特許第6880057号(P6880057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880057電気スイッチング装置をモニタリングする方法および電気スイッチング装置を備える電気設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880057
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】電気スイッチング装置をモニタリングする方法および電気スイッチング装置を備える電気設備
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/00 20060101AFI20210524BHJP
   H01H 33/65 20090101ALI20210524BHJP
   H01H 31/32 20060101ALI20210524BHJP
   H01H 31/02 20060101ALI20210524BHJP
   H01H 33/44 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H01H33/00 Z
   H01H33/65 G
   H01H31/32 B
   H01H31/02 E
   H01H33/44
【請求項の数】31
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-549627(P2018-549627)
(86)(22)【出願日】2016年11月3日
(65)【公表番号】特表2019-500738(P2019-500738A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】FR2016052840
(87)【国際公開番号】WO2017103355
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】1562321
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517202755
【氏名又は名称】スーパーグリッド インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【弁理士】
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベルトルート,トマ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンソン,ポール
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−034170(JP,A)
【文献】 特開平09−167549(JP,A)
【文献】 特開2000−067705(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02318913(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/00
H01H 31/02
H01H 31/32
H01H 33/44
H01H 33/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC高電圧電気回路において機械的な開閉装置(10)の開放を制御する方法であって、前記装置は2つの電極を有するタイプの装置であり、前記2つの電極のうち第1の電極(20)には変動周期を有するAC電位が与えられており、第2の電極(22,24)はあらゆる電圧源およびあらゆる電気的接地点から電気的に切り離されており、前記機械的な装置の前記2つの電極は、互いに相対的に移動可能であって、制御された開放のための移動において、前記2つの電極が前記装置の設計上の電気的接続を確立する位置である電気的投入状態の相対位置と、前記2つの電極が最終間隔(Ef)をもって互いに離間している位置である少なくとも1つの最終的な電気的開放状態の相対位置との間を互いに相対的に移動可能であり、
前記方法は、
‐少なくとも1つの高速開放期間を含む初期開放工程であって、前記高速開放期間の継続時間(T1)が前記第1の電極の前記AC電位の変動周期の少なくとも1倍に等しく、前記高速開放期間の間、前記2つの電極の相対移動が0.05m/sより大きい第1平均分離速度(V1)で行われる初期開放工程と、
‐前記初期開放工程の後の少なくとも1つの安定化工程であって、少なくとも1つの安定化期間を含み、前記安定化期間の継続時間(T2)が前記第1の電極の前記AC電位の前記変動周期の少なくとも5倍に等しく、前記継続時間(T2)が前記2つの電極(20,22,24)の間の前記最終間隔(Ef)の10%〜90%にあたる間隔に対応し、前記安定化期間の間、前記2つの電極(20,22,24)の相対移動が0.03m/s未満の安定化平均分離速度(V2)で行われる少なくとも1つの安定化工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1平均分離速度(V1)は0.1m/sより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記安定化工程の後に少なくとも1つの開放続行工程を含み、前記開放続行工程は、少なくとも1つの開放続行期間を含み、前記開放続行期間の継続時間は前記第1の電極の前記AC電位の前記変動周期の少なくとも5倍に等しく、前記開放続行期間の間、前記2つの電極(20,22,24)の相対移動が0.03m/sより大きい平均分離速度(V3)で行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記開放続行工程の前記開放続行期間の間、前記2つの電極(20,22,24)の前記相対移動が0.05m/sより大きい平均分離速度(V3)で行われることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記開放続行工程の前記開放続行期間の間、前記2つの電極(20,22,24)の前記相対移動が0.1m/sより大きい平均分離速度(V3)で行われることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記開放続行工程の後に2次的な安定化工程を含み、前記2次的な安定化工程は、少なくとも1つの2次的な安定化期間を含み、前記2次的な安定化期間の継続時間は前記第1の電極の前記AC電位の前記変動周期の少なくとも5倍に等しく、前記2次的な安定化期間の間、前記2つの電極(20,22,24)の相対移動が0.03m/s未満の平均分離速度(V4)で行われることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記電極(20,22,24)が最終的な開放状態の相対位置(Ef)に達する最終開放工程を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記安定化工程は、前記投入状態の相対位置と前記最終的な開放状態の相対位置(Ef)との間の位置であって、前記投入状態の相対位置とも前記最終的な開放状態の相対位置(Ef)とも異なる位置である前記2つの電極(20,22,24)の中間相対位置(Ea1)において始まることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記安定化工程は、前記2つの電極(20,22,24)の所定の相対位置に対応するよう開始されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記安定化工程は、前記装置(10)の少なくとも1つの動作パラメータに応じて開始されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記安定化工程は、少なくとも、開放のための移動時に前記第1の電極と前記第2の電極(20;22,24)との間に生じる2つの電気アークの発生間隔の長さに応じて開始されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記初期開放工程時、前記第1の電極と前記第2の電極(20;22,24)との間に生じる2つの電気アークの発生間隔(Δt50)を検出することと、前記発生間隔(Δt50)の長さを基準値(Δtref)と比較して、前記基準値を超える場合に前記安定化工程が開始されることとを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記安定化工程は、少なくとも、前記2つの電極(20,22,24)間に電気アークが発生した瞬間における前記2つの電極間の電圧に応じて開始されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記開放続行工程は、前記2つの電極(20,22,24)間に最後の電気アークが検出されてから所定時間が経過した後で開始されることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記2次的な安定化工程は、少なくとも、前記開放続行工程時に前記第1の電極と前記第2の電極との間に生じる電気アークの検出に応じて開始されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記安定化工程時に、前記電極(20,22,24)が少なくとも1つの最後のアーク発生相対位置をとり、前記最後のアーク発生相対位置は、
‐AC電位が与えられている前記第1の電極(20)の電位の値として、当該位置において、前記第2の電極(22,24)の前の時点での電位の値に対して、前記2つの電極の間に電気アークを発生させる値が存在する位置であり、かつ、
‐前記電気アークによって、前記第2の電極(22,24)の電位が、前記第1の電極(20)と前記第2の電極(22,24)との間の電位差が当該位置における前記2つの電極間の最小耐電圧より小さくなる最終電位となる位置である、
ことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記安定化工程時に、前記電極(20,22,24)が、前記電極間の間隔の値が最終的な開放状態の位置における電極間の間隔の値(Ef)の10%〜50%の範囲にある少なくとも1つの相対位置をとることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記安定化工程時に、前記電極(20,22,24)が、前記電極間の間隔の値が最終的な開放状態の位置における電極間の間隔の値(Ef)の10%〜30%の範囲にある少なくとも1つの相対位置をとることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記安定化工程時に、前記電極(20,22,24)が、前記電極間の間隔の値が最終的な開放状態の位置における電極間の間隔の値(Ef)の40%〜90%の範囲にある少なくとも1つの相対位置をとることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記安定化工程時に、前記電極(20,22,24)が、前記電極間の間隔の値が最終的な開放状態の位置における電極間の間隔の値(Ef)の60%〜90%の範囲にある少なくとも1つの相対位置をとることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記安定化工程は、前記2つの電極(20,22,24)の相対移動を少なくとも1度停止させることを含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記安定化工程は、前記2つの電極(20,22,24)の相対移動を停止させることからなることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記安定化工程の継続時間は、前記第1の電極(20)に与えられている電位の前記変動周期の少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍であることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記安定化工程の継続時間は、前記第1の電極(20)に与えられている電位の前記変動周期の75倍より短いことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記安定化工程の継続時間は、前記第1の電極(20)に与えられている電位の前記変動周期の50倍より短いことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2平均分離速度(V2)は、1puを前記第1の電極(20)に接地点を基準として与えられている電位のピーク値とした場合、前記間隔の値の増加によって生じる前記装置の最小耐電圧の増加の増加率が1.0pu/s未満の割合で増加するように選択されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記第2平均分離速度(V2)は、前記間隔の値の増加によって生じる前記装置の最小耐電圧の増加の増加率が0.5pu/s未満の割合で増加するように選択されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記2つの電極が最終的な開放状態の相対位置に達したときの前記第2の電極の電位は、1puを前記第1の電極(20)に接地点を基準として与えられている電位のピーク値とした場合、0.5pu未満であることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
AC高電圧電気回路を開放するための機械的な開閉装置(10)を備える電気設備であって、前記装置は2つの電極を有するタイプの装置であり、前記2つの電極のうち第1の電極(20)にはAC電位が与えられており、第2の電極(22,24)はあらゆる電圧源およびあらゆる電気的接地点から電気的に切り離されており、前記機械的な装置の前記2つの電極(20,22,24)は、互いに相対的に移動可能であって、制御装置(42)によって制御される開放のための移動において、前記2つの電極が前記装置の設計上の電気的接続を確立する位置である電気的投入状態の相対位置と、前記2つの電極が互いに離間している位置である少なくとも1つの電気的開放状態の相対位置との間を互いに相対的に移動可能であり、前記設備は、前記制御装置(42)が先行する請求項のいずれかに記載の制御方法を実行するように構成されていることを特徴とする、設備。
【請求項30】
前記制御装置(42)は、前記電極(20,22,24)の相対移動を制御するためのアクチュエータ(48)と、前記アクチュエータを制御するための制御器とを備え、前記制御器は、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法を実行するようにプログラムされていることを特徴とする、請求項29に記載の電気設備。
【請求項31】
前記制御装置は、前記電極(20,22,24)の相対移動を制御するためのアクチュエータ(48)であって、該アクチュエータを前記電極の少なくとも一方に接続している伝達機構(44,46)を用いて前記電極の相対移動を制御するアクチュエータ(48)を備え、前記伝達機構(44,46)は、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とする、請求項29に記載の電気設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧交流(AC)電気設備において高電圧電気回路を開放するための装置の技術分野に関し、特に、このような装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力ネットワークは、地域規模、国家規模、または大陸規模のインフラストラクチャであり、電気エネルギーを高電圧の交流として数十キロメートル、数百キロメートル、または数千キロメートルにわたって伝送するインフラストラクチャである。
【0003】
このようなネットワークは電気設備を含み、該電気設備は、特に、発電所または変電所を含み、該発電所または変電所には少なくとも1つの開閉装置がある。
【0004】
電気回路には、通常、少なくとも1つの電圧源と少なくとも1つの電圧ユーザとがあり、電圧ユーザには、電気エネルギーを利用して、該電気エネルギーを機械エネルギー、および/または熱エネルギー、および/または電磁エネルギーなどの他の形態のエネルギーに変換する装置、装置群、またはそのような装置を含むネットワークが含まれ得る。
【0005】
電気回路は、通常、該回路における電流の流れを遮断するための複数の開閉装置を備え、該開閉装置は、通常、電圧源と電圧ユーザとの間、または電圧源と接地点との間にある。開閉装置としては、様々な種類のものが知られている。例えば回路遮断器があり、回路遮断器とは、電気回路を遮断するための機械的な装置であり、特に、それらが配置されている電気回路に負荷がかかっているとき、または該電気回路が故障状態にあるときに、該電気回路を開放できるように設計され、寸法が定められている。しかし、回路遮断器は、高価で嵩が大きく、ネットワークを保護する機能を意図した複雑な装置である。また、例えば断路器などのより単純な設計の開閉装置も知られており、断路器は、通常、負荷がかかっている回路を遮断するようには設計されておらず、むしろ、電流が既に他の開閉装置によって遮断されている回路において、該回路の電圧源に接続されている上流部分と該回路の下流部分との間に所定の高度な電気的切り離しを実現することによって機器の安全性および該機器に処置を施す人員の安全性を確保する機能を果たす。
【0006】
高電圧回路に関しては、特に、いわゆる「メタルクラッド」装置を利用することも知られており、該装置においては、作動する開閉部材がメタルクラッドまたはタンクと呼ばれることもある密閉エンクロージャに収容されており、このエンクロージャには絶縁性流体が充填されている。このような流体は、通常六フッ化硫黄(SF6)などの気体である場合もあるが、液体やオイルも用いられる。該流体は、その絶縁性能にかんがみて選択され、特に、乾燥空気の同等の圧力での誘電強度よりも大きな誘電強度を発揮するように選択される。メタルクラッド装置は、特に、遮断および切り離しが空気中で行われる装置よりも小型になるように設計され得る。
【0007】
従来の「メタルクラッド」断路器は、特に、2つの電極を有し、該2つの電極は、例えばメタルクラッドであるエンクロージャの周壁から離れた固定の位置で絶縁性支持体上に保持されており、該エンクロージャは接地電位にある。2つの電極は、一方の電極の一部を成す可動式の接続部材の位置、例えば制御手段によって作動される摺動管状部の位置によって、電気的に接続されたり、電気的に分離されたりする。管状部は、通常、一方の電極によって支持され、該電極に電気的に接続しており、管状部を対向する電極から分離すると電気アークが発生しやすい。断路器は、通常、変電所に設置される。断路器は、例えば接続母線によって、変電所の他の構成要素に接続される。断路器の両側には、回路遮断器、電力変圧器、オーバーヘッドブッシングなどの変電所の他の構成要素がある。
【0008】
特定の電気回路の構成では、断路器が、AC電圧源、特に高電圧のAC電圧源と、回路遮断器などの他の開閉装置との間に配置されるように構成される場合があり、これにより、該回路遮断器は、電圧源および断路器に対して回路の下流側の部分に位置することになる。したがって、このような電気回路を開放し電圧源から切り離すためには、通常、例えば回路遮断器型である第1の開閉装置を開放して回路内の電流の流れを止める操作が行われる。その後、回路の下流部分を切り離すために、断路器が開放される。このような場合、断路器の第1の電極は、直接的または間接的にAC電圧源に電気的に接続され、一方、第2の電極は、回路が開放された後で、あらゆる電圧源およびあらゆる電気的接地点から電気的に切り離されるため、浮遊電位となる。ある電極が、例えば電圧源または接地点などの何らかの特定の電位に接続された周囲の導体部品、具体的には例えば該電圧源に接続されている電極(上流回路)、接地点に接続されているメタルクラッド、および/または下流回路の一部を成している何らかの他の開閉装置などとともにゼロではない容量を形成する場合、電極は、あらゆる電圧源および接地点から電気的に切り離され、それにより浮遊電位になると考えられる。したがって、上記のような設備で断路器を開放する動作が行われている間、第1の電極の電位は、該第1の電極が接続されている電圧源から供給されるAC電圧に応じて経時変化する。一方、第2の電極は切り離されているため、その電位は決定されない。第2の電極の電位は、2つの電極が電気的投入状態の相対位置にある間に接触していた最後の時点での電位であり得る。開放後、2つの電極の間に容量結合が残存し、それによって第2の電極の電位が変化する可能性がある。しかし、この現象の規模は、通常、2つの電極間に接触の最後の時点で存在する電位または電気アークを介して存在する電位と比べてはるかに小さいため、該現象はここでは無視する。
【0009】
一方、2つの電極の開放のための相対移動の際、特に、この移動の初めの時点において、2つの電極が電気的に接触していた最後の位置の直後に、2つの電極間に電気アークが生じやすいことが知られている。
【0010】
本発明が基づいている課題について、図4を参照して説明する。図4は、2つの電極の開放のための相対移動中の2つの電極それぞれの接地電位を基準とした電位U1、U2の経時変化をプロットした図である。この開放のための相対移動は、2つの電極が一定の速度で相対的に移動して行われるため、それに応じて2つの電極間の間隔が一定の割合で経時的に大きくなると考えられる。このように間隔が大きくなるため、それに応じた2つの電極間の耐電圧の一定の割合での増加、すなわち、電気アークを引き起こすために必要とされる2つの電極間の電位差の一定の割合での増加が認められる。換言すれば、2つの電極間の耐電圧は、電気的投入状態の相対位置においてゼロであるが、2つの電極間の物理的な接触がなくなるとすぐに初期値から次第に増加していき、2つの電極の電気的開放状態の相対位置に対応する最終耐電圧に達し、これにより、断路器が配置されている電気回路の上流部分と下流部分との間の切り離しが確保される。
【0011】
2つの電極の電気的投入状態の相対位置において、断路器の該2つの電極は、図4の左側部分に見られるように、常に同じ電位にあり、この電位は電圧源から供給されるAC電圧によって直接定められる。図4は時点t0を示しており、この時点t0は、2つの電極間の物理的な接触がなくなる時点である。この時点以降は、2つの電極はもはや互いに物理的に接触していないと考えられる。しかし、特に高電圧で動作している設備の場合には、接触がなくなった直後の時点において電気アークが発生し、この電気アークが、少なくとも初めのうちは、第2の電極の電位を常に第1の電極の電位と実質的に同じレベルに維持するように働く。しかし、時点t1以後は、2つの電極が、電気アークが一旦途絶える距離まで互いに遠ざかるため、2つの電極間に電位差が発生し得る状態になる。しかし、電極間の間隔によって定まる耐電圧を電位差が超えた途端に新たなアークが発生し、第2の電極の電位がすぐに第1の電極の電位と同じレベルに戻されることになる。時間が経過して2つの電極間の距離が大きくなるにつれて、2つの電極間の間隔の増大に直接起因して2つの電極間の耐電圧が次第に増加するため、アークが途絶えている期間が次第に長くなる。図4の例では、時点t2を示しているが、この時点t2以降は、第1の電極の電位の変動周期の半周期ごとに発生する電気アークは1つのみである。このようなアークが発生すると、第2の電極の電位が、アーク発生時点での第1の電極の電位とほぼ同じレベルに戻される。このアークは、過渡的なものであり、2つの電極が該電気アークによって実質的に同じ電位になると消失する。この時点において、第2の電極の電位は浮遊電位であって、接地点または何らかの他の電圧源に接続されている場合のように決まった電位ではないことに留意されたい。しかし、電気アークが消失するとすぐに、第1の電極の電位は、第1の電極がAC電圧源に接続されているために変動を続け、一方、第2の電極の電位は、それまで存在していたアークによって到達したレベルにとどまる。こうして2つの電極間の電位差が増加し、この電位差が、2つの電極のその瞬間の相対位置における2つの電極間の電気的な切り離しの能力を上回ると、新たな過渡アークが発生する。
【0012】
これら電気アークは時点t3まで発生し続ける。時点t3は、開放動作中に最後の電気アークが発生した時点に相当する。この最後の電気アーク以降、2つの電極間の耐電圧が大きすぎるため新たなアークは生じない。したがって、2つの電極が電気的開放状態の相対位置に達したとき、第2の電極は最終電位Ufにあることになるが、該最終電位Ufは、最後の電気アークに由来する電位、すなわち、最後の電気アークが発生した時点に生じた電位であって、最後の電気アークの発生時点での第1の電極の電位に由来する電位である。
【0013】
所定のAC電圧源を有する所定の設備において、上述したタイプの断路器を開放する所定の方法を用いた場合、第2の電極の電位の最終の値は非常に不確定であることが、シミュレーションによって示されている。そのようなシミュレーションについて、2013年にニューデリーで行われたCIGRE会議での口頭発表(「Development of a gas insulated disconnector for UHV networks」, Thomas Berteloot, Alain Girodet, Paul Vinson, and Mathieux Bernard)で説明がなされた(冊子「CIGRE 570 - Working group A3.28 February 2014 - Switching phenomena for EVH and UHV equipment」も参照されたい)。その発表では、特に、開放速度が0.05メートル毎秒(m/s)または0.1m/sである場合、高い確率で第2の電極の電位の最終の値を開放速度が0.5m/sである場合に得られる値よりも小さくできることが述べられている。同様の教示は、文献「Influence of the switching speed of the disconnector on very fast transient overvoltage」 (Shu Yinbiao, Han Bin, Jin Li‐Ming, Chen Weijiang, Ban Liangeng, Xiang Zutao, and Chen Guoqiang - IEEE Transactions on Power Delivery, Vol. 28, No. 4, October 2013)からも得られる。
【0014】
しかし、「トラップ電荷」と呼ばれることもある第2の電極の電位の最終の値は、何の影響も及ぼさないわけではないようである。
【0015】
第一に、時点t2から時点t3までの間、電気アークが発生したときの2つの電極間の電位差、すなわち「放電開始電圧」ΔUは、変動周期ごとに増加することがわかる。しかし、電気アークが発生するごとに、はじめのマイクロ秒の間、高周波過電圧が生じる。この高周波過電圧は、「超高速過渡過電圧」(VFTO)と呼ばれる。断路器の2つの電極間の放電開始電圧ΔUが大きいほど、対応するVFTOも大きくなる。VFTOは、断路器に電気的に接続された全ての箇所に伝播する。したがって、VFTOは、断路器の両側に配置された変電所の他の構成要素に伝播する。したがって、VFTOは、電力変圧器、ブッシング、回路遮断器などに伝播する可能性が高い。そのため、VFTOによる過電圧が、断路器に接続された全ての構成要素の活電部‐接地点(phase-terre)間の絶縁にストレスを与える。
【0016】
この問題に対する解決手段はこれまでにも提案されているが、それら解決手段は十分に満足のいくものではない。
【0017】
先行技術による第1の解決手段は、抵抗のある断路器を使用することである。このようなデバイスでは、開放動作のときにのみ、電気抵抗が電流の流路に挿入される。このような断路器では、抵抗が、断路器の電極の一方と抵抗電極との間に配置される。そのため、断路器の管状部と抵抗電極との間に電気アークが発生する。抵抗は、1キロオーム(kΩ)と大きい抵抗であり得る。この第1の解決手段には、断路器が非常に嵩高くなり、断路器のコストが上記追加部品のために増加し、メンテナンス作業の必要性が大きくなるとともに、電気抵抗が存在するために信頼性が低くなるという制限がある。
【0018】
第2の解決手段は、例えば特開2000-067705号公報に記載されているが、2つの電極間の放電開始電圧の値をレーザ光を用いて電気アークを発生させることによって制御する断路器を使用することである。レーザー光源が断路器の外部に配置され、ミラーまたはレンズによって構成される光学デバイスがレーザーからのエネルギーを管状部と対向する電極との間に供給する。このような解決手段は高価であるとともに複雑であることが理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、一方の電極にAC電位が与えられているときに他方の電極が浮遊電位となる機械的な開閉装置の開放動作時に発生する電気アークによって生じる高周波過電圧を抑える必要があり、さらに、このことを設備を簡易で安価なものにしたまま行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的のために、本発明は、以下の方法を提案する。
AC高電圧電気回路において機械的な開閉装置の開放を制御する方法であって、前記装置は2つの電極を有するタイプの装置であり、前記2つの電極のうち第1の電極には変動周期を有するAC電位が与えられており、第2の電極はあらゆる電圧源およびあらゆる電気的接地点から電気的に切り離されており、前記機械的な装置の前記2つの電極は、互いに相対的に移動可能であって、制御された開放のための移動において、前記2つの電極が前記装置の設計上の電気的接続を確立する位置である電気的投入状態の相対位置と、前記2つの電極が最終間隔をもって互いに離間している位置である少なくとも1つの最終的な電気的開放状態の相対位置との間を互いに相対的に移動可能であり、
前記方法は、
‐少なくとも1つの高速開放期間を含む初期開放工程であって、前記高速開放期間の継続時間が前記第1の電極の前記AC電位の変動周期の少なくとも1倍に等しく、前記高速開放期間の間、前記2つの電極の相対移動が、0.05m/sより大きい、好ましくは0.1m/sより大きい第1平均分離速度で行われる初期開放工程と、
‐前記初期開放工程の後の少なくとも1つの安定化工程であって、少なくとも1つの安定化期間を含み、前記安定化期間の継続時間が前記第1の電極の前記AC電位の前記変動周期の少なくとも5倍に等しく、前記継続時間が前記2つの電極の間の前記最終間隔の10%〜90%にあたる間隔に対応し、前記安定化期間の間、前記2つの電極の相対移動が0.03m/s未満の安定化平均分離速度で行われる少なくとも1つの安定化工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【0021】
単独で、または組み合わせて用いられる、このような方法の選択可能なその他の特徴は、以下のようになる。
‐前記方法は、前記安定化工程の後に少なくとも1つの開放続行工程を含み、前記開放続行工程は、少なくとも1つの開放続行期間を含み、前記開放続行期間の継続時間は前記第1の電極の前記AC電位の前記変動周期の少なくとも5倍に等しく、前記開放続行期間の間、前記2つの電極の相対移動が、0.03m/sより大きい、好ましくは0.5m/sより大きい、より好ましくは0.1m/sより大きい平均分離速度で行われる。
‐前記方法は、前記開放続行工程の後に2次的な安定化工程を含み、前記2次的な安定化工程は、少なくとも1つの2次的な安定化期間を含み、前記2次的な安定化期間の継続時間は前記第1の電極の前記AC電位の前記変動周期の少なくとも5倍に等しく、前記2次的な安定化期間の間、前記2つの電極の相対移動が0.03m/s未満の平均分離速度で行われる。
‐前記方法は、前記電極が最終的な開放状態の相対位置に達する最終開放工程を含む。
‐前記安定化工程は、前記投入状態の相対位置と前記最終的な開放状態の相対位置との間の位置であって、前記投入状態の相対位置とも前記最終的な開放状態の相対位置とも異なる位置である前記2つの電極の中間相対位置において始まる。
‐前記安定化工程は、前記2つの電極の所定の相対位置に対応するよう開始される。
‐前記安定化工程は、前記装置の少なくとも1つの動作パラメータに応じて開始される。
‐前記安定化工程は、少なくとも、開放のための移動時に前記第1の電極と前記第2の電極との間に生じる2つの電気アークの発生間隔の長さに応じて開始される。
‐前記初期開放工程時、前記第1の電極と前記第2の電極との間に生じる2つの電気アークの発生間隔を検出し、前記発生間隔の長さを基準値と比較して、前記基準値を超える場合に前記安定化工程が開始される。
‐前記安定化工程は、少なくとも、前記2つの電極間に電気アークが発生した瞬間における前記2つの電極間の電圧に応じて開始される。
‐前記開放続行工程は、前記2つの電極間に最後の電気アークが検出されてから所定時間が経過した後で開始される。
‐前記2次的な安定化工程は、少なくとも、前記開放続行工程時に前記第1の電極と前記第2の電極との間に生じる電気アークの検出に応じて開始される。
‐前記安定化工程時に、前記電極が少なくとも1つの最後のアーク発生相対位置をとり、前記最後のアーク発生相対位置は、
‐AC電位が与えられている前記第1の電極の電位の値として、当該位置において、前記第2の電極の前の時点での電位の値に対して、前記2つの電極の間に電気アークを発生させる値が存在する位置であり、かつ、
‐前記電気アークによって、前記第2の電極の電位が、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電位差が当該位置における前記2つの電極間の最小耐電圧より小さくなる最終電位となる位置である。
‐前記安定化工程時に、前記電極が、前記電極間の間隔の値が最終的な開放状態の位置における電極間の間隔の値の10%〜50%の範囲、より好ましくは10%〜30%の範囲にある少なくとも1つの相対位置をとる。
‐前記安定化工程時に、前記電極が、前記電極間の間隔の値が最終的な開放状態の位置における電極間の間隔の値の40%〜90%の範囲、より好ましくは60%〜90%の範囲にある少なくとも1つの相対位置をとる。
‐前記安定化工程は、前記2つの電極の相対移動を少なくとも1度停止させることを含む。
‐前記安定化工程は、前記2つの電極の相対移動を停止させることからなる。
‐前記安定化工程の継続時間は、前記第1の電極に与えられている電位の前記変動周期の少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍である。
‐前記安定化工程の継続時間は、前記第1の電極に与えられている電位の前記変動周期の75倍より短く、好ましくは、前記第1の電極に与えられている電位の前記変動周期の50倍より短い。
‐前記第2平均分離速度は、1puを前記第1の電極に接地点を基準として与えられている電位のピーク値とした場合、前記間隔の値の増加によって生じる前記装置の最小耐電圧の増加の増加率が1.0ピーク電圧毎秒(pu/s)未満、好ましくは0.5pu/s未満の割合で増加するように選択される。
‐前記2つの電極が最終的な開放状態の相対位置に達したときの前記第2の電極の電位は、1puを前記第1の電極に接地点を基準として与えられている電位のピーク値とした場合、0.5pu未満である。
【0022】
また、本発明は、以下の電気設備を提供する。
AC高電圧電気回路を開放するための機械的な開閉装置を備える電気設備であって、前記装置は2つの電極を有するタイプの装置であり、前記2つの電極のうち第1の電極にはAC電位が与えられており、第2の電極はあらゆる電圧源およびあらゆる電気的接地点から電気的に切り離されており、前記機械的な装置の前記2つの電極は、互いに相対的に移動可能であって、制御装置によって制御される開放のための移動において、前記2つの電極が前記装置の設計上の電気的接続を確立する位置である電気的投入状態の相対位置と、前記2つの電極が互いに離間している位置である少なくとも1つの電気的開放状態の相対位置との間を互いに相対的に移動可能であり、前記設備は、前記制御装置が上記特徴の1つ以上を有する制御方法を実行するように構成されていることを特徴とする、設備。
【0023】
単独で、または組み合わせて用いられる、このような設備の選択可能なその他の特徴は、と以下のようになる。
‐前記制御装置は、前記電極の相対移動を制御するためのアクチュエータと、前記アクチュエータを制御するための制御器とを備え、前記制御器は、上記特徴の1つ以上を有する制御方法を実行するようにプログラムされている。
‐前記制御装置は、前記電極の相対移動を制御するためのアクチュエータであって、該アクチュエータを前記電極の少なくとも一方に接続している伝達機構を用いて前記電極の相対移動を制御するアクチュエータを備え、前記伝達機構は、上記特徴の1つ以上を有する制御方法を実行するように構成されている。
【0024】
その他の様々な特徴が、本発明の実施形態を非限定的な例として示す添付の図面を参照してなされる以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、機械的な開閉装置を備える本発明の電気設備を示す図であり、該装置の電極が電気的投入状態の相対位置にある様子を示す図である。
図2図2は、図1の機械的な開閉装置の模式図であり、該装置の電極が中間位置にある様子を示す図である。
図3図3は、図1の機械的な開閉装置の模式図であり、該装置の電極が電気的開放状態の相対位置にある様子を示す図である。
図4図4は、機械的な開閉装置において、2つの電極が開放のための相対移動を一定の速度で行っているときの接地点を基準にして測定した該2つの電極のそれぞれの電位の時間変化を示す図である。
図5-1】図5A図5Dは、本発明に係る機械的な開閉装置の開放を制御する方法の4つの例を示す図であり、該装置の2つの電極間の間隔Eの時間変化をプロットした図である。
図5-2】図5A図5Dは、本発明に係る機械的な開閉装置の開放を制御する方法の4つの例を示す図であり、該装置の2つの電極間の間隔Eの時間変化をプロットした図である。
図6図6は、本発明に係る機械的な開閉装置の開放を制御する方法の例の手順を示すフローチャートである。
図7図7A図7Dは、アクチュエータを電極の一方に接続する伝達機構を備える機械的な開閉装置であって、該伝達機構が本発明に係る方法を実行するように構成されている機械的な開閉装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図3は、非常に高電圧のAC回路を含んでいてもよい高電圧電気回路用の機械的な開閉装置の主な構成要素を示しており、これらの図はそれぞれ、開閉装置の電極同士の3つの異なる相対位置を示している。
【0027】
このような装置は、公称交流電流、すなわち該装置が損傷することなく継続的に動作するように設計されているところの定常電流を、1000ボルト(V)ACを超える電圧で、または非常に高い電圧、すなわち50,000V ACより高い電圧で伝送するための電気回路の開閉を行う装置である。
【0028】
この装置は、2つの接触部品を分離して離間させることで該装置を流れる電流を遮断して電気回路を開放させるという限りにおいて、機械的な開閉装置である。当然ながら、電気回路は、2つの接触部品が接触して再び装置に電流が流れるようにするまで移動することによって閉じられる。
【0029】
本実施形態では、上記機械的な開閉装置は断路器である。本実施形態では、開閉装置は、単一の電気回路、例えば単一の相を開放するように設計されているが、本発明は、複数の電気回路を開放するように設計された装置であって、例えば、共通のエンクロージャに並列に配置された複数の開閉体を備える装置にも適用し得る。
【0030】
「メタルクラッド」型の開閉装置に関して、本発明をさらに詳細に説明する。そこで、装置10は、エンクロージャ12を備え、エンクロージャ12は内部空間16を有している。装置の開放動作時の構成において、エンクロージャ12は、エンクロージャ12の外部に対して密閉されていることが好ましい。エンクロージャ12は、1つまたは複数の開口(図示せず)であって、少なくともメンテナンス作業時や組み立て作業時に、エンクロージャの外部から内部空間16にアクセスできるようにするための1つまたは複数の開口、または該開口の周辺でエンクロージャ12と接触している別のエンクロージャの別の空間と空間16が連通できるようにするための1つまたは複数の開口を備え得る。開口は、例えば、のぞき窓または蓋によって閉じられるように設計されているか、または、該開口とそれ自体密閉されている別のエンクロージャの対応する開口とを密閉した状態で接続させることでエンクロージャ12の内部空間16を別のエンクロージャに連通させるように設計されている。エンクロージャ12の内部空間16は密閉されているため、内部空間16に絶縁性流体を充填して、該絶縁性流体を周囲空気から隔離した状態にしておくことができる。流体は、気体であってもよく、液体であってもよい。流体の圧力は、周囲圧力と異なっていてもよく、例えば、絶対圧力で3バールより高い圧力であってもよく、または、非常に低い圧力であってもよく、場合によっては真空に近い圧力であってもよい。本発明においては、真空も絶縁性流体とみなすべきである。絶縁性流体は、空気、特に乾燥空気、好ましくは周囲圧力よりも圧力の高いものであり得る。ただし、好ましくは、流体は高い絶縁性能を有するように選択され、例えば、誘電強度が同等の温度・圧力条件下における乾燥空気の誘電強度よりも高い流体が選択される。
【0031】
通常、装置10は、少なくとも2つの電極を有し、該2つの電極はそれぞれ、開放の対象となる電気回路の上流部分および下流部分に電気的に接続するための電極である。2つの電極は、開放のための移動において、少なくとも1つの電気的投入状態の相対位置と電気的開放状態の相対位置との間を互いに相対的に移動可能であり、電気的投入状態の相対位置では、図1に示すように、電極は装置の設計上の電気的接続を確立しており、そのため電気的投入状態の相対位置は装置が投入状態にあることに対応し、電気的開放状態の相対位置は、図3に示すように、装置の開放状態に対応する。図示した例では、装置10は、特に、移動しない第1の電極20と第2の電極22とを備え、第2の電極22は、移動しない本体部と可動式の接続部材24とを備える。可動式の接続部材が第1の電極20の一部であってもよく、また、電極20,22の双方がそれぞれ可動式の接続部材を有していてもよいことが理解できる。
【0032】
図示した例では、各電極20,22は、絶縁性支持体26を介してエンクロージャ12に固定されている。エンクロージャ12の外部において、装置10は、接続端子28,30を有し、これら接続端子はそれぞれ対応する電極20,22に電気的に接続されている。一方の端子は電気回路の上流部分に接続するための端子であり、他方の端子は電気回路の下流部分に接続するための端子である。便宜上、電気回路の「上流」と称する部分は、接続端子28を介して第1の電極20に接続されている部分とするが、このことは、極性や電流の方向に関して特に何らかの意味を有するものではない。電気回路の下流部分とは、接続端子30を介して第2の電極22に接続されている部分とする。
【0033】
この例では、各電極20,22は、開閉装置の開放状態または投入状態に関わらず、対応する端子28,30に常時電気的に接続されている。
【0034】
2つの電極20,22の本体部は、内部空間16に固定された状態で配置されており、エンクロージャ12の周壁から離間するように配置され、かつ、電極間の電気的絶縁間隔が電極それぞれの外周面の互いに向き合う部分の間に中心軸A1の向きに沿って設けられるように互いから離間して配置される。
【0035】
図示した例では、装置の第2の電極の可動式の接続部材24は、軸A1に沿って第2の電極22の内部を通って摺動可能であって中心軸A1に沿って摺動するように導かれる管状部を有し得る。ここで、中心軸A1は、便宜上「長手」軸と称する。
【0036】
接続部材24は、開放のための移動において対向する電極20に対して相対的に移動可能であり、図1に示すような接続部材24が対向する電極20と設計上の電気的接続を確立する電気的投入状態の相対位置と図3に示すような電気的開放状態の相対位置との間を、図2に示す位置のような中間的な相対位置を通って移動可能である。図示した実施形態では、可動式の接続部材24は、例えば金属などの導電性材料でできていることが好ましく、また、第2の電極の本体部に電気的に接続されているため、可動式の接続部材24は、その位置に関わらず、対応する接続端子30に常時電気的に接続されている。
【0037】
投入状態の相対位置において、接続部材24は、中心軸A1に沿って長手方向に、第1の電極20に向かって電極間の電気的絶縁間隔を通って移動した状態にある。以下、投入状態の相対位置は、開閉装置を開放する方向に移動する際に2つの電極が最後に電気的に接触していた位置、すなわち、2つの電極間の機械的な接触を通じた伝導によって電流が流れることができる最後の位置であるものとする。装置によっては、最終的な電気的投入状態の位置と、開閉装置を開放する方向に移動する2つの電極間の最後の電気的接触の位置との間に、ある程度のデッドストローク(course morte)が存在する。しかし、ここでは、この最後の電気的接触の位置のみを考慮する。接続部材24は、公知の仕方で、投入状態の相対位置から開放状態の相対位置に向かって制御装置42によって移動され、該制御装置42は、この実施形態では、軸A1に実質的に平行な方向に移動可能な接続ロッド44を備え、該接続ロッド44自体は回転レバー46によって制御される。
【0038】
機械的な開閉装置10は、高電圧AC電気回路を有する電気設備14に設けるための装置であり、該電気設備14の例が図1に示されている。
【0039】
このような設備では、第1の電極20は、例えば、AC電圧源32を有する電気回路の対応する上流部分に電気的に接続されていてもよく、AC電圧源32は、AC電圧発生器などの1次電圧源であってもよく、変圧器または変換器などの2次電圧源であってもよい。AC電圧源32と開閉装置10との間には、複数の開閉装置を含むあらゆる種類の電気的装置が存在していてもよい。ただし、該回路の上流部分は、第1の電極にAC電位が与えられている状態にあるものとする。図示した例では、第1の電極には、電圧源32から直接的または間接的に印加されたAC電位が与えられている。
【0040】
これに対し、他方の電極、すなわち第2の電極22は、少なくとも該電極の特定の配置状態において、あらゆる電圧源およびあらゆる電気的接地点から電気的に切り離されている。上述したように、第2の電極22は電気回路の下流部分に接続されており、該下流部分は、特に、例えば開閉装置10とユーザ電圧ネットワーク36との間の電流を遮断する機能を果たす回路遮断器などの開閉装置34を含み得る。この場合、開閉装置が開放状態の相対位置にあり、下流の回路遮断器34が開いている配置状態では、第2の電極22は、何らかの他の電圧源および電気的接地点のいずれにも電気的に接続されていないため、浮遊電位にある。
【0041】
第2の電極にトラップされた電荷の絶対値を抑えるために、本発明は、機械的な開閉装置10の開放を制御する新たな方法を提案する。
【0042】
図5A図5B、および図5Cに部分的に示す例において、該方法は、
a)2つの電極20,22が、投入状態の相対位置からの相対移動を最大第1平均分離速度で行う初期開放工程であって、該最大第1平均分離速度は少なくとも1つの高速開放期間の間に測定される速度であり、該高速開放期間の継続時間T1が第1の電極のAC電位の変動周期の1倍に等しい初期開放工程と、
b)初期工程の後に2つの電極20,22が安定化平均分離速度で相対移動を行う少なくとも1つの安定化工程であって、該安定化平均分離速度は、安定化期間において求められる速度であるとともに最大第1平均分離速度よりも小さな速度であり、該安定化期間の継続時間T2が第1の電極のAC電位の変動周期の少なくとも5倍に等しいとともに2つの電極の間の最終間隔(Ef)の10%〜90%にあたる間隔に対応する安定化工程と、を備える。有利には、安定化平均分離速度は、最大第1平均分離速度の50%未満であり得る。
【0043】
初期高速開放工程により、2つの電極を明確に分離できるとともに、開放のための移動の合計時間が短縮される。
【0044】
後述する例からわかるように、安定化工程は、2つの電極20,22が開放のための相対移動を行って互いに遠ざかり続ける工程を含み得る。ただし、安定化工程は、2つの電極の相対移動を少なくとも1度停止させることを含むことが好ましい。例えば、図5Bの例からわかるように、安定化工程は、2つの電極20,22の相対移動を停止させることからなるのでもよい。
【0045】
このような方法は、電気回路用の機械的な開閉装置の2つの電極20,22の開放のための相対移動を手動で制御して行ってもよい。ただし、有利には、機械的な開閉装置において該方法が自動的に行われるように構成される。
【0046】
そこで、電気回路を開放するための機械的な開閉装置において、2つの電極の相対移動を制御するための制御装置42は、例えば、上述の特徴および/または後述する追加的な方法の特徴の1つ以上を有する制御方法を行うように構成され得る。
【0047】
例えば、制御装置42は、2つの電極20,22の相対移動を、場合によっては伝達機構を介して生じさせることが可能なアクチュエータ48であって、例えば電子モータ、空気モータ、またはエネルギー蓄積モータなどであるアクチュエータ48を備え得る。図示した例では、伝達機構は、接続ロッド44とレバー46とを備える。伝達機構は、アクチュエータ48を電極の少なくとも一方に接続させて、該電極の移動を制御する。具体的には、伝達機構44,46は、第1の電極および第2の電極の本体部を移動させることなく可動式の接続部材24を移動させる。制御装置42は、アクチュエータ48を制御する制御器を、例えば電子モニタリング/制御ユニット52として備える。電子モニタリング/制御ユニット52は、相互に通信する複数の独立した構成要素でできていてもよい。
【0048】
例えば、電子モニタリング/制御ユニット52は、制御装置42、特にアクチュエータ48を制御して、2つの電極の相対移動を、特に2つの電極の開放のための移動の間に生じる2つの電気アークの発生間隔に応じて制御可能なように構成され得る。特に、電子モニタリング/制御ユニット52は、アクチュエータ48の速度が上述した工程に従うように、場合によっては後述する工程の1つ以上にも従うように、アクチュエータ48を制御するようにプログラムされ得る。
【0049】
変形例として、または追加の構成として、制御装置が電極の移動を制御するためのアクチュエータを備え、該アクチュエータが、該アクチュエータを電極の少なくとも一方に接続している伝達機構によって該電極の移動を制御するアクチュエータであり、伝達機構が、例えばアクチュエータが一定の速度で作動している場合に、電極の少なくとも一方が伝達機構によって制御されて上述した工程に従うように、場合によっては後述する工程の1つ以上にも従うように、構成してもよい。このような実施形態の例を後に詳述する。
【0050】
より詳細には、2つの電極20,22の相対移動のいくつかの変形例を開閉装置10を開放する動作中の時間の関数として示している図5A図5Dを参照すると、2つの電極20,22は、開放のための移動において、2つの電極間の間隔Eがゼロである電気的投入状態の相対位置から間隔Efが最大となる電気的開放状態の相対位置まで相対移動することがわかる。この動作は時点t0から時点tfまでの間に行われるが、時点t0は、電流が伝導によって流れることを可能にする物理的な接触を2つの電極20,22が失う時点に相当し、時点tfは、2つの電極20,22が最終的な開放状態の相対位置に達する時点に相当する。
【0051】
任意の時点での間隔Eは、エンクロージャ12内で2つの電極20,22を取り囲んでいる絶縁性流体中での電極間の最短距離として求め得る。図示した例では、管状部24が突出している限りにおいて、2つの電極20,22間の間隔は、第2の電極22の本体部に対して第1の電極20の側で、第1の電極20と管状部24との間の間隔に相当する。当然ながら、管状部が第2の電極22の本体部の内部に収容された場合、2つの電極20,22間の間隔は第1の電極20と第2の電極22の本体部との間の間隔に相当し、管状部24の分離移動が継続してもこの間隔は一定のままである。
【0052】
このように、上記間隔は、2つの電極20,22の間を電気アークが伝搬される最短距離に相当する。
【0053】
図示した例では、2つの電極の分離移動は軸に沿った直線移動であり、上記間隔は、該軸に沿って測定した2つの電極間の最短距離に相当する。
【0054】
2つの電極20,22の瞬間分離速度は、2つの電極間の間隔の時間導関数に相当することがわかる。したがって、瞬間分離速度は、例えば相対的な分離移動が直線に沿っていない特定の場合など、2つの電極20,22の一方の移動の速度と異なり得る。
【0055】
図5A図5Dに示した実施形態では、電極20,22の開放のための相対移動は、少なくとも2つの工程に分けられ得る。
【0056】
高速初期開放工程は、時点t0に始まり、例えば図5A図5Cの例において時点ta1として示されている終了時点まで続く。この初期工程の間、2つの電極20,22は漸次互いに遠ざかる。
【0057】
初期工程の間、2つの電極の相対移動は、本工程の継続時間を抑えるために、停止することなく連続的であることが好ましい。初期工程の間の2つの電極の瞬間分離速度は、図5A図5Cに示すように一定であってもよく、図5Dに示すようにこの工程中に変化してもよい。
【0058】
図5A図5Cに示すように、高速初期開放工程の間、分離速度が一定である場合または一定であるとみなされる場合、2つの電極20,22は、2つの電極の中間相対位置に対応する間隔値Ea1に至るまで、第1平均分離速度V1で漸次互いに遠ざかる。第1分離速度は、該速度が一定である場合、例えば以下の値を持つものとして算出され得る。
V1=Ea1/(ta1−t0
【0059】
初期工程に続いて少なくとも1つの安定化工程が行われ、場合によっては初期工程の後に複数の安定化工程が行われるが、該安定化工程では、2つの電極が、第1平均分離速度よりも小さい第2平均分離速度で相対移動を行う。
【0060】
図5A図5Cの例では、安定化工程は、分離速度が一定の工程であり、開始時点ta1から終了時点tb1まで続く。開始時点ta1は、この例では初期開放工程の終了時点に相当し、終了時点tb1は、2つの電極20,22が、電極間の間隔が第2の値Eb1に達した相対位置をとる時点である。この安定化工程の間、2つの電極の相対移動は、第1平均分離速度V1より小さい平均分離速度V2で行われる。例えば、第2平均分離速度V2は、以下の値を持つものとして算出され得る。
V2=(Eb1−Ea1)/(tb1−ta1
【0061】
安定化工程の間、2つの電極の瞬間分離速度は、図5A図5Cに示すように一定であってもよく、図5Dに示すようにこの工程中に変化してもよい。安定化工程の間、図5Bに示すように2つの電極20,22は互いに対して固定されていてもよく、この場合は平均分離速度V2がゼロであることに相当する。
【0062】
安定化工程の間の相対移動の平均分離速度V2がゼロではない場合には、安定化工程が、2つの電極20,22が最大間隔Efをとる開放状態の相対位置に到達するまで続くように構成され得る。
【0063】
ただし、特に図5Aおよび図5Bに示す例では、本方法は、安定化工程の後に、急速な開放を続行する少なくとも1つの工程を含んでもよく、該工程は、これらの例では、安定化工程の終了後の時点tb1に始まり、該工程において、2つの電極20,22の相対移動が、安定化工程時の第2平均分離速度V2より大きな第3平均分離速度V3で行われる。この開放続行工程は、2つの電極が最大間隔Efをとる開放状態の相対位置に到達するまで続いてもよい。このような場合、特に図5Aおよび図5Bに示すような場合には、第3平均分離速度V3は、例えば、以下の値を持つものとして算出され得る。
V3=(Ef−Eb1)/(tf−tb1
【0064】
第3平均分離速度V3は、初期開放工程時の第1平均分離速度V1と等しくてもよく、第1平均分離速度V1より大きくてもよく、または第1平均分離速度V1より小さくてもよいことがわかる。
【0065】
ただし、図5Cに示すように、本方法は、上述したような開放続行工程の後に、2つの電極の相対移動が第4平均分離速度V4で行われる2次的な安定化工程を含み得る。図示した例では、2次的な安定化工程は、開始時点ta2から終了時点tb2まで続く。このような場合、第4平均分離速度V4は、例えば、以下の値を持つものとして算出され得る。
V4=(Eb2−Ea2)/(tb2−ta2
【0066】
第4平均分離速度V4は、該速度の直前の速度である上記開放続行工程時の第3平均分離速度V3より小さい。当然ながら、第3平均分離速度V3は、例えば、以下の値を持つものとして算出され得る。
V3=(Ea2−Eb1)/(ta2−tb1
【0067】
第4平均分離速度V4は、上述した第1の安定化工程時の第2平均分離速度V2と等しくてもよく、第2平均分離速度V2より小さくてもよく、または第2平均分離速度V2より大きくてもよい。
【0068】
第4平均分離速度V4は、好ましくは、上記初期開放工程時の第1平均分離速度V1より小さい。
【0069】
第4平均分離速度V4は、2次的な安定化工程の間、図示したように一定であってもよく、または変化してもよく、またはゼロであってもよい。
【0070】
2次的な安定化工程は、2つの電極20,22の相対移動を停止させることのみから構成されるのではない場合、2つの電極が電気的開放状態の相対位置に達するまで継続されてもよいことがわかる。ただし、図5Cに示した例では、本方法は、電極20,22が最終的な開放状態の相対位置に達する最終開放工程を含む。この最終開放工程は、第1の安定化工程の平均分離速度より大きい、および/または2次的な安定化工程の平均分離速度より大きい平均分離速度で行われ得る。
【0071】
当然ながら、2次的な安定化工程の数を増やし、2つの2次的な安定化工程の間に開放続行工程をはさむことが可能であり、この開放続行工程では、2つの電極の平均分離速度が、該工程の直前と直後に行われる分離工程時の2つの電極の平均分離速度より大きい。
【0072】
図5A図5Cに示した例では、分離速度は、各工程において一定であるとみなしている。より詳細には、ある工程から別の工程へ移行する際、2つの電極の分離の相対速度の変化が急激に生じることから、ある工程から次の工程への移行が容易に認識され、このとき、2つの電極間の間隔の変化を時間の関数としてプロットしたグラフが明確な屈折点を有し、この屈折点が分離速度を表わす該間隔の導関数の不連続を示す。
【0073】
図5Dに示す例では、各工程における2つの電極の相対移動の分離速度は一定ではない。さらに、加速または減速が漸次的であるため、ある工程から次の工程への移行が急激な変化を伴わずに行われる。ただし、このような場合、安定化工程時の平均分離速度は、以下の方法によって求めることができる。
【0074】
安定化工程は、少なくとも1つの安定化期間を含む工程であって、該安定化期間の継続時間は、第1の電極のAC電位の変動周期の少なくとも5倍に等しく、該継続時間は、2つの電極の間の最終間隔Efの10%〜90%にあたる間隔に対応し、該安定期間の間、2つの電極の相対移動が0.03m/s未満の安定化平均分離速度V2で行われる工程である。本発明において、安定化工程の正確な開始時点および終了時点は必ずしも厳密には定められないが、このような工程の存在は、上記のような少なくとも1つの安定化期間の存在によって定められることが理解できる。この限りにおいて、1つの安定化工程は、1つの上記のような安定化期間からなる。
【0075】
図5Dに示す例では、上記の定義を満たす2つの安定化期間が示されており、両方の期間とも同一の安定化工程に属している。安定化工程の継続時間が第1の電極のAC電位の変動周期の5倍より長い場合、該安定化工程の間に、互いに連続する、または部分的に重複する複数の、さらには無数の安定化期間を定めることも事実上可能であることが理解できる。
【0076】
時点t2iに始まり、時点t2fに終了する安定化期間を複数の安定化期間のうちの1番目の安定化期間として図示しており、時点t2iおよび時点t2fはそれぞれ2つの電極間の間隔E2iおよび間隔E2fに対応する。該安定化期間の継続時間T2は、例えば第1の電極のAC電位の変動周期の5倍に等しい。この第1の安定化期間における2つの電極の平均分離速度は、以下の通りである。
V21=(E2f−E2i)/(t2f−t2i)=(E2f−E2i)/T2
【0077】
最小安定化平均分離速度もV2minとして定義する。この目的のために、時点t2iminに始まり、時点t2fminに終了する安定化期間を複数の安定化期間のうちの2番目の安定化期間として定義し図示しており、時点t2iminおよび時点t2fminはそれぞれ2つの電極間の間隔E2iminおよび間隔E2fminに対応する。該安定化期間の継続時間T2は、第1の電極のAC電位の変動周期の5倍に設定されている。時点t2iminおよび時点t2fminは、2つの電極の分離移動の瞬間速度が極小値となる時点t2minの前後に時点t2minからの時間が等しくなるように選択される。上記極小値は、電極間の間隔の増大率の変化率が負の値から正の値へと転じる途中でゼロとなる時点に対応する。この安定化期間時の2つの電極の平均分離速度は、以下の通りである。
V2min=(E2fmin−E2imin)/(t2fmin−t2imin)=(E2fmin−E2imin)/T2
この例では、第2の期間が、安定化平均分離速度V2minが最小であるとみなされる期間である。最小安定化平均分離速度V2minは、0.03m/s未満である。
【0078】
図5Dに示した例では、安定化段階の前に開放工程を、安定化段階の後に開放続行工程を定めることが可能であり、これらの工程はそれぞれ、2つの電極の分離移動の速度が時点t1maxまたはt3maxに極大値をとる工程として定められる。該極大値は、電極間の間隔の増加率の変化率が正の値から負の値へと転じる途中でゼロとなる時点に対応する。時点t1maxは、安定化工程時の極小値の時点t2minよりも前の時点である。時点t3maxは、安定化工程時の極小値の時点t2minよりも後の時点である。
【0079】
初期開放工程は、少なくとも1つの高速開放期間を含み、該高速開放期間の継続時間T1は第1の電極のAC電位の変動周期の少なくとも1倍、例えば第1の電極のAC電位の変動周期の1倍に等しく、該高速開放期間の間、2つの電極の相対移動は、0.05m/sより大きい第1平均分離速度V1、好ましくは0.1m/sより大きい第1平均分離速度V1で行われる。
【0080】
最小安定化平均分離速度V1maxも定義する。この目的のために、安定化工程の前の初期開放工程時に2つの電極の分離移動の瞬間速度が極大値となる時点t1maxの前後に時点t1imaxと時点t1fmaxとを時点t1maxからの時間が等しくなるように選択することによって、継続時間T1が第1の電極のAC電位の変動周期の1倍に等しい高速開放期間を定めることができる。E1imaxとE1fmaxとは、それぞれの時点に対応する2つの電極間の間隔の値である。この高速開放期間における第1平均分離速度V1、具体的には最大第1平均分離速度V1maxは、下記式を用いて極めて容易に算出され得る。
V1max=(E1fmax−E1imax)/(t1fmax−t1imax)=(E1fmax−E1imax)/T1
【0081】
最大第1平均分離速度V1maxは、好ましくは0.05m/sより大きく、より好ましくは0.1m/sより大きい。
【0082】
開放続行工程は、少なくとも1つの開放続行期間を含み、該開放続行期間の継続時間は第1の電極のAC電位の変動周期の少なくとも5倍に等しく、該開放続行期間の間、2つの電極20,22,24の相対移動は、最小安定化平均分離速度V2minより大きく、好ましくは0.03m/sより大きく、より好ましくは0.05m/sより大きい平均分離速度V3で行われる。
【0083】
最小安定化平均分離速度V3maxも定義する。この目的のために、安定化工程の後の開放続行工程時に2つの電極の分離移動の瞬間速度が極大値となる時点t3maxの前後に時点t3imaxと時点t3fmaxとを時点t3maxからの時間が等しくなるように選択することによって、継続時間T3が第1の電極のAC電位の変動周期の5倍に等しい開放続行期間を定めることができる。E3imaxとE3fmaxとは、それぞれの時点に対応する2つの電極間の間隔の値である。この開放続行期間における最大第3平均分離速度V3maxは、下記式を用いて極めて容易に算出され得る。
V3max=(E3fmax−E3imax)/(t3fmax−t3imax)=(E3fmax−E3imax)/T3
【0084】
この開放続行期間時の最大第3平均分離速度V3maxは0.03m/sより大きいことが好ましく、好ましくは0.05m/sより大きく、より好ましくは0.1m/sより大きい。
【0085】
継続時間T2が第1の電極のAC電位の変動周期の5倍に等しい安定化期間であって、2つの電極の分離移動の瞬間速度が極小値となる時点t2minが中心点である該安定化期間における最小安定化平均分離速度V2minは、継続時間T1が第1の電極のAC電位の変動周期の1倍に等しい高速開放期間であって、安定化工程の前の初期開放工程時に2つの電極の分離移動の瞬間速度が極大値となる時点t1maxが中心点である該高速開放期間における最大第1平均分離速度V1maxの0.5倍未満であることが好ましい。
【0086】
同様に、継続時間T2が第1の電極のAC電位の変動周期の5倍に等しい安定化期間であって、2つの電極の分離移動の瞬間速度が極小値となる時点t2minが中心点である該安定化期間における最小安定化平均分離速度V2minは、継続時間T3が第1の電極のAC電位の変動周期の1倍に等しい開放続行期間であって、安定化工程の後の開放続行程時に2つの電極の分離移動の瞬間速度が極大値となる時点t3maxが中心点である該開放続行期間における最大第3平均分離速度V3maxの0.5倍未満であることが好ましい。
【0087】
本方法が高速で開放を続行する工程を有しない場合、電極間の間隔を表わすグラフは、分離移動速度の極小点の後に分離速度の極大点を有しない。このような場合、安定化工程は、2つの電極間の間隔が最大となる開放状態の相対位置で終了すると考えられる。
【0088】
必要な場合、2次的な安定化段階(複数の2次的な安定化段階)についても、同様の方法を用いて平均分離速度を算出し得る。
【0089】
図5Dに示す一般的な場合において適切な速度を決定するための上述した方法は、各工程において速度が一定である図5A図5Cの例にも妥当することが理解されるはずである。
【0090】
通常、安定化工程は、互いに連続した、または部分的に重複した複数の安定化期間であって、各安定化期間の継続時間(T2)が第1の電極のAC電位の変動周期の少なくとも5倍に等しく、該継続時間が2つの電極の間の最終間隔(Ef)の10%〜90%にあたる間隔に対応し、各安定化期間の間、2つの電極の相対移動が0.03m/sより小さい安定化平均分離速度V2で行われる複数の安定化期間の全てを包含する連続的な期間としてみなし得る。
【0091】
上記からわかるように、安定化工程は、2つの電極が物理的に接触している最後の位置である投入状態の相対位置と、2つの電極間の間隔が最大間隔Efである最終的な開放状態の相対位置との間の中間相対位置Ea1において始まる。上述したように、一定の速度で行われる安定化工程においては、該安定化工程の開始は容易に認識可能である。より一般的な場合、安定化工程の開始は、上述したように、互いに連続した、または部分的に重複した複数の安定化期間の全てを包含する連続的な期間の開始である。より一般的な場合、安定化工程の終了は、上述したように、互いに連続した、または部分的に重複した複数の安定化期間の全てを包含する連続的な期間の終了である。このように定義される開始から終了まで、安定化工程の継続時間は、第1の電極20に与えられている電位の変動周期の少なくとも5倍、または少なくとも10倍、さらには少なくとも20倍に等しい。
【0092】
図示した他の例では、安定化工程は、2つの電極間の間隔がEa1の位置であって、2つの電極の投入状態の相対位置とも最終的な開放状態の相対位置とも異なる位置において始まる。
【0093】
ある変形実施形態では、安定化工程は、2つの電極20,22,24の所定の相対位置に対応するように開始され得る。このような場合、安定化工程が開始される位置である2つの電極の中間相対位置Ea1が所定の相対位置となる。
【0094】
一方、別の変形実施形態では、安定化工程は、装置の少なくとも1つの動作パラメータに応じて開始され得る。例えば、このような動作パラメータは、装置の構造上の幾何学的パラメータ、および/またはエンクロージャ12の内部の気体の性質および/または圧力に関連するパラメータ、および/または装置に与えられている電位(複数の電位)における特徴的なパラメータ、および/または2つの電極の離間速度プロファイルを含み得る。このような場合、安定化工程が開始される位置である2つの電極の中間相対位置Ea1は、少なくとも装置の該動作パラメータに応じて決定される相対位置である。そこで、例えば、安定化工程は、放電開始電圧、すなわち2つの電極20,22,24の間に電気アークが生じる瞬間の2つの電極間の電圧に応じて開始され得る。また、例えば、安定化工程は、少なくとも、開放のための移動中に第1の電極と第2の電極との間に生じる2つの電気アークの発生間隔に応じて開始され得る。
【0095】
具体的には、本発明のある実施形態では、初期開放工程時および/または開放続行工程時に、第1の電極と第2の電極との間に逐次的に生じる電気アークの発生間隔を検出可能であり、次いで、検出した発生間隔の長さを基準値と比較でき、該基準値を超えた場合に安定化工程を開始させる。
【0096】
この目的のために、開閉装置が、2つの電極の間、より詳細には可動部材24と対向している電極20との間の電気アークの存在を検出可能なセンサ50を備えるように構成し得る。例えば、センサ50は、2つの電極間の空間を観察する光学センサであってもよく、電気回路内、好ましくは開閉装置10の近くにある電気センサであってもよく、電気アークの発生に伴う過電圧によってエンクロージャ12の内部に生じる電磁場を感知可能な電磁センサであってもよい。また、センサ50は、複数のセンサの組み合わせを含んでいていてもよい。例えば、センサ50は、2つの電気アークの発生間隔をセンサ50によって送られてくる信号に応じて判定可能な電子制御ユニットに接続されていてもよい。
【0097】
図示した例では、制御装置42の電子モニタリング/制御ユニット52は、アクチュエータ48をモニタリングし制御することが可能なだけでなく、センサ50から信号を受信して2つの電極の間に逐次的に生じる2つの電気アークの発生間隔を判定可能である。
【0098】
このような構成によれば、電子モニタリング/制御ユニット52を、図6に示すような主要工程を有する機械的な開閉装置10の開放の制御方法を実行するようにプログラムすることができる。
【0099】
第1工程100において、該方法は、初期工程「開放開始V1」を含んでいてもよく、該初期工程において、電子モニタリング/制御ユニット52は、モータ48が伝達機構44,46を介して作動して2つの電極の投入状態の相対位置からの高速相対移動を引き起こすようにモータ48を制御することによって装置に開放を開始させる。この移動の速度プロファイルは、中でも、図5A図5Dに示したプロファイルのうちのいずれかであり得、例えば、図5A図5Cに示すように第1平均分離速度V1で一定である速度プロファイルであってもよく、図5Dに示すように変化する速度プロファイルであってもよい。
【0100】
この初期工程100が継続されている間に、モニタリング/制御ユニット52は、第1の電極と第2の電極との間に生じる2つの電気アークの発生間隔Δt50を検出するための検出工程200を開始できる。この工程は、装置の開放に由来する可動部材24と対向する電極20との間の電気アークの存在に関する信号であって、センサ50から送られてくる信号を受信することを含み得る。この場合、モニタリング/制御ユニット52は、上記信号から、センサ50によって検出された2つの逐次的に生じたアークの発生間隔Δt50を推測できる。この発生間隔Δt50の判定は、初期工程100の初めから開始されてもよく、またはやや遅れて開始されてもよく、例えば、第1の遅延時間の経過後、または2つの電極間の間隔が閾値に達した後に開始されてもよい。
【0101】
検出工程200によって2つの逐次的に生じるアークの逐次現れる発生間隔を判定できるようになるとすぐに、モニタリング/制御ユニット52は、比較工程300において、センサ50によって測定された上記発生間隔Δt50を基準発生間隔Δtrefと比較するように作動できるようになる。この基準発生間隔Δtrefは、モニタリング/制御ユニット52に記憶された値であり得る。基準発生間隔Δtrefは、開閉装置10の動作パラメータに応じて一覧表から選択される値であり得る。また、基準値Δtrefは、開閉装置10または設備の1つまたは複数の動作パラメータに応じて算出される値であってもよい。
【0102】
比較工程300によって、測定された発生間隔Δt50の長さが基準値Δtrefより大きくなったと判断されると、モニタリング/制御ユニット52は、初期工程に続く安定化工程400「安定化開始V2」を開始でき、該安定化工程400において、2つの電極の相対移動が速度を低下させた速度プロファイルに従って行われる。この移動の速度プロファイルは、中でも、図5A図5Dに示したプロファイルのいずれかであり得、例えば、図5A図5Cに示すように、一定の第1分離速度V1より小さい安定化平均分離速度V2で速度が一定である一定速度プロファイルであってもよく、図5Dに示すように、変動速度プロファイルであってもよい。次いで、モニタリング/制御ユニット52は、モータ48に送られる制御信号を変更して、2つの電極の分離移動の速度を低下させる。
【0103】
安定化工程の継続時間は、予め定められていてもよく、例えば所定の継続時間として予め定められてもよく、2つの電極間の間隔の閾値に基づいて予め定められてもよい。また、この継続時間は、例えば開閉装置の構造上の幾何学的パラメータや装置に与えられている電位(複数の電位)における特徴的なパラメータなどの開閉装置に関する1つまたは複数の動作パラメータに応じて定められてもよく、特に、一覧表からの値の選択によって定められてもよく、上記パラメータに応じた算出によって定められてもよい。
【0104】
この実施形態では、安定化工程の後に、少なくとも1つの開放続行工程500「開放開始V3」を行うように構成され、該開放続行工程500において、2つの電極の相対移動は、第2平均分離速度より大きい平均分離速度で行われる。
【0105】
開放続行工程500は、2つの電極間の間隔が最終間隔となる電気的開放状態の相対位置に2つの電極が達するまで変化することなく続行させてもよく、それにより、制御装置42の停止工程700「停止」が開始される。
【0106】
ただし、図示した例では、開放続行工程500中に、モニタリング工程600「テスト」を行うように構成されており、該モニタリング工程600では、センサ50から送られてくる信号を用いて2つの電極の間に発生し得る電気アークを検出する。
【0107】
本方法は、このようなアークが検出された場合、上述した安定化工程400に直接戻ることによって2次的な安定化工程を直接開始するように構成されているか、または上述した比較工程300に戻るように構成されていると有利であり得る。この場合、2次的な安定化工程の開始は、少なくとも、開放続行工程時に第1の電極と第2の電極との間に生じる電気アークの検出に応じて決定される。
【0108】
本方法では、あらゆる場合において、2つの電極間の間隔が最終間隔に達すると、制御装置42を停止させる停止工程700が開始される。
【0109】
当然ながら、本方法のその他の変形例も考えられ、特に、図5A図5Dを参照して説明した方法に準じた変形例が考えられる。
【0110】
例えば、安定化工程の終了は、2つの電極の間の電気アークの存在の検出に応じて決定することもでき、該検出はセンサ50を用いて行われ得る。例えば、2つの電極20,22,24の間にアークが最後に検出されてから所定時間が経過した後で安定化工程を終了させるように構成されていてもよい。この場合、上記所定時間の経過後に、開放続行工程を開始させることができる。
【0111】
上記プロセスにおける安定化工程を行う時期は、例えば、安定化工程、特に第1の安定化工程の開始時点ta1,ta2と終了時点tb1,tb2とによって定められるが、好ましくは、該安定化工程時に電極20,22が少なくとも以下のような最後のアーク発生相対位置をとるように予め定められる、選択される、または算出される。
‐第1の電極の電位の値として、当該位置において、第2の電極の電位の前の時点での値に対して、2つの電極の間に電気アークを発生させる値が存在する位置であり、かつ、
‐該電気アークによって、第2の電極の電位が、第1の電極と第2の電極との間の電位差が当該位置における電極間の最小耐電圧より小さくなる最終電位となる位置。
【0112】
上記位置における電極間の最小耐電圧は、当該位置において2つの電極20,22,24の間に電気アークを発生させるような2つの電極間の電圧に対応する。最小耐電圧は、各設備ごとに、実地試験によって求められ得る。
【0113】
上記のような位置が見つからない場合、上記の結果が得られるまで、少なくとも1つの2次的な安定化工程を行う必要があることがあり得る。
【0114】
すなわち、上記位置は、設備内の開閉装置の動作パラメータを考慮すると、第1の電極と第2の電極との間の電位差が、場合によっては第1の電極の電位の周期的な変動に伴って逐次的に発生する電気アークによって起こる数回の値の変化を経た後で、最終値に達する位置であり、該最終値に達した後、第2の電極の電位は、2つの電極の開放のための相対移動が続けられている間、2つの電極が電気的開放状態の相対位置に達するまでもはや変化しなくなる。本発明によれば、浮遊電位にある電極の電位が、存在し得る最小の電位にできるだけ近い電位となるように安定化される。存在し得る最小の電位は、断路器の構造に関するパラメータに依存する。
【0115】
通常、安定化工程の開始時点と終了時点、およびこれら2つの時点に対応する2つの電極間の間隔は、安定化工程時に、電極間の間隔の値が最終的な開放状態の位置における電極の間隔の値の10%〜90%の範囲となる少なくとも1つの相対位置を電極がとるように選択される。
【0116】
シミュレーションおよびテストにより、ある構成では、安定化工程時に、電極間の間隔の値が最終的な開放状態の相対位置における電極間の間隔の値の10%〜50%、より厳密には10%〜30%の範囲にある少なくとも1つの相対位置を電極がとる場合に、満足のいく結果が得られることが示された。別の構成では、安定化工程時に、電極間の間隔の値が間隔の値の40%〜90%、より好ましくは60%〜90%の範囲にある少なくとも1つの相対位置を電極がとる場合に、満足のいく結果が得られる。
【0117】
好ましくは、安定化工程の継続時間は、安定化工程時に最後の電気アークが発生する可能性を高める観点から、第1の電極に与えられているAC電位の変動周期、具体的には電圧源の電圧の変動周期の少なくとも5倍であり、第1の電極に与えられているAC電位の変動周期の少なくとも15倍であることが好ましい。
【0118】
シミュレーションおよびテストにより、安定化工程の継続時間は、第1の電極に与えられているAC電位の変動周期の75倍未満であってもよく、第1の電極に与えられているAC電位の変動周期の50倍未満であることが好ましいことが示された。このように安定化段階の継続時間を制限することにより、2つの電極の電気的投入状態の相対位置から電気的開放状態の相対位置までの開閉装置の開放のための移動に必要な合計時間が短縮される。この継続時間の制限に着目することによっても、安定化工程時に最後の電気アークが得られることが概ね理解される。
【0119】
シミュレーションおよびテストにより、間隔の値の増加によって生じる装置の最大耐電圧の増加の増加率が1.0pu/s未満、好ましくは0.5pu/s未満の割合で増加するように第2平均分離速度を選択できることが示された。ここで、1puは、第1の電極が受けているAC電圧のピーク値、具体的には電圧源の電圧のピーク値である。
【0120】
安定化工程を行う時期、安定化工程の継続時間、および装置の最大耐電圧の最大増加率に関する上記推奨事項を採用した場合、2つの電極が最終的な開放状態の相対位置に達した際、第2の電極の電位が0.5pu未満となることがシミュレーションによって示された。
【0121】
図7A図7Dは、電気回路用の機械的な開閉装置の一実施形態を示しており、該開閉装置は、図1図3を参照して上述したものと同様ではあるが、アクチュエータ48を電極の少なくとも一方、具体的には第2の電極22の管状部24に接続している伝達機構44,46が、完全に機械的な仕方で本発明の方法を実現するように構成されている。
【0122】
該機構は、同様に、アクチュエータ48によって駆動されて電極の移動軸A1に垂直な軸A2の周りを回転するレバー46を備えている。レバー46の回転軸A2とは反対側の端部では、接続ロッド44が、軸A2に平行な軸A3を有するヒンジピン54によってレバー46に対して軸A3周りにヒンジ接続されており、ヒンジピン54は、軸A2および軸A3に垂直な平面において、レバー46に形成されたL字溝56に収容されている。L字溝56は、長い方のデッドストローク分枝部分56bと短い方の初期駆動分枝部分56aとを有しており、これら2つの分枝部分は互いに約90°の角度を成している。2つの分枝部分56a,56bのそれぞれは、共通の交点から各々の端部へ向かって延びている。
【0123】
図7Aの状態は、電気的投入状態の相対位置に対応するが、この状態において、レバー46は、短い方の分枝部分56aが、長い方の分枝部分56bとの交点に関して第1の電極20に向かって前方を向くように向いていることが理解できる。ヒンジピン54は、短い方の分枝部分56bの端部に収容されている。
【0124】
開放のための移動時、レバー46はアクチュエータ48によって駆動され、具体的には、図面における時計回りの方向に駆動される。ヒンジピン54は、溝の短い方の分枝部分56aに収容されているため、該端部によって後方向に駆動されて、ヒンジピン54が接続ロッド44によって接続されている第2の電極22,24を離間させる。
【0125】
図7Bは、溝56の短い方の分枝部分の向きが接続ロッド44に実質的に垂直である伝達機構の状態を示している。この状態から、ヒンジピン54が、力および重力の作用を受けて溝の短い方の分枝部分56aの端部から出て、溝の長い方の分枝部分56bとの交点へと向かう。このとき、溝の長い方の分枝部分56bは、開放のための移動の軸A1と実質的に平行であることがわかる。
【0126】
図7Bの状態から図7Cの状態となるまでの間、レバー46は軸A2周りの回転運動を続けるが、この回転運動によって接続ロッド44が移動することはなく、したがって、この回転運動によって電極22,24が移動することもない。具体的には、これら2つの状態の中間の状態において、接続ロッド44とレバー46との間のヒンジピン54は、溝56の長い方の分枝部分56bに沿って、交点から該分枝部分の端部に向かって自在に移動でき、図7Cに示す状態ではヒンジピン54が該端部に到達している。このように、図7Bの状態から図7Cの状態となるまでの間、レバー46が回転運動を続ける一方で、第2の電極22の管状部24は移動せずに第1の電極に対して一定の間隔を保つことがわかる。
【0127】
レバー46が、図7Cに示す状態からさらに軸A2周りの回転運動を続けると、ヒンジピン54がL字溝56の長い方の分枝部分56bの端部に収容されているため、接続ロッド44、ひいては第2の電極22,24が開放のための移動を行う状態に戻り、図7Dに示す電気的開放状態の相対位置に達するまで開放のための移動を行うことがわかる。
【0128】
このように、図示したような制御装置を用いた場合、例えば一定速度で駆動されるモータ48によって引き起こされるレバー46の軸A2周りの一定速度での回転運動によって、図7Bの状態と図7Cの状態との間に停止段階を含む第2の電極22,24の移動が行われることがわかる。このように、図7A図7Dに示した装置は、2つの電極の相対移動が停止される安定化工程を、図7Aの状態から図7Bの状態までの初期開放工程と図7Cの状態から図7Dの状態までの開放続行工程との間に行うことを可能にするという意味において、該装置は、機械的な手段を用いて図5Bの移動プロファイルと類似の移動プロファイルを示すような仕方で電極を移動させるといえる。
【0129】
本発明は上述し図示した例に限定されず、これらの例に対して本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更を施すことが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7