特許第6880207号(P6880207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880207
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】バックパックのための負荷調整システム
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/08 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   A45F3/08
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-543004(P2019-543004)
(86)(22)【出願日】2018年2月6日
(65)【公表番号】特表2020-506776(P2020-506776A)
(43)【公表日】2020年3月5日
(86)【国際出願番号】US2018017004
(87)【国際公開番号】WO2018148184
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2019年10月7日
(31)【優先権主張番号】15/427,650
(32)【優先日】2017年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503204222
【氏名又は名称】ザ ノース フェイス アパレル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】The North Face Apparel Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ ダニエル ノリス
(72)【発明者】
【氏名】タグミ クリストファー ケンジ
(72)【発明者】
【氏名】ガスリー ベン
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−038252(JP,A)
【文献】 実公昭12−010961(JP,Y1)
【文献】 韓国登録特許第10−1518174(KR,B1)
【文献】 登録実用新案第3048971(JP,U)
【文献】 特開昭59−207109(JP,A)
【文献】 特開平06−133814(JP,A)
【文献】 特開平07−008319(JP,A)
【文献】 特開平10−117845(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0131355(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0102675(US,A1)
【文献】 米国特許第05725139(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0251965(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0035695(US,A1)
【文献】 米国特許第08172117(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0270348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/04,3/06−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
フレームと、
第1の肩ストラップと、
第2の肩ストラップと、
前記フレームの湾曲部によって形成された一対のノッチと、
前記第1の肩ストラップおよび前記第2の肩ストラップの各々から延在して前記フレームによって吊り下げられた負荷引き上げストラップと、を備え
前記負荷引き上げストラップは、前記ノッチの夫々の内側の位置に偏在するように、当該ノッチの上に置かれるバックパック。
【請求項2】
前記負荷引き上げストラップを選択的に締結する前記第1の肩ストラップに固定された締結具と、
前記負荷引き上げストラップの一端を前記第2の肩ストラップに固定する固定点と、
をさらに備える請求項1に記載のバックパック。
【請求項3】
前記負荷引き上げストラップを選択的に締結する前記第1の肩ストラップに固定された第1の締結具と、
前記負荷引き上げストラップを選択的に締結する前記第2の肩ストラップに固定された第2の締結具と、
をさらに備える請求項1に記載のバックパック。
【請求項4】
前記一対のノッチは、前記フレームの上部に配置され、前記フレームの背後に前記負荷引き上げストラップを方向付けるものである請求項1に記載のバックパック。
【請求項5】
前記負荷引き上げストラップは、前記一対のノッチを通って摺動可能である請求項4に記載のバックパック。
【請求項6】
本体と、
フレームと、
第1の肩ストラップと、
第2の肩ストラップと、
前記第1の肩ストラップおよび前記第2の肩ストラップに取り付けられたヨークと、
第1の腰パッドおよび第2の腰パッドを有する腰ベルトに取り付けられた背面パネルと、
前記フレームの第1の下側部分から、前記フレームの前記第1の下側部分とは反対側の前記フレームの第2の下側部分まで延びて、前記ヨークに固定されたストラップ受け部材を通過する胴体長さ調整ストラップと、を備え
前記胴体長さ調整ストラップは、前記フレームの第1の下側部分において固定点に固定され、前記固定点とは反対側で前記フレームの第2の下側部分において固定された締結具に通されており、前記フレームの前記第2の下側部分において前記胴体長さ調整ストラップの自由端を引っ張り、かつ、前記締結具を夫々係合および解除することにより、前記固定点と前記締結具との間の前記胴体長さ調整ストラップの長さが増加または減少するようにされているバックパック。
【請求項7】
前記締結具は、前記胴体長さ調整ストラップを選択的に締結するように構成され
前記固定点は、前記胴体長さ調整ストラップの端部を前記フレームの前記第の下側部分に固定する請求項6に記載のバックパック。
【請求項8】
前記締結具は、前記胴体長さ調整ストラップを選択的に固定するように構成された第1の締結具であり
当該バックパックは、
前記胴体長さ調整ストラップを選択的に固定する、前記フレームの第の下側部分に固定された第2の締結具をさらに備える請求項6に記載のバックパック。
【請求項9】
前記ヨークは、前記胴体長さ調整ストラップの調整に応答して前記フレームの垂直部分に沿って摺動可能であるように、前記フレームに係合される請求項6に記載のバックパック。
【請求項10】
前記背面パネルは、前記胴体長さ調整ストラップの調整に応答して前記フレームの垂直部分に沿って摺動可能であるように、前記フレームに係合される請求項6に記載のバックパック。
【請求項11】
前記背面パネルは、前記胴体長さ調整ストラップを隠す請求項6に記載のバックパック。
【請求項12】
本体と、
フレームと、
第1の肩ストラップと、
第2の肩ストラップと、
前記フレームの湾曲部によって形成された一対のノッチと、
前記第1の肩ストラップおよび前記第2の肩ストラップのそれぞれから延在し、前記フレームによって吊り下げられた負荷引き上げストラップと、
前記第1の肩ストラップおよび前記第2の肩ストラップに取り付けられたヨークと、
第1の腰パッドおよび第2の腰パッドを有する腰ベルトに取り付けられた背面パネルと、
前記フレームの第1の下側部分から、前記フレームの前記第1の下側部分と反対側の前記フレームの第2の下側部分まで延在し、前記ヨークに固定されたストラップ受け部材を通過する胴体長さ調整ストラップと、を備え
前記負荷引き上げストラップは、前記ノッチの夫々の内側の位置に偏在するように、当該ノッチの上に置かれるバックパック。
【請求項13】
前記負荷引き上げストラップを選択的に締結する、前記第1の肩ストラップに固定された締結具と、
前記負荷引き上げストラップの端部を前記第2の肩ストラップに固定する固定点と、
をさらに備える請求項12に記載のバックパック。
【請求項14】
前記負荷引き上げストラップを選択的に締結する、前記第1の肩ストラップに固定された第1の締結具と、
前記負荷引き上げストラップを選択的に締結する、前記第2の肩ストラップに固定された第2の締結具と、
をさらに備える請求項12に記載のバックパック。
【請求項15】
前記一対のノッチは、前記フレームの上部に配置され、前記フレームの背後に前記負荷引き上げストラップを方向付けるものである請求項12に記載のバックパック。
【請求項16】
前記負荷引き上げストラップは、前記一対のノッチを通って摺動可能である請求項15に記載のバックパック。
【請求項17】
前記胴体長さ調整ストラップを選択的に締結する、前記フレームの前記第1の下側部分に固定された締結具と、
前記胴体長さ調整ストラップの端部を前記フレームの前記第2の下側部分に固定する固定点と、
をさらに備える請求項12に記載のバックパック。
【請求項18】
前記胴体長さ調整ストラップを選択的に固定する、前記フレームの前記第1の下側部分に固定された第1の締結具と、
前記胴体長さ調整ストラップを選択的に固定する、前記フレームの前記第2の下側部分に固定された第2の締結具と、
をさらに備える請求項12に記載のバックパック。
【請求項19】
前記ヨークは、前記胴体長さ調整ストラップの調整に応答して前記フレームの垂直部分に沿って摺動可能であるように、前記フレームに係合される請求項12に記載のバックパック。
【請求項20】
前記背面パネルは、前記胴体長さ調整ストラップの調整に応答して前記フレームの垂直部分に沿って摺動可能であるように、前記フレームに係合される請求項12に記載のバックパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年2月8日に出願された米国非仮出願第15/427,650号の優先権を主張し、その開示は、その全体が基準により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、ハイキング、キャンプ、釣りなどのような、旅行または広範囲の屋外活動に使用することができるバックパックに関する。
【背景技術】
【0003】
バックパックは、ユーザの肩と背中に負荷を分散させることによって、ユーザがアイテムを持ち運ぶことを可能にする。典型的には、バックパックは、そこを通してユーザが腕を挿入する肩ストラップによってユーザの肩に保持される。バックパックはまた、ユーザの背中での過剰な回転を防止することで負荷をさらに安定させる腰ベルトを含んでもよい。バックパックで積荷を運ぶことは、手で運ぶことに代わる快適な手段となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボディタイプおよび姿勢がバックパックのユーザ間で異なるため、バックパックの肩ストラップおよび腰ベルトは簡単に調整できるものであることが望ましい。ユーザの背中および肩に、より良好な輪郭を描く肩ストラップを得るために、いくつかのバックパックは、肩ストラップおよび本体に取り付けられた負荷安定化ストラップを含む。しかしながら、従来のバックパックは多くの場合、2つの個々の負荷安定化ストラップ(各肩ストラップに1つ)を有し、これらの負荷安定化ストラップは、個別の調整が可能である。したがって、ユーザはバックパックがユーザの背中に対称的に載ることができるように、各ストラップを個別に調整し、各ストラップの設定を調整しなければならない。また、別個の独立した負荷安定化ストラップは、ユーザの動きに応じて負荷および肩ストラップの位置をシフトさせるように協働して機能することができない。ユーザの快適性は、この点で制限される。
【0005】
さらに、いくつかのバックパックは、腰ベルトの位置の調整が可能とされている。しかしながら、従来の調整機構は使用が困難であり、特に肩ストラップと腰ベルトとの間の長さが調整される場合に、調整を行うために、ユーザがバックパックを取り外すか、またはバックパックを部分的に分解することを必要とすることがある。
【0006】
したがって、ユーザが肩ストラップおよび腰ベルトの位置を迅速かつ容易に調整することを可能にする、バックパックのための改善された負荷調整システムが必要とされている。また、ユーザの動きに応答するこのようなシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、肩ストラップの位置を調整して、ユーザの肩を横切る負荷の可変な分布を可能にする負荷引き上げ機構を有するバックパックに関する。そのようなバックパックの一例は、本体と、フレームと、第1の肩ストラップと、第2の肩ストラップと、一対の肩ストラップの各々から延び、フレームによって吊り下げられた負荷引き上げストラップとを含むことができる。
【0008】
一実施形態では、バックパックはまた、負荷引き上げストラップを選択的に締結する第1の肩ストラップに固定された締結具と、負荷引き上げストラップの一端を第2の肩ストラップに固定する固定点とを含むことができる。
【0009】
別の実施形態では、バックパックは、負荷引き上げストラップを選択的に締結する第1の肩ストラップに固定された第1の締結具と、負荷引き上げストラップを選択的に締結する第2の肩ストラップに固定された第2の締結具とを含むことができる。
【0010】
さらに別の実施形態は、フレームの上部に配置された一対のノッチを含むことができ、これらのノッチは、負荷引き上げストラップをフレームの背後に向ける。
【0011】
本発明の別の態様は、ユーザに対するバックパックの快適性を向上させ、安全性を向上させるために、バックパックの腰ベルトと肩ストラップとの間の距離を調節する胴体長さ調節機構に関する。このようなバックパックの一例は、本体と、フレームと、第1の肩ストラップと、第2の肩ストラップと、第1の肩ストラップおよび第2の肩ストラップに取り付けられたヨークと、第1の腰パッドおよび第2の腰パッドを有する腰ベルトに取り付けられた背面パネルと、フレームの第1の下側部分からフレームの第1の下側部分と反対側のフレームの第2の下側部分まで延びると共に、ヨークに固定されたストラップ受け部材を通過する胴体長さ調整ストラップとを含むことができる。
【0012】
一実施形態では、バックパックが、胴体長さ調整ストラップを選択的に締結するフレームの第1の下側部分に固定された締結具と、胴体長さ調整ストラップの一端をフレームの第2の下側部分に固定する固定点とを含むことができる。
【0013】
別の実施形態では、バックパックが、胴体長さ調整ストラップを選択的に締結するフレームの第1の下側部分に固定された第1の締結具と、胴体長さ調整ストラップを選択的に締結するフレームの第2の下側部分に固定された第2の締結具とを含むことができる。
【0014】
別の実施形態では、ヨークが、胴体長さ調整ストラップの調整に応答してフレームの垂直部分に沿って摺動可能であるようにフレームに嵌合されてもよい。
【0015】
さらに別の実施形態では、背面パネルが、胴体長さ調整ストラップの調整に応答してフレームの垂直部分に沿って摺動可能であるように、フレームに嵌合されてもよい。
【0016】
さらに別の実施形態では、背面パネルが、胴体長さ調整ストラップを隠すことができる。
【0017】
さらに、本発明によるバックパックは、負荷引き上げ機構と胴体長さ調整機構の両方を含むことができる。このようなバックパックの一例は、本体と、フレームと、第1の肩ストラップと、第2の肩ストラップと、第1の肩ストラップおよび第2の肩ストラップのそれぞれに取り付けられ、フレームによって吊り下げられた負荷引き上げストラップと、第1の肩ストラップおよび第2の肩ストラップに取り付けられたヨークと、第1の腰パッドおよび第2の腰パッドを有する腰ベルトに取り付けられた背面パネルと、フレームの第1の下側部分からフレームの第1の下側部分と反対側のフレームの第2の下側部分まで延びると共に、ヨークに固定されたストラップ受け部材を通過する胴体長さ調整ストラップとを含むことができる。
【0018】
本発明は、以下の詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されるのであろう。図面は本発明のいくつかの可能な例を開示することを意図しており、したがって、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による負荷調整システムを備えたバックパックの模式図を示す。
図2】本発明に係る負荷引き上げ機構の構成例を示す図である。
図3】本発明に係る負荷引き上げ機構の構成例を示す図である。
図4】本発明に係る負荷引き上げ機構の構成例を示す図である。
図5】本発明に係る胴体長さ調整機構の構成例を示す図である。
図6】本発明に係る胴体長さ調整機構の構成例を示す図である。
図7】本発明に係る胴体長さ調整機構の構成例を示す図である。
図8】本発明に係る胴体長さ調整機構の構成例を示す側面図である。
図9】本発明に係る胴体長さ調整機構の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、一般に、バックパックのための改良された負荷調整システムに関する。負荷調整システムの好ましい例はバックパックに関連して以下に詳細に記載されるが、本明細書に記載される負荷調整システムは安全ベストおよび安全ハーネスなどの広範な種類の装置にも適用され得る。
【0021】
本発明の負荷調整システムの一実施例を図1に概略的に示す。まず、本発明の負荷引き上げ機構について説明する。以下、胴体長さ調整機構について説明する。
【0022】
図1のアセンブリ100は、バックパックの本体(図示せず)の形状を維持すると共に、他の機能の中でも、特定の構成要素を支持するために設けられたフレーム102を含む。フレーム102は、例えば、管状アルミニウムのような剛性のある細長い材料から作ることができる。フレーム102は、アセンブリ100の両側に垂直部分を含み、これらの垂直部分は、アセンブリ100の両側に沿って実質的に垂直に延在する。フレーム102の側部は、それらの頂端部で、フレーム102の頂部によって接続される。
【0023】
フレーム102の頂部はノッチ108を含む。ノッチ108は、フレーム102の湾曲部によって形成され、好ましくはフレーム102の頂部の外側端部に向かって配置される。ノッチ108は、好ましくは、それらを横切って配置される、バックパックに一般的に関連するタイプのストラップを収容するのに十分な幅を有する。したがって、ノッチ108は、例えば1/4インチ〜4インチであってもよい。各ノッチ108は、下向きの方向から延びる負荷引き上げストラップ110の向きが、他方のノッチ108に向って変わるように、頂部に対して角度が付けられた部分を含む。
【0024】
アセンブリ100は、肩ストラップ106をさらに含む。肩ストラップ106は、ヨーク152に取り付けられ、ヨーク152から上方に延びている。肩ストラップ106は、ユーザの肩に快適に載るように、通常の方法で輪郭付けされる。
【0025】
アセンブリ100は、負荷引き上げストラップ110をさらに含む。負荷引き上げストラップ110は、好ましくは固定点104で肩ストラップ106の1つに固定して取り付けられる。負荷引き上げストラップ110は、縫製、接着剤、または別の適切な方法によって、肩ストラップ106のうちの1つに固定的に取り付けられてもよい。負荷引き上げストラップ110は、好ましくはユーザによって選択的に締結され得るように、締結具112によって肩ストラップ106の他方に保持される。締結具112は、例えば、カムバックルであってもよい。肩ストラップの間で、負荷引き上げストラップ110は、肩ストラップ106に対してフレーム102の後方に延在する。負荷引き上げストラップ110は、ノッチ108の内側の位置に偏在するように、ノッチ108の上に置かれる。負荷引き上げストラップ110がノッチ108の1つを横切って置かれると、そのストラップは、自由に動くのではなく、ノッチ108の内側の所定位置に留まるように偏在させられる。ノッチ108は、フレーム102の背後を通過するように負荷引き上げストラップ110の向きを変える。
【0026】
代替の実施形態では、負荷引き上げストラップ110が、例えば、負荷引き上げストラップ110が通過するフレーム102に取り付けられたリングによって、フレーム102によって他の方法で吊り下げられてもよい。
【0027】
このように負荷引き上げストラップ110を配向することによって、負荷引き上げストラップ110は、フレーム102の剛性を使用して、ユーザから上方および後方の両方向に肩ストラップ106に張力を加える。肩ストラップ106の位置を調節するために、ユーザは、締結具112に対する負荷引き上げストラップ110の位置を変える。肩ストラップ106を上方に移動させるために、ユーザは締結具112を解放し、その自由端114によって負荷引き上げストラップ110を引っ張り、締結具112と固定点104との間の負荷引き上げストラップ110の長さを短くすることができる。次に、ユーザは、締結具112を係合させて、負荷引き上げストラップ110の位置を保持する。肩ストラップ106を下げるために、ユーザは締結具112を解放し、負荷引き上げストラップ110が締結具112を通って後退することを可能にし、したがって締結具112と固定点104との間の負荷引き上げストラップ110の長さを増加させる。
【0028】
このような構成により、ユーザは、片手のみを用いて肩ストラップ106の位置を調整することができる。これにより、ユーザは、アセンブリ100が着用されている間に、ハイキングなどの活動中に調整を行うことができる。
【0029】
代替の実施形態では、固定点104を、例えば、締結具112などの機構によって置き換えることができる。これにより、ユーザは、どちらの側から調整を行うかを選択することができる。また、負荷引き上げストラップ110が置かれるノッチ108は、バックパックの本体に固定されたループ又はリングのような他の同様の機構で置き換えることができる。
【0030】
負荷引き上げストラップ110を使用して両方の肩ストラップ106に張力を加えることは、ユーザの動きに対する応答性を改善するので有利である。負荷引き上げストラップ110は、フレーム102のノッチ108の上に置かれる。ノッチ108はフレーム102に対して横方向の負荷引き上げストラップ110の移動を制限するが、負荷引き上げストラップ110はノッチ内で横方向に摺動することができる。その結果、肩ストラップ106の一方が持ち上げられて負荷引き上げストラップ110の張力が解放されると、肩ストラップ106の他方が下げられる。
【0031】
図2乃至図4は、バックパック200に実装された本発明に係る負荷引き上げ機構による肩ストラップによる、上記の協調運動を示す。図2において、締結具212は、固定点204と締結具212との間の負荷引き上げストラップ210の長さを設定するようにロックされている。肩ストラップ206は、負荷引き上げストラップ210によって均一な高さで吊り下げられている。
【0032】
図3では、イメージ中の右側の肩ストラップ206が下げられている。その結果、負荷引き上げストラップ210は、ノッチ208を通って下降した肩ストラップ206に向かって引っ張られる。負荷引き上げストラップ210のシフトを考慮するために、イメージ中の左側の肩ストラップ206が持ち上げられる。図4は、肩ストラップ206の位置を逆にした同様の状況を示す。
【0033】
単一の負荷引き上げストラップの使用は、肩ストラップがユーザの動きにより良く応答することを可能にする。例えば、はしごを登るような、ユーザの腕を交互に持ち上げることを必要とする活動の間、負荷引き上げストラップはノッチ内で移動し、その結果、肩ストラップを上下させる。従って、負荷の重量はユーザの肩の一つに集中せず、快適性が促進される。
【0034】
次に、本発明に係る胴体長さ調整機構について説明する。再び図1を参照すると、ヨーク152は、取付点170においてフレーム102上を摺動可能であるように取り付けられている。取付点170は、フレーム102が通過するヨーク152の側面に位置する中空チャネルであってもよい。ヨーク152はこれにより、前後方向および左右方向に拘束されるが、フレーム102に沿って上下に並進することができる。
【0035】
アセンブリ100はまた、好ましくは、ヨーク152とユーザとの間に据えられる背面パネル154を含む。背面パネル154はまた、取付点168でフレーム102に取り付けられている。取付点168は、フレーム102が通過する、背面パネル154の側部にある中空チャネルであってもよい。背面パネル154は、フレーム102に対していかなる方向にも自由に動くことができないことが好ましい。腰パッド162は、好ましくは背面パネル154に取り付けられ、アセンブリ100の下側に配置される。
【0036】
アセンブリ100は、肩ストラップ106と腰パッド162との間の距離を調節するための胴体長さ調整ストラップ158をさらに含む。胴体長さ調整ストラップ158は、好ましくはフレーム102の下側部分において、フレーム102自体、またはフレーム102の下側部分から延びるパネルのいずれかに、縫合、接着剤、または他の適切な方法によって取り付けられる固定点160において固定される。固定点160から、胴体長さ調整ストラップ158は、ヨーク152の下部に取り付けられたストラップ受け部材156を通過する。ストラップ受け部材156は例えば、リングであってもよい。次に、胴部長さ調整ストラップ158は、固定点160とは反対側で、フレーム102自体またはフレーム102の下側部分から延びるパネルに、フレーム102の下側部分において固定された締結具166に通される。締結具166は、例えば、カムバックルであってもよい。
【0037】
ユーザが胴体長さ調整ストラップ158の自由端164を引っ張ると、胴体長さ調整ストラップ158の張力が増大する。張力が増大すると、胴体長さ調整ストラップ158はストラップ受け部材156を通って締結具166に向かって摺動し、固定点160と締結具166との間の胴体長さ調整ストラップ158の長さが減少する。この長さが減少すると、ストラップ受け部材156と腰パッド162との間の垂直距離が減少する。このプロセスでは、ヨーク152はストラップ受け部材156によって下方に引っ張られ、フレーム102の垂直部分に沿って、腰パッド162により近い下方位置まで摺動する。ユーザがヨーク152および肩ストラップ106が快適な位置にあるように自由端164を引っ張ったとき、締結具166は、その位置に胴体長さ調整ストラップ158を保持するように係合されてもよい。
【0038】
代替の実施形態では、胴体長さ調整ストラップ158が着用者の両側で調整可能であるように、固定点160が、カムバックルなどの第2の締結具によって置き換えられてもよい。
【0039】
逆に、ユーザが、肩ストラップ106と腰パッド162との間の距離を増大させたい場合には、締結具166の係合が解除され、胴体長さ調整ストラップ158内の張力が解放される。その結果、胴部長さ調整ストラップ158は、ストラップ受け部材156を通って反対方向に摺動することができ、その結果、固定点160と締結具166との間の胴部長さ調整ストラップ158の長さが増大する。例えば、ユーザがそのアセンブリを着用しており、重力がアセンブリ100を下方に付勢してユーザの肩が肩ストラップ106に上向きの力を加えている場合には、胴体長さ調整ストラップ158がこのように摺動して、ヨーク152はフレーム102の垂直部分に沿って上方に摺動する。ユーザが、ヨーク152および肩ストラップ106が快適な位置にあるように自由端164を引っ張ったときに、締結具166は、その位置に胴体長さ調整ストラップ158を保持するように係合されてもよい。
【0040】
代替の実施形態では背面パネル154がフレーム102上で摺動可能であるように取り付けられてもよく、ヨーク152はフレーム102に固定されてもよい。このような構成では、胴体長さ調整ストラップ158の調節により、背面パネル154がフレーム102の垂直部分に沿ってシフトして、腰パッド162を肩ストラップ106の近くまたは遠くのいずれかに移動させることになる。したがって、背面パネル154はフレーム102に対して摺動可能であり、ヨーク152はフレーム102に対して静止している。
【0041】
図5乃至図9は、バックパック300上での本発明による胴体長さ調整機構の実施を例示する。図5において、バックパック300は、固定点(図1において符号160で示される)と締結具(図1において符号166で示される)との間の胴体長さ調整ストラップ(図1において符号158で示される)の長さが最大化された状態で示されている。自由端364の長さは、この状態で最も短い。また、この状態において、ヨーク352は、バックパック300の残余の部分が重力によって下方に押されつつユーザの肩によって上方に押されたときに、フレーム302の垂直部分に沿って最上部の位置まで移動することが可能である。これにより、腰パッド362と肩パッド306との間の距離は最大化される。
【0042】
図6において、バックパック300は、固定点(図1において符号160で示される)と締結具(図1において符号166で示される)との間の胴体長さ調整ストラップ(図1において符号158で示される)の長さが中間の長さである状態で示されている。この状態では、自由端364も中間の長さである。この状態で、ヨーク352は、胴体長さ調整ストラップ358の張力によってフレーム302の垂直部分に沿った中間位置に拘束される。これにより、腰パッド362と肩パッド306との間の距離は中間の距離となる。
【0043】
図7において、バックパック300は、固定点(図1において符号160で示される)と締結具(図1において符号166で示される)との間の胴体長さ調整ストラップ(図1において符号158で示される)の長さが最小化された状態で示されている。自由端364の長さは、この状態では最も長い。また、この状態では、ヨーク352が、胴体長さ調整ストラップ358の張力により、フレーム302の垂直部分に沿って最下位置に押しやられる。これにより、腰パッド362と肩パッド306との間の距離は最小限に抑えられる。この状態では、ヨーク352は、ユーザとの関係において、背面パネル354の実質的な後方に位置することができる。さらに、ヨーク352の取付点370は、背面パネル354の取付点内に入れ子になってもよく、またはその逆であってもよい。
【0044】
図8は、胴体長さ調整機構の構成要素を露出させるために折り畳まれた背面パネル354の上部を伴うバックパック300を示す。ストラップ受け部材356および胴体長さ調整ストラップ358の何れもがユーザの衣類と擦れたり絡まったりしないように、背面パネル354が、ストラップ受け部材356及び胴体長さ調整ストラップ358を隠すことが好ましい。
【0045】
図9は、バックパック300の側面図を示す。胴体長さ調整ストラップ358は、背面パネル354の背後から右の腰パッド362の外側に延び、そこで締結具366を通過する。その結果、自由端364は、ユーザがバックパック300を着用している間に引っ張って伸ばしたり後退が可能となったりするように、ユーザの右手で容易にアクセスすることが可能となっている。
【0046】
要約すると、胴体長さ調節機構は、バックパックまたはその機構を実施する他の着用可能な装置のユーザに、バックパックに設けられた腰パッドまたは腰ベルトの位置を容易かつ便利に調節する能力を提供する。胴体長さ調整ストラップの自由端を片手で引っ張ることによって、ユーザは、肩ストラップと腰ベルトとの間の距離を減少させることができる。例えば、背の低いユーザは、この手順を実行することができる。胴体長さ調整ストラップを保持している締結具を片手で解放することによって、ユーザは、肩ストラップと腰ベルトとの間の距離を増加させることができる。例えば、背の高いユーザは、この手順を実行することができる。肩ストラップに対する腰ベルトの調整を行うことで、バックパック内の荷物を運ぶ際の快適性及び安全性が向上する。ユーザは、調整を実行するためにバックパックを取り外す必要はなく、さもなければ、活動を中止する必要がない。
【0047】
様々な実施形態を説明したが、他の実施形態もあり得る。改善された肩ストラップを有するバックパックの様々な例の前述の説明は、限定することを意図するものではなく、実施例に対して、任意の数の修正、組み合わせ、および代替の使用が可能であることを理解されたい。
【0048】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の他の実施形態を実施することができるので、本明細書に記載の例は単に例示的なものである。さらに、本発明の特定の特徴は特定の例または構成の文脈においてのみ上記で説明されてもよいが、これらの特徴は、本発明の範囲内に留まりながら、様々な実施形態または構成から、或いはそれらの間で、交換、追加、および除去されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9