(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880226
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】製品、特に化粧品を包装するための装置用の閉鎖キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
B65D41/04
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-553396(P2019-553396)
(86)(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公表番号】特表2020-515477(P2020-515477A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】EP2018057250
(87)【国際公開番号】WO2018177867
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年9月27日
(31)【優先権主張番号】1752513
(32)【優先日】2017年3月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・シャルネ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ブド
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・マルク
(72)【発明者】
【氏名】ロランス・ジェラール
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03737277(US,A)
【文献】
実開昭59−143945(JP,U)
【文献】
米国特許第05281385(US,A)
【文献】
特開昭48−066657(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第01596983(GB,A)
【文献】
特表2001−508680(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0308554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器用の閉鎖キャップであって、前記閉鎖キャップを前記容器にねじ込むための少なくとも1つの螺旋ネジ山(19)を含むボア(16b)を備えた内部スカート(16)と、少なくとも部分的に前記内部スカートを半径方向に取り囲む外部スカート(18)と、前記内部スカートおよび外部スカートが延在する前壁(14)とを含み、前記閉鎖キャップは、少なくとも1種の合成材料を成形することによって生産されている、閉鎖キャップにおいて、少なくとも1つの凹部(30)が、前記内部スカートの外側面(16a)に形成され、前記内部スカートの前側端面(16c)から軸方向に離れた位置に留まることを特徴とする、閉鎖キャップ。
【請求項2】
前記凹部(30)は、前記内部スカートの前記ボア(16b)内に出現せずに、前記内部スカート(16)の厚さ部分に延在する、請求項1に記載の閉鎖キャップ。
【請求項3】
前記凹部(30)は、前記内部スカートの前記外側面(16a)に対して半径方向内向きにオフセットされる底壁(30a)と、前記底壁に接合されかつ円周方向において前記凹部の範囲を定める少なくとも1つの側縁(30c)と、前記底壁に接合され、前記前側端面(16c)に向かって軸方向に位置し、かつ前記軸方向において前記凹部の範囲を定める少なくとも1つの端縁(30b)と、を含む、請求項1または2に記載の閉鎖キャップ。
【請求項4】
前記側縁(30c)は、前記閉鎖キャップの中心軸(12)に対して軸方向に延在する、請求項3に記載の閉鎖キャップ。
【請求項5】
前記端縁(30b)は、前記底壁(30a)と前記内部スカートの前記外側面(16a)との間に斜めに延在する、請求項3または4に記載の閉鎖キャップ。
【請求項6】
前記端縁(30b)が延在する方向と前記閉鎖キャップの中心軸(12)との間に形成される角度の値は、10°〜85°である、請求項5に記載の閉鎖キャップ。
【請求項7】
前記端縁(30b)が延在する方向と前記閉鎖キャップの中心軸(12)との間に形成される角度の値は、20°〜30°である、請求項6に記載の閉鎖キャップ。
【請求項8】
前記凹部は溝または細溝である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の閉鎖キャップ。
【請求項9】
前記内部スカートの前記外側面(16a)に形成された複数の凹部(30)を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の閉鎖キャップ。
【請求項10】
前記凹部(30)は、円周方向に規則的に互いに離間している、請求項9に記載の閉鎖キャップ。
【請求項11】
製品を包装するための装置であって、前記製品を保存するための容器を含み、容器は、ネック部と、前記ネック部にねじ込まれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の閉鎖キャップと、を備えている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばポット、ボトルなどの形態に生産された容器に、取り外し可能に締結される閉鎖キャップまたは蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、化粧品、医薬品または皮膚用医薬品を保存するための封止容器に特に好適である。そのような製品は、例えば、水性の形態の、オイル、ミルク、クリーム、ペースト、ゲル、泡の形態などで小出しされ得る。
【0003】
化粧品の分野では、プラスチック材料を成形することによって生産された閉鎖キャップを使用することが比較的一般的である。従来、そのようなキャップは、関連の容器へ締結するためのネジ山を内側に備える内部スカートと、内部スカートを取り囲む外部囲みスカートと、それらスカートが接合される前壁とを含む。そのようなキャップはまた、飲料用の液体を入れている密閉ボトルの分野においても広範に使用される。これらのキャップの設計に関するより詳細な説明のために、例えば特許出願(特許文献1)が参照され得る。
【0004】
従来、閉鎖キャップは、主に、キャップの外形に対応する形状を備えるキャビティが設けられた母型と、その内側形状を成形するための内側および外側コアとを含む型の内部に、成形される。内側コアは、その外側面に、キャップの内部スカートのネジ山を成形するための少なくとも1つの螺旋溝を含む。
【0005】
離型の最中に、内側コアがキャップからねじって外されるようにするために、回転防止レリーフが前記キャップに形成され、および外側コアと協働してキャップの回転を防止する。
【0006】
一般的に、回転防止レリーフは、キャップの内部スカートの外側面から突出するリブの形態にある。その代わりにまたはそれと組み合わせて、キャップのこれらのレリーフは、内部スカートの前側端面におよび/または前壁の下面に形成された歯の形態で、実現されることができ、それに内部スカートが接合される。
【0007】
キャップが関連の容器から切り離されると、これらの回転防止レリーフは消費者に見えるようになり、これは、キャップの審美的外観および知覚品質(perceived quality)を損なう。
【0008】
本発明は、これらの欠点を改善することを目指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2 523 551号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題は、容器用の閉鎖キャップであって、前記キャップを容器にねじ込むための少なくとも1つのネジ山を含むボアを備える内部スカートと、前記内部スカートを少なくとも部分的に半径方向に取り囲む外部スカートと、前記内部および外部スカートが延在する前壁とを含む、閉鎖キャップである。キャップは、少なくとも1種の合成材料を成形することによって生産される。
【0011】
キャップの1つの一般的特徴によれば、少なくとも1つの凹部が、内部スカートの外側面に形成され、前記スカートの前側端面から軸方向に離れた位置に留まる。
【0012】
「凹部」は、窪み、または内部スカートの外側面に対して窪んだ部分であると理解される。
【0013】
内部スカートの外側面に形成された1つまたは複数の凹部は、前記キャップの離型フェーズ中に型の内側コアをねじって外すステップの最中、キャップの回転防止機能を保証することを可能にする。
【0014】
内部スカートの外側面に対して後退して延在し、かつこのスカートの前側端面から軸方向に離れた位置に留まる1つ以上の凹部の提供は、このまたはこれらの回転防止要素の存在を消費者にあまり見えないようにし、それゆえ、キャップの外観を改善するという利点を有する。
【0015】
前記凹部は、内部スカートのボア内に出現せずに、前記スカートの厚さ部分に延在し得る。
【0016】
好ましくは、前記凹部は、内部スカートの外側面に対して半径方向内向きにオフセットされる底壁と、底壁に接合されかつ円周方向における前記凹部の範囲を定める少なくとも1つの側縁と、底壁に接合され、前側端面に向かって軸方向に位置し、および軸方向における前記凹部の範囲を定める少なくとも1つの端縁とを含む。
【0017】
そのような設計では、前記側縁が、前記キャップの中心軸に対して軸方向に延在するように、提供することが可能である。これにより、型の内側コアをねじって外すステップの最中、キャップを適切に適所に保つのを助ける。
【0018】
この設計では、前側端面に向かって軸方向に位置する前記凹部の端縁が、底壁と内部スカートの外側面との間に斜めに延在するように、提供することも考えられる。そのような向きによって、力によるキャップの離型ができるようにする。この目的を達成するために、前記端縁が延在する方向と前記キャップの中心軸との間に形成される角度の値は、好ましくは10°〜85°、さらに良好には20°〜30°である。
【0019】
変形例では、前記凹部の端縁が、湾曲プロファイルに従って、底壁と内部スカートの外側面との間に延在するように提供することも考えられる。端縁によって規定された表面のそのような湾曲によって、力によるキャップの離型をできるようにする。
【0020】
例示として、1つまたは複数の凹部は、好ましくは、溝および/または細溝である。1つまたは複数の凹部は、横断面に円形または多角形、例えば正方形、矩形などのプロファイルを有する、ディッシュまたはキャビティの形態で実現され得る。
【0021】
複数の凹部が内部スカートの外側面に形成されるとき、前記凹部は、円周方向において規則的に互いに離間し得る。これによって、良好な材料均質性を得ることが可能となり、およびキャップの内部スカートの外側面に変形が発生して、キャップが関連の容器から取り外されたときに、前記変形が消費者に見える可能性があるリスクを制限する。
【0022】
上述の通り、内部スカートの前記ネジ山は螺旋状であり、キャップがねじ込みによって関連の容器に確実に締結されるようにする。ネジ山は、円周方向において連続的とし得る。あるいは、ネジ山は、円周方向において不連続とし得る。この場合、スカートの前記ネジ山は、円周方向において互いに離間して、キャップの内部スカートのボアに螺旋状に配置されている複数のネジ山セグメントを含み得る。
【0023】
関連の容器とキャップとの間に良好な漏れ耐性を得ることができるようにするために、キャップは、キャップの前壁と当接して装着された被挿入シールを収容し得る。この場合、キャップの内部スカートに、前壁に対するシールの軸方向の保持のために少なくとも1つの保持用膨らみ部を提供することが可能である。あるいは、この軸方向の保持は、内部スカートのネジ山によって実現され得る。
【0024】
好都合には、本発明によるキャップは、特にクリーム、泡、ゲル、ミルクまたはペーストの形態にある、化粧品、または皮膚用製品を保存するための容器に使用され得る。特に、体用衛生製品、ヘアスタイリング製品、スキンケアもしくはヘアケア製品、メイクアップ製品、または日焼け防止製品とし得る。
【0025】
キャップはまた、他の適用例、例えば飲料用の液体を入れている密閉ボトルにも使用され得る。
【0026】
本発明は、全体的に非限定的な例として与えられかつ添付図面によって示される実施形態の詳細な説明を検討することから、より良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態による閉鎖キャップの断面図である。
【
図2】外部囲みスカートが図示されていない、
図1からのキャップの前面図である。
【
図3】
図1の軸III−IIIに沿って取ったキャップの断面図である。
【
図4】本発明の第2の例示的な実施形態によるキャップの断面の部分的な図である。
【
図5】本発明の第3の例示的な実施形態によるキャップの断面の部分的な図である。
【
図6】型内の成形位置にある、
図1からのキャップを示す概略的な断面図である。
【
図7】本発明の第4の例示的な実施形態による閉鎖キャップの断面図である。
【
図8】本発明の第5の例示的な実施形態による閉鎖キャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、製品を保存するための容器(図示せず)にねじ込まれるように提供される蓋またはキャップを示し、全体的に参照符号10で示す。
【0029】
キャップ10は、垂直であると推定される位置で示され、かつ中心メジアン軸12に沿って延在する。キャップ10は、合成材料、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを成形することによって、一体形で生産される。
【0030】
下記でより詳細に説明するように、キャップ10は、その離型のために設けられた回転防止手段の可視性を制限するように設計されている。
【0031】
キャップ10は、上方前端壁14と、内部スカート16と、内部スカートを取り囲む周辺外部スカート18とを含む。スカート16、18は、軸12を中心に置いている。スカート16、18は、前壁14の下面から軸方向に延在する。前壁14は半径方向に延在する。
【0032】
軸12と同軸の外部スカート18は、前壁14の大直径縁に軸方向に続く。外部スカート18は、内部スカート16を半径方向に取り囲み、内部スカートから半径方向に離れた位置に留まっている。この場合、スカート18は、軸方向に、内部スカート16を越えて延在する。外部スカート18は、キャップ10の囲みスカートを形成する。図示の例示的な実施形態では、外部スカート18は円形横断面を有する。あるいは、多角形、特に正方形の横断面、または楕円形横断面などを提供することも可能である。
【0033】
キャップの内部スカート16は、外側面16aと、ボア16bを形成する対向する内側面とによって、半径方向の範囲が定められる。ボア16bは、軸12と同軸であり、かつシリンダー状の形状を有する。内部スカート16はまた、前記スカートの自由端部を形成する前面16cを含む。この場合、前面16cは、外部スカート18から軸方向に後退している。
【0034】
内部スカート16は、内側に、キャップ10を関連の容器にねじ込むための螺旋ネジ山19を含む。ネジ山19は、ボア16bから半径方向内向きに延在する。この場合、ネジ山19は、円周方向において連続的である。変形例では、セグメント化されたネジ山、すなわち円周方向において不連続であるネジ山を提供することが可能である。内部スカート16は、キャップを、関連の保存容器にねじ込むことができるようにする。図示の例示的な実施形態では、ネジ山19は2つのネジ山を含む。変形例では、ネジ山19は、単一のネジ山を含んでも、または3つ以上のネジ山を含んでもよい。
【0035】
図示の例示的な実施形態では、成形後に、キャップの前壁14の上面に材料の収縮斑(shrinkage marks)が発生するのを制限するために、内部スカートの外側面16aにアンダーカット部20が形成される。この目的を達成するために、アンダーカット部20は、前壁14の下面との内部スカート16の接合ゾーンにおいて、内部スカート16の厚さがスカートの残りの部分の厚さと比べて薄くされるように、形成される。換言すると、内部スカート16は、その軸方向長さの方向において可変厚さを有し、この厚さは、前壁14との接合ゾーンにおいて最小である。
【0036】
内部スカート16は、実質的に一定である厚さE
1の近位部分22であって、前壁14の下面から延在する前記近位部分22と、実質的に一定でありかつ厚さE
1を上回る厚さE
2の遠位部分24と、前記部分を一緒に接続する接続部分26とを含む。接続部分26は、その長さに沿って変化する厚さE
3を有する。接続部分26の厚さは、近位部分22から遠位部分24へ向かうに従って徐々に増加する。接続部分26は、円錐台(frustoconical)形状を有する。図示の例示的な実施形態では、近位部分22の厚さE
1は内部スカート16の最小厚さである一方、遠位部分24の厚さE
2は前記スカートの最大厚さである。例示として、26mmに等しい内部スカート16の最大直径では、近位部分22の厚さE
1は、前壁14との接合部において0.6mmに等しく、および遠位部分24の厚さE
2は1.3mmに等しいとし得る。
【0037】
図示の例示的な実施形態では、接続部分26は、キャップの軸12に対して傾斜している。接続部分26の長手方向軸28は、キャップの中心軸12と、非ゼロの傾斜角度αをなす。例示として、角度αの値は、例えば、8°〜15°、および好ましくは10°に等しいとし得る。
【0038】
ここで
図2を参照して説明すると、接続部分26は、軸方向において、円形上縁26aおよび円形下縁26bによって範囲が定められる。好ましくは、接続部分26の傾斜は、下縁26bの、P
proxで参照される近位点のキャップの軸12上への直角投影点が、上縁26aの、P
distで参照される遠位点の軸上への直角投影点に対して、前壁に向かって軸方向にオフセットされているように、選択される。
【0039】
内部スカートの近位部分22は、接続部分の上縁26aと前壁14の下面との間に軸方向に延在する。図示の例示的な実施形態では、近位部分22は、円錐台部分の形態にあり、これは、キャップの軸12を中心に置き、かつ内部スカートの前面16cに向かって半径方向外向きに広がっている。近位部分22の勾配は小さく、例えば約2°〜3°である。それゆえ、この例示的な実施形態では、内部スカートのアンダーカット部20は、近位部分22および接続部分26によって形成される。あるいは、近位部分22は、軸方向のシリンダー状部分の形態にあってもよい。この場合、内部スカートのアンダーカット部20は、接続部分26のみによって形成される。
【0040】
内部スカートの遠位部分24は、下縁26bから軸方向に延在する。遠位部分24は、内部スカートの前面16cの範囲を定める。この場合、遠位部分24はシリンダー状の形状を有する。
【0041】
キャップ10はまた、内部スカートの外側面16aに形成された複数の溝30を含む。溝30は互いに平行である。溝30は、スカートの前面16cと接続部分の上縁26aとの間に軸方向に配置される。各溝30は、内部スカートのボア16bには出現せずに、前記内部スカート16の厚さ部分へと半径方向に延在する。溝30は、前面16cに出現しない。この場合、溝30は、外側面16aに沿って軸方向に延在する。
【0042】
図2および
図3に示すように、溝30は、この場合規則的に、円周方向において互いに離間している。この場合、溝30は、外側面16aの円周方向において徐々に変化する軸方向寸法を有する。下記でより詳細に説明するように、溝30は、キャップ10の離型の最中の回転防止手段を形成する。
【0043】
ここで
図1および
図3を参照して説明すると、各溝30は、内部スカートの外側面16aに対して半径方向内向きにオフセットされる底壁30aと、軸方向において内部スカートの前面16cに向かって前記溝の範囲を定める下端縁30bとを含む。端縁30bは、この前面16cから軸方向に離れた位置にある。各溝30はまた、円周方向における前記溝の範囲を定める2つの対向する側縁30c、30dを含む。縁30b〜30dは底壁30aに接合されている。側縁30c、30dは軸方向に延在する。端縁30bは、底壁30aと内部スカートの外側面16aとの間に斜めに延在する。端縁30bの延在する方向と軸12との間に形成された角度の値は、好ましくは10°〜85°、より良好には、20°〜30°である。変形例では、端縁30bが、湾曲プロファイルに従って、底壁30aと内部スカートの外側面16aとの間に延在するように設けられてもよい。
【0044】
例示として、10mm〜60mmの外径の内部スカート16では、半径方向における溝30の深さは0.2mm〜0.7mmとし、および円周方向におけるこれらの溝の寸法は0.6mm〜5mmとし得る。図示の例示的な実施形態では、溝30は、横断面において矩形プロファイルを有する。変形例では、
図4に示すように、三角形の横断面を提供することも可能である。この場合、各溝の底壁30aは傾斜しており、かつ外側面16aに直接接合されている。各溝30は、単一の側縁30cを含む。
図5に示す別の変形例では、外側面16aに直接接合されている各溝の底壁30aは、凹面形状を有し得る。あるいは、例えば正方形、円弧の形態にあるなど、他の横断面を提供することも可能である。
【0045】
図6は、横断面において、製造型32内の成形位置にあるキャップ10を概略的に示す。キャップの軸12と同軸の軸34の型32は、主に、キャップの外形に対応する形状のキャビティ38を備える母型36、ならびにその内側形状を成形するための内側コア40および外側コア42を含む。型32はまた、軸方向に母型36と外側コア42との間に置かれた突出支持部44を含む。
【0046】
軸34の内側コア40は、その外側面に、キャップの内部スカートのネジ山19のネジ山を成形するための螺旋溝46を含む。外側コア42は環状形状を有する。外側コア42は、内側コア40を半径方向に取り囲み、およびキャップの外部スカート18のボアと内部スカート16の外側面との形状に相補的な形状を有する。
【0047】
キャップ10は、以下の通り、型32から離型される。第1のステップでは、コア40、42およびキャップ10が、型の母型36から一緒に引き出される。
【0048】
第2のステップでは、内側コア40が、キャップの内部スカート16のボアからねじって外される。内部スカート16の外側面に作られた溝30は、内側コア40をねじって外すこのステップの最中に、キャップが回転するのを防止する。溝30は、外側コア42のボアの相補的な突起部50と協働する。外側コア42に対するキャップ10の角度保持は、各溝の側縁の一方とコアの突起部50との円周接触によって得られる。各溝30のこの側縁は、キャップのブロッキングまたは回転防止縁を形成する。
【0049】
次に、第3のステップの間、キャップ10が、突出支持部44によって外側コア42から離型される。このステップの最中、内部スカート16の外側面のアンダーカット部20、および溝30は、力によって離型される。外側コア42は、キャップの内部スカート16を半径方向内向きに変形させ、かつ前記スカートを前面16cの方へ軸方向に伸張させる傾向のある離型力を加える。
【0050】
軸12に対する内部スカートのアンダーカット部20の接続部分26の傾斜を考慮すると、この接続部分と外側コア42との間の接触は、前記軸12に対して垂直な平面において連続的ではない。この接触は、軸12に対して傾斜している平面において連続的であり、およびその垂線は軸28に対応する。
【0051】
それゆえ、力によるアンダーカット部20の離型の最中、外側コア42によって前壁14の近くで内部スカートの外側面16aに加えられた力が制限される。具体的には、軸12に対して垂直なラジアル平面を考慮すると、離型力は、限定された角度セクタにわたってコア42によって加えられる。このラジアル平面では、キャップの内部スカート16は、半径方向内向きに変形され、かつこの角度セクタにおいてのみ軸方向に伸張される。それゆえ、キャップの前壁14の上面に斑が形成されるリスクが、これらの斑はキャップの離型の最中に形成される可能性があるため、制限される。
【0052】
しかしながら、1つの変形の実施形態では、内部スカートの円周で一定の軸方向長さを有する近位部分22と、キャップの軸12を中心に置く接続部分26とを備える内部スカートの異なる設計を提供することも可能なままである。そのような変形例は
図7に示され、ここでは、同一の要素は同じ参照符号を有する。
【0053】
同一の要素は同じ参照符号を有する
図8に示す別の変形の実施形態では、キャップ10が、内部スカートの外側面16aに形成されたアンダーカット部を有していないことも可能である。この例では、キャップの内部スカート16は、実質的に一定の厚さを有する。この場合、各溝30は、軸方向においてキャップの前壁14に向かって前記溝の範囲を定める上端縁30eを含む。
【0054】
図示の例示的な実施形態では、キャップは、内部スカートの外側面に形成された溝を含んで、離型フェーズの間に型の内側コアをねじって外すステップの最中の回転防止機能を保証する。変形例では、内部スカートの外側面に設けられた他のタイプの窪んだ凹部、例えば細溝、刻み目、ディッシュなどを提供することが可能である。
【0055】
本発明のおかげで、関連の容器からキャップが取り外されたときに、内部スカート上のこれらの回転防止要素の存在が消費者にあまり見えないキャップが提供される。