特許第6880231号(P6880231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880231アルキルアリールケトンの簡便な酸化的官能化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880231
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】アルキルアリールケトンの簡便な酸化的官能化
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/50 20060101AFI20210524BHJP
   C07C 43/315 20060101ALI20210524BHJP
   C07C 45/00 20060101ALI20210524BHJP
   C07C 49/84 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 303/48 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 295/096 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 295/112 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C07C41/50
   C07C43/315
   C07C45/00
   C07C49/84 E
   C07D303/48
   C07D295/096
   C07D295/112
【請求項の数】21
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2019-554980(P2019-554980)
(86)(22)【出願日】2018年4月19日
(65)【公表番号】特表2020-517590(P2020-517590A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2018060011
(87)【国際公開番号】WO2018197324
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年10月28日
(31)【優先権主張番号】17167816.2
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519051698
【氏名又は名称】アイジーエム グループ ビー.ヴィ.
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ソマーレード ラインハルト
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101624321(CN,A)
【文献】 特開昭59−167546(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/001928(WO,A1)
【文献】 特表2013−538243(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0329662(US,A1)
【文献】 特開昭57−050956(JP,A)
【文献】 特開昭57−098232(JP,A)
【文献】 特開昭57−192325(JP,A)
【文献】 特開昭64−070431(JP,A)
【文献】 特開平01−221349(JP,A)
【文献】 特表2008−514671(JP,A)
【文献】 特表2016−512842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iのアルキルアリールケトンを、ヘキサクロロエタン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させる方法であって、これにより、一般式Iのアルキルアリールケトンのアリールオキシラン又は一般式Iのアルキルアリールケトンのα−官能化アルキルアリールケタールが得られ、
【化1】
前記一般式I中、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成し、
、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられているか、又は〜Rのうちの2つの隣接する残基が式Iの前記ベンゼン環と共に芳香族系を形成する方法。
【請求項2】
及びRが同じであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
及びRが、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキルから選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
及びRが異なり、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキルから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
及びRが、連結するC原子と共にC−C10−シクロアルキルを形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
、R、R、R及びRが同じであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
、R、R、R及びRが、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキルから選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの少なくとも1つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rが直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRが連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
、R、R、R及びRのうちの1つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、又はN(R又はSRであり、Rが直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRが連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキルから選択されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
、R、R、R及びRのうちの2つ又は3つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキルから選択されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項又は請求項8に記載の方法。
【請求項11】
及びR又はR及びRが、式Iの前記ベンゼン環と共に、ナフチル系、アントラセニル系及びフェナントレニル系から選択される芳香族系を形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記残りのRのうちの1つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキルから選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基が、ナトリウムC−C−アルコキシド、リチウムC−C−アルコキシド、カリウムC−C−アルコキシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記塩基が水溶液の形態にあるか、又は前記塩基が有機溶媒中で提供され、前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
0〜120℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
有機溶媒中で実施され、前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法によって得られる前記アリールオキシランを、相間移動条件下で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11が、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11が連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子がOで置き換えられている化合物と接触させるさらなる工程を備えることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記工程が、相間移動触媒の存在下で実施され、前記相間移動触媒が、第四級アンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩化物、テトラアルキルホスホニウム臭化物及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記方法によって得られた前記α−官能化アルキルアリールケタールを酸と接触させるさらなる工程を備えることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
一般式IIのα−官能化ケトンが得られ、
【化2】
前記式II中、R、R、R、R、R、R及びRは前記一般式Iで定義されたとおりであり、Zは、OR、NHR及びNR1011から選択され、R、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられていることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ZがORであり、Rが、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、又はZがNR1011であり、R10及びR11が、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリールから選択されるか、若しくはR10及びR11が、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルアリールケトンを反応させ、これにより対応するアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールを得る方法、この方法によって得られるアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタール、及びこの方法によって得られるα−官能化ケトンに関する。
【背景技術】
【0002】
光重合プロセスは、従来の硬化系に勝るその多大な優位点に起因して、非常に多くの応用例において、例えば重ね刷りコーティング、印刷用インクにおいて、電子プリント配線基板及び印刷板の製造において、並びに種々の物質、例えば木材、プラスチック類、紙、ガラス又は金属のコーティングにおいて、大きな重要性を得ている。光開始剤の存在下でのUV照射による光硬化の1つの優位点は、高速であることである。しかしながら、この速度は、使用される光開始剤に大きく依存する。最も有効な光開始剤としては、例えば独国特許第2,722,264号明細書及び米国特許第4,740,624号明細書に記載されているα−ヒドロキシル化ケトンがある。ケトンのα−官能化のためのさらなる方法は、例えばGary Jing Chuangら、「A Dinuclear Palladium Catalyst for α−Hydroxylation of Carbonyls with O」、J.Am.Chem.Soc.、133、1760−1762(2011)、Chengqun Chenら、「An Efficient Method for the Synthesis of α−Hydroxyalkyl Aryl Ketones」、Synthesis、2008、第20号、3205−3208;Marek Koprowskiら、「Asymmetric oxidation of enol phosphates to α−hydroxy ketones by (salen)manganese(III) complex;Effects of the substitution pattern of enol phosphates on the stereochemistry of oxygen transfer」、Tetrahedron、62、12363−12374(2006);Franklin A.Davisら、「Oxidation of Silyl Enol Ethers Using 2−Sulfonyloxaziridines;Synthesis of α−Siloxy Epoxides and α−Hydroxy Carbonyl Compounds」、J.Org.Chem.、52、954−955(1987);Yu−Feng Liangら、「Highly Efficient C−H Hydroxylation of Carbonyl Compounds with Oxygen under Mild Conditions」、Angew.Chem.、2014、126、558−562;Yu−Feng Liangら、「I− or NBS−Catalyzed Highly Efficient αHydroxylation of Ketones with Dimethyl Sulfoxide」、Org. Lett.、17、876−879(2015);Bang−Chi Chenら、「α−hydroxylation of enolates and silyl enol ethers」、Organic Reactions、第62巻、2003、出版社John Wiley & Sons,Inc.に記載されている。
【0003】
しかしながら、α−ヒドロキシル化ケトンの調製のために使用される方法は、いくつかの不都合を示す。特に、α−ヒドロキシル化ケトンは、雑多な望まれない中間生成物及び副生成物を生じる複雑な反応によって調製され、このことが所望のα−ヒドロキシル化ケトンの収率及び純度を低下させ、商業的な関心を失わせているということに留意するべきである。さらには、入り組んだ精製工程が必要とされることが多い。従って、先行技術の周知の方法は、非常に複雑であるだけでなく、時間及び化学物質を多く必要とするものである。
【0004】
それゆえ、上述の不都合を回避するα−官能化ケトンの調製方法を提供することについて、当該技術分野で引き続くニーズがある。さらには、安価な出発物質を使用するα−官能化ケトンの調製方法を提供することが望ましい。さらには、所望のα−官能化ケトンを得るための複雑な加工及び入り組んだ精製工程を回避するα−官能化ケトンの調製方法を提供することが望ましい。これに加えて、望まれない副生成物の生成を回避し、従って所望のα−官能化ケトンの収率及び純度を高めるα−官能化ケトンの調製方法を提供することが望ましい。さらには、アルキルアリールケタール及び/又はアリールオキシラン等の明確な中間生成物の調製を可能にする方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第2,722,264号明細書
【特許文献2】米国特許第4,740,624号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Gary Jing Chuangら、「A Dinuclear Palladium Catalyst for α−Hydroxylation of Carbonyls with O2」、J.Am.Chem.Soc.、133、1760−1762(2011).
【非特許文献2】Chengqun Chenら、「An Efficient Method for the Synthesis of α−Hydroxyalkyl Aryl Ketones」、Synthesis、2008、第20号、3205−3208
【非特許文献3】Marek Koprowskiら、「Asymmetric oxidation of enol phosphates to α−hydroxy ketones by (salen)manganese(III) complex;Effects of the substitution pattern of enol phosphates on the stereochemistry of oxygen transfer」、Tetrahedron、62、12363−12374(2006)
【非特許文献4】Franklin A.Davisら、「Oxidation of Silyl Enol Ethers Using 2−Sulfonyloxaziridines;Synthesis of α−Siloxy Epoxides and α−Hydroxy Carbonyl Compounds」、J.Org.Chem.、52、954−955(1987)
【非特許文献5】Yu−Feng Liangら、「Highly Efficient C−H Hydroxylation of Carbonyl Compounds with Oxygen under Mild Conditions」、Angew.Chem.、2014、126、558−562
【非特許文献6】Yu−Feng Liangら、「I2− or NBS−Catalyzed Highly Efficient αHydroxylation of Ketones with Dimethyl Sulfoxide」、Org.Lett.、17、876−879(2015)
【非特許文献7】Bang−Chi Chenら、「α−hydroxylation of enolates and silyl enol ethers」、Organic Reactions、第62巻、2003、出版社John Wiley & Sons,Inc.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、α−官能化ケトンの調製方法を提供することが本発明の目的である。安価な出発物質を使用し、かつ所望のα−官能化ケトンを得るための複雑な加工又は入り組んだ精製工程を必要としないα−官能化ケトンの調製方法を提供することが本発明のなおさらなる目的である。所望のα−官能化ケトンの収率及び純度を高めるα−官能化ケトンの調製方法を提供することが本発明のなおさらなる目的である。アルキルアリールケタール及び/又はアリールオキシラン等の明確な中間生成物の調製を可能にする方法を提供することが本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的及び他の目的は本発明の主題によって解決される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、一般式Iのアルキルアリールケトンを、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させる方法であって、これにより対応するアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールが得られ、
【化1】
上記一般式I中、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H(水素原子)、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC(炭素)原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成し、
、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN(窒素)原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はO(酸素原子)で置き換えられているか、又は2つの隣接するRは式Iの上記ベンゼン環と共に芳香族系を形成する方法が提供される。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、このような方法は、安価な出発物質の使用によるα−官能化ケトンの調製に好適であり、所望のα−官能化ケトンを得るための複雑な加工及び入り組んだ精製工程を回避することを見出した。従って、当該方法は所望のα−官能化ケトンの収率及び純度を高める。さらには、当該方法は、明確な中間生成物、すなわち商業的に関心を持たれているアリールオキシラン及びα−官能化アルキルアリールケタール、の調製を可能にする。
【0011】
本発明の方法の優位な実施形態は、対応する従属請求項に規定される。
【0012】
1つの実施形態によれば、R及びRは同じである。
【0013】
別の実施形態によれば、R及びRは、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキルから選択される。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、R及びRは異なり、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキルから選択される。
【0015】
1つの実施形態によれば、R及びRは、連結するC原子と共にC−C10−シクロアルキル、好ましくはC−C−シクロアルキル、最も好ましくはC−シクロアルキルを形成する。
【0016】
別の実施形態によれば、R、R、R、R及びRは同じである。
【0017】
さらに別の実施形態によれば、R、R、R、R及びRは、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキルから選択される。
【0018】
1つの実施形態によれば、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの少なくとも1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する。
【0019】
別の実施形態によれば、R、R、R、R及びRのうちの1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシ、N(R又はSRであり、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキルから選択される。
【0020】
さらに別の実施形態によれば、R、R、R、R及びRのうちの2つ又は3つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキルから選択される。
【0021】
1つの実施形態によれば、R及びR又はR及びRは、式Iの上記ベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式、三環式又は四環式の芳香族系、より好ましくはナフチル系、アントラセニル系及びフェナントレニル系から選択される芳香族系を形成する。
【0022】
別の実施形態によれば、上記残りのRのうちの1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキルから選択される。
【0023】
さらに別の実施形態によれば、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは完全にハロゲン化されており、好ましくは上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、ヘキサクロロエタン、テトラクロロエチレン及びこれらの混合物から選択される。
【0024】
1つの実施形態によれば、上記塩基は、ナトリウムC−C−アルコキシド、好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、リチウムC−C−アルコキシド、好ましくはリチウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはリチウムC−C−アルコキシド、カリウムC−C−アルコキシド、好ましくはカリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはカリウムC−C−アルコキシド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0025】
別の実施形態によれば、上記塩基は水溶液の形態にあるか、又は上記塩基は有機溶媒中で提供され、好ましくはこの有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、例えば1,3−ジオキサン又は1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0026】
さらに別の実施形態によれば、当該方法は、0〜120℃(すなわち0℃以上120℃以下)の範囲、好ましくは12〜80℃の範囲、より好ましくは15〜50℃の範囲、最も好ましくは15〜30℃の範囲の温度で実施される。
【0027】
1つの実施形態によれば、当該方法は有機溶媒中で実施され、好ましくはこの有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、例えば1,3−ジオキサン又は1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0028】
1つの実施形態によれば、当該方法は、上記方法によって得られるアリールオキシランを、相間移動条件下で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられている化合物と接触させるさらなる工程を備える。
【0029】
別の実施形態によれば、上記工程は、相間移動触媒の存在下で実施され、好ましくはこの相間移動触媒は、第四級アンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩化物、テトラアルキルホスホニウム臭化物及びこれらの混合物から選択され、好ましくは上記相間移動触媒は、テトラアルキルアンモニウム塩又はトリアルキルアリールアンモニウム塩であり、より好ましくは上記相間移動触媒は、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、セチルピリジニウム及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0030】
さらに別の実施形態によれば、当該方法は、当該方法によって得られたα−官能化アルキルアリールケタールを酸、好ましくは塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、クエン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酪酸及びこれらの混合物を含む群から選択される酸と接触させるさらなる工程を備える。
【0031】
1つの実施形態によれば、一般式IIのα−官能化ケトンが得られ、
【化2】
上記一般式II中、R、R、R、R、R、R及びRは上記一般式Iで定義されたとおりであり、Zは、OR、NHR及びNR1011から選択され、R、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられている。
【0032】
別の実施形態によれば、ZはORであり、Rは、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択され、好ましくはRはHであるか、又はZはNR1011であり、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリールから選択されるか、若しくはR10及びR11は連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられており、好ましくはR10及びR11は、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、1以上の炭素原子はOで置き換えられている。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書中に規定される方法によって得られるアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールが提供される。本発明の別の態様によれば、本明細書中に規定される方法によって得られるα−官能化ケトンが提供される。
【0034】
以下では、本発明のアルキルアリールケトンを反応させる方法の詳細及び好ましい実施形態がより詳細に記載される。これらの技術的詳細及び実施形態は、適用可能である限りは、本発明の物にも適用されるということを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0035】
アルキルアリールケトンを反応させる方法が提供される。特に、一般式Iのアルキルアリールケトンを、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させる方法であって、これにより対応するアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールが得られ、
【化3】
上記一般式I中、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成し、
、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられているか、又は2つの隣接するRは式Iのベンゼン環と共に芳香族系を形成する方法が提供される。
【0036】
従って、一般式Iのアルキルアリールケトンは出発物質として使用されることが理解され、
【化4】
上記一般式I中、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成し、
、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられているか、又は2つの隣接するRは式Iのベンゼン環と共に芳香族系を形成する。
【0037】
一般式I中のR及びRに関しては、それらは同じであってもよいし異なっていてもよいことに留意されたい。好ましくは、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成する。
【0038】
本発明の意味における用語「直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル」は、炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルキル基を指し、その例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチルが挙げられる。
【0039】
本発明の意味における用語「C−C−シクロアルキル」は、炭素原子数3〜8の環状アルキルを指し、その例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。
【0040】
本発明の意味における用語「C−C−シクロアルケニル」は、炭素原子数3〜8の環状アルケニルを指し、その例としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルが挙げられる。
【0041】
本発明の意味における用語「直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル」は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルケニル基を指し、その例としては、例えば、エテニル、2−プロペニル等のプロペニル、ブテニル、トリイソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル及びオクテニルが挙げられる。本発明の意味における用語「アルケニル」は、シス異性体及びトランス異性体を含む。
【0042】
本発明の意味における用語「直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル」は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルキニル基を指し、その例としては、例えば、エチニル、1−プロピニル又は2−プロピニル等のプロピニル、例えばプロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル及びオクチニルが挙げられる。
【0043】
本発明の意味における用語「C−C14−アリール」は、1以上の6員の不飽和炭化水素環を含有する基であって、その不飽和が共役二重結合によって形式的に表され、このような環の1以上の炭素原子上で、独立に選択されるアルキル基によって任意に置換されていてもよい基を指す。従って、用語「C−C14−アリール」としては、好ましくは(非置換)C−C10−アリール及びC−C14−アルキルアリールが挙げられる。好適な例としては、例えば、フェニル、ナフチル、メチルフェニル、ジメトキシフェニル、5−イソプロピル−2−メチルフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ジメチルフェニル、t−ブチルフェニル、メチルナフチル及びジメチルナフチルが挙げられる。
【0044】
本発明の意味における用語「連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキルを形成する」は、炭素原子数3〜12の一環式、二環式又は三環式のアルキルを指し、その例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル及びアダマンチルが挙げられる。
【0045】
本発明の意味における用語「連結するC原子と共にC−C12−シクロアルケニルを形成する」は、炭素原子数5〜12の一環式、二環式又は三環式のアルケニルを指し、1以上、好ましくは1つ、の二重結合を備える。好適な例としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル及びシクロヘプテニルが挙げられる。上記C−C12−シクロアルケニルの二重結合は、α,β−不飽和カルボニル化合物が形成されないように位置していることが理解される。従って、一般式I中のR及びRは、連結するC原子と共にC−C12−シクロアルケニルを形成することができるが、ただしα,β−不飽和カルボニル化合物は形成されない。
【0046】
1つの実施形態では、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキルから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキルを形成する。好ましくは、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H又は直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキルから選択される。
【0047】
例えば、R及びRは同じである。この実施形態では、R及びRは、好ましくは、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成する。
【0048】
1つの実施形態では、R及びRは同じであり、Hである。
【0049】
別の実施形態では、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキルである。例えば、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキルである。R及びRが同じであり、C−アルキル又はC−アルキル、例えばC−アルキルであることがとりわけ好ましい。
【0050】
別の実施形態では、R及びRは、連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキルを形成する。例えば、R及びRは、連結するC原子と共に、C−C10−シクロアルキル、好ましくはC−C−シクロアルキル、より好ましくはC−C−シクロアルキル、最も好ましくはC−シクロアルキル又はC−シクロアルキル、例えばC−シクロアルキルを形成する。
【0051】
別の実施形態では、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニルである。例えば、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、最も好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−アルケニル又はC−アルケニル、例えば直鎖状のC−アルケニル又はC−アルケニルである。R及びRが同じであり、C−アルケニルであることがとりわけ好ましい。
【0052】
別の実施形態では、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、例えば直鎖状のC−C−アルキニルである。例えば、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、例えば直鎖状のC−C−アルキニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、例えば直鎖状のC−C−アルキニル、最も好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−アルキニル又はC−アルキニル、例えば直鎖状のC−アルキニル又はC−アルキニルである。R及びRが同じであり、C−アルキニルであることがとりわけ好ましい。
【0053】
別の実施形態では、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C14−アリール、例えば(非置換)C−C10−アリール又はC−C14−アルキルアリールである。例えば、R及びRは同じであり、(非置換)C−アリール又はC10−アリールである。あるいは、R及びRは同じであり、C−C12−アルキルアリールである。
【0054】
別の実施形態では、R及びRは、連結するC原子と共にC−C12−シクロアルケニルを形成する。例えば、R及びRは、連結するC原子と共に、C−C10−シクロアルケニル、好ましくはC−C−シクロアルケニル、最も好ましくはC−シクロアルケニル又はC−シクロアルケニル、例えばC−シクロアルケニルを形成する。
【0055】
及びRが同じである場合、R及びRが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状のC−C−アルキルであるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル、好ましくはC−シクロアルキル若しくはC−シクロアルキルを形成することが好ましい。より好ましくは、R及びRは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状のC−C−アルキルであるか、又はC−C12−シクロアルキルを形成する。最も好ましくは、R及びRは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状のC−C−アルキルである。
【0056】
あるいは、R及びRは異なる。この実施形態では、R及びRは、好ましくは、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル又はC−C14−アリールから選択される。例えば、R及びRは異なり、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、さらにより好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−アルケニル又はC−アルケニル、例えば直鎖状のC−アルケニル又はC−アルケニル、最も好ましくはC−アルケニル、及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、例えば直鎖状のC−C−アルキニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、例えば直鎖状のC−C−アルキニル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、例えば直鎖状のC−C−アルキニル、さらにより好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−アルキニル又はC−アルキニル、例えば直鎖状のC−アルキニル又はC−アルキニル、最も好ましくはC−アルキニルから選択される。1つの実施形態では、R及びRは異なり、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキルから選択される。1つの実施形態では、R及びRは異なり、H及びC−アルキル又はC−アルキル、好ましくはC−アルキルから選択される。
【0057】
及びRが異なる場合、R又はRは、好ましくはHであり、残りのR又はRは、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、さらにより好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくはC−アルキル又はC−アルキル、例えばC−アルキルである。
【0058】
好ましくは、R及びRは同じである。
【0059】
一般式Iのアルキルアリールケトンは、残基R、R、R、R及びRをさらに含む。R、R、R、R及びRは同じであってもよいし異なっていてもよいことが理解される。さらには、R、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成するか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられているか、又は2つの隣接するRは式Iのベンゼン環と共に芳香族系を形成する。
【0060】
本発明の意味における用語「C−C−アルコキシ」は、そのアルコキシ部分が炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルキルを有することを意味し、その例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第三級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ及びオクチルオキシが挙げられる。
【0061】
本発明の意味における用語「C−C−アルケニルオキシ」は、そのアルケニルオキシ部分が炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルケニルを有することを意味し、その例としては、例えば、エテニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、トリイソブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘキセニルオキシ、ヘプテニルオキシ及びオクテニルオキシが挙げられる。
【0062】
本発明の意味における用語「C−C−シクロアルコキシ」は、そのシクロアルコキシ部分が炭素原子数3〜8の環状アルキルを有することを意味し、その例としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、及びシクロヘプチルオキシが挙げられる。
【0063】
本発明の意味における用語「C−C15−アリールアルコキシ」は、そのアルコキシ部分が炭素原子数1〜4の、好ましくは炭素原子数1又は2の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルキルを有し、この鎖状アルキルがC−C14−アリールに連結されていることを意味する。
【0064】
本発明の意味における用語「C−C15−アリールアルキル」は、そのアルキル部分が炭素原子数1〜4の、好ましくは炭素原子数1又は2の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルキルであり、その鎖状アルキルがC−C14−アリールに連結されていることを意味する。
【0065】
本発明の意味における用語「C−C15−アルケニルアリールアルコキシ」は、そのアルコキシ部分が炭素原子数1〜4の、好ましくは炭素原子数1又は2の直鎖状若しくは分枝状の鎖状アルキルを有し、この鎖状アルキルがC−C14−アリール、好ましくはC−アリールに連結されており、このC−C14−アリール、好ましくはC−アリールが直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−アルケニルにさらに連結されていることを意味する。好ましくは、アルコキシ部分及びアルケニル部分は、アリール部分のパラ位に連結されている。
【0066】
1つの実施形態では、R、R、R、R及びRは同じである。この実施形態では、R、R、R、R及びRは同じであり、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキルから選択される。例えば、R、R、R、R及びRは同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキルである。R、R、R、R及びRが同じであり、Hであることがとりわけ好ましい。
【0067】
あるいは、R、R、R、R及びRは異なる。この実施形態では、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの少なくとも1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する。
【0068】
本発明の意味における用語「少なくとも1つ」は、R、R、R、R及びRのうちの1以上が、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成することを意味する。
【0069】
例えば、R、R、R、R及びRのうちの1つ又は2つ又は3つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する。例えば、R、R、R、R及びRのうちの1つ又は2つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する。
【0070】
好ましくは、R、R、R、R及びRのうちの1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する。
【0071】
、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの少なくとも1つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rが直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRが、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する場合、残りのものが、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキルから選択されることが好ましい。例えば、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの少なくとも1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、残りのものはHである。
【0072】
1つの実施形態では、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する。
【0073】
例えば、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニル又はC−アルケニルであり、残りのものはHである。
【0074】
あるいは、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つは、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、例えばC−アルケニルオキシ又はC−アルケニルオキシ、とりわけC−アルケニルオキシであり、残りのものはHである。
【0075】
1つの実施形態では、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つは、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、例えばC−アルケニルオキシ又はC−アルケニルオキシ、とりわけC−アルケニルオキシであり、残りのものは、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択される。
【0076】
例えば、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つは、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、例えばC−アルケニルオキシ又はC−アルケニルオキシ、とりわけC−アルケニルオキシであり、残りのもののうちの2つはHであり、残りのもののうちの2つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルである。
【0077】
あるいは、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つは、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものはHである。
【0078】
あるいは、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つはSRであり、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものはHである。
【0079】
あるいは、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つはN(Rであり、Rは、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−C−脂環系、より好ましくはC−C−脂環系、最も好ましくはC−脂環系又はC−脂環系を形成し、残りのものはHである。任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられている。好ましくは、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの1つはN(Rであり、Rは、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−C−脂環系、より好ましくはC−C−脂環系、最も好ましくはC−脂環系又はC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子はOで置き換えられており、残りのものはHである。
【0080】
、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRが、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する場合、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rが直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRが、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成することが好ましい。
【0081】
従って、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ又はN(R又はSRから選択され、Rが直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル若しくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニルから選択されるか、又はRが、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成する場合、この基がケト基に対してパラ位にあることが好ましい。
【0082】
別の実施形態では、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの2つ又は3つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択される。
【0083】
例えば、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの2つは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルキルオキシ、最も好ましくはC−C−アルキルオキシ、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものは、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択される。好ましくは、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの2つは、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシであり、残りのものは、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、好ましくは残りのものがHである。
【0084】
あるいは、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの2つは、C−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシであり、残りのものは、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、好ましくは残りのものはHである。
【0085】
1つの実施形態では、R、R、R、R及びRは異なり、それらのうちの3つは、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものは、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、好ましくは残りのものはHである。
【0086】
、R、R、R及びRのうちの2つ又は3つが直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルキルオキシ、最も好ましくはC−C−アルキルオキシ、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシである場合、好ましくはR及び/又はR及び/又はRが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、例えば直鎖状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルキルオキシ、最も好ましくはC−C−アルキルオキシ、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであることが理解される。
【0087】
1つの実施形態では、R及びR又はR及びRは、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式、三環式又は四環式の芳香族系、より好ましくはナフチル系、アントラセニル系及びフェナントレニル系から選択される芳香族系を形成する。この芳香族系は、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルである。
【0088】
例えば、R及びRは、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのものは、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキル、好ましくはHから選択される。
【0089】
上記残りのRのうちの1つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであってもよく、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキル、好ましくはHから選択されてもよいことが理解される。
【0090】
1つの実施形態では、R及びRは、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものは、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、好ましくはHから選択される。例えば、R及びRは、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、Rは、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものはHである。
【0091】
とりわけ好ましい一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが同じであり、Hであるケトンである。
【0092】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R、R及びRが同じであり、Hであるケトンである。
【0093】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが、連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル、好ましくはC−C10−シクロアルキル、より好ましくはC−C−シクロアルキル、さらにより好ましくはC−C−シクロアルキル、最も好ましくはC−シクロアルキル又はC−シクロアルキル、例えばC−シクロアルキルを形成し、R、R、R及びRが同じであり、Hであるケトンである。
【0094】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが同じであり、Hであるケトンである。
【0095】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであるケトンである。
【0096】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであるケトンである。
【0097】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つが、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであるケトンである。
【0098】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであるケトンである。
【0099】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであるケトンである。
【0100】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであるケトンである。
【0101】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであるケトンである。
【0102】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであるケトンである。
【0103】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つが、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、例えばC−アルケニルオキシ又はC−アルケニルオキシ、とりわけC−アルケニルオキシであり、残りのもののうちの2つがHであり、残りのもののうちの2つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルであるケトンである。
【0104】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルでありR、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がC−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、例えばC−アルケニルオキシ又はC−アルケニルオキシ、とりわけC−アルケニルオキシであり、残りのもののうちの2つ、好ましくはR及びR、がHであり、残りのもののうちの2つ、好ましくはR及びR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルであるケトンである。
【0105】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの3つ、好ましくはR及びR及びR、がC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのもの、好ましくはR及びR、がHであるケトンである。
【0106】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの3つ、好ましくはR及びR及びR、がC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのもの、好ましくはR及びR、がHであるケトンである。
【0107】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが異なり、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの2つ、好ましくはR及びR、がC−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけC−アルコキシであり、残りのもの、好ましくはR、R及びR、がHであるケトンである。
【0108】
例えば、一般式Iの一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが異なり、H及びC−アルキルであり、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの2つ、好ましくはR及びR、がC−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけC−アルコキシであり、残りのもの、好ましくはR、R及びR、がHであるケトンである。
【0109】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが異なり、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がN(Rであり、Rが、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−C−脂環系、より好ましくはC−C−脂環系、最も好ましくはC−脂環系又はC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられており、残りのもの、好ましくはR、R、R及びR、がHであるケトンである。
【0110】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが異なり、H及びC−アルキルであり、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がN(Rであり、Rが、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−C−脂環系、より好ましくはC−C−脂環系、最も好ましくはC−脂環系又はC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられており、残りのもの、好ましくはR、R、R及びR、がHであるケトンである。
【0111】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキル、好ましくはHから選択されるケトンである。
【0112】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのものがHであるケトンである。
【0113】
あるいは、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのRのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものがHであるケトンである。
【0114】
例えば、一般式Iのアルキルアリールケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのRのうちの1つが、好ましくはR、がC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものがHであるケトンである。
【0115】
一般式Iのアルキルアリールケトンが、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させられ、これにより対応するアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールが得られることが理解される。
【0116】
上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンが、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、より好ましくは少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンであることが好ましい。例えば、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−アルカン若しくは少なくとも部分的にハロゲン化されたC−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−アルケン若しくは少なくとも部分的にハロゲン化されたC−アルケン、例えば少なくとも部分的にハロゲン化されたC−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−アルケンである。
【0117】
上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、少なくとも部分的に塩素化及び/又は臭素化されていてもよい。例えば、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、少なくとも部分的に塩素化又は臭素化されている。あるいは、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、少なくとも部分的に塩素化及び臭素化されており、従って混合ハロゲン化C−C−アルカン及び/又は混合ハロゲン化C−C−アルケンである。
【0118】
好ましくは、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、少なくとも部分的に塩素化されている。
【0119】
1つの実施形態では、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、完全にハロゲン化されている。好ましくは、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、完全にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は完全にハロゲン化されたC−C−アルケン、より好ましくは完全にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は完全にハロゲン化されたC−C−アルケンである。例えば、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、完全にハロゲン化されたC−アルカン若しくは完全にハロゲン化されたC−アルカン及び/又は完全にハロゲン化されたC−アルケン若しくは完全にハロゲン化されたC−アルケンである。
【0120】
例えば、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、完全に塩素化及び/又は臭素化されていてもよい。例えば、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、完全に塩素化又は臭素化されている。あるいは、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは完全に塩素化及び臭素化されており、従って混合ハロゲン化C−C−アルカン及び/又は混合ハロゲン化C−C−アルケンである。
【0121】
好ましくは、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、完全に塩素化されている。
【0122】
1つの実施形態では、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、ヘキサクロロエタン、テトラクロロエチレン、ペンタクロロプロパン、ヘキサブロモエタン、テトラブロモエチレン、ペンタブロモプロパン及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、ヘキサクロロエタン、テトラクロロエチレン及びこれらの混合物である。例えば、この少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、ヘキサクロロエタン又はテトラクロロエチレンである。
【0123】
1つの実施形態では、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンは、ヘキサクロロエタンである。
【0124】
当該方法の別の必要事項(要件)は塩基の添加である。この塩基がアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物を含む群から選択されることは、本発明の必要事項である。
【0125】
1つの実施形態では、上記塩基は、ナトリウムC−C−アルコキシド、好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、リチウムC−C−アルコキシド、好ましくはリチウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはリチウムC−C−アルコキシド、カリウムC−C−アルコキシド、好ましくはカリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはカリウムC−C−アルコキシド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、上記塩基は、ナトリウムC−C−アルコキシド、好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはナトリウムC−C−アルコキシドである。最も好ましくは、上記塩基はナトリウムC−アルコキシドである。
【0126】
上記塩基は、それ自体で当該方法に加えることができる。あるいは、この塩基は水溶液の形態にあるか、又はこの塩基は有機溶媒中で提供され、好ましくはこの有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、この塩基は有機溶媒中で提供され、好ましくはこの有機溶媒はメタノールである。
【0127】
本発明の方法は、幅広い温度範囲にわたって実施することができる。例えば、当該方法は、0〜120℃の範囲、好ましくは12〜80℃の範囲、より好ましくは15〜50℃の範囲、最も好ましくは15〜30℃の範囲の温度で実施される。
【0128】
好ましくは、当該方法は、室温で、すなわち約21℃(±2℃)の温度で実施される。
【0129】
1つの実施形態では、当該方法が高温で実施されることが好ましい。つまり、当該方法は、室温より高い温度、好ましくは30〜120℃の範囲、より好ましくは40〜100℃の範囲、最も好ましくは40〜90℃の範囲の温度で実施される。
【0130】
当該方法は有機溶媒中で実施されてもよいことがさらに理解される。好ましくは、この有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、例えば1,3−ジオキサン又は1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0131】
上記塩基が有機溶媒中で提供される場合、この有機溶媒は、好ましくは、当該方法で使用される有機溶媒と同じである。従って、この有機溶媒は、好ましくはメタノールである。
【0132】
当該反応及び接触は、上記成分、すなわち上記一般式Iのアルキルアリールケトン、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される上記塩基を混合することにより実施される。当業者は、混合条件(例えば、混合装置の構成及び混合速度)を当業者自身のプロセス設備に応じて適合させるであろう。
【0133】
上記試薬の添加の順序は当該反応の成功にとって重要ではないということが見出された。従って、上記一般式Iのアルキルアリールケトン、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される上記塩基、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びに、存在する場合の上記有機溶媒、は、どの順で接触させられてもよい。
【0134】
好ましくは、上記一般式Iのアルキルアリールケトン、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される上記塩基、並びに、存在する場合の上記有機溶媒が、最初に接触させられて、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケンが供給される(metered in)。
【0135】
一般式Iのアルキルアリールケトンを、上記少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させる方法は、上記対応するアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールを生じることが理解される。得られたアリールオキシランは、好ましくは下記一般式Iaのものである。
【化5】
、R、R、R、R、R及びR並びにそれらの好ましい実施形態の規定に関しては、当該方法、及び本発明の方法において出発物質として使用される一般式Iのアルキルアリールケトンの技術的詳細を論じた際に上で提供された記載が参照される。
【0136】
得られるα−官能化アルキルアリールケタールは、好ましくは、下記一般式Ibのものである。
【化6】
、R、R、R、R、R及びR並びにそれらの好ましい実施形態の規定に関しては、当該方法、及び本発明の方法において出発物質として使用される一般式Iのアルキルアリールケトンの技術的詳細を論じた際に上で提供された記載が参照される。
【0137】
本発明の方法は、得られたアリールオキシラン若しくはα−官能化アルキルアリールケタールを単離及び/又は精製するさらなる工程を含んでもよい。
【0138】
例えば、当該方法は、
i)得られたアリールオキシラン若しくはα−官能化アルキルアリールケタールを有機相から分離する工程、及び/又は
ii)得られたアリールオキシラン若しくはα−官能化アルキルアリールケタールを水の中に取り込み、得られた水相を有機溶媒で抽出する工程
をさらに含んでもよい。
【0139】
1つの実施形態では、当該方法は、
i)得られたアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールを有機相から分離する工程、及び
ii)得られたアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールを水の中に取り込み、得られた水相を有機溶媒で抽出する工程
をさらに含む。
【0140】
加えて、当該方法は、得られたアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールを乾燥する工程をさらに含んでもよい。
【0141】
当該方法によって得られるアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールは、対応するα−官能化ケトンへとさらに反応されることができるということが理解される。
【0142】
従って、1つの実施形態では、本発明の方法は、当該方法によって得られる当該アリールオキシランを、相間移動条件下で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11が、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられている化合物と接触させるさらなる工程を含み、これにより対応するα−官能化ケトンが得られる。
【0143】
α−官能化ケトンがアリールオキシランから調製される必要がある場合、従って、当該方法が相間移動条件下で実施されることが必要とされる。このような相間移動条件は、当該技術分野で周知であり、そのため、当業者は、上述の反応に好適な反応条件を容易に適用するであろう。当業者は、公知ではあるが本明細書中では詳細には触れられないこのような反応の変法を適用することもできる。
【0144】
特に、当該アリールオキシランの反応は、相間移動触媒の存在下で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される上記塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11が、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11が、連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子がOで置き換えられている上記化合物と実施される。
【0145】
上記相間移動触媒は、当該技術分野で公知のいずれの相間移動触媒から選択することができる。しかしながら、この相間移動触媒は、好ましくは第四級アンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩化物、テトラアルキルホスホニウム臭化物及びこれらの混合物から選択される。より好ましくは、この相間移動触媒は、テトラアルキルアンモニウム塩又はトリアルキルアリールアンモニウム塩であり、最も好ましくはこの相間移動触媒は、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、セチルピリジニウム及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0146】
このような相間移動触媒は、当該技術分野で周知であり、そのため、当業者は、上述の反応に好適な触媒を簡単に適用するであろう。当業者は、公知ではあるが本明細書中では詳細には触れられないこのような触媒の変更物を適用することもできる。
【0147】
相間移動触媒の量は、幅広い範囲内で所望に応じて選ばれてよく、好ましくは上記アリールオキシランの重量に対して0.1〜100重量%である。
【0148】
上記塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムC−C−アルコキシド、好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、リチウムC−C−アルコキシド、好ましくはリチウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはリチウムC−C−アルコキシド、カリウムC−C−アルコキシド、好ましくはカリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはカリウムC−C−アルコキシド、及びこれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい。好ましくは、この塩基は、水酸化ナトリウム及びナトリウムC−C−アルコキシド、好ましくはナトリウムC−C−アルコキシド、最も好ましくはナトリウムC−C−アルコキシドを含む群から選択される。最も好ましくは、この塩基は水酸化ナトリウムである。
【0149】
上記塩基は、それ自体で当該方法に加えることができる。あるいは、この塩基は水溶液の形態にあるか、又はこの塩基は有機溶媒中で提供され、好ましくはこの有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、例えば1,3−ジオキサン又は1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、この塩基は水溶液の形態で提供される。
【0150】
得られたアリールオキシランを対応するα−官能化ケトンへと反応させるために添加されるべき別の必須成分はHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C14−アリールアルキル、C−C14−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられている化合物である。
【0151】
1つの実施形態では、上記化合物はHORであり、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリールアルコキシ及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択され、好ましくはRは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキル、C−C−シクロアルキル、好ましくはC−C−シクロアルキル、より好ましくはC−C−シクロアルキル、最も好ましくはC−シクロアルキル又はC−シクロアルキル、例えばC−シクロアルキル、及びC−C14−アリールである。
【0152】
あるいは、上記化合物はHNR1011であり、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリールから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられており、好ましくはR10及びR11は、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、1以上の炭素原子はOで置き換えられている。
【0153】
好ましくは、上記化合物はHNR1011であり、R10及びR11は連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上の炭素原子、好ましくは1つの炭素原子、はOで置き換えられている。
【0154】
例えば、上記化合物はモルホリンである。
【0155】
アリールオキシランを対応するα−官能化ケトンへと反応させるさらなる工程は、幅広い温度範囲にわたって実施することができる。例えば、この工程は、少なくとも30℃、好ましくは30〜120℃の範囲、より好ましくは40〜100℃の範囲、最も好ましくは40〜90℃の範囲の温度で実施される。
【0156】
アリールオキシランを対応するα−官能化ケトンへと反応させるさらなる工程は、有機溶媒中で実施することができるということがさらに理解される。好ましくは、この有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、例えば1,3−ジオキサン又は1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0157】
上記塩基が有機溶媒中で提供される場合、この有機溶媒は、好ましくは当該方法で使用される有機溶媒と同じである。
【0158】
上記アリールオキシランを対応するα−官能化ケトンへと反応させるさらなる工程は、上記成分、すなわち上記アリールオキシラン、上記相間移動触媒、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される上記塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11が、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C14−アリールアルキル、C−C14−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11が、連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子がOで置き換えられている上記化合物を混合することにより実施される。当業者は、混合条件(例えば、混合装置の構成及び混合速度)を当業者自身のプロセス設備に応じて適合させるであろう。
【0159】
上記試薬の添加の順序は、上記反応の成功にとって重要ではないことが見出された。従って、上記アリールオキシラン、上記相間移動触媒、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される上記塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11が、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11が、連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子がOで置き換えられている上記化合物は、任意の順に接触させてもよい。
【0160】
上記アリールオキシランを、相間移動条件下で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11が、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11が、連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子がOで置き換えられている化合物と反応させる工程は、対応するα−官能化ケトンを生じるということが理解される。
【0161】
アリールオキシランを反応させる工程の後に、当該方法は、得られたα−官能化ケトンを単離及び/又は精製するさらなる工程を含んでもよい。
【0162】
例えば、当該方法は、
i)得られたα−官能化ケトンを有機相から分離する工程、及び/又は
ii)得られたα−官能化ケトンを水に取り込み、得られた水相を有機溶媒で抽出する工程
をさらに含んでもよい。
【0163】
1つの実施形態では、当該方法は、
i)得られたα−官能化ケトンを有機相から分離する工程、及び
ii)得られたα−官能化ケトンを水に取り込み、得られた水相を有機溶媒で抽出する工程
をさらに含む。
【0164】
加えて、当該方法は、得られたα−官能化ケトンを乾燥する工程をさらに含んでもよい。
【0165】
あるいは、当該方法は、当該方法によって得られたα−官能化アルキルアリールケタールを酸と接触させ、これにより対応するα−官能化ケトンを得るさらなる工程を含む。
【0166】
上記酸は特定の酸に制限されないことが理解され、この酸は5未満、より好ましくは−10〜10の範囲、最も好ましくは−8〜5の範囲のpKa値を有することが好ましい。
【0167】
1つの実施形態では、上記酸は、好ましくは、塩酸(塩化水素酸)、酢酸、リン酸、硫酸、クエン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酪酸及びこれらの混合物を含む群から選択される。例えば、この酸は、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、クエン酸及びこれらの混合物から選択される。1つの実施形態では、この酸は塩酸である。
【0168】
上記酸は、それ自体で当該方法に加えることができる。あるいは、この酸は水溶液の形態にあるか又はこの酸は有機溶媒中で提供され、好ましくはこの有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、例えば1,3−ジオキサン又は1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、この酸は水溶液の形態で提供され、従って希酸水溶液の形態にある。これは、エノールエーテルへの反応を回避できるため、好都合である。
【0169】
α−官能化アルキルアリールケタールを対応するα−官能化ケトンへと反応させる引き続く工程は、幅広い温度範囲にわたって実施することができる。例えば、この工程は、0〜120℃の範囲、好ましくは12〜80℃の範囲、より好ましくは15〜50℃の範囲、最も好ましくは15〜30℃の範囲の温度で実施される。
【0170】
好ましくは、この工程は、室温で、すなわち約21℃(±2℃)の温度で実施される。
【0171】
α−官能化アルキルアリールケタールを対応するα−官能化ケトンへと反応させる引き続く工程は、有機溶媒中で実施することができるということがさらに理解される。好ましくはこの有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、例えば1,3−ジオキサン又は1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0172】
上記酸が有機溶媒中で提供される場合、この有機溶媒は、好ましくは同じである。
【0173】
α−官能化アルキルアリールケタールを対応するα−官能化ケトンへと反応させる工程は、上記成分、すなわち上記α−官能化アルキルアリールケタール及び上記酸、並びに、存在する場合、上記有機溶媒を混合することにより実施される。当業者は、混合条件(例えば、混合装置の構成及び混合速度)を当業者自身のプロセス設備に応じて適合させるであろう。
【0174】
上記試薬の添加の順序は、この反応工程の成功にとって重要であることが見出された。上記α−官能化アルキルアリールケタール、及び、存在する場合、上記有機溶媒が最初に接触させられ、上記酸が供給される場合に、最良の収率が得られる。
【0175】
このα−官能化アルキルアリールケタールを反応させる工程のあとに、当該方法は、得られたα−官能化ケトンを単離及び/又は精製するさらなる工程を備えてもよい。
【0176】
例えば、当該方法は、
i)得られたα−官能化ケトンを有機相から分離する工程、及び/又は
ii)得られたα−官能化ケトンを水に取り込み、得られた水相を有機溶媒で抽出する工程
をさらに含んでもよい。
【0177】
1つの実施形態では、当該方法は、
i)得られたα−官能化ケトンを有機相から分離する工程、及び
ii)得られたα−官能化ケトンを水に取り込み、得られた水相を有機溶媒で抽出する工程
をさらに含む。
【0178】
加えて、当該方法は、得られたα−官能化ケトンを乾燥する工程をさらに含んでもよい。
【0179】
一般式IIのα−官能化ケトンが、上記アリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールをさらに反応させることによって得られることが理解される。
【化7】
上記一般式II中、R、R、R、R、R、R及びRは上記一般式Iで定義されたとおりであり、Zは、OR、NHR及びNR1011から選択され、R、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられている。
【0180】
1つの実施形態では、ZはORであり、Rは、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択され、好ましくはRはHであるか、又はZはNR1011であり、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリールから選択されるか、若しくはR10及びR11は連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられており、好ましくはR10及びR11は、連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、1以上の炭素原子はOで置き換えられている。
【0181】
好ましくは、ZはORであり、RはH又はNR1011であり、R10及びR11は連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上の炭素原子、好ましくは1つの炭素原子、はOで置き換えられている。
【0182】
、R、R、R、R、R及びR並びにそれらの好ましい実施形態の規定に関しては、当該方法、及び本発明の方法において出発物質として使用される一般式Iのアルキルアリールケトンの技術的詳細を論じた際に上で提供された記載が参照される。
【0183】
当該方法によって得られるとりわけ好ましい一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが同じであり、Hであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0184】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R、R及びRが同じであり、Hであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0185】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが、連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル、好ましくはC−C10−シクロアルキル、より好ましくはC−C−シクロアルキル、さらにより好ましくはC−C−シクロアルキル、最も好ましくはC−シクロアルキル又はC−シクロアルキル、例えばC−シクロアルキルを形成し、R、R、R及びRが同じであり、Hであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0186】
あるいは、一般式Iのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが同じであり、Hであり、ZがNR1011であり、R10及びR11がC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成するケトンである。
【0187】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが同じであり、Hであり、ZがNR1011であり、R10及びR11が、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられているケトンである。
【0188】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが同じであり、Hであり、ZがNR1011であり、R10及びR11が、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられているケトンである。
【0189】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0190】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0191】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであり、ZがNR1011であり、R10及びR11が、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられているケトンである。
【0192】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、例えばC−アルケニルであり、残りのものがHであり、ZがNR1011であり、R10及びR11が、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられているケトンである。
【0193】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0194】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0195】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであり、ZがNR1011であり、R10及びR11が、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられているケトンである。
【0196】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がSRであり、Rが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、残りのものがHであり、ZがNR1011であり、R10及びR11が、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられているケトンである。
【0197】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つが、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、例えばC−アルケニルオキシ又はC−アルケニルオキシ、とりわけC−アルケニルオキシであり、残りのもののうちの2つがHであり、残りのもののうちの2つが、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0198】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がC−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、例えばC−アルケニルオキシ又はC−アルケニルオキシ、とりわけC−アルケニルオキシであり、残りのもののうちの2つ、好ましくはR及びR、がHであり、残りのもののうちの2つ、好ましくはR及びR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキル、とりわけC−アルキルであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0199】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの3つ、好ましくはR及びR及びR、がC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのもの、好ましくはR及びR、がHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0200】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの3つ、好ましくはR及びR及びR、がC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのもの、好ましくはR及びR、がHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0201】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが異なり、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの2つ、好ましくはR及びR、がC−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけC−アルコキシであり、残りのもの、好ましくはR、R及びR、がHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0202】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが異なり、H及びC−アルキルであり、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの2つ、好ましくはR及びR、がC−C−アルコキシ、好ましくはC−C−アルコキシ、最も好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけC−アルコキシであり、残りのもの、好ましくはR、R及びR、がHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0203】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが異なり、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がN(Rであり、Rが、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−C−脂環系、より好ましくはC−C−脂環系、最も好ましくはC−脂環系又はC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられており、残りのもの、好ましくはR、R、R及びR、がHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0204】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが異なり、H及びC−アルキルであり、R、R、R、R及びRが異なり、それらのうちの1つ、好ましくはR、がN(Rであり、Rが、連結するN原子と共にC−C−脂環系、好ましくはC−C−脂環系、より好ましくはC−C−脂環系、最も好ましくはC−脂環系又はC−脂環系を形成し、1以上、好ましくは1つ、の炭素原子がOで置き換えられており、残りのもの、好ましくはR、R、R及びR、がHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0205】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのものが、独立に、H及び直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキル、好ましくはHから選択され、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0206】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのものがHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0207】
あるいは、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、より好ましくは直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、例えば直鎖状のC−C−アルキル、最も好ましくは直鎖状のC−C−アルキル、例えばC−アルキル又はC−アルキル、とりわけC−アルキルから選択され、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのRのうちの1つ、好ましくはR、が直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、好ましくはC−C−アルケニル、最も好ましくはC−C−アルケニル、C−C−アルケニルオキシ、好ましくはC−C−アルケニルオキシ、最も好ましくはC−C−アルケニルオキシ、及びC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものがHであり、ZがORであり、RはHであるケトンである。
【0208】
例えば、当該方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンは、R及びRが同じであり、C−アルキルであり、R及びRが、一般式Iのベンゼン環と共に芳香族系、好ましくは二環式芳香族系、最も好ましくはナフチルを形成し、残りのRのうちの1つ、好ましくはR、がC−C15−アルケニルアリールアルコキシ、好ましくはC−C12−アルケニルアリールアルコキシ、最も好ましくはC−C10−アルケニルアリールアルコキシであり、残りのものがHであり、ZがORであり、RがHであるケトンである。
【0209】
本発明のさらなる態様は、本明細書中に規定される方法によって得られるアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールに関する。
【0210】
従って、当該アリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールは、一般式Iのアルキルアリールケトンを、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させる方法であって、これにより対応するアリールオキシラン又はα−官能化アルキルアリールケタールが得られ、
【化8】
上記一般式I中、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成し、
、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられているか、又は2つの隣接するRは式Iのベンゼン環と共に芳香族系を形成する
方法によって得られる。
【0211】
当該方法、R、R、R、R、R、R及びR並びにそれらの好ましい実施形態の規定に関しては、当該方法、及び本発明の方法において出発物質として使用される一般式Iのアルキルアリールケトンの技術的詳細を論じた際に上で提供された記載が参照される。
【0212】
本発明の別の態様は、本明細書中に規定される方法によって得られる一般式IIのα−官能化ケトンに関する。
【0213】
従って、一般式IIのα−官能化ケトンは、一般式Iのアルキルアリールケトンを、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させ、これにより対応するアリールオキシランを得て、
【化9】
上記一般式I中、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成し、
、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられているか、又は2つの隣接するRは式Iのベンゼン環と共に芳香族系を形成し、
さらに、上記反応によって得られるアリールオキシランを、相間移動条件下で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及び混合物を含む群から選択される塩基、並びにHOR、HNHR又はHNR1011から選択され、R、R10及びR11は、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C14−アリール、C−C15−アリールアルキル、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルキルから選択されるか、又はR10及びR11は連結するN原子若しくはC原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられている化合物と接触させ、これにより対応するα−官能化ケトンを得る
方法によって得られる。
【0214】
あるいは、一般式IIのα−官能化ケトンは、一般式Iのアルキルアリールケトンを、少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルカン及び/又は少なくとも部分的にハロゲン化されたC−C−アルケン、並びにアルカリ金属C−C−アルコキシド、アルカリ土類金属C−C−アルコキシド及びこれらの混合物から選択される塩基と反応させ、これにより対応するα−官能化ケタールを得て、
【化10】
上記一般式I中、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−シクロアルケニル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキニル、C−C14−アリールから選択されるか、又は連結するC原子と共にC−C12−シクロアルキル若しくはC−C12−シクロアルケニルを形成し、
、R、R、R及びRは同じであるか又は異なり、独立に、H、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシ、N(R若しくはSRから選択され、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルキル、直鎖状若しくは分枝状のC−C−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルコキシ、C−C15−アリールアルコキシ、C−C15−アルケニルアリールアルコキシから選択されるか、若しくはRは連結するN原子と共にC−C−脂環系を形成し、任意に1以上の炭素原子はOで置き換えられているか、又は2つの隣接するRは式Iのベンゼン環と共に芳香族系を形成し、
さらに、上記反応によって得られたα−官能化アルキルアリールケタールを、酸、好ましくは塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、クエン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酪酸及びこれらの混合物を含む群から選択される酸と接触させ、これにより対応するα−官能化ケトンを得る
方法によって得られる。
【0215】
当該方法、上記アリールオキシラン、上記α−官能化アルキルアリールケタール、上記α−官能化ケトン及びそれらの好ましい実施形態の規定に関しては、本発明の方法の技術的詳細を論じた際に上で提供された記載が参照される。
【0216】
本発明の範囲及び関心は、本発明の特定の実施形態を説明することが意図されており非限定的である以下の実施例に基づいてよりよく理解されるであろう。
【実施例】
【0217】
実施例1:2−メトキシ−3,3−ジメチル−2−(4−メチルチオフェニル)オキシランの調製
【化11】
ナトリウムメトキシド(メタノール中30%、8.34g、154mmol)、メタノール(15.5mL)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン(3.00g、15.4mmol)及びヘキサクロロエタン(5.48g、23.2mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(25mL)に取り込み、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。2−メトキシ−3,3−ジメチル−2−(4−メチルチオフェニル)オキシランを黄色油状物として得た(2.86g、12.8mmol、82%収率)。
H−NMR(400.1MHz,CDCl):δ=1.03(s,3H),1.55(s,1H),2.52(s,3H),3.23(s,3H),7.24−7.31(m,2H),7.34−7.43(m,2H)ppm。
13C−NMR(100.6MHz,CDCl):δ=15.5,19.8,20.0,52.6,67.3,124.7,125.8,128.4,130.3,131.4,139.0ppm。
【0218】
実施例2:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オンの調製
【化12】
2−メトキシ−3,3−ジメチル−2−(4−メチルチオフェニル)オキシラン(0.13g、0.58mmol)、モルホリン(2.27g、26.1mmol)、水酸化ナトリウム溶液(50%、0.28g、3.5mmol)及び硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.01g、0.03mmol)の混合物を還流下で8時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(10mL)に取り込んだ。相分離させ、水層のpHを飽和塩化アンモニウム溶液で7に調整した。この水層を酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オンを無色の油状物として得た(70mg、0.25mmol、43%収率)。
H−NMR(400.1MHz,CDCl):δ=1.31(s,6H),2.53(s,3H),2.55−2.61(m,4H),3.66−3.73(m,4H),7.20−7.26(m,2H),8.49−8.54(m,2H)ppm。13C−NMR(100.6MHz,CDCl):δ=14.4,20.4,47.2,67.3,68.3,124.3,130.3,131.8,144.9,201.9ppm。
【0219】
実施例3:2,2−ジエチル−3−メトキシ−3−フェニル−オキシランの調製
【化13】
ナトリウムメトキシド(メタノール中30%、12.3g、87.1mmol)、メタノール(11.5mL)、2−エチル−1−フェニルブタン−1−オン(2.00g、11.4mmol)及びヘキサクロロエタン(2.96g、12.5mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(50mL)に取り込み、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。
【0220】
上記粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ[塩基性酸化アルミニウム、c−C12/AcOEt、1:1 v:v]によって精製した。2,2−ジエチル−3−メトキシ−3−フェニル−オキシランを無色の油状物として得た(2.26g、11.0mmol、96%収率)。
H−NMR(400.1MHz,CDCl):δ=0.79−0.82(t,3H),1.06−1.10(t,3H),1.16−1.37(m,2H),1.79−1.91(m,1H),1.94−2.04(m,1H),3.21(s,3H),7.34−7.43(m,3H),7.45−7.50(m,3H)ppm。13C−NMR(100.6MHz,CDCl):δ=8.6,9.3,22.3,22.5,52.4,73.7,91.9,127.9,128.0,128.3,134.9ppm。
【0221】
実施例4:4−(1,1−ジメトキシ−2−ヒドロキシブチル)−1,2−ジメトキシベンゼンの調製
【化14】
ナトリウムメトキシド(メタノール中30%、15.82g、87.87mmol)、メタノール(14.5mL)、4−ブチリル−1,2−ジメトキシベンゼン(3.00g、14.4mmol)及びヘキサクロロエタン(3.79g、16.0mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(25mL)に取り込み、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。4−(1,1−ジメトキシ−2−ヒドロキシブチル)−1,2−ジメトキシベンゼンを黄色油状物として得た(2.97g、10.9mmol、79%収率)。
H−NMR(400.1MHz,CDCl):δ=0.92−0.96(t,3H),0.98−1.11(m,1H),1.46−1.56(m,1H),2.19−2.24(dd,1H),3.24(s,3H),3.36(s,3H),3.77−3.85(m,1H),3.90(s,3H),3.91(s,3H),6.85−6.89(m,1H),6.99−7.06(m,2H)ppm。13C−NMR(100.6MHz,CDCl):δ=10.9,24.0,49.3,49.8,55.8,55.9,76.3,103.3,110.3,111.3,120.4,130.3,148.3,148.7ppm。
【0222】
実施例5:1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−ブタン−1−オンの調製
【化15】
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,1−ジメトキシ−ブタン−2−オール(0.50g、1.9mmol)を1,4−ジオキサン(8mL)に溶解させた。塩酸(1M、0.14g、3.7mmol)を加え、この反応混合物を室温で6時間撹拌した。その後、反応混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。上記粗生成物をシリカゲル上での分取薄層クロマトグラフィ[c−C12/AcOEt、2:1 v:v]によって精製した。1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−ブタン−1−オンを無色の油状物として得た(0.28g、1.0mmol、55%収率)。
H−NMR(400.1MHz,CDCl):δ=0.94−0.97(t,3H),1.57−1.73(m,1H),1.90−2.01(m,1H),3.73−3.74(d,1H),3.95(s,3H),3.97(s,3H),4.98−5.06(m,1H),6.91−6.95(m,1H),7.51−7.54(m,2H)ppm。13C−NMR(100.6MHz,CDCl):δ=9.0,29.5,56.0,56.1,73.5,110.2,110.6,123.2,126.7,149.4,154.0,200.4ppm。
【0223】
実施例6:4−(1,1−ジメトキシ−2−ヒドロキシブチル)−フェニルモルホリンの調製
【化16】
ナトリウムメトキシド(メタノール中30%、4.71g、26.1mmol)、メタノール(4.5mL)、4−ブチリル−フェニルモルホリン(1.00g、4.29mmol)及びヘキサクロロエタン(3.79g、4.76mmol)の混合物を還流下で6時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(25mL)に取り込み、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。4−(1,1−ジメトキシ−2−ヒドロキシブチル)−フェニルモルホリンを黄色油状物として得た(1.04g、3.52mmol、92%収率)。
H−NMR(400.1MHz,CDCl):δ=0.91−0.95(t,3H),0.96−1.06(m,1H),1.46−1.55(m,1H),3.18−3.22(m,5H;2つの重なっているシグナル),3.23(s,3H),3.35(s,3H),3.79−3.84(m,1H),3.87−3.89(m,4H),6.88−6.91(m,2H),7.34−7.39(m,2H)ppm。
【0224】
実施例7:2−ヒドロキシ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンの調製
【化17】
1,1−ジメトキシ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−2−オール(0.50g、1.7mmol)を1,4−ジオキサン(7.5mL)に溶解させた。塩酸(1M、0.13g、3.4mmol)を加え、この反応混合物を室温で6時間撹拌した。その後、反応混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。2−ヒドロキシ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンを黄色油状物として得た(0.31g、1.0mmol、60%収率)。
H−NMR(400.1MHz,CDCl):δ=0.89−0.92(t,3H),1.53−1.65(m,1H),1.82−1.96(m,1H),3.29−3.31(m,4H),3.42(幅広いs,1H),3.81−3.83(m,4H),4.91−4.97(m,1H),6.82−6.89(m,1H),7.77−7.86(m,2H)ppm。13C−NMR(100.6MHz,CDCl):δ=8.9,29.3,47.4,66.5,73.3,113.1,122.8,123.8,130.3,130.6,154.7,199.7ppm。