【文献】
MOHAMMAD P,EVALUATION OF THE EFFECT OF TOPICAL PICOLINAMIDE ON EPIDERMAL MELASMA,BIOSCIENCES BIOTECHNOLOGY RESEARCH ASIA,ORIENTAL SCIENTIFIC PUBLISHING COMPANY IND,2014年 8月,VOL:11, NR:2,,PAGE(S):1047 - 1050,URL,http://biotech-asia.org/pdf/vol11no2/BBRAV011I02P1047-1050.pdf
【文献】
HAKOZAKI T,THE EFFECT OF NIACINAMIDE ON REDUCING CUTANEOUS PIGMENTATION AND SUPPRESSION OF MELANOSOME TRANSFER,BRITISH JOURNAL OF DERMATOLOGY,英国,OXFORD : WILEY-BLACKWELL,2002年 7月,VOL:147, NR:1,,PAGE(S):20 - 31,URL,http://dx.doi.org/10.1046/j.1365-2133.2002.04834.x
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピコリンアミド対ナイアシンアミドのモル比が20:1以下、好ましくは10:1以下、より好ましくは4:1以下、最も好ましくは2:1以下である、請求項1に記載の皮膚美白組成物。
ピコリンアミド対ナイアシンアミドのモル比が少なくとも10:1、好ましくは少なくとも8:1、より好ましくは少なくとも4:1、さらにより好ましくは少なくとも2:1である、請求項1に記載の皮膚美白組成物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の態様において、ナイアシンアミドおよびピコリンアミドを含む皮膚美白組成物が提供される。
【0020】
ナイアシンアミド
ニコチンアミドおよびピリジン−3−カルボキサミドとしても知られているナイアシンアミドは、ビタミンB3の活性水溶性形態である。ナイアシンアミドは補酵素NADHおよびNADPHに必須であり、したがって、ATP生成を含む体内での200を超える酵素反応にとって不可欠である。
【0021】
ナイアシンアミドは、本発明の組成物中に、組成物の0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜9重量%、より好ましくは1〜8重量%、さらにより好ましくは2〜7重量%、さらにより好ましくは3〜8重量%、さらにより好ましくは4〜7重量%、またはさらには5〜6重量%の濃度で存在する。
【0022】
ピコリンアミド
ピリジン−3−カルボキサミドであるニコチンアミドは、ピリジン環の2位および4位が置換された2つの他の位置異性体、それぞれ、ピコリンアミド(ピリジン−2−カルボキサミド)およびイソニコチンアミド(ピリジン−4−カルボキサミド)を有する。
【0023】
本発明の相乗的皮膚美白効果は、ナイアシンアミドと、ピリジン環の2位が置換された位置異性体であるピコリンアミド(ピリジン2−カルボキサミド)との組合せによって得られる。
【0024】
ピコリンアミドは、本発明の組成物中に、組成物の0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜9重量%、より好ましくは1〜8重量%、さらにより好ましくは2〜7重量%、さらにより好ましくは3〜8重量%、さらにより好ましくは4〜7重量%、またはさらには5〜6重量%の濃度で存在する。
【0025】
ピコリンアミド対ナイアシンアミドのモル比
相乗的皮膚美白効果は、ピコリンアミド対ナイアシンアミドのモル比が20:1以下、好ましくは16:1以下、より好ましくは10:1以下、さらにより好ましくは8:1以下、さらにより好ましくは4:1以下で得られる。
【0026】
好ましくは、ピコリンアミド対ナイアシンアミドのモル比は、少なくとも10:1、より好ましくは少なくとも8:1、さらにより好ましくは少なくとも4:1、さらにより好ましくは少なくとも2:1、さらにより好ましくは少なくとも1:1であり、最も好ましくは少なくとも1.25:1である。
【0027】
好ましくは、ピコリンアミド対ナイアシンアミドのモル比は、20:1〜1:20、好ましくは16:1〜1:16、より好ましくは10:1〜1:10、さらにより好ましくは8:1〜1:8さらにより好ましくは4:1〜1:4、さらにより好ましくは2:1〜1:2、および最も好ましくは1.25:1〜1:1.25である。
【0028】
メラノソーム転送阻害に関する最良の結果のために、ピコリンアミド対ナイアシンアミドのモル比は2:1以下、好ましくは1.25:1以下である。
【0029】
他の活性成分
本発明の皮膚美白組成物は、好ましくは、ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、ヒドロキシ脂肪酸、特に12−ヒドロキシステアリン酸、コウジ酸、脱色素オリゴペプチド、ガラルジン、ポリフェノール酸化防止剤、チオール酸化防止剤(thiolic antioxidants)、システアミン塩酸塩、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体、ビタミンB誘導体、レチノイド、4−置換レゾルシノール誘導体、およびこれらの混合物からなる群から選択される別の皮膚有益剤をさらに含むことができる。
【0030】
任意選択成分
本発明の組成物は、組成物が皮膚に塗布されたときにそれらの分布を容易にするように、組成物に使用される皮膚美白剤の希釈剤、分散剤および/または担体として作用し得る化粧品として許容されるビヒクルをさらに含み得る。本発明における使用に適した化粧品として許容されるビヒクルは、水性、無水またはエマルジョンであってもよく;水性またはエマルジョン、特に油中水型または水中油型のエマルジョンが最も好ましい。存在する場合、水は典型的には組成物の残余を構成する。好ましくは、水は、組成物の5〜99重量%、より好ましくは20〜80重量%、さらにより好ましくは40〜80重量%の濃度で存在する。
【0031】
水の他に、有機溶媒もまた、本発明の組成物内の担体として機能することができる。
【0032】
皮膚軟化剤もまた、本発明の組成物において化粧品として許容される担体として使用することができる。皮膚軟化剤は、一般に、シリコーン油および合成エステルの形態である。シリコーン油は、揮発性および不揮発性であり得る。揮発性シリコーン油は、好ましくは、3〜9個、好ましくは4〜5個のケイ素原子を含む環状または直鎖状のポリジメチルシロキサンから選択される。皮膚軟化物質として有用な不揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書において有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0033】
使用可能なエステル皮膚軟化剤は以下のとおりである:
1.10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル。これらの例としては、ネオペンタン酸イソアラキジル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイルが挙げられる。
【0034】
2.エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル。
【0035】
3.多価アルコールエステル。エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200〜6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、十分な多価アルコールエステルである。
【0036】
4.蜜蝋、鯨蝋、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレート、およびアラキジルベヘネートなどのワックスエステル。
【0037】
5.コレステロール脂肪酸エステルが例であるステロールエステル。
【0038】
皮膚軟化剤は、組成物の0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%のいずれかで組成物中に存在し得る。
【0039】
10〜30個の炭素原子を有する脂肪酸を、化粧品として許容される担体として本発明の組成物中に含めることもできる。このような脂肪酸の実例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸およびそれらの混合物である。
【0040】
多価アルコールタイプの保湿剤もまた、化粧品として許容される担体として本発明の組成物中に用いることができる。保湿剤は皮膚軟化剤の有効性を高め、スケーリングを減らし、蓄積された鱗屑の除去を促し、皮膚の感触を改善する。典型的な多価アルコールとしては、グリセロール、ポリアルキレングリコールが挙げられ、より好ましくは、アルキレンポリオールおよびこれらの誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびこれらの混合物が挙げられる。最良の結果のためには、保湿剤は好ましくはプロピレングリコールまたはヒアルロン酸ナトリウムである。組成物中の保湿剤の濃度は、組成物の0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲内のいずれかであり得る。
【0041】
増粘剤はまた、本発明による組成物の、化粧品として許容される担体の一部として利用することができる。典型的な増粘剤としては、架橋アクリレート(例えばCarbopol982)、疎水性修飾アクリレート(例えばCarbopol1382)、セルロース誘導体および天然ガムが挙げられる。有用なセルロース誘導体には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に適した天然ガムとしては、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラギーナン、ペクチンおよびこれらのガムの組合せが挙げられる。組成物中の増粘剤の濃度は、0.0001〜5重量%、通常は0.001〜1重量%、最適には0.01〜0.5重量%の範囲であり得る。
【0042】
まとめると、水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、湿潤剤および/または増粘剤は、組成物の1〜99.8重量%、好ましくは80〜99重量%の量で化粧品として許容される担体を構成する。
【0043】
界面活性剤もまた、本発明の組成物中に存在してよい。界面活性剤の全濃度は、組成物の0.1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%、最適には1〜5重量%の範囲である。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および両性活性物質からなる群から選択されてもよい。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性物質1モル当たり2〜100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合されたC
10〜C
20脂肪アルコールまたは酸疎水性物質;2〜20モルのアルキレンオキシドと縮合されたC
2〜C
10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ−およびジ−脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノ−およびジ−C
8−C
20脂肪酸;ブロックコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシド);およびポリオキシエチレンソルビタン、ならびにこれらの組合せを含むものである。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も適切な非イオン性界面活性剤である。
【0044】
好ましいアニオン界面活性剤としては、石鹸、アルキルエーテルサルフェートおよびスルホネート、アルキルサルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホサクシネート、C
8−C
20アシルイセチオネート、アシルグルタメート、C
8−C
20アルキルエーテルホスフェートおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0045】
日焼け止め剤には、紫外線を遮断するために一般的に使用される材料が含まれる。例示的化合物は、PABA、シンナメートおよびサリチレートの誘導体である。例えば、アボベンゾフェノン(Parsol 1789(登録商標))オクチルメトキシシンナメートおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても知られている)を使用することができる。オクチルメトキシシンナメートおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンは、それぞれParsol MCXおよびBenzophenone−3の商標で市販されている。組成物に使用される日焼け止め剤の正確な量は、太陽の紫外線照射からの所望の保護の程度に依存して変化し得る。太陽光線を反射または散乱させる添加剤を使用することもできる。これらの添加剤は、酸化亜鉛および二酸化チタンのような酸化物を含む。
【0046】
本発明の組成物は、広範囲の他の任意選択の成分を含むことができる。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、スキンケア産業において一般に使用される広範囲の非限定的な化粧品および医薬品成分を記載しており、これらは本発明の組成物への使用にも適している。例としては、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、ポリマー、収斂剤、芳香剤、不透明化剤、コンディショナー、皮膚剥脱剤、pH調節剤、防腐剤、天然抽出物、精油、皮膚感覚剤(skin sensates)、皮膚鎮静剤(skin soothing agent)および皮膚治療剤が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物を製造する場合、所望の成分は、特定の順序ではなく、通常約70〜約80℃の温度において大気圧下で混合される。
【0048】
本発明の組成物のための包装は、パッチ、ボトル、チューブ、ロールボールアプリケータ、推進剤駆動エアゾール装置、スクイズ容器または蓋付きジャーであってよい。
【0049】
第2の態様において、本発明は、皮膚美白のための本発明による組成物の使用に関する。
【0050】
第3の態様において、本発明は、本発明による組成物を皮膚に塗布するステップを含む、ヒトの皮膚を美白する方法に関する。
【0051】
本発明を、下記の限定されない実施例を用いてここに例示するものである。
【0052】
[実施例]
[実施例1]
組織内で開発された方法であるメラニン含有量アッセイ(MCA)を使用した、メラニン阻害に対するナイアシンアミドおよびピコリンアミドの組合せの効果についてのインビトロ研究
材料
(i)ヒト初代新生児包皮メラノサイト(カタログ番号:HEMn−DP−C−202−5C)、
(ii)メラノサイト成長培地(MGM)(Cascade Biologicals、カタログ番号:M−254−500)および
(iii)ヒトメラノサイト成長補足物質(カタログ番号:S−0002−5)(Cascade Biologicals)
(iv)ピコリンアミド(Sigma Aldrich、カタログ番号:104051−10G)
(v)ナイアシンアミド(Sigma、カタログ番号:N0636−100G)
(vi)DMSO−ジメチルスルホキシド(Sigma、カタログ番号D2650)
(vii)NaOH(Merck、カタログ番号61757305001730)
方法
ヒト初代メラノサイトを、ヒトメラノサイト成長補足物質を含むメラノサイト成長培地(MGM)において成長させた。500μL/ウェル(5×10
4細胞/ウェル)のこの溶液を24ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO
2雰囲気下でインキュベーター(Thermo Scientific、Model 3111)においてインキュベートした。24時間のインキュベーションの後、細胞培養物を水に溶解した主要活性物質(lead actives)で処理した。対照はビヒクル(水)のみで処理した細胞であった。細胞を再びインキュベーター(Thermo Scientific、Model 3111;条件:5%CO2、37℃)において72時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、培養培地を120μl/ウェルのMCA試薬(1N NaOH中10%DMSO)と交換し、シェーカーインキュベーターにおいて60℃で1時間インキュベートした。次いで上清を384ウェルプレートに移した。吸光度を、マイクロプレートリーダー(GEnios Pro、Tecan)を用いて405nmにおいて分光光度測定した。
【0053】
メラニン含量の計算:
未処理細胞(NO活性)の405nmにおける分光光度ODを、100%メラニン含量とみなした。未処理細胞と比較して、処理細胞試料の阻害パーセントを計算した。
【0055】
上記の表(表I)は、ピコリンアミドとナイアシンアミドとの組合せによって得られたメラノサイト中のメラニン含量の相乗的減少を示す。表1のデータは、ナイアシンアミド単独が、初代ヒトメラノサイト中のメラニン含量の適度な減少(5mMおよび10mMにおいて)をもたらしたことを示す。しかし、ピコリンアミドとナイアシンアミドを組み合わせると、メラニン含量の相乗的減少が得られた。
【0056】
インビボ条件下では、肌の色はメラニン合成およびメラノソーム転送の2つのプロセスによって決定される。これらのプロセスを調節することにより、肌の色が調節されると考えられている。上記の実施例は、インビトロでメラノサイト中のメラニン含量に対する本発明の組合せが有する相乗効果を示し、インビボ条件下でのメラニン合成についても同様の効果が期待できる。
【0057】
[実施例2]
メラノソーム転送アッセイ(MTA)を使用した、メラノソーム転送に対するナイアシンアミドおよびピコリンアミドの組合せの効果についてのインビトロ研究(Pigment Cell Melanoma Res.2008 Oct;21(5):559−64のPubMed Commonsのコメントを参照されたい)
材料
(i)ヒト初代新生児包皮メラノサイト(カタログ番号:HEMn−DP−C−202−5C)、
(ii)メラノサイト成長培地(MGM)(Cascade Biologicals、カタログ番号:M−254−500)および
(iii)ヒトメラノサイト成長補足物質(Cascade Biologicals、カタログ番号:S−0002−5)
(iv)HaCatヒトケラチノサイト(Dr NE Fusenig、Hedelberg、Germany)
(v)ケラチノサイト成長培地(KGM)(Cascade Biologicals、カタログ番号:Epilife MEPI−500CA)、および
(vi)ヒトケラチノサイト成長補足物質(Cascade Biologicals、カタログ番号:F−001−5)
(vii)ピコリンアミド(Sigma Aldrich、カタログ番号:104051−50G)
(viii)ナイアシンアミド(Sigma、カタログ番号:N0636−100G)
(ix)トリプシンEDTA緩衝液(Gibco;カタログ番号:R−001)
(x)トリプシン中和剤(Gibco;カタログ番号:R−002)
(xi)パラホルムアルデヒド(Sigma Aldrich;15−812−7)
(xii)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
a.塩化ナトリウム(Fischer Scietific;カタログ番号:27605)
b.塩化カリウム(Merck;61753305001730)
c.リン酸水素二ナトリウム(S.D Fine−Chemicals Ltd;製品番号:40158)
d.リン酸二水素カリウム(S.D Fine Chemicals Ltd、20203)
(xiii)FACS緩衝液
a.サポニン(sigma、カタログ番号:47036−50G−F)
b.ウシ胎仔血清(Gibco;カタログ番号:16000)
方法
培養培地(MGM:KGM=1:1)で調製した1.3X10
4細胞のヒト初代メラノサイト(C−202−5C、Lonza)と、培養培地(MGM:KGM=1:1)で調製した2.6×10
4のHaCatケラチノサイトを一緒に混合し、48ウェルプレートに播種して、組織培養インキュベーター(Thermo Scientific、Model 3111)において37℃、5%CO
2雰囲気下でインキュベートした。4時間のインキュベーションの後、共培養物を試料で処理(添加)し、同じ条件下で同じインキュベーターにおいて72時間再びインキュベートした。必要な期間(72時間)培養した後、以下に示す手順に従ってフローサイトメトリー分析のために細胞を調製した:
1.細胞を、48ウェルプレートから、200μlのトリプシンEDTA緩衝液を含むV底プレート(Torson、941396)に単離し、トリプシン活性を200μlのトリプシン中和剤で中和し、冷却遠心分離機(Plasto Crafts、モデル番号:Roat 4R−V/FM)を使用して350gで沈殿(pelleted down)させた。
【0058】
2.ペレットに、100μlの1%パラ−ホルムアルデヒドを添加し、氷上で10分間インキュベートした。
【0059】
3.次いで、細胞を、100μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と共に10分間遠心分離(1000Gし、ペレットを下記のステップ4で述べた溶液で染色するために使用した。PBSを、塩化ナトリウム4g、塩化カリウム0.1g、リン酸水素二ナトリウム0.58gおよびリン酸二水素カリウム0.1gを、オートクレーブにかけたMili−Q水500mlに加えることによって調製した。
【0060】
FACS(蛍光活性化セルソーター)を、0.1%サポニンおよび0.05%超(0.05重量/体積%)のウシ胎仔血清を、Alexa488結合ヤギ抗Trp1抗体(TRP1 Alexa488(TRP1、チロシナーゼ関連タンパク質は特異的メラノソームマーカータンパク質である、Santacruz、カタログ番号:sc−10443)(1μL/100μL)および抗汎サイトケラチン抗体(汎サイトケラチン、サイトケラチンは、ケラチノサイトの特異的マーカーである)PE、Santacruz、カタログ番号:sc−8018)(1μL/100μL)と混合したPBS中に添加することによって調製した。上記のFACS緩衝液を各ウェルのペレット(100μL/ウェル)に添加し、氷上で60分間インキュベートした。
【0061】
4.次に、細胞をPBSで洗浄し、冷却遠心分離機(Plasto crafts、Roat 4R−V/FM)を使用して、約1000gで沈殿させた。
【0062】
5.細胞ペレットをPBSに懸濁し、丸底96ウェルプレートに移し、フローサイトメトリー(BD Biosciences、BD HTSを具備するモデル−BD Facscalibur)により分析した。
【0063】
メラノソーム転送(転送%)の計算:
転送されたメラノソームを含むケラチノサイトを、フローサイトメトリー分析により検出した。
【0064】
阻害%の計算:
未処理細胞(活性物質非含有)における転送%を100%とみなした。未処理細胞と比較して、処理細胞試料の転送パーセントを計算した。
【0066】
上記の表(表II)は、ピコリンアミドとナイアシンアミドとの組合せによって得られたメラノソーム含有ケラチノサイトの相乗的減少を示す。
【0067】
インビボ条件下では、肌の色はメラニン合成およびメラノサイトからケラチノサイトへのメラノソーム転送の2つのプロセスによって決定される。これらのプロセスを調節することにより、肌の色が調節されると考えられている。上記の実施例は、インビトロでメラノサイトからケラチノサイトへのメラノソーム転送に対する本発明の組合せが及ぼす相乗効果を示し、インビボでのメラノソーム転送に影響を与えることについても同様の効果が期待できる。
【0068】
[実施例3]
メラノソーム転送アッセイ(MTA)を使用した、メラノソーム転送に対するナイアシンアミドおよびピコリンアミドの組合せの効果についてのインビトロ研究(Pigment Cell Melanoma Res.2008 Oct;21(5):559−64のPubMed Commonsのコメントを参照されたい)
材料
(i)ヒト初代新生児包皮メラノサイト(カタログ番号:HEMn−DP−C−202−5C)、
(ii)メラノサイト成長培地(MGM)(Cascade Biologicals、カタログ番号:M−254−500)および
(iii)ヒトメラノサイト成長補足物質(Cascade Biologicals、カタログ番号:S−0002−5)
(iv)HaCatヒトケラチノサイト(Dr NE Fusenig、Hedelberg、Germanyからの寄贈)
(v)ケラチノサイト成長培地(KGM)(Cascade Biologicals、カタログ番号:Epilife MEPI−500CA)、および
(vi)ヒトケラチノサイト成長補足物質(Cascade Biologicals、カタログ番号:F−001−5)
(vii)ピコリンアミド(Sigma Aldrich、カタログ番号:104051−50G)
(viii)ナイアシンアミド(Sigma、カタログ番号:N0636−100G)
(ix)トリプシンEDTA緩衝液(Gibco;カタログ番号:R−001)
(x)トリプシン中和剤(Gibco;カタログ番号:R−002)
(xi)パラホルムアルデヒド(Sigma Aldrich;15−812−7)
(xii)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
a.塩化ナトリウム(Fischer Scietific;カタログ番号:27605)
b.塩化カリウム(Merck;61753305001730)
c.リン酸水素二ナトリウム(S.D Fine−Chemicals Ltd;製品番号:40158)
d.リン酸二水素カリウム(S.D Fine Chemicals Ltd、20203)
(xiii)FACS緩衝液
a.サポニン(sigma、カタログ番号:47036−50G−F)
b.ウシ胎仔血清(Gibco;カタログ番号:16000)
方法
培養培地(MGM:KGM=1:1)で調製した1.3X10
4細胞のヒト初代メラノサイト(C−202−5C、Lonza)と、培養培地(MGM:KGM=1:1)で調製した2.6×10
4のHaCatケラチノサイトを一緒に混合し、48ウェルプレートに播種して、組織培養組織培養インキュベーター(Thermo Scientific、Model 3111)において37℃、5%CO
2雰囲気下でインキュベートした。4時間のインキュベーションの後、共培養物を試料で処理し、同じ条件下で同じインキュベーターにおいて72時間再びインキュベートした。必要な期間(72時間)培養した後、以下に示す手順に従ってフローサイトメトリー分析のために細胞を調製した:
1.細胞を、48ウェルプレートから、200μlのトリプシンEDTA緩衝液を含むV底プレート(Torson、941396)に単離し、トリプシン活性を200μlのトリプシン中和剤で中和し、冷却遠心分離機(Plasto Crafts、モデル番号:Roat 4R−V/FM)を使用して350gで沈殿(pelleted down)させた。
【0069】
2.ペレットに、100μlの1%パラ−ホルムアルデヒドを添加し、氷上で10分間インキュベートした。
【0070】
3.次いで、細胞を、100μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて10分間遠心分離(1000G)し、ペレットを下記のステップ4で述べた溶液で染色するために使用した。PBSを、塩化ナトリウム4g、塩化カリウム0.1g、リン酸水素二ナトリウム0.58gおよびリン酸二水素カリウム0.1gを、オートクレーブにかけたMili−Q水500mlに加えることによって調製した。
【0071】
FACS緩衝液(蛍光活性化セルソーター)を、0.1%サポニンおよび0.05%超(0.05重量/体積%)のウシ胎仔血清を、Alexa488結合ヤギ抗Trp1抗体(TRP1 Alexa488(TRP1、チロシナーゼ関連タンパク質は特異的メラノソームマーカータンパク質である、Santacruz、カタログ番号:sc−10443)(1μL/100μL)および抗汎サイトケラチン抗体(汎サイトケラチン、サイトケラチンは、ケラチノサイトの特異的マーカーである)PE、Santacruz、カタログ番号:sc−8018)(1μL/100μL)と混合したPBS中に添加することによって調製した。上記のFACS緩衝液を各ウェルのペレット(100μL/ウェル)に添加し、氷上で60分間インキュベートした。
【0072】
4.次に、細胞をPBSで洗浄し、冷却遠心分離機(Plasto crafts、Roat 4R−V/FM)を使用して、約1000Gで沈殿させた。
【0073】
5.細胞ペレットをPBSに懸濁し、丸底96ウェルプレートに移し、フローサイトメトリー(BD Biosciences、BD HTSを具備するモデル−BD Facscalibur)により分析した。
【0074】
メラノソーム転送(転送%)の計算:
転送されたメラノソームを含むケラチノサイトを、フローサイトメトリー分析により検出した。
【0075】
阻害%の計算:
未処理細胞(活性物質非含有)における転送%を100%とみなした。未処理細胞と比較して、処理細胞試料の転送パーセントを計算した。
【0077】
上記表(表III)は、ピコリンアミド対ナイアシンアミドの特定のモル比でのみ相乗的皮膚美白効果が得られることを示している。