(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所望の皮膚表面に請求項1から18の何れかに記載の組成物を適用する段階を含む、皮膚において、小皺、皺、毛穴および/またはしみの出現を軽減するか;肌の色合いを均一にするかまたはそれらの組み合わせの方法。
所望の皮膚表面上での、小皺、皺、毛穴および/またはしみの出現を軽減するか;肌の色合いを均一にするかまたはそれらの組み合わせのための、請求項1から18の何れか1項に記載の組成物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例を除いてまたは明確な断りがない限り、材料の量または反応の条件、材料の物理学的特性および/または使用を示すこの記述での数字は全て、「約」という語により修飾されるものとして解釈してもよい。
【0012】
別段の断りがない限り、量は全て、組成物の重量に対するものである。
【0013】
注目すべきは、何らかの値の範囲を指定することにおいて、何らかの特定の上限値が何らかの特定の下限値と結び付けられ得るということである。
【0014】
疑義を回避するために、「含む(comprising)」という語は、「含む(including)」を意味するものとするが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えると、列挙される段階または選択肢は網羅的である必要はない。
【0015】
本明細書中で見出されるような本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の従属または重複性なく見出され得るという事実に関係なく、互いに多重従属するものとして特許請求の範囲で見出されるような全ての実施形態を包含するとみなされるものとする。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「乱層状窒化ホウ素(t−BN)」とは、窒化ホウ素結晶格子中に酸素不純物を有する窒化ホウ素を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「シリコーンエラストマー」は、粘弾特性を有する変形可能なオルガノポリシロキサンを指す。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「比表面積」は、Brunauer−Emmett−Teller法に従って測定される比表面積を指す。比表面積の値は、ASTM規格D3663−78で規定される要件を満たすことによって測定した。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「直径」は、別段の指示がない限り、非凝集状態での粒径を指す。1μm以下の直径の微粒子を有する多分散試料の場合、別段の指示がない限り、直径は、例えばZetasizer Nano(商標)(Malvern Instruments Ltd,UK)などの機器で動的光散乱(国際規格ISO13321参照)を用いて測定されるz平均直径を意味する。1μm以上の粒径の微粒子を有する多分散試料の場合、直径は、例えば、別段の指示がない限り、ISO13320で規定される要件を満たすシステム(例えば、Malvern Instruments Ltdから入手可能なMastersizer(商標)2000など)を用いたレーザー回折によって測定可能な粒子の見かけの体積中央径(D50、x50または時にはd(0.5)としても知られる。)を意味する。
【0020】
典型的には、乱層状窒化ホウ素は、200nmから100ミクロン、より好ましくは500nmから50ミクロン、さらにより好ましくは1から15ミクロン、またさらにより好ましくは3から12ミクロン、最も好ましくは4から9ミクロンの範囲の平均直径を有する。
【0021】
乱層状窒化ホウ素の比表面積は、好ましくは5から80m
2/g、より好ましくは10から60m
2/g、さらにより好ましくは15から40m
2/gである。特に好ましい態様によれば、乱層状窒化ホウ素の比表面積は、少なくとも10m
2/g、より好ましくは少なくとも20m
2/g、さらにより好ましくは少なくとも25m
2/gである。
【0022】
乱層状窒化ホウ素中の酸素含量は、好ましくは乱層状窒化ホウ素の少なくとも0.2モル%、より好ましくは0.5から3モル%、さらにより好ましくは1から2モル%、最も好ましくは乱層状窒化ホウ素の1.2から1.8モル%である。
【0023】
本発明で使用される乱層状窒化ホウ素は、典型的には、0.1g/cm
3から1g/cm
3、より好ましくは0.2g/cm
3から0.6g/cm
3の範囲のタップ密度を有する。本明細書中で使用される場合、タップ密度は、粉末の密度の尺度を指す。タップ密度の値は、国際基準ISO 787−11に準拠して測定される値を指す。
【0024】
特に好ましい乱層状窒化ホウ素は、MomentiveからのSoftouch
*Boron Nitride Powder CC6097である。
【0025】
より良好なぼかしおよび/または皮膚の光沢のために、乱層状窒化ホウ素は、好ましくは、上記組成物の0.01から15重量%、より好ましくは0.1から12重量%、さらにより好ましくは0.4から8重量%、またさらにより好ましくは1から5重量%、最も好ましくは上記組成物の2から4重量%の量で存在する。
【0026】
多孔質シリカは、好ましくは非ヒュームドシリカである。好ましくは、多孔質シリカは親水性である。さらにより好ましくは、多孔質シリカは未修飾の多孔質シリカミクロスフェアである。本明細書中で使用される場合、親水性多孔質シリカは、ASTM Method D281−84に記載されているのと同じ方法で測定されるが、油の代わりに水を使用して測定される水10g/粒子100gより大きい吸水値を有するシリカを指す。ミクロスフェアは、平均直径が0.5から50ミクロン、より好ましくは1から15ミクロンの球状粒子を指す。
【0027】
多孔質シリカの比表面積は、好ましくは少なくとも350m
2/g、より好ましくは400から1000m
2/g、さらにより好ましくは550から880m
2/g、最も好ましくは590から810m
2/gである。
【0028】
多孔質シリカは、多量の油を吸収する能力を有する。好ましくは、多孔質シリカは、100g/100gより高い、より好ましくは200g/100gより高い、さらにより好ましくは280g/100gより高い吸油値を有する多孔質シリカミクロスフェアである。吸油値は、ASTM Method D281−84に準拠して測定される値を指す。
【0029】
多孔質シリカは、好ましくは、200nmから40ミクロン、より好ましくは0.6から25ミクロン、さらにより好ましくは1から20ミクロン、またさらにより好ましくは1.5から12ミクロン、最も好ましくは2から5ミクロンの平均直径を有する。より良好な感覚を得るために、多孔質シリカは、好ましくは、サイズが実質的に均一であり、これは、平均直径の0.5倍未満の直径を有するものが多孔質シリカの5%未満であり、平均直径の1.5倍より大きい直径を有するものが多孔質シリカの5%未満であることを意味する。別の態様において、多孔質シリカの直径の範囲は、好ましくは平均直径の0.8から1.2倍、より好ましくは平均直径の0.9から1.1倍である。
【0030】
特に好ましい多孔質シリカとしては、Kobo Products Inc.からのMSS−500/3H、MSS−500/Hが挙げられる。
【0031】
多孔質シリカは、好ましくは上記組成物の0.01から20重量%、より好ましくは0.05から14重量%、さらにより好ましくは0.2から9重量%、またさらにより好ましくは0.4から5重量%、最も好ましくは上記組成物の0.8から2重量%の量で存在する。
【0032】
より良好なぼかし効果および/または不透明性を達成するために、乱層状窒化ホウ素と多孔質シリカとの重量比は、好ましくは20:1から1:10、より好ましくは8:1から1:2、さらにより好ましくは4:1から1:1である。
【0033】
上記組成物は好ましくはシリコーンエラストマーを含む。本発明で使用されるシリコーンエラストマーは、好ましくはシリコーンエラストマーの粉末である。
【0034】
シリコーンエラストマーが架橋されることが非常に好ましい。シリコーンエラストマーは、硬化性オルガノポリシロキサンから得られ得る。この点での例は、SiH含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの間の付加反応によって白金金属触媒下で硬化する付加反応硬化オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンとの間の脱水素反応によって有機スズ化合物の存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解型オルガノシランとの間の縮合反応により有機スズ化合物またはチタン酸エステルの存在下で硬化する縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物(この縮合反応は、脱水、アルコール遊離、オキシム遊離、アミン遊離、アミド遊離、カルボキシル遊離およびケトン遊離反応により例示される。);有機過酸化物触媒の存在下で熱硬化する過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物;およびガンマ線、紫外線または電子ビームによるなど、高エネルギー放射線によって硬化させられるオルガノポリシロキサン組成物である。シリコーンエラストマーは、好ましくは、SiH含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの間の付加反応によって白金金属触媒下で硬化する付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物により得られる。
【0035】
シリコーンエラストマーは、乳化型または非乳化型の架橋シリコーンエラストマーまたはこれらの組み合わせの何れかであり得るが、好ましくは、シリコーンエラストマーは非乳化型である。本明細書中で使用される場合、「非乳化型」という用語は、ポリオキシアルキレン単位が存在しない架橋シリコーンエラストマーを定義する。本明細書中で使用される場合、「乳化型」という用語は、少なくとも1つのポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレン)単位を有する架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを意味する。
【0036】
好ましいシリコーンエラストマーは、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコンクロスポリマーおよびポリシリコーン−11のINCI名で入手可能なオルガノポリシロキサンである。より好ましくは、シリコーンエラストマーは、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーである。
【0037】
一般的には、シリコーンエラストマーの平均直径は、0.2から50ミクロン、より好ましくは0.5から20ミクロン、さらにより好ましくは0.8から10ミクロン、またさらにより好ましくは1.5から6ミクロンである。
【0038】
シリコーンエラストマーは、好ましくは、上記組成物の、0.5から20重量%、より好ましくは1から15重量%、さらにより好ましくは3から12重量%、またさらにより好ましくは4.5から9重量%の量で存在する。
【0039】
より良好なぼかし効果および/または不透明性を有するために、シリコーンエラストマーと多孔質シリカとの重量比は、好ましくは1:1から40:1、より好ましくは3:1から20:1、さらにより好ましくは5:1から10:1である。
【0040】
好ましくは、上記組成物はさらに白色顔料を含む。白色顔料は、一般的に高屈折率材料の粒子である。例えば、白色顔料は、1.3より大きい、より好ましくは1.8より大きい、最も好ましくは2.0から2.7の屈折率を有し得る。このような白色顔料の例は、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、硫酸バリウム、雲母、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛またはこれらの組み合わせを含むものである。より好ましい白色顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母、酸化鉄またはこれらの組み合わせを含む粒子である。さらにより好ましい白色顔料は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタンまたはこれらの組み合わせを含む粒子であるが、それは、これらの材料が特に高い屈折率を有するからである。またさらにより好ましくは、白色顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛またはこれらの混合物から選択され、最も好ましい白色顔料は二酸化チタンである。
【0041】
白色顔料の平均直径は、一般的には15nmから2ミクロン、より好ましくは35nmから800nm、さらにより好ましくは50nmから500nm、またさらにより好ましくは100から300nmである。白色顔料の直径は、非凝集状態での粒子の直径を指す。明確な球体が生成されない場合、直径は、粒子上で測定可能な最大距離を意味する。平均直径は、例えば、少なくとも100個の粒子の値を平均することにより、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定され得る。
【0042】
好ましくは、上記組成物は、0.001から10wt%、より好ましくは0.01から6wt%、より好ましくはまた0.1から3wt%、最も好ましくは0.2から2wt%の量で白色顔料を含む。
【0043】
上記組成物は、好ましくは、1つ以上の有機日焼け止め剤をさらに含む。多岐にわたる有機日焼け止め剤が、本発明の必須成分と組み合わせて使用するのに適している。適切なUV−A/UV−B日焼け止め剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、p−アミノ安息香酸グリセリル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチル−アミノ安息香酸またはアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−ベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホニックベンゾオキサゾイック酸(sulfonicbenzoxazoic acid)、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸およびこれらの組み合わせが挙げられる。最も適切な有機日焼け止め剤は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタンまたはこれらの混合物である。
【0044】
安全で有効な量の有機日焼け止め剤が、本発明において有用な組成物中で使用され得る。上記組成物は、好ましくは0.1%から10%、より好ましくは0.1%から5%の有機日焼け止め剤を含む。
【0045】
本発明の組成物は、好ましくは皮膚美白剤を含む。ビタミンB3化合物(ビタミンB3の誘導体を含む。)、例えば、ナイアシン、ニコチン酸またはナイアシンアミドは、本発明による好ましい皮膚美白剤であり、最も好ましいのはナイアシンアミドである。ビタミンB3化合物は、使用される場合、好ましくは上記組成物の0.1から10重量%、より好ましくは0.2から5重量%の範囲の量で存在する。
【0046】
本発明の組成物は、美容上許容可能な担体も含む。いくつかの実施形態において、担体は、特定の実施形態において油中水型エマルジョンであり得る水および油エマルジョンである(または少なくともそれを含む)。しかし、好ましいエマルジョンは、水中油型である。
【0047】
このようなエマルジョンの油相中での使用に対する好ましい疎水性材料としては、脂肪、油、脂肪アルコール、脂肪酸、石鹸、シリコーン油、合成エステルおよび/または炭化水素などの皮膚軟化剤が含まれる。
【0048】
シリコーンは、揮発性および不揮発性の種類に分けられ得る。揮発性シリコーン油(使用される場合)は、好ましくは、3から9個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含有する環状(シクロメチコン)または直鎖状ポリジメチルシロキサンから選択される。
【0049】
皮膚軟化剤物質として有用な不揮発性シリコーンとしては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で約5x10
−6から0.1m
2/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。上記組成物において有用な好ましい不揮発性皮膚軟化剤の中でも、25℃で約1x10
−sから約4x10
−4m
2/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。
【0050】
非シリコーン皮膚軟化剤の具体例としては、ステアリルアルコール、モノリシノレイン酸グリセリル、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、カカオバター、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、菜種油、ベニバナ油、月見草油、大豆油、ヒマワリ種子油、アボカド油、ゴマ油、ココナツ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、ワセリン、鉱物油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチルおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
エステル皮膚軟化剤の中でも、
a)10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステルである。その例としては、ネオペンタン酸イソアラキジル、ネオペンタン酸イソデシル、イソナノン酸イソノニル、リシノレイン酸セチル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイルおよびオレイン酸オレイル;
b)エトキシ化脂肪アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル;
c)多価アルコールエステル
が挙げられる。ブチレングリコール、エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200から6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、申し分のない多価アルコールエステルである。特に有用なものは、C
1−C
30アルコールの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールエステルである。代表例は、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル;
d)蜜ろう、鯨ろうおよびトリベヘニンワックスなどのワックスエステル;
e)コレステロール脂肪酸エステルがその例である、ステロールエステル;
f)ポリベヘン酸スクロースおよびスクロースポリコットンシーデート(polycottonseedate)などの脂肪酸の糖エステル;または
g)上記(a)から(f)の2つ以上の混合物
である。
【0052】
特に、Finsolveブランドで発売されているC
12−15安息香酸アルキルエステルも使用される。
【0053】
適切な皮膚軟化剤である炭化水素としては、ペトロラタム、鉱物油、C
11−C
13イソパラフィン、ポリアルファオレフィン、イソヘキサデカンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
担体中の水の量は、例えば、上記パーソナルケア組成物の1から99重量%、より好ましくは5から90重量%、さらにより好ましくは35から80重量%、最適には40から70重量%の範囲であり得る。
【0055】
美容上許容可能な担体中に含まれ得る他の物質としては、溶媒、保水剤、増粘剤および粉末が挙げられる。単独で、または混合物として使用され得るこれらのタイプの材料のそれぞれの例は、以下の通りである:
溶媒としては、エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0056】
保水剤としては、多価アルコール型のものが挙げられる。典型的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体を含むアルキレンポリオールおよびこれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、エトキシル化グリセロール、プロポキシ化グリセロールおよびこれらの混合物が挙げられる。保水剤の量は、例えば、上記組成物の0.5から50重量%、より好ましくは1から15重量%の何れかの範囲であり得る。グリセロール(グリセリンとしても知られる。)が最も好ましい。グリセリンの量は、例えば、上記組成物の、0.5重量%から50重量%、より好ましくは1から35重量%、最適には2から15重量%の範囲であり得る。
【0057】
様々な増粘剤が上記組成物中に含まれ得る。例示的であるが限定的ではないものとしては、ステアリン酸、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー(Aristoflex AVC)、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、アルミニウムスターチオクテニルスクシネート、ポリアクリレート(Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)1342、Pemulen TR−2(登録商標)およびUltrez(登録商標)増粘剤を含むカルボマーなど)、多糖類(キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナンおよびスクレロチウムガムを含む。)、セルロース類(カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシメチルセルロースを含む。)、鉱物(タルク、シリカ、アルミナ、雲母および粘土を含み、後者はベントナイト、ヘクトライトおよびアタパルジャイトによって代表される。)、ケイ酸マグネシウムアルミニウムおよびこれらの混合物である。増粘剤の量は、例えば、上記組成物の0.05から10重量%、より好ましくは0.3から2重量%の範囲であり得る。
【0058】
粉末としては、白亜、タルク、フラーアース、カオリン、デンプン、ガム、コロイドシリカナトリウムポリアクリレート、テトラアルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学的に修飾されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾モンモリロナイトクレー、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびエチレングリコールモノステアレートが挙げられる。
【0059】
好ましくは、上記パーソナルケア組成物は少なくとも−80%のL&W(小皺および皺)指数を有し、皮膚の明度を維持可能である。より好ましくは、上記パーソナルケア組成物は、−70%から300%のL&W指数を有し、皮膚の明度を少なくとも1、改善することが可能である。さらにより好ましくは、上記パーソナルケア組成物は、−45%から200%のL&W指数を有し、皮膚の明度を少なくとも1、改善することが可能である。L&W指数および明度の測定値は実施例2に記載する。
【0060】
本発明のパーソナルケア組成物は、好ましくはスキンケア組成物である。より好ましくは、上記組成物は、好ましくは制汗剤組成物または顔面(眼瞼および唇を除く。)ケア組成物である。上記スキンケア組成物は、リーブオンおよび洗い流し製品を含む、ヒト皮膚への局所適用に適した組成物を指す。好ましくは、この用語は、流動液体および特にメークアップ製品というよりむしろ保湿剤を包含する。最も好ましいのは、リーブオン組成物である。本明細書中の組成物に関して使用される場合、「リーブオン」という用語は、皮膚に塗布されるかまたは皮膚上に擦り込まれてその上に残される組成物を意味する。本明細書中の組成物に関して使用される場合、「ウォッシュオフ」という用語は、皮膚に塗布されるかまたは皮膚上に擦り込まれ、塗布後実質的にすぐにすすぎ落とされる皮膚洗浄剤を意味する。本明細書で使用される場合、「皮膚」という用語は、顔面(目の瞼および唇を除く。)、首、胸部、腹部、背中、腕、腋下、手および脚の皮膚を含む。好ましくは、「皮膚」は、顔面(眼瞼および唇を除く。)および腋下の皮膚を含むことを意味する。より好ましくは、唇および眼瞼以外の顔面の皮膚を意味する。
【0061】
上記組成物は、何らかの既知の方式で処方され得、より好ましい方式は、クリームまたはローションである。
【0062】
本発明の組成物に対する包装は、広口瓶またはチューブ、ならびに化粧品、クリーム、洗浄およびローションタイプの製品のために典型的に見られる何らかの他の方式であり得る。上記組成物は、局所的に適用され得、好ましくは皮膚1平方センチメートルあたり上記組成物1から4ミリグラムが適用される。
【0063】
本発明の組成物は、好ましくは、それが局所適用される個体の皮膚に美容上の利益をもたらす。美容上の利益の例としては、所望の皮膚表面において、小皺、皺、毛穴および/またはしみの出現を軽減すること;肌の色合いを均一にすることまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
次の実施例は、本発明の理解を促すために提供される。実施例は特許請求の範囲を限定するものではない。
【0066】
[実施例1]
この実施例は、スキンケア組成物の調製を明らかにする。
【表2】
【0067】
一連のスキンケア組成物を表1に示すように処方した。
【0068】
[実施例2]
この実施例は、本発明のパーソナルケア組成物の性能を明らかにした。
【0069】
(1)パーソナルケア組成物の適用前後の人工皮膚の光沢度の測定
皺のあるヒト皮膚を模倣するために、ポリウレタンエラストマー製の皺付きバイオスキンプレート(BP−EW1#BSC、株式会社ビューラックス、日本)を基質として使用した。Akira Matsubara[Skin translucency:what is it and how is it measured,The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists(IFSCC)Congress 2006,Osaka,Japan]により記載されている方法および原理に従うことによって、皺付きのバイオスキンプレートの光沢度を測定するために、SAMBA(Bossa Nova Technologies,USA)と呼ばれる二重偏光画像システムを使用した。分析のために、SAMBA face system(バージョン4.3)と名付けられたソフトウェアを備えた。皺付きのバイオスキンプレートを80msecの曝露時間で入射光に対して試験した。操作モードは、平行偏光および交差偏光モードであった。
【0070】
次いで、光沢試験のために、実施例1で調製した通りの1つの試料28mgを面積7cm
2の円内に指サックにより塗り広げ、30分間自然乾燥させた。SAMBAシステムを用いて、試料塗布後の皺付きのバイオスキンプレートの光沢を再度測定した。
【0071】
(2)L&W指数の計算
入射光は、バイオスキンプレートによって反射され、散乱された。鏡面反射光は、入射光と同じ偏光を維持し、一方、ボリューム(volume)からの散乱光(拡散光)は偏光していなかった。SAMBAカメラは、2つの偏光状態(平行および交差)に対応する2つの画像を連続的に取得した。平行画像強度(P)は、反射光および散乱光の両方が関与し、交差画像強度(C)は散乱光のみが関与する。平行画像プラス交差画像は、従来のカメラによって供給されるか、または人間の目によって知覚される全体像に等しい。
【0072】
光沢度は(P−C)/(P+C)により計算した。光沢度の計算は各ピクセルに対して行った。光沢度の標準偏差(STD)は、皮膚の外観の均一性の尺度である。STDが高いほど、均一性は低い。本明細書中で、発明者らは、スキンケア組成物のぼかし効果の度合いを示すためにL&W(小皺および皺)指数を定義した。L&W指数は、(試料塗布前の光沢度のSTD−試料塗布後の光沢度のSTD)/(試料塗布前の光沢度のSTD)により計算した。L&W指数が高いほど、試料のぼかし効果が高くなる。
【0073】
(3)色彩効果の測定
色彩を測定するためにバイオスキンプレート(Color:20#、株式会社ビューラックス、日本、東京)を使用した。250cm
2の面積のバイオスキンプレートを0.5gの試料で均一に被覆した。被覆したバイオスキンを25℃前後で0.5時間自然乾燥させた。6点で、ポータブル分光光度計CM2600d(ミノルタ、日本)によって、試料コーティング前後にバイオスキンプレートのL
*、a
*、b
*を測定した。ΔL
*、Δa
*、Δb
*は、それぞれ被覆前と比較した、試料被覆後の白色度、赤色度、黄色度の変化を表す。被覆していないバイオスキンプレートのL
*、a
*およびb
*は、それぞれ64.11、13.58および17.02であった。
【表3】
【0074】
表2は、L&W指数およびΔL
*、Δa
*、Δb
*の試験結果を示す。驚くべきことに、本発明の組成物は、グラファイト型窒化ホウ素を含有する組成物(試料1対試料A)および固形シリカを含有する組成物(試料1対試料B)よりも高い効力を有しただけでなく、皮膚の明度を高めることも可能であったことが分かった。驚くべきことに、シリコーンエラストマーは、ぼかし効果を相乗的に高めることが可能であることも分かった(試料2対試料1およびC)。さらに、二酸化チタン(試料3)の添加は、試料1と比較した場合、ぼかし効果および皮膚の明度の両方を改善可能であった。