特許第6880031号(P6880031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880031少なくとも1種のカチオン性アクリルコポリマーを含む組成物を使用する毛髪処理方法
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  • 特許6880031-少なくとも1種のカチオン性アクリルコポリマーを含む組成物を使用する毛髪処理方法 図000035
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880031
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】少なくとも1種のカチオン性アクリルコポリマーを含む組成物を使用する毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20210524BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q5/00
   A61Q5/06
【請求項の数】13
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2018-532656(P2018-532656)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公表番号】特表2018-538336(P2018-538336A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2016082503
(87)【国際公開番号】WO2017109146
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年6月21日
(31)【優先権主張番号】1563082
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ドブレス
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・ロンシャール
【審査官】 星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−255622(JP,A)
【文献】 特開平07−309726(JP,A)
【文献】 特表平08−512083(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19514630(DE,A1)
【文献】 特開2012−136464(JP,A)
【文献】 ANONYMOUS,PERSONAL CARE PRODUCT CATALOGUE FOR COSMETICS,[ONLINE],GOO CHEMICAL,2015年 1月,PAGE(S): 1-10,URL,http://www.goo-chem.co.jp/english/product/pdf/cosmetic/cosmetics_catalogue_en_2013.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維、とりわけ毛髪の処理方法であって、以下の工程:
− 以下のモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含むモノマー、および
b)アルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー、および
c)次式:
【化1】
(式中、RおよびR’は、同一であっても異なってもよく、水素原子またはC〜C10アルキル基を表し;
xは、1〜10の範囲である)
を有するモノマーから得られる第3単位
から得られる単位を少なくとも含む1種以上のカチオン性アクリルコポリマーを含む組成物の前記ケラチン繊維への塗布、並びに
− 加熱具を用いる前記ケラチン繊維への熱の適用であって、前記熱の適用が前記組成物の塗布前、塗布中または塗布後に行われ、90℃〜250℃の間で熱が前記繊維に加えられる熱の適用
を含む方法。
【請求項2】
RおよびR’は、同一であっても異なってもよく、C〜Cアルキル基を表し;好ましくは、Rはメチル基であり;さらに好ましくは、Rはメチル基であり、R’はエチル基であり;
xは、1〜3の範囲であり、さらに好ましくはxは1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)及びb)の単位が、以下のモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含み、次式:
【化2】
(式中:
− Rは、同一であっても異なってもよく、水素原子またはCH基を意味し;
− Aは、同一であっても異なってもよく、1〜6個の炭素原子、好ましくは2もしくは3個の炭素原子の線状もしくは分岐の二価のアルキル基、または1〜4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し;
− R、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基またはベンジル基、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し;
− RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素原子または1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチルまたはエチルを表し;
− Xは、メトスルフェートアニオンまたはクロリドもしくはブロミドなどのハライドなどの、無機もしくは有機酸に由来するアニオンを意味する)
を有するモノマー;
b)C〜C30、好ましくはC〜C22、優先的にはC〜C10、さらに好ましくはC〜Cアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー
から得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物中に存在する前記アクリルカチオン性コポリマーが、以下のモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含み、次式:
【化3】
(式中:
− Rは、同一であっても異なってもよく、水素原子またはCH基を意味し;
− Aは、同一であっても異なってもよく、1〜6個の炭素原子、好ましくは2もしくは3個の炭素原子の線状もしくは分岐の二価のアルキル基、または1〜4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し;
− R、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基またはベンジル基、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し;
− RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素原子または1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチルまたはエチルを表し;
− Xは、メトスルフェートアニオンまたはクロリドもしくはブロミドなどのハライドなどの、無機もしくは有機酸に由来するアニオンを意味する)
を有するモノマー;
b)C〜C30、好ましくはC〜C22、優先的にはC〜C10、さらに好ましくはC〜Cアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー;ならびに
c)次式
【化4】
(式中、RおよびR’は、同一であっても異なってもよく、水素原子、C〜C10、好ましくはC〜Cアルキル基を表し;好ましくは、Rはメチル基であり;さらに好ましくは、Rはメチル基であり、R’はエチル基であり;
xは、1〜10、好ましくは1〜3の範囲であり、さらに好ましくは、xは1である)
を有する重合可能なエチレン性モノマー
から得られる単位を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物中に存在する前記アクリルカチオン性コポリマーが、以下のモノマー:
a)メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩、
b)ブチルメタクリレート、および
c)エトキシエチルメタクリレート
から得られる単位を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の総重量に対して、0.05質量%〜15質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%、より優先的には前記組成物の総重量に対して1質量%〜7質量%の範囲の含有量の、カチオン性アクリルコポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、増粘ポリマー、界面活性剤、官能化シリコーン、脂肪物質、およびそれらの混合物から選択される1つ以上の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
熱が、100℃〜210℃で前記繊維に加えられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
熱が、2秒〜1時間、優先的には2秒〜1分の時間、前記繊維に加えられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱具が、ストレートアイロン、カールアイロン、クリンプアイロン、ウェーブアイロン、フード、ヘアドライヤー、赤外線加熱システムまたは加熱カーラーから選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
塗布される前記組成物対前記毛髪の浴比が、0.05〜10、より特に0.05〜5であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記熱適用工程が、前記組成物の塗布工程後に行われることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物を塗布する工程および熱の適用工程が、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも5回実施されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の特定のカチオン性アクリルコポリマーを含む組成物を使用する毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの非侵襲性技術が現在、整髪のニーズを満たすために存在する。整髪製品は通常、ヘアスタイルを組み立て、構築するために、およびそれを長く維持するようにするために使用される。これらの組成物は一般に、美容上受け入れることができる媒体中の、1種以上の固定フィルム形成ポリマーを含む。これらのポリマーは、毛髪上のコーティングフィルムの形成、または個々の毛髪間の微細接合部の形成を可能にし、こうしてヘアスタイルの維持を確実にする。
【0003】
整髪製品は一般に、ラッカー、ムースまたはゲルの形態にある。特に、整髪ゲルが、ヘアスタイルの強い固定を得るために多くの場合使用される。整髪ゲルは、1種以上の増粘ポリマーで増粘されたまたはゲル化された、1種以上の固定フィルム形成ポリマーの溶液である。
【0004】
しかし、これらの技術によって提供される効果は最初のシャンプー洗浄中に消失し、所望の効果を得るためにそれらを再塗布することが必要である。これは、多かれ少なかれ長いおよび面倒なルーチンを消費者に強いる。例えば、縮れ髪用のブロー乾燥製品については、整髪スプレーを塗布した後に、製品は、全体頭髪にわたって一様に分配され、引き続きブロー乾燥を行う必要があり、それは、所望の結果に応じて5分〜45分を要し得る。
【0005】
対照的に、長持ちするシェイプ製品は、繊維の構造が、毛髪の元の形状を強いるジスルフィド結合を破壊し(還元し)、引き続き再橋架けすること(例えば、パーマネントウェーブの場合にはカーラーの挿入などの機械的作用後にシスチンへのシステインの酸化)によって決定的に変更されることを可能にする。しかし、これらの製品は、一様な結果を保つために、毛髪再成長が起こるとすぐに毛根に再塗布されなければならない。結果は、不可逆的であり、毛髪を損傷する。リラクシング製品の重ね合わせは、例えば、不快感を引き起こし、長期的に、切れ毛のポイントに至るまでであり得る繊維の実際の劣化をもたらす。
【0006】
半永久整髪製品の目的は、時間の節約と改善された安全性とを消費者に提供するように繊維の完全性を同時に保ちながら、1回以上のシャンプー洗浄後の整髪効果の耐久性に関して満足感を提供することである。用語「整髪効果」は、扱いやすさ(まとまりやすさ)、コシの提供、カールのつき具合、ボリュームコントロール、光沢、自然乾燥、ブロー乾燥および/またはフラットトングの使用による整形の容易さ、ならびにヘアセッティングの観点からの性能を意味する。理想的には、ある作用を用いてかまたは化粧落としとして働く組成物によってそれが容易に除去できることもまたこの種の製品に期待される。
【0007】
さらに、製品は静電気を発生させてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トリートメント、とりわけ繊維のコーティングを処理繊維に与えるトリートメントであって、以下の基準:
○ 繊維に付着し、数回のシャンプー洗浄後に認知できるままであること、
○ 毛髪を容易に、かつ、耐久的に整形させること、
○ 良好な化粧品品質を提供すること、
○ 毛髪を損傷するといういかなるリスクもなしに、使用するのが簡単であること、
○ 通常使用されるヘアトリートメント(シャンプー、ヘアコンディショニング、着色料)と、しかしまた皮脂とも相性が良いこと
を満たすトリートメントを処方することがしたがって必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
加熱具、例えばヘアドライヤーまたはストレートアイロンの使用と組み合わせた、好ましくは水不溶性である、少なくとも1種の特定のカチオン性アクリルポリマーを含有する組成物の使用が、シャンプーに対して持続性があり、かつ、所望の整髪特性を提供し、同時に繊維に優しい、コーティングを毛髪繊維周りに生み出すことを可能にすることが今発見された。さらには、このコーティングは、シャンプーに対して持続性を有する。さらに、本方法に従って塗布されたこの組成物は、良好な実用的品質(分配、乾いたおよび湿った毛髪の解きほぐし、個別化)を有する。
【0010】
本発明の主題は、したがってとりわけ、ケラチン繊維、とりわけ毛髪の処理方法であって、以下の工程:
− 以下のモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含むモノマー、および
b)アルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー
から得られる単位を少なくとも含む1種以上のカチオン性アクリルコポリマーを含む組成物のケラチン繊維への塗布と、
− 加熱具を用いるケラチン繊維への熱の適用であって、
熱の適用が組成物の塗布前、塗布中または塗布後に、好ましくは塗布中または塗布後に場合により行われる熱の適用と
を含む方法である。
【0011】
このように処理された繊維は、シャンプーに対して持続性のあるコーティングを有する。この方法に従って塗布された組成物は、整形特性を与え、良好な実用的品質(分配、乾いたおよび湿った毛髪の解きほぐし、個別化)を塗布時におよびシャンプー後に有する。
本発明の他の特性、態様、目的および利点は、詳細な説明、以下の実施例を読むと、および異なる組成物が、5回実施される(写真1Aおよび2A)、または1回塗布される(写真1Bおよび2B)プロトコルによって、塗布された毛髪の房の4つの写真に相当する一つだけの図を読み取るとさらにより明らかに分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、縮れ制御に関する実施例の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、特に明記しない限り、特に表現「間の」および「〜の範囲の」における、値の範囲の限界は、この範囲内に含められる。
【0014】
さらに、本説明で用いられる表現「少なくとも1つ」は、表現「1つ以上」と同等である。
【0015】
本出願によれば、「ケラチン繊維」は、ヒトケラチン繊維、より具体的には毛髪を意味する。
【0016】
塗布工程
本発明による方法は、組成物をケラチン繊維に塗布する工程を含む。
【0017】
コポリマー
本発明による方法に従って有用である組成物は、以下のモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含むモノマー、および
b)アルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマーであって、アルキル基が、1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜22個の炭素原子、さらに好ましくは1〜10個の炭素原子、優先的には2〜6個の炭素原子を含むモノマー
から得られる単位を少なくとも含む、少なくとも1種のアクリルカチオン性コポリマーを含む。
【0018】
本発明の目的のためには、用語「カチオン性化合物または基」は、恒久的なカチオン電荷または媒体のプロトンによる、アミン官能基などの、官能基(カチオン化可能な)のプロトン化によって得られる電荷を有する化合物または基を意味する。
【0019】
好ましくは、本発明によるコポリマーは水不溶性である。本発明の目的のためには、用語「水不溶性」は、常温(25℃)でおよび大気圧(760mmHgまたは1.013×10Pa)で水に不溶である(5%未満、好ましくは1%、さらにより優先的には0.1%の溶解度)化合物を意味する。
【0020】
優先的には、アクリルカチオン性コポリマーは、c)重合可能なエチレン性モノマー、好ましくは、次式:
【化1】
(式中、RおよびR’は、同一であっても異なってもよく、水素原子、C1〜C10、好ましくはC1〜C4アルキル基を表し;好ましくは、Rはメチル基であり;さらに好ましくは、Rはメチル基であり、R’はエチル基であり;
xは、1〜10、好ましくは1〜3の範囲であり、さらに好ましくはxは1である)
を有するモノマーから得られる第3単位を少なくとも含有する。
【0021】
より特に、本発明による組成物中に存在するアクリルカチオン性コポリマーは、以下の2つのリストのモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含み、次式:
【化2】
(式中:
− Rは、同一であっても異なってもよく、水素原子またはCH基を意味し;
− Aは、同一であっても異なってもよく、1〜6個の炭素原子、好ましくは2もしくは3個の炭素原子の線状もしくは分岐の二価のアルキル基、または1〜4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し;
− R、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基またはベンジル基、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し;
− RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素原子または1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチルまたはエチルを表し;
− Xは、メトスルフェートアニオンまたはクロリドもしくはブロミドなどのハライドなどの、無機もしくは有機酸に由来するアニオンを意味する)
を有するモノマー;
b)C〜C30、好ましくはC〜C22、優先的にはC〜C10、さらに好ましくはC〜Cアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー
から得られる単位を少なくとも含む。
【0022】
さらにより優先的には、本発明による組成物中に存在するアクリルカチオン性コポリマーは、以下のモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含み、次式:
【化3】
(式中:
− Rは、同一であっても異なってもよく、水素原子またはCH基を意味し;
− Aは、同一であっても異なってもよく、1〜6個の炭素原子、好ましくは2もしくは3個の炭素原子の線状もしくは分岐の二価のアルキル基、または1〜4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し;
− R、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基またはベンジル基、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し;
− RおよびRは、同一であっても異なってもよく、水素原子または1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチルまたはエチルを表し;
− Xは、メトスルフェートアニオンまたはクロリドもしくはブロミドなどのハライドなどの、無機もしくは有機酸に由来するアニオンを意味する)
好ましくは、式(I)および(II)
を有する、少なくとも1つのカチオン基を含むモノマー;
b)C〜C30、好ましくはC〜C22、優先的にはC〜C10、さらに好ましくはC〜Cアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー;ならびに
c)好ましくは次式
【化4】
(式中、RおよびR’は、同一であっても異なってもよく、水素原子、C〜C10、好ましくはC〜Cアルキル基を表し;好ましくは、Rはメチル基であり;さらに好ましくは、Rはメチル基であり、R’はエチル基であり;
xは、1〜10、好ましくは1〜3の範囲であり、さらに好ましくは、xは1である)
を有するモノマーからの、重合可能なエチレン性モノマー
から得られる単位を少なくとも含む。
【0023】
さらにより特に、本発明による方法に有用である組成物は、以下のモノマー:
a)前に記載されたような式(I)または(II)の、好ましくは式(II)からのアクリルもしくはメタクリル酸エステルから誘導されるモノマー、
b)C〜C22、好ましくはC〜C10、さらに好ましくはC〜Cアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー、
c)前に記載されたような式(A’)のモノマー
から得られる単位を少なくとも含む少なくとも1種のコポリマーを含む。
【0024】
最も特に、組成物は、好ましくは水不溶性であり、以下の単位:
a)メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩、
b)ブチルメタクリレート、および
c)エトキシエチルメタクリレート
を有する、1種以上のカチオン性アクリルコポリマーを含む。
【0025】
そのようなコポリマーは、例えば、特公昭57−45266号公報に記載されている。好ましくは、ポリマーは、その塩を考慮に入れることなく、構成コポリマー中に重量で、モノマー単位の総数に対して以下の割合で:
a)0.5%〜20%、好ましくは1%〜5%の割合で;
a)20%〜98%、好ましくは40%〜97%の割合で;および
a)1.5%〜95%、好ましくは2%〜55%の割合で
前述の3つのモノマーを含有する。
【0026】
好ましくは、コポリマーは、両性ではない、すなわち、それは、アニオン電荷を有するいかなる単位をも含まない。
【0027】
好ましくは、コポリマーの単位は、すべてメタクリレート誘導体である。
【0028】
さらにより特に、コポリマーは、そのINCI名がPolyquaternium−99であるコポリマー、例えば名称Plascize L−514でGOO−Chemical社によって販売されるポリマーに相当する。
【0029】
それは、エタノール中30%で、ブチルメタクリレート/エトキシエチルメタクリレート/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマーである:
【化5】
【0030】
本発明による方法に有用である組成物中のコポリマーの含有量は、組成物の総重量に対して0.05質量%〜15質量%、好ましくは組成物の総重量に対して0.1質量%〜10質量%、より優先的には1質量%〜7質量%の範囲であってもよい。
【0031】
溶媒
組成物は、一般に水、非水性溶媒、シリコーン溶媒、およびそれらの混合物を含む美容上受け入れることができる媒体を含む。
【0032】
より特に、有機溶媒は、単独でまたは混合物として、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、ネオペンチルグリコールおよび3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの、2〜10個の炭素原子を含有する、線状もしくは分岐の、好ましくは飽和のモノアルコールもしくはジオール;ベンジルアルコールおよびフェニルエチルアルコールなどの芳香族アルコール;グリコールまたはグリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチルおよびモノブチルエーテル、プロピレングリコールまたはそのエーテル、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコールまたはジプロピレングリコールモノメチルエーテル;ならびにまた、とりわけC〜Cの、ジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはモノブチルエーテルから選択される。
【0033】
より特に、シリコーン溶媒は、揮発性および非揮発性シリコーンから選択される。
【0034】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より特に60℃〜260℃の沸点のものから、さらにより特に(i)、(ii)から選択される:
(i)3〜7個、好ましくは4〜5個のケイ素原子を含有する環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、Union Carbideによって名称Volatile Silicone(登録商標)7207またはRhodiaによってSilbione(登録商標)70045 V2で特に販売されるオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbideによって名称Volatile Silicone(登録商標)7158、およびRhodiaによってSilbione(登録商標)70045 V5で販売されるデカメチルシクロペンタシロキサン、ならびにそれらの混合物である。
【0035】
式:
【化6】
Union Carbide社によって販売されるVolatile Silicone(登録商標)FZ 3109などの、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマーが言及されてもよい。
【0036】
オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラ(トリメチルシリル)ペンタエリスリトールとの混合物(50/50)およびオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ−1,1’−ビス(2,2,2’,2’,3,3’−ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物などの、環状ポリジアルキルシロキサンとオルガノシリコン化合物との混合物がまた言及されてもよい;
(ii)2〜9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10−6/s以下の粘度を有する線状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、Toray Silicone社によって名称SH 200で特に販売されるデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries,Vol.91,Jan.76,pp.27−32、Todd & Byers,「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」に公表されている論文に記載されている。
【0037】
好ましくは、アルコールが好ましく、より特にエタノールが好ましい。
【0038】
それらが存在する場合、上に記載された通常の有機溶媒は通常、組成物の総重量に対して、1質量%〜95質量%、より優先的には2質量%〜60質量%、好ましくは3質量%〜55質量%、さらに好ましくは8質量%から50質量%を表す。
【0039】
好ましくは、本発明による方法に有用である組成物は無色である。
【0040】
本発明の目的のためには、用語「無色組成物」は、いかなる直接染料または酸化染料前駆体(酸化塩基およびカプラー)をも、または、反応によって、組成物中にまたは繊維上に着色化学種を与える、通常ヒトケラチン繊維を着色するために通常使用される、いかなる化合物をも含まない組成物、またはあるいは、それがいずれかを含む場合、総量が組成物の重量に対して0.005質量%を超えない組成物を意味する。具体的には、そのような含有量では、組成物のみが染色され、着色効果はケラチン繊維上では観察されないと言える。
【0041】
酸化染料前駆体、酸化塩基およびカプラーは、無色であるか控えめに着色した化合物であり、それらは、酸化剤の存在下での縮合反応によって、着色化学種を与えることが思い起こされる。直接染料に関して、これらの化合物は着色しており、ケラチン繊維に対するある種の親和性を有する。
【0042】
本発明による方法に有用である組成物は、増粘ポリマー、界面活性剤、官能化シリコーンなどの調整剤、および脂肪物質、ならびにそれらの混合物から選択される1種以上の添加剤を含んでもよい。
【0043】
増粘剤
組成物は、有機親和性クレーおよびヒュームド・シリカ、またはそれらの混合物から選択される1種以上の無機増粘剤をとりわけ含んでもよい。
【0044】
有機親和性クレーは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイトおよびセピオライト、ならびにそれらの混合物から選択されてもよい。クレーは好ましくは、ベントナイトまたはヘクトライトである。
【0045】
これらのクレーは、第四級アミン、第三級アミン、アミンアセテート、イミダゾリン類、アミン石鹸、脂肪スルフェート、アルキルアリールスルホネートおよびアミンオキシド、ならびにそれらの混合物から選択される化学化合物で改質されてもよい。
【0046】
有機親和性クレーとして、Rheoxによって名称Bentone 3、Bentone 38およびBentone 38V、United CatalystによってTixogel VPならびにSouthern ClayによってClaytone 34、Claytone 40およびClaytone XLで販売されるものなどの、クオタニウム(quaternium)−18ベントナイト;Rheoxによって名称Bentone 27、United CatalystによってTixogel LGならびにSouthern ClayによってClaytone AFおよびClaytone APAで販売されるものなどの、ステアルコニウム(stearalkonium)ベントナイト;ならびにSouthern Clayによって名称Claytone HTおよびClaytone PSで販売されるものなどの、クオタニウム−18/ベンザルコニウムベントナイトが言及されてもよい。
【0047】
ヒュームド・シリカは、酸水素炎中での揮発性ケイ素化合物の高温加水分解によって得られてもよく、微粉化シリカを生成する。この方法は、多くのシラノール基をそれらの表面に有する親水性シリカを得ることを特に可能にする。そのような親水性シリカは、例えば、Degussa社によって名称Aerosil 130(登録商標)、Aerosil 200(登録商標)、Aerosil 255(登録商標)、Aerosil 300(登録商標)およびAerosil 380(登録商標)、ならびにCabot社によってCab−O−Sil HS−5(登録商標)、Cab−O−Sil EH−5(登録商標)、Cab−O−Sil LM−130(登録商標)、Cab−O−Sil MS−55(登録商標)およびCab−O−Sil M−5(登録商標)で販売されている。
【0048】
シラノール基の数を減らすために化学反応によってシリカの表面を化学的に改質することが可能である。シラノール基を疎水性基で置換することがとりわけ可能であり;疎水性シリカがそのとき得られる。
【0049】
疎水性基は、下記であってもよい:
− ヘキサメチルジシラザンの存在下にヒュームド・シリカを処理することによって特に得られる、トリメチルシロキシル基。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によればシリカシリレートとして知られる。それらは、例えば、Degussaによって参照番号Aerosil R812(登録商標)、CabotによってCab−O−Sil TS−530(登録商標)で販売されている。
− ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でヒュームド・シリカを処理することによって特に得られる、ジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によれば「シリカジメチルシリレート」として知られる。それらは、Degussa社によって参照番号Aerosil R972(登録商標)およびAerosil R974(登録商標)、Cabot社によってCab−O−Sil TS−610(登録商標)およびCab−O−Sil TS−720(登録商標)で販売されている。
【0050】
ヒュームド・シリカは好ましくは、例えば約5〜200nmの範囲の、ナノメートル〜マイクロメートルであってもよい粒径を有する。
【0051】
好ましくは、組成物は、ヘクトライト、有機改質ベントナイトまたは任意選択的に改質されたヒュームド・シリカを含む。
【0052】
それが存在する場合、無機増粘剤は、組成物の重量に対して0.1質量%〜30質量%を表してもよい。
【0053】
組成物はまた、1種以上の有機増粘剤を含んでもよい。
【0054】
これらの増粘剤は、脂肪酸アミド(ココナツモノエタノールアミドもしくはジエタノールアミド、オキシエチレン化カルボン酸モノエタノールアミドアルキルエーテル)、セルロースベースの増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース)などのポリマー増粘剤、グアーガムおよびその誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、微生物起源のガム(キサンタンガム、スクレログルカンガム)、アクリル酸またはアクリルアミドプロパンスルホン酸架橋ホモポリマーおよび会合性ポリマー(水性媒体中で、互いにまたは他の分子と可逆的に結合することができる親水性領域および脂肪鎖疎水性領域(少なくとも10個の炭素原子を含有するアルキルもしくはアルケニル)を含むポリマー)から選択されてもよい。
【0055】
特定の一実施形態によれば、有機増粘剤は、セルロースベースの増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース)、グアーガムおよびその誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、微生物起源のゴム(キサンタンガムまたはスクレログルカンガム)および架橋アクリル酸またはアクリルアミドプロパンスルホン酸ホモポリマーから、ならびに好ましくは特にヒドロキシエチルセルロースのセルロースベースの増粘剤から選択される。
【0056】
有機増粘剤の含有量は、それらが存在する場合、組成物の重量に対して通常0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜5質量%の範囲である。
【0057】
界面活性剤
本発明の特定の実施形態によれば、組成物はまた、1種以上の界面活性剤を含む。
【0058】
特に、界面活性剤は、カチオン、アニオン、両性、双性イオンおよび非イオン界面活性剤、優先的にはカチオン界面活性剤から選択される。
【0059】
本発明の方法による組成物に使用されてもよいカチオン界面活性剤は、例えば、任意選択的にポリオキシアルキレン化された第一級、第二級または第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、およびそれらの混合物を含む。
【0060】
特に言及されてもよい第四級アンモニウム塩の例としては、下記のものが挙げられる:
− 下の一般式(A4):
【化7】
[その式(A4)中:
■ R〜R11は、同一であっても異なってもよく、1〜30個の炭素原子を含む線状もしくは分岐の脂肪族基、またはアリールもしくはアルキルアリールなどの芳香族基を表し、基R〜R11の少なくとも1つは、8〜30個の炭素原子、好ましくは12〜24個の炭素原子を含むと理解され;および
■ Xは、ハライド、アセテート、ホスフェート、ナイトレート、(C〜C)アルキルスルフェート、(C〜C)アルキルもしくは(C〜C)アルキルアリールスルホネート、特にメチルスルフェートおよびエチルスルフェートから選択されるものなどの、有機もしくは無機アニオン性対イオンを表す]
に相当するもの。
【0061】
〜R11の脂肪族基はまた、特に酸素、窒素、硫黄およびハロゲンなどのヘテロ原子を含んでもよい。
【0062】
〜R11の脂肪族基は、例えば、C〜C30アルキル、C〜C30アルコキシ、ポリオキシ(C〜C)アルキレン、C〜C30アルキルアミド、(C12〜C22)アルキルアミド(C〜C)アルキル、(C12〜C22)アルキルアセテート、およびC〜C30ヒドロキシアルキル基から選択され;Xは、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C〜C)アルキルスルフェート、および(C〜C)アルキルスルホネートまたは(C〜C)アルキルアリールスルホネートから選択されるアニオン性対イオンである。
【0063】
式(A4)の第四級アンモニウム塩の中で、まず第一にテトラアルキルアンモニウムクロリド、例えばジアルキルジメチルアンモニウムもしくはアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(式中、アルキル基はおおよそ12〜22個の炭素原子を含有する)、特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルアンモニウムクロリド、あるいは、第二に、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトスルフェート、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトスルフェートもしくはジステアロイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトスルフェート、あるいは、最後に、Van Dyk社によって名称Ceraphyl(登録商標)70で販売される、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドもしくはステアルアミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロリド;
− イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例えば下式(A5):
【化8】
[その式(A5)中:
■ R12は、8〜30個の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基、例えば牛脂の脂肪酸誘導体を表し;
■ R13は、水素原子、C〜Cアルキル基または8〜30個の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を表し;
■ R14はC〜Cアルキル基を表し;
■ R15は、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し;
■ Xは、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C〜C)アルキルスルフェート、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアリールスルホネートから選択されるものなどの、有機もしくは無機アニオン性対イオンを表す]
のもの。
【0064】
好ましくは、R12およびR13は、例えば牛脂脂肪酸に由来する、12〜21個の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基の混合物を意味し、R14はメチル基を意味し、R15は水素原子を意味する。そのような製品は、例えば,Rewo社によって名称Rewoquat(登録商標)W 75で販売されている;
− 特に下式(A6):
【化9】
[その式(A6)中:
■ R16は、任意選択的にヒドロキシル化されているおよび/または1個以上の酸素原子で割り込まれている、おおよそ16〜30個の炭素原子を含むアルキル基を意味し、
■ R17は、水素、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基または基−(CH−N(R16a)(R17a)(R18a),Xから選択され;
■ R16a、R17a、R18a、R18、R19、R20およびR21は、同一であっても異なってもよく、水素および1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され;および
■ Xは、同一であっても異なってもよく、ハライド、アセテート、ホスフェート、ナイトレート、アルキル(C〜C)スルフェート、アルキル(C〜C)またはアルキル(C〜C)アリールスルホネート、より特にメチルスルフェートおよびエチルスルフェートから選択されるものなどの、有機もしくは無機アニオン性対イオンを表す]
の、第四級ジアンモニウムまたはトリアンモニウム塩。
【0065】
そのような化合物は、例えば、Finetex社によって販売される、Finquat CT−P(クオタニウム 89)、およびFinetex社によって販売される、Finquat CT(クオタニウム 75)である;
− 下式(A7):
【化10】
[その式(A7)中:
■ R22は、C〜Cアルキル基およびC〜CヒドロキシアルキルまたはC〜Cジヒドロキシアルキル基から選択され;
■ R23は、
− 基
【化11】
− 飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐のC〜C22炭化水素ベースの基R27
− 水素原子
から選択され、
■ R25は、
− 基
【化12】
− 飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐のC〜C炭化水素ベースの基R29
− 水素原子
から選択され、
■ R24、R26およびR28は、同一であっても異なってもよく、線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC〜C21炭化水素ベースの基から選択され;
■ r、sおよびtは、同一であっても異なってもよく、2〜6の範囲の整数であり、
■ r1およびt1は、同一であっても異なってもよく、r2+r1=2rおよびt1+t2=2tで、0または1に等しく、
■ yは、1〜10の範囲の整数であり、
■ xおよびzは、同一であっても異なってもよく、0〜10の範囲の整数であり;
■ Xは、有機もしくは無機アニオン性対イオンを表し、
ただし、総計x+y+zは、1〜15であり、xが0である場合、R23はR27を意味し、zが0である場合、R25は、線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC〜C炭化水素ベースの基R29を意味する]
のものなどの、1つ以上のエステル官能基を含有する第四級アンモニウム塩。
【0066】
アルキル基R22は、線状もしくは分岐、より特に線状であってもよい。
【0067】
好ましくは、R22は、メチル、エチル、ヒドロキシエチルまたはジヒソロキシプロピル基、より特にメチルまたはエチル基を意味する。
【0068】
有利には、総計x+y+zは、1〜10である。
【0069】
23が炭化水素ベースの基R27である場合、それは、長くて、12〜22個の炭素原子を含有してもよいか、または短くて、1〜3個の炭素原子を含有してもよい。
【0070】
25が炭化水素ベースの基R29である場合、それは好ましくは1〜3個の炭素原子を含有する。
【0071】
有利には、R24、R26およびR28は、同一であっても異なってもよく、線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC11〜C21炭化水素ベースの基から、より特に線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC11〜C21アルキルおよびアルケニル基から選択される。
【0072】
好ましくは、xおよびzは、同一であっても異なってもよく、値0または1を有する。
【0073】
有利には、yは1に等しい。
【0074】
好ましくは、r、sおよびtは、同一であっても異なってもよく、値2または3を有し、さらにより特に、2に等しい。
【0075】
アニオン性対イオンXは好ましくは、クロリド、ブロミドもしくはヨージドなどの、ハライド;(C〜C)アルキルスルフェートまたは(C〜C)アルキルもしくは(C〜C)アルキルアリールスルホネートである。しかし、メタンスルホネート、ホスフェート、ナイトレート、トシレート、アセテートもしくはラクテートなどの有機酸に由来するアニオン、またはエステル官能基を有するアンモニウムと相性が良い任意の他のアニオンが使用されてもよい。
【0076】
アニオン性対イオンXは、さらにより特に、クロリド、メチルスルフェートまたはエチルスルフェートである。
【0077】
本発明による方法に有用である組成物中に、式(A7)(式中:
− R22は、メチルまたはエチル基を意味し、
− xおよびyは1に等しく、
− zは、0または1に等しく、
− r、sおよびtは2に等しく、
− R23は、
● 基
【化13】
● メチル、エチルまたはC14〜C22炭化水素ベースの基、
● 水素原子
から選択され、
− R25は、
● 基
【化14】
● 水素原子
から選択され、
− R24、R26およびR28は、同一であっても異なってもよく、線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC13〜C17炭化水素ベースの基から、好ましくは線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC13〜C17アルキルおよびアルケニル基から選択される)
のアンモニウム塩がより特に使用される。
【0078】
有利には、炭化水素ベースの基は線状である。
【0079】
式(A7)の化合物の中に、言及されてもよい例としては、塩、とりわけ、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウムまたはモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、およびそれらの混合物のクロリドまたはメチルスルフェートが挙げられる。アシル基は好ましくは、14〜18個の炭素原子を含有し、ヤシ油またはヒマワリ油などの植物油からより特に得られる。化合物がいくつかのアシル基を含有する場合、これらの基は、同一であっても異なってもよい。
【0080】
これらの製品は、例えば、植物もしくは動物起源の脂肪酸でのもしくは脂肪酸混合物での、任意選択的にオキシアルキレン化されている、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミンもしくはアルキルジイソプロパノールアミンの直接エステル化によって、またはそれらのメチルエステルのエステル交換によって得られる。このエステル化には、ハロゲン化アルキル、好ましくはハロゲン化メチルまたはエチル、ジアルキル硫酸、好ましくはジメチルまたはジエチル硫酸、メチルメタンスルホネート、メチルパラ−トルエンスルホネート、グリコールクロロヒドリンまたはグリセロールクロロヒドリンなどのアルキル化剤による四級化が続く。
【0081】
そのような化合物は、例えば、Henkel社によって名称Dehyquart(登録商標)、Stepan社によってStepanquat(登録商標)、CECA社によってNoxamium(登録商標)またはRewo−Witco社によってRewoquat(登録商標)WE 18で販売されている。
【0082】
本発明による方法に有用である組成物は、例えば、ジエステル塩が重量過半数の第四級アンモニウムモノエステル、ジエステルおよびトリエステル塩の混合物を含有してもよい。
【0083】
米国特許第4,874,554号明細書および米国特許第4,137,180号明細書に記載されている、少なくとも1つのエステル官能基を含有するアンモニウム塩を使用することも可能である。
【0084】
名称Quatarmin BTC 131で花王株式会社によって販売されるベヘノイルヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが使用されてもよい。
【0085】
好ましくは、少なくとも1つのエステル官能基を含むアンモニウム塩は2つのエステル官能基を含む。
【0086】
組成物中に存在してもよいカチオン界面活性剤の中で、セチルトリメチルアンモニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウムおよびジパルミトイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、ならびにそれらの混合物、より特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、およびジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトスルフェート、ならびにそれらの混合物を選択することがより特に好ましい。
【0087】
用語「アニオン界面活性剤」は、イオン基またはイオン化基として、アニオン基のみを含む界面活性剤を意味する。これらのアニオン基は好ましくは、基−C(O)OH、−C(O)O、−SOH、−S(O)O、−OS(O)OH、−OS(O)、−P(O)OH、−P(O),−P(O)O、−P(OH)、=P(O)OH、−P(OH)O、=P(O)Oおよび=POH、=POから選択され、アニオン性部分は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミンまたはアンモニウムに由来するものなどのカチオン性対イオンを含む。
【0088】
本組成物に使用されてもよいアニオン界面活性剤の例として、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、アシルサルコシネート、アシルグルタメート、アルキルスルホスクシナメート、アシルイセチオネートおよびN−アシルタウレート、ポリグリコシドポリカルボン酸およびアルキルモノエステル塩、アシルラクチレート、D−ガラクトシドウロン酸の塩、アルキルエーテルカルボン酸の塩、アルキルアリールエーテルカルボン酸の塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸の塩;ならびにすべてのこれらの化合物の相当する非塩化形態が挙げられてもよく;すべてのこれらの化合物のアルキルおよびアシル基は6〜24個の炭素原子を含み、アリール基はフェニル基を意味する。
【0089】
これらの化合物は、オキシエチレン化されてもよく、そのとき好ましくは1〜50個のエチレンオキシド単位を含む。
【0090】
ポリグリコシド−ポリカルボン酸のC〜C24アルキルモノエステルの塩は、C〜C24アルキルポリグリコシド−シトレート、C〜C24アルキルポリグリコシド−タータレートおよびC〜C24アルキルポリグリコシド−スルホスクシネートから選択されてもよい。
【0091】
アニオン界面活性剤が塩形態にある場合、それらは、ナトリウムもしくはカリウム塩などのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩および特にアミノアルコール塩またはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩から選択されてもよい。
【0092】
とりわけ言及されてもよいアミノアルコール塩の例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン塩、ならびに2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩が挙げられる。
【0093】
好ましくはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩が、特にナトリウムもしくはマグネシウム塩が使用される。
【0094】
述べられたアニオン界面活性剤の中で、好ましくは、特にアルカリ金属、アンモニウム、アミノアルコールおよびアルカリ土類塩の形態での、(C〜C24)アルキルスルフェート、2〜50個のエチレンオキシド単位を含む(C〜C24)アルキルエーテルスルフェート、またはこれらの化合物の混合物が使用される。
【0095】
特にアルカリ金属、アンモニウム、アミノアルコールおよびアルカリ土類塩の形態での、(C12〜C20)アルキルスルフェート、2〜20個のエチレンオキシド単位を含む(C12〜C20)アルキルエーテルスルフェート、またはこれらの化合物の混合物を使用することが、特に、好ましい。さらに好ましくは、2.2モルのエチレンオキシドを含有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムを使用することが好ましい。
【0096】
好ましくは非シリコーンであり、本発明に使用されてもよい、両性もしくは双性イオンの界面活性剤は、特に、任意選択的に四級化された脂肪族第二級もしくは第三級アミンの誘導体であってもよく、その誘導体において、脂肪族基は、8〜22個の炭素原子を含む線状もしくは分岐の鎖であり、前記アミン誘導体は、少なくとも1つのアニオン基、例えばカルボキシレ−ト、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネート基を含有する。(C〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C〜C20)アルキルアミド(C〜C)アルキルベタインおよび(C〜C20)アルキルアミド(C〜C)アルキルスルホベタインが特に言及されてもよい。
【0097】
上に定義されたような、使用されてもよい、任意選択的に四級化された第二級もしくは第三級の脂肪族アミン誘導体の中に、下のそれぞれの構造(A1)および(A2):
−C(O)−NH−CH−CH−N(R)(R)−CHC(O)O,M,X (A1)
(その式(A1)中:
■ Rは、加水分解されたコプラ油中に好ましくは存在する酸R−COOHに由来するC10〜C30アルキルもしくはアルケニル基、またはヘプチル、ノニルもしくはウンデシル基を表し;
■ Rは、β−ヒドロキシエチル基を表し;および
■ Rは、カルボキシメチル基を表し;
■ Mは、ナトリウムなどの、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アンモニウムイオンまたは有機アミンに由来するイオンに由来するカチオン性対イオンを表し、および
■ Xは、ハライド、アセテート、ホスフェート、ナイトレート、(C〜C)アルキルスルフェート、(C〜C)アルキルもしくは(C〜C)アルキルアリールスルホネート、特にメチルスルフェートおよびエチルスルフェートから選択されるものなどの、有機もしくは無機アニオン性対イオンを表すか;またはあるいはMおよびXは不在である)
a’−C(O)−NH−CH−CH−N(B)(B’) (A2)
(その式(A2)中:
■ Bは、基−CH−CH−O−X’を表し;
■ B’は、z=1または2の、基−(CHY’を表し;
■ X’は、基−CH−C(O)OH、−CH−C(O)OZ’、−CH−CH−C(O)OH、−CH−CH−C(O)OZ’、または水素原子を表し;
■ Y’は、基−C(O)OH、−C(O)OZ’、−CH−CH(OH)−SOHまたは基−CH−CH(OH)−SO−Z’を表し;
■ Z’は、ナトリウムなどの、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アンモニウムイオンまたは有機アミンに由来するイオンに由来するカチオン性対イオンを表し;
■ Ra’は、ココナツ油中にまたは加水分解されたアマニ油中に好ましくは存在する酸Ra’−COOHのC10〜C30アルキルもしくはアルケニル基、とりわけC17およびそのイソ形態の、アルキル基、または不飽和C17基を表す)
の化合物がまた言及されてもよい。
【0098】
これらの化合物は、名称ジナトリウムココアンホジアセテート、ジナトリウムラウロアンホジアセテート、ジナトリウムカプリルアンホジアセテート、ジナトリウムカプリロアンホジアセテート、ジナトリウムココアンホジプロピオネート、ジナトリウムラウロアンホジプロピオネート、ジナトリウムカプリルアンホジプロピオネート、ジナトリウムカプリロアンホジプロピオネート、ラウロアンホジプロピオン酸およびココアンホジプロピオン酸で、CTFA辞典、第5版、1993年に分類されている。
【0099】
例として、商品名Miranol(登録商標)C2M ConcentrateでRhodia社によって販売されるココアンホジアセテートが言及されてもよい。
【0100】
式(A3):
”−N(H)−CH(Y”)−(CH−C(O)−N(H)−(CHn’−N(R)(R) (A3)
(その式(A3)中:
■ Y”は、基−C(O)OH、−C(O)OZ”、−CH−CH(OH)−SOHまたは基−CH−CH(OH)−SO−Z”を表し;
■ RおよびRは、互いに独立して、C〜Cアルキルまたはヒドロキシアルキルを表し;
■ Z”は、ナトリウムなどの、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アンモニウムイオンまたは有機アミンに由来するイオンに由来するカチオン性対イオンを表し;
■ R”は、ココナツ油中にまたは加水分解されたアマニ油中に好ましくは存在する酸R”−C(O)OHに由来するC10〜C30アルキルもしくはアルケニル基を表し;
■ nおよびn’は、互いに独立して、1〜3の範囲の整数を意味する)
の化合物もまた使用されてもよい。
【0101】
式(A3)の化合物の中で、名称ナトリウムジエチルアミノプロピルココアスパルタミドでCTFA辞典に分類され、名称Chimexane HBでChimex社によって販売される化合物が言及されてもよい。
【0102】
上述の両性または双性イオン界面活性剤の中で、ココイルベタインなどの(C〜C20)アルキルベタイン、およびコカミドプロピルベタインなどの(C〜C20)アルキルアミド(C〜C)アルキルベタイン、ならびにそれらの混合物が好ましくは使用される。より優先的には、両性または双性イオン界面活性剤は、コカミドプロピルベタインおよびココイルベタインから選択される。
【0103】
本発明に従って使用される組成物に使用されてもよい非イオン界面活性剤の例は、例えば、Blackie & Son(Glasgow and London)によって出版された、M.R.Porterによる、「Handbook of Surfactants」,1991,pp.116−178に記載されている。
【0104】
オキシアルキレン化非イオン界面活性剤の例として、
● オキシアルキレン化(C〜C24)アルキルフェノール;
● 飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐の、オキシアルキレン化C〜C30アルコール;
● 飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐の、オキシアルキレン化C〜C30アミド;
● 飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐の、C〜C30酸のおよびポリエチレングリコールのエステル;
● 飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐の、C〜C30酸のおよびソルビトールのポリオキシエチレン化エステル;
● 脂肪酸のおよびスクロースのエステル;
● 任意選択的にオキシアルキレン化(0〜10個のオキシアルキレン単位)され、1〜15個のグルコース単位を含む(C〜C30)アルキルポリグリコシド、(C〜C30)アルケニルポリグリコシド、(C〜C30)アルキルグルコシドエステル;
● 飽和もしくは不飽和のオキシエチレン化植物油;
● とりわけ、単独でまたは混合物として、エチレンオキシドおよび/またはプロピレオキシドの縮合物;
● N−(C〜C30)アルキルグルカミン誘導体およびN−(C〜C30)アシル−メチルグルカミン誘導体;
● アルドビオナミド;
● アミンオキシド;
● オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化シリコーン
が挙げられてもよく;
界面活性剤は、有利には1〜100、より特に2〜100、好ましくは2〜50、より有利には2〜30の範囲の多数モルのエチレンオキシドおよび/またはプロピレオキシドを含有する。有利には、非イオン界面活性剤は、いかなるオキシプロピレン単位をも含まない。
【0105】
本発明の好ましい実施形態に従って、オキシアルキレン化非イオン界面活性剤は、1〜100モル、より特に2〜100モルのエチレンオキシドを含むオキシエチレン化C〜C30アルコール;飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐のC〜C30酸のおよび1〜100モル、さらに好ましくは2〜100モルのエチレンオキシドを含むソルビタンの
ポリオキシエチレン化エステルから選択される。
【0106】
モノグリセロール化もしくはポリグリセロール化非イオン界面活性剤の例として、モノグリセロール化もしくはポリグリセロール化C〜C40アルコールが好ましくは使用される。
【0107】
特に、モノグリセロール化もしくはポリグリセロール化C〜C40アルコールは、下式(A8):
29O−[CH−CH(CHOH)−O]−H (A8)
(その式(A8)中:
■ R29は、線状もしくは分岐のC〜C40、好ましくはC〜C30アルキルもしくはアルケニル基を表し;および
■ mは、1〜30、好ましくは1〜10の範囲の数を表す)
に相当する。
【0108】
本発明の脈絡内で好適である式(A8)の化合物の例として、4モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル−4 ラウイルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含むラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含むオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル−4 オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含むオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル−2 オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオレイル/セチルアルコール、および6モルのグリセロールを含有するオクタデカノールが挙げられてもよい。
【0109】
式(A8)のアルコールは、mの値が統計値を表すようにアルコールの混合物を表してもよく、そのことは、市販製品において、ポリグリセロール化脂肪アルコールのいくつかの化学種が混合物の形態で共存し得ることを意味する。
【0110】
モノグリセロール化もしくはポリグリセロール化アルコールの中で、1モルのグリセロールを含有するC/C10アルコール、1モルのグリセロールを含有するC10/C12アルコールおよび1.5モルのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することがより特に好ましい。
【0111】
界面活性剤は、組成物の総重量に対して、0.01質量%〜15質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜5質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0112】
官能化シリコーン
組成物は、アミン基、アルコキシ基、ヒドロキシル基および反応基から好ましくは選択される少なくとも1つの官能基を含む有機改質ポリシロキサンを含んでもよい。
【0113】
オルガノポリシロキサンは、Walter NollのChemistry and Technology of Silicones(1968),Academic Pressにより詳細に定義されている。
【0114】
本発明に従って使用されてもよい有機改質シリコーンは、炭化水素ベースの基によって結合した、前に述べられたような1つ以上の有機官能基をそれらの構造中に含むシリコーンである。
【0115】
有機改質シリコーンは、1種以上のアミノシリコーンから選択されてもよい。用語「アミノシリコーン」は、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミンまたは第四級アンモニウム基を含む任意のシリコーンを意味する。
【0116】
これらのアミノシリコーンの重量平均分子量は、ポリスチレン当量として、室温(25℃)でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されてもよい。使用されるカラムは、μスチラゲルカラムである。溶離剤はTHFであり、流量は1ml/分である。THF中のシリコーンの0.5質量%溶液の200μlが注入される。検出は、屈折率測定およびUV測定によって行われる。
【0117】
好ましくは、本発明との関連で使用されてもよいアミノシリコーンは、以下から選択される:
a)式(A)の:
【化15】
(式中、x’およびy’は、重量平均分子量(Mw)がおおよそ5000〜500,000であるような整数である)
に相当するポリシロキサン;
b)式(B):
R’3−a−Si(OSiG−(OSiGR’2−b−O−SiG3−a−R’ (B)
[式中:
− Gは、同一であっても異なってもよく、水素原子もしくはフェニル、OHもしくはC〜Cアルキル基、例えばメチル、またはC〜Cアルコキシ、例えばメトキシを意味し、
− aは、同一であっても異なってもよく、0または1〜3の整数、特に0を意味し、
− bは、0または1、特に1を意味し、
− mおよびnは、総計(n+m)が1〜2000、特に50〜150の範囲であるような数であり、nは、0〜1999、とりわけ49〜149の数を場合により意味し、mは、1〜2000、とりわけ1〜10の数を場合により意味し;
− R’は、同一であっても異なってもよく、式−CqH2qL(式中、qは、2〜8の範囲の数であり、Lは、以下の基:
−N(R”);−N(R”)A−;−NR”−Q−N(R”)および−NR”−Q−N(R”)A−
から選択される任意選択的に四級化されたアミノ基であり、式中、R”は、同一であっても異なってもよく、水素、フェニル、ベンジル、または飽和の一価の炭化水素ベースの基、例えばC〜C20アルキル基を意味し;Qは、線状もしくは分岐のC2r基を意味し、rは、2〜6、好ましくは2〜4の範囲の整数であり、およびA−は、美容上受け入れることができるアニオン、とりわけ、フルオリド、クロリド、ブロミドまたはヨージドなどのハライドを表す)の一価の基を意味する]
に相当するアミノシリコーン。
【0118】
好ましくは、アミノシリコーンは、式(B)のアミノシリコーンから選択される。好ましくは、式(B)のアミノシリコーンは、下式(C)、(D)、(E)、(F)および/または(G)に相当するアミノシリコーンから選択される。
【0119】
第1実施形態によれば、式(B)に相当するアミノシリコーンは、式(C):
【化16】
(式中、mおよびnは、総計(n+m)が1〜2000、特に50〜150の範囲であるような数であり;nが0〜1999、とりわけ49〜149の数を意味し、mが1〜2000、とりわけ1〜10の数を意味することが可能である)
に相当する「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られるシリコーンから選択される。
【0120】
第2実施形態によれば、式(B)に相当するアミノシリコーンは、下式(D):
【化17】
(式中:
− mおよびnは、総計(n+m)が1〜1000、特に50〜250、より特に100〜200の範囲であるような数であり;nが0〜999、特に49〜249、より特に125〜175の数を意味し、mが1〜1000、特に1〜10、より特に1〜5の数を意味することが可能であり;
− R1、R2およびR3は、同一であっても異なってもよく、ヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基を表し、基R1〜R3の少なくとも1つはアルコキシ基を意味する)
のシリコーンから選択される。
【0121】
好ましくは、アルコキシ基はメトキシ基である。
【0122】
ヒドロキシ/アルコキシモル比は、好ましくは0.2:1〜0.4:1、好ましくは0.25:1〜0.35:1の範囲であり、より特に0.3:1に等しい。
【0123】
これらのシリコーンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2000〜1,000,000、さらにより特に3500〜200,000の範囲である。
【0124】
第3実施形態によれば、式(B)に相当するアミノシリコーンは、下式(E):
【化18】
(式中:
− pおよびqは、総計(p+q)が1〜1000、特に50〜350、より特に150〜250の範囲であるような数であり;pが0〜999、とりわけ49〜349、より特に159〜239の数を意味し、qが1〜1000、とりわけ1〜10、より特に1〜5の数を意味することが可能であり;
− R1およびR2は、異なり、ヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基を表し、基R1またはR2の少なくとも1つはアルコキシ基を意味する)
のシリコーンから選択される。
【0125】
好ましくは、アルコキシ基はメトキシ基である。
【0126】
ヒドロキシ/アルコキシモル比は、一般に1:0.8〜1:1.1、好ましくは1:0.9〜1:1の範囲であり、より特に1:0.95に等しい。
【0127】
シリコーンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2000〜200,000、さらにより特に5000〜100,000、より特に10,000〜50,000の範囲である。
【0128】
構造(D)または(E)のシリコーンを含む市販製品は、それらの組成物中に、その構造が式(D)または(E)とは異なる1種以上の他のアミノシリコーンを含んでもよい。
【0129】
構造(D)のアミノシリコーンを含有する製品は、名称Belsil(登録商標)ADM 652でWacker社によって販売されている。
【0130】
構造(E)のアミノシリコーンを含有する製品は、名称Fluid WR 1300(登録商標)でWackerによって販売されている。
【0131】
これらのアミノシリコーンが使用される場合、特に有利な一実施形態は、それらを水中油エマルジョンの形態で使用することにある。水中油エマルジョンは、1種以上の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、任意の種類のものであってもよいが、好ましくはカチオンおよび/または非イオン性である。エマルジョン中のシリコーン粒子の数平均サイズは一般に、3nm〜500nmの範囲である。好ましくは、とりわけ式(E)のアミノシリコーンとして、その平均粒径が5nm〜60nm(両端を含む)、より特に10nm〜50nm(両端を含む)の範囲であるマイクロエマルジョンが使用される。このように、Wacker社によって名称Finish CT 96 E(登録商標)またはSLM 28020(登録商標)で販売される式(E)のアミノシリコーンマイクロエマルジョンが本発明に従って使用されてもよい。
【0132】
第4実施形態によれば、式(B)に相当するアミノシリコーンは、下式(F):
【化19】
(式中:
− mおよびnは、総計(n+m)が1〜2000、特に50〜150の範囲であるような数であり、nが0〜1999、とりわけ49〜149の数を意味し、mが1〜2000、とりわけ1〜10の数を意味することが可能であり;
− Aは、4〜8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する線状もしくは分岐のアルキレン基を意味する。この基は好ましくは線状である)
のシリコーンから選択される。
【0133】
これらのアミノシリコーンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2000〜1,000,000、さらにより特に3500〜200,000の範囲である。
【0134】
この式に相当するシリコーンは、例えば、Dow Corning製のXiameter MEM 8299 Emulsionである。
【0135】
第5実施形態によれば、式(B)に相当するアミノシリコーンは、下式(G):
【化20】
(式中:
− mおよびnは、総計(n+m)が1〜2000、特に50〜150の範囲であるような数であり、nが0〜1,999、とりわけ49〜149の数を意味し、mが1〜2000、とりわけ1〜10の数を意味することが可能であり;
− Aは、4〜8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する線状もしくは分岐のアルキレン基を意味する。この基は好ましくは分岐である)
のシリコーンから選択される。
【0136】
これらのアミノシリコーンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜1,000,000、さらにより特に1000〜200,000の範囲である。
【0137】
この式に相当するシリコーンは、例えば、Dow Corning製のDC2−8566 Amino Fluidである。
【0138】
c)式(H):
【化21】
(式中:
− Rは、1〜18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ベースの基、特にC〜C18アルキルもしくはC〜C18アルケニル基、例えばメチルを表し;
− Rは、二価の炭化水素ベースの基、特にC〜C18アルキレン基または二価のC〜C18、例えばSiC結合によってSiに結合したC〜Cアルキレンオキシ基を表し;
− Q−は、ハライドイオン、とりわけクロリド、または有機酸塩、とりわけアセテートなどのアニオンであり;
− rは、2〜20、特に2〜8の平均統計値を表し;
− sは、20〜200、特に20〜50の平均統計値を表す)
に相当するアミノシリコーン。
【0139】
そのようなアミノシリコーンは、米国特許第4,185,087号明細書にとりわけ記載されている;
− d)式(I):
【化22】
(式中:
− Rは、同一であっても異なってもよく、1〜18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ベースの基、特にC〜C18アルキル基、C〜C18アルケニル基または5もしくは6個の炭素原子を含む環、例えばメチルを表し;
− Rは、二価の炭化水素ベースの基、特にC〜C18アルキレン基または二価のC〜C18、例えばSiC結合によってSiに結合したC〜Cアルキレンオキシ基を表し;
− Rは、同一であっても異なってもよく、水素原子、1〜18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ベースの基、特にC〜C18アルキル基、C〜C18アルケニル基または基R−NHCORを表し;
− X−は、ハライドイオン、とりわけクロリド、または有機酸塩、とりわけアセテートなどのアニオンであり;
− rは、2〜200、特に5〜100の範囲の平均統計値を表す)
の第四級アンモニウムシリコーン。
【0140】
これらのシリコーンは、例えば、欧州特許出願公開第A0 530 974号明細書に記載されている。
【0141】
e)式(J):
【化23】
(式中:
− R、R、RおよびRは、同一であっても異なってもよく、C〜Cアルキル基またはフェニル基を意味し、
− Rは、C〜Cアルキル基またはヒドロキシル基を意味し、
− nは、1〜5の範囲の整数であり;
− mは、1〜5の範囲の整数であり;
− xは、アミン価が0.01〜1meq/gの範囲であるように選択される)
のアミノシリコーン;
f)Aがポリシロキサンブロックであり、Bが、少なくとも1つのアミン基を含むポリオキシアルキレンブロックである、タイプ(AB)nの、マルチブロックポリオキシアルキレン化アミノシリコーン。
【0142】
前記シリコーンは好ましくは、以下の一般式:
[−(SiMeO)SiMe−R−N(R”)−R’−O(CO)(CO)−R’−N(H)−R−]
またはあるいは
[−(SiMeO)SiMe−R−N(R”)−R’−O(CO)(CO)−]
(式中:
− aは、1以上、好ましくは5〜200の範囲の、より特に10〜100の範囲の整数であり;
− bは、0〜200の、好ましくは4〜100、より特に5〜30の範囲の整数であり;
− xは、1〜10,000、より特に10〜5000の範囲の整数であり;
− R”は、水素原子またはメチルであり;
− Rは、同一であっても異なってもよく、酸素などの1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含む、二価の線状もしくは分岐のC2〜C12炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、Rは、エチレン基、線状もしくは分岐のプロピレン基、線状もしくは分岐のブチレン基、または−CH2CH2CH2OCH(OH)CH2−基を意味し;優先的には、Rは、−CH2CH2CH2OCH(OH)CH2−基を意味し;
− R’は、同一であっても異なってもよく、酸素などの1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含む、線状もしくは分岐のC2〜C12の二価の炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、R’は、エチレン基、線状もしくは分岐のプロピレン基、線状もしくは分岐のブチレン基、または−CH2CH2CH2OCH(OH)CH2−基を意味し;優先的には、R’は−CH(CH3)−CH2−を意味する)
の繰り返し単位から構成される。
【0143】
シロキサンブロックは好ましくは、シロキサンの総重量の50モル%〜95モル%、より特に70モル%〜85モル%を表す。
【0144】
アミン含有量は、ジプロピレングリコールの30%溶液においてコポリマーの1g当たり好ましくは0.02〜0.5meq、より特に0.05〜0.2である。
【0145】
シリコーンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5000〜1,000,000、より特に10,000〜200,000である。
【0146】
Momentiveによって名称Silsoft A−843またはSilsoft A+で販売されるシリコーンがとりわけ言及されてもよい。
【0147】
g)およびそれらの混合物
好ましくは、アミノシリコーンは、マルチブロックポリオキシアルキレン化アミノシリコーンから選択される。
【0148】
官能化シリコーンは、SWS Siliconesによって名称Silicone Copolymer F−755で、ならびにGoldschmidt社によってAbil Wax(登録商標)2428、2434および2440で販売される製品などの、アルコキシシリコーンであってもよい。
【0149】
官能化シリコーンは、ヒドロキシル基を有するシリコーン、例えばアルファ,オメガ−ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、例えば、単独でのまたはエマルジョンでのまたはDow Corningによって名称Xiameter PMX−1503 Fluidで販売されるジメチコン/ジメチコノール混合物またはDow Corningによって名称Xiameter PMX−1503 Fluidで販売されるジメチコノール/ジメチコン/イソヘキサデカンおよびイソパラフィン混合物などの、混合物としての、INCI名ジメチコールを有する化合物などであってもよい。
【0150】
本発明による方法に有用である組成物は、官能化シリコーン、好ましくはアミノシリコーンを、組成物の総重量に対して、0.01質量%〜15質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%、優先的には0.1質量%〜5質量%の範囲の量で含んでもよい。
【0151】
脂肪物質
本組成物は、前に記載されたような官能化シリコーン以外に1種以上の脂肪物質を含んでもよい。
【0152】
用語「脂肪物質」は、常温(25℃)でおよび大気圧(760mmHg;すなわち、1.013×10Pa)で水に溶けない(5%未満、好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の溶解度)有機化合物を意味する。それらは、少なくとも6個の炭素原子または一連の少なくとも2つのシロキサン基を含む少なくとも1つの炭化水素ベースの鎖をそれらの構造中に有する。さらに、脂肪物質は一般に、同じ温度および圧力条件下で有機溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、エタノール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、液体ワセリンまたはデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶である。
【0153】
本発明の脂肪物質は、いかなる塩化カルボン酸基をも含有しない。
【0154】
さらに、本発明の脂肪物質は、(ポリ)オキシアルキレン化または(ポリ)グリセロール化エーテルではない。
【0155】
用語「油」は、室温(25℃)でおよび大気圧(760mmHgまたは1.013×10Pa)で液体である「脂肪物質」を意味する。
【0156】
用語「非シリコーン油」は、いかなるケイ素原子(Si)をも含有しない油を意味し、用語「シリコーン油」は、少なくとも1つのケイ素原子を含有する油を意味する。
【0157】
より具体的には、脂肪物質は、C6〜C16炭化水素、16個超の炭素原子を含有する炭化水素、動物起源の非シリコーン油、植物もしくは合成起源のトリグリセリド、フロオロオイル、脂肪アルコール、トリグリセリドおよび非シリコーンワックス、特に植物ワックス以外の脂肪酸のおよび/または脂肪アルコールのエステル、非シリコーンワックス、および官能化シリコーン以外のシリコーン、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0158】
脂肪アルコール、エステルおよび酸は、特に、1個以上のヒドロキシル基(特に1〜4個)で任意選択的に置換されている、6〜30個、さらに好ましくは8〜30個の炭素原子を含む、少なくとも1つの飽和もしくは不飽和の、線状もしくは分岐の炭化水素ベースの基をより特に含有することが思い起こされる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1〜3つの共役もしくは非共役の炭素−炭素二重結合を含んでもよい。
【0159】
C6〜C16炭化水素に関しては、それらは、より特に線状もしくは分岐であり、場合により環状であり、好ましくはアルカンである。言及されてもよい例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカンまたは、イソヘキサデカン、イソデカンもしくはイソドデカンなどの、イソパラフィン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0160】
16個超の炭素原子を含有する無機もしくは合成起源の線状もしくは分岐の炭化水素は、液体パラフィン、ワセリン、液体ワセリン、ポリデセンおよびParleam(登録商標)などの水素化ポリイソブテン、ならびにそれらの混合物から好ましくは選択される。
【0161】
言及されてもよい動物起源の炭化水素ベースの油は、ペルヒドロスクアレンである。
【0162】
植物もしくは合成起源のトリグリセリドは、6〜30個の炭素原子を含有する液体脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン酸もしくはオクタン酸トリグリセリドから、またはあるいは、より特に植物油、例えばヒマワリ油、コーンオイル、大豆油、マローオイル、グレープシードオイル、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミアオイル、アラーラオイル、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シアバターオイルもしくは合成カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されるものもしくはDynamit Nobel社によって名称Miglyol(登録商標)810、812および818で販売されるもの、ならびにそれらの混合物中に存在するものから好ましくは選択される。
【0163】
言及されてもよいフルオロオイルには、BNFL Fluorochemicals社によって名称Flutec(登録商標)PC1およびFlutec(登録商標)PC3で販売される、パーフルオロメチルシクロペンタンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン;パーフルオロ−1,2−ジメチルシクロブタン;3M社によって名称PF 5050(登録商標)およびPF 5060(登録商標)で販売される、ドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサンなどのパーフルオロアルカン;またはあるいはAtochem社によって名称Foralkyl(登録商標)で販売されるブロモパーフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタンおよびノナフルオロエトキシイソブタン;3M社によって名称PF 5052(登録商標)で販売される4−トリフルオロメチルパーフルオロモルホリンなどのパーフルオロモルホリン誘導体が含まれる。
【0164】
本発明での使用に好適である脂肪アルコールは、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜30個の炭素原子を含む線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のアルコールからより特に選択される。言及されてもよい例としては、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール、リノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコールおよびリノレイルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0165】
有利には上述のトリグリセリドおよび非シリコーンワックス以外の脂肪酸のおよび/または脂肪アルコールのエステルに関しては、飽和もしくは不飽和の、線状C〜C26もしくは分岐C〜C26脂肪族モノ酸もしくはポリ酸の、および飽和もしくは不飽和の、線状C〜C26もしくは分岐C〜C26脂肪族モノアルコールもしくはポリアルコールのエステルであって、エステルの総炭素数が6以上、より有利には10以上であるエステルがとりわけ言及されてもよい。
【0166】
モノエステルの中に、ジヒドロアビエチルベヘネート;オクチルドデシルベヘネート;イソセチルベヘネート;セチルラクテート;C12〜C15アルキルラクテート;イソステアリルラクテート;ラウリルラクテート;リノレイルラクテート;オレイルラクテート;(イソ)ステアリルオクタノエート;イソセチルオクタノエート;オクチルオクタノエート;セチルオクタノエート;デシルオレエート;イソセチルイソステアレート;イソセチルラウレート;イソセチルステアレート;イソデシルオクタノエート;イソデシルオレエート;イソノニルイソノナノエート;イソステアリルパルミテート;メチルアセチルリシノレエート;ミリスチルステアレート;オクチルイソノナノエート;2−エチルヘキシルイソノネート;オクチルパルミテート;オクチルペラルゴネート;オクチルステアレート;オクチルドデシルエルケート;オレイルエルケート;エチルおよびイソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルデシルパルミテート、イソプロピル、ブチル、セチル、2−オクチルドデシル、ミリスチルまたはステアリルミリステートなどのアルキルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート;ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルラウレート、ならびにそれらの混合物が言及されてもよい。
【0167】
さらにこの変形の脈略内で、C〜C22ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸のおよびC〜C22アルコールのエステル、ならびにモノ、ジもしくはトリカルボン酸のおよびC〜C26およびC〜C26ジ、トリ、テトラもしくはペンタヒドロキシアルコールのエステルがまた使用されてもよい。
【0168】
ジエチルセバケート;ジイソプロピルセバケート;ジイソプロピルアジペート;ジ−n−プロピルアジペート;ジオクチルアジペート;ジイソステアリルアジペート;ジオクチルマレエート;グリセリルウンデシレネート;オクチルドデシルステアロイルステアレート;ペンタエリスリチルモノリシノレエート;ペンタエリスリチルテトライソノナノエート;ペンタエリスリチルテトラペラルゴネート;ペンタエリスリチルテトライソステアレート;ペンタエリスリチルテトラオクタノエート;プロピレングリコールジカプリレート;プロピレングリコールジカプレート;トリデシルエルケート;トリイソプロピルシトレート;トリイソステアリルシトレート;グリセリルトリラクテート;グリセリルトリオクタノエート;トリオクチルドデシルシトレート;トリオレイルシトレート;プロピレングリコールジオクタノエート;ネオペンチルグリコールジヘプタノエート;ジエチレングリコールジイソノナノエート;およびポリエチレングリコールジステアレート、ならびにそれらの混合物が特に言及されてもよい。
【0169】
上述のエステルの中で、エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチルまたはステアリルパルミテート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルデシルパルミテート、イソプロピル、ブチル、セチルまたは2−オクチルドデシルミリステートなどのアルキルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート、ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルラウレート、イソノニルイソノナノエートまたはセチルオクタノエート、およびそれらの混合物を使用することが好ましい。
【0170】
組成物はまた、脂肪エステルとして、C〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖エステルおよびジエステルを含んでもよい。用語「糖」は、アルデヒドまたはケトン官能基ありまたはなしの、いくつかのアルコール官能基を有する、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素ベースの化合物を意味することが思い起こされる。これらの糖は、単糖類、オリゴ糖または多糖類であってもよい。
【0171】
言及されてもよい好適な糖類の例としては、スクロース(またはサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フラクトース、マンノース、アラビノース、キシロースおよびラクトース、ならびにそれらの誘導体、特に、メチル誘導体、例えばメチルグルコースなどの、アルキル誘導体が挙げられる。
【0172】
糖および脂肪酸エステルは、前に記載された、および線状もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖エステルのエステルまたは混合物からなる群から特に選択されてもよい。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1〜3つの共役もしくは非共役の炭素−炭素二重結合を含んでもよい。
【0173】
この変形によるエステルはまた、モノ、ジ、トリおよびテトラエステル、ポリエステル、ならびにそれらの混合物から選択されてもよい。
【0174】
これらのエステルは、例えば、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレートおよびアラキドネート、またはそれらの混合物、例えば、とりわけ、オレオパルミテート、オレオステアレートおよびパルミトステアレート混合エステルなどであってもよい。
【0175】
より特に、モノエステルおよびジエステル、とりわけスクロース、グルコースまたはメチルグルコースモノオレエートまたはジオレエート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレエート、リノレネートまたはオレオステアレートが使用される。
【0176】
言及されてもよい例は、メチルグルコースジオレエートである、Amerchol社によって名称Glucate(登録商標)DOで販売される製品である。
【0177】
また言及されてもよい糖のおよび脂肪酸のエステルまたはエステルの混合物の例としては:
− 73%モノエステルと27%ジエステルおよびトリエステルステルとから、61%モノエステルと39%ジエステル、トリエステルステルおよびテトラエステルとから、52%モノエステルと48%ジエステル、トリエステルステルおよびテトラエステルとから、45%モノエステルと55%ジエステル、トリエステルステルおよびテトラエステルとから、39%モノエステルと61%ジエステル、トリエステルステルおよびテトラエステルから形成されるスクロースパルミテート/ステアレート、ならびにスクロースモノラウレートをそれぞれ意味する、Crodesta社によって名称F160、F140、F110、F90、F70およびSL40で販売される製品;
− 例えばB370と言われ、20%モノエステルと80%ジエステル−トリエステル−ポリエステルとから形成されるスクロースベヘネートに相当する、名称Ryoto Sugar Estersで販売される製品;
− 名称Tegosoft(登録商標)PSEでGoldschmidt社によって販売されるスクロースモノ−ジパルミト−ステアレート
が挙げられる。
【0178】
非シリコーンワックスは、カルナバワックス、カンデリアワックス、エスパルトワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、植物ワックス、例えば、オリーブの木ワックスなど、ライスワックス、水素化ホホバワックスもしくは完全フラワーワックス、例えば、Bertin(France)によって販売されるブラックカラント花エッセンシャルワックスなど、または動物ワックス、例えば、蜜ろうもしくは変性蜜ろう(セラベリーナ(cerabellina))などから特に選択され;本発明に従って使用されてもよい他のワックスまたはワックス状原材料は特に、参照番号M82でSophimによって販売されるものなどの、マリンワックス、ポリエチレンワックスまたは一般にポリオレフィンワックスである。
【0179】
本発明の化粧品組成物に使用されてもよいシリコーンは、揮発性または非揮発性の、環状の、線状もしくは分岐のシリコーンであり、それは、非改質であるかまたは有機基で改質され、25℃で5×10−6〜2.5m/s、好ましくは1×10−5〜1m/sの粘度を有する。
【0180】
本発明に従って使用されてもよいシリコーンは、オイル、ワックス、樹脂またはゴムの形態にあってもよい。
【0181】
好ましくは、シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、とりわけポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択される。
【0182】
非揮発性ポリジアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサンゴムおよび樹脂、ならびにそれらの混合物が好ましくは使用される。
【0183】
これらのシリコーンは、ポリジアルキルシロキサンからより特に選択され、それらの中に、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンが主に言及されてもよい。シリコーンの粘度は、ASTM標準445付則Cに従って25℃で測定される。
【0184】
これらのポリジアルキルシロキサンの中に、非限定的に、以下の市販製品:
− Rhodiaによって販売される47および70 047シリーズのSilbione(登録商標)オイルまたはMirasil(登録商標)オイル、例えばオイル70 047 V 500 000;
− Rhodia社によって販売されるMirasil(登録商標)シリーズのオイル;
− 60,000mm2/sの粘度の、DC200などの、Dow Corning社製の200シリーズのオイル;
− General Electric製のViscasil(登録商標)オイルおよびGeneral Electric製のSFシリーズ(SF 96、SF 18)のある種のオイル
が言及されてもよい。
【0185】
このカテゴリーのポリジアルキルシロキサンの中に、ポリ(C〜C20)ジアルキルシロキサンである、Goldschmidt社によって名称Abil Wax(登録商標)9800および9801で販売される製品がまた言及されてもよい。
【0186】
本発明に従って使用されてもよいシリコーンゴムはとりわけ、ポリジアルキルシロキサン、好ましくは、溶媒中で単独でまたは混合物として使用される、200,000〜1,000,000の高い数平均分子量のポリジメチルシロキサンである。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)オイル、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)オイル、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカンおよびトリデカン、またはそれらの混合物から選択されてもよい。
【0187】
本発明に従ってより特に使用されてもよい製品は、下記などの混合物である:
− General Electric社製の製品SF 1214 Silicone Fluidなどの、ポリジメチルシロキサンゴムのおよび環状シリコーンの混合物;この製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当するオイルSF 1202 Silicone Fluidに溶解させられた、500,000の数平均分子量を有する、ジメチコンに相当するSF 30ゴムである;
− General Electric社製の製品SF 1236などの、異なる粘度の2つのPDMSの、より特にPDMSゴムのおよびPDMSオイルの混合物。製品SF 1236は、20m/sの粘度の上に定義されたゴムSE 30のおよび5×10−6/sの粘度のオイルSF 96の混合物である。この製品は好ましくは、15%のゴムSE 30と85%のオイルSF 96とを含む。
【0188】
本発明に従って使用されてもよいオルガノポリシロキサン樹脂は、以下の単位:
R2SiO2/2、R3SiO1/2、RSiO3/2およびSiO4/2
(式中、Rは、1〜16個の炭素原子を含有するアルキルを表す)
を含有する架橋シロキサン系である。これらの製品の中で、特に好ましいものは、RがC〜Cの低級アルキル基、より特にメチルを意味するものである。
【0189】
これらの樹脂の中に、名称Dow Corning 593で販売される製品、またはジメチル/トリメチルシロキサン構造のシリコーンである、General Electric社によって名称Silicone Fluid SS 4230およびSS 4267で販売されるものが言及されてもよい。
【0190】
信越化学工業株式会社によって名称X22−4914、X21−5034およびX21−5037で特に販売されるトリメチルシロキシシリケート型樹脂がまた言及されてもよい。
【0191】
ポリアルキルアリールシロキサンは、25℃で1×10−5〜5×10−2/sの範囲の粘度の線状および/もしくは分岐のポリジメチル/メチルフェニルシロキサンおよびポリジメチル/ジフェニルシロキサンから特に選択される。
【0192】
これらのポリアルキルアリールシロキサンの中に、言及されてもよい例としては、以下の名称で販売される製品:
− Rhodia製の70 641シリーズのSilbione(登録商標)オイル;
− Rhodia製のRhodorsil(登録商標)70 633および763シリーズのオイル;
− Dow Corning製のオイルDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid;
− 製品PK20などの、Bayer製のPKシリーズのシリコーン;
− 製品PN1000およびPH1000などの、Bayer製のPNおよびPHシリーズのシリコーン;
− SF 1023、SF 1154、SF 1250およびSF 1265などの、General Electric製のSFシリーズのある種のオイル
が挙げられる。
【0193】
好ましくは、脂肪物質は非シリコーンである。
【0194】
脂肪物質は、16個超の炭素原子を含有する炭化水素、C6〜C16アルカン、植物起源のトリグリセリドもしくは油、液体合成トリグリセリド、脂肪アルコール、トリグリセリドおよび非シリコーンワックス以外の脂肪酸のおよび/もしくは脂肪アルコールのエステル、またはそれらの混合物から有利には選択される。より優先的には、脂肪物質は、液体ワセリンならびに2−オクチルドデカノールおよびステアリルアルコールなどの液体脂肪アルコールから選択される。
【0195】
添加剤
本発明による方法に有用である組成物は、1種以上の添加剤をまた含んでもよい。
【0196】
本発明に従って使用されてもよい添加剤として、上述のもの以外のカチオン性ポリマー、アニオン性、非イオン性もしくは両性のポリマーまたはそれらの混合物、フケ防止剤、脂漏症防止剤、脱毛を防止するためのおよび/もしくは発毛を促進するための剤、パンテノールなどのビタミンおよびプロビタミン、日焼け止め剤、無機もしくは有機顔料、金属イオン封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、乳白剤もしくは真珠光沢剤、酸化防止剤、オキシ酸、香料、保存剤およびセラミドが言及されてもよい。
【0197】
言うまでもなく、当業者は、このまたはこれらの任意選択の追加化合物を、本発明による組成物に本質的に関連した有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない、または実質的に悪影響を受けないように選択するように気を付けるであろう。
【0198】
上記の添加剤は一般に、それらのそれぞれについて、組成物の総重量に対して0〜20質量%の量で存在してもよい。
【0199】
好ましくは、本発明による組成物において、pHは、3〜11、好ましくは4〜9の範囲である。
【0200】
本発明による方法に有用である組成物は、ワックス、ペースト、クリーム、フォーム、スプレー(ポンプおよびエアゾール)またはローションの形態にあってもよい。それは、1つ以上の相を含んでもよい。
【0201】
組成物は、放置時間ありまたはなしで、湿ったまたは乾いた毛髪、好ましくは湿った毛髪に塗布されてもよい。
【0202】
放置時間が適用される場合には、それは2分〜1時間である。放置時間は、熱とともに、特にラッパーなどの排他的システム下で適用されてもよい。
【0203】
塗布される調合物対毛髪の浴比は、0.05〜10、より特に0.05〜5であってもよい。
【0204】
毛髪は、任意選択的にリンスされるおよび/または過剰の組成物を除去する前に手動乾燥させられる。
【0205】
加熱工程
ケラチン繊維を加熱手段と接触させる工程は、任意の加熱デバイスを用いて行われてもよい。
【0206】
1つ以上の加熱具が、毛髪に個別にまたは順次に適用されてもよい。
【0207】
熱の適用は、40〜250℃、優先的には90℃〜250℃、より優先的には100℃〜210℃の温度で行われてもよい。
【0208】
熱の適用は、2秒〜1時間、優先的には2秒〜1分の時間行われてもよい。
【0209】
加熱手段の適用は、順次タッチによってかまたは繊維に沿って電気器具を滑らかに動かすことによって行われてもよい。
【0210】
加熱具は、ストレートアイロン、カールアイロン、クリンプアイロン、ウェーブアイロン、フード、ヘアドライヤー、赤外線加熱システムまたは加熱カーラーであってもよい。
【0211】
熱適用工程は、組成物の塗布の工程前、工程中または工程後に、好ましくは組成物の塗布の工程中または工程後に行われてもよい。より優先的には、熱適用工程は、組成物の塗布後に行われる。任意選択の放置時間が、組成物の塗布と熱の適用との間に介在してもよい。
【0212】
マルチ塗布
上に定義されたような組成物の塗布および熱の適用工程は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも5回実施されてもよい。
【0213】
好ましい一実施形態によれば、本発明は、ケラチン繊維、とりわけ毛髪の処理方法であって、以下の工程:
− 以下のモノマー:
a)アクリルもしくはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、少なくとも1つのカチオン基を含むモノマー、
b)アルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー
から得られる単位を少なくとも含む1種以上のカチオン性アクリルコポリマーを含む組成物のケラチン繊維への塗布と、
− 加熱具を用いるケラチン繊維への熱の適用であって、熱の適用が組成物の塗布前、塗布中または塗布後に、好ましくは塗布中または塗布後に場合により行われる熱の適用と
を含み、
これらの一連の工程が少なくとも2回、より好ましくは少なくとも5回実施される
方法に取り組む。
【0214】
実際に、本発明による組成物のケラチン繊維への塗布工程と、次にケラチン繊維への熱の適用工程との繰り返し方法は、繊維のさらにより良好なコーティングを処理繊維に与える。特に、前記繰り返し方法は、縮れ制御の観点から非常に良好な効果をもたらす。
【実施例】
【0215】
I.実施例1
1.組成物の調製
本発明による組成物AおよびBならびに比較組成物Cを、それらの含有量が質量百分率として下表に示される原料を使用して調製した。
【0216】
【表1】
【0217】
2.塗布プロトコル
塗布プロトコルは以下の通りであった。
【0218】
【表2】
【0219】
3.評価および結果
乾燥後の評価プロトコルは:
形状、美容基準(感触)および外観(巨視的、TEM視覚化)への影響の評価
である。
【0220】
持続性評価プロトコルは以下の通りである:いくつかのサイクル:
毛髪の湿潤化
シャンプー
濯ぎ洗い(リンス)
ヘアドライヤーでの乾燥
形状、美容基準(感触)および外観(巨視的、TEM視覚化)への影響の評価
の実施。
【0221】
3.1 巨視的側面
走査電子顕微鏡(SEM)による観察は、塗布日のおよびシャンプー洗浄後の、処理毛髪の表面状態を明らかにし、化粧品の沈着およびその持続性を証明する。
【0222】
本発明による組成物Aを使って、および本発明によるプロトコルに従うことによって、繊維の均質な、一様な、被覆コーティングが観察された。このコーティングは、10回のシャンプー洗浄までに対して持続性がある。
【0223】
本発明による組成物Aを使って、および比較プロトコルに従うことによって、凝集体の形態での非均質な、非一様なコーティングが観察された。さらに、沈着物は、1回のシャンプー洗浄後に繊維上に非常に控えめに持続しているにすぎず、10回のシャンプー洗浄後に完全に消失してしまう。
【0224】
したがって、熱は、シャンプーに対して効果の持続を可能にする、繊維へのポリマーのより良好な分配およびより良好な接着を可能にする。
【0225】
比較組成物Cを使って、および本発明によるプロトコルに従うことによって、コーティングはまったく形成されない。
【0226】
3.2 美容側面
本発明による組成物Aを使って、および本発明によるプロトコルに従うことによって、コーティングは、頭髪にボリューム(体積、マス)効果、コシ効果およびスタイル効果ならびにまたT0およびシャンプー後での補強を与える。整形は容易にされる。分かれた毛先は、少なくとも10回のシャンプー洗浄までについては、一緒に再度まとまる。
【0227】
本発明による組成物Aを使って、および比較プロトコルに従うことによって、房は、非一様な被覆感触を有する。認知できる整形またはケア効果は、1回のシャンプー洗浄/ブロー乾燥サイクル後にまったくない。
【0228】
比較組成物Cを使って、および本発明によるプロトコルに従うことによって、感触は、改善されなかった。
【0229】
II.実施例2
1.組成物の調製
本発明による組成物Dおよび比較組成物Eを、下表に示される原料を使用して調製した。量は、活性材料の質量百分率単位で示す。
【0230】
【表3】
【0231】
2.塗布プロトコル
組成物DおよびEを、標準シャンプーであらかじめ洗浄されている、毛髪の湿った天然房上に塗布する。房の1グラム当たり0.15gの組成物を塗布する。毛髪を次にヘアドライヤーで予備乾燥させ、ヘアドライヤーでブロー乾燥させた。
【0232】
3.評価および結果
ボリューム(体積、マス)効果の観点からの性能を、0(非常に悪い)から5(非常に良い)までのスケールで、5人の熟練者によって乾燥毛髪に関して評価した。
【0233】
【表4】
【0234】
ボリューム(体積、マス)効果評価は触覚的である:熟練者は、毛髪をその手に握り、その指の中で知覚した毛髪の量を、毛根から先端まで評価する。
【0235】
1回シャンプー後のボリューム効果持続性を評価するために、毛髪の房を標準シャンプーで洗浄し、リンスし、次にヘアドライヤーでブロー乾燥させる。
【0236】
結果を下表に示す。
【0237】
【表5】
【0238】
本発明による組成物Dによって処理されている、毛髪の房は、組成物Eによって処理されている毛髪の房よりも良好なボリューム効果を有する。
【0239】
これらの結果は、標準偏差に関して有意である。
【0240】
結果として、ボリューム効果、およびその持続性は、先行技術と比べると改善されている。
【0241】
III.実施例3
1.組成物の調製
本発明による組成物FおよびG、ならびに比較組成物HおよびIを、下表に示される原料を使用して調製した。量は、活性材料の質量百分率単位で示す。
【0242】
【表6】
【0243】
2.塗布プロトコル
塗布プロトコルは以下の通りであった:
− 湿った自然の毛髪上への組成物の塗布
− ヘアドライヤーでの予備乾燥
− ヘアアイロンの適用
− シャンプー。
【0244】
組成物FおよびHを使用するプロトコルは5回実施されたのに対して、組成物GおよびIを使用するプロトコルは1回実施された。それ故、同じ量の活性材料、すなわち、組成物FおよびGについてのコポリマー1および成分(2)、ならびに組成物HおよびIについての成分(2)が毛髪上に存在する。
【0245】
3.結果
縮れ制御の観点からの結果が観察される。組成物Fを使用して、5回実施されるプロトコルと関連がある結果は写真2Aに観察されるのに対して、組成物Gを使用して、1回実施されるプロトコルと関連がある結果は写真2Bに観察される。組成物Hを使用して、5回実施されるプロトコルと関連がある結果は写真1Aに観察されるのに対して、組成物Iを使用して、1回実施されるプロトコルと関連がある結果は写真1Bに観察される。
【0246】
写真2Aおよび2Bは、それぞれ写真1Aおよび写真1Bで示されるものよりも良好な結果が観察されることを明らかに示す。実際に、本発明による組成物中に含まれる、特有のコポリマーの存在は、処理された房の良好な個別化効果をもたらす。
【0247】
写真2Aは、写真2Bで示されるものよりも良好な結果が観察されることを明らかに示す。実際に、縮れ制御もまた、写真2Aに示される毛髪について改善される。したがって、本発明による組成物のケラチン繊維への塗布および次にケラチン繊維への熱の適用の繰り返し方法は、1回実施された前記方法よりもさらに良好な繊維のコーティングを処理繊維に与える。
図1