特許第6880239号(P6880239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880239糊付け空洞を備えるラッパーを有するロッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880239
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】糊付け空洞を備えるラッパーを有するロッド
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/24 20060101AFI20210524BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20210524BHJP
   A24C 5/47 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A24C5/24
   A24D1/02
   A24C5/47
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-562294(P2019-562294)
(86)(22)【出願日】2018年5月25日
(65)【公表番号】特表2020-519281(P2020-519281A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2018063827
(87)【国際公開番号】WO2018219826
(87)【国際公開日】20181206
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】17173650.7
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】サンナ ダニエレ
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0050970(US,A1)
【文献】 特表2016−523567(JP,A)
【文献】 米国特許第03240212(US,A)
【文献】 米国特許第05107866(US,A)
【文献】 特開2004−049167(JP,A)
【文献】 特開2005−240007(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/156424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 1/00− 5/60
A24D 1/00− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッパーによって囲まれているロッド構成要素を備えるエアロゾル発生物品用の円筒状ロッドであって、前記ラッパーが、
重複ゾーンを形成するように重なり合う横方向に反対側の縁部分であって、前記重複ゾーンが前記ラッパーの内側層および前記ラッパーの外側層を含み、かつ前記ラッパーの前記外側層が、前記ラッパーの前記内側層に隣接して位置する前記ラッパーの前記外側層の内表面を備える、縁部分と、
前記重複ゾーン内に一つ以上の糊付けゾーンを形成するように、前記ラッパーの前記重なり合う縁部分の間に塗布されている接着剤と、
複数の空洞であって、前記空洞の少なくとも一部が、前記一つ以上の糊付けゾーンの区域内に提供されていて、
前記ラッパーの前記外側層の前記内表面が、前記ラッパー内に陥凹部を画定するように前記ラッパーを完全に貫通しない空洞を備え、
前記重複ゾーン内の前記ラッパーの前記内側層が、前記ラッパー内に貫通穴を画定するように前記ラッパーを完全に貫通する空洞を備えるように特徴付けられる空洞と、を備える、円筒状ロッド。
【請求項2】
前記ラッパーが前記重複ゾーン内にのみ空洞を備える、請求項1に記載の円筒状ロッド。
【請求項3】
前記ラッパーが、前記一つ以上の糊付けゾーン内にのみ空洞を備える、請求項2に記載の円筒状ロッド。
【請求項4】
前記ラッパーの前記外側層内の前記陥凹部が、前記ラッパーの前記内側層の前記貫通穴と一致する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の円筒状ロッド。
【請求項5】
前記空洞が、前記ロッドの長軸方向軸と平行な一つ以上の線で配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の円筒状ロッド。
【請求項6】
前記空洞が、0.1ミリメートル〜0.3ミリメートル、0.15ミリメートル〜0.25ミリメートル、または約0.2ミリメートルの最近隣距離で一列に等距離で配置されている、請求項5に記載の円筒状ロッド。
【請求項7】
前記ラッパーの前記外側層が、前記ラッパーの前記外側層の前記内表面の反対側にある前記ラッパーの前記外側層の外表面を含み、かつ前記ラッパーの前記外側層の前記外表面がいかなる空洞も備えない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の円筒状ロッド。
【請求項8】
前記ラッパーの前記内側層のみが貫通穴を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の円筒状ロッド。
【請求項9】
前記接着剤が前記ロッド構成要素を前記ラッパーに接着するように、前記接着剤が前記貫通穴のうちの少なくとも一つを完全に貫通する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の円筒状ロッド。
【請求項10】
前記ラッパーの厚さが0.02ミリメートル〜0.2ミリメートル、0.05ミリメートル〜0.15ミリメートル、または約0.1ミリメートルであり、かつ各貫通穴の直径が前記ラッパーの厚さの四倍よりも小さい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の円筒状ロッド。
【請求項11】
各貫通穴の直径が0.4ミリメートル未満であり、または各貫通穴の直径が0.05ミリメートル〜0.35ミリメートル、0.1ミリメートル〜0.3ミリメートル、もしくは約0.2ミリメートルである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の円筒状ロッド。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の円筒状ロッドと、エアロゾル発生材料とを備えるエアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生物品用の円筒状ロッドを調製するための方法であって、
(a)ラッパーを提供する工程と、
(b)複数の空洞を前記ラッパーの側方縁部分に提供する工程と、
(c)ロッド構成要素を提供する工程と、
(d)前記ロッド構成要素を前記ラッパーの表面上に定置する工程と、
(e)前記ラッパーの前記側方縁部分上に接着剤を塗布する工程と、
(f)前記ラッパーの横方向に反対側の縁部分が、前記ラッパーの重複ゾーンを画定するように、前記ラッパーで前記ロッド構成要素を囲む工程であって、前記重複ゾーンが前記ラッパーの内側層および前記ラッパーの外側層を備え、かつ前記ラッパーの前記外側層が、前記ラッパーの前記内側層と隣接して位置する前記ラッパーの前記外側層の内表面を備え、かつこれによって、糊付けされた区域が前記重複ゾーン内に一つ以上の糊付けゾーンを画定する、工程とを含み、
前記空洞の少なくとも一部が前記一つ以上の糊付けゾーンの前記区域内に提供されていて、
前記ラッパーの前記外側層の前記内表面が、前記ラッパー内に陥凹部を画定するように前記ラッパーを完全に貫通しない空洞を備え、
前記重複ゾーン内の前記ラッパーの前記内側層が、前記ラッパー内に貫通穴を画定するように前記ラッパーを完全に貫通する空洞を備えるように特徴付けられる、方法。
【請求項14】
前記ラッパーの前記外側層内の前記陥凹部が、前記ラッパーの前記内側内の前記貫通穴と一致する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ラッパーの前記外側層が、前記ラッパーの前記外側層の前記内表面と反対側の前記ラッパーの前記外側層の外表面を備え、かつ前記ラッパーの前記外側層の前記外表面がいかなる空洞も備えない、請求項13または請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品用の円筒状ロッドに関連する。本発明は、エアロゾル発生物品用の円筒状ロッドを調製するための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生物品で使用する円筒状ロッドを有することが当業界で周知である。円筒状ロッドは、ラッパーによって囲まれているロッド構成要素を備える。ラッパーの横方向に反対側の縁部分は、重複ゾーンで重なる。ラッパーの重なり合う縁部分は、接着剤によって相互に接着されている。
【0003】
重なり合う縁部分の接着は、製造中および完成した製品の取り扱い中に円筒状ロッドに加えられる物理的応力に耐えることができるように、十分に頑丈である必要がある。例えば、円筒状ロッドが圧迫される時、円筒状ロッドは楕円形状に向かっていくらか変形することになる。変形は、接着剤接続の破壊につながりうる剪断力を作り出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ラッパーの重なり合う縁部分の間の接着は、接着剤を増量して使用することによって、またはラッパー材料の幅を増大させて、その結果より大きい重複ゾーンをもたらすことによって、改善されている。しかしながら、原材料の量を増やすことは通常、製造プロセスをより高価にするので望ましくない。追加的に、より大きい重複ゾーンは、ロッドの周囲のより大きい部分がラッパーの二つの層を備えることを意味する。結果として、ロッドはより円形ではない形状になる可能性がある。
【0005】
それ故に、物理的応力に対して強い抵抗を提供する、巻かれた円筒状ロッドを製造できることが望ましいことになる。既存の製造機械を使用して、こうした改善された巻かれた円筒状ロッドを製造できることがさらに望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によると、ラッパーによって囲まれているロッド構成要素を備えるエアロゾル発生物品用の円筒状ロッドが提供されている。ラッパーは、重複ゾーンを形成するように重なり合う、横方向に反対側の縁部分を備える。接着剤は、ラッパーの重なり合う縁部分に塗布されていて、これによって重なり合う縁部分は相互に接着されている。こうしたやり方で接着剤は、重複ゾーン内に一つ以上の糊付けゾーンを形成するように塗布されている。ラッパーは複数の空洞をさらに備え、空洞の少なくとも一部は一つ以上の糊付けゾーン内に提供されている。
【0007】
糊付けゾーン内の空洞は、接着剤のための追加的な固定表面を提供する。追加的な固定部は有利なことに、接着力を改善する。さらに、空洞はラッパーの糊付けされた総表面積を増大し、これは接着力を改善する。それ故に、ラッパーはより強力に結合され、かつ物理的応力に起因する破断のリスクを低減する。本発明によるロッドは有利なことに、ラッパーの幅を増大することなく接着力を改善する。よって、製造機械のコスト集約的な修正が回避される。
【0008】
空洞は、ラッパーの構造の局所的な修正として画定される。これには、ラッパーの表面の修正が含まれる。ラッパーの表面の修正部は、空洞の表面として画定される。一般的に、空洞はラッパーの表面積の増大につながる。
【0009】
一部の実施形態において空洞はラッパー上の陥凹部である。これは、ラッパーの厚さが空洞の場所で減少されることを意味する。陥凹部は、ラッパー材料を除去することによって作り出されてもよい。陥凹部はまた、ラッパーを局所的に圧縮することによって作り出されるへこみであってもよい。別の方法として、空洞はラッパーの局所のコルゲーションによって作り出されてもよい。
【0010】
その他の実施形態において、ラッパー内に貫通穴を画定するように、空洞はラッパーを完全に貫通する。
【0011】
一部の実施形態において、空洞の場所でのラッパーの厚さは、少なくとも20マイクロメートルだけ、少なくとも50マイクロメートルだけ、または少なくとも70マイクロメートルだけ減少される。
【0012】
空洞は、任意の所望の形状とすることができる。一部の実施形態において、空洞は円筒形状、ピラミッド形状、立方体形状、または不規則形状のうちの一つ以上の形状である。一部の実施形態において、空洞は、スコアラインまたは筋付け線などの長軸方向のくさび型である。
【0013】
好ましい実施形態において、空洞のサイズは、直径が0.3ミリメートル未満、0.2ミリメートル未満、または0.1ミリメートル未満である。
【0014】
一部の実施形態において、一つ以上の異なる形状の空洞および異なるサイズの空洞が単一の実施形態で使用される。一部の実施形態において、陥凹部および貫通穴が単一の実施形態で使用される。
【0015】
一部の実施形態において、空洞はデボス加工、エンボス加工、またはピンニングによって機械的に作り出される。一部の実施形態において、空洞は静電気穿孔によって、またはレーザー穿孔によって作り出される。
【0016】
ラッパーは可撓性シート様材料で作製される。一部の実施形態において、ラッパーはプラグラップ、チッピングペーパー、または紙巻たばこ用紙のうちの一つである。好ましい実施形態において、ラッパーは繊維質材料、例えばセルロース系材料で作製される。これらの実施形態において、空洞を作り出すことは、空洞の表面での繊維のへりまたはスパイクを繊維質材料に作り出させる。へりまたはスパイクは、表面の粗面化に寄与する。その結果、これらの実施形態において、空洞の表面は空洞の外側のラッパーの表面よりも粗い。表面の粗面化は表面積の増大につながる。糊付けゾーンの表面積が増えると、接着力が改善されている。さらに、表面の粗面化は繊維の暴露の増加につながる。これは、繊維質材料の中への接着剤の横方向の浸透を容易にする。容易にされた浸透は接着力をさらに増大させる。
【0017】
糊付けゾーンは、ラッパーの二つの重なり合う縁部分の間に接着剤が存在する重複ゾーンの部分になるものとして画定される。それ故に、糊付けゾーンの区域の空洞は接着剤で充填されている。空洞を充填する接着剤は、ラッパーの重なり合う層が相互に対して動くのを防止する固定部のように作用する。
【0018】
ラッパーの糊付けされた総表面積は、接着剤が作用するラッパーの総表面積である。よって、糊付けされた総表面積は、糊付けゾーンの空洞の側壁の表面積を含む。
【0019】
一部の実施形態において、ラッパーの一部のみが空洞を備える。特に好ましい実施形態において、ラッパーは重複ゾーン内のみに空洞を備える。一部の実施形態において、ラッパーは一つ以上の糊付けゾーンのみに空洞を備える。
【0020】
これらの実施形態において、ラッパーの無空洞部分の通気性は有利なことに、空洞の存在による影響を受けない、またはほとんど受けない。さらに、ラッパーの無空洞部分の引張強さは、空洞の存在による影響を受けない、またはほとんど受けない。
【0021】
一般的に、重複ゾーンは、ラッパーの内側層およびラッパーの外側層を備える。一部の実施形態において、内側層と外側層の両方は空洞を備える。これらの実施形態において、反対側の層の空洞は、相互に整列されてもよく、または相互に対して無作為に配置されてもよい。内側層はロッド構成要素と外側層との間に位置する。それ故に、外側層はラッパーの内側層を覆う。ラッパーの外側層は内表面および外表面を備える。外表面は円筒状ロッドの外側から見える。内表面は、ラッパーの内側層に隣接して位置する。
【0022】
一部の実施形態において、ラッパーの外側層の外表面は空洞を備えず、また随意にラッパーの外側層は空洞を備えない。一部の実施形態において、ラッパーの内側層のみが空洞を備える。一部の実施形態において、ラッパーの外側層の内表面のみが空洞を備え、また空洞は陥凹部である。
【0023】
その結果、これらの実施形態において、重複ゾーン内の空洞は外側層によって覆われる。これは、空洞が外側から見えないことを意味する。よって、円筒状ロッドの視覚的な外観は、空洞の存在によって変化しない。
【0024】
一般的に、円筒状ロッドの製造中、後で形成されるロッドの円筒軸と平行な方向に沿ってラッパー上に、接着剤の一本以上の線が塗布されている。接着剤の連続的な線が形成されるように、接着剤を連続的に塗布することができる。別の方法として、接着剤の不連続線が形成されるように、接着剤の点の形態で接着剤を塗布することができる。
【0025】
一部の実施形態において、空洞はラッパー上に無作為に配分される。好ましい実施形態において、空洞はラッパー上に規則的なパターンで配置される。一部の実施形態において、空洞は、後で形成されるロッドの全長にわたってラッパー上に実質的に均等に配分される。一部の実施形態において、空洞は、ロッドの長軸方向軸に平行に一つ以上の線で配置される。
【0026】
円筒状ロッドの製造中に、接着剤の線を空洞の線の上に直接塗布することができる。これによって、空洞の区域を、効率的な方法で接着剤の線の区域と一致させることができる。糊付けゾーンの外側には空洞が実質的に存在しないことが好ましい。さらに、接着剤の不連続線が塗布される場合、接着剤の各点を空洞の上に直接塗布することができる。
【0027】
一部の実施形態において、空洞は、0.1ミリメートル〜0.3ミリメートル、0.15ミリメートル〜0.25ミリメートル、または約0.2ミリメートルの最近隣距離で一列に等距離で配置される。これは、ラッパーの構造が空洞によって実質的に弱化されないように、空洞間の距離が十分に長いことを確実にする。空洞の直径は、最も近い空洞までの距離よりも小さいことが好ましい。最も近い空洞までの距離は、空洞の直径の二倍であることが好ましい。最も近い空洞までの距離は、空洞の直径の三倍であることがより好ましい。
【0028】
一部の実施形態において、空洞は、ラッパー内に貫通穴を画定するように、ラッパーを完全に貫通する。
【0029】
接着剤はロッド構成要素を下にあるラッパーに接着するように、貫通穴を通して完全に浸透してもよい。それ故に、貫通穴はロッド構成要素とラッパーとの間の接着力をさらに増大させる。よって、全体的な接着力は増大する。さらに、ラッパーとロッド構成要素との間の接着力の増大に起因して、ロッド構成要素がラッパーから外れる可能性はより低い。これは、ラッパーがチッピングペーパーであり、またロッド構成要素がフィルタープラグである実施形態において、特に有利である。
【0030】
一部の実施形態において、ラッパーの外側層は、いかなる貫通穴も備えず、かつ随意にラッパーの内側層のみが貫通穴を備える。
【0031】
好ましい実施形態において、ラッパーの内側層は、貫通穴である空洞を備え、ラッパーの外側層の内表面は、陥凹部である空洞を備え、また随意に、ラッパーの外側層の外表面はいかなる空洞も備えない。それ故に、内側層内の貫通穴はロッド構成要素とラッパーとの間の接着力をさらに増大させる。さらに、外側層内の陥凹部はラッパーの外側層とラッパーの内側層との間の接着力をさらに増大させる。
【0032】
より好ましい実施形態において、ラッパーの外側層内の陥凹部は、ラッパーの内側層内の貫通穴と一致する。これは、重複ゾーンにおいて、ラッパーの外側層内の陥凹部と、ラッパーの内側層内の貫通穴とが互いに重ね合わさることを意味する。これは、ラッパーの内側層内の貫通穴を介して、ロッド構成要素とラッパーの外側層の内表面内の陥凹部との間に追加的な接着があるという追加的な利点を有する。
【0033】
ラッパーの外側層がいかなる貫通穴も備えない実施形態において、貫通穴は外側から見えない。これは、接着剤が浸透できる外側層に貫通穴がないため、外側層が接着剤に対するバリアとして作用するという、追加的な利点を有する。これは、接着剤が円筒状ロッドの外側に偶発的に堆積されることができないことを意味する。円筒状ロッドの外側上の接着剤は、ロッドの視覚的外観に悪影響を与える場合があるため、望ましくない。さらに、ロッドの外側上の接着剤は、製造機械を接着剤で汚染する場合がある。
【0034】
空洞が陥凹部である(これは、空洞がラッパーを完全に貫通しないことを意味する)実施形態において、空洞の存在はラッパーの表面を作り出す。空洞状の表面の表面積は、空洞がない状態での平坦なラッパー表面の表面積を超える。これによって、糊付けされた総表面積は空洞の存在によって増大する。それ故に、全体的な接着力は増大する。その結果、ラッパーはより強く結合される。物理的応力に起因する接着の破断のリスクは低減される。
【0035】
空洞が貫通穴である実施形態において、貫通穴が特定の最大サイズを超える場合、貫通穴の存在によって表面積は増大しない。それ故に、貫通穴が大きすぎる場合、接着力は改善されない。その結果、貫通穴のサイズには限界がある。貫通穴の最大サイズは、貫通穴の幾何学的形状、ラッパーの厚さ、および新たに作り出された表面の粗さに依存する。
【0036】
一部の実施形態において、ラッパーの厚さは、0.02ミリメートル〜0.2ミリメートル、0.05ミリメートル〜0.15ミリメートル、または約0.1ミリメートルであり、各貫通穴の直径は、ラッパーの厚さの四倍よりも小さい。一部の実施形態において、ラッパーの厚さは約0.1ミリメートルである。一部の実施形態において、各貫通穴の直径は、0.4ミリメートル未満である。一部の実施形態において、各貫通穴の直径は、0.05ミリメートル〜0.35ミリメートル、0.1ミリメートル〜0.3ミリメートル、または約0.2ミリメートルである。
【0037】
よって、接着剤が塗布されて接着の役目を果たす総表面積は、貫通穴の存在によって増大する。その結果、全体的な接着力が改善されている。結果として、ラッパーはより強力に結合され、またラッパーの外側部と内側部の外れのリスクが低減される。
【0038】
本発明の別の態様によると、本発明による円筒状ロッドおよびエアロゾル発生材料を備えるエアロゾル発生物品が提供されている。
【0039】
本発明の別の態様によると、エアロゾル発生物品用の円筒状ロッドを調製するための方法が提供されている。この方法によると、ラッパーが提供されている。複数の空洞が、ラッパーの側方縁部分内に提供されている。ロッド構成要素が提供されていて、またロッド構成要素がラッパーの表面上に定置されている。ラッパーの側方縁部分上に接着剤が塗布されている。ロッド構成要素は、ラッパーの重複ゾーンを形成するように、ラッパーの横方向に反対側の縁部分が重なり合うように、ラッパーで囲まれている。接着剤は重なり合う縁部分を相互に接着する。接着された区域はこれによって、重複ゾーン内の一つ以上の糊付けゾーンを画定し、空洞の少なくとも一部は一つ以上の糊付けゾーン内に提供されている。
【0040】
空洞を提供する工程と、ロッド構成要素を提供し、ロッド構成要素をラッパーの表面上に定置する工程と、接着剤をラッパーの側方縁部分の上に塗布する工程との順序は任意であるが、空洞を提供する工程が、接着剤をラッパーの側方縁部分に塗布する工程の前にまたは同時に行われる場合はこの限りでない。その結果、これらの工程の順序は、特定の実施形態の特定の要件に適合されることができる。
【0041】
好ましい実施形態において、ロッド構成要素を提供し、ロッド構成要素をラッパーの表面上に定置する工程、およびラッパーの側方縁部分上に接着剤を塗布する工程の前に、空洞が提供されている。
【0042】
方法の一部の実施形態において、重複ゾーンは、ラッパーの内側層およびラッパーの外側層を備え、またラッパーの内側層のみが空洞を備える。
【0043】
方法の一部の実施形態において、空洞は、ラッパー内の貫通穴を画定するようにラッパーを完全に貫通する。
【0044】
方法の一部の実施形態において、空洞は、ラッパー内に貫通穴を画定するようにラッパーを完全に貫通し、また貫通穴は静電気穿孔によってまたはレーザー穿孔によって、毎分500〜900メートルの製造方向に移動するラッパー上に毎分700,000〜1,300,000個の貫通穴の製造速度で、ラッパー内に貫通穴を穿孔することによって提供されていて、または貫通穴は機械的工具、例えばピンニング工具によって提供されている。これは、高速で正確に貫通穴を形成できるという利点を有する。それ故に、方法は、エアロゾル発生物品用の円筒状ロッドの典型的な製造速度で実施することができる。
【0045】
一態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0046】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明のエアロゾル発生物品用の円筒状ロッドの断面図を示す。
図2図2は、本発明のエアロゾル発生物品用の円筒状ロッドの第一の実施形態の糊付けゾーンでの断面図を示す。
図3図3は、本発明のエアロゾル発生物品用の円筒状ロッドの第二の実施形態の糊付けゾーンでの断面図を示す。
図4図4は、本発明のエアロゾル発生物品用の円筒状ロッドの第三の実施形態の糊付けゾーンでの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明のエアロゾル発生物品10用の円筒状ロッドの断面図を示す。ロッド10は、ラッパー14によって囲まれているロッド構成要素12を含む。ラッパー14の横方向に反対側の縁部分は、重複ゾーン16で重なる。重複ゾーン16において、ラッパー14の重なり合う縁部分は、ラッパー14の外側層20によって覆われたラッパー14の内側層18を形成する。糊付けゾーン22において、接着剤24は、ラッパー14の重なり合う層18と重なり合う層20との間に塗布されている。空洞26は図1に描写されていない。
【0049】
図2は、本発明のエアロゾル発生物品10用の円筒状ロッドの第一の実施形態の糊付けゾーン22での断面図を示す。糊付けゾーン22において、接着剤24は、ラッパー14の内側層18とラッパー14の外側層20との間に塗布されていて、これによってラッパー14の重なり合う縁部分は相互に接着されている。
【0050】
さらに、図2の実施形態において、外側層20のみが空洞26を備える。それ故に、内側層18はいかなる空洞26も備えない。さらに、外側層20の内表面のみが空洞26を備える。それ故に、外側層20の外表面はいかなる空洞26も備えない。空洞26は陥凹部である。その結果、空洞26は外側から見えない。これによって、円筒状ロッド10の視覚的な外観は、空洞26の存在によって変化しない。
【0051】
空洞26はラッパー14の空洞状の表面を作り出す。空洞26は接着剤24で充填されている。空洞26を充填する接着剤24は、ラッパー14の重なり合う層18、20が相互に対して動くのを防止する固定部のように作用する。糊付けゾーン22のラッパー14の表面積は、空洞26の存在によって増大する。その結果、ラッパー14の糊付けされた総表面積は、接着力を改善する空洞26の存在によって増大する。
【0052】
ラッパー14は繊維質材料で作製される。ラッパー繊維28は、ラッパー14の平面に対して実質的に平行に整列している。従って、空洞26の内側で、ラッパー繊維28は空洞軸30と実質的に直交して整列している。実際には、空洞26の表面にラッパー繊維28によってスパイクが形成されている。その結果、空洞26の表面は粗面にされている。表面積は、粗面化に起因して、滑らかな外表面と比較して増大する。よって、ラッパー14の糊付けされた総表面積は、表面の粗面化によってさらに増大する。それ故に、接着力は表面の粗面化に起因してさらに改善されている。
【0053】
さらに、粗面は、接着剤24の高分子構成要素32のための数多くの追加的な固定部を提供する。その結果、接着剤24はより頑丈に粗面に接着する。これは、空洞軸30に沿った物理的応力に対するさらなる抵抗を提供する。
【0054】
図3は、本発明のエアロゾル発生物品10用の円筒状ロッドの第二の実施形態の糊付けゾーン22での断面図を示す。糊付けゾーン22において、接着剤24は、ラッパー14の内側層18とラッパー14の外側層20との間に塗布されていて、これによってラッパー14の重なり合う縁部分は相互に接着されている。
【0055】
図3の実施形態において、外側層20はいかなる空洞26も備えない。図3に示す空洞26は、ラッパー14内に円筒状の貫通穴26を画定するように、内側層18を完全に貫通する。表面の粗面化は図3に描写されていない。
【0056】
円筒状の貫通穴26の直径は、ラッパー14の厚さより小さい。その結果、貫通穴26によって新たに作り出された糊付けゾーン22内のラッパー14の表面積は、貫通穴26の作成によって除去されたラッパー14の表面積を超える。これによって、ラッパー14の糊付けされた総表面積は、表面の粗面化のいかなる効果も考慮しなくても、貫通穴26の存在によって増大する。それ故に、接着力は改善されている。
【0057】
さらに、接着剤24は、接着剤24がロッド構成要素12をラッパー14に接着するように、貫通穴26を完全に貫通する。それ故に、貫通穴26はロッド構成要素12とラッパー14との間の接着力をさらに増大させる。よって、全体的な接着力は増大する。
【0058】
図3の実施形態において、ラッパー14はチッピングペーパー14であり、またロッド構成要素12はフィルタープラグ12である。貫通穴26を介してチッピングペーパー14とフィルタープラグ12との間の接着力が増大することによって、フィルタープラグ12がチッピングペーパー14から外れる可能性はより低い。
【0059】
図4は、本発明のエアロゾル発生物品10用の円筒状ロッドの第三の実施形態の糊付けゾーン22での断面図を示す。図4の実施形態において、ラッパー14の内側層18とラッパー14の外側層20の両方は、空洞26を備える。内側層18の空洞26は、ラッパー14内に貫通穴26を画定するように、ラッパー14を完全に貫通する。外側層20の空洞26は陥凹部である。両方の空洞26は粗面を有する。粗面化はラッパー繊維28によって生じる。粗面は、接着剤24の高分子構成要素32のために追加的な固定部を提供する。その結果、接着剤24は内側層18と外側層20の両方に、より頑丈に接着されている。それ故に、内側層18および外側層20は相互に、より頑丈に接着されている。これによって、空洞軸30に沿った物理的応力に対する抵抗が改善されている。
【0060】
図4に示す向かい合った空洞26は、空洞軸30に対して整列されている。しかしながら、本発明による一部の実施形態において、向かい合った空洞26の相対的な位置は空洞軸30に対して無作為的である。
図1
図2
図3
図4