(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定間隔で区画された印字シートの連続体が巻回されたロール紙に印字するサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに対向して設けられて前記サーマルヘッドとの間で印字シートを挟持するとともに前記印字シートを搬送するプラテンローラと、前記印字シートの搬送方向において前記プラテンローラよりも上流側に設けられており前記印字シート同士の境界を検出するための検出マークを検出する検出部とを備えるプリンタの制御方法であって、
前記検出部において前記検出マークが検出された場合に、前記印字シートを搬送するとともに前記印字シートへの印字を行い、前記印字の完了後に、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとが前記印字シートを挟持している挟持位置に前記印字シート同士の境界よりも搬送方向上流側が位置するように停止させ、前記検出部において前記検出マークが検出されない場合に、前記ロール紙における最終印字シートの終端を検出したと判定し、前記最終印字シートを搬送するとともに前記最終印字シートへの印字を行い、前記印字の完了後に、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとが前記印字シートを挟持している前記挟持位置に前記最終印字シートの終端の搬送方向下流側が位置するように停止させる、
プリンタの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[プリンタ]
<プリンタの全体構成>
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ1について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の外観斜視図である。
図2は、プリンタ1の開閉カバー5を開放状態とした斜視図を、ロール紙RPとともに示す図である。
図3は、本実施形態のプリンタ1の筐体の概略構成を示す分解斜視図である。
図4は、本実施形態のプリンタ1の通紙ルートを説明するための図である。
【0013】
本実施形態に係るプリンタ1は、所定間隔で区画された印字シートPSの連続体CPが巻回されたロール紙RPの印字面に印字するためのプリンタである。プリンタ1は、印字シートPSに印字するサーマルヘッド15と、サーマルヘッド15に対向して設けられてサーマルヘッド15との間で印字シートPSを挟持するとともに印字シートPSを搬送方向に搬送するプラテンローラ14と、印字シートPSの搬送方向においてプラテンローラ14よりも上流側に設けられており印字シートPSを検出する検出部としてのセンサ13と、センサ13においてロール紙RPにおける最終の印字シートPSの終端SEが検出された場合に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに最終の印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側が位置するように停止させる制御部MCと、を備える。
【0014】
プリンタ1は、
図3に示すように、フロントカバー2及び本体ケース3がネジ(図示せず)によって相互に固定されている。プリンタ1において、フロントカバー2と本体ケース3との間には、機能ユニットFUが搭載されたフレーム4が挟み込まれている。機能ユニットFUは、フロントカバー2と本体ケース3とによって保護されている。また、フレーム4は、図示しないネジによって、本体ケース3に固定されている。
【0015】
図1〜
図3に示すように、プリンタ1におけるフロントカバー2は、開放用押しボタン11と、表示部19と、操作ボタン20a,20bを含む操作ボタン群20と、電源スイッチ21とを備える。また、フロントカバー2には、後述するロール紙RPを収容する収容室SPを開放又は閉鎖させる開閉カバー5が取り付けられている。
【0016】
開放用押しボタン11は、開閉カバー5を開くためのボタンである。表示部19は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)である。操作ボタン20a,20bは、オペレータがプリンタ1の動作を指示するためのボタンである。電源スイッチ21は、プリンタ1の電源をオン又はオフするためのボタンである。
【0017】
図1及び
図3に示すように、本体ケース3は、フロントカバー2と連結され、フロントカバー2とともにプリンタハウジングを形成する。
図3に示すように、本体ケース3には、プリンタ1の機能ユニットFUが設置されたフレーム4がネジ(図示せず)で締結されている。
【0018】
図1〜
図3に示すように、本体ケース3には、バッテリカバー12が開閉可能な状態で取り付けられている。また、バッテリカバー12は、電源であるバッテリ(図示せず)を収容するフレーム4のバッテリハウジング42(
図3参照)の開閉カバーである。
【0019】
また、フレーム4には、収容室SPの底面43が形成されている。収容室SPの底面43は、開閉カバー5が閉鎖状態のときに開閉カバー5に対向し、開閉カバー5に向かって凹形状となるように弓状に湾曲している。収容室SPの底面43には、軽量化のために、開口43aが形成されている。
【0020】
印字シートPSの連続体CPの印字面の裏面には、特定の間隔で印字基準位置を示す検出マークM、M’が設けられている。印字シートPSの連続体CPの印字面には、予め決められた温度領域に達すると特定の色に発色する感熱発色層が形成されている。印字シートPSの連続体CPの詳細は後述する。
【0021】
図2及び
図3に示すように、フレーム4は、ロール紙RPの収容室SPの一部を形成する。また、フレーム4には、収容室SP内においてロール紙RPの側部(つまり、幅方向の両端面)を両側から支持する一対のロール紙ガイド部6,6’が取り付けられている。ロール紙ガイド部6,6’は、ロール紙RPを回動自在にしつつロール紙RPの両側面をガイドする。
【0022】
図2に示すように、プリンタ1に使用されるロール紙RPは、プリンタ1の開閉カバー5が開放状態において、収容室SP内に装填されて、ロール紙ガイド部6,6’の中心軸によって支持される。
【0023】
図3に示すように、機能ユニットFUは、サーマルヘッド15、ギア群16、ステッピングモータ17、及び、回路基板18を含む。
【0024】
サーマルヘッド15は、プラテンローラ14によって搬送される印字シートPSの連続体CPの印字面の感熱発色層に熱を加えて印刷する発熱素子を有している。サーマルヘッド15は、開閉カバー5が閉鎖状態において、プラテンローラ14に対向して設けられる。
【0025】
プラテンローラ14は、印字シートPSを発行口に向かって搬送する。また、プラテンローラ14は、回転軸を中心にして正逆双方向に回転自在の状態で装着されている。プラテンローラ14は、サーマルヘッド15の印字部に所定圧で押し付けられた状態で設置されている。
【0026】
プラテンローラ14の表面には、硬質ゴム等のような弾性材料が被覆されている。また、プラテンローラ14は、図示しないギアを介して、後述のモータTに係合されている。
【0027】
回路基板18には、印刷動作を制御するコントローラ、印字シートPSの連続体CPの搬送のためにステッピングモータ17を駆動するための電子回路、サーマルヘッド15の発熱素子を駆動するための電子回路等が実装されている。
【0028】
開閉カバー5は、収容室SPを開閉するための開閉カバーであり、ヒンジ等によって開閉軸51に軸支されている。開閉カバー5は、開閉軸51に沿って配置されたトーションバネ52,52’(
図4参照)により開放状態になるように付勢されている。
【0029】
図2に示すように、開閉カバー5には、開閉軸51とは反対側の端部近傍に、開閉軸51と平行な軸に沿ってプラテンローラ14が備えられている。プラテンローラ14は、ロール紙RPから繰り出される印字シートPSの連続体CPを搬送する。
【0030】
開閉カバー5の両端には側片54,54’が設けられている。開閉カバー5を閉鎖状態とすることで連結用空間53,53’(
図2参照)を閉鎖可能とする。連結用空間53,53’は、開閉カバー5が閉鎖状態のときに、プラテンローラ14のプラテンローラギア141をギア群16(
図3参照)に係合させるための空間である。プラテンローラギア141がギア群16に係合することで、プラテンローラ14が動作可能となり、連続体CPの印字面に印字することが可能な構成となっている。
【0031】
図2及び
図4に示すように、開閉カバー5には、開閉カバー5を閉鎖状態としたときに通紙ルートに対向する面に、センサ13が設置されている。
【0032】
センサ13は、印字シートPSの連続体CPに設けられた印字基準位置(すなわち、検出マークM、M’)を検出するためのセンサであり、反射型光センサにより構成されている。
【0033】
反射型光センサは、不図示の発光部と受光部を備えており、発光部は、印字シートPSの連続体CPの印字面の裏面に向けて光を出射し、受光部は、印字面の裏面から反射された光(反射光)を受光する。
【0034】
受光部は、反射光をその光強度(単位時間当たりの受光量)に応じた電気信号に光電変換し、回路基板18内の制御部MC(後述する)へ出力する。黒色の検出マークからの反射光と、検出マーク以外の面(例えば白色の面)からの反射光とでは、反射光のレベル、すなわち、制御部MCへ出力される信号レベルが異なるため、印字シートPSの送り中に黒色が検出されている期間に応じて、検出マークMの有無或いは印字シートPSの終端SEを判定することができる。
【0035】
なお、発光部として、LED(Light Emitting Diode)を使用できる。また、受光部として、フォトダイオード又はフォトトランジスタを使用できる。
【0036】
制御部MCによる検出マークMの有無或いは印字シートPSの終端SEの判定については後述する。
【0037】
回路基板18内の制御部MCは、反射型センサ又は透過型センサから出力される信号レベルに基づいて、印字シート送りのタイミングと残りの印字データの印字の制御を行う。
【0038】
図2に示すように、開閉カバー5のカバー内面55は、プラテンローラ14の軸に沿った湾曲面55a及びガイド面55bを含む。上述したセンサ13は、カバー内面55のガイド面55bに取り付けられている。また、フレーム4には、搬送ガイド部22が固定されている。搬送ガイド部22には、壁面22aとガイド面22bとが形成されている。
【0039】
図4は、ロール紙RPが収容され、かつ開閉カバー5が閉鎖状態のときのプリンタ1の概略の側断面の一部を示している。
図4には、プリンタ1の側面視にて印字シートPSの連続体CPが巻回されてなるロール紙RPがプリンタ1の収容室SPに挿入された場合の通紙ルートが太線で示されている。
【0040】
図4に示すように、開閉カバー5が閉鎖状態であるときには、開閉カバー5の湾曲面55aと、搬送ガイド部22の壁面22aとが収容室SPの内壁の一部を構成するとともに、開閉カバー5のガイド面55bと、搬送ガイド部22のガイド面22bとが僅かな間隙をもって対向配置されている。この間隙は、ロール紙RPから繰り出される印字シートPSの連続体CPが収容室SPからプラテンローラ14へ向かう通紙ルートとなっている。
【0041】
なお、通紙ルートにおいて当該間隙では、開閉カバー5のガイド面55bにセンサ13が設置されており、当該間隙を通過する印字シートPSの連続体CPの検出マークM、M’を検出する。
【0042】
図4は、プリンタ1の側面視にて連続体CPが巻回されたロール紙RPがプリンタ1の収容室SPに挿入された様子が示されている。
図4に示す状態において、ロール紙RPから繰り出される連続体CPの先端部は、搬送ガイド部22の壁面22aと、ガイド面22b及びガイド面55bの間隙とに沿ってプラテンローラ14へ向かう。
【0043】
ここで、ガイド面22b及びガイド面55bには、壁面22aを基準にして、ロール紙RPの巻き方向とは逆側の角度が付けられている。このため、印字シートPSの連続体CPの巻癖が、プラテンローラ14へ向かう間に矯正される。
【0044】
本実施形態のプリンタ1では、ロール紙RPから繰り出される印字シートPSの連続体CPが
図4に示す通紙ルートによってプラテンローラ14へ搬送され、プラテンローラ14とサーマルヘッド15の間で挟持されて印字が行われる。そして、印字シートPSの連続体CPは、プラテンローラ14の回動によって発行口に送り出される。
【0045】
このとき、印字シートPSへの印字は、センサ13によって検出される検出マークM、M’に基づいて行われる。
【0046】
<プリンタの回路構成>
次に、本実施形態のプリンタ1の回路構成について説明する。
図5は、プリンタ1の要部の回路構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施形態に係るプリンタ1は、プラテンローラ14を駆動するためのモータTと、印字シートPSに規定された印字領域に、文字、記号、図形、バーコード、二次元コード等の情報を熱により印字するサーマルヘッド15とを備える。
【0048】
モータTは、ステッピングモータにより構成されており、制御部MCに電気的に接続されている。制御部MCは、プリンタ1に入力された印字データ等に応じてモータTの回転動作(回転方向やステップ数等)を制御する。
【0049】
また、プリンタ1は、センサ13を備える。センサ13は、上述したように印字シートの検出マークM、M’又は印字シートの終端SEを検出する。センサ13は、制御部MCに電気的に接続されており、検出信号を制御部MCに送信する。
【0050】
入力部25は作業者からの指示又は印字データを受け付けるための操作部分である。入力部25は、データ入力キー、方向指示キー、キャンセルキー、及び、実行キー等の複数の操作キーにより形成されている。
【0051】
表示部26は、入力部25等で入力した情報や処理モードを表示する他、各種のメッセージ等を表示する部分であり、入力部25の近傍に設置されている。この表示部26は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により形成されている。
【0052】
無線通信部RCは、赤外線や電波等の無線通信によりプリンタ1の外部からプリンタ1に送られた印字データ(命令や印字情報等)を受信する非接触の入力部であり、制御部MCに電気的に接続されている。
【0053】
制御部MCは、プリンタ1の全体の動作を制御する部分であり、CPU(Centoral Processing Unite)30と、ROM(Read Only Memory)31と、RAM(Random Access Memory)32とを備える。
【0054】
また、制御部MCは、搬送制御回路33と、印字制御回路34と、検出回路35と、インタフェース36と、表示制御回路37と、通信インタフェース38と、EEPROM(Electinically Erasable Programmable ROM)39とを備える。これらは、バスライン40により、相互に電気的に接続されている。
【0055】
CPU30は、インタフェース36及び表示制御回路37を通じて、入力部25及び表示部26に電気的に接続されている。また、CPU30は、通信インタフェース38を通じて外部の通信端末と無線で通信可能とされている。
【0056】
EEPROM39には、プリンタ1の動作を制御するためのソフトウェア(以下「ファームウェア」という)のプログラムや、プリンタ1の動作を制御するときにファームウェアによって参照される制御データが格納されている。
【0057】
RAM32には、入力部25又は通信インタフェース38を介して受け付けられた印字データが格納される。
【0058】
CPU30は、EEPROM39に格納されたプログラムを実行することによってファームウェアの機能を実現する。ファームウェアは、EEPROM39に格納された制御データを参照して、搬送制御回路33や印字制御回路34等のプリンタ1の各部の動作を制御する。
【0059】
搬送制御回路33は、モータTにパルス信号を送信し、プラテンローラ14による印字シートPSの搬送動作を制御する。
【0060】
印字制御回路34は、CPU30から送信される印字データに対応する制御信号を生成してサーマルヘッド15に送信し、印字動作を制御する。
【0061】
検出回路35は、CPU30の制御下において、センサ13の発光部を制御し、印字シートPSの連続体CPに向かって光を照射するとともに、センサ13の受光部から出力される電気信号(検出信号)を受け取り、デジタルデータに変換してCPU30に送信する。
【0062】
制御部MCを構成する各部は、バスライン40を通じてCPU30に電気的に接続されており、CPU30の管理下において、インタフェース36又は通信インタフェース38から受信した印字データに従って、サーマルヘッド15により印字シートPSに印字する動作を実行する
【0063】
また、本実施形態におけるプリンタ1の制御部MCは、センサ13の検出結果に基づく印字シートの送り処理を実行する。
【0064】
すなわち、制御部MCは、センサ13においてロール紙RPにおける最終の印字シートPSの終端SEが検出された場合に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに最終の印字シートPSの終端側が位置するように停止させる。
【0065】
ここで、終端側とは、印字シートPSにおいて印字可能領域PEよりも外側であって、終端SEよりも内側の領域である。また、終端側には、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側の領域が含まれる。
【0066】
本実施形態においては、特に、制御部MCは、センサ13においてロール紙RPにおける最終の印字シートPSの終端SEが検出された場合に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに終端SEの搬送方向下流側が位置するように停止させる。
【0067】
また、制御部MCは、センサ13において最終の印字シートPSの終端SEが検出された場合に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに終端SEの搬送方向下流側が位置するように搬送させて、停止させる前に、印字シートPSへの印字を停止する。
【0068】
また、印字シートPSの所定位置に印字シートPS同士の境界SBを検出するための検出マークMが設けられている場合には、制御部MCは、センサ13が検出マークMを検出した場合に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側が位置するように搬送させて、停止させる。
【0069】
さらに、制御部MCは、センサ13において検出マークMが検出された場合に、挟持位置が境界SBの搬送方向上流側で停止するときの印字シートPSの印字可能領域PEに残りの印字データが印字可能か判定し、印字不可能な場合には、印字シートPSへの印字を停止させる。
【0070】
制御部MCによる印字シートPSの送り処理の詳細については、後述する。
【0071】
<印字シート及びロール紙>
本実施形態においては、ロール紙RPは、印字シートPSの連続体CPが巻回されたものである。
図6は、本実施形態に係るプリンタ1において用いられる印字シートの連続体CPを平面に展開し、印字が行われる印字面の反対側からみた平面図である。
【0072】
本実施形態においては、ロール紙RPは芯材がないタイプである。連続体CPは印字シートPS毎に分離可能とされており、印字シートPSの境界SBにはミシン目が形成されていてもよい。これにより、印字後の印字シートPSをロール紙RPから容易に切り離すことができる。
【0073】
印字シートPSには、印字が行われる印字面の反対側に、印字位置を確認するための検出マークM、M’が形成されている。本実施形態において、検出マークM、M’は、連続体CPの印字面の裏面に黒色で印刷された矩形状のマークである。検出マークM,M’は、連続体CPにおける印字シートPS間の境界SBであるか、印字シートPSの終端SEであるかを判定するために用いられる。
【0074】
印字シートPSには、複数の検出マークが設けられていてもよい。複数の検出マークを設ける場合の一例として、
図6に示す連続体CPには、印字シートPSに特定の印字データの印字位置を指定するための指定マークN,N'が示されている。
【0075】
指定マークN,N’に対応して印字シートPSに印字する指定印字データを決めておくことにより、プリンタ1は、指定マークN,N’を検出した際に、指定された印字データを印字開始することができる。
【0076】
[プリンタの制御方法]
次に、プリンタ1の制御部MCによるシート送り処理について説明する。
【0077】
本発明の実施形態に係るプリンタ1の制御方法は、所定間隔で区画された印字シートPSの連続体CPが巻回されたロール紙RPに印字するサーマルヘッド15と、サーマルヘッド15に対向して設けられてサーマルヘッド15との間で印字シートPSを挟持するとともに印字シートPSを搬送するプラテンローラ14と、印字シートPSの搬送方向においてプラテンローラ14よりも上流側に設けられており印字シートPSを検出するセンサ13とを備えるプリンタ1の制御方法であって、ロール紙RPにおける最終の印字シートPSの終端SEが検出された場合に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに終端SEの搬送方向下流側が位置するように停止させるというものである。
【0078】
また、本発明の実施形態に係るプリンタ1の制御方法は、印字シートPSの所定位置に印字シートPS同士の境界SBを検出するための検出マークMが設けられている場合に、検出マークMが検出されると、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側が位置するように停止させるというものである。
【0079】
<シート送りモード>
本実施形態においては、下記2つのシート送りモードが設定されている。すなわち、印字シートPSを、連続体CPから切り離す場合に実行される通常シート送りモードと、印字シートPSが最終シートの場合に実行される最終シート送りモードとがある。
【0080】
シート送りモードを説明する前に、プリンタ1が、印字シートの終端SEを検出する方法、及び連続体CPの途中を検出する方法について説明する。
【0081】
図7は、本実施形態に係るプリンタ1において印字シートPSの終端SEを検出する方法を説明する概略図である。
図7における実線及び破線は、センサ13において検出される検出光のレベルを表す。
【0082】
制御部MCは、センサ13において検出される検出光のレベルがLowからHighに変わり、Highが維持された期間に応じて、検出マークM、M’か、印字シートPSの終端SEかを判定する。
図7において、実線は、印字シートPSの終端SEを検出した場合のレベル変化を表し、破線は、検出マークM,M'を検出した場合のレベル変化を表す。
【0083】
印字シートPSの終端SEが検出された場合には、
図9において、最終の印字シートPSが距離D11搬送される期間である。印字シートPSの終端SEの検出には、検出マークM、M’より長く、検出マークM、M’と明らかに区別可能な期間を基準として設定することができる。
【0084】
続いて、
図8は、本実施形態に係るプリンタ1において、通常シート送りモードと最終シート送りモードのそれぞれのモードによってシート送りが停止された状態を説明する模式図である。
図8において、白抜き矢印の向きは、印字シートPS(連続体CP)の搬送方向を示す。
【0085】
本実施形態において、通常シート送りモードとは、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持する挟持位置NAが、印字シートPS同士の境界SBの搬送方向上流側に位置するように連続体CPを停止させるモードである。
図8において、通常シート送りモードにおける停止状態は、上段に示されている。
【0086】
また、本実施形態において、最終シート送りモードとは、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持する挟持位置NAが、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側に位置するように印字シートPSを停止させるモードである。
図8において、最終シート送りモードにおける停止状態は、下段に示されている。
【0087】
はじめに、通常シート送りモードについて説明する。
【0088】
図9は、本実施形態に係るプリンタ1における通常シート送りモードを説明する模式図である。
図9には、ロール紙RPとして供給された印字シートの連続体の中途部分が表されている。
図9は、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAと、センサ13と、印字シートPSの位置関係を平面に展開して表したものである。
【0089】
図9において、白抜き矢印の向きは、印字シートPS(連続体CP)の搬送方向を示す。なお、
図9においては、一対設けられる検出マークM,M'のうち一方を示している。
【0090】
図9の上段には、センサ13によって、検出マークMの終端部MEが検出されたときの印字シートPSの位置が示されており、印字シートPSの境界SBよりも搬送方向上流側に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とによって挟持される挟持位置NAが二点鎖線によって表されている。この二点鎖線で表される領域を、通常シート保持位置SAという。
【0091】
図9の下段には、上段の状態から、通常シート保持位置SAが挟持位置NAに位置するように印字シートPSが送られた状態が示されている。
【0092】
図9において、プラテンローラ14とサーマルヘッド15とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAと、センサ13との距離をD1と表す。印字シートPSの境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAを挟持位置NAで停止するためには、印字シートPSの検出マークMの終端部MEが検出された時点から、印字シートPSを距離D2進める制御が行われる。
【0093】
図9における一点鎖線の領域は、印字シートPSの検出マークM、M’が検出された時点で印字が完了していない残りの印字データを全て印字し終えたときの仮想印字領域VEを示す。D3は、印字シートの検出マークM、M’が検出された時点で印字が完了していない残りの印字データを全て印字するまでに印字シートPSが送られる距離を示す。
【0094】
また、印字シートPSに記された破線領域は、印字シートPSに印字可能な印字可能領域PEを示す。
【0095】
制御部MCは、残りの印字データが印字可能領域PEに印字可能か判定している。すなわち、仮想印字領域VEが印字可能領域PEよりも広いか否か判定している。制御部MCは、仮想印字領域VEが印字可能領域PEよりも広い場合に、印字できないと判定し、印字シートへの印字を停止させる。
【0096】
次に、最終シート送りモードについて説明する。
【0097】
図10は、本実施形態に係るプリンタ1における最終シート送りモードを説明する模式図である。
図10には、ロール紙RPとして供給された連続体CPの最後の1枚(最終の印字シートPS)の終端SEが表されている。
図10は、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAと、センサ13と、印字シートPSの位置関係を平面に展開して表したものである。
【0098】
図10において、白抜き矢印の向きは、印字シートPS(連続体CP)の搬送方向を示す。
【0099】
図10の上段には、終端SEよりも搬送方向下流側に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とによって挟持される挟持位置NAが二点鎖線によって表されている。この二点鎖線で表される領域を、最終シート保持位置FAという。
【0100】
図10の下段には、上段の状態から、最終シート保持位置FAが挟持位置NAに位置するように印字シートPSが送られた状態が示されている。
【0101】
印字シートPSの終端SEがセンサ13によって検出されたときには、印字シートPSは、距離D11進んでいる。このため、印字シートPSの終端SEよりも搬送方向下流側の最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止するためには、印字シートPSの終端SEが検出された時点から、印字シートPSを距離D12進める制御が行われる。
【0102】
図10における一点鎖線の領域は、印字シートPSの終端SEが検出された時点において、印字が完了していない残りの印字データを全て印字し終えたときの仮想印字領域VEを示す。D13は、印字シートPSの終端SEが検出された時点で印字が完了していない残りの印字データを全て印字するまでに印字シートPSが送られる距離を示す。
【0103】
また、印字シートPSに記された破線領域は、印字シートPSに印字可能な印字可能領域PEを示す。
【0104】
制御部MCは、残りの印字データの仮想印字領域VEが印字可能領域PEに印字可能か判定し、印字できないと判定した場合には、ロール紙RPの交換を促す表示を行う信号を表示部26に送信している。そして、制御部MCは、ロール紙RPが交換された後、印字データの印字を停止して、印字レイアウトの変更を使用者に促すメッセージを表示部26に表示する処理を行う。これにより、印字できなかった印字データは、新たな印字シートPSに印字される。
【0105】
上述した2つのシート送りモードにおいて、「距離D2進める」或いは「距離D12進める」とは、ステッピングモータ17の回転方向及びステップ数を設定することで実現できる。
【0106】
距離D2或いはD12は、印字シートPSの種類によって異なる。このため、
図9において、印字シートPSの境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAを、挟持位置NAで停止するために、印字シートPSの検出マークMの終端部MEが検出されたときから印字シートPSを進める距離D2や、
図10において、印字シートPSを最終シート保持位置FAで停止するために、印字シートPSの終端SEが検出されたときから印字シートPSを進める距離D12は、使用する印字シートPS毎に紐付けされて、例えば、ROM31等に記憶されている。
【0107】
<印字シート送り制御〜その1>
以下、本発明の実施形態にかかるプリンタ1において実行される印字シート送り制御について説明する。
図11は、プリンタ1の制御部MCにおいて実行されるプリンタの制御方法を説明するフローチャートである。
【0108】
本実施形態に係るプリンタ1における制御部MCは、ステップS1において、印字データを印字シートPSに印字するための印字処理を行う。
【0109】
ステップS2において、制御部MCは、印字シートPSの終端SEか否か判定する。ステップS2において、印字シートPSの終端SEが検出された場合には、ステップS3において、制御部MCは、最終シート送りモードを選択する。すなわち、制御部MCは、印字シートPSの終端SEよりも搬送方向下流側の最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止する制御信号を生成し、搬送制御回路33に送る。これにより、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側が挟持位置NAに位置するように印字シートPSが送られて、停止する。
【0110】
ステップS2において、印字シートPSの終端SEが検出されない場合には、ステップS4において、制御部MCは、通常シート送りモードを選択する。すなわち、制御部MCは、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAを挟持位置NAで停止する制御信号を生成し、搬送制御回路33に送る。これにより、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側が挟持位置NAに位置するように印字シートPSが送られて、停止される。そして、制御部MCは、次の印字シートPSへの印刷処理を繰り返し実行する。
【0111】
上述した一連の工程によれば、プリンタ1は、印字シートPSの終端SEを検出した場合には、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側の最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止する。これにより、最終の印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側は、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とによって挟持される。
【0112】
また、プリンタ1によれば、印字シートPSの終端SEが検出されない場合、すなわち、印字シートPSが最終シートではない場合には、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAが挟持位置NAで停止する。これにより、印字シートPSの連続体CPは、境界SBの搬送方向上流側で、サーマルヘッド15とプラテンローラ14によって挟持される。
【0113】
<印字シート送り制御〜その2>
次に、本実施形態に係るプリンタ1において実行される印字シート送り制御の別の実施形態について説明する。
図12は、プリンタ1の制御部MCにおいて実行されるプリンタの制御方法を説明するフローチャートである。
【0114】
プリンタ1の制御部MCは、ステップS11において、印字データを印字シートPSに印字する印字処理を行う。
【0115】
ステップS12において、制御部MCは、印字シートPSの終端SEか否か判定する。ステップS12において、印字シートPSの終端SEが検出された場合には、ステップS13において、制御部MCは、さらに、残されている印字ステップによる仮想印字領域VEと印字シートPSに残されている印字可能領域PEとを比較する。
【0116】
ステップS13において、残りの印字ステップによる仮想印字領域VEが印字可能領域PEより広い場合には、ステップS14において、制御部MCは、最終シート送りモードを選択する。
【0117】
続いて、ステップS15において、印字データを作業領域に一時的に記憶し、ステップS16において、印字動作を一時停止する。
【0118】
次に、ステップS17において、制御部MCは、印字シートPSの終端SEよりも搬送方向下流側の最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止する制御信号を生成し、搬送制御回路33に送る。これにより、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側が挟持位置NAに位置するように印字シートPSが送られて、停止する。その後、ステップS18において、制御部MCは、ロール紙の交換を促す信号を生成し、表示部26に供給する。
【0119】
次に、制御部MCは、ステップS19において、新規のロール紙RPが装着されたか否か判定する。ステップS19において、新規のロール紙RPが装着された場合には、ステップS20において、制御部MCは、一時記憶された印字データが印字可能領域PEに全て印字できるように、使用者に印字データのレイアウトの変更を促す。そして、ステップS21において、印字動作を再開し、変更された後の印字レイアウトに基づいて印字を完了する。
【0120】
ステップS12において、印字シートPSの終端SEが検出された場合であって、ステップS13において、残りの印字ステップによる仮想印字領域VEが印字可能領域PEよりも狭い場合には、制御部MCは、ステップS22において、最終シート保持位置FAにさらに、残りの印字ステップによる仮想印字領域VEが印字可能領域PEに収まるかを判定する。すなわち、残りの印字ステップによる仮想印字領域VEと印字可能領域PEとが同じか、残りの印字ステップによる仮想印字領域VEが印字可能領域PEよりも少ないかを判定する。
【0121】
ステップS22において、残りの印字ステップによる仮想印字領域VEが印字可能領域PEよりも少ない場合とは、残りの印字ステップを完了しても尚、印字可能領域PEに余白ができる場合である。この場合には、制御部MCは、ステップS23において、印字動作を継続する。
【0122】
そして、制御部MCは、ステップS24において、全ての印字データが印字完了した後、最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止する。
【0123】
次に、ステップS25において、制御部MCは、ロール紙RPの交換を促す信号を生成し、表示部に供給する。
【0124】
一方、ステップS22において、残りの印字ステップによる仮想印字領域VEと印字可能領域PEが同じ場合には、ステップS25において、制御部MCは、残りの印字データを印字可能領域PEに印字した後、最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止する。次に、ステップS26において、制御部MCは、ロール紙RPの交換を促す信号を生成し、表示部26に供給する。
【0125】
また、ステップS12において、印字シートPSの終端SEが検出されない場合には、制御部MCは、ステップS27において、通常シート送りモードを選択する。すなわち、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側が、挟持位置NAに位置するまで印字シートPSを送り、停止する。そして、制御部MCは、次の印字シートPSへの印刷処理を繰り返し実行する。
【0126】
上述した一連の工程によれば、プリンタ1は、印字シートPSの終端SEを検出した場合には、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側の最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止する。これにより、最終の印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側は、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とで挟持される。
【0127】
また、プリンタ1によれば、最終の印字シートPSであって、かつ最終の印字シートPSの印字可能領域PEに印字できない場合には、印字が停止される。印字できないと判定された印字データは、一時的に記憶されて、ロール紙RPの交換後に、印字レイアウトの変更を使用者に促すメッセージが表示部に表示される。
【0128】
また、プリンタ1によれば、印字シートPSが最終シートではない場合には、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAが挟持位置NAで停止する。これにより、印字シートPSの連続体CPは、境界SBの搬送方向上流側で、サーマルヘッド15とプラテンローラ14によって挟持される。
【0129】
続いて、印字処理を伴わない場合、すなわち、使用者によって印字シートPSを送り出す操作のみが行われた場合の処理について説明する。
【0130】
図13は、プリンタ1の制御部MCにおいて実行される印字を伴わないプリンタの制御方法を説明するフローチャートである。
【0131】
ステップS31において、制御部MCは、印字シートPSを送るためのシート送り入力を受け付けると、ステップS32において、制御部MCは、シート送りを開始する。
【0132】
ステップS33において、制御部MCは、印字シートPSの終端SEか否か判定する。ステップS33において、印字シートPSの終端SEが検出された場合には、制御部MCは、ステップS34において、最終シート送りモードを選択する。
【0133】
ステップS35において、制御部MCは、シート送り入力が解除されたか否か判定する。ステップS35において、シート送り入力が解除された場合には、ステップS36において、シート送りを停止する。
【0134】
ステップS35において、シート送り入力が解除されない場合であっても、制御部MCは、ステップS37において、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側である最終シート保持位置FAがサーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持する挟持位置NAに位置するように印字シートPSを送り、停止する。
【0135】
ステップS33において、印字シートPSの終端SEが検出されない場合には、ステップS38において、制御部MCは、通常送りモードを選択する。
【0136】
続いて、ステップS39において、制御部MCは、シート送り入力が解除されたか否か判定する。ステップS39において、シート送り入力が解除された場合には、ステップS36において、シート送りを停止する。
【0137】
ステップS39において、シート送り入力が解除されない場合には、制御部MCは、ステップS40において、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAが挟持位置NAに位置するように印字シートPSを送り、停止する。
【0138】
[効果]
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るプリンタ1は、印字シートPSの終端SEを検出した場合には、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側の最終シート保持位置FAを挟持位置NAで停止する。これにより、最終の印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側がサーマルヘッド15とプラテンローラ14との挟持位置NAで挟持される。
【0139】
したがって、最終の印字シートPSの終端SEまで使い切ることができ、印字後の印字シートPSがプリンタ1の発行口から脱落することがない。また、これにより、最終の印字シートPSを無駄にしないため、環境負荷低減の観点からも好ましい。
【0140】
また、プリンタ1によれば、最終の印字シートPSであって、かつ最終の印字シートPSの印字可能領域PEに印字できないと判定された印字データは、一時的に記憶されて、ロール紙RPの交換後に、使用者によって、印字レイアウトの変更が行われた後、再度印字される。このため、ロール紙切れになった場合であっても、印字データが欠落することがない。
【0141】
また、本実施形態に係るプリンタ1によれば、印字シートPSが最終の印字シートPSではない場合には、印字シートPSを搬送した後、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAが挟持位置NAに位置するように停止される。これにより、印字シートPSの連続体CPは、境界SBの搬送方向上流側で、サーマルヘッド15とプラテンローラ14によって挟持されているため、使用者は、発行口から露呈した印字シートPSを引き出し方向に引っ張ることで、境界SBにおいて、容易に印字シートPSを切り離すことができる。
【0142】
また、本実施形態に係る印字シートPSの所定位置に印字シートPS同士の境界SBを検出するための検出マークMが設けられている場合には、制御部MCは、センサ13が検出マークMを検出した場合に、サーマルヘッド15とプラテンローラ14とが印字シートPSを挟持している挟持位置NAに印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側が位置するように停止させる。
【0143】
また、本実施形態に係るプリンタ1によれば、最終の印字シートPSであって、かつ最終の印字シートPSの印字可能領域PEに印字できない場合には、印字できないと判定された印字データは、一時的に記憶されて、ロール紙RPの交換後に、使用者によって印字レイアウトが変更された後、新たな印字シートPSに印字される。このため、ロール紙切れになった場合であっても、印字データが欠落することがない。
【0144】
また、本実施形態に係るプリンタ1によれば、使用者によって印字シートPSの紙送りが指定された場合であって、紙送りのための操作入力が解除されないまま最終の印字シートPSに達した場合であっても、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側を、サーマルヘッド15とプラテンローラ14との挟持位置NAで停止させることができる。このため、印字シートPSが発行口から脱落しない。
【0145】
また、印字シートPSの紙送りが指定された場合であって、紙送りのための操作入力が解除されないまま印字シートPSの境界SBに達した場合には、印字シートPSの境界SBの搬送方向上流側を、サーマルヘッド15とプラテンローラ14との挟持位置NAで停止させることができる。このため、印字シートPSの切り離しが容易に行える。
【0146】
[その他の実施形態]
本実施形態において、制御部MCは、印字シートPSの検出マークM、M’が検出された時点で印字が完了していない残りの印字データによる仮想印字領域VEが、印字可能領域PEに印字できないと判定した場合には、印字シートPSへの印字を停止させた後、印字可能領域PEに印字できるように、制御部MCが印字レイアウトを変更する処理を行ってもよい。
【0147】
ここで、印字レイアウトの変更とは、フォントを小さくしたり、改行を増やしたりすることが挙げられる。
【0148】
検出マークM,M'及び指定マークN,N'は、印字シートPSの幅方向に一対設けられると説明した。しかし、設置位置は、印字シートPSのいずれか一方の側縁に設けられていてもよい。
【0149】
本実施形態に係るプリンタ1において、
図6に示す指定マークN,N'が設けられている場合には、指定マークN,N’に対応して印字シートPSに印字する指定印字データを決めておくことにより、指定マークN,N’を検出した際に、指定された印字データを印字開始することができる。
【0150】
印字シートPSの先頭から後半部分に印字が進むに連れて、プラテンローラ14の送り動作等の誤差が蓄積するため、本来、印字すべき印字データが所定の印字位置からずれる場合がある。
【0151】
これに対して、検出マークM,M’よりも搬送方向下流側に印字データを指定するための指定マークN,N’が設けられており、指定マークN,N’に対応して印字される指定印字データが決められている場合、印字先頭位置からのカウント数から独立して、指定印字データの印字が開始できるため、指定マークN,N’の手前までに印字位置ずれが生じていたとしても、指定マークN,N’の位置において印字位置を矯正することができる。これにより、印字シートPSの長尺方向の一箇所に検出マークM,M’が設けられた場合と比べて、印字位置合わせの精度が向上する。
【0152】
印字位置合わせの精度が向上することにより、印字シートPSの終端SEの搬送方向下流側の最終シート保持位置FAをサーマルヘッド15とプラテンローラ14との挟持位置NAで停止する精度、及び、印字シートPS同士の境界SBよりも搬送方向上流側の通常シート保持位置SAを挟持位置NAで停止する精度を向上させることができる。
【0153】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0154】
本願は、2016年9月29日に日本国特許庁に出願された特願2016−191011に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。