(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880129
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ディスプレイ用粘着シートおよびこれを含むディスプレイ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20210524BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20210524BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20210524BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20210524BHJP
C09J 7/25 20180101ALI20210524BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
C09J11/06
C09J133/00
C09J7/25
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-161271(P2019-161271)
(22)【出願日】2019年9月4日
(65)【公開番号】特開2020-37690(P2020-37690A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0105256
(32)【優先日】2018年9月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519204054
【氏名又は名称】イノックス・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOX Advanced Materials Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イ、 サン ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】ぺ、 ユン ビン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 スル キ
【審査官】
田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−129785(JP,A)
【文献】
特開2016−216624(JP,A)
【文献】
特開2013−163782(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/097757(WO,A1)
【文献】
特開2007−152930(JP,A)
【文献】
特表2016−532748(JP,A)
【文献】
特開2013−235024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材および前記基材の上面に形成され、主剤樹脂および25℃で固相であり、置換または非置換のアリール基を有する窒素オニウム塩を含む陽イオン性塩を含む帯電防止剤を具備する組成物を通じて形成された粘着層を含むベースフィルム;を含み、
前記主剤樹脂は重量平均分子量が200,000〜1,000,000であり、
前記組成物は主剤樹脂100重量部に対して前記帯電防止剤を0.01〜5重量部で含み、
前記粘着層は下記の数学式1によって測定したゲル分率(gel fraction)が50〜88%である、ディスプレイ用粘着シート:
[数学式1]
ただし、前記数学式1で溶解
された粘着層の重さは、溶解前の粘着層を所定の重さで採取して200メッシュ(mesh)が採取した粘着層を包み込むように形成させた後、メチルエチルケトン(MEK)に入れて40℃恒温水槽で24時間放置した後、MEKで3回濯ぎを行った後、メッシュにある残余の粘着層を100℃で24時間の間熱風乾燥した後に測定した
溶解されて減少した重さを表す。
【請求項2】
前記帯電防止剤は下記の化学式1で表示される陽イオン性塩を含む、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート:
[化学式1]
前記化学式1で、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立的にC
1〜C
4の直鎖状またはC
3〜C
5の分枝鎖状アルキル基である。
【請求項3】
前記帯電防止剤は下記の化学式2で表示される陽イオン性塩を含む、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート:
[化学式2]
【請求項4】
前記帯電防止剤はCl-、Br-、I-、AlCl4-、Al2Cl7-、BF4-、PF6-、ClO4-、NO3-、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3-、CF3SO3-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、AsF6-、SbF6-、NbF6-、TaF6-、(CN)2N-、C4F9SO3-、(C2F5SO2)2N-、C3F7COO-、(FSO2)2N-、(CF3SO2)(CF3CO)N-およびN(SO2F)2-からなる群から選択された1種以上を含む陰イオン性塩をさらに含む、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項5】
前記帯電防止剤は下記の化学式3で表示される化合物である、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート:
[化学式3]
【請求項6】
前記主剤樹脂はアクリル系共重合体である、請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項7】
前記組成物は前記主剤樹脂100重量部に対して硬化剤を0.02〜0.35重量部でさらに含む、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項8】
前記基材はPET基材である、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項9】
前記基材は少なくとも一面が帯電防止処理された、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項10】
前記粘着層の上面に備えられて前記粘着層によって粘着され、一面が帯電防止処理された離型フィルム;をさらに含む、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項11】
前記離型フィルムは下面がシリコン離型処理された、
請求項10に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項12】
前記ベースフィルムと離型フィルム間の離型力が1〜7gf/inである、
請求項10に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項13】
前記ベースフィルムは透過率が88%以上であり、ヘイズ(Haze)が0.5〜2%である、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート。
【請求項14】
前記ベースフィルムは下記の測定方法で測定した粘着力が1,300gf/in以上である、
請求項1に記載のディスプレイ用粘着シート:
[測定方法]
ベースフィルムをガラス(glass)に付着して24時間経過後、秒当たり5mmの速度で180°剥離させる時の粘着力を測定した。
【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載されたベースフィルムを含む、
ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ用粘着シートに関し、さらに詳細には帯電防止処理を通じて静電気の発生を防止することができ、粘着層の流れ性が低く、合着時に気泡が発生しないとともに、ディスプレイ装置との粘着力が優秀であり、耐衝撃性が優秀であり、ベンディング性能が優れているため、段差があるディスプレイまたはフレキシブルディスプレイに適用が可能であり、高温および高湿条件に放置後にも粘着力の減少率が低い効果を発現できる、ディスプレイ用粘着シートおよびこれを含むディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報通信技術の飛躍的な発展と市場の膨張につれて、ディスプレイ素子として平板表示素子(Flat Panel Display)が脚光を浴びている。このような平板表示素子としては、液晶表示素子(Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ素子(Plasma Display Panel)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diodes)等が代表的である。
【0003】
有機発光素子は迅速な応答速度と軽薄短小、低消費電力、自発光素子、柔軟性などの長所を有しているため、最近では次世代ディスプレイ素子、ディスプレイだけでなく照明などにその需要が増加している。
【0004】
有機発光素子はガラス基板上に透明電極、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層、金属電極の順序で蒸着されて形成され、両側の電極から供給された電子と正孔が有機発光層で再結合する際に放出されるエネルギーを利用して発光する原理である。
【0005】
有機発光素子は外部の水分と酸素または紫外線などの外的要因によって劣化し得るため、有機発光素子を密封させるパッケージング(packaging)技術が重要であり、多様なアプリケーションに適用するために、有機発光表示装置は薄く製造されることが要求される。
【0006】
一方、ディスプレイ装置の下部には外力からディスプレイ装置を保護し、静電気の発生を防止するための粘着シートを含むが、従来のディスプレイ用粘着シートは静電気の発生を防止することができず、ディスプレイ装置との粘着力が悪い問題点があった。
【0007】
そこで、帯電防止処理を通じて静電気の発生を防止することができ、粘着層の流れ性が低く、合着時に気泡が発生しないとともに、ディスプレイ装置との粘着力が優秀であり、耐衝撃性が優秀であり、ベンディング性能が優れているため、段差があるディスプレイまたはフレキシブルディスプレイに適用が可能であり、高温および高湿条件に放置後にも粘着力の減少率が低い効果を発現できるディスプレイ用粘着シートについての研究が急を要しているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】KR 10−0252953 B1(登録日:2000.01.21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたものであって、帯電防止処理を通じて静電気の発生を防止することができ、粘着層の流れ性が低く、合着時に気泡が発生しないとともに、ディスプレイ装置との粘着力が優秀であり、耐衝撃性が優秀であり、ベンディング性能が優れているため、段差があるディスプレイまたはフレキシブルディスプレイに適用が可能であり、高温および高湿条件に放置後にも粘着力の減少率が低い効果を発現できる、ディスプレイ用粘着シートおよびこれを含むディスプレイを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決するために本発明は、基材および前記基材の上面に形成され、主剤樹脂および25℃で固相であり、置換または非置換のアリール基を有する窒素オニウム塩を含む陽イオン性塩を含む帯電防止剤を具備する組成物を通じて形成された粘着層を含むベースフィルム;を含み、前記粘着層は下記の数学式1によって測定したゲル分率(gel fraction)が50〜88%であるディスプレイ用粘着シートを提供する。
【0011】
[数学式1]
【0012】
ただし、前記数学式1で溶解
された粘着層の重さは、溶解前の粘着層を所定の重さで採取して200メッシュ(mesh)が採取した粘着層を包み込むように形成させた後、メチルエチルケトン(MEK)に入れて40℃恒温水槽で24時間放置した後、MEKで3回濯ぎを行った後、メッシュにある残余の粘着層を100℃で24時間の間熱風乾燥した後に測定した
溶解されて減少した重さを表す。
【0013】
本発明の一実施例によると、前記帯電防止剤は下記の化学式1で表示される陽イオン性塩を含むことができる。
【0014】
[化学式1]
【0015】
前記化学式1で、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立的にC
1〜C
4の直鎖状またはC
3〜C
5の分枝鎖状アルキル基である。
【0016】
また、前記帯電防止剤は下記の化学式2で表示される陽イオン性塩を含むことができる。
【0017】
[化学式2]
【0018】
また、前記帯電防止剤はCl
−、Br
−、I
−、AlCl
4−、Al
2Cl
7−、BF
4−、PF
6−、ClO
4−、NO
3−、CH
3COO
−、CF
3COO
−、CH
3SO
3−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
3C
−、AsF
6−、SbF
6−、NbF
6−、TaF
6−、(CN)
2N
−、C
4F
9SO
3−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、C
3F
7COO
−、(FSO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)(CF
3CO)N
−およびN(SO
2F)
2−からなる群から選択された1種以上を含む陰イオン性塩をさらに含むことができる。
【0019】
また、前記帯電防止剤は下記の化学式3で表示される化合物であり得る。
【0020】
[化学式3]
【0021】
また、前記組成物は主剤樹脂100重量部に対して前記帯電防止剤を0.01〜5重量部で含むことができる。
【0022】
また、前記主剤樹脂はアクリル系共重合体であり得る。
【0023】
また、前記主剤樹脂は重量平均分子量が200,000〜1,000,000であり得る。
【0024】
また、前記組成物は前記主剤樹脂100重量部に対して硬化剤を0.02〜0.35重量部でさらに含むことができる。
【0025】
また、前記基材はPET基材であり得る。
【0026】
また、前記基材は少なくとも一面が帯電防止処理され得る。
【0027】
また、前記粘着層の上面に備えられて前記粘着層によって粘着され、一面が帯電防止処理された離型フィルム;をさらに含むことができる。
【0028】
また、前記離型フィルムは下面がシリコン離型処理され得る。
【0029】
また、前記ベースフィルムと離型フィルム間の離型力が1〜7gf/inであり得る。
【0030】
また、前記ベースフィルムは透過率が88%以上であり得、ヘイズ(Haze)が0.5〜2.0%であり得る。
【0031】
また、前記ベースフィルムは下記の測定方法で測定した粘着力が1,300gf/in以上であり得る。
【0032】
[測定方法]
ベースフィルムをガラス(glass)に付着して24時間経過後、秒当たり5mmの速度で180°剥離させる時の粘着力を測定した。
【0033】
一方、本発明は前述したベースフィルムを含むディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るディスプレイ用粘着シートおよびこれを含むディスプレイは、帯電防止処理を通じて静電気の発生を防止することができ、粘着層の流れ性が低く、合着時に気泡が発生しないとともに、ディスプレイ装置との粘着力が優秀であり、耐衝撃性が優秀であり、ベンディング性能が優れているため、段差があるディスプレイまたはフレキシブルディスプレイに適用が可能であり、高温および高湿条件に放置後にも粘着力の減少率が低い効果を発現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施例に係るディスプレイ用粘着シートの断面図。
【
図2】本発明の一実施例に係るディスプレイ用粘着シートの分離断面図。
【
図3】本発明の一実施例に係るディスプレイの断面摸式図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。図面で本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略したし、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素については同じ参照符号を付加する。
【0037】
本発明の一実施例によるディスプレイ用粘着シートは、
図1に図示された通り、基材122および前記基材122の上面に形成される粘着層121を含むベースフィルム120;を含む。
【0038】
前記ベースフィルム120はディスプレイに直接的に付着されてディスプレイの下部を保護し装置を支持する機能を担当する。
【0039】
前記ベースフィルム120は前述した通り、基材122および前記基材122の上面に形成される粘着層121を含んで具現される。
【0040】
この時、前記粘着層121は下記の数学式1によって測定したゲル分率(gel fraction)が50〜88%であり、好ましくは65〜84%であり得る。
【0042】
ただし、前記数学式1で溶解
された粘着層の重さは、溶解前の粘着層を所定の重さで採取して200メッシュ(mesh)が採取した粘着層を包み込むように形成させた後、メチルエチルケトン(MEK)に入れて40℃恒温水槽で24時間放置した後、MEKで3回濯ぎを行った後、メッシュにある残余の粘着層を100℃で24時間の間熱風乾燥した後に測定した
溶解されて減少した重さを表す。
【0043】
万一、前記数学式1によって測定したゲル分率が50%未満であると粘着層の流れ性が高くなり、合着時に気泡が発生し得るため粘着性能が低下し得、ゲル分率が88%を超過すると粘着力が低下し得、ベンディング性能が低下し得る。
【0044】
前記粘着層121は主剤樹脂および帯電防止剤を含む組成物を通じて形成される。
【0045】
前記主剤樹脂は当業界で通常的に十分な粘着力を有する粘着層の形成に使用できる樹脂であれば制限なく使うことができ、好ましくはアクリル系共重合体であり得る。
【0046】
前記主剤樹脂は重量平均分子量が200,000〜1,000,000であり得、好ましくは重量平均分子量が400,000〜800,000であり得る。万一、前記主剤樹脂の重量平均分子量が200,000未満であると粘着剤の柔軟性、被着材との濡れ性、粘着力およびベンディング性能は優秀であるものの、凝集力の減少による剥離時に粘着層が破壊され得、重量平均分子量が1,000,000を超過すると凝集力と粘着力の維持は優秀であるものの、一定の分子量以上では粘着力が減少し得、硬い粘着層の形成により被着材との濡れ性とベンディング性能が悪くなり得る。
【0047】
また、前記帯電防止剤は25℃で固相である帯電防止剤であって、前記帯電防止剤は陽イオン性塩を含み、陰イオン性塩をさらに含むことができる。前記帯電防止剤が25℃で固相である帯電防止剤であることによって、ベースフィルム120の粘着力が優秀であり、適切な表面抵抗を維持することができ、高温および高湿条件に放置後にも粘着力の減少率が低い効果を発現することができる。
【0048】
前記帯電防止剤の陽イオン性塩は置換または非置換のアリール基を有する窒素オニウム塩を含み、好ましくは下記の化学式1で表示される陽イオン性塩であり得、より好ましくは下記の化学式2で表示される陽イオン性塩であり得る。
【0050】
前記化学式1で、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立的にC
1〜C
4の直鎖状またはC
3〜C
5の分枝鎖状アルキル基である。
【0052】
また、前記帯電防止剤の陰イオン性塩はCl
−、Br
−、I
−、AlCl
4−、Al
2Cl
7−、BF
4−、PF
6−、ClO
4−、NO
3−、CH
3COO
−、CF
3COO
−、CH
3SO
3−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
3C
−、AsF
6−、SbF
6−、NbF
6−、TaF
6−、(CN)
2N
−、C
4F
9SO
3−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、C
3F
7COO
−、(FSO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)(CF
3CO)N
−およびN(SO
2F)
2−からなる群から選択された1種以上を含むことができ、好ましくは、 PF
6−、BF
4−、I
−および(CF
3SO
2)
2N
−からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0053】
また、最も好ましくは、前記帯電防止剤は下記の化学式3で表示される化合物であり得る。
【0055】
前記組成物は前記主剤樹脂100重量部に対して前記帯電防止剤を0.01〜5重量部で、好ましくは0.1〜4.5重量部で含むことができる。万一、前記主剤樹脂100重量部に対して前記帯電防止剤が0.01重量部未満であると電気的短絡が発生し得、剥離帯電圧が高まる問題が発生し得、5重量部を超過するとベースフィルム120の粘着力が低下し得、高温および高湿条件に放置後に粘着力が顕著に低下する問題が発生し得る。
【0056】
また、前記組成物は硬化剤をさらに含むことができる。
【0057】
前記硬化剤は通常的に十分な粘着力を示す粘着層の形成に使われ得る硬化剤であれば制限なく使うことができ、好ましくはエポキシ系硬化剤を使用することができ、より好ましくはエポキシアミン系硬化剤を使うことができ、より好ましくはN,N,N,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンであり得る。
【0058】
前記硬化剤は主剤樹脂100重量部に対して0.02〜0.35重量部で、好ましくは0.1〜0.3重量部で含まれ得る。万一、前記硬化剤の含量が主剤樹脂100重量部に対して0.02重量部未満であると、粘着層が目的とする水準に硬化しない可能性があり、ゲル分率が低下するにつれて粘着層の流れ性が高くなり、合着時に気泡が発生し得るため粘着性能が低下し得る。また、万一、前記硬化剤が0.35重量部を超過すると、粘着層が過度に硬化されてゲル分率が飽和するため粘着力およびベンディング性能が低下する問題が発生し得、未反応された硬化剤が残っている可能性がある。
【0059】
また、前記粘着層121の厚さは通常的に粘着シートに含まれる粘着層の厚さであれば制限されず、好ましくは10〜30μmであり得、より好ましくは11〜27μmであり得る。
【0060】
また、前記基材122は当業界で通常的に粘着シートに使用できる素材であれば制限なく使うことができ、好ましくはPET基材であり得る。また、前記基材122の厚さは通常的に粘着シートに使用できる基材の厚さであれば制限されず、好ましくは50〜150μm、より好ましくは70〜130μmであり得る。
【0061】
一方、本発明に係るベースフィルム120に含まれる基材122は静電気の発生を防止するために少なくとも一面が、好ましくは下面が帯電防止処理され得る。帯電防止処理を通じて静電気の発生を防止することができる。
【0062】
前記ベースフィルム120は透過率が88%以上、好ましくは透過率が90%以上、さらに好ましくは透過率が91%以上であり得る。また、前記ベースフィルム120はヘイズが0.5〜2%、好ましくは0.7〜1.5%であり得る。
【0063】
また、ベースフィルム120の粘着力はディスプレイの下部から剥離しないように十分に高くなければならず、好ましくは前記ベースフィルムは下記の測定方法で測定した粘着力が1,300gf/in以上、より好ましくは粘着力が1,400gf/in以上であり得る。
【0064】
[測定方法]
ベースフィルムをガラス(glass)に付着して24時間経過後、秒当たり5mmの速度で180°剥離させる時の粘着力を測定した。
万一、前記測定方法で測定したベースフィルム120の粘着力が1,300gf/in未満であると、ディスプレイから前記ベースフィルム120が剥離される問題が発生し得る。
【0065】
一方、本発明の一実施例に係るディスプレイ用粘着シートは、前記粘着層121の上面に備えられて前記粘着層121によって粘着され、一面が帯電防止処理された離型フィルム110;をさらに含むことができる。
【0066】
前記離型フィルム110はベースフィルム120を保護する機能を担当する。ディスプレイに本発明に係るディスプレイ用粘着シートを適用して付着することができるが、この場合、離型フィルム110を最も先に剥離した後、ディスプレイにベースフィルム120を付着することができる。この時、離型フィルム110の離型力は1〜7gf/in、好ましくは2〜6gf/inであり得る。万一、離型フィルム110の離型力が1gf/in未満であると離型フィルムがベースフィルム120から小さい物理的刺激にも過度に剥離されるためベースフィルム120を容易に保護することができず、離型力が7gf/inを超過するとディスプレイに適用時に剥離が容易でないため不良率が増加し得るので、適切ではない。
【0067】
図2に図示されたように、離型フィルム110が前述したような離型力を示すために前記離型フィルム110の下面を離型処理(A)することができる。前記離型処理は当業界で通常的に離型処理に使用できる物質であれば制限なく使うことができ、好ましくはシリコンで離型処理することが適正水準の離型力を示すことができる。
【0068】
一方、本発明に係る離型フィルム110は静電気の発生を防止するために少なくとも一面が、好ましくは上面と下面が帯電防止処理され得る。帯電防止処理を通じて静電気の発生を防止することができる。
前記離型フィルム110は当業界で通常的に離型フィルムに使う素材であれば制限なく使うことができ、好ましくはPET基材であり得る。また、前記離型フィルム110の厚さは通常的に粘着シートに使われ得る離型フィルムの厚さであれば制限されず、好ましくは30〜90μm、より好ましくは35〜85μmであり得るが、これに制限されない。
【0069】
前述したディスプレイ用粘着シートは、後述する製造方法を通じて製造され得るがこれに制限されるものではなく、前述したディスプレイ用粘着シートについての説明と同じ部分は省略して説明するようにする。
【0070】
本発明に係るディスプレイ用粘着シートは、基材122の上部面に主剤樹脂および帯電防止剤を含む組成物を塗布して仮粘着層を形成させる段階;仮粘着層を形成させた基材122の上部面に離型フィルム110を合紙して仮粘着層を硬化させて、合紙された離型フィルム110およびベースフィルム120を製造する段階;を含んで製造され得る。
【0071】
まず、基材122の上部面に主剤樹脂および帯電防止剤を含む組成物を塗布して仮粘着層を形成させる段階について説明する。
【0072】
前記組成物は主剤樹脂および帯電防止剤を含み、硬化剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0073】
前記溶媒は通常的に粘着層を形成する粘着組成物に使われ得る溶媒であれば制限なく使うことができ、好ましくは水系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミン系溶媒、エステル系溶媒、アセテート系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒およびフラン系溶媒からなる群から選択された1種以上を含むことができ、より好ましくはアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミン系溶媒、エステル系溶媒、アセテート系溶媒およびエーテル系溶媒からなる群から選択された1種以上を含むことができ、最も好ましくは、メチルエチルケトンであり得る。前記溶媒は主剤樹脂100重量部に対して20〜60重量部、好ましくは25〜55重量部含まれ得るが、これに制限されはしない。
【0074】
次いで、仮粘着層を形成させた基材122の上部面に離型フィルム110を合紙して仮粘着層を硬化させて、合紙された離型フィルム110およびベースフィルム120を製造する段階について説明する。
【0075】
前記仮粘着層を形成させた基材122の上部面に離型フィルム110を合紙する方法は、当業界で通常的に使用できる方法および/または条件であれば制限なく使うことができ、好ましくは常温でロールラミネーターを利用して合紙させることができるが、これに制限されない。
【0076】
また、前記硬化は当業界で通常的に使用できる粘着層の形成のための硬化条件であれば制限なく使うことができ、好ましくは30〜80℃で30〜60時間の間、より好ましくは40〜70℃で40〜55時間の間硬化させることができるが、これに制限されるものではない。
【0077】
一方、本発明は前述したベースフィルムを含んで具現されたディスプレイを含む。
【0078】
図3のように、前記ベースフィルム120”はディスプレイ300の下部に付着され得る。具体的には、十分な粘着力を有する粘着層121”およびディスプレイを保護する機能をする基材122”を含むベースフィルム120”を含むことによって、ディスプレイの下部を保護し、ディスプレイ装置の静電気の発生を防止することができる。
【0079】
本発明に係るディスプレイ用粘着シートおよびこれを含むディスプレイは、帯電防止処理を通じて静電気の発生を防止することができ、粘着層の流れ性が低く、合着時に気泡が発生しないとともに、ディスプレイ装置との粘着力が優秀であり、耐衝撃性が優秀であり、ベンディング性能が優れているため、段差があるディスプレイまたはフレキシブルディスプレイに適用が可能であり、高温および高湿条件に放置後にも粘着力の減少率が低い効果を発現できる効果がある。
【0080】
下記の実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明の範囲を制限するものではなく、これは本発明の理解を助けるためのものと解釈されるべきである。
【0081】
<実施例1>
主剤樹脂として重量平均分子量が600,000であり、アクリル酸、ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよびビニルアセテートがランダム共重合された共重合体を、前記主剤樹脂100重量部に対して硬化剤としてN,N,N,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン0.22重量部、帯電防止剤として25℃で固相である下記の化学式3で表示される化合物4.25重量部および溶媒としてメチルエチルケトン39重量部を混合して組成物を製造した。
【0082】
そして、厚さ75μmのPET基材の下部面にPEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)を下部面に薄膜塗布して帯電防止処理した基材の上部面に、前記組成物を塗布して仮粘着層を形成し、厚さ75μmのPET基材の上部面および下部面にPEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)を薄膜塗布して帯電防止処理し、下部面にシリコン離型剤を薄膜塗布してシリコン離型処理した離型フィルムの下部面と仮粘着層が当接するように配置させた後、常温でロールラミネーターを利用して合紙させた後に50℃で48時間の間硬化させて、厚さ14μmの粘着層が形成されたベースフィルムおよび前記ベースフィルム上部面に積層された離型フィルムを製造することによってディスプレイ用粘着シートを製造した。
【0084】
<実施例2〜11および比較例1〜2>
実施例1と同様に実施して製造するものの、下記の表1〜表3のように主剤樹脂の重量平均分子量、硬化剤の含量および帯電防止剤の含量などを変更して、表1〜表3のようなディスプレイ用粘着シートを製造した。
【0085】
<比較例3>
実施例1と同様に実施して製造するものの、帯電防止剤として下記の化学式4で表示され、25℃で液状であるN−ヘキシル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート(N−hexyl−4−methylpyridinium hexafluorophosphate、CAS no.929897−32−5)を使ったことを除いては実施例1と同様に実施してディスプレイ用粘着シートを製造した。
【0087】
<比較例4〜7>
前記比較例3と同一に実施して製造するものの、前記化学式4で表示され、25℃で液状である帯電防止剤の含量などを変更して表3のようなディスプレイ用粘着シートを製造した。
【0088】
<実験例>
1.<粘着層のゲル分率測定>
実施例および比較例により製造されたディスプレイ用粘着シートに対して、粘着層の重さ0.2gを採取して200メッシュ(mesh)に入れて包み込む。そしてメチルエチルケトン(MEK)が入っている500mlのPEボトルに粘着層を包み込んだメッシュ(mesh)を入れて40℃恒温水槽で24時間放置した後、メッシュ(mesh)をメチルエチルケトン(MEK)で3回濯ぎを行う。その後メッシュにある残余の粘着層を100℃で24時間の間熱風乾燥してメチルエチルケトン(MEK)を完全に除去した後に重さを測定して、
粘着前の粘着層の重さと粘着層が溶解されて減少した重さによって、下記の数学式1によってゲル分率を測定して下記の表1〜表3に表した。
【0090】
2.離型フィルムの離型力、ベースフィルムの粘着力および剥離帯電圧の評価
実施例および比較例により製造されたディスプレイ用粘着シートに対してディスプレイ用粘着シートを1インチ幅で裁断した後、秒当たり40mmの速度で180°で剥離させて離型フィルムの離型力を測定したし、ディスプレイ用粘着シートを1インチ幅で裁断して離型フィルムを除去した後、表面を洗浄したGlassに付着して24時間経過後、秒当たり5mmの速度で180°で剥離させて粘着層の粘着力を測定したし、ディスプレイ用粘着シートを100×100mmに裁断した後、秒当たり80mmの速度で180°で離型フィルムを剥離させて粘着層の剥離帯電圧Vを測定した。これを5回繰り返し遂行して平均値が0.05kV以下である場合−○、0.05kVを超過する場合−×として下記の表1〜表3に表した。
【0091】
3.ディスプレイ用粘着シートの粘着性能評価
実施例および比較例により製造されたディスプレイ用粘着シートのベースフィルムをディスプレイの下部に常温でロールラミネーターで付着した後、24時間経過させた後に温度60℃および相対湿度90%の条件下で500時間の間放置して、付着された下部の粘着シートに剥離現象が起きるかどうかを確認する方法で、剥離現象が発生しない場合−○、剥離現象が発生する場合−×としてベースフィルム粘着性能を評価した。これを下記の表1〜表3に表した。
【0092】
4.高温、高湿条件に放置後に粘着力変化率の測定
実施例および比較例により製造されたディスプレイ用粘着シートのベースフィルムを無アルカリガラス(Non−alkali glass)に付着し、温度60℃および相対湿度95%の条件で500時間の間放置後に常温で十分に放置させた後、ベースフィルムを秒当たり5mmの速度および180°で剥離させて粘着層の粘着力を測定したし、それぞれの初期の粘着力を100%にして、これに対する粘着力変化率を測定した。粘着力変化率が±20%範囲を満足する場合−○、満足しない場合−×とした。これを下記の表1〜表3に表した。
【0093】
5.耐衝撃性評価
実施例および比較例により製造されたディスプレイ用粘着シートに対して、glassにロールラミネーターを利用してベースフィルムを付着して24時間経過後に100g重さの球状の重りを高さ10cmからベースフィルム面に落下させた場合、粘着層とglassの間に気泡が発生しない場合−○、気泡が発生する場合−×として耐衝撃性を評価した。これを下記の表1〜表3に表した。
【0094】
6.ベンディング性能評価
実施例および比較例により製造されたそれぞれのベースフィルムをポリイミド フィルムに付着して横×縦25mm×150mmに切断した後、ベースフィルムを付着したポリイミドフィルムの両終端が当接するように位置させ、曲率半径を3Rに設定して10000回遂行した後、何の以上もない場合−○、ベースフィルム内に層間剥離および/または被着面との剥離などのいかなる以上でも発生する場合−×としてベンディング性能を評価した。これを下記の表1〜表3に表した。
【0098】
前記表1〜表3から分かるように、本発明に係る主剤樹脂の重量平均分子量、硬化剤の含量、帯電防止剤の種類および含量などをすべて満足する実施例1、3、4、6、7、9および10が、この中で一つでも抜けている実施例2、5、8、11および比較例1〜7に比べて離型フィルムの離型力が適切であり、ベースフィルムの粘着力、ディスプレイ用粘着シートの粘着性能評価の結果が優秀であり、耐衝撃性およびベンディング性能が優れているとともに、高温および高湿条件に放置後にも粘着力の変化率が低い効果をすべて同時に達成できるということを確認することができる。
【0099】
以上で本発明の一実施例について説明したが、本発明の思想は本明細書に提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同じ思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案できるはずであるが、これも本発明の思想範囲内に属するものと言える。
【符号の説明】
【0100】
110、111:離型フィルム
120、120’、120”:ベースフィルム
121、121’、121”:粘着層
122、122’、122”:基材
300:ディスプレイ