特許第6880269号(P6880269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880269車輌用撮像装置、車輌用灯具及び電子制御ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880269
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】車輌用撮像装置、車輌用灯具及び電子制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/43 20180101AFI20210524BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20210524BHJP
   F21S 41/26 20180101ALI20210524BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20210524BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20210524BHJP
   F21W 102/17 20180101ALN20210524BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210524BHJP
【FI】
   F21S41/43
   F21S41/275
   F21S41/26
   F21S41/143
   B60R1/00 A
   F21W102:17
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2020-51686(P2020-51686)
(22)【出願日】2020年3月23日
(62)【分割の表示】特願2017-508270(P2017-508270)の分割
【原出願日】2016年3月16日
(65)【公開番号】特開2020-107613(P2020-107613A)
(43)【公開日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年3月24日
(31)【優先権主張番号】特願2015-60176(P2015-60176)
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-60177(P2015-60177)
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-60178(P2015-60178)
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】多々良 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岡村 俊宏
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−116756(JP,A)
【文献】 特開2009−055427(JP,A)
【文献】 特開2006−323334(JP,A)
【文献】 特開2011−162080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/43
B60R 1/00
F21S 41/143
F21S 41/26
F21S 41/275
F21W 102/17
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影範囲が車体の側面の一部を含む後方から側方にかけての領域とされたカメラモジュ
ールを備え、
前記カメラモジュールによって撮影されて画像が画面に表示されるときに、画像区別手
段によって前記画面上において前記側面の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされて前
記側面と前記側面以外の部分とが視覚的に区別されるようにし、
前記画像区別手段として透光カバーにステップが形成された
車輌用撮像装置。
【請求項2】
撮影範囲が車体の側面の一部を含む後方から側方にかけての領域とされたカメラモジュ
ールを備え、
前記カメラモジュールによって撮影されて画像が画面に表示されるときに、画像区別手
段によって前記画面上において前記側面の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされて前
記側面と前記側面以外の部分とが視覚的に区別されるようにし、
前記画像区別手段として透光カバーに所定の色が付された着色部が形成された
車輌用撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の車輌用撮像装置に光源をさらに備えた
車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌用撮像装置、車輌用灯具及び電子制御ユニットについての技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2011−184030号公報
【背景技術】
【0003】
車輌用灯具には、例えば、透光カバーとハウジングによって構成された外筐の内部に光を出射する光源と所定の領域を撮影するカメラモジュールとが配置されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような車輌用灯具は、例えば、サイドターンシグナルランプとして車体の左右両側面に取り付けられて用いられる。カメラモジュールによって後方から側方にかけての領域が撮影され、撮影された画像が車室に配置されたディスプレイの画面に表示される。
【0005】
運転者はディスプレイの画面に表示される左側の画像と右側の画像を視認することにより、後方から側方にかけての領域の状況を把握し、把握した状況に応じた運転をすることができる。
【0006】
このような車輌用灯具が設けられることにより、カメラモジュールによって後方から側方にかけての領域が撮影されるため、サイドミラーを必要としない車輌を製造することが可能になる。車輌用灯具によって所定の領域が撮影されるため、車輌用灯具は車輌用撮像装置としても用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような光源とカメラモジュールを有する車輌用灯具にあっては、カメラモジュールが内蔵される分、外形状が大きくなり易いが、少なくとも一部が車体の外側に突出された状態で配置されるため、車体からの突出量を小さくするためにも可能な限り小型化を図ることが望まれる。
【0008】
ところが、特許文献1に記載された車輌用灯具のように、外筐の内部にシャーシが配置され、シャーシに基板が取り付けられ、ホルダーにカメラモジュールが保持された構成にされていると、外筐の内部に配置される構成部品が多くなり、部品点数が増加すると共に部品点数の増加に伴って大型化をも来してしまうおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、部品点数の削減及び小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車輌用撮像装置は、撮影範囲が車体の側面の一部を含む後方から側方にかけての領域とされたカメラモジュールを備え、前記カメラモジュールによって撮影されて画像が画面に表示されるときに、画像区別手段によって前記画面上において前記側面の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされて前記側面と前記側面以外の部分とが視覚的に区別されるようにし、前記画像区別手段として透光カバーにステップまたは所定の色が付された着色部が形成されたものである。
【0011】
これにより、カメラモジュールによる撮影時に車体の側面の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされた状態で画面が視認される。
また、カメラモジュールに入射される撮影光の一部がステップによって制御されて側面と側面以外の部分とが視覚的に区別される。あるいは、側面が着色された画像が画面に表示され、側面と側面以外の部分とが視覚的に区別される。
【0012】
上記した本発明に係る車輌用撮像装置においては、前記画像区別手段として前記カメラモジュールに入射される撮影光の一部を遮蔽するシェードが設けられることが望ましい。
【0013】
これにより、撮影光の一部がシェードによって遮蔽されて側面と側面以外の部分とが視覚的に区別される。
【0014】
上記した本発明に係る車輌用撮像装置においては、前記ハウジングと前記シェードが一体に形成されることが望ましい。
【0015】
これにより、部品点数の増加を伴うことなく側面と側面以外の部分とが視覚的に区別される。
【0020】
上記した本発明に係る車輌用撮像装置においては、前記画像区別手段として前記カメラモジュールによって撮影された画像を処理する画像処理部が設けられることが望ましい。
【0021】
これにより、画像処理部による所定の画像処理によって側面と側面以外の部分とが視覚的に区別される。
【0022】
本発明に係る車輌用灯具は、車輌用撮像装置に光源をさらに備えたものである。
【0023】
これにより、カメラモジュールによる撮影時に車体の側面の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされた状態で画面が視認される。
【0024】
本発明に係る電子制御ユニットは、撮影範囲が車体の側面の一部を含む後方から側方にかけての領域とされたカメラモジュールによって撮影されて画像が画面に表示されるときに、画像区別手段によって前記画面上において前記側面の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされて前記側面と前記側面以外の部分とが視覚的に区別されるようにしたものである。
【0025】
これにより、カメラモジュールによる撮影時に車体の側面の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされた状態で画面が視認される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、外筐の内部に配置された基板にカメラモジュールと発光素子が配置されるため、構成部品が少なく、部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図2乃至図36と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌の斜視図である。
図2】車輌用灯具の分解斜視図である。
図3】内部構造を破線にして示す車輌用灯具の拡大斜視図である。
図4】内部構造の一部を実線にして示す車輌用灯具の拡大斜視図である。
図5図3のV−V線に沿う断面図である。
図6】ハウジングの拡大平面図である。
図7】ハウジングの拡大背面図である。
図8】透光カバーの正面図である。
図9】透光カバーの垂直断面図である。
図10】透光カバーの水平断面図である。
図11】基板と基板に配置された各部とを示す正面図である。
図12】基板と基板に配置された各部とを示す背面図である。
図13】押さえ部材の平面図である。
図14】カメラモジュールとECUとディスプレイの関係を示すブロック図である。
図15】透過窓の外周側にヒーターが配置された例を示す拡大斜視図である。
図16】二つの基板に分割された車輌用灯具を示す断面図である。
図17】カメラモジュールの画角を示す側面図である。
図18】透光カバーに設けられた遮光部の機能を示す断面図である。
図19】画像に表示される側面が覆われる前と覆われた状態とを示す図である。
図20】画像区別手段としてハウジングにシェードが設けられた例を示す斜視図である。
図21】画像区別手段としてハウジングにシェードが設けられた別の例を示す斜視図である。
図22】画像に表示される側面の外縁が覆われる前と覆われた状態とを示す図である。
図23】画像区別手段として透光カバーにステップが形成された例を示す斜視図である。
図24】画像に表示される側面が明瞭な状態と不明瞭な状態とを示す図である。
図25】画像区別手段として透光カバーに着色部が形成された例を示す斜視図である。
図26】画像区別手段として画像処理部が設けられた例を示すブロック図である。
図27】画像に表示される側面に対する処理が行われる前の状態と側面にコンピューターグラフィック画像が重ねられた状態を示す図である。
図28】透光カバーによって側面が覆われる例を示す図である。
図29】車輌用灯具と高圧空気発生ユニットが配管によって接続された状態を示す斜視図である。
図30】高圧空気発生ユニットの内部構造を示す図である。
図31】ピストンが上死点に位置されている状態を示す拡大断面図である。
図32】ピストンが下死点に位置されている状態を示す拡大断面図である。
図33図34及び図35と共に高圧空気発生ユニット動作を示すものであり、本図は、初期状態を示す断面図である。
図34】ピストンが上死点と下死点の間に移動された状態を示す断面図である。
図35】ピストンが下死点に移動された状態を示す断面図である。
図36】ノズルがハウジングの後面部から底面部に亘って設けられた例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。尚、以下の説明において参照する各図には、必要に応じて方向を示す記号を付す。以下には車輌用灯具が車体に取り付けられた状態での方向を示し、Uは上方、Dは下方、Fは前方、Bは後方、Lは左方、Rは右方を示す。
【0029】
以下に示した実施の形態は、本発明をサイドターンシグナルランプに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はサイドターンシグナルランプに限られることはなく、内部にカメラモジュールが配置されている構成であれば、ヘッドランプ、クリアランスランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ、ハイマウントストップランプ、フットランプ等又はこれらの組み合わせであるコンビネーションランプ等の各種の車輌用灯具、これに関する車輌用撮像装置及びこれらに関する電子制御ユニットに広く適用することができる。
【0030】
車輌用灯具1、1は、車輌用撮像装置としても機能し、それぞれ車輌100における車体101の左右両側の側面102、102に取り付けられて配置されている(図1参照)。尚、車体101には車輌用撮像装置としてのみ機能する構造体が取り付けられていてもよく、この場合には車輌用撮像装置の内部に撮影を行うための後述するカメラモジュールが配置されるが、光を出射するための光源が配置されていない構成にされる。
【0031】
車輌用灯具1は、上記したように、車輌用撮像装置としても機能し、カメラモジュールによって、例えば、車輌100の後方から側方にかけての領域を撮影することが可能にされている。カメラモジュールによって撮影された画像(映像)は車室に配置されたディスプレイ200、200の各画面に表示される。ディスプレイ200、200の各画面にはそれぞれ左側の画像と右側の画像とが表示される。尚、車室には一つのディスプレイ200が設けられ、ディスプレイ200に左側の画像と右側の画像がそれぞれ表示される二つの画面が設けられていてもよい。
【0032】
運転者はディスプレイ200、200の各画面に表示される左側の画像と右側の画像を視認することにより、後方から側方にかけての領域の状況を把握し、把握した状況に応じた運転をすることができる。
【0033】
このように車輌用灯具1、1は車輌100の後方から側方にかけての領域を撮影することが可能にされているため、車輌100にはサイドミラーが設けられておらず小型化が図られている。
【0034】
車輌用灯具1はハウジング2と透光カバー3を備えている(図2乃至図5参照)。ハウジング2と透光カバー3によって外筐4が構成され、外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0035】
ハウジング2は、例えば、樹脂材料によって形成され、側方に開口されたケース部6とケース部6の開口縁に連続して設けられたカバー取付部7とケース部6から側方に突出された突状部8とを有し、これらの各部が一体に形成されている。
【0036】
ケース部6は上下方向を向く上面部9と上下方向を向く下面部10と略前後方向を向く前面部11と前後方向を向く後面部12と左右方向を向く底面部13とから成り、上面部9と下面部10と前面部11と後面部12の各一方の側縁が底面部13の周縁に連続されている。
【0037】
前面部11は、鉛直方向に対して斜め下方に僅かに傾斜され(図6参照)、左右方向において底面部13側(内側)の端部11aが底面部13の反対側(外側)の端部11bより僅かに後側に位置されるように傾斜された状態にされている(図5参照)。前面部11の端部11a側には前後に貫通された配置用開口11cが形成されている。前面部11の内面における上下両端部からはそれぞれ後方に突出された位置決め突部14、14が設けられている(図2及び図5参照)。
【0038】
位置決め突部14、14はそれぞれ後方を向く受け面14a、14aと上方又は下方を向く押さえ面14b、14bとを有している。
【0039】
底面部13の内面には規制突部13a、13aが上下に離隔して設けられている(図2図5及び図7参照)。
【0040】
カバー取付部7は左右方向を向く略平板状のベース部15と上面部9及び下面部10の各側縁から上方又は下方にそれぞれ張り出された張出部16、16とを有している。ベース部15の略中央部にはネジ挿通孔15aが形成されている。張出部16、16は前端がベース部15の外周部における後端にそれぞれ連続されている。張出部16、16からベース部15の外周部に亘る位置には側方に突出された位置決め用リブ17が設けられている。位置決め用リブ17は全体として後方に開口された凹状に形成されている。
【0041】
突状部8は前面部11から側方に突出されている。突状部8は上下方向及び左右方向に対して前面部11と同じ方向に傾斜され、鉛直方向に対して斜め下方に僅かに傾斜され、左右方向において前面部11側の端部が先端部より僅かに後側に位置されるように傾斜されている。
【0042】
ハウジング2にはノズル18が後面部12に、例えば、一体に形成されている。ノズル18は後述する流体を透光カバー3の所定の部分へ向けて吐出する機能を有し、吐出部19と吐出部19に連続された連結用筒部20とを有している。
【0043】
吐出部19は側方における一端面が後面部12の側方における一端面と同一平面にされている。吐出部19は吐出孔19aを有している。吐出孔19aの開口は縦長の形状に形成されている。
【0044】
連結用筒部20は後面部12の後側に後面部12と離隔して位置されている。連結用筒部20には外方に張り出された環状の係合突部20aが設けられている。連結用筒部20にはゴムや樹脂等の後述する配管の一端部が連結され、係合突部20aに配管が密着して係合されることにより配管のノズル18からの脱落が防止される。
【0045】
上記のように、ハウジング2とノズル18が一体に形成されることにより、ハウジング2に一体に設けられたノズル18から流体が吐出されるため、部品点数の削減による車輌用灯具1の構造の簡素化及び車輌用灯具1の製造コストの低減を図ることができる。
【0046】
透光カバー3は樹脂やガラス等による透明な材料によって形成され、全体として側方に開口された椀状にされ前後の長さが上下の長さ及び左右の長さより長くされている(図2図5図8図9及び図10参照)。透光カバー3は、上下方向における中央部に位置された曲面部21と、曲面部21の後端に連続された出射面部22と、出射面部22の後端に連続された平板面部23と、曲面部21と出射面部22と平板面部23の上下両側縁にそれぞれ連続された側面部24、24とを有している。
【0047】
曲面部21は車輌外方に凸の曲面状に形成され前半部が後半部より曲率が大きくされている。
【0048】
出射面部22は後方へ行くに従って車体101の側面102に近付く方向に傾斜されている。出射面部22には内面に光学ステップ22a、22a、・・・が形成されている。光学ステップ22a、22a、・・・は後述する発光素子(光源)から出射された光を制御する機能を有しており、発光素子から出射され出射面部22を透過されて外部へ向かう光が光学ステップ22a、22a、・・・によって制御されて所定の領域に照射される。
【0049】
平板面部23は左右方向に対して僅かに前後に傾くように傾斜され、出射面部22に連続された端縁が出射面部22から最も離隔して位置された端縁より僅かに前側に位置されている。平板面部23にはステップが形成されていない透過窓23aが設けられ、透過窓23aは、例えば、上下に長い小判状に形成されている。尚、透過窓23aは上下に長く上下方向において線対称な形状であればよく、楕円形状等の他の形状に形成されていてもよい。また、透過窓23aは後述するカメラモジュールの画角を妨げない領域に位置されている。
【0050】
平板面部23には透過窓23aの外周を覆う位置に遮光部25が形成されている。遮光部25は、例えば、黒色の帯状に形成され、平板面部23に埋設されている。遮光部25としては、光を吸収して遮光する材料が用いられていてもよく、光を反射して遮光する材料が用いられていてもよい。吐出孔19aは透過窓23a側に傾いており、図5に示すように、吐出孔19aの延びる方向が透過窓23aの表面に対して角度θ傾き、角度θ傾いた線分Xが透過窓23aに交差されている。このように吐出孔19aの延びる方向が透過窓23aの表面に対して角度θ傾き線分Xが透過窓23aに交差されることにより、吐出孔19aから吐出される後述する高圧空気が透過窓23aの表面に吹き付けられ、透過窓23aに付着されている異物を確実に除去することができる。
【0051】
透光カバー3の内面には出射面部22及び透過窓23a以外の部分に所定の形状に形成されたステップ3a、3a、・・・が形成されている。ステップ3a、3a、・・・は光を拡散する機能を有し、ステップ3a、3a、・・・によって外部から透光カバー3に入射される光が拡散されて外筐4の内部に配置される構造が視認し難くされている。従って、透光カバー3にステップ3a、3a、・・・が形成されることにより、車輌用灯具1のデザイン性の向上が図られている。
【0052】
透光カバー3は、図5に示すように、位置決め用リブ17に外嵌されるようにしてハウジング2のカバー取付部7に当て付けられ、位置決め用リブ17に位置決めされた状態で接着やレーザー溶着等によってカバー取付部7に取り付けられる。
【0053】
透光カバー3がカバー取付部7に取り付けられた状態においては、ノズル18の吐出部19に形成された吐出孔19aの開口が透光カバー3の透過窓23aの近傍に位置される(図3及び図5参照)。
【0054】
尚、上記したように、透光カバー3は曲面部21が外方に凸の曲面状に形成され、車輌100の走行時に発生する風の抵抗を受け難い形状に形成されている。
【0055】
外筐4の内部には基板26が配置されている(図3及び図5参照)。基板26は前後方向を向き左右方向に長い略長方形状に形成され、基板26には図示しない配線パターンが形成されている。基板26の前面26aには長手方向における一端部にコネクター27が配置されている(図2及び図11参照)。コネクター27は基板26から前方に突出された状態にされ、電源の入力や後述するカメラモジュールによって撮影された画像(映像)の信号出力等を行う機能を有している。コネクター27には車輌100側の図示しない接続端子が接続される。
【0056】
基板26の前面26aには抵抗素子28、28、28が配置されている。抵抗素子28、28、28は後述する発光素子に対する電流制御を行う機能を有している。
【0057】
基板26の後面26bには光源として機能する発光素子29、29が上下に離隔して配置されている(図2及び図12参照)。発光素子29、29は基板26の長手方向においてコネクター27が配置された側の端部と反対側の端部に配置されている。発光素子29、29としては、例えば、発光ダイオード(LED)が用いられている。
【0058】
基板26の後面26bにはカメラモジュール30が取り付けられている。カメラモジュール30は基板26の長手方向において発光素子29、29が配置された側の端部寄りに位置され、基板26から後方に突出された状態にされている。カメラモジュール30は略円筒状の鏡筒31と鏡筒31に保持された単数又は複数のレンズ32と基板26上に配置された撮像素子33とを有している。カメラモジュール30は鏡筒31がネジ止め等によって基板26に取り付けられている。
【0059】
撮像素子33は長方形状に形成され、長手方向が上下方向になる向きで基板26に取り付けられている。従って、撮像素子33は撮影時に入射される撮影光の有効入射領域の長手方向が上下方向になる向きで配置されている。尚、撮像素子33は鉛直方向に対して上方又は下方に一定の範囲、例えば、30・の角度範囲で傾いた状態にされていてもよい。
【0060】
基板26の前面26aと後面26bには、例えば、ダイオードやコンデンサ等の制御素子(電子部品)34、34、・・・が配置されている(図11及び図12参照)。制御素子34、34、・・・や抵抗素子28、28、28や配線パターン等によって基板26には制御回路が形成されている。
【0061】
尚、制御素子34、34、・・・及び抵抗素子28、28、28は、基板26が不必要に大きくならない範囲で発光素子29、29及びカメラモジュール30から可能な限り離隔した位置に配置されることが望ましい。制御素子34、34、・・・及び抵抗素子28、28、28が発光素子29、29及びカメラモジュール30から離隔した位置に配置されることにより、制御素子34、34、・・・及び抵抗素子28、28、28から発生する熱の発光素子29、29及びカメラモジュール30に対する影響を低減することができ、発光素子29、29及びカメラモジュール30の良好な駆動状態を確保することができる。
【0062】
上記のように、基板26にはコネクター27と発光素子29、29が反対側の面である前面26aと後面26bにそれぞれ配置され、コネクター27が長手方向における一端部に配置され発光素子29、29が長手方向における他端部に配置されている。
【0063】
従って、基板26には発光素子29、29が配置された部分の反対側の部分にコネクター27が存在しないため、発光素子29、29の駆動時に発生する熱が前面26aにおける発光素子29、29が配置された部分の反対側の部分から十分に放出され、放熱性の向上による発光素子29、29の良好な駆動状態(発光状態)を確保することができる。
【0064】
また、基板26に取り付けられたカメラモジュール30は先端が発光素子29、29より後方に位置されているため、発光素子29、29から出射される光がカメラモジュール30の内部に入射され難く、カメラモジュール30によって撮影される画像の品質の向上を図ることができる。
【0065】
さらに、車輌用灯具1にあっては、発光素子29、29を配置すると共に発光素子29、29への電源の供給等を行うための基板26にカメラモジュール30が取り付けられ、基板26が発光素子29、29とカメラモジュール30の双方に電源等を供給するための基板として共通化されている。特に、車輌用灯具1にあっては、電源回路(GNDやVCC)を共通線として用いることが可能になる。
【0066】
従って、部品点数の削減を図ることができると共に外筐4の内部空間のスペースが小さくなり車輌用灯具1の小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0067】
また、基板26の後面26bには発光素子29、29とカメラモジュール30が配置され、発光素子29、29とカメラモジュール30が基板26の同一面に配置されている。
【0068】
このように発光素子29、29とカメラモジュール30が基板26の同一面に配置されているため、発光素子29、29に関する配線パターンとカメラモジュール30に関する配線パターンとを近付けて形成したり共通化することが可能になり、基板26の形成が容易になり製造コストの低減を図ることができる。
【0069】
上記のようにコネクター27、発光素子29、29及びカメラモジュール30等が配置された基板26は、コネクター27が配置された端部側からハウジング2のケース部6に挿入されてハウジング2に配置される(図5参照)。基板26は長手方向(左右方向)における一端面が底面部13に設けられた規制突部13a、13aに突き当てられてハウジング2に対する長手方向における位置決めが行われる。また、基板26は前面26aの上下両端部がそれぞれ前面部11の位置決め突部14、14の受け面14a、14aに接することによりハウジング2に対する厚み方向(前後方向)における位置決めが行われる。
さらに、基板26は上下両面がそれぞれ前面部11の位置決め突部14、14の押さえ面14b、14bに接して押さえられることによりハウジング2に対する短手方向(上下方向)における位置決めが行われる。
【0070】
基板26がケース部6に挿入された状態においては、コネクター27の先端部が前面部11に形成された配置用開口11cに位置され、カメラモジュール30が後面部12より側方(外方)に位置され、透光カバー3がハウジング2に取り付けられた状態において最も後側に位置されたレンズ32が透光カバー3の透過窓23aに対向して位置される。
【0071】
尚、基板26がケース部6に挿入された状態において、コネクター27は先端部が前面部11に形成された配置用開口11cに位置され前面部11より前方に突出されない。車輌用灯具1は車体101への取付時にハウジング2のケース部6が側面102に形成された挿入孔102aに挿入されるが、コネクター27は前面部11より前方に突出されていないため、ケース部6の挿入孔102aへの挿入時にコネクター27が側面102に接触することがない。従って、車輌用灯具1の車体101への取付を円滑かつ容易に行うことができ、車輌用灯具1の車体101への取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0072】
上記したように、前面部11と前面部11に連続する突状部8は鉛直方向に対して斜め下方に僅かに傾斜された状態にされているため、基板26は前面部11と突状部8に沿って鉛直方向に対して斜め下方に僅かに傾斜された状態で配置される(図7参照)。従って、車輌用灯具1が車体101に取り付けられた状態において、カメラモジュール30の光軸Pが水平方向に対して斜め下方に僅かに傾斜する状態にされる。
【0073】
また、上記したように、前面部11と突状部8は左右方向において内側の端部が外側の端部より僅かに後側に位置されるように傾斜された状態にされているため、基板26は左右方向においても前面部11と突状部8に沿って傾斜された状態で配置される(図5参照)。従って、車輌用灯具1が車体101に取り付けられた状態において、カメラモジュール30の光軸Pが前後方向に対して外側に僅かに傾斜する状態にされる。
【0074】
基板26がケース部6に挿入された状態において、基板26の長手方向におけるカメラモジュール30側の端部は突状部8より僅かに側方(外方)に位置される。
【0075】
尚、基板26は黒色や紺色や緑色等の濃色で形成されている。基板26が濃色で形成されることにより、発光素子29、29から出射される光が基板26で反射され難く、光の不必要な反射を防止することができる。特に、発光素子29、29から出射される光が基板26で反射され難いため、発光素子29、29から出射される光がカメラモジュール30に入射され難くなり、カメラモジュール30によって撮影される画像の品質の向上を図ることができる。
【0076】
外筐4の内部には押さえ部材35が配置され、押さえ部材35によって基板26が押さえられる。押さえ部材35は樹脂材料によって各部が一体に形成されて成り、押さえ部36と機能部37を有している(図2図5及び図13参照)。
【0077】
押さえ部36は全体として側方に開口されたケース状に形成され、曲面状に形成された基面部38と、基面部38の上下両端縁からそれぞれ側方(内方)に突出された対向面部39、39と、基面部38から対向面部39と同じ方向に突出された被取付軸部40とを有している。基面部38は略側方(外方)に凸の曲面状に形成されている。対向面部39、39は上下方向において対向して位置されている。被取付軸部40は基面部38の略中央部から突出され、円筒状に形成されている。
【0078】
機能部37は前後方向を向くベース面部41とベース面部41の上下両端縁からそれぞれ前方に突出され上下方向を向く押さえ面部42、42と押さえ面部42、42の前縁から上方又は下方に突出された連結面部43、43とベース面部41の一方の側縁(外縁)に連続して設けられた覆い面部44とを有している。
【0079】
押さえ面部42、42は左右方向における長さがベース面部41の左右方向における長さより長くされ、一部がベース面部41より側方(内方)に突出されている。押さえ面部42、42の後面におけるベース面部41に連続する部分には接触面42a、42aが形成されている。接触面42aは押さえ面部42の左右方向における略中央部に位置され、後方を向く状態にされている。
【0080】
押さえ面部42、42の前面にはそれぞれ左右に離隔して二つずつの押さえ突部42b、42b、・・・が設けられている。押さえ突部42bは、例えば、前方に凸の半球状に形成されている。
【0081】
連結面部43、43は左右に延びる形状に形成され前後方向を向く状態にされている。
【0082】
覆い面部44は側方(内方)に開口された半円弧面状に形成されている。覆い面部44はベース面部41と押さえ面部42、42に連続され、押さえ部材35にはベース面部41と覆い面部44によって前後に貫通された円形の撮影用孔35aが形成されている。
【0083】
機能部37は押さえ面部42の左右方向における一端部の前端部及び覆い面部44の左右方向における一端部が基面部38の後端部と連結突部45、45、45によって連結されている。連結突部45、45、45は上下に離隔して位置されている。
【0084】
機能部37は連結面部43、43の左右方向における一端部がそれぞれ対向面部39、39の後端部と結合部46、46によって結合されている。結合部46、46は対向面部39、39の左右方向における一端部の後端部から突出されている。
【0085】
押さえ部材35には連結突部45、45、45間にそれぞれ前後に貫通された光透過孔35b、35bが上下に離隔して形成されている。光透過孔35b、35bには発光素子29、29から出射された光がそれぞれ透過される。従って、押さえ部材35における光透過孔35b、35bの周囲の部分は発光素子29、29から出射される光の一部を遮蔽する光遮断部として機能する。
【0086】
このように押さえ部材35には発光素子29、29から出射される光の一部を遮蔽する光遮断部が設けられている。従って、基板26を押さえてハウジング2に対して位置決めするための押さえ部材35が発光素子29、29から出射された光の一部を遮蔽するシェードとしても機能し、車輌用灯具1の部品点数の削減による構造の簡素化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0087】
押さえ部材35は一部を除いた部分がハウジング2のケース部6に挿入された状態で外筐4の内部に配置される(図5参照)。押さえ部材35はベース部15に形成されたネジ挿通孔15aを挿通された取付ネジ500が被取付軸部40に螺合されることによりハウジング2に取り付けられる。
【0088】
押さえ部材35の一部がケース部6に挿入されたときには、基板26の長手方向における一方の端面が押さえ部材35の基面部38の一部によって側方(内方)に押さえられ、基板26の長手方向における他方の端面がハウジング2の底面部13に設けられた規制突部13a、13aに押し付けられ、基板26のハウジング2に対する長手方向における位置決めが完了する。
【0089】
また、押さえ部材35の一部がケース部6に挿入されたときには、接触面42a、42aがハウジング2における後面部12の内面に接触され、押さえ部材35によって後面部12が後方に押圧され、後面部12から押さえ部材35が前方への反作用を受ける。押さえ部材35に対する後面部12からの反作用により基板26が押さえ突部42b、42b、・・・によって前方に押圧され、基板26の前面26aにおける上下両端部がそれぞれ位置決め突部14の受け面14a、14aに押し付けられる。従って、基板26の厚み方向(前後方向)における位置決めが完了する。
【0090】
このように車輌用灯具1には外筐4の内部に配置されハウジング2に取り付けられる押さえ部材35が設けられ、基板26が押さえ部材35によって押さえられてハウジング2に対して位置決めされる。
【0091】
従って、押さえ部材35がハウジング2に取り付けられることにより基板26がハウジング2に対して位置決めされるため、基板26をハウジング2に対して容易に位置決めすることができると共に基板26に配置された発光素子29、29とカメラモジュール30を容易かつ確実にそれぞれ必要な向きで配置することができる。
【0092】
押さえ部材35によって基板26がハウジング2に対して位置決めされた状態においては、発光素子29、29がそれぞれ押さえ部材35の光透過孔35b、35bの真正面に位置され、発光素子29、29と光透過孔35b、35bと透光カバー3の出射面部22とが前後方向において順に並んで位置される。尚、出射面部22は発光素子29、29の光軸に対して傾斜した状態で位置される。
【0093】
また、押さえ部材35によって基板26がハウジング2に対して位置決めされた状態においては、カメラモジュール30が押さえ部材35の撮影用孔35aの直ぐ前側に位置され、カメラモジュール30と撮影用孔35aと透光カバー3の透過窓23aとが前後方向において順に並んで位置される。
【0094】
カメラモジュール30のレンズ32には撮影時に透過窓23aを透過された撮影光が撮影用孔35aを介して入射されるが、透過窓23aの真横に位置されたハウジング2の後面部12には位置決め用リブ17が設けられていない。従って、透過窓23aを透過されるときに撮影光がハウジング2の一部によって遮蔽されず、カメラモジュール30に必要とされる画角を容易に設定することができる。
【0095】
さらに、押さえ部材35によって基板26がハウジング2に対して位置決めされた状態においては、押さえ部材35の押さえ部36によって突状部8を含むハウジング2の一部と基板26の一部と発光素子29、29とカメラモジュール30が側方(外方)から覆われる。
【0096】
従って、押さえ部36は外筐4の内部に配置される構造を遮蔽するエクステンションとしても機能し、外部から車輌用灯具1が視認されたときに外筐4の内部に配置された構造が透光カバー3を介しても見え難く、車輌用灯具1の見栄えの向上を図ることができる。
【0097】
また、押さえ部材35は基板26をハウジング2に対して位置決めすると共に押さえ部36がエクステンションとして機能し位置決め用の部材とエクステンションとを各別に設ける必要がなく、車輌用灯具1の部品点数の削減による構造の簡素化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0098】
上記のように構成された車輌用灯具1において、発光素子29、29から光が出射されると、出射された光は押さえ部材35の光透過孔35b、35bを通って透光カバー3の出射面部22に入射され、出射面部22の光学ステップ22a、22a、・・・によって制御されて後方から側方に亘る範囲へ向けて照射される。
【0099】
このとき車輌用灯具1には上下に離隔して二つの発光素子29、29が配置されているため、上下方向において所定の出射角度での光の照射が容易にされている。特に、サイドターンシグナルランプとしての光は、法規上水平方向を基準として上下方向にそれぞれ15・以上の角度で光を照射する必要があるが、上下に離隔して二つの発光素子29、29が配置されていることにより、容易かつ十分に法規上の照射角度を満たす光を照射することができる。このように車輌用灯具1にあっては容易かつ十分に法規上の照射角度を満たす光を照射することができるため、出射面部22の光学ステップ22a、22a、・・・の形成を省略することも可能である。
【0100】
一方、車輌用灯具1においてカメラモジュール30が動作されると、カメラモジュール30による撮影が行われる。撮影は車輌100の左側の側面102に配置された車輌用灯具1のカメラモジュール30と車輌100の右側の側面102に配置された車輌用灯具1のカメラモジュール30とによってそれぞれ行われる。カメラモジュール30、30によって撮影された各画像(映像)は車室に配置されたディスプレイ200、200の各画面に左側の画像と右側の画像とがそれぞれ表示される。
【0101】
右側のカメラモジュール30と左側のカメラモジュール30によってそれぞれ撮影が行われるときには、撮影光がそれぞれ撮像素子33、33によって光電変換され、ECU(電子制御ユニット)300に撮影信号が送出される(図14参照)。ECU300は入力された撮影信号に基づいた画像信号をそれぞれディスプレイ200、200に送出し、右側のディスプレイ200と左側のディスプレイ200の各画面にそれぞれ左側の画像と右側の画像とが表示される。
【0102】
ECU300には車輌100に関する各情報も入力され、各情報に基づいてECU300から各部に送出される指令信号に応じてエンジン制御、オートマチック制御、駆動制御、制動制御等の各制御も行われる。
【0103】
運転者はディスプレイ200、200の画面に表示される左側の画像と右側の画像を視認することにより、後方から側方にかけての領域の状況を把握し、把握した状況に応じた運転をすることができる。
【0104】
上記したように、車輌用灯具1には外筐4の内部に配置された基板26と基板26に配置されたカメラモジュール30と基板26に配置された発光素子29、29とが設けられている。
【0105】
従って、外筐4の内部にシャーシやホルダーが配置された構成にされておらず、外筐4の内部に配置された基板26に発光素子29、29とカメラモジュール30の双方が配置された構成であるため、構成部品が少なく、車輌用灯具1の部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【0106】
尚、外筐4の内部の温度と外筐4の外部の温度差との相違等によっては透光カバー3の内面に曇りが生じる可能性があるが、例えば、透光カバー3の内面に曇りを解消又は防止する防曇処理が施されていてもよい。
【0107】
また、透光カバー3の平板面部23における透過窓23aの外周側にヒーター47が配置されていてもよい(図15参照)。ヒーター47は透光カバー3に埋設され又は透光カバー3の外面若しくは内面に接着等によって取り付けられている。ヒーター47に対する電力の供給は基板26に形成された制御回路から行われる。尚、ヒーター47としては、例えば、給電することにより発熱する線ヒーターを用いることが可能である。
【0108】
透光カバー3にヒーター47が配置されることにより、透光カバー3の透過窓23aに付着された雪を溶融することができ、カメラモジュール30に対する透過窓23aからの撮影光の適正な入射が雪によって妨げられることがなく、カメラモジュール30によって撮影される画像の品質の向上を図ることができる。また、透光カバー3にヒーター47が配置されることにより、透光カバー3の内面の曇りを解消又は防止することも可能である。
【0109】
尚、上記には、外筐4の内部に配置された一つの基板26にコネクター27と発光素子29、29とカメラモジュール30が配置された例を示したが、基板26を第1の基板26Aと第2の基板26Bに分割して配置することも可能である(図16参照)。
【0110】
第1の基板26Aと第2の基板26Bはフレキシブルプリント配線板48によって接続されている。第1の基板26Aは前後方向を向く状態で配置され、第1の基板26Aの後面には発光素子29、29とカメラモジュール30が配置されている。第2の基板26Bは第1の基板26Aの前側において左右方向を向く状態で配置され、第2の基板26Bの一方の面には制御回路が形成され他方の面にはコネクター27が配置されている。第1の基板26Aと第2の基板26Bは図示しない押さえ部材によって押さえられてハウジング2に対して位置決めされている。
【0111】
このように基板26を第1の基板26Aと第2の基板26Bに分割し、第1の基板26Aと第2の基板26Bを向きが異なる状態で前後に配置することにより、車輌用灯具1における車輌100の内部に挿入される部分を小さくすることができる。従って、車輌用灯具1の小型化を図ることができる。
【0112】
尚、上記には、基板26を第1の基板26Aと第2の基板26Bの二つの基板に分割して配置した例を示したが、基板26を三つ以上の基板に分割して配置し、各基板にそれぞれ所要の部品を配置することも可能である。
【0113】
車輌用灯具1にあっては、上記のように、基板26が前面部11と突状部8に沿って鉛直方向に対して斜め下方に僅かに傾斜された状態で配置され、車輌用灯具1が車体101に取り付けられた状態において、カメラモジュール30の光軸Pが水平方向に対して斜め下方に僅かに傾斜する状態にされている(図7及び図17参照)。
【0114】
カメラモジュール30の上下方向における画角ωは、例えば、40・にされており、光軸Pが水平方向に対して斜め下方に傾斜されることにより、例えば、画角ωが水平方向を基準として上方側が13・に設定され、下方側が27・に設定されている。
【0115】
このようにカメラモジュール30の光軸Pが水平方向より下向きに傾斜されることにより、カメラモジュール30による下方側における撮影範囲が大きくなり、路面400の状況を確認し易く視認性の向上を図ることができる。例えば、車輌100の後輪付近に存在する溝や駐車枠(白線)等の視認性が良好になり、特に、後方への走行時において利便性が高まり、走行時における安全性の向上を図ることができる。
【0116】
尚、カメラモジュール30は画角ωが水平方向を基準として上方側に13・の設定が行われているため、上方側においても十分な撮影範囲が確保され、後方に存在する車輌や歩行者等の視認性も良好であり、走行時における安全性を確保することができる。
【0117】
上記には、カメラモジュール30の画角ωが40・にされ光軸Pが7・下向きに設定された例を示したが、画角ωと光軸Pの向きはそれぞれ40・と7・下向きに限られることはなく、上下方向における良好な視認性が確保され車輌100の走行時における安全性を確保することができる範囲であればカメラモジュール30の画角ωと光軸Pは任意に設定することが可能である。
【0118】
また、上記した通り、カメラモジュール30は撮像素子33が長方形状に形成され、長手方向が上下方向になる向きで基板26に取り付けられ、撮影光の有効入射領域の長手方向が上下方向になる向きで配置されている。
【0119】
従って、カメラモジュール30によって縦長の画像を撮影することができるため、上下方向における十分な画角が確保されてカメラモジュール30の上下方向における撮影範囲が大きくなり、視認性の向上を図ることができる。
【0120】
また、撮像素子33を光の有効入射領域の長手方向が上下方向になる向きで配置することにより、上記のような大きな画角である40・の設定が容易になり、製造コストの低減を図った上で視認性の向上を図ることができる。
【0121】
尚、上記のように、カメラモジュール30は光軸Pが水平方向より下向きに傾斜されているため、その分、カメラモジュール30も水平方向より下向きに傾斜されている(図7参照)が、透光カバー3の透過窓23aが上下に長い小判状に形成されているため、カメラモジュール30の最も後側に位置されたレンズ32が透過窓23aにおける下端側の部分に対向して位置される(図9参照)。
【0122】
従って、撮影光が透過窓23a以外の部分を通ってレンズ32に入射されることがなく、カメラモジュール30によって撮影される画像の品質の向上を図ることができる。
【0123】
また、透過窓23aを円形状に形成した場合には平板面部23における下端側に透過窓23aが位置されて見栄えの低下を来してしまうが、透過窓23aを小判状等の上下に長く上下方向において対称な形状に形成することにより、透過窓23aを平板面部23に対して上下方向において対称な位置に形成することができ、見栄えの向上を図ることができる。
【0124】
さらに、透過窓23aを上下方向において対称な形状に形成することにより、車輌の左側に配置される車輌用灯具1と右側に配置される車輌用灯具1とにおいて同一の透光カバー3を用いることが可能になり、車輌用灯具1の部品の共通化による製造コストの低減を図ることができる。
【0125】
尚、外筐4の内部には発光素子29、29とカメラモジュール30が配置されており、発光素子29、29から光が出射されカメラモジュール30に撮影光が入射される構成にされている。発光素子29、29から出射された光は透光カバー3を透過されて外部へ向けて照射されるが、発光素子29、29からの光の出射時には出射された光が透光カバー3の内部を透過窓23aへ向けて導かれる可能性がある(図18に示す矢印A参照)。
【0126】
そこで、透光カバー3には、上記したように、透過窓23aの外周を覆う位置に遮光部25が形成されている。
【0127】
従って、発光素子29、29からの光の出射時に遮光部25によって透光カバー3の内部を導かれる光の透過窓23aへの入射が遮蔽され、発光素子29、29から出射された光のカメラモジュール30に対する入射が防止され、カメラモジュール30によって撮影される画像の画質の向上を図ることができる。
【0128】
また、車輌用灯具1にあっては、上記したように、基板26が左右方向において前面部11と突状部8に沿って傾斜された状態で配置され、車輌用灯具1が車体101に取り付けられた状態において、カメラモジュール30の光軸Pが前後方向に対して側方における外側に僅かに傾斜する状態にされている(図5参照)。
【0129】
従って、カメラモジュール30によって車輌の後方から後斜め側方(外側)の画像が撮影され、後方から後斜め側方(外側)に存在する車輌や歩行者等の良好な視認性が確保され、走行の安全性を確保することができる。
【0130】
このようにカメラモジュール30は光軸Pが前後方向に対して側方における外側に僅かに傾斜されているが、カメラモジュール30は左右方向においても一定の画角が設定されており、カメラモジュール30によって車体101の側面102の一部が撮影され、撮影された側面102の一部がディスプレイ200の画面に表示される。
【0131】
撮影された側面102の一部がディスプレイ200の画面に表示されることにより、運転者等が撮影されている画像を視認したときに撮影領域を明確に認識することができ、安全運転等を確保することができる。
【0132】
しかしながら、外部環境等によっては、車体101の側面102に周囲の景色や路面が写り込んでしまうことがあり(図19の左図参照)、運転者等が写り込んだ景色や路面を真の景色や路面として誤認して安全運転に支障を来すおそれがある。
【0133】
そこで、車輌用灯具1にあっては、誤認を防止するために、以下のように画像区別手段50によってディスプレイ200の画面上において側面102が覆われ又は側面102の外縁が強調されて側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別されるように構成されている。
【0134】
以下に、画像区別手段50の各例と画像区別手段50によって行われる各処理について説明する(図19乃至図27参照)。
【0135】
画像区別手段50の第1の例としては、画像区別手段50として板状のシェード51が設けられた例である(図20参照)。シェード51は、例えば、ハウジング2に設けられ、後面部12から側方に突出されている。シェード51によって側面102を撮影する部分の撮影光が遮蔽される。
【0136】
従って、ディスプレイ200の画面にはシェード51によって側面102が覆われた画像が表示され(図19の右図参照)、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0137】
尚、シェード51は、例えば、透光カバー3、押さえ部材35又はカメラモジュール30の鏡筒31に設けられていてもよい。
【0138】
また、シェード51は側面102の外縁を覆う線状に形成されていてもよく(図21参照)、この場合にはディスプレイ200の画面にシェード51によって側面102の外縁が覆われて強調された画像が表示され(図22参照)、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0139】
上記のように、画像区別手段50としてカメラモジュール30に入射される撮影光の一部を遮蔽するシェード51が設けられることにより、撮影光の一部がシェード51によって遮蔽されて側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。従って、簡素な構成によって側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別され、車輌用灯具1の構造の簡素化による製造コストの低減を図ることができる。
【0140】
また、シェード51はハウジング2に一体に形成されていてもよい。シェード51がハウジング2に一体に形成されることにより、部品点数の増加を伴うことなく側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別され、車輌用灯具1の部品点数の削減による一層の構造の簡素化及び一層の製造コストの低減を図ることができる。
【0141】
画像区別手段50の第2の例としては、画像区別手段50として透光カバー3の透過窓23aにステップ52、52、・・・が形成された例である(図23参照)。ステップ52、52、・・・には側面102を撮影した部分の撮影光が入射される。
【0142】
従って、ディスプレイ200の画面にはステップ52、52、・・・によって側面102の部分が不明瞭な所謂ぼけた画像として表示され(図24参照)、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0143】
上記のように、画像区別手段50としてカメラモジュール30に入射される撮影光の一部を遮蔽するステップ52、52、・・・が設けられることにより、カメラモジュール30に入射される撮影光の一部がステップ52、52、・・・によって制御されて側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。従って、簡素な構成によって側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別され、車輌用灯具1の構造の簡素化による製造コストの低減を図ることができる。
【0144】
尚、透光カバー3の左右方向における最も外側に位置する部分にはボルテックスジェネレーターとして機能する凸部3bが設けられていてもよい(図23参照)。透光カバー3に凸部3bが設けられることにより、車輌100の走行時に透光カバー3の表面を流れる空気に乱流が生じ、この流れる空気が透過窓23aに沿って流れ易くなり、車輌100の走行時において透過窓23aに付着されている異物を除去することが可能になる。
【0145】
図23には、透光カバー3に上下に延びる形状の凸部23aを示したが、例えば、複数の凸部を上下に離隔して設けてもよい。
【0146】
画像区別手段50の第3の例としては、画像区別手段50として透光カバー3の透過窓23aに着色部53が形成された例である(図25参照)。着色部53の色は任意であり、着色部53の材料としては撮影光が透過される材料が用いられる。
【0147】
従って、ディスプレイ200の画面には着色部53によって側面102が着色された画像が表示され、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0148】
着色部53は側面102の外縁のみを着色する線状に形成されていてもよく、この場合にはディスプレイ200の画面に着色部53によって側面102の外縁が着色されて強調された画像が表示され、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0149】
上記のように、画像区別手段50として透光カバー3に着色部53が形成されることにより、側面102が着色された画像が画面に表示され、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。従って、簡素な構成によって側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別され、車輌用灯具1の構造の簡素化による製造コストの低減を図ることができる。
【0150】
尚、着色部53は撮影光が透過されず遮蔽される色や全反射される色で形成されていてもよく、この場合にはディスプレイ200の画面に側面102が画像として表示されず、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0151】
画像区別手段50の第4の例としては、画像区別手段50として画像処理部54が設けられた例である(図26参照)。画像処理部54は、例えば、カメラモジュール30に設けられた信号処理部であってもよく、また、ECU300であってもよい。
【0152】
画像処理部54には撮影信号が入力され、撮影信号に基づいて画像処理部54によって所定の処理が行われる。所定の処理としては、撮影された側面102を所定の色で塗りつぶす処理、撮影された側面102の外縁を所定の色で塗りつぶす処理、撮影された側面102と同じ形状のコンピューターグラフィック画像を生成して画面上で側面102に重ねる処理、撮影された側面102の外縁と同じ形状のコンピューターグラフィック画像を生成して画面上で側面102の外縁に重ねる処理、撮影された側面102と同じ形状で写り込みが生じていない側面102の画像を生成して画面上で側面102に重ねる処理等である。
【0153】
例えば、撮影された側面102と同じ形状のコンピューターグラフィック画像を生成して画面上で側面102に重ねる処理が行われた場合には、ディスプレイ200の画面には、側面102が存在する部分に画像処理部54によって生成されたコンピューターグラフィック画像600が表示され(図27参照)、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0154】
上記のように、画像区別手段50としてカメラモジュール30によって撮影された画像を処理する画像処理部54が設けられることにより、画像処理部54による所定の画像処理によって側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。従って、画像処理部54によって画像の処理態様の自由度が高くなり。設計の自由度を高めた上で画面に表示される画像に対する視認性の向上を図ることができる。
【0155】
画像区別手段50の第5の例としては、画像区別手段50としてディスプレイ200にカバー55が設けられた例である(図28参照)。カバー55はディスプレイ200の外枠に取り付けられる枠状の被取付部55aと画面に表示される側面102の画像を覆う覆い部55bとを有している。
【0156】
従って、ディスプレイ200の画面に表示される側面102がカバー55の覆い部55bによって覆われ、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0157】
尚、カバー55の覆い部55bは側面102の外縁を覆う線状に形成されていてもよく、この場合にはディスプレイ200の画面に表示される側面102の外縁がカバー55の線状の覆い部55bによって覆われ、側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0158】
上記のように、画像区別手段50としてディスプレイ200の画面に表示される側面102の少なくとも一部を覆うカバー55が設けられることにより、簡素な構成によって側面102と側面102以外の部分とを視覚的に区別することができる。
【0159】
尚、ディスプレイ200は、例えば、車輌100のダッシュボード等に予め一体的に組み込まれて配置されることもあるが、この場合には覆い部55bと同じ形状の覆い部をダッシュボードの一部として設け、ダッシュボードに設けられた覆い部によって側面102の少なくとも一部が覆われるように構成することも可能である。
【0160】
ところで、上記のような光源とカメラモジュールを有しカメラモジュールによって後方から側方にかけての領域が撮影される車輌用灯具においては、安全運転等の確保のために、撮影されている画像を運転者等が視認したときに、撮影領域が明確に認識されるようにすることが望まれる。
【0161】
従って、カメラモジュールによって車体の側面の一部が撮影され、撮影された側面の一部が画面に表示されるようにすることが望まれる。
【0162】
ところが、画面に車体の側面が表示されると、外部環境等によっては車体の側面に周囲の景色や路面が写り込んでしまい、運転者等が写り込んだ景色や路面を真の景色や路面として誤認し、運転に支障を来すおそれがある。
【0163】
そこで、車体の側面に写り込みカメラモジュールによって撮影される画像に関する誤認を防止することが望まれる。
【0164】
上記のように、カメラモジュール30によって撮影されて画像がディスプレイ200の画面に表示されるときに、画像区別手段50によって画面上において側面102の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされて側面102と側面102以外の部分とが視覚的に区別される。
【0165】
従って、カメラモジュール30による撮影時に側面102の少なくとも一部が覆われ又は不明瞭にされた状態でディスプレイ200の画面が視認されるため、側面102に周囲の景色や路面が写り込んだ場合にも運転者等が写り込んだ景色や路面を真の景色や路面として誤認することがなく、側面102に写り込みカメラモジュール30によって撮影される画像に関する誤認を防止することができる。
【0166】
車輌用灯具1においては、上記したように、ノズル18から流体、例えば、高圧空気が吐出される。ノズル18の連結用筒部20には、図29に示すように、配管60の一端部が連結され、配管60の他端部が車輌100の内部において車体101の一部に取り付けられた高圧空気発生ユニット61に連結されている。
【0167】
高圧空気発生ユニット61はケース体62とケース体62の内部に配置された移動機構63とを有している(図30参照)。
【0168】
ケース体62は内部が配置空間64として形成され、配置空間64はモーター配置部64aとウォーム配置部64bとギヤ配置部64cを有している。モーター配置部64aとウォーム配置部64bは前後において連通された状態で位置され、ウォーム配置部64bとギヤ配置部64cは上下において連通された状態で位置されている。ケース体62の後端部には前後に貫通された挿通孔64dが形成されている。挿通孔64dはケース体62の外部とギヤ配置部64cに連通されている。
【0169】
ケース体62には側方に突出された支持軸部62aが設けられ、支持軸部62aはギヤ配置部64cに位置されている。
【0170】
移動機構63は駆動モーター65とウォーム66とウォームホイール67を有している。
【0171】
駆動モーター65は本体部65aとモーター軸65bを有し、本体部65aがモーター配置部64aに配置されている。
【0172】
ウォーム66はモーター軸65bに連結されて固定され、ウォーム配置部64bに配置されている。
【0173】
ウォームホイール67は従動ギヤ(はす歯ギヤ)68と従動ギヤ68の中心部から側方に突出して設けられたピニオン69とが一体に形成されて成る(図30参照)。ウォームホイール67はギヤ配置部64cに配置され、中心部がケース体62の支持軸部62aにベアリング70を介して支持されている。
【0174】
従動ギヤ68はウォーム66と噛合されている。
【0175】
ピニオン69は従動ギヤ68と同軸にされ、ベアリング70に外嵌状に支持された環状部71と環状部71の外周側に設けられたギヤ部72、72、72とを有している。ギヤ部72、72、72は周方向に等間隔に離隔して設けられている。ギヤ部72は、複数、例えば、二つのギヤ歯72a、72aによって構成されている。但し、ギヤ部72のギヤ歯72aの数は任意であり、一つでもよく三つ以上でもよい。
【0176】
ピニオン69は歯先円の直径が従動ギヤ68の歯底円の直径より小さくされている。ギヤ部72、72、72間の部分はそれぞれギヤ歯72aが設けられていない欠歯部69a、69a、69aとして形成されている。欠歯部69aは周方向に等間隔に離隔して、例えば、三つが形成されている。
【0177】
ケース体62の後端部にはシリンダー73が結合されている(図30参照)。シリンダー73はケース体62から後方に突出した状態で結合されている。シリンダー73はピストン支持部74とピストン支持部74から後方に突出された連結突部75とが一体に形成されて成り、ピストン支持部74の径が連結突部75の径より大きくされている。
【0178】
ピストン支持部74の内部空間76は後側略半分の部分が第1の空間76aとされ前側略半分の部分が第2の空間76bとされている(図31及び図32参照)。
【0179】
ピストン支持部74には第2の空間76bに前後方向に延びる空気流入溝74a、74aが周方向に離隔して形成されている(図31及び図32参照)。
【0180】
ピストン支持部74の第2の空間76bに空気流入溝74a、74aが形成されることにより、第2の空間76bにおける空気流入溝74a、74aが形成された部分の径は第1の空間76aの径より稍大きくされている。第2の空間76bにおける空気流入溝74a、74aが形成されていない部分の径は第1の空間76aの径と同じにされている。ピストン支持部74には第1の空間76aと空気流入溝74a、74aの境界部分にそれぞれ段差面76c、76cが形成されている(図32参照)。
【0181】
ピストン支持部74には図示しない空気流入孔が形成され、空気流入孔から空気流入溝74a、74aに外気が流入される。
【0182】
連結突部75は中心軸がピストン支持部74の中心軸と一致され、連結突部75には配管3の他端部が連結されている。
【0183】
シリンダー73のピストン支持部74にはピストン77が移動自在に支持されている(図30参照)。ピストン77は前後の厚みが薄い略円柱状に形成された作動部78と作動部78の中央部から前斜め上方に突出された連結部79とを有し、作動部78には外方に開口された円環状の配置溝78aが形成されている。作動部78の外径はピストン支持部74における第1の空間76aの径より僅かに小さくされている。従って、作動部78の外周面と第1の空間76aにおけるピストン支持部74の内周面との間には隙間76dが形成されている。
【0184】
配置溝78aにはシール部80が配置されている。シール部80は弾性変形可能な、例えば、ゴム又は樹脂によって形成され、外周部が作動部78の外周面から外方に突出されている。
【0185】
ピストン77はシリンダー73に対して上死点と下死点の間で前後方向へ往復運動される。上死点においては作動部78の全体が第1の空間76aに位置され(図31参照)、下死点においてはシール部80の全体が第2の空間76bに位置され作動部78の後端部が第1の空間76aに位置される(図32参照)。
【0186】
ピストン77は、シール部80が第1の空間76aにおいてシリンダー73の内周面に摺動され(図31参照)、シール部80が第2の空間76bにおいてシリンダー73の空気流入溝74a、74a以外の部分の内周面に摺動され空気流入溝74a、74aが形成された部分でシリンダー73におけるピストン支持部74の内周面から離隔される(図32参照)。従って、ピストン77が下死点に位置された状態においては、第2の空間76bに流入された空気(外気)が段差面76c、76cに沿い隙間76dを通って第1の空間76aへ向けて流動される。
【0187】
ピストン77の連結部79には前後に延びるラック81が連結されている。ラック81は、例えば、ピストン77と一体に形成されている。
【0188】
ラック81には前端寄りの位置にラック部82が形成されている。ラック部82は、例えば、三つのラック歯82a、82a、82aによって構成されている。但し、ラック部82のラック歯82aの数は任意であり、二つ以下でもよく四つ以上でもよい。ラック81はケース体62に形成された挿通孔64dを挿通され、ラック部82がウォームホイール67におけるピニオン69のギヤ部72に噛合可能とされている。
【0189】
ピストン77の作動部78とケース体62の外面との間にはシリンダー73におけるピストン支持部74の内部において付勢バネ83が支持されている。付勢バネ83は、例えば、圧縮コイルバネであり、付勢バネ83によってピストン77とラック81が後方へ付勢されている。尚、ピストン77の移動方向は空気を送り出す方向である後方が送出方向とされ、ピストン77とラック81は付勢バネ83によって送出方向に付勢されている。
【0190】
高圧空気発生ユニット61は以下のように動作される(図33乃至図35参照)。
【0191】
先ず、高圧空気が送り出される前の初期状態について説明する(図33参照)。
【0192】
初期状態においては、ピストン77が上死点に位置され、ラック81はラック部82がピニオン69のギヤ部72、72、72に噛合されず欠歯部69aに位置されている。
【0193】
初期状態において駆動モーター65の駆動が開始され、駆動モーター65の駆動力がウォーム66を介してウォームホイール67に伝達されると、ピニオン69のギヤ部72がラック81のラック部82に噛合される(図34参照)。従って、ラック81はピニオン69の回転に伴って付勢バネ83の付勢力に反して送出方向と反対方向へ移動されていく。
【0194】
ラック81がピニオン69の回転に伴って送出方向と反対方向へ移動されていくと、所定の位置でギヤ部72とラック部82の噛合が解除され、ピストン77が下死点に位置される(図35参照)。ピストン77が下死点に位置された状態においては、上記したように、第2の空間76bに流入された空気(外気)が段差面76c、76cに沿い隙間76dを通って第1の空間76aへ向けて流動される。
【0195】
下死点まで移動されたピストン77は、ギヤ部72とラック部82の噛合が解除されているため、付勢バネ83の付勢力によって送出方向と反対方向への移動速度より高速で送出方向へ移動され、第1の空間76aに第2の空間76bから流動された空気がピストン支持部74から連結突部75を通ってノズルユニット2のノズル18へ向けて送出される。このとき、シリンダー73は連結突部75の径がピストン支持部74の径より小さくされているため、ピストン支持部74から連結突部75を通って送出される空気が圧縮されて高圧空気となって配管3からノズル18へ向けて送出され、ノズル18から高圧空気が噴射されて透光カバー3の透過窓23aに吹き付けられる。
【0196】
ノズル18から噴射された高圧空気が透過窓23aに吹き付けられることにより、透過窓23aに付着されている塵埃、泥、水滴等の異物が吹き飛ばされて透過窓23aの汚染が解消される。
【0197】
尚、ピストン77が任意の位置で停止された状態において上死点の近傍に位置されていた場合には、ラック81のラック部82にピニオン69のギヤ部72が噛合されておらず、ピストン77が付勢バネ83の付勢力によって上死点まで移動される。
【0198】
ところで、上記のようなカメラモジュールを有する車輌用灯具にあっては、撮影光が透光カバーに形成された透過窓を透過されてカメラモジュールに入射されるため、透光カバーの状態によってはカメラモジュールによって撮影され画面に表示される画像の品質が低下するおそれがある。
【0199】
特に、車輌は屋外で走行されるため、天候や走行状態によっては透光カバーに雨水や塵埃や泥等の異物が付着される可能性が高く、画面に表示される画像の品質を向上させて車輌の走行における安全性の向上を図ることが必要とされる。
【0200】
そこで、カメラモジュールによって撮影される画像の品質の向上を図ることが望まれる。
【0201】
上記したように、車輌用灯具1にあっては、透過窓23aにノズル18から吐出される流体が吹き付けられるため、透過窓23aに付着されていた水分や塵埃や泥等の異物が除去され、カメラモジュール30によって撮影される画像の品質の向上を図ることができる。
【0202】
特に、車輌100は屋外で走行されるため、天候や走行状態によっては透光カバー3に雨水や塵埃や泥等の異物が付着される可能性が高く、ディスプレイ200の画面に表示される画像の品質を向上させて車輌100の走行における安全性の向上を図ることができる。
【0203】
また、外筐4の内部にカメラモジュール30の他に光を出射する発光素子29、29が配置されているため、発光素子29、29から出射される光が外部に照射され、車輌用撮像装置としても機能する車輌用灯具1の機能性の向上を図ることができる。
【0204】
さらに、流体として高圧空気が用いられているため、透過窓23aに付着されていた液体を含む各種の異物が除去され、透過窓23aに付着されていた異物の種類によらずカメラモジュール30によって撮影される画像の品質の向上を図ることができる。
【0205】
尚、流体としては高圧空気の他に他の気体や洗剤等が含有された洗浄液又は洗浄水等の液体を用いることが可能であり、流体として液体を用いる場合には高圧空気発生ユニット61に代えて液体の貯留タンクと貯留タンクから液体をノズル18へ向けて供給する液体供給装置とが設けられる。
【0206】
但し、流体として液体を用いる場合にはノズル18から吐出された液滴が透過窓23aに残留するおそれがあるため、流体として透過窓23aに液滴の残留が生じない高圧空気を用いることがより望ましい。また、流体として液体が用いられる場合には貯留タンクや貯留タンクに貯留される液体によって車輌100の重量が大きくなり製造コストも高くなる可能性があるため、流体として高圧空気を用いることは車輌100の重量の低下及び製造コストの低減を図る上でも望ましい。
【0207】
また、透光カバー3の透過窓23aにおける外面には撥水処理が施されることが望ましい。透過窓23aにおける外面に撥水処理が施されることにより、透過窓23aに一層水滴が付着され難くなり、カメラモジュール30によって撮影される画像の一層の品質の向上を図ることができる。
【0208】
さらに、透過窓23aにはハードコーティング処理が施されてもよい。透過窓23aにハードコーティング処理が施されることにより、透過窓23aの傷付きや損傷を防止することができ、カメラモジュール30によって撮影される画像のより一層の品質の向上を図ることができる。
【0209】
上記した流体のノズル18からの吐出は、例えば、車輌100のエンジンの始動時、発光素子29、29への駆動信号の出力時、流体の吐出を開始するために車室に設けられた吐出開始スイッチに対する運転者等の搭乗者による操作時、シフトレバーのバックギヤへの入力時等に行われる。また、流体のノズル18からの吐出は、例えば、ワイパーの動作と連動して行われたりウォッシャー液の吐出動作と連動して行われてもよい。さらに、流体のノズル18からの吐出は、例えば、ナビゲーションシステムの天候情報において悪天候の情報が得られた時点やバックビューカメラが設けられている車輌100においてバックビューカメラによって人物や車輌等が検出された時点において行われてもよい。
【0210】
特に、ノズル18からの流体の吐出が車輌100のエンジンの始動時に行われることにより、車輌100の走行開始前毎に、透過窓23aに付着されていた異物が除去されるため、走行時においてカメラモジュール30によって撮影される画像の品質が向上し、安全運転に寄与することができる。
【0211】
また、ノズル18からの流体の吐出が車輌100のバックギヤへの入力時に行われることにより、車輌100の後方への走行開始前毎に、透過窓23aに付着されていた異物が除去されるため、後方への走行時においてカメラモジュール30によって撮影される画像の品質が向上し、安全運転に寄与することができる。
【0212】
尚、上記には、ノズル18がハウジング2の後面部12に一体に設けられた例を示したが、例えば、ノズル18が後面部12から底面部13に亘る位置に一体に設けられていてもよい(図36参照)。
【0213】
ノズル18が後面部12から底面部13に亘る位置に一体に設けられることにより、ノズル18の連結用筒部20の突出方向が基板26に対するコネクター27の突出方向と同じ方向である前方にされる。従って、車輌100側の接続端子のコネクター27との接続作業と配管60のノズル18との接続作業を同じ方向から行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0214】
1…車輌用灯具(車輌用撮像装置)、2…ハウジング、3…透光カバー、4…外筐、23a…透過窓、25…遮光部、26…基板、29…発光素子、30…カメラモジュール、33…撮像素子、35…押さえ部材、26A…第1の基板、26B…第2の基板、101…車体、102…側面、50…画像区別手段、51…シェード、52…ステップ、53…着色部、54…画像処理部、100…車輌、18…ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36