特許第6880010号(P6880010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880010
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】新規エピソームプラスミドベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/81 20060101AFI20210524BHJP
   C12N 15/67 20060101ALI20210524BHJP
   C12N 15/64 20060101ALI20210524BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20210524BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20210524BHJP
   C40B 40/08 20060101ALI20210524BHJP
   C40B 50/06 20060101ALI20210524BHJP
   C40B 30/04 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C12N15/81 100Z
   C12N15/67 Z
   C12N15/64 Z
   C12N1/19ZNA
   C12P21/00 C
   C40B40/08
   C40B50/06
   C40B30/04
【請求項の数】18
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2018-517256(P2018-517256)
(86)(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公表番号】特表2018-533932(P2018-533932A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2016073240
(87)【国際公開番号】WO2017055436
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】15187431.0
(32)【優先日】2015年9月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518108704
【氏名又は名称】ビジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】フォーグル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グリーダー,アントン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスマイヤー,リヒャルト
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0011407(US,A1)
【文献】 特開2000−279187(JP,A)
【文献】 Biosci. Biotechnol. Biochem., Published online 2015.01.21, Vol.79, No.1, pp.1-10
【文献】 PLOS Genetics, 2014, Vol.10, Issue 3, e1004169 (pp.1-13)
【文献】 Plasmid, 2005, Vol.54, pp.80-85
【文献】 PLoS ONE, 2012, Vol.7, Issue 6, e39720 (pp.1-13)
【文献】 Biosci. Biotechnol. Biochem., 2001, Vol.65, No.3, pp.627-633
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12N 1/00− 7/08
C12Q 1/00− 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の遺伝子(GOI)およびGOIに作動可能に連結されていない自己複製配列(ARS)を含むエピソームプラスミドであって、ARSが、配列番号〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる、エピソームプラスミド。
【請求項2】
前記GOIおよび前記GOIを発現するのに必要とされる調節配列を含む発現カセットを含む、請求項1に記載のエピソームプラスミド。
【請求項3】
前記GOIに作動可能に連結されるプロモーターを含む、請求項1または2に記載のエピソームプラスミド。
【請求項4】
栄養要求性または化学的耐性に基づく選択マーカーを含、請求項1〜のいずれか一項に記載のエピソームプラスミド。
【請求項5】
選択マーカーが、グリセロール利用、ショ糖利用、イヌリン利用、セロビオース利用、アミノ酸栄養要求性、チミジン栄養要求性、窒素供給源利用、フルオルアセトアミドに対する耐性、デオキシグルコースに対する耐性、ゼオシンまたは他の抗生物質に対する耐性、毒素をコードする遺伝子に対する耐性に基づく、請求項4に記載のエピソームプラスミド。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のエピソームプラスミドを含む真核宿主細胞。
【請求項7】
前記宿主細胞が、酵母細胞であり、野生型株であるか、または細胞培養液中で培養が可能な任意の突然変異株である、請求項に記載の宿主細胞。
【請求項8】
GOIによってコードされる目的のタンパク質(POI)を産生する方法であって、前記GOIを発現させるための条件下で、請求項6または7に記載の宿主細胞を培養することによってなされ、前記POIの発現が、機能性ARSを含有しない前記GOIを発現する比較可能な発現カセットのゲノム組込みを用いる前記POIの発現と比較して、少なくとも1.5倍増加する、方法。
【請求項9】
前記POIの発現が、機能性ARSを含有しない前記GOIを発現する比較可能な発現カセットのゲノム組込みを用いる前記POIの発現と比較して、少なくとも3倍増加する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記POIの発現が、機能性ARSを含有しない前記GOIを発現する比較可能な発現カセットのゲノム組込みを用いる前記POIの発現と比較して、少なくとも5倍または少なくとも10倍増加する、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜のいずれか一項に記載のエピソームプラスミドのライブラリーであって、宿主細胞培養液中に、任意選択で同時発現されるプロモーター変異体のレパートリーおよび/またはGOI変異体のレパートリーを含む、ライブラリー。
【請求項12】
GOI発現の所望の収率に応じた宿主細胞を選択する方法であって、
.請求項11に記載のエピソームプラスミドのライブラリー複数の宿主細胞を接触させること、ここで前記ライブラリーは、プロモーター変異体のレパートリーを含み、前記GOIの前記発現レベルは、前記プロモーター変異体の関数である;
ii.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベルを決定すること;および
iii.前記GOIの所望の発現レベルを特徴とする宿主細胞を選択すること
を含む方法。
【請求項13】
プロモーター変異体のレパートリー由来のプロモーター変異体をスクリーニングして、プロモーターを選択する方法であって、
.請求項11に記載のエピソームプラスミドのライブラリー複数の宿主細胞を接触させること、ここで前記ライブラリーは、プロモーター変異体のレパートリーおよびレポータータンパク質を含み、前記レポータータンパク質の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかが、前記プロモーター変異体の関数である;
ii.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかにおける変化を決定すること;
iii.所望の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性を特徴とする宿主細胞を選択すること;および
iv.選択した宿主細胞由来のプロモーター変異体を同定すること
を含む方法。
【請求項14】
GOI変異体のレパートリーによってコードされるPOIの変異体をスクリーニングする方法であって、
.請求項11に記載のエピソームプラスミドのライブラリー複数の宿主細胞を接触させること、ここで前記ライブラリーは、GOI変異体のレパートリーを含み、GOI発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかが、GOI変異体の関数である;
ii.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかにおける変化を決定すること;
iii.所望の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性を特徴とする宿主細胞を選択すること;および
iv.選択した宿主細胞由来のGOI変異体を同定すること
を含む方法。
【請求項15】
ピキア・パストリスのKU70欠失株である宿主細胞における請求項1〜5のいずれか一項に記載のエピソームプラスミドの生合成の方法であって、
i.5’および3’末端にある組換え部位、ARS、および任意選択でさらなる調節配列を含む直鎖状ベクターバックボーンを供給すること;
ii.GOIならびに前記組換え部位に対して相同的である5’および3’相同配列を含むベクター挿入片を供給すること;
iii.前記直鎖状ベクターバックボーンおよび前記挿入片を、前記宿主細胞へ導入して、相同組換えによって、前記ベクター挿入片を前記組換え部位と組み換えて、それにより前記GOIを含むエピソームプラスミドを産生すること
を含み、
前記ARSは、配列番号5〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる、方法。
【請求項16】
請求項1〜のいずれか一項に記載のエピソームプラスミドを産生するための請求項15に記載の方法の使用。
【請求項17】
請求項15に記載の方法を使用して、エピソームプラスミドのライブラリーを産生する方法であって、ライブラリーが、前記GOIの既定領域における少なくとも1つの点突然変異において異なるプラスミド変異体のレパートリーを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法によって得られるエピソームプラスミドのライブラリーであって、10E2、10E3、10E4、10E5または10E6種の異なる変異体の少なくともいずれかの多様性を特徴とし、ライブラリー中のエピソームプラスミドが、配列番号5〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなるARSを含む、ライブラリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的の遺伝子および自己複製配列(ARS)を含み、任意選択でプロモーターおよび選択マーカーをさらに含むエピソームプラスミドベクター、ならびに目的のタンパク質および/またはタンパク質、プロモーターの発現ならびに代謝経路操作のために前記プラスミドベクターを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体触媒、およびさらにはバイオ医薬品などの多くの産業上意義のあるタンパク質は、異種遺伝子発現によって産生される。酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は、高い細胞密度のバイオリアクター培養、高い分泌能力および強力なプロモーターに関するその実現可能性に起因して、異種タンパク質産生のための最も一般的に使用される微生物宿主系の1つとして現れた(Ahmadら 2014年;Gasserら 2013年)。最近の分類学研究により、一般的に名付けられるピキア・パストリスは、例えば、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)および最も一般的に使用されるコマガタエラ・ファフィイ(Komagataella phaffii)株NRLL Y−11430、CBS7435、BG10ならびに例えばBG11、およびGS115、X33およびKM71などのそれらの突然変異体などの多種多様な種を含むという結論に至る。最も一般的には、アルコールオキシダーゼ1遺伝子のメタノール誘導性プロモーター(PAOX1)は、異種遺伝子の発現を駆動するのに使用される(VoglおよびGlieder、2013年)。PAOX1は、グルコースおよびグリセロールなどの炭素供給源上で堅固に抑制されており、メタノールによって、およそ1000倍誘導される。この堅固な調節が、細胞生長を異種タンパク質産生から分離することを可能にする:最初に、P.パストリス(P. pastoris)は通常、グリセロール上で培養されて、高い細胞密度を獲得し、続いてメタノールで誘導されて、目的の遺伝子(GOI)の遺伝子の発現を開始させる。それにより、有害または有毒なタンパク質でさえ、産生され得る。しかしながら、メタノールは、有毒であり、可燃性であり、特に大規模なバイオリアクターにおけるその使用を望ましくないものにさせる。
【0003】
最近、カタラーゼ1遺伝子のプロモーター(PCAT1)は、別個の調節プロファイルを提供することが示された。PCAT1は、グルコースまたはグリセロール上で堅固に抑制されるPAOX1に類似しているが、メタノール誘導を必要としない。培地中の炭素供給源がひとたび使い尽くされると、発現が始まり(「抑制解除」(Hartnerら 2008年))、小規模培養においてメタノール誘導性PAOX1の時空間収率のおよそ30〜40%に達する(GOIに応じて)。このカタラーゼ遺伝子はまた、ペルオキシソームカタラーゼcta1の遺伝子とも記載された。PCAT1はまた、メタノールおよびオレイン酸で誘導させることができ、PAOX1と類似した発現レベルに達する。抑制解除期は、合成PAOX1変異体を用いて実証されるように、バイオリアクター中でグリセロールまたはグルコースの限定量を供給することによって維持することができるため、抑制解除された調節プロファイルは、メタノールを含まない産生を可能にする(Hartnerら 2008年)。欧州特許第2862933A2号は、双方向性発現カセットのライブラリーを開示しており、ペルオキシソームカタラーゼ遺伝子CAT1のプロモーター配列に関する配列を含むピキア・パストリスの幾つかのプロモーター配列について記載した。
【0004】
発現カセットは通常、メチロトローフ酵母のゲノムへ組み込まれて、非選択条件下でさえ安定な株をもたらす。例えば、Yurimotoら(Yurimotoら 2001年)は、C.ボイジニイ(C. boidinii)においてura3遺伝子座で組み込まれるAOD1遺伝子のプロモーターの制御下でのD−アミノ酸オキシダーゼ発現について記載している。エピソームプラスミドは、非選択条件下での成長時に損失される。酵母において、自己複製配列(ARS)は、エピソームプラスミドの安定な維持に必要である。酵母複製起点の構造および位置が研究され(Chenら 1996年、Peng Chongら 2015年)、様々なARS配列が同定された(Liachkoら 2014年A、Liachkoら 2014年B、Sohnら 1996年)。エピソームプラスミドは、低い安定性および低い発現割合に起因して、P.パストリスおよび他のメチロトローフ酵母において異種タンパク質発現にはほとんど使用されていない。エピソーム発現の数少ない用途が近年報告されており、これらの構築物は、検出可能な量のタンパク質を発現することが可能である。例えば、Leeら(Leeら 2001年)は、ARSを含むエピソームベクター、即ち、PARS1、および目的の遺伝子を駆動するプロモーターpGAPおよび選択マーカーについて報告している。ベクターは、目的の遺伝子の突然変異体のライブラリーをスクリーニングするのにP.パストリスで使用される。しかしながら、形質転換細胞において安定に維持されて、高いタンパク質収率を可能にする高い形質転換効率を有するエピソームプラスミドベクターは、依然として必要とされる。さらに、低いクローン変動を伴う非常に再現性の高い生成物収率をもたらす信頼性の高い発現は、変異体ライブラリーのスクリーニングを含む操作戦略のための望ましい特色である。さらに、かかるエピソームプラスミドは、クローニングを容易にするために、また高い形質転換割合を得るために小さくすべきである。
【0005】
さらに、ライブラリーは、形質転換前に発現ベクターへクローニングされる必要があり、効率的なクローニング方法は、確実に多様性が損失されないように使用される必要があるため、ピキア・パストリスにおいて通常適用される形質転換方法、即ち、ゲノムへの組込み用の直鎖状DNAによる、またはエピソーム複製用のスーパーコイル環状ARSプラスミドによる形質転換は概して、ライブラリーのスクリーニングにあまり適していない。
【0006】
同時形質転換される断片のin vivoでの組換え、即ち、相同組換えクローニング(HRクローニング)を使用して、細胞内に最終的な発現ベクターを構築することができる。P.パストリスにおけるプラスミドの安定性およびin vivoでの相同組換えは、非効率的であったため、この方法は、最近までピキア・パストリスでは使用されなかった。ARSプラスミドが、クローニングに関して酵母の組換え機構を利用する代替的な戦略を提供することが最近報告された。HRクローニングは、ピキア・パストリスにおいてpanARSベースのエピソームベクター(Camattariら 2016年)および非効率的な相同組換え由来の高いバックグラウンドを回避するためのスプリットマーカー遺伝子を用いることによって成功することが示された。この方法およびベクターにより、DNA断片のクローニングが可能となるが、分子設計における効率および柔軟性は非常に制限される。
【0007】
対比して、S.セレビシエ(S. cerevisiae)は、in vivoでの組換えによるクローニング用の効率的な宿主として公知であり、HRクローニングは、目的の遺伝子を発現ベクターへクローニングするために(Oldenburgら 1997年)、また同様に、複数のPCR産物由来のベクター全体の複数の断片またはアセンブリーのクローニングのために(van Leeuwenら 2015年、Joskaら 2014年)、サッカロミセス属(Saccharomyces)で使用されている。その高い効率および簡素な用途に起因して、それはまた、ライブラリーの創出(Vina−Gonzalezら 2016年)またはキメラDNAの創出(Arenhartら 2016年)に使用されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
前例にない技術的特徴を有する自己複製配列(ARS)が同定された。驚くべきことに、同定されたARSが、推定上のプロモーター配列として検査されるDNA要素の一部として見出された。前記ARS、プロモーターに作動可能に連結される目的の遺伝子および選択マーカーを含むエピソームプラスミドベクターは、前記目的の遺伝子、プロモーターおよび選択マーカーを含む直鎖状発現カセットと比較して、より効率的に形質転換された。選択条件下で使用される場合、本明細書に記載するプラスミドベクターは、ゲノム組込みと比較して、数倍増加した発現をもたらした。さらに、形質転換割合が増加し、形質転換体は、より一様な発現を示し、用いたARSは、転写ターミネーターとしてさらなる機能性を示した。驚くべきことに、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)由来の異種配列は、任意のこれまで公知の内因性ARSよりも良好な最良の技術的特徴を示した。本明細書に記載するプラスミドベクターは、タンパク質発現の方法において、ならびにタンパク質またはプロモーター操作および発見に必要とされる大きなライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。
【0009】
非常に効率的なライブラリー生成が、CbARSベースのベクターバックボーン単独を用いる場合に観察されるかなりのバックグラウンドを伴わずに、KU70ピキア・パストリス欠失株およびある特定のモル比(挿入片:ベクターバックボーン)を有する比較的大量のDNAと組み合わせて、効率的なCbARSベースのベクターバックボーン(即ち、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)のARS配列を含むベクターバックボーン)を使用する、ピキア・パストリスにおけるin vivoでの相同組換えによって達成することができることは、驚きであった。驚くべきことに、スプリット選択マーカーは、分子設計における最大限の柔軟性を有するライブラリー構築用のかかる非常に効率的なアプローチに必要ではなく、ベクターバックボーンの任意の領域において相同組換え部位を設計することを可能にした。
【0010】
具体的には、本発明は、目的の遺伝子(GOI)およびGOIに作動可能に連結されていない自己複製配列(ARS)を含むエピソームプラスミドであって、ARSが、配列番号2、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列、またはそれらに対する少なくとも60%の配列同一性、具体的には70%、80%、90%、または95%の配列同一性の少なくともいずれかを特徴とする前記のいずれかの機能的に活性な変異体を含むか、またはそれからなるエピソームプラスミドを提供する。エピソームプラスミドはまた、特許請求されるか、または本明細書中でさらに記載されるような構造的特徴によって規定され、宿主細胞において、例えばピキア属(Pichia)においてエピソームとして複製可能であるというその機能を特徴とするプラスミドとも称される。
【0011】
具体的には、ARSは、GOIと天然には関連していない。
具体的には、ARSおよび/またはGOIは、プラスミドに対して異種であるヌクレオチド配列である。具体的には、ARSおよびGOIはともに、異種配列、より具体的には異なる供給源、株または種由来の異種配列である。
【0012】
特定態様によれば、ARSおよび/またはGOIはまた、宿主細胞に異種であり、それは、宿主細胞においてエピソームプラスミドを合成するように、またはエピソームプラスミドを宿主細胞へ導入するように操作されており、あるいはそれは、エピソームプラスミドを含み、GOIを発現するか、またはそうでなければGOIを表示する宿主細胞培養液中で培養される。
【0013】
配列番号3として同定されるヌクレオチド配列からなるARSは、配列番号2の機能的に活性な断片である。したがって、配列番号2の機能性変異体はまた、配列番号3を少なくとも含んでいる配列番号2の断片を含むであろう。
【0014】
配列番号6〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列からなるARSは、配列番号5の例示的な機能的に活性な変異体である。配列番号5に対する特定の配列同一性を特徴とするさらなる機能的に活性な変異体が、実現可能である。
【0015】
具体的には、エピソームプラスミドは、選択マーカーおよび任意選択で1つまたは複数の調節配列をさらに含む。具体的には、GOIの発現を示すか、または調節する選択マーカーが使用される。GOIを発現するのに適した調節配列が、特に好ましい。
【0016】
具体的な調節配列は、GOIの転写の終結を付与する。具体的には、ARSは、GOIの転写の終結を付与する。
具体的には、エピソームプラスミドは、ARS配列、ARSとは別々のプロモーター配列、および転写ターミネーター配列を含み、それらは、700塩基対未満にわたって、好ましくは500塩基対未満にわたって、より好ましくは300塩基対未満にわたって重複して配列される。
【0017】
具体的には、エピソームプラスミドは、GOIおよび前記GOIを発現するのに必要とされる調節配列を含む発現カセットを含む。
具体的には、エピソームプラスミドは、GOIに作動可能に連結されるプロモーターを含む。具体的には、プロモーターは、ARSに隣接しておらず、および/またはARSとは別々の発現カセットにある。
【0018】
具体的には、プロモーターは、調節可能または構成的なプロモーター、好ましくはAOX1、GAP、AOD、AOX2、DAS1、DAS2、ENO1、FLD1、FMD、GPM1、HSP82、ICL1、ILV5、KAR2、KEX2、PET9、PEX8、PGK1、PHO89/NSP、SSA4、TEF1、THI11、TPI1、YPT1、GTH1、GCW14およびGUT1からなる群から選択されるプロモーターであり、プロモーターが、酵母のプロモーター、特にピキア・パストリス株のプロモーターであるか、または少なくとも60%の配列同一性、具体的には70%、80%、90%、または95%の配列同一性を特徴とし、P.パストリス株におけるプロモーターとして機能的である前記プロモーターのいずれかの機能性変異体である。具体的には、プロモーターは、別の酵母または種において天然に存在するP.パストリスプロモーターの類似体、または完全合成プロモーターである。
【0019】
具体的には、配列番号6からなるARS、ならびにCAT1、AOX、ヒストンプロモーター、GAPおよびDASプロモーターからなる群から選択されるプロモーター、ならびに異種GOIを含む。
【0020】
具体的には、プロモーターは、炭素供給源調節可能プロモーター、好ましくはグルコース欠乏時に抑制解除されるか、または炭素供給源などの誘導因子を細胞培養液に供給する際に誘導可能なプロモーターである。具体的には、プロモーターは、オレイン酸で誘導可能である。
【0021】
具体的には、プロモーターは、CAT1またはAODプロモーターである。
具体的には、プロモーターは、配列番号4、もしくは配列番号5のいずれかのヌクレオチド配列、配列番号4、もしくは配列番号5のいずれかの少なくとも60%の配列同一性、具体的には、70%、80%、90%、または95%の配列同一性の少なくともいずれかを特徴とする機能性変異体を含む。
【0022】
具体的には、エピソームプラスミドは、栄養要求性または化学的耐性に基づく選択マーカーを含み、ここで、好ましくは、選択マーカーは、グリセロール利用、ショ糖利用、イヌリン利用、セロビオース利用、アミノ酸栄養要求性、チミジン栄養要求性、窒素供給源利用、フルオルアセトアミドに対する耐性、デオキシグルコースに対する耐性、ゼオシンまたは他の抗生物質に対する耐性、毒素をコードする遺伝子に対する耐性に基づく。選択マーカーは、例えば、GOIを含む宿主細胞またはプラスミドを選択するために、選択圧力下で、または選択条件下で、本明細書に記載するエピソームプラスミドを含む宿主細胞を培養することを提供する。
【0023】
具体的には、選択マーカーは、ゼオシン、ジェネティシンまたはグリセロール利用に対する耐性を付与する。
特定態様によれば、本明細書に記載するエピソームプラスミドを含む真核宿主細胞が提供される。
【0024】
具体的には、宿主細胞は、酵母細胞であり、好ましくはピキア属(Pichia)の酵母細胞、好ましくはピキア・パストリスの酵母細胞であり、これらは、野生型株であるか、または細胞培養液中で培養が可能な任意の突然変異株である。具体的には、突然変異株は、P.パストリスのku70欠失株であり、ここで、ku70遺伝子(配列番号87、図33で同定される)または類似したku70遺伝子は、不活性化または阻害される。具体的には、ku70遺伝子発現が欠乏している突然変異P.パストリス株は、本明細書に記載するようなエピソームプラスミドおよびエピソームプラスミドのライブラリーの生合成ならびに産生にとって好ましい。
【0025】
具体的には、宿主細胞は、細胞培養中で供給され、ここで宿主細胞は、少なくとも20世代中のエピソームプラスミドの含量に関してゲノム安定性であることを特徴とする。したがって、特定態様によれば、本明細書に記載する宿主細胞の細胞培養液は、バッチ培養、流加培養または連続培養に適切に使用される発酵槽および装置において供給される。
【0026】
さらなる態様によれば、本発明は、GOIによってコードされる目的のタンパク質(POI)を産生する方法であって、前記GOIを発現させるための条件下で、本明細書に記載する宿主細胞を培養することによってなされる、方法を提供する。具体的には、宿主細胞は、選択条件下で培養される。具体的には、細胞培養液において、タンパク質発現は、炭素供給源および/またはその供給速度によって調節可能である。
【0027】
具体的には、POIの発現は、本明細書に記載するエピソームプラスミド中に含まれるような、機能性ARSを含有しない前記GOIを発現する比較可能な発現カセットのゲノム組込みを用いるPOIの発現と比較して、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも5倍または少なくとも10倍増加する。
【0028】
具体的には、エピソームプラスミドの形質転換効率は、本明細書に記載するエピソームプラスミド中に含まれるような、機能性ARSを含有しない前記GOIを発現する比較可能な発現カセットのゲノム組込みを用いる形質転換と比較して、少なくとも20倍または少なくとも50倍、好ましくは少なくとも100倍、少なくとも200倍または少なくとも300倍、より好ましくは少なくとも500倍増加する。
【0029】
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に記載するエピソームプラスミドのライブラリーであって、宿主細胞培養液中に、任意選択で同時発現されるプロモーター変異体のレパートリーおよび/またはGOI変異体のレパートリーを含む、ライブラリーを提供する。
【0030】
具体的には、プロモーターライブラリーは、所望の、または改善された特性を有する親プロモーター配列の変異体を発見するのに使用され得る。
具体的には、GOIライブラリーは、所望の、または改善された特性を有するタンパク質もしくはポリペプチドの遺伝子変異体または親GOI配列コード変異体を発見するのに使用され得る。
【0031】
ライブラリーは、in vitroでのライブラリーとして、またはエピソームプラスミドのレパートリーを含む(ex vivoでの)宿主細胞のライブラリーとして提供されてもよく、それらの宿主細胞は、任意の真核生物または原核生物種であり得る。
【0032】
さらなる態様によれば、本発明は、GOI発現の所望の収率に応じた宿主細胞を選択する方法であって、
i.本明細書に記載するエピソームプラスミドのライブラリーを含む複数の宿主細胞を接触させること、ここでライブラリーは、プロモーター変異体のレパートリーを含み、前記GOIの発現レベルが、前記プロモーター変異体の関数である;
ii.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベルを決定すること;および
iii.前記GOIの所望の発現レベルを特徴とする宿主細胞を選択すること
を含む方法を提供する。
【0033】
具体的には、本方法は、選択した宿主細胞を培養すること、および前記GOIによってコードされるPOIを産生することをさらに含む。
さらなる態様によれば、本発明は、プロモーター変異体のレパートリー由来のプロモーター変異体をスクリーニングして、プロモーターを選択する方法であって、
i.本明細書に記載するエピソームプラスミドのライブラリーを含む複数の宿主細胞を接触させること、ここでライブラリーは、プロモーター変異体のレパートリーおよびレポータータンパク質を含み、前記レポータータンパク質の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかが、前記プロモーター変異体の関数である;
ii.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかにおける変化を決定すること;
iii.所望の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性を特徴とする宿主細胞を選択すること;および
iv.選択した宿主細胞由来のプロモーター変異体を同定すること
を含む方法を提供する。
【0034】
さらなる態様によれば、本発明は、GOI変異体のレパートリーによってコードされるPOIの変異体をスクリーニングする方法であって、
i.本明細書に記載するエピソームプラスミドのライブラリーを含む複数の宿主細胞を接触させること、ここでライブラリーは、GOI変異体のレパートリーを含み、GOI発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかが、GOI変異体の関数である;
ii.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかにおける変化を決定すること;
iii.所望の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性を特徴とする宿主細胞を選択すること;および
iv.選択した宿主細胞由来のGOI変異体を同定すること
を含む方法を提供する。
【0035】
さらなる態様によれば、本発明は、ピキア・パストリスのKU70欠失株である宿主細胞におけるエピソームプラスミドの生合成の方法であって、
i.5’および3’末端にある組換え部位、ARS、および任意選択でさらなる調節配列を含む直鎖状ベクターバックボーンを供給すること;
ii.GOIならびに前記組換え部位に相同的である5’および3’相同配列を含むベクター挿入片を供給すること;
iii.前記直鎖状ベクターバックボーンおよび前記挿入片を、前記宿主細胞へ導入して、相同組換えによって、前記ベクター挿入片を前記組換え部位で組み換えて、それにより前記GOIを含むエピソームプラスミドを産生すること
を含む方法を提供する。
【0036】
具体的には、前記直鎖状ベクターバックボーンおよび前記挿入片は、1:1〜1:10のモル比で前記宿主細胞へ導入される。
具体的には、ARSは、配列番号2、配列番号3、配列番号5、または配列番号6〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列、またはそれらに対する少なくとも60%の配列同一性を特徴とする上記配列のいずれかの機能的に活性な変異体を含むか、またはそれからなる。
【0037】
具体的には、ベクターバックボーンは、栄養要求性または化学的耐性に基づく選択マーカーを含み、好ましくは選択マーカーが、グリセロール利用、ショ糖利用、イヌリン利用、セロビオース利用、アミノ酸栄養要求性、チミジン栄養要求性、窒素供給源利用、フルオルアセトアミドに対する耐性、デオキシグルコースに対する耐性、ゼオシンまたは他の抗生物質に対する耐性、毒素をコードする遺伝子に対する耐性に基づく。
【0038】
具体的には、5’および3’相同配列はそれぞれ、30、50、70、100、300個の塩基対の少なくともいずれか1つを含むか、またはそれからなる。
具体的には、5’および3’相同配列は、GOIに隣接しているか、またはGOIの5’および3’に近接している。
【0039】
具体的には、5’および3’相同配列は、挿入片の両方の末端に位置するか、または挿入片コア配列(これは、5’および3’相同配列を伴わない)の5’および3’末端に融合される。
【0040】
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に記載するエピソームプラスミドを産生するための本明細書に記載する生合成方法の使用を提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に記載する生合成方法のいずれか1つによって得られるエピソームプラスミドを提供する。
【0041】
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に記載する生合成方法を使用して、エピソームプラスミドのライブラリーを産生する方法であって、ライブラリーが、GOIの既定領域における少なくとも1つの点突然変異において異なるプラスミド変異体のレパートリーを含む方法を提供する。既定領域は通常、適切な突然変異誘発方法によって変動する領域(突然変異誘発の領域とも称される)である。
【0042】
具体的には、変異体は、ベクター挿入片の突然変異誘発、特に突然変異誘発の領域の特定の突然変異誘発によって産生される。
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に記載する方法によって得られるエピソームプラスミドのライブラリーであって、10E2、10E3、10E4、10E5または10E6種の異なる変異体の少なくともいずれかの多様性を有することを特徴とする、ライブラリーを提供する。ある特定の実施形態では、さらに高い多様性、例えば、10E7、10E8、10E9、10E10または10E11種の異なる変異体の少なくともいずれかを産生することができる。
【0043】
具体的には、ライブラリーは、少なくとも10E6種の形質転換細胞、好ましくは少なくとも10E7、10E8または10E9種の形質転換体へ組み込まれる。ある特定の実施形態では、例えばエピソームプラスミド変異体のレパートリーを網羅するように、さらに多数の形質転換体を産生することができる。
【0044】
具体的には、形質転換細胞は、ピキア(Pichia)属の形質転換細胞、好ましくはP.パストリス、またはP.パストリスのKU70欠失株の形質転換細胞である。
特定態様によれば、GOIは、scFv、Fab、VHおよび/またはVL、単一CDR配列または一組のCDR配列、例えば3つのCDR配列などの抗体、抗体断片またはその抗原結合配列をコードしている。具体的には、例えば結合のエピトープ特異性または親和性の少なくとも1つが異なる抗原結合分子のレパートリーを産生するように、GOI変異体は、1つまたは複数の可変領域または抗原結合配列の突然変異誘発によって産生される。あるいは、GOI変異体は、例えば抗原結合分子の安定性またはFc機能を改善するように、1つもしくは複数の定常またはフレームワーク配列の突然変異誘発によって産生される。
【0045】
具体的には、それぞれが抗体またはその抗原結合配列をコードするGOI変異体のレパートリーを特徴とする抗体ライブラリーが提供される。
具体的には、ライブラリーは、それぞれが抗体またはその抗原結合配列を表すPOI変異体のレパートリーを発現している。ライブラリーは、例えば適切な宿主細胞培養液中で、in vitro、ex vivoまたはin vivoでの発現系によって適切に発現される。発現時に、POI変異体は、所望の結合または他の特色を有するPOI変異体を選択するのにスクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1A】CAT1遺伝子の上流領域は、調節または発現強度に影響を及ぼさないATリッチなARSを含有する。(A)P.パストリスCAT1遺伝子のゲノム遺伝子座が、CBS7435株のシーケンシングに基づく遺伝子アノテーションをともに示される(Kuberlら 2011年)。Liachkoらによるハイスループットディープシーケンシング(Liachkoら 2014年)によって同定されるARSを示す。AT含有量は、BitGene(WorldWideWeb:bitgene.com/cgi/gene_analysis.cgi)を使用して、50bpのスライディングウィンドウを用いて算出した。この研究で使用されるプロモーター配列(PCAT1−1000、PCAT1−692およびPCAT1−500)およびPCAT1の推定上のARS(putARS−PCAT1、AT含有量に基づいて選択される)が示される。
図1B】CAT1遺伝子の上流領域は、調節または発現強度に影響を及ぼさないATリッチなARSを含有する。(B)示されるプロモーター長は、eGFPレポーター遺伝子の上流でクローニングされて、安定なゲノムP.パストリス形質転換体は、振とうフラスコ中で培養された。レポータータンパク質蛍光、OD600およびグルコース濃度は、示した時点で測定した。生物学的三重反復の平均値および標準偏差を示す。培養は、48時間後にメタノールで誘導された。0時間時に、フラスコにOD6000.05になるように接種して、指数増殖期に達したら、まず測定を実施した。x軸は、1〜14時間に分割される。
図2A】PCAT1のARSは、バックグラウンド成長を引き起こして、非選択条件下で不安定であることを示す。(A)PCAT1の示した長さを含有する環状または線状化プラスミドによるP.パストリス細胞の形質転換後の寒天プレートの写真。空のベクター対照は、PCAT1を含有しない未修飾pPpT4_Sベクター(Naatsaariら 2012年)である。環状プラスミドは、より高い形質転換割合を示し、したがって10ngのみが形質転換されて、形質転換反応全体を平板培養した。直鎖状プラスミドに関しては、1μgを形質転換して、形質転換反応の5分の1を平板培養した。
図2B】PCAT1のARSは、バックグラウンド成長を引き起こして、非選択条件下で不安定であることを示す。(B)液体培養液由来の選択(YPD+Zeo)および非選択(YPD)培地上での成長を決定することによるプラスミド安定性の評価。示したプラスミドおよびコロニーサイズの形質転換体の4つのコロニー(T1〜T4)を、選択(YPD+Zeo)および非選択(YPD)条件下で60時間、液体培養液中に接種して、続いて選択および非選択寒天プレート上にスタンプした。(1:1000希釈)。ゼオシン選択を検査するための野生型株である空のpPpT4_Sベクターは、安定なゲノム組込みに関する対照として含まれる。
図2C】PCAT1のARSは、バックグラウンド成長を引き起こして、非選択条件下で不安定であることを示す。(C)選択および非選択条件下での単一コロニー分離形質転換体の安定性。PCAT1−692(代表的なARS含有プラスミドとして)およびPCAT1−500(ARSを含まない対照)の4つの形質転換体(T1〜T4)からの単一コロニーを、選択(YPD+ゼオシン)および非選択(YPD)条件で再度画線培養した。続いて単一コロニーを選択培地上に隣接して画線培養して、成長によるプラスミド損失をモニタリングした(28℃で48時間のインキュベーション後の写真)。PCAT1−692の場合には、線状化ベクター(大きなおよび小さなコロニー)および環状プラスミドの形質転換体を使用した。
図3A】PCAT1のARSを含有するエピソーム複製プラスミドは、ゲノム組込みと比較して、選択圧力下で発現の増加を示す。示したプラスミドおよびコロニーサイズのレポータータンパク質蛍光は、選択マーカー(A)ゼオシン相補性を用いて測定した。株は、選択(YPD+Zeo/Gen;BMG(緩衝最小グリセロール))および非選択(YPD、BMD(緩衝最小デキストロース))培地中で60時間成長させた(図2Bも参照)。空のベクター対照は、ゼオシンに関してはpPpT4_S、ジェネティシンに関してはpPpKan_S、そしてグリセロールに関しては、栄養要求性pPpGUT1であった(Naatsaariら 2012年)。同様に、GUT1相補性選択に関しては、栄養要求性親株が含まれた。7つの異なる形質転換体の平均値および標準偏差を示す。ジェネティシン選択の場合、任意の成長差は、コロニー間でほとんど顕著ではなく(図S3における写真を参照)、したがって、示した大きなおよび小さなコロニーは、単なる推定である。高い標準偏差に起因して、ジェネティシン上のPCAT1−692の推定上の大きなコロニーに関して、同様に、各単一の形質転換体の蛍光値を入口として示す。
図3B】PCAT1のARSを含有するエピソーム複製プラスミドは、ゲノム組込みと比較して、選択圧力下で発現の増加を示す。示したプラスミドおよびコロニーサイズのレポータータンパク質蛍光は、選択マーカー(B)ジェネティシン相補性を用いて測定した。株は、選択(YPD+Zeo/Gen;BMG(緩衝最小グリセロール))および非選択(YPD、BMD(緩衝最小デキストロース))培地中で60時間成長させた(図2Bも参照)。空のベクター対照は、ゼオシンに関してはpPpT4_S、ジェネティシンに関してはpPpKan_S、そしてグリセロールに関しては、栄養要求性pPpGUT1であった(Naatsaariら 2012年)。同様に、GUT1相補性選択に関しては、栄養要求性親株が含まれた。7つの異なる形質転換体の平均値および標準偏差を示す。ジェネティシン選択の場合、任意の成長差は、コロニー間でほとんど顕著ではなく(図S3における写真を参照)、したがって、示した大きなおよび小さなコロニーは、単なる推定である。高い標準偏差に起因して、ジェネティシン上のPCAT1−692の推定上の大きなコロニーに関して、同様に、各単一の形質転換体の蛍光値を入口として示す。
図3C】PCAT1のARSを含有するエピソーム複製プラスミドは、ゲノム組込みと比較して、選択圧力下で発現の増加を示す。示したプラスミドおよびコロニーサイズのレポータータンパク質蛍光は、選択マーカー(C)GUT1相補性を用いて測定した。株は、選択(YPD+Zeo/Gen;BMG(緩衝最小グリセロール))および非選択(YPD、BMD(緩衝最小デキストロース))培地中で60時間成長させた(図2Bも参照)。空のベクター対照は、ゼオシンに関してはpPpT4_S、ジェネティシンに関してはpPpKan_S、そしてグリセロールに関しては、栄養要求性pPpGUT1であった(Naatsaariら 2012年)。同様に、GUT1相補性選択に関しては、栄養要求性親株が含まれた。7つの異なる形質転換体の平均値および標準偏差を示す。ジェネティシン選択の場合、任意の成長差は、コロニー間でほとんど顕著ではなく(図S3における写真を参照)、したがって、示した大きなおよび小さなコロニーは、単なる推定である。高い標準偏差に起因して、ジェネティシン上のPCAT1−692の推定上の大きなコロニーに関して、同様に、各単一の形質転換体の蛍光値を入口として示す。
図4A】CAT1−692プロモーターおよびその内因性ARSの組合せは、生体触媒MeHNLおよびLuHNLに関して、4.9倍高い収率をもたらし、形質転換体は、最大3.5倍のより一様な発現を示す。MeHNL(A、B)およびLuHNL(C、D)は、PCAT1−692(A、C)を保有する環状プラスミドまたはPCAT1−500(B、D)を保有する線状化プラスミドから発現された。MeHNLおよびLuHNL活性は、選択条件(グリセロール)下で60時間の成長後に測定した。LuHNL培養には、フォールディングに必要とされる硫酸亜鉛を補充した。42個の形質転換体を、グリセロール上の96ウェルディープウェルプレートにおける60時間の成長後に構築物について比較した。構築物についての全ての形質転換体の平均値(MV)および標準偏差(SD)を各パネルの左側に示す。SDはまた、MVのパーセントとして提供される。
図4B】CAT1−692プロモーターおよびその内因性ARSの組合せは、生体触媒MeHNLおよびLuHNLに関して、4.9倍高い収率をもたらし、形質転換体は、最大3.5倍のより一様な発現を示す。MeHNL(A、B)およびLuHNL(C、D)は、PCAT1−692(A、C)を保有する環状プラスミドまたはPCAT1−500(B、D)を保有する線状化プラスミドから発現された。MeHNLおよびLuHNL活性は、選択条件(グリセロール)下で60時間の成長後に測定した。LuHNL培養には、フォールディングに必要とされる硫酸亜鉛を補充した。42個の形質転換体を、グリセロール上の96ウェルディープウェルプレートにおける60時間の成長後に構築物について比較した。構築物についての全ての形質転換体の平均値(MV)および標準偏差(SD)を各パネルの左側に示す。SDはまた、MVのパーセントとして提供される。
図4C】CAT1−692プロモーターおよびその内因性ARSの組合せは、生体触媒MeHNLおよびLuHNLに関して、4.9倍高い収率をもたらし、形質転換体は、最大3.5倍のより一様な発現を示す。MeHNL(A、B)およびLuHNL(C、D)は、PCAT1−692(A、C)を保有する環状プラスミドまたはPCAT1−500(B、D)を保有する線状化プラスミドから発現された。MeHNLおよびLuHNL活性は、選択条件(グリセロール)下で60時間の成長後に測定した。LuHNL培養には、フォールディングに必要とされる硫酸亜鉛を補充した。42個の形質転換体を、グリセロール上の96ウェルディープウェルプレートにおける60時間の成長後に構築物について比較した。構築物についての全ての形質転換体の平均値(MV)および標準偏差(SD)を各パネルの左側に示す。SDはまた、MVのパーセントとして提供される。
図4D】CAT1−692プロモーターおよびその内因性ARSの組合せは、生体触媒MeHNLおよびLuHNLに関して、4.9倍高い収率をもたらし、形質転換体は、最大3.5倍のより一様な発現を示す。MeHNL(A、B)およびLuHNL(C、D)は、PCAT1−692(A、C)を保有する環状プラスミドまたはPCAT1−500(B、D)を保有する線状化プラスミドから発現された。MeHNLおよびLuHNL活性は、選択条件(グリセロール)下で60時間の成長後に測定した。LuHNL培養には、フォールディングに必要とされる硫酸亜鉛を補充した。42個の形質転換体を、グリセロール上の96ウェルディープウェルプレートにおける60時間の成長後に構築物について比較した。構築物についての全ての形質転換体の平均値(MV)および標準偏差(SD)を各パネルの左側に示す。SDはまた、MVのパーセントとして提供される。
図5】P.パストリスにおけるPCAT1−692エピソームプラスミドベクターは、ゲノム組込みを標的とする直鎖状カセットよりもおよそ108倍高い形質転換効率を示す。環状ARSプラスミドPCAT1−69210ngおよびPCAT1−500プラスミド(ゲノム組込みを標的とするために線状化)1μgを形質転換した。形質転換効率は、DNA1μg当たりのコロニー形成単位(cfu)として算出した。ARSプラスミドおよびゲノム組込みに関する四重反復の平均値および標準偏差を算出した(MeHNLおよびLuHNL構築物の形質転換の単一値を同様に示す)。
図6A】プラスミド損失の影響は、グリセロールストックから接種した場合に、さらに一層深刻である。(A)96ウェルグリセロールストックからの接種を用いて、図2Bに示すのと同じ実験を繰り返した。図2Bおよび図3Aで示すYPD培養の96ウェルマイクロタイタープレートにおけるグリセロールストックを使用して、選択(YPD+Zeo)および非選択(YPD)培地を接種した。したがって、示したプラスミドおよびコロニーサイズの図2Bに示すのと同じ形質転換体(T1〜T4)を使用した。60時間の培養後、培養を1:1000に希釈して、選択および非選択寒天プレート上にスタンプした。ゼオシン選択を検査するための野生型株である空のpPpT4_Sベクターは、安定なゲノム組込みに関する対照として含まれる。
図6B】プラスミド損失の影響は、グリセロールストックから接種した場合に、さらに一層深刻である。(B)グリセロールストックから接種されるのを除いて、同一の図3AのパネルAに記載する培養の蛍光測定。
図7A】ゼオシン選択を用いて検査したPCAT1−692を保有する環状プラスミドおよびPCAT1−500を保有する線状化プラスミドからのMeHNL発現は、GUT1選択を用いた場合に得られるのと類似した結果(図4を参照)を示す。ARSを用いた場合の活性の平均値は、ゲノム組込みよりも約3.9倍高い。プラスミドがゼオシン耐性遺伝子を含有し、培養をYPD−Zeo完全培地中で実施したことを除いて、図4と同じ実験。
図7B】ゼオシン選択を用いて検査したPCAT1−692を保有する環状プラスミドおよびPCAT1−500を保有する線状化プラスミドからのMeHNL発現は、GUT1選択を用いた場合に得られるのと類似した結果(図4を参照)を示す。ARSを用いた場合の活性の平均値は、ゲノム組込みよりも約3.9倍高い。プラスミドがゼオシン耐性遺伝子を含有し、培養をYPD−Zeo完全培地中で実施したことを除いて、図4と同じ実験。
図8】線状化PCAT1−500プラスミドのDNA量をおよそ1000ngに低減させることにより、MeHNL(A)およびLuHNL(B)活性に関して景観の一様性を改善した(図4B図4Dと比較)。ほんの1000ngに等しい量のpPpT4Sベクター(Naatsaariら 2012年)が形質転換されたことを除いて、図4と同じ実験。景観の一様性は、MeHNLに関しては標準偏差88%(図4B)から57%(A)へ、LuHNLに関しては69%(図4D)から76%(B)へ変化する。さらに、形質転換するDNA量を低減させることは、形質転換体の数の低減を費やして一様性の改善をもたらすことができる。
図9】PCAT1−692の配列(配列番号1)。
図10】putARS−PCATの配列(配列番号2)。
図11】PCAT500−692の配列(配列番号3)。
図12】ARS配列を伴わないCAT1−500プロモーターの配列(配列番号4)。
図13】CbAOD1プロモーターARSの配列(配列番号5)。
図14】AOD−F1の配列(配列番号6)。
図15】AOD−F2の配列(配列番号7)。
図16】AOD−F3の配列(配列番号8)。
図17】AOD−F4の配列(配列番号9)。
図18】AOD−F5の配列(配列番号10)。
図19】AOD−F6の配列(配列番号11)。
図20】pCAT1noCoreの配列(配列番号12)。
図21】SapIクローニングスタッファーの配列(配列番号13)。
図22】培養の60時間後のeGFP発現値を示す。AOD−Fullは、ARS/ターミネーター要素およびその異なる断片に関するF(配列番号6〜11)を含むC.ボイジニイ(C. boidinii)PAOD1(配列番号5)を表す。CAT1−500=配列番号4、pCAT1−692=配列番号1、CAT1−ARS=配列番号3。
図23】最良の公知のP.パストリスターミネーター配列(TT)と比較して、ARS断片の転写ターミネーター効率を示す。培養の60+48時間後のeGFP発現値。BMDにおける60時間の培養および96ウェルプレート実験におけるMeOHによる48時間の誘導。P.パストリスAOD1遺伝子AOD_TTのターミネーター(JQ519690 2360〜2835bpに存在する)は、典型的なピキア属(Pichia)組込みベクターにおける選択マーカーカセットの標準的な要素であり(Naatsaariら 2012年)、これらの実験においてベンチマークとして使用される。2つの新たなARS配列はともに、転写ターミネーターとして機能的である。驚くべきことに、C.ボイジニイ(C. boidinii)由来の異種ARS配列は、これまでに知られているARS1配列として、またP.パストリスAOD1遺伝子の頻繁に使用されるターミネーターよりも、さらに強力な影響を示した。
図24】先の増幅および大腸菌(E. coli)からの単離を伴わない、P.パストリスから単離したプラスミドDNAによる直接的な形質転換由来の形質転換体を示す。
図25A】種々の配列部分(PARS1を伴うA、B、二官能性ARSとして使用されるCbARSを伴うC&D(ポリヌクレオチド配列番号6からなるARSを使用した)および選択マーカー用のターミネーター配列(選択圧力を伴って、および伴わずに))および自己プラスミド複製を有するエピソームプラスミドを使用した、PCAT1プロモーターの制御下にある個々の形質転換体のeGFP発現を示す。図25A、PARS1 YPD;eGFP発現値は、60時間の培養時間後に測定した。新たな異種ARSと対比して、P.パストリスPARS1は、二官能性ARSおよびTT DNA部分として使用される場合に安定でなかった(選択圧力を伴わない場合の非常に低い発現、さらにCbARSと比較して、ゼオシンを用いた場合のより低い発現レベル)。
図25B】種々の配列部分(PARS1を伴うA、B、二官能性ARSとして使用されるCbARSを伴うC&D(ポリヌクレオチド配列番号6からなるARSを使用した)および選択マーカー用のターミネーター配列(選択圧力を伴って、および伴わずに))および自己プラスミド複製を有するエピソームプラスミドを使用した、PCAT1プロモーターの制御下にある個々の形質転換体のeGFP発現を示す。図25B、PARS1 YPD−Zeo;eGFP発現値は、60時間の培養時間後に測定した。新たな異種ARSと対比して、P.パストリスPARS1は、二官能性ARSおよびTT DNA部分として使用される場合に安定でなかった(選択圧力を伴わない場合の非常に低い発現、さらにCbARSと比較して、ゼオシンを用いた場合のより低い発現レベル)。
図25C】種々の配列部分(PARS1を伴うA、B、二官能性ARSとして使用されるCbARSを伴うC&D(ポリヌクレオチド配列番号6からなるARSを使用した)および選択マーカー用のターミネーター配列(選択圧力を伴って、および伴わずに))および自己プラスミド複製を有するエピソームプラスミドを使用した、PCAT1プロモーターの制御下にある個々の形質転換体のeGFP発現を示す。図25C、CbARS YPD;eGFP発現値は、60時間の培養時間後に測定した。新たな異種ARSと対比して、P.パストリスPARS1は、二官能性ARSおよびTT DNA部分として使用される場合に安定でなかった(選択圧力を伴わない場合の非常に低い発現、さらにCbARSと比較して、ゼオシンを用いた場合のより低い発現レベル)。
図25D】種々の配列部分(PARS1を伴うA、B、二官能性ARSとして使用されるCbARSを伴うC&D(ポリヌクレオチド配列番号6からなるARSを使用した)および選択マーカー用のターミネーター配列(選択圧力を伴って、および伴わずに))および自己プラスミド複製を有するエピソームプラスミドを使用した、PCAT1プロモーターの制御下にある個々の形質転換体のeGFP発現を示す。図25D、CbARS−Zeo;eGFP発現値は、60時間の培養時間後に測定した。新たな異種ARSと対比して、P.パストリスPARS1は、二官能性ARSおよびTT DNA部分として使用される場合に安定でなかった(選択圧力を伴わない場合の非常に低い発現、さらにCbARSと比較して、ゼオシンを用いた場合のより低い発現レベル)。
図26】21個の個々の形質転換体のGAPプロモーター駆動eGFP発現を示す。
図27】CAT1−500プロモーター(ARS要素を伴わない)およびCAT1_692要素(ARS配列を伴う)を含有する線状化(脱リン酸化を伴って、および伴わずに)ならびに環状プラスミドによる、K.ファフィイ(K. phaffii)株BSYBG11(野生型として示される)およびKU70欠失変異体BSY11dKU70の形質転換効率を示す。KU70欠失株は、wt株と比較して、より遅い成長に起因して、かなり少数の形質転換体およびより小さなコロニーを示した。
図28】種々の長さの重複領域を用いたHRクローニング。ベクターバックボーン50ngおよびモル比3:1の挿入片:ベクターを形質転換に使用し、再生した形質転換体100μlを選択培地上へ平板培養した。A:50bp、B:100bp、C:250bp、D:500bp。
図29】細胞1つ当たりの複数の挿入片の取込み。種々の量のベクターバックボーンおよび2倍多い挿入片(250bpの重複領域を有するeGFPおよびsTomatoの1:1ミックス)を形質転換に使用し、複数の変異体の取込みに関して検査した。
図30】挿入片としてシグナル配列およびプロモーターを含むハーセプチンCDS(構築物1c)によるHRクローニング形質転換効率検査。ベクターバックボーン50ngとともに種々の長さの相同領域(HR250=250bp)およびモル比(5:1=挿入片:ベクターバックボーンの比)を使用した。HR後の数は、重複長さを示す。
図31】非選択および選択培地におけるHRクローニングによって生成される形質転換体の培養。HR後の数は、ベクターバックボーンに対する相同領域の長さを示す。小さなおよび大きなコロニーは、培養に関して選択した。完全に構築された環状CbARSベースの発現ベクターは、陽性対照として機能を果たした。1つのサイズおよび重複長につき21個の形質転換体を検査し、総計168個であった。
図32】挿入片としてIgG軽鎖の可変領域を使用したHRクローニング。ベクターバックボーン1μgおよび挿入片2μgを、P.パストリスBSY11dKU70の形質転換に使用した。3つの個々の形質転換から再生された形質転換体を、適正な希釈後に選択培地上へ平板培養して、CFUを計数して、ベクターバックボーン1μgに対して標準化した。
図33-1】配列番号72:実施例において使用するベクター配列。
図33-2】配列番号85:実施例において使用するベクター配列。
図33-3】配列番号85:実施例において使用するベクター配列。
図33-4】配列番号86:実施例において使用するベクター配列。
図33-5】配列番号86:実施例において使用するベクター配列。
図33-6】配列番号87:P.パストリスのku70遺伝子、>gil328352576:1598101−1599963 ピキア・パストリスCBS 7435 3番染色体、完全レプリコン配列。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は具体的には、目的の遺伝子および自己複製配列(ARS)を含み、任意選択でプロモーターおよび選択マーカーをさらに含むエピソームプラスミドベクターに関し、ここで目的の遺伝子は、前記プロモーターの転写制御下にあり、前記ARSは、配列番号2、配列番号3、配列番号5、または配列番号6〜11のヌクレオチド配列、または上記のいずれかの機能的に活性な変異体を含む。
【0048】
さらに、P.パストリスにおいて相同組換えを使用してエピソームプラスミドベクターを産生する方法が、本明細書に記載される。
明細書全体にわたって使用される場合の特定用語は、下記の意味を有する。
【0049】
「目的の遺伝子(GOI)」という用語は、本明細書中で使用する場合、任意選択で高レベルでの、例えば、宿主細胞において発現されることが望ましい目的のタンパク質(POI)またはその断片をコードする任意の非コードおよびコード遺伝子または部分的コード遺伝子、または非コードRNAを指す。目的の遺伝子として、酵素(例えば、プロセス酵素)、生体触媒、抗体およびその断片、抗原結合ペプチド、免疫原性タンパク質、調節タンパク質、細胞シグナル伝達およびリガンド結合タンパク質、サイトカイン、ホルモン、タンパク質抗生物質、ペプチドホルモン、阻害剤ペプチド、バイオサーファクタントを含有するペプチド、構造タンパク質、血清アルブミン、ゼラチンまたはコラーゲン、ヒト増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、毒素(複数/単数)、融合タンパク質、あるいは将来性のある商業用途を有する任意の他のタンパク質またはペプチド、例えば、部分的もしくは全体的な代謝経路を触媒する酵素などの治療的、診断的または薬学的な重要性を有するものをコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。GOIの特定の例は、抗体、免疫グロブリン、またはそれらの抗原結合領域もしくは断片、特にscFvまたはFab、ヒドロラーゼ、酸化還元酵素、イソメラーゼ、リアーゼまたはリガーゼなどの酵素をコードしている。GOIは通常、POIをコードする非コードヌクレオチド配列または遺伝子の20、30、40または50個の連続ヌクレオチドの少なくともいずれかを含むか、またはそれらからなる。
【0050】
特に、「遺伝子」という用語は、遺伝子のDNA断片、特に部分的な遺伝子であるものも含む。断片はまた、幾つかのオープンリーディングフレーム、同じORFまたは異なるORFの繰り返しのいずれかを含有し得る。この用語は具体的には、全体的にまたは部分的に、非コードの、例えば非転写もしくは非翻訳配列、またはコードポリペプチドであるヌクレオチド配列を含む。例示的な非コード「遺伝子」は、調節遺伝子またはプロモーター配列である。したがって、GOI変異体の具体例は、抗体、抗体断片もしくはペプチド性/ポリペプチド性抗原結合分子などのポリペプチドまたはタンパク質をコードするプロモーター変異体および遺伝子変異体に関する。
【0051】
POIの具体例は、抗体またはその断片などの抗原結合分子である。特定POIには、モノクローナル抗体(mAb)、免疫グロブリン(Ig)または免疫グロブリンクラスG(IgG)、重鎖抗体(HcAb)、または抗原結合性の断片(Fab)、Fd、単鎖可変断片(scFv)などのそれらの断片、または例えばFv二量体(二重特異性抗体)、Fv三量体(三重特異性抗体)、Fv四量体などのそれらの操作変異体、あるいはミニボディおよびVHまたはVHHまたはV−NARのような単一ドメイン抗体などの抗体である。さらに、抗原結合分子は、例えば、操作クニッツドメイン、Adnectin、Affibody、AnticalinおよびDARPinなどの(代替的な)スカフォールドタンパク質から選択される。「スカフォールド」という用語は、抗原結合分子の生成に関する出発点として機能を果たす、サイズ、構造および起源が異なる小型でかつ安定的にフォールディングされたタンパク質の多面的な群について記載する。抗体(免疫グロブリン)の構造−機能の関連性に始まって、かかる代替的なタンパク質スカフォールドは、所定の(生体)分子標的の緊密かつ特異的な認識に関して再成形され得る相互作用部位を支持する頑強な保存構造のフレームワークを提供する。
【0052】
本明細書に記載するプラスミドおよび方法を用いて発現される目的のタンパク質は、分泌されなくてもよく、または分泌されてもよい(細胞壁に、もしくは細胞表面上に組み込まれるか、または結合されるタンパク質を含む)。ARSプラスミドから転写される非コードRNAは例えば、調節特性を有し得る。特殊の目的の非コードRNAは、snRNA、アンチセンスRNA、長鎖非コードRNA、siRNA、リボザイムである。
【0053】
本明細書に記載するタンパク質の例は、非限定的であり、真核生物において、即ち酵母において発現させることが可能な任意のタンパク質またはペプチドまたはポリペプチドは、本明細書に記載するエピソームプラスミドベクター、宿主細胞および方法を用いて発現させることができる。上述の目的のタンパク質は、任意の種(例えば、哺乳動物またはヒトタンパク質)に由来し得る。具体的には、「POI」という用語は、本明細書中で使用する場合、宿主細胞における、組換えポリペプチドまたは組換え技術を用いて産生されるタンパク質を指す。より具体的には、タンパク質は、宿主細胞において天然に存在しないポリペプチド、即ち異種タンパク質であってもよく、あるいは宿主細胞にとって天然、即ち宿主細胞に対して相同タンパク質であってもよいが、例えば、POIをコードする核酸配列を含有する自己複製ベクターによる形質転換によって、またはPOIをコードする核酸配列の1つまたは複数のコピーの組換え技法による宿主細胞のゲノムへの組込み時に、または例えばプロモーター配列のPOIをコードする遺伝子の発現を制御する1つまたは複数の調節配列の組換え修飾によって産生される。幾つかの場合では、POIという用語はまた、本明細書中で使用する場合、組換え的に発現されるタンパク質によって媒介されるような宿主細胞による任意の代謝産物を指す。
【0054】
本明細書中で使用する場合、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、交換可能に使用されて、ペプチド結合によって連結されるアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指す。アミノ酸に関する従来の1文字または3文字コードを本明細書中で使用する。ポリペプチドは、ジスルフィド結合、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、アミド化または任意の他の修飾を含み得る。「機能性タンパク質」または「機能性ポリペプチド」とは、タンパク質またはポリペプチドが、その意図される目的のために作動することを意図する。例えば、機能性酵素は、特定反応を触媒する。
【0055】
「組換え」という用語は、本明細書中で使用する場合、「遺伝子操作によって調製されることまたは遺伝子操作の結果」を意味する。したがって、組換え微生物または宿主細胞は、少なくとも1つの「組換え核酸」を含む。組換え微生物は具体的には、発現ベクターまたはクローニングベクターを含み、あるいはそれは、組換え核酸配列を含有するように遺伝子操作されている。「組換えタンパク質」は、宿主において各々の組換え核酸を発現することによって産生される。「組換えプロモーター」は、本明細書に記載するような機能的に活性なプロモーターとしてのその使用に適した、遺伝的に操作される非コードヌクレオチド配列である。
【0056】
本発明のプロモーターなどの核酸に関する「単離される」という用語は、本明細書中で使用する場合、「実質的に純粋な」形態で存在するように、天然において結びついている環境から十分に分離されているような化合物を指す。「単離される」は、他の化合物もしくは材料との人工または合成混合物、あるいは基礎的な活性を妨害せず、例えば不完全な精製に起因して存在し得る不純物の存在の排除を必ずしも意味しない。特に、本発明の単離核酸分子はまた、化学的に合成されるものを含むと意図される。この用語は具体的には、それが起源とされる生物の天然に存在するゲノムにおいてすぐに近接している配列から分離されるDNA分子を指す。例えば、「単離プロモーター」は、プラスミドなどのベクターへ挿入されるか、または宿主生物のゲノムDNAへ組み込まれるDNA分子を含んでもよい。単離プロモーターはさらに、生物学的または合成的手段によって直接産生されて、その産生中に存在する他の構成成分から分離される分子を表し得る。
【0057】
本明細書に記載するエピソームプラスミドまたはエピソームプラスミドのライブラリーは、単離形態で供給することができ、それは、かかるエピソームプラスミドを組み込む組換え宿主をさらに操作するためのツールとして利便性よく使用されることが十分理解される。
【0058】
「プラスミド」は、本明細書中で使用する場合、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの発現に関して宿主細胞を形質転換するのに使用される核酸構築物であるベクターとして定義され、ベクターは、それが形質転換する宿主細胞において、事実上見出されない。「プラスミドベクター」とも称されるプラスミドまたはベクターは具体的には、染色体DNAから特に物理的に分離される染色体外核酸として理解される。プラスミドは、適切な宿主生物における、クローニングされる組換えヌクレオチド配列の、即ち組換え遺伝子の転写およびそれらのmRNAの翻訳に必要とされるDNA配列を含んでもよく、または含まなくてもよい。プラスミドベクターは通常、宿主細胞における自己複製用の起点、選択可能なマーカー、多数の制限酵素切断部位、適切なプロモーター配列および転写ターミネーターを含み、これらの構成成分は、一緒に作動可能に連結される。GOI変異体のレパートリーを含むプラスミドのライブラリーが産生されるように、プラスミドは、同様にGOIの担体および突然変異誘発によって産生されるGOIの変異体として機能を果たし得る。ある特定の実施形態によれば、本明細書に記載するプラスミドは、ピキア属(Pichia)プラスミド、特にP.パストリス細胞培養液中でGOIを複製および発現することが可能であるP.パストリスプラスミドである。
【0059】
本明細書に記載するプラスミドは、天然に存在するヌクレオチド配列を含有し得るが、プラスミドは、プラスミドに対して異種(外来)であるプロモーターまたはGOIなどの異種配列を含む。したがって、本明細書に記載するプラスミドは、生合成方法によって得ることが可能であるが、合成産物、即ち、天然に産生されず、人造設計である人工的に創出されるヌクレオチド配列とみなされる。
【0060】
「エピソーム」であるプラスミドまたはベクターは、本明細書中では、宿主細胞染色体とは無関係に複製しており、また好適には数世代にわたって培養する場合に、それが宿主細胞染色体へ著しく組み込まれないように、宿主細胞の培養液中で染色体外ベクターとして維持されるエピソープ的にまたは自己的に複製するプラスミドとして理解される。エピソームプラスミドベクターを含む組換え宿主細胞は、好適には(ゲノム的に)安定であり、ここでエピソームプラスミドは、多くの世代に関して存続する。不安定である場合、エピソームプラスミドは、連続的な細胞分裂によって集団から徐々に希釈される。安定なエピソーム的に複製するプラスミドは、選択圧力によって細胞集団において(例えば、抗生物質の存在下で)維持され得る。本明細書に記載するエピソームプラスミドの使用は、染色体を組み込んでいるプラスミドの使用よりも高いトランスフェクション効率をもたらす。さらに、エピソームプラスミドは、一連の真核宿主細胞へ導入されて、染色体外構築物として複製し得る。
【0061】
エピソームプラスミドは、宿主細胞において安定に維持され得る。安定性は、本明細書に記載し、また当該技術分野で公知の方法によって、例えば宿主細胞ゲノムを配列決定することによって、決定することができる。特に、エピソームプラスミドを含む宿主細胞のゲノム安定性は、宿主細胞培養液中で宿主細胞を培養する際に決定することができ、安定性は、例えば、培養の約10、15または20世代を反映する時間後に決定される。
【0062】
「ベクターバックボーン」という用語は、本明細書中で使用する場合、遺伝子操作手順における細胞の形質転換に使用される核酸構築物を指す。ベクターバックボーンは通常、選択可能なマーカー、制限酵素切断部位を含み、形質転換されるべき宿主細胞に特異的な特性を付与する、タンパク質分子を発現するのに必要なポリヌクレオチド配列、および/またはタンパク質発現に関する各々の制御配列、例えばプロモーター配列および転写ターミネーター配列などの調節配列を含む。人工ベクターは、制限酵素を使用して種々の供給源からDNA分子を切断すること、ポリヌクレオチドポリメラーゼ反応または人工DNA合成を使用した個々のDNA分子の構築およびリガーゼを使用してかかるDNA分子を結合させることなどの様々な分子生物学技法によって構築され得る。ベクターバックボーンは、発現ベクターの全ての要素を含有し得るが、GOIを伴わない。
【0063】
「挿入片」という用語は、本明細書中で使用する場合、例えば、相同組換えを通じて、ベクターバックボーンへ組み込むのに適した直鎖状核酸分子であるベクター挿入片を指す。
【0064】
本明細書に記載するベクター挿入片は具体的には、GOI、特にGOIの変異体を産生するための突然変異誘発の遺伝子の断片または選択領域の断片を含む。さらに、挿入片は、ベクターの領域に対して相同的である挿入片の5’および3’末端にある配列(本明細書中では、5’および3’相同配列と称される)、特にベクター挿入片を組み込むのに標的とされるベクターの組換え部位を含む。5’および3’相同配列は、組換え部位に対して同一であるか、または少なくとも相同であるとみなされる配列同一性を有するDNAの断片である。5’および3’相同配列は好ましくは、前記GOIに隣接しており、特に前記GOIに対してすぐ近接しているか、またはGOIの上流もしくは下流に位置される。ベクター挿入片は、例えば、線状化ベクターの3’末端による挿入片の5’末端の相同組換え、および線状化ベクターの5’末端による挿入片の3’末端の相同組換えによって、環状または直鎖状ベクター要素、特に線状化ベクターへ利便性よく挿入される。組換え時に、GOIは、ベクターに挿入されて、組み込まれる。
【0065】
幾つかの実施形態では、5’および3’相同配列は、挿入片に、特にGOIの両側で(例えば、人工配列を、GOIの5’および3’末端に、またはGOI配列を伸長するヌクレオチド配列にライゲートすることによって)付加される人工配列である。幾つかの実施形態では、5’および3’相同配列は、GOIの内因性配列またはGOIを含む発現カセットである。かかる実施形態では、5’および3’相同配列は、タンパク質コード配列の、または上流および下流調節要素の一部であり得る。
【0066】
ベクター挿入片の5’および3’相同配列および/またはベクターバックボーンの組換え部位はそれぞれ、30、50、70、100、130、150、250、または500個の少なくともいずれか、例えば少なくとも30個、および利便性良く、最大1000、500または300個のいずれかを含み得るか、またはそれからなり得る。
【0067】
「レパートリー」は本明細書中で使用する場合、言及されるヌクレオチド配列の突然変異誘発によって産生される核酸の変異体である多様な分子の集団を指す。GOIのレパートリーは具体的に、親GOIの変異体の集団を含み、ここで変異体は、GOI内で既定の位置にあるか、または無作為に配置される少なくとも1つの点突然変異において異なる。
【0068】
幾つかの実施形態では、親GOIの変異体は、GOIのレパートリーを得るように産生されてもよく、ここで変異体はそれぞれ、ある特定の配列同一性、例えば、親GOIに対する少なくとも60%、70%、80%、90%、95%の配列同一性のいずれか1つを有する。幾つかの実施形態では、GOIのレパートリーにおける親GOIの変異体はそれぞれ、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、50、100個のヌクレオチドのいずれか1つにおいて、親GOIと異なる。
【0069】
ベクター挿入片のレパートリーが産生されてもよく、ここで挿入片は、5’および3’相同領域以外であるGOIを表すヌクレオチド配列において含まれる可変領域を有する。可変領域は具体的には、5’および3’相同領域を変化されないままで、可変領域内の少なくとも1つの位置(点突然変異)が異なるGOI変異体を産生するための突然変異誘発を受ける。突然変異誘発の結果として、ベクター挿入片のライブラリーが産生され、それは、それらのヌクレオチド配列、特にGOIヌクレオチド配列が異なる直鎖状ヌクレオチド構築物の集団または多様性を含む。
【0070】
「突然変異誘発」という用語は、本発明の状況で使用する場合、例えば1つまたは複数のヌクレオチドの挿入、欠失および/または置換によって、非コードまたはコード領域において少なくとも1つの変化を有するそれらの変異体を得るように、ヌクレオチド配列の突然変異体を提供する方法を指す。突然変異誘発は、無作為、半無作為または部位特異的突然変異によるものであり得る。具体的なGOI変異体は、親GOIに由来し、それは、例えば宿主生物において天然に存在する野生型GOIである。突然変異誘発方法は特に、核酸を操作する方法または鋳型として親GOI情報を使用してヌクレオチド配列をデノボで合成する方法を包含する。具体的な突然変異誘発方法は、変異体の合理的な操作を適用する。
【0071】
具体的な突然変異誘発方法は、例えばプロモーターのヌクレオチド配列内の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれよりも多い連続したヌクレオチドを変化させるための、配列における1つまたは複数のヌクレオチドの点突然変異、特にタンデム点突然変異を提供する。かかる突然変異は通常、1つまたは複数のヌクレオチドの欠失、挿入および/または置換の少なくとも1つである。
【0072】
「相同組換え」(HR)は、本明細書中で使用する場合、相同ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列(特に、DNA鎖)が交換されて、それにより結合される遺伝子組換えのタイプを指す。
【0073】
「組換え部位(複数可)」は、本明細書中で使用する場合、相同組換えが2つのヌクレオチド化合物間で起きるのを可能にするための、第2のヌクレオチド化合物上の配列に対して相同的または十分に相同的である第1のヌクレオチド化合物上の1つまたは複数の配列を指す。
【0074】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載するベクターバックボーンは、2つまたは複数の相同性組換え部位(複数可)を含む。組換え部位(複数可)は、プロモーター配列、転写ターミネーター配列、選択マーカー、GOIをコードする配列またはかかる要素を結合させるベクターバックボーンの配列などの、ベクターバックボーン上に存在する配列要素の一部/それらとの重複であり得る。幾つかの実施形態では、ベクターバックボーンは、2つの組換え部位(例えば、直鎖状ベクターバックボーンの各末端上の1つの組換え部位)を含む。幾つかの実施形態では、ベクターバックボーンは、2つの組換え部位を含み、ここで2つの組換え部位は、近接配列の分割部分である。例えば、ベックボーン上のGOI配列内の近接配列は、2つの部分に分割されて、2つの部分は、直鎖状ベクターバックボーンの2つの末端(例えば、環状ベクターバックボーン上の近接配列が、前記配列内で切断されて、それにより2つの部分を生成する)に位置し、続いて、第1の部分に対する、即ち第1の組換え部位に対する相同配列は、GOIに対する5’相同(隣接)配列として付加されて、第2の部分に対する、即ち第2の組換え部位に対する相同配列は、GOIに対する3’相同(隣接)配列として付加される。かかる組換え部位を含むベクターバックボーンおよび各々の隣接配列を有するGOIを含む挿入片の形質転換時に、GOIは、GOI配列の連続した配列内に組み込まれる。幾つかの実施形態では、ベクターバックボーンは、互いに独立している2つの組換え部位を含み、例えば、第1の組換え部位は、GOIの配列が続くプロモーター配列内の配列であり、第2の組換え部位は、GOIの3’末端に続く転写終結配列内の配列である。それぞれ、第1および第2の相同部位に対して相同的である5’および3’相同(隣接)領域による、GOIの変異体を含む挿入片と一緒にかかる直鎖状ベクターバックボーン(両端で組換え部位を含む)の形質転換時に、変異体GOIは、ベクターバックボーンに挿入されて、それにより元のGOIを置き換える。
【0075】
「プロモーター」という用語は、本明細書中で使用する場合、コード配列または機能性RNAの転写を制御することが可能なDNA配列を指す。本発明のプロモーターは具体的には、コードDNAの発現を開始させるか、調節するか、または他の場合では媒介もしくは制御する。プロモーターは、RNAポリメラーゼによって認識され、それは続いて、転写を開始させる。したがって、プロモーターは、RNAポリメラーゼによって直接結合されるか、またはRNAポリメラーゼの漸増に関与されるDNA配列を含有する。プロモーターDNAおよびコードDNAは、同じ遺伝子由来であってもよく、または異なる遺伝子由来であってもよく、また同じか、または異なる生物に由来し得る。プロモーターは、タンパク質発現に使用する宿主細胞と同じか、または異なる種(例えば、酵母種)に由来し得る。プロモーターはまた、合成プロモーター、即ち天然に産生されず、人造設計である人工的に創出されるヌクレオチド配列であり得る。
【0076】
プロモーターは、1つまたは複数の転写エンハンサー要素を含むが、これらに限定されない転写の直接的な開始に対する認識部位として作用するTATAボックス配列を含んでもよい。エンハンサー配列(即ち、プロモーター活性を刺激することができる調節要素)は、TATAボックス配列に対して近位または遠位であってもよく、標準的な5’から3’への配向で存在してもよく、または3’から5’への配向で存在してもよい。エンハンサー配列は、プロモーター配列にとって天然のエンハンサー要素であってもよく、またはそれは、発現ベクター構築物に挿入される異種(即ち、その組合せは、天然においては起こらない)エンハンサー要素であってもよい。
【0077】
プロモーターは、構成的または調節可能であり得る。構成的プロモーターは、その発現が、標準的な培養条件下で一定であるプロモーターであると理解される。したがって、構成的プロモーターは、誘導の必要性、または抑圧の可能性を伴わずに発現を制御する。構成的プロモーターは、幾つかの誘導活性を有し得るが、プロモーターを用いて得られる最大活性は、誘導性ではない。
【0078】
調節可能なプロモーターは、1つまたは複数の誘導のきっかけに応答性を有するプロモーターである。例えば、プロモーターは、化学的に調節され得る(例えば、その転写活性が、アルコール、テトラサイクリン、ステロイド、金属、もしくは他の小分子などの化学的誘導剤の存在または非存在によって調節されるプロモーター)か、または物理的に調節される(例えば、その転写活性が、光または高温もしくは低温などの物理的誘導物質の存在または非存在によって調節される)。調節可能なプロモーターはまた、化学的または物理的なきっかけによって、それ自体が直接調節される1つまたは複数の転写因子によって、間接的に活性化または抑圧され得る。
【0079】
幾つかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、炭素供給源調節可能なプロモーターである。幾つかの実施形態では、プロモーターは、特定炭素供給源の存在またはある特定の濃度によって、例えば、メタノール、ラクトース、ガラクトース、グリセロール、グルコース、ショ糖、クエン酸塩、ギ酸塩(formiate)、乳酸塩または酢酸塩の存在によって活性化され得る。あるいは、プロモーターは、他の物質、例えば金属イオンまたはテトラサイクリンによって調節され得る。幾つかの実施形態では、プロモーターは、過剰量の炭素供給源の存在下で(例えば、細胞培養液の成長相中)真核細胞において抑圧されてもよく、また強力なプロモーター活性を発揮するために限られた量の特定炭素供給源の存在下で(例えば、流加プロセスで培養される培養液に対する成長限定炭素供給源の供給時などの、一定量の炭素の低減時に、細胞培養液の産生相において)抑制解除されてもよい。これに関して、「調節可能な炭素供給源」は、非代謝炭素供給源が、直接的に抑制物質ではない場合に、炭素(例えば、グルコースまたはグリセロール)消費、低減、欠陥もしくは欠如による、または炭素供給源が細胞によって容易に消費されるような炭素供給源の限られた添加による、または抑圧性代謝産物へのゆっくりとした変換によるプロモーターの抑制解除を指す。したがって、抑制解除の影響を誘導する方法の1つは、グリセロールキナーゼ(GUT1)ノックアウト株または代替的なプロモーターまたはあまり効率的ではないGUT1遺伝子変異体によって引き起こされるGUT1活性の低減を伴う株の使用であってもよく、それは、グリセロールを、もはや抑圧性リン酸グリセロールへ効率的に代謝することができない。抑圧性グリセロール3−リン酸への代謝の低減はまた、グリセロールトランスポーター活性の欠失またはダウンレギュレーションによって得られ得る。
【0080】
幾つかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、オレイン酸で誘導性のプロモーターなどの脂肪酸誘導性プロモーターである。
幾つかの実施形態では、プロモーターは、酵母ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、トルロプシス属(Torulopsis)、アルクスラ属(Arxula)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヤロウイア属(Yarrowia)、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、コマガタエラ属(Komagataella)由来のプロモーターなどの真菌または酵母プロモーターである。好ましくは、プロモーターは、酵母ピキア・パストリス由来のプロモーターである。
【0081】
本明細書に記載するプラスミドおよび方法において使用され得る例示的なプロモーターとして、CAT1、AOX1、GAP、AOD、AOX2、DAS1、DAS2、ENO1、FLD1、FMD、GPM1、HSP82、ICL1、ILV5、KAR2、KEX2、PET9、PEX8、PGK1、PHO89/NSP、SSA4、TEF1、THI11、TPI1、YPT1、GTH1、GCW14およびGUT1または例えば少なくとも60%、もしくは70%、80%、90%もしくは95%の少なくともいずれかのある特定の配列同一性を特徴とするそれらの機能的に活性な変異体、あるいはそれらの類似したプロモーター配列(即ち、別の種における各々のプロモーター配列)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
幾つかの実施形態では、プロモーターは、CAT1プロモーター、即ちペルオキシソームカタラーゼ遺伝子の転写を駆動するプロモーターである。幾つかの実施形態では、CAT1プロモーターは、P.パストリス(P. pastolis)のCAT1プロモーターである。幾つかの実施形態では、CAT1プロモーターは、別の酵母または真菌のCAT1プロモーター、例えば、酵母S.セレビシエ(S. cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、ピチア・スティピティス(Pichia stipitis)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosacharomyces pombe)、またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、ペニシリウム属(Penicillium)、トリコデルマ属(Trichoderma)などの糸状菌類(filamentous fungi)のCAT1プロモーターである。幾つかの実施形態では、プロモーターは、配列番号4のヌクレオチド配列を含むCAT1プロモーターまたはその機能的に活性な変異体である。
【0083】
幾つかの実施形態では、プロモーターは、AODプロモーター、即ち、アルコールオキシダーゼ遺伝子の転写を駆動するプロモーターである。幾つかの実施形態では、AODプロモーターは、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)(C.ボイジニイ(C. boidinii))のAODプロモーターである。幾つかの実施形態では、プロモーターは、配列番号5のヌクレオチド配列を含むAODプロモーターである。
【0084】
「自己複製配列」または「ARS」は、真核生物染色体上でDNAの複製起点として機能を果たす配列である。ARSは、DNA分子に組み込まれると、DNAを巻き戻して、複製するタンパク質複合体を結合することによって、DNA分子の複製を支持する。ARSは、所定の宿主において自己複製してないDNA分子へ配列を組み込むこと、およびARSが存在する場合にのみ、DNA分子が宿主において自己複製することを実証することによって、確認することができ、即ち機能的に確証させることができる。
【0085】
幾つかの実施形態では、ARSは、配列番号2のヌクレオチド配列またはその機能的変態体を含む。幾つかの実施形態では、ARSは、配列番号3のヌクレオチド配列またはその機能的変異体を含む。幾つかの実施形態では、ARSは、配列番号5のヌクレオチド配列またはその機能的変異体を含む。幾つかの実施形態では、ARSは、配列番6〜11のいずれか1つのヌクレオチド配列またはその機能的変異体を含む。
【0086】
幾つかの実施形態では、ARSは、転写ターミネーター配列を含む。「転写ターミネーター」または「転写ターミネーター配列」という用語は、本明細書中で使用する場合、プロモーターから開始される核酸配列の転写の停止を引き起こすか、または開始させる配列を意味することが意図される。転写ターミネーター配列は、転写物のポリアデニル化を引き起こす、例えば、1つもしくは複数のポリアデニル化シグナル配列、または1つもしくは複数のポリアデニル化結合配列を含む配列をさらに含んでもよい。
【0087】
ARSまたはプロモーター配列の「機能的に活性な」変異体は、本明細書中で使用する場合、具体的には、例えば配列内の、または配列の遠位末端の一方もしくは両方にある1つもしくは複数のヌクレオチドの挿入、欠失または置換による親配列の修飾に起因する突然変異体配列を意味し、この修飾は、この配列の活性に影響を及ぼさないか、またはそれを損なわない。機能的に活性な変異体は、組換え操作、突然変異誘発によって、または化学的合成によって生成され得る。
【0088】
幾つかの実施形態では、本明細書中に開示するプロモーターまたはARS配列の機能的に活性な変異体は、親配列の断片、例えば、親配列の長さの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含む断片である。かかる断片は、親配列の5’末端および/または3’末端にある親配列の欠失(複数可)によって生成され得る。
【0089】
本明細書中に開示するプロモーター配列の機能的に活性な変異体は、プロモーター活性を崩壊させない微量の変動を有する。機能的に活性なプロモーター変異体として、本明細書中に開示するプロモーター配列および/または類似のプロモーター配列(例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae)のCAT1プロモーターなどの他の酵母種の各々のプロモーター配列)に対して、少なくとも約60%ヌクレオチド配列同一性、または70%、80%、90%、または95%の配列同一性の少なくともいずれかを有するプロモーター配列を含む。機能的に活性な変異体はまた、操作されたプロモーター変異体、即ち、天然のプロモーター配列の突然変異誘発、置換、挿入または欠失によって生成される変異体を含む。
【0090】
「機能的に活性なプロモーター」または「機能的に活性なプロモーター変異体」とは、プロモーターまたはプロモーター変異体が、転写を開始または増強すると意図される。プロモーターの機能性は、作動可能に連結されるヌクレオチド配列がプロモーターの存在下で転写されるかどうかによって容易に決定されることは、当業者に理解される。転写および翻訳が起きるかどうかを決定する方法は、当該技術分野で周知であり、目的のタンパク質に関するコード配列が、プロモーターの制御下に置かれる場合に起きるmRNA産生またはタンパク質産生を測定することを含む。必然的に、転写または翻訳を誘導することができないプロモーター配列は、非機能的である。
【0091】
プロモーター活性は、標準的な手段によって、例えばマイクロアレイ、ノーザンブロット、RNAシーケンシングまたはqRT−PCR、デジタルPCRを用いて、例えば発現産物の量または転写物の量を測定することによって、あるいは他の場合では、細胞培養液中で、例えば組換え細胞における各々の遺伝子発現産物の量を測定することによって決定され得る。例えば、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.)を参照されたい。あるいは、プロモーター断片または変異体プロモーター配列の制御下で産生される緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ(lacZ)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)等などのレポーター遺伝子のレベルを測定することができる。例えば、Astolaら(2003年);Hwangら(2003年);Kimら(2000年);Volckaertら(1994年)を参照されたい。プロモーターの生物活性は、プロモーターから発現されるポリペプチドの活性および/またはレベルを測定するように具体的に設計されたアッセイを使用して測定することができる。かかるアッセイは、当該技術分野で公知である。
【0092】
「機能的に活性なARS」または「機能的に活性なARS変異体」は、DNA構築物へのARSの挿入時に、非自己複製DNA構築物を、自己複製DNA構築物へ形質転換することが可能であるARSを指す。ARS活性は、本明細書に記載する方法または当該技術分野で公知のアッセイによって決定され得る。通常、酵母におけるARS機能は、(LiachkoおよびDunham、2013年;Liachkoら 2010年、2014年;Liachkoら 2013年;Pengら 2015年)によって実証されるように環状プラスミドを形質転換することによって容易に検査することができる。例えば、実施例2および図2Cに示すようにARSが存在する場合の選択培地上での単一コロニーの成長。通常、ARSを有さないプラスミドは、形質転換体を付与しないか、または非常に少数の形質転換体を付与するのに対して、ARS含有プラスミドは、顕著な成長を示し、コロニーサイズは、ARSの効率に依存し得る。さらに、ARS機能は、2Dゲル分析によって複製中間体を研究することによって、分子レベルで実証することができる。
【0093】
本明細書中に開示するARS配列の機能的に活性なARS変異体、即ち、配列番号2、配列番号3または配列番号5〜11のヌクレオチド配列を含むARS配列の機能的に活性なARS変異体は、ARS活性を崩壊しない微量の変動を有する。機能的に活性なARS変異体は、本明細書中に開示するARS配列に対する少なくとも約60%のヌクレオチド配列同一性を有するARS配列および/または類似のARS配列あるいはこれらの配列の切断バージョンを含む。幾つかの実施形態では、本明細書中に開示するARS配列のいずれか1つの機能的に活性なARS変異体は、配列番号2、3、5〜11のいずれか1つに対する少なくとも60%または70%の配列同一性、80%の配列同一性、90%の配列同一性、または95%の配列同一性の少なくともいずれか1つを示す。幾つかの実施形態では、本明細書中に開示するARS配列のいずれか1つの機能的に活性なARS変異体は、配列番号2、3、5〜11の各々のARS配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9から10までのヌクレオチドの置換(複数可)、挿入(複数可)および/または欠失(複数可)を有するヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0094】
「相同性」または「相同的な」という用語は、本明細書中で使用する場合、2つまたはそれ以上のヌクレオチド配列が、ある程度の度合いまで、最大100%近くの度合いまで、相当する位置で同じか、または保存される塩基対を有することを示す。本発明の相同配列は通常、少なくとも約60%のヌクレオチド配列同一性、好ましくは少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも約98%または99%の同一性を有する。具体的には、「相同的な」という用語は、2つのヌクレオチド配列または親配列と比較した変異体を特徴付けており、2つまたはそれ以上のヌクレオチド配列が、ある程度の度合いまで、最大100%または100%に近い度合いまで、相当する位置で同じか、または保存される塩基対を有するという点で、配列同一性の度合い(相同性)を示す。
【0095】
本明細書に記載するような相同的なプロモーター配列またはARS配列は、好ましくはP.パストリスの天然のプロモーターもしくはARSヌクレオチド配列のいずれかに対して、またはヌクレオチド配列の少なくとも特異的な部分における異種C.ボイジニイ(C. boidinii)ARSに対して、ある特定の相同性を有する。
【0096】
遺伝子のヌクレオチド配列に関する「同一性パーセント(%)」は、配列を整列させて、必要であれば、比較される配列の完全長にわたって最大の配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後に、DNA配列においてヌクレオチドと同一である候補DNA配列におけるヌクレオチドのパーセントとして定義され、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない。ヌクレオチド配列同一性パーセントを決定する目的での整列は、当業者の範囲内にある様々な方法で、例えば、公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたって最大の整列を達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するのに適したパラメーターを決定することができる。
【0097】
ヌクレオチドまたはアミノ酸配列もしくはタンパク質に関する「異種」という用語は、本明細書中で使用する場合、所定のプラスミドもしくは宿主細胞に対して外来である、即ち「外因性である」、例えば天然において見出されない化合物、または所定のプラスミドもしくは宿主細胞において天然に見出される、例えば、「内因性である」が、異種構築物の状況、例えば異種核酸を用いる状況においてである、化合物を指す。内因性に見出されるような異種ヌクレオチド配列はまた、細胞において、不自然な、例えば予想よりも多いか、または天然に見出されるよりも多い量で産生され得る。異種ヌクレオチド配列、または異種ヌクレオチド配列を含む核酸は、場合によっては内因性ヌクレオチド配列由来の配列が異なるが、内因性に見出されるのと同じタンパク質をコードする。具体的には、異種ヌクレオチド配列は、天然における宿主細胞に対するのと同じ関係性では見出されないものである。任意の組換えまたは人工ヌクレオチド配列は、異種であると理解される。異種ポリヌクレオチドの例は、例えば、本明細書に記載するようなハイブリッドプラスミド、またはGOIに作動可能に連結される異種プロモーターを得るために、本明細書に記載するようなベクターバックボーンの要素と天然には結合していないGOIである。結果として、ハイブリッドまたはキメラポリヌクレオチドが得られ得る。異種化合物のさらなる例は、内因性の天然に存在するPOIコード配列が、通常は作動可能に連結されない転写制御要素、例えば本明細書に記載するプロモーターに作動可能に連結されるPOIコードポリヌクレオチドである。
【0098】
異種配列の特定実施形態は、種または株に由来し、元の(親)株または種とは異なる別の株または種に移行される。P.パストリス以外の種、例えば他の酵母種に由来する本発明の異種プロモーターまたはARS配列のいずれかが、相同配列、即ち、本明細書に記載するようなある特定の相同性を有する配列を含み得ることは明らかに理解される。したがって、「相同的な」という用語はまた、異種配列を含み得る。他方で、本発明はまた、ある特定の相同性を含む異種配列およびそれらのホモログを指す。
【0099】
「作動可能に連結される」という用語は、本明細書中で使用する場合、1つまたは複数のヌクレオチド配列の機能が、前記核酸分子上に存在する少なくとも1つの他のヌクレオチド配列によって影響されるような様式で、単一核酸分子、例えばベクター上でヌクレオチド配列を結合することを指す。例えば、プロモーターは、それが、当該コード配列の発現を達成することが可能である場合に、組換え遺伝子またはGOIのコード配列と作動可能に連結される。さらなる例として、シグナルペプチドをコードする核酸は、それが、成熟タンパク質の前形態または成熟タンパク質などの分泌形態でのタンパク質を発現することが可能である場合に、POIをコードする核酸配列に作動可能に連結される。具体的には、互いに作動可能に連結されるかかる核酸は、即座に、即ち、シグナルペプチドをコードする核酸と、POIをコードする核酸配列との間にさらなる要素または核酸配列を伴わずに連結され得る。
【0100】
プロモーター配列は通常、プロモーターがコード配列の転写を制御する場合に、コード配列に作動可能に連結される。プロモーター配列が、コード配列と天然において結合していない場合、その転写は、天然の(野生型)細胞において当該プロモーターによって制御されないか、または当該配列は、異なる連続した配列で組み換えられる。
【0101】
本明細書に記載するエピソームプラスミド中に含まれるARSは、GOIまたはGOIに作動可能に連結される任意のプロモーターに作動可能に連結されないことを特徴とする。したがって、ARSは、GOI発現またはGOI発現を制御する各々のプロモーターとは無関係にその機能を発現しているヌクレオチド配列とみなされる。ARSは、天然のプロモーター配列に由来し得るが、本明細書に記載するエピソームプラスミドにおけるその機能は、GOIの発現を制御するプロモーターの機能ではない。特定の場合において、ARSは、GOIを含む発現カセットの外側に位置することが好ましい。
【0102】
「選択可能なマーカー」または「選択マーカー」は、選択条件下で遺伝子を発現する生物を生存させることが可能な表現型を付与する遺伝子(またはコードポリペプチド)を指す。選択可能なマーカーは概して、細胞中に存在するか、または細胞において発現される場合に、選択的利点(または不利点)を、マーカーを含有する細胞に提供する分子である。例えば、形質転換体の選択のための遺伝子マーカーは、他の場合では細胞を死滅させる作用物質の存在下で成長する能力、特定の栄養素の非存在下で成長する能力、欠損および非形質転換細胞によって産生することができない必須栄養素の欠如している培地上で、形質転換細胞を成長させることが可能な選択マーカー、欠損および非形質転換細胞によって使用/代謝することができない培地、例えばエネルギー供給源上で、形質転換細胞を成長させることが可能な選択マーカー、または発色基質が知られている酵素をコードする選択マーカーを含む。
【0103】
幾つかの実施形態では、選択マーカーは、G418/ジェネティシン、ヌルセオトリシン(Nat)、ゼオシン、ブラストサイジン、ハイグロマイシン、フルオロアセトアミドおよび2−デオキシグルコースを含むが、これらに限定されない薬物に対する耐性を提供する。幾つかの実施形態では、選択マーカーは、キラー毒素またはリボヌクレアーゼMazFなどの細胞死を引き起こすタンパク質をコードする遺伝子に対する耐性を提供する。
【0104】
選択可能なマーカーは、栄養要求性突然変異体P.パストリス宿主株および宿主の欠陥を補足する野生型遺伝子を含んでもよく、本明細書中では、栄養要求性に基づく選択マーカーと称される。かかる選択可能なマーカー系の例として、アルギニン、メチオニンもしくはヒスチジン栄養要求性などのアミノ酸栄養要求性またはウラシル要求性もしくはチミジン栄養要求性などのヌクレオチド生合成栄養要求性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
選択可能なマーカー系は、ある特定の栄養素を使用することが不可能である野生型または突然変異体P.パストリス宿主株および宿主の欠陥を補足する遺伝子を含み得る。かかる選択可能なマーカー系の例として、グリセロール利用、ショ糖利用、メタノール利用、イヌリン利用、セロビオース利用、および窒素供給源利用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
幾つかの実施形態では、選択マーカーは、グリセロール利用に基づき、ここで細胞は、グリセロールを効率的に代謝して、成長のための炭素供給源として使用することが不可能である。例えば、P.パストリスgut−1ノックアウト株などの遺伝子コードグリセロールキナーゼであるGUT1を欠損している細胞は、野生型GUT1遺伝子を含有する相補性プラスミドで形質転換されない限り、グリセロールの存在下では良好に成長しない。幾つかの実施形態では、S.セレビシエ(S. cerevisiae)またはP.パストリスHIS4遺伝子は、his4ピキア属(Pichia)突然変異体株を補足するのに使用される。幾つかの実施形態では、S.セレビシエ(S. cerevisiae)またはP.パストリスARG4遺伝子は、P.パストリスarg突然変異体を補足するのに使用される。また、met2、ade1、ura3およびura5栄養要求性も、各々の野生型遺伝子MET2、ADE1、URA3およびURA5を使用して補足することができる。
【0107】
本明細書に記載するエピソームプラスミドベクターは具体的には、配列番号2、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6〜11のARS、または上記のいずれかの機能性変異体を含む。幾つかの実施形態では、エピソームプラスミドベクターは、P.パストリスの遺伝子CAT1、AOX1、GAP、AOD、AOX2、DAS1、DAS2、ENO1、FLD1、FMD、GPM1、HSP82、ICL1、ILV5、KAR2、KEX2、PET9、PEX8、PGK1、PHO89/NSP、SSA4、TEF1、THI11、TPI1、YPT1、GTH1、GCW14およびGUT1もしくはそれらの機能的に活性な変異体に連結される上流配列または他の生物由来のこれらの遺伝子のホモログおよび/もしくは類似体に連結される(異種)プロモーター配列を含むが、これらに限定されないプロモーター配列(例えば、真菌または酵母プロモーター配列)をさらに含む。例えば、エピソームプラスミドベクターは、P.パストリスもしくは他の酵母のCATプロモーターまたはC.ボイジニイ(C. boidinii)もしくは他の酵母のアルコールオキシダーゼ遺伝子のプロモーターを含む。幾つかの実施形態では、エピソームプラスミドベクターは、配列番号2もしくは配列番号3のARS、または配列番号2もしくは配列番号3の機能的に活性な変異体、あるいは配列番号5のARSまたはその機能的に活性な変異体およびCAT1プロモーター配列(例えば、P.パストリス、S.セレビシエ(S. cerevisiae)またはA.ニデュランス(A. nidulans)のCAT1プロモーター配列などの真菌または酵母CAT1プロモーター配列)またはそれらの機能的に活性な変異体、あるいはC.ボイジニイ(C. boidinii)AODプロモーター配列(配列番号5)または配列番号6〜11などのそれらの変異体を含む。好ましい実施形態は、配列番号2、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6〜11、またはそれらの機能的に活性な変異体と、CAT1プロモーターとの、またはAOX1プロモーターとの、またはヒストンプロモーターとの、またはGAPプロモーターとの、またはDASプロモーターとの、またはそれらの機能的に活性な変異体との任意の組合せである。
【0108】
幾つかの実施形態では、プラスミドは、700塩基対未満の配列にわたって重複して配置されるARS配列(即ち、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号5、または配列番号6〜11のARSなどの上記のいずれかの機能的に活性な変異体)、プロモーター配列および転写ターミネーター配列を含む。「重複して」は本明細書中で使用する場合、ARS、プロモーターおよび/またはターミネーター配列が、共通して1つまたは複数のヌクレオチド位置(例えば、少なくとも5、10、15、25、50、100、200)を有することを示す。例えば、プロモーター配列の5’末端にある1つまたは複数のヌクレオチド位置(例えば、少なくとも5、10、15、25、50、100、200)は、ARS配列の一部であってもよく、ARSおよび転写ターミネーターは、完全に重複してもよい(参考文献:Chenら、NAR 1996年)。
【0109】
本明細書中で使用する場合、「近接DNA配列」は、指定要素(例えば、ARSおよびプロモーター配列)を含むDNA配列であり、それらの要素は、指定されていない要素によって実質的に中断されない。
【0110】
「細胞」または「宿主細胞」という用語は、本明細書中で使用する場合、長期間にわたって増殖する能力を獲得した特定の細胞型の細胞または樹立されたクローンを指す。宿主細胞は特に、例えば、組換え遺伝子または産物を発現するように操作された組換え構築物を含む。「宿主細胞」という用語はまた、目的のタンパク質(POI)または細胞代謝産物などの産生プロセスの産物を得るためのバイオリアクター中での培養にすぐに使用できる産生細胞株を含む、ポリペプチドまたはかかるポリペプチドによって媒介される細胞代謝産物を産生するための代謝経路の遺伝子または産物を発現するのに使用されるような組換え細胞株を指す。細胞は具体的には、原核生物であっても、または真核生物であってもよく、哺乳動物、昆虫、酵母、糸状菌類(filamentous fungi)および植物細胞を含む。幾つかの実施形態では、宿主細胞は、酵母細胞、具体的には、酵母ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、トルロプシス属(Torulopsis)、アルクスラ属(Arxula)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヤロウイア属(Yarrowia)、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、コマガタエラ属(Komagataella)である。好ましくは、宿主細胞は、P.パストリス細胞、特に野生型株または突然変異株、好ましくはP.パストリスのKU70欠失株である。
【0111】
P.パストリス株は、野生株またはノックアウト株などの遺伝子操作された株であり得る(Naatsaariら 2012年)。幾つかの実施形態では、GUT1ノックアウト株が利用される。
【0112】
本明細書に記載する宿主細胞に関する「発酵」とも称される「細胞培養」または「培養」という用語は、具体的には、産業において公知の方法に従う制御されたバイオリアクターにおける細胞の活性または静止状態での成長、分化、タンパク質発現または継続的な生存度に好適な条件下での人工的な、例えばin vitroでの環境における細胞の維持を意味する。具体的に宿主細胞培養が、GOIを発現して、POIを産生するのに実施される場合、宿主細胞培養は、バッチ培養、流加培養または連続的な培養であってもよい。
【0113】
「バッチ培養」という用語は、本明細書中で使用する場合、培地ならびに細胞自体を含む、細胞を培養するのに最終的に使用される構成成分全てが、培養プロセスの開始時に供給される、細胞を培養する方法を指す。バッチ培養は通常、幾つかの時点で停止させて、培地中の細胞および/または構成成分を収集して、任意選択で精製する。
【0114】
「流加培養」という用語は、本明細書中で使用する場合、さらなる構成成分が、培養プロセスの開始後の幾つかの時期に培養液へ、定期的にまたは連続的に供給される、細胞を培養する方法を指す。供給される構成成分は通常、培養プロセス中に枯渇された細胞のための栄養補助品を含む。流加戦略は通常、バイオリアクターにおいて高細胞密度に達するように、バイオ産業プロセスにおいて使用される。栄養構成成分、例えば炭素基質の制御された添加は、培養の成長速度に直接的に影響を及ぼし、オーバーフロー代謝または望ましくない代謝副生成物の形成を回避するのを助長する。流加培養は通常、幾つかの時点で停止されて、培地中の細胞および/構成成分は通常、収集されて、任意選択で精製される。
【0115】
流加プロセスは、培養液への、成長を限定する栄養基質(例えば、炭素供給源)の供給に基づき得る。例えば、炭素供給源限定栄養素条件下では、炭素供給源は具体的に、流加プロセスのフィードにおいて含有され得る。それにより、炭素基質は、限定量で供給される。
【0116】
「連続的な培養」は、液体栄養素フィードの連続的な流入および連続的な液体流出の両方を特徴とする培養を記載するのに使用される。また、連続的な培養では、成長速度は、しっかりと制御することができる。
【0117】
「炭素供給源」という用語は、本明細書中で使用する場合、精製形態での、最小培地中での、または原材料で供給される、宿主生物または細胞培養液によって代謝させることが可能なエネルギー供給源として適した発酵可能な炭素基質、通常、供給源炭水化物、特に単糖(例えば、グルコース、フルクトース、ソルビトール、ガラクトースまたはマンノース)、二糖(例えば、ショ糖)、オリゴ糖、多糖、グリセロール、メタノールおよびエタノールを含むアルコールからなる群から選択される供給源を意味する。炭素供給源は、単一炭素供給源として、またはグルコースなどの六単糖、およびグリセロールもしくはエタノールなどのアルコールの混合物などの種々の炭素供給源の混合物として使用され得る。
【0118】
本明細書中で使用する場合、「発現」という用語は、ポリペプチドが、遺伝子の核酸配列に基づいて産生されるプロセスを指す。このプロセスは概して、転写および翻訳の両方を含む。発現は、ノーザンハイブリダイゼーション分析、逆転写ベースの定量的PCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ分析、ウェスタンブロット、イムノアッセイ、レポータータンパク質もしくはタグ付けしたタンパク質の蛍光、またはタンパク質の生物活性に基づくアッセイ(例えば、酵素アッセイ)を含む、当該技術分野で公知の方法を使用して、タンパク質または核酸レベルで決定することができる。
【0119】
例えば、キャッサバ(Manihot esculenta)由来のヒドロキシニトリルリアーゼ(MeHNL)およびアマ(Linum usitatissimum)由来のヒドロキシニトリルリアーゼ(LuHNL)などの生体触媒の活性は、シアノヒドリンの切断に基づくアッセイを使用して決定され得る。かかるアッセイは、当該技術分野で周知である。
【0120】
LuHNL活性は、溶解産物上清またはクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0、50mM)によるそれらの希釈、およびクエン酸(100mM)中に溶解させた基質アセトンシアノヒドリン(300mM)を混合することによって測定され得る。試料を10分間インキュベートして、続いてN−クロロスクシンイミド(100mM)およびスクシンイミド(1M)を添加して、反応を停止させる(5分間インキュベートする)。0.2M NaOH中のバルビツール酸(125mM)およびイソニコチン酸(65mM)を発色用に添加して、それを600nmで10分間測定する。0.025〜0.2mMの範囲のシアン化カリウム(KCN)を用いた較正曲線を使用して、絶対活性を決定する。
【0121】
MeHNL活性は、最終マンデロニトリル濃度15mMを使用して、文献(Wiednerら 2014年)に記載されるマンデロニトリルシアン形成を使用して決定され得る。
【0122】
eGFPなどの蛍光レポータータンパク質の発現レベルは、(Voglら 2014)に記載されるように、主な励起/発光波長(励起/発光でのeGFPに関して、ex./em.、488/507nmの波長)および吸収(600nm、OD600)で蛍光を測定することによって決定され得る。
【0123】
本明細書中で使用する場合、「形質転換」という用語は、プラスミドベクターまたはベクターバックボーンおよび/または挿入片の、細胞への導入を指す。したがって、プラスミドベクターが導入された細胞は、「形質転換体」とみなされる。
【0124】
形質転換効率は、形質転換したDNA1μg当たりのコロニー形成単位を算出することによって決定され得る。形質転換割合は、使用するベクターまたはベクターバックボーンおよびDNAの用いる量に特異的であり、他のベクターまたはDNA濃度が使用される場合には多様であり得る。例えば、形質転換割合は通常、ベクターのサイズの増加、および形質転換に使用するより大量のDNAによって低下する。より少量のDNAが使用される場合は(例えば、10ng/形質転換1回)、形質転換割合は、DNA1μgに対して算出されて、関連付けられる。これは、DNA1μgによる直接的な形質転換から得られる割合と比較して、より速い形質転換割合をもたらし得る。
【0125】
「一様な」タンパク質発現という用語は、本明細書中で使用する場合、異なる形質転換体間での、または同じ形質転換体を接種した異なる培養液間での、POIのあまり可変的でない発現レベルを指す。
【0126】
本明細書に記載するように、驚くべきことに、本明細書に記載するプラスミドベクターは、目的のタンパク質の安定かつ増加された発現を可能にする。さらに、本明細書に記載するプラスミドベクターによる真核細胞の形質転換は、増加された形質転換効率および個々の形質転換体間での一様なタンパク質発現をもたらす。
【0127】
P.パストリスをエピソームプラスミドで形質転換し、かかるプラスミドをP.パストリスから単離し、およびコンピテントP.パストリス細胞を再び形質転換するためにかかる単離を直接使用する方法が、本明細書中に提供される。かかる方法は、ピキア属(Pichia)の形質転換用にプラスミドDNAを増幅させるのに大腸菌(E. coli)を当てにせず、宿主としてP.パストリスを用いて、例えば定方向酵素進化または抗体操作のために繁殖サイクルを加速させる。
【0128】
本明細書に記載するようなプラスミドベクターを使用して、真核細胞においてPOIを発現する方法が、本明細書中に提供される。幾つかの実施形態では、細胞は、選択条件下、例えば、本明細書に記載するようなプラスミドベクターで形質転換されない細胞によって、許容/代謝されないゼオシンもしくはジェネティシンなどの薬物または栄養素の存在下で培養される。
【0129】
幾つかの実施形態では、POIの発現は、POIをコードする目的の遺伝子を含む直鎖状発現カセットのゲノム組込みを使用した同じPOIのタンパク質発現と比較して、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも5倍または少なくとも10倍増加する。
【0130】
幾つかの実施形態では、目的の遺伝子を含む本明細書に記載するプラスミドベクターの形質転換効率は、前記目的の遺伝子を含む直鎖状発現カセットの形質転換効率と比較して、少なくとも20倍増加する。幾つかの実施形態では、形質転換は、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも500倍、または少なくとも500倍増加する。
【0131】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載するようなエピソームプラスミドベクターによる個々の形質転換体におけるPOIのタンパク質発現は、前記POIをコードする目的の遺伝子を含む直鎖状発現カセットのゲノム組込みを使用したタンパク質発現と比較して、少なくとも1.5倍一様である。
【0132】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載するエピソームプラスミドベクターを用いて得られる個々の形質転換体のタンパク質発現は、POIをコードする目的の遺伝子を含む発現カセットを有する従来技術のP.パストリスARS1ベースのプラスミドの状態を用いてエピソームプラスミドベースの発現を使用したタンパク質発現と比較して、少なくとも1.2倍一様である。
【0133】
本明細書に記載する方法およびエピソームプラスミドを使用したタンパク質発現および/または形質転換効率は、選択マーカーのタイプによって影響/調節される可能性があり、また選択マーカーまたは選択マーカーの転写を駆動する代替的なプロモーターもしくはターミネーターの変異体が使用される場合には多様であり得る。例えば、特定のPOIのタンパク質発現は、ゼオシン耐性を使用することと比較して、選択マーカーとしてジェネティシンを使用して増加され得る。各々の発現レベルを比較するためにタンパク質発現を決定する方法は、当該技術分野で公知であり、本明細書に記載する。
【0134】
細胞において維持されるプラスミドコピー数は、選択圧力が適用される場合、用いる選択マーカーに応じて多様である可能性があり、また選択に使用する物質の濃度の依存の点で多様であり得る。プラスミドコピー数を決定するための分析方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、qPCR、デジタルPCR、サザンブロッティングまたは他のハイブリダイゼーション技法を含む。
【0135】
本明細書に記載する方法およびプラスミドを使用したタンパク質発現および/または形質転換効率はまた、例えば、栄養素のタイプ、栄養素の供給速度および/もしくは濃度ならびに/または選択圧力を調整するために培地に添加される化合物の濃度などの、培養方法によっても影響され得る。
【0136】
さらに、in vivoでの相同組換えを使用して、ピキア・パストリスにおいてエピソームプラスミドベクターを生成する方法が、本明細書中で提供される。具体的には、本発明者らは、ピキア・パストリスのKU70欠失株へ、(i)相同組換え部位(複数可)を含むARSベースのベクター(特に、配列番号5〜11を含む配列などのC.ボイジニイ(C. boidinii)のARS配列を含むベクター)を、(ii)ベクター上の組換え部位(複数可)に対して相同的である5’および3’隣接配列を有するGOIを含む挿入片と一緒に形質転換することにより、GOIを含むエピソームプラスミドを生じることを見出した。とりわけ、P.パストリス以外の酵母由来のARS配列を含むベクターは、ピキア・パストリスにおいて機能的である。
【0137】
「ピキア・パストリス」という用語は、本明細書中で使用する場合、ピキア属(Pichia)またはコマガタエラ属(Komagataella)、例えばピキア・パストリスもしくはコマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、またはK.ファフィイ(K. phaffii)、またはK.シュードパストリス(K. pseudopastoris)などに由来する幾つかの異なる種を含むメチロトローフ酵母を指す。P.パストリス株の例は、CBS 704(=NRRL Y−1603=DSMZ 70382)、CBS 2612(=NRRL Y−7556)、CBS 7435(=NRRL Y−11430)、CBS 9173−9189(CBS株:CBS−KNAW Fungal Biodiversity Centre、Centraalbureau voor Schimmelcultures、ユトレヒト、オランダ)、およびDSMZ 70877(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)を含むが、X−33、GS115、KM71およびSMD1168などのInvitrogenからの株、またはBG10およびその突然変異体、例えばBG11などのBioGrammatics,Inc.からの株も含む。
【0138】
「ピキア・パストリスKU70欠失株」という用語は、本明細書中で使用する場合、ピキア・パストリス株(例えば、野生型株CBS7435(NRRL−Y11430、ATCC 76273)またはku70遺伝子のピキア・パストリスホモログ(例えば、受託番号XM_002492501.1;FR839630、領域1598101−1599963を有するP.パストリスのku70遺伝子))が機能的なKU70活性を排除するように、例えば、活性または機能性を阻害するようにゲノムレベルで修飾された(例えば、欠失または崩壊された)GS115株を指す。これは、遺伝子(プロモーター、オープンリーディングフレームおよびターミネーターを含む)の完全または部分的欠失;それぞれ、遺伝子もしくはコードされるmRNAの転写または翻訳を変更させる1つまたは複数の突然変異の導入;およびタンパク質活性を不活性化する1つまたは複数の突然変異の導入を含むが、これらに限定されない。タンパク質活性/機能性が抑止または崩壊され得る例として、1)遺伝子の発現を制御する上流もしくは下流の調節配列の欠失または崩壊、2)遺伝子を非機能的にさせるためのタンパク質活性をコードする遺伝子の突然変異(ここで、「突然変異」は、遺伝子に、活性の能力をなくさせるための欠失、置換、挿入または付加を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
幾つかの実施形態では、KU70欠失株は、ku70遺伝子の部分的な欠失を有する、部分的に欠失されたku70遺伝子を含むP.パストリス株であり、それにより、遺伝子またはその発現産物を不活性化させる。幾つかの実施形態では、KU70欠失株は、Naatsaariら 2012年に記載されるように、P.パストリスのKU70ホモログの遺伝子欠失を有するP.パストリス株である。P.パストリスのKU70ホモログは、図33で同定される配列情報を特徴とする(配列番号87)。
【0140】
驚くべきことに、本明細書に記載する目的で使用するKU70欠失株は、生合成に適しており、長期間にわたって、本明細書に記載するエピソームプラスミドを安定に維持していた。
【実施例】
【0141】
下記実施例は、本発明の理解を助長するために記載されるが、いかなる場合においても本発明の範囲を限定するとは意図されず、そのように解釈されるべきではない。実施例は、従来の方法の詳細な説明、例えば微生物宿主細胞においてタンパク質を過剰発現させる方法のクローニング、トランスフェクションおよび基礎的な態様を含まない。かかる方法は、当業者に周知である。
【0142】
材料および方法
株、材料、培地および培養条件
クローニングおよびプラスミド繁殖に関して、大腸菌(Escherichia coli)Top10 Fの株を使用した。P.パストリス形質転換は、主にCBS7435野生型株およびそのAOX1欠失変異体を用いて実施した(Naatsaariら 2012年)。あるいは、NRLL−Y−11430wt株およびBG11の誘導体を含まないキラープラスミドであるP.パストリスBG10、そのAOX1欠失変異体を使用した(両方の株が、bisy e.U.、ホーフシュテッテン、オーストリアから入手される)。GUT1相補性プラスミド(Naatsaariら 2012年)を、CBS7435wt株のgut1ノックアウト変異体に形質転換した。プラスミド単離、ゲル精製およびクローニング用の酵素に関するキットは、最近記載されているように使用した(Voglら 2014年)。Gibsonアッセンブリーは、標準的な手順に倣って、New England Biolabs(イプスウィッチ、MA、米国)からのT5エキソヌクレアーゼおよびTaq DNAリガーゼならびにThermo Fisher Scientific(ウォルサム、MA、米国)からのPhusionポリメラーゼを使用して実施した(Gibsonら 2009年)。Sangerシーケンシングは、LGC Genomics GmbH(ベルリン、ドイツ)およびMicrosynth AG(バルガッハ、スイス)によって実施された。培地は、Weisら(2004年)によって概説されるように、1%(w/v)のグルコース/デキストロース(BMD)を有する乏しい標準的な緩衝最小培地中で調製され、完全培地(酵母抽出物、ペプトン、2%グルコース;YPD)を使用した。さらに、1%(w/v)のグリセロール(BMG)を有する緩衝最小培地もまた使用した(Naatsaariら 2012年)。下記の抗生物質濃度を使用した:大腸菌(E. coli):25μg/mlのゼオシン、50μg/mlのカナマイシン、100μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地;P.パストリス:100μg/mlのゼオシン、300μg/mlのジェネティシン。液体最小BMD培地におけるゼオシン選択を試みたが失敗した(おそらく、pHまたは高いイオン強度のため)。したがって、本発明者らは、ゼオシンおよびジェネティシン選択実験に関して、完全培地を使用した。ディープウェルプレート培養をこれまでに記載されるように実施した(Weisら 2004年)が、メタノール誘導は、PCAT1駆動型発現に必要とされず、したがって、プロトコールは、グルコース上での成長およびその枯渇後に停止した。振とうフラスコ培養は、開始OD600 0.05で、250mlのバッフル付フラスコ(BMD開始容量25ml)中で実施した。48時間後に、フラスコをBMM2(最終濃度0.5%を達成するために1%メタノールv/v)で誘導し、最初の誘導の12時間後、24時間後に、BMM10(5%メタノールv/v)で誘導した(Weisら 2004年)。ヘキソキナーゼ法ベースのキット(グルコースUVキット、DIPROmed(ウィーン、オーストリア))を使用して、グルコース濃度を測定した。
【0143】
プラスミド構築
種々の選択マーカーを有するeGFPレポーター遺伝子構築物は、Naatsaariら(2012年)によって報告されるシャトルベクターに基づく。ゼオシン選択に関して、本発明者らは、これまでに報告されている制限部位を含まないクローニング(RSFC)ベクターpPpT4mutZeoMlyl−intArg4−eGFP−Bmrlstufferを使用した(Voglら 2015年。pPpT4_Sベクター(Naatsaariら、2012年)に基づく)。PCAT1−1000、PCAT1−692およびPCAT1−500ベクターは、これまでの研究から入手可能であった。
【0144】
CAT1−692プロモーター断片において同定される264bpの推定ARS(putARS−PCAT1)は、プライマーintARG4−pCAT1−764−GibおよびeGFP−pCAT1−501rev−Gibを使用したPCR増幅後に、スタッファー断片をGibsonアッセンブリーで置き換えることによって、上述のeGFP RSFCレポーターベクターへクローニングし(表1を参照)、続いて配列検証を行った。
【0145】
【表1】
【0146】
ARSおよびPCAT1の一片の組合せ(PCAT1−692)はまた、代替的な選択マーカージェネティシンおよびgut1相補性を用いて検査した(Naatsaariら、2012年)。ジェネティシン選択に関して、ゼオシンベクターの耐性カセットは、pPpKan_S由来のカナマイシン/ジェネティシンカセットで置き換えた(Naatsaariら、2012年)(このカセットは、大腸菌(E. coli)におけるカナマイシンおよびP.パストリスにおけるジェネティシンに対する耐性を付与する)。GUT1カセットは、pPpGUT1rから増幅した(Naatsaariら、2012年)(P.パストリスに関してはグリセロール相補性、大腸菌(E. coli)に関してはアンピシリン)。
【0147】
CAT1−692を含有するゼオシンベースのレポーターベクターは、BamHlおよびPstlで消化して、バックボーンをゲル精製した。Kan/Gen耐性カセットは、プライマーAOX1TT−BamHI−plLV5−Gibson+pUC−Ori−Pstl−AODTT−Gibsonを使用してpPpKan_Sから増幅して、Gibsonアッセンブリーによってベクターバックボーンに組み込んだ。GUT1カセットは、プライマーAOX1TT−BamHI−pGUT1−GibsonおよびAmpR−GUT1TT−Gibsonを使用して、アンピシリンカセットは、プライマーGUT1TT−AmpR−GibsonおよびpUC−Ori−AmpR−Gibsonを用いて、pPpGUT1から増幅した。2つのPGR断片は、上述のBamHlおよびPstlバックボーンを用いて構築された。
【0148】
形質転換、蛍光測定およびgut1株
コンピテントP.パストリス細胞は、Lin−Cereghinoら(Lin−Cereghinoら、2005年)の簡約されたプロトコールを使用して調製および形質転換した。適用可能である場合、プラスミドは、Swalで線状化して、1μgを形質転換し、環状プラスミドに関しては10ngを形質転換した。切断されていない環状形態を有する線状化プラスミドの混入を回避するために、線状化反応をアガロースゲル上に負荷して、線状化形態に相当するバンドを切り出して、精製した。
【0149】
eGFP蛍光(ex./em.488/507nm)および吸収(600nm、OD600)は、これまでに概要されるように(Voglら、2014年)、Synergy MXプレートリーダー(Biotek、ウィヌースキー、VT、米国)を使用して測定および標準化した。
【0150】
これまでに報告されている(Naatsaariら 2012年)gut1ノックアウト株は、ku70ノックアウト株において達成された。本発明者らは、野生型株バックグラウンドを使用することを目標として、Naatsaariら(2012年)と類似した戦略に倣ってgut1ノックアウトを創出した。株は、グリセロール上の破壊された成長に関して、YPD+Zeo培地上で得られる形質転換体をスクリーニングすることによって同定された。
【0151】
[実施例1]
CAT1のARS領域のマッピング
これまでに使用されたPCAT1長は、CAT1遺伝子の開始コドンから上流へ、隣接する遺伝子LCP5の末端まで選択され、692bpの断片を生じた(PCAT1−692図1A)。プロモーター配列の分析により、PCAT1−692の5’末端におけるATリッチなストレッチが明らかとなった(図1A)。プロモーターを500bp長に短縮すること(PCAT1−500)により、ATリッチなストレッチが除去される。ATリッチな配列は、転写ターミネーターおよびARSの共通の形質である(Chen、Reger、Miller、&Hyman、1996年)。最近、P.パストリスのARSは、ディープシーケンシングに基づくハイスループットスクリーン(Liachkoら 2014年)によってマッピングされた(ARS−seq.(Liachkoら 2013年))。Liachkoら(2014年)はそれにより、PCAT1においてARSを同定して、機能性コアを388bpの断片へとマッピングした(図1A)。さらなる機能分析は、Liachkoらによっては実施されなかった。
【0152】
本発明者らは、PCAT1の種々の断片を、増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)レポーター遺伝子を含有するベクターへクローニングして、PCAT1におけるこのARSが、特に形質転換または凍結/解凍サイクルなどのストレス状況の場合に、株不安定性およびバックグラウンド成長(小さなコロニー)を引き起こしているかどうかを検査した。PCAT1−1000、PCAT1−692およびPCAT1−500は、種々の長さのプロモーターを提供し、Liachkoらの機能性コアよりも短い長さを有するATリッチなストレッチ(264bp)をPCAT1の推定ARS(putARS−PCAT1)として選択した(図1A)。
【0153】
P.パストリス細胞は、これらのベクターの環状形態および線状化形態の両方で形質転換した(図2A)。プラスミドの線状化は、酵母における環状形態と比較して、ゲノム組込み割合を劇的に増加させる、高度組換えDNA末端を生じる(Orr−Weaver、Szostak、&Rothstein、1981年)。標準的なP.パストリスベクターは、ARSを含有せず、エピソーム的に複製することができない。したがって、対照として空のベクターの環状形態による細胞の形質転換は、いかなるコロニーも付与しなかった(図2A)。しかしながら、PCAT1−1000、PCAT1−692およびputARS−PCAT1の循環形態による形質転換は、顕著な成長を示した一方で、PCAT1−500は、全く成長を示さなかった。線状化形態のプラスミドによる形質転換は、プラスミド全てに関して形質転換体を生じた。これらの結果により、ARSとしてのPCAT1のATリッチなストレッチの機能が確認される。
【0154】
検査した任意のプロモーター長の安定なゲノム組込みを有する形質転換体は、同一のレポーター蛍光を示し(図1B図3A)、ARS部分の長さが、PCAT1の強度に影響を及ぼしていないことを示唆した。また、調節プロフィール(抑圧/抑制/誘導)は、一連の時間内で3つの異なるプロモーター長を比較することによって実証されるように、影響されなかった(図1B)。これらの配列は同一に挙動したため、ARSは、いかなる手段によってもPCAT1の転写調節に必要とされないと結論付けた。
【0155】
[実施例2]
CAT1のARSを保有するベクターは、線状化後でさえ、エピソーム的に複製することができる。
【0156】
線状化ARS含有配列(PCAT1−1000、PCAT1−692およびputARS−PCAT1)による形質転換に関して、2つの別個のタイプのコロニーが認められ得る:大きなコロニー(空のベクター対照およびPCAT1−500と類似したサイズの)およびより小さなコロニー(図2A)。細胞をより長期にインキュベートする場合、コロニー間の差は、あまり顕著にはならず、異なる成長速度を示唆する。
【0157】
小さなコロニーが、環状プラスミドの形質転換体と類似して、これらのベクターのエピソーム的な、非ゲノム組込みのバージョンであり得るかどうかを決定するために、構築物の大きなコロニーおよび小さなコロニーを、選択(YPD+ゼオシン)および非選択条件(YPD)下で96ウェルディープウェルプレートにおいて液体培養液中で成長させて、続いて、選択および非選択培地にスタンプした(図2B)。任意の構築物の大きなコロニーは、培養条件とは無関係に、一様な成長を示し、サイズは、空のベクターのコロニーに匹敵した。小さなコロニーは、非選択培地上での大きなコロニーと同一の成長を示した。しかし、小さなコロニーが、非選択培地から選択培地に移行された場合、それらは、環状プラスミドに類似した弱い成長を示した。これは、エピソームプラスミドに関して予測される結末である:非選択条件下で、プラスミドは、効率的に繁殖されず、単に細胞集団のサブセットにおいて維持され、より弱い成長をもたらす。小さなコロニーまたは環状プラスミドが、選択条件下で予め成長される場合、プラスミド損失は、実験条件に依存している:非選択条件下よりもあまり深刻ではない(図2B)か、または完全に救済されており(図6)、選択条件下では完全に成長を回復させている。
【0158】
液体培養液からのスタンピングは、細胞の混合集団を含むため、大きなコロニーおよび小さなコロニーは、線状化PCAT1−692から画線培養され、同様にコロニーは、選択および非選択寒天プレート上で環状形質転換から画線培養された。続いて、単一コロニーを採取して、選択培地上で画線培養した(図2C)。予想通り、大きなコロニーは、任意の条件下で成長を維持した(PCAT1−500と同一)一方で、小さなコロニーおよび環状プラスミドは、非選択条件下で予め培養された場合、選択培地上で成長する能力を損失した。
【0159】
これらの結果から、大きなコロニーは、ゲノムにおいて安定に組み込まれたカセットを含有する一方で、小さなコロニーは、エピソーム的に複製するプラスミドを保有し、これまでに観察される安定性の問題に関して説明を提供すると結論付けられた。この効果は、ゼオシンによる選択に特異的ではなく、ジェネティシンおよびグリセロール代謝の欠乏を示す相補性gut1ノックアウト株でも起こった。
【0160】
特に、空のベクターおよびPCAT1−500は、単に小さなさらなるコロニーを示している(図2A)。プレートをより長期間インキュベートしたとしても、これらのコロニーは、サイズを増加させず、また再び選択培地上で画線培養した場合も、成長しない。空のベクターおよびPCAT1−500の環状形態の形質転換が、いかなる成長も示していないため、本発明者らは、小さなコロニーが、ARSに関連付けられず、異なる現象によって引き起こされると仮定する。
【0161】
[実施例3]
CAT1のARSは、選択圧力下で高いエピソーム発現を可能にする
図2Bのスタンピング実験の他に、eGFPレポーターの蛍光も、種々の長さおよびコロニーサイズのPCAT1から測定した(図3A)。驚くべきことに、小さなコロニーおよび大きなコロニーは、非選択条件下で培養される場合に、類似したレポーター蛍光を示し、(図2B図2C)で観察されるプラスミド損失の効果は、完全培地中でディープウェルプレートにおける成長時に、レポータータンパク質蛍光に激しく影響を及ぼしていないことを示唆した。しかしながら、エピソームプラスミド(線状化の小さなコロニー、環状)を保有する株は、非選択条件よりも、またはゲノム組込み(任意の大きなコロニー、PCAT1−500)と比較して、選択培地上で5倍高いレポータータンパク質蛍光を示した(図3A)。この効果は、種々の選択マーカー(ジェネティシン)を用いた場合にさらに顕著であり、7倍を上回る増加をもたらした。
【0162】
これらの結果は、選択圧力下でのエピソーム的に複製するプラスミドが、発現を増加させるための簡素なツールであることを示唆する。
収率の増加にもかかわらず、多くの場合で、ゼオシンまたはジェネティシン(2つは、比較的高価な抗生物質である)を使用したより大規模な培養において選択圧力を維持することは、経済的に実現不可能であった。したがって、ARSは、グリセロール利用による選択と組み合わせた。ここで、グリセロールを効率的に代謝することが不可能なグリセロールキナーゼ1(gut1)ノックアウト株を使用して、それ自体のプロモーターおよびターミネーターを有する野生型GUT1遺伝子を含有する相補性プラスミド(Naatsaariら 2012年)およびeGFPレポーター遺伝子の発現を駆動させるPCAT1−692で形質転換した。PCAT1−692およびPCAT1−1000は、培地中でゼオシンの存在下で同一の挙動を示すため、代替的な選択マーカーは、より短いプロモーター変異体PCAT1−694のみを用いて検査した。また、ゼオシンまたはジェネティシン増強発現に類似して、選択条件(唯一の炭素供給源としてグリセロール)下で4.4倍を上回って増加したレポータータンパク質蛍光が得られ(図3C)、炭素供給源ベースの選択もまた、エピソームプラスミド由来の発現を強力に増加させるのに適していることを提供する。
【0163】
不安定性の問題は、グリセロールストックからのPCAT1ARS含有プラスミドを再培養した場合に、これまで特に注目されてきた。したがって、図2Bおよび図3Aに示す培養のグリセロールストックを使用して、選択および非選択培地を接種した(図6)。選択および非選択培地上でのスタンピングアッセイによって決定されるプラスミド損失は、直接的な接種よりもさらに厳しかった(図6A図2B)。興味深いことに、この場合、プラスミド保有構築物の蛍光はまた、非選択条件下で強力に減少し、ほぼ完全なプラスミド損失を示唆した(図6B図3A)。これらの結果は、ARSプラスミドが、凍結および再培養などのストレス条件下で、より損失する傾向にあることを暗示している。
【0164】
[実施例4]
CAT1およびその内因性ARSの組合せは、形質転換割合の改善、収率の増加およびより高い景観の一様性を伴うスクリーニング系を提供する
環状ARSプラスミドの形質転換効率は、ゲノム組込みに必要とされる線状化発現カセットを使用するよりも、平均して108倍高かった(図5)。高い形質転換効率は、タンパク質工学を実施して、変異体の大きなランダムライブラリーをスクリーニングする際に必要とされる。しかしながら、かかるスクリーニング系は、結果に対してさらなるバイアスを加えてはならない。変異体間の差は、専ら目的の遺伝子における突然変異から生じるはずであり、種々のコピー数または組込み事象のために生じるものではない。エピソームPCAT1プラスミドは、産業上関連ある生体触媒(キャッサバ(Manihot esculenta)由来のヒドロキシニトリルリアーゼ(MeHNL)およびアマ(Linum usitatissimum)由来のヒドロキシニトリルリアーゼ(LuHNL))の発現に関して検査した。多数の形質転換体をスクリーニングして、エピソーム複製(PCAT1−692)およびゲノム組込み(PCAT1−500)の発現景観の一様性を比較した(図4)。eGFPレポーター遺伝子に関して(図3)、選択圧力下でエピソームプラスミドから発現されるMeHNLおよびLuHNLもまた、ゲノム組込みと比較して、発現の増加を示した(景観全体値の平均値を比較して、3.5倍および4.9倍)。したがって、eGFPをフォールドして、維持することの容易さの有益な効果はまた、より複雑な酵素に関しても再現させることができる。より高い形質転換効率に起因して、かなり少量のプラスミド(10ng)を使用して、線状化カセットの類似した数の形質転換体を達成することができる。さらに、制限エンドヌクレアーゼ消化および精製/脱塩ステップは、ARSプラスミドに関して、実験時間を短縮するのに、およびコストを低減させるのに必要とされない。
【0165】
エピソームPCAT1プラスミドはまた、ゲノム組込みよりも最大3.5倍一様な発現をもたらした(パーセントでの標準偏差を比較して)。MeHNLに関して、ゲノム組込み由来の最高の活性を有する形質転換体は、平均的なARS形質転換体と類似した活性に達した。LuHNLに関して、最良のゲノム組込みの形質転換体は、最悪のエピソーム形質転換体に匹敵する活性にのみ達する。幾つかのゲノム組込みの形質転換体は、いかなる検出可能な活性も示さなかったのに対して、エピソーム形質転換体は全て、活性であった。ゲノム組込みのクローン可変性は、P.パストリスに関して公知であり(Creggら 2009年)、コピー数またはゲノム組込みの位置の差に起因し得る。P.パストリスは、S.セレビシエ(S. cerevisiae)よりも低い割合の相同組換えを有し、線状化カセットは、0.1%未満から最大30%の間の割合で組み込む(Naatsaari 2012年)。また、比較的大量の線状化DNA(3.5μg)を使用して、多コピー株を得て、それは、景観のより高い可変性を引き起こし得る。この目的で、単一コピー組込みのみを通常生じる少量のプラスミドもまた形質転換されて、景観の一様性の改善をもたらした(図8)。多数の個々の形質転換体を有するライブラリーを得るために、形質転換のためのより大量のDNAの使用が好ましい場合がある。少数のDNAが用いられる場合、幾つかの形質転換が成されなくてはならず、形質転換体をプールする必要がある。
【0166】
[実施例5]
高い発現レベルは、新たなARSおよびその切断型変異体を用いて得ることができる。
種々のARS(受託:M11199、配列番号3、5、6、7、8、9、10、11および12)を、選択マーカーの転写ターミネーターと大腸菌(E. coli)起源との間で、組込み対照としても機能を果たすpPpT4mutZeoMlyl−intArg4−EGFP−pCAT1−500へクローニングした。ARSは、表2に列挙するプライマーを使用してPCR増幅して、Gibsonアッセンブリーを用いてPstI線状化ベクターへクローニングした(Gibsonら 2009年)。AOD−F6は、プライマーAODTT−Pstl−CbAOD1ARS−F3−GibおよびpUC Ori−Kpnl−CbAOD1ARS−F5−Gibを使用して増幅した。AOD−Fullは、プライマーAODTT−Pstl−CbAOD1ARS−F1−GibおよびpUC Ori−Kpnl−CbAOD1ARS−F5−Gibを使用して増幅した。その後、構築物を、配列検証した。
【0167】
環状プラスミドの、P.パストリスBG10への形質転換後、各構築物の7つの個々の形質転換体を、スクリーニング用に採取した。同じ形質転換体を、YPDおよび50mg/Lのゼオシンを有するYPDにおいて培養した。第1のスクリーニング後に、同じ形質転換体はまた、種々のゼオシン濃度を用いたスクリーニングに使用され、CAT1−692プロモーター(上述するようなプラスミド)もまた含まれた。組込み対照に関して、再スクリーニングによって同定される1つの代表的なクローンを、生物学的に七重反復で使用した。
【0168】
【表2】
【0169】
高い発現レベルは、培養および発現中に適用される選択圧力を用いて、新たなARSおよび同様にその切断型断片に関して得ることができる。より高い発現レベルは、ゼオシン濃度の増加によって得られた(図22)一方で、それは、組込み対照(CAR1−500)に関しては一定のままであった。特に、より低いゼオシン濃度で、新たなARSは、P.パストリス由来のこれまでに公知のARS1配列よりも高い発現を示した。
【0170】
種々の成長条件下で、個々のARSプラスミドに関して、および同じプラスミドに関して細胞のプラスミド含有量を定量化するために実施したデジタルPCR実験により、CbARSベースのプラスミドに関して、CAT1−ARSベースのプラスミドと比較して、また300mg/Lのゼオシンの存在下で成長させた細胞に関して、50mg/Lと比較して、より高いプラスミド含有量が確認された。
【0171】
[実施例6]
ARSおよび転写のターミネーターとしてのARSの二機能性活性の分析
C.ボイジニイ(C. boidinii)PAOD1(F1)、PARS1、CAT1−ARSおよびPCAT1の692bp長のバージョンからの最良の断片、ならびにコアプロモーターを有さないプロモーター(配列番号13;最後の78bp、TATAboxによる始まりが欠失された)を、転写化ターミネーターとしてそれらの活性に関して検査した。それらは、pPpT4_SおよびpPpGUTIベクター中に存在する選択マーカーに関するターミネーター、および最良のインハウスターミネーター(異種および相同的)と比較した。
【0172】
したがって、ターミネーターレポータープラスミドは、PAOX1およびeGFPレポーター遺伝子を含有するpPpT4_Sベクター(Naatsaariら 2012年)に基づいて構築された(Voglら 2014年に報告されている)。存在するAOX1ターミネーターを、スタッファー断片で置き換えた。したがって、ベクターをNotIおよびBamHIで切断した。スタッファーとしてこれまでにすでに使用されているS.セレビシエ(S. cerevisiae)由来のTHI5配列(Voglら 2015年)を再びスタッファー断片として使用し、プライマーeGFP−ScTHI5fwd−GibおよびpILV5−ScTHI5rev−Gibを使用して増幅させた。この場合、スタッファーは、BmrI部位に隣接せず(PAOX1がBmrI部位を含有するため)、NotIおよびBamHI部位に隣接される。PCR断片は、Gibsonアッセンブリーによって(Gibsonら 2009年)、NotIおよびBamHIで消化したベクターバックボーンへクローニングされて、プライマーseqEGFP−520..543−fwdおよびseq−pILV5−150..173−revを使用して配列決定することによって確認した。
【0173】
ターミネーターおよびARSは、表3に列挙されるプライマーを使用してPCR増幅され、GibsonアッセンブリーまたはNEBuilder HIFI DNAアッセンブリーキットによって、レポーターベクターへクローニングされた。あるいは、CAT1−ARSは、二重鎖DNA断片として指示されて、ベクターとの融合のために直接使用された(表3)。ターミネーターのシームレスな融合は、組換えクローニング手順によって制限部位除去に依存して達成された。ターミネーターは、プライマーseqEGFP−520..543−fwdおよびseq−pILV5−150..173−revを使用して配列決定した。
【0174】
【表3】
【0175】
P.パストリス形質転換に関して、構築物は、ゲノム組込みを容易にするために線状化されたSwaIであった。スクリーニングの第1のラウンド後に、80個を上回るクローンの発現景観の中央からの4つの代表的なクローンを、再スクリーニング用に選択して、単一コロニーに関して再度画線培養した。再スクリーニング後に、各構築物に関する1つの代表的なクローンが選択されて、構築物は全て、生物学的な七重反復で、1つの96ウェルディープウェルプレートにおいて一緒に培養した。
【0176】
[実施例7]
ARSプラスミドに関する比較上の形質転換効率および発現収率
新たな異種C.ボイジニイ(C. Boidinii)ARSが、二重機能(ARSおよび転写ターミネーター)を有する短いDNA要素として使用される本発明者らの新たなエピソームP.パストリスプラスミドの形質転換効率を検査するために、コンピテントP.パストリスBG10による形質転換割合を、自己複製用の従来技術のARS1配列の状態を用いるプラスミドと比較して決定した。
【0177】
2つのARSは、CAT1−500プロモーターを含有するpPpT4_Sへクローニングされた。AODターミネーターは、SapIおよびKpnIでベクターを消化することによって除去され、表XYからのプライマーを用いてそれらを増幅させた後に、2つのARSは、組換えクローニングにより選択マーカーの後でシームレスにクローニングしされた(Gibsonら 2009年)。
【0178】
多重クローニング部位は、EcoRIおよびNotIでベクトルベクターを消化することによって除去されて、クローニングを容易にするスタッファーDNA断片としてscTHI5の一部を含有するスタッファー断片(配列番号14)およびSapIクローニングを可能にする制限部位で交換した。スタッファー断片は、表4に列挙したプライマーを使用して増幅され、Gibsonアッセンブリーでクローニングした。その後、eGFPは、SapIクローニングを使用してベクターへクローニングされた。
【0179】
【表4】
【0180】
形質転換効率を検査するために、PARS1およびCbARSを含有するプラスミドならびにpPpT4−S(線状化または環状)を100ng/μlに希釈して、エレクトロコンピテントP.パストリスBG10細胞へ形質転換した。1μlを形質転換して、種々の希釈物100μl(また、pPpT4−Sプラスミドに関しては、1000μl)をYPD−Zeoプレート上へ平板培養した。
【0181】
表5は、P.パストリスBG10における高い形質転換割合を示す(9.5×10cfu/μg)。選択マーカーカセットに関して同様にターミネーター(TT)としてARSおよびCAT1プロモーターの下流にあるレポーター遺伝子としてeGFPを含有する最終的なARSベクターに関して結果を示す。
【0182】
【表5】
【0183】
形質転換効率は、異種C.ボイジニイ(C. Boidinii)ARS CbARSに関して最も高かった。高い形質転換効率でさえ、ザイモリアーゼおよびミニプレップキットによる簡素なプラスミド単離後に、ピキア属(Pichia)の再形質転換を可能にする。より高いプラスミドコピー数を得るために、ピキア属(Pichia)からのプラスミド単離は、300mg/Lのゼオシンを有するYPD中で成長させた5mlのONCから実施した。OCNを収集して、ペレットを、酵母溶解緩衝液(1M ソルビトール、100mM EDTA、14mM β−メルカプトエタノール)1ml中に再懸濁させた。その後、ザイモリアーゼストック(1000U/ml)100μlを添加して、反応ミックスを30℃で1時間インキュベートした。次に、最大速度で5分間の遠心分離によって、スフェロブラストを収集し、上清を除去して、GeneJET Plasmid Miniprepキットを使用して、プラスミドを単離した。DNAをddHO 22μlで溶出させて、ミニプレップ全体を、ピキア属(Pichia)形質転換に使用して、84個の個々の形質転換体の培養液のeGFP測定により、正確なプラスミドの存在が証明された。
【0184】
従来の増幅および大腸菌(E. coli)からの単離を伴わないピキア・パストリスから単離されるプラスミドDNAによる直接的な形質転換からの形質転換体を図24に示す。
選択マーカーに関して二機能性ARSおよびターミネーター配列として使用される種々の配列部分(ARS1を有するA、B、CbARSを有するC&D)を有するエピソームプラスミドを使用したPCATプロモーターの制御下にある個々の形質転換体のeGFP発現(選択圧力を伴う、および伴わない)および自己プラスミド複製を図25に示す。
【0185】
[実施例8]
CbARSプラスミドベースの発現株の信頼性。
新たなエピソームプラスミドを用いるタンパク質発現の信頼性を検査するために、頻繁に使用される強力な構成的GAPプロモーター(PGAP)を使用して、新たな異種CbARS部分と組み合わせてeGFP発現を駆動した。非常に一様でかつ高い発現レベルは、PGAPおよびCbARSを含有するZeo ARSプラスミドを用いて得られた。
【0186】
GAPは、ベクターおよびプロモーターのPCR産物(pUCori−SwaI−pGAPおよびpGAPrev)を、NotIおよびEcoRIで消化することによって、実験7に記載するSapIクローニングベクターへクローニングされた後、ライゲーションを行った。その後、eGFPは、SapIクローニングを使用してベクターへクローニングされた。
【0187】
【表6】
【0188】
環状プラスミドDNA 10ngを、P.パストリスBG10へ形質転換して、21個の個々の形質転換体のGAPプロモーター駆動型eGFP発現は、50mg/Lのゼオシンを有するYPDを使用した96ウェルディープウェルプレートにおける60時間の培養後に測定した。(図26を参照)。
【0189】
[実施例9]
線状化および環状プラスミドDNAによるP.パストリスの形質転換に関する株の比較
種々のP.パストリスプラットフォーム株の形質転換効率を評価するために、AOX1遺伝子が崩壊されたコマガタエラ・ファフィイ(Komagataella phaffii)の野生型様株(WT)(Naatsaariら 2012年に記載される株)およびさらにKU70遺伝子が崩壊されたK.ファフィイ(K. phaffii)株(BSY11dKU70)を、ARS要素(PCAT1_692)を有するか、または(PCAT1_500)を有さない、CAT1プロモーターを含有する線状化(脱リン酸化を伴う、および伴わない)(異所的組込み用に非相同領域において切断される)および環状プラスミドDNAによる形質転換に使用した。
【0190】
図27に示すように、WT株において線状化プラスミド(脱リン酸化を伴う、および伴わない)を含有するARSを有する多数の形質転換体が観察されたのに対して、KU70欠失株における形質転換体の数は、著しく低かった。したがって、本発明者らは、環状エピソームプラスミドへのベクターリレゲーションは、KU70欠失株と比較して、WT株においてより高いと結論付けた。
【0191】
[実施例10]
ピキア・パストリスにおける相同組換え(HR)クローニング
ピキア属(Pichia)においてHRクローニングのためにCbARSを使用する可能性を評価するために、PGAPおよび選択用のゼオシン耐性遺伝子を含有する構成的発現ベクターを使用した。
【0192】
レポータータンパク質(eGFP)は、種々の長さの、50〜500bpの範囲のベクターバックボーンに対する相同領域を用いて増幅させた。
ベクターバックボーン5ngおよび3倍モル過剰の挿入片を、P.パストリスdKU70株BSY11dKU70の同時形質転換に使用した(図28)。
【0193】
ピキア属(Pichia)において非常に一般的であり、かつ断片の異所的組込みを引き起こす非相同的な末端結合が、この株において損なわれるため、KU70欠失を有する株は、線状化DNA断片の組込みを最低限に抑えるのに使用した(6)。GOIもまた、どこかでゲノムへ組み込むことができるため、ベクターベックボーンの、ゲノムへの組込みはまた、発現を示さずに、または低発現で、ゼオシン耐性を有するコロニーを発生させる可能性がある。
【0194】
図28に示すように、HRクローニングは、ちょうど50bpの短いオーバーハングと連動したが、より長い重複領域により形質転換効率の増加を示した。500bpへの増加は、いかなる改善も示さなかったため、250bpの相同領域は、この設定では理想的であるようであった。この設定を用いて、およそ10CFU/μgに達した。再ライゲートされたベクターバックボーンを含有するまさに最小のバックグラウンドが観察された。
【0195】
発現ベクターの考え得る組込みを評価するために、形質転換体を、選択圧力ありおよびなしで(即ち、50μg/mlのゼオシンを有するYPD(YPD−Zeo)およびゼオシンを有さないYPD)、ディープウェルプレート(DWP)中で培養および比較した。エピソーム的に発現プラスミドを保有する形質転換体は、多コピーに起因して、およびプラスミドが選択圧力を有さずに損失するようになるため、選択圧力下で発現レベルの上昇を示すべきである。発現カセットを組み込んだ形質転換体は、両方の条件下で類似して挙動すべきである。
【0196】
検査したコロニー(n=186、1つの重複長当たり42)の100%は、選択条件下で、非常により高いeGFP発現レベルを示した。バックグラウンド対照からの形質転換体(即ち、形質転換に使用されるまさにベクターバックボーン)は、いかなる蛍光も示さなかった。したがって、本発明者らは、エピソーム発現プラスミドを含有すると結論付けた。
【0197】
環状ARSプラスミドが大量に形質転換で使用される場合の細胞1つ当たりの多重プラスミドの取込みは、これまでにすでに観察された。これは、ライブラリーを生成およびスクリーニングするのに望ましくない影響であり得るため、大量のDNAおよび250bpのベクターに対する相同領域を有する2つの異なるレポータータンパク質(eGFPおよびsTomato)の形質転換を検査した(図29)。
【0198】
種々の量のベクターバックボーンおよび2倍の量の挿入片を形質転換に使用した。
DNA3μg(ベクターバックボーン1μgおよび挿入片2μg)を用いた場合でさえ、形質転換体のちょうど30%が、両方のレポータータンパク質の発現を示した。この大量のDNAを用いた場合、最大5×10CFU/μgのベクターバックボーンに達した(図29)。
【0199】
両方のプラスミドを保有する形質転換体を再度画線培養して、単一コロニーを、別のラウンドの培養に使用した。第2のラウンドでは、コロニーのいずれかに関して両方のレポータータンパク質の存在が検出されなかった。
【0200】
これにより、数世代後に、単一細胞中にたった1つの変異体が存在するに過ぎないことが示される。
実験の詳細:
eGFPおよびsTomatoを有するHRクローニングは、配列番号72に記載するベクターを用いて実施した。ベクターは、SapIで線状化して、HRクローニングのためにゲル精製した。配列番号6として同定されるARSを使用した。
【0201】
種々の長さのベクターに対する相同領域を有するeGFPおよびsTomatoは、このベクターバックボーンのプロモーターおよびターミネーター領域において結合するプライマーを用いて増幅させた(表7)。レポータータンパク質に関する鋳型を生成するために、eGFPおよびsTomatoを、SpaIクローニングを使用して、SapI線状化バックボーンへシームレスでクローニングした。
【0202】
ベクターバックボーンに対する重複領域を有する切断バックボーンおよび増幅挿入片を、同時形質転換に使用した。バックボーン50ngおよび3:1のモル比(挿入片:ベクター)を第1の検査に使用した。
【0203】
続く評価に関して、1つを上回る変異体が1つの細胞より採取される場合、2つの挿入片(即ち、250bpの重複領域を有するeGPFおよびsTomato)を等量で混合し、混合物を、切断バックボーンによる同時形質転換に使用した。最大1μgのバックボーンおよび2μgの挿入片を有するより大量のDNAを形質転換に使用した。
【0204】
PCR産物は全て、形質転換前にゲル精製した。
【0205】
【表7】
【0206】
[実施例11]
抗体ライブラリーの生成
eGFPを用いた検査後に、IgG抗体(ハーセプチン、トラスツズマブ、Roche)発現ベクターに関する系の実現可能性を評価した。最大5:1の種々のモル比(挿入片:ベクター)およびより長い相同領域を使用したが、DNAの量は、ベクターバックボーン50μgを用いた場合、依然として低いままであった(図30)。株BSY11dKU70は、上述するようにHRクローニングに使用した。
【0207】
より多くの挿入片の使用により、形質転換効率が増加し、250bp以上の長さの増加により、これ以上効率は改善されず、1000bpの非常に長い相同領域に関しては、さらには効率が減少したため、重複長に関する第1のプレ検査からの結果が確認された(図30)。
【0208】
概して、形質転換後に、種々のサイズのコロニーが観察され(データは示していない)、したがって重複領域の各長さに関して大きなコロニーおよび小さなコロニーを、培養に関して選択した(図31)。
【0209】
エピソームベクターとしての存在はまた、プラスミドをピキア属(Pichia)コロニーから単離すること、大腸菌(E. coli)を形質転換すること、続く制限分析、および配列決定することによって検査した(データは示していない)。検査した24個のクローンは全て、正確なプラスミドを含有し、突然変異が重複領域に存在しなかったため、それらのちょうど2つが、おそらくPCR誤差に起因して、単一の点突然変異を保有した。
【0210】
抗体発現カセットの正確な組込みは、プラスミドを24個の形質転換体から単離すること、続く挿入片の存在を調べるための制限分析、および組換えの領域を配列決定することによって調べた。検査したベクターは全て、陽性であり、それらのちょうど2つが、単一の点突然変異を含有し、それは、重複領域において位置されず、したがって、バックボーンおよび挿入片を増幅させる際にPCR誤差に起因して最も確かであった(データは示していない)。
【0211】
この見識を用いて、HRクローニング系は、それが、抗体ライブラリー生成およびスクリーニングすること、挿入片としての250bp重複を有する抗体軽鎖(LC)の可変領域および重鎖の可変領域、定常領域などの他の抗体遺伝子を含有する発現ベクターの残余を用いることに関する最終的な用途で使用することができるように、スケールアップした。大きなライブラリーが、抗体変異体/突然変異体CDR結合領域/突然変異体VHまたはVL配列の発見に必要とされるため、ベクターバックボーン1μgおよび挿入片2μgを形質転換に使用した。この系およびBiogrammaticsの凍結コンピテント細胞を用いて、3.5×10CFU/ベクター1μgの形質転換効率、およびまさにほとんど全ての170分の1の形質転換体を含有する再度ライゲートされたベクターが慣例的に何度も繰り返し達成された。
【0212】
この設定はまた、プレ検査において、常に小さなベクターバックボーンが使用されるために、より大きなベクターバックボーンが使用される場合に、形質転換効率が減少するが、最終的な用途では、効率はさらに高かったということは確かではない。
【0213】
大きなライブラリーが、抗体発見に必要とされるため、ベクターバックボーン1μgおよび挿入片2μgを形質転換に使用した。この系およびBiogrammaticsの凍結コンピテント細胞を用いた場合、3.5×10CFU/ベクター1μgの形質転換効率、およびまさにほとんど全ての170分の1の形質転換体を含有する再度ライゲートされたベクターが慣例的に何度も繰り返し達成された。
【0214】
実験の詳細
抗体構築物に関する初期HRクローニング実験は、ベクターに対して種々の長さのオーバーハングを有する双方向的なプロモーターおよびシグナル配列も含むIgGの全CDSを増幅すること(鋳型としての配列番号85および表8に示すプライマー)によって実施した。同様に、ベクターバックボーンを、表8に列挙するプライマーおよび鋳型として配列番号85に記載するベクターを使用してPCR増幅させた。バックボーン50ngおよび種々のモル比(1:1、3:1および5:1)の挿入片:ベクターバックボーンを形質転換に使用した。250〜1000bpの重複領域を試した。レポータータンパク質としてeGFPに関してすでにわかっているように、250bp以上の増加は、形質転換効率をさらに改善しなかったが、より多くの挿入片を使用した場合に、それは有意に高かった。
【0215】
この見識を用いて、その大量の挿入片により、本発明者らが試した効率が改善されて、大量のDNAを使用することと、IgGの軽鎖のまさに可変領域を交換することによって、系を最終的な用途(即ち、抗体ライブラリーの生成)にとって実現可能にさせた。
【0216】
原理のこの最終的な証明は、軽鎖の可変領域(ベクターに対して適切な250bp長のオーバーハングを有する)およびベクターバックボーンを、表9に列挙するプライマーおよび鋳型として配列番号86に記載するベクターを使用して増幅することによって実行した。
【0217】
バックボーン1μgおよび挿入片2μgを、P.パストリスBSY11dKU70の同時形質転換に使用した。この設定を用いた場合、3×10CFU/μgを上回る形質転換効率が、慣例的に達成された(図32)。
【0218】
PCR産物は全て、形質転換前にゲル精製した。
【0219】
【表8】
【0220】
【表9】
【0221】
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発明の態様
[態様1]目的の遺伝子(GOI)およびGOIに作動可能に連結されていない自己複製配列(ARS)を含むエピソームプラスミドであって、ARSが、配列番号2、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列、またはそれらに対する少なくとも60%の配列同一性を特徴とする前記配列のいずれかの機能的に活性な変異体を含むか、またはそれからなる、エピソームプラスミド。
[態様2]選択マーカーおよび任意選択で1つまたは複数の調節配列をさらに含む、態様1に記載のエピソームプラスミド。
[態様3]前記GOIおよび前記GOIを発現するのに必要とされる調節配列を含む発現カセットを含む、態様1または2に記載のエピソームプラスミド。
[態様4]前記GOIに作動可能に連結されるプロモーターを含む、態様1〜3のいずれかに記載のエピソームプラスミド。
[態様5]前記プロモーターが、調節可能または構成的なプロモーター、好ましくは、AOX1、GAP、AOD、AOX2、DAS1、DAS2、ENO1、FLD1、FMD、GPM1、HSP82、ICL1、ILV5、KAR2、KEX2、PET9、PEX8、PGK1、PHO89/NSP、SSA4、TEF1、THI11、TPI1、YPT1、GTH1、GCW14およびGUT1からなる群から選択されるプロモーターであり、前記プロモーターが、好ましくはピキア・パストリスのプロモーターであるか、または少なくとも60%の配列同一性を特徴とし、またP.パストリス株におけるプロモーターとして機能的である前記プロモーターのいずれかの機能性変異体である、態様4に記載のエピソームプラスミド。
[態様6]前記プロモーターが、配列番号4、もしくは配列番号5のいずれかのヌクレオチド配列、またはそれらに対する少なくとも60%の配列同一性を特徴とする機能性変異体を含む、態様4または5に記載のエピソームプラスミド。
[態様7]栄養要求性または化学的耐性に基づく選択マーカーを含み、好ましくは選択マーカーが、グリセロール利用、ショ糖利用、イヌリン利用、セロビオース利用、アミノ酸栄養要求性、チミジン栄養要求性、窒素供給源利用、フルオルアセトアミドに対する耐性、デオキシグルコースに対する耐性、ゼオシンまたは他の抗生物質に対する耐性、毒素をコードする遺伝子に対する耐性に基づく、態様1〜6のいずれかに記載のエピソームプラスミド。
[態様8]態様1〜7のいずれかに記載のエピソームプラスミドを含む真核宿主細胞。
[態様9]前記宿主細胞が、酵母細胞であり、好ましくはピキア属の酵母細胞、好ましくはピキア・パストリス株の酵母細胞であり、これらは、野生型株であるか、または細胞培養液中で培養が可能な任意の突然変異株である、態様8に記載の宿主細胞。
[態様10]少なくとも20世代中の前記エピソームプラスミドの含量に関してゲノム安定性であることを特徴とする、細胞培養液中の、態様8または9に記載の宿主細胞。
[態様11]GOIによってコードされる目的のタンパク質(POI)を産生する方法であって、前記GOIを発現させるための条件下で、態様8〜10のいずれかに記載の宿主細胞を培養することによってなされる、方法。
[態様12]前記POIの発現が、機能性ARSを含有しない前記GOIを発現する比較可能な発現カセットのゲノム組込みを用いる前記POIの発現と比較して、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも5倍または少なくとも10倍増加する、態様11に記載の方法。
[態様13]前記エピソームプラスミドの形質転換効率が、機能性ARSを含有しない前記GOIを発現する比較可能な発現カセットのゲノム組込みを用いる形質転換と比較して、少なくとも20倍または少なくとも50倍、好ましくは少なくとも100倍、少なくとも200倍または少なくとも300倍、より好ましくは少なくとも500倍増加する、態様11または12に記載の方法。
[態様14]態様1〜7のいずれかに記載のエピソームプラスミドのライブラリーであって、宿主細胞培養液中に、任意選択で同時発現されるプロモーター変異体のレパートリーおよび/またはGOI変異体のレパートリーを含む、ライブラリー。
[態様15]GOI発現の所望の収率に応じた宿主細胞を選択する方法であって、
iv.態様14に記載のエピソームプラスミドのライブラリーを含む複数の宿主細胞を接触させること、ここで前記ライブラリーは、プロモーター変異体のレパートリーを含み、前記GOIの前記発現レベルは、前記プロモーター変異体の関数である;
iv.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベルを決定すること;および
v.前記GOIの所望の発現レベルを特徴とする宿主細胞を選択すること
を含む方法。
[態様16]選択した宿主細胞を培養すること、および前記GOIによってコードされるPOIを産生することをさらに含む、態様15に記載の方法。
[態様17]プロモーター変異体のレパートリー由来のプロモーター変異体をスクリーニングして、プロモーターを選択する方法であって、
v.態様14に記載のエピソームプラスミドのライブラリーを含む複数の宿主細胞を接触させること、ここで前記ライブラリーは、プロモーター変異体のレパートリーおよびレポータータンパク質を含み、前記レポータータンパク質の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかが、前記プロモーター変異体の関数である;
vi.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかにおける変化を決定すること;
vii.所望の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性を特徴とする宿主細胞を選択すること;および
viii.選択した宿主細胞由来のプロモーター変異体を同定すること
を含む方法。
[態様18]GOI変異体のレパートリーによってコードされるPOIの変異体をスクリーニングする方法であって、
v.態様14に記載のエピソームプラスミドのライブラリーを含む複数の宿主細胞を接触させること、ここで前記ライブラリーは、GOI変異体のレパートリーを含み、GOI発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかが、GOI変異体の関数である;
vi.前記複数の個々の宿主細胞における発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性のいずれかにおける変化を決定すること;
vii.所望の発現レベル、形質転換効率またはクローン一様性を特徴とする宿主細胞を選択すること;および
viii.選択した宿主細胞由来のGOI変異体を同定すること
を含む方法。
[態様19]ピキア・パストリスのKU70欠失株である宿主細胞におけるエピソームプラスミドの生合成の方法であって、
i.5’および3’末端にある組換え部位、ARS、および任意選択でさらなる調節配列を含む直鎖状ベクターバックボーンを供給すること;
ii.GOIならびに前記組換え部位に対して相同的である5’および3’相同配列を含むベクター挿入片を供給すること;
iii.前記直鎖状ベクターバックボーンおよび前記挿入片を、前記宿主細胞へ導入して、相同組換えによって、前記ベクター挿入片を前記組換え部位と組み換えて、それにより前記GOIを含むエピソームプラスミドを産生すること
を含む方法。
[態様20]前記直鎖状ベクターバックボーンおよび前記挿入片が、1:1〜1:10のモル比で前記宿主細胞へ導入される、態様19に記載の方法。
[態様21]前記ARSが、配列番号2、配列番号3、配列番号5、または配列番号6〜11のいずれかとして同定されるヌクレオチド配列、またはそれらに対する少なくとも60%の配列同一性を特徴とする前記配列のいずれかの機能的に活性な変異体を含むか、またはそれからなる、態様19または20に記載の方法。
[態様22]前記ベクターバックボーンが、栄養要求性または化学的耐性に基づく選択マーカーをさらに含み、好ましくは選択マーカーが、グリセロール利用、ショ糖利用、イヌリン利用、セロビオース利用、アミノ酸栄養要求性、チミジン栄養要求性、窒素供給源利用、フルオルアセトアミドに対する耐性、デオキシグルコースに対する耐性、ゼオシンまたは他の抗生物質に対する耐性、毒素をコードする遺伝子に対する耐性に基づく、態様19〜21のいずれかに記載の方法。
[態様23]5’および3’相同配列がそれぞれ、30、50、70、100、300個の塩基対の少なくともいずれか1つを含むか、またはそれからなる、態様19〜22のいずれかに記載の方法。
[態様24]態様1〜7のいずれかに記載のエピソームプラスミドを産生するための態様19〜23のいずれかに記載の方法の使用。
[態様25]態様19〜23のいずれかに記載の方法によって得られるエピソームプラスミド。
[態様26]態様19〜23のいずれかに記載の方法を使用して、エピソームプラスミドのライブラリーを産生する方法であって、ライブラリーが、前記GOIの既定領域における少なくとも1つの点突然変異において異なるプラスミド変異体のレパートリーを含む、方法。
[態様27]前記変異体が、前記ベクター挿入片の突然変異誘発によって産生される、態様26に記載の方法。
[態様28]態様26または27に記載の方法によって得られるエピソームプラスミドのライブラリーであって、10E2、10E3、10E4、10E5または10E6種の異なる変異体の少なくともいずれかの多様性を特徴とする、ライブラリー。
[態様29]少なくとも10E6種の形質転換細胞、好ましくは少なくとも10E7、10E8または10E9種の形質転換体へ組み込まれる、態様28に記載のライブラリー。
[態様30]前記形質転換細胞が、ピキア属、好ましくはP.パストリス、またはP.パストリスのKU70欠失株の形質転換細胞である、態様29に記載のライブラリー。
[態様31]前記GOIが、抗体、抗体断片、またはその抗原結合配列をコードしている、態様28〜30のいずれかに記載のライブラリー。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33-1】
図33-2】
図33-3】
図33-4】
図33-5】
図33-6】