特許第6880197号(P6880197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880197
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】付加製造における逸脱制御
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20210524BHJP
   B29C 64/10 20170101ALI20210524BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20210524BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20210524BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210524BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210524BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20210524BHJP
【FI】
   B29C64/393
   B29C64/10
   B29C64/165
   B29C64/336
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-535817(P2019-535817)
(86)(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公表番号】特表2020-514115(P2020-514115A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】US2017013914
(87)【国際公開番号】WO2018136048
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン,アジャ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ,リーファ
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−527481(JP,A)
【文献】 特開2002−292747(JP,A)
【文献】 特表2019−521006(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/039378(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/149742(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0140852(US,A1)
【文献】 特開2004−306612(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/108546(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/106816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00,30/00,50/00−50/02
B22F 1/00− 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業エリアの上にビルド材料を積層するための積層用デバイスと、
積層されたビルド材料の上へ複数の液体機能剤を供給するための薬剤ディスペンサと、
積層されたビルド材料を照明するための溶融ランプと、
溶融されたビルド材料の特性を検出するための特性検出器と、
前記積層用デバイス、前記薬剤ディスペンサ、前記溶融ランプ、および前記特性検出器に動作可能に接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
溶融性ビルド材料の層の上へ複数の液体機能剤の各々を第1の量で供給し、次いで前記ビルド材料の層を照明することを含んで、物体をスライスごとに作製し、
前記物体を作製している間に、物体特性が許容できない逸脱領域を検出し、
前記第1の量とは異なる第2の量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを前記逸脱領域に対応する位置に供給するようになっており、
前記特性検出器は、サーマルイメージングデバイスを備え、
前記コントローラは、前記物体を作製している間に、前記物体中の低い温度の領域および/または前記物体中の高い温度の領域を特定するように、前記サーマルイメージングデバイスに動作可能に接続されており、
前記逸脱領域は、前記物体中において前記物体が許容できない温度となる温度逸脱領域であり、
前記コントローラは、前記第1の量とは異なる第2の量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを、前記物体が許容できない低い温度となる前記温度逸脱領域または前記物体が許容できない高い温度となる前記温度逸脱領域に対応する次のスライス中の位置に供給するように、前記薬剤ディスペンサに動作可能に接続されている付加製造機械。
【請求項2】
前記複数の液体機能剤は、溶融剤と、異なる光吸収性をそれぞれ有する複数の着色剤とを備え、
前記コントローラは、前記第1の量とは異なる第2の量の前記溶融剤および/または前記着色剤のうちの少なくとも1つを低い温度の前記温度逸脱領域または高い温度の前記温度逸脱領域に対応する前記次のスライス中の位置に供給するように、前記薬剤ディスペンサに動作可能に接続されている
請求項に記載の機械。
【請求項3】
前記コントローラは、前記積層用デバイス、前記薬剤ディスペンサ、前記溶融ランプ、および前記特性検出器に動作可能に接続され、前記第1の量とは異なる第2の量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを前記温度逸脱領域に対応する位置に供給することを含んで、前記物体を再びスライスごとに作製するようになっている、請求項1に記載の機械。
【請求項4】
前記特性検出器は、サーマルイメージングデバイスを備え、
前記コントローラは、前記物体を作製している間に、前記物体中の低い温度の領域および/または前記物体中の高い温度の領域を特定するように、前記サーマルイメージングデバイスに動作可能に接続されているとともに、
前記コントローラは、前記物体を再び作製している間に、前記第1の量とは異なる第2の量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを前記低い温度の前記温度逸脱領域および前記高い温度の前記温度逸脱領域に対応する位置に供給するように、前記薬剤ディスペンサに動作可能に接続されている
請求項に記載の機械。
【請求項5】
前記複数の液体機能剤は、溶融剤と、異なる光吸収性をそれぞれ有する複数の着色剤とを備え、
前記コントローラは、前記物体を再び作製している間に、前記第1の量とは異なる第2の量の前記溶融剤および/または前記着色剤のうちの少なくとも1つを前記低い温度の前記温度逸脱領域および前記高い温度の前記温度逸脱領域に対応する位置に供給するように、前記薬剤ディスペンサに動作可能に接続されている
請求項に記載の機械。
【請求項6】
プロセス制御データに従ってある量の複数の液体機能剤の各々を溶融性ビルド材料の層に供給し、次いで前記ビルド材料の層を照明することを含んで、前記プロセス制御データに基づいて物体のスライスを作製することと、
前記スライス中に前記物体が許容できない高温の温度逸脱領域があるか判定することと、
前記スライス中に高温の温度逸脱領域があると判定される場合、各高温の温度逸脱領域に対応する次のスライス中の位置で異なる量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを供給してその位置で前記スライスを冷却するように前記プロセス制御データを修正することと、
前記スライス中に前記物体が許容できない低温の温度逸脱領域があるか判定することと、
前記スライス中に低温の温度逸脱領域があると判定される場合、各低温の温度逸脱領域に対応する次のスライス中の位置で異なる量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを供給してその位置で前記スライスを加熱するように前記プロセス制御データを修正することと、
高温の温度逸脱領域がないかつ低温の温度逸脱領域がないと判定されるまで、スライスを成功させるために、前記作製すること、判定すること、および修正することを繰り返すことと
を含む付加製造プロセス
【請求項7】
最新の修正されたプロセス制御データに従って前記物体を再び作製することを含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記液体機能剤は、異なる光吸収性をそれぞれ有する複数の着色剤を含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項9】
実行されると、付加製造機械に、
ある量の複数の液体機能剤の各々をあるパターンで溶融性ビルド材料の上へ供給してパターン付けられたビルド材料を形成すること、およびパターン付けられた前記ビルド材料を照明することを含んで、プロセス制御データに基づいて物体を作製させ、
前記物体を作製している間に、前記物体中の複数の位置で温度を測定させ、
前記物体の温度マップを形成するように測定された前記温度をマップさせ、
修正されたプロセス制御データを形成するように前記温度マップに基づいて前記プロセス制御データを修正させ、
異なる量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを前記ビルド材料の上へ供給することを含んで、修正された前記プロセス制御データに基づいて前記物体を再び作製させる各命令を媒体上に有しており、
前記物体を作製する前記命令は、ある量の複数の液体機能剤の各々を溶融性ビルド材料の層の上へ供給すること、および前記ビルド材料の層を照明することを含む、各スライスについてプロセス制御データに基づいてスライスごとに前記物体を作製する命令を含み、
前記物体中の複数の位置で温度を測定する前記命令は、各スライスにおける複数の位置で温度を測定する命令を含み、
前記物体の温度マップを形成するように測定された前記温度をマップする前記命令は、各スライス中で測定された前記温度をマップする命令を含み、さらに、前記物体が許容できない低い温度となる低温度逸脱領域および前記物体が許容できない高い温度となる高温度逸脱領域を特定する命令を含み、
前記プロセス制御データを修正する前記命令は、修正された前記プロセス制御データを形成するために、それらのスライス各々についての前記温度マップに基づいて複数のスライスのための前記プロセス制御データを修正する命令を含み、さらに、前記低温度逸脱領域または前記高温度逸脱領域に対応する次のスライス中の位置に、前記液体機能剤を前記供給する命令を含む、プロセッサ可読媒体。
【請求項10】
請求項に記載の前記プロセッサ可読媒体を実装する付加製造機械コントローラ。
【請求項11】
付加製造機械であって、
作業エリアの上にビルド材料を積層するための積層用デバイスと、
溶融剤および複数の着色剤を積層されたビルド材料の上へ供給するための薬剤ディスペンサと、
パターン付けられたビルド材料を照明するための溶融ランプと、
溶融されたビルド材料中の温度をマップするためのサーマルイメージングデバイスと、
前記積層用デバイス、前記薬剤ディスペンサ、前記溶融ランプ、および前記サーマルイメージングデバイスに動作可能に接続されているコントローラと
を備え、前記コントローラは、
作業エリアの上にビルド材料を積層し、
第1の量の前記溶融剤および着色剤の各々を物体スライスに対応するパターンでビルド材料の層の上へ供給し、
ビルド材料を前記スライスに融合するようにパターン付けられた前記ビルド材料を照明し、
前記スライス中の温度をマップし、
前記スライス中前記物体が許容できない低い温度となる低温度逸脱領域または前記物体が許容できない高い温度となる高温度逸脱領域を特定し、
ビルド材料の複数の連続する層が物体を作製するように前記一連の積層、供給、照明、マップ、および特定を繰り返し、次いで、
前記第1の量とは異なる第2の量の前記溶融剤および/または前記着色剤を前記低温度逸脱領域または前記高温度逸脱領域に供給することを含んで、前記物体を再び層ごとにおよびスライスごとに作製するようになっている、付加製造機械。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
付加製造機械は、材料の層を積み重ねることによって3次元物体を生成する。一部の付加製造機械は、一般に、「3Dプリンタ」と呼ばれる。3Dプリンタおよび他の付加製造機械は、CAD(コンピュータ支援設計)モデルまたは他の物体のデジタル表現を物理的物体に変換することを可能にする。物体モデルデータは、複数のスライスに処理され、それぞれは、物体に形成される材料を積んだ1つまたは複数の層のその一部を定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】付加製造機械の一例を示す正面図である。
図2】付加製造機械の一例を示す平面図である。
図3図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図4図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図5図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図6図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図7図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図8図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図9図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図10図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図11図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図12図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図13図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図14図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図15図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図16図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図17図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図である。
図18図1および図2に示した機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の平面図である。
図19図2に示した物体スライスに対応する例示のサーモグラフである。
図20図10に示した物体スライスに対応する例示のサーモグラフである。
図21図18に示した物体スライスに対応する例示のサーモグラフである。
図22】例示の付加製造プロセスを示す流れ図である。
図23】例示の付加製造プロセスを示す流れ図である。
図24】例示の付加製造プロセスを示す流れ図である。
図25】例示の付加製造プロセスを示す流れ図である。
図26】例示の付加製造プロセスを示す流れ図である。
図27】例示の付加製造プロセスを示す流れ図である。
図28】付加製造中に物体の形成を助けるように、逸脱制御命令を媒体上に有するプロセッサ可読媒体の一例を示すブロック図である。
図29】付加製造中に物体の形成を助けるように、熱制御命令を有するコントローラを実装する付加製造機械の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
同じ部分の番号は、各図にわたって同じまたは類似する部分を示す。これらの図は、必ずしも原寸に比例していない。
【0004】
いくつかの付加製造プロセスでは、熱は、固体物体を形成するために粉状ビルド材料中の粒子を共に融合させるのに使用される。ビルド材料を融合させるための熱は、例えば、物体スライスに基づくパターンの粉状ビルド材料の薄層に液体溶融剤(liquid fusing agent)を塗布し、次いでパターン付けされたエリアを融合用の光に露出させることによって生成することができる。溶融剤中の光吸収成分は、光エネルギーを吸収し、これによってビルド材料を物体のスライスに焼結、溶解、または他の方法で融合させるのを助ける。このプロセスは、物体を完成させるまで層ごとにおよびスライスごとに繰り返される。物体の所望の特徴を生成するために、他の機能剤が使用されてもよい。例えば、ディテール剤(detailing agent)が、物体のある領域内の融合を強化または抑制するために使用されてもよく、着色剤が、異なる色の複数の物体または単一物体における異なる色のために使用されてもよく、延性および伝導性などの物理的特性に影響を与えるために他の薬剤が使用されてもよい。
【0005】
液体機能剤(liquid functional agent)が互いに相互作用するやり方、および付加製造中のビルド材料上のそれらの蓄積効果は、予測するのが難しい場合がある。例えば、シアン、マゼンタ、および黄色の着色剤は、互いに異なって、黒の溶融剤とは大変異なって、融合用の光を吸収することができ、したがって比較的多くまたは比較的少なく溶融熱を引き起こす元となる。加えて、少量でも任意の液体剤の供給は、製造中顕著に影響を受けた作業エリアを冷却し得る。したがって、各薬剤の競合する熱的影響は、物体の品質および特性に影響を及ぼし得る。
【0006】
付加製造中に複数の液体機能剤の効果のバランスを正確に保つのに役立つ新しい技法が開発されている。一例では、付加製造プロセスは、望ましくない状況を減少させまたはなくすために、物体を作製する間に、物体中の複数の位置で温度を測定し、任意の「高温」領域および任意の「低温」領域をマップし、プロセス制御データを修正して、高温領域および低温領域の各々に対応する位置で異なる量の機能剤のうちの少なくとも1つを供給することを含む。例えば、溶融剤の量は、許容できる範囲内に温度をもたらすために、高温領域では熱をより少なくするために減少され、低温領域では熱をより多くするために増加させ得る。物体を作製している間に調整が行われ、それらの影響がスライスごとに反復して測定されてもよく、または物体を再び作製するときに調整が行われ、それらの影響が測定されてもよい。
【0007】
例は、補正温度の逸脱を検出することに限定されない。温度は、有意味な物体特性の指標として「その場で(on the fly)」検出することが比較的容易であるが、他のパラメータが使用されてもよい。例えば、いくつかの実施では、色、密度、または伝導性を検出することが望ましい場合がある。したがって、図示に示されるおよび以下説明されるこれらの例および他の例は、本特許の範囲を示すが、本説明の後に続く特許請求の範囲において定められるこの範囲に限定されない。
【0008】
本文献に使用されるとき、「および/または」は、関連した物事の少なくとも1つを意味し、「低温」および「低い温度」は、温度閾値未満を意味し、「着色剤」は、ビルド材料を着色する物質を意味し、「ディテール剤」は、例えば溶融剤の効果を修正することによってビルド材料の融合を抑制もしくは防止または強化する物質を意味し、「逸脱」は、許容できないことを意味し、「溶融剤」は、ビルド材料を焼結、溶解、または他の方法で融合させるまたはそうさせるのに役立つ物質を意味し、「高温」および「高い温度」は、温度閾値を上回ることを意味し、「ランプ」は、光を発生する任意のデバイスを意味し、「光」は、任意の波長の電磁放射を意味し、「液体」は、主に1種類のガスまたは複数種類のガスで構成されていない流体を意味し、「プロセッサ可読媒体」は、プロセスによって使用するための命令を格納、記憶、または保持することができる任意の非一時的な有形の媒体を意味し、例えば、回路、集積回路、ASIC(特定用途向け集積回路)、ハードドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、ならびにメモリカードおよびスティックを含み得、「作業エリア」は、融合のためのビルド材料を支持または収容するための任意の適した構造を意味し、ビルド材料の下地層、およびプロセス内スライス、ならびに他の物体構造を含む。
【0009】
図1および図2は、付加製造機械10の一例を示すそれぞれ正面図および平面図である。図3図18は、機械10を用いた熱制御のためのプロセスの一例を示す一連の正面図および平面図を表す。まず、図1および図2を参照すると、付加製造機械10は、第1の「フューザ」キャリッジ(”fuser” carriage)12と、第2の「ディスペンサ」キャリッジ14とを備える。キャリッジ12および14は、例えばレール16上を、コントローラ20の方向に作業エリア18の上で前後に移動する。コントローラ20は、プロセッサ(または複数のプロセッサ)、関連したメモリ(または複数のメモリ)、および命令、ならびに機械10の機能する要素を制御するために必要な電子回路および構成要素を表す。
【0010】
フューザキャリッジ12は、積層用デバイス22、特性検出器24、および溶融ランプ26を収容する。ディスペンサキャリッジ14は、複数の液体機能剤を供給するために、インクジェットプリンタヘッド組立体、または他の適した液体供給組立体28を収容する。図示した例では、供給組立体28は、2つのディスペンサ30および32を備える。各ディスペンサ30、32は、例えば、溶融剤、ディテール剤、および複数の着色剤などの1つまたは複数の機能剤を供給することができる。
【0011】
作業エリア18は、融合のためのビルド材料を支持または収容するのに適した任意の構造を表し、ビルド材料の下地層、およびプロセス内スライス、ならびに他の物体構造を含む。第1のビルド材料の層については、例えば、作業エリア18は、積層プロセスに対応するために上下に移動するプラットフォーム34の表面上に形成され得る。ビルド材料の続く層については、例えば図1に示すように、作業エリア18は、下地物体構造36上に形成することができ、これは、溶融されていないビルド材料38と、物体スライス40に融合されたビルド材料とを含むことができる。
【0012】
図1および図2に示す例では、積層用デバイス22は、キャリッジ12が作業エリア18の上を移動するときにビルド材料を積層するための(図1に示した)展開ポジションとキャリッジ12が作業エリア18の上を移動するときにビルド材料を積層しないための(図5に示した)後退ポジションとの間で移動するローラ22として実施される。積層用ローラ22は、それが作業エリア18の上を移動させられるときに自由に回転することができ、移動の方向に応じて時計方向または反時計方向に惰性で走り、またはローラ22は、(同回転または反回転する)いずれかの方向に回転可能に駆動され得る。積層用デバイス22についての他の実施も、可能であり、例えば、層における作業エリアの上でビルド材料に直接供給するブレードまたはデバイスを含む。
【0013】
図1および図2に示す例では、特性検出器24は、物体スライス40中の温度を測定するための赤外線カメラまたは他の適したデバイスなどのサーマルイメージングデバイス24として実装される。デバイス24からの温度測定値は、スライスの熱マップを形成するために、スライス40中の対応する位置にマップされる。サーマルイメージングデバイス24の能力に応じて、温度マッピングは、デバイス24によって実行されてもよく、マッピングデータは、処理のためにコントローラ20へ送信され、または温度マッピングは、コントローラ20によって実行されてもよい。図1および図2の物体スライス40についての温度マップ41の一例は、図19に示されている。白黒の線図上で温度を表すために、「等温」線は、異なる温度領域を示すために使用される。物体スライス中のより高い温度領域は、より密集した線の配置によって示され、より低い温度領域は、あまり密集していない線の配置によって示される。マップ 41は、スライス40の中心近くの高温領域42と、スライス40の一縁に沿った低温領域44とを示す。
【0014】
単一の溶融ランプ26が示されているが、例えばより大きい範囲の融合用の光を可能にするために、複数の溶融ランプが使用されてもよい。
【0015】
図1および図2では、フューザキャリッジ12は、作業エリア18の一方の側(図1および図2の左側)に停められており、ディスペンサキャリッジ14は、作業エリア18の他方の側(図1および図2の右側)に停められている。この例では、ビルド材料粉末38のリボン46は、作業エリア18に隣接した左側デッキ48に沿って堆積されている。図3および図4では、フューザキャリッジ12は、動きの矢印50によって示される第1の走行で右へ移動しており、ローラ22は、作業エリア18(下地構造36)の上の層52においてビルド材料38を積層するように展開されている。粉状ビルド材料38は、図中に明記されることによって示されているが、任意の適した溶融性ビルド材料(fusable build material)が使用されてもよい。
【0016】
図5および図6では、フューザキャリッジ12およびディスペンサキャリッジ14は、動きの矢印56によって示される第2の走行で左へ移動しており、積層用ローラ22は後退し、溶融ランプ26は、層52中のビルド材料38を事前加熱するためにオンにされる。他の例では、ビルド材料38は、事前加熱されず、またはそれは、溶融ランプとは別個の加熱ランプを用いて事前加熱される。他の事前加熱用構成も可能である。
【0017】
図5および図6をさらに参照すると、フューザキャリッジ12に続くディスペンサキャリッジ14上のディスペンサ30が、溶融剤58を層52中のビルド材料38の上へ所望の物体スライスに対応するパターン60で供給する。例えば、より少ない量の溶融剤58が、新しいスライスの対応する領域内の温度を下げるために、スライス40中の高温領域42の位置で供給されてもよく、より多くの量の溶融剤58が、新しいスライス中の対応する領域の温度を上昇させるために、スライス40中の低温領域44の位置で供給されてもよい。たった1つの溶融剤58が示されているが、他の機能剤が、図5および図6においてディスペンサキャリッジ14が作業エリア18の上を左へ移動するときに、一方または両方のディスペンサ30、32からビルド材料38の上へ供給されてもよい。
【0018】
図7および図8では、ディスペンサキャリッジ14が、動きの矢印62によって示される第3の走行で右へ移動するとき、ディスペンサ32は、着色剤64を層52中のビルド材料38の上へ供給する。たった1つの着色剤64が示されているが、他の機能剤が、図7および図8においてディスペンサキャリッジ14が作業エリア18の上を右へ移動するときに、一方または両方のディスペンサ30、32からビルド材料38の上へ供給されてもよい。また、この第3の走行において、フューザキャリッジ12は、作業エリア18の上でディスペンサキャリッジ14に従い、溶融ランプ26は、パターン付けられたビルド材料を第2の物体スライス66に融合するための融合用の光でパターン付けられたビルド材料60を照明するためにオンにされる。サーマルイメージングデバイス24は、スライス66中の温度を測定するためにオンにされる。
【0019】
図9および図10では、フューザキャリッジ12およびディスペンサキャリッジ14は、第2のスライス66を形成した後に作業エリア18の右側に到達しており、ビルド材料38のリボン46は、次のスライスを作製するための準備において作業エリア18の右側でデッキ48を与えるために供給されている。図9および図10の物体スライス66についての熱マップ67の一例は、図20に示されている。マップ67は、スライス66の中心近くの高温領域68と、スライス66の一縁に沿った低温領域70とを示すものであるが。しかしながら、前述のスライス40における高温領域42の位置で供給されるより少ない量の溶融剤58は、領域68内のより少ない密度の等温線によって示されるように、新しいスライス66の対応する領域68の温度を下げ、前述のスライス40における低温領域44の位置で供給されるより多くの量の溶融剤58は、領域70内のより多い密度の等温によって示されるように、新しいスライス66内の対応する領域70内の温度を上昇させている。
【0020】
図11図18に示すように、一連の動作は、次のスライスのために繰り返される。図11図12および図13図14では、フューザキャリッジ12およびディスペンサキャリッジ14は、動きの矢印56によって示される第1の走行で左へ移動している。図11および図12では、ローラ22は、作業エリア18(ここでは、下地構造76)の上の次の層74においてビルド材料38を積層するように展開されており、溶融ランプ26は、層74中のビルド材料38を事前加熱するためにオンにされる。図13および図14では、キャリッジ12および14が作業エリア18を横切るとき、ディスペンサ30は、溶融剤58を層74中のビルド材料の上へ次の物体スライスに対応するパターン78で供給する。例えば、より少ない量の溶融剤58が、新しいスライスの対応する領域内の温度を下げるために、スライス66中の高温領域68の位置で供給されてもよく、より多くの量の溶融剤58が、新しいスライス中の対応する領域の温度を上昇させるために、スライス66中の低温領域70の位置で供給されてもよい。たった1つの溶融剤58が示されているが、他の機能剤が、ディスペンサキャリッジ14が、図13および図14における作業エリア18の上を左へ移動するときに、一方または両方のディスペンサ30、32からビルド材料層74の上へ供給されてもよい。
【0021】
図15および図16では、ディスペンサキャリッジ14が、動きの矢印62によって示される第2の走行で右へ移動するとき、ディスペンサ32は、着色剤64を層74中のビルド材料の上へ供給する。たった1つの着色剤64が示されているが、他の機能剤が、図15および図16においてディスペンサキャリッジ14が作業エリア18の上を右へ移動するときに、一方または両方のディスペンサ30、32からビルド材料層74の上へ供給されてもよい。また、この第2の走行では、フューザキャリッジ12は、作業エリア18の上でディスペンサキャリッジ14に従い、 with 溶融ランプ26は、パターン付けられたビルド材料を第3の物体スライス80に融合するための融合用の光でパターン付けられたビルド材料78を照明するためにオンにされる。サーマルイメージングデバイス24は、スライス80中の温度を測定するためにオンにされる。
【0022】
図17および図18では、フューザキャリッジ12およびディスペンサキャリッジ14は、第3のスライス80を形成した後に作業エリア18の右側に到達している。図17および図18の物体スライス80についての熱マップ81の一例は、図21に示されている。マップ81では、高温領域または低温領域はない。
【0023】
一連の動作は、物体が完成するまで、スライスごとに、続くビルド材料の各層について続き得る。
【0024】
図1図18の機械10の構成および動作順序は、一例に過ぎない。他の適した機械構成および他の動作順序も可能である。例えば、付加製造機械10は、より多くのまたはより少な薬剤ディスペンサ(agent dispenser)、ランプ、およびサーマルイメージングデバイスを備えた互いに一直線にまたは互いに直交して移動するより多くのまたはより少ないキャリッジを備えてもよい。
【0025】
図22は、図1および図2に示す機械10と共に実施されてもよいような付加製造プロセス100の一例を示す。図22を参照すると、ブロック101で、物体は、例えば図1図18に示す一連の動作に示すように、溶融性ビルド材料の層の上へ複数の液体機能剤の各々を第1の量で供給し、次いでビルド材料の層を照明することを含んで、スライスごとに作製される。ブロック102で、スライス中の逸脱領域は、物体を作製する間に、例えば図19の温度マップ上の高温領域42および/または低温領域44を特定することによって特定される。そして次いで、ブロック103で、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つが、例えば、図5および図13に示すように、より大きい量のまたはより少ない量の溶融剤58および/または図7および図15に示すようにより少ない量またはより多くの量の着色剤64を供給することによって逸脱領域に対応する位置に供給される。
【0026】
プロセス100におけるブロック103での異なる量の1つまたは複数の機能剤の供給は、図23のブロック104で示すように同じ物体の次のスライスの調整を行うことによって、または図24のブロック105で示すように次の物体の調整を行うことによって、あるいは続くスライスおよび続く物体の調整の両方の組み合わせで実施されてもよい。
【0027】
プロセス100におけるブロック102および103は、個々のスライスについてではなく複数のスライスの群について実施され得る。例えば、いくつかの製造動作では、群の個々のスライスごとの温度の十分に正確な指標として第2または第3または第4のスライスごとに温度を測定およびマップし、次いで次の物体を作製するときに、続く第2または第3または第4のスライスにおけるおよび/またはスライスの対応する群における任意の温度逸脱領域を補正するために薬剤の量を調整することが望ましいものであり得る。
【0028】
図25は、図1および図2に示す機械10を用いて実施され得るような付加製造プロセス110の別の例を示す。図25を参照すると、プロセス110は、ある量の複数の液体機能剤の各々をプロセス制御データに従って溶融性ビルド材料の層の上へ供給し、次いでビルド材料の層を照明することを含んで、プロセス制御データに基づいて物体のスライスを作製し(ブロック111)、スライス中に高温領域があるか判定する(ブロック112)ことを含む。スライス中に高温領域があると判定される場合、各高温領域に対応する位置で異なる量の機能剤のうちの少なくとも1つを供給してその位置でスライスを冷却するようにプロセス制御データを修正する(ブロック113)。プロセス110は、スライス中に低温領域があるか判定し(ブロック114)、スライス中に低温領域があると判定される場合、各低温領域の位置で異なる量の前記機能剤のうちの少なくとも1つを供給してその位置で前記スライスを加熱するように前記プロセス制御データを修正する(ブロック115)ことをさらに含む。作製すること(ブロック111)、判定すること(ブロック112および114)、および修正すること(ブロック113および115)の行為は、高温領域がないかつ低温領域がないと判定されるまで、続くスライスのために繰り返される(ブロック116)。次いで、物体は、最新の修正されたプロセス制御データに従って、再び(および繰り返し)作製され得る。
【0029】
図26は、図1および図2に示す機械10を用いて実施され得るような付加製造プロセス120の別の例を示す。図26を参照すると、プロセス120は、ある量の複数の液体機能剤の各々をあるパターンで溶融性ビルド材料の上へ供給してパターン付けられたビルド材料を形成すること、およびパターン付けられたビルド材料を照明することを含んで、プロセス制御データに基づいて物体を作製させ、(ブロック121)、物体を作製している間に、物体中の複数の位置で温度を測定する(ブロック122)ことを含む。プロセス120は、物体の温度マップを形成するように測定された温度をマップし(ブロック123)、温度マップに基づいてプロセス制御データを修正し(ブロック124)、次いで、異なる量の機能剤のうちの少なくとも1つをビルド材料の上へ供給することを含んで、修正されたプロセス制御データに基づいて物体を再び作製する(ブロック125)。複数のスライスの群についてのプロセス制御データは、群中の個々のスライスの各々についての温度マップに基づいて修正され得る。
【0030】
図27は、図1および図2に示す機械10を用いて実施され得るような付加製造プロセス130の別の例を示す。図27を参照すると、プロセス130は、作業エリアの上にビルド材料を積層し(ブロック131)、溶融剤および着色剤の各々を第1の量で物体スライスに対応するパターン中のビルド材料の層の上へ供給し(ブロック132)、ビルド材料をスライスに融合するようにパターン付けられたビルド材料を照明する(ブロック133)ことを含む。プロセス130は、スライス中の温度をマップし(ブロック134)、スライス中の低い温度の任意の領域およびスライス中の高い温度の任意の領域を特定し(ブロック135)、ビルド材料の複数の連続する層が物体を作製するように一連の積層、供給、照明、マップ、および特定を繰り返し(ブロック136)、次いで、第1の量とは異なる第2の量の溶融剤および/または着色剤を低い温度の領域および高い温度の領域に供給することを含んで、物体を再び層ごとにおよびスライスごとに作製する(ブロック137)ことも含む。
【0031】
図28は、物体の製造を助けるための逸脱制御命令84を有するプロセッサ可読媒体82を示すブロック図である。一例については、命令84は、図22のプロセス100を実施するための命令を含むことができる。他の例については、命令84は、図25のプロセス110、図26のプロセス120、または図27のプロセス130を実施するための命令を含むことができる。
【0032】
逸脱制御命令84を有するプロセッサ可読媒体82は、例えば、CADコンピュータプログラム製品において、物体モデルプロセッサにおいて、および/または付加製造機械のためのコントローラにおいて実施されてもよい。溶融剤、着色剤、および/または他の液体機能剤の量を調整するためのプロセス制御データは、例えば、プロセッサ可読命令が付加製造機械コントローラ上で実行されることによって「その場で」生成されてもよい。
【0033】
図29は、逸脱制御命令84を有するコントローラ20を実装する付加製造機械10の一例を示すブロック図である。この例では、逸脱制御命令84は、例えば、図1図18および図25図27に示すような熱的逸脱を制御するための命令を含む。図29を参照すると、機械10は、コントローラ22と、作業エリア18と、ビルド材料積層用デバイス22と、第1の溶融剤または他の機能剤ディスペンサ30と、第2の着色剤または他の機能剤ディスペンサ32と、サーマルイメージングデバイス24と、溶融ランプ26とを備える。ビルド材料積層用デバイス22は、作業エリア18の上へビルド材料を積層し、例えば、ビルド材料を供給するためのデバイス、および各層についてビルド材料を広げるためのブレード、ブラシ、またはローラを備えることができる。薬剤ディスペンサ30および32は、例えば、図5図7図13、および図15を参照して上述したように、コントローラ20の指示でそれぞれの薬剤を選択的に供給する。溶融剤、ディテール剤、着色剤、および他の機能剤を供給できる精度、ならびに異なるタイプおよび配合のそのような薬剤を供給するそれらの柔軟性のために、任意の適したディスペンサ30、32が使用され得る間、インクジェットプリンタヘッドが、付加製造機械に使用される場合がある。
【0034】
上述したように、コントローラ20は、プロセッサ(または複数のプロセッサ)、関連したメモリ(または複数のメモリ)、および命令を表し、この電子回路および構成要素は、機械10の動作要素を制御するために必要とされる。詳細には、コントローラ20は、熱制御命令84を有するプロセッサ可読媒体82と、命令84を読み込んで実行するためのプロセッサ86とを備える。サーマルイメージングデバイス24は、物体スライス中の温度を測定するための赤外線カメラまたは他の適したデバイスとして実施されてもよい。デバイス24からの温度測定値は、スライスの熱マップを形成するようにスライス中の対応する位置へマップされてもよい。サーマルイメージングデバイス24の能力に応じて、温度マッピングは、デバイス24によって実行されてもよく、処理および/または温度マッピングのためにコントローラ20へ送信されたマッピングデータは、コントローラ20によって実行することはできる。
【0035】
一例では、付加製造プロセスは、溶融性ビルド材料の層の上へ複数の液体機能剤の各々を第1の量で供給し、次いでビルド材料の層を照明することを含んで、物体をスライスごとに作製することと、物体を作製する間に、スライス中の逸脱領域を特定することと、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する位置に供給することとを含む。
【0036】
一例では、段落[0040]に記載されたプロセスは、物体を作製する間に、物体中の各スライスまたはスライスの群の材料特性を測定することを含み、スライス中の逸脱領域を特定することは、特性測定値から逸脱領域を特定することを含む。
【0037】
一例では、段落[0040]および[0041]に記載されたプロセスの材料特性の測定は、物体中の各スライスまたはスライスの群の温度を測定することを含む。
【0038】
一例では、段落[0040]に記載されたプロセスでは、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する位置に供給することは、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する次のスライスの位置に供給することを含む。
【0039】
一例では、段落[0040]および[0043]に記載されたプロセスでは、物体中の逸脱領域を特定することは、物体中の低い温度の領域および物体中の高い温度の領を特定することを含み、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する位置に供給することは、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを低い温度の領域および高い温度の領域に対応する位置に供給することを含む。
【0040】
一例では、段落[0040]、[0043]、および[0044]に記載されたプロセスでは、物体を作製することは、溶融剤および異なる光吸収性をそれぞれ有する複数の着色剤を供給することを含み、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する位置に供給することは、第1の量とは異なる第2の量の溶融剤および/または着色剤のうちの少なくとも1つを低い温度の領域に対応する位置および高い温度の領域に対応する位置に供給することを含む。
【0041】
一例では、段落[0040]および[0043]〜[0045]に記載されたプロセスでは、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する位置に供給することは、第1の量よりも大きい第2の量の溶融剤を低い温度の領域に対応する各位置に供給することと、第1の量よりも小さい第2の量の溶融剤を高い温度の領域に対応する各位置に供給することとを含む。
【0042】
一例では、段落[0040]に記載されたプロセスでは、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する位置に供給することは、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを逸脱領域に対応する位置に供給することを含んで、物体を再びスライスごとに作製することを含む。
【0043】
一例では、段落[0040]および[0047]に記載されたプロセスでは、物体中の逸脱領域を特定することは、物体中の低い温度の領域および物体中の高い温度の領域を特定することを含み、物体を再びスライスごとに作製することは、第1の量とは異なる第2の量の機能剤のうちの少なくとも1つを低い温度の領域および高い温度の領域に対応する位置に供給することを含む。
【0044】
一例では、段落[0040]、[0047]、および[0048]に記載したプロセスでは、物体を再び作製することは、溶融剤および異なる光吸収性をそれぞれ有する複数の着色剤を供給することを含み、物体を再び作製することは、第1の量とは異なる第2の量の溶融剤および/または着色剤のうちの少なくとも1つを低い温度の領域に対応する位置および高い温度の領域に対応する位置に供給することを含む。
【0045】
一例では、段落[0040]および[0047]〜[0049]に記載したプロセスでは、物体を再び作製することは、第1の量よりも大きい第2の量の溶融剤を低い温度の領域に対応する各位置に供給することと、第1の量よりも小さい第2の量の溶融剤を高い温度の領域に対応する各位置に供給することを含む。
【0046】
上述したように、図示に示されたおよび本明細書中に説明された例は、添付の特許請求の範囲によって定められる本特許の範囲を示すが、これに限定されない。
【0047】
特許請求の範囲に使用される「A」、「an」、および「the」は、少なくとも1つを意味する。例えば、「a(1つの)」逸脱領域は、少なくとも1つの逸脱領域を意味し、「the(前記)」逸脱領域は、前記少なくとも1つの逸脱領域を意味する。
図1
図2
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図5
図6
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