【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載される方法は、少なくとも1つのエネルギービーム、例えばレーザーまたは電子線によって、造形材料層を連続的で層選択的な照射および圧密硬化することで、少なくとも1つの三次元物体、例えば技術的構成要素を付加製造する方法であり、造形材料は例えば、セラミック、金属、またはポリマー構造材料からなる。選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料層は、本方法を実施するために使用される少なくとも1つの三次元物体を付加製造する装置の造形面に適用される。したがってこの方法は、少なくとも1つの三次元物体を付加製造する装置によって実行される。
【0010】
例えばこの方法は、選択的レーザー焼結法、選択的レーザー溶融法、または選択的電子ビーム溶融法であってもよい。しかしこの方法は、バインダー噴射法、特に例えば金属バインダー噴射法であることも考えられる。この方法を実施するための装置は、例えば、選択的レーザー焼結装置、選択的レーザー溶融装置、または選択的電子ビーム溶融装置であり得る。しかし、装置がバインダー噴射装置、特に例えば金属バインダー噴射装置であることも考えられる。
【0011】
この方法は、単一のエネルギービームまたは複数のエネルギービームを用いて実施することができる。言い換えれば、少なくとも1つまたは少なくとも2つのエネルギービームを使用して、選択的に照射および硬化されるべき造形材料の各層を、選択的に照射および硬化することができる。
【0012】
この方法を実行する間に、すなわち造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に、ヒューム、煙、蒸気または煤粒子(以後「粒子」という)が発生する。各粒子は典型的には、固結していない粒状造形材料、すなわち造形材料の各層の選択的な照射中に固結しなかった粒状造形材料を含む。
【0013】
各粒子を造形面または造形面を含むプロセスチャンバーから除去または運ぶために、帯同可能であるかまたは各粒子で帯同されるプロセスガス流が生成される。したがって、プロセスガス流は、造形面または造形面を含むプロセスチャンバーから各粒子を除去または運ぶのにそれぞれ役立つ。プロセスガス流は、典型的には、造形面または造形面を含むプロセスチャンバーから各粒子を除去または運ぶのに、各粒子を帯同可能または帯同させるように、造形面を横切って流れる。言い換えれば、プロセスガス流は、本方法を実施しながら、造形面を横切る構造材料流の各層の選択的な照射および硬化の間に発生する各粒子で、帯同することが可能になる。プロセスガス流は、造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に生成される造形材料層からの各粒子を除去または運ぶように適合される。
【0014】
プロセスガス流は、典型的には与えられたプロセスガス流、すなわち特に(実質的に)一定のストリーミング特性、例えばストリーミング方向、特に(実質的に)層状のストリーミングプロファイルのようなストリーミングプロファイル、ストリーミング速度などである。 したがって、与えられたプロセスガス流、すなわち特に(実質的に)一定の流動特性のプロセスガス流を、本方法を実施するために/実施中に使用することができる。プロセスガス流は一方向、若しくは放射状のガス流のような多方向でもよい。
【0015】
プロセスガス流は、典型的には不活性プロセスガス流、すなわち、例えばアルゴン、二酸化炭素、窒素などの不活性プロセスガス流、または異なる不活性プロセスガスの混合物である。したがって、本方法を実施するために/実施中に、不活性プロセスガス流を使用することができる。
【0016】
プロセスガス流は、プロセスガス流を生成するように構成されたストリーム生成ユニットによって生成され、そのプロセスガス流は、造形面を横切って流れながら、造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に発生する粒子をさせることができ、それによりプロセスガス流は、造形材料の各層の選択的な照射および硬化の間に生成される構造材料層からの各粒子を除去または運ぶのに適合される。ストリーム発生ユニットは、典型的には、プロセスガス流がプロセスチャンバーに入る間に、プロセスチャンバーのプロセスガス入口に接続される。ストリーム発生ユニットは、例えば、吹出および/または吸引ユニットとして造形されてもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0017】
選択的に照射および硬化されるべき造形材料の各の層の選択的な照射および硬化は、各層の少なくとも2つの領域を照射および硬化することを含んでもよい。言い換えれば、選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料の各層は、少なくとも2つの領域、すなわち照射され硬化されるべき第1領域と、少なくとも1つのさらなる領域とを含み得る。第1領域は、典型的には必ずしもそうとは限らないが、最初に照射されるべき領域である。
【0018】
上述のように、1つまたは少なくとも2つのエネルギービームを使用して、それぞれの造形材料層を選択的に照射および硬化することができる したがって、照射されかつ固結されるべき造形材料の各層の各領域に関して、それらの各領域は、(単一の)エネルギービームまたは複数のエネルギービームによって照射されてもよい。
【0019】
照射され硬化されるべきそれぞれの領域は、(直接)互いに接触してもよい。したがって、それぞれの領域は、少なくとも1つの接触領域、すなわち第1領域が少なくとも1つのさらなる領域と接触する少なくとも1つの接触点を有することができる。互いに(直接)接触するそれぞれの領域は、選択的に照射されかつ強化されるべき造形材料の各層の上位領域の部分領域またはサブ領域であり得る。互いに(直接)接触するそれぞれの領域は、本方法を実施することによって付加的に造形されるべき共通の三次元物体、または本方法を実施することによって付加的に造形されるべき異なる物体に割り当てることができる。
【0020】
しかし、照射され硬化されるべきそれぞれの領域が、互いに(直接)接触しないこともあり得る。したがって、それぞれの領域は、第1領域が少なくとも1つのさらなる領域と接触する接触領域、すなわち接触点を持たないことがある。互いに(直接)接触しないそれぞれの領域は、通常、互いに空間的に分離される。互いに(直接)接触しないそれぞれの領域はまた、選択的に照射されかつ硬化されるべき造形材料の各層の上位領域の部分領域またはサブ領域であり得る。(直接に)接触しないそれぞれの領域はまた、本方法を実施することによって付加的に造形される共通の三次元オブジェクト、または本方法を実施することによって付加的に造形されることになる異なるオブジェクトに割り当てられ得る。
【0021】
照射され硬化されるべき少なくとも1つのそれぞれの領域は、二次元の広がりを有してもよく、すなわち2つの異なる空間方向に延びてもよい。したがって、照射され硬化されるべき各領域は、複数の照射ベクトル、特に複数の走査ベクトルを含むことができる。したがって、複数の照射ベクトルが形成されることで、照射され硬化されるべ各領域と見なすこともできる。しかし、照射され硬化されるべき少なくとも1つのそれぞれの領域が一次元の広がりを有すること、すなわち(実質的に)1つの空間方向(のみ)延びることも可能である。したがって、照射および硬化されるべきそれぞれの領域は、ただ1つの照射ベクトル、特に走査ベクトルを含むことができる。したがって、(単一の)照射ベクトルもまた形成され、それにより照射され硬化されるべきそれぞれの領域と見なされる。いずれの場合も、照射され硬化されるべき各領域の幾何学的特性、すなわち特に形状および/または寸法は、等しくても異なっていてもよい。
【0022】
この方法によれば、照射されかつ硬化されるべき少なくとも2つの領域、すなわち照射され硬化されるべき第1領域と、少なくとも1つのさらなる領域とを含む造形材料の少なくとも1つの各層に対して、照射および硬化されるべき各領域の少なくとも1つの領域の照射および硬化の間に発生可能または発生される粒子で、帯同可能または帯同されるプロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすことが決定される。スケジューリング基準は、典型的には、プロセスガス流に対して、すなわち特にプロセスガス流の流動方向に対して、選択的に照射されかつ硬化されるべきそれぞれの造形材料層の領域の位置を考慮する。したがって本方法は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうかを判定する第1決定ステップ(「スケジューリング基準チェックステップ」)を含む(その例を以下に示す)。したがって第1決定ステップは、プロセスガス流、すなわち特に少なくとも1つの領域の選択的な照射中に発生した粒子で帯同しているプロセスガス流の一部が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリングを満たすかどうか/満たしていることを判定する。したがって、第1決定ステップの結果は、プロセスガス流、すなわち特に粒子で帯同されたプロセスガス流の一部が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たしていることを示す情報である。
【0023】
第1決定ステップは、照射されかつ硬化されるべき少なくとも1つの領域で、照射および硬化が行われている間に発生可能または発生される粒子で帯同可能または帯同されるプロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすことを決定するように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された第1決定ユニットによって実行され得る。それぞれの決定ユニットは、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうかを決定するのに適した少なくとも1つの決定アルゴリズムを含み得る。
【0024】
以下から明らかになるように、第1決定ステップは、造形材料の各層を選択的に照射して硬化することを開始する前に、すなわち選択的に照射されるべき造形材料の各層の少なくとも1つの領域を照射および硬化する開始前に行われ、或いは造形材料の各層を選択的に照射して硬化し始めた後でも、すなわち選択的に照射および硬化されるべき造形材料の各層の少なくとも1つの領域を照射および硬化する開始後でも行われる。
【0025】
この方法によれば、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間は、プロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているかどうか/満たしていることの判断に基づいて決定される。したがって本方法は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているかどうかの判断に基づいて、第1領域の照射および硬化を開始するための開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始するための開始時間が決定される第2決定ステップ(「スケジューリングステップ」)を含む。したがって第2決定ステップは、第1決定ステップの結果、すなわちプロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たしていることを示す情報に基づいて、造形材料の各層において照射され硬化されるべきそれぞれの領域を照射および硬化する開始時間を決定することを含む。そのため第2決定ステップは、第1決定ステップの結果に基づいて行われる。第2決定ステップは、第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間の順序すなわちシーケンスと、さらには第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化の順序すなわちシーケンスを決定することを含み得る。第2の決定ステップはまた、第1領域が照射され硬化された後にさらなる領域を照射し硬化合するための特定の遅延、すなわち特別な設定を決定することを含む。
【0026】
第2の決定ステップは、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているという決定に基づき、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間を決定するように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された第2決定ユニットによって実行され得る。それぞれの第2決定ユニットは、造形材料の各層において照射され硬化されるべきそれぞれの領域の照射および硬化を開始する開始時間を決定するのに適した少なくとも1つの決定アルゴリズムを含み得る。
【0027】
第1および第2決定ユニットは、それぞれ上位決定ユニットまたは制御ユニットの一部を形成してもよい。以下から明らかになるように、それぞれの制御ユニットは、三次元物体を付加製造する装置に割り当て可能か、または割り当ててもよい。
【0028】
したがって本方法は、少なくとも1つの予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を提供し、プロセスガス流がそれぞれのスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすのを決定し、そしてプロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たすかどうか/満たすことの判断に基づいて、少なくとも2つの領域を照射および硬化する開始時間、すなわち特別なスケジュールを決定する。したがってこの方法は、造形面を横切って流れるそれぞれのプロセスガス流のストリーム挙動と、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域からなる造形材料において、各層の照射および硬化されるべき各領域の照射および硬化の潜在的影響と、を考慮する。これにより、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域を含む造形材料の各層において、それぞれの領域を照射し硬化するための開始時間のスケジューリングが改善可能になる。
【0029】
それぞれの領域で開始時間が決定された後、それぞれの領域の、さらにはそれぞれの領域からなる造形材料の各層の照射および硬化が行われる。したがって本方法は、造形材料の各層のそれぞれの領域の照射および硬化を開始するための決定された開始時間に基づいて、少なくとも1つのエネルギービームによって、造形材料の各層のそれぞれの領域を照射および硬化するステップを含み得る。
【0030】
少なくとも2つのエネルギービーム、ひいては少なくとも2つの照射ユニットのそれぞれが、少なくとも1つのエネルギービームを用いて造形材料層の各領域を選択的に照射して、それにより硬化するように構成される場合、本方法はさらに、スケジューリング基準を考慮して、照射され硬化されるべきそれぞれの領域に、それぞれの照射ユニットを割り当てることを含み得る。したがって、ここでのスケジューリング基準は、照射され硬化されるべき造形材料層のそれぞれの領域に照射ユニットを割り当てるためにも使用され得る。
【0031】
本方法の全てのステップは、(完全に)自動で実行されてもよい。本方法の例示的実施形態によれば、スケジューリング基準は時間が基準である。以下から明らかになるように、スケジューリング基準はしたがって、特定の時間または時間の間隔を指すことができる。時間基準は通常、特定の時間または時間の間隔が経過したときに満たされる。
【0032】
したがって、照射され硬化されるべき第1領域と、照射され硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域とを含む少なくとも1つの造形材料層に対して、照射および硬化されるべき各領域の少なくとも1つの領域、すなわち第1領域の照射および硬化の間に発生可能または発生される粒子で、帯同可能となるか帯同されるプロセスガス流が、時間基準を満たすのにかかる時間が決定され得る。第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域を照射および硬化を開始する開始時間は、プロセスガス流が時間基準を満たしたという決定に基づいて決定され得る。言い換えれば、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間は、プロセスガス流が時間基準を満たすのにかかる決定された時間に基づいて決定され得る。
【0033】
時間基準は、特に第1領域の照射および硬化の間に発生されるプロセスガス流が、造形面を含むプロセスチャンバー内の特定の領域、特に造形面上或いは造形面を超えた特定の領域に、粒子を運ぶのにかかる時間そのもの、若しくはその時間を参照したものであり得る。したがってこの時間基準は、プロセスガス流が、造形面を含むプロセスチャンバー内の特定の領域上或いは特定の領域を超え、とりわけ造形面内の特定の領域上または特定の領域を超えて、粒子を運んだときに満たされ得る。このようにして、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子は、造形面を含むプロセスチャンバー内の特定の領域上または特定の領域を超え、とりわけ造形面内の特定の領域上または特定の領域を超えて運ばれるので、例えば少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に使用される少なくとも1つのエネルギービームとの相互作用によって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子は、少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。特定の領域は、典型的には、例えばプロセスガス流の与えられたストリーム方向に対して、造形材料の各層に照射されかつ固結されるべき少なくとも1つのさらなる領域の背後に位置する領域そのものであるか、またはそれを参照したものとなり得る。
【0034】
このようにして時間基準は、特にプロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に生成される粒子を、選択的に照射され硬化されるべき造形材料の各層の少なくとも1つのさらなる領域を横切って運ぶのにかかる時間そのもの、若しくはその時間を参照したものであり得る。したがって時間基準は、プロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に発生される粒子を、少なくとも1つのさらなる領域を横切って運んだときに満たされ得る。このような手法では、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子が、少なくとも1つの別な領域を横切って(すでに)運ばれているので、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子は、少なくとも1つの別な領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。
【0035】
このようにして時間基準は、プロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に発生される粒子を、特に造形面を含むプロセスチャンバーの外へ運ぶのにかかる時間そのものであるか、またはその時間を参照することもできる。したがって時間基準は、プロセスガス流が、第1領域の照射および硬化の間に発生される粒子を、造形面を含むプロセスチャンバーの外へ運んだときに満たされ得る。このような手法では、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子が、造形面を含むプロセスチャンバーの外に(すでに)運ばれているので、第1領域の照射および硬化の間に発生した粒子は、少なくとも1つの別な領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。
【0036】
時間基準の代わりにまたはそれに加えて、スケジューリング基準は場所の基準とすることができる。以下から明らかになるように、スケジューリング基準はしたがって、それぞれ特定の場所、特に造形面または造形面を含むプロセスチャンバーの特定の場所を指すことができる。場所基準は、典型的には、プロセスガス流が造形面または造形面を含むプロセスチャンバーの特定の位置に到達するか、到達し終えるか、交差するか、または交差し終えたときにそれぞれ満たされる。これは一般に、プロセスガス流が特定の場所に到達するかまたは特定の場所を通過するのにかかる時間とは無関係である。
【0037】
したがって、照射および硬化されるべき第1領域と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域とを含む少なくとも1つの造形材料層に対して、照射および硬化されるべき各領域の少なくとも1つの領域の照射および硬化の間に、発生可能または発生された粒子で充填可能または充填されたプロセスガス流は、場所基準を満たしていると決定され得る。第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域を照射および硬化を開始するの開始時間は、プロセスガス流が場所基準を満たしたという決定に基づいて決定され得る。
【0038】
したがって場所基準は、造形面を含むプロセスチャンバーの特定の領域、特に造形面の特定の領域そのものであるか、またはその特定の領域を参照したものであり得る。したがって場所基準は、プロセスガス流が、造形面を含むプロセスチャンバーの特定の領域、特に造形面の特定の領域に到達するか、到達し終えるか、交差するか、または交差し終えたときにそれぞれ満たされ得る。このような手法では、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子が、造形面を含むプロセスチャンバーの特定の領域、特に造形面の特定の領域に(すでに)到達または交差しているか、またはその領域内の特定の領域を超えているため、例えば少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に使用される少なくとも1つのエネルギービームとの相互作用によって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子は、少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化に影響、すなわち悪影響を及ぼし得ない。特定の領域は、例えばプロセスガス流の与えられたストリーム方向に対して、造形材料の各層内で照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域の背後に位置する領域そのものであるか、またはその領域を参照したものとなり得る。
【0039】
一般に、照射され硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域を照射し硬化するための開始時間は、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たした時点として決定することができる。これは、スケジューリング基準が時間基準であるかまたはそれを参照する例示的実施形態と、スケジューリング基準が場所基準であるかまたはそれを参照する例示的実施形態の両方に当てはまる。
【0040】
例えば1秒間の予め定義可能または予め定義された最小時間間隔が、いずれの場合にも第1領域の照射および硬化が開始された後の、少なくとも1つのさらなる領域が照射および硬化される前に待機されるように、一般に適用され得る。このような手法では、第1領域を照射することによる少なくとも1つのさらなる領域を照射することの望ましくない影響を、確実になくすことができる。
【0041】
本方法はさらに、少なくとも1つのさらなる領域を横切って、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子をプロセスガス流が運ぶように、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域が、互いに空間的な関係に配置されるかどうかを決定することを含み得る。したがって本方法は、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を、少なくとも1つのさらなる領域にわたってプロセスガス流が運ぶように、少なくとも2つの領域が、互いに空間的な関係に配置されるかどうか/配置されるのを決定する決定ステップを含み得る。言い換えれば、これは第1領域の照射または第1領域の照射中に生成された粒子が、少なくとも1つのさらなる領域を照射することに影響を及ぼし得るという一般的な可能性があるかどうかを決定し得る。プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域にわたって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を運ばないように、少なくとも2つの領域が互いに空間的な関係にあると決定される場合、第1領域と少なくとも1つのさらなる領域は、少なくとも部分的に同時に照射されてもよい。この決定ステップは、上記の第1および/または第2の(各)決定ステップの前に、同時に、または後で実行され得る。
【0042】
決定ステップは、プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域にわたって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を運ぶように、少なくとも2つの領域が互いに空間的な関係にあるかどうかを決定するように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された決定ユニットによって実行され得る。それぞれの決定ユニットは、プロセスガス流が少なくとも1つのさらなる領域にわたって、第1領域の照射および硬化の間に生成された粒子を運ぶように、照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域が互いに空間的な関係に配置されるかどうか/配置されるのを決定するのに適した、少なくとも1つの決定アルゴリズムを含むことができる。
【0043】
造形面を含むプロセスチャンバーにおいて、プロセスガス流、特に与えられたストリーム特性のプロセスガス流の流れ、すなわち特に造形面を横切るプロセスガス流の流れを、シミュレートすることができる。したがって、プロセスガス流がスケジューリング基準を満たすか、または満たしていたかの決定は、シミュレーション、特に照射され硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化される間に発生する粒子で、充填されたプロセスガス流のシミュレーションに基づいて決定され得る。したがって本方法は、プロセスガス流の流れが、造形面を含むプロセスチャンバーに照射され硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化される間に発生する粒子で充填されたプロセスガス流の流れ、すなわち特に造形面を横切るプロセスガス流の流れを、実際に動作させる前にシミュレートすることができる。シミュレーションは、エネルギービームパラメータのような、さらにはエネルギー入力或いはエネルギー入力に関連したパラメータのような、例えばビーム強度やビーム焦点サイズなどの多様なプロセスパラメータ、および/または造形材料粒子のタイプや造形材料粒子のサイズなどの造形材料パラメータを考慮することができる。
【0044】
シミュレーションステップは、造形面を含むプロセスチャンバー内で照射および硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化の間に発生する粒子で充填されるプロセスガス流の流れ、すなわち特に造形面を横切るプロセスガス流の流れをシミュレートするように構成される、ハードおよび/またはソフトウェアで実施されたシミュレーションユニットによって実行され得る。各シミュレーションユニットは、造形面を含むプロセスチャンバー内で照射および硬化されるべき第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域で、照射および硬化の間に発生する粒子で充填されるプロセスガス流の流れをシミュレートするのに適した、少なくとも1つのシミュレーションアルゴリズムを含み得る。
【0045】
造形材料の各層の照射および硬化されるべき少なくとも2つの領域を、第1領域および/または少なくとも1つのさらなる領域として、どちらかに決定すべきかは一般に自由である。上述のように第1領域は、典型的には、必ずしもそうとは限らないが、最初に照射されるべき領域である。最初に照射され硬化される領域として、それぞれの領域を決定することは、例えばそれらの(空間的な)拡がりや、造形面の向きおよび/または位置に基づいて実行され得る。しかし、それぞれの領域が最初に照射され硬化されるべきであると決定する他の原理も考えられる。例えば、最初に照射されかつ硬化されるべき領域は現在の形態、すなわち例えば走査ユニットのようなビーム偏向ユニットの、例えば走査素子のような少なくとも1つのビーム偏向素子の、造形面に対する空間的な向きに基づいて決定することもできる。どの領域が最初に照射され硬化されるべきか決定するのに、ビーム偏向ユニットのビーム偏向要素における現在の形態を利用することは、各領域の照射および統合を開始する開始時間の決定をさらに改善し得る。
【0046】
少なくとも2つのエネルギービーム、ひいては少なくとも2つのエネルギーユニットのそれぞれが、少なくとも1つのエネルギービームで、造形材料層の領域を選択的に照射し、それにより硬化するように構成して使用される場合、本方法は、それぞれの照射ユニットによってカバーされ得る造形面の最大範囲に関する移動度基準をさらに考慮することを含み得る。各照射ユニットの最大範囲は、典型的には、各照射ユニットの一部を形成し、装置の造形面内の様々な位置にエネルギービームを偏向するように構成された、例えば走査ユニットのようなビーム偏向ユニットのそれぞれのビーム偏向素子の移動度によって定義される。
【0047】
本発明はさらに、少なくとも1つのエネルギービームによって、各装置の造形面に適用される造形材料の各層の連続的で層選択的な照射および硬化で、少なくとも1つの三次元物体を付加製造する装置のための、ハードおよび/またはソフトウェアで実施された制御ユニットに関する。制御ユニットは、特に本明細書に記載の方法に従って、照射および硬化されるべき第1領域と、照射および硬化されるべき少なくとも1つのさらなる領域と、を含む少なくとも1つの造形材料層を決定するように構成され、照射および硬化されるべき少なくとも1つの領域で、照射および硬化される間に発生した粒子を帯びたプロセスガス流が、予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たし、プロセスガス流が予め定義可能または予め定義されたスケジューリング基準を満たしているという決定に基づいて、第1領域の照射および硬化を開始する開始時間、および/または少なくとも1つのさらなる領域の照射および硬化を開始する開始時間が決定される。
【0048】
制御ユニットは、本明細書に記載の方法を実施するために使用されるそれぞれのユニット、すなわち特に第1および第2決定ユニットを含むか、またはそれらと接続されてもよい。
【0049】
本発明はさらに、少なくとも1つのエネルギービームによって、装置の造形面に適用される造形材料の各層の連続的で層選択的な照射および硬化で、少なくとも1つの三次元物体を付加製造するための装置に関する。本装置は、本明細書で特定されるように少なくとも1つの制御ユニットを含むかまたはそれと接続される。
【0050】
本装置は、例えば選択的レーザー焼結装置、選択的レーザー溶融装置、または選択的電子ビーム溶融装置であり得る。しかし、本装置が例えばバインダー噴射装置、特に金属バインダー噴射装置であることも考えられる。
【0051】
本装置は、その動作中に動作可能であるかまたは動作される幾つかの機能および/または構造ユニットを含む。各機能および/または構造ユニットは、いくつかの機能および/または構造サブユニットを含むことができる。例示的な機能および/または構造ユニットは、本装置の造形面に選択的に照射および硬化されるべき量の造形材料を塗布するように構成された造形材料塗布ユニットや、少なくとも1つのエネルギービームで、造形材料の層の領域を選択的に照射し、それにより硬化するように構成された照射ユニットや、造形面を横切って流動させながら、造形材料の各層を選択的に照射および硬化する間に発生する粒子で充填され得るプロセスガス流を生成するように構成されたストリーム生成ユニットであり、これによりプロセスガス流は、造形材料からなる各層が選択的な照射および硬化する間に、発生する造形材料層からの各粒子を除去または運ぶように適合され、また各々の制御ユニットでもある。
【0052】
本方法に関する注釈はすべて、制御ユニットおよび/または本装置にも適用される。
【0053】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。