特許第6880091号(P6880091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880091少なくとも1つの三次元物体の付加製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880091
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの三次元物体の付加製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20210524BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20210524BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20210524BHJP
   B29C 64/364 20170101ALI20210524BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20210524BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20210524BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210524BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20210524BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210524BHJP
【FI】
   B29C64/153
   B29C64/393
   B29C64/321
   B29C64/364
   B22F3/105
   B22F3/16
   B33Y10/00
   B33Y50/02
   B33Y30/00
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-26545(P2019-26545)
(22)【出願日】2019年2月18日
(65)【公開番号】特開2019-155914(P2019-155914A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年2月18日
(31)【優先権主張番号】18161837.2
(32)【優先日】2018年3月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カイ ヘルテル
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−516886(JP,A)
【文献】 特開2016−216773(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/208362(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0279706(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 − 64/40
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエネルギービーム(4)で、三次元物体(2)を付加製造する装置の造形面(BP)に適用された、造形材料(3)の各層の連続的で層選択的な照射および硬化によって、少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造する方法であって、
前記造形面(BP)を横切って流れる前記造形材料(3)の各層の選択的な照射および硬化の間に、発生された煤粒子でプロセスガス流が充填できるようになっており、それにより前記プロセスガス流が、前記造形材料(3)の各層の選択的な照射および硬化の間に、発生された造形材料(3)の層からの各ヒューム粒子を運ぶのに適合され、
照射および硬化されるべき第1領域(A1)と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)と、を含む造形材料(3)の少なくとも1つの層に対して、
照射および硬化されるべき各領域(A1−An)の少なくとも1つの領域の照射および硬化の間に発生可能または発生されるヒューム粒子で、充填可能または充填される前記プロセスガス流が、予め定義可能または予め定義された基準を満たすことが決定され、
前記プロセスガス流が、前記予め定義可能または予め定義された基準を満たしていることの判断に基づいて、前記第1領域(A1)の照射および硬化を開始する開始時間、および/または前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)の照射および硬化を開始する開始時間が決定され、
第1領域(A1)の照射、または第1領域(A1)の照射中に生成された粒子そのものが、少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)を照射することに影響を及ぼし得るという可能性があるかどうかを判定し、
前記プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)を横切って、第1領域(A1)の照射および硬化の間に生成された粒子を運ばないように、領域(A1〜An)が互いに対する空間的関係に位置すると判定された場合、第1領域(A1)および少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)は、少なくとも部分的に同時に照射される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基準は時間基準であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
照射および硬化されるべき第1領域(A1)と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)と、を含む前記造形材料(3)の少なくとも1つの層に対して、照射および硬化されるべき各領域(A1−An)の少なくとも1つの領域の選択的な照射および硬化の間に発生可能または発生されるヒューム粒子で、充填可能または充填される前記プロセスガス流が、前記時間基準を満たすのにかかる時間が決定され、
前記プロセスガス流が前記時間基準を満たしたという決定に基づいて、前記第1領域(A1)の照射および硬化を開始する開始時間、および/または前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)の照射および硬化を開始する開始時間が決定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間基準は、前記第1領域(A1)の照射および硬化の間に発生される前記プロセスガス流が、前記造形面(BP)を含むプロセスチャンバー(8)の特定の領域(SA)に前記ヒューム粒子を運ぶのにかかる時間、若しくはその時間を参照したものであって、
前記時間基準は、前記プロセスガス流が、前記造形面(BP)を含む前記プロセスチャンバー(8)の前記特定の領域(SA,SAm)に、前記ヒューム粒子を運んだときに満たされることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記時間基準は、前記プロセスガス流が、前記第1領域(A1)の照射および硬化の間に発生される前記ヒューム粒子を、前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)を横切って運ぶのにかかる時間、若しくはその時間を参照したものであって、
前記時間基準は、前記プロセスガス流が、前記第1領域(A1)の照射および硬化の間に発生される前記ヒューム粒子を、前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)を横切って運んだときに満たされることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記時間基準は、前記プロセスガス流が、前記第1領域(A1)の照射および硬化の間に発生される前記ヒューム粒子を、前記造形面(BP)を含むプロセスチャンバー(8)の外へ運ぶのにかかる時間、若しくはその時間を参照したものであって、
前記時間基準は、前記プロセスガス流が、前記第1領域(A1)の照射および硬化の間に発生される前記ヒューム粒子を、前記造形面(BP)を含む前記プロセスチャンバー(8)の外へ運んだときに満たされることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基準は場所基準であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
照射および硬化されるべき第1領域(A1)と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)と、を含む前記造形材料(3)の少なくとも1つの層に対して、照射および硬化されるべき各領域(A1−An)の少なくとも1つの領域の選択的な照射および硬化の間に発生可能または発生されるヒューム粒子で、充填可能または充填される前記プロセスガス流が、前記場所基準を満たしていることが決定され、
前記プロセスガス流が前記場所基準を満たしたという決定に基づいて、前記第1領域(A1)の照射および硬化を開始する開始時間、および/または前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)の照射および硬化を開始する開始時間が決定されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記場所基準は、前記造形面(BP)を含むプロセスチャンバー(8)の特定の領域(SA)であるか、もしくはその特定の領域を参照したものであり、
前記場所基準は、前記造形面(BP)を含むプロセスチャンバー(8)の特定の領域(SA)に到達するか、到達し終えるか、交差するか、または交差し終えたときに満たされることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセスチャンバー(8)の前記特定の領域(SA1,SAm)は、照射および硬化されるべき前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)の背後にある領域であるか、またはその領域を含むものであることを特徴とする請求項4または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
予め定義可能または予め定義された最小時間間隔が、前記第1領域(A1)の照射および硬化が開始された後の、前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)が照射および硬化される前に待機されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)を横切って、前記第1領域(A1)の選択的な照射および硬化の間に発生される前記ヒューム粒子を前記プロセスガス流が運ぶように、少なくとも2つの前記各領域(A1−An)が、互いに空間的な関係に配置されるかどうかを決定するのをさらに含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセスガス流が前記基準を満たすか、または満たしていたかの決定は、シミュレーションに基づいて決定されることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
最初に照射および硬化されるべき前記第1領域(A1)は、走査ユニットのようなビーム偏向ユニットの、走査素子のような少なくとも1つのビーム偏向素子の形態に基づいて決定されることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのエネルギービーム(4)で、装置(1)の造形面(BP)に適用された、造形材料(3)の各層の連続的で層選択的な照射および硬化によって、少なくとも1つの1つの三次元物体(2)を付加製造する装置(1)の制御ユニット(5)であって、前記制御ユニット(5)は請求項1〜請求項14の何れか1項に記載の前記方法に基づいて、
照射および硬化されるべき第1領域(A1)と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)と、を含む造形材料(3)の少なくとも1つの層に対して、照射および硬化されるべき各領域(A1−An)の少なくとも1つの領域の照射および硬化の間に発生可能または発生されるヒューム粒子で、充填可能または充填される前記プロセスガス流が、予め定義可能または予め定義された基準を満たすことを決定し、
前記プロセスガス流が、前記予め定義可能または予め定義された基準を満たしていることの判断に基づいて、前記第1領域(A1)の照射および硬化を開始する開始時間、および/または前記少なくとも1つのさらなる領域(A2,An)の照射および硬化を開始する開始時間を決定するものであることを特徴とする装置(1)の制御ユニット(5)
【請求項16】
少なくとも1つのエネルギービーム(4)により、前記装置(1)の前記造形面(BP)に与えられる造形材料(3)の各層の連続的で層選択的な照射および硬化によって、少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造する請求項15に記載の前記制御ユニット(5)を含んだ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのエネルギービームによって、三次元物体を付加製造する装置の造形面に適用された、造形材料層の連続的で層選択的な照射および圧密硬化によって、少なくとも1つの三次元物体を付加製造する方法に関し、これによりプロセスガス流は、造形面を横切る構造材料流の各層の選択的な照射および硬化の間に発生するヒューム粒子を帯同させることができ、それによってプロセスガス流は、造形材料のそれぞれの層の選択的な照射および硬化の間に生成される造形材料の層から、それぞれの粒子を除去または運ぶように構成される。
【背景技術】
【0002】
選択的な電子ビーム溶融処理法または選択的レーザー溶融処理法として実施できる少なくとも1つの三次元物体を付加製造する各方法は、例えば付加製造の技術分野で一般に知られている。
【0003】
それによってプロセスガス流は、造形面を横切る造形材料流の各層の選択的な照射および硬化の間に発生するヒューム、煙、蒸気または煤粒子で、帯同できることが知られている。このプロセスガス流は、選択的に照射されかつ硬化される造形面の各領域からそれぞれのヒューム、煙、蒸気または煤粒子を運ぶのに役立つ。
【0004】
それぞれの積層造形法をさらに発展させる一つの目的は、各層の造形材料を選択的に照射および強化するための(各)開始時間をスケジューリングするための改善された手法を見つけることで、造形時間を短縮する態様である。
【0005】
これに関して、互いに影響を及ぼし得る、すなわち特に悪影響を及ぼし得る多様なプロセスパラメータを考慮しなければならない。(各)開始時間のスケジューリングを改善するために考慮されなければならない1つの例示的なプロセスパラメータは、造形面を横切って流れるそれぞれのプロセスガス流のストリーミング挙動である。
【0006】
したがって、造形材料の各層を選択的に照射および硬化するための(各)開始時間のスケジューリングを改良することに、挑戦が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、造形材料の各層を選択的に照射および硬化するための改善された開始時間のスケジューリングを可能にする、少なくとも1つの三次元物体を付加製造する方法を提供することにある。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。請求項1に従属する請求項は、請求項1に記載の方法の可能な実施形態に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載される方法は、少なくとも1つのエネルギービーム、例えばレーザーまたは電子線によって、造形材料層を連続的で層選択的な照射および圧密硬化することで、少なくとも1つの三次元物体、例えば技術的構成要素を付加製造する方法であり、造形材料は例えば、セラミック、金属、またはポリマー構造材料からなる。選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料層は、本方法を実施するために使用される少なくとも1つの三次元物体を付加製造する装置の造形面に適用される。したがってこの方法は、少なくとも1つの三次元物体を付加製造する装置によって実行される。
【0010】
例えばこの方法は、選択的レーザー焼結法、選択的レーザー溶融法、または選択的電子ビーム溶融法であってもよい。しかしこの方法は、バインダー噴射法、特に例えば金属バインダー噴射法であることも考えられる。この方法を実施するための装置は、例えば、選択的レーザー焼結装置、選択的レーザー溶融装置、または選択的電子ビーム溶融装置であり得る。しかし、装置がバインダー噴射装置、特に例えば金属バインダー噴射装置であることも考えられる。
【0011】
この方法は、単一のエネルギービームまたは複数のエネルギービームを用いて実施することができる。言い換えれば、少なくとも1つまたは少なくとも2つのエネルギービームを使用して、選択的に照射および硬化されるべき造形材料の各層を、選択的に照射および硬化することができる。
【0012】
この方法を実行する間に、すなわち造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に、ヒューム、煙、蒸気または煤粒子(以後「粒子」という)が発生する。各粒子は典型的には、固結していない粒状造形材料、すなわち造形材料の各層の選択的な照射中に固結しなかった粒状造形材料を含む。
【0013】
各粒子を造形面または造形面を含むプロセスチャンバーから除去または運ぶために、帯同可能であるかまたは各粒子で帯同されるプロセスガス流が生成される。したがって、プロセスガス流は、造形面または造形面を含むプロセスチャンバーから各粒子を除去または運ぶのにそれぞれ役立つ。プロセスガス流は、典型的には、造形面または造形面を含むプロセスチャンバーから各粒子を除去または運ぶのに、各粒子を帯同可能または帯同させるように、造形面を横切って流れる。言い換えれば、プロセスガス流は、本方法を実施しながら、造形面を横切る構造材料流の各層の選択的な照射および硬化の間に発生する各粒子で、帯同することが可能になる。プロセスガス流は、造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に生成される造形材料層からの各粒子を除去または運ぶように適合される。
【0014】
プロセスガス流は、典型的には与えられたプロセスガス流、すなわち特に(実質的に)一定のストリーミング特性、例えばストリーミング方向、特に(実質的に)層状のストリーミングプロファイルのようなストリーミングプロファイル、ストリーミング速度などである。 したがって、与えられたプロセスガス流、すなわち特に(実質的に)一定の流動特性のプロセスガス流を、本方法を実施するために/実施中に使用することができる。プロセスガス流は一方向、若しくは放射状のガス流のような多方向でもよい。
【0015】
プロセスガス流は、典型的には不活性プロセスガス流、すなわち、例えばアルゴン、二酸化炭素、窒素などの不活性プロセスガス流、または異なる不活性プロセスガスの混合物である。したがって、本方法を実施するために/実施中に、不活性プロセスガス流を使用することができる。
【0016】
プロセスガス流は、プロセスガス流を生成するように構成されたストリーム生成ユニットによって生成され、そのプロセスガス流は、造形面を横切って流れながら、造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に発生する粒子をさせることができ、それによりプロセスガス流は、造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に生成される構造材料層からの各粒子を除去または運ぶのに適合される。ストリーム発生ユニットは、典型的には、プロセスガス流がプロセスチャンバーに入る間に、プロセスチャンバーのプロセスガス入口に接続される。ストリーム発生ユニットは、例えば、吹出および/または吸引ユニットとして造形されてもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0017】
選択的に照射および硬化されるべき造形材料の各の層の選択的な照射および硬化は、各層の少なくとも2つの領域を照射および硬化することを含んでもよい。言い換えれば、選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料の各層は、少なくとも2つの領域、すなわち照射され硬化されるべき第1領域と、少なくとも1つのさらなる領域とを含み得る。第1領域は、典型的には必ずしもそうとは限らないが、最初に照射されるべき領域である。
【0018】
上述のように、1つまたは少なくとも2つのエネルギービームを使用して、それぞれの造形材料層を選択的に照射および硬化することができる したがって、照射されかつ固結されるべき造形材料の各層の各領域に関して、それらの各領域は、(単一の)エネルギービームまたは複数のエネルギービームによって照射されてもよい。
【0019】
照射され硬化されるべきそれぞれの領域は、(直接)互いに接触してもよい。したがって、それぞれの領域は、少なくとも1つの接触領域、すなわち第1領域が少なくとも1つのさらなる領域と接触する少なくとも1つの接触点を有することができる。互いに(直接)接触するそれぞれの領域は、選択的に照射されかつ強化されるべき造形材料の各層の上位領域の部分領域またはサブ領域であり得る。互いに(直接)接触するそれぞれの領域は、本方法を実施することによって付加的に造形されるべき共通の三次元物体、または本方法を実施することによって付加的に造形されるべき異なる物体に割り当てることができる。
【0020】
しかし、照射され硬化されるべきそれぞれの領域が、互いに(直接)接触しないこともあり得る。したがって、それぞれの領域は、第1領域が少なくとも1つのさらなる領域と接触する接触領域、すなわち接触点を持たないことがある。互いに(直接)接触しないそれぞれの領域は、通常、互いに空間的に分離される。互いに(直接)接触しないそれぞれの領域はまた、選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料の各層の上位領域の部分領域またはサブ領域であり得る。(直接に)接触しないそれぞれの領域はまた、本方法を実施することによって付加的に造形される共通の三次元オブジェクト、または本方法を実施することによって付加的に造形されることになる異なるオブジェクトに割り当てられ得る。
【0021】
照射され硬化されるべき少なくとも1つのそれぞれの領域は、二次元の広がりを有してもよく、すなわち2つの異なる空間方向に延びてもよい。したがって、照射され硬化されるべき各領域は、複数の照射ベクトル、特に複数の走査ベクトルを含むことができる。したがって、複数の照射ベクトルが形成されることで、照射され硬化されるべ各領域と見なすこともできる。しかし、照射され硬化されるべき少なくとも1つのそれぞれの領域が一次元の広がりを有すること、すなわち(実質的に)1つの空間方向(のみ)延びることも可能である。したがって、照射および硬化されるべきそれぞれの領域は、ただ1つの照射ベクトル、特に走査ベクトルを含むことができる。したがって、(単一の)照射ベクトルもまた形成され、それにより照射され硬化されるべきそれぞれの領域と見なされる。いずれの場合も、照射され硬化されるべき各領域の幾何学的特性、すなわち特に形状および/または寸法は、等しくても異なっていてもよい。
【0022】
この方法によれば、照射されかつ硬化されるべき少なくとも2つの領域、すなわち照射され硬化されるべき第1領域と、少なくとも1つのさらなる領域とを含む造形材料の少なくとも1つの各層に対して、照射および硬化されるべき各領域の少なくとも1つの領域の照射および硬化の間に発生可能または発生される粒子で、帯同可能または帯同されるプロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすことが決定される。スケジューリング基準は、典型的には、プロセスガス流に対して、すなわち特にプロセスガス流の流動方向に対して、選択的に照射されかつ硬化されるべきそれぞれの造形材料層の領域の位置を考慮する。したがって本方法は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうかを判定する第1決定ステップ(「スケジューリング基準チェックステップ」)を含む(その例を以下に示す)。したがって第1決定ステップは、プロセスガス流、すなわち特に少なくとも1つの領域の選択的な照射中に発生した粒子で帯同しているプロセスガス流の一部が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリングを満たすかどうか/満たしていることを判定する。したがって、第1決定ステップの結果は、プロセスガス流、すなわち特に粒子で帯同されたプロセスガス流の一部が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たしていることを示す情報である。
【0023】
第1決定ステップは、照射されかつ硬化されるべき少なくとも1つの領域で、照射および硬化が行われている間に発生可能または発生される粒子で帯同可能または帯同されるプロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすことを決定するように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された第1決定ユニットによって実行され得る。それぞれの決定ユニットは、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうかを決定するのに適した少なくとも1つの決定アルゴリズムを含み得る。
【0024】
以下から明らかになるように、第1決定ステップは、造形材料の各層を選択的に照射して硬化することを開始する前に、すなわち選択的に照射されるべき造形材料の各層の少なくとも1つの領域を照射および硬化する開始前に行われ、或いは造形材料の各層を選択的に照射して硬化し始めた後でも、すなわち選択的に照射および硬化されるべき造形材料の各層の少なくとも1つの領域を照射および硬化する開始後でも行われる。
【0025】
この方法によれば、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間は、プロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているかどうか/満たしていることの判断に基づいて決定される。したがって本方法は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているかどうかの判断に基づいて、第1領域の照射および硬化を開始するための開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始するための開始時間が決定される第2決定ステップ(「スケジューリングステップ」)を含む。したがって第2決定ステップは、第1決定ステップの結果、すなわちプロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たしていることを示す情報に基づいて、造形材料の各層において照射され硬化されるべきそれぞれの領域を照射および硬化する開始時間を決定することを含む。そのため第2決定ステップは、第1決定ステップの結果に基づいて行われる。第2決定ステップは、第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間の順序すなわちシーケンスと、さらには第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化の順序すなわちシーケンスを決定することを含み得る。第2の決定ステップはまた、第1領域が照射され硬化された後にさらなる領域を照射し硬化合するための特定の遅延、すなわち特別な設定を決定することを含む。
【0026】
第2の決定ステップは、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているという決定に基づき、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間を決定するように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された第2決定ユニットによって実行され得る。それぞれの第2決定ユニットは、造形材料の各層において照射され硬化されるべきそれぞれの領域の照射および硬化を開始する開始時間を決定するのに適した少なくとも1つの決定アルゴリズムを含み得る。
【0027】
第1および第2決定ユニットは、それぞれ上位決定ユニットまたは制御ユニットの一部を形成してもよい。以下から明らかになるように、それぞれの制御ユニットは、三次元物体を付加製造する装置に割り当て可能か、または割り当ててもよい。
【0028】
したがって本方法は、少なくとも1つの予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を提供し、プロセスガス流がそれぞれのスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすのを決定し、そしてプロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすことの判断に基づいて、少なくとも2つの領域を照射および硬化する開始時間、すなわち特別なスケジュールを決定する。したがってこの方法は、造形面を横切って流れるそれぞれのプロセスガス流のストリーム挙動と、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域からなる造形材料において、各層の照射および硬化されるべき各領域の照射および硬化の潜在的影響と、を考慮する。これにより、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域を含む造形材料の各層において、それぞれの領域を照射し硬化するための開始時間のスケジューリングが改善可能になる。
【0029】
それぞれの領域で開始時間が決定された後、それぞれの領域の、さらにはそれぞれの領域からなる造形材料の各層の照射および硬化が行われる。したがって本方法は、造形材料の各層のそれぞれの領域の照射および硬化を開始するための決定された開始時間に基づいて、少なくとも1つのエネルギービームによって、造形材料の各層のそれぞれの領域を照射および硬化するステップを含み得る。
【0030】
少なくとも2つのエネルギービーム、ひいては少なくとも2つの照射ユニットのそれぞれが、少なくとも1つのエネルギービームを用いて造形材料層の各領域を選択的に照射して、それにより硬化するように構成される場合、本方法はさらに、スケジューリング基準を考慮して、照射され硬化されるべきそれぞれの領域に、それぞれの照射ユニットを割り当てることを含み得る。したがって、ここでのスケジューリング基準は、照射され硬化されるべき造形材料層のそれぞれの領域に照射ユニットを割り当てるためにも使用され得る。
【0031】
本方法の全てのステップは、(完全に)自動で実行されてもよい。本方法の例示的実施形態によれば、スケジューリング基準は時間が基準である。以下から明らかになるように、スケジューリング基準はしたがって、特定の時間または時間の間隔を指すことができる。時間基準は通常、特定の時間または時間の間隔が経過したときに満たされる。
【0032】
したがって、照射され硬化されるべき第1領域と、照射され硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域とを含む少なくとも1つの造形材料層に対して、照射および硬化されるべき各領域の少なくとも1つの領域、すなわち第1領域の照射および硬化の間に発生可能または発生される粒子で、帯同可能となるか帯同されるプロセスガス流が、時間基準を満たすのにかかる時間が決定され得る。第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域を照射および硬化を開始する開始時間は、プロセスガス流が時間基準を満たしたという決定に基づいて決定され得る。言い換えれば、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間は、プロセスガス流が時間基準を満たすのにかかる決定された時間に基づいて決定され得る。
【0033】
時間基準は、特に第1領域の照射および硬化の間に発生されるプロセスガス流が、造形面を含むプロセスチャンバー内の特定の領域、特に造形面上或いは造形面を超えた特定の領域に、粒子を運ぶのにかかる時間そのもの、若しくはその時間を参照したものであり得る。したがってこの時間基準は、プロセスガス流が、造形面を含むプロセスチャンバー内の特定の領域上或いは特定の領域を超え、とりわけ造形面内の特定の領域上または特定の領域を超えて、粒子を運んだときに満たされ得る。このようにして、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子は、造形面を含むプロセスチャンバー内の特定の領域上または特定の領域を超え、とりわけ造形面内の特定の領域上または特定の領域を超えて運ばれるので、例えば少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に使用される少なくとも1つのエネルギービームとの相互作用によって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子は、少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。特定の領域は、典型的には、例えばプロセスガス流の与えられたストリーム方向に対して、造形材料の各層に照射されかつ固結されるべき少なくとも1つのさらなる領域の背後に位置する領域そのものであるか、またはそれを参照したものとなり得る。
【0034】
このようにして時間基準は、特にプロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に生成される粒子を、選択的に照射され硬化されるべき造形材料の各層の少なくとも1つのさらなる領域を横切って運ぶのにかかる時間そのもの、若しくはその時間を参照したものであり得る。したがって時間基準は、プロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に発生される粒子を、少なくとも1つのさらなる領域を横切って運んだときに満たされ得る。このような手法では、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子が、少なくとも1つの別な領域を横切って(すでに)運ばれているので、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子は、少なくとも1つの別な領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。
【0035】
このようにして時間基準は、プロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に発生される粒子を、特に造形面を含むプロセスチャンバーの外へ運ぶのにかかる時間そのものであるか、またはその時間を参照することもできる。したがって時間基準は、プロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に発生される粒子を、造形面を含むプロセスチャンバーの外へ運んだときに満たされ得る。このような手法では、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子が、造形面を含むプロセスチャンバーの外に(すでに)運ばれているので、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子は、少なくとも1つの別な領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。
【0036】
時間基準の代わりにまたはそれに加えて、スケジューリング基準は場所の基準とすることができる。以下から明らかになるように、スケジューリング基準はしたがって、それぞれ特定の場所、特に造形面または造形面を含むプロセスチャンバーの特定の場所を指すことができる。場所基準は、典型的には、プロセスガス流が造形面または造形面を含むプロセスチャンバーの特定の位置に到達するか、到達し終えるか、交差するか、または交差し終えたときにそれぞれ満たされる。これは一般に、プロセスガス流が特定の場所に到達するかまたは特定の場所を通過するのにかかる時間とは無関係である。
【0037】
したがって、照射および硬化されるべき第1領域と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域とを含む少なくとも1つの造形材料層に対して、照射および硬化されるべき各領域の少なくとも1つの領域の照射および硬化の間に、発生可能または発生された粒子で充填可能または充填されたプロセスガス流は、場所基準を満たしていると決定され得る。第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域を照射および硬化を開始するの開始時間は、プロセスガス流が場所基準を満たしたという決定に基づいて決定され得る。
【0038】
したがって場所基準は、造形面を含むプロセスチャンバーの特定の領域、特に造形面の特定の領域そのものであるか、またはその特定の領域を参照したものであり得る。したがって場所基準は、プロセスガス流が、造形面を含むプロセスチャンバーの特定の領域、特に造形面の特定の領域に到達するか、到達し終えるか、交差するか、または交差し終えたときにそれぞれ満たされ得る。このような手法では、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子が、造形面を含むプロセスチャンバーの特定の領域、特に造形面の特定の領域に(すでに)到達または交差しているか、またはその領域内の特定の領域を超えているため、例えば少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に使用される少なくとも1つのエネルギービームとの相互作用によって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子は、少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。特定の領域は、例えばプロセスガス流の与えられたストリーム方向に対して、造形材料の各層内で照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域の背後に位置する領域そのものであるか、またはその領域を参照したものとなり得る。
【0039】
一般に、照射され硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域を照射し硬化するための開始時間は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たした時点として決定することができる。これは、スケジューリング基準が時間基準であるかまたはそれを参照する例示的実施形態と、スケジューリング基準が場所基準であるかまたはそれを参照する例示的実施形態の両方に当てはまる。
【0040】
例えば1秒間の予め定義可能または予め定義された最小時間間隔が、いずれの場合にも第1領域の照射および硬化が開始された後の、少なくとも1つのさらなる領域が照射および硬化される前に待機されるように、一般に適用され得る。このような手法では、第1領域を照射することによる少なくとも1つのさらなる領域を照射することの望ましくない影響を、確実になくすことができる。
【0041】
本方法はさらに、少なくとも1つのさらなる領域を横切って、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子をプロセスガス流が運ぶように、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域が、互いに空間的な関係に配置されるかどうかを決定することを含み得る。したがって本方法は、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を、少なくとも1つのさらなる領域にわたってプロセスガス流が運ぶように、少なくとも2つの領域が、互いに空間的な関係に配置されるかどうか/配置されるのを決定する決定ステップを含み得る。言い換えれば、これは第1領域の照射または第1領域の照射中に生成された粒子が、少なくとも1つのさらなる領域を照射することに影響を及ぼし得るという一般的な可能性があるかどうかを決定し得る。プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域にわたって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を運ばないように、少なくとも2つの領域が互いに空間的な関係にあると決定される場合、第1領域と少なくとも1つのさらなる領域は、少なくとも部分的に同時に照射されてもよい。この決定ステップは、上記の第1および/または第2の(各)決定ステップの前に、同時に、または後で実行され得る。
【0042】
決定ステップは、プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域にわたって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を運ぶように、少なくとも2つの領域が互いに空間的な関係にあるかどうかを決定するように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された決定ユニットによって実行され得る。それぞれの決定ユニットは、プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域にわたって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を運ぶように、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域が互いに空間的な関係に配置されるかどうか/配置されるのを決定するのに適した、少なくとも1つの決定アルゴリズムを含むことができる。
【0043】
造形面を含むプロセスチャンバーにおいて、プロセスガス流、特に与えられたストリーム特性のプロセスガス流の流れ、すなわち特に造形面を横切るプロセスガス流の流れを、シミュレートすることができる。したがって、プロセスガス流がスケジューリング基準を満たすか、または満たしていたかの決定は、シミュレーション、特に照射され硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化される間に発生する粒子で、充填されたプロセスガス流のシミュレーションに基づいて決定され得る。したがって本方法は、プロセスガス流の流れが、造形面を含むプロセスチャンバーに照射され硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化される間に発生する粒子で充填されたプロセスガス流の流れ、すなわち特に造形面を横切るプロセスガス流の流れを、実際に動作させる前にシミュレートすることができる。シミュレーションは、エネルギービームパラメータのような、さらにはエネルギー入力或いはエネルギー入力に関連したパラメータのような、例えばビーム強度やビーム焦点サイズなどの多様なプロセスパラメータ、および/または造形材料粒子のタイプや造形材料粒子のサイズなどの造形材料パラメータを考慮することができる。
【0044】
シミュレーションステップは、造形面を含むプロセスチャンバー内で照射および硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化の間に発生する粒子で充填されるプロセスガス流の流れ、すなわち特に造形面を横切るプロセスガス流の流れをシミュレートするように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施されたシミュレーションユニットによって実行され得る。各シミュレーションユニットは、造形面を含むプロセスチャンバー内で照射および硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化の間に発生する粒子で充填されるプロセスガス流の流れをシミュレートするのに適した、少なくとも1つのシミュレーションアルゴリズムを含み得る。
【0045】
造形材料の各層の照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域を、第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域として、どちらかに決定すべきかは一般に自由である。上述のように第1領域は、典型的には、必ずしもそうとは限らないが、最初に照射されるべき領域である。最初に照射され硬化される領域として、それぞれの領域を決定することは、例えばそれらの(空間的な)拡がりや、造形面の向きおよび/または位置に基づいて実行され得る。しかし、それぞれの領域が最初に照射され硬化されるべきであると決定する他の原理も考えられる。例えば、最初に照射されかつ硬化されるべき領域は現在の形態、すなわち例えば走査ユニットのようなビーム偏向ユニットの、例えば走査素子のような少なくとも1つのビーム偏向素子の、造形面に対する空間的な向きに基づいて決定することもできる。どの領域が最初に照射され硬化されるべきか決定するのに、ビーム偏向ユニットのビーム偏向要素における現在の形態を利用することは、各領域の照射および統合を開始する開始時間の決定をさらに改善し得る。
【0046】
少なくとも2つのエネルギービーム、ひいては少なくとも2つのエネルギーユニットのそれぞれが、少なくとも1つのエネルギービームで、造形材料層の領域を選択的に照射し、それにより硬化するように構成して使用される場合、本方法は、それぞれの照射ユニットによってカバーされ得る造形面の最大範囲に関する移動度基準をさらに考慮することを含み得る。各照射ユニットの最大範囲は、典型的には、各照射ユニットの一部を形成し、装置の造形面内の様々な位置にエネルギービームを偏向するように構成された、例えば走査ユニットのようなビーム偏向ユニットのそれぞれのビーム偏向素子の移動度によって定義される。
【0047】
本発明はさらに、少なくとも1つのエネルギービームによって、各装置の造形面に適用される造形材料の各層の連続的で層選択的な照射および硬化で、少なくとも1つの三次元物体を付加製造する装置のための、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された制御ユニットに関する。制御ユニットは、特に本明細書に記載の方法に従って、照射および硬化されるべき第1領域と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域と、を含む少なくとも1つの造形材料層を決定するように構成され、照射および硬化されるべき少なくとも1つの領域で、照射および硬化される間に発生した粒子を帯びたプロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たし、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているという決定に基づいて、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間が決定される。
【0048】
制御ユニットは、本明細書に記載の方法を実施するために使用されるそれぞれのユニット、すなわち特に第1および第2決定ユニットを含むか、またはそれらと接続されてもよい。
【0049】
本発明はさらに、少なくとも1つのエネルギービームによって、装置の造形面に適用される造形材料の各層の連続的で層選択的な照射および硬化で、少なくとも1つの三次元物体を付加製造するための装置に関する。本装置は、本明細書で特定されるように少なくとも1つの制御ユニットを含むかまたはそれと接続される。
【0050】
本装置は、例えば選択的レーザー焼結装置、選択的レーザー溶融装置、または選択的電子ビーム溶融装置であり得る。しかし、本装置が例えばバインダー噴射装置、特に金属バインダー噴射装置であることも考えられる。
【0051】
本装置は、その動作中に動作可能であるかまたは動作される幾つかの機能および/または構造ユニットを含む。各機能および/または構造ユニットは、いくつかの機能および/または構造サブユニットを含むことができる。例示的な機能および/または構造ユニットは、本装置の造形面に選択的に照射および硬化されるべき量の造形材料を塗布するように構成された造形材料塗布ユニットや、少なくとも1つのエネルギービームで、造形材料の層の領域を選択的に照射し、それにより硬化するように構成された照射ユニットや、造形面を横切って流動させながら、造形材料の各層を選択的に照射および硬化する間に発生する粒子で充填され得るプロセスガス流を生成するように構成されたストリーム生成ユニットであり、これによりプロセスガス流は、造形材料からなる各層が選択的な照射および硬化する間に、発生する造形材料層からの各粒子を除去または運ぶように適合され、また各々の制御ユニットでもある。
【0052】
本方法に関する注釈はすべて、制御ユニットおよび/または本装置にも適用される。
【0053】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、例示的な実施形態による三次元物体を付加的に製造するための装置の原理図を示す。
図2図2は、例示的な実施形態による図1の装置の造形面の上面図を示す。
図3図3は、例示的な実施形態による図1の装置の造形面の上面図を示す。
図4図4は、例示的な実施形態による図1の装置の造形面の上面図を示す。
図5図5は、例示的な実施形態による図1の装置の造形面の上面図を示す。
図6図6は、例示的な実施形態による図1の装置の造形面の上面図を示す。
図7図7は、例示的な実施形態による図1の装置の造形面の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、三次元物体2、例えば、立体物2を付加的に製造するための装置1の例示的な実施形態の原理図を示し、連続的な層毎の選択的照射およびそれに伴う粉末状造形材料3の層の圧密による技術的構成要素を示す。例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのエネルギービーム4によって固結させることができる金属粉末を用いる。エネルギービーム4は、例えば、電子線またはレーザ光であり得る。従って、装置1は、例えば、選択的電子ビーム溶融装置または選択的レーザー溶融装置として具体化することができる。
【0056】
装置1は、その動作中に動作可能であり動作するいくつかの機能的および/または構造的ユニットを備える。各機能単位および/または構造単位は、いくつかの機能単位および/または構造単位を含むことができる。機能的および/または構造的ユニットおよび装置1のそれぞれの動作は、(中央)制御ユニット5によって制御される。
【0057】
装置1の例示的な機能的および/または構造的ユニットは、造形材料塗布ユニット6、照射ユニット7およびストリーム発生ユニット9である。
【0058】
造形材料塗布ユニット6は、装置1の造形面BPに所定量の造形材料3を塗布して、三次元造形物を積層造形する工程において、選択的に照射されかつ固結されるべき造形材料3の各層を生成するように構成されている。造形材料塗布ユニット6は、例えば再被覆ユニットとして具体化することができる。造形材料塗布ユニット6は装置1のプロセスチャンバー8内に移動可能に支持されている。造形材料塗布ユニット6は、装置1の造形プレーンBP内に所定量の投与された造形材料3を塗布するように装置1の造形面BPを横断して移動させることができる。造形材料塗布ユニット6の例示的な動きは、造形材料塗布ユニット6の例示的なコーティング方向を表す矢印P1によって示されている。
【0059】
照射ユニット7は、造形材料塗布ユニット6によって装置1の造形面BPに塗布された造形材料3の各層を選択的に照射し、それによって少なくとも1つのエネルギービーム4で強化するように構成されている。照射ユニット6は、少なくとも1つのエネルギービーム4を生成するように構成されたビーム生成ユニット(図示せず)と、ビーム偏向ユニット(図示せず)とを含むことができる。当該ビーム偏向ユニットは、装置1の造形面BP内の様々な位置にエネルギービーム4を偏向させるように構成された走査ユニットである。
【0060】
ストリーム発生ユニット9は、装置の造形面BPを横断して流れるプロセスガス流(矢印P2で示す)を生成するように構成されている。プロセスガス流は、プロセスガス流入口10でプロセスチャンバー8に入り、プロセスガス出口11でプロセスチャンバー8から出る。プロセスガス流入口10とプロセスガス出口11は、ストリーミングチャネル構造12によってストリーム発生ユニット9に接続されている。当該ストリーミングチャネル構造12は、少なくとも1つのストリーミングチャネルを含む。ストリーム発生ユニット9は、例えば、吹込みおよび/または吸引ユニットとして構築されてもよい。
【0061】
プロセスガス流は、造形面BPを横断して流れる間に造形材料3のそれぞれの層の選択的照射および硬化の間に発生したヒューム、煙、蒸気またはすすの粒子を帯同することができる。それによって、プロセスガス流は、造形材料3のそれぞれの層の選択的照射および硬化の間に生成される造形材料3の層からそれぞれの粒子を除去または運ぶように適合される。
【0062】
造形材塗布部6、照射部7、およびストリーム発生ユニット9の動作は、制御部5によって制御されてもよい。
【0063】
制御部5は、装置1の各機能部および/または構成部の動作を制御することにより、立体物2を積層造形する方法を実現するように構成されている。
【0064】
この方法を実行している間、すなわち造形材料3のそれぞれの層の選択的照射および硬化の間に、それぞれのヒューム、煙、蒸気または煤粒子が発生する。上述したように、それぞれの粒子をそれぞれ造形平面BPまたはプロセスチャンバー8から除去または移送するようにプロセスガス流が生成される。プロセスガス流は、それぞれの粒子をそれぞれ造形面またはプロセスチャンバー8から除去または移送するように、それぞれの粒子を帯同可能または帯同できるように、造形面BPを横断して流れる。
【0065】
プロセスガス流は、すなわち、特に(実質的に)一定の、流動方向、流動抗力、特に(実質的に)層流抗力、流動速度などの流動特性を与えるものである。
【0066】
例示的な実施形態による図1の装置1の造形面BPの上面を示す図2〜7の各々から明らかなように、造形材料3のそれぞれの層の選択的な照射および硬化は、以下を含むことができる。造形材料3のそれぞれの層の少なくとも2つの領域A1〜Anを照射および硬化する。言い換えれば、選択的に造形され固結されるべき造形材料3のそれぞれの層は、少なくとも2つの領域A1〜Anを含むことができる。すなわち、照射され硬化されるべき第1領域A1および少なくとも1つのさらなる領域を含むことができる。各領域A1〜Anは、(単一の)エネルギービーム4によって照射されても複数のエネルギービーム4によって照射されてもよい。
【0067】
図2は、それぞれの領域A1〜An(nは整数)が互いに(直接)接触しないことを示している。従って、それぞれの領域A1〜Anは、第1領域A1が少なくとも1つのさらなる領域A2,Anと接触する接触領域、すなわち接触点を有さないことがある。互いに(直接)接触しないそれぞれの領域A1〜Anは、通常、互いに空間的に分離されている。互いに(直接に)接触しないそれぞれの領域は、選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料3のそれぞれの層の上位領域の部分領域またはサブ領域である場合がある。互いに(直接に)接触しない各エリアA1〜Anは、本方法を実施することによって付加的に構築される共通の3次元オブジェクト2、または本方法を実施することによって付加的に構築される異なるオブジェクト2に割り当てられ得る。
【0068】
図3は、それぞれの領域A1〜Anが互いに(直接)接触してもよいことを示す。従って、それぞれの領域A1〜Anは、少なくとも1つの接触領域、すなわち少なくとも1つの接触点を有することができ、第1領域A1は少なくとも1つのさらなる領域A2,Anと接触する。互いに(直接)接触するそれぞれの領域A1〜Anは、選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料3のそれぞれの層の上位領域の部分領域またはサブ領域であり得る。互いに(直接的に)接触するそれぞれの領域A1〜Anはまた、本方法を実施することによって付加的に構築される共通の3次元オブジェクト2、または本方法を実施することによって付加的に構築される異なるオブジェクト2に割り当てられ得る。
【0069】
図の例示的な実施形態によれば、それぞれの領域A1〜Anはそれぞれ二次元の広がり、すなわち2つの異なる空間方向に延びる。従って、照射され硬化されるべきそれぞれの領域A1〜Anは、複数の照射ベクトル、特に走査ベクトルを含むことができる。しかし、少なくとも1つのそれぞれの領域A1〜Anが一次元の広がりを有すること、すなわち(実質的に)1つの空間方向のみに延びることも可能である。従って、照射および硬化されるべきそれぞれの領域は、ただ1つの照射ベクトル、特に走査ベクトルを含むことができる。
【0070】
この方法によれば、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域A1〜Anを含む造形材料3のそれぞれの層について、領域A1〜Anのうちの少なくとも1つを照射および硬化している間に生成可能もしくは生成された粒子を帯同可能であるかまたは帯同しているプロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすか否かが決定される。従って、本方法は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうかを判断する第1決定ステップ(「スケジューリング基準チェックステップ」)を含む。第1決定ステップの結果は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうかを示す情報である。以下から明らかなように、スケジューリング基準は、プロセスガス流の方向に対して照射されかつ硬化されるべきそれぞれの領域の位置に関連している。
【0071】
第1決定ステップは、領域A1〜Anのうちの少なくとも1つを照射および硬化している間に生成可能もしくは生成された粒子を帯同可能であるかまたは帯同しているプロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすか否かを決定できるように構成されるハードおよび/またはソフトウェアによって具現化された第1決定ユニット13によって実行され得る。決定ユニット13は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうかを決定するのに適した少なくとも1つの決定アルゴリズムを含み得る。
【0072】
第1決定ステップは、造形材料3のそれぞれの層を選択的に照射および硬化することを開始する前に、すなわち、選択的に照射および硬化されるべき造形材料3のそれぞれの層の少なくとも1つの領域A1〜Anを照射および硬化することを始める前、または造形材料3のそれぞれの層を選択的に照射および硬化し始めた後、すなわち、選択的に照射および硬化されるべき造形材料3のそれぞれの層の少なくとも1つの領域A1〜Anを照射して硬化し始めた後に行われ得る。
【0073】
この方法によれば、第1領域A1および/または少なくとも1つのさらなる領域A2の照射および硬化を開始するための開始時間は、プロセスガス流が予め定義可能なまたは予め定義されたスケジューリング基準の条件を満たすかどうかの判断に基づいて決定される。従って、この方法は、第1領域A1の照射および硬化を開始するための開始時間および/または少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化を開始するための開始時間を、プロセスガス流が予め定義可能なまたは予め定義されたスケジューリング基準の条件を満たしたか否かで決定する第2決定ステップ(「スケジューリングステップ」)を含む。従って、第2決定ステップは、第1の決定ステップの結果に基づいて、造形材料3のそれぞれの層において照射され硬化されるべきそれぞれの領域A1〜Anの照射および硬化を開始するための開始時間を決定することを含む。従って、第2決定ステップは、第1の決定ステップの結果に基づいて行われる。第2決定ステップは、第1領域A1および/または少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化を開始するための開始時間の順序または順番、すなわち、領域A1および/または少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを照射および硬化する順番を決定することを含み得る。
【0074】
第2の決定ステップは、第1領域A1の照射および硬化を開始するための開始時間および/または少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化を開始するための開始時間を、プロセスガス流が予め定義可能なまたは予め定義されたスケジューリング基準の条件を満たしたかどうかの判断に基づいて決定するように構成されたハードおよび/またはソフトウェアで具現化した第2決定ユニット14によって実行され得る。第2の決定ユニット14は、造形材料3のそれぞれの層において照射され硬化されるべきそれぞれの領域A1〜Anの照射および硬化を開始するための開始時間を決定するのに適した少なくとも1つの決定アルゴリズムを含み得る。
【0075】
従って、本方法は、少なくとも1つの予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を提供すること、プロセスガス流がそれぞれのスケジューリング基準を満たすかどうかを決定すること、およびプロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているかどうかの判断に基づいて、それぞれの領域A1〜Anを照射および硬化するための開始時間を決定、すなわち特にスケジューリングすることを含む。従って、この方法は、造形面BPを横断して流れるプロセスガス流の流動挙動と、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域A1〜Anを含む造形材料3のそれぞれの層のそれぞれの領域A1〜Anの照射および硬化に対する前記プロセスガス流の流動挙動の潜在的な影響とを考慮する。
【0076】
それぞれの領域A1〜Anについての開始時間が決定された後、それぞれの領域A1〜An、すなわちそれぞれの領域A1〜Anを含む造形材料3のそれぞれの層の照射および硬化を実行することができる。従って、この方法は、それぞれの領域A1〜Anの照射および硬化を開始するための決定された開始時間に基づいて、少なくとも1つのエネルギービーム4を用いて造形材料3のそれぞれの層のそれぞれの領域A1〜Anを照射および硬化する工程を含む。
【0077】
スケジューリング基準は時間基準とすることができる。従って、スケジューリング基準は特定の時間または時間間隔を指すことがある。時間基準は通常、特定の時間または時間間隔が経過したときに満たされる。
【0078】
従って、造形材料3のそれぞれの層に対して、領域A1〜Anのうちの少なくとも1つの領域、例えば第1領域A1の照射および硬化の間に生成可能または生成された粒子を帯同可能または帯同したプロセスガス流が時間基準を満たすのにかかる時間が決定され得る。第1領域A1および/または少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化を開始するための開始時間は、プロセスガス流が時間基準を満たしたという決定に基づいて決定することができる。言い換えれば、第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化を開始するための開始時間は、プロセスガス流が時間基準を満たすのにかかる決定された時間に基づいて決定され得る。
【0079】
時間基準は、特に、第1領域A1の照射および硬化の間に生成されるプロセスガス流がプロセスチャンバー8内(図2を参照)の特定の領域SA,SAm(ここで、mは整数である)に粒子を運ぶのにかかる時間であり得る。特に、造形平面BPの中、上、または範囲外にある特定の領域SA,SAm(図3を参照)である。従って、時間基準は、プロセスガス流が、それぞれプロセスチャンバー8内または造形面BPの特定の領域SA,SAmにまたは当該領域を超えた領域に粒子を運んだたときに満たされ得る。図2、3から明らかなように、特定領域SA,SAmは、プロセスガス流の所定の流れ方向(矢印P2参照)にて造形材料3のそれぞれの層において照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの後方に位置する領域であってもよい。
【0080】
従って、時間基準は、特に、プロセスガス流が第1領域A1の照射および硬化中に生成された粒子を造形材料3のそれぞれの層の少なくとも1つのさらなる領域A2、Anを横断して運ぶのにかかる時間であり得る。従って、時間基準は、プロセスガス流が第1領域A1の照射および硬化の間に生成された粒子を少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを横断して運んだときに満たされ得る。
【0081】
従って、時間基準はまた、特に、第1領域A1の照射および硬化の間に生成された粒子をプロセスチャンバー8の外へ運ぶためにプロセスガス流が要する時間であってもよい。従って、プロセスガス流が、第1領域A1の照射および硬化の間に生成された粒子をプロセスチャンバー8の外へ運んだときに時間基準が満たされる。
【0082】
いずれの場合でも、第1領域A1の照射および硬化の間に生成された粒子は、例えば、少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを照射および硬化するために使用される少なくとも1つのエネルギービーム4との相互作用により、少なくとも1つのさらなる領域A2、Anの照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼすことはない。
【0083】
時間基準の代わりに、または時間基準に付加して、スケジューリング基準を位置的な場所基準とすることができる。したがって、スケジューリング基準は、特定の場所、特に造形面や、該造形面を備えるプロセスチャンバーの特定の場所をそれぞれ指すことがある。場所基準は、典型的には、プロセスガス流が造形面や、該造形面を備えるプロセスチャンバーの特定の場所に到達する、到達した、横断する、または横断したときに満たされる。これは一般に、プロセスガス流が特定の場所に到達または横断するのにかかる時間とは無関係である。たとえば、特定の場所は、上述のSA1,SAmのいずれか一つによって与えられてもよい。
【0084】
したがって、造形材料3のそれぞれの層について、照射および硬化されるべき領域A1〜Anの少なくとも1つの照射および硬化の間に発生可能または発生する粒子を帯同可能または帯同するプロセスガス流がその位置基準を満たしたと判定されてもよい。第一の領域A1の照射および硬化を開始するための開始時間、および/または、少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化を開始するための開始時間は、プロセスガス流がその場所基準を満たしたという判定に基づいて決定されてもよい。
【0085】
場所基準は、プロセスチャンバー8内の特定の領域SA,SAm(図2参照)、特に造形平面BP内の特定の領域(図3参照)であるか、またはそれを参照することができる。したがって、プロセスガス流が造形面BPまたはプロセスチャンバー8内の、特定の領域SA,SAmにまたは特定の領域SA,SAmを超えて横断して、到達する、到達した、または横断する、横断したときに、場所基準を満たしてもよい。
【0086】
このようにして、第1領域A1の照射および硬化の間に生成された粒子は、少なくとも1つの更なる領域A2,Anを照射し、且つ硬化するために使用される少なくとも1つのエネルギービーム4との相互作用によって、第1領域A1の照射および硬化の間に生成された粒子が、造形面BPまたはプロセスチャンバー8内の特定の領域SA,SAmまで、(既に)到達または横断していることにより、少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化に悪影響を及ぼすことがないよう保証され得る。図2図3から明らかなように、特定の領域SA,SAmは、例えば、プロセスガス流の所定の流れ方向(矢印P2参照)に、造形材料3のそれぞれの層で照射され、かつ硬化されるべき、少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの後方に位置する領域であるか、またはそれを参照することができる。
【0087】
一般的に、少なくとも1つのさらなる領域A2,Anに照射し、硬化するための開始時間は、プロセスガス流が予め定義可能なまたは予め定義されたスケジューリング基準を満たした時点として決定されてもよい。これは、スケジューリング基準が時間基準であるかまたはそれを参照する例示的実施形態と、スケジューリング基準が場所基準であるかまたはそれを参照する例示的実施形態の両方に当てはまる。
【0088】
いずれの場合にも、第1領域A1の照射および硬化が始まった後に少なくとも1つのさらなる領域A2,Anが照射され、硬化されるまで、予め定義可能または予め定義された最小時間間隔、例えば、一秒間、待機することが一般に適用され得る。このようにして、第1領域A1を照射することによる少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射への望ましくない影響が発生しないことを確実にすることができる。
【0089】
前記方法はさらに、照射および硬化されるべき領域A1〜Anが、互いに、前記プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを横断して、第1領域A1の照射および硬化の間に生成される粒子を運ぶような空間的関係にあるかどうかを判定することを含んでもよい。したがって、前記方法は、領域A1〜Anが互いに、前記プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを横断して第1領域の照射および硬化の間に生成される粒子を運ぶような空間的関係にあるかどうか、を判定する判定工程を含んでもよい。
【0090】
言い換えれば、第1領域A1の照射、または第1領域A1の照射中に生成された粒子そのものが、少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを照射することに影響を及ぼし得るという一般的な可能性があるかどうかを判定してもよい。前記プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域A2,An(図4および図5を参照)を横切って、第1領域A1の照射および硬化の間に生成された粒子を運ばないように、領域A1〜Anが互いに対する空間的関係に位置すると判定された場合、第1領域A1および少なくとも1つのさらなる領域A2,Anは、少なくとも部分的に同時に照射されてもよい。この判定工程は、上記の第1および/または第2の決定ステップの前に、同時に、または事後的に実行され得る。
【0091】
前記決定ステップは、少なくとも2つの領域A1〜Anが、互いに、前記プロセスガス流が、少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを横切って第1領域A1の照射および硬化中に発生した粒子を運ぶような空間的関係にあるかどうかを判定するように構成されたハードおよび/またはソフトウェアにより実施される判定ユニット15(任意選択)によって実行することができる。該決定ユニット15は、少なくとも2つの領域A1〜Anが、プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域A2,Anを横切って第1領域A1の照射および圧密中に生成される粒子を輸送するような、相互の空間的関係にあるかどうかを判定するのに適した少なくとも1つの判定アルゴリズムを含むことができる。
【0092】
前記プロセスガス流の流れをシミュレートすることができる。したがって、プロセスガス流がスケジューリング基準を満たすか、または既に満たしているかの判定は、シミュレーション、特に、第1領域A1および/またはこれから照射および硬化すべき少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化中に発生した粒子をプロセスガス流の流れが帯同するシミュレーションに基づいて実行され得る。したがって、本方法は、第1領域A1および/またはプロセスチャンバー8内で、特に造形平面BPを横切って、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化中に発生した粒子をプロセスガス流に帯同充填させる流れを、実際に起こる前にシミュレートすることができるシミュレーションステップを含むことができる。該シミュレーションは、例えば、ビーム強度、ビーム焦点サイズなど、エネルギー入力やエネルギー入力関連のパラメータ等のエネルギービームパラメータ等の多様なプロセスパラメータ、および/または、造形材料のタイプ、造形材料粒子のサイズなどの造形材料パラメータを考慮してもよい。
【0093】
シミュレーションステップは、ハードおよび/またはソフトウェアにより具体化されたシミュレーションユニット16(任意)によって実行され得る。該ユニットは、第1領域および/またはプロセスチャンバー8内で、すなわち造形面BPを横切って照射されかつ硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化中に生成された粒子を帯同しているプロセスガス流の流れをシミュレートするように構成されている。前記シミュレーションユニット16は、第1領域A1および/または処理チャンバ8内で照射され、硬化される少なくとも1つのさらなる領域A2,Anの照射および硬化中に生成された粒子を帯同しているプロセスガス流の流れをシミュレートするのに適した少なくとも1つのシミュレーションアルゴリズムを含み得る。
【0094】
造形材料3のそれぞれの層の、照射されかつ硬化されるべき少なくとも2つの領域A1〜Anのうちのどれが第1領域であり、かつ/または少なくとも1つのさらなる領域としてそれぞれ決定されるべきであるかは、一般的に決まっていない。典型的には、第1領域A1が、必ずしも常にそうとは限らないが、最初に照射されるべき領域である。それぞれの領域を第1領域A1として決定することは、例えば、それらの(空間的)拡張、配向、および/または造形面BP内の位置に基づいて実行され得る。
【0095】
しかし、それぞれの領域が第1領域A1であると決定する他の原理も考えられる。例えば、第1領域A1は、現在の構成、特に、走査ユニット等のビーム偏向ユニットの、走査要素(走査ミラー)等の少なくとも一つのビーム偏向ユニット(図示せず)の造形面BPに対する空間的向きに基づいて決定することができる。どの領域が最初に照射され硬化されるべきかを決定するためにビーム偏向ユニットのビーム偏向要素の現在の構成を使用することは、それぞれの領域A1〜Anの照射および硬化を開始する開始時間の決定をさらに改善し得る。
【0096】
図2乃至図7は、照射され硬化されるべき領域A1〜Anの例示的な配置を示す。 図2乃至4の例示的な配置、および領域A1〜Anを照射および硬化するための開始時間の対応するスケジュールリングは、上記で説明した通りである。
【0097】
図6に従って照射され硬化されることになる領域A1〜A3の例示的な配置は、領域A1およびA2の同時照射およびその後の領域A3の照射をもたらすことができる。 また、領域A1の照射は領域A3の照射に影響を与えないため、領域A3は領域A1と同時に照射され得る。
【0098】
図7に従って照射され硬化されるべき領域A1〜A3の例示的な配置は、領域A1〜A3のうちの1つを照射することが他のどの領域A1〜A3にも影響を及ぼさないため、すべての領域A1〜A3の同時照射をもたらすことができる。
【符号の説明】
【0099】
2 三次元物体
3 造形材料
4 エネルギービーム
5 制御ユニット
8 プロセスチャンバー
A1〜An 領域
BP 造形面
SA,SAm 特定の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7