(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一周波数での音響エネルギーが、前記第二周波数での音響エネルギーとして血管内において前記超音波振動子の同じ縦位置で放出され、受け取られる、請求項1に記載の方法。
前記取得した複数の第一および第二周波数データベクトルは同じ縦位置周辺で分配され、隣り合うデータベクトルが、前記第一および第二周波数で超音波データを含むことが交互に起こる、請求項4に記載の方法。
前記データベクトルの第一セットを形成することが更に、前記第一セットにおける第一周波数データベクトルの第一数を含むことを含み、前記データベクトルの第二セットを形成することが更に、前記第二セットにおける第二周波数データベクトルの第二数を含むことを含み、前記第一数と前記第二数が異なる、請求項1に記載の方法。
前記撮像視野にある2アイテムの界面を決定するために、前記第一変更データセットと前記第二変更データセットとの差を使用することを更に含む、請求項2に記載の方法。
前記界面が血管境界と血管内の血液との界面であると決定され、前記第二周波数と比較して、前記第一周波数における前記音響エネルギーに反応して増加を示している前記血液に基づいて、血管内の血液の位置が決定される、請求項12記載の方法。
前記ユーザーインターフェースが更にカテーテル組立体インターフェースを含み、前記ユーザーインターフェースが、前記カテーテル組立体に対して前記カテーテル組立体インターフェースを通じて前記超音波振動子を回転するよう構成するように、前記ユーザーインターフェースが前記カテーテル組立体を通じて前記カテーテル組立体および前記超音波振動子と結合する、請求項15に記載の撮像システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳述は本来は典型的なものであり、決して発明の範囲、適用性、あるいは構成を限定するものではない。むしろ、以下の記述が本発明の実施例を実施するための実例を提供する。構成、材料、寸法、製法の例が選択された要素のために提供され、他の要素は全て発明の分野の当業者に公知のものを採用する。当業者は、上記の実施例の多くは様々な適切代替手段を有することを認識するであろう。
【0013】
図1は血管内撮像を行なえるシステム100の例を示す。システム100はカテーテル組立体102、変換装置119、撮像エンジン140を含むことができる。カテーテル組立体102は、患者144の血管に挿入されるよう構成した近位端104と遠位端106を含んでもよい。一例において、カテーテル組立体102は大腿動脈を通じて患者144に挿入し、患者144内の関心領域に導いてよい。
図1の破線は患者144内にあるカテーテル組立体102の部分を示している。
【0014】
数例において、カテーテル組立体102は画像データを作成する血管内撮像素子108を含んでもよい。血管内撮像素子108は撮像エンジン140と通信できる。数実施形態において、血管内撮像素子108は超音波エネルギーを放出・受信し、超音波撮像データを作成するよう構成した超音波振動子である。その他の例において、血管内撮像素子108は発受光し、OCTデータを作成するよう対応した光コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)装置である。撮像装置108により作成された画像データは、撮像装置108の位置における患者144内の関心領域の断面を表現できる。画像データは一般に、例えば血液、患者144の血管の各種層や血管内のあらゆる堆積物(例えばプラーク)など、撮像装置108の断面位置における複数の画像アイテムを表現する。
【0015】
変換装置119は、カテーテル組立体102の血管内撮像素子108を変換するよう構成できる。変換装置119は線形変換システム(LTS)122から成ってもよい。LTS122はカテーテル組立体102と機械的に係合し、変換操作の間、例えば引き戻しか前進操作の間、患者144内の制御距離分カテーテル組立体102を変換するよう構成してもよい。システム100は、変換装置119がカテーテル組立体102と連動する患者インターフェースモジュール(PIM)120から成ってもよい。撮像装置108を変換することで、患者144の血管内の様々な縦位置で集められる断面画像データを考慮することができる。様々な縦位置におけるこの断面画像データはその後蓄積でき、用途によっては関心領域の縦断面画像を作成する。
【0016】
撮像エンジン140は血管内撮像素子108及び変換装置119と通信できる。数例によれば、撮像エンジン140は少なくとも1つのプログラム可能プロセッサから成ってもよい。数例によっては、撮像装置140はシステムユーザー142からのコマンドやユーザーインターフェースを通じてカテーテル組立体102から取得した表示データを受信する、1以上のプロセッサを含む計算機から成ってもよい。その計算機は、システムユーザー142からの入力を受け取り、カテーテル組立体から受信したシステム情報や信号(例えば、表示された画像)を出力するコンピュータ周辺機器(例えば、キーボード、マウス、電子ディスプレイ)を含んでもよい。数例において、計算機のユーザーインターフェースは入力装置と出力装置の両方の機能を果たすタッチスクリーン画面でもよい。数例において、撮像エンジン140は命令を格納するためのメモリーモジュール、あるいは1以上のプロセッサにより実行可能ソフトウェアを含んでもよい。
【0017】
図2は血管内撮像を行なうよう対応したシステム200を示すブロック図である。システム200はPIM230、変更装置220、噴射システム250、カテーテル組立体240、撮像エンジン210を含むことができる。システム200は血管内撮像素子に基づいてOCTやIVUSと共に使用されるよう構成できる。
【0018】
PIM230はカテーテル組立体240と撮像エンジン210との電気機械的インターフェースを提供できる。数実施形態において、PIM230はカテーテル組立体240をシステム200に固定するカテーテルインターフェース232を提供してもよい。PIM230は、カテーテル組立体240の血管内撮像素子(例えば、超音波振動子)を回転させる力学的エネルギーを提供するよう構成されたモーター234を含んでもよい。各種例によると、PIM230はカテーテル組立体240の血管内撮像素子からの信号を送信し、リターン信号を受信する電気的インターフェースを提供してもよい。
【0019】
変換装置220はカテーテル組立体240の縦変換を提供するよう構成できる。変換装置220は線形変換システム(LTS)から成ってもよい。変換装置220は、PIM230及びカテーテル組立体240とかみ合うように構成し、カテーテル組立体240の血管内撮像素子の制御引き戻しを可能にしてもよい。数例によると、変更装置220は、血管内撮像装置の変換に関連する変換データを、システム200のユーザーに対して表示するように構成された変換ディスプレイから成ってもよい、変更ユーザーインターフェース222を特徴としてもよい。実施形態によっては、変換データは横切った直線距離や変換速度を含んでもよい。変換ユーザーインターフェース222は、変換の開始や停止、変換速度の設定、横切った直線距離のゼロへの再設定や手動モードへの切り替えを制御するために、ユーザーからの入力を受け取るように構成してもよい。手動モードでは、ユーザーはカテーテル組立体の血管内撮像素子を自由に前後に(例えば、血管内の遠位・近位に)動かすことができる。例によっては、変換装置220は制御した速度で血管内撮像素子の引き戻しや前進の両方を可能するよう構成してもよい。別の例では、変換装置220は血管内撮像素子を引き戻しや前進操作を交互に行なうことにより、振動、あるいは循環させるよう構成してもよい。例によっては、変換装置220は変換操作の距離を測るように構成した位置センサーを含んでもよい。
【0020】
噴射システム250は液体をカテーテル組立体240を通じて患者の血管に送るよう構成できる。とはいえ、実施形態によっては、システム200は噴射システム250を含まないかもしれない。噴射システム250は、システム200に存在する場合、1以上の液体(例えば、造影剤や生理食塩水)を送るよう構成した噴射器ポンプ252から成ってもよい。例によっては、噴射器ポンプ252は電気的に通信して自動化し、撮像エンジン210により制御されてもよい。数例によると、噴射器ポンプ252はユーザーが手動で1以上の液体を患者に送ることができるよう構成された手動ポンプ(例えば、シリンジ噴射)から成ってもよい。本明細書の他で検討されるように、噴射システム250からの液体を血管内血液変位液体ポートを通じて患者の血管系に送るように、噴射システム250はカテーテル組立体240と関連づけることができる血管内血管変位液体ポートと液体連結してもよい。理解できるように、システム200の特定応用に応じて、噴射システム250は幾つもの液体やいかなる量の液体も送るように構成してもよい。例によっては、多量の血液変位液体は造影剤や生理食塩水から成ってもよい。
【0021】
撮像エンジン210は、図示した例において、1以上のプログラム可能プロセッサ212、1以上のプログラム可能プロセッサ212と通信できるメモリ・データストレージ部品214、1以上のプログラム可能プロセッサ212やメモリ・データストレージ部品214と通信できるユーザーインターフェース216を含んでいる。撮像エンジン210自身は変換装置220、PIM230や噴射システム250(存在する場合)と通信できる。ユーザーインターフェース216は、カテーテル組立体240(例えば、カテーテル組立体の超音波振動子)により取得された画像データに基づいて作成された画像を出力するためのディスプレイを含むことができる。画像がユーザーインターフェース216のディスプレイに出力される前に、カテーテル組立体240により取得された画像データは撮像エンジン210において1以上の画像処理技術を受けることができる。例えば、メモリ・データストレージ部品214は、1以上の画像処理技術を行なうための命令あるいはソフトウェアを含むことができ、1以上のプロセッサ212は命令に基づいて画像処理技術を実行してもよい。
【0022】
図3は、
図1、2に関して上述したシステムで使用できるカテーテル組立体300の遠位部の実施形態の側断面図である。カテーテル組立体300は、ドライブケーブル302、シース308、超音波振動子304を含んでもよい。上述のように、ドライブケーブルはシース308内でドライブケーブル302を回転させるPIMと結合していてもよい。超音波振動子304は、ドライブケーブルの回転や変換が超音波振動子304をシース308内で回転や変換させるようなドライブケーブルと結合していてもよい。超音波振動子は、回転や超音波データを作成する変換の間、音響エネルギーを放出し受け取るよう構成してもよい。例によっては、カテーテル組立体300はまた、超音波振動子により放出された音響エネルギーの周波数に対して実質的に透過的である撮像ウィンドウ(図示せず)を含んでもよい。カテーテル組立体300はまた、カテーテル組立体300を患者の血管に導いたり、血管内のカテーテル組立体300を変換するために、ガイドワイヤ325を受け入れるよう構成されたガイドワイヤ孔322を形成する遠位端320を含んでもよい。
【0023】
図4はカテーテル400の伝播超音波データベクトルの前面図を示す。この例において、カテーテル400は前述したカテーテルと同様の、機械的に回転する超音波撮像カテーテルでもよい。同様に、カテーテル400はカテーテル400のシースに対して超音波振動子(図示せず)を回転するよう構成されてもよく、超音波振動子は音響エネルギーを放出したり受け取ることで超音波データを生成するよう構成されてもよい。
図4に示された超音波データベクトルは、異なる回転位置において超音波振動子により放出されたり受け取られた音響エネルギーを示している。さらに具体的に、各データベクトルは超音波振動子の異なる回転位置において超音波振動子により集められた超音波データを表現するものである。データベクトルは各々、実施形態によっては、異なる時間に取得される。
【0024】
図4に示すように、カテーテル400の超音波振動子は、振動子が回転しながらベクトル毎に基づいて超音波データを作成してもよい。例えば、超音波振動子は最初に超音波データベクトル410Aを取得し、超音波振動子が時計周りに回転しながらベクトル410B〜410nを取得し続けてもよい。その結果、ベクトル410A〜410nは一定の縦位置における超音波振動子の360度回転を表現できる。回転毎に取得したデータベクトル数はカテーテルの用途によって変わってもよい。例えば、実施形態によっては、IVUSカテーテルは回転毎に約500ベクトルと約5000ベクトルとの間を作成するよう構成される。例えば、回転毎に512ベクトルを生成する実施形態において、データベクトル間の角度はその後、約2π/512ラジアンあるいは360/512度と特徴付けられてもよい。回転毎に4096ベクターを作成するよう構成されたカテーテルの例において、データベクトル間の角度は約2π/4096あるいは 360/4096度でよい。
図4はまたベクトル410A〜410nから成るデータフレーム403を表現している。データフレーム403は超音波振動子の同じ縦位置において発したり受け取ったりしたベクトルを含む。カテーテル400の視野405は、カテーテルにより伝播したデータベクトルの大きさに基づいてよいし、特定応用に適合させるために変動してもよい。データベクトルの大きさは、例えば放出圧力波の頻度や圧力波のパワーレベルなどの要因の数に基づいてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、カテーテル400の超音波振動子が第一周波数で音響エナジーを放出でき、その第一周波数で超音波データベクトルを取得するために音響エナジーの後方散乱を受け取る。さらに、超音波振動子は第一周波数とは違う第二周波数(例えば、第一周波数は第二周波数より大きくできる)で音響エネルギーを放出してもよいし、今回は第二周波数で別の超音波データベクトルを取得するために音響エネルギーの後方散乱を受け取ってもよい。一定縦位置において超音波振動子が回転するにつれ、追加超音波データベクトルが第一周波数と第二周波数において取得できる。例えば、一実施形態において、超音波振動子は第一周波数データベクトル410Aを取得するために、第一周波数において音響エネルギーを放出できる。その後の時間において、超音波振動子は同じ縦位置で回転でき、第二周波数データベクトル410Bを取得するために第二周波数において音響エネルギーを放出できる。超音波振動子は、第一周波数データベクトルと第二周波数データベクトルを複数取得するために、第一周波数と第二周波数を交互に(連続的、不連続的にかかわらず)縦位置において360度回転し続けることができる。このように、隣り合うデータベクトル(例えば、410Aと410B)が、異なる第一および第二周波数における超音波データから成るために交互に起こるように、取得した複数の第一および第二周波数データベクトルは超音波振動子の同じ縦位置の周辺に分配される。ある用途において、第一周波数は例えば約60MHzで、第二周波数が約40MHzとできる。例によっては、異なる数の高周波数データベクトルを、低周波数データベクトルと比較して得ることができる(例えば、高周波数データベクトルを低周波数データベクトルよりもたくさん得ることができる)。
【0026】
高周波数(例えば、第一周波数)と低周波数(例えば、第二周波数)の両方においてデータベクトルを取得する利点は、高コントラストと高空間解像度の両方を有する画像を生成する能力である。低周波数(例えば、40MHz以下)で取得された画像データは一般に良いコントラストだが悪い空間解像度を示す一方、高周波数(例えば、40MHz超)で取得された画像データは良い空間解像度だが悪いコントラストを示す。それゆえ、高低周波数においてデータベクトル(例えば、隣り合うデータベクトル)を取得することで、画像が高コントラストと高空間解像度を示すように作成することができる。
【0027】
図5は血管550内のカテーテル510を示す断面図である。上述したように、カテーテル510は血管に直接導かれてもよいし、ある例ではガイドワイヤを通じて血管に導かれてもよい。血管550は、血液が流れる血管腔552を規定する血管壁554を含む患者の血管系の血管でもよい。血液に加えて、血管腔552はまた、各種用途において、徐々に血管腔552内に堆積された1以上のプラーク成分を含んでもよい。そういうプラーク成分は、例えば、脂質のような動脈硬化性プラークを含むことができる。
【0028】
図6は血管650内のカテーテル610とカテーテル610により伝播された超音波データベクトルのオーバーレイの断面図を示す。血管650は
図5に関して前述した血管と同様で、カテーテル610は前述したカテーテルと同様である。それらの例にあるように、カテーテル610は複数のデータベクトルの形式で超音波データを作成するよう構成された超音波振動子を含んでもよい。この例において、各データベクトルは、音響エネルギーを放出し、エネルギーの反映を受け取ることにより集められた超音波データ、あるいは血管650や血管650内のアイテムからの後方散乱に相当する。 例えば、液体(例えば、血液)だけでなく血管壁654や血管腔652におけるプラークの異なる部分は、異なる物質組成を有する可能性が高い。血管の異なる部分の異なる物質組成は、放出した音響エネルギーに対する異なる反応になることができる。様々な部分の異なる反応は多くの実施形態において、血管の異なる部分、あるいは関心領域を区別するために活用でき、その見返りとしてもっと診断上有益な画像が提供できる。
【0029】
例えば、データベクトルに沿った超音波後方散乱レベルの変化は、管腔と血管壁との境界を決定するために使ってもよい。例えば、血管壁654と血管腔652内の液体(例えば、血液)は、カテーテル610の超音波振動子により放出された音響エネルギーの量の変化を反映するかもしれない。結果として、データベクトルに沿って集められた超音波データは、血管壁654と血管腔652との超音波後方散乱レベルのばらつきを捕らえてもよい。例えば、データ点616と618との間のデータベクター614の第一領域は、血管腔内の血流と一致する後方散乱レベルを有してもよく、一方データ点618と620との間のデータベクター614の第二領域は血管壁654内と一致する後方散乱レベルと一致してもよい。また、第一領域と第二領域との間の後方散乱レベルの移行は、大体データ点618に位置する血管壁654と血管腔652との境界を特定するために使用できる。上述したように、データフレーム630はカテーテル610の超音波振動子が全360度回転する間に取得されたデータベクトルから成っていてもよい(例えば、血管腔652内の超音波振動子の一定縦位置)。
【0030】
単データベクトルに沿って超音波後方散乱レベルのばらつきを使うことに加え、はっきり異なるデータベクトルの後方散乱のばらつき(例えば、隣り合うデータベクトル)は血管の異なる部分の異なる反応を活用するために使うことができる。特に、血管の異なる部分は周波数に応じて後方散乱特性における異なる変化率を有することができる。例えば、周波数が増加するにつれ血液が後方散乱の相対的に大きな増加を示すように、血液は周波数の変化に対する動的応答を有する。一方、撮像視野にある他のアイテム(例えば、組織や脂質などのプラーク)は、周波数が増加するにつれ、周波数に応じて後方散乱においてこれらのアイテムが相対的に小さい変化(例えば、増加や減少)を示すように、周波数の変化に対して相対的にもっと安定した応答を有する。
【0031】
周波数の変化に対する血管の様々な部分(例えば、血液vs.組織とプラーク)の異なる応答は、伝統的に診断上有益な血管内画像を作成することにおいて問題を引き起こしている。前述したように、高コントラストと高空間解像度を有する画像を作成するために、高周波数と低周波数の両方においてデータベクトルを取得することは有益かもしれない。しかしながら、上述したように、血管の異なる部分は周波数に応じて後方散乱特性の異なる変化率を有することができる。一般に、血管650の特定部分(例えば、組織、血液、プラーク)の後方散乱特性は、血管内画像における特定部分の見かけ上の輝度に関連する。それゆえ、周波数の変化に対するアイテムの応答が動的になればなるほど、周波数が増加するにつれ画像に表れるアイテムが明るくなる。例えば、周波数の増加での後方散乱における血液の相対的に大きな増加により、周波数の増加は、血管内画像における血液の見かけ上の輝度の大幅な上昇になる結果となりうる。血管内の血液の輝度をプラークや血液の周りの組織以上の平均の輝度に上げることになりうる。それ故、結果として生じる血管内画像のプラークや組織から血管腔内の血液を区別するのが困難になりうる。
【0032】
しかしながら、作成された画像におけるこれら血管の異なる部分を区別するために、周波数に応じて明らかなデータベクトル(例えば、隣り合うデータベクトル)の後方散乱のばらつきは血管の異なる部分の異なる応答を利用できる。
図7は、撮像視野における1以上のアイテムの差動周波数応答を使って画像を作成する方法700のフロー図の1例を説明している。方法700は、撮像視野における1以上のアイテムの差動周波数応答を使って、お互いに血管における様々なアイテムを区別し(例えば、血液とプラークを識別する)、結果として診断上有益な画像を出力するのに役立つ。方法700は本説明の残り全般にわたって、
図7、8の説明と併せて検討される。
【0033】
図7の実施形態において、方法700はステップ710で最初にデータベクトルを取得することを含む。データベクトルは、例によっては、前述したものと同様の(例えば、
図4に関して)撮像装置で、音響エネルギーを放出して受け取るための血管撮像装置(例えば、超音波振動子)を有する血管内撮像システムを使って取得できる。1実施形態において、撮像視野における1以上のアイテムを表す第一周波数データベクトルを取得するために、超音波振動子は第一周波数で音響エネルギーを放出できる。例えば、第一周波数は約60MHzの高周波数でよい。その後、超音波振動子は超音波振動子血管内で同じ縦位置において回転でき、撮像視野における1以上のアイテムを示す第二周波数データベクトルを取得するために第二周波数において音響エネルギーを放出できる。第二周波数は、第一周波数が第二周波数より大きいような、例えば約40MHzの低周波数でよい。第一、第二周波数は組織間の周波数応答における違いを利用するためのいかなる周波数を含んでもよい。さらに、血管の実質的に同一部分に関する第一、第二データベクトルが超音波データを提供するように、第一周波数データベクトルと第二周波数データベクトルは隣り合うデータベクトルになりうる。前述の実施形態において、複数の第一周波数データベクトルと複数の第二周波数データベクトルを取得するために、超音波振動子は第一周波数と第二周波数において一時的に分かれた音響エネルギーを交互に放出する縦位置において、360度回転し続けることができる。このようにして、周辺に隣り合うデータベクトルが第一周波数および第二周波数で、交互に起こるよう超音波振動子から成るように、取得した複数の第一および第二周波数データベクトルは超音波振動子の同じ縦位置(例えば、単フレーム内)の周辺で分配される。 前述したように、数例においては、高周波数データベクトルの数が低周波数データベクトルの数よりも多い(例えば、2対1の倍数や3対1の倍数など)ように、異なる数の高周波数と低周波数データベクトルを得ることができる。
【0034】
一旦ステップ710においてデータベクトルが取得されると、データベクトルのセットがステップ720で形成できる。ある例では、データベクトルの第一セットは1以上の複数の第一周波数データベクトルを使って形成でき、データベクトルの第二セットは1以上の複数の第二周波数データベクトルを使って形成できる。そういう例において、データベクトルの第一セットは第一周波数(例えば、高周波数)での超音波データを含み、一方でデータベクトルの第二セットは第二周波数(例えば、低周波数)での超音波データを含む。ある用途において、撮像エンジン、特に撮像エンジンのプロセッサは、データベクトルの第一および第二セットを形成するよう構成できる。データベクトルの第一および第二セットの各々のデータベクトル数は同じである必要はない。例として、高周波数でのデータベクトルの第一セットは、低周波数でのデータベクトルの第二セットのデータベクトル数より大きいデータベクトル数を含むことができる。例えば、高周波数におけるデータベクトルの第一セットは、低周波数におけるデータベクトルの第二セットの各低周波数データベクトルにつき2、3、4つ等の高周波数データベクトルを有することができる。
【0035】
形成したデータベクトルセットは各々1以上の画像処理技術を受けることができる。方法700の実施形態において、画像処理技術はステップ730においてフィルタを適用することを含む。例えば、第一フィルタはデータベクトルの第一セットに適用でき、第二フィルタはデータベクトルの第二セットに適用でき、第一および第二フィルタはある実施形態では同じであり、第一および第二フィルタは他の実施形態では異なるものである。例となる方法700において適用された少なくとも1つのフィルタは、例えば、結果としてデータベクトルセットにより表される詳細度が減少するプロセス(例えば、そういうデータベクトルセットにおいてもっと領域化した表現を生成すること)を含んでもよい。例として、ステップ730では、データベクトルの第一セットとデータベクトルの第二セットの両方への平滑化フィルタの適用を含むことができる。平滑化フィルタは、ガウスぼかしフィルタや他の適当な平滑化フィルタでよい。更なる数例において、ステップ730には、平滑化フィルタをデータベクトルの第一および第二セットの一方あるいは両方に適用した後、鮮鋭化フィルタの適用を追加的に含むことができる。鮮鋭化フィルタが、例えば平滑化フィルタ(前述したように、細部を減らすよう作用できる)の後で適用されるとき、データベクトルセットにより表現される細部を明確にするよう構成できる。例えば、平滑化フィルタはデータベクトルの第二セットにより表現される全画像データの全部分の詳細を向上させる(例えば、1以上の端、あるいは1以上の端内に包まれた1以上の部分)。そういう例においての鮮鋭化フィルタの適用には、鮮鋭化フィルタが適用されたデータベクトルセットの一方あるいは両方のために、ラプラシアンピラミッドを生成することを含むことができる。平滑化フィルタ及び鮮鋭化フィルタに加えて、あるいはそれらの代用として、他のフィルタを利用してもよい。ステップ730でフィルタをデータベクトルセットに適用することで、そのデータベクトルセットにおける画像データの更に領域化した表現(例えば、個々の画素に基づいて更に局部的な表現とは対照的に)を生成できる。結果として、データベクトルのセットにフィルタを適用することは、元々のデータベクトルのセットに存在するアーチファクトやノイズを低減、あるいは除去に有用である。
【0036】
方法700の実施形態において、データベクトルの第一セットと比べて第一変更データセットがもっと領域化した画像データを含むことができるように、第一変更データセットを作成するためにフィルタをデータベクトルの第一セットに適用してもよい。さらに、データベクトルの第二セットと比べて第二変更データセットがもっと領域化した画像データを含むことができるように、第二変更データセットを作成するためにフィルタをデータベクトルの第二セットに適用してもよい。アーチファクトやノイズの低減や除去に加えて、第一および第二セットがそれぞれ高周波数および低周波数におけるデータベクトルを含むという、データベクトルの第一および第二セットへのフィルタの適用は、結果として生じる第一と第二変更データセットとの直接比較を容易にする。その結果、本実施形態において、フィルタ工程は比較工程の前に行なわれる。
【0037】
実施形態によっては、フィルタには領域化データを作成するのに有用なフィルタを含んでもよい。ある実施形態において、フィルタはガウスぼかしフィルタとしてのデータベクトルの第一および第二セットに適用された平滑化フィルタでもよい。それゆえ、ガウスぼかしフィルタは第二変更データセットを形成するデータベクトルの第二セットだけでなく、第一変更データセットを形成するデータベクトルの第一セットにも適用できる。ガウスぼかしフィルタは、ガウス関数を使って画像を平滑にするよう作用する。用途によっては、ガウスぼかしフィルタは大きなカーネルくらいのぼかしフィルタとして適用される。他の実施形態では、第一および第二データベクトルを他の非ガウス関数を使ってぼやけさせることもできる。別の実施形態では、データベクトルの第一および第二セットに適用されたフィルタは高域、低域、あるいは他の時間フィルタでもよい。
【0038】
フィルタが平滑化フィルタである更なる例において、データベクトルの第一および第二セットの夫々にフィルタを適用することには、データベクトルの第一および第二セットの両方のピラミッド表現を構成するように、平滑化を繰り返すことを含むことができる。
図8は2つの画像ピラミッド800と810の略図を示している。第一画像ピラミッド800は第一周波数でのデータベクトルの第一セットを使って構成され、一方で第二画像ピラミッド800は第二周波数におけるデータベクトルの第二セットを使って構成される。それゆえ、第一ピラミッドの第一レベル820はデータベクトルの第一セットに基づく画像を含み、一方で第二ピラミッド810の第一レベル830はデータベクトルの第二セットに基づく画像を含む。データベクトルの第一セットは第一高周波数にありデータベクトルの第二セットは第二高周波数にあるので、データベクトルの第一および第二セットは直接比較できないかもしれない。
【0039】
本例において、ピラミッド800および810はガウシアンピラミッドであるように、ピラミッド800および810が両方平滑化フィルタとしてガウスぼかしフィルタを使って構成されている。第一ピラミッド800の第二レベル840はガウスぼかしフィルタを第一レベル820に適用することで作成され(例えば、データベクターの第一セットに基づく画像)、結果として第一レベル820は第二レベル840の解像度より高い解像度を有する(第一レベル820から第二レベル840に減少することで概略的に示す)。同様に、第二ピラミッド810の第二レベル850はガウスぼかしフィルタを第一レベル830に適用することにより作成され(例えば、データベクトルの第二セットに基づく画像)、結果として第一レベル830は第二レベル850の解像度よりも大きい解像度を有する。このように、第二レベル840、850はそれぞれ第一レベル820、830に対してもっと領域化したデータを含む。このプロセスは、次の各レベルが直前のレベルに行なわれた平滑化の結果である第一ピラミッド800のそれに続く、レベル860、880(多レベルnまで)を繰り返してよい。そのプロセスも、次の各レベルが直前のレベルに行なわれた平滑化の結果である第二ピラミッド810のそれに続く、レベル870、890(多レベルnまで)を繰り返してよい。レベル間のどんな倍率も使える。図示例において、両ピラミッド800と810のレベル間の倍率は2倍であるが、他例では各種倍率を特定用途に合うように使うことができる。例えば、倍率はノイズやアーチファクトがデータベクトルの第一および第二セットに存在する(存在する見込み)の程度に基づいて選択してよい。尚、ピラミッド800と810には何レベルでも含むことができ、多くの場合、ピラミッド800と810の両方に同数レベルを作成するのが有益である。
【0040】
例によっては、第一変更データセットは最低レベルより上の第一ピラミッド800のレベル(例えば、最高レベル)を含むことができる。また、第二変更データセットは最低レベルより上の第二ピラミッド810のレベル(例えば、最高レベル)を含むことができる。他の実施形態において、更なる処理は第一および第二ピラミッドの両方を使って行なうことができる。例えば、第一ラプラシアンピラミッドは第一ピラミッド800に基づいて構成でき、第二ラプラシアンピラミッドは第二ピラミッド810に基づいて構成できる。第一および第二ラプラシアンピラミッドは各々アップサンプルレベル(例えば、夫々レベル840、850)と前のレベル(例えば、夫々レベル820、830)との差をとり、この差を夫々第一および第二ラプラシアンピラミッドにおける対応レベルとして使うことにより構成してもよい。そういう実施形態において、第一変更データセットは第一構成ラプラシアンピラミッドのレベルを含むことができ、第二変更データセットは第二構成ラプラシアンピラミッドのレベルを含むことができる。
【0041】
図7に示す方法700の実施形態に戻り、ステップ730において第一変更データセットを形成するためにデータベクトルの第一セット、第二変更データセットを形成するためにデータベクトルの第二セットの両方にフィルタを適用後、周波数応答がステップ740にて決定できる。撮像視野における1以上のアイテム(例えば、血液、組織、プラーク)の周波数応答は、第一変更データセットおよび第二変更データセットに基づいて決定できる。特に、第一変更データセットと第二変更データセットとの比較は、撮像視野における1以上のアイテムの周波数応答を決定するために使うことができる。第一および第二変更データセットに基づいて撮像視野における1以上のアイテムの周波数応答を決定することにより、直接比較を可能にするだけでなく、元々のデータベクトルの第一および第二セットに存在するアーチファクトやノイズに起因する悪影響は、第一および第二変更データセットに含まれるデータの領域化した性質のために、低減あるいは除去できる。
【0042】
撮像視野における1以上のアイテムの周波数応答を決定する一例において、第一変更データセット(例えば、フィルタが適用済みの高周波数データ)と第二変更データセット(例えば、フィルタが適用済みの低周波数データ)との差を計算できる。第一変更データセットと第二変更データセットとの差を計算することで、高周波数での応答の増加を示す領域やアイテム(例えば、血液)の兆候を提供できる。さらに、例によっては、第二変更データセットと第一変更データセットとの差は、高周波数での応答の減少を示す領域やアイテムの兆候を提供するために計算できる。アイテムや領域が周波数に応じて応答の変化を示す程度は、血管の特別アイテムや領域を特定するために使うことができる。
【0043】
ステップ750において、血管内画像はステップ740で決定した差動周波数応答に基づいて作成できる。撮像視野における1以上のアイテムや領域の差動周波数応答は、血管の様々なアイテムや領域を視覚的に区別する画像を出力するために使用でき、それ故診断上有益な画像を提供できる。出力された画像において血管の様々なアイテムや領域を視覚的に区別することは、たくさんの方法にて達成できる。
【0044】
フィルタの適用が第一および第二ラプラシアンピラミッドを構成することを含む第一実施例において、第一および第二ラプラシアンピラミッドに基づいて構成される画像を出力してもよい。特に、出力した画像は、第一および第二ラプラシアンピラミッドの両方からのデータを使って構成できる。典型的な実施形態において、アルゴリズムは第一および第二ラプラシアンピラミッドの両方からの所望の特性を、合成ピラミッドが出力画像を形成するために崩壊するような合成ピラミッドにマッピングするために使用してもよい。そういう実施形態において、合成ピラミッドの組立時、合成ピラミッドの各特定レベルは、第一および第二ラプラシアンピラミッドの同じ対応レベルか低解像度レベルのどちらかからのデータを使って構成できる。それゆえ、記述した実施形態における合成ピラミッドは、第一および第二ラプラシアンピラミッドの最高解像度レベルからの画像データを使わずに構成できる。そうすることにより、第一および第二ラプラシアンピラミッドの最高解像度レベルにおけるノイズやアーチファクトが合成ラプラシアンピラミッドの使用に有害に影響することを防止するのに役立つ。第一および第二ラプラシアンピラミッドのどちらが合成ピラミッドの特定レベルの構成時から情報を引き出すかを決めるのに、パラメータやアルゴリズムを、合成ピラミッドにおける包含のため第一および第二ラプラシアンピラミッドの所望特性を目標にするために採用してもよい。そういったパラメータやアルゴリズムは、例えば、周波数の増加に対する血管のアイテムや領域の応答の変化を識別するため、第一および第二ラプラシアンピラミッドの対応データを比較するために実施できる。所望の適用次第では、この比較の結果は第一および第二ラプラシアンピラミッドのどちらからデータを引き出すかを決めるのに使うことができる。
【0045】
例えば、ある用途(例えば、動脈疾患の超音波撮像)において、優先の重み付けを適用することで、アルゴリズムは所望の特性を第一および第二ラプラシアンピラミッドから合成ピラミッドにマッピングするために利用できる。そういう例において、第一ラプラシアンピラミッドは高周波数(例えば、60MHz)で取得された画像から計算してもよいし、第二ラプラシアンピラミッドは低周波数(例えば、40MHz)で取得された画像から計算してもよい。合成ピラミッドは第一高周波数と第二低周波数の1以上のレベルを重み付けることで計算してもよい。
【0046】
ある特定例は、より良い空間解像度を与えることができる第一高周波数(例えば、60MHz)ラプラシアンピラミッドの第一レベルを優先的に重み付けることができる一方で、より良いコントラスト(例えば、組織コントラスト)を与えることができる第二低周波数(例えば、40MHz)ラプラシアンピラミッドの第一レベルを優先的に重み付けることができる。説明のため、本例において、使用した優先的な重み付けは優先されたピラミッドのレベル(例えば、第一ピラミッドの第一レベル)に対しては75%で、優先されていないピラミッドの対応レベル(例えば、第二ピラミッドの第一レベル)に対しては25%である。これは、優先的な重み付けを受けるレベルを有するピラミッドがレベル単位で変化するようなピラミッドの複数対応レベルに対して繰り返すことができる。75%の優先的な重み付けがここで説明されるが、他の例では優先されているピラミッドのレベルに適用された優先的な重み付けは50%超えになりえ、選ばれた特定の重みは所望の用途に基づいて変化できる。優先的な重み付けを第一高周波数ラプラシアンピラミッドの第一レベルと第二低周波数ラプラシアンピラミッドの第二レベルに適用後、合成ピラミッドは(a)第一高周波数ラプラシアンピラミッドの第一レベルの0.75倍と、(b)第二低周波数ラプラシアンピラミッドの第一レベルの0.25倍の合計として第一レベルを有するよう形成できる。また、合成ピラミッドは(a)第一高周波数ラプラシアンピラミッドの第二レベルの0.25倍と、(b)第二低周波数ラプラシアンピラミッドの第二レベルの0.75倍の合計として第二レベルを有するよう形成できる。出力画像をその後合成ピラミッドの説明した第一および第二レベルを組み合わせることで形成してもよい。同様の優先的な重み付けは、第一高周波数ピラミッドと第二低周波数ピラミッドの追加的対応レベル(例えば、第三レベル)に使うことができる。
【0047】
他の実施形態において、合成ピラミッドは優先的重み付けと併用して、あるいは代用として、他の組み合わせ技術により形成してもよい。例えば、合成ピラミッドのレベルは第一高周波数と第二低周波数ラプラシアンピラミッドの対応レベルを比較することで計算してもよい。比較演算には特定レベル用の関数値(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を決定することを含むことができる。比較演算の利用は、例えば、害の少ないノイズを有する画像データの利用に役立たせることができる。他の技術には、撮像周波数によって変化してもよい優先的な重み付けで1以上の比較演算を組み合わせることを含んでもよい。多くの場合、比較を通じた最大値の最小値の使用が、その最小値あるいは最大値に基づいて優先的にデータに重みを加えるよう機能できるように、比較演算は、同様に優先的な重み付けを機能できる。
【0048】
比較演算を画像を出力するための優先的重み付けと組み合わせるアルゴリズムにより利用できる技術の一例を、ここで説明する。この例では、第一高周波数(例えば、60MHz)ガウシアンピラミッド、第二低周波数(例えば、33MHz)ガウシアンピラミッド、第一高周波数(例えば、60MHz)ラプラシアンピラミッド、第二高周波数(例えば、33MHz)ラプラシアンピラミッドを、各ピラミッドが4つの対応レベルを有するように利用できる。第二低周波数ガウシアンピラミッドの第四レベルを優先的に重み付けし、優先的に重み付けした第二低周波数ガウシアンピラミッドの第四レベルと第一高周波数ガウシアンピラミッドの第四レベルとの差を得ることで、第一値(1)を計算する。第一高周波数と第二低周波数ラプラシアンピラミッドの対応第四レベルに亘って関数値(例えば、最小値)を取ることで、第二値(2)を計算する。第一高周波数と第二低周波数ラプラシアンピラミッドの対応第三レベルに亘って関数値(例えば、最小値)を取ることで、第三値(3)を計算する。第一高周波数と第二低周波数ラプラシアンピラミッドの対応第二レベルに亘って関数値(例えば、最小値)を取ることで、第四値(4)を計算する。第一高周波数と第二低周波数ラプラシアンピラミッドの対応第一レベルに亘って関数値(例えば、最小値)を取ることで、第五値(5)を計算する。第二(2)、第三(3)、第四(4)、第五(5)値の計算後、第二(2)、第三(3)、第四(4)、第五(5)値の各々は適用に基づいて優先的に重み付けてもいいし、しなくてもいい。一例として、第二(2)、第三(3)、第四(4)値に同じ重みが付けられる一方で、第五(5)値には少ない重みが付けられる。第六値(6)は、第一高周波数ラプラシアンピラミッドの第一から第五レベルよりも少ない重み付けを適用することで、第一高周波数ラプラシアンピラミッドの空間解像度を維持するために計算される。 計算した値(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)はその後一緒に加えられ、出力される画像を計算する。それゆえ、この例では、重み付け係数と対応するピラミッドレベル(例えば、最小値用)は出力される画像を計算するために使われる。
【0049】
出力画像における血管の様々なアイテムや領域を視覚的に区別するための別の例に移り、出力画像から血液フィールドを実質上引き算することで、明らかに低減した見かけの血液フィールドで(例えば、ユーザーインターフェースの画像ディスプレイ領域に)画像を作成してもよい。例えば、(1)高周波数での応答の増加を示す領域(例えば第一変更データセット(フィルタが既に適用されている高周波数データを含む)と第二変更データセット(フィルタが既に適用されている低周波数データを含む)との差を取ることで決定する)を、(2)積を得るための重み付け係数で掛け算することにより、ディスプレイ上の各画素の強度出力を適用できる。重み付け係数は、用途と出力される画像の所望の特性により選択できる定数でよい。この積はそれからデータベクトルの第一セット(非変更高周波数データを含む)から引き算できる。これで結果として、血液など、高周波数での応答の増加を示すアイテムや領域が低減した見かけ(低減した輝度)や画像からの完全な除去にて表示されることになる。重み付け係数は、高周波数での応答の増加を示すアイテムや領域の見かけを単に低減するか、むしろそういうアイテムや領域を除去する特定の用途において所望されるかに基づいて選択できる。一例として、重み付け係数の使用により、管腔における血液フィールドの画像輝度を低減するように、1以上の関心画像特性の画像輝度を変更できる。
【0050】
差動周波数応答に基づいて画像を出力する別の例において、血液フィールドは血管の他のアイテムや領域からの血液フィールドを区別するために着色できる。本例において、赤、緑、青の三色出力は例証目的に使われることになるが、様々な実施形態においてはいかなる色をいくつでも使うことができる。例えば、一用途において、出力画像に表示する血液フィールドは、血液フィールドを区別するために赤で着色してもよい。これを達成するために、赤緑青出力の緑および青の値は、(1)高周波数での応答の増加を示している領域(例えば、第一変更データセット(フィルタが既に適用されている高周波数データを含む)と第二変更データセット(フィルタが既に適用されている低周波数データを含む)との差を取ることにより決定する)に、(2)積を得るための重み付け係数を掛け算することで計算できる。この積はその後データベクトルの第一セット(非変換高周波数データを含む)から引き算でき、結果は計算した赤・緑・青出力の緑および青の値として使用できる。赤・緑・青出力の赤の値は第一高周波数データベクトルセットにより表される。その結果は、血液フィールドが結果の他のアイテムや領域から区別するために赤に着色されている出力画像である。
【0051】
さらなる例は、血管の他のアイテムや領域から特定プラーク成分を区別するために、出力画像の血管内における特定プラーク成分を着色することを含んでもよい。本例において、特定プラーク成分は脂質であると説明され、脂質は赤、緑、青の三色出力において黄色に着色される。しかしながら、他例では、様々な他のプラーク成分は、各種ディスプレイ着色出力におけるこれらの成分を区別するために、いくつの色でも追加であるいはその代わりに着色できる。差動周波数応答を使って出力画像において脂質を黄色として区別するために、赤・緑・青出力の赤と緑の値を、(1)高周波数での応答の減少を示す領域(例えば、第二変更データセット(フィルタが既に適用されている低周波数データを含む)と第一変更データセット(フィルタが既に適用されている高周波数データを含む)との差を取ることで決定する)を、(2)積を得るための重み付け係数で掛け算することにより計算する。この積はその後データベクトルの第一セット(非変更高周波数データを含む)に加えることができ、その結果は赤・緑・青出力の計算した赤および緑の値として使われる。赤・緑・青出力の青の値は第一高周波数データベクトルセットによって表される。その結果は高周波数データセットの脂質が着色された黄色である出力画像である。
【0052】
脂質を黄色に着色した上記例の変化形には、低周波数解像度を使って脂質を黄色に着色することを含んでもよい。低周波数解像度を使って脂質を黄色として区別するために、赤・緑・青出力の赤および緑の値は、(1)高周波数で応答の減少を表す領域(例えば、第二変更データセット(フィルタが既に適用されている低周波数データを含む)と第一変更データセット(フィルタが既に適用されている高周波数データを含む)との差を取ることで決定する)、(2)重み付け係数、(3)積を得るためのデータベクトルの第二セット(非変更低周波数データを含む)を掛け算することで計算する。この積はそれからデータベクトルの第一セット(非変更高周波数データを含む)に追加でき、その結果は赤・緑・青出力の計算した赤および緑の値として使用される。赤・緑・青出力の青の値は第一高周波データベクトルセットにより表される。その結果は、高周波数データセットにおける脂質が低解像度の黄色の質感を使って黄色に着色した出力画像である。
【0053】
追加例が出力画像の一環として含めた低周波数強度マッピングを作成するために利用できる。画像が出力されるディスプレイの各画素において、強度は、(1)特定画素に対応する第二変更データセット(例えば、フィルタが既にフィルタが適用されている低周波数データ)からのデータを、商を得るための特定画素に対応する第一変更データセット(例えば、フィルタが既にフィルタが適用されている高周波数データ)で割り算し、(2)結果として得られた商をデータベクトルの第一セット(非変更高周波数データ)に対応するデータで掛け算することに従って適用してもよい。ディスプレイの各画素の適用強度を計算するためにこれを繰り返すと、結果として高周波数画像の解像度を有するが低周波数データベクトルの第二セットに対応する局所的な輝度を有利に有する画像を出力できる。上記は低周波数データベクトルの第二セットは、高周波数での増加した応答ゆえに、さもなければ結果として起こるあるアイテムの明るさの上昇により影響されないかもしれないという事実によって促進できる。
【0054】
出力画像における血管の様々なアイテムや領域を視覚的に区別することに加え、他例では、2以上のアイテムや領域の差動周波数応答を使って、出力画像の2つのアイテムあるいは領域間の境界の自動検出ができる。第一変更データセット(例えば、フィルタが既に適用されている高周波数データ)と第二変更データセット(例えば、フィルタが既に適用されている低周波数データ)との差を計算できる。第一変更データセットと第二変更データセットとの差により、高周波数での応答の増加を示す領域やアイテム(例えば、血液)の兆候が提供できる。高周波数での応答の増加を示す各領域において、位置は高周波数での応答の増加を示している変更データに対応する1以上のベクトルに沿って示されてよい。例えば、一実施形態において、これは1以上の対応ベクトルの遠端で始め、もし発生した場合は増加が起こる1以上の対応ベクトルに沿った位置まで内側に向かって(振動子に向かって)移動することにより行なわれる。そういう1以上の位置を印付け(例えば、保存)できる。1以上の位置はそれから、高周波数での応答の増加を示さない領域に対応しているデータに関連して、発生した1以上の位置で1以上の不一致なデータを作成する画像処理技術を受けることができる。直線や他の指標は、不一致なデータに対応する出力画像の位置における出力画像に含まれていてもよい。
【0055】
例えば、現在説明されている自動境界検出例は、血管腔内の血液と血管腔を規定する血管組織の始まりとの境界線を線で描くために使ってもよい。高周波数で応答の増加が生じた位置は、そういった例において、血液がさらなる動的応答を示すと仮定すると、領域が血管腔を規定する組織および血管腔内の血液から、血管腔を規定する組織よりも増加した周波数まで移行するような場所となる。上記自動境界検出を使うことにより、血液と管腔を描く線が出力画像に示され、例えば診断目的に利用できる。例えば、そういう線は狭窄の計算に役に立つであろう。
【0056】
実施形態はまた、方法を行なうシステムを含む。例えば、さらなる実施形態は撮像システムを含むことができる。システムは、撮像データを作成する血管内撮像装置(例えば超音波振動子を含む)を有するカテーテル組立体を含んでもよい。カテーテル組立体により作成された画像データは、複数の画像要素を表すことができる。システムもまた、画像表示領域を有するユーザーインターフェースを含んでもよい。例によっては、ユーザーインターフェースはユーザーから入力を受け取るように構成でき、少なくとも一部分において、1以上のタッチスクリーンを含めてもよい。システムは、血管内撮像装置およびユーザーインターフェースと通信する撮像エンジンをさらに含むことができる。
【0057】
撮像エンジンは少なくとも1つのプロセッサを有してもよい。撮像エンジンは複数の第一周波数データベクトルと複数の第二周波数データベクトルを、第一周波数が第二周波数とは異なる(例えば、第一周波数が第二周波数より大きい)カテーテル組立体から受け取るよう構成できる。さらに、場合によっては、第一周波数データベクトルを放出してもよく、結果として第二周波数データベクトルとは違うときに受け取ってもよい。撮像エンジンは、少なくとも1つのプロセッサを使って、複数の第一周波数データベクトルから第一周波数でデータベクトルの第一セット、および複数の第二周波数データベクトルから第二周波数でデータベクトルの第二セットを形成してもよい。撮像エンジンはその後、少なくとも1つのプロセッサを使って、第一変更データセットを生成するためにフィルタをデータベクトルの第一セットにも、第二変更データセットを生成するためにフィルタをデータベクトルの第二セットにも適用できる。第一および第二変更データセットに基づいて、撮像エンジンは、少なくとも1つのプロセッサを使って、撮像視野における1以上のアイテムの周波数応答を決定できる。撮像視野における1以上のアイテムの決定した周波数応答を使うことで、撮像エンジンは、少なくとも1つのプロセッサを使って、画像表示領域に出力するための画像をユーザーインターフェースに伝達してもよい。
【0058】
別の実施形態は、少なくとも1つのプログラム可能プロセッサに、撮像視野における1以上のアイテムの周波数応答に基づいて画像を伝達させる、分類されたコンピュータ実施可能命令を有する持続性コンピュータ可読ストレージ品を含むことができる。少なくとも1つのプログラム可能プロセッサは、第一周波数が第二周波数とは異なる(例えば、第一周波数が第二周波数よりも大きい)複数の第一および第二周波数データベクトルを受け取ってもよい。さらに、場合によっては、第一周波数データベクトルは第二周波数データベクトルとは違うときに受け取られてもよい。少なくとも1つのプログラム可能プロセッサは、複数の第一周波数データベクトルからデータベクトルの第一セットを、複数の第二周波数データベクトルからデータベクトルの第二セットを形成できる。その上、少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを使って、第一変更データセットを形成するためにデータベクターの第一セットに、第二変更データセットをフォーマするためにデータベクターの第二セットに、フィルタを適用してもよい。一旦フィルタが適用されると、少なくとも1つのプログラム可能プロセッサは、第一および第二変更データセットに基づいて、撮像視野における1以上のアイテムの周波数応答を決定できる。少なくとも1つのプログラム可能プロセッサはその後、撮像視野における1以上のアイテムの決定した周波数応答に基づいてディスプレイに出力される画像を伝達してもよい。
【0059】
発明の様々な実施例が説明されている。本発明は、ある開示実施形態を参照してかなり詳細に説明されているが、実施態様は限定ではなく例示の目的のために示されている。発明を組み込む他の実施形態も可能である。当業者は、本発明の精神と添付の請求項の範囲を逸脱しない範囲で各種変化、適応、変更を行なえることを理解するであろう。