(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880045
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】機械的係止装置を備えるパネル、及びこれらのパネルを備える組立製品
(51)【国際特許分類】
F16B 12/02 20060101AFI20210524BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20210524BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20210524BHJP
F16B 5/00 20060101ALI20210524BHJP
F16B 12/12 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
F16B12/02 B
F16B5/07 C
F16B5/06 G
F16B5/00 F
F16B12/12 C
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-538235(P2018-538235)
(86)(22)【出願日】2017年1月25日
(65)【公表番号】特表2019-508637(P2019-508637A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】SE2017050067
(87)【国際公開番号】WO2017131574
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】1650089-4
(32)【優先日】2016年1月26日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ブー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、デレレブ
【審査官】
谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第102014110124(DE,A1)
【文献】
国際公開第2015/105449(WO,A1)
【文献】
実開昭48−072118(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0174704(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0079433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/02
F16B 5/00
F16B 5/06
F16B 5/07
F16B 12/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パネル(2)と、第2パネル(4)とを備える一組のパネルであって、前記第1パネル(2)及び前記第2パネル(4)は、前記第1パネル(2)の長手方向を有する第1縁部を、前記第2パネル(4)の長手方向を有する第2縁部に対して接合平面(J)において係止するように構成されており、前記第1及び前記第2縁部の係止状態においては、前記第1及び前記第2縁部の長手方向で見たときに、前記第2パネル(4)が延在する第1方向(D1)が、前記第1パネル(2)が延在する第2方向(D2)に対して垂直であり、且つ、前記接合平面は、前記第1方向(D1)及び前記第2方向(D2)に対して角度を成して、前記第1パネル(2)と前記第2パネル(4)との間において延在している一組のパネルにおいて、
・前記第1縁部は、前記接合平面(J)から延在する縁部舌部(22)を備え、
・前記第2縁部は、前記接合平面(J)において縁部溝(21)を備え、前記第1及び前記第2縁部を前記第1方向(D1)において係止するように、前記縁部舌部(22)は前記縁部溝(21)と協働するように構成され、
・前記縁部舌部(22)は、舌部溝(10)を備え、
・前記縁部溝(21)は、挿入溝(20)内に配設される可撓性舌部(30)を備え、前記第1及び前記第2縁部を前記第2方向(D2)において係止するように、前記可撓性舌部は前記舌部溝(10)と協働するように構成され、
・前記第1及び前記第2縁部の係止状態において、前記縁部舌部(22)と前記縁部溝(21)との間であって、前記縁部溝(21)の開口における前記挿入溝(20)の側とは反対側に、且つ前記接合平面において、第1スペース(46)を備え、
前記接合平面と前記第2方向(D2)との間の角度は、約45°であり、
前記第1縁部は、前記縁部舌部(22)とは異なる位置に第3接触表面(53)を備え、前記第2縁部は、前記縁部溝(21)とは異なる位置に第4接触表面(54)を備え、
前記第3及び前記第4接触表面は、前記第1及び前記第2パネルの係止状態において、内側角部に且つ前記接合平面に存在するとともに、協働するように構成される、
ことを特徴とする一組のパネル。
【請求項2】
前記縁部舌部(22)は、前記接合平面から、前記第2方向(D2)において延在する、
請求項1に記載の一組のパネル。
【請求項3】
前記縁部舌部(22)の一方の側面が、前記接合平面(J)において又はその付近において、前記第2方向(D2)において延在する第1係止表面(41)を備え、且つ、前記縁部溝(21)は、前記接合平面(J)において又はその付近において、前記第2方向(D2)において延在する第2係止表面(40)を備え、
前記第1係止表面及び前記第2係止表面は平行であるとともに、前記第1方向(D1)における係止のために協働するように構成される、
請求項1又は2に記載の一組のパネル。
【請求項4】
前記縁部舌部(22)は、一方の側面に対して反対の側の他方の側面において、前記第2方向(D2)において延在する第3係止表面(43)を備え、且つ、前記縁部溝(21)は、前記第2方向(D2)において延在する第4係止表面(42)を備え、
前記第3係止表面及び前記第4係止表面は平行であるとともに、前記第1方向(D1)における係止のために、前記接合平面から距離を置いて協働するように構成される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の一組のパネル。
【請求項5】
前記第3係止表面(43)及び前記第4係止表面(42)は、第1距離(47)に亘って前記第2方向に延在する領域において協働し、
前記第3係止表面及び前記第4係止表面は、前記接合平面から第2距離(48)だけ変位しており、
前記第1距離(47)は、前記第2距離(48)の約20%乃至約200%の範囲にある、又は前記第2距離(48)の約50%乃至約150%の範囲にある、
請求項4に記載の一組のパネル。
【請求項6】
前記接合平面から距離を置いた前記縁部舌部(22)の一方の側面は、前記第2方向において延在する第5係止表面(45)を備え、且つ、前記縁部溝(21)は、前記第2方向において延在する、前記接合平面(J)から距離を置いた第6係止表面(44)を備え、
前記第5係止表面及び前記第6係止表面は平行であるとともに、前記第1方向における係止のために協働するように構成される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一組のパネル。
【請求項7】
前記第1縁部は前記縁部舌部(22)とは異なる位置に第1接触表面(51)を備え、前記第2縁部は前記縁部溝(21)とは異なる位置に第2接触表面(52)を備え、
前記第1接触表面及び前記第2接触表面は、前記第1及び前記第2パネルの係止状態において、外側角部に且つ前記接合平面に存在するとともに、協働するように構成される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の一組のパネル。
【請求項8】
前記接合平面において、前記第1及び前記第2接触表面(51、52)から前記縁部溝の開口に向かって延在する第2スペース(49)が形成される、
請求項7に記載の一組のパネル。
【請求項9】
前記第1及び前記第2接触表面(51、52)は、第1幅に亘って、前記第1及び前記第2パネルの内側角部から前記外側角部に向かう方向において協働し、
前記第1幅は、前記第1及び/又は第2縁部表面の縁部幅(58)の約5%乃至約40%、約5%乃至約30%、又は約5%乃至約20%の範囲にある、
請求項7又は8に記載の一組のパネル。
【請求項10】
前記第1縁部の表面及び/又は前記第2縁部の表面は、前記第1接触表面(51)及び前記第2接触表面(52)それぞれから、前記縁部舌部(22)及び前記縁部溝(21)それぞれに向かって延在する凹部(50、55)を備える、
請求項7乃至9のいずれか一項に記載の一組のパネル。
【請求項11】
前記第3及び前記第4接触表面は、第2幅に亘って、前記第1及び前記第2パネルの内側角部から前記外側角部に向かう方向において協働し、
前記第2幅は、前記第1及び/又は第2縁部表面の縁部幅(58)の約2%乃至約20%、約2%乃至約10%、約2%乃至約5%の範囲にあり得る、
請求項1に記載の一組のパネル。
【請求項12】
前記第1パネルは、内側半体(66)と外側半体(67)とを、前記第1パネルの厚さの方向において備え、
前記縁部舌部(22)全体は、前記第1パネルの前記内側半体に存在する、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の一組のパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、互いに対して垂直に配設され得るとともに、機械的係止装置によって一体に係止され得るパネルに関する。パネルは、本棚、食器棚、衣装箪笥、箱、引出、又は家具部品等の家具製品を得るように、一体に組み立てられ係止され得る。係止装置は、可撓性
舌部を備え得る。
【背景技術】
【0002】
WO2015/038059号に記載のように、機械的係止装置を有する家具製品が、当技術において公知である。家具は、挿入溝内に可撓性
舌部を備える機械的係止装置によって、第2パネルに対して垂直に接続される第1パネルを備える。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態の1つの目的は、上述の技術及び公知技術に対する改良を提供することである。具体的な目標は、機械的係止装置によって一体に係止される家具パネル等のパネルの組立を改良する、及び/又は機械的係止装置の強度を向上させることである。パネルは、家具部品、引出、食器棚、本棚、衣装箪笥、台所設備、又はボックス等の家具製品の一部であり得る。
【0004】
説明から明らかになるであろう本発明のこれらのうちの少なくともいくつか及び他の目的及び利点が、第1主平面を有する第1パネルと、第2主平面を有する第2パネルとを備える一組のパネルを含む本発明の第1態様によって達成された。前記第1パネル及び前記第2パネルは、前記第1パネルの第1縁部を前記第2パネルの第2縁部に対して接合平面において係止するための機械的係止装置を設けられる。前記第1主平面は、前記第2主平面に対して本質的に垂直であり、且つ、前記接合平面は、前記第1主平面及び前記第2主平面に対して角度を成して、前記第1主平面と前記第2主平面との間において延在している。前記第1縁部は、前記接合平面から延在する縁部
舌部を備える。前記第2縁部は、前記接合平面において縁部溝を備える。前記第1及び前記第2縁部を前記第1主平面に対して垂直である第1方向において一体に係止するように、前記縁部
舌部は前記縁部溝と協働するように構成される。前記縁部
舌部は、
舌部溝を備える。前記縁部溝は、挿入溝内に配設される可撓性
舌部を備える。前記第1及び前記第2縁部を前記第2主平面に対して垂直である第2方向において一体に係止するように、前記可撓性
舌部は前記
舌部溝と協働するように構成される。前記機械的係止装置は、前記第1及び前記第2縁部の係止状態において、前記縁部
舌部と前記縁部溝との間に、前記縁部溝の開口において、好適には前記挿入溝の反対側に、且つ前記接合平面において、第1スペースを備える。前記第1スペースは、前記縁部溝の開口における前記第2縁部の一部分の荷重を回避するという利点を有し得る。第2縁部のこの部分は、脆弱な部分であり得る。なぜならば、荷重を吸収するように利用できる材料が殆どないからである。
【0005】
前記接合平面と前記第1主平面との間の角度は、約30°乃至約60°の範囲にあり得る、例えば約45°であり得る。
【0006】
前記縁部
舌部は、前記接合平面から、本質的に前記第2方向において、好適には前記第1縁部に沿った長手方向を有して延在し得る。
【0007】
前記縁部
舌部の第1側は、前記接合平面において又はその付近において、第1係止表面を備え得る。前記縁部溝は、前記接合平面において又はその付近において、第2係止表面を備え得る。前記第1係止表面及び前記第2係止表面は本質的に平行であり得るとともに、前記第1方向における係止のために協働するように構成され得る。好適には、前記第1係止表面及び前記第2係止表面は、本質的に前記第2方向において延在している。
【0008】
前記縁部
舌部は、前記第1側に対して反対側の第2側において、第3係止表面を備え得る、且つ、前記縁部溝は、第4係止表面を備え得る。前記第3係止表面及び前記第4係止表面は本質的に平行であり得るとともに、前記第1方向における係止のために、前記接合平面から距離を置いて協働するように構成され得る。好適には、前記第3係止表面及び前記第4係止表面は、本質的に前記第2方向において延在している。
【0009】
前記第3係止表面及び前記第4係止表面は、前記第2方向において、第1距離に亘って延在する領域において協働し得る。前記第3係止表面及び前記第4係止表面は、前記接合平面から第2距離だけ変位し得る。前記第1距離は、前記第2距離の約20%乃至約200%の範囲にあり得る、好適には、前記第2距離の約50%乃至約150%の範囲にあり得る。前記第1距離は、前記第2距離と本質的に同一であり得る。
【0010】
前記接合平面から距離を置いた前記縁部
舌部の前記第1側は、第5係止表面を備え得る、且つ、前記縁部溝は、前記接合平面から距離を置いた第6係止表面を備え得る。前記第5係止表面及び前記第6係止表面は本質的に平行であり得るとともに、前記第1方向における係止のために協働するように構成され得る。好適には、前記第5係止表面及び前記第6係止表面は、本質的に前記第2方向において延在し得る。
【0011】
前記機械的係止装置は、前記第1縁部における第1接触表面と、前記第2縁部における第2接触表面とを備え得る。前記第1接触表面及び前記第2接触表面は、前記第1及び前記第2パネルの係止状態において、外側角部に且つ前記接合平面に存在し得る。前記第1及び前記第2接触表面は、協働するように構成され得る。
【0012】
前記機械的係止装置は、前記接合平面において、前記第1及び前記第2接触表面から前記縁部溝の開口に向かって延在する第2スペースを備え得る。
【0013】
前記第1及び前記第2接触表面は、第1幅に亘って、前記第1及び前記第2パネルの内側角部から前記外側角部に向かう方向において協働するように構成され得る。前記第1幅は、前記第1及び/又は第2縁部表面の縁部幅の約5%乃至約40%、約5%乃至約30%、又は約5%乃至約20%の範囲にあり得る。
【0014】
第1縁部表面及び/又は第2縁部表面は、前記第1接触表面及び前記第2接触表面それぞれから、前記縁部
舌部及び前記縁部溝それぞれに向かって延在する凹部を備え得る。
【0015】
前記機械的係止装置は、前記第1縁部における第3接触表面と、前記第2縁部における第4接触表面とを備え得る。前記第3及び前記第4接触表面は、前記第1及び前記第2パネルの係止状態において、内側角部に存在し得る。前記第3及び前記第4接触表面は、前記接合平面に存在し得るとともに、好適には協働するように構成される。
【0016】
前記第3及び前記第4接触領域は、第2幅に亘って、前記第1及び前記第2パネルの内側角部から前記外側角部に向かう方向において協働し得る。前記第2幅は、前記第1及び/又は第2縁部表面の縁部幅の約2%乃至約20%、約2%乃至約10%、約2%乃至約5%の範囲にあり得る。
【0017】
前記第1パネルは、内側半体と外側半体とを、前記第1パネルの厚さの方向において備え得る。好適には、前記縁部
舌部全体は、前記第1パネルの前記内側半体に存在する。
【0018】
前記挿入溝は、前記第2主平面に対して平行であり得る、又は前記第2主平面に対して鋭角をなし得る。これにより、前記挿入溝の底部が、前記第2パネルの内側面から、前記前記挿入溝の前記端部溝に対する開口よりも大きい距離を置く。
【0019】
前記挿入溝は、前記縁部溝の本質的に全長に沿って延在し得る。
【0020】
前記縁部溝は、前記第2縁部の本質的に全長に沿って延在し得る。
【0021】
前記可撓性
舌部は、前記挿入溝内で変位可能であり得る。
【0022】
前記第1及び前記第2パネルのコア材料は、HDF、MDF、ベニヤ板、中実ウッド又はパーチクル・ボード、又は強化プラスチックボード又は木質繊維複合ボード等の木質繊維をベースとしたボードから構成され得る。コアは、装飾層を有し得る。
【0023】
前記係止装置は、前記
舌部溝の開口において、傾斜又は丸みを備え得る。これにより、分解が容易化される。なぜならば、傾斜又は丸みによって、前記可撓性
舌部が分解中に動きが取れなくなることが防止され得るからである。
【0024】
好適には、前記係止装置は、ツールが前記
舌部溝に挿入されると、前記可撓性
舌部が前記
舌部溝から脱出して前記挿入溝内にバネの力で戻るように構成される。
【0025】
好適には、前記第1パネル及び前記第2パネルは、前記第1パネルが前記第2パネルに対して垂直な状態において、前記第1パネルを前記第2パネルに対して前記第2方向において変位させることにより組み立てられるように構成される。前記縁部
舌部が前記縁部溝に挿入されつつ、前記可撓性
舌部が前記挿入溝に押し込まれ、そして前記
舌部溝内にバネの力で入ることで係止状態が得られる。
【0026】
可撓性
舌部は、WO2015/105449号の
図2A‐2F又は
図3A‐3B、及び詳細な説明の6頁15行乃至7頁15行に記載及び図示の可撓性
舌部であり得る。本文献は、参照により本明細書に明確に組み込まれるものとされる。
【0027】
前記一組のパネルは、家具パネルであり得る。
【0028】
本発明の第2態様は、上述の一組のパネルを備えるフレームの角部を備える組立家具製品を含む。
【0029】
本発明の実施形態が、例示的に、添付の概略図を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】係止状態にある第1パネルと第2パネルとを備える本発明の実施形態を示す図。
【
図2】可撓性
舌部を除いた
図1の丸で囲んだ領域の拡大図。
【
図3A】第1縁部と第2縁部とを備える本発明の実施形態を示す図。
【
図3B】第1縁部と第2縁部とを備える本発明の実施形態を示す図。
【
図4A】可撓性
舌部の実施形態を備える本発明の部分図。
【
図4B】可撓性
舌部の実施形態を備える本発明の部分図。
【
図4C】可撓性
舌部の実施形態を備える本発明の部分図。
【
図4D】可撓性
舌部の実施形態を備える本発明の部分図。
【
図4E】可撓性
舌部の実施形態を備える本発明の部分図。
【
図4F】可撓性
舌部の実施形態を備える本発明の部分図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び
図2は、第1主平面を有する第1パネル2と、第2主平面を有する第2パネル4とを備える一組のパネルを含む実施形態を示す。第1及び第2パネルは、第1パネル2の第1縁部を第2パネル4の第2縁部に対して接合平面Jにおいて係止するための機械的係止装置を有する。第1主平面は、第2主平面に対して本質的に垂直であり、且つ、接合平面は、第1主平面と第2主平面との間において延在している。パネルは係止状態において横断図で示されている。第1及び第2縁部の長手方向が、示された図面に対して垂直に延在する。第1縁部は、接合平面Jから延在する縁部
舌部22を備える。第2縁部は、接合平面において縁部溝21を備える。第1及び第2縁部を第1主平面に対して垂直である第1方向Dにおいて一体に係止するように、縁部
舌部は縁部溝と協働するように構成される。縁部
舌部22は、
舌部溝10を備える。縁部溝21は、挿入溝20に配設される可撓性
舌部30を備える。第1及び第2縁部を第2主平面に対して垂直である第2方向において一体に係止するように、この可撓性
舌部は
舌部溝10と協働するように構成される。機械的係止装置は、第1及び第2縁部の係止状態において、縁部
舌部22と縁部溝21との間に、縁部溝21の開口において且つ接合平面において第1スペース46を備える。第1スペース46は、縁部溝の開口における第2縁部の一部分の荷重が回避されるという利点を有し得る。第2縁部のこの部分は、脆弱な部分であり得る。なぜならば、荷重を吸収するように利用できる材料が殆どないからである。
図2は、可撓性
舌部を除いた
図1の丸で囲んだ領域の拡大図である。接合平面と第1主平面との間の角度74は、約30°乃至約60°の範囲にあり得る、例えば約45°であり得る。好適には、縁部
舌部22は、接合平面から、本質的に第2方向において延在する。
【0032】
第1パネル2は第1厚さ65を有し、第2パネル4は第2厚さ64を有する。第1及び第2厚さは、本質的に同一であり得る。第1パネル2は、第1パネルの中央平面68の第1側における内側半体66と、第1パネルの中央平面68の第2側における外側半体67とを、第1パネルの厚さ方向において備える。好適には、縁部
舌部22全体は、第1パネルの内側半体に存在する。これにより、第1及び第2パネルの係止状態において、縁部溝21と外側角部との間により多くの材料が得られ、機械的係止装置の強度が向上され得るという効果が提供され得る。これにより
、第1パネルは、内側面60と外側面61とを備える。第2パネルは、内側面62と外側面63とを備える。
【0033】
図2は、縁部
舌部22の第1側が、接合平面Jにおいて又はその付近において、第1係止表面41を備え得る、且つ、縁部溝21は、接合平面Jにおいて又はその付近において、第2係止表面40を備え得ることを示す。第1係止表面及び第2係止表面は本質的に平行であるとともに、第1方向における係止のために協働するように構成される。好適には、第1係止表面及び第2係止表面は、本質的に第2方向において延在している。縁部
舌部22は、第1側に対して反対の第2側において第3係止表面43を備え得る、且つ縁部溝21は、第4係止表面42を備え得る。第3係止表面及び第4係止表面は本質的に平行であるとともに、第1方向における係止のために、接合平面から距離を置いて協働するように構成される。好適には、第3係止表面及び第4係止表面は、本質的に第2方向において延在している。第1、第2、第3及び第4係止表面の全ては、互いに平行であり得る。これらの平行な第1、第2、第3及び第4係止表面は、パネルの組立が容易である点、及び、例えばこの一組のパネルを備える家具がより高い安定性を有するという点で有利であり得る。好適には、第4係止表面42は、第2係止表面40より中央平面68に近接している。
【0034】
第3係止表面43及び第4係止表面42は、負荷を吸収するように、第1距離47に亘って第2方向において延在する領域において協働し得る。好適には、第3係止表面43及び第4係止表面42は、接合平面から第2距離48だけ変位している(離れている)。これにより、第1方向D1において第4係止表面42と接合平面との間により多くの材料が得られ、機械的係止装置の強度が向上され得るという効果が提供され得る。第1距離47は、第2距離48の約20%乃至約200%の範囲にあり得る、又は第2距離48の約50%乃至約150%の範囲にあり得る。
図2に示す実施形態において、第1距離47は、第2距離48と本質的に同一である。
【0035】
第1縁部は、縁部溝21の開口において傾斜又は丸みを備え得る。これにより、第3係止表面43及び第4係止表面42は、接合平面から第2距離48だけ変位する。
【0036】
図3Aは、縁部溝21の開口において第1傾斜/丸み57を備える実施形態を示す。これにより、縁部
舌部22を縁部溝21内に挿入することが容易化され得る。本実施形態は、縁部溝21の開口において第2傾斜/丸み56を備え、これにより、更に第2距離48が更に増大され得る。
【0037】
接合平面から距離を置いた縁部
舌部22の第1側は、第5係止表面45を備え得る、且つ、縁部溝21は、接合平面から距離を置いた第6係止表面44を備え得る。第5係止表面及び第6係止表面は本質的に平行であるとともに、好適には第1方向における係止のために協働するように構成される。好適には、第5係止表面及び第6係止表面は、本質的に第2方向において延在している。
図2に示す実施形態において、挿入溝20は、第6係止表面44と第2係止表面40との間に配置される。
舌部溝10は、第5係止表面45と第1係止表面41との間に配置され得る。
【0038】
図3A及び3Bは、第1及び第2パネルの組立前の機械的係止装置であって、第1縁部における第1接触表面51と、第2縁部における第2接触表面52とを備える機械的係止装置の実施例を示す。前記第1及び第2接触表面は、第1及び第2パネルの組立及び係止状態において、外側角部に且つ接合平面に存在するとともに、協働するように構成される。
図2を参照すると、第2スペース49が、接合平面において、第1及び第2接触表面51、52から縁部溝の開口に向かって延在し得る。第2スペース49は、第1縁部に沿って、第2縁部に沿って、又は第1縁部及び第2縁部の両方に沿って、長手方向に延在し得る。第1及び第2接触表面51、52は、第1幅71に亘って、第1及び第2パネルの内側角部から外側角部に向かう方向において協働し得る。前記第1幅は、第1及び第2縁部の第1及び/又は第2縁部表面それぞれの縁部幅58の約5%乃至約40%、約5%乃至約30%、又は約5%乃至約20%の範囲にある。これにより、第1縁部表面と第2縁部表面との密着性が、より狭い接触領域に対する増大した圧力によって、改良され得る。機械的係止装置の機械的切断から第1縁部表面又は第2縁部表面に残るばらばらの繊維等の凹凸が圧縮され、こうして第1及び第2パネル同士の堅固な接合が得られる。
【0039】
第1縁部の第1縁部表面は、
図3Bにおいて点線で示す、第1接触表面51から縁部
舌部22に向かって延在する凹部55を備え得る。
図3Aを参照すると、第2縁部の第2縁部表面は、深さ76及び幅59を有する凹部50であって、第2接触表面52から縁部溝21に向かって延在する凹部50を備え得る。第2縁部表面の凹部50の深さ76は、約0,1mm乃至約1mmの範囲、好適には約0,2mm乃至約0,5mmの範囲にあり得る。第1縁部表面の凹部55は、第1縁部表面の凹部50と本質的に同一の深さ及び/又は本質的に同一の長さを有し得る。凹部の深さは、パネルのコアの材料に合わせて調節され得る。例えばパーチクル・ボードからなるコアの機械的切断によって、例えばHDFからなるコアの機械的切断に比較して、繊維が飛び出したより粗い表面が生じ得る。より粗い表面には、第1縁部表面及び/又は第2縁部表面の凹部のより大きい深さ76が必要とされ得る。
【0040】
機械的係止装置は、第1縁部における第3接触表面53と、第2縁部における第4接触表面54とを備え得る。第1及び第4接触表面は、第1及び第2パネルの係止状態において、内側角部に且つ接合平面に存在するとともに、協働するように構成される。第3及び第4接触表面は、第2幅72に亘って、第1及び第2パネルの内側角部から外側角部に向かう方向において協働する。第2幅72は、第1及び/又は第2縁部表面の縁部幅58の約2%乃至約20%、約2%乃至約10%、又は約2%乃至約5%の範囲にあり得る。
【0041】
好適には、第1パネル2及び第2パネル4は、第1パネルが第2パネルに対して垂直な状態において、第1パネル2を第2パネル4に対して第2方向において変位させることにより組み立てられるように構成される。縁部
舌部22が縁部溝21に挿入されつつ、可撓性
舌部30が挿入溝に押し込まれ、そして
舌部溝10内にバネの力で入ることで係止状態が得られる。一組のパネルは、家具パネルであり得る。
【0042】
挿入溝20は、縁部溝の本質的に全長に沿って延在し得る。
【0043】
縁部溝21は、第2縁部の本質的に全長に沿って、第2縁部の長手方向において延在し得る。
【0044】
可撓性
舌部30は、挿入溝内で変位可能であり得る。
【0045】
好適には、係止装置は、ツールが
舌部溝に挿入されると、可撓性
舌部30が
舌部溝10から脱出して挿入溝内にバネの力で戻るように構成される。
【0046】
挿入溝20は、第2主平面に対して平行であり得る、又は第2主平面に対して鋭角75において存在し得る。これにより、挿入溝20の底部が、第2パネルの内側面62から、挿入溝の内側面62に対する開口よりも大きい距離を置く。
【0047】
係止装置は、
舌部溝10の開口において、傾斜又は丸みを備え得る。これにより、分解が容易化される。なぜならば、傾斜又は丸みによって、可撓性
舌部が分解中に動きが取れなくなることが防止され得るからである。
【0048】
上述の一組のパネルは、例えばフレームの角部等の、組立家具製品の一部であり得る。
舌部溝10は、家具の後方に開放し得る。これにより、可撓性
舌部30を挿入溝20に押し戻して係止装置を解除するように、ツールが
舌部溝に挿入され得る。
【0049】
前記第1及び前記第2パネルのコア材料は、HDF、MDF、ベニヤ板、中実ウッド又はパーチクル・ボード、又は強化プラスチックボード又は木質繊維複合ボード等の木質繊維をベースとしたボードから構成され得る。コアは、単数又は複数の装飾層を有し得る。好適には、係止装置の部品は、第1及び第2パネルの材料のフライス加工等の機械的切断によって形成され得る。
【0050】
挿入溝20内で変位可能な可撓性
舌部30の実施例を、
図4A‐4Dに示す。
図4A‐4Bは、係止状態の可撓性
舌部30を示す。
図4C‐4Dは、第1パネル2と第2パネル4との組立中の可撓性
舌部30を示す。
図4Bは、
図4Aにおける可撓性
舌部30の断面図である。
図4Dは、
図4Cにおける可撓性
舌部30の断面図である。可撓性
舌部30は、屈曲可能な突出部24を備える。スペース23が、可撓性
舌部30と挿入溝20の底壁との間に設けられる。
図4Cは、第1パネル2と第2パネル4との組立中に、可撓性
舌部30が挿入溝20に押し込まれて挿入溝20の底部に向かっている状態を示す。第1パネル2及び第2パネル4が係止状態に達すると、可撓性
舌部30は初期位置にバネの力で戻る。好適には、凹部25が各屈曲可能な突出部に配設される。
【0051】
可撓性
舌部30は、挿入溝20の第3変位表面28及び第4変位係止表面29に沿って変位するようにそれぞれ構成される第1変位面26と、反対側の第2変位表面27とを有し得る。
【0052】
屈曲可能な突出部24を有さない可撓性
舌部30の代替実施形態を
図4E‐4Fに示す。
図4Fは、
図4Eにおける可撓性
舌部30の断面図である。
図4A‐4Dに示す実施形態と同様の機能を発揮するように、代替実施形態は、その長手方向において屈曲可能である。