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特許6880065ホイールアクスルアセンブリ及びホイールフォークの取り付け構造、フレーム、並びに車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880065
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ホイールアクスルアセンブリ及びホイールフォークの取り付け構造、フレーム、並びに車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/02 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   B62K25/02
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-553954(P2018-553954)
(86)(22)【出願日】2017年7月5日
(65)【公表番号】特表2019-518641(P2019-518641A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】CN2017091883
(87)【国際公開番号】WO2018059055
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2018年10月12日
(31)【優先権主張番号】201610857665.3
(32)【優先日】2016年9月27日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201610857565.0
(32)【優先日】2016年9月27日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516175973
【氏名又は名称】北京摩▲拝▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING MOBIKE TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シィー,ホンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ,チービン
(72)【発明者】
【氏名】ヂォゥ,チー
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−083370(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201573753(CN,U)
【文献】 特開2005−325919(JP,A)
【文献】 特開2003−026067(JP,A)
【文献】 米国特許第5240087(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 25/00 − 25/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールアクスルアセンブリ及びホイールフォークを含む、ホイールアクスルアセンブリとホイールフォークとの取り付け構造であって、
前記ホイールアクスルアセンブリは、
ホイールアクスルと、
該ホイールアクスル上に順次に嵌着された第1軸受け、ブッシング、及び第2軸受けと、
前記第1軸受けと前記第2軸受けの外輪に架け渡されたドラムと、
を含み、
前記ブッシングは、前記第1軸受けと前記第2軸受けとを軸方向に所定の距離を隔てるためのものであり、
前記ドラムは、スリーブ状であり、前記第1軸受けに架け渡されたその一端の外径が広がったフランジ部を備え、車輪を固着し取り付けるためのものであり、前記車輪と独立する独立部材であり、
前記車輪の一部は、軸方向に前記第1軸受けに当接し、
前記ホイールフォークは、
ホイールフォーク本体と、
前記ホイールフォーク本体の一端に形成されるとともに、前記ホイールフォーク本体とL字状を呈し、フレームに接続されるためのフレーム接続部と、
を含み、
前記ホイールアクスルは、車輪のリムの中心面に垂直な方向に沿ってホイールフォーク本体の他端に固定され、
前記ホイールアクスルの軸方向において、前記第2軸受けと前記ホイールフォークとの間にローラブレーキ方式のブレーキを取り付けるための空間が設けられ、
前記空間にはローラブレーキ方式のブレーキが取り付けられ、前記ドラムの前記第2軸受けに架け渡された一端はギヤ状であり、前記ローラブレーキ方式のブレーキの内輪歯盤として機能することを特徴とするホイールアクスルアセンブリ及びホイールフォークの取り付け構造。
【請求項2】
前記ホイールアクスルは、前記ホイールフォーク本体の端部と一体成型されることを特徴とする請求項1に記載の取り付け構造。
【請求項3】
前記ホイールフォーク本体の端部には、その延長方向に沿ってホイールアクスル取り付け部が形成され、
前記ホイールアクスル取り付け部には、前記車輪のリムの中心面に垂直な方向に沿って前記ホイールアクスルを固定接続するホイールアクスル用取り付け孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の取り付け構造。
【請求項4】
前記ホイールアクスル用取り付け孔の少なくとも一部の断面形状は非真円形であり、
ホイールアクセス用取り付け孔内に固定的に組み立てられるための前記ホイールアクスルの少なくとも一部は、それに対応する非真円形状に加工されていることを特徴とする請求項3に記載の取り付け構造。
【請求項5】
前記ホイールアクスル用取り付け孔は段付き穴であり、
段付き穴の段差部は、前記ホイールアクスルの一端に対応して設けられたエンドキャップ部を係止することを特徴とする請求項3または4に記載の取り付け構造。
【請求項6】
前記ホイールアクスル用取り付け孔の寸法は前記ホイールアクスルと締まり嵌め可能にするように設定されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一に記載の取り付け構造。
【請求項7】
前記ホイールフォーク本体は、前記フレーム接続部と一体成型されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の取り付け構造。
【請求項8】
前記ホイールフォーク本体には、少なくとも複数の補強リブが形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の取り付け構造。
【請求項9】
前記ローラブレーキ方式のブレーキの内輪歯盤を構成する前記ドラムの前記第2軸受けに架け渡された一端として、別個に製造された嵌入部材が用いられ、
該嵌入部材は前記ドラムのドラム本体に組み込み固定されることを特徴とする請求項に記載の取り付け構造。
【請求項10】
軸方向において、前記ブッシングとともに前記第1軸受けを挟み、且つ該第1軸受けの外輪の回動に影響を与えないように取り付けられた位置決め部材をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載の取り付け構造。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一に記載の取り付け構造を含むことを特徴とするフレーム。
【請求項12】
請求項11に記載のフレームを含むことを特徴とする車両。
【請求項13】
前記車両は二輪車又は三輪車であることを特徴とする請求項12に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホイールアクスルアセンブリ及びホイールフォークの取り付け構造に関し、さらに本発明は上記取り付け構造が適用されたフレームに関し、さらに本発明は二輪車や三輪車などの、上記フレームが適用された車に関する。
【背景技術】
【0002】
中国は自転車の使用・生産大国である。長期にわたり、自転車は、常に人々にとって、同じ都市内の近距離の主な移動手段である。例えば、本出願人が2015年9月29日に中国特許庁に提出した、発明の名称が「無チェーン自転車及びそのホイールフォーク、フレーム」である特許出願(出願番号が201510634705.3であり、以下で背景技術と呼ばれる)では、外見が独特で美しく、且つ構造が頑丈でコンパクトである、単一のホイールフォーク構造を有する自転車が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第105270561号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、簡単な構造を有し、且つ頑丈でコンパクトであり、そして加工しやすく、組み立てやすく、耐久性が良いホイールアクスルアセンブリとホイールフォークの取り付け構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様は、ホイールアクスルアセンブリ及びホイールフォークを含む、ホイールアクスルアセンブリとホイールフォークとの取り付け構造であって、
前記ホイールアクスルアセンブリは、ホイールアクスルと、該ホイールアクスル上に順次に嵌着された第1軸受け、ブッシングブッシング、及び第2軸受けと、前記第1軸受けと前記第2軸受けの外輪に架け渡されたドラムと、を含み、前記ブッシングは、前記第1軸受けと前記第2軸受けとを軸方向に所定の距離を隔てるためのものであり、前記ドラムは、スリーブ状であり、前記第1軸受けに架け渡されたその一端の外径が広がったフランジ部を備え、車輪を固着し取り付けるためのものであり、
前記ホイールフォークは、ホイールフォーク本体と、前記ホイールフォーク本体の一端に形成されるとともに、前記ホイールフォーク本体とL字状を呈し、フレームに接続されるためのフレーム接続部と、を含み、前記ホイールアクスルは、車輪のリムの中心面に垂直な方向に沿ってホイールフォーク本体の他端に固定された、ことを特徴とするホイールアクスルアセンブリ及びホイールフォークの取り付け構造である。
【0006】
選択肢の一つとして、前記ホイールアクスルは、前記ホイールフォーク本体の端部と一体成型される。
【0007】
選択肢の一つとして、前記ホイールフォーク本体の端部には、その延長方向に沿ってホイールアクスル取り付け部が形成され、
前記ホイールアクスル取り付け部には、前記車輪のリムの中心面に垂直な方向に沿って前記ホイールアクスルを固定接続するホイールアクスル用取り付け孔が設けられる。
【0008】
選択肢の一つとして、前記ホイールアクスル用取り付け孔の少なくとも一部の断面形状は非真円形であり、ホイールアクセス用取り付け孔内に固定的に組み立てられるための前記ホイールアクスルの少なくとも一部は、それに対応する非真円形状に加工されている。
【0009】
選択肢の一つとして、前記ホイールアクスル用取り付け孔は段付き穴であり、段付き穴の段差部は、前記ホイールアクスルの一端に対応して設けられたエンドキャップ部を係止する。
【0010】
選択肢の一つとして、前記ホイールアクスル用取り付け孔の寸法は前記ホイールアクスルと締まり嵌め可能にするように設定される。
【0011】
選択肢の一つとして、前記ホイールフォーク本体は、前記フレーム接続部と一体成型される。
【0012】
選択肢の一つとして、前記ホイールフォーク本体には、少なくとも複数の補強リブが形成されている。
【0013】
選択肢の一つとして、前記ホイールアクスルの軸方向おいて、前記第2軸受けと前記ホイールフォークとの間に中央制動方式のブレーキを取り付けるための空間が設けられている。
【0014】
選択肢の一つとして、前記空間にはローラブレーキ方式のブレーキが取り付けられ、前記ドラムの前記第2軸受けに架け渡された一端の外周は、ギヤ状に加工され、前記ローラブレーキ方式のブレーキの内輪歯盤として機能する。
【0015】
選択肢の一つとして、前記ドラムの外周のギヤ状に加工された一端として、別個に製造された嵌入部材が用いられ、該嵌入部材は前記ドラムのドラム本体に組み込み固定される。
【0016】
選択肢の一つとして、軸方向において、前記ブッシングとともに前記第1軸受けを挟み、且つ該第1軸受けの外輪の回動に影響を与えないように取り付けられた位置決め部材をさらに含む。
【0017】
本発明の別の態様によれば、上記取り付け構造を含むフレームをさらに提供する。
【0018】
本発明の別の態様によれば、上記フレームが適用される車両をさらに提供する。
【0019】
選択肢の一つとして、前記車両は二輪車又は三輪車である。
【発明の効果】
【0020】
本発明が提供する取り付け構造は、構造が簡易で、かつ頑丈でコンパクトであり、そして加工しやすく、組み立てやすく、耐久性が良い。
【0021】
以下では図面を参照して本発明の例示的な実施例について詳細に説明することにより、本発明の他の特徴及びその利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
明細書に組み込まれ且つ明細書の一部とする図面は本発明の実施例を示すものであり、且つその説明とともに本発明の原理を説明するためのものである。
図1図1は、本発明の実施形態に係る自転車の全体構造を模式的に示す図である。
図2図2は、背景技術におけるホイールフォークの構造を説明するための模式図であり、ここで、図2(A)はホイールフォークの正面図であり、図2(B)はホイールフォークの左側面図であり、図2(C)はホイールフォークの斜視図である。
図3図3は、背景技術におけるホイールアクスルアセンブリの断面図である。
図4図4(A)と図4(B)は、本発明の実施形態に係るホイールフォークの構造を説明するための模式図である。
図5図5(A)と図5(B)は、本発明の実施形態に係るホイールフォークとホイールアクスルとの組み立て関係を模式的に示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る非駆動輪のホイールアクスルアセンブリを説明するための断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る車輪のハブの構造を示す図であり、(A)はハブの正面図であり、(B)は(A)の‘A−A’線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の様々な例示的な実施例を詳細に説明する。別途に具体的に説明しない限り、本発明の範囲はこれらの実施例に記載された部材とステップに対応する配置、数値式及び数値に限定されるものではない。
【0024】
以下、実際的に、少なくとも1つの例示的な実施例に対する説明は単なる例示であり、本発明及びその適用又は使用を限定するものではない。
【0025】
関連分野の当業者に既に知られている技術、方法及び設備について、詳細に説明しない場合があるが、必要に応じて、前記技術、方法及び設備は明細書の一部と見なされるべきである。
【0026】
本明細書に記載されて説明されたすべての例において、何れの具体的な値は単なる例示的なものであり、本発明を限定するものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例として、異なる値を有することができる。
【0027】
なお、同一の符号とアルファベットは以下の図面で類似の項目を示す。したがって、ある項目が1つの図面で定義された場合、後の図面でそれをさらに説明する必要はない。
【0028】
(方向の定義)
以下の説明では、図1に示す自転車の状態、すなわち自転車が地面に垂直に立っている状態を基準とし、車頭が向く方向を「前」と定義し、車尾が向く方向を「後」と定義し、車頭の前方に向かって見たときの車両の左側を「左」と定義し、車頭の前方に向かって見たときの車両の右側を「右」と定義し、鉛直方向上向きを「上」と定義し、鉛直方向下向きを「下」と定義し、車輪のリムの中心が位置する平面をリムの中心平面と定義する場合があり、これらによって自転車の各部の構造が存在する方向及び位置を説明する。
【0029】
(自転車全体の構造)
図1は本発明の実施形態に係る自転車の全体構造を模式的に示す図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る自転車はフレーム100、ホイールアクスルアセンブリ200a、中軸アセンブリ300、後軸アセンブリ400、車輪500及び図示が省略されたハンドル、シート、クランク及びペダルを主に含む。フレーム100はホイールフォーク110a、ヘッドチューブ120、フレームダウンチューブ130、一体型シャーシ140及びシートチューブ150を含む。ホイールフォーク110aは、ヘッドチューブ120の一端において、ヘッドチューブ120の軸方向に回転可能に接続される。ヘッドチューブ120の他端はハンドルバー(図示せず)を取り付けるために用いられる。ヘッドチューブ120は、その中間部でフレームダウンチューブ130の一端において、相対的に固定接続される。フレームダウンチューブ130の他端は、一体型シャーシ140に設けられたフレームダウンチューブの接続部において、相対的に固定して接続される。シートチューブ150の一端は、一体型シャーシ140のシートチューブ接続部に相対的に固定して接続される。シートチューブ150の他端はシート(図示せず)を取り付けるために用いられる。また、一体型シャーシ140は5方管、リヤ下方フォーク、及び後軸取り付け部の機能を併せ持つ一体型部材である。そのリヤ下方フォーク部は後輪の片側にのみ存在している。すなわち、当該自転車はシングルフォーク構造である。同様に、ホイールフォーク110aもシングルフォーク構造である。すなわち、ホイールフォーク110aは車輪の片側にのみ存在している。以下、本発明の特徴を構成するフロントフォーク及びそのホイールアクスルアセンブリについて詳細に説明する。
【0030】
(背景技術におけるホイールフォーク及びそのホイールアクスルアセンブリ)
本発明のホイールフォーク及びそのホイールアクスルアセンブリを詳細に説明する前に、先に背景技術におけるホイールフォーク及びそのホイールアクスルアセンブリの構造を簡単に説明する。
【0031】
図2は背景技術におけるフロントフォークの構造を説明するための模式図である。ここで、図2(A)はフロントフォークの正面図であり、図2(B)はフロントフォークの左側面図であり、図2(C)はフロントフォークの斜視図である。ここで、フロントフォーク本体111のホイールアクスル側の一端には、ホイールアクスルの方向に沿って一定の距離が伸びた、ホイールアクスルアセンブリを組み立てるために用いられるホイールアクスル取り付け部113が設けられている。該ホイールアクスル取り付け部113の構造により、該ホイールアクスル取り付け部内にホイールアクスルアセンブリを組み立てるときの軸方向空間を確保でき、且つ軸方向の2箇所でホイールアクスル201を支持する二つの軸受け203と軸受け205との間に十分な分離距離を有する構成を確保できる。
【0032】
図3は背景技術におけるホイールアクスルアセンブリの断面図である。図3に示すように、ホイールアクスルアセンブリはホイールアクスル201、及びホイールフォーク側の一端から他端にかけて順にホイールアクスル201の軸方向に沿って並ぶサークリップ202、軸受け203、ショルダ204、軸受け205、スリーブ206、フランジ700及び位置決めナット208を含む。また、ホイールアクスル201とフランジ700との間の相対的な回転を防止するために、両者間にはキー溝−フラットキー構造209がさらに設けられる。
【0033】
(本発明の実施形態に係るホイールフォーク)
図4(A)と図4(B)は本発明の実施形態に係るホイールフォーク110aの構造を説明するための模式図である。
【0034】
図4に示すように、本発明のホイールフォーク110aは、車輪の片側のみに該ホイールフォークが設けられた、いわゆるシングルホイールフォークであり、全体が“L”字状である。すなわち、ホイールフォーク110aはリムの中心平面に平行な方向に沿って伸びているホイールフォーク本体111a、ホイールフォーク本体111aの一端でリムの中心平面に垂直な方向に沿って伸びているヘッドチューブ接続部112a、及びホイールフォーク本体111aの他端において、その延長方向に沿って形成されたホイールアクスル取り付け部113aの3つの部分で一体成型されたものである。なお、背景技術におけるフロントフォークのホイールアクスル取り付け部113と異なり、本発明のホイールアクスル取り付け部は、実質的にホイールアクスル方向に沿って一定の距離伸びておらず、そのホイールアクスル取り付け部の厚さはホイールフォーク本体111a全体の厚さとほぼ同じである。ホイールアクスル取り付け部113aがこのように設けられる理由については、後に詳細に説明する。
【0035】
また、ヘッドチューブ接続部112aには、ヘッドチューブ120との接続のための接続孔が設けられている。ヘッドチューブ120は該接続孔内に挿入され、且つ溶接又はリベット締めなどの方法により、ホイールフォーク110aに相対的に固定される。もちろん、該接続孔を設けることなく、溶接又はリベット締めなどの方法を直接利用して、ホイールフォーク110aのヘッドチューブ接続部112aをヘッドチューブ120に固定することができる。
【0036】
ホイールアクスル取り付け部113aには、リムの中心平面に垂直な方向に沿ってホイールアクスル用取り付け孔115aが設けられている。ホイールアクスル用取り付け孔115aは、後述するホイールアクスル201aを組み立てるために用いられる。
【0037】
また、ホイールフォーク110aの強度を補強するために、図4(A)に示すように、ホイールフォーク110aにおけるホイールフォーク本体111aの少なくとも一部の内部に補強リブを設けてもよい。
【0038】
図5(A)と図5(B)は本発明の実施形態に係るホイールフォーク110aとホイールアクスル201aとの組み立て関係を模式的に示す図である。図5(A)に示すように、ホイールアクスル201a全体は円筒形構造であり、その一端には、後述するホイールアクスル用取り付け孔である段付き穴に係止されるためのエンドキャップ部207aが設けられる。
【0039】
また、図5(A)に示すように、ホイールフォーク110aのホイールアクスル取り付け部113aには、リムの中心平面に垂直な方向に沿ってホイールアクスル201aを挿通させ固定するためのホイールアクスル用取り付け孔115aが設けられている。図5(B)に示すように、ホイールアクスル用取り付け孔115aは段付き穴であり、段付き穴の段差部(以下、エンドキャップ係止部ともいう)にホイールアクスルの一端に設けられたエンドキャップ部207aが係止することにより、ホイールアクスルが軸方向に位置決めされる。
【0040】
本発明では、ホイールアクスル201aとホイールフォーク110aは相対的に固定されるため、相対的な回転が発生することがない。その相対的な回転を防止するための構造として、2つの部材を相対的に固定する、さまざまな方法を用いることができる。例えば、図5(A)に示すように、ホイールアクスル201aのエンドキャップ部207aを長円形状などの非正円形状にしてもよく、それと共にホイールアクスル用取り付け孔のエンドキャップ係止部を該エンドキャップ部の形状に合わせてもよい。これにより、両者間の相対的な回転を防止できる。また、ホイールアクスル用取り付け孔及びホイールアクスル用取り付け孔内に挿入されるホイールアクスルの任意の部分の断面を非正円形状にしてもよい。また、ホイールフォークとホイールアクスルとをキー溝−フラットキー構造により相対的に固定してもよく、又は両者を直接に一体成型してもよい。
【0041】
(本発明の実施形態に係るホイールアクスルアセンブリ)
図6は本発明の実施形態に係るホイールアクスルアセンブリ200aを説明するための断面図である。図6に示すように、ホイールアクスルアセンブリはホイールアクスル201a、ホイールアクスルの車輪取り付け端(エンドキャップ部が設けられた反対側の端部)から該ホイールアクスル上に順番に嵌着された軸受け203a、ブッシング206a、軸受け205a、及び軸受け203aと軸受け205aとの外輪上に架け渡されたドラム204aを含む。
【0042】
以下、ホイールアクスルアセンブリ200aの組み立てについて説明する。前述のようにホイールアクスル201aをホイールフォーク110aの外側からホイールアクスル用取り付け孔115aに挿入し、且つ係止した後、ホイールアクスル201aの車輪取り付け端からブレーキ(図示せず)、軸受け205a、ブッシング206a、ドラム204a、軸受け203aを順番に嵌着する。本発明では、ブレーキとしてローラブレーキを採用することが好ましい。軸受け205aは、外輪の回転に影響を与えないようにブレーキに当接し、その他側はブッシング206aに当接することにより、ホイールアクスル201aの軸方向に位置決めされる。その後、ドラム204aを嵌着する。ドラム204aは、スリーブ状であり、そのホイールフォーク側の一端が軸受け205aの外輪に嵌着され、その車輪側の一端が軸受け203aの外輪に嵌着されることにより、軸受け205aと軸受け203aの外輪に架け渡され、軸受けの外輪と共に回転することができる。また、ドラム204aは、ドラム204aの車輪取り付け端の外径が広がったフランジ部を備える。該フランジ部には、円周方向に沿って車輪(図示せず)を取り付けるためのネジ穴が設けられる。車輪を該フランジ部に取り付けるときに、車輪の一部が軸受け203aの回転に影響を与えないように軸受け203aに当接することにより、軸受け203aは軸方向に位置決めされる。もちろん、軸受け203aの車輪側に位置決めナットなどの位置決め部材を別途嵌設することにより、軸受け203aを軸方向に位置決めしてもよい。
【0043】
また、図6に示すように、本実施形態のドラム204aを軸受け205aに架け渡すときに、ドラム本体に予めダイカストされた嵌入部材202aを採用し、該嵌入部材202aを利用してドラム204aを軸受け205aに嵌着する。また、嵌入部材202aのドラム本体の外部に露出している部分の外周はギヤ状に形成され、該ギヤはローラブレーキの内輪歯盤として機能する。該ギヤ状の嵌入部材を個別に製造し、且つダイカストなどの方法でドラム本体に嵌入することにより、製造コストを節約することができる。もちろん、該嵌入部材を別途製造することなく、ドラムのホイールフォーク側の端部を対応する形状に直接加工してもよい。これにより、ローラブレーキを軸受け205aとホイールフォーク110aとの間に組み立てるときに、ドラム204aのギヤ状部分はローラブレーキの中央に挿入され、その中央ギヤとして機能する。これにより、ホイールアクスル上での各部材の組み立てをよりコンパクトにでき、且つホイールアクスルの取り付け空間を節約することができる。
【0044】
本実施形態ではローラブレーキ方式を採用したが、ディスク式、ドラム式、抱え込み式などの他の中央ブレーキ方式を採用してもよい。
【0045】
以上のホイールアクスルアセンブリの構成により、2つの軸受けを独立部材であるドラム内に支持できるので、2つの軸受け間の間隔をより確保でき、車軸の支持力をよりバランスよく安定させ、且つ部材数を削減することができる。
【0046】
ホイールアクスルとホイールフォークのホイールアクスル用取り付け孔との間に「締まり嵌め」を採用することにより、両者間にがたつきが発生しない。また、2つの軸受け及びブッシングとホイールアクスルとの間に「滑り嵌め」を採用すればよく、同様に、ドラム(嵌入部材)と軸受けとの間に「滑り嵌め」を採用すればよい。これにより、ホイールアクスルアセンブリの組み立てを簡単にすることができる。
【0047】
以上、自転車用フロントフォークを例にして本発明のホイールフォークの構造を説明したが、本発明のホイールフォークは二輪自転車に適用するだけでなく、電動自転車、バイク、三輪自転車、三輪バイクなどに適用することができる。すなわち、非駆動輪のホイールフォークであれば、いずれも本発明のホイールフォークを適用することができる。また、本実施形態ではホイールフォークをシングルホイールフォークとして説明したが、車輪の他側に車輪を支持するための支持アームを設けることももちろん可能である。
【0048】
(ハブ)
図7は本発明の実施形態に係る車輪500のハブの構造を示す図であり、図7(A)はハブの正面図であり、7(B)は図7(A)におけるハブのA−A’線(径方向)断面図である。
【0049】
図7(A)に示すように、本発明の実施形態に係る車輪500のハブは、タイヤを取り付けるためのリム501、ハブの中心部に位置し且つ該ハブを車軸(上記したホイールアクスル201a)上に取り付けるためのホイールディスク(取り付けディスク)503、及びリム501とホイールディスク503との間に接続されてリム501を支持するためのスポーク502で構成されている。スポーク502は個別の部材として溶接などの方法によりリム501とホイールディスク503との間に固定接続されるものであってもよく、リム501及びホイールディスク503と一体成型されるものであってもよい。
【0050】
ホイールディスク503の外周部に沿って複数のボルト孔504が設けられ、その位置は上記したドラム204aのフランジ部における複数の取り付け孔にそれぞれ対応し、車輪500はボルト固定によりホイールアクスル201aの車輪取り付け端に取り付けられる。
【0051】
図7(B)に示すように、本発明の実施形態に係るハブは偏心輪であり、スポーク502の延在方向は車軸方向に対して一定の角度αで傾斜しており、αは90度より小さい。すなわち、スポークはホイールアクスルに垂直な方向に沿って伸びていない。これにより、リムの中心平面(すなわちハブの中心)とホイールディスク503の取り付け面との間に正のオフセット距離dがあるので、リムの中心平面が自転車の中心平面と一致する。
【0052】
スポーク502の傾斜角αの設計により、オフセット距離dの大きさを調整することができ、同時にホイールアクスル201a上のブッシングの長さなどの設計により、リムの中心平面を車軸の中心に可能な限り接近させることができる。この結果、車軸と軸受けの負荷を軽減することができ、且つ車軸と軸受けの使用年数を延ばすことができ、又は車軸と軸受けの強度に対する要求を軽減させることができる。
【0053】
また、前記オフセット距離dは、例えばローラブレーキがリムの中心平面又はその付近にあるように設定されることが好ましい。これによって、ブレーキのブレーキ性能をより良くすることができる。
【0054】
以上、本発明のホイールフォーク、ホイールアクスルアセンブリ、ハブを自転車に適用する実施例を説明したが、これらの部材の構造及びその接続関係は電動自転車やバイクなどの二輪車又は三輪車の非駆動輪にも適用することができる。
【0055】
例により既に本発明のいくつかの特定の実施例について詳細に説明したが、当業者であれば、上記実施例は例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定するものではないことは当然理解できる。当業者であれば、本発明の範囲と精神から逸脱しない場合、上記実施例を修正できることは当然理解できる。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7