【実施例】
【0171】
略称
DMSO ジメチルスルホキシド
ESI エレクトロスプレーイオン化
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
min 分
N 正常
NMR 核磁気共鳴
R
T 保持時間
【0172】
LCMS方法A:実験は、PDAUV検出器を備えたWaters Acquity UPLCシステムに連結されたWaters Micromass ZQ2000四重極質量分析計で実施した。分光計は、正及び負のイオンモードで作動するエレクトロスプレー源を有する。このシステムは、40℃に維持されるAcquity BEH C18 1.7μm 100x2.1mmカラム又は40℃及び0.4mL/分の流速に維持されるAcquity BEH Shield RP18 1.7μm 100x2.1mmカラムを使用する。初期溶媒系は、最初の0.4分間は0.1%ギ酸含有水(溶媒A)95%及び0.1%ギ酸含有アセトニトリル(溶媒B)5%であり、次の5.6分にわたり、5%までの溶媒A及び95%の溶媒Bの勾配が続いた。これを0.8分間維持した後、次の0.2分の間に溶媒A95%及び溶媒B5%に戻した。総実行時間は8分であった。
【0173】
LCMS方法B:実験は、ESIをイオン化源として使用するAgilent MSD質量分析計と組み合わせたAgilent 1100 HPLCで実施した。LC分離は、0.4mL/分の流速を有するPhenomenex XB−C18、1.7mm、50×2.1mmカラムを使用した。溶媒Aは、0.1%ギ酸を含む水であり、溶媒Bは、0.1%ギ酸を含むアセトニトリルである。勾配は、7分間にわたる2−98%の溶媒Bからなり(consisted with)、1.5分間平衡化した後に、97%のBを1.5分間保持した。LCカラム温度は、40℃であった。UV吸光度を220nm及び254nmで収集し、質量スペクトルフルスキャンをすべての実験に適用した。
【0174】
実施例101 (S)−2−((2−((S)−4−(ジフルオロメチル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)プロパンアミド 101
工程1:4−ブロモ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した20Lの四口丸底フラスコに、3−ブロモフェノール(1300g、7.51mol)、ジクロロマグネシウム(1078g、11.3mol)、トリエチルアミン(3034g、30.0mol)及びアセトニトリル(7.8L)を入れた。この混合物を40℃で30分間撹拌した。この混合物にパラホルムアルデヒド(676g、22.6mol)を80℃で加えた。得られた溶液を76℃で6時間撹拌した。この反応を5回繰り返した。合わせた反応混合物を12Lの塩化水素水溶液(4N)の添加によりクエンチした。溶液のpH値を濃塩化水素水溶液(12N)で5に調整した。得られた溶液を1x20Lの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を減圧中でエバポレートした。残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶離:石油エーテル中15%酢酸エチル)で精製し、粗生成物を得た。これを2.4Lのtert−ブチルメチルエーテル:ヘキサン(1:4)で洗浄した。得られた固体を濾過により回収し、7.0kg(78%)の表題化合物を黄色固体として得た。
【0175】
工程2:5−ブロモ−2−(1H−イミダゾール−2−イル)フェノール
20Lの四口丸底フラスコに、4−ブロモ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(700g、3.50mol)のメタノール(7.0L)及びオキサルデヒド(oxaldehyde)(40%)(2540g、17.5mol)の溶液を入れ、続いて、温度を40℃未満に維持しつつ、アンモニア水(25−28%、3500g)を撹拌しながら4時間にわたり滴下した。得られた溶液を30−35℃で15時間撹拌した。この反応を9回繰り返した。温度を45℃未満に保ちながら、合わせた9回分の反応混合物を減圧中でエバポレートした。残留物を100Lの酢酸エチルで30分間撹拌しながら希釈した。固形物を濾過して取り除き、得られた溶液を水で希釈した。水性相を35Lの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を減圧下でエバポレートし、残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:石油エーテル中5−75%酢酸エチル)で精製し、2.4kg(29%)の表題化合物を黄色固体として得た。
【0176】
工程3:9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン
20Lの四口丸底フラスコに5−ブロモ−2−(1H−イミダゾール−2−イル)フェノール(1.4kg、5.86mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(14L)及び炭酸セシウム(7.2kg、22.1mol)に溶解した溶液を入れた。この混合物を20分間撹拌した。この反応混合物に1,2−ジブロモエタン(4.1kg、21.8mol)を加えた。得られた溶液を85−90℃で4−12時間撹拌し、15℃まで冷まし、濾過した。その濾過ケーキを3.0Lの酢酸エチルで洗浄した。濾液を14Lの酢酸エチルで希釈した。合わせた有機抽出物をブライン(4×14L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートし、1.1kg(71%)の表題化合物を淡黄色固体として得た。LCMS (ESI): [M+H]
+ =265;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.32 (d, J = 8.4, 1H), 7.35-7.24 (m, 3H), 7.06 (s, 1H), 4.47-4.42 (m, 4H).
【0177】
工程4:9−ブロモ−2,3−ジヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン
20Lの四口丸底フラスコに、9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン(2.5kg、9.43mol)とN,N−ジメチルホルムアミド(12.5L)を入れ、続いてN−ヨードスクシンイミド(6.0kg、26.7mol)を撹拌しながら数回に分けて添加した。得られた溶液を60℃で12時間撹拌し、水/氷浴で15℃に冷却し、12.5Lの水/氷で希釈し、濾過した。濾過した固形物を石油エーテルから再結晶化させ、4.0kg(82%)の表題化合物を黄色固体として得た。
【0178】
工程5:9−ブロモ−2−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した20Lの四口丸底フラスコに、9−ブロモ−2,3−ジヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン(800g、1.55mol)とテドロヒドロフラン(2.4L)を入れ、続いてエチル マグネシウムブロミド(エーテルに溶解した1N溶液、1.7L)を撹拌しながら−20℃で3.5時間かけて滴下した。その反応混合物を氷/塩浴を用いて−15℃に保ちながら3時間撹拌した。得られた混合物を3.0Lの飽和塩化アンモニウム水溶液の添加によりクエンチし、酢酸エチル(2×8.0L)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(2x10L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。粗残留物を酢酸エチル:石油エーテル(1:5)8.0Lで粉砕し、濾過し、石油エーテルで洗浄して表題化合物501g(83%)を褐色固体として得た。LCMS (ESI): [M+H]
+ = 391;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.22 (d, J = 8.7, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.30-7.25 (m, 2H), 4.45-4.41 (m, 4H).
【0179】
工程6:(R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−カルバルデヒド
過ヨウ素酸ナトリウム(57.0g、270mmol)を熱水(115mL)に溶解し、シリカ(200g、60A 220−440メッシュ、粒径35−75μm)を添加した。流動性粉末が得られるまで、この混合物を激しく撹拌した。これを1,2:5,6−ビス−O−(1−メチルエチリデン)−D−マンニトール(50g、190mmol)のジクロロメタン(1.0L)溶液に加え、反応物を室温で1時間攪拌した。得られた混合物をNa
2SO
4のパッドで濾過し、固形物をジクロロメタンで十分に洗浄した。合わせた有機抽出物を減圧中でエバポレートし、37.2g(75%)の表題化合物を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 9.73 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 4.38 (ddd, J = 7.4, 4.7, 1.9 Hz, 1H), 4.18 (dd, J = 8.8, 7.4 Hz, 1H), 4.10 (dd, J = 8.8, 4.7 Hz, 1H), 1.49 (s, 3H), 1.43 (s, 3H).
【0180】
工程7:(R)−4−ジフルオロメチル−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン
水浴中で冷却した(R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−カルバルデヒド(7.08g,54mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(8.4mL、62.6mmol)を滴下し、その反応混合物を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を、急速に撹拌している氷冷飽和重炭酸ナトリウム水溶液に滴下した。その混合物をジクロロメタンでさらに抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートして6.58g(79%)の粗表題化合物を橙色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.69 (td, J = 55.8, 4.9 Hz, 1H), 4.27 - 4.17 (m, 1H), 4.16 - 4.03 (m, 2H), 1.46 (s, 3H), 1.38 (s, 3H).
【0181】
工程8:(R)−3−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール
HCl含有ジオキサン(4N、10.8mL、43.2mmol)を、(R)−4−ジフルオロメチル−2,2−ジメチル[1,3]ジオキソラン(6.58g、43.2mmol)のメタノール(40mL)溶液に添加し、その反応混合物を室温で30分間撹拌した。得られた混合物を減圧中でエバポレートし、アセトニトリルと共沸させた。残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(6.53g、43.2mmol)、トリエチルアミン(9.0mL、64.9mmol)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(触媒)を加えた。その反応混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を水で洗浄し、その後ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。得られた粗残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中0−30%酢酸エチル)で精製し、3.43g(35%)の表題化合物を黄色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.66 (td, J = 56.4, 4.6 Hz, 1H), 3.76 - 3.60 (m, 2H), 2.46 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 0.81 (s, 9H), 0.00 (s, 6H).
【0182】
工程9:((S)−2−アジド−3,3−ジフルオロプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.9mL、17.4mmol)を(R)−3−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール(3.43g、15.1mmol)とピリジン(2.0mL、24.2mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に−20℃で滴下し、その反応混合物を−20℃で20分間、その後0℃で1時間撹拌した。得られた混合物を0.5NのHCl水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧中でエバポレートした。粗残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(2.96g、45.5mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートして4.50gの粗表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.74 (td, J = 55.4, 4.4 Hz, 1H), 3.81 - 3.71 (m, 2H), 3.58 - 3.47 (m, 1H), 0.81 (s, 9H), 0.00 (s, 6H).
【0183】
工程10:(S)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−2,2−ジフルオロエチルアミン
水酸化パラジウム炭素(200mg、20%)を、((R)−2−アジド−3,3−ジフルオロプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(4.50g、粗製、〜15.1mmolと仮定)を酢酸エチル(20mL)とメタノール(2.0mL)に溶解した溶液に加え、反応物を水素バルーン下で16時間撹拌した。反応物を濾過し、新鮮な水酸化パラジウム炭素(400mg、20%)を加え、反応混合物を水素バルーン下で16時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾液を減圧中でエバポレートし、3.08g(90%)の粗表題生成物を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.66 (td, J = 57.0, 4.7 Hz, 1H), 3.71 - 3.57 (m, 2H), 3.00 - 2.89 (m, 1H), 1.42 (br s, 2H), 0.82 (s, 9H), 0.00 (s, 6H).
【0184】
工程11:(S)−4−ジフルオロメチルオキサゾリジン−2−オン
HCl含有ジオキサン(4N、5.0mL、20mmol)を、(R)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−2,2−ジフルオロエチルアミン(Org. Lett., Vol. 9, No. 1, 2007, 41-44)(2.30g、10.3mmol)のメタノール(5.0mL)溶液に加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。その混合物を減圧中でエバポレートし、得られた油状物をジエチルエーテルで粉砕して固体を得、これを減圧中で乾燥させた。固体をトルエン(20mL)とKOH(2.50g、水20mLに44.6mmol)の混合物に0℃で溶解した。ホスゲン(16.3mL、トルエン中20%)を滴下し、冷却浴を除去し、反応混合物を1時間撹拌した。混合物を減圧中でエバポレートし、得られた残留物を高温の工業用変性アルコールで抽出し、固体を濾過により回収した。濾液を減圧中でエバポレートし、得られた粗残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中0−100%酢酸エチル)で精製し、830mg(68%)の表題化合物をオフホワイトの固体として得た。[α]
D=+10.1(c=2.37,CHCl
3).
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.96 (br s, 1H), 5.78 (td, J = 55.3, 4.8 Hz, 1H), 4.54 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 4.42 (dd, J = 9.6, 4.4 Hz, 1H), 4.17 - 4.06 (m, 1H).
【0185】
工程12:(S)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン
ジオキサン(3.0mL)に9−ブロモ−2−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン(250mg、0.64mmol)、(S)−4−ジフルオロメチルオキサゾリジン−2−オン(88mg、0.64mmol)、トランス−N,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(36mg、0.26mmol)、ヨウ化第1銅(24mg、0.13mmol)及び炭酸カリウム(177mg、1.28mmol)を入れた混合物を超音波処理下、アルゴンで脱気した。その反応混合物を100℃で5時間加熱し、その後室温まで冷ました。得られた混合物を15%アンモニア水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。得られた残留物をメタノールで粉砕し、その後分取HPLC[C18、水(0.1%ギ酸)中60%アセトニトリル(0.1%ギ酸)、20分間実行]で精製し、20mg(8%)の表題化合物を白色固体として得た。LCMS (ESI): [M+H]
+ = 400/402.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.19 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.24 - 7.19 (m, 2H), 6.65 (ddd, J = 57.8, 54.5, 1.0 Hz, 1H), 4.87 (ddd, J = 24.0, 9.2, 4.0 Hz, 1H), 4.73 (dd, J = 9.5, 4.2 Hz, 1H), 4.53 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 4.48 - 4.43 (m, 2H), 4.38 - 4.33 (m, 2H).
【0186】
工程13:(S)−2−((2−((S)−4−(ジフルオロメチル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)プロパンアミド
(S)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン(600mg、1.50mmol)、L−アラニン(267mg、3.00mmol)、ヨウ化第1銅(57mg、0.30mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(637mg、3.00mmol)をジメチルスルホキシド(6.0mL)に懸濁させた。その反応混合物を100℃で2時間加熱した。室温まで冷まし、ジメチルスルホキシド(4.0mL)、塩化アンモニウム(480mg、9.00mmol)及びトリエチルアミン(3.1mL、22.5mmol)を加えた。得られた撹拌懸濁液に、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(5.10g、13.5mmol)を5分にわたり少量ずつ添加した。その反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後セライト(登録商標),で濾過し、酢酸エチルで洗浄した。有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水性相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。粗残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:ジクロロメタン中0−5%メタノール)により、その後キラル超臨界流体クロマトグラフィーにより精製し、294mg(46%)の101をオフホワイトの固体として得た。LCMS (ESI): R
T (min) = 2.89 [M+H]
+ = 408, Method = A;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.00 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.38 (br s, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.00 (br s, 1H), 6.71 (t, J = 55.9 Hz, 1H), 6.41 (dd, J = 8.8, 2.3 Hz, 1H), 6.16 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 5.02 - 4.89 (m, 1H), 4.63 - 4.52 (m, 2H), 4.39 - 4.30 (m, 4H), 3.76 (quintet, J = 7.0 Hz, 1H), 1.30 ( d, J = 7.1 Hz, 3H).
【0187】
実施例102 (S)−2−シクロブチル−2−((2−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)アセトアミド 102
工程1:(R)−4−メチルオキサゾリジン−2−オン
トルエンとKOH水溶液(124mL、水12.5%、0.28mmol)にD−アラニノール(8.65g、0.12mmol)を入れた0℃の混合物に、内部温度が<5℃に保たれるような速度でホスゲン(72.7mL、トルエン中20%、0.14mmol)を加えた。その反応混合物を0℃でさらに40分間撹拌し、その後蒸発乾固させた。粗残留物を工業用変性アルコール(industrial methylate spirit)で抽出し、スラリーを濾過し、濾液を減圧中でエバポレートした。得られた残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中40−100%酢酸エチル)で精製し、10.4g(90%)の表題化合物を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.00 (br s, 1H), 4.50 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 4.07 - 3.97 (m, 1H), 3.95 (dd, J = 7.8, 6.2 Hz, 1H), 1.30 (d, J = 6.1 Hz, 3H).
【0188】
工程2:(R)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−メチルオキサゾリジン−2−オン及び(R)−3−(9−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−メチルオキサゾリジン−2−オン
9−ブロモ−2−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン(30.0g、76.7mmol)、(R)−4−メチルオキサゾリジン−2−オン(7.70g、76.7mmol)、ヨウ化第1銅(1.61g、8.40mmol)、トランス−N,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(2.7mL、16.9mmol)及び炭酸カリウム(14.9g、107mmol)の混合物を1,4−ジオキサン(200mL)に懸濁させ、反応混合物を超音波処理下、アルゴンで脱気した。得られた混合物を100℃で16時間加熱した。その反応混合物をアンモニア水溶液(〜16%)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。得られた残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中0−100%酢酸エチル)で精製し、13.4g(〜42%)の表題化合物(9−Br:9−I生成物の〜2:1混合物)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.28 (d, J = 7.6 Hz, 0.33H), 8.11 (d, J = 6.9 Hz, 0.66H), 7.42 - 7.38 (m, 1H), 7.28 - 7.24 (m, 1.33H), 7.23 - 7.18 (m, 0.66H), 4.77 - 4.68 (m, 1H), 4.58 (t, J = 8.3 Hz, 1H), 4.49 - 4.39 (m, 2H), 4.37 - 4.30 (m, 2H), 4.08 (dd, J = 8.4, 4.5 Hz, 1H), 1.57 - 1.50 (m, 3H).
【0189】
工程3:(R)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−2−イル)−4−メチル−オキサゾリジン−2−オン
(R)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−メチルオキサゾリジン−2−オンと(R)−3−(9−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−メチルオキサゾリジン−2−オンとの混合物80mgをキラルSFCで分離し、27.6mgの表題化合物を得た。LCMS (ESI): [M+H]
+= 364.0/366.0/367.2;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.22 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.31 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.65 - 4.54 (m, 2H), 4.49 - 4.43 (m, 4H), 4.09 - 4.06 (m, 1H), 1.42 (d, J = 6.0 Hz).
【0190】
工程4:メチル(S)−2−シクロブチル−2−((2−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)アセテート
ジメチルスルホキシド(3mL)に(4R)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−2−イル)−4−メチル−オキサゾリジン−2−オン(0.2746mmol、100mg)、ヨウ化第1銅(0.084mmol、16mg)、(2S)−2−アミノ−2−シクロブチル−酢酸(1.10mmol、142mg)及び三塩基性リン酸カリウム(1.37mmol、297mg)を入れた混合物をマイクロ波照射下120℃で2時間加熱した。反応物を室温まで冷まし、ヨードメタン(1.4mmol、0.086mL)を加え、その反応物をジクロロメタンと水で抽出した。合わせた有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、減圧中でエバポレートした。その粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(シリカ24g、溶媒勾配;ジクロロメタン中5−40%のイソプロピルメタノール:メタノール(3:1))で精製し、100mg(85%)の表題化合物を得た。
【0191】
工程5:(S)−2−シクロブチル−2−((2−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)アセトアミド
メチル (2S)−2−シクロブチル−2−[[2−[(4R)−4−メチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−9−イル]アミノ]アセテート(0.234mmol、100mg)のテドロヒドロフラン(5mL)溶液に水(0.45mL)と水酸化リチウム一水和物(0.357mmol、15mg)を加えた。その反応混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物を減圧中でエバポレートした。得られた残留物のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(0.353mmol、137mg)、塩化アンモニウム(0.71mmol、38mg)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.705mmol、0.123mL)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。その反応混合物を減圧中でエバポレートし、得られた残留物を水で処理し、その後ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧中でエバポレートした。粗生成物を逆相HPLC、続いてSFCで精製し、凍結乾燥させて15.0mg(15%)の102を得た。LCMS (ESI): R
T(min) = 3.03, [M+H]
+ = 412.2, method = D;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.96 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.39 - 7.36 (brs, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.00 - 6.97 (brs, 1H), 6.44 (dd, J = 8.9, 2.3 Hz, 1H), 6.14 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 5.96 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 4.62 - 4.49 (m, 2H), 4.38 - 4.28 (m, 4H), 4.06-4.03 (m, 1H), 3.70 - 3.61 (m, 1H), 2.06 - 1.75 (m, 6H), 1.42 - 1.34 (m, 3H).
【0192】
実施例103 (S)−2−シクロプロピル−2−((2−((S)−4−(ジフルオロメチル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)アセトアミド 103
ジメチルスルホキシド(2.0mL)に実施例101の工程12からの(S)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン(400mg、1.00mmol)、L−シクロプロピルグリシン(230mg、2.00mmol)、ヨウ化第1銅(38mg、0.20mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(424mg、2.00mmol)を入れた混合物を超音波処理下、アルゴンで脱気した。その混合物を、100℃で5時間加熱し、その後常温に冷ました。得られた混合物をジメチルスルホキシド(5.0mL)で希釈し、塩化アンモニウム(320mg、6.00mmol)とトリエチルアミン(1.4mL、10.0mmol)を加えた。その後、その撹拌懸濁液に1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(2.28g、6.0mmol)を少量ずつ加え、その反応混合物を室温で10分間撹拌した。得られた混合物を15%アンモニア水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:酢酸エチル中0−7%メタノール)で精製した。残留物を最小限のアセトニトリルに溶解した。その後水を加えて固体を沈殿させ、それを濾過により回収し、減圧中で乾燥させ、324mg(75%)の103をオフホワイトの固体として得た。LCMS (ESI): R
T (min) = 3.21, [M+H]
+ = 434, Method = A;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.98 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.40 (br s, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.03 (br s, 1H), 6.71 (t, J = 56.0 Hz, 1H), 6.42 (dd, J = 8.9, 2.4 Hz, 1H), 6.24 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.01 - 4.89 (m, 1H), 4.63 - 4.51 (m, 2H), 4.38 - 4.29 (m, 4H), 3.15 ( t, J = 7.7 Hz, 1H), 1.16 - 1.05 (m, 1H), 0.56 - 0.44 (m, 3H), 0.33 - 0.25 (m, 1H).
【0193】
実施例104 (S)−2−シクロプロピル−2−((2−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)アセトアミド 104
ジメチルスルホキシド(35mmol、2.5mL)に(R)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−2−イル)−4−メチル−オキサゾリジン−2−オン(実施例102、工程3)(1.098mmol、400mg)、ヨウ化第1銅(0.330mmol、62.8mg)、(2S)−2−アミノ−2−シクロプロピル−酢酸(3.295mmol、379.3mg)及び三塩基性リン酸カリウム(4.393mmol、951.5mg)を入れた混合物を110℃で2時間、マイクロ波照射下で加熱した。その反応物を室温に冷ました。反応混合物に1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(12.08mmol、646mg)、塩化アンモニウム(12.08mmol、646mg)及びトリエチルアミン(1.53mL、11.0mmol)を加えた。室温で20分後、反応混合物を水で処理し、その後ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。粗生成物を逆相HPLCで精製し、凍結乾燥させ、110mg(2工程で25%)の104を得た。LCMS (ESI): R
T(min) = 2.588, [M+H]
+ = 398.2, method = B;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.96 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.02 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.42 (dd, J = 8.9, 2.4 Hz, 1H), 6.20 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.61 - 4.49 (m, 2H), 4.40 - 4.27 (m, 4H), 4.10 - 3.99 (m, 1H), 3.22 - 3.09 (m, 1H), 1.42 - 1.36 (m, 3H), 1.16 - 1.04 (m, 1H), 0.56 - 0.42 (m, 3H), 0.32 - 0.27 (m, 1H).
【0194】
実施例105 (S)−2−シクロプロピル−2−((2−((S)−4−(フルオロメチル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)アセトアミド105
工程1:(R)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−3−フルオロプロパン−2−オール
tert−ブチルジメチルシリルクロリド(1.60g、10.63mmolを、(R)−3−フルオロプロパン−1,2−ジオール(1.00g、10.6mmol)、トリエチルアミン(1.93mL、13.8mmol)と触媒4−(ジメチルアミノ)ピリジンのジクロロメタン溶液に0℃で加え、反応混合物を室温まで温め、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。得られた粗残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中0−40%酢酸エチル)で精製し、1.80g(81%)の表題化合物を無色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.45 - 4.36 (m, 1H), 4.34 - 4.25 (m, 1H), 3.87 - 3.73 (m, 1H), 3.66 - 3.56 (m, 2H), 2.30 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 0.82 (s, 9H), 0.00 (s, 6H).
【0195】
工程2:(S)−2−アジド−3−フルオロプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.67mL、9.93mmol)を(R)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−3−ジフルオロプロパン−2−オール(1.80g、8.60mmol)とピリジン(1.2mL、13.8mmol)のジクロロメタン溶液に−20℃で滴下し、その反応混合物を−20℃で20分間、その後0℃で30時間撹拌した。反応混合物を0.5NのHCl水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(1.68g、25.9mmol)を加えた。その反応混合物を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートして粗表題化合物を得、これを精製せず次工程で用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.58 - 4.26 (m, 2H), 3.75 - 3.63 (m, 2H), 3.62 - 3.46 (m, 1H), 0.80 (s, 9H), 0.00 (s, 6H).
【0196】
工程3:(S)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−2−フルオロエチルアミン
水酸化パラジウム(400mg、炭素上20%)を、((S)−2−アジド−3−フルオロプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(粗製、8.60mmolと仮定)を酢酸エチル(15mL)とメタノール(5.0mL)に溶解した溶液に加え、反応混合物を水素バルーン下で16時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、新鮮な水酸化パラジウム(400mg、炭素上20%)を加え、反応物を水素バルーン下で16時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾液を減圧中でエバポレートし、表題化合物を生成物:出発物質の〜2:1混合物として得、これを精製せずに次工程で用いた。
【0197】
工程4:(S)−4−フルオロメチルオキサゾリジン−2−オン
HCl含有ジオキサン(4N、2.0mL、8.00mmol)を(S)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−2−フルオロエチルアミン(粗製、8.60mmolと仮定)のメタノール(3.0mL)溶液に添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧中でエバポレートした。得られた残留物をトルエン(20mL)とKOH(2.89g、51.6mmol、水12.5%)の混合物に0℃で溶解した。この混合物にホスゲン(13.6mL、トルエン中20%)を滴下し、冷却浴を取り除き、得られた混合物を1時間撹拌した。この反応混合物を減圧中でエバポレートし、得られた残留物を高温の工業用変性アルコールで抽出した。濾液を減圧中でエバポレートし、得られた残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中50−100%酢酸エチル)で精製し、450mg(44%、3工程)の表題化合物をオフホワイトの固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.69 (br s, 1H), 4.59 - 4.42 (m, 2H), 4.42 - 4.32 (m, 1H), 4.25 - 4.08 (m, 2H).
【0198】
工程5:(S)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(フルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン及び(S)−3−(9−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(フルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン
9−ブロモ−2−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン(722mg、1.85mmol)、(S)−4−フルオロメチルオキサゾリジン−2−オン(220mg、1.85mmol)、3,4,7,8−テトラメチル−1,10−フェナントロリン(131mg、0.55mmol)、Cu(OAc)
2.H
2O(74mg、0.37mmol)、炭酸カリウム(510mg、3.70mmol)及びジオキサン(6.0ml)の混合物を管に密封し、その混合物を超音波処理下、アルゴンで脱気した。その反応混合物を100℃で72時間加熱した。得られた反応混合物を15%アンモニア水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。得られた粗残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中0−100%酢酸エチル)で精製し、390mg(53%)の表題化合物(9−Brと9−I生成物の約2:1混合物)を得た。LCMS (ESI): [M+H]
+ = 382/384/430;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.22 (d, J = 9.3 Hz, 0.7H), 8.05 (d, J = 8.8 Hz, 0.3H), 7.43 - 7.37 (m, 0.6H), 7.29 (s, 1.2H), 7.23 - 7.18 (m, 1.2H), 5.03 - 4.66 (m, 3H), 4.60 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 4.54 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 4.47 - 4.43 (m, 2H), 4.37 - 4.33 (m, 2H).
【0199】
工程6:(S)−2−シクロプロピル−2−((2−((S)−4−(フルオロメチル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)アセトアミド
ジメチルスルホキシド(1.5mL)に(S)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(フルオロメチル)オキサゾリジン−2−オンと(S)−3−(9−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(フルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン(195mg、Br:Iが〜2:1の混合、〜0.49mmol)、L−シクロプロピルグリシン(104mg、0.90mmol)、ヨウ化第1銅(17mg、0.09mmol)、及び三塩基性リン酸カリウム(190mg、0.90mmol)を入れた混合物iを超音波処理下、アルゴンで脱気した。その反応混合物を100℃で16時間加熱し、その後常温に冷ました。得られた混合物をジメチルスルホキシド(1.0mL)で希釈し、塩化アンモニウム(144mg、2.70mmol)とトリエチルアミン(950μL、6.75mmol)を加えた。その後、この混合物に1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(1.54g、4.05mmol)を少量ずつ加え、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。得られた粗残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:ジクロロメタン中0−5%メタノール)により精製し、その後シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:シクロヘキサン中0−100%酢酸メチル)によりさらに精製し、90mg(48%)の105をオフホワイトの固体として得た。LCMS (ESI): R
T (min) = 2.76 [M+H]
+ = 416, Method = A;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.94 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.40 (br s, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.03 (br s, 1H), 6.41 (dd, J = 8.8, 2.3 Hz, 1H), 6.22 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 4.99 (ddd, J = 48.3, 9.8, 2.5 Hz, 1H), 4.81 - 4.56 (m, 3H), 4.40 (dd, J = 8.6, 3.9 Hz, 1H), 4.37 - 4.29 (m, 4H), 3.15 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 1.16 - 1.05 (m, 1H), 0.54 - 0.43 (m, 3H), 0.33 - 0.25 (m, 1H).
【0200】
実施例106 (S)−2−((2−((S)−4−(フルオロメチル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)プロパンアミド 106
ジメチルスルホキシド(3.0mL)に(S)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(フルオロメチル)オキサゾリジン−2−オンと(S)−3−(9−ヨード−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(フルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン(実施例105、工程5)(195mg、9−Br:9−Iが約2:1の混合、約0.49mmol)、L−アラニン(87mg、0.98mmol)、ヨウ化第1銅(17mg、0.09mmol)、及び三塩基性リン酸カリウム(208mg、0.98mmol)を入れた混合物を超音波処理下、アルゴンで脱気した。その反応混合物を100℃で4時間加熱し、その後常温に冷ました。得られた混合物をジメチルスルホキシド(3.0mL)で希釈し、塩化アンモニウム(157mg、2.94mmol)とトリエチルアミン(683μL、4.8mmol)を加えた。その後、この混合物に1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(1.10g、2.94mmol)を少量ずつ加え、その反応混合物を室温で30分間撹拌した。得られた混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。得られた残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:ジクロロメタン中0−5%メタノール)で精製し、キラル超臨界流体クロマトグラフィーによりさらに精製し、36mg(19%)の106をオフホワイトの固体として得た。LCMS (ESI): R
T (min) = 2.43 [M+H]
+ = 390, Method = A;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.96 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.37 (br s, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.00 (br s, 1H), 6.39 (dd, J = 8.6, 1.6 Hz, 1H), 6.15 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 5.08 - 4.55 (m, 5H), 4.42 - 4.28 (m, 4H), 3.76 (quintet, J = 7.2 Hz, 1H), 1.30 (d, J = 7.2 Hz, 3H).
【0201】
実施例107 (S)−2−((2−((S)−4−(ジフルオロメチル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−9−イル)アミノ)ブタンアミド 107
(S)−3−(9−ブロモ−5,6−ジヒドロベンゾ[f]イミダゾ[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)オキサゾリジン−2−オン(実施例101、工程12)(240mg、0.60mmol)、(S)−2−アミノ酪酸(124mg、1.19mmol)、ヨウ化第1銅(22.8mg、0.119mmol)、三塩基性リン酸カリウム(255mg、1.19mmol)、及びジメチルスルホキシド(6.0mL)の混合物をアルゴン下、100℃で6時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷まし、その後塩化アンモニウム(188mg、3.52mmol)とトリエチルアミン(1.2mL、8.80mmol)を加えた。この撹拌懸濁液に、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(2.01g、5.28mmol)を少量ずつ加え、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧中でエバポレートした。この粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶媒勾配:酢酸エチル中0−10%メタノール)で精製し、逆相HPLC、その後キラル超臨界流体クロマトグラフィーでさらに精製し、73.6mg(30%)の107を白色固体として得た。LCMS (ESI): R
T (min) = 3.13, [M+H]
+ = 422, Method = A;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.99 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.03 (s, 1H), 6.71 (t, J = 56.0 Hz, 1H), 6.44 (dd, J = 8.8, 2.2 Hz, 1H), 6.13 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.02 - 4.89 (m, 1H), 4.62 - 4.53 (m, 2H), 4.41 - 4.27 (m, 4H), 3.65 - 3.60 (m, 1H), 1.72 - 1.59 (m, 2H), 0.94 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
【0202】
実施例901 p110a(アルファ)PI3K結合アッセイ
PI3K結合アッセイは、小分子PI3K阻害剤の生化学的効力を決定するためのものである。PI3K脂質キナーゼ反応は、PIP2:3PS脂質基質(Promega #V1792)及びATPの存在下で実施される。キナーゼ反応の終了後、脂質基質のリン酸化によるATPからADPへの代謝を、Promega ADP−Glo
TM(Promega #V1792)アッセイを用いて検出する。表5のように、各PI3Kアイソフォームについて以下の条件を用いて反応が行われる。
表5
【0203】
反応時間の120分後、キナーゼ反応を終了させる。反応後に残ったATPはすべて枯渇し、ADPのみが残る。その後、Kinase Detection Reagentを添加してADPをATPに変換し、これを連結したルシフェリン/ルシフェラーゼ反応に使用した。発光出力を測定し、キナーゼ活性と相関させる。
【0204】
反応はすべて、室温で行われる。各PI3Kアイソフォームについて、酵素/脂質基質溶液の(1:1)混合物3μlを、50nlの試験化合物、又は未処理コントロールについてのみDMSOを含む384ウェル白色アッセイプレート(Perkin Elmer #6007299)に添加する。ATP/MgCl
2を2μl添加することによって、反応を開始させる。キナーゼ反応緩衝液は、50mMのHEPES、50mMのNaCl、3mMのMgCl
2、0.01%BSA、1%DMSOを含有し、酵素及び基質濃度は、上の表に示した通りである。10μLのADP−Glo試薬の添加によって、反応を停止させる。プレートは、発光モードを使用してPerkin Elmer Envisionシステムで読み取る。各試験化合物について、10ポイント用量応答曲線を作成する。各化合物のKi値は、Morrison方程式を用いて決定する。
【0205】
結合アッセイ:最初の偏光実験は、Analyst HT96−384(カリフォルニア州サニーベールのMolecular Devices Corp)で実施した。蛍光偏光親和性測定のための試料は、偏光緩衝液(10mMのトリス(pH7.5)、50mMのNaCl、4mMのMgCl
2、0.05%Chaps及び1mMのDTT)中最終濃度20μg/mLで開始するp110アルファPI3K(バージニア州シャーロッツビルのUpstate Cell Signaling Solutions)の1:3の段階希釈物を最終濃度10mMのPIP
2(ユタ州ソルトレークシティのEchelon−Inc.)に添加することによって調製した。室温で30分間のインキュベーション時間の後、GRP−1及びPIP3−TAMRAプローブ(ユタ州ソルトレークシティのEchelon−Inc.)の添加によって反応を停止させた。それぞれ100nM、5nMの最終濃度。384ウェルブラック低容量Proxiplates(登録商標)(マサチューセッツ州ウェルズリーのPerkin Elmer)中のローダミンフルオロフォア(λex=530nm;λem=590nm)用の標準カットオフフィルターで読み取る。蛍光偏光値をタンパク質濃度の関数としてプロットした。EC
50値は、KaleidaGraph(登録商標)ソフトウェア(ペンシルベニア州レディングのSynergy software)を使用し、4パラメーター方程式にデータを当てはめることによって得られた。本実験はまた、阻害剤を用いたその後の競合実験に用いる適切なタンパク質濃度を確立する。
【0206】
阻害剤のIC
50値は、PIP
2(最終濃度10mM)と組み合わせた0.04mg/mLのp110アルファPI3K(最終濃度)を、偏光緩衝液中最終濃度25mMのATP(マサチューセッツ州ダンバーズのCell Signaling Technology,Inc.)におけるアンタゴニストの1:3段階希釈物を含有するウェルに添加することにより求めた。室温で30分間のインキュベーション時間の後、GRP−1及びPIP3−TAMRAプローブ(ユタ州ソルトレークシティのEchelon−Inc.)の添加によって反応を停止させた。それぞれ100nM、5nMの最終濃度。384ウェルブラック低容量Proxiplates(登録商標)(マサチューセッツ州ウェルズリーのPerkin Elmer)中のローダミンフルオロフォア(λex=530nm;λem=590nm)用の標準カットオフフィルターで読み取る。蛍光偏光値をアンタゴニスト濃度の関数としてプロットし、Assay Explorerソフトウェア(カリフォルニア州サンラモンのMDL)で4パラメーター方程式にデータを当てはめることによって、IC
50を得た。
【0207】
別法として、PI3Kの阻害を、精製組換え酵素及びATPを1μM(マイクロモル)の濃度で用いる放射測定アッセイで決定した。化合物を100%DMSOで段階希釈した。キナーゼ反応物を室温で1時間インキュベートし、PBSの添加により反応を終了させた。IC
50値は、S字用量応答カーブフィッティング(可変勾配)を使用して決定した。
【0208】
実施例902 変異型PI3Kα(アルファ)の選択的阻害
PI3Kα野生型(親)、ヘリカルドメイン変異型E545K、及びキナーゼドメイン変異型H1047RといったSW48同質遺伝子細胞株におけるPI3K経路の阻害を測定することにより、本発明の化合物が変異型PI3Kα(アルファ)を含む細胞に対して優先的に作用する能力を決定した。下記のアッセイは、小分子PI3Kα阻害剤の細胞効力及び変異体選択性(mutant selectivity)を決定するためのものである。このアッセイは、PI3KαWT、PI3Kα変異型E545K/+(Horizon Discovery 103−001)又はPI3Kα変異型H1047R/+(Horizon Discovery 103−005)を発現する同質遺伝子細胞株を利用する。各細胞株におけるPI3KαによるpPRAS40阻害の効力は、化合物処理の24時間後に測定される。PI3Kα阻害剤の変異体選択性は、WT対E545K細胞株及びWT対H1047R細胞株におけるEC
50効力比によって決定される。
【0209】
細胞培養:細胞株は、RPMI1640(Genentechで調製)、10%FBS(Gibco 16140−071)、2mMのL−グルタミン(Genentechで調製)及び10mMのHEPES(pH7.2)(Genentechで調製)を含有する細胞培養培地中5%CO
2、37℃の細胞培養インキュベーター内に維持する。細胞を0.25%トリプシン−EDTA(Gibco 25200)を用い、1:8の比で72時間ごとに分割する。
【0210】
アッセイ手順:細胞を採取し、384ウェル組織培養処理アッセイプレート(Greiner カタログ#781091)に播種し、37℃、5%CO
2で一晩インキュベートする3種の細胞株(WT、E545K、H1047R)を同時に播種し、アッセイする。翌日、試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で段階希釈し、細胞に添加する(最終DMSO濃度0.5%)。その後、細胞を37℃、5%CO
2で24時間インキュベートする。24時間後、細胞を溶解し、Meso−ScaleカスタムpPRAS40 384w Assay Kit(Meso Scale Discovery、カタログ番号L21CA−1)を用いてpRAS40レベルを測定する。細胞溶解物を、リン酸化PRAS40に対する抗体で予めコーティングしたアッセイプレートに加える。試料中のリン酸化PRAS40を、捕捉抗体に4℃で一晩結合させる。検出抗体(電気化学発光SULFO−TAGで標識した抗トータルPRAS40)を結合した溶解物に添加し、室温で1時間インキュベートする。平板電極に電圧が印加されると電極表面に結合された標識が発光するように、MSD Read Bufferを加える。MSD SectorInstrumentは、光の強度を測定し、試料中のリン酸化PRAS40(phosphor−PRAS40)の量を定量的に測定する。試験化合物の濃度を変化させることによるPRAS40リン酸化のパーセント阻害を、未処理コントロールと比較して算出する。EC
50値は、4パラメーターロジスティック非線形回帰用量応答モデルを使用して算出する。
【0211】
統計解析:EC
50値は、最低4つの独立した実験の幾何平均を表す。統計はすべて、KaleidaGraph Software(バージョン4.1.3)を用いて行った。変異型細胞及び野生型細胞に対する活性を比較するために、等分散の不対データを用いてスチューデントt検定を行った。P<0.05は有意であると考えられる。
【0212】
実施例903:In Vitro細胞生存率アッセイ
細胞を384ウェルプレートに16時間播種した(1ウェルあたり1500個)。2日目に、9段階1:3化合物希釈物を96ウェルプレート中でDMSOで作製した。その後、Rapidplateロボット(Zymark Corp.)を使用して、化合物を増殖培地にさらに希釈した。その後、384ウェル細胞プレート内の4連ウェルに希釈した化合物を加え、37℃、5%CO
2でインキュベートした。4日後、CellTiter−Glo(Promega)を製造者の指示に従って用いて発光により生存細胞の相対数を測定し、Wallac Multilabel Reader(Perkin−Elmer)で読み取った。EC50値は、Prism6.0ソフトウェア(GraphPad)を用いて算出した。
【0213】
実施例904 In Vivoマウス腫瘍異種移植の有効性
マウス:メスの重症複合免疫不全マウス(C.B−17 SCID.bg サンディエゴのCharles River Labs)、NOD.SCID(ホリスターのCharles River Labs)又はNCR.ヌードマウス(タコニック)は、8−9週齢で、本試験の0日目に18−26グラムの体重範囲であった。これらの動物は、水とLaboratory Autoclavable Rodent Diet 5010(モントリオール州セントルイスのLabDiet)を自由摂取した。マウスを12時間の光サイクルに基づいて、マイクロアイソレーターに収容した。ジェネンテックは、拘束、管理、外科手術、飼料及び体液調節、並びに獣医医療に関する実験動物の管理と使用に関するガイドライン(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)の推奨事項に明確に従っている。ジェネンテックにおける実験動物の管理と使用プログラムは、国際実験動物管理公認協会(AAALAC)により認定されており、このことは、実験動物の管理と使用の一般に受け入れられている基準のコンプライアンスを確かなものにしている。マウスは、ジェネンテックにおいて、標準的なげっ歯類マイクロアイソレーターケージ内で飼育し、腫瘍細胞移植の前に少なくとも3日間、試験条件に順応させた。健康に見え、明白な異常がない動物のみを試験に使用した。
【0214】
腫瘍移植:異種移植は、がん細胞(HCC1954x1又はKPL4)又は継代腫瘍(HCI−003)のいずれかで開始した。細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMのグルタミン、100単位mLのペニシリン、100μg/mL(mlあたりのマイクログラム)の硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mLのゲンタマイシンを補充したRPMI1640培地で培養し、対数増殖期に収穫し、細胞株の倍加時間に応じて3x106又は5x106細胞/mLの濃度で、50%フェノールレッドフリーマトリゲル(Becton Dickinson Bioscience;カリフォルニア州サンノゼ)及びハンクス液に再懸濁させた。HCI−003患者由来モデルについては、約1mgの17β(ベータ)−エストラジオールを含有する30mgの蜜蝋ペレットを、腫瘍断片の移植の3日前に皮下に移植した。腫瘍細胞又は断片を2/3乳腺脂肪パッドに移植し、平均サイズが100〜250mm3の目標範囲に近づく間、腫瘍増殖をモニターした。腫瘍の大部分が目標範囲に達したら、マウスを腫瘍体積に基づいて7〜10匹のマウス群に分けた。
【0215】
治療剤:PI3K化合物を、乾燥粉末中の遊離塩基として供給し、光から保護して室温で保存した。タセリシブ(GDC−0032)及びBYL719のビヒクルは、脱イオン水中0.5%メチルセルロース:0.2%Tween80(MCT)であった。化合物101のビヒクルコントロールは、0.5%メチルセルロース/0.2%Tween80(MCT)ナノ懸濁液であった。MCTナノ懸濁液は、最初にMCT懸濁液を調製することによって調製される。調製したら、1mmガラスビーズ及び希土類磁石撹拌棒を使用して、MCT懸濁液を約24時間、微細なナノ懸濁液に粉砕する。粒度分析器を用いて最終粒径を確認した。薬物用量を毎週調製し、4℃で保存した。
【0216】
処置:マウスは、(ビヒクル)又は記載されたmg/kg用量のPI3K化合物(遊離塩基当量として表される)を21−28日間毎日の経口経管栄養により、100μL(マイクロリッター)(5mL/kg)の用量で与えられた。
【0217】
エンドポイント:腫瘍体積を、Ultra Cal IV キャリパー(モデル54 10 111;Fred V.Fowler Company)を使用して、次式:腫瘍体積(mm
3)=(長さx幅
2)x0.5の通りに2次元(長さ及び幅)で測定し、Excelバージョン11.2(Microsoft Corporation)を使用して分析した。線形混合効果(LME)モデリングアプローチを使用し、同じ動物の腫瘍体積の反復測定を経時的に分析した(Pinheiro J, et al. nlme: linear and nonlinear mixed effects models, 2009; R package version 3.2.5)。このアプローチは、反復測定と、試験終了前の動物の任意の処置非関連死に起因する中程度のドロップアウトの双方を扱う。三次回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。次に、これらの非線形プロファイルを混合モデル内の用量に関連付けた。ビヒクルコントロールに対するパーセンテージとしての腫瘍増殖阻害(%TGI)を、次式:%TGI=100×(1−AUC
用量/AUC
ビヒクル)を使用し、ビヒクルに対する1日当たりのそれぞれの用量群について、近似曲線下面積(AUC)のパーセンテージとして算出した。この式を使用すると、100%のTGI値は腫瘍停滞を示し、>1%であるが<100%のTGI値は腫瘍増殖遅延を示し、>100%のTGI値は腫瘍退縮を示す。動物の部分反応(PR)を、出発腫瘍体積の>50%であるが<100%の腫瘍退縮として定義した。完全反応(CR)を、試験中の任意の日の100%腫瘍退縮(すなわち測定不能な腫瘍)として定義した。
【0218】
毒性:試験の最初の5日間は毎日動物を体重測定し、その後は毎週2回体重を測定した。動物の体重を、Adventurer Pro(登録商標)AV812スケール(Ohaus Corporation)を使用して測定した。重量変化率を次のように算出した:体重変化(%)=[(重量
新規日−重量
0日目)/重量
0日目]×100。任意の有害な処置関連の副作用の明白な徴候についてマウスを頻繁に観察し、毒性の臨床徴候を観察時に記録した。許容可能な毒性を、試験中における群平均体重(BW)の20%未満の減少及び処置動物10匹中で1匹以下の処置関連(TR)死として定義する。より高い毒性を生じる任意の投薬レジメンは、最大耐量(MTD)を超えると考えられる。死を、臨床徴候及び/又は部検により証明された処置の副作用に起因する場合にはTRと分類し、又は投薬期間中の若しくは最後の投薬から10日以内の不明の原因による場合にもTRと分類することができる。死が処置の副作用に関連したという証拠がない場合、死をNTRと分類する。
【0219】
実施例905 細胞培養及びIn Vitro阻害剤実験
10%ウシ胎児血清、100U/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンを含むRPMI培地中で、標準的な組織培養条件下で細胞株を増殖させた。HCC−1954及びHDQ−P1は、乳がん細胞株(アメリカンタイプカルチャーコレクション;バージニア州マナッサス)である。HCC−1954及びHDQ−P1細胞を、6ウェル組織培養プレートの各ウェルに80000細胞/ウェルで入れ、37℃で一晩インキュベートした。示された濃度の各化合物と共に細胞を24時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、プロテアーゼ阻害剤(F.Hoffman−LaRoche;ドイツ、マンハイム)、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリドとホスファターゼ阻害剤カクテル1及び2(Sigma−Aldrich;モントリオール州セントルイス)とを補充したBiosource
TM Cell Extraction Buffer(Invitrogen;カリフォルニア州カールズバッド)に溶解した。タンパク質濃度は、Pierce BCA Protein Assay Kit(ThermoFisherScientific;イリノイ州ロックフォード)を用いて決定した。
【0220】
タンパク質アッセイ
タンパク質濃度は、Pierce BCA Protein Assay Kit(イリノイ州ロックフォード)を用いて決定した。イムノブロットについては、4−12%NuPage Bis−Tris勾配ゲル(Invitrogen;カリフォルニア州カールズバッド)での電気泳動により、等しいタンパク量を分離し、InVitrogenのIBlotシステム及びプロトコールを使用して、そのタンパク質をニトロセルロース膜上に移した。p110アルファ及びホスホAkt(Ser473)に対する抗体は、Cell Signaling(マサチューセッツ州ダンバーズ)から得た。βアクチン及びGAPDHに対する抗体は、Sigmaからのものであった。
【0221】
実施例906 B細胞CD69発現、CD19
+CD27
−B細胞におけるCD69発現のためのヒト全血アッセイ
細胞培養:ヒト全血を100μl/ウェルで96ディープウェルプレートに分注した。化合物をDMSOで希釈して所望のストック濃度を生じさせ、その後PBSで所望の作業濃度にさらに希釈し、ウェル当たり5.5μLの容量で添加した。次に、試料を5%CO
2下、37℃で1時間インキュベートした後、ヤギ抗IgMF(ab’)2(アラバマ州のSouthern Biotech)5μg(ウェルあたり10μl)を添加し、5%CO
2下、37℃で18時間インキュベートした。すべての処理を2回試験した。
【0222】
細胞単離及び染色手順:インキュベーション後、CD19
+CD27
−細胞上のCD69発現レベルを、CD27;10μl/ウェル(クローンL128;ニュージャージー州のBD Biosciences)CD19;7.5μl/ウェル(クローンSJ25C1;ニュージャージー州のBD Biosciences)及びCD69;10μl(クローンFN50;ニュージャージー州のBD Biosciences)のカクテルで全血試料を染色することにより決定した。さらに、各ドナーからのヒト全血をアイソタイプ適合蛍光コントロール抗体で染色した。適切な抗体カクテルの添加後、全血試料を暗所で30分間染色し、その後BD Pharm Lysis(ニュージャージー州のBD Bioscience)を用いて溶解した。その後、得られた試料をFACS緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水(Ca/Mg++フリー)、1mMのEDTA、25mMのHEPES(pH7.0)、1%ウシ胎仔血清(熱不活性化))で洗浄し、0.1%ホルムアルデヒド(ペンシルベニア州のPolysciences Inc)及び0.1%Pluronic F−68(モントリオール州のSigma)を補充したFACS緩衝液中に固定した。BD FACSDivaソフトウェアを備えたBD LSR−II(BD Biosciences)を用いてデータを取得した。
【0223】
CD19
+CD27
−B細胞のCD69発現 BD FACSDiva Softwareを使用し、CD19、CD27及びCD69のレベルについてフローサイトメトリーで細胞を評価し、CD19
+CD27
−リンパ球集団のCD69 MFI平均(MFI−Mean)を決定した。Genedataソフトウェア(マサチューセッツ州のGenedata Screener)を用い、CD69 MFI平均の50%阻害(IC
50)をもたらす化合物の濃度を決定した。
【0224】
実施例907 HCC1954及びHDQP1 pPRAS40 EC
50
細胞を384ウェル組織培養処理アッセイプレートに播種し、一晩インキュベートする。翌日、細胞を化合物で処理し、24時間インキュベートする。24時間後、細胞を溶解し、pPRAS40レベルをMeso−Scaleアッセイプラットフォームを用いて測定する。これらの細胞株は、変異型PI3Kaに対するPI3Ka阻害剤の選択性を特徴付けるのに非常に有用である。HCC1954細胞株は、HDQP1において野生型よりも変異型PI3Ka(E545K)を発現する。
【0225】
アッセイ原理:MSDプラットフォームは、単一試料中のpPRAS40のリン酸化レベルを測定する方法を提供する。細胞溶解物を、トータルPRAS40に対する抗体で予めコーティングしたアッセイプレートに加える。細胞溶解後、試料中のPRAS40を捕捉抗体に結合させる。電気化学発光化合物MSD SULFO−TAGで標識した検出抗体(抗リン酸PRAS40)を結合した溶解物に加える。平板電極に電圧が印加されると電極表面に結合された標識が発光するように、MSD Read Bufferを加える。MSD Sector Instrumentは、光の強度を測定し、試料中のリン酸化EGFRの量を定量的に測定する。
【0226】
材料:
【0227】
手順:
・ DMSO中2mMの濃度の化合物を調製。純DMSO中でDMSO化合物滴定プレート(1:3)を調製する。
・ DMSOマザープレートには、13種類の化合物72μlが含まれている。
・ 変異型選択的コントロール化合物:2mMのコントロール化合物72μlを各アッセイプレート上のウェルB2に加える。このコントロール化合物は、HDQP1株におけるのと比較してHCC1954細胞株において約20倍の効力を示す。
・ マルチチャネルピペットを使用して、各化合物ウェルから直下のウェル(例B2〜C2)に36μlを移して、用量反応曲線の重複を設定する。
・ マザープレートに化合物を段階希釈するには、「SLS_serial dilution/1 plate_384_3_13_3x」というBiomek Fx法を使用すること。
・ DMSOのマザープレートとドータープレートはいずれも、使用しないときにはヒートシーラーでシールし、保管すること。
【0228】
1日目:細胞播種
1. 各細胞株について、45μlの培地中に12500個の細胞を播種する。細胞を、室温で15−20分間プレートに沈降/付着させる。
2. 37℃の、湿度及びCO2制御インキュベーター内で細胞を一晩インキュベートする。
【0229】
2日目:化合物プレートの調製及び化合物処理
1. 10X 中間希釈プレートの場合:95μlの無血清培地を、標準プロファイルのグライナー384ウェルポリプロピレンプレートに加える。
2. 培地中の中間化合物の希釈及び細胞への添加には、biomek Fxプロトコール「SLS Intermed Dil Add 5ul to Cells July 13 2012」を使用する。このBiomekプロトコールでは、DMSOドータープレートの5μlを95μlの培地を含む中間希釈プレートに移し、培地+化合物を混合する。この方法では次に、中間希釈プレートの5μlを適切な細胞プレートに移す。
3. 処理した細胞を5%CO2加湿インキュベーター内で37℃で24時間インキュベートする。
【0230】
3日目:細胞溶解及びMSDプレートへの添加
室温で1−2時間、50μlの3%Blocker A/1X MSD Wash BufferでMSDアッセイプレートをブロックする。この溶液は、4℃で最大1ヶ月間保存することができる。Blocking緩衝液Aは、1X MSD洗浄緩衝液を含む。1X トリス洗浄緩衝液20mL及びBlocker A 600mg。
溶解緩衝液を調製する:
【0231】
培地を吸引し、細胞を溶解する。
1. 50μlの溶解緩衝液中で細胞を溶解する。プレートシェーカー上で10−20分間室温で溶解。
2. 細胞が溶解している間、ブロックプレートを1×MSD洗浄緩衝液で洗浄する。
3. ブロックしたMSD pPRAS40アッセイプレートに42μlの溶解物(21+21μL)を移す。
4. MSDプレートをシールし、4℃で一晩振盪しながらインキュベートする。
【0232】
4日目:MSDアッセイ/検出
8. 1%Blocker Aの1X MSD洗浄緩衝溶液を作る。(1Xトリス洗浄緩衝液20mL及びBlocker A 200mg(1% w/v)この溶液は、4℃で最大1ヶ月間保存することができる。
9. 1x MSD洗浄緩衝液でMSDプレートを洗浄する。
10. 10μlの希釈SULFO−TAG検出抗体をプレートに添加する。室温で振盪しながら1時間インキュベートする。
11.プレートを4回、1X MSD洗浄緩衝液で洗浄する。
12. 泡立ちを避けるため、逆ピペット操作で35μlの1X Read緩衝液を加える。
13. MSD SECTOR機器ですぐにプレートを読み取る。
【0233】
実施例908 p110α(アルファ)を用いた共結晶構造解析
Chen等及びNacht等(Chen, P., Y. L. Deng, S. Bergqvist, M. D. Falk, W. Liu, S. Timofeevski及びA. Brooun 「Engineering of an isolated p110alpha subunit of PI3Kalpha permits crystallization and provides a platform for structure-based drug design」, (2014) Protein Sci 23(10): 1332-1340; Nacht, M. et al (2013) 「Discovery of a potent and isoform-selective targeted covalent inhibitor of the lipid kinase PI3Kalpha」, J. Med. Chem. 56(3): 712-721)に従い、N末端切断型p110α(アルファ)を生成した。
【0234】
標準プロトコールを適用し、試験化合物の存在下で結晶を製造した。回収した結晶は、回折データ収集のために液体窒素への浸漬によって保存し、単色X線を生成するシンクロトロンビームラインに装着した。標準的なプロトコールを用いて、回折データを収集、縮小、及びマージした。結晶構造解析の単位格子及び空間群は、以前に報告されたものと同型であった(Nacht, 2013; Chen, 2014)。試験化合物を電子密度マップに配置し、標準的なプロトコールを用いて、2.36〜2.56Aの解像限界まで結晶構造解析の精密化を行った。
【0235】
本願では、ul、uMolなどの単位は、μl、μMolなどを意味する。
【0236】
前述の発明は明確な理解のために例示及び実施例によって幾分詳細に説明されているが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に引用されるすべての特許及び科学文献の開示内容は、その全体が出典明示により本明細書に援用される。