(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一本鎖RNAテンプレートが、カプセル化、キャプシド形成、トラッピング、及び細胞の内部に存在すること、からなる群から選択される手段によってケージ化されている、請求項3に記載の方法。
前記1以上のオリゴヌクレオチドが、その配列が配列番号1〜10、11〜19、20〜27、及び28〜35からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドの群を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
前記1以上のオリゴヌクレオチドが、その配列が配列番号1〜10、11〜19、20〜27、及び28〜35からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドの群を含む、請求項11に記載の核酸標準。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
「増幅試薬」は、核酸の増幅を可能にする化学的又は生化学的成分である。そのような試薬には、核酸ポリメラーゼ、緩衝液、モノヌクレオチド、例えばヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドが、例えばオリゴヌクレオチドプライマー、塩及びそれらの各溶液、検出プローブ、色素などとして含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
当該技術分野で知られているように、「ヌクレオシド」は塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環塩基である。そのような複素環塩基の最も一般的な2つのクラスはプリン及びピリミジンである。
【0018】
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分と共有結合したホスフェート基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドについて、ホスフェート基は糖の2’−、3’−又は5’−ヒドロキシル部分のいずれかと結合することができる。ヌクレオチドは、さらに一般的には「オリゴマー化合物」と称され得る「オリゴヌクレオチド」、又はさらに一般的には「ポリマー化合物」と称され得る「ポリヌクレオチド」のモノマー単位である。前記の別の一般的表現は、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)である。
【0019】
「オリゴマー化合物」は、ヌクレオチド単独又は非天然化合物(下記参照)であり得る「モノマー単位」、さらに詳細には修飾ヌクレオチド(又はヌクレオチドアナログ)又は非ヌクレオチド化合物、単独又はその組み合わせからなる化合物である。
【0020】
「オリゴヌクレオチド」及び「修飾オリゴヌクレオチド」(又は「オリゴヌクレオチドアナログ」)はオリゴマー化合物のサブグループである。ここで、「オリゴヌクレオチド」という語は、それらのモノマー単位として複数のヌクレオチドから形成された成分を指す。ホスフェート基は、通常、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成するとされる。RNA及びDNAの通常の結合又は骨格は3’から5’のホスホジエステル結合である。オリゴヌクレオチド及び修飾オリゴヌクレオチドは、主に当該技術分野で記載され、当業者に公知のようにして合成することができる。特定の配列のオリゴマー化合物を調製する方法は当該技術分野で公知であり、例えば、適切な配列のクローニング及び制限ならびに直接化学的合成が挙げられる。化学的合成法には、例えば、Narang S. A. et al., Methods in Enzymology 68 (1979) 90−98により記載されているホスホジエステル法、Brown E. L., et al., Methods in Enzymology 68 (1979) 109−151により開示されているホスホジエステル法、Beaucage et al., Tetrahedron Letters 22 (1981) 1859で開示されているホスホルアミダイト法、Garegg et al., Chem. Scr. 25 (1985) 280−282で開示されているH−ホスホネート法及び米国特許第4458066号明細書で開示されている固体支持体法が含まれ得る。
【0021】
前記プロセスにおいて、オリゴヌクレオチドは化学的に修飾することができ、すなわち、プライマー及び/又はプローブは修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチド化合物を含む。プローブ又はプライマーはしたがって修飾オリゴヌクレオチドである。
【0022】
「修飾ヌクレオチド」(又は「ヌクレオチドアナログ」)は、天然のヌクレオチドとは多少の修飾で異なるが、それでもなお塩基、ペントフラノシル糖、ホスフェート部分、塩基様、ペントフラノシル糖様及びホスフェート様部分又はそれらの組み合わせから構成される。例えば、標識をヌクレオチドの塩基部分に結合させてもよく、それによって修飾ヌクレオチドを得る。ヌクレオチド中の天然の塩基はまた、例えば7−デアザプリンによって置換してもよく、それによっても修飾ヌクレオチドを得る。
【0023】
オリゴマー化合物の別の特定のサブグループに属する「修飾オリゴヌクレオチド」(又は「オリゴヌクレオチドアナログ」)は、1以上ヌクレオチド及び1以上の修飾ヌクレオチドをモノマー単位として保有する。したがって、「修飾オリゴヌクレオチド」(又は「オリゴヌクレオチドアナログ」)という語は、オリゴヌクレオチドと実質的に類似した方法で機能し、交換可能に使用できる構造を指す。合成の観点から、修飾オリゴヌクレオチド(又はオリゴヌクレオチドアナログ)は、例えば、ホスフェート骨格、リボース単位又はヌクレオチド塩基の適切な修飾によるオリゴヌクレオチドの化学的修飾によって作製することができる(Uhlmann and Peyman, Chemical Reviews 90 (1990) 543; Verma S., and Eckstein F., Annu. Rev. Biochem. 67 (1998) 99−134)。代表的な修飾としては、ホスホジエステルヌクレオシド間結合の代わりにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル又はホスホルアミデートヌクレオシド間結合;天然のプリン及びピリミジン塩基の代わりに、5又は6位に置換基を有するピリミジン塩基を有するデアザプリン又はアザプリン及びデアザピリミジン又はアザピリミジン;7−デアザプリンのように2、6もしくは8位又は7位に改変された置換基を有するプリン塩基;アルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分又はアリール部分、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの低級アルキル基、又はフェニル、ベンジル、ナフチルのようなアリール基を有する塩基;例えば、それらの2’位で置換基を有する糖;あるいは炭素環式又は非環式糖アナログが挙げられる。他の修飾は当業者には公知である。そのような修飾オリゴヌクレオチド(又はオリゴヌクレオチドアナログ)は、天然のオリゴヌクレオチドとは機能的に交換可能であるが、構造的には異なるとして最もよく記述される。さらに詳細には、好ましい修飾は、Verma S., and Eckstein F., Annu. Rev. Biochem. 67 (1998) 99−134又は国際公開第02/12263号で開示されている。加えて、ヌクレオシド単位がヌクレオシド間ホスフェート又は糖ホスフェート結合と代わる基を介して結合する修飾を行うことができる。そのような結合としては、Verma S., and Eckstein F., Annu. Rev. Biochem. 67 (1998) 99−134で開示されているものが挙げられる。ホスフェート結合以外を利用してヌクレオシド単位を連結する場合、そのような構造は「オリゴヌクレオシド」としても記載される。
【0024】
「核酸」ならびに「標的核酸」は、当業者に公知のヌクレオチドのポリマー化合物である。「標的核酸」は、本明細書中では、分析すべきサンプル中の核酸、すなわち決定すべきサンプル中のそれらの存在、非存在及び/又は量を意味するために用いられる。「プライマー」という語は、本明細書では、当業者に公知のとおりに使用され、オリゴマー化合物、主にオリゴヌクレオチドを指すが、テンプレート依存性DNAポリメラーゼによるDNA合成を開始できる修飾オリゴヌクレオチドも指し、すなわち、例えばプライマーの3’末端は遊離3’−OH基を提供し、これに対してテンプレート依存性DNAポリメラーゼによってさらなるヌクレオチドを結合させることができ、3’から5’のホスホジエステル結合が確立され、これによりデオキシヌクレオシド三リン酸が用いられ、それによってピロホスフェートが放出される。「プローブ」はまた、天然又は修飾オリゴヌクレオチドも意味する。当該技術分野で知られているように、プローブは分析物又は増幅産物を検出する目的に適う。上記プロセスの場合、プローブを使用して標的核酸の増幅産物(amplificate)を検出することができる。この目的のために、プローブは通常、標識を有する。
【0025】
「標識」は、「レポーター基」と呼ばれることが多く、概して、核酸、特にオリゴヌクレオチド又は修飾オリゴヌクレオチド、ならびにそれに結合した任意の核酸をサンプルの残りから識別可能にする基である(標識が結合した核酸は標識された核酸結合化合物、標識されたプローブ又は単にプローブとも称することができる)。典型的な標識は蛍光標識であり、これらは例えばフルオレセイン色素、ローダミン色素、シアニン色素、及びクマリン色素などの蛍光色素である。好ましい蛍光色素はFAM、HEX、JA270、CAL635、Coumarin343、Quasar705、Cyan500、CY5.5、LC−Red640、LC−Red705である。
【0026】
任意のプライマー及び/又はプローブは化学的に修飾され得る、すなわち、プライマー及び/又はプローブは修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチド化合物を含む。プローブ又はプライマーはしたがって修飾オリゴヌクレオチドである。
【0027】
核酸増幅の方法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、これは他の文献のなかでも、米国特許第4683202号明細書、同第4683195号明細書、同第4800159号明細書、及び同第4965188号明細書で開示されている。PCRは、典型的には、選択された核酸テンプレート(例えばDNA又はRNA)と結合する2以上のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。核酸分析に有用なプライマーとしては、標的核酸の核酸配列内で核酸合成の開始点として作用できるオリゴヌクレオチドが挙げられる。プライマーは、従来法による制限消化によって精製することができるか、又は合成で製造することができる。プライマーは増幅での最大効率のために一本鎖であり得るが、プライマーは二本鎖であり得る。二本鎖プライマーをまず変性させ、すなわち処理して鎖を分離する。二本鎖核酸を変性する一方法は加熱による。「熱安定性ポリメラーゼ」は耐熱性のポリメラーゼ酵素である、すなわち、テンプレートに対して相補的であるプライマー伸長産物の形成を触媒する酵素であり、二本鎖テンプレート核酸の変性を行うために必要な時間、高温に付された場合、不可逆的に変性しない。概して、合成は、各プライマーの3’末端で開始され、テンプレート鎖に沿って5’から3’の方向で進行する。熱安定性ポリメラーゼは、例えばThermus flavus、T.ruber、T.thermophilus、T.aquaticus、T.lacteus、T.rubens、Bacillus stearothermophilus、及びMethanothermus fervidusから単離された。それでも、酵素が補充されるならば、熱安定性でないポリメラーゼもPCRアッセイで用いることができる。
【0028】
テンプレート核酸が二本鎖である場合、PCRでテンプレートとして使用できる前に2つの鎖を分離する必要がある。鎖分離は、物理的、化学的又は酵素的手段を含む任意の好適な変性法によって達成することができる。核酸鎖を分離する一方法は、大部分が変性されるまで(例えば、50%、60%、70%、80%、90%又は95%超)核酸を加熱することを含む。テンプレート核酸を変性させるために必要な加熱条件は、例えば、緩衝液塩濃度及び変性される核酸の長さ及びヌクレオチド組成に依存するが、典型的には、約90℃〜約105℃の範囲で、温度や核酸長さなどの反応の特徴に応じた時間である。変性は、典型的には、約5秒〜9分間実施される。例えばZ05DNAポリメラーゼのような各ポリメラーゼをそのような高温に過度に長時間さらして機能的酵素の損失の危険を冒すことがないように、短い変性ステップを使用することが好ましい可能性がある。
【0029】
二本鎖テンプレート核酸が熱によって変性される場合、反応混合物を、各プライマーの標的核酸上のその標的配列へのアニーリングを促進する温度に冷却させる。
【0030】
アニーリングの温度は、約35℃〜70℃、もしくは約45℃〜約65℃;又は約50℃〜約60℃、もしくは約55℃〜約58℃であり得る。アニーリング時間は約10秒〜約1分(例えば、約20秒〜約50秒;約30秒〜約40秒)であり得る。これに関連して、各アッセイの包括性を増大させるために、異なるアニーリング温度を使用することが有利であり得る。簡潔に言うと、このことは、比較的低いアニーリング温度で、プライマーはまた、単一のミスマッチを有する標的と結合することもでき、したがって、ある配列の変異体も増幅され得ることを意味する。これは、例えばある生物が、これもまた検出されるべきである既知又は未知の遺伝的変異体を有する場合、望ましい可能性がある。他方、温度が高くなるほど、プライマー結合が標的配列に正確にマッチしない確率は連続して減少するので、比較的高いアニーリング温度は、より高い特異性を提供する利点を有する。両現象から恩恵を受けるために、本発明のいくつかの実施形態において、上記プロセスは異なる温度で、例えば最初低い温度で、その後高い温度でのアニーリングを含む。例えば、第1インキュベーションを55℃で約5サイクル行う場合、不正確にマッチする標的配列が(前)増幅される可能性がある。これに続いて58℃で約45サイクル行って、実験の主要部分全体にわたってより高い特異性を提供することができる。このように、潜在的に重要な遺伝的変異体は失われない一方で、特異性は比較的高いままである。
【0031】
反応混合物を次いで、ポリメラーゼの活性が促進又は最適化される温度、すなわち、アニーリングされたプライマーから伸長がおこって、分析される核酸に対して相補的である生成物を生成するために充分な温度に調節する。温度は、核酸テンプレートにアニーリングされる各プライマーから伸長産物を合成するために充分でなければならないが、その相補的テンプレートからの伸長産物を変性するほど高くてはならない(例えば、伸長のための温度は、概して、約40°〜80℃の範囲(例えば、約50℃〜約70℃、約60℃)である。伸長時間は、約10秒〜約5分、又は約15秒〜2分、又は約20秒〜約1分、又は約25秒〜約35秒であり得る。新たに合成された鎖は二本鎖分子を形成し、これを続く反応ステップで使用できる。鎖分離、アニーリング、及び伸長のステップは、所望の量の標的核酸に対応する増幅産物を産生するために必要な回数繰り返すことができる。反応における制限因子は、反応で存在するプライマー、熱安定性酵素、及びヌクレオシド三リン酸の量である。サイクリングステップ(すなわち、変性、アニーリング、及び伸長)を少なくとも1回繰り返すことができる。検出での使用に関して、サイクリングステップ数は、例えば、サンプルの性質に依存する。サンプルが核酸の複雑な混合物である場合、検出に充分な標的配列を増幅するためにより多くのサイクリングステップが必要であろう。概して、サイクリングステップは少なくとも約20回繰り返すが、40、60、又はさらには100回も繰り返すことができる。
【0032】
アニーリング及び伸長のステップを同じステップで実施するPCR(1ステップPCR)又は、前述のように、別のステップで実施するPCR(2ステップPCR)を実施することができる。アニーリング及び伸長を一緒に、したがって同じ物理的及び化学的条件下で、例えば、Z05 DNAポリメラーゼなどの酵素を用いて実施することは、各サイクルで追加のステップの時間を節約し、またアニーリングと伸長との間でさらなる温度調節の必要をなくすという利点を有する。したがって、1ステップPCRは各アッセイの全体的な複雑さを低減する。
【0033】
概して、結果を得るための時間が短縮され、早期診断が可能になるため、増幅全体についての時間は短いほど好ましい。
【0034】
使用される他の核酸増幅方法は、リガーゼ連鎖反応(LCR; Wu D. Y. and Wallace R. B., Genomics 4 (1989) 560−69; and Barany F., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88 (1991)189−193);ポリメラーゼリガーゼ連鎖反応(Barany F., PCR Methods and Applic. 1 (1991) 5−16);Gap−LCR(国際公開第90/01069号);修復連鎖反応(欧州特許出願公開第0439182(A2)号明細書)、3SR(Kwoh D.Y. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 1173−1177; Guatelli J.C., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 (1990) 1874−1878;国際公開第92/08808号)、及びNASBA(米国特許第5130238号明細書)を含む。さらに、鎖置換増幅(SDA)、転写介在性増幅(TMA)、及びQb増幅(概説については、例えば、Whelen A. C. and Persing D. H., Annu. Rev. Microbiol. 50(1996) 349−373; Abramson R. D. and Myers T. W., Curr Opin Biotechnol 4 (1993) 41−47を参照のこと)がある。
【0035】
内部対照核酸(internal control nucleic acid)は、その配列に関連して以下の特性を示し得る:
・55℃〜90℃、又は65℃〜85℃、又は70℃〜80℃、又は約75℃の融解温度
・最高500塩基もしくは塩基対、又は50〜300塩基もしくは塩基対、又は100〜200塩基もしくは塩基対、又は約180塩基もしくは塩基対の長さ
・30%〜70%、又は40%〜60%、又は約50%のGC含有量。
【0036】
「配列」は核酸の一次構造である、すなわち、各核酸を構成する単一の核酸塩基の特異的な配列である。「配列」という語は、RNA又はDNAなどの特定の種類の核酸を意味するものではなく、両方にあてはまり、また例えばPNA又は他の同種のものなどの他の種類の核酸にも当てはまると理解されなければならない。核酸塩基が互いに対応する場合、特にウラシル(RNA中に存在する)及びチミン(DNA中に存在する)の場合、これらの塩基は、関連する技術分野で周知のように、RNA配列とDNA配列との間で等価であるとみなすことができる。
【0037】
臨床的に関連する核酸は、多くの場合、例えばB型肝炎ウイルス(HBV)、サイトメガロウイルス(CMV)及び他の同種のもののようなDNAウイルス、又は例えばChlamydia trachomatis(CT)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(NG)及び他の同種のもののような細菌由来であり得るDNAである。そのような場合、標的核酸特性を反映するために、DNAからなる内部対照核酸を使用することが有利であり得る。
【0038】
他方、臨床診断に関連する多くの核酸は、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、西ナイル熱ウイルス(WNV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、セントルイス脳炎ウイルス(SLEV)及び他の同種のものなどのRNAウイルス由来の核酸のようなリボ核酸である。本発明はそのような核酸に容易に適用することができる。この場合、標的核酸特性を反映するために、RNAからなる内部対照核酸を使用することが有利であり得る。RNA及びDNAの両方が上記プロセスで分析される場合、内部対照核酸は複数の標的が関与するアッセイの最も感受性の高い標的を模倣するので内部対照核酸はRNAであり得、RNA標的は通常、より入念に制御されなければならない。
【0039】
したがって、本発明の一態様は、前記内部対照核酸がRNAである前記方法である。
【0040】
RNAはアルカリ性pH、リボヌクレアーゼ及び他の同種のものの影響のためにDNAよりも分解を受けやすいので、RNAで作られた内部対照核酸は武装化粒子として提供してもよい。特に武装化RNAなどの武装化粒子は例えば欧州特許第910643号明細書で記載されている。簡潔に言うと、化学的に又はヘテロローガスに、例えば大腸菌などの細菌によって産生され得るRNAは、ウイルスコートタンパク質中で少なくとも部分的にカプセル化される。後者は、外部の影響、特にリボヌクレアーゼに対するRNAの耐性を付与する。内部対照DNAも武装化粒子として提供できることは理解されなければならない。武装化RNA及びDNAはどちらも内部対照核酸として有用である。一実施形態において、RNA対照核酸は大腸菌においてMS2コートタンパク質で武装化される。さらなる実施形態において、DNA対照核酸はラムダファージGT11を用いて武装化される。
【0041】
したがって、本発明の態様は、前記内部対照核酸が武装化核酸である、前述の方法である。
【0042】
典型的には、増幅に基づく核酸診断において、RNAテンプレートを増幅及び検出の前にDNAに逆転写する。
【0043】
「逆転写酵素活性を有するポリメラーゼ」は、RNAテンプレートに基づいてDNAを合成できる核酸ポリメラーゼである。RNAが一本鎖cDNAに逆転写されると、一本鎖又は二本鎖DNAを複製することも可能である。本発明の実施形態において、逆転写酵素活性を有するポリメラーゼは熱安定性である。
【0044】
本明細書中で使用する場合、「一本鎖RNAテンプレートのセグメント」又は「一本鎖RNA対照配列のセグメント」という語は、その分解が本発明の方法で用いられる1以上のオリゴヌクレオチドによって防止又は低減されるRNAテンプレート又は配列の部分を指す。いくつかの場合では、セグメントはRNAテンプレート又は配列全体を対象とすることができ、他の場合では、セグメントは増幅され検出されるRNAテンプレート又は配列の部分に及び得る。
【0045】
一実施形態において、本発明によるプロセスは、前記RNAテンプレートとハイブリダイズするために前記RNAテンプレートに対して充分に相補的であるオリゴヌクレオチドプライマー、及び熱安定性DNAポリメラーゼとともにRNAテンプレートを含むサンプルを、少なくとも4つすべての天然又は修飾デオキシリボヌクレオシド三リン酸の存在下、一実施形態では、pH及び金属イオン濃度の両方を緩衝する金属イオン緩衝液を含む適切な緩衝液中で、インキュベートすることを含む。このインキュベーションは、前記プライマーが前記RNAテンプレートとハイブリダイズするため、そして前記DNAポリメラーゼが前記デオキシリボヌクレオシド三リン酸の重合を触媒して、前記RNAテンプレートの配列に対して相補的であるcDNA配列を形成するために充分な温度で実施する。
【0046】
本明細書中で使用する場合、「cDNA」という語は、リボ核酸鎖(RNA)をテンプレートとして合成された相補的DNA分子を指す。RNAは、例えばmRNA、tRNA、rRNA、又はRNAの別の形態、例えばウイルスRNAであってよい。cDNAは、一本鎖、二本鎖であってよいし、又はRNA/cDNAハイブリッドにおいてのように相補的RNA分子と水素結合していてもよい。
【0047】
RNAテンプレートにアニーリングするために適したプライマーはPCRによる増幅にも好適であり得る。PCRに関して、逆転写されたcDNA鎖に対して相補的である第2プライマーは、伸長産物の合成の開始部位を提供する。
【0048】
DNAポリメラーゼによるRNA分子の増幅において、第1伸長反応はRNAテンプレートを使用する逆転写であり、DNA鎖が産生される。DNAテンプレートを使用する第2伸長反応は二本鎖DNA分子を産生する。したがって、DNAポリメラーゼによるRNAテンプレートからの相補的DNA鎖の合成は増幅の出発原料を提供する。
【0049】
熱安定性DNAポリメラーゼはカップリングされた1酵素逆転写/増幅反応で使用することができる。「均一」という語は、これに関連して、RNA標的の逆転写及び増幅のための2ステップの単一付加反応(single addition reaction)を指す。均一とは、逆転写(RT)ステップ後に、反応容器を開ける必要がないか、又は増幅ステップの前に反応成分を調節する必要がないことを意味する。不均一RT/PCR反応では、逆転写後で増幅の前に、増幅試薬などの反応成分の1以上を、例えば調節、添加、又は希釈し、そのために反応容器を開けなければならないか、又は少なくともその内容物を操作しなければならない。均一実施形態と不均一実施形態のどちらも本発明の範囲に含まれる。
【0050】
逆転写はRT/PCRにおいて重要なステップである。例えば、RNAテンプレートは、各逆転写酵素によるcDNA鎖のプライマー結合及び/又は伸長を妨害し得る二次構造を形成する傾向を示すことが当該技術分野では知られている。したがって、RT反応の比較的高い温度は転写の効率に関して有利である。他方、インキュベーション温度を上昇させることもより高い特異性を意味する、すなわち、RTプライマーは、予想される1つ又は複数の配列に対してミスマッチを示す配列にアニーリングしない。特に複数の異なる標的RNAの場合では、例えば、流体サンプル中に生物の未知又は稀少な亜系又は亜種が存在する可能性がある場合、単一のミスマッチを有する配列を転写し、その後増幅し、検出することが望ましい可能性がある。
【0051】
上記の両方の利点、すなわち二次構造及びミスマッチを有するテンプレートの逆転写の低減から恩恵を受けるために、RTインキュベーションは複数の異なる温度で実施することができる。
【0052】
したがって、本発明の態様は、逆転写酵素活性を有するポリメラーゼの前記インキュベーションが、30℃〜75℃、又は45℃〜70℃、又は55℃〜65℃の異なる温度で実施される上記プロセスである。
【0053】
逆転写のさらなる重要な態様として、長いRTステップは流体サンプル中に存在し得るDNAテンプレートを損傷する可能性がある。流体サンプルがRNA及びDNA種の両方を含む場合、RTステップの期間をできる限り短く保つが、同時に、その後の増幅及び任意の増幅産物の検出のために充分なcDNA量の合成を保証することが好ましい。
【0054】
したがって、本発明の態様は、逆転写酵素活性を有するポリメラーゼのインキュベーションの時間が最大で30分、20分、15分、12.5分、10分、5分、又は1分である前記プロセスである。
【0055】
本発明のさらなる態様は、逆転写酵素活性を有し、変異を含むポリメラーゼが、以下からなる群から選択されるプロセスである
a)CS5DNAポリメラーゼ
b)CS6DNAポリメラーゼ
c)Thermotoga maritimaのDNAポリメラーゼ
d)Thermus aquaticusのDNAポリメラーゼ
e)Thermus thermophilusのDNAポリメラーゼ
f)Thermus flavusのDNAポリメラーゼ
g)Thermus filiformisのDNAポリメラーゼ
h)Thermus sp.sps17のDNAポリメラーゼ
i)Thermus sp.Z05のDNAポリメラーゼ
j)Thermotoga neapolitanaのDNAポリメラーゼ
k)Termosipho africanusのDNAポリメラーゼ
l)Thermus caldophilusのDNAポリメラーゼ。
【0056】
これらの要件に特に適しているのは、より速い伸長速度の点でそれらの逆転写効率を増強するポリメラーゼドメインにおいて変異を有する酵素である。
【0057】
したがって、本発明の態様は、逆転写酵素活性を有するポリメラーゼが、各野生型ポリメラーゼと比較して改善された核酸伸長速度及び/又は改善された逆転写酵素活性を付与する変異を含むポリメラーゼである前記プロセスである。
【0058】
一実施形態において、上記プロセスでは、逆転写酵素活性を有するポリメラーゼは、各野生型ポリメラーゼと比較して改善された逆転写酵素活性を付与する変異を含むポリメラーゼである。
【0059】
それらを特に有用にする点変異を有するポリメラーゼは、国際公開第2008/046612号で開示されている。特に、用いられるポリメラーゼは、ポリメラーゼドメインに少なくとも以下のモチーフを含む変異DNAポリメラーゼであり得る:
【0060】
T−G−R−L−S−S−Xb7−Xb8−P−N−L−Q−N;ここで、Xb7はS又はTから選択されるアミノ酸であり、Xb8はG、T、R、K、又はLから選択されるアミノ酸であり、ポリメラーゼは3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を含み、そして野生型DNAポリメラーゼと比較して改善された核酸伸長速度及び/又は改善された逆転写効率を有し、前記野生型DNAポリメラーゼにおいて、Xb8はD、E又はNから選択されるアミノ酸である。
【0061】
一例は、Thermus種Z05由来の熱安定性DNAポリメラーゼの変異体(米国特許第5455170号明細書に記載)であり、前記変形は、各野生型酵素Z05と比較してポリメラーゼドメインに変異を含む。本発明の方法の実施形態は、580位のアミノ酸がG、T、R、K及びLからなる群から選択される変異体Z05DNAポリメラーゼである。
【0062】
熱安定性ポリメラーゼを使用する逆転写について、Mn2+は二価カチオンであり得、典型的には塩、例えば、塩化マンガン(MnCl2)、酢酸マンガン(Mn(OAc)2)、硫酸マンガン(MnSO4)として含まれる。MnCl2が50mMのTricine緩衝液を含む反応中に含まれる場合、例えば、MnCl2は概して0.5〜7.0mMの濃度で存在し、各々200μMのdGTP、dATP、dUTP、及びdCTPを使用する場合、2.5〜3.5mMが概して存在する。
【0063】
DNA標的核酸を保存しながらRNA標的核酸をcDNAに逆転写し、したがってcDNA及びDNAの両方をその後の増幅に使用することができることは本発明の範囲内に含まれるので、上記内部対照プロセスは、RNAを有する生物又はDNAゲノムを有する生物の両方に由来する標的核酸の同時増幅に特に有用である。この利点は、同じ物理的条件下で分析できる異なる生物、特に病原体の範囲を相当増大させる。
【0064】
「生物」は、本明細書中で使用する場合、あらゆる生きている単細胞又は多細胞生命体を意味する。本明細書では、ウイルスは生物である。
【0065】
特に適切な最適温度のために、Tthポリメラーゼ又は、例えば、前記変異体Z05DNAポリメラーゼのような酵素は、標的核酸のその後の増幅ステップを実施するために適している。逆転写及び増幅の両方に同じ酵素を用いることは、流体サンプルをRT及び増幅ステップの間で操作する必要がないので、プロセスの実施の容易性に貢献し、その自動化を促進する。
【0066】
増幅ステップの標的はRNA/DNAハイブリッド分子であり得る。標的は一本鎖又は二本鎖核酸であり得る。最も広く用いられるPCR手順は二本鎖標的を使用するが、これは必須ではない。一本鎖DNA標的の最初の増幅サイクルの後、反応混合物は、一本鎖標的と新たに合成された相補鎖とからなる二本鎖DNA分子を含む。同様に、RNA/cDNA標的の最初の増幅サイクルの後、反応混合物は二本鎖cDNA分子を含む。この時点で、増幅の連続サイクルは前述のように進行する。
【0067】
好適な核酸検出法は当業者に公知であり、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989及びAusubel F. et al.: Current Protocols in Molecular Biology 1987, J. Wiley and Sons, NY.のような標準的テキストに記載されている。核酸検出ステップを例えば沈殿ステップとして実施する前にさらなる精製ステップがあってもよい。検出方法には、二本鎖DNA中にインターカレートし、その蛍光をその後に変化させるエチジウムブロミドなどの特異的色素の結合又はインターカレーティングが含まれ得るが、これらに限定されない。精製された核酸はまた、場合によって制限消化の後に電気泳動法によって分離し、その後可視化することもできる。特定の配列に対するオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションとその後のハイブリッド検出を用いる、プローブに基づくアッセイもある。
【0068】
増幅した標的核酸は、分析結果を評価するために、増幅反応中又は増幅反応後に検出することができる。特にリアルタイム検出のために、核酸プローブを使用することが有利である。
【0069】
増幅反応をリアルタイムでモニターすること、すなわち、標的核酸及び/又はそれらのアンプリコンを増幅中に検出することが好ましい可能性がある。
【0070】
前記方法は、ドナー蛍光部分とアクセプター蛍光部分との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づくものであり得る。代表的なドナー蛍光部分はフルオレセインであり、代表的な対応するアクセプター蛍光部分としては、LC−Red640、LC−Red705、Cy5、及びCy5.5が挙げられる。典型的には、検出は、ドナー蛍光部分によって吸収される波長でサンプルを励起し、そして対応するアクセプター蛍光部分によって放射される波長を可視化及び/又は測定することを含む。本発明によるプロセスにおいて、検出に続いてFRETを定量することができる。例えば、検出を各サイクリングステップの後に実施する。例えば、検出をリアルタイムで実施する。市販のリアルタイムPCR装置(例えば、LightCycler(商標)又はTaqMan(登録商標))を使用することによって、PCR増幅及び増幅産物の検出を単一の閉鎖キュベット中で組み合わせることができ、サイクリング時間が劇的に短縮される。検出は増幅と同時に行われるので、リアルタイムPCR法は増幅産物を操作する必要性を排除し、そして増幅産物間の二次汚染のリスクを減少させる。リアルタイムPCRはターンアラウンド(turn−around)時間を大幅に短縮し、臨床検査室において従来のPCR技術の魅力的な代替策である。
【0071】
以下の特許出願はLightCycler(商標)技術で用いられるリアルタイムPCRを記載している:国際公開第97/46707号、国際公開第97/46714号及び国際公開第97/46712号。LightCycler(商標)機器は、高品質光学素子を利用した微量蛍光光度計と組み合わせたラピッドサーマルサイクラーである。このラピッドサーモサイクリング技術は薄いガラス製キュベットを反応容器として使用する。反応チャンバーの加熱及び冷却は、熱風と周囲空気を交互に入れ替えることによって制御する。空気の質量が小さく、キュベットの表面積/容積比が高いため、サーマルチャンバー内で非常に迅速な温度交換速度を達成することができる。
【0072】
TaqMan(登録商標)技術は、2つの蛍光部分で標識された一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを利用する。第1蛍光部分が好適な波長の光で励起されると、吸収されたエネルギーがFRETの原理に従って第2の蛍光部分に移される。第2の蛍光部分は、概してクエンチャー分子である。このフォーマットで使用される典型的な蛍光色素は、例えばとりわけ、FAM、HEX、CY5、JA270、Cyan及びCY5.5である。PCR反応のアニーリングステップの間、標識されたハイブリダイゼーションプローブは標的核酸(すなわち、増幅産物)と結合し、Taq又は当業者に公知の好適な別のポリメラーゼ、例えば変異Z05ポリメラーゼの5’から3’エキソヌクレアーゼ活性によって、その後の伸長期の間に分解される。その結果、励起された蛍光部分及びクエンチャー部分は空間的に互いに隔てられるようになる。その結果、クエンチャーの不在下で第1蛍光部分が励起されると、第1蛍光部分からの蛍光発光を検出することができる。
【0073】
上述の両検出フォーマットにおいて、放出されたシグナルの強度は、元の標的核酸分子の数と相関させることができる。
【0074】
FRETの代替として、増幅産物は、蛍光DNA結合色素(例えば、SYBRGREEN I(登録商標)又はSYBRGOLD(登録商標)(Molecular Probes))などの二本鎖DNA結合色素を使用して検出することができる。二本鎖核酸と相互作用すると、そのような蛍光DNA結合色素は好適な波長の光で励起した後に蛍光シグナルを放出する。核酸インターカレーティング色素などの二本鎖DNA結合色素も使用することができる。二本鎖DNA結合色素を使用する場合、通常、増幅産物の存在を確認するために融解曲線分析を実施する。
【0075】
本発明のリアルタイムPCR法を使用して増幅産物の存在を検出するために、FRETとあわせた分子ビーコンも使用できる。分子ビーコン技術は、第1蛍光部分及び第2の蛍光部分で標識したハイブリダイゼーションプローブを使用する。第2の蛍光部分は、概してクエンチャーであり、蛍光標識は典型的にはプローブの各末端に位置する。分子ビーコン技術は、二次構造形成(例えば、ヘアピン)を可能にする配列を有するプローブオリゴヌクレオチドを使用する。プローブ内での二次構造形成の結果、プローブが溶液中にある場合、両蛍光部分は空間的に近接する。増幅産物に対するハイブリダイゼーション後、プローブの二次構造は破壊され、蛍光部分は互いに分離されるようになり、したがって、好適な波長の光で励起した後、第1蛍光部分の発光を検出することができる。
【0076】
したがって、本発明による方法は、FRETを使用する前記方法であり、前記プローブは二次構造形成を可能にする核酸配列を含み、前記二次構造形成の結果、前記第1蛍光部分と第2の蛍光部分とが空間的に近接する。
【0077】
効率的なFRETは、蛍光部分が局所的に直接近接する場合、及びドナー蛍光部分の発光スペクトルがアクセプター蛍光部分の吸収スペクトルと重複する場合にのみ起こり得る。
【0078】
したがって、一実施形態において、前記ドナー及びアクセプター蛍光部分は前記プローブ上で互いに5ヌクレオチド以内である。
【0079】
さらなる実施形態において、前記アクセプター蛍光部分はクエンチャーである。
【0080】
上述のように、TaqMan(登録商標)フォーマットでは、PCR反応のアニーリングステップの間に、標識されたハイブリダイゼーションプローブは標的核酸(すなわち、増幅産物)と結合し、そしてその後の伸長期の間に、Taq又は当業者に公知の別の好適なポリメラーゼ、例えば変異体Z05ポリメラーゼの5’から3’エキソヌクレアーゼ活性によって分解する。
【0081】
したがって、一実施形態において、前記プロセスでは、増幅は、5’から3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を用いる。
【0082】
前記プロセスの結果として得られるアンプリコンの長さを慎重に選択することがさらに有利である。概して、比較的短いアンプリコンは増幅反応の効率を増大させる。したがって、本発明の一態様は、増幅されたフラグメントが最大450塩基、最大300塩基、最大200塩基、又は最大150塩基を含む前記プロセスである。
【0083】
本発明で用いられる内部対照核酸は、定量、すなわち標的核酸の量を測定するための基準である傾向にあり、また基準として使用される「定量的標準核酸 (quantitative standard nucleic acid)」としての役割を果たすことができる。この目的のために、1以上の定量的標準核酸は、標的核酸とともにすべての可能なサンプル調製ステップに供する。さらに、定量的標準核酸は、同じ反応混合物内で方法全体にわたって処理される。定量的標準核酸は、標的核酸の存在下又は不在下の両方で、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に生成しなければならない。この目的のために、定量的標準核酸の濃度は、感度を妨害しないが検出可能なシグナルも、例えば非常に高い標的濃度で生成するために、慎重に最適化されなければならない。各アッセイの検出限界(LOD、下記参照)に関して、「定量的標準核酸」の濃度範囲は20〜5000×LOD、20〜1000×LOD、又は20〜5000×LODである。反応混合物中の定量的標準核酸の最終濃度は得られた定量的測定範囲に依存する。
【0084】
「検出限界」又は「LOD」は、サンプル中の核酸の検出可能な最低量又は最低濃度を意味する。低い「LOD」は高い感度に対応し、逆も同様である。「LOD」は、通常、特に核酸がウイルス核酸である場合は単位「cp/ml」によって表されるか、又はIU/mlとして表される。「Cp/ml」は「1ミリリットル当たりのコピー数」を意味し、ここで、「コピー」は各核酸のコピーである。IU/mlはWHO標準を意味する「国際単位/ml」を表す。
【0085】
LODを算出するために広く用いられている方法は「プロビット分析」であり、これは刺激(用量)と素量(全か無)応答との間の関係を分析する方法である。典型的な素量応答実験において、動物の群に異なる用量の薬物を投与する。各用量レベルでの死亡率を記録する。これらのデータを次に、プロビット分析を使用して分析することができる。プロビットモデルは、応答率(%)が累積正規分布としてのログ用量に関連すると仮定する。すなわち、ログ用量を変数として使用して、累積正規分布から死亡率を読み取ることができる。他の確率分布ではなく正規分布を使用することは、可能な用量の上限及び下限で予想される応答率に影響を及ぼすが、中央付近ではほとんど影響を及ぼさない。
【0086】
プロビット分析を明確な「ヒットレート (hitrate)」として適用することができる。当該技術分野で知られているように、「ヒットレート」は、通常、パーセント[%]で表され、分析物の特定の濃度での陽性結果の百分率を示す。したがって、例えば、LODは95%ヒットレートで決定することができ、これは、LODが妥当な結果の95%が陽性である設定について算出されることを意味する。
【0087】
一実施形態において、前記プロセスは、1〜100cp/ml又は0.5〜50IU/ml、又は1〜75cp/ml又は0.5〜30IU/ml、又は1〜25cp/ml又は1〜20IU/mlのLODを提供する。
【0088】
ある特定のウイルスからの可能な標的核酸のいくつかの例に関して、前記プロセスは、以下のLODを提供する:
・HIV:最高60cp/ml、最高50cp/ml、最高40cp/ml、最高30cp/ml、最高20cp/ml、又は最高15cp/ml
・HBV:最高10IU/ml、最高7.5IU/ml、又は最高5IU/ml
・HCV:最高10IU/ml、最高7.5IU/ml、又は最高5IU/ml
・WNV I:最高20cp/ml、最高15cp/ml、又は最高10cp/ml
・WNV II:最高20cp/ml、最高15cp/ml、最高10cp/ml、又は最高5cp/ml
・JEV:最高100cp/ml、最高75cp/ml、最高50cp/ml、又は最高30cp/ml
・SLEV:最高100cp/ml、最高75cp/ml、最高50cp/ml、最高25cp/ml、又は最高10cp/ml。
【0089】
定量的標準核酸としての役割を果たす内部対照核酸に基づくTaqMan(登録商標)フォーマットにおける定量的結果の計算を実施する方法の一例を以下で記載する:力価は、全PCR実施からの機器補正された蛍光値の入力データから算出される。標的核酸と定量的標準核酸としての役割を果たす内部対照核酸とを含むサンプルのセットに特定の温度プロフィールを使用するthermocyclerでのPCRを実施する。PCRプロファイル中の選択された温度及び時間で、サンプルにフィルタリングした光を照射し、フィルタリングした蛍光データを標的核酸及び内部対照核酸の各サンプルについて集める。PCR実施が完了した後、蛍光読取値を処理して、1セットの内部対照核酸の色素濃度データと、1セットの標的核酸の色素濃度データを得る。色素濃度データの各セットを同じ方法で処理する。数回の妥当性チェックの後、エルボー値(CT)を内部対照核酸及び標的核酸について算出する。エルボー値は、標的核酸又は内部対照核酸の蛍光が所定の閾値(蛍光濃度)と交差する点として定義される。力価決定は、標的核酸及び内部対照核酸が同じ効率で増幅され、算出されたエルボー値で等しい量の標的核酸及び内部対照核酸のアンプリコンが増幅され検出されるという仮定に基づく。したがって、(CTQS−CT標的)はlog(標的濃度/QS濃度)に対して線形である。これに関連して、QSは、定量的標準核酸としての役目を果たす内部対照核酸を意味する。力価Tを次に、例えば、以下の等式においてのような多項較正式を使用することによって算出することができる:
T’=10(a(CTQS−CT標的)2+b(CTQS−CT標的)+c)
【0090】
多項式定数及び定量的標準核酸の濃度は既知であり、したがって、式の唯一の変数は差(CTQS−CT標的)である。
【0091】
さらに、内部対照核酸は、「定性的内部対照核酸」としての役割を果たすことができる。「定性的内部対照核酸」は、定性的検出アッセイの試験結果の妥当性を確認するために特に有用である、すなわち、否定的な結果の場合でも、定性的内部対照が検出されなければならず、さもなければ、試験自体が無効とみなされる。しかしながら、定性的設定では、必ずしも肯定的な結果の場合に検出される必要はない。結果として、その濃度は比較的低くなければならない。各アッセイ及びその感度に対して慎重に適応させなければならない。例えば、定性的内部核酸、すなわち第2の対照核酸の濃度範囲は、反応あたり1コピーから反応あたり1000コピーの範囲を含む。各アッセイの検出限界(LOD)に関連して、その濃度は、アッセイのLODとLODの25倍の値との間であるか、又はLODと10×LODとの間である。あるいは、2×LODと10×LODとの間である。あるいは、5×LODと10×LODとの間である。あるいは、5×LOD又は10×LODである。
【0092】
本発明の第一の態様は、ヌクレアーゼ及び加水分解耐性核酸標準及び対照の調製及び使用である。内部標準及び正の対照は、試験キットの正しい機能を保証し、試験結果を確認する上で重要な役割を果たす。内部標準は定量化のための手段も提供する。サンプル中の特定のRNAの検出及び定量化はRT−PCRの出現とともに普及するようになった。RT−PCR研究のための内部標準はRNA分子でなければならない。なぜなら、それは逆転写及びPCR増幅ステップの両方を制御するからである。このことは、RNAが特にRNase及び熱分解の影響を受けやすいので問題である。サンプルの保存中又は導入後のいずれかでRNA標準の部分的又は完全分解により、改変された試験結果を得る可能性があった。RNA検出スキームの多くが、比較的多量の様々なRNasesがある血清サンプルのウイルスRNAを検出するために設計されると仮定すると、少なくとも部分的RNA分解の可能性はかなり高い。RNA診断アッセイの理想的な内部標準は、アッセイフォーマットにおけるRNAと機能的に同等であるが、ヌクレアーゼによる分解又は加水分解による分解に対して耐性である分子である。RNasesが活性である環境において酵素による分解からRNAを保護するために3つの一般的な方法、すなわち、(1)透過不可能な構造の内部にRNAをマイクロカプセル化する方法、(2)標準へのヌクレアーゼのアクセスを拒否する分子とRNAを非共有結合させる方法、及び(3)アッセイフォーマットにおいて依然としてRNAと機能的に同等でありながら、もはやヌクレアーゼの基質ではなくなるように、RNAの構造を化学的に改変する方法を想定することができる。
【0093】
本発明の標準における核酸は、定量化アッセイで使用することができる。これらの標準は、様々な目的のため、例えば定量的RNA標準(特定のRNA配列の絶対コピー数を決定するため)、特に、血漿、血清、又は脳脊髄液中の、HIV−1、HIV−2、HCV、HTLV−1、HTLV−2、G型肝炎、エンテロウイルス、デング熱ウイルス、又は狂犬病などのRNAウイルスの数を定量化するために使用することができる。それらはまた、RT−PCRアッセイによって細胞又は組織中の特定のmRNAの発現を定量化するためにも使用できる。標準は内部であっても外部であってもよい。サンプル及び標準が1つとして処理し分析されるように、内部標準を既知濃度のサンプルと混合する。したがって、サンプルごとのアッセイの効率の差を、内部標準によって生じたシグナルを使用して正規化する。外部標準を、サンプルと並行して既知濃度で処理し分析するが、サンプルとは別に処理する。いくつかの異なる濃度の外部標準を同時に処理して、標準曲線を作製し、これを次に使用して、未知のサンプルの値を決定することができる。内部及び外部標準はどちらも定量化のために使用できるが、内部標準の方が概してより正確とみなされる。標準を、試薬のすべてが適切に機能することを示すためにRT−PCRアッセイに基づくか又はRT−PCRアッセイにおける診断RNAである細菌、真菌、又は寄生虫性疾患において、診断で正の対照として作用する定性的標準として使用することができる。これらの標準を使用して、単離手順に供し、それに続いてノザンブロッティングを行った後、保護されたRNAにおいて観察される分解の量を測定することによって、RNA単離手順の完全性を測定することができる。それらは、環境トレーサーとして使用して、地下水の流れを追跡するか、又は独自の核酸配列で個々の企業の廃棄物を標識することができ、これで違反企業をたどることができる。
【0094】
本発明はウイルス定量化に特に有用である。開発中及び/又は市販のプロセスにおいて多くの新規核酸ベースのアッセイが存在する。これらのアッセイは、ヒト血漿又は血清中の病原性ヒトウイルス、例えばHIV及びHCVを検出する。これらのアッセイは高感度であり、1.0mlの血漿あたり300ビリオン未満でも検出する。それらの現行のフォーマットにおいて、これらの核酸ベースのアッセイの一部は、それらの定量的標準に裸のRNAを使用する。残念なことに、これらの裸のRNA標準は夾雑リボヌクレアーゼや熱による加水分解の影響を非常に受けやすく、したがって、アッセイの結果は損なわれる可能性がある。
【0095】
本発明の一つの第1実施形態は、標準核酸をコードする配列を含むヌクレアーゼ及び加水分解耐性組換え核酸セグメントを含む核酸標準に関する。いくつかの好ましい実施形態において、核酸標準は、標準RNAをコードする配列を含むリボヌクレアーゼ及び加水分解耐性RNAセグメントを含むRNA標準である。本明細書中で用いられる場合、「標準的核酸」及び「標準的RNA」とは、それぞれ、用いられる特定のアッセイで標準として適した核酸及びRNAを指す。本発明は、RNAウイルスを定量化するためのRNA標準として非常に適したリボヌクレアーゼ及び加水分解耐性組換えRNAを企図するが、組換え体である必要はなく、組織培養からの細胞などの任意の供給源から単離されたRNAのRNA標準として使用することができる。
【0096】
本明細書中で、「ヌクレアーゼ耐性」及び「リボヌクレアーゼ耐性」という語は、核酸が同じ配列の裸の非修飾核酸よりもヌクレアーゼに対して多少増加した耐性を示すことを意味する。同様に、「加水分解耐性」という語は、核酸が、同じ配列の裸の非修飾核酸よりも多少増加した自発的温度依存性加水分解に対する耐性を示すことを意味する。
【0097】
核酸セグメントをヌクレアーゼ耐性にするために用いることができる様々な方法がある。核酸セグメントは、化学的に修飾することができるか、ヌクレアーゼ耐性コーティングでコーティングすることができるか、又はヌクレアーゼ耐性構造中にケージ化することができる。例えば、RNA標準は、リボヌクレアーゼに対して耐性である化学的に修飾されたRNAであり得る。組換えRNAセグメントをリボヌクレアーゼ耐性にする別の方法は、組換えRNAセグメントをリボヌクレアーゼ耐性コーティングでコートすることである。そのようなコーティングは、配列依存的又は非依存的方法でRNAに結合し、RNAをリボヌクレアーゼ耐性にするいかなるものでもあり得る。いくつかの場合で、RNA標準は、リボヌクレアーゼ耐性構造中で外部環境からケージ化された組換えRNAである。RNAは、単に細胞の内部にあることによってケージ化され得る。ケージ化RNAの他の合成法は、ウイルスタンパク質中のRNAの部分キャプシド形成、RNAの部分脂質カプセル化、ポリマーマトリックス中のRNAの部分トラッピングなどを含む。
【0098】
別の方法において、リボヌクレアーゼ又は加水分解耐性構造は、RNA標準を部分的にキャプシドで包むウイルスコートタンパク質から構成される。RNAは、細菌宿主においてインビボで転写され、次いでバクテリオファージタンパク質によってキャプシドで包まれる。RNAのこの「ケージ化」の結果、リボヌクレアーゼから保護されたRNA(武装化RNA)が得られる。核酸又はRNAをヌクレアーゼ耐性又は加水分解耐性構造中に完全又は実質的にケージ化することができるが、部分的ケージ化が核酸又はRNAをヌクレアーゼもしくはリボヌクレアーゼ又は加水分解耐性にする限りにおいて、部分的にケージ化された核酸及びRNAもまた本発明の範囲に含まれる。したがって、本明細書中で使用する場合、「キャプシド形成」、「カプセル化」、「トラッピングされた」及び同種の語は、これらの語が本明細書中で用いられる場合、結果としての構造がヌクレアーゼ又は加水分解耐性である限りにおいて、キャプシド形成、カプセル化、トラッピングなどが部分的ならびに実質的又は実質的に完全である構造を包含する。
【0099】
RNAはまた、リボヌクレアーゼに耐性となるように化学的に修飾することもできる。化学的に修飾されたRNAは、化学的に修飾されたヌクレオチドから構成され得る。これらのヌクレオチドは、リボヌクレアーゼがRNAに作用できないように修飾される。化学的に修飾されたRNAは、RNA又はあらかじめ転写されたRNA転写物の化学的修飾によって調製される。あるいは、化学的に修飾されたRNAは、すでに化学的に修飾されたヌクレオチドから転写又は合成することができる。
【0100】
RNA標準はまた、リボヌクレアーゼ耐性コーティングと非共有結合しているか又はリボヌクレアーゼ耐性コーティングでコートされたRNAも含み得る。配列依存性又は非依存性であり得るそのような結合は、RNAをリボヌクレアーゼ耐性にする。いくつかの実施形態において、結合した分子はタンパク質から構成される。そのような結合タンパク質の例はMS2/R17コートタンパク質、HIV−1ヌクレオキャプシドタンパク質、gp32、T4のregAタンパク質、又はバクテリオファージT4のgp32である。他の場合では、非共有結合分子は、小分子から構成される。例えば、ポリアミン、スペルミン及び/又はスペルミジン。リボヌクレアーゼ耐性コーティングはまた核酸から構成され得る。いくつかの好ましい実施形態では、核酸は、組換えRNAとハイブリダイズし、ヌクレアーゼをブロックし、そして逆転写酵素のプライマーとしての役割を果たすことができる。他の場合では、ポリ−L−リシン及びカチオン性界面活性剤、例えばCTABを使用してRNAをコートし保護することができる。
【0101】
汎用内部対照/定量標準 (generic Internal Control/Quantitation Standard)(IC/QS)概念は、全ての診断アッセイで使用される単一対照配列(例えば、1つの配列に由来する1つのDNAと1つのRNA)を使用することに基づく。歴史的には、内部対照の設計には、プライマーの標的と競合する対照である、競合的増幅が用いられてきた。競合的増幅概念を使用して、各アッセイは、アッセイ標的及び汎用プローブ結合部位と同一であるプライマー結合配列から構成される個々の対照配列を使用した。各新規アッセイについて、標的プライマーは、対照プライマーとしての役割も果たし、したがって、アッセイで追加のプライマーは必要なかった。多重アッセイにおいて、1つだけの内部対照は、標的の1つに対応するプライマー結合部位を有するように構築された。多重アッセイにおいて1つのICを使用することは、明らかに、もはやアッセイにおける他の標的と競合的ではなかった。したがって、完全プロセス対照の目標は部分的にしか満たされなかった。非競合的対照の第2の例は、それ自身のプライマーセットを必要とするサンプル中の細胞に由来する内因性ヒトゲノム内部対照を使用する。汎用IC/QSの重要な要件は以下のものを含んでいた:すべての調節要件を満たさなければならない。各アッセイにおいて完全プロセス対照(FPC)、内部対照(IC)、及び内部定量標準(IQS)としての役割を果たさなければならない。FPCに関して、サンプル調製を通して1つ又は複数の標的について類似した効率でなければならない。任意の意図する標的とプライマー及びプローブ結合部位を共有してはならないが、類似した効率で増幅/検出しなければならない、すなわち、標的が増幅/検出する場合は増幅/検出できず、標的と同様にPCR阻害剤に応答しなければならない。汎用IC/QSは改善されたダイナミックレンジ、LOD、及びアッセイ精度をもたらさなければならず、発生時間及び操作上の複雑さを低減しなければならない。
【0102】
汎用対照の概念は、RNA又はDNAのいずれかであり得る共通対照配列からなり、保護される(例えば、武装化RNA(MS2ファージコートタンパク質粒子)又は武装化DNA(ラムダファージ粒子)と称する粒子中のように)。可能ならば、汎用対照はすべてのアッセイで使用される新規プライマー及びプローブの1セットを有する。この目的のために、プライマー及びプローブとあわせた汎用内部対照(GIC)は、NCBI Blastプログラム及びEMBOSS shuffleseq(European Molecular Biology Open Software Suite)を使用して独自の配列を生成するために設計することができる。
【0103】
本発明の基本的概念は、関心対象の特異的RNA配列を核酸二本鎖に変換することによってRNAを加水分解又はRNase分解から保護するという概念である。一実施形態において、この二本鎖はRNA/DNAハイブリッド二本鎖である。二本鎖DNAにおけるホスホジエステル結合の加水分解速度は一本鎖DNAよりも10倍遅いことが知られている。また、すべての一般的な夾雑リボヌクレアーゼは一本鎖RNA基質を好む。RNA/DNAハイブリッド二本鎖はRNase Hに好ましい基質であるが、このリボヌクレアーゼは一般的な夾雑物ではない。
【0104】
一本鎖RNAが容易に加水分解され、低い熱安定性を有することはよく知られている。これは、2’−ヒドロキシルが近接し、この結果、隣接基関与効果とエステル交換、それに続いて最終的に鎖切断がもたらされ得るためである。2’,3’−環状中間体に至る遷移状態には厳密な幾何学的及び立体的要件があることも知られている。2’−ヒドロキシルは、脱離基と一列になって一次的な三角両錐構造をもたらすような正しい位置にそれ自体を配列させることができなければならない。2’−3’環状ホスフェート中間体の形成は、遷移状態の形成が結合の柔軟性のために低いエネルギー要件を有し、利用可能な自由度が多いため、一本鎖RNA立体配座に限定されない。RNAを二本鎖形態にすることによって、求核試薬及び脱離基は拘束され、官能基の自由度は大幅に減少する。本発明の安定化のための相補的オリゴヌクレオチドプール(COPS)を添加することで、ハイブリダイゼーションが起こり、DNA:RNAハイブリッド二本鎖が形成される。二本鎖構造中に保持される場合、RNAは硬質であり、もはや柔軟ではない。二本鎖状態では、2’−ヒドロキシル及びホスホジエステル結合(脱離基)は互いに反対の方向に位置しない。遷移状態の形成は、巻き戻し及び多くの水素結合の切断なしには可能ではない。これはエネルギー的に非常に不利であり、したがって許容されない。加えて、硬質の二環式2’,3’−ホスフェート中間体はすでに硬質構造で形成することができない。これによって、COPS法によってRNAに付与される並外れた熱安定性の説明がつく。
【0105】
したがって、本発明の重要な特徴は、1以上の逆相補オリゴヌクレオチド配列を保存溶液、試料、又は必要に応じて抽出緩衝液に導入することによって実現することができる。保護される全RNA配列は、1以上の逆相補オリゴヌクレオチド配列に対するハイブリダイゼーションによって場合によりカバーされてもよい。相補的オリゴヌクレオチド配列は、当該技術分野で理解されるように、関心対象のRNA配列に対して完全に相補的である必要はなく、オリゴヌクレオチド(複数可)とRNAとの間のハイブリダイゼーションが依然として適度にストリンジェントな条件で起こり得る限り、RNA配列に対して部分的に相補的であり得る。相補的オリゴヌクレオチド配列は、場合によって、互いに隣接するように選択することができる。相補的オリゴヌクレオチド配列の濃度、長さ、及び組成は、下流プロセスステップ(例えばPCR増幅)が受ける影響又は損傷が最低となるように選択される。例えば、45℃以上の温度でRNA配列に対するハイブリダイゼーションを可能にするが、下流サンプル調製プロセスにおいて固相に対する結合を最小限に抑える範囲(例えば、11〜50ヌクレオチド又は11〜30ヌクレオチドの長さ)内にオリゴヌクレオチド補体の長さを保持することによって、その後のRT−PCR反応における有害な干渉は最小限に抑えられる。さらに、オリゴヌクレオチド補体がプライマーよりも充分低い融解温度を有するように設計し、そして逆転写(RT)ステップの間に充分高いアニーリング温度を維持することによって、プライマーとの競合を最小限に抑えることができる。同様に、オリゴヌクレオチド補体の3’末端をブロックすることによって、その後のRT−PCR反応で依然として存在し得る補体はポリメラーゼによって伸長することができない。オリゴヌクレオチド補体の濃度は、RNA配列の適切な保護を提供するために充分なモル過剰であるが、下流プロセス(例えば、PCR増幅)に害を及ぼさないために充分低い濃度であるように選択することもできる。
【0106】
相補オリゴヌクレオチド配列の組成物は、関心対象のRNA配列を有する安定な二本鎖を形成するそれらの能力によってのみ制限される。これらのオリゴヌクレオチドは、したがって、DNA、L−DNA、RNA、LNA、PNA、BNAなど、又はヌクレオチド塩基、糖、もしくはホスホジエステル骨格に関する他の既知変形及び修飾を含み得る。
【0107】
前記発明は、明確さ及び理解のためにやや詳細に記載してきたが、この開示を読むことで形態及び詳細の様々な変更が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、上記組成物及び方法はすべて様々な組み合わせで使用することができる。
【0108】
以下の実施例は、現在のところ実施するのに好ましいので、本発明の実施形態を説明するために提示する。実施例は例示的であると理解され、本発明は添付の特許請求の範囲で指定されているものを除いて限定するとみなされない。
【実施例】
【0109】
以下の実施例は本発明の方法を説明する。
【0110】
実施例1:相補的オリゴヌクレオチドプールの設計及び調製
コンピュータ設計ツール(silico design tool)を使用してRNA配列に対して相補的オリゴヌクレオチドを設計した。合計10のオリゴヌクレオチドを設計して、長さは14〜26塩基で変動し、Tm計算値は49.9〜57.9Cの範囲であり、関心対象の配列をカバーした。これらの配列を、3’末端でのホスフェート部分でさらに修飾した10個のオリゴヌクレオチドの配列及び融解温度を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
オリゴヌクレオチドを合成し、HPLCによって精製し、それぞれ100マイクロモル濃度の最終濃度に調節した。等体積のこれらの溶液をまとめて、10マイクロモル濃度の相補的オリゴヌクレオチドプールを得、これを、C18逆相カラムならびにトリエチルアンモニウムアセテート及びアセトニトリルの非線形勾配を使用するUPLC分析によって特性決定した。結果を
図1に示し、10個のオリゴヌクレオチドすべての存在を確認した。
【0113】
実施例2:加速安定性試験のためのRNA及び武装化RNAサンプルの調製
RNA転写物及び武装化RNAサンプルを、100mMのKClを含有するTris.HCl(pH7.0)中300コピー/マイクロリットルの濃度で調製した。安定化のための相補的オリゴヌクレオチドプール(COPS)と称する補体プールをサンプルに0、0.1、1、又は10nMの最終濃度で添加した。サンプルを2〜8℃、37℃又は45℃で18日間インキュベートした。
【0114】
実施例3:RT−PCRによるRNA安定性の測定
5マイクロリットルの各サンプルをTaqman(登録商標)に基づくRT−PCRによって増幅した。PCR反応混合物を以下の最終濃度で96ウェルプレート上で調製した:60mMのTricine(pH8.3)、120mMの酢酸カリウム、3%グリセロール、5.4%DMSO、0.015%Tween20、各々400μMのdATP、dCTP及びdGTP、800μMのdUTP、各々600nMのプライマー、100nMのプローブ、標的RNA転写物又は武装化RNA(1,500コピー)、900単位/mLのZO5D DNAポリメラーゼ(5`ヌクレアーゼ活性を有する)、200単位/mLのUNG、44μMのEDTA、及び3.3mMの酢酸マンガン。逆転写、増幅及び分析は、Roche LightCycler(登録商標)480機器(Roche Molecular Systems, Pleasanton, CA)を使用して実施した。以下の温度プロフィールを使用した:50℃で2分、94℃で5秒、55℃で2分、60℃で6分、65℃で4分、95℃(10秒)から55℃(15秒)を2サイクルと続いて91℃(5秒)から65℃(15秒)のサイクルを45回。これらの実験結果を
図2及び
図3に示す。容易にわかるように、COPSオリゴヌクレオチドを有しないサンプルと比較して以前のCtによって示されるように、相補的オリゴヌクレオチドプールの存在下で、RNA転写物及び武装化RNAはどちらもより安定である。
【0115】
実施例4:COPSによる部分ハイブリダイゼーションを用いたRNA安定性試験
1つの反応では、配列番号1、3、5、7及び10に対応するCOPSのみを添加し(セットA)、そして別の反応では、配列番号2、4、6、8及び9に対応するCOPSのみを添加する(セットB)以外は、実施例2においてと同様にして、RNA転写物及び武装化RNAサンプルを調製する。計算により、セットAがRNA転写物/武装化RNA配列の52%をカバーし、一方、セットBはRNA転写物/ 武装化RNA配列の48%をカバーすることが示される。45℃で18日インキュベーションした後、COPSの不在下又はセットA COPSもしくはセットB COPSの存在下でのRNA安定性は、実施例3で記載するようなRT−PCRにより各反応のCt値を決定することによって比較することができる。
【0116】
実施例5:長期間インキュベーション後のRNA安定性
武装化RNAを1500コピー/マイクロリットルで調製した以外は、実施例2においてと同様にRNA転写物及び武装化RNAサンプルを調製した。COPSを次いでサンプルに0、0.1、1又は10nMの最終濃度で添加し、サンプルを4℃、37℃又は45℃で12週間インキュベーションした。RT−PCRによるRNA安定性の判定を実施例3に記載したようにして実施した。37℃及び45℃でのインキュベーションで非武装化及び武装化RNAの両方についてCOPSの存在で安定性は有意に改善された。
図4は、非武装化RNAテンプレートのRT−PCR成長曲線の結果を示す。COPSの不在下(一番上のグラフ)で、45℃でインキュベートしたサンプルは、4℃でインキュベートしたサンプルと比較して、Ct値の10周期遅延を示した。対照的に、10nMのCOPSの存在下(一番下のグラフ)で、45℃サンプルは1.4周期遅延しか示さず、このことは、RNA安定性において8.6周期、すなわち約400倍の改善を実証する。武装化RNA実験について、7.4周期、すなわち約200倍の改善が観察された(データは不掲載)。
【0117】
実施例6:Accuplex−カプセル化RNAの安定化
Accuplex(SeraCare Life Sciences, Milford MA)は、タンパク質コート及び脂質二重層の両方を含む複製欠損哺乳動物ウイルス様粒子の内部に関心対象のRNA分子を封入することができる組換え技術である。Accuplex粒子内部のRNAの安定化についてCOPSの有用性を試験するために、実施例1で記載する相補的オリゴヌクレオチドを設計し調製するために使用したRNA対照配列pEF070をAccuplexカプセル化一本鎖RNAのカスタム調製のためのSeraCareに提供した。COPSを次いでAccuplex−RNAサンプルに10nM濃度で添加し、そしてサンプルを4℃、37℃又は45℃で71日間インキュベートした。RT−PCRによるRNA安定性の判定を実施例3に記載するようにして実施し、試験結果を
図6に示す。71日のインキュベーション後、COPSの不在と存在との間のCp値Δは37℃について4.3(30.9〜26.6)そして45℃について8.3(35.3〜27.0)であり、高温で保存されるAccuplex粒子におけるRNAの分解の低減に際してのCOPSの有効性を明らかに示す。
【0118】
実施例7:HIV RNAテンプレートのCOPS安定化
HIV−1GAG、HIV−1LTR、及びHIV−2LTR領域のセグメントに対応する3つのRNA配列を、それらの対応するCOPSの安定化効果を試験するためのRNAテンプレートとして使用した。関心対象の核配列をカバーするために、HIV−GAGについて9、HIV−1LTRについて8、そしてHIV−2LTRについて8の合計25のオリゴヌクレオチドを設計した。25のオリゴヌクレオチドは、17〜26塩基で長さが様々であり、それらの配列を表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
2つの安定性試験を実施した。最初の試験では、武装化RNAテンプレートは、100mMのKClを含むTris.HCl(pH7.0)中、100コピー/マイクロリットルで使用した。配列番号11〜35に相当するCOPSを次いで0又は10nMの最終濃度でサンプルに添加し、サンプルを4℃、37℃又は45℃で15週間インキュベートした。3つのRNAテンプレートに相当するプライマーを用いるRT−PCRを、実施例3で記載した条件を用いて実施した。研究結果を表3に示し、これはCOPSの存在が両RNAテンプレートを非常に安定化させたことを実証する。
【0121】
【表3】
【0122】
第二の試験では、非武装化HIV−1及びHIV−2 テンプレートを、0又は10nM濃度の対応するCOPSの存在下で300コピー/マイクロリットルで使用した。サンプルを4℃、37℃又は45℃で71日間インキュベートした。実施例3に記載した条件を使用して、3つのRNAテンプレートに対応するプライマーを用いたRT−PCRを実施した。この試験の結果を表4に示す。
図5はHIV−2LTRテンプレートについて作成したRT−PCR成長曲線を示す。これらの実験は、COPSが武装化及び非武装化RNAテンプレートの両方の安定性を大幅に増大させることができることを示す。
【0123】
【表4】