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特許6880132ダウンコンバータ、アップコンバータ、及び受信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880132
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ダウンコンバータ、アップコンバータ、及び受信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/438 20110101AFI20210524BHJP
   H04B 1/26 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H04N21/438
   H04B1/26 K
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-162372(P2019-162372)
(22)【出願日】2019年9月5日
(65)【公開番号】特開2021-40291(P2021-40291A)
(43)【公開日】2021年3月11日
【審査請求日】2019年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512075246
【氏名又は名称】ウィストロン ニューウェブ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】御▲崎▼ 元
(72)【発明者】
【氏名】陳 宗志
(72)【発明者】
【氏名】蔡 聰行
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−019254(JP,A)
【文献】 特開2005−167930(JP,A)
【文献】 特開2001−086020(JP,A)
【文献】 特開2004−304758(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0132193(US,A1)
【文献】 高度広帯域衛星デジタル放送用受信装置 RECEIVER FOR ADVANCED WIDE BAND DIGITAL SATELLITE BROADCASTING,標準規格(通信分野、放送分野)及び技術資料(通信分野、放送分野、共通分野),一般社団法人 電波産業会,2015年 3月17日,ARIB STD−B63 第1.1版,p98 ,2.3.2.1 動的方式
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
H04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左旋円偏波の衛星放送波の受信信号に含まれる第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートするか否かが前記第1放送信号毎に設定される第1ディップスイッチと、
前記受信信号から前記第1放送信号を抽出して前記第2放送信号にダウンコンバートする第1周波数変換部と、
前記第1ディップスイッチでの設定に基づいて前記第1周波数変換部を制御する第1制御回路と、
を備え、
前記第1周波数変換部は、前記第1ディップスイッチにてダウンコンバートすると設定された前記第1放送信号を、該第1放送信号の第1伝送周波数帯域と予め定められた対応関係で対応付けられた第2伝送周波数帯域の前記第2放送信号にダウンコンバートする、ダウンコンバータ。
【請求項2】
前記衛星放送波は、左旋円偏波のBS放送波と、左旋円偏波のCS放送波と、を含む、請求項1に記載のダウンコンバータ。
【請求項3】
前記第1ディップスイッチにてダウンコンバートすると設定された前記第1放送信号の前記第1伝送周波数帯域はそれぞれ最小の前記第1伝送周波数帯域から周波数が小さい順に、最小の前記第2伝送周波数帯域から周波数が小さい順の前記第2伝送周波数帯域と対応付けられる、請求項1又は請求項2に記載のダウンコンバータ。
【請求項4】
前記第1周波数変換部がダウンコンバートする前記第1放送信号の数は、前記第1ディップスイッチが有するスイッチの数よりも少ない、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のダウンコンバータ。
【請求項5】
前記数は、12個又は8個である、請求項4に記載のダウンコンバータ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のダウンコンバータから伝送信号を受信し、該伝送信号に含まれるCATV帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号にアップコンバートするアップコンバータであって、
前記第2放送信号からアップコンバートされる前記第1放送信号が設定される第2ディップスイッチと、
前記第2放送号を前記第1放送信号にアップコンバートする第2周波数変換部と、
前記第2ディップスイッチでの設定に基づいて前記第2周波数変換部を制御する第2制御回路と、
を備え、
前記第2ディップスイッチにてアップコンバートされることが設定された前記第1放送信号の第1伝送周波数帯域は、予め定められた対応関係で前記第2放送信号の第2伝送周波数帯域と対応付けられ、
前記第2周波数変換部は、該対応関係に基づいて前記第2放送信号を前記第1放送信号にアップコンバートする、アップコンバータ。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のダウンコンバータと、
請求項6に記載のアップコンバータと、
を備える、受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダウンコンバータ、アップコンバータ、及び受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル、マンションなどの建物内に敷設される受信システムでは、共同の衛星放送アンテナで受信したBS、CSなどの衛星放送波が中間周波数信号に変換され、混合及び分配されて、各々の住戸のTVチューナーに伝送される(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−200875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2018年より4K或いは8Kの超高精細映像が提供可能な左旋円偏波の衛星放送波の実用放送が開始されている。左旋円偏波の衛星放送波の受信には、左旋円偏波の衛星放送波専用の受信アンテナ又は右左旋円偏波の衛星放送波対応の受信アンテナが必要であるが、それのみならず、受信システムの改修も必要とされる場合がある。たとえば、左旋円偏波の衛星放送波対応の受信アンテナから出力される中間周波数信号の伝送周波数帯域(2224〜2643[MHz]及び2748〜3224[MHz])は、周波数が高いために伝送可能距離が短い。そのため、中間周波数信号の分配器と各々の住戸のTVチューナーとの間に信号増幅用のブースターを複数設ける必要が生じる可能性が高い。
【0005】
また、左旋円偏波の衛星放送波の一部の物理チャンネルを任意に選択するとともに、各々の物理チャンネルの中間周波数信号をより低い伝送周波数帯域にダウンコンバートして分配及び伝送し、各々の住戸にてアップコンバートしてTVチューナーに供給することも考えられる。但し、この場合、アップコンバートする際に、どの物理チャンネルの中間周波数信号がどの伝送周波数帯域にダウンコンバートされたのかを知っている必要がある。そのため、従来では、分配器よりも前段に設けたダウンコンバータが、各々の住戸に設置される分配先のアップコンバータと通信し、選択された物理チャンネルと該物理チャンネルをダウンコンバートした伝送周波数帯域とをアップコンバータに通知する必要があった。従って、通信用のケーブルの増設など、受信システムの大幅な改修が必要となる可能性が高かった。
【0006】
本発明は、上記の状況を鑑みて、受信システムの大幅な改修を要することなく、左旋円偏波の衛星放送波の任意に選択した物理チャンネルの放送を視聴可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるダウンコンバータは、左旋円偏波の衛星放送波の受信信号に含まれる第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートするか否かが前記第1放送信号毎に設定される第1ディップスイッチと、前記受信信号から前記第1放送信号を抽出して前記第2放送信号にダウンコンバートする第1周波数変換部と、前記第1ディップスイッチでの設定に基づいて前記第1周波数変換部を制御する第1制御回路と、を備え、前記第1周波数変換部は、前記第1ディップスイッチにてダウンコンバートすると設定された前記第1放送信号を、該第1放送信号の第1伝送周波数帯域と予め定められた対応関係で対応付けられた第2伝送周波数帯域の前記第2放送信号にダウンコンバートする構成(第1の構成)とされる。
【0008】
上記第1の構成のダウンコンバータにおいて、前記衛星放送波は、左旋円偏波のBS放送波と、左旋円偏波のCS放送波と、を含む構成(第2の構成)とされてもよい。
【0009】
上記第1又は第2の構成のダウンコンバータにおいて、前記第1ディップスイッチにてダウンコンバートすると設定された前記第1放送信号の前記第1伝送周波数帯域はそれぞれ最小の前記第1伝送周波数帯域から周波数が小さい順に、最小の前記第2伝送周波数帯域から周波数が小さい順の前記第2伝送周波数帯域と対応付けられる構成(第3の構成)とされてもよい。
【0010】
上記第1〜第3のいずれかの構成のダウンコンバータにおいて、前記第1周波数変換部がダウンコンバートする前記第1放送信号の数は、前記第1ディップスイッチが有するスイッチの数よりも少ない構成(第4の構成)とされてもよい。
【0011】
上記第4の構成のダウンコンバータにおいて、前記数は、12個又は8個である構成(第5の構成)とされてもよい。
【0012】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるアップコンバータは、上記第1〜第5のいずれかの構成に記載のダウンコンバータから伝送信号を受信し、該伝送信号に含まれるCATV帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号にアップコンバートするアップコンバータであって、前記第2放送信号からアップコンバートされる前記第1放送信号が設定される第2ディップスイッチと、前記第2放送号を前記第1放送信号にアップコンバートする第2周波数変換部と、前記第2ディップスイッチでの設定に基づいて前記第2周波数変換部を制御する第2制御回路と、を備え、前記第2ディップスイッチにてアップコンバートされることが設定された前記第1放送信号の第1伝送周波数帯域は、予め定められた対応関係で前記第2放送信号の第2伝送周波数帯域と対応付けられ、前記第2周波数変換部は、該対応関係に基づいて前記第2放送信号を前記第1放送信号にアップコンバートする構成(第6の構成)とされる。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による受信システムは、上記第1〜第5のうちのいずれかの構成のコンバータと、上記第6の構成の受信装置と、を備える構成(第7の構成)とされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、受信システムの大幅な改修を要することなく、左旋円偏波の衛星放送波の任意に選択した物理チャンネルの放送を視聴可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】受信システムの構成例を示す概念図である。
図2】受信システムにおける衛星放送波の伝送例を説明するための図である。
図3】ダウンコンバータの構成例を示すブロック図である。
図4】左旋周波数変換部の構成例を示すブロック図である。
図5】アップコンバータの構成例を示すブロック図である。
図6】CATV周波数変換部の構成例を示すブロック図である。
図7】受信システムにおける衛星放送波の伝送の第1変形例を説明するための図である。
図8】受信システムにおける衛星放送波の伝送の第2変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
<1.実施形態>
<1−1.受信システム>
受信システム100は、たとえばビル、マンションなどの建物内に敷設される。図1は、受信システム100の構成例を示す概念図である。図2は、受信システム100における衛星放送波の伝送例を説明するための図である。
【0018】
受信システム100には、図1に示すように、衛星放送受信アンテナ201及び地上放送受信アンテナ202が接続される。
【0019】
衛星放送受信アンテナ201は、衛星放送波を受信し、中間周波数信号(以下、IF信号と呼ぶ。)に変換して出力する。つまり、このIF信号が、衛星放送受信アンテナ201が出力する受信信号である。なお、衛星放送波は、BS(broadcasting satellite)放送波と、CS(communications satellite)放送波と、を含む。また、BS放送波及びCS放送波はそれぞれ、右旋円偏波の放送波と、左旋円偏波の放送波と、を含む。以下では、右旋円偏波のBS放送波をBS右旋放送波と呼び、右旋円偏波のCS放送波をCS右旋放送波と呼ぶ。また、左旋円偏波のBS放送波をBS左旋放送波と呼び、左旋円偏波のCS放送波をCS左旋放送波と呼ぶ。
【0020】
BS右旋放送波は、12個の物理チャンネルBS1ch〜23chを有する。また、図2に示すように、BS左旋放送波は、12個の物理チャンネルBS2ch〜24chを有する。BS右旋放送波及びBS左旋放送波が有する各々の物理チャンネルの中心周波数間隔は38.36[MHz]であり、各々の物理チャンネルの占有周波数幅は34.5[MHz]である。本実施形態では、BS右旋放送波は、衛星放送受信アンテナ201にて周波数帯域が1032〜1489[MHz]のIF信号に変換されて出力される。また、BS左旋放送波は、衛星放送受信アンテナ201にて周波数帯域が2224〜2681[MHz]のIF信号に変換されて出力される。
【0021】
CS右旋放送波は、12個の物理チャンネルCS2ch〜24chを有する。なお、図2では、CS右旋放送波の物理チャンネルの図示は省略されている。また、図2に示すように、CS左旋放送波は、13個の物理チャンネルCS1ch〜25chを有する。CS右旋放送波及びCS左旋放送波が有する各々の物理チャンネルの中心周波数間隔は40[MHz]であり、各々の物理チャンネルの占有周波数幅は34.5[MHz]である。本実施形態では、CS右旋放送波は、衛星放送受信アンテナ201にて周波数帯域が1595〜2071[MHz]のIF信号に変換されて出力される。また、CS左旋放送波は、衛星放送受信アンテナ201にて周波数帯域が2748〜3224[MHz]のIF信号に変換されて出力される。
【0022】
これらのIF信号は、衛星放送受信アンテナ201から出力される受信信号に含まれている。
【0023】
衛星放送受信アンテナ201は、本実施形態では、右旋円偏波の衛星放送波と左旋円偏波の衛星放送波との両方を受信可能である。但し、この例示には限定されず、衛星放送受信アンテナ201に変えて、右旋円偏波の衛星放送波専用の受信アンテナと左旋円偏波の衛星放送波専用の受信アンテナとが、受信システム100にそれぞれ接続されてもよい。
【0024】
地上放送受信アンテナ202は、地上デジタル放送波を受信して出力する。
【0025】
受信システム100は、衛星放送受信アンテナ201から出力される衛星放送波の放送信号と地上放送受信アンテナ202から出力される地上デジタル放送波の受信信号とを含む伝送信号を生成する。この際、衛星放送波の放送信号のうち、BS左旋放送波及びCS左旋放送波の一部の物理チャンネルの第1放送信号は、伝送周波数帯域が118〜424[MHz]及び769〜923[MHz]であるCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートされる。受信システム100は、生成した伝送信号を分配して、各々の住戸に供給する。
【0026】
受信システム100は、ダウンコンバータ1と、ブースター101と、分配器102と、複数のアップコンバートシステム300と、を備える。
【0027】
ダウンコンバータ1には、衛星放送受信アンテナ201及び地上放送受信アンテナ202が接続され、衛星放送波の受信信号と地上デジタル放送波の受信信号とが入力される。ダウンコンバータ1は、衛星放送波の放送信号と地上デジタル放送波の受信信号とを混合した伝送信号をブースター101に出力する。この際、ダウンコンバータ1は、衛星放送波の受信信号から左旋円偏波の衛星放送波(BS左旋放送波及びCS左旋放送波)を抽出し、左旋円偏波の衛星放送波に含まれる一部の第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートしてブースター101に出力する。なお、ダウンコンバータ1の構成は後に説明する。
【0028】
ブースター101は、ダウンコンバータ1から入力される伝送信号を増幅して、分配器102に出力する。
【0029】
分配器102は、ブースター101から入力される伝送信号を分配して、各々の住戸に設置されたアップコンバートシステム300に供給する。
【0030】
次に、各々の住戸において、アップコンバートシステム300は、チューナー401を介して、TV受像機402に接続される。アップコンバートシステム300は、ブースター301と、アップコンバータ2と、を備える。つまり、受信システム100はブースター301及びアップコンバータ2をさらに備える。
【0031】
ブースター301は、分配器102から供給される伝送信号を増幅し、アップコンバータ2に出力する。なお、少なくとも一部のアップコンバートシステム300において、ブースター301は省略されてもよく、分配器102から供給される伝送信号がアップコンバータ2に供給されてもよい。
【0032】
アップコンバータ2は、分配器102及びブースター301を介してダウンコンバータ1から伝送信号を受信する。アップコンバータ2は、該伝送信号から衛星放送波と地上デジタル放送波とを抽出するとともに、両者を分波してチューナー401に出力する。この際、アップコンバータ2は、ダウンコンバータ1から受信する伝送信号に含まれるCATV帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波の元の第1放送信号にアップコンバートする。なお、アップコンバータ2の構成は後に説明する。
【0033】
チューナー401は、アップコンバータ2から入力される衛星放送波及び地上デジタル放送波の放送信号を選局する。TV受像機402は、チューナー401で選局された衛星放送波又は地上デジタル放送波の放送信号に基づく映像及び音声の出力を行う。少なくとも一部の住戸において、チューナー401及びTV受像機402はそれぞれ、4K又は8Kの衛星放送波の受信及び出力に対応している。また、少なくとも一部の住戸において、チューナー401は、TV受像機402に内蔵されていてもよい。
【0034】
<1−2.ダウンコンバータ>
次に、図1図3を参照して、ダウンコンバータ1の構成例を説明する。図3は、ダウンコンバータ1の構成例を示すブロック図である。
【0035】
ダウンコンバータ1は、図3に示すように、衛星放送入力部111と、地上放送入力端子112と、ディップスイッチ13と、制御回路14と、左旋周波数変換部15と、右旋抽出部16と、伝送波合成部17と、出力端子18と、を備える。なお、ディップスイッチ13、制御回路14、及び左旋周波数変換部15はそれぞれ、本発明の「第1ディップスイッチ」、「第1制御回路」、及び「第1周波数変換部」の一例である。
【0036】
衛星放送入力部111は、衛星放送受信アンテナ201が接続される衛星放送入力端子(図示省略)を有する。衛星放送入力部111は、衛星放送受信アンテナ201から出力される衛星放送波の受信信号を分配して、左旋周波数変換部15及び右旋抽出部16に出力する。
【0037】
地上放送入力端子112には、地上放送受信アンテナ202が接続され、地上放送受信アンテナ202から出力される地上デジタル放送波の受信信号が入力される。地上デジタル放送波の受信信号は、地上放送入力端子112から伝送波合成部17に出力される。
【0038】
ディップスイッチ13では、左旋円偏波の衛星放送波の受信信号に含まれる第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートするか否かが、該第1放送信号毎に設定される。ディップスイッチ13は、スイッチSW1〜SW25を有する。なお、以下では、スイッチSW1〜SW25を「スイッチSW」と総称することがある。スイッチSW1〜SW25の数は、BS左旋放送波の物理チャンネル(2ch〜24ch)の数(12個)と、CS左旋放送波の物理チャンネル(1ch〜25ch)の数(13個)との総和と同じである。ディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された第1放送信号の物理チャンネルは、本発明の「第1伝送周波数帯域」の一例である。
【0039】
スイッチSW1〜SW12はそれぞれ、BS左旋放送波の各々の物理チャンネル(2ch〜24ch)に対応し、対応する物理チャンネルのBS左旋放送波の第1放送信号をダウンコンバートするか否かを設定できる。たとえば、スイッチSW1がON側に設定されると、BS左旋放送波の2chの第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートすると設定される。一方、スイッチSW1がOFF側に設定されると、BS左旋放送波の2chの第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートしないと設定される。後者の場合、BS左旋放送波の2chの第1放送信号は、ダウンコンバータ1が出力する伝送信号に含まれないため、伝送されない。なお、スイッチSW2〜SW12でのON/OFFと、BS左旋放送波の対応する物理チャンネルの第1放送信号をダウンコンバートするか否かとの関係はそれぞれ、スイッチSW1での関係と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
スイッチSW13〜SW25はそれぞれ、CS左旋放送波の各々の物理チャンネル(1ch〜25ch)に対応し、対応する物理チャンネルのCS左旋放送波の第1放送信号をダウンコンバートするか否かを設定できる。たとえば、スイッチSW13がON側に設定されると、CS左旋放送波の1chの第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートすると設定される。一方、スイッチSW13がOFF側に設定されると、CS左旋放送波の1chの第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートしないと設定される。後者の場合、CS左旋放送波の1chの第1放送信号は、伝送信号に含まれないため、伝送されない。なお、スイッチSW14〜SW25でのON/OFFと、CS左旋放送波の対応する物理チャンネルの第1放送信号をダウンコンバートするか否かとの関係はそれぞれ、スイッチSW13での関係と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
ここで、衛星放送波の各々の物理チャンネルの占有周波数幅は、前述のごとく、34.5[MHz]である。そのため、図2に示すように、最大で12個の左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートできる。たとえば、CATV帯域のうちの低域118〜424[MHz]では、ダウンコンバートした第2放送信号が、最大8個の伝送周波数帯域Z1〜Z8で伝送可能である。また、CATV帯域のうちの高域769〜923[MHz]では、ダウンコンバートした第2放送信号が、最大4個の伝送周波数帯域Z9〜Z12で伝送可能である。なお、これらの伝送周波数帯域Z1〜Z12は、本発明の「第2伝送周波数帯域」の一例である。
【0042】
従って、ディップスイッチ13にて、ON側に設定されるスイッチSWの数は、好ましくは12個以下である。こうすれば、ON側に設定されたスイッチSWに対応する全ての物理チャンネルの第1放送信号をダウンコンバートしてCATV帯域で伝送できる。
【0043】
また、より好ましくは、ON側に設定されるスイッチSWの数は、8個以下である。こうすれば、ON側に設定されたスイッチSWに対応する全ての物理チャンネルの第1放送信号をダウンコンバートしてCATV帯域のうちの低域118〜424[MHz]で伝送できる。ダウンコンバータ1よりも後段に設置されるブースター101,301などの機器は、機種によっては、低域118〜424[MHz]以外のCATV帯域の信号に対応していないことがある。ブースター101,301がこのような仕様の機種であっても、CATV帯域の低域にダウンコンバートした放送信号を101,ブースター301で確実に増幅できる。
【0044】
制御回路14は、ディップスイッチ13での設定に基づいて左旋周波数変換部15を制御する。また、制御回路14は、ディップスイッチ13にてON側に設定されたスイッチSWの数がその許容最大値(たとえば12個)よりも大きい場合、許容最大値と同数のスイッチSWでの設定を有効とし、他の設定を無効とする。たとえば本実施形態では、この場合、制御回路14は、ON側に設定されたスイッチSWのうちからスイッチ番号の小さい順に、許容最大値と同数のスイッチSWを選択して有効とする。なお、有効とされるスイッチSWの選択方法は、この例示に限定されない。たとえば、ON側に設定されたスイッチSWの数がその許容最大値より大きい場合、制御回路14は、スイッチ番号の大きい順に、許容最大値と同数のスイッチSWを選択して有効としてもよい。
【0045】
左旋周波数変換部15は、制御回路14から出力される制御信号Sc1に基づいて、衛星放送入力部111から出力される衛星放送波の受信信号からダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号を抽出する。さらに、左旋周波数変換部15は、ディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された第1放送信号を、該第1放送信号の物理チャンネルと予め定められた対応関係で対応付けられたCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートする。なお、上述の予め定められた対応関係は、原則的には、アップコンバータ2でも用いられる。
【0046】
左旋周波数変換部15がダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の数は、ディップスイッチ13が有するスイッチSW1〜SW25の数よりも少ない。こうすれば、ダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号を全て、ディップスイッチ13で設定できる。
【0047】
また、左旋周波数変換部15がダウンコンバートする第1放送信号の数は12個にできる。こうすれば、伝送周波数帯域が118〜424[MHz]及び769〜923[MHz]であるCATV帯域の全域を使って、左旋円偏波の衛星放送波のダウンコンバートした放送信号を全て伝送できる。
【0048】
又は、左旋周波数変換部15がダウンコンバートする第1放送信号の数は、図2に示すように8個にできる。こうすれば、CATV帯域のうちの低域118〜424[MHz]を使って、左旋円偏波の衛星放送波のダウンコンバートした放送信号を全て伝送できる。そのため、ダウンコンバータ1の後段に設置されるブースター101,301などの機器が、低域118〜424[MHz]以外のCATV帯域の信号に対応しない仕様であっても、CATV帯域にダウンコンバートした放送信号に増幅などの処理を確実に実施できる。
【0049】
左旋周波数変換部15は、ダウンコンバートした第2放送信号を合成して伝送波合成部17に出力する。なお、左旋周波数変換部15の構成及びダウンコンバート処理の実施例は、後に説明する。
【0050】
右旋抽出部16は、衛星放送入力部111から入力される信号から右旋円偏波の衛星放送波の受信信号を抽出し、該放送信号を伝送波合成部17に出力する。たとえば、右旋抽出部16は、BS右旋放送波用のバンドパスフィルタ(図示省略)と、CS右旋放送波用のバンドパスフィルタ(図示省略)と、混合器(図示省略)と、を有する。BS右旋放送波用のバンドパスフィルタは、伝送周波数帯域が1032〜1489[MHz]であるBS右旋放送波の放送信号を抽出する。バンドパスフィルタは、CS右旋放送波の伝送周波数帯域が1595〜2071[MHz]であるCS右旋放送波用の放送信号を抽出する。混合器は、上述の2つのバンドパスフィルタから出力される放送信号を右旋円偏波の衛星放送波の受信信号として合成する。
【0051】
伝送波合成部17は、左旋周波数変換部15から出力されるCATV帯域の第2放送信号と、右旋抽出部16から出力される右旋円偏波の衛星放送波の受信信号と、地上放送入力端子112から出力される地上デジタル放送波の受信信号とを合成して伝送信号を生成し、出力端子18に出力する。
【0052】
出力端子18は、ブースター101と接続され、伝送波合成部17から出力される伝送信号をブースター101に出力する。
【0053】
上述のダウンコンバータ1では、ダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号が、ディップスイッチ13により設定される。さらに、予め定められた対応関係により、ダウンコンバートすると設定された第1放送信号をCATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号にダウンコンバートするのかが決定される。従って、受信システム100のダウンコンバータ1側とアップコンバータ2側とで予め定められた対応関係の情報を共有して用いることにより、ダウンコンバータ1は、左旋円偏波の衛星放送波のどの物理チャンネルの第1放送信号をCATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号にダウンコンバートしたかをアップコンバータ2に通知する必要がない。従って、たとえば該通知を行うためのケーブルを受信システム100に新設する必要がない。よって、受信システム100の大幅な改修を要することなく、各々の住戸にて、左旋円偏波の衛星放送波の任意に選択した物理チャンネルの放送を視聴可能にすることができる。
【0054】
さらに、左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号をダウンコンバートして、各々のアップコンバートシステム300に分配するため、分配する信号の伝送可能距離がより長くなる。従って、分配器102とアップコンバータ2との間に複数のブースターの設置の必要性を迫られることなく、アップコンバートシステム300で左旋円偏波の衛星放送波を視聴できる。
【0055】
<1−2−1.左旋周波数変換部>
次に、図2図4を参照して、ダウンコンバータ1の左旋周波数変換部15の構成例を説明する。図4は、左旋周波数変換部15の構成例を示すブロック図である。
【0056】
左旋周波数変換部15は、本実施形態ではデジタル信号処理LSI(large-scale integrated circuit)である。左旋周波数変換部15は、制御回路14から出力される制御信号Sc1と上述の予め定められた対応関係とに基づいて、ディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートする。
【0057】
左旋周波数変換部15は、図4に示すように、A/Dコンバータ151と、抽出部152と、変換部153と、合成部154と、D/Aコンバータ155と、決定部156と、を有する。本実施形態では、これらの構成要素151〜156はいずれも、デジタル信号処理LSIの機能的な構成要素である。
【0058】
決定部156は、制御回路14から出力される制御信号Sc1に基づいて、ダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の物理チャンネルを決定する。さらに、決定部156は、予め定められた対応関係に基づいて、該物理チャンネルの第1放送信号をCATV帯域のどの伝送周波数帯域にダウンコンバートするかを決定する。
【0059】
A/Dコンバータ151は、衛星放送入力部111から入力されるアナログ信号をデジタルの伝送信号に変換し、抽出部152に出力する。抽出部152は、決定部156にて決定された物理チャンネルの第1放送信号をA/Dコンバータ151が出力するデジタルの伝送信号からそれぞれ抽出して変換部153に出力する。変換部153は、抽出部152にて抽出された第1放送信号を、決定部156にて決定された伝送周波数帯域の第2放送信号にそれぞれダウンコンバートする。合成部154は、変換部153にてダウンコンバートされた各々の第2放送信号をCATV帯域の伝送信号に合成し、D/Aコンバータ155に出力する。D/Aコンバータ155は、合成部154から出力されるデジタルの伝送信号をアナログの伝送信号に変換し、伝送波合成部17に出力する。
【0060】
<1−2−2.ダウンコンバート処理>
次に、図2図4を参照して、ダウンコンバータ1におけるダウンコンバート処理の実施例を説明する。
【0061】
なお、本実施形態では、予め定められた対応関係にて、ディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の物理チャンネルはそれぞれ最小の物理チャンネルから周波数が小さい順に、CATV帯域での最小の伝送周波数帯域Z1から周波数が小さい順の伝送周波数帯域Z1〜Z12と対応付けられる。そのため、たとえばディップスイッチ13においてスイッチSW1〜SW25のON/OFFが図3に示すように設定された場合、BS左旋放送波の8ch、12ch、14chの第1放送信号がそれぞれ、CATV帯域における伝送周波数帯域Z1〜Z3の第2放送信号と順に対応付けられる。さらに、CS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chの第1放送信号がそれぞれ、CATV帯域における伝送周波数帯域Z4〜Z8の第2放送信号と順に対応付けられる。
【0062】
BS左旋放送波及びCS左旋放送波のダウンコンバート処理において、BS左旋放送波の8chの放送信号は、伝送周波数帯域Z1の伝送信号に周波数変換される。なお、BS左旋放送波の8chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が最も小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z1は、CATV帯域において周波数が最も小さい伝送周波数帯域である。
【0063】
また、BS左旋放送波の12chの放送信号は、伝送周波数帯域Z2の伝送信号に周波数変換される。なお、BS左旋放送波の12chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が2番目に小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z2は、CATV帯域において周波数が2番目に小さい伝送周波数帯域である。
【0064】
また、BS左旋放送波の14chの放送信号は、伝送周波数帯域Z3の伝送信号に周波数変換される。なお、BS左旋放送波の14chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が3番目に小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z3は、CATV帯域において周波数が3番目に小さい伝送周波数帯域である。
【0065】
さらに、CS左旋放送波の9chの放送信号は、伝送周波数帯域Z4の伝送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の9chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が4番目に小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z4は、CATV帯域において周波数が4番目に小さい伝送周波数帯域である。
【0066】
また、CS左旋放送波の11chの放送信号は、伝送周波数帯域Z5の伝送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の11chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が5番目に小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z5は、CATV帯域において周波数が5番目に小さい伝送周波数帯域である。
【0067】
また、CS左旋放送波の19chの放送信号は、伝送周波数帯域Z6の伝送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の19chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が6番目に小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z6は、CATV帯域において周波数が6番目に小さい伝送周波数帯域である。
【0068】
また、CS左旋放送波の21chの放送信号は、伝送周波数帯域Z7の伝送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の21chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が7番目に小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z7は、CATV帯域において周波数が7番目に小さい伝送周波数帯域である。
【0069】
また、CS左旋放送波の23chの放送信号は、伝送周波数帯域Z8の伝送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の23chの放送信号は、図3に示すディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が8番目に小さい放送信号である。伝送周波数帯域Z8は、CATV帯域において周波数が8番目に小さい伝送周波数帯域である。
【0070】
伝送周波数帯域Z1〜Z8にダウンコンバートされたCATV帯域の第2放送信号は、右旋円偏波の衛星放送波の放送信号及び地上デジタル放送波の放送信号とともに伝送信号として合成される。
【0071】
<1−3.アップコンバータ>
次に、図1図2及び図5を参照して、アップコンバータ2の構成例を説明する。図5は、アップコンバータ2の構成例を示すブロック図である。
【0072】
アップコンバータ2は、図5に示すように、入力端子21と、分波器22と、ディップスイッチ23と、制御回路24と、CATV周波数変換部25と、BS/CS合成部27と、衛星放送出力端子281と、地上放送出力端子282と、を有する。なお、ディップスイッチ23、制御回路24、及びCATV周波数変換部25はそれぞれ、本発明の「第2ディップスイッチ」、「第2制御回路」、及び「第2周波数変換部」の一例である。
【0073】
入力端子21は、ブースター301と接続されている。入力端子21には、ダウンコンバータ1から出力されて分配器102にて分配された伝送信号がブースター301を介して入力される。該伝送信号は、分波器22に出力される。
【0074】
分波器22は、入力端子21から入力される伝送信号を、CATV帯域の第2放送信号と、右旋円偏波の衛星放送波の受信信号と、地上デジタル放送波の受信信号と、に分波する。CATV帯域の第2放送信号は、CATV周波数変換部25に出力される。右旋円偏波の衛星放送波の受信信号は、BS/CS合成部27に出力される。地上デジタル放送波の放送信号は、地上放送出力端子282に出力される。
【0075】
ディップスイッチ23では、CATV帯域の第2放送信号からアップコンバートされる左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号が設定される。ディップスイッチ23は、スイッチSWa1〜SWa25を有する。なお、以下では、スイッチSW1a〜SWa25を「スイッチSWa」と総称することがある。スイッチSWa1〜SWa25の数は、BS左旋放送波及びCS左旋放送波の物理チャンネルの総数と同じ25個であり、ダウンコンバータ1のディップスイッチ13が有するスイッチSW1〜SW25の数と同じである。
【0076】
スイッチSWa1〜SWa12はそれぞれ、BS左旋放送波の各々の物理チャンネル(2ch〜24ch)に対応し、対応する物理チャンネルの第1放送信号にCATV帯域の第2放送信号をアップコンバートするか否かを設定できる。たとえば、スイッチSWa1がON側に設定されると、CATV帯域の第2放送信号をBS左旋放送波の2chにアップコンバートすると設定される。一方、スイッチSWa1がOFF側に設定されると、BS左旋放送波の2chにはアップコンバートしないと設定される。なお、スイッチSWa2〜SWa12でのON/OFFと、BS左旋放送波の対応する物理チャンネルの第1放送信号にアップコンバートするか否かとの関係はそれぞれ、スイッチSWa1での関係と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
スイッチSWa13〜SWa25はそれぞれ、CS左旋放送波の各々の物理チャンネル(1ch〜25ch)に対応し、対応する物理チャンネルの第1放送信号にCATV帯域の第2放送信号をアップコンバートするか否かを設定できる。たとえば、スイッチSWa13がON側に設定されると、CATV帯域の第2放送信号をCS左旋放送波の13chにアップコンバートすると設定される。一方、スイッチSWa13がOFF側に設定されると、CS左旋放送波の13chにはアップコンバートしないと設定される。なお、スイッチSWa14〜SWa25でのON/OFFと、CS左旋放送波の対応する物理チャンネルの第1放送信号にアップコンバートするか否かとの関係はそれぞれ、スイッチSWa13での関係と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
スイッチSWa1〜SWa25でのON/OFF設定は、原則的には、ダウンコンバータ1内のディップスイッチ13のスイッチSW1〜SW25でのON/OFF設定と同じとされる。また、ディップスイッチ13にて、ON側に設定されるスイッチSWの数は、好ましくは12個以下であり、より好ましくは8個以下である。
【0079】
制御回路24は、ディップスイッチ23での設定に基づいてCATV周波数変換部25を制御する。また、制御回路24は、ディップスイッチ23にてONに設定されたスイッチSWaの数がその許容最大値(たとえば12個)よりも大きい場合、スイッチSWa1〜SWa25のうちの許容最大値と同数のスイッチSWaでの設定を有効とし、他の設定を無効とする。なお、この場合に有効とされるスイッチSWaの選択方法は、制御回路14でのスイッチSWの選択方法と同じである。
【0080】
CATV周波数変換部25は、分波器22の出力信号からCATV帯域の第2放送信号を抽出する。また、ディップスイッチ23にてアップコンバートされることが設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の物理チャンネルは、予め定められた対応関係でCATV帯域の伝送周波数帯域と対応付けられている。CATV周波数変換部25は、制御回路24から出力される制御信号Sc2と該対応関係とに基づいてCATV帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号にアップコンバートする。なお、アップコンバータ2で用いられる予め定められた対応関係は、原則的には、ダウンコンバータ1で用いられるものと同一である。さらに、CATV周波数変換部25は、アップコンバートされた第1放送信号を合成してBS/CS合成部27に出力する。なお、CATV周波数変換部25の構成及びアップコンバート処理の実施例は後に説明する。
【0081】
BS/CS合成部27は、CATV周波数変換部25から出力される左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号と、分波器22から出力される右旋円偏波の衛星放送波の受信信号とを合成した衛星放送信号を生成し、衛星放送出力端子281に出力する。
【0082】
衛星放送出力端子281及び地上放送出力端子282は、チューナー401と接続される。衛星放送出力端子281は、BS/CS合成部27から入力される衛星放送信号をチューナー401に出力する。地上放送出力端子282は、分波器22から入力される地上デジタル放送波の受信信号をチューナー401に出力する。
【0083】
上述のアップコンバータ2によれば、CATV帯域の第2放送信号が左旋円偏波の衛星放送波のどの物理チャンネルの第1放送信号にアップコンバートされるのかが、ディップスイッチ23により設定される。さらに、予め定められた対応関係により、CATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波のどの物理チャンネルにアップコンバートするのかが決定される。従って、受信システム100のダウンコンバータ1側とアップコンバータ2側とで予め定められた対応関係の情報を共有して用いることにより、アップコンバータ2は、CATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波のどの物理チャンネルの第1放送信号にアップコンバートするかの通知をダウンコンバータ1から受信する必要がない。従って、たとえば該通知を行うためのケーブルを受信システム100に新設する必要がないので、受信システム100の大幅な改修を要することなく、各々の住戸にて、左旋円偏波の衛星放送波の任意に選択した物理チャンネルの放送を視聴可能にすることができる。
【0084】
<1−3−1.CATV周波数変換部>
次に、図2及び図5図6を参照して、アップコンバータ2のCATV周波数変換部25の構成例を説明する。図6は、CATV周波数変換部25の構成例を示すブロック図である。
【0085】
CATV周波数変換部25は、本実施形態ではデジタル信号処理LSIである。ディップスイッチ23にてアップコンバートされることが設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の物理チャンネルは、予め定められた対応関係により、CATV帯域の第2放送信号の伝送周波数帯域Z1〜Z12と対応付けられる。CATV周波数変換部25は、該対応関係と制御回路24から出力される制御信号Sc2とに基づいて、アップコンバートされることが設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号にCATV帯域の第2放送信号をアップコンバートする。
【0086】
CATV周波数変換部25は、図6に示すように、A/Dコンバータ251と、抽出部252と、変換部253と、合成部254と、D/Aコンバータ255と、決定部256と、を有する。本実施形態では、これらの構成要素251〜256はいずれも、デジタル信号処理LSIの機能的な構成要素である。
【0087】
決定部256は、制御回路24から出力される制御信号Sc2と上述の予め定められた対応関係とに基づいて、CATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波のどの物理チャンネルの第1放送信号にアップコンバートするかを決定する。
【0088】
A/Dコンバータ251は、分波器22から入力されるアナログ信号をデジタルの伝送信号に変換し、抽出部252に出力する。抽出部252は、CATV帯域の各々の伝送周波数帯域Z1〜Z12の第2放送信号をA/Dコンバータ251が出力するデジタルの伝送信号からそれぞれ抽出して変換部253に出力する。変換部253は、抽出部252にて抽出された第2放送信号を、決定部256にて決定された物理チャンネルの第1放送信号にそれぞれアップコンバートする。合成部254は、変換部253にてアップコンバートされた各々の第1放送信号を左旋円偏波の衛星放送波の伝送信号に合成し、D/Aコンバータ255に出力する。D/Aコンバータ255は、合成部254から出力されるデジタルの伝送信号をアナログの伝送信号に変換し、BS/CS合成部27に出力する。
【0089】
<1−3−2.アップコンバート処理>
次に、図2及び図5図6を参照して、アップコンバータ2におけるアップコンバート処理の実施例を説明する。
【0090】
なお、本実施形態では、予め定められた対応関係にて、CATV帯域での最小の伝送周波数帯域Z1から周波数が小さい順の伝送周波数帯域Z1〜Z12はそれぞれ、ディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の物理チャンネルと最小の物理チャンネルから周波数が小さい順に対応付けられる。そのため、たとえばディップスイッチ23においてスイッチSWa1〜SWa25のON/OFFが図6に示すように設定された場合、CATV帯域における伝送周波数帯域Z1〜Z3の第2放送信号がそれぞれ、BS左旋放送波の8ch、12ch、14chの第1放送信号と順に対応付けられる。さらに、CATV帯域における伝送周波数帯域Z4〜Z8の第2放送信号がそれぞれ、CS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chの第1放送信号と順に対応付けられる。
【0091】
BS左旋放送波及びCS左旋放送波のアップコンバート処理において、CATV帯域の伝送周波数帯域Z1の伝送信号は、BS左旋放送波の8chの放送信号に周波数変換される。なお、BS左旋放送波の8chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号のうち、伝送周波数帯域が最も小さい放送信号である。
【0092】
また、CATV帯域の伝送周波数帯域Z2の伝送信号は、BS左旋放送波の12chの放送信号に周波数変換される。なお、BS左旋放送波の12chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の放送信号のうち、伝送周波数帯域が2番目に小さい放送信号である。
【0093】
また、CATV帯域の伝送周波数帯域Z3の伝送信号は、BS左旋放送波の14chの放送信号に周波数変換される。なお、BS左旋放送波の14chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の放送信号のうち、伝送周波数帯域が3番目に小さい放送信号である。
【0094】
さらに、CATV帯域の伝送周波数帯域Z4の伝送信号は、CS左旋放送波の9chの放送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の9chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の放送信号のうち、伝送周波数帯域が4番目に小さい放送信号である。
【0095】
また、CATV帯域の伝送周波数帯域Z5の伝送信号は、CS左旋放送波の11chの放送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の11chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の放送信号のうち、伝送周波数帯域が5番目に小さい放送信号である。
【0096】
また、CATV帯域の伝送周波数帯域Z6の伝送信号は、CS左旋放送波の19chの放送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の19chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の放送信号のうち、伝送周波数帯域が6番目に小さい放送信号である。
【0097】
また、CATV帯域の伝送周波数帯域Z7の伝送信号は、CS左旋放送波の21chの放送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の21chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の放送信号のうち、伝送周波数帯域が7番目に小さい放送信号である。
【0098】
また、CATV帯域の伝送周波数帯域Z6の伝送信号は、CS左旋放送波の23chの放送信号に周波数変換される。なお、CS左旋放送波の23chの放送信号は、図5に示すディップスイッチ23にてアップコンバートされると設定された左旋円偏波の衛星放送波の放送信号のうち、伝送周波数帯域が8番目に小さい放送信号である。
【0099】
アップコンバートされた左旋円偏波の衛星放送波(つまり、BS左旋放送波の8ch、12ch、14ch、及びCS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23ch)の第1放送信号は、右旋円偏波の衛星放送波の受信信号とともに衛星放送信号として合成される。
【0100】
<2.変形例>
次に、ダウンコンバータ1及びアップコンバータ2における左旋円偏波の衛星放送波の物理チャンネルと、CATV帯域の伝送周波数帯域Z1〜Z12との対応関係は、上述の実施形態の例示に限定されない。以下の変形例では、実施形態と異なる構成を説明する。また、実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0101】
<2−1.第1変形例>
たとえば、ディップスイッチ13(ディップスイッチ23)にてダウンコンバート(アップコンバート)すると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の物理チャンネルはそれぞれ最小の物理チャンネルから周波数が小さい順に、CATV帯域での最大の伝送周波数帯域Z12から周波数が大きい順の伝送周波数帯域Z12〜Z1と対応付けられてもよい。図7は、受信システム100における衛星放送波の伝送の第1変形例を説明するための図である。なお、図7では、CS右旋放送波の物理チャンネルの図示は省略されている。
【0102】
第1変形例では、ディップスイッチ13、23が図3及び図5に示すように設定された場合、BS左旋放送波の8ch、12ch、14chがそれぞれ、CATV帯域の伝送周波数帯域Z12〜Z10と対応付けられる。さらに、CS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chがそれぞれ、CATV帯域の伝送周波数帯域Z9〜Z5と対応付けられる。
【0103】
そのため、BS左旋放送波及びCS左旋放送波のダウンコンバート処理において、BS左旋放送波の8ch、12ch、14chの第1放送信号とCS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chの第1放送信号とは、この順にCATV帯域の伝送周波数帯域Z12、Z11、Z10、Z9、Z8、Z7、Z6、Z5の第2放送信号にそれぞれ周波数変換される。伝送周波数帯域Z12〜Z5にダウンコンバートされたCATV帯域の第2放送信号は、右旋円偏波の衛星放送波の放送信号、及び、地上デジタル放送波の放送信号ととともに伝送信号として合成される。該伝送信号は、分配器102にて分配されて、各々のアップコンバートシステム300に伝送される。
【0104】
また、BS左旋放送波及びCS左旋放送波のアップコンバート処理において、CATV帯域の伝送周波数帯域Z12、Z11、Z10、Z9、Z8、Z7、Z6、Z5の第2放送信号は、この順にBS左旋放送波の8ch、12ch、14chの第1放送信号とCS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chの第1放送信号とにそれぞれ周波数変換される。アップコンバートされた左旋円偏波の衛星放送波(つまり、BS左旋放送波の8ch、12ch、14ch、及びCS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23ch)の第1放送信号は、右旋円偏波の衛星放送波の受信信号とともに衛星放送信号として合成される。
【0105】
<2−2.第2変形例>
或いは、ディップスイッチ13(ディップスイッチ23)にてダウンコンバート(アップコンバート)すると設定された左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の物理チャンネルはそれぞれ最小の物理チャンネルから周波数が小さい順に、CATV帯域において地上波デジタル放送波よりも周波数が小さい低域118〜424[MHz]のうちの最大の伝送周波数帯域Z8から周波数が大きい順の伝送周波数帯域Z8〜Z1と対応付けられてもよい。図8は、受信システム100における衛星放送波の伝送の第2変形例を説明するための図である。なお、図8では、CS右旋放送波の物理チャンネルの図示は省略されている。
【0106】
第2変形例では、ディップスイッチ13、23が図3及び図5に示すように設定された場合、BS左旋放送波の8ch、12ch、14chがそれぞれ、CATV帯域の伝送周波数帯域Z8〜Z6と対応付けられる。さらに、CS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chがそれぞれ、CATV帯域の伝送周波数帯域Z5〜Z1と対応付けられる。
【0107】
そのため、BS左旋放送波及びCS左旋放送波のダウンコンバート処理において、BS左旋放送波の8ch、12ch、14chの第1放送信号とCS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chの第1放送信号とは、この順にCATV帯域の伝送周波数帯域Z8、Z7、Z6、Z5、Z4、Z3、Z2、Z1の第2放送信号にそれぞれ周波数変換される。伝送周波数帯域Z8〜Z1にダウンコンバートされたCATV帯域の第2放送信号は、右旋円偏波の衛星放送波の放送信号、及び、地上デジタル放送波の放送信号とともに伝送信号として合成される。該伝送信号は、分配器102にて分配されて、各々のアップコンバートシステム300に伝送される。
【0108】
また、BS左旋放送波及びCS左旋放送波のアップコンバート処理において、CATV帯域の伝送周波数帯域Z8、Z7、Z6、Z5、Z4、Z3、Z2、Z1の第2放送信号は、この順にBS左旋放送波の8ch、12ch、14chの第1放送信号とCS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23chの第1放送信号とにそれぞれ周波数変換される。アップコンバートされた左旋円偏波の衛星放送波(つまり、BS左旋放送波の8ch、12ch、14ch、及びCS左旋放送波の9ch、11ch、19ch、21ch、23ch)の第1放送信号は、右旋円偏波の衛星放送波の受信信号とともに衛星放送信号として合成される。
【0109】
<2−3.その他の変形>
たとえば、上述の実施形態、第1及び第2変形例では、左旋周波数変換部15及びCATV周波数変換部25はデジタル信号処理LSIであり、A/Dコンバータ151,251、抽出部152,252、変換部153,253、合成部154,254、D/Aコンバータ155,255、及び決定部156、256はいずれもデジタル信号処理LSIの機能的な構成要素であった。但し、これらの例示に限定されず、A/Dコンバータ151,251、抽出部152,252、変換部153,253、合成部154,254、D/Aコンバータ155,255、及び決定部156、256の一部又は全部は、電気回路,素子,装置などの物理的な構成要素で実現されていてもよい。
【0110】
さらに、上述の実施形態、第1及び第2変形例では、左旋周波数変換部15及びCATV周波数変換部25はどちらもデジタル処理を行う構成要素であった。但し、この例示に限定されず、左旋周波数変換部15及びCATV周波数変換部25のうちの一方又は両方は、アナログ処理を行う構成要素であってもよい。なお、左旋周波数変換部15がアナログ処理を行う構成要素とされる場合、A/Dコンバータ151及びD/Aコンバータ155は省略できる。また、CATV周波数変換部25がアナログ処理を行う構成要素とされる場合、A/Dコンバータ251及びD/Aコンバータ255は省略できる。
【0111】
<4.まとめ>
以上に説明したダウンコンバータ1は、左旋円偏波の衛星放送波の受信信号に含まれる第1放送信号をCATV帯域の第2放送信号にダウンコンバートするか否かが第1放送信号毎に設定されるディップスイッチ13と、受信信号から第1放送信号を抽出して第2放送信号にダウンコンバートする左旋周波数変換部15と、ディップスイッチ13での設定に基づいて左旋周波数変換部15を制御する制御回路14と、を備え、左旋周波数変換部15は、ディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された第1放送信号を、該第1放送信号の物理チャンネル(第1伝送周波数帯域)と予め定められた対応関係で対応付けられた第2伝送周波数帯域の第2放送信号にダウンコンバートする構成(第1の構成)とされる。
【0112】
上記第1の構成によれば、ダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号が、ディップスイッチ13により設定される。さらに、予め定められた対応関係により、ダウンコンバートすると設定された第1放送信号をCATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号にダウンコンバートするのかが決定される。従って、受信システム100のダウンコンバータ1側とアップコンバータ2側とで予め定められた対応関係の情報を共有して用いることにより、ダウンコンバータ1は、左旋円偏波の衛星放送波のどの物理チャンネルの第1放送信号をCATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号にダウンコンバートするかをアップコンバータ2に通知する必要がない。従って、たとえば該通知を行うためのケーブルを受信システム100に新設する必要がない。よって、受信システム100の大幅な改修を要することなく、各々の住戸にて、左旋円偏波の衛星放送波の任意に選択した物理チャンネルの放送を視聴可能にすることができる。
【0113】
さらに、左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号をダウンコンバートして、各々のアップコンバートシステム300に分配するため、分配する信号の伝送可能距離がより長くなる。従って、分配器102とアップコンバータ2との間に複数のブースターの設置の必要性を迫られることなく、アップコンバートシステム300で左旋円偏波の衛星放送波を視聴できる。
【0114】
上記第1の構成のダウンコンバータ1において、衛星放送波は、左旋円偏波のBS放送波と、左旋円偏波のCS放送波と、を含む構成(第2の構成)であってもよい。
【0115】
上記第2の構成によれば、各々のアップコンバートシステム300でのBS左旋放送波及びCS左旋放送波を視聴可能にすることができる。
【0116】
上記第1又は第2の構成のダウンコンバータ1において、ディップスイッチ13にてダウンコンバートすると設定された第1放送信号の物理チャンネル(第1伝送周波数帯域)はそれぞれ最小の物理チャンネルから周波数が小さい順に、最小の第2伝送周波数帯域から周波数が小さい順の第2伝送周波数帯域と対応付けられる構成(第3の構成)であってもよい。
【0117】
上記第3の構成によれば、上記の予め定められた対応関係を簡便に設定できる。また、ダウンコンバータ1よりも後段に設置されるブースター301などの機器は、機種によっては、CATV帯域のうちの低域118〜424[MHz]には対応しているが、高域769〜923[MHz]のCATV帯域には対応していないことがある。上記の予め定められた対応関係により、CATV帯域のうちの低域118〜424[MHz]に第1放送信号を優先的にダウンコンバートできるので、分配器102及びアップコンバータ2間のたとえばブースター301が、上述のような仕様の機種であっても、CATV帯域にダウンコンバートした放送号をブースター301で確実に増幅できる。
【0118】
上記第1〜第3のうちのいずれかの構成のダウンコンバータ1において、左旋周波数変換部15がダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号の数は、ディップスイッチ13が有するスイッチSW1〜SW25の数よりも少ない構成(第4の構成)であってもよい。
【0119】
上記第4の構成によれば、ダウンコンバートする左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号を全て、ディップスイッチ13で設定できる。
【0120】
上記第4の構成のダウンコンバータ1において、上記の数は、12個又は8個である構成(第5の構成)であってもよい。
【0121】
上記第5の構成によれば、ダウンコンバートする第1放送信号の数を12個とすることにより、伝送周波数帯域が118〜424[MHz]及び769〜923[MHz]であるCATV帯域の全域を使って、左旋円偏波の衛星放送波のダウンコンバートした放送信号を全て伝送できる。
【0122】
又は、ダウンコンバートする第1放送信号の数を8個とすることにより、CATV帯域のうちの低域118〜424[MHz]を使って、左旋円偏波の衛星放送波のダウンコンバートした放送信号を全て伝送できる。そのため、ダウンコンバータ1の後段に設置されるブースター101,301などの機器が、低域118〜424[MHz]以外のCATV帯域の信号に対応しない仕様であっても、CATV帯域にダウンコンバートした放送信号に増幅などの処理を確実に実施できる。
【0123】
また、以上に説明したアップコンバータ2は、上記第1〜第5のいずれかの構成のダウンコンバータ1から受信する伝送信号に含まれるCATV帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波の第1放送信号にアップコンバートするアップコンバータ2であって、第2放送信号からアップコンバートされる第1放送信号が設定されるディップスイッチ23と、第2放送号を第1放送信号にアップコンバートするCATV周波数変換部25と、ディップスイッチ23での設定に基づいてCATV周波数変換部25を制御する制御回路24と、を備え、ディップスイッチ23にてアップコンバートされることが設定された第1放送信号の物理チャンネル(第1伝送周波数帯域)は、予め定められた対応関係で第2放送信号の第2伝送周波数帯域と対応付けられ、CATV周波数変換部25は、該対応関係に基づいて第2放送信号を第1放送信号にアップコンバートする構成(第6の構成)とされる。
【0124】
上記第6の構成によれば、CATV帯域の第2放送信号が第1放送信号のどの物理チャンネルにアップコンバートされるのかが、ディップスイッチ23により設定される。さらに、予め定められた対応関係により、CATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波の受信信号のどの物理チャンネルにアップコンバートするのかが決定される。従って、受信システム100のダウンコンバータ1側とアップコンバータ2側とで予め定められた対応関係の情報を共有して用いることにより、アップコンバータ2は、CATV帯域のどの伝送周波数帯域の第2放送信号を左旋円偏波の衛星放送波のどの物理チャンネルの第1放送信号にアップコンバートするかの通知をダウンコンバータ1から受信する必要がない。従って、たとえば該通知を行うためのケーブルを受信システム100に新設する必要がない。よって、受信システム100の大幅な改修を要することなく、左旋円偏波の衛星放送波の任意に選択した物理チャンネルの放送を視聴可能にすることができる。
【0125】
また、以上に説明した受信システム100は、上記第1〜第5のうちのいずれかの構成のダウンコンバータ1と、上記第6の構成のアップコンバータ2と、を備える構成(第7の構成)とされる。
【0126】
上記第7の構成によれば、受信システムの大幅な改修を要することなく、左旋円偏波の衛星放送波の任意に選択した物理チャンネルの放送を視聴可能にすることができる。
【0127】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0128】
100 受信システム
101 ブースター
102 分配器
201 衛星放送受信アンテナ
202 地上放送受信アンテナ
300 アップコンバートシステム
301 ブースター
401 チューナー
402 TV受像機
1 ダウンコンバータ
111 衛星放送入力部
112 地上放送入力端子
13 ディップスイッチ
14 制御回路
15 左旋周波数変換部
151 A/Dコンバータ
152 抽出部
153 変換部
154 合成部
155 D/Aコンバータ
156 決定部
16 右旋抽出部
17 伝送波合成部
18 出力端子
2 アップコンバータ
21 入力端子
22 分波器
23 ディップスイッチ
24 制御回路
25 CATV周波数変換部
251 A/Dコンバータ
252 抽出部
253 変換部
254 合成部
255 D/Aコンバータ
256 決定部
27 BS/CS合成部
281 衛星放送出力端子
282 地上放送出力端子
SW,SW1〜SW25,SWa,SWa1〜SWa25 スイッチ
Z1〜Z12 伝送周波数帯域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8