(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記品質係数を設定するステップは、前記品質係数を5帯域イコライザーで0.52に設定し、10帯域イコライザーで0.98に設定するステップを含む、請求項5に記載の方法。
前記方法は、前記比例フィルタセクションの各々の前記フィルタゲイン設定の基準値として取得された前記各制御周波数での前記比例フィルタセクションの振幅周波数応答値から導かれた行列で前記目標ゲインパラメータ値のベクトルを乗算することによって、前記各制御周波数に対する前記目標ゲイン値を一致させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記方法は、ピーキングフィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含むようにカスケードされたフィルタセクションとして配列された前記比例フィルタセクションを含むフィルタを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記マルチバンドイコライザーのセットを生成するステップは、前記残響減衰時間のスケーリングに応答して前記マルチバンドイコライザーのセットの前記目標ゲインパラメータ値を比例的に変化させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
前記方法は、前記比例フィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含むカスケードされたフィルタセクションとして配列された前記比例フィルタセクションを含むフィルタを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記カスケードされたフィルタセクションとして配列された前記比例フィルタセクションを含む前記単一のマルチバンドイコライザーのフィルタは、前記比例フィルタセクションを生成する際に中央ゲインオフセットを計算して前記各制御周波数の各目標ゲインパラメータ値から前記中央ゲインオフセットを減算することによって修正されたフィルタを含み、
前記単一のマルチバンドイコライザーの修正されたフィルタを前記入力信号に適用するステップは、前記中央ゲインオフセットを前記入力信号に適用して前記出力オーディオ信号を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記プロセッサは、前記比例フィルタセクションの各々の前記フィルタゲイン設定の基準値として取得された前記各制御周波数での前記比例フィルタセクションの振幅周波数応答値から導かれた行列で前記目標ゲインパラメータ値のベクトルを乗算することによって、前記各制御周波数に対する前記目標ゲイン値を一致させるように構成される、請求項14に記載のオーディオシステム。
カスケードされたフィルタセクションとして配列された前記比例フィルタセクションを含む前記フィルタは、ピーキングフィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含む、請求項14に記載のオーディオシステム。
前記プロセッサは、前記残響減衰時間のスケーリングに応答して前記マルチバンドイコライザーのセットの目標ゲインパラメータ値の比例的変化を含む前記マルチバンドイコライザーのセットを生成するように構成される、請求項19に記載のオーディオシステム。
前記動作は、前記比例フィルタセクションの各々のフィルタゲイン設定の基準値として取得された各制御周波数での比例フィルタセクションの前記振幅周波数応答値から導かれた行列で前記目標ゲインパラメータ値のベクトルを乗算することによって、各制御周波数に対する前記目標ゲイン値を一致させるステップを含む、請求項22に記載の非一時的機械可読ストレージデバイス。
前記動作は、ピーキングフィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含むようカスケードされたフィルタセクションとして配列された前記比例フィルタセクションを含むフィルタを形成するステップを含む、請求項22に記載の非一時的機械可読ストレージデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
オーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態の以下の説明において、添付図面が参照される。これらの図面は、限定ではなく例証として、オーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態をどのように実施できるかに関する具体的な実施例を示している。これらの実施形態は、当業者がこれら及び他の実施形態を実施できるほど十分に詳細に記載される。他の実施形態を利用してもよく、これらの実施形態に対して、構造的、論理的、電気的、及び機械的な変更を行うことができる。種々の実施形態は、必ずしも互いに排他的ではなく、一部の実施形態を1又は2以上の他の実施形態と組み合わせて、新しい実施形態を作ることができる。従って、以下の詳細な説明は、限定の意味で捉えるべきではない。
【0011】
オーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態は、閉形式アルゴリズムによって調整された効率的IIRフィルタセクションを使用して低複雑度及び最小処理オーバーヘッドで正確且つ直感的な周波数応答を与えるイコライザー設計を含むことができる。これらのシステム及び方法の実施形態の品質は、オーディオ用グラフィックイコライザーを実施するのに理想的である。加えて、本明細書で教示されるシステム及び方法の実施形態は、人為的リバーブレータにおける残響時間対周波数の効率的且つ正確な制御を可能にすることができる。
【0012】
これらの正確なゲイン制御特性に起因して、システム及び方法の実施形態は、マルチバンド等化関数を単一マルチバンド等化関数にまとめることによって、マルチバンド等化関数のカスケード組み合わせの効率的な実現をもたらすことができる。単一マルチバンド等化関数に提供される組み合わせにより、このような関数は全て、中心周波数の同じセットを用いるグラフィック等化関数として表すことができる。
【0013】
代替の実施形態が可能であり、本明細書で検討するステップ及び要素は、特定の実施形態に応じて変更、追加、又は削除できる点に留意されたい。これらの代替の実施形態は、使用できる代替のステップ、代替の要素、及び実施できる構造的変更を含む。
【0014】
1.
システム及び動作の概要
図4は、例示的なオーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態及びマルチバンドイコライザーの実施構成の一般的な動作の特徴を例示する流れ図である。一般に、
図4に記載される各動作は、420、440、460、及び470を除いて、各基本フィルタに対して一度繰り返される。基本フィルタは、最後のステップで互いにカスケードされ、マルチバンドイコライザーを形成する。
図4において一部のボックスは任意選択の動作を示している点に留意されたい。第1の任意の動作は、中央ゲイン修正を適用するか否かであり、残りの任意の動作は、シェルビングフィルタを実施するステップを含む。典型的には、シェルビングフィルタは、カットオフポイントより上又は下の全ての周波数を等しくカット又はブーストするのに実施される。ハイシェルビングフィルタは、カットオフ周波数より下の何れの周波数も実質的に変えることなく、このカットオフ周波数より上の全ての周波数をカット又はブーストできるように実施することを目的としている。ローシェルビングフィルタは、カットオフ周波数より上の何れの周波数も実質的に変えることなく、このカットオフ周波数より下の全ての周波数をカット又はブーストできるように実施することを目的としている。本プロセスは、各帯域に対して周波数及び目標ゲインパラメータを設定するステップから開始することができ、帯域間の相互作用を補償するゲイン修正動作に進み、オーディオ信号へのゲイン調整フィルタの適用で終了することができる。
【0015】
図4を参照すると、本プロセスは、各制御周波数に対して制御周波数パラメータ値C
nを設定することから開始することができる(ボックス400)。次に、目標dBゲインパラメータ値G
nを各制御周波数に対して設定することができる(ボックス410)。任意選択的に、実施形態は、中央ゲインオフセットの計算を含み、次いでこのオフセットを各G
nから減算することができる(ボックス420)。
【0016】
このようなオーディオスペクトル補正システムの実施形態は、ピーキングフィルタセクションH
nを各制御周波数と関連付けることができる(ボックス430)。任意選択的動作では、ローシェルビングフィルタセクションH
0をDC周波数に関連付けることができ、ハイシェルビングフィルタセクションH
N+1をナイキスト周波数に関連付けることができる(ボックス440)。本方法は、フィルタセクションのdBゲイン設定の基準値K
n(例えば、1dB)に対するN制御周波数での各フィルタセクションの振幅周波数応答値c
nの決定(ボックス450)を含むことができる。
【0017】
このような方法の実施形態は、Nフィルタセクションの各々に対する補正されたフィルタゲイン設定K
nの計算を含むことができる(ボックス460)。この計算の一部として、任意選択的動作において、シェルビンフィルタセクションで2つのフィルタゲイン設定K
0(DC)及びK
N+1(ナイキスト)を計算することができる。カスケードされたフィルタセクションは、入力オーディオ信号に適用することができ、修正スペクトル補正オーディオ信号を出力することができる(ボックス470)。種々の実施形態において、本方法は、比例フィルタセクションで動作する
図4の方法の特徴を含むことができる(例えば、以下に説明するように、比例ピーキングフィルタセクション及び/又は比例シェルビングフィルタセクションを含む)。効果が周波数−独立係数によってフィルタのdB振幅周波数応答をスケーリングすることである、「ゲイン」又は「強度」制御パラメータを有するオーディオフィルタ(又はイコライザー又はスペクトル補正器)は、本明細書では「比例」として定量化される。
【0018】
II.システム及び動作の詳細
II.A.比例ピーキングフィルタセクション
全体イコライザー(EQ)は、互いにカスケードされて単一の等化フィルタを形成する比例フィルタのセットを含むことができる。例えば、全体イコライザー(EQ)は、互いにカスケードされて単一の高次等化フィルタを形成する2次IIRピーキングフィルタのセットを含むことができる。必要であれば、シェルビングフィルタを含めて、スペクトルのローエンド及びハイエンドでの応答を修正して、DC及びナイキスト周波数近くの応答の制御を提供することができる。ステレオ又はマルチチャネルオーディオ処理の場合、同一のパラメータ設定であるが別個の状態情報を有する同一フィルタを、各チャネルに対して使用することができる。
【0019】
各ピーキングフィルタは、全体的なイコライザー設計の一部として調整することができる3つの制御パラメータ、すなわち中心周波数、品質係数、及びゲインを有する2次IIRフィルタとして実現することができる。
図5に示されるように、ピーキングフィルタを用いた実施形態では、各比例ピーキングフィルタは、2つの重要な特性を有する。最初に、その振幅は、対数スケール(例えばデシベル)で見たときにゲイン設定に応答してほぼ均一なスケーリングを有する。次に、比例ピーキングフィルタは、対称的なブースト/カット挙動を有し、これは、逆ゲインを除いて同一の設計パラメータを有する2つのこのようなフィルタが、対数スケールで0dB付近のミラー画像である振幅応答を有することを意味する。これはまた、互いにカスケードされたこれらの2つのフィルタが、スペクトルにわたって0dBの組み合わされたフラット応答を有することを意味する。
【0020】
均一のスケーリングは、ピーキングフィルタを「比例化」する特性であり、ゲインパラメータへの何らかの変更は、実質的に同じスケール係数によって全ての周波数でのゲインを修正することを意味する。また、以下に記載される実施形態において、フィルタは完全には比例していないが、応答が小さく且つ全体的なイコライザーの精度に最小の影響を有する中心周波数から十分に隔たった周波数で非均一応答が主として起こる点に留意されたい。
【0021】
4次フィルタの伝達関数は次式で表され、
【数1】
比例ピーキングフィルタの係数は以下のように導かれる。
【数2】
C
0は中央周波数、F
sはサンプリングレート
【数3】
g
0はデシベル単位のゲイン
【数4】
q
0はQ係数
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【0022】
II.B.帯域制御周波数
従来、グラフィックイコライザーは、対数周波数スケールに沿って均等に離間された制御周波数又は「帯域」を有する。例えば、制御周波数は、10帯域イコライザーに対して1オクターブ離間され、又は「第3オクターブ」30帯域イコライザーに対しては1オクターブにつき3帯域離間して配置することができる。典型的なグラフィックイコライザーは、5から30周波数帯域の間を有する。対数的間隔の選択は、オーディオアプリケーションにおいて心理音響的に理にかなっている。
【0023】
本明細書で教示されるように、オーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態は、制御周波数の数又は位置に関してどのような特定の制限も設けていない。対数間隔の選択は、オーディオ目的として必然的であり、以下に説明するように、品質係数選択を容易にする。種々の実施形態において、本明細書で教示されるシステム及び方法は、より一般的なマルチバンドパラメトリックイコライザーを設計及び/又は実施するのに用いることができる。
【0024】
例証及び教育上の目的で、以下の説明においては、制御周波数の2つのセットが、本明細書での検討の一部におけるグラフィックイコライザーの実施例として使用するために選択される。
freqHz
5Band = {100, 316.228, 1000, 3162.28, 10000}
freqHz
10Band = {31.25, 62.5, 125, 250, 500, 1000, 2000, 4000, 8000, 16000}
【0025】
1つの実施例において、制御周波数のセットが選択されると、1つのピーキングフィルタには、1つの周波数帯域につき、当該帯域に指定された値に直接設定された中心周波数を割り当てることができる。
【0026】
II.C.品質係数
品質係数は、ピーキングフィルタの振幅応答の帯域幅を決定付ける。これは、フィルタのQ係数又は単にQとして一般的に知られている。
図6に示すように、高Q設定は、狭い応答を結果として生じ、低Qは、広い応答を結果として生じる。ピーキングフィルタの帯域幅は、本明細書では、中点(dBゲイン/2)ゲイン周波数間のオクターブの数として定義される。換言すれば、中心周波数の上下の点は、応答が中心周波数におけるdBの数の半分である。品質係数Qは、次式のように、帯域幅BW及び正規化中心周波数W
0に関係する。
【数12】
【0027】
比例ピーキングフィルタでは、帯域幅BW及び品質係数Qは、ピーキングフィルタのゲイン設定における変化の影響を受けない。
【0028】
対数中心周波数間隔を有するグラフィックEQでは、Q係数は、ピーキングフィルタセクション全てに対して同じ値に設定することができる。残りの課題は、適切なQ係数設定が所与の周波数間隔に対してどのようなものあるかである。
図7A及び7Bに示すように、低Q及び低解像度では、フィルタオーバラップが、複合応答においてゲイン増大を引き起こす。高Q及び高解像度では、フィルタオーバラップは小さく、複合応答がリップルを示す。
【0029】
例証の目的でこの説明において提供される例示的な設計では、Q係数は、以下の基準に従って反復的に調整された。最初に、2つの隣接する制御値を同じゲイン設定に設定し、全ての他の制御値を0dBに設定する。次に、2つの周波数間の応答が可能な限りフラットであるように、つまり2つの制御周波数間の応答においてディップを生じることなくQ係数が可能な限り小さくなるように、これらの共有されるQ係数を調整する。
【0030】
図8A及び8Bは、中点にて半分のゲインのQ係数と、フラットトップのQ係数とを示している。
図8Bは、上記の第2の基準を示し、すなわち2つの制御周波数間の応答においてディップを生じることなくQ係数が可能な限り小さくなるように共有されるQ係数を調整する。
【0031】
実施例における5帯域イコライザー及び10帯域イコライザーについての結果として得られたQ係数値は、以下の通りである。
Q
5Band = 0.52
Q
10Band = 0.98.
【0032】
図8Aにおいて例示される代替の実施形態において、Q係数は、個々の応答が交差するポイントにおいて各セクションが設定されたゲインの半分を有するように設定することができる。前者の方法は、様々な制御設定にわたってより滑らかな全体的応答をもたらし、後者の代替の方法は、リップルがより多い「ドルゥーピー」応答をもたらすことが分かる。
【0033】
固定の対数的に離間された制御周波数を有するグラフィックイコライザーとは対照的に、汎用マルチバンドパラメトリックイコライザーのQ係数を選択する場合にはトレードオフがある点に留意されたい。各ピーキングイコライザーは、その中心周波数の上下に等しく広がる応答を有するので、隣接周波数が一方の側で近く他方の側で遠くにあるときに難しい選択に迫られる。詳細には、近接して離間された周波数は高いQ係数を示し、離れた間隔は、低いQ係数を示す。高Qを選択すると、大きな周波数ギャップの制御を妨げることになり、低Qを選択すると、近接して離間された帯域に対する大きな内部ゲインを生じる可能性がある。
【0034】
II.D.比例及び線形性
比例ピーキングフィルタでは、何れかの固定周波数での振幅応答は、フィルタのゲインパラメータに伴って直線的に変化するはずである。幾つかの実施形態で使用されるピーキングフィルタ設計では、これは、厳密には、フィルタの中心周波数及びその帯域端周波数(中点(dBゲイン/2)ゲイン周波数)でのみ当てはまる。他の周波数では、設計は比例に近いが、中心周波数から離れた周波数では、一部に非線形性が見られる。
図9は、2.0に等しいQ係数における中心ゲイン対スカート(裾野)ゲインを示している。f
c、2f
c、3f
c、及び4f
cについての曲線が示されている。具体的には、中心周波数から離れた各ピーキングフィルタセクションのスカート部は、必要とされるよりも僅かに大きなゲインを有することになる。
【0035】
II.E.比例シェルビングフィルタセクション
どのようにパラメータが調整されたとしても、ピーキングフィルタセクションは、DC及びナイキスト周波数で0dBの振幅応答を有する。多くの場合、DCではローシェルビングフィルタ及びナイキスト周波数ではハイシェルビングフィルタを用いて、グラフィックイコライザーのゲイン制御をこれらの周波数にまで拡張することが望ましい。
【0036】
比例1次ローシェルビングフィルタセクションの伝達関数は、
図10に示すように、クロスオーバ周波数を一定に維持しながら、ゲインkを調整する。伝達関数は次式によって与えられる。
【数13】
ここで、
【数14】
g
0=デシベルのゲイン
【数15】
ω
0=クロスオーバ周波数
【0037】
同じパラメータ値を用いると、比例1次ハイシェルビングフィルタセクションの伝達関数は次式で与えられる。
【数16】
【0038】
2次シェルビングフィルタセクションの伝達関数は次式で与えられる。
【数17】
ここでフィルタ係数は、以下のように導かれる。
ローシェルフでH=1、ハイシェルフでH=−1であり、
【数18】
ここでf
0=セルフ中点周波数、F
s=サンプリングレート、
【数19】
g
0=デシベル単位のゲイン
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】
【数25】
【数26】
【数27】
【0039】
II.F.デュアルシェルビングイコライザー
図11に例示されるように、2つのシェルビングフィルタのカスケード(ローシェルビング及びハイシェルビング)は、4次IIRフィルタとして実施することができる、3帯域パラメトリックイコライザー又は調整可能なクロスオーバ周波数を用いたバス/トレブルトーン制御装置として使用することができる。
図11は、比例1次ハイシェルビングフィルタセクションとカスケードされた比例1次ローシェルビングフィルタセクションの伝達関数を示す。
【0040】
図11で分かるように、中間周波数でのデュアルシェルビングイコライザーのゲイン(垂直破線で示される)は、ハイシェルビングゲイン及びローシェルビングゲインが相互に相反しない場合、必ずしも0dBに達するとはいえない。これは、グローバルゲインスケーリング係数を導入(周波数独立dBゲインKを追加)してローシェルビングゲイン及びハイシェルビングゲインを調整してDC及びナイキストでの指定されたゲイン値を取得することにより是正することができる。この問題に対する閉形式ソリューションは、以下に説明するように、シェルビングフィルタの比例特性を利用することによって導くことができる。
【0041】
ローシェルビングフィルタ、ハイシェルビングフィルタ、及び完全ゲイン補正デュアルシェルビングフィルタのdBゲイン応答として、それぞれ、G
l(f)、G
h(f) 及びG(f)を示す。2つのシェルビングフィルタの個々のdBゲインパラメータとしてK
1及びK
h、及びデュアルシェルビングフィルタに加えられたグローバル的dBゲイン補正としてKを示す。3つの独立周波数、すなわち0Hz、f
N(ナイキスト周波数)、及び中間周波数fcでの結果として生じる応答G(f)を制御することが望ましい。これらの3つの周波数で評価される、グローバルゲイン補正Kと2つのシェルビングフィルタ応答のdB合計は、以下が得られる。
【数28】
ここで G
lc及び G
hcは、それぞれ、ゲイン設定が+1dBであるときのローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタの周波数f
cのdBゲインを示す。
【0042】
内部ゲイン設定の三重項[K K
l K
h]の閉形式の解は、次の逆行列によって得ることができる。
【数29】
【0043】
II.G.マルチバンドイコライザー
種々の実施形態において、マルチバンドイコライザーは、複数の比例フィルタセクションを互いにカスケードすることによって取得することができる。例えば、マルチバンドイコライザーは、複数の比例ピーキングフィルタセクションを互いにカスケードすることによって取得することができる。結果として、個々のセクションの振幅応答を互いに乗算して、グラフィックイコライザーの複合応答を形成する。ログ(dB)スケールで見ると、Nの個々のピーキングフィルタ応答p
n(f)が直線的に互いに合計され、複合振幅応答G(f)を得る。
【数30】
(1)
ここでp
n(f) は、中心周波数c
n、Q係数q
n、及びゲインg
nの設計パラメータを有して汎用比例パラメトリックイコライザーセクションに拡張される。
【0044】
各g
n値が、当該セクション向けに設計されたゲインであり、そのためf=c
nでの応答は厳密にはg
nとなるが、f=c
nでのイコライザーの合計応答は、当該周波数での他のセクションの全てからの応答を追加させることになり、一般には、g
nとは異なることになる点に留意されたい。これは、オペレータによって指定されたN制御ゲインにNセクションゲインの各々を直接設定することが、
図12に示すように、指定されたものとは異なる合計応答を生じることを意味する。逆に、合計応答がオペレータ仕様に適合する場合、個々のセクションゲインは、実施形態に従って、合計応答がN制御周波数の各々における仕様に適合するように変更されることを意味する。
【0045】
ピーキングフィルタセクションが比例特性を示し、且つ合計応答が単にセクション応答の和であるので、各中心周波数c
nでのグラフィックイコライザーのデシベル応答は、セクションの各々に対して設定された個々のゲイン値g
nの線形組み合わせである。その結果、これらは1次方程式のシステムによるグラフィックイコライザーのゲイン制御設定に代数的に関係付けられることになる。換言すると、式(1)は、N制御周波数c
nの各々から順序付けられたfによって繰り返される。
【0046】
ここで、本システムは、例えば、閉形式逆行列を使用することにより解かれ、入力としてオペレータのゲイン設定及び出力として成分フィルタセクションの各々の内部ゲインパラメータを有する1次方程式の新しいシステムをもたらすことができる。効率的グラフィックイコライザーフィルタの実施構成が結果として得られ、その精度は、各帯域で使用されるパラメトリックイコライザーのdB応答線形性によってのみ限定される。
【0047】
これが実際にどのように作用するかを例証するために、グラフィックイコライザーの複合応答は、各パラメータセクションのゲインが
図11に示されるように設定されたときに計算された。詳細には、3つのゲインがg
11、g
22及びg
33に設定された。このケースでは、f=c
1での第1グラフィックEQ帯域の合計応答は、f=c
1での3つのセクション応答の和である。
【数31】
ここで簡潔にするために、以下、p(c
n,q
n,g
n,c
m)の短縮形であるG
n=G(c
n)及びg
nm=p
n(c
m)が定義される。類似の式は、残りの2つの帯域のゲインを定義し、行列形式の合計応答が次式である。
【数32】
【0048】
この設計は、行列の対角成分のみの直接制御を提供するが、非対角成分の干渉に起因して、合計応答の直接制御にはつながらない。そのため、ゲインは、結果として生じる複合ゲインが全体としてグラフィックイコライザーの所望の設定に適合するような方式で制御を提供するよう修正された。
【0049】
これは、独立制御が存在するゲインの各々に対して補正係数k
nを導入することによって達成することができる。各行が単一のゲイン制御を有する単一のパラメータEQセクションを表すので、対角線上のゲインの1つへの何らかの変更は同じ行の他のゲインに影響を及ぼすことになる点に留意されたい。更に、各イコライザーセクションの比例関係に起因して、補正係数は、全ての周波数にわたって同じスケーリング効果を有する定数としてモデル化される。しかしながら、パラメトリックイコライザーセクションは、完全に比例ではないので、式は近似式である。
【数33】
(2)
簡約すると、
【数34】
【0050】
この行列は、補正値の値を求めるために逆にして並べ直すことができる。
【数35】
【0051】
G
n値は、制御周波数での最終グラフィックイコライザーゲインである。ここで所望の制御値が置き換えられ、逆行列を乗算して、式(2)で加えられる補正係数k
nを決定し、所望のゲインを実際に達成することができる。内部パラメータセクションを補正されたゲインで再設計することにより、
図13に示すように、所望の応答に極めて近い複合応答がもたらされる。
【0052】
これは良い結果であるが、元行列におけるg
11、g
22、及びg
33ゲイン値に対する任意設定に依存し、最終的には行列反転に起因して最終結果で相殺されることになる。これらのゲインに何れかの任意の設定を真に与えることができる場合、特異であって、従って反転することができない行列(例えば、ゲインの何れかが0dBに設定される場合)を指示することができる。しかしながら、その上、パラメータフィルタが完全に比例ではないことに起因して、ゲインは、測定された軸外の行列成分に僅かな影響しかない。これらの理由で、ゲイン行列を読み込むのに使用されるフィルタ測定ステップに対してゲイン設定を選択するための安全で一貫した方法を有することが望ましい。
【0053】
これは、応答行列を計算する際にあらゆるg
nmゲイン値に使用される定数であるプロトタイプゲインPを設計に導入することによって達成することができる。
【数36】
【0054】
Pの実際の値は、便宜上1(1dBを意味する)とすることができるが、フィルタの小さな非均一性及び可能性のある解像度の問題に起因して、典型的には、最大許容オペレータゲイン値の半分になるように選択することができる。ここで提示される例示の実施形態では、次式となる。
P
dB=10
【0055】
独立ゲイン保証のための定数を用いると、行列は、P≠0において特異ではなく、よって常に反転することができる。これは、実行時の複雑さを低減する2つの付加的な利点を提供する。第1に、行列ゲインがオペレータ設定に基づいて変化せず、他のフィルタパラメータがグラフィックイコライザーに対して固定されるので、行列成分は、設計時間で一度計算することができ、オペレータがゲイン制御を調整する際に再計算する必要はない。また、補正行列が定数であるので、実行時に反転する必要がなく、設計時間に一度反転することができる。これらの利点は、グラフィックイコライザーに適用されるが、式(1)からのc
n又はq
n設計パラメータの修正が行列の非対角値を変えることになるので、一般にはマルチバンドパラメトリックイコライザーには適用されない。
【0056】
よって、3帯域イコライザーの補正設計ゲインを計算するための完全な式は、例えば、次式となる。
【数37】
(3)
【0057】
k
n 値は補正係数であるので、比例パラメトリックイコライザーに入れられるゲイン値は、「補正される」値であるのでg
nnを乗算する。g
nnは常にPに設定されるので、パラメータフィルタ設計におけるゲインに使用される実際の値は、k
nPとなる。(読み手にとって、この最後の項がk
n/Pである必要があるように思われるかもしれないが、入力値の全てがPを効果的に乗算するので、出力値に逆数1/Pを乗算することが理にかなっている。しかしながら、元行列が定数によってスケーリングされるときには、結果として生じる逆行列は、当該定数の逆数によってスケーリングされ、よって、適正な補正係数はk
nPである)。
【0058】
本明細書のシステム及び方法で使用されるマルチバンドイコライザーの代替の実施形態は、任意選択的に、1次又は2次のロー及び/又はハイ比例シェルビングフィルタを含むことができる。シェルビングセクションの追加により、グラフィックイコライザーの複雑さが増し、計算するのに必要なリソースが増大する。余分のセクションは、オペレータ制御の数を増大させることはないが、それらのゲインをグラフィックEQ内で内部的に設定させる必要があり、それらのゲイン測定を行列計算に含めなくてはならない。例えば、式(3)において3x3行列により表される3帯域イコライザーは、ロー及びハイシェルビングセクションが追加された後に5x5行列で表され、ベクトルは、各々5エントリにサイズが増大する。
【0059】
II.G.中央ゲインオフセット
種々の実施形態において、例示的なイコライザーは、グラフィックEQ応答の正確さ及び円滑さの両方を改善するために他の修正を含むことができる。一部の設定では、特に複数の隣接する帯域が同じ目標ゲインパラメータ値に設定されたときには、応答は、
図14に示すように、制御周波数間のディップに起因して顕著なリップルを有する可能性がある。この問題を軽減するために、目標ゲインパラメータ値の中から、中央ゲインを全信号にオフセットとして加えることができ、また、オペレータゲイン制御の各々からこの同じオフセットを差し引くことができる。例えば、全ての目標ゲインパラメータ値が最大値に設定されている場合でも、処理は、
図15に示すように単一の一定ゲインによって扱われるので、応答はリップルを有さないことになる。
【0060】
II.H.マルチバンドイコライザー応答の実施例
本明細書で教示されるオーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態を例示するために、2つのグラフィックイコライザー(5帯域及び10帯域)が実施され、その応答の一部が図示されている。
図1〜3を参照すると、他のIIR及び一部のFIRベースのイコライザーでも、指定された制御値を5dB、10dB又はそれよりも多く失う応答を有することが多かった。同じ又は類似の設定によって、本明細書で教示されるシステム及び方法の実施形態は、ほとんどの場合に1dB以内の精度を達成することができる。大きな又は極端な設定では、一部の帯域は、2dBだけマークを失う可能性があり、これは、完全とはいえない比例フィルタセクションに起因し、結果として生じる非線形効果は、高ゲイン設定にてより大きい。
【0061】
実施例の結果を
図16−19に示す。具体的には、
図16は、
図2に示したのと同じ設定を有するシステムの例示的な実施形態の10帯域グラフィックイコライザーを示す。
図17は、
図3に示したのと同じ設定を有するシステムの例示的な実施形態の10帯域グラフィックイコライザーを示す。
図18は、
図2に示すのと同じ設定を有するシステムの例示的な実施形態の5帯域グラフィックイコライザーを示す。
図19は、
図3に示すのと同じ設定を有するシステムの例示的な実施形態の5帯域グラフィックイコライザーを示す。
【0062】
±12dBの最大範囲を一部が有する10帯域商用イコライザーと比較すると、実施形態の単一帯域に対する最悪ケースエラーは、+12又は−12dBの何れかで各帯域に関して全ての可能性のある設定を網羅的にサーチして、これらの設定の各々に対する各帯域のエラーを測定することによって求められた。
図20は、1つの実施形態に対して最悪ケースと同じ設定に設定されたときの商用10帯域グラフィックイコライザーGEQ A、GEQ B、GEQ C、及びGEQ Dの応答を示している。比較のため、
図21は、本明細書で教示される10帯域グラフィックイコライザーの実施形態に対する最悪ケースエラーを示している。
図21における何れかの帯域に対する最悪ケースエラーは、既存の10帯域グラフィックイコライザーと同じ構成における1kHz帯域に対して2.28dBであることが分かった。この同じ構成での商用グラフィックイコライザーの各々との比較を行い、
図20及び21に示す結果として以下の表が得られる。この構成は、既存のイコライザーの何れかに対して必ずしも最悪ケースではない点に留意されたい。
【0064】
不完全な比例にも関わらず、本明細書で教示されるシステム及び方法の実施形態は、最悪ケースオペレータ設定下でも他の設計と比較して良好に実施することができる。
【0065】
II.I.人為的残響及びサウンド吸収
計算的に効率的なデジタルリバーブレータを設計する共通の手法は、遅延単位のマルチチャネル再帰的ネットワーク、又はフィードバック遅延ネットワーク(FDN)を形成するステップと、ネットワーク内の選択されたノードにて適切に調整された吸収フィルタを挿入するステップとに基づく。対応するフィルタg
1、g
2..g
Nと各々がカスケードされたτ
1,τ
2...τ
Nの遅延長さを備えた遅延単位を有する例示的なFDNトポロジーが、フィードバック行列Aと共に
図22に示される。一般的な残響設計方法は、(a)エネルギー保存(すなわち全パス)フィードバックループを有する「ロスレスプロトタイプ」ネットワークを構築するステップと、(b)何れかの周波数fでのその(負)dBゲインG
i(f)が残響減衰時間Tr(f)によって除算された単位遅延長さτ
iに比例する吸収フィルタにネットワークのフィードバックループにおける各遅延単位をカスケードすることによって、残響エネルギー減衰速度の周波数依存制御を提供するステップと、を含む。すなわち、
【数38】
である。
【0066】
その結果として、リバーブレータの減衰時間のパラメータ制御の実施には、吸収フィルタのセット{g
i}が相互に比例するパラメトリックイコライザーのファミリーを形成すること、及びそれらのdBゲインが減衰時間Tr(f)のスケーリングに応答して比例的に変化することが必要となる。
【0067】
本明細書で教示されるシステム及び方法の実施形態による、比例パラメトリックイコライザーの実施形態は、調整可能なクロスオーバ又は制御周波数による、2、3、又はそれよりも多い周波数帯域における残響減衰時間制御をサポートするフレキシブルな吸収フィルタの実現を可能にする。例えば、各吸収フィルタは、マルチバンドイコライザーとして実現することができ、ここで制御周波数{c
n}の各々でのdBゲイン設定は、対応する遅延長さに比例し、周波数c
nでの設定の残響減衰時間に反比例する。
【0068】
同様に、伝播媒体によるサウンド吸収自体は、必然的に、パラメータ比例イコライザーによるシミュレーションに役立つ。実際に、音源とリスナー間の距離による減衰の増加は、上述のように、人為的リバーブレータの吸収フィルタによって提供される遅延依存の吸収にその性質が基本的に類似している。両方の場合において、減衰は、伝播時間又は距離に比例してデシベル単位で線形的に加算される。
【0069】
II.J.複合スペクトル補正効果
これらの正確なゲイン制御特性に起因して、本明細書で教示される実施形態は、複数のスペクトル補正器の全てを単一のマルチバンドイコライザーにまとめることによって、複数のスペクトル補正器のカスケード組み合わせの効率的な実現を可能にする。
図23に示すように、これは、制御周波数の共通セットを有するマルチバンドイコライザーとして全てのスペクトル補正器をモデル化し、各制御周波数のdBゲインを追加することによってこれらの組み合わせをシミュレートし、結果として生じる複合ゲインを単一のマルチバンドイコライザーに適用することによって達成することができる。換言すると、
図23は、複合スペクトル効果を示し、これによって3つのカスケードスペクトル補正関数の組み合わせが、本明細書で教示されるオーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態を使用して単一のマルチバンドイコライザーに実装される。
【0070】
II.K.処理及びシステム
図24は、オーディオイコライザーへの信号入力を処理する例示的な方法2400の実施形態の特徴の流れ図である。2410において、オーディオイコライザーに対して複数の制御周波数が選択され、複数の制御周波数の各制御周波数についての動作が行われる。2420において、各制御周波数に対して制御周波数パラメータ値が設定される。2430において、各制御周波数に対する目標ゲインパラメータ値が設定される。2440において、比例フィルタセクションが各制御周波数に関連付けられる。2450において、フィルタセクションのゲイン設定の基準値のため各それぞれの制御周波数での各比例フィルタセクションの振幅周波数応答値が決定される。
【0071】
2460において、比例フィルタセクションの各々に対するフィルタゲイン設定は、比例フィルタセクションの振幅周波数応答値を使用して計算され、カスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含むフィルタの振幅周波数応答が、各制御周波数に対する目標ゲイン値に実質的に一致するようにされる。各制御周波数に対する目標ゲイン値を一致させるステップは、各比例フィルタセクションのフィルタゲイン設定の基準値として取得された各制御周波数での比例フィルタセクションの振幅周波数応答値から導かれた行列で目標ゲインパラメータ値のベクトルを乗算することによって各制御周波数に対する目標ゲイン値を一致させるステップを含むことができる。
【0072】
2470において、フィルタが入力信号に適用されて、出力オーディオ信号を提供する。比例フィルタセクションを含むフィルタは、ピーキングフィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含むカスケードされたフィルタセクションとして形成され配列することができる。
【0073】
方法2400の変形形態又は方法2400に類似の方法は、このような方法の用途及び/又はこのような方法が実施されるシステムのアーキテクチャに応じて組み合わせてもよく、又は組み合わせなくてもよい複数の異なる実施形態を含むことができる。このような方法は、ピーキングフィルタセクション及び/又はシェルビングフィルタセクションを含む比例フィルタセクションを含むことができる。ピーキングフィルタセクションの各々について品質係数を設定することができる。ピーキングフィルタセクションに品質係数を設定するステップは、品質係数を反復的に調整するステップを含むことができる。品質係数を反復的に調整するステップは、2つの隣接する制御値を同じゲイン設定に設定し、全ての他の制御値をゼロに設定するステップと、2つの周波数間の応答が可能な限りフラットになるように2つの隣接する制御値に対する共有Q係数を調整するステップと、を含むことができる。非限定的な実施例において、品質係数を設定するステップは、品質係数を5帯域イコライザーに対して0.52及び10帯域イコライザーに対して0.98に設定するステップを含むことができる。
【0074】
方法2400の変形形態又は方法2400に類似の方法は、残響減衰時間を有するデジタルリバーブレータに対して、遅延長さを各々が有する複数の遅延単位を選択するステップと、デジタルリバーブレータに対してマルチバンドイコライザーのセットを形成するステップであって、各マルチバンドイコライザーが、遅延単位に対応し、それぞれの制御周波数で対応する遅延長さに比例且つ残響減衰時間に反比例する各制御周波数での目標ゲインパラメータを有するステップと、複数の遅延単位の各遅延単位をマルチバンドイコライザーのセットのうちの対応するマルチバンドイコライザーとカスケードするステップと、を含むことができる。マルチバンドイコライザーのセットを形成するステップは、残響減衰時間のスケーリングに応答して、マルチバンドイコライザーのセットの目標ゲインパラメータ値を比例的に変更するステップを含むことができる。
【0075】
方法2400の変形形態又は方法2400に類似の方法は、dB単位で表される中央ゲインオフセットを計算して、各目標ゲインパラメータ値から中央ゲインオフセットを減算し、各制御周波数に対する中央ゲインオフセット未満の目標ゲインパラメータ値に対して比例フィルタセクションの各々についてのフィルタゲイン設定を計算し、フィルタ及び中央ゲインオフセットを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供する、ことにより、比例フィルタセクションを含むフィルタ及びフィルタの適用を修正するステップを含むことができる。
【0076】
方法2400の変形形態又は方法2400に類似の方法は、制御周波数の共通セットを有する複数のマルチバンドイコライザーをモデル化するステップと、各制御周波数に対して目標ゲインパラメータ値を追加することによって複数のマルチバンドイコライザーのうちのマルチバンドイコライザーの組み合わせをシミュレートするステップと、複数のマルチバンドイコライザーのカスケードを置き換える単一のマルチバンドイコライザーを生成する際に結果として生じる複合ゲインを適用するステップであって、該単一のマルチバンドイコライザーを生成することが、複数の制御周波数として制御周波数の共通セットを選択することからカスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含むフィルタを生成するステップを含むステップと、単一のマルチバンドイコライザーのフィルタを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供するステップと、を含む。比例フィルタセクションを含むフィルタは、比例フィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含むカスケードされたフィルタセクションとして形成され配列することができる。カスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含む単一のマルチバンドイコライザーのフィルタは、比例フィルタセクションを生成する際に中央ゲインオフセットを計算して各制御周波数の各目標ゲインパラメータ値から中央ゲインオフセットを減算することによって修正されたフィルタを含むことができ、単一のマルチバンドイコライザーの修正されたフィルタを入力信号に適用するステップは、中央ゲインオフセットを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供するステップを含むことができる。
【0077】
種々の実施形態において、非一時的機械可読ストレージデバイスは、格納された命令を含むことができ、該命令は、機械によって実行されたときに機械に動作を実行させ、該動作は、方法2400、方法2400の変形形態、及び/又は本明細書で教示される他の方法の特徴に関して記載された方法及び技術の特徴に類似した又は同一の1又は2以上の特徴を含む。このような命令の物理的構造は、1又は2以上のプロセッサによって動作することができる。これらの物理的構造を実行することにより、オーディオイコライザーに対して複数の制御周波数を選択するステップと、複数の制御周波数の各制御周波数に対して、制御周波数パラメータ値を設定し、目標ゲインパラメータ値を設定し、比例フィルタセクションを関連付けて、各比例フィルタセクションの振幅周波数応答値を決定する、ステップと、カスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含むフィルタの振幅周波数応答が各制御周波数に対する目標ゲイン値に実質的に一致するように、比例フィルタセクションの振幅周波数応答値を使用して比例フィルタセクションの各々に対するフィルタゲイン設定を計算するステップと、フィルタを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供するステップと、を含む動作を機械に実行させることができる。
【0078】
機械可読ストレージデバイスの変形形態において、命令は、ピーキングフィルタセクションを含む比例フィルタセクションを含むことができる動作を実行する命令を含むことができ、該動作は、ピーキングフィルタセクションの各々についての品質係数を設定するステップと、2つの隣接する制御値を同じゲイン設定に設定し全ての他の制御値をゼロに設定し、次いで2つの周波数間の応答が可能な限りフラットになるように2つの隣接する制御値についての共有Q係数を調整することによって品質係数を反復的に調整するステップとを含む。
【0079】
機械可読ストレージデバイスの変形形態において、命令は、各比例フィルタセクションのフィルタゲイン設定の基準値として取得された各制御周波数での比例フィルタセクションの振幅周波数応答値から導かれた行列で目標ゲインパラメータ値のベクトルを乗算することによって、各制御周波数に対する目標ゲイン値を一致させるステップを含むことができる動作を実行する命令を含むことができる。
【0080】
機械可読ストレージデバイスの変形形態において、命令は、ピーキングフィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含むように、カスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含むフィルタを形成するステップを含むことができる動作を実行する命令を含むことができる。
【0081】
機械可読ストレージデバイスの変形形態において、命令は、残響減衰時間を有するデジタルリバーブレータに対して、遅延長さを各々が有する複数の遅延単位を選択するステップと、デジタルリバーブレータに対してマルチバンドイコライザーのセットを形成するステップであって、各マルチバンドイコライザーが、遅延単位に対応し、それぞれの制御周波数で対応する遅延長さに比例且つ残響減衰時間に反比例する各制御周波数での目標ゲインパラメータを有するステップと、複数の遅延単位の各遅延単位をマルチバンドイコライザーのセットのうちの対応するマルチバンドイコライザーとカスケードするステップを含むことができる動作を実行する命令を含むことができる。
【0082】
機械可読ストレージデバイスの変形形態において、命令は、dB単位で表される中央ゲインオフセットを計算して、各目標ゲインパラメータ値から中央ゲインオフセットを減算することにより、比例フィルタセクションを含むフィルタ及びフィルタの適用を修正するステップと、各制御周波数に対する中央ゲインオフセット未満の目標ゲインパラメータ値に対して比例フィルタセクションの各々についてのフィルタゲイン設定を計算するステップと、フィルタ及び中央ゲインオフセットを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供するステップと、を含むことができる動作を実行する命令を含むことができる。
【0083】
機械可読ストレージデバイスの変形形態において、命令は、制御周波数の共通セットを有する複数のマルチバンドイコライザーをモデル化するステップと、各制御周波数に対する目標ゲインパラメータ値を追加することによって複数のマルチバンドイコライザーのうちのマルチバンドイコライザーの組み合わせをシミュレートするステップと、複数のマルチバンドイコライザーのカスケードを置き換える単一のマルチバンドイコライザーを生成する際に結果として生じる複合ゲインを適用するステップであって、該単一のマルチバンドイコライザーを生成することが、複数の制御周波数として制御周波数の共通セットを選択することからカスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含むフィルタを生成することを含むステップと、単一のマルチバンドイコライザーのフィルタを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供するステップとを含むことができる動作を実行する命令を含むことができる。
【0084】
図25は、本明細書で教示される技術に従ってオーディオ等化に関して動作するように構成された例示的なオーディオシステム2500の実施形態のブロック図である。オーディオシステム2500は、入力デバイス2505と、入力デバイス2505に動作可能に結合された処理デバイス2515とを含み、入力信号を受信して、入力信号からの出力オーディオ信号の生成を制御するよう前記入力信号に基づいて作動することができる。入力デバイス2505は、DVDプレーヤ、ブルーレイデバイス、TVチューナ、CDプレーヤ、携帯プレーヤ、インターネットオーディオ/ビデオ、ゲーム機、又はオーディオ生成のための信号を提供する他のデバイスなど、1又は2以上のオーディオソースを含むことができる。入力デバイス2505は、1又は2以上の信号に対する入力ソースを処理デバイス2515に提供するノード又はノードのセットとすることができる。出力オーディオ信号は、スピーカなどのオーディオ出力デバイス2525に送信することができる。スピーカは、ステレオスピーカ、サラウンドサウンドスピーカ、ヘッドセットスピーカ、又は他の類似のオーディオ出力デバイスとすることができる。
【0085】
処理デバイス2515は、本明細書で教示されるオーディオ生成のための信号に基づく動作に関連付けられる機能を実行及び/又は制御するための様々な手段によって実現することができる。このような手段は、限定ではないが、汎用プロセッサ、1又は2以上の処理デバイスを有するコンピュータデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、離散的ゲート又はトランジスタ論理、離散的ハードウェア構成要素、又はこれらの何れかの組み合わせなど、1又は2以上のデバイスを含むことができる。処理デバイス2515は、本明細書で教示されるように処理するための命令及びデータを格納する1又は2以上のストレージデバイス2517に動作可能に結合することができる。ストレージデバイス2517は、幾つかの機械可読ストレージデバイスによって実現することができる。
【0086】
処理デバイス2515は、オーディオイコライザーに対して複数の制御周波数を選択し、複数の制御周波数の各制御周波数に対して、制御周波数パラメータ値を設定し、目標ゲインパラメータ値を設定し、比例フィルタセクションを関連付け、各比例フィルタセクションの振幅周波数応答値を決定し、カスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含むフィルタの振幅周波数応答が各制御周波数に対する目標ゲイン値に実質的に一致するように、比例フィルタセクションの振幅周波数応答値を使用して比例フィルタセクションの各々に対するフィルタゲイン設定を計算する、ように構成することができる。処理デバイス2515は、フィルタを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供するように構成することができる。
【0087】
図26は、処理デバイス2515によって生成されるフィルタ2635の概略図である。フィルタ2635は、入力信号x(t)に基づいて動作し、出力オーディオ信号y(t)を提供する。上述のように、フィルタ2635は、互いにカスケードされた腐腔数の比例フィルタセクション2645−1、2645−2、...2645−(N−1)、2645−Nを含むことができる。比例フィルタセクション2645−1、2645−2...2645−(N−1)、2645−Nの1又は2以上は、ピーキングフィルタセクション、シェルビングフィルタセクション、又はピーキングフィルタセクションとシェルビングフィルタセクションの組み合わせによって実現することができる。カスケードされたフィルタセクションとして構成された比例フィルタセクションを含むフィルタ2635は、ピーキングフィルタセクションがカスケードされたローシェルビングフィルタ及びハイシェルビングフィルタを含むことができる。
【0088】
図25のシステム2500の処理デバイス2515は、ピーキングフィルタセクションの各々についての品質係数を設定し、2つの隣接する制御値を同じゲイン設定に設定し全ての他の制御値をゼロに設定して2つの周波数間の応答が可能な限りフラットになるように2つの隣接する制御値についての共有Q係数を調整することによって品質係数を反復的に調整する、ように構成することができる。
【0089】
処理デバイス2515は、各比例フィルタセクションのフィルタゲイン設定の基準値として取得された各制御周波数での比例フィルタセクションの振幅周波数応答値から導かれた行列で目標ゲインパラメータ値のベクトルを乗算することによって、各制御周波数に対する目標ゲイン値を一致させるように構成することができる。
【0090】
処理デバイス2515は、残響減衰時間を有するデジタルリバーブレータに対して、遅延長さを各々が有する複数の遅延単位を選択し、デジタルリバーブレータに対してマルチバンドイコライザーのセットを生成し、各マルチバンドイコライザーが、遅延単位に対応し、それぞれの制御周波数で対応する遅延長さに比例且つ残響減衰時間に反比例する各制御周波数での目標ゲインパラメータ値を有するようにし、複数の遅延単位の各遅延単位をマルチバンドイコライザーのセットのうちの対応するマルチバンドイコライザーとカスケードする、ように構成することができる。処理デバイス2515は、残響減衰時間のスケーリングに応答して、マルチバンドイコライザーのセットの目標ゲインパラメータ値の比例的変化を含むマルチバンドイコライザーのセットを生成するように構成することができる。
【0091】
処理デバイス2515は、比例フィルタセクションを含むフィルタ及びフィルタの適用を修正するよう構成することができ、プロセッサは、dB単位で表される中央ゲインオフセットを計算して各目標ゲインパラメータ値から中央ゲインオフセットを減算し、各制御周波数に対する中央ゲインオフセット未満の目標ゲインパラメータ値に対して比例フィルタセクションの各々についてのフィルタゲイン設定を計算し、フィルタ及び中央ゲインオフセットを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供する、ように構成することができる。
【0092】
処理デバイス2515は、制御周波数の共通セットを有する複数のマルチバンドイコライザーをモデル化し、各制御周波数に対する目標ゲインパラメータ値を追加することによって複数のマルチバンドイコライザーのうちのマルチバンドイコライザーの組み合わせをシミュレートし、結果として生じる複合ゲインを適用して、複数のマルチバンドイコライザーのカスケードを置き換える単一のマルチバンドイコライザーを生成し、単一のマルチバンドイコライザーの生成が、複数の制御周波数として制御周波数の共通セットを選択することからカスケードされたフィルタセクションとして配列された比例フィルタセクションを含むフィルタを生成することを含み、単一のマルチバンドイコライザーのフィルタを入力信号に適用して出力オーディオ信号を提供する、ように構成することができる。
【0093】
III.代替の実施形態及び例示的な動作環境
本明細書で記載される以外の他の多くの変形形態が、本明細書の教示から明らかであろう。例えば、実施形態によっては、本明細書で説明した何らかの方法及びアルゴリズムの特定の動作、事象、又は機能を異なる順序で実行することができ、追加、統合、又は完全に省略することができる(従って、ここで説明する全ての動作又は事象が、本方法及びアルゴリズムの実施に必要というわけではない)。更に、特定の実施形態において、動作又は事象は、連続的ではなく、例えば、マルチスレッド型処理、割り込み処理、もしくはマルチプロセッサ又はプロセッサコアによって、又は他の並列アーキテクチャ上で同ときに実行することができる。加えて、様々なタスク又は処理は、一緒に機能することができる異なるマシン及びコンピューティングシステムによって実行することができる。
【0094】
本明細書で開示した実施形態に関連して説明する様々な例示的な論理ブロック、モジュール、方法、及びアルゴリズム処理及び手順は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこの両方の組み合わせとして実施することができる。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性について明確に例証するために、上記では、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、及び処理動作について、これらの機能性に関して一般的に説明してきた。このような機能性をハードウェア又はソフトウェアとして実施するか否かは、特定の用途及びシステム全体に課された設計上の制約による。記載した機能性は、特定の用途の各々に関して異なる方法で実施することができるが、このような実施の決定が、本明細書の範囲からの逸脱を生じさせると解釈すべきではない。
【0095】
本明細書で教示された実施形態に関連して説明する様々な例示的な論理ブロック及びモジュールは、汎用プロセッサ、1又は2以上の処理デバイスを有するコンピュータデバイス、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラム可能論理デバイス、離散ゲート又はトランジスタ論理、離散的ハードウェア構成要素、又は本明細書で記載される機能を実行するよう設計されたこれらの何れかの組み合わせのような処理デバイスを有するマシンによって実施し又は実行することができる。汎用プロセッサ及び処理デバイスは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替形態において、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態マシン、これらの組み合わせ、又は同様のものとすることができる。プロセッサは、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1又は2以上のマイクロプロセッサ、又は何れかの他のこのような構成のような、コンピュータデバイスの組み合わせとしても実施可能である。
【0096】
本明細書で教示されるオーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態は、多くのタイプの汎用又は専用コンピューティングシステム環境又は構成内で動作可能である。一般に、コンピューティング環境は、限定されるものではないが、1又は2以上のマイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ、携帯用コンピュータデバイス、パーソナルオーガナイザ、デバイスコントローラ、電気製品内部の計算エンジン、携帯電話、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、及び埋め込みコンピュータを備えた電気製品に基づくコンピュータシステムを含む、あらゆるタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
【0097】
このようなコンピュータデバイス、限定されるものではないが、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータデバイス、ラップトップ又はモバイルコンピュータ、携帯電話及びPDAのような通信デバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、オーディオ又はビデオメディアプレーヤ、及びその他を含む、少なくとも何らかの最低限の計算能力を有するデバイスに通常、見出すことができる。一部の実施形態において、コンピュータデバイスは、1又は2以上のプロセッサを含むことになる。各プロセッサは、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、超長命令語(VLIW)、又は他のマイクロコントローラのような特殊なマイクロプロセッサとすることができ、或いは、マルチコアCPU内の特殊なグラフィックス処理ユニット(GPU)ベースのコアを含む、1又は2以上のプロセッシングコアを有する従来型の中央処理ユニット(CPU)とすることができる。
【0098】
本明細書で教示される実施形態に関連した記載される方法、プロセス、又はアルゴリズムの処理動作は、ハードウェアで直接的に、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、又はこの2つの何れかの組み合わせで具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、コンピュータデバイスによってアクセス可能なコンピュータ可読媒体内に含めることができる。コンピュータ可読媒体は、取り外し可能、取り外し不可の何れかである揮発性及び不揮発性媒体、又は何らかのこれらの組み合わせを含む。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読又はコンピュータ実行可能命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータのような情報を格納するために用いられる。例示的且つ非限定的に、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。
【0099】
コンピュータ記憶媒体などの機械可読ストレージデバイスは、限定ではないが、Blurayディスク(BD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、フロッピーディスク、テープドライブ、ハードドライブ、光ドライブ、固体メモリデバイス、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、フラッシュメモリ、又は他のメモリ技術、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、又は他の磁気ストレージデバイス、又は所望の情報を格納するために使用可能でコンピューティングデバイスのような1又は2以上の処理デバイスによってアクセス可能な何れかの他のデバイスのような、コンピュータ又はマシン可読媒体又はストレージデバイスを含む。
【0100】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD−ROM、又は当該技術で公知の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、メディア、又は物理コンピュータストレージの何れかの他の形式内に常駐することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出して、そこに情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合することができる。代替形態では、記憶媒体は、プロセッサに一体化することができる。プロセッサ及び記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に常駐することができる。ASICは、ユーザ端末内に常駐することができる。代替的に、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末内の個別構成要素として常駐することができる。
【0101】
本明細書で使用する場合、語句「非一時的」は、その通常の意味に加えて、「永続的又は長寿命の」を意味する。語句「非一時的コンピュータ可読媒体」は、その通常の意味に加えて、あらゆるコンピュータ可読媒体を含み、唯一の例外は一時的な伝搬信号である。これは、例示的且つ非限定的に、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、及びランダムアクセスメモリ(RAM)のような非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0102】
語句「オーディオ信号」は、物理的なサウンドを表す信号である。
【0103】
コンピュータ可読又はコンピュータ実行可能命令、データ構造、プログラムモジュール、及びその他のような情報の保持は、1又は2以上の変調データ信号、電磁波(搬送波のような)、又は他の伝送機構又は通信プロトコルをエンコードするための様々な通信媒体を用いることによって実現することができ、何れかの有線又は無線情報配信機構を含む。一般に、これらの通信媒体は、信号内の情報又は命令をエンコードするような方法で設定又は変更される自己の特性の1又は2以上を有する信号を参照する。例えば、通信媒体は、1又は2以上の変調データ信号を搬送する有線ネットワーク又はダイレクト有線接続のような有線媒体、及び音響、無線周波数(RF)、赤外線、レーザのような無線媒体、及び1又は2以上の変調データ信号又は電磁波を送信、受信、又は送受信するための他の無線媒体を含む。上記の何れかの組み合わせも、通信媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0104】
また、本明細書で記載されるオーディオスペクトル補正システム及び方法の様々な実施形態の一部又は全てを具現化するソフトウェア、プログラム、コンピュータプログラム製品のうちの1又は何れかの組み合わせ又はこの一部分は、コンピュータ実行可能命令又は他のデータ構造の形式でコンピュータ又は機械可読媒体又はストレージデバイス及び通信媒体の何れかの所望の組み合わせに格納、受信、送信、又はそこから読み出すことができる。
【0105】
本明細書で教示されるオーディオスペクトル補正システム及び方法の実施形態は、コンピューティングデバイスによって実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータ実行可能命令という一般的状況で更に説明することができる。一般に、プログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、及びその他を含み、これらが、特定のタスクを実行し、特定の抽象データタイプを実施する。また、本明細書で説明した実施形態は、1又は2以上の通信ネットワークを介してリンクされた1又は2以上のリモート処理デバイスによって、又は1又は2以上のデバイスのクラウド内でタスクが実行される、分散コンピューティング環境で実施することもできる。分散コンピューティング環境では、メディアストレージデバイスを含む、ローカル及びリモートの両方のコンピュータ記憶媒体内に、プログラムモジュールを配置することができる。更に、上記の命令は、プロセッサを含むこともあれば含まないこともある、ハードウェア論理回路として部分的に又は全体的に実施することができる。
【0106】
本明細書で使用する条件語、とりわけ、「できる(can)」「してよい(might)」「できる(may)」「例えば(e.g.)」及び同様のものは、他に明確に言及されていない限り、又は用いられる文脈でそれ以外に理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むことを伝えるものである。従って、このような条件語は、特徴、要素、及び/又は状態が、1又は2以上の実施形態にとって必ず必須であること、或いは、作成者の入力又は指示があってもなくても、これらの特徴、要素、及び/又は状態が含まれるか又は何れかの特定の実施形態で実行されるべきかどうかを決めるためのロジックを、1又は2以上の実施形態が必ず含むことを一般に示唆するものではない。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及び同様のものは、同義であり、包含的且つオープンエンド(open−end)方式で使用され、付加的な要素、特徴、動作、操作、及びその他を除外しない。また、用語「or」は、包括的な意味で(排他的意味ではなく)用いられ、従って、例えば、要素のリストをつなぐために使用されるとき、用語「or」は、リスト内の要素のうちの1つ、幾つか、又は全てを意味する。
【0107】
上記の詳細な説明は、種々の実施形態に適用される場合に新規の特徴を示し、説明し、及び指摘するが、本開示の精神から逸脱することなく、例証されたデバイス又はアルゴリズムの形式及び詳細において、様々な省略、置換、及び変更を加えることができる点を理解されたい。理解できるように、一部の特徴は、他の特徴とは別に使用すること又は実施することができるので、本明細書で記載される本発明の特定の実施形態は、本明細書に示した特徴及び利点の全てを提供しない形態の範囲内で具現化することができる。
【0108】
更に、主題は、構造的特徴及び方法論的動作に特有の用語で説明してきたが、添付の請求項に記載する主題は、上記で説明した特定の特徴又は動作に必ずしも限定されるわけではないことを理解されたい。むしろ、上記で説明した特定の特徴及び動作は、請求項を実施する例示的な形態として開示される。