(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880170
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】スピーカシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
H04R1/02 101B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-502414(P2019-502414)
(86)(22)【出願日】2017年3月3日
(86)【国際出願番号】JP2017008556
(87)【国際公開番号】WO2018158945
(87)【国際公開日】20180907
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】特許業務法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】森 清文
【審査官】
齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−217178(JP,A)
【文献】
特開2013−81061(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3132214(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺に構成された筐体と、
前記筐体の幅広面のうちの一面に設けられたスピーカユニットと、
前記筐体の幅狭面のうちの一方の面に設けられた第1ポートと、
前記筐体の幅狭面のうちの他方の面に設けられた第2ポートと、
前記第1ポートの外側に設けられ、当該第1ポートよりも容積が小さい第1空室と、
前記第1空室に設けられ、前記第1ポートが有する穴よりも面積が小さい第1放射穴と、
前記第2ポートの外側に設けられ、当該第2ポートよりも容積が小さい第2空室と、
前記第2空室に設けられ、前記第2ポートが有する穴よりも面積が小さい第2放射穴と
を備えたスピーカシステム。
【請求項2】
前記第1ポートと前記第2ポートとの長さは異なる
ことを特徴とする請求項1記載のスピーカシステム。
【請求項3】
長尺に構成された筐体と、
前記筐体の幅狭面のうちの一方の面に設けられたスピーカユニットと、
前記筐体の幅狭面のうちの他方の面に設けられたポートと、
前記ポートの外側に設けられ、当該ポートよりも容積が小さい空室と、
前記空室に設けられ、前記ポートが有する穴よりも面積が小さい放射穴と
を備えたスピーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばオーディオ信号を再生するスピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トールボーイ型のように縦長の長尺筐体を用いるスピーカシステムでは、天板と底板にスピーカユニットの背圧が反射し、筐体内に定在波が発生する。この定在波は、音圧のピークディップを発生させるため、音質劣化の原因となる。そこで、従来から、筐体内に吸音材を貼り付けることで、又は、筐体内に吸音棒を設けることで、定在波を低減させている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−115872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成では、吸音材又は吸音棒を筐体内に別途設ける必要があるため、コストが増大するという課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、追加部材を設けずに、定在波を低減できるスピーカシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るスピーカシステムは、長尺に構成された筐体と、筐体の幅広面のうちの一面に設けられたスピーカユニットと、筐体の幅狭面のうちの一方の面に設けられた第1ポートと、筐体の幅狭面のうちの他方の面に設けられた第2ポートと
、第1ポートの外側に設けられ、当該第1ポートよりも容積が小さい第1空室と、第1空室に設けられ、第1ポートが有する穴よりも面積が小さい第1放射穴と、第2ポートの外側に設けられ、当該第2ポートよりも容積が小さい第2空室と、第2空室に設けられ、第2ポートが有する穴よりも面積が小さい第2放射穴とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、追加部材を設けずに、定在波を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るスピーカシステムの構成例を示す断面図である。
【
図2】この発明の実施の形態2に係るスピーカシステムの構成例を示す断面図である。
【
図3】この発明の実施の形態3に係るスピーカシステムの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るスピーカシステムの構成例を示す断面図である。
スピーカシステムは、バスレフ型のスピーカであり、例えばオーディオ信号を再生する。このスピーカシステムでは、
図1に示すように、縦長長尺に構成された筐体1aの前面(幅広面)の中央付近に、スピーカユニット2aが設けられている。
【0010】
また、筐体1aの天面(幅狭面)には、ポート(第1ポート)3aが設けられている。また、ポート3aの外側(筐体1aの天面)には、ポート3aに連通した空室(第1空室)4aが設けられている。空室4aの容積は、ポート3aの容積よりも小さい。また、空室4aは、放射穴(第1放射穴)41aを有している。放射穴41aの面積は、ポート3aが有する穴31aの面積よりも小さい。なお
図1では、放射穴41aは、放射穴41aから放射される放射音の進行方向がスピーカユニット2aから放射される放射音の進行方向と同一となる位置に配置されている。
【0011】
また、筐体1aの底面(幅狭面)には、ポート(第2ポート)5aが設けられている。また、ポート5aの外側(筐体1aの底面)には、ポート5aに連通した空室(第2空室)6aが設けられている。空室6aの容積は、ポート5aの容積よりも小さい。また、空室6aは、放射穴(第2放射穴)61aを有している。放射穴61aの面積は、ポート5aが有する穴51aの面積よりも小さい。なお
図1では、放射穴61aは、放射穴61aから放射される放射音の進行方向がスピーカユニット2aから放射される放射音の進行方向と同一となる位置に配置されている。
【0012】
このスピーカシステムでは、スピーカユニット2aからの背圧が、ポート3a,5a及び空室4a,6aを通り、放射穴41a,61aから放射される。
このように、実施の形態1に係るスピーカシステムでは、スピーカユニット2aからの背圧が反射する天面と底面にポート3a,5aを設けることで、背圧が筐体1aの外部に放射されるため、筐体1aの内部で反射することはなく、定在波を低減できる。その結果、音圧のピークディップを低減でき、音質の劣化を抑制できる。
【0013】
また、筐体1aの天面及び底面にポート3a,5aを設けた場合、ポート3a,5aの方向が試聴方向(スピーカユニット2aによる放射音の進行方向)とは異なるため、低音が遅れて出てしまう。それに対し、実施の形態1に係るスピーカシステムでは、ポート3a,5aの外側に、ポート3a,5aよりも容積の小さい空室4a,6aを設け、且つ、空室4a,6aに、ポート3a,5aが有する穴31a,51aよりも面積の小さい放射穴41a,61aを設けている。これにより、放射穴41a,61aからの放射音(ポート音)は、加速されて放射される。その結果、放射音の応答性を改善できる。
【0014】
以上のように、この実施の形態1によれば、縦長長尺に構成された筐体1aと、筐体1aの前面に設けられたスピーカユニット2aと、筐体1aの天面に設けられたポート3aと、筐体1aの底面に設けられたポート5aとを備えたので、追加部材を設けずに、定在波を低減できる。
【0015】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に係るスピーカシステムの構成例を示す断面図である。この
図2に示す実施の形態2に係るスピーカシステムは、
図1に示す実施の形態1に係るスピーカシステムに対し、ポート3aとポート5aとの長さを変えている。
図2では、ポート5aをポート3aに対して短くしている。
このように、ポート3aとポート5aの長さを変えることで、ポート音の共振周波数を変えることができる。よって、放射音の音声帯域を広げることが可能となる。
【0016】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、縦長長尺である筐体1aを用いた場合を示した。それに対し、実施の形態3では、横長長尺である筐体1bを用いた場合を示す。
図3はこの発明の実施の形態3に係るスピーカシステムの構成例を示す断面図である。
スピーカシステムは、バスレフ型のスピーカであり、例えばオーディオ信号を再生する。このスピーカシステムでは、
図3に示すように、横長長尺に構成された筐体1bの前面(幅狭面)に、スピーカユニット2bが設けられている。
【0017】
また、筐体1bの背面(幅狭面)には、ポート3bが設けられている。また、ポート3bの外側(筐体1bの背面)には、ポート3bに連通した空室4bが設けられている。空室4bの容積は、ポート3bの容積よりも小さい。また、空室4bは、放射穴41bを有している。放射穴41bの面積は、ポート3bが有する穴31bの面積よりも小さい。
【0018】
このスピーカシステムでは、スピーカユニット2bからの背圧が、ポート3b及び空室4bを通り、放射穴41bから放射される。
このように、実施の形態3に係るスピーカシステムでは、スピーカユニット2bからの背圧が反射する背面にポート3bを設けることで、背圧が筐体1bの外部に放射されるため、筐体1bの内部で反射することはなく、定在波を低減できる。その結果、音圧のピークディップを低減でき、音質の劣化を抑制できる。
【0019】
また、筐体1bの背面にポート3bを設けた場合、ポート3bの方向が試聴方向(スピーカユニット2bにより放射音の進行方向)とは異なるため、低音が遅れて出てしまう。それに対し、実施の形態3に係るスピーカシステムでは、ポート3bの外側に、ポート3bよりも容積の小さい空室4bを設け、且つ、空室4bに、ポート3bが有する穴31bよりも面積の小さい放射穴41bを設けている。これにより、放射穴41bからの放射音(ポート音)は、加速されて放射される。その結果、放射音の応答性を改善できる。
【0020】
以上のように、この実施の形態3によれば、横長長尺に構成された筐体1bと、筐体1bの前面に設けられたスピーカユニット2bと、筐体1bの背面に設けられたポート3bとを備えたので、追加部材を設けずに、定在波を低減できる。
【0021】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明に係るスピーカシステムは、追加部材を設けずに、定在波を低減でき、例えばオーディオ信号を再生するスピーカシステム等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0023】
1a,1b 筐体、2a,2b スピーカユニット、3a ポート(第1ポート)、3b ポート、4a 空室(第1空室)、4b 空室、5a ポート(第2ポート)、6a 空室(第2空室)、31a,31b 穴、41a 放射穴(第1放射穴)、41b 放射穴、51a 穴、61a 放射穴(第2放射穴)。