特許第6880069号(P6880069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880069
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】バスバー電流センサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   G01R15/20 C
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-557793(P2018-557793)
(86)(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公表番号】特表2019-516971(P2019-516971A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】US2017027484
(87)【国際公開番号】WO2017192256
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2020年3月23日
(31)【優先権主張番号】62/331,589
(32)【優先日】2016年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517038637
【氏名又は名称】サフラン エレクトリカル アンド パワー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンリー,ケビン・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,トーマス
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/115238(WO,A1)
【文献】 特開2013−142623(JP,A)
【文献】 特開2013−113687(JP,A)
【文献】 特開2012−78232(JP,A)
【文献】 米国特許第6034521(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00−15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバー電流センサアセンブリであって、
第1の方向に面する第1の表面、および第2の方向に面する第2の表面を含む基部であって、第1の方向は第2の方向と反対である、基部と、
基部の第1の表面から、第2の表面から離れる方向に延びる第1の境界壁であって、第1の境界壁と第1の表面が協働して第1の空洞を画定する、第1の境界壁と、
基部の第2の表面から、第1の表面から離れる方向に延びる第2の境界壁であって、第2の境界壁と第2の表面が協働して第2の空洞を画定する、第2の境界壁と、を含むバスバー部材、
第1の空洞内に配置された第1の電流センサ、
第2の空洞内に配置された第2の電流センサ、
第1のカバー、および
第2のカバーを、備え、
第1の境界壁が第1の出張り部分を画定し、第2の境界壁が第2の出張り部分を画定しており、第1の空洞と第2の空洞をそれぞれ取り囲むように、第1の出張り部分が第1のカバーを受け、第2の出張り部分が第2のカバーを受ける、バスバー電流センサアセンブリ。
【請求項2】
第1の表面と、第1の境界壁の自由端との間の距離が、第1の表面から、第1の電流センサの外側表面までの距離よりも大きく、第2の表面と、第2の境界壁の自由端との間の距離が、第2の表面から、第2の電流センサの外側表面までの距離よりも大きい、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項3】
第1のカバーおよび第2のカバーが電気絶縁材料からなる、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項4】
第1の電流センサが第1のカバーと第1の表面との間に配置され、第2の電流センサが第2のカバーと第2の表面との間に配置され、第1の電流センサは第1のカバーと第2のカバーとの間に配置される、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項5】
第1の境界壁が、互いに間隔を置いた一対の第1の側壁、および互いに間隔を置いた一対の第1の端壁を含み、一対の第1の側壁と一対の第1の端壁が互いに協働して、第1の電流センサの周りに連続的な周辺部を形成し、
第2の境界壁が、互いに間隔を置いた一対の第2の側壁、および互いに間隔を置いた一対の第2の端壁を含み、一対の第2の側壁と一対の第2の端壁が互いに協働して、第2の電流センサの周りに連続的な周辺部を形成する、
請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項6】
第1の側壁が、互いに略平行となるように第1の表面から第1の方向に延び、第1の端壁が、互いに略平行となるように第1の表面から第1の方向に延びており、
第2の側壁が、互いに略平行となるように第2の表面から第2の方向に延び、第2の端壁が、互いに略平行となるように第2の表面から第2の方向に延びており、
一対の第2の側壁が一対の第1の側壁と同一直線上にあり、一対の第2の端壁が一対の第1の端壁と同一直線上にある、
請求項5に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項7】
第1の表面と第1の電流センサとの間に配置された第1の絶縁体と、
第2の表面と第2の電流センサとの間に配置された第2の絶縁体と、
を更に備える、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項8】
第1の電流センサと第2の電流センサとの間で電気的通信が可能となるように、基部が、第1の空洞と第2の空洞との間に延びる穿孔を画定する、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項9】
第1の電流センサと第2の電流センサとを電気的に接続するために、穿孔を通って延びる基板対基板ヘッダを更に備え、基板対基板ヘッダは複数の導電性ピンを含み、複数の導電性ピンは導電性ピンを基部から電気的に絶縁するように、絶縁体ブロックによって少なくとも部分的に取り囲まれている、請求項8に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項10】
第1の空洞が第1の体積を画定し、第2の空洞が第2の体積を画定し、第1の体積は第2の体積に等しい、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項11】
第1の境界壁が、第1の表面と直交する軸から見たとき、矩形形状を画定し、第2の境界壁が、第2の表面と直交する軸から見たとき、矩形形状を画定する、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項12】
第1の境界壁の矩形形状が、第2の境界壁の矩形形状と同じサイズである、請求項11に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項13】
各々が締結穴を画定する複数のボスであって、複数のボスの1つが、第1の境界壁の矩形形状および第2の境界壁の矩形形状の、少なくともいくつかの角部に配置されている、複数のボスを更に備え、
第1のカバーが、第1の空洞を覆い、第1の境界壁の角部に配置されたボスと係合する第1の締結具によって、第1の境界壁に直接取り付けられ、
第2のカバーが、第2の空洞を覆い、第2の境界壁の角部に配置されたボスと係合する第2の締結具によって、第2の境界壁に直接取り付けられている、請求項11に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項14】
第1の電流センサが、差動増幅器集積回路も含む第1の回路基板に取り付けられたホール効果集積回路であり、第1の回路基板は、第1の境界壁の自由端が第1の表面から第1の回路基板までの距離よりも大きいように、第1の空洞内に完全に含まれている、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【請求項15】
第1の空洞内に配置された第1の回路基板であって、第1の電流センサが第1の回路基板に取り付けられている、第1の回路基板と、
第2の空洞内に配置された第2の回路基板であって、第2の電流センサが第2の回路基板に取り付けられている、第2の回路基板と、
第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続する基板対基板ヘッダであって、基板対基板ヘッダは、第1の回路基板および第2の回路基板の、第1の電流センサおよび第2の電流センサがそれぞれ取り付けられた端部とは反対側の端部に配置されている、基板対基板ヘッダと、
を更に備える、請求項1に記載のバスバー電流センサアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
航空宇宙配電産業において、配電ボックスは統合型電流センシング機能を含む場合がある。電流センサは、過剰な故障電流を検出するために頻繁に使用され、それにより航空機の配電システムが動作モードを迅速に変化させることができて、損傷が防止され航空機の継続的で安全な稼働が可能になる。
【0002】
電流が導線、ケーブルまたはバスバー(以下、「導体」)を通過するとき、導体を取り囲む磁場が生成される。磁場の大きさは電流の大きさに対して直線的な関係がある。従って、磁場の大きさを検出することにより、電流の大きさを決定することができる。
【0003】
磁場、従って電流を測定するための様々な方法がある。好ましくは、磁場/電流センサは、測定すべき通電電流によって生成される磁場の大きさに整合される。これは様々な方法によって実施することができる。例えば、センシング構成要素を磁場に整合させる一般的な方法は、スリットを有するトロイダルフェライトコアを使用することである。別の方法はシャント抵抗を直列で使用することを伴う。代替として、電流センサを導体の向かい側に置くことができるが、適切な測定のために磁場を低減させるために、導体に穴を開けなければならず、センサを穴の近くに精密に置かなければならない。しかし、これらの方法は様々な欠点を有しており、改善が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述したことを考慮して、バスバー部材を含むバスバー電流センサアセンブリが提供される。バスバー部材は、第1の方向に面する第1の表面と、第2の方向に面する第2の表面とを含む、基部を含む。第1の方向は第2の方向と反対である。バスバー部材はまた、基部の第1の表面から、第2の表面から離れる方向に延びる、第1の境界壁を含む。第1の境界壁および第1の表面は協働して第1の空洞を画定する。バスバー部材はまた、基部の第2の表面から、第1の表面から離れる方向に延びる、第2の境界壁を含む。第2の境界壁および第2の表面は協働して第2の空洞を画定する。バスバー電流センサアセンブリはまた、第1の空洞内に配置された第1の電流センサ、および第2の空洞内に配置された第2の電流センサを含む。
【0005】
一態様によると、バスバー電流センサアセンブリは、第1の空洞および第2の空洞を含むバスバー部材を含む。第2の空洞は第1の空洞の反対側に配置されている。バスバー電流センサアセンブリはまた、第1の空洞が第1の電流センサを少なくとも部分的に取り囲むように、第1の空洞内に配置された第1の電流センサと、第2の空洞が第2の電流センサを少なくとも部分的に取り囲むように、第2の空洞内に配置された第2の電流センサとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】バスバー電流センサアセンブリの分解斜視図である。
図2】内部に第1の回路基板が組み込まれたバスバー部材の第1の表面の、第1のカバーを取り除いた平面図である。
図3】内部に第2の回路基板が組み込まれたバスバー部材の第2の表面の、第2のカバーを取り除いた平面図である。
図4】配電ボックス内のバスバー電流センサアセンブリの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1はバスバー電流センサアセンブリ10の構成要素を示す。バスバー電流センサアセンブリ10は、バスバー部材12、第1の絶縁体14、第2の絶縁体16、第1の回路基板18、第2の回路基板20、第1のカバー22、第1の締結具24、第2のカバー26、および第2の締結具28を含むことができる。
【0008】
図1から図3を参照すると、バスバー部材12は導電性材料、例えば銅またはアルミニウムで作られている。更に、バスバー部材12は、例えばニッケルを含む、任意の数の物質でコーティングすることができる。バスバー部材12は、第1の方向に面する第1の表面32と、第2の方向に面する第2の表面34とを有する基部30を含む。第1の方向は第2の方向と反対である。バスバー部材12の断面は、磁場センシング要素の近くの磁場強度を調整するために操作することができる。しかし、バスバー部材12の長さと幅を調整することには実際的な制限があることが理解されるであろう。
【0009】
基部30は、穿孔38を画定することができるフロア部分36と、フロア部分36から互いに反対方向に延びる一対の脚部40a、40bとを含む。更に、フロア部分36、および脚部40a、40bは共通の水平面を共有する。加えて、図2から図3に図示したように、フロア部分36および脚部40a、40bは全て第1の表面32を共有する。簡潔に言うと、第1の表面32は、全て同一方向に面するフロア部分36と脚部40a、40bとの間に延びる、同一直線上の表面である。
【0010】
更に、フロア部分36、および脚部40a、40bは全て第2の表面34を共有する。具体的には、第2の表面34は、全て同一方向に面するフロア部分36と脚部40a、40bとの間に延びる、同一直線上の表面であり、第1の表面32とは対向している。図2から図3にも示すように、フロア部分36と脚部40a、40bは同一の幅を有する。フロア部分36と脚部40a、40bは互いに同一の厚さを有し得ることが理解されるであろう。平面図では、脚部40a、40bは互いに同一のサイズであり、形状は矩形であり得る。脚部40a、40bは各々がそれぞれ、スタッドを受けるための開口部42a、42bを画定しており、以下に記載されるように、電気がバスバー部材12を通過することを可能にして、他の構成要素に電気を供給する。
【0011】
図1から図2を参照すると、第1の境界壁44が基部30の第1の表面32から、第2の表面34から離れる方向に延び、自由端46として末端をなす。図2に示すように、第1の境界壁44は第1の表面32と直交する軸から見たとき、矩形形状を画定することができる。この矩形形状は角部48a、48b、48c、48dを含む。矩形形状によって、第1の回路基板18を適切に受けることおよび、バスバー電流センサアセンブリ10を、通常のバスバー部材を受けるように以前に設計された、既存の設備の中に容易に組み込むことが可能となる。
【0012】
図1および図3に示すように、第2の境界壁50が基部30の第2の表面34から、第1の表面32から離れる方向に延び、自由端52として末端をなす。従って、第1の境界壁44と第2の境界壁50は、基部30、特にフロア部分36から、互いに反対方向に延びている。図3に図示したように、第2の境界壁50は第2の表面34と直交する軸から見たとき、矩形形状を画定することができる。この矩形形状は角部48e、48f、48g、48hを含む。第1の境界壁44のように、第2の境界壁50の矩形形状によって、第2の回路基板20を適切に受けることおよび、バスバー電流センサアセンブリ10を、通常のバスバー部材を受けるように以前に設計された、既存の設備の中に容易に組み込むことが可能となる。基部30、第1の境界壁44、および第2の境界壁50は全て導電性材料で作られている。
【0013】
第1の境界壁44は、互いに間隔を置いた一対の第1の側壁54a、54b、および互いに間隔を置いた一対の第1の端壁56a、56bを含んでも良い。第1の側壁54a、54bは第1の表面32から第1の方向に延びており、互いに略平行であっても良く、第1の端壁56a、56bは、互いに略平行となるように、第1の表面32から第1の方向に延びることができる。第1の側壁54a、54bは縦方向(すなわち、開口部42a、42bを接続するであろう、想像線と同じ方向)に延び、第1の端壁56a、56bは横方向に(すなわち、第1の側壁54a、54bに直交して)延びる。第1の側壁54a、54b、および第1の端壁56a、56bの、この形状と配置は、以下に、より詳細に説明するように、磁場を制御することを手助けする。
【0014】
図1から図2に示すように、第1の境界壁44は第1のカバー22を受けるための第1の出張り部分58を画定することができる。第1の境界壁44および第1の表面32は協働して第1の空洞60を画定する。更に、第1のカバー22は、第1の空洞60を閉じ込めるように第1の出張り部分58によって受けられる。第1の出張り部分58は、第1のカバー22との均一で直接的な接触が可能となるように、一対の第1の側壁54a、54b、および一対の第1の端壁56a、56bを含む、第1の境界壁44の周囲に均一、連続的に延びている。この構造ゆえに、第1の空洞60は密閉されて、第1の空洞60の中への異物の導入が防止される。
【0015】
図1および図3に示すように、第2の境界壁50は、互いに間隔を置いた一対の第2の側壁62a、62b、および互いに間隔を置いた一対の第2の端壁64a、64bを含んでも良い。第2の側壁62a、62bは、互いに略平行となるように、第2の表面34から第2の方向に延びることができ、第2の端壁64a、64bは、互いに略平行となるように、第2の表面34から第2の方向に延びている。第2の側壁62a、62bは縦方向(すなわち、開口部42a、42bを接続するであろう、想像線と同じ方向)に延び、第2の端壁64a、64bは横方向に(すなわち、第2の側壁62a、62bに直交して)延びる。図1に示すように、一対の第2の側壁62a、62bは一対の第1の側壁54a、54bと同一直線上となる場合があり、一対の第2の端壁64a、64bは一対の第1の端壁56a、56bと同一直線上となる場合がある。第2の側壁62a、62b、および第2の端壁64a、64bの、この形状と配置は、磁場を制御することを手助けする。
【0016】
図1および図3を参照すると、第2の境界壁50は第2の出張り部分66を画定する。第2の境界壁50および第2の表面34は協働して第2の空洞68を画定する。加えて、第2のカバー26は、第2の空洞68を閉じ込めるように第2の出張り部分66によって受けられる。第2の出張り部分66は、第2のカバー26との均一で直接的な接触が可能となるように、一対の第2の側壁62a、62b、および一対の第2の端壁64a、64bを含む、第2の境界壁50の周囲に均一、連続的に延びている。この構造ゆえに、第2の空洞68は密閉されて、第2の空洞68の中への異物の導入が防止される。
【0017】
第1の空洞60は第1の体積を画定し、第2の空洞68は第2の体積を画定する。第1の体積は第2の体積に等しい。第1のカバー22の第1の出張り部分58上への配置、および第2のカバー26の第2の出張り部分66上への配置ゆえに、それぞれ第1の空洞60、および第2の空洞68の内部に位置する任意の構成要素に保護が提供される。更に、このレイアウトゆえに、第1の空洞60および第2の空洞68の内部の磁場は、以下に記載されるように、バスバー部材12を通って流れる電流の決定のための測定に、より寄与する。
【0018】
第1の境界壁44の矩形形状は、第2の境界壁50の矩形形状と同じサイズである。バスバー部材12は、第2の空洞68が第1の空洞60の反対側に配置されるように、第1の空洞60および第2の空洞68を含む。更になお、脚部40a、40bは、第1の空洞60と第2の空洞68が一対の脚部40a、40bの間に配置されるように、バスバー部材12の両側の端部に配置される。この配置構成により、空洞内部での適切な磁場測定がなされ得ることが保証される。
【0019】
図1に示すように、第1の空洞60と第2の空洞68との間の電気的通信が可能となるように、穿孔38は基部30のフロア部分36を通って延びる。更に、開口部42a、42bは第1の空洞60および第2の空洞68の外部にあり、穿孔38と同じ方向に基部30を貫通して延びている。図示したように、穿孔38は細長い形状を有し、開口部42a、42bは円形の形状である。これらの形状により、以下に記載されるように、様々な構成要素へ適切に通過および接続することが可能である。
【0020】
バスバー部材12はまた、第1の締結具24および第2の締結具28を受けるための、各々が締結穴72b、72d、72e、72f、72g、72hを画定する、複数の第1のボス70b、70dおよび第2のボス70e、70f、70g、70hを含むことができる。図1から図3に示すように、第1のボス70b、70dは第1の境界壁44の角部48b、48dに配置され、第2のボス70e、70f、70g、70hは第2の境界壁50の角部48e、48f、48g、48hに配置される。
【0021】
図1に図示したように、第1の絶縁体14は、第1の絶縁体14が基部30の第1の表面32に、より具体的には基部30のフロア部分36に直接接触することを可能とするように、第1の空洞60に対して相補的な略矩形形状を有する。第2の絶縁体16はまた、第2の絶縁体16が基部30の第2の表面34に、より具体的には基部30のフロア部分36に直接接触することを可能とするように、第2の空洞68に対して相補的な略矩形形状を有する。第1の絶縁体14および第2の絶縁体16は、第1のボス70b、70dおよび第2のボス70e、70f、70g、70hを適切に収容するために、切り欠いた角部を画定しても良い。これにより、第1の絶縁体14および第2の絶縁体16が、第1の回路基板18および第2の回路基板20をバスバー部材12を通って流れている電流から電気的に分離することが確保される。
【0022】
第1の絶縁体14および第2の絶縁体16は、以下に記載されるように、様々な構成要素が通過できるように、それぞれ第1のスロット74および第2のスロット76を画定しても良い。第1の絶縁体14および第2の絶縁体16は、電気絶縁材料、例えば、樹脂のポリエチレンテレフタレート(PET)から作製されたプラスチックシート製品であるマイラーで作られていることが理解されるであろう。第1の絶縁体14および第2の絶縁体16は、バスバー電流センサアセンブリ10の製造コストを最小限に抑えるために、同一の材料で作られていても良い。
【0023】
第1の回路基板18は、第1の回路基板18に取り付けられた第1の電流センサ78を含む。第1の電流センサ78は、第1の表面32に面する内側表面80、および内側表面80の反対側の外側表面82を含む。内側表面80は第1の表面32に略平行であっても良い。第1の電流センサ78および付随する第1の回路基板18は、第1の電流センサ78が第1のカバー22と第1の表面32との間に配置されるように、第1の空洞60内に位置している。更に、第1の電流センサ78は、第1の空洞60が第1の電流センサ78を少なくとも部分的に取り囲むように、第1の空洞60内に配置されている。更になお、第1の絶縁体14は、バスバー部材12と第1の電流センサ78を電気的に分離するために、第1の表面32と第1の電流センサ78との間に配置され得る。
【0024】
第1の回路基板18はまた、差動増幅器集積回路84を含むことができる。差動増幅器集積回路84の動作は以下に、より詳細に説明される。第1の回路基板18は、第1の空洞60の内部に完全に含まれる場合があり、それにより第1の境界壁44の自由端46から第1の表面32への距離は、第1の表面32から第1の回路基板18への距離よりも大きくなっている。更に、一対の第1の側壁54a、54bおよび一対の第1の端壁56a、56bは互いに協働して、第1の電流センサ78の周りに連続的な周辺部を形成する。
【0025】
第2の電流センサ86は、第2の空洞68が第2の電流センサ86を少なくとも部分的に取り囲むように、第2の回路基板20に取り付けられている。第2の電流センサ86は、第2の表面34に面する内側表面88、および内側表面88の反対側の外側表面90を含む。第2の電流センサ86の内側表面88は第2の表面34に略平行であっても良い。第2の表面34と、第2の境界壁50の自由端52との間の距離は、第2の表面34から、第2の電流センサ86の外側表面90までの距離よりも大きい。更に、一対の第2の側壁62a、62bおよび一対の第2の端壁64a、64bは互いに協働して、第2の電流センサ86の周りに連続的な周辺部を形成する。更になお、第2の絶縁体16は第2の表面34と第2の電流センサ86との間に配置されている。第2の回路基板20はまた、以下に記載されるように、オーバーモールド部材100からフリクションピン(図示せず)を受けるためのコネクタ92を含むことができる。
【0026】
第1の電流センサ78および第2の電流センサ86は、同一または類似の、構造および仕様であり得る。例えば、第1の電流センサ78および第2の電流センサ86は、ホール効果集積回路(すなわち、各々がホール効果センサを含む集積回路)であり得る。ホール効果センサは、磁場に応じてその出力電圧を変化させるトランスデューサであることが理解されるであろう。第1の電流センサ78および第2の電流センサ86は、磁場の大きさを検出し、それにより電流の大きさを決定することを可能としている。特に、第1の電流センサ78および第2の電流センサ86は、バスバー部材12に、反対極性の出力変化をもたらすように方向付けされている。第1の電流センサ78および第2の電流センサ86からの2つの出力は、差動増幅器集積回路84に供給される。差動増幅器集積回路84は次に、減算機能を実行する。具体的には、差動増幅器集積回路84は一方の信号から他方の信号を減算し、それにより電源導体およびリレーのような近傍の磁気源に起因する、いかなる外部磁場の影響をも排除する。差動増幅器集積回路84からの出力はバスバー部材12内の電流に比例しており、外部磁場干渉は大幅に低減される。
【0027】
バスバー部材12の断面形状は、第1の電流センサ78および第2の電流センサ86の近くの磁場強度を調整するために操作することができる。第1の空洞60および第2の空洞68をそれぞれ画定する、第1の境界壁44および第2の境界壁50は、それぞれ第1の電流センサ78および第2の電流センサ86の付近の磁場を低減させるだけでなく、磁場をより均一にもする。これによりまた、電流センサの付近の磁場強度を低減させるためにバスバー部材内にドリルで穴を開ける必要が無くなる。
【0028】
電流センサの近くの磁場強度を低減させるためのバスバー部材内の穴を無くすことには多数の利点があることが理解されるであろう。例えば、穴を形成する必要が無いため必要な製造作業が減る。加えて、穴と位置合わせするために、電流センサを精密に配置する必要は無い。従って、バスバー電流センサアセンブリ10は、より迅速に製造することができる。
【0029】
バスバー電流センサアセンブリ10はまた、基板対基板ヘッダ94を含むことができる。基板対基板ヘッダ94は穿孔38を通って延びて、第1の電流センサ78および第2の電流センサ86を電気的に接続する。従って、基板対基板ヘッダ94は、第1の回路基板18と第2の回路基板20を電気的に接続する。基板対基板ヘッダ94は複数の導電性ピン96を含むことができる。図示したように、導電性ピン96は形状が円筒状である。導電性ピン96は、導電性ピン96を基部30から電気的に絶縁するように、絶縁体ブロック98によって少なくとも部分的に取り囲まれている。絶縁体ブロック98は立方体の形状をしており、電気絶縁材料で作られていることが理解されるであろう。
【0030】
図1に示すように、基板対基板ヘッダ94は、第1の回路基板18および第2の回路基板20の、第1の電流センサ78および第2の電流センサ86がそれぞれ取り付けられた端部とは反対側の端部に配置されている。この間隔が干渉の発生を防止する。特に、基板対基板ヘッダ94が、第1の電流センサ78および第2の電流センサ86とは反対側の端部にあるように位置決めすることにより、第1および第2の電流センサ78、86の近くの磁場は乱されない。
【0031】
第1のカバー22および第2のカバー26は電気絶縁材料からなる。第1のカバー22は第1の空洞60を覆っており、第1の境界壁44の角部48b、48dに配置されたボス70b、70dと係合する第1の締結具24によって、第1の境界壁44に直接取り付けられている。第2のカバー26は第2の空洞68を覆っており、第2の境界壁50の角部48e、48f、48g、48hに配置されたボス70e、70f、70g、70hと係合する第2の締結具28によって、第2の境界壁50に直接取り付けられている。従って、第1の電流センサ78は第1のカバー22と第2のカバー26との間に配置され、第2の電流センサ86は第2のカバー26と第2の表面34との間に配置される。
【0032】
第2の締結具28を用いて第2のカバー26をバスバー部材12に締結した後、第2のカバー26の上にオーバーモールド部材100が置かれて、バスバー部材12およびバスバー部材の内部に位置する構成要素に、環境からの追加的な保護を提供する。オーバーモールド部材100は、後述するように、ケーブル102が貫通することが可能である。前述したように、オーバーモールド部材100は、オーバーモールド部材100を第2の回路基板20に取り付けるためのフリクションピン(図示せず)を含むことができる。
【0033】
図4を参照すると、バスバー電流センサアセンブリ10および給電PCBアセンブリ106を含む、配電ボックス104が示されている。配電ボックス104は、例えば電力を回路間で再配分することを含む、様々な目的のために使用することができる。この電力は、例えば400Aを超える非常に大きい電力であることが理解されるであろう
【0034】
給電PCBアセンブリ106は、オーバーモールド部材100および第2のカバー26を貫通して延びるケーブル102によって、第2の回路基板20に接続されている。給電PCBアセンブリ106は、第1および第2の回路基板18、20に、その動作のための公称電力を供給する。加えて、給電PCBアセンブリ106は、配電ボックス104のEMI/避雷保護のために使用することができる。給電PCBアセンブリ106はまた、給電PCBアセンブリ106と様々な他の図示していない構成要素との間の通信を可能にするための、通信ポート108を含むことができる。
【0035】
示したように、配電ボックス104は複数の端子110を含む。これら端子110は、配電ボックス104に電力を供給するために、または配電ボックス104から電力を出力するために使用することができる。配電ボックス104は、例えばヒューズ112およびコンタクタ114を含む、複数の構成要素を含むことができることが理解されるであろう。
【0036】
上ではバスバー電流センサアセンブリを具体的に説明してきた。前述の詳細な説明を読み理解することにより、それらへの修正および変更が思いつくであろう。しかし、本発明は上記実施形態にのみ限定されるわけでは無い。むしろ、本発明は添付の請求項およびその均等物によって広範に規定される。
図1
図2
図3
図4