(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程a)の前記木材パーティクル及び/又は繊維が、同時に又は別々に任意の順序で少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤と組み合わされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
前記少なくとも1種類のベースバインダーが、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(PF)、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF)、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂(MUF)、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(UMF)、尿素−メラミン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(UMPF)、エポキシ樹脂、メチレンジフェニルジイソシアネート樹脂(MDI)、ポリウレタン樹脂(PU)、レゾルシノール樹脂、デンプン若しくはカルボキシメチルセルロース及びそれらの混合物を含む群から選択され、並びに/又は前記少なくとも1種類の添加剤が、ワックス、着色剤、フィラー、分散剤、殺生物剤、硬化剤、難燃剤及びそれらの混合物を含む群から選択される、請求項4に記載のプロセス。
工程b)の前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料が、ドロマイト、粉砕炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、水酸化マグネシウム、タルク、せっこう、二酸化チタン、カオリン、ケイ酸塩、雲母、硫酸バリウム、焼成クレー、非焼成(含水)クレー、ベントナイト、無機又は有機顔料及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
粉砕炭酸カルシウム(GCC)が、大理石、白亜、石灰岩及びそれらの混合物を含む群から選択され、沈降炭酸カルシウム(PCC)が、1種類以上の前記アラゴナイト型、バテライト型及びカルサイト型鉱物結晶形態を含む群から選択される、請求項7に記載のプロセス。
工程b)の前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料が、i)粉末形態、又はii)水性スラリーの総重量を基準にして、1.0〜80.0重量%の量で前記フィラー材料を含む水性スラリーの形態で提供される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
工程b)の前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料が、i)粉末形態、又はii)水性スラリーの総重量を基準にして、30.0〜78.0重量%の量で前記フィラー材料を含む水性スラリーの形態で提供される、請求項9に記載のプロセス。
工程b)の前記少なくとも1種類のバインダーが、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、部分加水分解ポリ(ビニルアセテート/ビニルアルコール)、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリエーテル、飽和ポリエステル、スルホン化若しくはリン酸化ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリ(n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリレートのコポリマー、酢酸ビニル及びn−ブチル(メタ)アクリレートカゼインのコポリマー、ポリ塩化ビニルのコポリマー、ゼラチン、セルロースエーテル、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、アロールート、グアー、カラギーナン、デンプン、トラガカント、キサンタン、又はラムサン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物が、乾燥コーティング(d/d)を基準にして乾燥重量で>60部の量で前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料、並びに<40部d/dの量で前記少なくとも1種類のバインダーを含み、前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び前記少なくとも1種類のバインダーの前記総乾燥重量を基準にして、前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び前記少なくとも1種類のバインダーの前記量の前記合計が100.0部d/dである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプロセス。
工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物が、乾燥コーティング(d/d)を基準にして乾燥重量で>70部d/dの量で前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料、並びに<30部d/dの量で前記少なくとも1種類のバインダーを含む、請求項15に記載のプロセス。
工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物が、艶消剤、造膜助剤又はフィルム形成剤、消泡剤、分散剤、レオロジー剤、架橋剤、殺生物剤、光安定剤、保存剤、硬化剤、難燃剤及びそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種類の化合物を更に含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のプロセス。
工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物は、前記少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び前記少なくとも1種類のバインダーの前記総乾燥重量を基準にして、2.0〜8.0重量部(d/d)の量で前記少なくとも1種類の化合物を含む、請求項17に記載のプロセス。
コーティング工程e)が、メタリングサイズプレス、カーテンコーティング、スプレーコーティング又はローラーコーティングによって実施される、請求項1〜21のいずれか一項に記載のプロセス。
コーティング工程e)が、前記予備プレスされた木質マットの第一面及び裏面に実施され、前記第一面及び前記裏面にコーティングされた木質ボードを製造し、並びに/又はコーティング工程e)が、工程b)と異なる又は前記同一の液体コーティング組成物を使用して2回実施される、請求項1〜22のいずれか一項に記載のプロセス。
前記ファイバーボード製品が、高密度繊維(HDF)板、中密度繊維(MDF)板、低密度繊維(LDF)板、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、ハードボード又はインシュレーションボードである、請求項26に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の目的のために、以下の用語が以下の意味を有することを理解すべきである。
本発明の意味における「懸濁液」又は「スラリー」は、不溶性固体及び溶媒又は液体、好ましくは水、並びに所望により分散剤、殺生物剤及び/若しくは増粘剤などの更なる添加剤を含み、通常、大量の固体を含有し、したがって、形成される液体より粘稠であり、高密度であり得る。
【0039】
用語「水性」懸濁液又はスラリーは、液相が、水を含むか好ましくはそれからなる系を指す。しかし、上記用語は、水性スラリー又は懸濁液の液相が、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物を含む群から選択される少量の少なくとも1種類の水混和性有機溶媒を含むことを排除しない。水性懸濁液又はスラリーが、少なくとも1種類の水混和性有機溶媒を含む場合、水性スラリーの液相は、水性懸濁液又はスラリーの液相の総重量を基準にして、0.1〜40.0重量%、好ましくは0.1〜30.0重量%、より好ましくは0.1〜20.0重量%及び最も好ましくは0.1〜10.0重量%の量で少なくとも1種類の水混和性有機溶媒を含む。例えば、水性懸濁液又はスラリーの液相は、水からなる。水性懸濁液又はスラリーの液相が、水からなる場合、使用される水は、水道水及び/又は脱イオン水などの入手できる任意の水であり得る。
【0040】
本出願の目的に関して、「非水溶性」材料は、100gの上記材料が、100gの脱イオン水と混合され、ろ液を回収するために0.2μmの孔径を有するフィルターを用いて20℃でろ過されるとき、100gの上記ろ液が周囲気圧で95〜100℃において蒸発した後に0.1g以下の回収固体材料をもたらす材料として定義される。「水溶性」材料は、100gの上記材料が、100gの脱イオン水と混合され、ろ液を回収するために0.2μmの孔径を有するフィルターを用いて20℃でろ過されるとき、100gの上記ろ液が周囲気圧で95〜100℃において蒸発した後に0.1g超の回収固体材料をもたらす材料として定義される。
【0041】
本発明の意味における用語「d/d」は、定義された材料の乾燥量を基準にして、添加剤の乾燥量を指す。
【0042】
用語「粒子状」フィラー材料は、フィラー材料の分離及び別個の固体粒子を指す。
【0043】
用語「フィラー材料」は、バインダーなどのより高価な材料の消費を低減し、又は製品の技術的特性を向上させるために、紙、プラスチック、ゴム、塗料及び接着剤等などの材料に添加される天然又は合成物質を指す。当業者は、それぞれの分野で使用される一般的なフィラーを周知している。
【0044】
本発明で使用される用語「バインダー」は、1種類の材料の粒子を一緒に結合するため、又は1種類の材料の粒子と2種類以上のその他の材料における粒子を一緒に結合して複合材料を形成するために一般に使用される、化合物又は化合物の混合物である。
【0045】
本発明の目的に関して、粒径「d
x」は、粒子のx重量%が、d
x未満の直径を有することに関する直径を示す。これは、d
20値が、すべての粒子の20%がそれより小さいときの粒径であり、d
80値が、すべての粒子の80%がそれより小さいときの粒径であることを意味する。したがってd
50値は、中央粒径であり、すなわち、すべての粒子の50%がこの粒径より小さい。例えば、d
50(重量)値は、重量中央粒径であり、すなわち、すべての粒子の50重量%が、この粒径より小さく、d
50(体積)値は、体積中央粒径であり、すなわち、すべての粒子の50体積%が、この粒径より小さい。本発明の目的に関して、>45μmの中央粒径d
50を有する粒子の「粒径」は、体積決定粒径分布から決定した。更に、≦45μmの中央粒径d
50を有する粒子の「粒径」は、重量決定粒径分布から決定した。したがって、本出願を通して与えられる粒径は、粒子が、≦45μm及び>45μmの中央粒径d
50を有する粒子を含む場合、重量及び体積決定粒径の組み合わせを基準にしていると理解されている。重量中央粒径d
50値を決定するために、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標) 5120又はSedigraph(商標) 5100などのSedigraph、すなわち沈降法を使用することができる。少なくとも1種類の粒子状フィラー材料の体積中央粒径d
50値は、レーザー回折によって測定した。本方法では、粒径は、レーザービームが、分散粒子状試料を通過するときの光散乱強度を測定することによって、決定される。測定は、Malvern Instruments LtdのMastersizer 2000又はMastersizer 3000を用いて、行った(操作機器ソフトウェアバージョン1.04)。粒径分布全体を通して、粒子が球状で一定の密度である場合、重量決定粒径分布は、体積決定粒径分布に相当する。
【0046】
用語「含む(comprising)」が、本明細書及び特許請求の範囲に使用される場合、その他の非明記の、主要又は軽微な機能的重要要素を排除しない。本発明の目的に関して、用語「からなる(consisting of)」は、用語「を含む(comprising of)」の好ましい実施形態であるとみなされる。以下で一群が少なくとも一定数の実施形態を含むと定義される場合、これはまた、一群を開示し、好ましくはこれらの実施形態のみからなると理解されるべきである。
【0047】
用語「含む(including)」又は「有する(having)」が使用されるときはいつでも、これらの用語が、上記のような「含む(comprising)」と同等であることを意味する。
【0048】
不定冠詞又は定冠詞が使用される場合で、単数名詞、例えば、「a」、「an」又は「the」に関するとき、これは特に何か記載されない限り、その名詞の複数を含む。
【0049】
「得ることができる(obtainable)」又は「定義できる(definable)」及び「得られる(obtained)」又は「定義される(defined)」のような用語は、互換的に使用される。これは例えば、その文脈に別段の明確な指示がない限り、用語「得られる(obtained)」は、好ましい実施形態として、用語「得られる(obtained)」又は「定義される(defined)」によって、このような限定された理解が常に含まれるものの、例えば、実施形態が、例えば、用語「得られる(obtained)」を付随する一連の工程によって、得られなければならないということを示すと意味しないことを意味する。
【0050】
上記のように、本発明の木質ボードの製造プロセスは、少なくとも工程a)、b)、c)、d)、e)及びf)のプロセスを含む。以下、本発明の更なる詳細、特に本発明の木質ボードの製造プロセスについて前述の工程に言及する。
【0051】
工程a)の特徴付け:木材パーティクル及び/又は繊維の供給
本発明のプロセスの工程a)によれば、木材パーティクル及び/又は繊維が、乾燥形態又は水性懸濁液の形態で提供される。
【0052】
したがって、木材パーティクル及び/又は繊維が提供されることは、必要条件の1つである。
【0053】
木材パーティクルは、1種類以上の木材パーティクルを含んでよいと理解されている。
【0054】
したがって、木材パーティクルは、1種類の木材パーティクルを含んでよい。あるいは、木材パーティクルは、2種類以上の木材パーティクルの混合物を含む。例えば、木材パーティクルは、2又は3種類の木材パーティクルの混合物を含む。好ましくは、木材パーティクルは、1種類の木材パーティクルを含む。
【0055】
本発明の木材パーティクルは、それらが、木質ボードを作製するために適切である限り、特定の木材パーティクルに限定されないと理解されている。
【0056】
好ましくは、木材パーティクルは、木質パーティクルである。本発明の意味における用語「木質」パーティクルは、一般的な定義を指し、すなわち木は、針葉樹及び広葉樹の樹種における木の幹及び枝の大部分を構成する、繊維性の硬い物質である。
【0057】
このような木質パーティクルは、当業者に周知の任意の木質パーティクルであり得、通常、木質ボードに使用される。
【0058】
例えば、木材パーティクルは、針葉樹の樹種、広葉樹の樹種、非木質繊維植物及びそれらの混合物などの一次木材源に由来する。更に又はあるいは、木材パーティクルは、再生木材などの二次木材源に由来する。
【0059】
木材パーティクルは、特定の寸法であることができる。例えば、木材パーティクルは、
i)0.4〜15mm、より好ましくは3〜15mm及び最も好ましくは5〜15mmの範囲の粒子長さ、並びに/又は
ii)0.1〜2.0mm、より好ましくは0.2〜1.5mm及び最も好ましくは0.25〜1.0mmの範囲の粒子厚み、並びに/又は
iii)2〜60mm、より好ましくは5〜60mm及び最も好ましくは10〜60mmの粒子長さと粒子厚みの比率を有する。
【0060】
粒子「長さ」は、木材パーティクルの最長寸法を指すと理解されている。用語粒子「厚み」は、木材パーティクルの最短寸法を指す。長さ又は厚みは、平均長さ又は平均厚みを指すと理解されている。
【0061】
好ましくは、木材パーティクルは、
i)0.4〜15mm、より好ましくは3〜15mm及び最も好ましくは5〜15mmの範囲の粒子長さ、又は
ii)0.1〜2.0mm、より好ましくは0.2〜1.5mm及び最も好ましくは0.25〜1.0mmの範囲の粒子厚み、又は
iii)2〜60mm、より好ましくは5〜60mm及び最も好ましくは10〜60mmの粒子長さと粒子厚みの比率を有する。
【0062】
あるいは、木材パーティクルは、
i)0.4〜15mm、より好ましくは3〜15mm及び最も好ましくは5〜15mmの範囲の粒子長さ、及び
ii)0.1〜2.0mm、より好ましくは0.2〜1.5mm及び最も好ましくは0.25〜1.0mmの範囲の粒子厚み、並びに
iii)2〜60mm、より好ましくは5〜60mm及び最も好ましくは10〜60mmの粒子長さと粒子厚みの比率を有する。
【0063】
一実施形態では、木材パーティクルは、0.4〜15mm、より好ましくは3〜15mm及び最も好ましくは5〜15mmの範囲の中央粒径d
50を有する。
【0064】
更に又はあるいは、木材パーティクルは、2〜60mm、より好ましくは5〜60mm及び最も好ましくは10〜60mmの範囲の粒径d
90を有する。
【0065】
木材パーティクルの具体例として、ハコヤナギ、トウヒ、マツ、ハンノキ、カバノキ、ブナノキ、オーク及びそれらの混合物が挙げられる。
【0066】
更に又はあるいは、木質繊維が提供される。好ましくは、木質繊維は、1種類以上の木質繊維を含んでよい。
【0067】
したがって、木質繊維は、1種類の木質繊維を含んでよい。あるいは、木質繊維は、2種類以上の木質繊維の混合物を含んでよい。例えば、木質繊維は、2又は3種類の木質繊維の混合物を含んでよい。好ましくは、木質繊維は、1種類の木質繊維を含む。
【0068】
更に、木質繊維は、分離木質繊維又は木質繊維束の形態であってよい。
【0069】
本発明の木質繊維は、それらが、木質ボードを作製するために適切である限り、特定の木質繊維に限定されないと理解されている。
【0070】
本発明の意味における用語「木質」繊維は、一般的な定義を指し、すなわち木は、針葉樹及び広葉樹の樹種における木の幹及び枝の大部分を構成する、繊維性の硬い物質である。
【0071】
例えば、木質繊維は、好ましくは針葉樹の樹種、広葉樹の樹種、非木質繊維植物及びそれらの混合物などの一次木材源に由来する。更に又はあるいは、木質繊維は、再生木材などの二次木材源に由来する。
【0072】
木質繊維は、特定の寸法を有すると理解されている。好ましくは、
i)乾燥木質繊維の総量を基準にして、0〜20重量%の量の木質繊維は、0.05mmのメッシュふるい幅で分画される寸法であり、
ii)乾燥木質繊維の総量を基準にして、50〜90重量%の量の木質繊維は、1.0mmのメッシュふるい幅で分画される寸法であり、
iii)乾燥木質繊維の総量を基準にして、70〜100重量%の量の木質繊維は、3.0mmのメッシュふるい幅で分画される寸法である。
【0073】
木質繊維の寸法は、ドイツのHOSOKAWA ALPINE AGのエアジェットシーブAlpine e200 LSにおけるふるい分析を通して分画することによって、測定される。
【0074】
木質繊維の具体例として、マツ、モミ、トウヒ、アメリカツガ、ヤマナラシ、ユーカリ、イトスギ、ポプラ、ヒマラヤスギ、ブナノキ、オーク、カバノキ、カエデ、タケ、穀物繊維、藻類繊維、種子繊維、果実繊維及びそれらの混合物が挙げられる。
【0075】
木材パーティクルはまた、木片の形態であってよいと理解されている。好ましくは、木片の形態の木材パーティクルは、1種類以上の木片を含んでよい。
【0076】
したがって、木片の形態の木材パーティクルは、1種類の木片を含んでよい。あるいは、木片の形態の木材パーティクルは、2種類以上の木片の混合物を含んでよい。例えば、木片の形態の木材パーティクルは、2又は3種類の木片の混合物を含んでよい。好ましくは、木片の形態の木材パーティクルは、1種類の木片を含む。
【0077】
本発明の木片は、それらが、木質ボードを作製するために適切である限り、特定の木片に限定されないと理解されている。
【0078】
木材パーティクルが木片の形態である場合、木片は、特定の寸法を有してよい。好ましくは、木片は、1〜100mm、より好ましくは2〜75mm及び最も好ましくは3〜50mmの範囲の粒子長さを有する。
【0079】
粒子「長さ」は、木片の最長寸法を指すと理解されている。
【0080】
木片の具体例としてマツ、モミ、トウヒ、アメリカツガ、ヤマナラシ、ユーカリ、イトスギ、ポプラ、ヒマラヤスギ、ブナノキ、オーク、カバノキ、カエデ、タケ、穀物繊維、藻類繊維、種子繊維、果実繊維及びそれらの混合物が挙げられる。
【0081】
一実施形態では、木材パーティクル又は木質繊維が提供される。
【0082】
あるいは、木材パーティクル及び木質繊維の混合物が、提供される。この場合、木材パーティクル対木質繊維の比率は、広い範囲で変化してよい。例えば、混合物は、100:1〜1:100、好ましくは50:1〜1:50及び最も好ましくは20:1〜1:20の範囲の木材パーティクル対木質繊維[パーティクル:繊維]の比率を含む。
【0083】
木材パーティクル及び/又は繊維は、乾燥形態又は水性懸濁液の形態で提供される。
【0084】
工程a)で提供される木材パーティクル及び/又は繊維に関して、用語「乾燥形態」は、木材パーティクル及び/又は繊維の総重量を基準にして、約10.0重量%以下、例えば、4〜8重量%の含水量を有する木材パーティクル及び/又は繊維を指す。高い含水量は、予備プレス工程d)時及び特にホットプレス工程f)時にそれが致命的になる恐れがあるので、好ましくないと理解されている。
【0085】
したがって、木材パーティクル及び/又は繊維は、含水量が>10.0重量%である場合、木材パーティクル及び/又は繊維の総重量を基準にして、所望により予備乾燥してそれらの含水量を減少させてよい。所望の水準までの木材パーティクル及び/又は繊維における任意の予備乾燥は、好ましくはチューブドライヤーなどの予備乾燥機内で実施される。単段又は多段チューブドライヤーなどのチューブドライヤーが当該技術分野において周知であり、木質ボードの製造において木材パーティクル及び/又は繊維を乾燥するために広く使用される。木材パーティクル及び/又は繊維は、木材パーティクル及び/又は繊維の含水量を所望の水準まで減少させるために十分な時間及び/又は温度で乾燥できる。乾燥時間及び/又は温度は、温度及び木材パーティクル及び/又は繊維の含水量にしたがって調整してよい。
【0086】
したがって、木材パーティクル及び/又は繊維は、好ましくは木質ボードの本製造プロセスにおいて乾燥形態で提供されると理解されている。
【0087】
あるいは、木材パーティクル及び/又は繊維は、水性懸濁液の形態で提供される。
【0088】
木材パーティクル及び/又は繊維の水性懸濁液は、乾燥形態で提供された木材パーティクル及び/又は繊維を懸濁することによって形成してよく、すなわち、予備乾燥機を通した後、所望の木材パーティクル及び/若しくは繊維並びに/又はチップ含量へとリファイナーを通した後、得られる木材パーティクル及び/又は繊維を水中又は希釈することによって得られる。
【0089】
木材パーティクル及び/又は繊維が、水性懸濁液の形態で提供される場合、水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量を基準にして、好ましくは1.0〜80.0重量%の量で木材パーティクル及び/又は繊維を含む。より好ましくは、水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量を基準にして、5.0〜75.0重量%、より好ましくは10.0〜70.0重量%及び最も好ましくは15.0〜60.0重量%の量の木材パーティクル及び/又は繊維を含む。
【0090】
一実施形態では、工程a)の木材パーティクル及び/又は繊維は、同時に又は別々に任意の順序で少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤と組み合わされる。したがって、少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤は、同時に又は別々に任意の順序で木材パーティクル及び/又は繊維に当業者に既知の方法で添加してよい。
【0091】
例えば、工程a)の木材パーティクル及び/又は繊維は、別々に任意の順序で少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤と組み合わされる。あるいは、工程a)の木材パーティクル及び/又は繊維は、少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤と同時に組み合わされる。工程a)の木材パーティクル及び/又は繊維が、少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤と同時に組み合わされる場合、少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤は、好ましくは混合物として提供され、すなわち、少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤は、上記木材パーティクル及び/又は繊維に添加する前に予備混合してよい。
【0092】
本発明の意味における用語「少なくとも1種類」のベースバインダーは、1種類以上のベースバインダーを含むか好ましくはそれからなるベースバインダーを意味する。
【0093】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種類のベースバインダーは、1種類のベースバインダーを含むか好ましくはそれからなる。あるいは、少なくとも1種類のベースバインダーは、2種類以上のベースバインダーを含むか好ましくはそれからなる。例えば、少なくとも1種類のベースバインダーは、2種類又は3種類のベースバインダーを含むか好ましくはそれからなる。好ましくは、少なくとも1種類のベースバインダーは、1種類のベースバインダーを含むか好ましくはそれからなる。
【0094】
例えば、少なくとも1種類のベースバインダーは、工程a)の木材パーティクル及び/又は繊維の総乾燥重量を基準にして、0.01〜25.0重量部(d/d)の量で存在してよい。
【0095】
少なくとも1種類のベースバインダーは、当業者に周知され、通常、木質ボードのベース材料に使用される1種類以上のバインダーであってよい。例えば、少なくとも1種類のベースバインダーは、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(PF)、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF)、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂(MUF)、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(UMF)、尿素−メラミン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(UMPF)、エポキシ樹脂、メチレンジフェニルジイソシアネート樹脂(MDI)、ポリウレタン樹脂(PU)、レゾルシノール樹脂、デンプン又はカルボキシメチルセルロース及びそれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、少なくとも1種類のベースバインダーは、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(PF)、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF)、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂(MUF)、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(UMF)、尿素−メラミン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(UMPF)、エポキシ樹脂、メチレンジフェニルジイソシアネート樹脂(MDI)、ポリウレタン樹脂(PU)及びそれらの混合物を含む群から選択される。最も好ましくは、少なくとも1種類のベースバインダーは、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF)である。
【0096】
更に又はあるいは、少なくとも1種類の添加剤は、工程a)の木材パーティクル及び/又は繊維の総乾燥重量を基準にして、0.01〜10.0重量部(d/d)の量で存在してよい。所望により含まれる少なくとも1種類の添加剤の量は、標準的技法及び最終木質ボードの所望の特性にしたがって決定できる。
【0097】
本発明の意味における用語「少なくとも1種類」の添加剤は、添加剤が1種類以上の添加剤を含むか好ましくはそれからなることを意味する。
【0098】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種類の添加剤は、1種類の添加剤を含むか好ましくはそれからなる。あるいは、少なくとも1種類の添加剤は、2種類以上の添加剤を含むか好ましくはそれからなる。例えば、少なくとも1種類の添加剤は、2種類又は3種類の添加剤を含むか好ましくはそれからなる。好ましくは、少なくとも1種類の添加剤は、2種類以上の添加剤を含むか好ましくはそれからなる。
【0099】
少なくとも1種類の添加剤は、当業者に周知され、通常、木質ボードに使用される1種類以上の添加剤であってよい。例えば、少なくとも1種類の添加剤は、ワックス、着色剤、フィラー、分散剤、殺生物剤、硬化剤、難燃剤及びそれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、少なくとも1種類の添加剤は、ワックス、硬化剤及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、少なくとも1種類の添加剤は、ワックス及び硬化剤を含むか、最も好ましくはそれらからなる。
【0100】
工程a)の木材パーティクル及び/又は繊維を少なくとも1種類のベースバインダー及び/又は少なくとも1種類の添加剤と組み合わせること(又は混合すること)は、当業者に既知の任意の一般的な手段によって達成できる。当業者は、当業者のプロセス装置にしたがって、混合速度及び温度などの条件の組み合わせ(又は混合)を適応させる。更に、組み合わせ(又は混合)は、均質下及び/又は粒子分割条件下で実施してよい。
【0101】
工程b)の特徴付け:少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーの供給
本発明の工程b)によれば、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーを含む乾燥又は液体コーティング組成物が、提供される。
【0102】
本発明の意味における用語「少なくとも1種類」の粒子状フィラー材料は、1種類以上の粒子状フィラー材料を含むか好ましくはそれからなる粒子状フィラー材料を意味する。
【0103】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、1種類の粒子状フィラー材料を含むか好ましくはそれからなる。あるいは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、2種類以上の粒子状フィラー材料を含むか好ましくはそれからなる。例えば、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、2種類又は3種類の粒子状フィラー材料を含むか好ましくはそれからなる。好ましくは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、1種類の粒子状フィラー材料を含むか好ましくはそれからなる。
【0104】
例えば、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、ドロマイト、粉砕炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、水酸化マグネシウム、タルク、せっこう、二酸化チタン、カオリン、ケイ酸塩、雲母、硫酸バリウム、焼成クレー、非焼成(含水)クレー、ベントナイト、無機又は有機顔料及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0105】
本発明の意味における「ドロマイト」は、CaMg(CO
3)
2(「CaCO
3・MgCO
3」)の化学組成を有する炭酸系(carbonatic)カルシウム−マグネシウム鉱物である。ドロマイト鉱物は、ドロマイトの総重量を基準にして、少なくとも30.0重量%MgCO
3、好ましくは35.0重量%超、40.0重量%超、通常、45.0〜46.0重量%MgCO
3を含有する。
【0106】
本発明の意味における「粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、石灰岩、大理石又は白亜などの天然源から得られ、例えばサイクロン又は分級機によって、粉砕、ふるい分け及び/又は分画などの湿式及び/又は乾燥処理を通して加工された炭酸カルシウムである。
【0107】
本発明の一実施形態によればGCCは、乾燥粉砕によって得られる。本発明の別の実施形態によれば、GCCは、湿式粉砕及びその後の乾燥によって得られる。
【0108】
一般的には、粉砕工程は、任意の一般的な粉砕装置、例えば、精製が、主に二次体すなわち1種類以上の:ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心衝撃ミル、垂直ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、粉砕機(pulveriser)、破砕機、デクランパー(de−clumper)、ナイフカッター、又はその他の当業者に既知のこのような装置との衝突から得られるような条件下で実施できる。炭酸カルシウム含有材料が、湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料を含む場合では、粉砕工程は、自生粉砕が生じるような条件下で、及び/又は水平型ボールミリング、及び/若しくはその他の当業者に既知のこのようなプロセスによって、実施してよい。したがって、得られた湿式処理粉砕炭酸カルシウム含有材料は、乾燥の前に、周知のプロセス、例えば、凝集、ろ過又は強制蒸発によって洗浄及び脱水してよい。その後の乾燥工程は、噴霧乾燥などの単一工程又は少なくとも2つの工程で実施してよい。このような炭酸カルシウム材料は、選鉱工程(浮遊選鉱、漂白又は磁気分離工程など)にかけられ、不純物を除去することもまた一般的である。
【0109】
本発明の一実施形態では、GCCは、大理石、白亜、石灰岩及びそれらの混合物を含む群から選択される。
【0110】
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、水性環境における二酸化炭素と石灰の反応に続く沈殿又は水中におけるカルシウムと炭酸イオン源の沈殿によって、一般的に得られる合成材料である。PCCは、1種類以上のアラゴナイト型、バテライト型及びカルサイト型鉱物結晶形態であってよい。好ましくは、PCCは、1種類のアラゴナイト型、バテライト型及びカルサイト型鉱物結晶形態である。
【0111】
アラゴナイトは、通常針状形態であり、一方、バテライトは、六方晶結晶系に属する。カルサイトは、偏三角面体、柱状、球状及び菱面体の形態を形成できる。PCCは、異なる方法、例えば、二酸化炭素との沈殿、石灰ソーダ法、又はPCCがアンモニア製造の副生成物であるソルベー法によって製造できる。得られたPCCスラリーは、機械的に脱水及び乾燥できる。
【0112】
少なくとも1種類の粒子状フィラー材料が、少なくとも1種類の粉砕炭酸カルシウム(GCC)を含むことが好ましく、好ましくは少なくとも1種類の粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、大理石、白亜、石灰岩及びそれらの混合物を含む群から選択される。好ましい一実施形態では、少なくとも1種類の粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、大理石又は白亜である。
【0113】
したがって、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、少なくとも1種類の粒子状炭酸カルシウム含有材料であることが好ましい。炭酸カルシウムの添加では、少なくとも1種類の粒子状炭酸カルシウム含有材料は、二酸化チタン及び/又は三酸化アルミニウムなどの金属酸化物、アルミニウムトリヒドロキシド(aluminium tri−hydroxide)などの金属水酸化物、硫酸塩などの金属塩、タルク及び/又はカオリンクレー及び/又は雲母などのケイ酸塩、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、及び/又はせっこう、サテンホワイト(satin white)並びにそれらの混合物を更に含んでよい。
【0114】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種類の粒子状炭酸カルシウム含有材料における炭酸カルシウムの量は、炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量を基準にして、≧10.0重量%、好ましくは≧20.0重量%である。好ましくは、少なくとも1種類の粒子状炭酸カルシウム含有材料における炭酸カルシウムの量は、炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量を基準にして、≧50.0重量%、更により好ましくは≧90.0重量%、より好ましくは≧95.0重量%及び最も好ましくは≧97.0重量%である。
【0115】
好ましくは、工程b)の少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、特定の寸法を有する。例えば、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、0.1〜150.0μmの中央粒径d
50を有する。本発明の一実施形態では、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、0.2μm〜100.0μm、より好ましくは0.3μm〜50.0μm、及び最も好ましくは2.1μm〜40.0μmの中央粒径d
50を有する。
【0116】
少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、例えば、150.0μm未満のトップカットを有してよい。本明細書で使用される場合、用語「トップカット」(又はトップサイズ)は、材料粒子の少なくとも98.0%が、そのサイズ未満である粒径値を意味する。好ましくは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、140.0μm未満及びより好ましくは120.0μm未満のトップカットを有する。
【0117】
一実施形態では、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、
i)<500μmの粒径d
98、
ii)0.1〜250μmの粒径d
80、
iii)0.1〜150μmの中央粒径d
50、及び
iv)0.1〜50μmの粒径d
20を有する。
【0118】
更に又はあるいは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、0.5〜1.0の粒径d
80対粒径d
20[d
80/d
20]の比率を有する。
【0119】
好ましくは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、
i)<500μmの粒径d
98、
ii)0.1〜250μmの粒径d
80、
iii)0.1〜150μmの中央粒径d
50、
iv)0.1〜50μmの粒径d
20、及び
v)0.5〜1.0の粒径d
80対粒径d
20[d
80/d
20]の比率を有する。
【0120】
一実施形態では、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、BET窒素方法の測定で0.5〜200.0m
2/g、より好ましくは0.5〜100.0m
2/g及び最も好ましくは0.5〜75.0m
2/gの比表面積を有する。
【0121】
本発明の意味における少なくとも1種類の粒子状炭酸カルシウム含有材料の用語「比表面積」(m
2/g)は、当業者に周知のBET方法(ISO 9277:2010)を使用して決定される。
【0122】
本発明の意味における用語「少なくとも1種類」のバインダーは、1種類以上のバインダーを含むか好ましくはそれからなるバインダーを意味する。
【0123】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種類のバインダーは、1種類のバインダーを含むか好ましくはそれからなる。あるいは、少なくとも1種類のバインダーは、2種類以上のバインダーを含むか好ましくはそれからなる。例えば、少なくとも1種類のバインダーは、2種類又は3種類のバインダーを含むか好ましくはそれからなる。好ましくは、少なくとも1種類のバインダーは、1種類のバインダーを含むか好ましくはそれからなる。
【0124】
工程b)のバインダー及び工程a)の任意のベースバインダーは、同一又は異なっていてよいと理解されている。例えば、工程b)のバインダー及び工程a)の任意のベースバインダーは、同一である。あるいは、工程b)のバインダー及び工程a)の任意のベースバインダーは、異なる。
【0125】
好ましくは、工程b)のバインダー及び工程a)の任意のベースバインダーは、異なる。
【0126】
少なくとも1種類のバインダーは、当業者に周知され、通常、木質ボードのコーティングに使用される1種類以上のバインダーであってよい。一実施形態では、工程b)の少なくとも1種類のバインダーは、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、部分加水分解ポリ(ビニルアセテート/ビニルアルコール)、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリエーテル、飽和ポリエステル、スルホン化若しくはリン酸化ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリ(n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、n−ブチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートのコポリマー、酢酸ビニルとn−ブチル(メタ)アクリレートカゼインのコポリマー、ポリ塩化ビニルのコポリマー、ゼラチン、セルロースエーテル、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、アロールート、グアー、カラギーナン、デンプン、トラガカント、キサンタン、又はラムサン並びにそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、工程b)の少なくとも1種類のバインダーは、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、部分加水分解ポリ(ビニルアセテート/ビニルアルコール)、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリエーテル、飽和ポリエステル、スルホン化若しくはリン酸化ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリ(n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、n−ブチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートのコポリマー、酢酸ビニル及びn−ブチル(メタ)アクリレートカゼインのコポリマー、ポリ塩化ビニルのコポリマー、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、工程b)の少なくとも1種類のバインダーは、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、n−ブチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートのコポリマー、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、工程b)の少なくとも1種類のバインダーは、ポリ(スチレン−コ−(メタ)アクリレート)又はポリ(スチレン−コ−ブタジエン)である。
【0127】
乾燥又は液体コーティング組成物は、好ましくは少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーを特定の量で含むと理解されている。
【0128】
例えば、工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物は、乾燥コーティング(d/d)を基準にして乾燥重量で>60部、好ましくは>70部d/d、より好ましくは>80部d/d及び最も好ましくは>85部d/dの量で少なくとも1種類の粒子状フィラー材料、並びに<40部d/d、好ましくは<30部d/d、より好ましくは<20部d/d、最も好ましくは<15部d/dの量で少なくとも1種類のバインダーを含み、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーの総重量を基準にして、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーの量の合計が100.0部d/dである。
【0129】
したがって、乾燥又は液体コーティング組成物は、好ましくは>60部d/d量で少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び<40部d/dの量で少なくとも1種類のバインダーを含む。より好ましくは、乾燥又は液体コーティング組成物は、好ましくは>70部d/dの量で少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び<30部d/dの量で少なくとも1種類のバインダーを含む。更により好ましくは、乾燥又は液体コーティング組成物は、好ましくは>80部d/dの量で少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び<20部d/dの量で少なくとも1種類のバインダーを含む。最も好ましくは、乾燥又は液体コーティング組成物は、好ましくは>85部d/dの量で少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び<15部d/dの量で少なくとも1種類のバインダーを含む。少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーの総重量を基準にして、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーの量の合計は、100.0部d/dである。
【0130】
少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーに関して用語「乾燥」は、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーの重量に対して、0.3重量%未満の水を有する材料であると理解される。%含水量は、電量カールフィッシャー測定法にしたがって決定され、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーは、220℃まで加熱され、蒸気として放出し、窒素ガス流(100ml/分)を使用して分離される含水量は、電量カールフィッシャー装置で決定される。
【0131】
少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーは、工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物の形態で提供される。
【0132】
本発明の目的に関して用語「コーティング組成物」は、予備プレスされた木質マットの表面に施され、最終木質ボードの表面に主に残留する組成物を指す。
【0133】
コーティング組成物に関して用語「乾燥」は、コーティング組成物の重量に対して、0.3重量%未満の水を有する組成物であると理解される。%含水量は、電量カールフィッシャー測定法にしたがって決定され、コーティング組成物は、220℃まで加熱され、蒸気として放出し、窒素ガス流(100ml/分)を使用して分離される含水量は、電量カールフィッシャー装置で決定される。
【0134】
コーティング組成物に関して用語「液体」は、298.15K(25℃)の温度及びちょうど100000Pa(1bar、14.5psi、0.98692atm)の絶対圧力を指す、標準環境温度及び圧力(SATP)下で液体である組成物であると理解される。液体は、好ましくは懸濁液(又は分散体)である。
【0135】
工程b)で乾燥コーティング組成物が、提供される場合、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料並びに少なくとも1種類のバインダーは、乾燥コーティング組成物を得るために、好ましくは乾燥形態で組み合わされると理解されている。
【0136】
工程b)で液体コーティング組成物が、提供される場合、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び/又は少なくとも1種類のバインダーは、水性懸濁液の形態である。好ましくは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーは、水性懸濁液の形態である。より好ましくは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、水性懸濁液の形態である。工程b)の液体コーティング組成物を形成するために、乾燥形態などの少なくとも1種類のバインダーは、好ましくは水性懸濁液の形態で提供される少なくとも1種類の粒子状フィラー材料に混合される。
【0137】
これを考慮して、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、粉末形態、すなわち乾燥形態で提供できる。少なくとも1種類の粒子状フィラー材料に関して用語「乾燥」は、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料の重量に対して、0.3重量%未満の水を有する材料であると理解される。
【0138】
少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、水性懸濁液の形態で提供される場合、水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量を基準にして、好ましくは1.0〜80.0重量%の量で少なくとも1種類の粒子状フィラー材料を含む。より好ましくは、水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量を基準にして、30.0〜78.0重量%、より好ましくは50.0〜78.0重量%及び最も好ましくは55.0〜78.0重量%の量で少なくとも1種類の粒子状フィラー材料を含む。
【0139】
乾燥又は液体コーティング組成物は、当業者に周知され、通常、木質ボードのコーティングに使用される少なくとも1種類の化合物を更に含んでよい。
【0140】
本発明の意味における用語「少なくとも1種類」の化合物は、化合物が1種類以上の化合物を含むか好ましくはそれからなることを意味する。
【0141】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種類の化合物は、1種類の化合物を含むか好ましくはそれからなる。あるいは、少なくとも1種類の化合物は、2種類以上の化合物を含むか好ましくはそれからなる。例えば、少なくとも1種類の化合物は、2種類又は3種類の化合物を含むか好ましくはそれからなる。好ましくは、少なくとも1種類の化合物は、2種類以上の化合物を含むか好ましくはそれからなり、したがって、化合物の混合物である。例えば、工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物は、艶消剤、造膜助剤又はフィルム形成剤、消泡剤、分散剤、レオロジー剤、架橋剤、殺生物剤、光安定剤、保存剤、硬化剤、難燃剤及びそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種類の化合物を更に含む。
【0142】
コーティング組成物が、少なくとも1種類の化合物を含む場合、好ましくは、工程b)の液体コーティング組成物は、好ましくは乾燥形態の少なくとも1種類の粒子状フィラー材料が、艶消剤、造膜助剤又はフィルム形成剤、消泡剤、分散剤、レオロジー剤、架橋剤、殺生物剤、光安定剤、保存剤、硬化剤、難燃剤及びそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種類の化合物の水性懸濁液又は溶液に混合されて形成される。次に、好ましくは乾燥形態の少なくとも1種類のバインダーは、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料と少なくとも1種類の化合物の懸濁液に分散される。
【0143】
したがって、一実施形態では、乾燥又は液体コーティング組成物は、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料、少なくとも1種類のバインダー、並びに艶消剤、造膜助剤又はフィルム形成剤、消泡剤、分散剤、レオロジー剤、架橋剤、殺生物剤、光安定剤、保存剤、硬化剤、難燃剤及びそれらの混合物、並びに所望により水を含む群から選択される少なくとも1種類の化合物を含むか好ましくはそれからなる。
【0144】
あるいは、乾燥又は液体コーティング組成物は、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダー並びに所望により水からなる。
【0145】
乾燥又は液体コーティング組成物が、艶消剤、造膜助剤又はフィルム形成剤、消泡剤、分散剤、レオロジー剤、架橋剤、殺生物剤、光安定剤、保存剤、硬化剤、難燃剤及びそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種類の化合物を更に含む場合、乾燥又は液体コーティング組成物は、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーの総重量を基準にして、好ましくは2.0〜8.0重量部(d/d)、例えば、3.0〜7.0重量部(d/d)の量で少なくとも1種類の化合物を含む。
【0146】
工程c)の特徴付け:木質マットの形成
本発明の工程c)によれば、第一面及び裏面を有する木質マットは、工程a)で提供される木材パーティクル及び/又は繊維から形成される。
【0147】
用語「木材パーティクル及び/又は繊維から形成される木質マット」は、最終木質ボードのベースを形成するために使用される、木材パーティクル及び/若しくは繊維並びに任意の少なくとも1種類のベースバインダー並びに/又は少なくとも1種類の添加剤の混合物を指すと理解されている。
【0148】
木材パーティクル及び/若しくは繊維並びに任意の少なくとも1種類のベースバインダー並びに/又は少なくとも1種類の添加剤の混合物は、平らで均一なマットへと作製される。これは、バッチ方式又は連続形成によって達成されてよく、好ましくは連続形成である。
【0149】
形成工程c)は、木材パーティクル及び/若しくは繊維並びに任意の少なくとも1種類のベースバインダー並びに/又は少なくとも1種類の添加剤からマットを形成するために、当業者に周知のすべての技術及び方法によって行ってよい。形成工程c)は、任意の一般的な形成機械、例えば、連続的に木質マットが得られるような条件下、又は当業者に既知のこのようなその他の装置で実施してよい。例えば、木材パーティクル及び/若しくは繊維並びに任意の少なくとも1種類のベースバインダー並びに/又は少なくとも1種類の添加剤は、木質マットを形成するために、手を使って若しくはトレイの前後の動き若しくはホッパーフィーダー又は空気分離によって広げられる。
【0150】
木質ボードが、湿式プロセスで製造される場合、木質マットは、好ましくはマットの含水量を減少させる工程にかけられる。このような乾燥は、プロセス工程c)の前又は最中又は後に実施でき、好ましくはその最中である。このような乾燥は、木質マットの含水量を減少させるために当業者に周知のすべての技術及び方法によって行ってよい。乾燥は、乾燥が得られる前の含水量と比較して木質マットが含水量を減少させるような任意の一般的な方法、例えば、機械的加圧、熱風、真空、重力若しくは吸引力又は当業者に既知のこのようなその他の装置によって実施してよい。好ましくは、乾燥は、脱水ドラムなどの機械的に適用される圧力によって実施され、続いて熱い空気による処理によって実施される。
【0151】
単一又は多層木質マットは、工程c)で形成でき、好ましくは多層木質マットは、工程c)で形成されると理解されている。
【0152】
一実施形態では、多層木質マットは、複数の形成工程で形成される。例えば、3層木質マットは、3つの形成工程で形成される。
【0153】
形成工程c)で得られる木質マットは、第一面及び裏面を有する。
【0154】
工程d)の特徴付け:木質マットの予備プレス
本発明の工程d)によれば、工程c)の木質マットは、予備プレスされた木質マットへと予備プレスされる。
【0155】
したがって、工程c)で得られる木質マットは、工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物及びホットプレスを施す前に、予備プレスされる。
【0156】
予備プレスは、木質マットを予備プレスされた木質マットへと予備プレスするために、当業者に周知のすべての技術及び方法によって実施してよい。予備プレスは、任意の一般的なプレス機、例えば、単一開口プレス(single−opening presses)、マルチ開口バッチプレス(multi−opening batch presses)若しくは連続プレスで、予備プレスされた木質マットが得られるような条件下又は当業者に既知のこのようなその他の装置で実施してよい。
【0157】
予備プレス温度、任意の圧力、及び時間は、製造される固体木質ボードにしたがって変化すると理解されている。予備プレスは、好ましくは周囲温度で実施される。したがって、予備プレスは、好ましくは10〜60℃、より好ましくは15〜30℃及び最も好ましくは15〜25℃の範囲の温度で実施される。更に又はあるいは、予備プレスは、5〜40bar及び好ましくは8〜35barの範囲の圧力で実施される。
【0158】
したがって、予備プレスは、好ましくは周囲温度又は5〜40bar及び好ましくは8〜35barの範囲の圧力で実施される。あるいは、予備プレスは、周囲温度及び5〜40bar及び好ましくは8〜35barの範囲の圧力で実施される。
【0159】
好ましくは、予備プレスは、10〜60℃、より好ましくは15〜30℃及び最も好ましくは15〜25℃の範囲の温度並びに5〜40bar及び好ましくは8〜35barの範囲の圧力で実施される。
【0160】
工程e)の特徴付け:予備プレスされた木質マットへ乾燥又は液体コーティング組成物を施すこと
本発明の工程e)によれば、工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物は、工程d)で得られる予備プレスされた木質マットの第一面及び/又は裏面に施される。
【0161】
工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物を木質マットの第一面及び/又は裏面に施す工程は、予備プレス工程後、しかしホットプレス工程前に実施されることが、本発明のプロセスに関して極めて重大である。本発明者らは、驚くべきことにこの工程の順番が、優れた表面特性を有し、後処理工程の実施がない木質ボードをもたらすことを見いだした。特に、木質ボードが得られ、木質ボードは、改善された表面特性、特に改善された光学特性を有する。更に、改善された機械的特性を有する木質ボードを得ることができる。
【0162】
コーティング組成物は、乾燥又は液体形態であり得る。一実施形態によれば、本発明のプロセスの工程e)で施されるコーティング組成物は、乾燥コーティング組成物である。別の実施形態によれば、本発明のプロセスの工程e)で施されるコーティング組成物は、液体コーティング組成物である。この場合、本発明のプロセスは、コーティング層の乾燥工程e1)を更に含んでよい。
【0163】
工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物が、予備プレスされた木質マットの少なくとも第一面に施されることが、必要条件の1つである。
【0164】
一実施形態によれば、プロセス工程e)はまた、予備プレスされた木質マットの裏面にも実施され、第一面及び裏面にコーティングされた木質ボードを製造する。この工程は、それぞれの面に別々に実施してよく、又は第一面及び裏面に同時に実施してよく、好ましくは別々である。
【0165】
別の実施形態によれば、コーティング組成物は、液体形態であり、プロセス工程e)、及び所望により工程e1)はまた、予備プレスされた木質マットの裏面に実施され、第一面及び裏面にコーティングされた木質ボードを製造する。これらの工程は、それぞれの面に別々に実施してよく、又は第一面及び裏面に同時に実施してよい。
【0166】
一実施形態によれば、工程e)は、異なる又は同一の液体コーティング組成物を使用して2回以上実施される。別の実施形態によれば、コーティング組成物は、液体形態であり、工程e)、及び所望によりe1)は、異なる又は同一の液体コーティング組成物を使用して2回以上実施される。
【0167】
コーティングは、通常当該技術分野において使用される、一般的なコーティング手段によって、予備プレスされた木質マットに施してよい。適切なコーティング方法は、例えば、メタリングサイズプレス、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング等である。これらの方法のいくつかは、2つ以上の層の同時コーティングが可能であり、これは、製造における経済的観念から好ましい。しかし、予備プレスされた木質マットにコーティングを形成するために適切な任意のその他のコーティング方法もまた使用される。
【0168】
代表的実施形態では、コーティング組成物は、メタリングサイズプレス、カーテンコーティング又はスプレーコーティングによって施される。好ましい実施形態では、スプレーコーティングは、コーティング層を施すために使用される。別の好ましい方法では、カーテンコーティングは、コーティング層を施すために使用される。
【0169】
代表的実施形態によれば、液体コーティング組成物は、メタリングサイズプレス、カーテンコーティング又はスプレーコーティング、好ましくはカーテンコーティングによって施される。別の代表的実施形態によれば、乾燥コーティング組成物は、展延及び静電粉末コーティングによって施される。
【0170】
プロセス工程e)は、バッチ又は連続プロセスで実施してよいと理解されている。プロセス工程e)が連続プロセスで実施される場合、工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物は、好ましくは工程d)のみで得られる予備プレスされた木質マットの第一面に施される。
【0171】
本発明の一実施形態によれば、コーティングを形成するために使用される液体コーティング組成物は、液体コーティング組成物の総重量を基準にして、10〜80重量%、好ましくは30〜75重量%、より好ましくは40〜70重量%、及び最も好ましくは45〜65重量%の固体含有量を有する。
【0172】
液体コーティング組成物は、20〜3000mPa・s、好ましくは250〜3000mPa・s、より好ましくは500〜2500mPa・s及び最も好ましくは500〜1000mPa・sの範囲のブルックフィールド(Brookfield)粘度を有することができる。
【0173】
工程f)の特徴付け:予備プレスされた木質マットのホットプレス
本発明の工程f)によれば、工程e)で得られる予備プレスされた木質マットは、固体木質ボードにホットプレスされる
【0174】
ホットプレス工程f)は、予備プレスされた木質マットを固体木質ボードへとホットプレスするための当業者に周知のすべての技術及び方法によって行ってよい。ホットプレス工程f)は、任意の一般的なプレス機、例えば、単一開口プレス(single−opening presses)、マルチ開口バッチプレス(multi−opening batch presses)又は連続プレスで、固体木質ボードが得られるような条件下又は当業者に既知のこのようなその他の装置で実施してよい。好ましくは、ホットプレス工程f)は、連続プレスで実施される。
【0175】
例えば、熱及び所望により圧力、好ましくは熱及び圧力は、木材パーティクル及び/若しくは繊維並びに任意の少なくとも1種類のベースバインダー並びに/又は少なくとも1種類の添加剤並びに少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダー並びに任意の少なくとも1種類化合物を含む、第一面及び/又は裏面に施されるコーティングをプレス工程g)の固体粒子ボードへと一緒に接合するなどのホットプレス工程において、予備プレスされた木質マットに適用される。
【0176】
ホットプレス温度、任意の圧力、及び時間は、製造される固体木質ボードにしたがって変化すると理解されている。しかし、ホットプレス工程f)は、好ましくは130〜260℃、より好ましくは160〜240℃の範囲の温度で実施される。
【0177】
一実施形態では、ホットプレスは、ボード厚みに関して10〜25s/mm、好ましくは10〜20s/mm及び最も好ましくは12〜18s/mmのプレス時間因子で実施される。
【0178】
ホットプレス工程f)の後、最終固体木質ボードは、積層の前に冷却できる。最終木質ボードは、木質ボードの表面特性を改善するための、研磨又は任意のその他の仕上げ作業(ラミネート加工若しくはコーティング又は直接印刷を施すことなど)などの後処理工程を必要としない。
【0179】
しかし、一実施形態では、最終木質ボードは、木質ボードの光沢度、摩耗性等などの表面特性を更に改善するための、研磨又は任意のその他の仕上げ作業(ラミネート加工若しくはコーティング又は直接印刷を施すことなど)などの後処理工程にかけられる。
【0180】
木質ボードは、ファイバーボード製品、好ましくは高密度繊維(HDF)板、中密度繊維(MDF)板、低密度繊維(LDF)板、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、ハードボード又はインシュレーションボードであってよい。
【0181】
木質ボード及び使用
本発明の一態様によれば、木質ボードが提供される。
【0182】
木質ボードは、
a)本明細書で定義されるような木材パーティクル及び/又は繊維のベース、並びに
b)木質ボードの第一面及び/又は裏面にコーティングを含み、
コーティングが、
i)0.5〜1.0の粒径d
80対粒径d
20[d
80/d
20]の比率を有する、本明細書で定義されるような少なくとも1種類の粒子状フィラー材料、並びに
ii)本明細書で定義されるような少なくとも1種類のバインダーを含む。
【0183】
木材パーティクル及び/又は繊維、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料、少なくとも1種類のバインダー及び任意のベースバインダー、添加剤及び化合物の定義、並びにそれらの好ましい実施形態に関して、本発明のプロセスについて技術的詳細を議論するときは、上記を参照する。
【0184】
木質ボードであって、
a)本明細書で定義されるような木材パーティクル及び/又は繊維のベース、並びに
b)木質ボードの第一面及び/又は裏面にコーティングを含み、
コーティングが、
i)0.5〜1.0の粒径d
80対粒径d
20[d
80/d
20]の比率を有する、本明細書で定義されるような少なくとも1種類の粒子状フィラー材料、並びに
ii)本明細書で定義されるような少なくとも1種類のバインダーを含む、
木質ボードが、好ましくは
a)乾燥形態又は水性懸濁液の形態で木材パーティクル及び/又は繊維を提供する工程、
b)少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーを含む乾燥又は液体コーティング組成物を提供する工程、
c)工程a)で提供される木材パーティクル及び/又は繊維による第一面及び裏面を有する木質マットを形成する工程、
d)工程c)の木質マットを予備プレスされた木質マットへと予備プレスする工程、
e)工程d)で得られる予備プレスされた木質マットの第一面及び/又は裏面に工程b)の乾燥又は液体コーティング組成物を施す工程、並びに
f)工程e)で得られる予備プレスされた木質マットを固体木質ボードへとホットプレスする工程、を含むプロセスによって得られる。
【0185】
木質ボードは、好ましくはファイバーボード製品、より好ましくは高密度繊維(HDF)板、中密度繊維(MDF)板、低密度繊維(LDF)板、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、ハードボード又はインシュレーションボードである。
【0186】
一実施形態では、コーティングは、好ましくは木質ボードの表面に浸透する。したがって、木質ボードの表面を傷つけることなく木質ボードの表面からコーティングを除去できないことが好ましい。
【0187】
本発明の木質ボードは、第一面及び裏面を有する木材パーティクル及び/又は繊維のベースを含む。木材パーティクル及び/又は繊維のベースは、木質ボードの第一面及び/又は裏面のコーティングに対する支持体として機能する。したがって、木質ボードは、第一面及び裏面を有する木材パーティクル及び/又は繊維のベース並びに木材パーティクル及び/又は繊維のベースの第一面及び/又は裏面と接触するコーティングを好ましくは含み、より好ましくはそれらからなる。
【0188】
少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、好ましくは
i)<500μmの粒径d
98、
ii)0.1〜250μmの粒径d
80、
iii)0.1〜150μmの中央粒径d
50、並びに
iv)0.1〜50μmの粒径d
20を有する。
【0189】
木質ボードは、その光学特性などの表面特性に関して特に有利であると理解されている。この点に関しては、有利な表面特性は、本発明のプロセスにしたがってコーティングされた木質ボードの面のみ適用されることを留意されたい。
【0190】
一実施形態では、木質ボードのコーティング面の表面は、好ましくは
i)ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167によると、50〜100%の輝度、
ii)ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167によると、2〜70%の黄色度、
iii)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、50〜100のL
*、
iv)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、−5〜10のa
*、及び
v)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、0〜30のb
*を有する。
【0191】
更に又はあるいは、木質ボードのコーティング面の表面は、
i)20〜800μmの最大粗さ振幅(maximum roughness amplitude)Sz、
ii)2〜80μmの算術平均粗さSa、及び
iii)2〜20μmの二乗平均平方根粗さSqを有する。
【0192】
一実施形態では、木質ボードのコーティング面の表面は、好ましくは
i)ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167によると、50〜100%の輝度、
ii)ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167によると、2〜70%の黄色度、
iii)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、50〜100のL
*、
iv)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、−5〜10のa
*、並びに
v)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、0〜30のb
*、
並びに
i)20〜800μmの最大粗さ(平均粗さ)振幅(maximum roughness (average roughness)amplitude)Sz、
ii)2〜80μmの算術平均粗さSa、及び
iii)2〜20μmの二乗平均平方根粗さSqを有する。
【0193】
好ましい一実施形態によれば、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料は、
i)<500μmの粒径d
98、
ii)0.1〜250μmの粒径d
80、
iii)0.1〜150μmの中央粒径d
50、及び
iv)0.1〜50μmの粒径d
20を有し、
並びに木質ボードのコーティング面の表面は、
i)ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167によると、50〜100%の輝度、
ii)ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167によると、2〜70%の黄色度、
iii)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、50〜100のL
*、
iv)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、−5〜10のa
*、並びに
v)DIN EN ISO 11664−4:2012によると、0〜30のb
*、
並びに
i)20〜800μmの最大粗さ振幅(maximum roughness amplitude)Sz、
ii)2〜80μmの算術平均粗さSa、及び
iii)2〜20μmの二乗平均平方根粗さSqを有する。
【0194】
本発明の木質ボードは、単一又は多層木質ボードであり得る。木質ボードが多層ボードである場合、ボードは、3層又は5層木質ボードであり得る。例えば、木質ボードは単層木質ボードである。
【0195】
一実施形態では、木質ボードは、木質ボードの第一面及び/又は裏面の印刷工程を更に含む。このような印刷は、木質ボードのコーティング上に位置していることが好ましい。
【0196】
本発明の木質ボードは、具体的に曲げ強度及び弾性率、内部結合強さ、厚さ膨潤並びに更なる加工性などの高い機械的特性を特徴とする。
【0197】
本発明の木質ボードは、具体的に高い曲げ強度を特徴とする。好ましくは、木質ボードは、≧5N/mm
2好ましくは10〜50N/mm
2及び最も好ましくは15〜45N/mm
2の曲げ強度を有する。別段の指示がない限り、曲げ強度は、DIN EN 310にしたがって決定される。
【0198】
更に又はあるいは、本発明の木質ボードは、高い弾性率を特徴とする。好ましくは、木質ボードは、≧500N/mm
2、好ましくは1000〜4500N/mm
2及び最も好ましくは1500〜3500N/mm
2の弾性率を有する。別段の指示がない限り、弾性率は、DIN EN 310にしたがって決定される。
【0199】
更に又はあるいは、本発明の木質ボードは、高い内部結合強さを特徴とする。好ましくは、木質ボードは、≧0.10N/mm
2、より好ましくは0.2〜1.4N/mm
2及び最も好ましくは0.4〜1.2N/mm
2の内部結合強さを有する。別段の指示がない限り、内部結合強さは、DIN EN 319にしたがって決定される。内部結合強さはまた、横方向の引張り強さという名称であってもよいと理解されている。
【0200】
更に又はあるいは、本発明の木質ボードは、高い厚さ膨潤を特徴とする。好ましくは、木質ボードは、≦20%、より好ましくは2.0〜15.0%及び最も好ましくは4.0〜10%の24時間水中貯蔵後の厚さ膨潤を有する。別段の指示がない限り、厚さ膨潤は、DIN EN 317にしたがって決定される。
【0201】
更に又はあるいは、本発明の木質ボードは、高い輝度を特徴とする。好ましくは、木質ボードは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも65%、更により好ましくは少なくとも75%及び最も好ましくは少なくとも80%の輝度を有する。別段の指示がない限り、輝度は、ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167にしたがって決定される。
【0202】
例えば、木質ボードは、≧5N/mm
2、好ましくは10〜50N/mm
2及び最も好ましくは15〜45N/mm
2の曲げ強度;又は≧500N/mm
2、好ましくは1000〜4500N/mm
2及び最も好ましくは1500〜3500N/mm
2の弾性率;又は≧0.10N/mm
2、より好ましくは0.2〜1.4N/mm
2及び最も好ましくは0.4〜1.2N/mm
2の内部結合強さ;又は≦20%、より好ましくは2.0〜15.0%及び最も好ましくは4.0〜10%の24時間水中貯蔵後の厚さ膨潤;又は少なくとも50%、より好ましくは少なくとも65%、更により好ましくは少なくとも75%及び最も好ましくは少なくとも80%の輝度を有する。
【0203】
あるいは、木質ボードは、≧5N/mm
2、好ましくは10〜50N/mm
2及び最も好ましくは15〜45N/mm
2の曲げ強度;並びに≧500N/mm
2、好ましくは1000〜4500N/mm
2及び最も好ましくは1500〜3500N/mm
2の弾性率;並びに≧0.10N/mm
2、より好ましくは0.2〜1.4N/mm
2及び最も好ましくは0.4〜1.2N/mm
2の内部結合強さ;並びに≦20%、より好ましくは2.0〜15.0%及び最も好ましくは4.0〜10%の24時間水中貯蔵後の厚さ膨潤;並びに少なくとも50%、より好ましくは少なくとも65%、更により好ましくは少なくとも75%及び最も好ましくは少なくとも80%の輝度を有する。
【0204】
一実施形態では、本発明の木質ボードは、0.2〜300.0mm、好ましくは2.0〜40.0mm及び最も好ましくは4.0〜20mmの厚みを有する。
【0205】
別の態様によれば、本発明は、木質ボードのインラインコーティングのための本明細書で定義されるような少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーを含む乾燥又は液体コーティング組成物の使用を指す。
【0206】
少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーを含む乾燥又は液体コーティング組成物の定義並びにそれらの好ましい実施形態に関して、本発明のプロセスについて技術的詳細を議論するときは、上記を参照する。
【0207】
本発明の意味における「インライン」コーティング又はプロセスは、コーティング工程が、予備プレス及びホットプレス工程を備え、直列、特に水平方向で直列に置かれるプロセスを指す。換言すれば、少なくとも1種類の粒子状フィラー材料及び少なくとも1種類のバインダーを含む乾燥又は液体コーティング組成物は、予備プレスされた木質マットの第一面及び/又は裏面に施され、すなわち予備プレス後、しかし、予備プレスされコーティングされた木質マットをホットプレスして固体木質ボードを形成する前に施される。
【0208】
本発明の範囲及び関心の対象は、本発明のある実施形態の例示を意図し、非制限的である以下の実施例に基づいてより理解されよう。
【0209】
実施例
測定方法
以下の測定方法は、実施例及び特許請求の範囲で与えられるパラメーターを評価するために使用される。
【0210】
粒径分布(<Xの直径を有する重量%粒子)及び≦45μmの粒径d
50を有する粒子状フィラー材料の重量中央径(d
50)
炭酸カルシウムなどの粒子状フィラー材料の重量中央粒径及び粒径重量分布は、沈降法、すなわち重力場における沈降挙動の分析によって決定した。測定は、Sedigraph TM 5120を用いて行った。
【0211】
方法及び機器は、当業者に既知であり、通常、フィラー及び顔料の粒径を決定するために使用される。測定は、0.1重量%Na
4P
2O
7の水溶液中で実施される。サンプルは、高速攪拌機及び超音波を使用して分散させた。
【0212】
粒径分布(<Xの直径を有する体積%粒子)及び>45μmの粒径d
50を有する粒子状フィラー材料の体積中央直径(d
50)
粒子状フィラー材料の体積中央粒径及び粒径体積分布は、レーザー回折を介して決定し、すなわち粒径は、レーザービームが分散した粒子状試料を通過したときの光散乱強度を測定することによって決定される。測定は、Malvern Instruments LtdのMastersizer 2000又はMastersizer 3000を用いて行った(操作機器ソフトウェアバージョン1.04)。あるいは、測定は、ドイツのSympatecのHELOS粒径分析器を用いて行うことができる。測定は、粒径分布の全体を通して、一定密度を前提とする重量分布と同等であるとみなしてよく、測定方法を参照する。
【0213】
方法及び機器は、当業者に既知であり、通常、フィラー及び顔料の粒径を決定するために使用される。測定は、0.1重量%Na
4P
2O
7の水溶液中で実施される。サンプルは、高速攪拌機及び超音波を使用して分散される。
【0214】
材料のBET比表面積
本文献を通して、フィラー材料の比表面積(m
2/g)は、BET方法(吸着ガスとして窒素を使用)を使用して決定され、これは、当業者に既知である(ISO 9277:2010)。次に、フィラー材料の全表面積(m
2)は、処理の前にフィラー材料の比表面積と質量(g)を乗じることによって得られる。
【0215】
水性懸濁液の固体含有量
懸濁液の固体含有量(「乾燥重量」としても既知)は、スイスのMettler−Toledo社からのMoisture Analyser HR73を使用し、以下の設定:120℃の温度、自動スイッチオフ3、標準乾燥、5〜20gの懸濁液によって決定した。
【0216】
水性懸濁液のpH
水性スラリーのpHは、約22℃の室温で標準pHメーターを使用して測定した。
【0217】
含量体積濃度(PVC)
PVCは、式
【数1】
VP:体積顔料
VF:体積フィラー
VB:体積バインダー
にしたがって計算した。
【0218】
白色度及び黄色度
白色度(若しくは輝度)及び黄色度は、ISO R457(Tappi452)及びDIN 6167にしたがって、DatacolorのELREPHO 450を使用して測定した。CIELABL
*、a
*、b
*座標及び輝度CIEは、DIN EN ISO 11664−4:2012にしたがって、Minolta−Spectrophotometer CM−3610d(OF 22)を使用して測定した。
【0219】
光沢
表面光沢は、EN ISO 8254−1:2003、TAPPI75°(%)にしたがって、LehmannからのCotem CGL−3W装置を使用して測定した。
【0220】
表面粗さの評価
粗さは、COTEM MESSSYSTEMEからのNanoskop装置を使用し、トポグラフィー測定によって決定した。測定基準は、x軸:測定長さ:4.8mm、解像度:500ポイント、及びy軸:測定長さ4.8mm、解像度:250ポイントであり、高域フィルターGaussを適用した。値:
・Sz=最大粗さ振幅(maximum roughness amplitude)
・Sa=算術平均粗さ
・Sq=二乗平均平方根粗さ
【0221】
木質繊維の寸法
寸法又は繊維は、ふるい分析を使用することによって分画を介して決定した。測定は、ドイツのHOSOKAWA ALPINE AGのAlpine e200 LSによるエアジェットシーブを用いて行った。
【0222】
測定は、ふるいの下に位置する回転スリットノズルによってふるい内に置かれた繊維に空気流を適用して実施した。したがって、繊維は、20で、5分間にわたるふるいを通した繊維の空気分散及び同時吸引によって分画にかけられる。ふるいに置かれる前と分画後の繊維における量の間の差は、グラムの通過画分としてみなした。選択したふるいメッシュ幅の数に応じて、分画は、最も小さいふるいメッシュ幅で始めて最も大きな25ふるいメッシュ幅まで繰り返される。したがって、それぞれのふるいメッシュ幅に対して、分画される繊維の総量の百分率が、計算できる。ふるいのメッシュ幅は、以下のメッシュ幅(mm)から選択した。:0.05−0.063−0.08−0.1−0.125−0.2−0.315−0.4−0.5−0.63−0.8−1.0−1.6−2.0−3.0−3.15−4.0−5.0。それぞれの分析に対して、少なくとも3つのふるいメッシュ幅は、選択したメッシュ幅によって繊維の寸法に十分に及ぶように選択した。別段の指示がない限り、繊維の寸法は、0.05mm、1.0mm及び3.0mmのメッシュ幅のふるいで測定される。
【0223】
木材パーティクルの粒径
木材パーティクルの粒径は、機械式振動ふるい及び粒度曲線の計算によって決定した。異なるふるいメッシュを備えたふるいは、底部に最も小さいふるいメッシュで始めて上部に最も大きなふるいメッシュを備えるタワーとして設置した。木材パーティクルは、上部のふるいに置き、ふるいのタワーは、振動機内に固定した。したがって、木材パーティクルは、5分間以内で、ふるいのタワーの連続振盪によって分画にかけられる。上部のふるいに置かれる前と分画後の木材パーティクルにおける量の間の差は、グラムの通過画分としてみなした。したがって、それぞれのふるいメッシュ幅に対して、分画される木材パーティクルの総量の百分率が、計算できる。ふるいのメッシュ幅は、以下のメッシュ幅(mm)から選択した。:0.063−0.1−0.315−0.5−1.0−1.6−2.0−3.15−4.0−6.3−8−12。
【0224】
それぞれの分析に対して、少なくとも7つのメッシュ幅は、選択したメッシュ幅によって木材パーティクルの寸法に十分に及ぶように選択した。
【0225】
木材パーティクルの粒子長さ及び厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡分析によって決定した。
【0226】
木材の含水量
木材の含水量は、DIN EN 322にしたがって決定される。用語「平衡水分」は、所与の相対湿度及び温度の空気によって取り囲まれたとき、木材が、水分を得たり減少させたりしない、木材又は木質パネルの含水量として理解されなければならない(「木材ハンドブック」で定義)。含水量は、定義された環境:65%相対湿度及び20℃の温度で7日の保管後に決定した。
【0227】
密度
密度(又は生材密度)測定は、DIN EN 323にしたがって行った。
【0228】
厚さ膨潤
厚さ膨潤の測定は、DIN EN 317にしたがって24時間、水にさらした後行った。
【0229】
内部結合強さ
内部結合強さの測定は、DIN EN 319にしたがって行った。
【0230】
曲げ強度及び弾性率
曲げ強度及び弾性率は、DIN EN 310にしたがって測定した。
【0231】
実施例
基材1:中密度繊維板。製造パラメーターを以下の表1に示す:
【表1】
【0232】
基材2:パーティクルボード。製造パラメーターを以下の表2に示す。
【表2】
【0233】
製造の段取り:
1. 木質繊維(中密度繊維板(MDF))、基材1)又は木材パーティクル(パーティクルボード、基材2)への樹脂(バインダー)の適用及び疎水化剤の添加をブレンダー内で実施した(パーティクルボード用の表面層の木材パーティクル及び中間層のパーティクルへの樹脂の適用は、別々に実施した)。
2. 樹脂化木質繊維又は木材パーティクルを自然な展延によって木質繊維マット又は木材パーティクルマットへと形成した。
3. 木質繊維マット又は木材パーティクルマットは、周囲温度、すなわち23℃±2℃、及び10barの圧力で予備プレスした。
4. 「コーティング1」及び「コーティング2」(組成及び特性に関して表3〜6を参照のこと)は、予備プレスされた木質繊維マット又は木材パーティクルマットの一面にエアプレッシャー塗装用スプレーガンによって施した。「両面コーティング2」はまた、予備プレスされ、一面にコーティングされた木質繊維マットの第二面に施される。コーティング重量は、それぞれのトライアルポイント、100g/m
2(乾燥)に対する。
5. 次に、予備プレスされコーティングされた木質繊維マット又は木材パーティクルマットは、表1及び2に開示されている条件下、ホットプレス内で固体ボードにホットプレスした。(結果における両面コーティング2は、予備プレスされ、一面にコーティングされた木質繊維マットを180°裏返し、第二表面に更にコーティングしたことを意味する)。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0234】
一般的には、木質ボード、すなわちサンドイッチ構造(層間の滑らかな推移又は層の相互作用を有する)を有するパーティクルボードを製造することは可能だった。木質ボードとして単一層中密度繊維板を製造することもまた可能だった。木質ボードは、対照の未加工ボードと比較して、最適化されたボードの物理的、機械的及び光学的ボードパラメーターを特徴とする。対照ボードは、本発明の木質ボード(表1及び表2)に関して、記載されている同一の方法ではあるが、しかし予備プレスとホットプレス工程との間のコーティングを施すことなしで製造した。特に、対照の未加工のボードと比較して、コーティング1及びコーティング2でコーティングされた木質ボードの曲げ強度及び弾性率、厚さ膨潤、輝度CIE、輝度R457、黄色度、光沢並びに粗さSa、Sz、Sqを改善することが可能だった。結果、すなわちコーティング1、コーティング2でコーティングされたMDFボードに対する結果は、基材1に対して
図1〜9に概要を示す。
図1及び
図2はまた、両面にコーティングされたMDFボード、すなわち両面コーティング2の結果を示す。
【0235】
基材2に関しては、対照の未加工のボードと比較して、輝度CIE、輝度R457、黄色度並びに光沢度を改善することが可能だった。結果、すなわち、コーティング1及びコーティング2を使用することによって改善されたパーティクルボード表面の光学特性は、基材2に対して
図10〜13に概要を示す。
【0236】
表7に欧州規格DIN EN 622にしたがうコーティング1又は2でコーティングされたボードの理論的に達成される分類について概要を示す。
【表7】