特許第6880008号(P6880008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880008
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】毛髪用組成物に関連する改良
(51)【国際特許分類】
   A61Q 5/12 20060101AFI20210524BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20210524BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A61Q5/12
   A61K8/02
   A61Q5/02
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-516796(P2018-516796)
(86)(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公表番号】特表2018-530552(P2018-530552A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016072924
(87)【国際公開番号】WO2017060121
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】15188753.6
(32)【優先日】2015年10月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ディセール,シリス・スバシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,クリストファー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソンブーン,アッタポーン
(72)【発明者】
【氏名】サウジー,ハンナ・マリー
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−513695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡組成物を作製するための方法であって、
a.液体ヘアトリートメント組成物を提供するステップと、
b.チャンバ、取り外し可能な又は再充填可能な加圧ガスユニット及び注出ノズルを備える発泡装置を提供するステップと、
c.前記液体ヘアトリートメント組成物を前記発泡装置の前記チャンバの中に入れるステップと、
d.前記チャンバに前記ガスを充填するステップと、
e.前記液体ヘアトリートメント組成物と前記ガスを混合するステップと、
f.前記組成物が前記ノズルから泡として噴出されるように前記発泡装置を操作するステップと
を含み、前記液体ヘアトリートメント組成物が、少なくとも1つのコンディショニング成分を含み、ヘアスタイリングポリマーを含まない、方法。
【請求項2】
前記取り外し可能であるか又は再充填可能な加圧ガスユニットが、ガスキャニスター及びガスシリンダーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガスが、二酸化炭素及び亜酸化窒素から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体ヘアトリートメント組成物が、包装されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記液体ヘアトリートメント組成物が、シャンプー、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物、及び前処理組成物から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液体ヘアトリートメント組成物が、ヘリパススタンドでスピンドルA又はBを0.5rpmで60秒間使用するブルックフィールドRVTで30℃で測定して、5,000〜750,000センチポイズ、好ましくは50,000〜600,000センチポイズの粘度を有する、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク又はリーブオンコンディショナー組成物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンディショニング成分が、カチオン性界面活性剤、シリコーン、脂肪質及び油から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法から得られ、少なくとも1つのコンディショニング成分を含む、毛髪のトリートメントのための発泡組成物であって、前記組成物がヘアスタイリングポリマーを含まない、発泡組成物。
【請求項9】
請求項に記載の発泡組成物を毛髪に塗布するステップを含む、毛髪を処理する方法。
【請求項10】
前記発泡組成物が生成されてから24時間以内に使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
改良されたコンディショニング、スタイル上の利点、増加したコンディショニング感、輝き、滑らかさ、繊維の整列、ボリューム及び形状上の利点から選択される利点を毛髪へ提供するための、請求項に記載の発泡組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のトリートメントのための発泡組成物を作製する非エアゾール法、それによって得られる発泡組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの毛髪用製品は、液体(本明細書では軟固体を含む)であり、通常、瓶、小袋又は広口瓶に詰められている。ヘアコンディショナー製品は、洗い流すコンディショナーであってもよいし、製品が長時間毛髪に残るリーブインコンディショナーであってもよい。
【0003】
毛髪への適用は、通常、例えば瓶から絞り出すか、広口瓶からすくい取ることによって、手の上に小出しし、その後、手から毛髪の上に移すことによって実行される。そのような適用は、いくつかの不利益をもたらす。それは、広口瓶からすくうことを繰り返すことによって微生物汚染をもたらし得る。製品は毛髪表面に均一に行きわたらない。液体製品が濡れた毛髪から皮膚又はシャワー室の床に流れ落ちるので無駄が起こる。
【0004】
毛髪に適用するための発泡製品は、特にスタイリング部門で公知であり、スタイリングムースが人気のある製品形式である。エアゾールから送達される、発泡リーブオンコンディショナーも公知である。
【0005】
国際公開第13/014139号(Kao)は、1以上の増粘ポリマー、1以上の膜形成ポリマー、1以上のポリオール、1以上の界面活性剤及び1以上のC4−C5イソアルカンを含む、後発泡水性ヘアスタイリングジェル組成物を開示する。これはその包装から開放された後に発泡して毛髪に適用され、髪の輝きとカール保持性を改善し、フライアウェイを減らし、適度に良好なセッティング効果を与える。これらの利点は、毛髪への塗布均一性の改善による。購入した製品全部を使用することは汚染問題をなくすと言われている。毛髪を処理するための加圧製品も開示され、それは、チャンバの一方が後発泡水性ジェル組成物を含み、もう一方のチャンバが1以上の噴射剤を含む(容器内部の圧力は12バールを超えない)、2つのチャンバを含む。液体窒素又は二酸化炭素で加圧した、二室型エアゾール缶が例示される。
【0006】
米国特許出願公開第2014/093468号(Henkel)は、キャリヤー、a)0.1〜15重量%の、C−C30脂肪酸でアルキル化されていてもよい糖のモノエステル、b)0.1〜15重量%の、C−C30脂肪酸でアルキル化されていてもよい糖のジステル、c)0〜50重量%の、少なくとも1つの膜形成ポリマー、及びd)0〜50重量%の、40℃〜90℃の範囲の融点をもつ少なくとも1つのワックスを含み、化粧料中の(1又は複数の)成分c)及びd)の割合は、0.2〜50重量%である、ケラチン繊維を一時的に形作るための化粧料を開示する。この化粧料は、泡の形態でも開示され、その密度は0.9g/cmよりも低い。得られる化粧料の密度がブレンドの密度より少なくとも10%低いことを特徴とする、予め混合されていてもよい化粧料成分のブレンドを混ぜることによって化粧料を製造するための方法;及び、ガスで化粧料を加圧し、化粧料を毛髪に適用することを含む、毛髪を一時的に形作るための方法も開示される。
【0007】
欧州特許第1792600号及び米国特許出願公開第2008/152610号(Kao)は、優れたヘアスタイリング及びコンディショニング効果と並外れた泡外観をもつエアゾール泡ワックス組成物を開示する。開示されるのは、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び/又は両性もしくは双性イオン性ポリマーから選択される少なくとも1つのヘアスタイリングポリマー、少なくとも1つの油又は油性化合物、少なくとも1つの脂肪酸石鹸、少なくとも1つの乳化剤及び少なくとも1つの噴射剤を含むことを特徴とする、ケラチン繊維、特に毛髪用の水性エアゾール泡組成物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第13/014139号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/093468号
【特許文献3】欧州特許第1792600号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/152610号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術にも関わらず、噴射剤を用いずに(規制当局による圧力及び消費者志向の高まりによる)、改良された効力及び有効性を与えるためのノンスタイリングの、包装済みの毛髪製品を届けることがなお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは今回、少なくとも1つのコンディショニング剤を含み、ヘアスタイリングポリマーを含まない、包装された組成物を含む液体組成物を、非エアゾール法を用いて泡に変換することができ、前記泡が、発泡しない同じ組成物と比較して、非発泡組成物を上回る増加したコンディショニング感、輝き、滑らかさ、繊維の整列、ボリューム及び形状上の利点を含む、コンディショニング及びスタイル上の利点という点で予想外の改善をもたらすことを見出した。本発明は、広範囲の製剤に適用することができる。
【0011】
第1の態様において、本発明は、
a.液体ヘアトリートメント組成物を提供するステップ、
b.チャンバ、取り外し可能な又は再充填可能な加圧ガスユニット及び注出ノズルを備える発泡装置を提供するステップ、
c.液体ヘアトリートメント組成物を発泡装置のチャンバの中に入れるステップ、
d.チャンバにガスを充填するステップ、
e.液体ヘアトリートメント組成物とガスを混合するステップ、
f.組成物がノズルから泡として噴出されるように前記発泡装置を操作するステップ
を含む、第1の態様の発泡組成物を作製するためのプロセスを提供し、この際、液体ヘアトリートメント組成物は、少なくとも1つのコンディショニング成分を含み、ヘアスタイリングポリマーを含まない。
【0012】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の方法から得られる毛髪のトリートメント用の発泡組成物を提供する。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1の態様の発泡組成物又は第1の態様によって調製された発泡組成物を毛髪に適用するステップを含む、毛髪を処理する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
液体ヘアトリートメント組成物
本明細書において、液体という用語は、軟固体組成物、例えば広口瓶からすくい取ることのできるものを含むものとする。
【0015】
本発明の方法で使用する液体ヘアトリートメント組成物は、安定な泡を形成するためにガスの気泡を保持することができる。それは、安定な泡を生成することを可能にするポリマー又は構造化剤を含むことがある。本発明の状況において安定とは、ヘアトリートメントプロセスで消費者に使用されるように、泡が生成の後に少なくとも十分な時間続いていることを意味する。
【0016】
好ましくは、液体ヘアトリートメント組成物は、包装された製剤である。
【0017】
液体ヘアトリートメント組成物は、好ましくはシャンプー、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物、及び前処理組成物から選択され、より好ましくは、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物、及び前処理組成物、例えばオイルトリートメントから選択され、最も好ましくは、洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク及びリーブオンコンディショナー組成物から選択される。
【0018】
好ましくは、液体ヘアトリートメント組成物がシャンプーである場合、それは高発泡シャンプーではない。
【0019】
組成物は、腐食性又は反応性成分を含まない。反応性成分としては、例えば毛髪染料が挙げられる。腐食性成分としては、例えば漂白剤及び過酸化物が挙げられる。腐食性成分は、チャンバの腐食を引き起こすことがある。
【0020】
本発明で使用する洗い流すコンディショナーは、一般に濡れた髪の上に1〜2分間置いた後、洗い流すコンディショナーである。
【0021】
本発明で使用するヘアマスクは、一般に毛髪の上に3〜10分間、好ましくは3〜5分間、より好ましくは4〜5分間置いた後、洗い流すトリートメントである。
【0022】
本発明で使用するリーブオンコンディショナーは、一般に毛髪に適用されて、毛髪の上に10分間以上置かれ、好ましくは、洗髪後に毛髪に適用されて、次の洗髪まで洗い落とされない。
【0023】
液体ヘアトリートメント組成物が洗い流すヘアコンディショナー、ヘアマスク又はリーブオンコンディショナー組成物である場合、それは、ヘリパススタンドでスピンドルA又はBを0.5rpmで60秒間使用するブルックフィールドRVTで30℃で測定して、5,000〜750,000センチポイズ、好ましくは50,000〜600,000センチポイズ、より好ましくは50,000〜450,000の粘度を適切に有する。
【0024】
好ましくは、ヘリパススタンドでスピンドルA又はBを0.5rpmで60秒間使用するブルックフィールドRVTで30℃で測定して、本発明で使用するリーブオンコンディショナー組成物の粘度が50,000〜250,000センチポイズであり;好ましいヘアマスクの粘度は、150,000〜600,000センチポイズであり、好ましい洗い流すコンディショナーの粘度は150,000〜400,000センチポイズである。
【0025】
液体ヘアトリートメント組成物がシャンプー、又はその他の等方性製品である場合、それは、20rpmで60秒間ブルックフィールドRV5で30℃で測定して、5,000〜100,000、好ましくは10,000〜75,000、より好ましくは20,000〜50,000センチポイズの粘度を適切に有する。
【0026】
この液体組成物は、ヘアスタイリングジェル、ヘアスタイリングムース、ヘアスタイリングセラム又はヘアスプレーではない。
【0027】
ヘアスタイリングポリマー不含有
本発明の状況において、ヘアスタイリングポリマー不含有とは、組成物が、全組成物の重量に対して0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満のヘアスタイリングポリマーを含むことを意味する。
【0028】
ヘアスタイリングポリマーは、毛髪のスタイルの要素、例えばホールド、一般的な形状定義、形状の保持、明白なストレート化、カールなどを提供し、一般にジェル、ムース、セラム、及びヘアスプレーに含まれるポリマー又は樹脂である。
【0029】
一部のスタイリングポリマーは、膜形成ポリマーに分類され、これはヘアジェル及びヘアスプレーなどのスタイリング製品において「ホールド」の源である場合が多い。これらのポリマーは、毛髪の表面に付着した後、乾燥して強い透明な膜を形成し、膜が洗髪によって除去されるか、又は膜が毛髪への機械的な力(コーミング)によって壊れるまで、毛髪をまとめる。
【0030】
例としては、数ある中でも、PVP(ポリN−ビニル−2−ピロリドン)、PVA(ポリ酢酸ビニル)及びPVP/VA共重合体が挙げられる。
【0031】
ソフトスタイリング製品、例えばムースなどで使用されるその他のスタイリングポリマーは、数ある中でも、アクリレート系、例えばポリアクリレート(例えばポリアクリレート−32、ポリアシレート(polyacylate)−14)、アクリレートクロスポリマー(例えばアクリレートクロスポリマー−3、ポリアクリレート−2クロスポリマー)及びAMO−アクリレート/メタクリル酸アリル共重合体である。
【0032】
スタイリングポリマーのさらなる例としては、ポリクオタニウム化合物、ポリビニルカプロラクタム共重合体及びPVM/MA(メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸)のエステルが挙げられる。
【0033】
少なくとも1つのコンディショニング成分
本発明の方法で使用する組成物は、コンディショニング剤を含む。コンディショニング剤は、好ましくは、単独で又は混合物で使用されるカチオン性界面活性剤から選択される。
【0034】
本発明の方法で使用する組成物において有用なカチオン性界面活性剤は、水性組成物に溶解すると正に帯電する、アミノ又は第四級アンモニウムの親水性部分を含む。
【0035】
適したカチオン性界面活性剤の例は、次式に対応するものである:
[N(R)(R)(R)(R)](X)
式中、R、R、R及びRは、独立に、(a)1〜22個の炭素原子の脂肪族基、又は(b)22個までの炭素原子を有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール又はアルキルアリール基から選択され;Xは、塩形成アニオン、例えばハロゲン、(例、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩硝酸塩、硫酸塩、及びアルキル硫酸塩ラジカルから選択されるものなどである。
【0036】
脂肪族基は、炭素及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基などのその他の基を含むことができる。より長い鎖の脂肪族基、例えば、約12個又はそれ以上の炭素の基は、飽和していても不飽和であってもよい。
【0037】
本発明の方法で使用する組成物に最も好ましいカチオン性界面活性剤は、アルキル鎖長(akyl chain lengthy)がC−C14であるモノアルキル四級アンモニウム化合物である。
【0038】
そのような材料の適した例は、次式に対応する:
[N(R)(R)(R)(R)](X)
式中、Rは、8〜14個の炭素原子を有する炭化水素鎖、又は8〜14個の炭素原子を含む、置換基として又はラジカル連鎖の結合部として存在するエーテル、エステル、アミド又はアミノ部分を含有する官能化ヒドロカルビル鎖であり、かつ、R、R及びRは、独立に、(a)1〜約4個の炭素原子のヒドロカルビル鎖(cahins)、又は(b)1〜約4個の炭素原子を有し、置換基として又はラジカル連鎖の結合部として存在する1以上の芳香族、エーテル、エステル、アミド又はアミノ部分を含有する官能化ヒドロカルビル鎖から選択され、Xは、塩形成アニオン、例えばハロゲン、(例、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩硝酸塩、硫酸塩及びアルキル硫酸塩ラジカルから選択されるものなどである。
【0039】
官能化ヒドロカルビル鎖(cahins)(b)は、アルコキシ(好ましくはC−Cアルコキシ)、ポリオキシアルキレン、アルキルエステル、及びそれらの組合せから選択される1以上の親水性部分を適切に含有してよい。
【0040】
好ましくは、炭化水素鎖Rは、12〜14個の炭素原子、最も好ましくは12個の炭素原子を有する。それらは、望ましいヒドロカルビル鎖長を有する、かなりの量の脂肪酸を含有する供給源油から誘導されてよい。例えば、パーム核油又はココナッツ油由来の脂肪酸は、C−C12ヒドロカルビル鎖の供給源として使用することができる。
【0041】
本発明の方法で使用する組成物に使用する上記一般式の典型的なモノアルキル四級アンモニウム化合物には、以下が挙げられる:
(i)塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(Arquad C35としてAkzo社より市販);塩化ココジメチルベンジルアンモニウム(Arquad DMCB−80としてAkzo社より市販)
(ii)次式の化合物:
[N(R)(R)((CHCHO)H)((CHCHO)H](X)
式中:
x+yは2〜20の整数であり;
は、8〜14個、好ましくは12〜14個、最も好ましくは12個の炭素原子を有し、置換基又はラジカル連鎖の結合部として存在するエーテル、エステル、アミド又はアミノ部分を含有するヒドロカルビル鎖であり;
は、C−Cアルキル基又はベンジル基、好ましくはメチルであり、かつ
Xは、塩形成アニオン、例えばハロゲン、(例、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩硝酸塩、硫酸塩、メト硫酸塩及びアルキル硫酸塩ラジカルから選択されるものなどである。
【0042】
適した例は、PEG−n塩化ラウリルアンモニウム(nはPEG鎖長)、例えばPEG−2塩化ココモニウム(Ethoquad C12としてAkzo Nobel社より市販);PEG−2塩化ココベンジルアンモニウム(Ethoquad CB12としてAkzo Nobel社より市販);PEG−5ココモニウムメト硫酸塩(Rewoquat CPEMとしてRewo社より市販);PEG−15塩化ココモニウム(Ethoquad C/25としてAkzo社より市販)である。
【0043】
(iii)次式の化合物:
[N(R)(R)(R)((CHOH)](X)
式中:
nは1〜4の整数、好ましくは2であり;
は、8〜14個、好ましくは12〜14個、最も好ましくは12個の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり;
及びRは、独立に、C−Cアルキル基から選択され、好ましくはメチルであり、かつ
X−は、塩形成アニオン、例えばハロゲン、(例、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩硝酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩ラジカルから選択されるものなどである。
【0044】
適した例は、ラウリルジメチルヒドロキシエチル塩化アンモニウム(Prapagen HYとしてClariant社より市販)である。
【0045】
前述のカチオン性界面活性剤化合物のいずれかの混合物も適し得る。
【0046】
本発明の方法で使用する毛髪用組成物で使用する適したカチオン性界面活性剤の例としては、セチルトリメチル塩化アンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化タロートリメチルアンモニウム、塩化ココトリメチルアンモニウム、及びその対応する水酸化物が挙げられる。さらに、適したカチオン性界面活性剤としては、CTFA名、クオタニウム−5、クオタニウム−31及びクオタニウム−18を有する材料が挙げられる。前述の材料のいずれかの混合物も適し得る。特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えばDEHYQUARTとしてHenkel社より市販されている塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0047】
カチオン性界面活性剤の濃度は、好ましくは全組成物の0.01〜10、より好ましくは0.05〜5、最も好ましくは0.1〜2重量%である。
【0048】
好ましいコンディショナーは、コンディショニングジェル相を含む。そのようなコンディショナー及びそれらを作製するための方法は、国際公開第2014/016354号、国際公開第2014/016353号、国際公開第2012/016352号及び国際公開第2014/016351号に記載されている。
【0049】
コンディショニング組成物は、その他の任意の成分も含んでよい。そのような成分としては、限定されるものではないが;脂肪質、付着ポリマー及びさらなるコンディショニング剤が挙げられる。
【0050】
コンディショナー組成物は、好ましくは脂肪質をさらに含む。コンディショニング組成物で脂肪質とカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用することは、カチオン性界面活性剤が分散される、構造化されたラメラ又は液晶相の形成をもたらすので、特に有利であると考えられる。
【0051】
「脂肪質」とは、脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸又はそれらの混合物を意味する。
【0052】
好ましくは、脂肪質のアルキル鎖は完全に飽和している。
【0053】
代表的な脂肪質は、8〜22個の炭素原子、より好ましくは16〜22個の炭素原子を含む。適した脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物が挙げられる。これらの材料の使用も、それらが組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0054】
約12〜約18個の炭素原子をアルキル鎖に有する、アルコキシル化された、(例、エトキシル化又はプロポキシ化)脂肪アルコールを、脂肪アルコール自体の代わりに、又はそれに加えて使用することができる。適した例としては、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0055】
コンディショナー中の脂肪質の濃度は、適切に、全組成物の重量に対して0.01〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.1〜5重量%である。カチオン性界面活性剤と脂肪アルコールの重量比は、適切に、10:1〜1:10、好ましくは4:1〜1:8、最適には1:1〜1:7、例えば1:3である。
【0056】
さらなるコンディショニング成分としては、脂肪アルコールと脂肪酸のエステル、例えばパルミチン酸セチルなどが挙げられる。
【0057】
本発明で使用するコンディショニング組成物は、好ましくはミセル(miscellar)構造の液体を含む。
【0058】
本組成物を含むコンディショナーのpHは、好ましくは3〜5である。より好ましくは、組成物のpHは、4.5〜5.5である。
【0059】
組成物のpHが3.10未満である場合、それは集中トリートメントのためのコンディショニングマスクの形態であることが好ましい。
【0060】
さらなるコンディショニング成分としては、好ましくはココナッツ油及びオリーブ油から選択されるコンディショニングオイルが挙げられる。
【0061】
発泡組成物
発泡組成物は、エアゾール化によって生成されない。発泡組成物は、噴射剤を用いずに生成される。
【0062】
好ましくは、発泡組成物は、ホイップクリームに類似した物理的外観を有する。泡の色は、元の液体組成物の色に応じて変動する。
【0063】
チャンバは、発泡組成物を一時的に保存することだけを意図する。
【0064】
発泡組成物は、好ましくは24時間以内に、より好ましくは8時間以内に、さらにより好ましくは1時間以内に新しく使用される。最も好ましくは、組成物は使用時に泡立てられる。
【0065】
好ましくは、発泡組成物は、24時間よりも長く、より好ましくは8時間よりも長く、最も好ましくは1時間よりも長くチャンバに保存されない。
【0066】
従って、本発明の方法は、本発明の発泡組成物を毛髪に適用するステップを含む。好ましくは、発泡組成物は、生成から24時間以内に、より好ましくは8時間以内に、さらにより好ましくは1時間以内に、最も好ましくは10分以内に使用される。
【0067】
発泡装置
本発明の方法で使用する発泡装置は、チャンバ、取り外し可能であるか又は再充填可能な加圧ガスユニット及び注出ノズルを備える。
【0068】
それは好ましくは持ち運びできる、手持ち式の装置である。
【0069】
チャンバ
チャンバは、好ましくは0.5〜1.0リットルの容量を有する。それは好ましくは金属、例えばステンレス鋼製である。
【0070】
ノズル
注出ノズルは、発泡組成物を小出しにする目的のためのものである。好ましくは、ノズルは取り外し可能である。好ましくは、ノズルはレバーで操作される。ノズルは、特定の形状を有する発泡製品をもたらすように成形されてよい。
【0071】
取り外し可能であるか又は再充填可能な加圧ガスユニット
発泡組成物は、取り外し可能であるか又は再充填可能な加圧ガスユニットからの加圧ガスの使用によって生成される。取り外し可能であるか又は再充填可能な加圧ガスユニットの適した例としては、ガスキャニスター及びガスシリンダーが挙げられる。好ましくはそれは、ガスキャニスター、より好ましくは小型のガスキャニスターであり、好ましくは6〜15cm、より好ましくは10cm未満の長さである。好ましい小型キャニスターの容量は、適切に、10〜100mlである。
【0072】
ガスは、好ましくは二酸化炭素及び亜酸化窒素から選択される。
【0073】
ガスは、加圧ガスユニットからチャンバの中に導入される。加圧ガスユニットは、好ましくは装置に直接取り付けられる。
【0074】
好ましい発泡装置は、好ましくはネジ山によってヘッドに着脱可能に接続されているチャンバを備える。ヘッドは、ガス供給ユニットの接続口、ノズル及びレバーを収容する。ガス供給ユニットは、接続口でヘッドに接続されて、ガスをチャンバの内部に供給する。使用時、チャンバからヘッドを取り外すことによって装置は最初に開けられ、液体組成物がチャンバに加えられる。ヘッドはその後チャンバに再び接続される。ガス供給はヘッドの接続口に接続され、その後ガスがチャンバに注入される。泡は、液体組成物とガスを混合することによって、好ましくは振盪することによって生成される。その後、発泡組成物はノズルを経由して、好ましくはレバー操作によって小出しされる。
【0075】
ガスは加圧ガスである、そのため、例えば大気ではあり得ない。
【0076】
方法
本発明のプロセスは、
a.液体ヘアトリートメント組成物を提供するステップ、
b.チャンバ、取り外し可能な又は再充填可能な加圧ガスユニット及び注出ノズルを備える発泡装置を提供するステップ
c.液体ヘアトリートメント組成物を発泡装置のチャンバの中に入れるステップ、
d.チャンバにガスを充填するステップ、
e.液体ヘアトリートメント組成物とガスを混合するステップ、
f.組成物がノズルから泡として噴出するように前記発泡装置を操作するステップ
を含み、該液体ヘアトリートメント組成物は、少なくとも1つのコンディショニング成分を含み、ヘアスタイリングポリマーを含まない。
【0077】
液体ヘアトリートメント組成物とガスを混合することは、好ましくは装置を振盪して組成物とガスを混合することによって達成される。好ましくは、基本的に垂直の振盪動作が10〜30秒間行われる。
【0078】
[実施例]
市販の包装されたヘアマスク、Nutritive(Humecterss)MaskをNexxus社より入手した。それにはコンディショニング剤としてパルミチン酸セチルが含まれ、ヘアスタイリングポリマーは含まれていなかった。
【0079】
市販の食材用ホイッパー、つまり、二酸化炭素ミニ加圧ガスキャニスターを装備した容量0.5Lの「iSi Gourmet Whip」を使用して、このマスクを泡立てて泡にした。最初に、液体マスク組成物を発泡装置のチャンバに入れてから、チャンバにガスを充填した。ホイッパーを振盪し、レバーを押し下げて発泡製品を出した。
【0080】
漂白した人間の毛髪を備えた3つのマネキンの頭部を準備した。各頭部について、毛髪を中央で分け、同一プロトコールに従ってそれぞれの側をノンコンディショニングシャンプーで洗浄した。
【0081】
液体形態のマスク16gをマネキンの頭部の片側に塗布した。発泡したマスク16gをもう片側に塗布した。コンディショナーを毛髪の上に5分間置いた後、水で洗い流した。
【0082】
次に、それぞれの側の滑らかさ、輝き及び毛髪の整列を、10名のパネリストによって評価し、パネリストは各特性に対して最大得点の側を選択した。従って、10の得点は、10名全員のパネリストがその特性についてその側のほうが高いと得点をつけたことを示す。
【0083】
結果は、下の表1〜3に記載する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0084】

すべての例で、発泡していない製品で処理した毛髪と比較して、発泡した製品で処理した毛髪のほうが滑らかで、輝いていて、より良好に整列したことが分かる。
【0085】
発泡した製品で同様に処理したさらなるマネキンの頭部はまた、ボリュームが増えて目に見えてより制御されていて、動きがより自然で、あまり被覆されているように見えず、被覆されているように感じられないと考えられた。