囲皮膚表面への適用のための第1のセクションの反転を容易にする。これにより、使用者による適用工程の制御が向上する。これは、例えば、双安定構造(即ち1つの形態から別の形態に、例えば、凸から凹に形状を変化する1つの所定の状態を有する構造)の場合に当てはまる急な動きとは対照的であると理解すべきである。
【0059】
本発明による可撓性トップフィルムは、主として、1種以上のエチレン酢酸ビニル(EVA)材料、1種以上の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)系材料、及び1種以上のポリエチレン(PE)材料を基にしたブローフィルムであってもよい。
【0060】
特にしかし非排他的に、EVA及びTPU系材料は、トップフィルムが粘着剤及び任意の第1のカップリング手段などのオストミー面板の他の要素と係合するための、又はワンピース型オストミー装具に使用される面板の場合、人体の排泄物用の収集用バッグの材料と係合するための良好なベースを付与してもよい。PE材料は、特にしかし非排他的に、使用者の皮膚表面の形状と密に係合することができるように可撓性トップフィルムを凸形状又は凹形状に形成するための適切なベースを付与してもよい。
【0061】
実施形態では、可撓性トップフィルムは3層積層品である。
【0062】
特にしかし非排他的に、可撓性トップフィルムは、3つの個々の(ブロー成形)層を含む積層品として作製してもよく、層のそれぞれは、EVA、TPU若しくはPEのいずれか、又はこれらのブレンドから作製されている。3層を同時にブロー成形してもよい。3層積層品では、最遠位(オストミー面板が使用されている状態を基準として)層は、Elvax(登録商標)3190と、DuPontのEVA材料と、ArkemaのPE材料であるOrevac(登録商標)18360とのブレンドから作製してもよく、中間層はElvax(登録商標)3190と、BASFのTPU−ポリエステル材料であるElastollan(登録商標)890と、BASFの別のTPU−ポリエステル材料であるElastollan(登録商標)978とのブレンドから作製してもよく、近位層は、また、Elvax(登録商標)3190と、Elastollan(登録商標)890と、Elastollan(登録商標)978とのブレンドから作製してもよい。これらの成分に加えて、3層積層品の遠位層及び近位層のそれぞれは微量のスリップ剤も含んでよい(オストミー面板の製造のためにトップフィルム材料を巻き出す際の補助のため)。スリップ剤は、PE/EVAポリマー担体含有シリカ、オレアミド(脂肪酸オレイン酸)及びエルカ酸アミド(一価不飽和オメガ9系脂肪酸)、例えば、Polystatic(登録商標)90200−2であってもよい。スリップ剤中のシリカ、オレアミド及びエルカ酸アミドはスリップ効果を付与する。
【0063】
可撓性トップフィルムの総厚は30〜70μ、例えば35〜50μ、例えば40μの範囲であってもよい。3層積層品の実施形態では、各個々の層は、個々の層の製造を容易にするために少なくとも10μの厚みを有してもよい。
【0064】
可撓性トップフィルムは可撓性を有してもよく、可撓性は、可撓性トップフィルム材料が破壊する(可撓性トップフィルムの塑性変形が起こる点とみなされる)までの可撓性トップフィルム材料の伸張の比率として測定される。可撓性トップフィルムは、破壊までに250〜700%伸張可能、例えば300〜600%伸張可能、例えば350〜450%伸張可能、例えば400%伸張可能であってもよい。
【0065】
皮膚に優しい弾性粘着剤層は1つ以上の粘着剤層を含んでもよい。
【0066】
本発明による第1の皮膚に優しい弾性粘着剤は、医療目的に好適な任意の感圧粘着剤組成物であってもよい。この感圧粘着剤組成物は、ゴム系エラストマー基材及び1種以上の水溶性又は水膨潤性ハイドロコロイドを含んでもよい。この粘着剤組成物は、1種以上のポリイソブチレン25〜60%と、1種以上のスチレン共重合体3〜35%と、1種以上のハイドロコロイド20〜60%との実質的に均一な混合物を含み、1種以上のポリイソブチレンと、1種以上のスチレン共重合体と、1種以上のハイドロコロイドとの重量パーセントを合計すると粘着剤組成物の100重量%になる。このような組成物の更なる情報については、本出願人に付与された欧州特許第1541180B1号明細書を参照されたい。
【0067】
実施形態では、第1の皮膚に優しい粘着剤は弾性である。これは、第1の皮膚に優しい粘着剤が弾性特性を有することを意味する。
【0068】
第1の皮膚に優しい弾性粘着剤層の厚みは、800μm〜2000μm、例えば1000μm〜1800μm、例えば1200μm〜1600μmに対応する0.8〜2mmの範囲内であってもよい。
【0069】
オストミー面板の製造について、製造の一例は以下の通りである。まず、可撓性トップフィルムの近位表面上に粘着剤を付与し、その後、少なくとも1つの剥離ライナーを粘着表面に付与し、平坦な積層品ブランクを用意する。平坦な積層品ブランクの少なくとも第1のセクションを、その後、続いて真空成形機械内に置く。この成形ツールは、平坦な第1のセクション及び凸状の第2のセクションなどの適切な形態を有する。積層品ブランクを軟化させるために、放射熱源などの加熱手段を真空成形機械とともに配置し、適切な保持時間にわたり積層品ブランクに熱及び真空成形を施す。或いは、積層品ブランクはまた、加熱及び圧力ダイ、又は事実上、任意の他の適切な手順により製造してもよい。
【0070】
第1の皮膚に優しい粘着剤はその弾性により、成形プロセスにおいて、可撓性トップフィルム及び少なくとも1つの剥離ライナーとともに、第1及び第2のセクションの所望の形状に容易に適応してもよい。事実、上記の成形プロセスが施されると、本発明によるオストミー面板の少なくとも第2のセクションは、その高度な適応性にもかかわらず、最初は常に凸形状を有する。前述のように、これは、例えば比較的剛性であり、「反転される/反転されないのいずれか」の概念でのみ適応できる既知の双安定凸型オストミー製品とは対照的であると理解され得る。
【0071】
第2のセクションは、各花弁部を皮膚に取り付けるなど、第2のセクションの周囲セクションを取り付けることによって使用者の皮膚表面に永久に係合させてもよい。皮膚表面への第2のセクションの係合は、第1のセクションがストーマ周囲皮膚表面と永久に係合した後に実施してもよい。
【0072】
第2のセクションは、適応可能なオストミー面板の第1のセクションを取り囲む。
【0073】
実施形態では、適応可能なオストミー面板は、第2の皮膚に優しい粘着剤を含む。
【0074】
第2の皮膚に優しい粘着剤は、面板の一部分に異なる特性及び/又は効果を付与するために提供してもよい。一例として、第2の皮膚に優しい粘着剤は、より少量若しくはより多量のハイドロコロイドなどの水分吸収成分を含んでもよく、及び/又は第1の皮膚に優しい粘着剤に比べてより適応可能であってもあまり適応可能でなくてもよい。第2の皮膚に優しい粘着剤は1つ又は複数のゾーン又は領域に付与されてもよい。このゾーン又は領域は、第2の皮膚に優しい粘着剤の機能又は効果に応じて特定の適切な形状又は形態を有してもよい。
【0075】
実施形態では、第2の皮膚に優しい粘着剤は第1のセクション上に付与されている。
【0076】
この第1及び第2の皮膚に優しい粘着剤の配置により、1つの特性集合を有する第2の皮膚に優しい粘着剤がストーマ周囲領域を覆い、別の特性集合を有する第1の皮膚に優しい粘着剤がストーマ周囲皮膚表面の周囲で(半径方向に越えて)皮膚表面を覆うオストミー面板を効果的に提供する。
【0077】
実施形態では、第2の皮膚に優しい粘着剤は弾性である。これは、第1の皮膚に優しい弾性粘着剤に加えて、第2の皮膚に優しい粘着剤も弾性特性を有することを意味する。第2の皮膚に優しい粘着剤は、第1の皮膚に優しい弾性粘着剤に比べて弾性がより高くても低くてもよく、必要に応じて2つの粘着剤が更に同一の弾性を有してもよい。
【0078】
通常、構造の弾性が引張弾性率(E)(ヤング率としても知られている)により測定される場合、通常、粘着剤の弾性は剛性率(G)により測定される。
【0079】
粘着剤のような粘弾性物質の剛性率は、損失弾性率(G”)と呼ばれる粘性部分と、貯蔵弾性率(G’)と呼ばれる弾性部分とに分離することができる。したがって、粘着剤の弾性応答は、粘着剤分野の当業者に周知であり且つ確立された手法である動的機械的分析(DMA)によりG’を測定することによって測定され得る。
【0080】
通常の日常生活による身体の動きは、通常、約1〜10Hzの振動数において生じる。これらの振動数において、第1の皮膚に優しい弾性粘着剤のG’は850〜1200MPaの範囲であってもよく、一方で第2の皮膚に優しい弾性粘着剤のG’は40〜80MPaの範囲であってもよい。
【0081】
実施形態では、第2の皮膚に優しい弾性粘着剤は、極性可塑化油、又は最終的な第2の粘着剤の10%(w/w)超の含有量の極性可塑化油と少なくとも1種の極性ポリエチレン共重合体との組み合わせを含み、ポリエチレン共重合体の含有量は最終的な第2の粘着剤の10〜50%(w/w)であり、ポリエチレン共重合体は2g/10分(190℃/21.1N)以下のメルトフローインデックスを有する。
【0082】
第2の皮膚に優しい粘着剤に使用してもよいポリマーは、概して、エチレンと極性モノマーとの共重合体である。この共重合体は、典型的には約70%未満のエチレンを含み、50g/m2/日を超える透湿度及び2g/10分(190℃/21.1N)未満のメルトフローインデックスを有する。メルトフローインデックスは、ISO1133及びASTM D1238に記載された方法により測定され得る。このようなポリマーの例は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体及びエチレンとアクリル酸ブチルとの共重合体である。特に好ましいのは、約40%(w/w)超の酢酸ビニル、2g/10分(190℃/21.1N)未満のメルトフローインデックス、及びMVTR試験法(逆カップ法(inverted cup method))により測定した場合に150μmシートで50g/m2/日を超える透湿度を有するエチレン酢酸ビニル共重合体である。
【0083】
第2の皮膚に優しい粘着剤に好適な粘着剤の種類に関する更なる情報は、これらの実施形態に開示され、本出願人の公開出願である国際公開第2009/006901A1号パンフレットに記載されている。
【0084】
実施形態では、第2の皮膚に優しい弾性粘着剤の厚みは、300〜700μ−m、例えば550〜650μm、例えば600μmである。
【0085】
実施形態では、粘着性面板は、使用中、使用者の皮膚に面する近位(「皮膚に面する」)表面と、使用中、使用者の皮膚と反対側に面する遠位(「皮膚に面しない」)表面とを有する。使用前、粘着性面板の近位表面は、粘着剤に着脱可能に付着させた剥離ライナーによって覆われ得る。剥離ライナーは、粘着性面板を皮膚に適用する直前に使用者により取り外され得る。使用前及び使用中の両方において、粘着性面板の遠位表面はトップフィルムで構成され得る。トップフィルムは、収集用バッグを例えば溶接によって粘着性面板に取り付けるために使用され得る。
【0086】
粘着性面板は吸収性粘着剤組成物を含んでもよい。吸収性粘着剤組成物は、水分を吸収することができる。オストミーデバイスの一部分として吸収性粘着剤組成物を有する目的は、吸収性粘着剤組成物に、皮膚により生成された水分を吸収させ、それによりオストミーデバイスの下の皮膚表面に水分が蓄積するのを防止することである。皮膚表面上における水分の蓄積は、浸軟などの皮膚の損傷につながる可能性がある。
【0087】
一態様では、本発明は、収集バッグ及び適応可能なオストミー面板を含み、収集バッグは、面板から着脱可能である、オストミー装具に関する。
【0088】
一態様では、本発明は、収集バッグ及び適応可能なオストミー面板を含み、収集バッグは、ベースと一体化されている、オストミー装具に関する。
【0089】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物は粘着性面板の第1のセクションにのみ配置されている。吸収性粘着剤組成物は粘着性面板の第1のセクション内に略リング形状要素として配置されており、したがって、使用中、ストーマを取り囲んでいてもよい。非吸収の又は吸収がより少ない第1の粘着剤がトップフィルムと第2の粘着剤との間に配置され、半径方向に延びて、面板の第2のセクションを覆ってもよい。
【0090】
剥離ライナーは、医療デバイスの剥離ライナーとして有用なことが知られている任意の材料のものであってもよい。例えば、剥離ライナーは、粘着剤をライナーから容易に剥離することを可能にする剥離性を有するポリマーフィルム、箔、又は紙の形態であってもよい。このような性質は材料に固有のものであってもよく、又は層にシリコン処理を施しても、低表面張力コーティングをコーティングしても、他の適切な表面改質を行ってもよい。剥離ライナーは、概して、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレートなどの機械的に剛性のある裏材上に作製されている。この剛性により、収集デバイスを適用する際に粘着性面板を支持する。
【0091】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物は、粘着性面板の穴の周りに配置されており、剥離ライナーに接触しているリング形状の粘着剤要素の形態である。このようなリング形状の吸収性粘着剤要素は、30〜70mm、例えば40〜70mm、例えば50〜70mm、例えば60〜70mmの直径を有し得る。リング形状の粘着剤要素は、例えば、30mm、40mm、50mm、60mm、又は70mmの直径を有し得る。リング形状要素は、少なくとも10mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mm、少なくとも50mm、10〜20mm、10〜30mm、10〜50mm、20〜30mm、20〜40mm、20〜50mm、30〜40mm、30〜50mm、又は40〜50mmの幅(即ち、リングの表面に沿って測定したリングの内縁からリングの外縁までの距離)を有し得る。要素の幅は要素全体にわたって一定であり得るか、又は要素の幅は変化させてもよい。
【0092】
粘着剤要素はまた、概ねリング形状、楕円形、又は概ね楕円形態のみを有し得る。この場合、前述の直径は、要素の外縁部上の一点から要素の外縁部上の別の点までの最大距離である。
【0093】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物は、スチレン、イソプレン、ブタジエン、エチレン、及びブチレンからなる群から選択されるモノマー単位を含むポリマーを含む。
【0094】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物はスチレンブロック共重合体を含む。
【0095】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物は、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIBS)、及びスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)からなる群から選択されるスチレンブロック共重合体を含む。
【0096】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物はポリエチレン共重合体を含む。
【0097】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物は、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル一酸化炭素、エチレンブチルアセテート、エチレンビニルアルコール、エチレンブチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート一酸化炭素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリエチレン共重合体を含む。
【0098】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物は、ポリイソブチレン(PIB)を含む。
【0099】
実施形態では、第2の吸収性粘着剤組成物は、ハイドロコロイド、マイクロコロイド、塩、及び超吸収性粒子からなる群から選択される吸収性材料を含む。
【0100】
実施形態では、吸収性粘着剤組成物は、組成物の1〜60%(w/w)の量の吸収性材料を含む。
【0101】
例えば、吸収性粘着剤組成物は、組成物の1〜40%(w/w)、又は1〜20%(w/w)、又は20〜40%(w/w)、又は20〜60%(w/w)、又は40〜60%(w/w)、又は25〜50%(w/w)の量の吸収性材料を含む。
【0102】
実施形態では、吸収性材料は、ハイドロコロイド、水溶性塩、単糖、二糖、及びオリゴ糖、糖アルコール、ポリペプチド、有機酸、無機酸、アミノ酸、アミン、尿素、ポリアクリル酸などの超吸収性粒子、ポリエチレングリコールなどのグリコール、ヒュームドシリカ、ベントン、ベントナイト、並びにこれらの混合物から選択される。
【0103】
実施形態では、ハイドロコロイドは、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジャガイモデンプン、アルギン酸塩、ゼラチン、キサンタン又はガムカラヤ、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースの塩、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物から選択される。
【0104】
実施形態では、水溶性塩は、NaCl、CaCl、KSO、NaHCO、NaCO、KCl、NaBr、Nal、KI、NHCl、AlCl、CHCOONa、CHCOOK、HCOONa、HCOOK、及びこれらの混合物から選択される。
【0105】
実施形態では、切換可能及び/又は吸収性粘着剤組成物は、粘着付与剤、増量剤、非反応性ポリマー、油(例えば、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、鉱油)、可塑剤、充填剤、及び界面活性剤などの成分を含んでもよい。
【0106】
図1に、適応可能な面板の一実施形態の頂面図を示す。この板は、ストーマを収容するための穴2を取り囲む第1の中心セクション1と、第2の周囲セクション3とを含み、周囲セクションには、外部境界4にエンボス線が設けられている。板の外部境界は、ブリッジ6によって相互連結した半径方向に延びている花弁部5によって画定される。第1のセクション1から第2のセクション3への移行部には補強リング7が配置されている。第1のセクションは、穴を取り囲む同心状の起伏を含む。
【0107】
図2に、より剛性のある材料のリングの形態の補強構造体7を備える面板の第1の中心部の断面図を示す。収集バッグは面板(図示せず)に取り付けられてもよい。近位表面には、トップフィルムと、粘着剤の遠位の第1の層と、粘着剤の近位の第2の層とが付与されている。補強リング7は外縁部8及び内縁部9を含み、このリングは外縁部9に沿ってトップフィルムに取り付けられている。補強リングの内縁部9はトップフィルムに取り付けられておらず、リングの内縁部9の下にある面板の一部が補強リングから独立して動くことを可能にする。面板の第1のセクション1には、第1の粘着剤へ少なくとも一部延びている同心状の谷10及び山11の形態の起伏が設けられている。起伏は、図2に示すように、山及び谷の高さ並びに幅が同じで均一に分配されてもよく、又は起伏は異なる寸法の谷及び/若しくは山を含んでもよい。
【0108】
図3a及び図3bに別の実施形態を示す。この実施形態では、補強リング7が収集バッグの取り付け用のカップリング12と組み合わせられ、且つカップリング12と一体化されているとともに、1つの山11aがリングの下にあり、これに非常に広い低い山10aが続いている。この広い低い山10aはリングより更に半径方向内側に延びており、したがってリングの内縁部9より更に半径方向内側に延びている。
【0109】
図4a及び図4bに、反転された状態でどのように見えるかを示す面板の断面図を示す。線Aは、反転された後の起伏のない面板の形態を示す一方、線Bは、起伏のある面板の形態を示す。示され得るように、起伏のない板内において面板の内部境界は上昇する一方、起伏のある板は皮膚に追従する。
【実施例】
【0110】
適応可能なオストミー面板の特定の実施例では、以下の材料、寸法、及びプロセスパラメータを用いる。
【0111】
可撓性トップフィルムは無延伸3層積層品であり、最遠位層がElvax(登録商標)3190とOrevac(登録商標)18360とのブレンド、中間層がElvax(登録商標)3190と、Elastollan(登録商標)890と、Elastollan(登録商標)978とのブレンド、近位層がElvax(登録商標)3190と、Elastollan(登録商標)890と、Elastollan(登録商標)978とのブレンドである。本発明によれば、遠位層及び近位層は微量のスリップ剤を付加的に含む。可撓性トップフィルムの厚みは40μmである。
【0112】
本発明による第1の皮膚に優しい弾性粘着剤は、可撓性トップフィルムの近位表面上の、面板の第1のセクションに対応する領域又はゾーン内に付与されている。起伏のない領域における第1の皮膚に優しい弾性粘着剤の厚みは約1600μmである(ごくわずかな製造ばらつきがある)。面板の近位粘着表面上に1つの剥離ライナーが付与されている。この剥離ライナーは80μmの厚みを有する。このブランクをエンボス加工し、切断して、山及び谷の形態の起伏を有する面板とした。山における粘着剤の厚みは1.6mmである一方、谷の厚みは1.2mmであった。山間の距離は1.6mmであった。補強リングの下になる面板の領域には4.5mmの幅及び1.45mmの厚みを有する谷を設けた。
【0113】
この実施例において、第1のセクションは実質的に平坦である一方、第2のセクションは略凸形状を有している。略凸形状を得るために、上に記載したようなオストミー面板ブランク(可撓性トップフィルム+粘着剤+剥離ライナー)を150℃で28秒間予熱し、その後、平坦及び凸状セクションが設けられた成形ツールを備える真空成形機械内で成形した。成形ツールの凸面の深さは12mmであった。粘着板の凸面成形後、トップフィルムに補強リングを溶接した。真空成形後、予め画定されたストーマ受入用貫通穴(寸法、例えば、直径25mm)をオストミー面板ブランク内に開けた。
【0114】
この実施例において、オストミー面板は、頂点を有する半径方向に延びている花弁部を備える星形の輪郭を有している。全体的な直径(花弁部の頂点で測定した)は直径100mmである。
【0115】
方法
吸水率の特定
測定する吸水率と、ヒトのような環境における実際の性能との間のより良い相関を得るために、ISO62標準規格の一部修正版を使用した。1×25×25mmの粘着剤片を、両面接着剤を用いて一片のガラスに固定し、この構造物を32℃の生理食塩水(物質を除去した水中に0.9%のNaCl)中に浸漬した。24時間後、サンプルを取り出し、慎重に滴を落として乾燥し、秤量した。重量の変化を重量増加として、粘着剤の本来の乾燥重量のパーセントで記録し、報告した。以下では、この値をw24hと称する。
【0116】
の特定
「Dynamics of polymeric liquids」,Vol.1,sec.ed.1987,Bird,Armstrong and Hassager,John Wiley and Sons Inc.に定義されているパラメータG、即ち複素弾性率を粘着剤の硬さの測度として使用した。32℃及び0.01HzにおけるGを以下の通り測定した。粘着材料の板を厚さ1mmの板にプレスした。直径25mmの円形サンプルを切り出し、Thermo Electron製のRheoStress RS600レオメータ内に置いた。適用した幾何学的配置は平行平板25mmであり、変形は1%に固定し、測定値が線形範囲内にあるようにした。測定は32℃で行った。
【0117】
裏層の柔軟性の特定
粘着性面板の柔軟性を測定するために標準規格ISO527−1の試験ガイドラインを使用した。しかしながら、ISO527−1に定義されるパラメータは、それ自体、オストミーデバイスの関連パラメータを正確に表すために十分なものではない。オストミーデバイスは、腹部上、即ち、20%を超えて容易に変形し得る皮膚上に配置される。軟質トップフィルムを備える軟質の粘着性面板の対応する変形は同じ大きさである。このため、粘着性面板の柔軟性(弾性率)は、20%の変形における力(ニュートン)を初期サンプル幅で除したものとして定義した。ISO527−2の図1に記載されているものと同様の「ドッグボーン」試験片を使用したが、異なる寸法を有し、いくつかの粘着性面板がISO527−1で試験するには小さすぎることに対処した。ISO527.2の図1のサンプルに対応する試験サンプルを使用したが、狭い部分の幅bは4mmであり、ゲージ長Lは10mmであった。ISO527−1に記載されているように、相対変形εは、絶対変形ΔLを初期長Lで除すことで算出した。変形速度は1mm/sに設定した。ほとんどのフィルムが等方性であることに対処するために、サンプルは最も柔軟な方向において測定した。得られた値は少なくとも3つの測定値の平均値である。
図1
図2
図3a
図3b
図4