【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、方法、カメラシステム、およびそれぞれの独立請求項による構成を有する自動車両によって解決される。本発明の有益な実施形態は、従属特許請求項、説明および図面の主題である。
【0007】
方法の一実施形態によれば、動的仮想カメラの動的可変視点から自動車両および自動車両の環境領域を示す、少なくとも1つの合成俯瞰表示画像が生成され、合成俯瞰表示画像は、特に、少なくとも2つの車両側カメラの原画像に基づいて、および仮想カメラの視点に依存する透視モデルに基づいている。ステップa)で、特に、合成俯瞰表示画像が少なくとも1つの妨害信号の影響を受けた画像領域を含むかどうかが決定され、もしそうであれば、少なくとも1つの妨害画像の影響を受けた画像領域が合成俯瞰表示画像内で識別される。ステップb)で、少なくとも1つの妨害信号の影響を受けた画像領域における妨害信号の重大度を決定でき、ステップc)で妨害信号の重大度を仮想カメラの視点に応じて決定でき、仮想カメラの視点での画像領域の少なくとも1つの幾何学的パラメータは、重大度によって特徴付けられる。特に、ステップd)で、合成俯瞰表示画像に挿入される自動車両のモデルによる妨害信号の影響を受けた画像領域の遮蔽度は、仮想カメラの視点に応じて決定される。特に、ステップe)で、妨害信号の重大度が所定の重大度しきい値を超え、かつ妨害信号の有意度が所定の有意度しきい値を超え、かつ遮蔽度が所定の遮蔽度しきい値未満のままの場合に、合成俯瞰表示画像に関する妨害信号のみが低減される。
【0008】
方法の特に好ましい実施形態によれば、動的仮想カメラの動的可変視点から自動車両および自動車両の環境領域を示す、少なくとも1つの合成俯瞰画像が生成され、合成俯瞰表示画像は、少なくとも2台の車両側カメラの原画像に基づき、および仮想カメラの視点に依存する自動車両の透視モデルに基づいて決定される。ステップa)で、合成俯瞰画像は、合成俯瞰表示画像内に少なくとも1つの妨害信号の影響を受ける表示画像を含むかどうかが決定される。ステップb)で、少なくとも1つの妨害信号の影響を受けた画像領域内の妨害信号の重大度が決定され、ステップc)で、妨害信号の有意度が仮想カメラの視点に応じて決定され、仮想カメラの視点での画像領域の少なくとも1つの幾何学的パラメータは、有意度によって特徴付けられる。さらに、ステップd)で、合成俯瞰画像に挿入される自動車両のモデルによる妨害信号の影響を受けた画像領域の遮蔽度は、仮想カメラの視点に応じて決定される。ステップe)で、妨害信号の重大度が所定の重大度しきい値を超え、かつ妨害信号の有意度が所定の有意度しきい値を超え、かつ遮蔽度が所定の遮蔽度しきい値未満のままの場合に、合成俯瞰表示画像に対する妨害信号のみが低減される。
【0009】
本方法により、仮想カメラの視点から自動車両と自動車両を取り巻く環境領域を示す高品質の俯瞰表示画像を生成できる。俯瞰画像は、ビデオシーケンス、特にリアルタイムビデオの形式で自動車両の運転者に表示できる。俯瞰画像は、少なくとも2台の車両側カメラでキャプチャされた原画像によって生成される。俯瞰画像を生成すなわちレンダリングするために、原画像が、例えば、車両側の画像処理装置によって合成される。原画像の俯瞰表示画像への合成は、本明細書で、仮想カメラによる俯瞰表示画像のキャプチャと同じ方法で使用される。
【0010】
特に、原画像は、自動車両の広角マルチカメラシステムによって高解像度でキャプチャされる。マルチカメラシステムは、例えば、自動車両に搭載された4台のカメラを備えたサラウンドビューカメラシステムとして構成できる。サラウンドビューカメラシステムは、自動車両の前方の環境領域から原画像をキャプチャする前方カメラ、自動車両の後方の環境領域から原画像をキャプチャする後方カメラまたは反転カメラ、および自動車両に隣接する環境領域から原画像をキャプチャする2台の側方カメラを備えてもよい。カメラの検出範囲を拡大するために、カメラには広角レンズ、例えば魚眼レンズを含めてもよい。原画像および合成俯瞰表示画像は、自動車両の表示装置に表示されるため、運転者は表示装置を見て環境領域をキャプチャすることができる。したがって、例えば、駐車するときに、自動車両を操縦する際に運転者を支援することができる。サラウンドビューカメラシステムと表示装置は、カメラ監視システム(CMS)を形成し、例えば、自動車両のサイドミラーを置き換えることもできる。
【0011】
ここで、合成俯瞰画像として、動的仮想カメラの動的可変視点から環境領域を示す画像が生成される。このことは、自動車両に対する仮想カメラの位置および仮想カメラの向き、すなわち、動的仮想カメラの姿勢が変化する可能性があることを意味する。この場合、例えば、複数の合成俯瞰表示画像からのシーケンスをカメラの原画像から生成でき、これにより、様々な視点から環境領域が表示され、俯瞰表示画像をキャプチャする間に、仮想カメラが自動車両の上を、および自動車両の周囲を飛んでいるかのような印象を与える。仮想カメラの運動経路または飛行経路を、例えば、事前に決定することができる。自動車両自体をカメラでキャプチャすることはできないため、自動車両のモデルが合成画像に挿入される。モデル化された自動車両のモデルは、仮想カメラの現在の視点にも依存する。その結果、自動車両のモデルは仮想カメラの視点で変化する可能性がある。
【0012】
好ましくは、合成俯瞰表示画像を生成するために、原画像は所定の曲面に投影され、自動車両のモデルは曲面の所定の位置に配置され、合成俯瞰表示画像は投影された原画像と自動車両のモデルを含む曲面に基づいて、および動的な仮想カメラの視点に基づいて決定される。したがって、特に、いわゆるボウルビューが合成俯瞰画像として生成される。曲面は、例えば、4次多項式を用いて決定または指定できる。自動車両のモデルは、例えば、曲面の中央に配置できる。
【0013】
合成俯瞰画像は、妨害信号またはエイリアシングを含む可能性があるが、これらはアンチエイリアシング法によって抑制または軽減できる。これらの妨害信号は、特に、原画像には存在しないが、特に、自動車両および/または仮想カメラが動く場合、合成俯瞰表示画像の生成中に挿入される。合成俯瞰表示画像の生成中に計算資源を節約するために、とにかく、合成俯瞰表示画像が妨害信号を含むことがあるかどうかが判断される。妨害信号が発生するかどうかは、特に、特定のカメラシステムおよび/または自動車両の環境領域の環境条件に依存する。合成俯瞰表示画像に妨害信号を伴う画像領域が含まれる場合、これら画像領域は、例えば、合成俯瞰表示画像内の画像領域の位置が決定されるので、識別される。次に、妨害信号の影響を受けた画像領域内の妨害信号の重大度が決定される。重大度は、とにかく、画像領域内の妨害信号が、合成俯瞰表示画像内で目に見えるほど十分に強いかどうかを説明する。この場合、画像領域内の妨害信号は十分に強いかまたは重大であるため、重大度が所定の重大度しきい値を超えると、目に見えると想定される。妨害信号の重大度は、特に、カメラシステムの実際のカメラに依存する。
【0014】
さらに、妨害信号の有意度が判断される。有意度は、特に、仮想カメラに依存する尺度である。有意度は、仮想カメラの参照視点、例えば、上面図を生成するための視点と、該参照視点とは異なる視点、例えば、自動車両の背面図を生成するための視点とでの画像領域の少なくとも1つの幾何学的パラメータの変化を表す。したがって、有意度は、特に、仮想カメラの視点の変化に応じて、妨害信号の影響を受けた画像領域がどのように変化するかを表す。次に、重大度が重大度しきい値を超えた場合でも、とにかく、仮想カメラの現在の視点に応じて、合成俯瞰表示画像の画像領域内に妨害信号が目に見えるかどうかが判断される。有意度が所定の有意度しきい値を超える場合、妨害信号の影響を受けた画像領域内の妨害信号は十分に有意であり、したがって目に見えると想定される。
【0015】
特に、動的仮想カメラの視点での合成俯瞰画像内の少なくとも1つの妨害信号の影響を受けた画像領域のサイズおよび/または形状および/または位置は、動的仮想カメラの視点に応じて有意度として判定される。例えば、俯瞰画像内の仮想カメラの現在の視点に起因して妨害信号の影響を受けた画像領域のサイズが非常に小さく、妨害信号は目に見えないか、ほとんど目に見えない場合、有意度しきい値には到達しない。また、画像領域の位置および/または形状は、仮想カメラの視点の結果として、妨害信号を弱めるかまたは除去するように変化する可能性もある。例えば、仮想カメラの所定の視点に起因して、画像領域が仮想カメラの検出範囲内にないため、画像領域、したがって妨害信号は全く目に見えないことがあり得る。
【0016】
さらに、妨害信号の影響を受けた画像領域の遮蔽度は、自動車両のモデルによって影響を受ける。特に、仮想カメラのランダムで可変的な視点から環境領域を表示する合成俯瞰表示画像では、画像領域の妨害信号は、特に、それが十分に重大で十分に有意であるにもかかわらず、画像領域が自動車両の透視モデルによって少なくとも部分的に遮蔽されるため、目に見えないことが発生する場合がある。遮蔽度は、特に、モデルの透明度とモデルの視点依存形状によって決定される。したがって、例えば、妨害信号の影響を受けた画像領域は、モデルの視点依存形状によって少なくとも部分的に遮蔽されるが、モデルは透明であるため、妨害信号は依然として目に見える場合がある。特別に構成されたこの遮蔽度が決定され、所定の遮蔽度しきい値と比較される。遮蔽度が所定の遮蔽度しきい値未満のままである場合、すなわち、例えば、自動車両のモデルが透明すぎるか、モデルの透視形状が妨害信号の影響を受けた画像領域に突出していない場合、妨害信号が合成画像内で目に見えると想定される。
【0017】
したがって、重大度、有意度、および遮蔽度を決定することにより、妨害信号の低減の必要性を決定することができる。したがって、妨害信号が合成画像内で目に見えることが検出または確認された場合、妨害信号を低減するか、アンチエイリアシングを実行する。重大度が重大度しきい値未満のままであるか、有意度が有意度しきい値未満のままであるか、または遮蔽度が遮蔽度しきい値を超えている場合、妨害信号の低減は回避される。したがって、合成俯瞰表示画像を決定する際に、計算資源を効果的に節約することができる。それにより、妨害信号の低減の必要性が認識された場合に妨害信号のみが低減されるため、自動車両用の、特に、低コストのカメラシステムを実現することができる。
【0018】
好ましくは、原画像および/または合成俯瞰表示画像内における妨害信号は低減され、少なくとも原画像内で妨害信号が低減される場合、合成俯瞰表示画像を生成する前に、原画像に基づいてステップa)〜d)が予測的に実行される。原画像内における妨害画像の低減はプレフィルタリングに対応し、合成俯瞰表示画像内における妨害信号の低減は後処理に対応する。原画像内に既に存在する妨害画像を低減することができるようにするために、合成俯瞰表示画像が妨害信号の影響を受ける少なくとも1つの画像領域を含むことになるかどうかが予測される。さらに、妨害信号の重大度、妨害信号の有意度、および自動車両のモデルによる妨害信号の影響を受けた画像領域の遮蔽度が予測される。したがって、原画像から俯瞰表示画像の生成中、すなわち、仮想カメラによる俯瞰表示画像のキャプチャ中に、前々から妨害信号を減らすことができる。したがって、高品質の俯瞰表示画像は、表示装置で表示するために、特に高速で表示される。これは、例えば、リアルタイムでの応用に、特に、有益である。
【0019】
本発明のさらなる発展形態では、ステップa)で、少なくとも1つの環境条件、特に、自動車両用路面テクスチャおよび/または1日の内の時間帯および/または気象条件が決定され、少なくとも1つの環境条件に基づいて、合成俯瞰表示画像が少なくとも1つの妨害信号の影響を受けた画像領域を含むかどうかが予測される。この実施形態は、エイリアシング効果の発生は、自動車両の環境領域の環境条件に依存する、という洞察に基づいている。例えば、路面が水膜で覆われている場合、路面上の水膜によって引き起こされる反射のコントラストが低下するため、妨害信号は非常に少なくなる。また、水膜はカメラのレンズを覆うことができるため、それによって、カメラはぼやけた原画像をキャプチャする。ぼやけた原画像に基づいて決定される合成俯瞰表示画像については、特に、妨害画像が低減されている。合成俯瞰表示画像内の妨害信号を人工的なフリッカの形で低減させる路面テクスチャは、特に小さな、または、特に大きな道路砂利の形で形成することができる。さらに、例えば、夜間ドライブ中や自動車両の影の中など光レベルが低い場合、俯瞰画像内で妨害信号はほとんど目に見えない。これらの場合、妨害信号の低減が回避される可能性がある。
【0020】
本発明の有益な実施形態では、ステップa)で、妨害信号インジケータが決定され、少なくとも1つの妨害信号の影響を受けた画像領域の存在、ならびに合成俯瞰表示画像における画像領域の位置が、妨害信号インジケータに基づいて決定され、ステップb)で、妨害信号の重大度が妨害信号インジケータに基づいて決定される。妨害信号インジケータは、特に、妨害信号のない画像領域を妨害信号の影響を受けた画像領域から区別するのに役立つ。妨害信号インジケータによって、特定のカメラで妨害信号またはエイリアシングが発生しているかどうかを示すことができる。結果として、妨害信号インジケータは、実際のカメラに依存するが、特に、仮想カメラによってではない。妨害信号インジケータを、原画像に基づいて、および/または合成画像に基づいて決定することができる。この妨害信号インジケータに基づいて、妨害信号の影響を受けた画像領域を、例えば、妨害信号の影響を受けた画像領域の位置などを、少なくとも1つの合成俯瞰表示画像内において識別することができる。さらに、妨害信号の重大度を、妨害信号インジケータに基づいて決定、特に、予測することができる。
【0021】
ピクセル密度マップは、妨害信号インジケータとしてカメラの少なくとも1つのカメラパラメータに応じて決定され、そのピクセル密度マップは、合成俯瞰表示画像の作成に寄与する原画像のピクセル数の分布に依存する画像領域を表しており、ピクセル密度マップ内の最大ピクセル密度値が妨害信号の重大度として決定される。ピクセル密度マップは、ピクセル密度の空間分布に対応しており、これは、合成俯瞰表示画像内の画像領域の生成に寄与する原画像のピクセル数を表す。画像領域により、環境領域の特定の環境サブ領域または関心領域(ROI)が画像化される。関心領域は、例えば、路面の環境サブ領域である。分布は、例えば、路面などの環境領域を環境サブ領域に分割することによって決定できる。各環境サブ領域について、合成俯瞰表示画像のそれぞれの環境サブ領域の表現に使用される原画像のピクセル数と、合成俯瞰表示画像のピクセル数との比を決定することができる。言い換えると、環境領域を細分化し、特定の環境サブ領域が環境領域内で選択され、この特定の環境サブ領域が原画像内および合成俯瞰表示画像内で占有するピクセル数が決定される。結果として、ピクセル密度は、合成俯瞰表示画像に対する原画像のピクセル比を測定するための尺度である。
【0022】
ピクセル比は、カメラの外部および内部カメラパラメータに依存するため、ピクセル密度マップはカメラパラメータに応じて生成される。例えば、全てのカメラのピクセル密度マップを決定したり、カメラシステム全体のピクセル密度マップを決定したりできる。外部カメラパラメータは、ワールド座標系でのカメラの空間位置、すなわち位置と向きを表し、ワールド座標系とカメラ座標系との関係を確立する。内部カメラパラメータは、カメラ座標系と、原画像および合成俯瞰表示画像の画像座標系との関係を確立する。例えば、カメラの焦点距離、画像中心の座標、および画像座標の両方向のピクセルスケーリングなどの内部カメラパラメータを示すことができる。
【0023】
したがって、ピクセル密度マップに基づいて、妨害信号の影響を受けた画像領域の位置と妨害信号の重大度の両方を妨害信号の影響を受けた画像領域内で決定することができる。ピクセル密度マップをピクセル密度範囲に分割することができ、各ピクセル密度範囲は、俯瞰表示画像内の画像領域に対応している。ピクセル密度範囲のピクセル密度が高いほど、ピクセル密度範囲に対応する俯瞰画像の画像領域内の妨害信号はより激しく、またはより強くなる。したがって、その画像領域を、ピクセル密度マップに従って、最高ピクセル密度を有する妨害信号の影響を受けた画像領域として識別できる。この最高ピクセル密度は、妨害信号の重大度として同時に識別でき、所定の重大度しきい値と比較することができる。例えば、カメラの近くのターゲット領域を表す画像領域内のピクセル密度は、カメラから遠いターゲット領域を表す画像領域内のピクセル密度よりも大きい。したがって、環境領域の特定の画像環境サブ領域内の妨害信号の影響を受けた画像領域は、実際のカメラに接近している。
【0024】
代替的または追加的に、妨害信号インジケータとして、ピクセル値の統計的分散を示す少なくとも1つの尺度が、原画像内および/または合成俯瞰表示画像内のピクセルの位置の関数として決定されるが、妨害信号の重大度は、少なくとも1つの尺度の相対値に基づいて決定される。したがって、この実施形態によれば、妨害信号インジケータは、ピクセル値、特に輝度値の分散、すなわちばらつきに基づいて決定される。本実施形態は、妨害信号の影響を受けた画像領域のピクセル値は、妨害信号のない画像領域のピクセル値よりも分散が著しく大きいという認識に基づいている。統計的分散が特徴付けられる統計的尺度または統計的指標は、例えば、データ範囲、標準偏差、距離での距離標準偏差、平均絶対偏差、変動係数、相対平均差などであり得る。統計的指標が大きいほど、ピクセル値の分散が大きい。エイリアシングの重大度を統計的指標の相対値によって評価することができる。
【0025】
妨害信号インジケータを決定するために統計的指標を使用することは、妨害信号インジケータをピクセル密度マップに基づいて正確にまたは確実に決定できないときに、特に有益である。特に、ピクセル密度は、カメラのピンホールモデルと線形レイトレーシング計算とに基づいて決定される比であるため、環境領域内での対象物の存在、対象物の形状、対象物の寸法、関心領域の輝度と色、異なるカメラレンズ特性などの他の様々な条件は考慮されない。
【0026】
代替的または追加的に、妨害信号インジケータは、原画像および/または合成俯瞰表示画像のピクセル値の周波数分析によって決定されることが提供可能となる。エイリアシング効果は、特にサンプリング周波数の半分よりも高い高周波成分を含む信号のサンプリング中に発生する信号処理エラーを指すため、周波数領域内で原画像および/または俯瞰表示画像を分析することによって、妨害信号インジケータを決定することもできる。単一の原画像内および/または単一の俯瞰表示画像内の両方の空間周波数を考慮することができ、同様に、時間領域内の周波数を画像の時間シーケンス内で考慮することができる。
【0027】
本発明のさらなる発展形態では、合成俯瞰表示画像を表示するための車両側画面に応じて、妨害信号インジケータとして、環境領域内の特定の環境サブ領域に対応するそれぞれの画面領域が決定される。その画面領域のサイズは、妨害信号の重大度として決定され、該画面領域は、画面で表示中に妨害信号の影響を受けた画像領域に対応する環境サブ領域によって占有される。したがって、妨害信号インジケータは、俯瞰表示画像が表示される特定の表示装置に依存する可能性もある。この場合、合成俯瞰表示画像が画面上に表示されている間、合成俯瞰表示画像に妨害信号が含まれているかどうかが調べられる。これは、例えば、合成俯瞰表示画像に、十分に重大であるばかりか十分に有意で、かつ遮蔽されていない妨害信号が含まれていることは明らかであるが、妨害信号は特定の画面パラメータを持つ特定の画面では目に見えないことを意味する。妨害信号が、実際には存在していても、特定の画面上で目に見えない場合、妨害信号の低減を回避できる。したがって、合成俯瞰表示画像を決定する際に、計算性能と計算時間を経済的に節約できる。
【0028】
少なくとも1つのテストサイクル中にテスト妨害信号インジケータが決定されると有益であり、環境領域内の所定の環境サブ領域の位置とテスト妨害インジケータの値との関係が決定され、重大度しきい値が該関係に基づいて決定される。特に、テストサイクルは、特定のカメラシステムがまだ最終顧客に納入されていない、いわゆる半製品段階で実行される。テストサイクルにより、特定のカメラシステムにおいてアンチエイリアシング法が、とにかく、必要かどうかを効果的にチェックできる。さらに、特定のカメラシステムにおいて、つまり原画像内または俯瞰表示画像内のみで、いつ妨害信号が低減するかを明らかにすることができる。したがって、プレフィルタリングまたは後処理により望ましい結果が得られるかどうか、すなわち高品質の俯瞰表示画像の決定が得られるかどうかを決定することができる。この目的のために、テストサイクルで原画像をキャプチャし、例えば、仮想カメラの姿勢などの仮想カメラの設定を利用して、俯瞰表示画像を決定できる。テストサイクルで決定された俯瞰表示画像内に妨害信号が発生した場合、原画像および/または俯瞰表示画像に基づいてテスト妨害信号インジケータを決定できる。次いで、テスト妨害信号インジケータに基づいて、この特定のカメラシステム用の特定の重大度しきい値を決定できる。したがって、アンチエイリアシングを、それぞれのカメラシステムに具体的に適合させることができるため、質的に、特に高品質の俯瞰表示画像を生成できるカメラシステムをエンドユーザに提供できる。
【0029】
特に、有益な実施形態では、合成俯瞰表示画像内の妨害信号を低減するために、ステップf)で、統合強調機能を備えたカメラの場合、キャプチャされた原画像のコントラスト強調および/またはエッジ強調が抑制または軽減されて、合成俯瞰表示画像は、コントラスト強調および/またはエッジ強調なしの原画像に基づいて決定される。ステップf)に対して代替的または追加的に、ステップg)で、キャプチャされた原画像内で焦点調節誤差が生成され、合成俯瞰表示画像は、焦点調節誤差を有する原画像に基づいて決定される。ステップf)および/またはステップg)に対して代替的または追加的に、ステップh)で、合成俯瞰表示画像内および/または原画像内の妨害信号の影響を受けた画像領域に対応するピクセルにフィルタが適用される。
【0030】
したがって、ステップa)〜e)によって、合成俯瞰表示画像に対して妨害信号の低減が必要であることが検出された場合、ステップf)〜h)の少なくとも1つが実行される。ステップf)で、カメラの統合強調機能または強調機能は、オフにされるか縮小される。ほとんどのカメラまたはカメラシステムには、コントラスト強調および/またはエッジ強調が組み込まれた統合画像処理ユニットが含まれる。妨害信号が統合強調機能によって生成されない場合でも、これらの強調機能により妨害信号の重大度が悪化する可能性がある。カメラの画像処理ユニットは、例えば、車両側の画像処理装置によって制御することができ、その場合、強調機能は原画像に適用されない。このようにして、合成俯瞰表示画像を生成するために、未処理の原画像が画像処理装置に提供される。カメラのこれらの強調機能を抑制または少なくとも軽減し、未処理の原画像に基づいて合成俯瞰表示画像を決定することにより、妨害信号を合成俯瞰表示画像へ導入することが容易に回避または低減できる。
【0031】
代替的または追加的に、光学的方法に関するステップg)を実行することができる。ステップg)で、焦点調節誤差または焦点調節オフセットが原画像内で意図的に生成される。焦点調節誤差はカメラのぼやけた画像の形で目に見え、光学的なぼやけは、高周波信号を低減させ、したがって、ぼやけた原画像に基づいて決定された合成俯瞰表示画像内のエイリアシングを低減させる。原画像内の焦点調節誤差は、例えば、カメラのレンズにずれを与えることにより生成される。したがって、原画像は、レンズ位置がずれているカメラによって検出される。この目的のために、レンズ、例えば魚眼レンズを公称位置からわずかにずらして、フォーカスオフセットを実現し、したがってレンズの位置をずらすことができる。カメラの製造中またはカメラの自動車両への取付け中に、レンズの位置がずれることがある。したがって、カメラにはレンズの位置ずれが組み込まれており、ぼやけた原画像をキャプチャできる。これらのぼやけた原画像内で、ピクセル輝度の高周波が平滑化され、その結果、俯瞰表示画像内の妨害信号が低減される。
【0032】
ステップf)およびg)は、合成俯瞰表示画像を生成する前に実行されるため、合成俯瞰表示画像への妨害信号の導入を回避するための予防手段と見なすことができる。
【0033】
代替的または追加的に、画像処理方法に関するステップh)を実行することができる。このステップh)内で、合成俯瞰表示画像内の妨害信号の影響を受ける少なくとも1つの画像領域がフィルタリングされる。特に、画像要素またはピクセルは、合成俯瞰表示画像のこの画像領域内および/または関連する画像領域に寄与する原画像の画像要素内でフィルタリングされる。ステップh)は、フィルタを原画像に適用することによって合成俯瞰表示画像を生成する前、および/またはフィルタを合成俯瞰表示画像に適用することによって合成俯瞰表示画像を生成した後に実行できる。ピクセル密度マップを使用してフィルタをガイドすることができる。重み付け係数は、原画像および/または合成俯瞰表示画像のピクセルを重み付けするためのピクセル密度マップに応じて決定できる。したがって、ピクセル密度マップは、ガイド付きフィルタのいわゆるガイド画像として機能し、それによって、フィルタの画像処理操作を局所に制限することができる。したがって、妨害信号の影響を受けた画像領域と、妨害信号のない画像領域との間での滑らかな移行を効果的に保証することができる。
【0034】
妨害信号低減の必要性がステップa)〜e)で決定された場合、運転者に表示される合成俯瞰表示画像の画質は、ステップf)〜h)の少なくとも1つを、特に、ステップf)〜h)の全てを実行することにより改善できる。したがって、運転者のための視覚的品質を向上させることができる。
【0035】
好ましくは、妨害信号が自動車両の動きおよび/または仮想カメラの動きに起因するかどうかが判定され、妨害信号が仮想カメラの動きにのみ起因する場合、妨害信号は合成俯瞰表示画像内の隣接ピクセルの平均化を実行することによって低減される。この実施形態によれば、妨害信号のソースが検出される。妨害信号が自動車両の動きではなく、単に仮想カメラの動きに起因する場合、簡略化された妨害信号の低減、または簡略化されたアンチエイリアシングを実行できる。したがって、ステップf)〜h)のいずれも実行されないが、合成俯瞰表示画像内での隣接するピクセルの平均化のみが実行される。例えば、原画像の記録時に自動車両が静止しているか固定しているかを検出できる。この場合、自動車両は動かない。仮想カメラは、特に、合成俯瞰表示画像のビデオシーケンスが生成されるときに動き、仮想カメラは、俯瞰表示画像のキャプチャ中に自動車両の上を飛行する。妨害信号の発生源を検出することにより、妨害信号を低減するための適切な、任意選択により、簡略化された変形を効果的に選択でき、したがって計算時間を節約できる。
【0036】
本発明はまた、自動車両の環境領域から原画像を検出するための少なくとも2台のカメラと、本発明またはその有益な実施形態による方法を実行するように設計された画像処理装置とを含む自動車両用カメラシステムに関する。カメラシステムは、画像処理装置によって生成される妨害信号が低減された合成俯瞰表示画像を表示するための表示装置、例えば、画面をさらに備えてもよい。特に、カメラシステムはサラウンドビューカメラシステムとして設計されており、自動車両上に配置し、かつ自動車両の周囲の環境領域から原画像を検出するための少なくとも4台のカメラを備える。カメラは、特に、魚眼レンズなどの広角レンズを備える。
【0037】
本発明による自動車両は、本発明によるカメラシステムを備える。自動車両は、特に、乗用車として設計されている。
【0038】
本発明による方法に関して提示された好ましい実施形態およびそれらの利点は、本発明によるカメラシステム、および本発明による自動車両に相応に適用される。
【0039】
「前」、「後」、「次」、「上」、「左」、「右」の表示により、車両の前に立って、車両の長手方向を見る観測者の視点からの位置と向きが示される。
【0040】
本発明のさらなる構成は、特許請求の範囲、図面、および図面の説明から明らかである。上記の説明で言及した構成および構成の組合せ、ならびに図の説明で以下に言及する構成および構成の組合せ、および/または図のみに示すものは、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ指定された組合せだけでなく、他の組合せまたは単独でも使用可能である。したがって、実装もまた、本発明によって包含および開示されると見なされるべきであり、これは、図に明示的に示され説明されていないが、説明された実装から生じ、またそれから分離される構成の組合せによって生成することができる。実装と構成の組合せも開示されていると見なされるべきであり、したがってこれらは元々策定された独立請求項の構成の全てを備えているわけではない。さらに、実装と構成の組合せは、特に、上記の実装によって開示されていると見なされるべきであり、これらは特許請求の範囲に記載された構成の組合せを超えて拡大し、またはそれから逸脱している。
【0041】
本発明は、好ましい例示的な実施形態に基づいて、添付の図面を参照して、より詳細に説明される。