(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記塔頂流中のアセトニトリルの質量百分率及び前記塔側流中のアクリロニトリルの質量百分率を、前記蒸留塔への水性溶媒の流量及び蒸留塔の温度に基づいて制御する、請求項1又は2に記載の方法。
前記塔頂流の不純物が、アセトニトリル、オキサゾール及びそれらの混合物からなる群から選択され、前記塔側流の不純物が、アクリロニトリル、HCN及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリルの回収及び精製システムが知られている。例えば米国特許第4234510号、第3936360号、第3885928号、第3433822号、及び第3399120号を参照されたい。
通常は、プロピレン、アンモニア及び空気を、アンモ酸化触媒を用いて気相中で反応させる。それから蒸気を多く含む反応器流出物が急冷システムを通過し、そこで反応器流出物が水性の急冷液体、通常水、と直接接触する。この急冷により未反応のアンモニア及び重いポリマーが除去される。それから急冷された気体は吸収塔へ進む。
【0003】
吸収体中で、前記気体は吸収液体、これも通常水、と再度直接接触する。水、アクリロニトリル、アセトニトリル、HCN及び関連する不純物は、吸収体の底で水性溶液中に残る。不活性ガスは吸収体の頂点から除去される。それから水性溶液は回収塔へ進む。この塔は、抽出蒸留を通して水性溶液からアセトニトリルを除去する。
【0004】
アクリロニトリルの製造方法における回収塔は、反応器中でのアンモ酸化工程の間に作られるアクリロニトリル、シアン化水素(HCN)、アセトニトリル、水、及び他の望まれない不純物を含む肥沃水(rich water)から粗アクリロニトリルを回収するのに重要な役割を担っている。非常に近い沸点を有するアクリロニトリル及びアセトニトリルを分離するために、抽出蒸留する方法が回収塔の中で用いられる。抽出蒸留を促進するために、塔の頂点に溶媒水が添加される。アセトニトリル及び他の重い不純物は溶媒水とともに塔の底部に押し下げられ、その一方で、HCN及びアクリロニトリル−水共沸混合物を、粗アクリロニトリルとして塔の頂点から回収する。
それから粗アクリロニトリルを精製区域で更に処理して純アクリロニトリルを回収する。塔の底部区域は、回収塔の再沸器中の蒸気を用いるストリッピング工程によって粗アセトニトリルを回収するために用いられる。
【0005】
肥沃水から粗アクリロニトリルを回収する塔の動作性能は、添加される溶媒水の量、溶媒水の温度、再沸器中で用いられる蒸気の量、及び肥沃水の温度等の複数の工程パラメータに依存する。これらの全ての変数は、塔頂の組成、及び塔の負荷にも強い影響を与える。工程変数間の関係のこの多変量性質は、キーとなる変数を適切に制御及び最適化するという問題をもたらす。(PID制御等の)伝統的な制御手段は、変数の著しい変化を誘発し、結果として最適以下の塔能力となる。塔能力の最適化は、蒸気の使用の節約、及び工場のスループットの向上のために非常に重要である。例えば、過剰な溶媒水の使用により、回収する粗アクリロニトリル中のオキサゾール及びアセトニトリル等の不純物の量は減少するものの、塔の負荷が増加し、従って蒸気の使用が増加する。これはより多くの肥沃水を処理する塔の処理能力を減少させ、工場全体のスループットを減少させる。一方、より少ない溶媒水では、粗アクリロニトリル中の不純物及びアセトニトリルの量が増加する。最終製品中にこれら不純物の過剰な量が存在すると、アクリロニトリルの仕様書要求事項を満たさないという結果となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の説明は限定的意味で解釈すべきではなく、典型的な実施形態の一般原理の説明の目的のためのみになされる。本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0013】
回収塔
任意のタイプの回収塔を、本方法に関連して用いてもよい。いくつかのタイプの回収塔構造を、例として本明細書に記載する。
【0014】
アセトニトリルからアクリロニトリルを分離する従来の方法を
図1に示す。
図1に示されるように、アクリロニトリル吸収体(図示せず)からの供給流1が第1の塔10へと送られる。供給流1は、典型的にはアクリロニトリル、シアン化水素(HCN)、アセトニトリル、及び水を含む。実質的にアセトニトリルを含まない水流2は第2の塔20の底又はその付近から、第1の塔10の上部へと再利用され、抽出蒸留によるアクリロニトリル及びHCNからのアセトニトリルの分離を促進する。供給流1からのアクリロニトリル、HCN及び一部の水を含む流れ3は、第1の塔10の頂点から除去される。水及びアセトニトリルを含む液流4は、第1の塔10の底から第2の塔20への供給として送られる。第2の塔20からの蒸気流5は、第1の塔10における蒸留に必要な熱を提供するために第1の塔10へ送られる。蒸気塔側流4vは第2の塔20の上部へ移動しアセトニトリルを含む。アセトニトリル、水並びに少量のアクリロニトリル及びHCNを含む粗アセトニトリル流6は第2の塔20の頂点から除去される。実質的にアクリロニトリル、HCN、及びアセトニトリルを含まず、かつ第1の塔10へと戻る水流2として再利用されない残水流7は、第2の塔20の底又はその付近で、第2の塔から排出される。
【0015】
粗アセトニトリルからアクリロニトリルを分離する他の従来の方法を
図2に示す。
図2に示されるように、アクリロニトリル吸収体(図示せず)からの供給流101は、塔110へと送られる。供給流101は、典型的にはアクリロニトリル、シアン化水素(HCN)、アセトニトリル及び水を含む。実質的にアセトニトリルを含まない缶出液流102は塔110の底又はその付近から、塔110の頂点へと再利用され、抽出蒸留によるアクリロニトリル及びHCNからのアセトニトリルの分離を促進する。塔110の頂点へ再利用されない缶出液流102の一部は、流れ107として塔110から排出される。供給流101からのアクリロニトリル、HCN、及び一部の水を含む塔頂流103は、塔110の頂点から除去される。蒸気塔側流5vは塔110の上部へ移動し、水及びアセトニトリルを含む塔側流104(
図1の4vに相当)は塔110から除去される。
【0016】
回収塔の他の例を
図3に示す。この態様において、装置300は塔310を含む。塔310は頂点区域330、中間区域340、及び底部区域350を含む。単独の塔310の中間区域340は、供給流301を受け取るために構成されてもよい。ある態様では、塔は頂点区域及び中間区域を含み、前記頂点区域に対する前記中間区域の直径比は約0.8〜約1.2であり、他の態様では約0.9〜約1.1であり、他の態様では約1.5〜約2.5であり、他の態様では約1.75〜約2.25であり、他の態様では約1.8〜約2である。ある態様では、塔は中間区域及び底部区域を含み、前記中間区域に対する前記底部区域の直径比は約0.8〜約1.2であり、他の態様では約0.9〜約1.1であり、他の態様では約1.5〜約2.5であり、他の態様では約1.75〜約2.25であり、他の態様では約1.8〜約2である。ある態様では、塔は頂点区域及び底部区域を含み、前記頂点区域に対する前記底部区域の直径比は約0.8〜約1.2であり、他の態様では約0.9〜約1.1であり、他の態様では約1.5〜約2.5であり、他の態様では約1.75〜約2.25であり、他の態様では約1.8〜約2である。ある態様では、前記頂点区域、前記中間区域及び前記底部区域は、それぞれ前記回収塔の約25%〜約40%の高さ(接線から接線まで(tangent to tangent))である。
【0017】
図3に示されるように、アクリロニトリル、HCN及び水を含む塔頂流303は塔310の頂点から除去される。塔頂流303はデカンタ501へ送られる。この態様において、前記方法は、前記デカンタ体積を、前記デカンタの一日当たりの平均体積の約50%〜約70%に維持することを含む。他の態様では、前記方法は、前記デカンタ体積を、前記デカンタの一日当たりの平均体積の約50%〜約60%、他の態様では約55%〜約70%、他の態様では約55%〜約60%に維持することを含む。他の態様では、前記デカンタからの有機流量(organic flow)は、塔から提供されるアクリロニトリル及びアセトニトリル混合物の体積の約6%〜約11%である。他の態様では、前記デカンタからの有機流量は、約6%〜約10%であり、他の態様では約8%〜約10%であり、他の態様では約8.75%〜約10%である。
【0018】
図3に更に示されるように、前記回収塔は粗アセトニトリル濃縮域342を含んでもよい。前記粗アセトニトリル濃縮域342は、内部垂直バッフル344を含む。前記粗アセトニトリル濃縮域は、複数のトレイを含んでもよい。前記トレイは塔の種々の高さに位置しており、各トレイは粗アセトニトリル濃縮域342の断面を横切って延びる水平面を含む。粗アセトニトリル濃縮域342は、粗アセトニトリル濃縮域342の塔310から塔側流306を流出させるように構成された上部出口を含む。蒸気は流れ304又は蒸気流5vとして、バッフル344のいずれかの側面から上方に流れてもよい。塔310の頂点に再利用されない缶出液流302の一部は、流れ307として排出される。
【0019】
前記回収塔は、頂点区域、中間区域及び底部区域を含んでもよい。ある態様では、頂点区域、中間区域及び底部区域は前記回収塔のそれぞれ約25%〜約40%の高さ(接線から接線まで)である。各回収塔の区域は、更に各部に分けられてもよい。例えば、前記回収塔の前記中間区域は、頂点部、中間部及び底部を有する。この態様において、前記頂点部、前記中間部及び前記底部は、それぞれ前記回収塔の前記中間区域の約25%〜約40%の高さである。他の態様では、前記回収塔の前記頂点区域は、頂点部及び底部を含み、それぞれ前記回収塔の前記頂点区域の約40%〜約60%の高さである。他の態様では、前記回収塔の前記底部区域は頂点部及び底部を含み、それぞれ前記回収塔の前記底部区域の約40%〜約60%の高さである。
【0020】
他の態様では、前記回収塔は約80個〜約120個の、他の態様では約80個〜約100個のトレイを含んでもよい。前記回収塔中の複数のトレイは、頂点区域のトレイ、中間区域のトレイ、及び底部区域のトレイを含む。この態様において、前記頂点区域のトレイ、前記中間区域のトレイ及び前記底部区域のトレイは、それぞれ前記回収塔の合計トレイ数の約25%〜約40%である。
【0021】
前記回収塔の前記頂点区域のトレイは、頂点部のトレイ及び底部のトレイを含み、それぞれ前記回収塔の前記頂点区域のトレイの合計トレイ数の約40%〜約60%である。前記中間区域のトレイは、頂点部のトレイ、中間部のトレイ及び底部のトレイを含む。前記頂点部のトレイ、前記中間部のトレイ及び前記底部のトレイは、それぞれ前記回収塔の前記中間区域のトレイの合計トレイ数の約25%〜約40%である。前記回収塔の底部区域のトレイは、頂点部のトレイ及び底部のトレイを含み、それぞれ前記回収塔の前記底部区域のトレイの合計トレイ数の約40%〜約60%である。
【0022】
回収塔の運転
前記回収塔に提供される供給流は、典型的にはアクリロニトリル、シアン化水素(HCN)、アセトニトリル及び水を含む(
図1の供給流1、
図2の供給流101、
図3の供給流301に示される)。この態様において、前記回収塔に供給される前記供給流は、約2質量%〜約10質量%の、他の態様では約3質量%〜約7質量%の、他の態様では約4質量%〜約6質量%のアクリロニトリルを含む。前記混合物はまた、約0.1質量%〜約0.3質量%のアセトニトリルの量のアセトニトリル、他の態様では約0.15質量%〜約0.25質量%のアセトニトリルの量のアセトニトリルを含む。前記混合物はまた、例えばアクロレイン及び/又はオキサゾール等の他の成分を少量含んでもよい。前記回収塔に提供される前記供給流は、約162°F(72.2℃)〜約175°F(79.4℃)、他の態様では約165°F(73.8℃)〜約167°F(75℃)、他の態様では約165°F(73.8℃)〜約166°F(74.4℃)、他の態様では約166°F(74.4℃)〜約167°F(75℃)の温度を有する。
【0023】
水性溶媒は、溶媒水であってもよく、前記塔の頂点部で前記回収塔へ入る(
図1の水流2、
図2の水流102、
図3の水流302で示される)。前記回収塔の頂点へ導入される溶媒水はトレイを越えてタワーの下に流れ、前記回収塔の底部へ進むにつれてアセトニトリルを濃縮及び抽出する。液体が前記回収塔の前記トレイを越えてタワーの底部へ降下するとき、ストリッパからの熱蒸気及び添加される生蒸気からの熱は、前記トレイ上の液体と密接な接触を可能にする前記トレイの穴を通ってタワーの上部へ移動する。熱移動は前記液体及び蒸気の往来間で行われ、全ての有機物(アセトニトリルを除く)を前記塔の頂点へと移動させる傾向にある。回収塔に入る水性溶媒の温度は、約102°F(38.8℃)〜約128°F(53.3℃)、他の態様では約102°F(38.8℃)〜約108°F(42.2℃)、他の態様では約116°F(46.4℃)〜約128°F(53.3℃)、他の態様では約105°F(40.5℃)〜約106°F(41.1℃)であってもよい。
【0024】
前記回収塔により生成される前記塔頂流(
図1の流れ3、
図2の流れ103、
図3の流れ303に示される)は、前記供給流からのアクリロニトリル、HCN及び一部の水を含んでもよい。ある態様では、前記塔頂流中のオキサゾール濃度は、約30ppm以下、他の態様では約25ppm以下、他の態様では約15ppm以下、他の態様では約30ppm〜約0.5ppm、他の態様では約30ppm〜約0.5ppm、他の態様では約25ppm〜約0.5ppm、他の態様では約25ppm〜約5ppm、他の態様では約15ppm〜約0.5ppm、他の態様では約15ppm〜約5ppmに維持されている。
【0025】
前記回収塔は、水並びに実質的にアクリロニトリル及びHCNを含まないアセトニトリルを含む蒸気塔側流(
図2の流れ104、
図3の304に示される)を形成してもよい。ある態様では、塔供給速度(アクリロニトリル及びアセトニトリルを含む混合物(米ガロン/分(0.0038m
3/hr)))に対する塔側流の流速(MSCFH−100万標準立方フィート毎時(28320m
3/hr))の比は、約0.1〜約0.3であり、他の態様では約0.1〜約0.2125であり、他の態様では約0.1〜約0.2であり、他の態様では約0.2〜約0.225であり、他の態様では約0.2〜約0.2125である。他の態様では、前記塔側流中のHCN濃度は、約2質量%以下、他の態様では約1質量%以下、他の態様では約0.5質量%以下、他の態様では約2質量%〜約0.1質量%、他の態様では約1質量%〜約0.1質量%に維持されている。
【0026】
前記回収塔はまた、前記回収塔の底部から出ていく缶出液流(
図1の缶出液流2、
図2の缶出液流102、
図3の缶出液流302に示される)を形成してもよい。前記缶出液流の少なくとも一部は、前記回収塔の頂点部へと再利用されてもよい。前記回収塔を加熱する知られた方法は例えば、蒸気、蒸気加熱再沸器及び/又は他のプロセス流を用いた熱交換を含む。
【0027】
ある態様では、前記方法は、流速を制御して約1:2〜約1:1.6であるアクリロニトリル及びアセトニトリルを含む前記混合物の流速に対する前記水性溶媒の流速の比を与える工程を含む。前記方法は、流速を制御して約1:1.25〜約1:1.7であるアクリロニトリル及びアセトニトリルを含む前記混合物の流速に対する前記塔側流の流速の比を与える工程を更に含んでもよい。他の態様では、前記塔は約16psid(ポンド毎平方インチ圧力差(110.32kPa))以下、他の態様では約12psid(82.7kPa)以下の圧力降下を有する。この態様において、psidは前記塔の前記頂点及び前記底部の間の圧力差を表す。
【0028】
温度制御
図4は回収塔の運転の温度プロファイルを示す。
図4に示されるような適切な温度制御及び温度プロファイルは、塔の適切な運転のために重要である。
図4の点線で定義される温度プロファイル内部での変動は、溶媒水並びに供給温度、溶媒水の速度及び流れの速度に関する変化の組み合わせにより影響を受け得る。塔の圧力もプロファイルを変化させ得る。
【0029】
曲線上の点“A”より上の変化は、主に組成及び圧力の変動に起因している。点“A”より上の温度変動は重要ではないが、塔頂に向かうオキサゾール、アセトニトリル、アセトン及び水の量を最小限にするために、前記塔頂の温度をできるだけ低く保つべきである。点“B”より下の温度変動は、この区域の組成は大部分が水であるので、主にトレイの圧力変化に起因している。
【0030】
前記回収塔の温度制御は、再沸器及び熱交換器を含むことができる既知の温度制御システムを含む。ある態様では、前記回収塔の前記底部における必要な沸き上げを引き起こすのに要求される熱量は、従来の任意の再沸器装置における熱移動により提供されてもよい。従来の再沸器は、多管式熱交換器のいくつかの変形を含んでもよい。再沸器の構造のいくつかの例として、ケトル、サーモサイフォン、強制循環、スタブドイン(stab−in bundle)、横型、縦型及び流下液膜を含む。ある態様では、前記方法は、前記回収塔の前記底部又はその付近の液体を除去することによる温度の制御及びサーモサイフォン再沸器中の液体の交換を含む。この態様において、前記サーモサイフォン再沸器からの流出物は前記回収塔へ戻される。生蒸気は前記回収塔に要求される熱量を補うか、又は置き換えるかのどちらかのために注入されてもよい。他の態様では、前記方法は、タービン排気由来の加圧蒸気を用いて、2つの垂直サーモサイフォン再沸器を同時に通して前記回収塔を再沸することを含む。
【0031】
ある態様では、回収塔の温度を下記のように維持する。
前記回収塔の前記中間区域の前記頂点部を、約65℃〜約85℃、他の態様では約70℃〜約80℃の温度に維持し、
前記回収塔の前記中間区域の前記底部を、約100℃〜約120℃、他の態様では約105℃〜約115℃に維持し、
前記回収塔の前記頂点区域の前記頂点部を、約55℃〜約80℃、他の態様では約60℃〜約75℃に維持し、
前記回収塔の前記頂点区域の前記頂点部及び前記底部は、約0℃〜約20℃、他の態様では約5℃〜15℃の温度差を有し、
前記回収塔の前記底部区域の前記底部を、約105℃〜約125℃、他の態様では約110℃〜120℃に維持し、そして
前記回収塔の前記底部区域の前記頂点部及び前記底部は、約0℃〜約15℃、他の態様では約7℃〜約13℃の温度差を有する。
【0032】
他の態様では、回収塔の温度を下記のように維持する。
前記回収塔の前記中間区域の前記頂点部のトレイを、約65℃〜約85℃、他の態様では約70℃〜約80℃の温度に維持し、
前記回収塔の前記中間区域の前記底部のトレイを、約100℃〜約120℃、他の態様では約105℃〜約115℃に維持し、
前記回収塔の前記頂点区域の前記頂点部のトレイを、約55℃〜約80℃、他の態様では約60℃〜約75℃に維持し、
前記回収塔の前記頂点区域の前記頂点部のトレイ及び前記底部のトレイは、約0℃〜約20℃、他の態様では約5℃〜約15℃の温度差を有し、
前記回収塔の前記底部区域の前記底部のトレイを、約105℃〜約125℃、他の態様では約110℃〜約120℃に維持し、そして
前記回収塔の前記底部区域の前記頂点部のトレイ及び前記底部のトレイは、約0℃〜約15℃、他の態様では約7℃〜約13℃の温度差を有する。
【0033】
他の態様では、前記回収塔の中間区域における温度を下記のように制御する。
ある態様では、前記回収塔の前記中間区域における温度降下は、前記回収塔の頂点トレイから底部トレイまでの温度降下の約35%以上であり、
他の態様では、前記回収塔の前記中間区域における温度降下は、前記回収塔の頂点トレイから底部トレイまでの温度降下の約50%以上であり、
他の態様では、前記回収塔の前記中間区域における温度降下は、前記回収塔の頂点トレイから底部トレイまでの温度降下の約75%以上であり、
他の態様では、前記回収塔の前記中間区域における温度降下は、前記回収塔の頂点トレイから底部トレイまでの温度降下の約75%であり、
他の態様では、前記回収塔の前記中間区域における温度降下は、前記回収塔の頂点トレイから底部トレイまでの温度降下の約80%である。
【0034】
前記回収塔の温度制御は、次の組成を有する塔頂流、缶出液流及び塔側流を形成する。
塔頂流は、前記アクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリル、他の態様では約0.03質量%以下のアセトニトリル、他の態様では約0.01質量%以下のアセトニトリルを含み、
塔頂流は、約70質量%〜約90質量%のアクリロニトリル、他の態様では約75質量%〜約85質量%のアクリロニトリルを含み、
缶出液流は、約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリル、他の態様では約0.0025質量%〜約0.007質量%のアセトニトリル、他の態様では約0.0025質量%〜約0.005質量%のアセトニトリルを含み、
塔側流は、約5質量%〜約70質量%のアセトニトリル、他の態様では約5質量%〜約50質量%のアセトニトリル、他の態様では約6質量%〜約12質量%のアセトニトリルを含む。
【0035】
回収塔の運転の方法であって、前記方法は、供給流を前記回収塔へ導入する前の前記回収塔中の制御トレイを約100℃〜約105℃の温度にする工程を含む。この態様において、前記制御トレイは前記回収塔の中間区域に位置する。前記方法は、供給流を前記回収塔に導入する前の前記回収塔の頂点区域の中を約100℃以下の温度にする工程を更に含み、他の態様では、前記供給流を前記回収塔に導入する前の前記回収塔の前記頂点部は、約70℃〜約90℃である。この態様において、前記供給流は有機物を含む。有機物はアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アセトニトリル及びそれらの混合物を含んでもよい。
【0036】
示された温度にした後、前記方法は、アクリロニトリル及びアセトニトリルの混合物を前記回収塔に提供する工程と、アクリロニトリル及びアセトニトリルの前記混合物を水性溶媒に接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を形成する工程と、前記アセトニトリルから前記アクリロニトリル−水共沸混合物を分離して前記アクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含む塔頂流を形成する工程とを含む。前記方法は、約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む缶出液流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む塔側流を形成する。
【0037】
他の態様では、回収塔の運転方法は、供給流を前記回収塔に導入する前の前記回収塔の前記頂点区域の中を約100℃以下の温度にする工程を含む。この態様において、供給流を前記回収塔に導入する前の前記回収塔の前記頂点区域は、約70℃〜約90℃である。
【0038】
示された温度にした後、前記方法は、アクリロニトリル及びアセトニトリルの混合物を前記回収塔に提供する工程と、アクリロニトリル及びアセトニトリルの前記混合物を水性溶媒に接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を形成する工程と、前記アセトニトリルから前記アクリロニトリル−水共沸混合物を分離して前記アクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含む塔頂流を形成する工程とを含む。前記方法は、約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む缶出液流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む塔側流を形成する。
【0039】
高度プロセス制御
アクリロニトリル及びアセトニトリルの混合物を抽出蒸留する方法の一つの目的は、塔頂流中及び側流抜き出し中の不純物を減らすことを含む。第1の制御態様において、不純物レベルの制御は、前記回収塔に添加される水の量及び塔の温度を含む。他の制御態様において、制御はデカンタ中の材料のレベル又は量及び前記回収塔の圧力降下を含む。更なる制御は、前記塔頂流中のオキサゾール不純物レベル、側流抜き出し中のHCNレベル、肥沃水に対する溶媒水の流量比、及び肥沃水に対する側流抜き出しの流量比を含んでもよい。
【0040】
ある態様では、前記方法の制御は、一連の操作変数に対する同時の制御アクションを決定するためのモデル予測制御に基づく高度プロセスコントローラを用いて、少なくとも一連の制御変数を制御しながら同時に少なくとも一連のパラメータを最適化する工程を含む。この態様において、前記一連の操作変数は、前記蒸留塔へ添加される水性溶媒の量及び前記蒸留塔の温度を含んでもよい。前記一連の制御変数は、前記塔頂流中のアセトニトリルの量及び前記塔側流中のアクリロニトリルの量を含んでもよい。前記一連の制御変数は、デカンタレベル及び/又は蒸留塔の圧力降下を更に含んでもよい。他の態様では、前記制御変数は、前記塔頂中のオキサゾールレベル、アクリロニトリル及びアセトニトリルを含む前記混合物の流速に対する水性溶媒の流速の比、アクリロニトリル及びアセトニトリルを含む前記混合物の流速に対する塔側流の流速の比、並びにそれらの組み合わせを含むパラメータを更に含む。
【0041】
本明細書で用いられているように、“操作変数”という用語は、前記高度プロセスコントローラにより調節される変数を意味する。“制御変数”という用語は、所定の値(設定点)で、又は所定の範囲内(設定範囲)で前記高度プロセスコントローラにより保たれる変数を意味する。“変数の最適化”とは、変数を最大化又は最小化すること、及び変数を所定の値に維持することを意味する。
【0042】
モデル予測制御の1つの態様は、将来のプロセス挙動を、前記制御変数のモデル及び利用可能な測定を用いて予測することである。コントローラの出力は、予測誤差及び計算された将来の制御動作の一次又は二次関数である性能指数を最適化するように計算される。サンプリングする各々の時点で、制御計算が繰り返され、現在の測定に基づいて予測がアップデートされる。この態様において、適切なモデルは、操作変数のステップ応答の前記制御変数への影響を表す一連の実験に基づいたステップ応答モデルを含む。
【0043】
最適化すべきパラメータに対する最適値は、分離された最適化工程から得ることができ、又は最適化すべき変数を、性能関数の中に含めることができる。
【0044】
モデル予測制御を適用できる前に、まず、前記操作変数のステップ変化が前記最適化すべき変数及び前記制御変数に与える影響を決定する。これは一連のステップ応答係数となる。この一連のステップ応答係数は、プロセスのモデル予測制御の基礎を形成する。
【0045】
通常運転の間、前記制御変数の予測値は、多くの将来の制御動作に対して定期的に計算される。これら将来の制御動作に対して、性能指数が計算される。前記性能指数は2つの項を含んでおり、第1の項は各制御動作に対する予測誤差の将来の制御動作の合計を表し、第2の項は各制御動作に対する前記操作変数における変化の将来の制御動作の合計を表す。各制御変数に対し、前記予測誤差は、前記制御変数の予測値と前記制御変数の参照値間の差異である。前記予測誤差に重み係数を乗じ、制御動作に対する操作変数の変化に動作抑制係数を乗じる。ここで述べた性能指数は一次である。
【0046】
代替として、項は二次の項の合計であってもよく、その場合、前記性能指数は二次である。更に、操作変数、操作変数の変化及び制御変数に制約を設定することができる。その結果、性能指数の最小化と同時に解決される別の一連の方程式が得られる。
【0047】
最適化は2通りの方法で行うことができる。第一の方法は性能指数の最小化とは別途に最適化する方法、そして第二の方法は性能指数内で最適化する方法である。
【0048】
最適化を別途に行う場合、最適化すべき変数は各制御動作に対する前記予測誤差中の制御変数として含まれ、最適化によって前記制御変数に対する参照値が得られる。
【0049】
代替として、最適化を性能指数の計算内で行うと、適切な重み係数をもつ性能指数の第3の項が得られる。この場合、前記制御変数の前記参照値は、一定であり続ける所定の安定状態の値である。
【0050】
前記性能指数は、前記将来の制御動作に対する前記操作変数の値を与えるため、制約を考慮して最小化される。しかしながら、その次の制御動作だけは実行される。それから将来の制御動作に対する前記性能指数の計算が再度始まる。
【0051】
ステップ応答係数を有するモデル及びモデル予測制御に必要とされる方程式は、液化プロセスを制御するために実行されるコンピュータプログラムの一部である。モデル予測制御を扱うことができるそのようなプログラムが読み込まれたコンピュータプログラムは、高度プロセスコントローラと呼ばれる。役立つ商業的に利用可能なコンピュータプログラムは、例えばAspen TechnologyのDMCplus(登録商標)及びEmersonのPredictPro(登録商標)を含む。
【0052】
ある態様では、前記方法は塔の処理能力の増加をもたらす。塔の処理能力は、塔が処理できる肥沃水(塔に提供されるアクリロニトリル及びアセトニトリルを含む混合物)の量として定義される。この態様において、前記方法は、約0.00002〜約0.00003の断面積(供給注入口のレベル(mm
2))に対する塔の処理能力(トン/時)の比をもたらす。
【0053】
他の態様では、前記方法はエネルギーの使用の減少をもたらす。この態様において、前記方法は、塔に提供されるアクリロニトリル及びアセトニトリルの前記混合物1ガロンにつき、1600btu以下、他の態様では約1500btu以下、他の態様では約1400btu以下のエネルギーの使用をもたらす。
【0054】
ここで開示された本発明は特定の実施形態、例、及びその用途を用いて説明したが、特許請求の範囲で説明される本発明の範囲を逸脱することなく、当業者による大幅な修正及び変更が可能である。